(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023066458
(43)【公開日】2023-05-16
(54)【発明の名称】部品実装システムおよび部品実装装置ならびに部品実装方法
(51)【国際特許分類】
H05K 13/04 20060101AFI20230509BHJP
【FI】
H05K13/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021177060
(22)【出願日】2021-10-29
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】谷口 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】永冶 利彦
(72)【発明者】
【氏名】古市 聖
(72)【発明者】
【氏名】木原 正宏
【テーマコード(参考)】
5E353
【Fターム(参考)】
5E353AA02
5E353CC01
5E353CC13
5E353EE62
5E353EE71
5E353EE88
5E353EE89
5E353GG01
5E353HH11
5E353KK02
5E353KK03
5E353KK11
5E353LL04
5E353QQ11
(57)【要約】
【課題】基板に実装された部品の位置ずれ情報を適切にフィードバックすることができる部品実装システムおよび部品実装装置ならびに部品実装方法を提供する。
【解決手段】補正値の算出に必要な枚数を少なくとも含むn枚(nは1以上の自然数)の基板に部品を実装し(ST1)、n枚目以前の基板に実装された部品の位置ずれ情報を取得し(ST2)、n枚目以前の基板の位置ずれ情報の少なくとも一部に基づいて補正値を算出し(ST3)、補正値を使用してn+1枚目以降の基板に部品を実装する(ST4)。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に実装された部品の位置ずれ情報を取得する位置ずれ情報取得部と、
前記位置ずれ情報に基づいて、前記部品を前記基板に実装する際の補正値を算出する補正値算出部と、
前記部品を前記基板に実装する部品実装部と、を備え、
前記部品実装部は、前記補正値の算出に必要な枚数を少なくとも含むn枚(nは1以上の自然数)の前記基板に前記部品を実装し、
前記位置ずれ情報取得部は、前記n枚目以前の前記基板の前記位置ずれ情報を取得し、
前記補正値算出部は、前記n枚目以前の前記基板の前記位置ずれ情報の少なくとも一部に基づいて前記補正値を算出し、
前記部品実装部は、前記補正値を使用してn+1枚目以降の前記基板に前記部品を実装する、部品実装システム。
【請求項2】
前記部品実装部は、前記n枚目以前の前記基板への前記部品の実装では前記補正値を使用しない、請求項1に記載の部品実装システム。
【請求項3】
前記部品実装システムは、前記部品実装部が前記部品の実装作業を行う位置に前記基板を搬送する基板搬送部を、さらに備え、
前記基板搬送部は、前記補正値が算出されるまでに前記n+1枚目の前記基板を、前記実装作業を行う位置に搬送する、請求項1または2に記載の部品実装システム。
【請求項4】
前記部品実装システムは、複数の前記部品実装部を備えており、
前記基板搬送部は、前記補正値が算出されるまでに前記n+1枚目の前記基板を、最初に実装作業を行う前記部品実装部が前記実装作業を行う位置に搬送する、請求項3に記載の部品実装システム。
【請求項5】
基板に実装された部品の位置ずれ情報に基づいて算出された補正値を用いて基板に部品を実装する部品実装部と、
前記部品実装部を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記補正値の算出に必要な枚数を少なくとも含むn枚(nは1以上の自然数)の前記基板に前記部品を実装し、前記n枚目以前の前記基板に実装された前記部品の前記位置ずれ情報の少なくとも一部に基づいて算出された前記補正値を用いてn+1枚目以降の前記基板に前記部品を実装するように前記部品実装部を制御する、部品実装装置。
【請求項6】
前記位置ずれ情報に基づいて、前記部品を前記基板に実装する際の補正値を算出する補正値算出部を、さらに備える、請求項5に記載の部品実装装置。
【請求項7】
補正値の算出に必要な枚数を少なくとも含むn枚(nは1以上の自然数)の基板に部品を実装し、
前記n枚目以前の前記基板に実装された前記部品の位置ずれ情報を取得し、
前記n枚目以前の前記基板の前記位置ずれ情報の少なくとも一部に基づいて前記補正値を算出し、
