(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023066495
(43)【公開日】2023-05-16
(54)【発明の名称】住宅設備機器
(51)【国際特許分類】
G06F 12/02 20060101AFI20230509BHJP
G06F 12/00 20060101ALI20230509BHJP
G06F 11/34 20060101ALI20230509BHJP
G06F 11/30 20060101ALI20230509BHJP
【FI】
G06F12/02 510A
G06F12/00 597U
G06F11/34 176
G06F11/30 189
G06F11/30 140D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021177123
(22)【出願日】2021-10-29
(71)【出願人】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100111383
【弁理士】
【氏名又は名称】芝野 正雅
(74)【代理人】
【識別番号】100170922
【弁理士】
【氏名又は名称】大橋 誠
(72)【発明者】
【氏名】藤原 健
【テーマコード(参考)】
5B042
5B160
【Fターム(参考)】
5B042MA08
5B042MA17
5B042MB02
5B042MC38
5B160AA12
(57)【要約】
【課題】記憶部の記憶容量を抑えつつ、各種センサから検出データを継続的に取得し、効果的に記憶部に記憶させることができ得る給湯装置等の住宅設備機器を提供する。
【解決手段】給湯装置1は、各種センサS1~S5と、各種センサS1~S5から出力された検出データを記憶する長期データ記憶部331と、制御部310と、を備える。長期データ記憶部331は、複数の単位記憶領域により構成される。制御部310は、第1周期で検出データを取得し、全ての単位記憶領域のうち記憶が許可された記憶許可領域に記憶させ、長期データ記憶部331に、第1周期で取得した検出データが記憶される記憶許可領域が無い状態において、第1周期を2倍して新たな第1周期に設定し、長期データ記憶部331に記憶されている検出データのうち新たな第1周期に該当しない非該当データが記憶された単位記憶領域を記憶許可領域に設定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
各種センサと、
前記各種センサから出力された検出データを記憶する第1記憶部と、
制御部と、を備え、
前記第1記憶部は、複数の第1単位記憶領域により構成され、
前記制御部は、
第1周期で前記検出データを取得して、全ての前記第1単位記憶領域のうち記憶が許可された記憶許可領域に記憶させ、
前記第1記憶部に、前記第1周期で取得した前記検出データが記憶される前記記憶許可領域が無い状態において、前記第1周期を2以上の自然数倍して新たな前記第1周期に設定し、
前記第1記憶部に記憶されている前記検出データのうち前記新たな第1周期に該当しない非該当データが記憶された前記第1単位記憶領域を前記記憶許可領域に設定する、
ことを特徴とする住宅設備機器。
【請求項2】
前記複数の第1単位記憶領域にはアドレスが付され、
前記アドレスが小さな前記第1単位記憶領域から順に前記検出データが記憶され、
前記制御部は、前記新たな第1周期が設定された場合に、前記非該当データを別のアドレスの前記第1単位記憶領域に移動させない、
ことを特徴とする請求項1に記載の住宅設備機器。
【請求項3】
前記複数の第1単位記憶領域にはアドレスが付与され、
前記アドレスが小さな前記第1単位記憶領域から順に前記検出データが記憶され、
前記制御部は、前記新たな第1周期が設定されると、前記第1記憶部に記憶されている前記検出データのうち前記新たな第1周期に該当する該当データを、前記アドレスを詰めて前記第1単位記憶領域に記憶させ、前記該当データが記憶された前記第1単位記憶領域に続く前記該当データが記憶されていない前記第1単位記憶領域を前記記憶許可領域に設定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の住宅設備機器。
【請求項4】
前記第1記憶部は、不揮発性記憶素子の記憶領域に含まれる、
ことを特徴とする請求項1ないし3の何れか一項に記載の住宅設備機器。
【請求項5】
前記各種センサから出力された検出データを記憶する第2記憶部を、さらに備え、
前記第2記憶部は、複数の第2単位記憶領域により構成され、
前記制御部は、
前記検出データを前記第1周期よりも短い第2周期で前記第2単位記憶領域に記憶させ、
前記第2記憶部に、新たな前記検出データが記憶される前記第2単位記憶領域が無くなると、最も古い前記検出データが記憶された前記第2単位記憶領域に前記新たな検出データを記憶させる、
ことを特徴とする請求項1ないし4の何れか一項に記載の住宅設備機器。
【請求項6】
前記制御部は、前記住宅設備機器にエラーが発生した場合に、前記2記憶部へ前記検出データを記憶させる処理を停止する、
ことを特徴とする請求項5に記載の住宅設備機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給湯装置等の住宅設備機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、給湯器で生成された湯水を、台所の蛇口や、浴槽、カラン等に供給する給湯装置が知られている。給湯器には、温度センサ、流量センサ等の各種センサが配置されている。
【0003】
このような給湯装置において、使用当初から、各種センサから出力される検出データを所定周期で不揮発性記憶素子に記憶しておく仕様が検討されている。これにより、給湯装置が故障した際や新しい機種に取り替えられた際に、不揮発性メモリから検出データを取り出し、各種センサの経年変化を観察することが可能となる。
【0004】
なお、特許文献1には、データをフラッシュメモリに記憶させるデータ保存装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
