(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023066586
(43)【公開日】2023-05-16
(54)【発明の名称】緩み止め構造
(51)【国際特許分類】
F16B 39/24 20060101AFI20230509BHJP
F16B 43/00 20060101ALI20230509BHJP
F16B 5/02 20060101ALI20230509BHJP
E04B 1/26 20060101ALI20230509BHJP
E04B 1/58 20060101ALI20230509BHJP
【FI】
F16B39/24 A
F16B43/00 A
F16B5/02 Y
E04B1/26 E
E04B1/58 510C
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021177260
(22)【出願日】2021-10-29
(71)【出願人】
【識別番号】390029089
【氏名又は名称】高周波熱錬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100127513
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100158665
【弁理士】
【氏名又は名称】奥井 正樹
(74)【代理人】
【識別番号】100206829
【弁理士】
【氏名又は名称】相田 悟
(72)【発明者】
【氏名】小松崎 勲
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 寿生
【テーマコード(参考)】
2E125
3J001
3J034
【Fターム(参考)】
2E125AA18
2E125AA42
2E125AB12
2E125AC01
2E125AC23
2E125AG11
2E125BA02
2E125BB08
2E125CA05
3J001FA02
3J001HA02
3J001HA07
3J001HA09
3J001JA10
3J001KA18
3J001KB04
3J034AA07
3J034BA08
3J034CA03
(57)【要約】
【課題】ナットとネジ付き鋼棒による定着部の緩み止めを確実にできる緩み止め構造を提供する。
【解決手段】ナット1、ナット1と螺着するネジ付き鋼棒2、径大部4Aが、ナット1の下面に接して配置されネジ付き鋼棒2が中央部を貫通すると共に、径小部4Bが、径大部4Aから下方に延在してネジ付き鋼棒2を取り囲む内ガイド3、内ガイド3の下部に配置されネジ付き鋼棒2及び内ガイド3が貫通するアンカープレート5、アンカープレート5から上方に立設してネジ付き鋼棒2及び内ガイド3を取り囲む外ガイド6、ネジ付き鋼棒2及び内ガイド3が中央部を貫通し内ガイド3と外ガイド6の間に嵌め込まれた皿バネ群7を備えた緩み止め構造。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナット、前記ナットと螺着するネジ付き鋼棒、径大部が、前記ナットの下面に接して配置され前記ネジ付き鋼棒が中央部を貫通すると共に、径小部が、径大部から下方に延在して前記ネジ付き鋼棒を取り囲む内ガイド、前記内ガイドの下部に配置され前記ネジ付き鋼棒及び内ガイドが貫通するアンカープレート、前記アンカープレートから上方に立設して前記ネジ付き鋼棒及び内ガイドを取り囲む外ガイド、前記ネジ付き鋼棒及び内ガイドが中央部を貫通し前記内ガイドと前記外ガイドの間に嵌め込まれた皿バネ群を備えた緩み止め構造。
【請求項2】
前記内ガイドの径大部は、上面が前記ナットの下面に接し、下面が前記皿バネ群の上面に接し、前記皿バネ群の圧縮時に、前記皿バネ群の上面と接する下面の外周部が前記外ガイドの上面と接触することで前記皿バネ群の破損を防止する請求項1に記載の緩み止め構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネジ付き鋼棒とナットによる定着部の緩み止め構造に関する。
【背景技術】