前記補正値を使用してn+1枚目以降の前記基板に前記部品を実装する、部品実装方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に部品を実装する部品実装システムおよび部品実装装置ならびに部品実装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板に部品を実装して実装基板を生産する部品実装システムでは、基板に実装された部品の位置ずれ情報を検査装置で取得し、取得された位置ずれ情報を部品実装装置が後続の基板に部品を実装する際の実装位置の補正にフィードバックして用いることが行われている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の部品実装システムでは、部品実装装置の下流に設置された検査装置で位置ずれ情報が検出されるまでは、部品実装装置の経時的な熱変形に起因する変動を実装位置の補正に使用し、検査装置で位置ずれ情報が取得されると熱変形に起因する変動に取得された位置ずれ情報を加えて実装位置の補正を行うことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1を含む従来技術では、複数の部品実装装置を連結する部品実装ラインでは、次のような問題点があった。すなわち、1台の部品実装装置の内部に3枚の基板を滞留させることができる部品実装装置を5台連結したような部品実装ラインでは、検査装置で最初の基板の位置ずれ情報が取得されるまでに、先頭の部品実装装置では10枚以上の基板に対して位置ずれ情報をフィードバックすることなく部品実装作業を実行することになるため、実装精度が良くない基板が多数生産される可能性があるという課題があった。
【0005】
そこで本発明は、基板に実装された部品の位置ずれ情報を適切にフィードバックすることができる部品実装システムおよび部品実装装置ならびに部品実装方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の部品実装システムは、基板に実装された部品の位置ずれ情報を取得する位置ずれ情報取得部と、前記位置ずれ情報に基づいて、前記部品を前記基板に実装する際の補正値を算出する補正値算出部と、前記部品を前記基板に実装する部品実装部と、を備え、前記部品実装部は、前記補正値の算出に必要な枚数を少なくとも含むn枚(nは1以上の自然数)の前記基板に前記部品を実装し、前記位置ずれ情報取得部は、前記n枚目以前の前記基板の前記位置ずれ情報を取得し、前記補正値算出部は、前記n枚目以前の前記基板の前記位置ずれ情報の少なくとも一部に基づいて前記補正値を算出し、前記部品実装部は、前記補正値を使用してn+1枚目以降の前記基板に前記部品を実装する。
【0007】
本発明の部品実装装置は、基板に実装された部品の位置ずれ情報に基づいて算出された補正値を用いて基板に部品を実装する部品実装部と、前記部品実装部を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記補正値の算出に必要な枚数を少なくとも含むn枚(nは1以上の自然数)の前記基板に前記部品を実装し、前記n枚目以前の前記基板に実装された前記部品の前記位置ずれ情報の少なくとも一部に基づいて算出された前記補正値を用いてn+1枚目以降の前記基板に前記部品を実装するように前記部品実装部を制御する。
【0008】
本発明の部品実装方法は、補正値の算出に必要な枚数を少なくとも含むn枚(nは1以上の自然数)の基板に部品を実装し、前記n枚目以前の前記基板に実装された前記部品の位置ずれ情報を取得し、前記n枚目以前の前記基板の前記位置ずれ情報の少なくとも一部に基づいて前記補正値を算出し、前記補正値を使用してn+1枚目以降の前記基板に前記部品を実装する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、基板に実装された部品の位置ずれ情報を適切にフィードバックすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施の形態の部品実装システムの構成説明図
【
図2】本発明の一実施の形態の部品実装装置の要部の構成を示す平面図
【
図3】本発明の一実施の形態の部品実装システムの制御系の構成を示すブロック図
【
図4】本発明の一実施の形態の検査装置において取得される部品の実装位置ずれ量の説明図
【
図5】本発明の一実施の形態の部品実装方法のフロー図
【