各種センサの検出データが継続的に不揮発性記憶素子に記憶される期間は、給湯装置に故障が発生するまでの期間や給湯装置が取り替えられるまでの期間であり、一定ではないが、比較的長い期間となることが想定される。よって、検出データを記憶させる周期を短く設定した場合は、期間が長くなることを見込んで、記憶容量の大きな不揮発性記憶素子が必要になってしまう。一方で、検出データを記憶させる周期を長く設定すると、記憶される検出データの個数が少なくなるため、経年変化が分かりづらくなりやすい。
【0007】
かかる課題に鑑み、本発明は、記憶部の記憶容量を抑えつつ、各種センサから検出データを継続的に取得し、効果的に記憶部に記憶させることができ得る住宅設備機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様は、住宅設備機器に関する。本態様に係る住宅設備機器は、各種センサと、前記各種センサから出力された検出データを記憶する第1記憶部と、制御部と、を備える。ここで、前記第1記憶部は、複数の第1単位記憶領域により構成される。前記制御部は、第1周期で前記検出データを取得して、全ての前記第1単位記憶領域のうち記憶が許可された記憶許可領域に記憶させ、前記第1記憶部に、前記第1周期で取得した前記検出データが記憶される前記記憶許可領域が無い状態において、前記第1周期を2以上の自然数倍して新たな前記第1周期に設定し、前記第1記憶部に記憶されている前記検出データのうち前記新たな第1周期に該当しない非該当データが記憶された前記第1単位記憶領域を前記記憶許可領域に設定する。
【0009】
たとえば、前記第1記憶部は、不揮発性記憶素子の記憶領域に含まれ得る。
【0010】
なお、制御部は、記憶順に検出データに付与されて第1周期の変化に応じて間隔が変化する記憶番号など、非該当データを特定するための情報を、検出データに対応付けて第1記憶部に記憶することができる。
【0011】
本態様に係る住宅設備機器によれば、第1記憶部への検出データの保存期間が短くなる場合は、検出間隔の短い検出データを第1記憶部に記憶させることができ、保存期間が長くなった場合も、検出間隔は延びるものの、長い期間に亘る検出データを第1記憶部に記憶させることができる。よって、第1記憶部の記憶容量を抑えつつ、各種センサから検出データを継続的に取得し、効果的に第1記憶部に記憶させることができる。
【0012】
本態様に係る住宅設備機器において、前記複数の第1単位記憶領域にはアドレスが付与され得る。この場合、前記アドレスが小さな前記第1単位記憶領域から順に前記検出データが記憶され得る。そして、前記制御部は、前記新たな第1周期が設定された場合に、前記非該当データを別のアドレスの前記第1単位記憶領域に移動させない。
【0013】
上記の構成によれば、新たな第1周期で検出データを記憶するに当たって、非該当データが別のアドレスの第1単位記憶領域に移動されないので、その分、検出データを記憶させるための制御処理が複雑にならなくて済む。
【0014】
本態様に係る住宅設備機器において、前記複数の第1単位記憶領域にはアドレスが付与され得る。この場合、前記アドレスが小さな前記第1単位記憶領域から順に前記検出データが記憶され得る。そして、前記制御部は、前記新たな第1周期が設定されると、前記第1記憶部に記憶されている前記検出データのうち前記新たな第1周期に該当する該当データを、前記アドレスを詰めて前記第1単位記憶領域に記憶させ、前記該当データが記憶された前記第1単位記憶領域に続く前記該当データが記憶されていない前記第1単位記憶領域を前記記憶許可領域に設定するような構成とされ得る。
【0015】
上記の構成によれば、新しい第1周期に変更された後も、第1記憶部内では、小さいアドレスの第1単位記憶領域から記憶順に検出データが並ぶ状態となる。これにより、第1記憶部からアドレス順に検出データを読み出せば、記憶順の検出データを取得できるので、読み出された検出データを記憶順となるように並び替える作業を行う必要がない。
【0016】
本態様に係る住宅設備機器において、前記各種センサから出力された検出データを記憶する第2記憶部を、さらに備えるような構成が採られ得る。この場合、前記第2記憶部は、複数の第2単位記憶領域により構成され得る。前記制御部は、前記検出データを前記第1周期よりも短い第2周期で前記第2単位記憶領域に記憶させ、前記第2記憶部に、新たな前記検出データが記憶される前記第2単位記憶領域が無くなると、最も古い前記検出データが記憶された前記第2単位記憶領域に前記新たな検出データを記憶させるような構成とされ得る。
【0017】
上記の構成によれば、第1記憶部により長い期間に亘って継続的に検出された検出データを記憶できるだけでなく、第2記憶部により短い期間の細かな検出データを記憶できる。
【0018】
上記の構成とされた場合、さらに、前記制御部は、前記住宅設備機器にエラーが発生した場合に、前記2記憶部へ前記検出データを記憶させる処理を停止するような構成とされ得る。
【0019】
このような構成とされれば、住宅設備機器にエラーが発生した場合に、第2記憶部への検出データの更新が停止する。これにより、第2記憶部に、エラーが発生した時点近くの期間の検出データを残しておくことができ、これらの検出データを住宅設備機器の故障原因の分析等に利用することが可能となる。
【発明の効果】
【0020】
以上のとおり、本発明によれば、記憶部の記憶容量を抑えつつ、各種センサから検出データを継続的に取得し、効果的に記憶部に記憶させることができ得る住宅設備機器を提供できる。
【0021】
本発明の効果ないし意義は、以下に示す実施形態の説明により更に明らかとなろう。ただし、以下に示す実施形態は、あくまでも、本発明を実施化する際の一つの例示であって、本発明は、以下の実施形態に記載されたものに何ら制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、実施形態に係る、給湯装置の構成を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る、長期データ記憶部の構成を示す図である。
【
図3】
図3(a)は、実施形態に係る、初回の検出データの取得と長期データ記憶部への記憶時に制御部が実行する制御処理を示すフローチャートである。