【0002】
木造建築物、電力幹線の接続部などにおいて、皿バネを用いて、ナットとボルト(ネジ)による定着部の緩め止めを行うことは公知である(特許文献1及び2参照)。
【0003】
特許文献1には、「座金本体に設けられたボルト貫通孔の軸方向に伸縮するバネ部材が前記座金本体に配設され、前記座金本体からの前記バネ部材の脱落を防止する脱落防止手段によって前記バネ部材と前記座金本体とが一体化されていることを特徴とする座金。」(請求項1)が記載されている。
また、「このように構成された本発明は、座金本体11aに設けられたボルト貫通孔11bの軸方向に伸縮する板バネ12e、12b・・・をボルト貫通孔11bの上部開口端とその周辺の座金本体11aの上面に跨って配設し、座金本体11aからボルト貫通孔11bの軸方向に沿って立ち上がると共に板バネ12e、12b・・・の周縁を囲う枠体12dを座金本体11aに固定する。そして、枠体12dの先端部124bに引掛部124aが備えられることにより断面形状が鉤状を呈する枠体12dによって板バネ12e、12b・・・を枠体12d内に保持することにより、座金本体11aと板バネ12e、12b・・・とを一体化するので、接合に用いる部品点数を少なくすることができる。」(段落[0058])、「本発明は、基礎20から突設したアンカーボルト13を、建物ユニット30の壁パネル31が備える木質材の土台33に設けたボルト挿通孔33aと座金本体11aのボルト貫通孔11bと各板バネ12e、12bのボルト貫通孔126、127とに挿通し、この土台33側のボルト13が突出している部分(ボルト挿通孔33aの周囲)に座金11を添設させた状態で、ボルト13にナット14を螺着することにより、木質材からなる土台33が木痩せしても、ナット14と座金本体11aとの間に介在する複数の板バネ12e、12b、・・・がその木痩せに追従するように復元してナットと座金の間に延在するので、木痩せによる接合の緩みを防止することができる。」(段落[0063])と記載されている。
【0004】
特許文献2には、「請求項1又は2に記載のナットと、被締結部材に貫通されるボルトと、内径が前記テーパー部先端の外径より大きく、かつ前記大径部より小径な孔を有する板状の締め付け部材と、前記スリーブ状ナット部の大径端部より大径な孔を有し、かつ前記ボルトの軸方向に作用する弾性金属からなるばねとを備え、前記スリーブ状ナット部が前記締め付け部材の孔と前記ばねの孔へ案内され、かつ、前記締め付け部材の孔の内周部が前記テーパー部へ接触する状態で、前記スリーブ状ナット部側から前記ナットを前記ボルトにねじ締めることを特徴とする、緩み止めねじ締め金具。」(請求項3)が記載されている。
また、「5はナット1と同じ材質の平座金であり、後述のように被締結部材7,70の締結部分に、ばね4,締め付け部材3,スペーサリング2などをセットする場合の便宜のため、外周には立ち壁50が形成してある。」(段落[0018])、「
図1のように、被締結部材7,70の重ね部へ、頭部61側に座金62を介して軸60の長さ60mm,ねじピッチ1.5mmのボルト6を貫通させ、軸60が突出した側の面に、平座金5、ばね4、締め付け部材3、スペーサリング2を順にセットする。次いで、ボルト6の軸60へスリーブ状ナット部11の側から、ナット10を、
図2のように皿状のばね4が平たく変形し、スペーサリング2が鍔状ナット部10の下面に圧接して回らなくなるまで(限界まで)ねじ締めた。」(段落[0020])と記載されている。
【0005】
また、建物の制振構造において、高力ボルトによる接合部に複数の皿バネを用いることが公知である(特許文献3参照)。
【0006】
特許文献3には、「高力ボルトにより接合される建物の接合部において、接合される2つの部材のうち一方の部材に滑り板を設けるとともに、他方に該滑り板に摺動自在に重ね合わされる摩擦板を設け、該滑り板と摩擦板との重合部にはこれらを互いに圧接する方向に押圧する付勢手段を設けて摩擦ダンパを構成し、該付勢手段には、設定圧接力が加えられて撓み変動量に対する弾発力の変動が小さい非線形ばね領域内でたわみ変形される皿ばねを用い、かつ前記摩擦ダンパの摩擦板と滑り板との接触面には摩擦材を介在させたことを特徴とする建物の制振構造。」(請求項1)が記載されている。