図6】本発明の一実施の形態の部品実装システムにおける部品実装工程の説明図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に図面を用いて、本発明の一実施の形態を詳細に説明する。以下で述べる構成、形状等は説明のための例示であって、部品実装システム、管理コンピュータ、部品実装装置、検査装置の仕様に応じ、適宜変更が可能である。以下では、全ての図面において対応する要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
図1、及び後述する一部では、水平面内で互いに直交する2軸として、基板搬送方向のX軸(
図1における左右方向)、基板搬送方向に直交するY軸(
図1における上下方向)が示される。
図4、及び後述する一部では、Z軸を回転軸とする回転の方向であるθ方向が示される。
【0012】
まず
図1を参照して、部品実装システム1の構成を説明する。部品実装システム1は、基板に部品を装着して実装基板を製造する機能を有する。部品実装システム1は、基板搬送方向の上流(紙面左側)から下流(紙面右側)に向けて、4台の部品実装装置M1~M4、検査装置M5が直列に連結されている。各装置は通信ネットワーク2を介して管理コンピュータ3に接続されている。また、各装置は通信ネットワーク2を介して相互にデータを送受信する。なお、部品実装システム1が備える部品実装装置M1~M4は4台に限定されることはなく、1台、2台、3台または5台以上でも良い。
【0013】
図1において、部品実装装置M1~M4、検査装置M5は、それぞれ基板搬送部4、5を備えている。基板搬送部4、5は直列に連結されており、上流の装置から下流の装置に基板Bを搬送する。部品実装装置M1は、上流に配置される基板Bに形成された電極にはんだペーストを印刷する印刷装置などの生産設備から基板Bを受け取る(矢印a)。部品実装装置M1は、受け取った基板Bの実装位置に実装ヘッドが部品供給部から部品Dを取り出して実装する部品実装作業を行い、下流の部品実装装置M2に基板Bを搬出する。同様に、部品実装装置M2~M4は、それぞれ上流の装置から搬出された基板Bの実装位置に部品Dを装着する部品実装作業を行う。
【0014】
検査装置M5は、部品実装装置M1~M4によって部品Dが実装された基板Bの部品Dの実装状態を検査カメラ6で検査して、部品Dの正規位置からの位置ずれ情報などを取得し、実装基板の良否を判断する。検査後の基板Bは、下流に配置される基板Bを加熱してはんだペーストを融解させるリフロー装置などに搬出される(矢印b)。管理コンピュータ3は、部品実装装置M1~M4と検査装置M5を含む部品実装システム1を統括して制御する機能を有している。
【0015】
次に
図2を参照して、部品実装装置M1~M4の構成を説明する。基台10の中央には、基板搬送部4がX軸に沿って設置されている。基板搬送部4は、上流の装置から搬出された基板Bを搬送し、以下に説明する実装ヘッドによる実装作業位置に位置決めして保持する。また、基板搬送部4は、部品実装作業(部品の実装作業)が完了した基板Bを下流の装置に搬出する。
【0016】
基板搬送部4の両側(Y軸の前後方向)には、部品供給部11がそれぞれ設置されている。部品供給部11には、複数のテープフィーダ12がX軸に沿って並列に配置されている。テープフィーダ12は、部品Dを格納するポケットが形成された部品テープを部品供給部11の外側から基板搬送部4に向かう方向(テープ送り方向)にピッチ送りすることにより、実装ヘッドが部品をピックアップする部品供給位置に部品Dを供給する。
【0017】
図2において、基台10の上面におけるX軸における両端部には、リニア駆動機構を備えたY軸テーブル13が配置されている。2基のY軸テーブル13の間には、同様にリニア機構を備えたビーム14がY軸に沿って移動自在に結合されている。ビーム14には、プレート14aを介して実装ヘッド15がX軸に沿って移動自在に装着されている。実装ヘッド15は、複数のノズル昇降部を備えている。ノズル昇降部のそれぞれの下端部には、部品Dを吸着して保持するノズルが装着されている。各ノズル昇降部は、ノズルをZ軸に沿って昇降させ、Z軸を回転軸としてθ方向に回転させる。
【0018】
Y軸テーブル13およびビーム14は、実装ヘッド15を水平方向(X軸方向、Y軸方向)に移動させるヘッド移動機構を構成する。ヘッド移動機構および実装ヘッド15は、部品供給部11に装着されているテープフィーダ12の部品供給位置から部品Dをピックアップし、基板搬送部4に保持された基板Bの実装位置に装着する部品実装作業を実行する部品実装部16を構成する。部品実装作業において実装ヘッド15は、部品供給部11の上方に移動し、各ノズルで所定の部品Dをそれぞれピックアップし、基板Bの上方に移動し、各ノズルが保持する部品Dをそれぞれの実装位置に実装する一連の実装ターンを繰り返す。