図3(b)は、実施形態に係る、2回目以降の検出データの取得と長期データ記憶部への記憶時に制御部が実行する制御処理を示すフローチャートである。
【
図4】
図4(a)、(b)は、実施形態に係る、各種センサからの検出データが長期データ記憶部に記憶される手順について、具体的に説明するための図である。
【
図5】
図5(a)、(b)は、実施形態に係る、各種センサからの検出データが長期データ記憶部に記憶される手順について、具体的に説明するための図である。
【
図6】
図6(a)、(b)は、変更例1に係る、各種センサからの検出データを長期データ記憶部に記憶するための制御処理について説明するための図である。
【
図7】
図7(a)は、変更例2に係る、不揮発性記憶素子の構成を示す図である。
図7(b)は、変更例2に係る、短期データ記憶部の構成を示す図である。
【
図8】
図8(a)は、変更例2に係る、2回目以降の検出データの取得と短期データ記憶部への記憶時に制御部が実行する制御処理を示すフローチャートである。
図8(b)は、変更例2に係る、短期データ記憶部の全ての単位記憶領域に検出データが記憶された状態を示す図である。
図8(c)は、変更例2に係る、短期データ記憶部において、最新の検出データが最古の検出データに上書きされた状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の住宅設備機器の一実施形態である給湯装置について図面を参照して説明する。
【0024】
【0025】
図1に示すように、給湯装置1は、給湯器10と、リモートコントローラ20とを備える。給湯器10は、ガスを燃料として湯を供給するガス給湯器である。給湯器10は、カラン等に湯を供給する給湯機能、浴槽2に湯を張る湯張り機能、浴槽2内の湯を追い焚きする追い焚き機能などを実行する。リモートコントローラ20は、浴室、キッチンなどに配置され、給湯器10に接続される。リモートコントローラ20は、給湯器10の各機能を実行したり、各機能について種々の設定を行ったりするために用いられる。
【0026】
給湯器10は、筐体100内に、燃焼系として、給湯部210と、追い焚き部220と、バイパス部230と、を備える。
【0027】
給湯部210は、給水管路211と、給湯熱交換器212と、給湯管路213と、給湯燃焼器214と、給気ファン215とを含む。給水管路211は、水道管と給湯熱交換器212とに繋がり、給湯管路213は、給湯熱交換器212と浴室水栓3および外部水栓4とに繋がる。給湯燃焼器214には、比例弁216の開度に応じた量のガス(燃料ガス)が給湯ガス管路217を通じて供給される。図示しないガス電磁弁が開放されると、給湯ガス管路217にガスが供給される。給湯燃焼器214は、ガスを燃料として、ガスの供給量に応じた強さで燃焼する。
【0028】
給気ファン215は、給湯燃焼器214に燃焼用の空気を供給する。給気ファン215には、ファンと、ファンを駆動するモータと、ファンの回転数を検出する回転センサとが含まれる。
【0029】
追い焚き部220は、戻り管路221と、ふろ熱交換器222と、往き管路223と、ふろ燃焼器224と、循環ポンプ225とを含む。戻り管路221は、浴槽2の循環アダプタ2aとふろ熱交換器222とに繋がり、往き管路223は、ふろ熱交換器222と循環アダプタ2aとに繋がる。
【0030】
ふろ燃焼器224には、比例弁226の開度に応じた量のガス(燃料ガス)がふろガス管路227を通じて供給される。図示しないガス電磁弁が開放されると、ふろガス管路227にガスが供給される。ふろ燃焼器224は、ガスを燃料として、ガスの供給量に応じた強さで燃焼する。給気ファン215が給湯部210と追い焚き部220との間で共用され、給気ファン215からふろ燃焼器224に燃焼用の空気が供給される。
【0031】
戻り管路221に、循環ポンプ225および水位センサS1が配置される。水位センサS1は、戻り管路221内の水圧に基づいて浴槽2内の水位を検出する。水位センサS1からは、検出された水圧値に応じた水位信号が、検出データとして出力される。
【0032】
バイパス部230は、バイパス管路231と、給湯電磁弁232とを含む。バイパス管路231は、給湯管路213と戻り管路221とに繋がる。給湯電磁弁232は、バイパス管路231を開閉する。
【0033】
給湯器10には、水位センサS1の他に、給水管路211の流量を検出するための流量センサS2と、給水管路211に導入された水の温度を検出するための温度センサS3と、給湯熱交換器212で加温された後の湯水の温度を検出するための温度センサS4と、雰囲気温度(外気温度)を検出するための温度センサS5とが備えられている。
【0034】
流量センサS2は、検出した流量値に応じた流量信号を、検出データとして出力する。温度センサS3~S5は、たとえば、サーミスタであり、検出した温度値に応じた温度信号を、検出データとして出力する。
【0035】
さらに、給湯器10は、筐体100内に、制御系として、制御部310と、記憶部320と、不揮発性記憶素子330と、通信部340と、を備える。
【0036】
制御部310は、CPU等を含み、記憶部320に記憶された制御プログラムに従って、給湯器10内の各部の制御を行う。記憶部320は、RAM、ROM等を含み、所定の制御プログラムを記憶する。
【0037】
制御部310には、各種センサS1~S5からの検出データが入力される。検出データは、制御部310に備えられた変換回路でアナログ値からデジタル値に変換される。
【0038】
不揮発性記憶素子330は、たとえば、フラッシュメモリである。不揮発性記憶素子330は、その記憶領域に、各種センサS1~S5から出力された検出データの記憶領域である長期データ記憶部331を含む。
【0039】
通信部340は、制御部310からの制御に従って、リモートコントローラ20と通信を行う。
【0040】
制御部310は、給湯部210の給湯燃焼器214、給気ファン215および比例弁216、追い焚き部220のふろ燃焼器224、循環ポンプ225および比例弁226、バイパス部230の給湯電磁弁232などを制御する。
【0041】