また、「・・・皿ばね組28aはボルト頭部32a側に配置されたワッシャ34及びカラー35aと、摩擦板22側に配置されたカラー35bとの間に挟まれるようにして、高力ボルト32が挿通され、かつ、皿ばね組28aの内周には高力ボルト32との同心性を保つためにガイド環38が嵌挿される。また、ナット36側にもワッシャ34が配置され、この状態で高力ボルト32、ナット36を締め付けることにより、この締め付け力によって皿ばね組28aに最適な予圧力(設定圧接力)を付加できるようになっている。そして、この締め付けにより発生する皿ばね組28aの弾発力が、高力ボルト32の軸力として摩擦板22と滑り板24との間に作用して、これら両者間に介在される摩擦材37を挟圧しつつ所定の摩擦力を発生させるようになっている。なお、
図6(b)に示すように、ガイド環38はワッシャ34と一体形成するようにしても良い。」(段落[0061])と記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007-308946号公報
【特許文献2】特開平7-151129号公報
【特許文献3】特開2000-34847号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
皿バネを用いて、ナットとボルト(ネジ付き鋼棒)による定着部の緩め止めを行う技術は公知である(特許文献1及び2参照)が、複数の皿バネを用いた場合、特に皿バネの枚数が多くなると、外ガイド(特許文献1に記載された周縁を囲う枠体、特許文献2に記載された外周の立ち壁)のみでは、複数の皿バネの径方向の位置がバラついて、皿バネの反発力でナットを押し上げて緩み止めをすることが難しいという問題があった。
特許文献3に示された技術は、皿バネを用いているが、皿バネにより、ナットとボルトによる定着部の緩み止めを行うものではない。
【0009】
本発明は、ナットとネジ付き鋼棒による定着部の緩み止めを確実にできる緩み止め構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するために、本発明は、以下の手段を採用する。
(1)ナット、前記ナットと螺着するネジ付き鋼棒、径大部が、前記ナットの下面に接して配置され前記ネジ付き鋼棒が中央部を貫通すると共に、径小部が、径大部から下方に延在して前記ネジ付き鋼棒を取り囲む内ガイド、前記内ガイドの下部に配置され前記ネジ付き鋼棒及び内ガイドが貫通するアンカープレート、前記アンカープレートから上方に立設して前記ネジ付き鋼棒及び内ガイドを取り囲む外ガイド、前記ネジ付き鋼棒及び内ガイドが中央部を貫通し前記内ガイドと前記外ガイドの間に嵌め込まれた皿バネ群を備えた緩み止め構造。
(2)前記径大部は、上面が前記ナットの下面に接し、下面が前記皿バネ群の上面に接し、前記皿バネ群の圧縮時に、前記皿バネ群の上面と接する下面の外周部が前記外ガイドの上面と接触することで前記皿バネ群の破損を防止する請求項1に記載の緩み止め構造。
【発明の効果】
【0011】
本発明においては、内ガイドと外ガイドの間に嵌め込まれた皿バネ群を備えた緩め止め構造とすることにより、木造建築物の木痩せ等が発生しても、それに追従するように皿バネが復元して、複数の皿バネの径方向の位置がバラつくのを抑制して、ナットとアンカープレートの間に延在するので、ナットとネジ付き鋼棒による定着部の緩み止めを確実にできるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る緩み止め構造を示す断面図である。
【
図2】
図2は、本発明の一実施形態に係る緩み止め構造を示す外観写真であり、(a)はナット1側から見た斜視外観写真、(b)はアンカープレート(アンカー)5側から見た斜視外観写真である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の一実施形態(以下、「本実施形態」という。)を、