【0019】
図2において、実装ヘッド15が取り付けられたプレート14aには、ヘッドカメラ17が装着されている。実装ヘッド15が移動することにより、ヘッドカメラ17は基板搬送部4の実装作業位置に位置決めされた基板Bの上方に移動して、基板Bに設けられた基板マーク(図示せず)、基板Bの実装位置を撮像する。
【0020】
部品供給部11と基板搬送部4との間には、部品認識カメラ18が設置されている。部品認識カメラ18は、部品供給部11から部品Dを取り出した実装ヘッド15が部品認識カメラ18の上方に位置した際に、ノズルに保持された部品Dを下方から撮像する。実装ヘッド15による部品Dの基板Bへの部品実装作業では、ヘッドカメラ17による基板Bの認識結果と部品認識カメラ18による部品の認識結果とを加味して実装位置の補正が行われる。
【0021】
図2において、部品実装装置M1~M4の前面で作業者が作業する位置には、作業者が操作するタッチパネル19が設置されている。タッチパネル19は、その表示部に各種情報を表示し、また表示部に表示される操作ボタンなどを使って作業者がデータ入力や部品実装装置M1~M4の操作を行う。
【0022】
次に
図3を参照して、部品実装システム1の制御系の構成を説明する。ここでは、部品実装システム1が有する機能のうち、製造する実装基板の生産機種を変更した直後などに、基板Bに実装された部品Dの実装位置ずれ情報を部品実装装置M1~M4にフィードバックする機能を中心に説明する。管理コンピュータ3、部品実装装置M1~M4および検査装置M5は、通信ネットワーク2を介して相互に接続されている。部品実装装置M1~M4は、実装制御装置20、基板搬送部4、テープフィーダ12、部品実装部16、ヘッドカメラ17、部品認識カメラ18、タッチパネル19を備えている。実装制御装置20は、実装記憶部21、取得部22、補正値算出部23、実装制御部24、実装通信部25を備えている。
【0023】
実装通信部25は、通信ネットワーク2を介して検査装置M5、管理コンピュータ3との間でデータの送受信を行う。実装記憶部21は記憶装置であり、実装データ21a、初期枚数情報21b、位置ずれ情報21c、補正値情報21dなどが記憶されている。実装データ21aには、実装基板の生産機種名(基板名)、基板Bに実装される部品Dの種類(部品名)、実装位置(XY座標)、実装方向(θ方向)、部品Dを供給するテープフィーダ12の装着位置、ノズルの装着位置などの情報が含まれている。
【0024】
図3において、初期枚数情報21bには、後述する管理コンピュータ3が算出して送信する補正値の算出に必要な基板Bの枚数である初期枚数に関する情報が記憶されている。取得部22は、検査装置M5が基板Bに実装された部品Dを撮像して算出した基板Bに実装された部品Dの位置ずれ情報(実装位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθ)を取得し、位置ずれ情報21cとして実装記憶部21に記憶させる。補正値算出部23は、位置ずれ情報21cに含まれる部品Dの実装位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθに基づいて、部品実装装置M1~M4が部品Dを基板Bに実装する際に使用する補正値を算出する。補正値算出部23は、算出した補正値を補正値情報21dとして実装記憶部21に記憶させる。
【0025】
図3において、実装制御部24(制御部)は、実装データ21aに含まれる実装位置や実装方向、初期枚数情報21bに含まれる初期枚数、補正値情報21dに含まれる補正値などに基づいて、基板搬送部4、テープフィーダ12、部品実装部16、ヘッドカメラ17、部品認識カメラ18を制御して、部品Dを基板Bに実装させる。すなわち、部品実装部16は、ヘッドカメラ17が撮像した基板Bの位置、吸着位置ずれ情報の他、補正値情報21dに含まれる補正値に基づいて、実装ヘッド15の位置を補正して部品Dを基板Bに実装する。
【0026】
より具体的には、実装制御部24は、製造する実装基板の生産機種が変更された後の1枚目から初期枚数目(n枚目、nは1以上の自然数)までの基板Bには、補正値を使用せずに部品実装部16により部品Dを実装させる。そして、初期枚数分の基板Bの位置ずれ情報21cに基づいて補正値が算出されると、実装制御部24は、初期枚数より後(n+1枚目以降)の基板Bに対しては、算出された補正値を使用して部品実装部16により部品Dを基板Bに実装させる。