浴室水栓3または外部水栓4が開かれると、給湯機能が実行される。水道管からの水が給水管路211を通じて給湯熱交換器212に導入されるとともに、給湯燃焼器214が燃焼して給湯熱交換器212が加熱される。給湯熱交換器212に導入された水が加熱されて湯となり、湯が給湯管路213を通じて浴室水栓3または外部水栓4に供給される。浴室水栓3または外部水栓4が閉じられると、水道管から給水管路211への給水が停止するとともに給湯燃焼器214の燃焼が停止する。
【0042】
また、制御部310は、給湯部210を制御して、湯張り機能を実行する。この場合、給湯電磁弁232が開放されるとともに、水道管からの水が給水管路211を通じて給湯熱交換器212に導入され、給湯熱交換器212で加熱される。そして、給湯熱交換器212からの湯が給湯管路213およびバイパス管路231を通じて戻り管路221に導入される。
【0043】
戻り管路221に導入された湯の一部は、戻り管路221を循環アダプタ2a側へと流れ、循環アダプタ2aから浴槽2内に注がれる。戻り管路221に導入された湯の残りは、戻り管路221をふろ熱交換器222側へと流れ、さらにふろ熱交換器222および往き管路223を流れて循環アダプタ2aから浴槽2内に注がれる。
【0044】
給湯が行われて浴槽2内に湯が溜められると、戻り管路221、ふろ熱交換器222および往き管路223が水で満たされた状態となる。これにより、水位センサS1での浴槽2内の水位検出が可能となる。浴槽2内の水位が予め設定された水位に到達したことが水位センサS1により検出されると、給湯電磁弁232が閉じられ、水道管から給水管路211への給水が停止するとともに給湯燃焼器214の燃焼が停止する。
【0045】
この他、制御部310は、追い焚き部220を制御して、追い焚き機能を実行する。この場合、循環ポンプ225が作動するとともにふろ燃焼器224が燃焼する。浴槽2内の湯が、戻り管路221、ふろ熱交換器222および往き管路223からなる循環路と浴槽2との間で循環し、その間にふろ熱交換器222で加熱される。
【0046】
さて、給湯装置1は、各種センサS1~S5から定期的に検出データを収集して不揮発性記憶素子330の長期データ記憶部331に記憶しておく、データ保管機能を備えている。これにより、給湯装置1が故障した際や新しい機種に取り替えられた際に、不揮発性記憶素子330から検出データを取り出し、各種センサS1~S5の経年変化を観察することが可能となり、給湯装置1の経年劣化の分析が可能となる。
【0047】
データ保管機能において、制御部310は、所定の周期T1で、各種センサS1~S5から検出データを取得し、長期データ記憶部331に記憶させる。後述するように、周期T1は、長期データ記憶部331への検出データの保管期間が長くなるに従って長くなるよう、変更される。周期T1は、2以上の自然数倍されることにより、新しい周期T1に変更される。本実施形態では、周期T1は、日にち単位とされ、最初の周期T1は、たとえば、1日に設定される。最初の周期T1が、1日よりも長い日であってもよい。また、本実施形態では、変更の際、周期T1が2倍になる。
【0048】
図2は、長期データ記憶部331の構成を示す図である。
【0049】
図2に示すように、長期データ記憶部331は、複数の単位記憶領域により構成される。各単位記憶領域には、アドレスが付与されている。1回の周期T1において各種センサS1~S5から取得された検出データ、即ち1回分の検出データが、一つの単位記憶領域に記憶される。よって、単位記憶領域は、1回分の検出データを記憶できる記憶容量を有する。なお、
図2には、長期データ記憶部331が32個の単位記憶領域により構成されている例が示されているが、単位記憶領域の個数は、上記の個数に限られない。
【0050】
各種センサS1~S5から検出データが取得されると、当該検出データに、記憶順番を表す記憶番号が付される。記憶番号は、検出データに対応付けて、長期データ記憶部331に記憶される。記憶番号の番号間隔は、変化する周期T1に依存する。たとえば、周期T1が1日から2倍されて2日に変更されると、番号間隔が1から2に変更され、周期T1が2日から2倍されて4日に変更されると、番号間隔が1から4に変更される。このように番号間隔が変更されることで、記憶番号は、検出データの記憶順を特定する情報としてだけでなく、新しい周期T1に該当する検出データを特定するための情報としても利用される。
【0051】
次に、各種センサS1~S5から検出データを取得し、長期データ記憶部331へ記憶させるために制御部310が実行する制御処理について説明する。
【0052】
図3(a)は、初回の検出データの取得と長期データ記憶部331への記憶時に制御部310が実行する制御処理を示すフローチャートである。
図3(b)は、2回目以降の検出データの取得と長期データ記憶部331への記憶時に制御部310が実行する制御処理を示すフローチャートである。
【0053】
まず、
図3(a)の制御処理が、給湯装置1(給湯器10)に最初に電源が供給されて給湯装置1が起動した際に開始される。このとき、給湯装置1は、何れの機能も実行されていない使用停止状態にある。
【0054】
図3(a)を参照して、制御部310は、長期データ記憶部331において、全ての単位記憶領域のうち検出データの記憶が許可される単位記憶領域を、記憶許可領域として設定する(S101)。ここでは、全ての単位記憶領域が、検出データが記憶されていない空き領域であるため、全ての単位記憶領域が記憶許可領域に設定される。
【0055】
制御部310は、各種センサS1~S5から検出データを取得する(S102)。そして、制御部310は、取得した検出データに最小の記憶番号である「0」の番号を付与し(S103)、当該検出データを最小アドレスである「0」のアドレスの単位記憶領域(記憶許可領域)に記憶させる(S104)。
【0056】
図3(a)の制御処理が終了した後に、
図3(b)の制御処理が開始される。
図3(b)の処理は、繰り返し実行される。
【0057】