図1を用いて説明する。
【0014】
図1に示すように、本実施形態は、ナット1、ナット1と螺着するネジ付き鋼棒2、径大部4Aが、ナット1の下面に接して配置されネジ付き鋼棒2が中央部を貫通すると共に、径小部4Bが、径大部4Aから下方に延在してネジ付き鋼棒2を取り囲む内ガイド3、内ガイド3の下部に配置されネジ付き鋼棒2及び内ガイド3が貫通するアンカープレート5、アンカープレート5から上方に立設してネジ付き鋼棒2及び内ガイド3を取り囲む外ガイド6、ネジ付き鋼棒2及び内ガイド3が中央部を貫通し内ガイド3と外ガイド6の間に嵌め込まれた皿バネ群7(複数の皿バネ)を備えた緩み止め構造である。
【0015】
(ナット1)
図2に示されているように、ナット1は、六角ナットを用いることができる。
ナット1の寸法は、適宜設定することができるが、本実施形態においては、対角距離が53mm、高さが55mmである。
材質は、S45C(JIS G 4051:炭素含有量が0.42から0.48質量%の機械構造用炭素鋼鋼材)引抜材またはこれに相当するものを用いることができる。
なお、ナット1の内面には、後述するネジ付き鋼棒2の外面(ネジ部)と螺着するネジ部が設けられている。
【0016】
(ネジ付き鋼棒2)
本実施形態において、ネジ付き鋼棒2は、熱間圧延で全長にネジ状のふしを成形した鋼棒を高周波熱処理した、JIS G 3109の異形鋼棒に規定される総ネジPC鋼棒である。このネジ付き鋼棒は、全長がネジ形状であるため施工現場で必要な長さに切断して使用でき、コンクリートとの付着強度が優れているという特徴がある。これ以外に、木造建築物などに通常用いられている種々のネジ付き鋼棒(ボルト)を用いることもできる。
ネジ付き鋼棒2の不純物は、JIS G 3109(PC鋼棒)に規定された、Pが0.030質量%以下、Sが0.035質量%以下、Cuが0.30質量%以下の範囲内とすることができる。
ネジ付き鋼棒2の寸法は、適宜設定することができるが、本実施形態においては、直径(外径)が25mmである。なお、ネジ付き鋼棒2の長軸方向の長さは用途に応じて適宜設定することができるが、ナット1、内ガイド3、アンカープレート5を貫通し、かつ、ナット1から外側に突出すると共に、内ガイド3からも外側に突出する長さを有している。
ネジ付き鋼棒2の特性について、耐力は、930N/mm2以上のもの、若しくは、1080N/mm2以上のものを用いることができる。引張強さは、1080N/mm2以上のもの、若しくは、1230N/mm2以上のものを用いることができる。伸びは、5%以上のものを用いることができる。最大引張荷重は、直径に応じて、411kN以上から1253kN以上のものを用いることができる。
【0017】
(内ガイド3)
内ガイド3は、ナット1の下面に接して配置されネジ付き鋼棒2が中央部を貫通すると共に、下方に延在してネジ付き鋼棒2を取り囲む管状体を用いることができる。
内ガイド3は、詳しくは、径大部4Aと、径小部4Bを備える。
内ガイド3の寸法は、適宜設定することができるが、本実施形態においては、径大部4Aの外径が90mm、内径が26mm、厚さが14mmであり、径小部4Bの外径が32mm、内径が26mm、長さが280mmである。
材質は、SPCC(JIS G 3141:炭素量が0.15質量%以下の冷間圧延鋼板)またはSS400(JIS G 3101:Pが0.05質量%以下、Sが0.05質量%以下の熱間圧延構造用鋼)のものを用いることができる。なお、表面がユニクロメッキ(電気亜鉛メッキされた材料に対してフッ化物を含んだ溶液でクロメート処理)がされていてもよい。
【0018】
(アンカープレート5)
アンカープレート5は、内ガイド3の下部に配置されネジ付き鋼棒2及び内ガイド3が貫通する貫通孔5aが設けられた四角形のプレートを用いることができる。
アンカープレート5の寸法は、適宜設定することができるが、本実施形態においては、二面幅が120mm、厚さが25mm、貫通孔5aの孔径(内径)が33mmである。
材質は、S400以上またはこれに相当するものを用いることができる。
【0019】
(外ガイド6)