【0027】
このように、部品実装部16は、基板Bに実装された部品Dの位置ずれ情報21cに基づいて算出された補正値を用いて基板Bに部品Dを実装する。その際、実装制御部24(制御部)は、補正値の算出に必要な枚数を少なくとも含むn枚(初期枚数)の基板Bには補正値を使用せずに部品Dを実装するように部品実装部16を制御する。そして、実装制御部24は、n枚目以前の基板Bに実装された部品Dの位置ずれ情報21cの少なくとも一部に基づいて算出された補正値を用いてn+1枚目以降の基板Bに部品Dを実装するように部品実装部16を制御する。これによって、補正値を使用せずに部品実装作業が行われる基板Bの数を適切な範囲に制限して、基板Bに実装された部品Dの位置ずれ情報21cを適切にフィードバックすることができる。
【0028】
図3において、検査装置M5は、検査制御装置30、基板搬送部5、検査カメラ6、検査カメラ移動機構31を備えている。検査制御装置30は、検査記憶部32、検査制御部33、認識処理部34、検査通信部35を備えている。検査通信部35は、通信ネットワーク2を介して部品実装装置M1~M4、管理コンピュータ3との間でデータの送受信を行う。検査記憶部32は記憶装置であり、検査データ32aなどが記憶されている。検査データ32aは、実装基板の生産機種名(基板名)、基板Bに実装された部品の種類(部品名)、実装位置(XY座標)、実装方向(θ方向)、不良判定値などが含まれている。
【0029】
検査制御部33は、基板搬送部5を制御して、上流の部品実装装置M4から搬出された実装済みの基板Bを検査作業位置に搬送させて位置決めして保持させ、検査作業が完了した基板Bを下流に搬出させる。また、検査制御部33は、検査データ32aに基づいて、検査カメラ移動機構31を制御して、検査カメラ6を検査作業位置に保持された基板Bの実装位置の上方に順に移動させ、検査カメラ6で基板Bに実装された部品Dを撮像させる。
【0030】
図3において、認識処理部34は、検査カメラ6による撮像画像を認識処理して、基板Bに実装された部品Dの正規の実装位置Qからの実装位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθ(
図4参照)を算出する。また、認識処理部34は、算出した実装位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθが検査データ32aに含まれる不良判定値を超えると当該部品Dを実装不良(当該基板Bを不良基板)と判断する。また、認識処理部34は、基板Bに実装された部品Dの位置ずれ情報(実装位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθ)を部品実装装置M1~M4に送信する。部品実装装置M1~M4の取得部22は、受信した位置ずれ情報21cを実装記憶部21に記憶させる。このように、検査装置M5は、基板Bに実装された部品Dの位置ずれ情報21cを取得する位置ずれ情報取得部である。
【0031】
ここで
図4を参照して、認識処理部34による、基板Bに実装された部品Dの正規の実装位置Qからの実装位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθの算出方法の一例について説明する。検査制御部33は、検査カメラ6の撮像中心が部品Dの正規の実装位置Qと一致する位置で基板Bに実装された部品Dを撮像させる。認識処理部34は、撮像画像を認識処理することで、実装された部品Dの中心Cを検出する。そして、認識処理部34は、中心C(ΔX,ΔY)と実装位置Q(0,0)の差からX軸方向の位置ずれ量ΔXとY軸方向の位置ずれ量ΔYを算出する。さらに、認識処理部34は、部品Dのθ方向の傾きを位置ずれ量Δθとして算出する。
【0032】
図3において、管理コンピュータ3の管理処理装置40は、管理記憶部41、初期枚数算出部42、入力部43、表示部44、管理通信部45を備えている。入力部43は、キーボード、タッチパネル、マウスなどの入力装置であり、操作コマンドやデータ入力時などに用いられる。表示部44は液晶パネルなどの表示装置であり、入力部43による操作のための操作画面などの各種画面などの各種情報を表示する。管理通信部45は通信インターフェースであり、通信ネットワーク2を介して部品実装装置M1~M4、検査装置M5との間で信号、データの授受を行う。
【0033】