図3(b)を参照して、制御部310は、前回の検出データの取得から周期T1が経過したか否かを監視する(S111)。周期T1が経過すると(S111:YES)、制御部310は、各種センサS1~S5から検出データを取得する(S112)。なお、このとき、給湯装置1が、何れかの機能を実行している使用状態にある場合、給湯装置1が使用停止状態となるのを待って検出データの検出が行われる。常に同じ条件の検出データを収集するためである。この場合、周期T1が分レベル等の時間単位で僅かにずれることになるが、各種センサS1~S5の経年変化の観察に問題となることがない。
【0058】
なお、周期T1において、給湯装置1が使用状態にあるときの検出データが取得されるようにしてもよい。この場合、給湯装置1が使用停止状態にある場合、使用状態となるのを待って検出が行われる。
【0059】
次に、制御部310は、取得した検出データに記憶番号を付与する(S113)。たとえば、周期T1が1日である場合は、記憶番号が、1の間隔で「2、3、4…」のように付与されていき、周期T1が2日である場合は、記憶番号が、2の間隔で、「34、36、38…」のように付与されていく。
【0060】
次に、制御部310は、記憶許可領域があるか否かを判定する(S114)。
【0061】
記憶許可領域がある場合(S114:YES)、制御部310は、取得した検出データを、アドレスが最も小さい記憶許可領域に記憶させる(S115)。そして、制御部310は、
図3(b)の制御処理を終了する。当該制御処理が再び開始され、ステップS114で記憶許可領域があると判定される間、ステップS111~S115の処理が繰り返される。
【0062】
たとえば、最初に全ての単位記憶領域が検出データで埋まるまでは、全ての単位記憶領域が検出データで埋まると、記憶許可領域が無くなる。
【0063】
制御部310は、記憶許可領域がない場合(S114:NO)、現在の周期T1を2倍した値を、新たな周期T1に設定する(S116)。次に、制御部310は、新たな周期T1に基づいて、記憶許可領域を設定する(S117)。即ち、制御部310は、長期データ記憶部331に記憶されている検出データのうち新しい周期T1に該当しない検出データ(以下、非該当データと称する)が記憶された単位記憶領域を、新たな記憶許可領域に設定する。この際、制御部310は、新しい周期T1の番号間隔で「0」から記憶番号が振られたときに、その記憶番号に合致する記憶番号が付与された検出データを、新しい周期T1に該当する検出データ(以下、該当データと称する)として特定し、それ以外の検出データを非該当データとして特定する。たとえば、周期T1が1日から2日に変更された場合、最初の日である0日から2日間隔の日に記憶された検出データ、即ち、付与された記憶番号が2の倍数である検出データが、該当データとなり、それ以外の検出データが非該当データとなる。
【0064】
制御部310は、今回取得した検出データを、新たな周期T1に基づいて設定された記憶許可領域のうち、アドレスが最小の記憶許可領域に記憶させる(S115)。そして、制御部310は、
図3(b)の制御処理を終了する。
【0065】
新たな周期T1で制御処理が再び開始され、ステップS114で記憶許可領域があると判定される間、ステップS111~S115の処理が繰り返される。なお、最初に新たな周期T1に変更されて以降は、全ての単位記憶領域が該当データで埋まると、ステップS114で記憶許可領域が無いと判定される。
【0066】
こうして、新たに取得した検出データが長期データ記憶部331に記憶できなくなるたびに、周期T1が2倍となるように変更されて、長期データ記憶部331内の検出データが、新たな周期T1に該当する検出データに更新されていく。よって、検出データの保管期間が相対的に短い場合は、取得間隔が相対的に短い検出データが長期データ記憶部331、即ち不揮発性記憶素子330に残り、検出データの保管期間が相対的に長い場合は、取得間隔が相対的に長い検出データが長期データ記憶部331に残る。
【0067】
図4(a)、(b)と
図5(a)、(b)は、各種センサS1~S5からの検出データが長期データ記憶部331に記憶される手順について、具体的に説明するための図である。
【0068】
まず、
図4(a)に示すように、最初に全ての単位記憶領域が検出データで埋まるまでは、最初の周期T1、即ち1日の周期T1で検出データが取得されて、取得順、即ち記憶順に、1の間隔で記憶番号が付され、小さなアドレスの単位記憶領域から順に記憶される。記憶された検出データには、記憶番号が対応付けられている。
【0069】
1日の周期T1に該当する検出データで全ての単位記憶領域が埋まると、検出された検出データに1の間隔で記憶番号(
図4(b)の記憶番号「32」)が付された後、周期T1が2倍されて、2日の周期T1に変更される。
【0070】
図4(b)に示すように、周期T1が変更される前の最後の検出データ(
図4(b)の記憶番号「32」の検出データ)が、2日の周期T1に該当しない、即ち2の倍数の記憶番号が付されていない検出データが記憶された単位記憶領域のうち、最小のアドレス「1」の単位記憶領域に記憶される。その後、2日の周期T2で取得された検出データには、「34、36…62」のように、記憶番号が2の間隔で付されていく。そして、2の倍数の記憶番号が付されていない検出データが記憶された単位記憶領域に、アドレスの小さい順に、記憶番号に対応付けられて検出データが上書きされる。
【0071】
2日の周期T1に該当する検出データで全ての単位記憶領域が埋まると、検出された検出データに2の間隔で記憶番号(
図5(a)の記憶番号「64」)が付された後、周期T1が2倍されて、4日の周期T1に変更される。
【0072】
図5(a)に示すように、周期T1が変更される前の最後の検出データ(
図5(a)の記憶番号「64」の検出データ)が、4日の周期T1に該当しない、即ち4の倍数の記憶番号が付されていない検出データが記憶された単位記憶領域のうち、最小のアドレス「2」の単位記憶領域に記憶される。その後、4日の周期T2で取得された検出データには、「68、72…124」のように、記憶番号が4の間隔で付されていく。そして、4の倍数の記憶番号が付されていない検出データが記憶された単位記憶領域に、アドレスの小さい順に、記憶番号に対応付けられて検出データが上書きされる。
【0073】
4日の周期T1に該当する検出データで全ての単位記憶領域が埋まると、検出された検出データに4の間隔で記憶番号(