管理記憶部41は記憶装置であり、生産データ41aなどを記憶する。生産データ41aには、実装基板の生産機種名(基板名)、基板Bに実装される部品Dの種類(部品名)、部品Dのサイズ、実装位置(XY座標)、実装方向(θ方向)、部品Dを実装する部品実装装置M1~M4(部品実装部16)、部品Dを供給するテープフィーダ12の装着位置、実装ヘッド15を特定する情報、ノズルの装着位置などの情報が含まれている。
【0034】
図3において、初期枚数算出部42は、部品実装装置M1~M4が部品実装作業で使用する補正値の算出に必要な基板Bの枚数である初期枚数を算出し、部品実装装置M1~M4に送信する。受信された初期枚数は、初期枚数情報21bとして部品実装装置M1~M4の実装記憶部21に記憶される。
【0035】
例えば、補正値が部品実装装置M1~M4毎に算出される場合、初期枚数算出部42は、各部品実装装置M1~M4が1枚の基板Bに実装する部品Dの数を算出する。すなわち、初期枚数算出部42は、補正値の算出に必要な部品数(例えば、5個)の部品Dの位置ずれ情報(実装位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθ)を取得するのに必要な基板Bの枚数(装置毎の初期枚数)を部品実装装置M1~M4毎に算出する。そして、初期枚数算出部42は、部品実装装置M1~M4毎の初期枚数の最大値を部品実装システム1の初期枚数として決定する。
【0036】
具体的な例で説明すると、部品実装装置M1の初期枚数が1枚、部品実装装置M2の初期枚数が1枚、部品実装装置M3の初期枚数が2枚、部品実装装置M4の初期枚数が3枚の場合、初期枚数算出部42は、部品実装システム1の初期枚数を3枚に決定し、全ての部品実装装置M1~M4に同じ初期枚数(3枚)を通知する。
【0037】
同様に、補正値が部品実装装置M1~M4の実装ヘッド15毎(算出単位)に算出される場合や、実装ヘッド15に装着されたノズル毎(算出単位)に算出される場合などでは、初期枚数算出部42は算出単位毎に初期枚数を算出し、それらの最大値を部品実装システム1の初期枚数として決定する。
【0038】
次に、
図5のフローに沿って、
図6を参照しながら、部品実装システム1を例として、製造する実装基板の生産機種を変更した後に、位置ずれ情報21cをフィードバックして基板Bに部品Dを実装する部品実装方法について説明する。
図5において、部品実装システム1において製造される実装基板の生産機種が変更されると、まず、部品実装システム1の部品実装装置M1~M4の部品実装部16は、補正値を使用せずに初期枚数分の基板Bに部品Dを実装する(ST1:初期部品実装工程)。
【0039】
すなわち、初期部品実装工程(ST1)において、部品実装装置M1~M4の部品実装部16は、補正値の算出に必要な枚数を少なくとも含むn枚(初期枚数)の基板Bには、補正値を使用せずに部品Dを実装する。なお、n枚目以前の基板Bの部品実装作業では、過去に同じ生産機種の製造で使用した補正値や、変更直前の生産機種の製造で使用していた補正値を使用してもよい。つまり、部品実装部16は、n枚目以前の基板Bへの部品Dの実装では、製造中の基板Bの位置ずれ情報21cをフィードバックした補正値を使用しない。
【0040】
図6は、初期枚数が2枚(n=2)の場合の部品実装工程を示している。
図6(a)において、部品実装システム1で製造する実装基板の生産機種を変更した後、1枚目の基板B1に対して部品実装装置M1の部品実装部16が部品Dを実装している。
図6(b)において、部品実装装置M1で部品Dが実装された基板B1は部品実装装置M2に搬送され、部品実装装置M2の部品実装部16が部品Dを実装する。そして、2枚目の基板B2が部品実装装置M1に搬送され、部品Dが実装される。その後、1枚目の基板B1は、部品実装装置M3、部品実装装置M4に順に搬送されて部品Dが実装される。また、2枚目の基板B2は、部品実装装置M2、部品実装装置M3に順に搬送されて部品Dが実装される。
【0041】
図5において、次いで検査装置M5において、初期枚数分の位置ずれ情報21c(実装位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθ)が取得される(ST2:初期位置ずれ情報取得工程)。すなわち、初期位置ずれ情報取得工程(ST2)において、n枚目以前の基板B1、B2に実装された部品Dの位置ずれ情報21cが取得される。取得された位置ずれ情報21cは、部品実装装置M1~M4に送信される。
【0042】