図5(b)の記憶番号「128」)が付された後、周期T1が2倍されて、8日の周期T1に変更される。
【0074】
図5(b)に示すように、周期T1が変更される前の最後の検出データ(
図5(b)の記憶番号「128」の検出データ)が、8日の周期T1に該当しない、即ち8の倍数の記憶番号が付されていない検出データが記憶された単位記憶領域のうち、最小のアドレス「3」の単位記憶領域に記憶される。その後、8日の周期T2で取得された検出データには、「136、144…248」のように、記憶番号が8の間隔で付されていく。そして、8の倍数の記憶番号が付されていない検出データが記憶された単位記憶領域に、アドレスの小さい順に、記憶番号に対応付けられて検出データが上書きされる。
【0075】
以降、同様な記憶手順が繰り返される。
【0076】
給湯装置1の故障時など、長期データ記憶部331に記憶された検出データが必要になった場合に、不揮発性記憶素子330から検出データの読み出しが行われ、給湯装置1に接続されたパーソナルコンピュータ等の外部装置へ送信される。この場合、アドレス順に、検出データが読み出される。このとき、読み出された検出データには、記憶番号が付加される。外部装置では、入力された検出データが、記憶番号を用いて、長期データ記憶部331への記憶順に並び替えられる。
【0077】
<実施形態の効果>
給湯装置1によれば、周期T1で各種センサS1~S5から検出データが取得されて長期データ記憶部331の記憶許可領域に記憶され、当該長期データ記憶部331に、周期T1で取得された検出データが記憶される記憶許可領域が無い状態において、周期T1が2倍されて新たな周期T1に設定され、長期データ記憶部331に記憶されている検出データのうち新たな周期T1に該当しない非該当データが記憶された単位記憶領域が記憶許可領域に設定される。これにより、長期データ記憶部331への検出データの保存期間が短くなる場合は、検出間隔の短い検出データを長期データ記憶部331に記憶させることができ、保存期間が長くなった場合も、検出間隔は延びるものの、長い期間に亘る検出データを長期データ記憶部331に記憶させることができる。
【0078】
よって、長期データ記憶部331の記憶容量を抑えつつ、各種センサS1~S5から検出データを継続的に取得し、効果的に長期データ記憶部331に記憶させることができる。そして、これら検出データを取り出して、各種センサS1~S5、即ち給湯装置1の経年変化の観察に役立させることができる。
【0079】
さらに、給湯装置1によれば、
図4(a)~
図5(b)を用いて説明した通り、複数の単位記憶領域にはアドレスが付与され、アドレスが小さな単位記憶領域から順に検出データが記憶される。そして、新たな周期T1が設定された場合に、非該当データが別のアドレスの単位記憶領域に移動されない。このように、新たな周期T1で検出データを記憶するに当たって、非該当データが別のアドレスの単位記憶領域に移動されないので、その分、検出データを記憶させるための制御処理が複雑にならなくて済む。
【0080】
さらに、給湯装置1によれば、検出データに記憶番号が付与されているので、この記憶番号により、記憶の周期と順番とを知ることが可能となる。よって、外部装置による不揮発性記憶素子330(長期データ記憶部331)からの検出データの吸出し(読み出し)の際に順番を意識しなくてよく、検出データの吸出しを高速化できる。また、給湯装置1側の記憶アルゴリズム仕様が分からなくても検出データの利用が可能となるので、互換性に優れる。
【0081】
以上、本発明の実施形態ついて説明したが、本発明に係る外部設備機器は、上記実施形態の構成に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。
【0082】
<変更例1>
図6(a)、(b)は、変更例1に係る、各種センサS1~S5からの検出データを長期データ記憶部331に記憶するための制御処理について説明するための図である。
【0083】
上記実施形態では、新たな周期T1が設定されると、非該当データが記憶された単位記憶領域に、新たな周期T1で検出データが記憶されることにより、長期データ記憶部331内で、該当データの移動は行われない。よって、新しい周期T1に変更された後は、長期データ記憶部331内で、小さいアドレスの単位記憶領域から記憶番号順に検出データが並ばない。
【0084】
これに対し、変更例1では、新たな周期T1で取得した検出データを記憶する前であって、前回の周期T1で最後に取得した検出データを記憶する前に、該当データを移動させて小さいアドレスの単位記憶領域に詰める、配置の整理が行われる。これにより、新しい周期T1に変更された後も、長期データ記憶部331内で、小さいアドレスの単位記憶領域から記憶番号順に検出データが並ぶようになる。以下、変更例1での記憶手順について、詳細に説明する。
【0085】
図3のステップS116の処理で、新たな周期T1が設定されると、
図6(a)に示すように、制御部310は、長期データ記憶部331に記憶されている検出データのうち、新たな周期T1に該当する該当データを、アドレスを詰めて単位記憶領域(
図6(a)のアドレス0~15)に記憶させ、該当データが記憶された単位記憶領域に続く単位記憶領域(
図6(a)のアドレス16~31)に、非該当データを、記憶番号の小さい順に記憶させる。この際の該当データと非該当データの一時保存に記憶部320のRAMが使用される。そして、
図3のステップS117の処理で、制御部310は、非該当データが記憶された単位記憶領域(
図6(a)のアドレス16~31)、即ち該当データが記憶されていない単位記憶領域を、記憶許可領域に設定する。
【0086】
その後、制御部310は、ステップS115の処理で、新たに設定された記憶許可領域に、前回の周期T1で最後に取得した検出データと新たな周期T1で取得した検出データとを記憶させる。
【0087】
図6(b)に示すように、長期データ記憶部331において、非該当データが記憶された単位記憶領域(
図6(b)のアドレス16~31)、即ち、該当データが記憶されていない単位記憶領域のうち、最小のアドレスの単位記憶領域(
図6(b)のアドレス16)に、前回の周期T1で最後に取得した検出データが上書きされ、その単位領域に続く、非該当データが記憶された単位記憶領域(
図6(b)のアドレス17~31)に、新たな周期T1で取得した検出データが上書きされる。これにより、新しい周期T1に変更された後も、長期データ記憶部331内では、小さいアドレスの単位記憶領域から記憶番号順に検出データが並ぶ状態となる。
【0088】
よって、変更例1の構成によれば、長期データ記憶部331からアドレス順に検出データを読み出せば、記憶順の検出データを取得できるので、検出データが出力されたパーソナルコンピュータ等の外部装置において、検出データを記憶順となるように並び替える作業を行う必要がなくなる。
【0089】
<変更例2>
図7(a)は、変更例2に係る、不揮発性記憶素子330の構成を示す図である。
図7(b)は、変更例2に係る、短期データ記憶部332の構成を示す図である。
【0090】
図7(a)に示すように、変更例2の給湯装置1では、不揮発性記憶素子330が、その記憶領域に、長期データ記憶部331に加えて、各種センサS1~S5から出力された検出データの記憶領域である、複数の短期データ記憶部332を備える。
【0091】
不揮発性記憶素子330は、給湯装置1においてエラーが発生した場合に、エラーの種類を示すエラーコードが記憶されるエラーコード記憶部333を含んでいる、エラーコード記憶部333には、所定の数、たとえば、10個のエラーコードを記憶できる。短期データ記憶部332の個数は、エラーコード記憶部333に記憶できるエラーの個数より1つ多くされる。
【0092】
図7(b)に示すように、各短期データ記憶部332は、長期データ記憶部331と同様な構成を有し、アドレスが付与された複数の単位記憶領域により構成される。各種センサS1~S5から検出データが取得されると、当該検出データに、記憶順番を表す記憶番号が付与される。記憶番号は、検出データに対応付けて、短期データ記憶部332に記憶される。短期データ記憶部332の単位記憶領域の個数、即ち記憶容量は、長期データ記憶部331の単位記憶領域の個数、即ち記憶容量よりも少なくできる。あるいは、長期データ記憶部331と短期データ記憶部332の単位記憶領域の個数が同じにされてもよい。
【0093】
各短期データ記憶部332に記憶された検出データは、給湯装置1に故障等のエラーが生じた際に、そのエラーの原因の分析などに用いられる。制御部310は、後述する制御処理により、所定の周期T2で、各種センサS1~S5から検出データを取得し、一つの短期データ記憶部332の各単位記憶領域に記憶させる。周期T2は、たとえば、100ms程度の値であり、検出データが長期データ記憶部331に記憶されるときの周期T1よりも大幅に短い。
【0094】
図8(a)は、変更例2に係る、2回目以降の検出データの取得と短期データ記憶部332への記憶時に制御部310が実行する制御処理を示すフローチャートである。
【0095】
初回の検出データの取得と短期データ記憶部332への記憶時には、制御部310により、
図3(a)の制御処理と同様な制御処理が実行される。短期データ記憶部332において、各種センサS1~S5からの検出データに最小の記憶番号である「0」の番号が付与され、当該検出データが最小アドレスである「0」のアドレスの単位記憶領域に記憶される。
【0096】
次に、
図8(a)の制御処理が開始される。
図8(a)の処理は、繰り返し実行される。
【0097】
制御部310は、前回の検出データの取得から周期T2が経過すると(S201:YES)、各種センサS1~S5から検出データを取得する(S202)。そして、制御部310は、取得した検出データに記憶番号を付与する(S203)。
【0098】
次に、制御部310は、短期データ記憶部332内に、空き容量、即ち、検出データが記憶されていない空きの単位記憶領域があるか否かを判定する(S204)。空きの単位記憶領域がある場合(S204:YES)、制御部310は、アドレスが最も小さい空きの単位記憶領域に検出データを記憶させる(S205)。
【0099】
S201~S205の処理が繰り返され、
図8(b)に示すように、短期データ記憶部332の全ての単位記憶領域が検出データで埋まる。
【0100】
制御部310は、ステップS204において、短期データ記憶部332内に空き容量が無いと判定すると(S204:NO)、最も古い検出データが記憶された単位記憶領域に、新たに取得した検出データを記憶させる(S206)。
図8(c)に示すように、最新の検出データが最古の検出データに上書きされる。
【0101】
給湯装置1にエラーが発生すると、制御部310は、現在、検出データを記憶させている短期データ記憶部332に対して、
図8(a)の制御処理、即ち、検出データを記憶させる処理を停止する。これにより、エラーが発生した時点近い期間の検出データが短期データ記憶部332に確保される。当該エラーのエラーコードが、当該短期データ記憶部332を識別する識別情報に対応付けられて、エラーコード記憶部333に記憶される。
【0102】
その後、制御部310は、未だ検出データが記憶されていな短期データ記憶部332に対して、
図8(a)の制御処理を開始し、当該短期データ記憶部332に、周期T2で取得した検出データを記憶させる。
【0103】
エラーの分析等が行われる場合には、当該エラーのエラーコードに対応付けられた短期データ記憶部332から検出データが読み出され、パーソナルコンピュータ等の外部装置に出力される。
【0104】
エラーコード記憶部333に、最大数のエラーコードが記憶されている状態では、それらエラーコードに対応付けられた短期データ記憶部332に、既に検出データの記憶が完了しているため、最後の1つの短期データ記憶部332に、
図8(a)の制御処理によって検出データが記憶されていることになる。
【0105】
エラーコード記憶部333では、最大数のエラーコードが記憶されている状態で、新たなエラーが発生した場合、最も古いエラーコードが消去されて新たなエラーコードが記憶される。最後の1つの短期データ記憶部332への検出データの記憶が停止され、当該短期データ記憶部332の識別情報が、エラーコード記憶部333において新たなエラーコードに対応付けられる。エラーコード記憶部333から消去されたエラーコードに対応付けられた識別情報の短期データ記憶部332から全ての検出データが消去され、当該短期データ記憶部332が、次の