図6(c)において、部品実装装置M1~M4において部品Dが実装された1枚目の基板B1は、検査装置M5(位置ずれ情報取得部)に搬送されて、検査カメラ6による撮像結果から基板B1に実装された部品Dの位置ずれ情報21cが取得される。検査装置M5において基板B1の位置ずれ情報21cが取得されている間、2枚目の基板B2は部品実装装置M4において部品Dが実装される。また、部品実装装置M1~M3には3枚目の基板B3は搬送されず、検査装置M5からの位置ずれ情報21cの送信を待機している。
【0043】
図6(d)において、検査装置M5における位置ずれ情報21cの取得が終了した1枚目の基板B1は下流の装置に搬出され、検査装置M5には2枚目の基板B2が搬送されて、検査カメラ6による撮像結果から基板B2に実装された部品Dの位置ずれ情報21cが取得される。検査装置M5において、初期枚数分(2枚分)の位置ずれ情報21cが取得されると、取得された位置ずれ情報21cは、部品実装装置M1~M4に送信される。
【0044】
図5において、次いで部品実装装置M1~M4の補正値算出部23は、取得された初期枚数分の位置ずれ情報21cに基づいて、補正値(初期補正値)を算出する(ST3:初期補正値算出工程)。すなわち、初期補正値算出工程(ST3)において、n枚目以前の基板B1、B2の位置ずれ情報21cの少なくとも一部に基づいて補正値(初期補正値)が算出される。算出された補正値は、補正値情報21dとして実装記憶部21に記憶される。
【0045】
図6(d)において、部品実装装置M1において、初期枚数分の位置ずれ情報21cに基づいて補正値が算出されるまでの間に、部品実装装置M1の実装作業位置に3枚目(n+1枚目)の基板B3が搬送される。なお、部品実装装置M1は基板B3に部品Dを実装せず、部品実装装置M2が最初の部品Dを基板B3に実装する場合は、3枚目の基板B3は補正値が算出されるまでに部品実装装置M2の実装作業位置に搬送される。すなわち、基板搬送部4は、補正値(初期補正値)が算出されるまでにn+1枚目の基板B3を、部品実装システム1において最初に実装作業を行う部品実装装置M1~M4の部品実装部16が実装作業を行う位置(実装作業位置)に搬送する。
【0046】
図5において、次いで部品実装装置M1の部品実装部16は、補正値を使用して3枚目の基板B3に部品Dを実装する(ST4:補正値部品実装工程)。次いで3枚目の基板B3は、部品実装装置M2~M4に順に搬送されて部品Dが実装される。次いで3枚目の基板B3は検査装置M5に搬送されて、基板B3に実装された部品Dの位置ずれ情報21cが取得される。取得された位置ずれ情報21cは部品実装装置M1~M4に送信され、補正値算出部23により補正値が更新される。
【0047】
以下、全ての基板Bの部品実装作業が終了するまで(ST5においてNo)、部品実装装置M1に4枚目以降の基板Bが順に搬送され、補正値を使用した部品実装(ST4)が実行される。このように、補正値を使用してn+1枚目以降の基板B3に部品Dが実装される。これによって、基板B1~B3に実装された部品Dの位置ずれ情報21cを部品実装装置M1~M4に適切にフィードバックすることができる。
【0048】
上記説明したように、本実施の形態の部品実装システム1は、基板B1~B3に実装された部品Dの位置ずれ情報21cを取得する位置ずれ情報取得部(検査装置M5)と、位置ずれ情報21cに基づいて、部品Dを基板B3に実装する際の補正値を算出する補正値算出部23と、部品Dを基板B1~B3に実装する部品実装部16と、を備えている。
【0049】
そして、部品実装部16は、補正値の算出に必要な枚数を少なくとも含むn枚(nは1以上の自然数)(初期枚数)の基板B1,B2に部品Dを実装し、位置ずれ情報取得部は、n枚目以前の基板B1,B2の位置ずれ情報21cを取得し、補正値算出部23は、n枚目以前の基板B1,B2の位置ずれ情報21cの少なくとも一部に基づいて補正値を算出し、部品実装部16は、補正値を使用してn+1枚目以降の基板B3に部品Dを実装する。これによって、基板B1~B3に実装された部品Dの位置ずれ情報21cを適切にフィードバックすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明の部品実装システムおよび部品実装装置ならびに部品実装方法は、基板に実装された部品の位置ずれ情報を適切にフィードバックすることができるという効果を有し、部品を基板に実装する分野において有用である。
【符号の説明】
【0051】
1 部品実装システム
4 基板搬送部
16 部品実装部
B、B1~B3 基板
D 部品
M1~M4 部品実装装置
M5 検査装置(位置ずれ情報取得部)