図8(a)の制御処理による検出データの記憶に使用される。
【0106】
変更例2の構成によれば、長期データ記憶部331により長い期間に亘って継続的に検出された検出データを記憶できるだけでなく、短期データ記憶部332により短い期間の細かな検出データを記憶できる。
【0107】
さらに、給湯装置1にエラーが発生した場合に、短期データ記憶部332へ検出データの記憶させる処理が停止して、短期データ記憶部332への検出データの更新が停止する。これにより、短期データ記憶部332に、エラーが発生した時点近くの期間の検出データを残しておくことができ、これらの検出データを給湯装置1の故障原因の分析等に利用することが可能となる。
【0108】
<その他の変更例>
上記実施形態では、長期データ記憶部331に、新たな検出データが記憶される単位記憶領域が無くなると、周期T1が2倍されて新たな周期T1に設定される。しかしながら、周期T1が3倍、4倍、5倍等、2倍以外の2以上の自然数倍にされて新たな周期T1に設定されるようにしてもよい。なお、上記自然数倍は、2倍、4倍、8倍など、2の乗数倍であることが望ましい。
【0109】
さらに、上記実施形態において、各種センサS1~S5からの検出データとともに、検出したときの給湯装置1の使用状態(使用中、非使用中)が長期データ記憶部331に記憶されるようにしてもよい。この場合、周期T1が経過すると、給湯装置1の使用状態によらず、検出データが取得される。
【0110】
さらに、上記実施形態では、長期データ記憶部331の単位記憶領域に記憶された検出データに記憶番号が付される。しかしながら、記憶番号に替えて、検出データが記憶された日付や日時の情報が付されてもよい。同様に、上記変更例2の短期データ記憶部332の単位記憶領域に記憶された検出データに、記憶番号に替えて、検出データが記憶された日付や日時の情報が付されてもよい。
【0111】
さらに、上記実施形態および上記変更例1では、長期データ記憶部331において、新たな周期T1に該当しない非該当データは、新たな周期T1で取得された検出データにより上書きされる。しかしながら、非該当データは、新たな周期T1で検出データが取得されて記憶される前に消去されるようにしてもよい。この場合、全ての非該当データが一度期に消去されてもよい。
【0112】
さらに、上記実施形態において、水位センサS1、流量センサS2および温度センサS3~S5以外の各種センサからの検出データが長期データ記憶部331に記憶されてもよい。たとえば、比例弁216、226の開度を検出する開度センサからの開度値に応じた開度信号や給気ファン215の回転数センサからのファンの回転数に応じた回転数信号が、検出データとして制御部310に取得され、長期データ記憶部331に記憶されてもよい。
【0113】
さらに、上記実施形態において、給湯装置1が、外部通信網を介してサーバに通信可能に接続され、サーバからの要求により、不揮発性記憶素子330、即ち長期データ記憶部331から検出データが読み出されて、サーバへ送信されるようにしてもよい。同様に、上記変更例2の短期データ記憶部332の検出データが、サーバへ送信されてもよい。サーバは、給湯装置1が、携帯電話機等の携帯端末装置から遠隔制御できる機能を有する場合に、遠隔制御を管理するサーバとすることができる。
【0114】
さらに、上記変更例2では、短期データ記憶部332において、最古の検出データが、当該検出データが記憶されている単位記憶領域への新たな検出データの上書きにより消去される。しかしながら、アドレスが「2」以下の全ての単位記憶領域に記憶された検出データがアドレス「0」側にシフトされて記憶されることによる、アドレスが「2」の単位記憶領域に記憶された検出データの上書きにより、アドレスが「0」の単位記憶領域に記憶された最古の検出データが消去されてもよい。最新の検出データは、空きの単位記憶領域となった最後のアドレスの単位記憶領域に記憶される。この場合、短期データ記憶部332内では、常に、小さいアドレスから記憶順に検出データが並ぶので、検出データに付与される記憶番号は不要となる。
【0115】
さらに、上記変更例2では、複数の短期データ記憶部332が、不揮発性記憶素子330に備えられる。しかしながら、短期データ記憶部332は、1つでもよい。この場合に、エラーが発生する度に短期データ記憶部332から検出データが移動され、エラーコードに対応付けて記憶される記憶部が、エラーコード記憶部333に記憶可能なエラーコードの個数と同じ個数だけ不揮発性記憶素子330に備えられるとよい。1つの短期データ記憶部332は、不揮発性記憶素子330でなく、記憶部320のRAMに備えられてもよい。
【0116】
さらに、給湯器10の構成は、
図1に示した構成に限られるものではなく、他の構成であってもよい。たとえば、
図1の構成では、浴槽2内の湯をふろ熱交換器222に循環させることによって、浴槽2内の湯に対する追い焚きが行われたが、給湯器10が、高温の湯を浴槽2に追加することにより追い焚き機能が実行されてもよい。また、給湯器10は、追い焚き部220とバイパス部230とを有さず、給湯機能のみを行う構成とされてもよい。さらに、給湯器10は、
図1の構成に加え、床暖房、浴室暖房等の暖房機能のために給湯運転を行う暖房部を備える構成とされてもよい。
【0117】
さらに、給湯装置1は、ガス燃料を用いるものに限らず、オイルを燃料とする給湯装置であってもよい。給湯装置1は、貯留タンクを用いた貯留式のものであってもよく、燃料電池等の発電ユニットをさらに備えた構成であってもよい。
【0118】
さらに、本発明は、給湯装置1以外の各種センサを有する住宅設備機器に適用できる。このような住宅設備機器として、給湯装置1の他、たとえば、ガスファンヒータ、ガスコンロ、エアコン等を挙げることができる。
【0119】
この他、本発明の実施形態は、特許請求の範囲に記載の範囲で適宜種々の変更可能である。
【符号の説明】
【0120】
1 給湯装置
310 制御部
330 不揮発性記憶素子
331 長期データ記憶部(第1記憶部)
332 短期データ記憶部(第2記憶部)
S1~S5 各種センサ
T1 周期(第1周期)
T2 周期(第2周期)