外ガイド6は、アンカープレート5から上方に立設している管状体であり、ネジ付き鋼棒2及び内ガイド3を取り囲んでいる。本実施形態では、アンカープレート5と外ガイド6は、溶接で接合されている。なお、アンカープレート5と外ガイド6を一体成形としてもよい。
外ガイド6の寸法は、適宜設定することができるが、本実施形態においては、外径が95mm、内径が75mm、厚さが10mm、長さが130mmである。
材質は、STKM(JIS G 3445:機械構造用炭素鋼鋼管)のものを用いることができる。ユニクロメッキがされていてもよい。
【0020】
(皿バネ群7)
皿バネ群(複数の皿バネ)7は、ネジ付き鋼棒2及び内ガイド3が貫通する貫通孔7aを中央部に設けた皿状のバネが複数積層されたものであり、かつ、内ガイド3と外ガイド6の間に嵌め込まれるものであり、寸法は適宜設定される。本実施形態においては、外径が71mm、内径が36mm、厚さが4mm、たわみが1.6mmである。
材質は、NiメッキしたSUS等を用いることができる。
皿バネ群7の枚数は、木造建築物の土台などの厚さに合わせて適宜設定される。
【0021】
皿バネ群7の積層状態については、
図1に示されるように、2枚を抱き合わせ状態とし、抱き合わせ状態の皿バネ組を複数設けることができる。又は、複数枚を笠状に積層し、笠状に積層した皿バネ組を抱き合わせ状態としてもよい。皿バネの積層状態を変えることにより、複数の皿バネを組み合わせた全体の許容たわみ量を変化させることができる。
【0022】
(緩み止め構造の組み立て)
緩み止め構造の組み立ては、例えば、次のように行う。
外ガイド6を立設したアンカープレート5の当該外ガイド6の内面に、皿バネを複数枚入れて積み重ねて皿バネ群7とした後、内ガイド3の径小部4Bを、皿バネ群7の中央部の貫通孔7a、アンカープレート5の貫通孔5aに貫通させ、内ガイド3の径小部4Bと外ガイド6の間に複数枚の皿バネ(皿バネ群)7を嵌め込む。
【0023】
次に、ネジ付き鋼棒2を、内ガイド3の貫通孔3a、アンカープレート5の貫通孔5a(内ガイド3の径小部4Bが貫通)に貫通させ、ネジ付き鋼棒2の上部にナット1を螺着すれば、緩み止め構造が完成する。
上記のように、本実施形態によれば、簡便に、緩み止め構造を組み立てることができる。
【0024】
本実施形態に係る緩め止め構造を、木造建築物の接合に適用する場合について説明する。
ここで、木造建築物とは、建築物の躯体のうち少なくとも1つの構造体、例えば、コンクリートからなる基礎の上の土台が木質材からなる建築物のことをいう。
【0025】
本実施形態に係る緩め止め構造を、木造建築物の接合に適用する場合、基礎から突設したネジ付き鋼棒2を、建物ユニットの壁パネルが備える木質材の土台に設けたネジ付き鋼棒2の挿通孔(図示なし)と、アンカープレート5の下部から内ガイド3の貫通孔3aとに挿通し、この土台側のネジ付き鋼棒2の挿通孔(内ガイド3が貫通)の周囲にアンカープレート5を接触させた状態で、ネジ付き鋼棒2の上部にナット1を螺着する。これにより、木質材からなる土台が木痩せしても、ナット1の下面に接する内ガイド3の径大部4Aとアンカープレート5との間に位置する内ガイド3の径小部4Bと外ガイド6の間に嵌め込まれた皿バネ群7がその木痩せに追従するように復元して、内ガイド3の径大部4Aとアンカープレート5の間に延在する。その際に、皿バネ群7は、内ガイド3の径小部4Bと外ガイド6の間に嵌め込まれているので、その位置がネジ付き鋼棒2の径方向にずれることなく復元し、ナット1とネジ付き鋼棒2による定着部の緩みを確実に防止することができる。
【0026】
図1及び
図2に示すように、前記内ガイド3は、上面がナット1の下面に接し、下面が皿バネ群7の上面に接し、かつ、ネジ付き鋼棒2が中央部を貫通する径大部4Aと、径大部4Aに一体化して配置されネジ付き鋼棒2が中央部を貫通すると共に、下方に延在してネジ付き鋼棒2を取り囲み、アンカープレート5を貫通し、外ガイド6に取り囲まれ、皿バネ群7の中央部を貫通し皿バネ群7を外ガイド6との間に嵌め込む径小部4Bとを備え、径大部4Aは、皿バネ群7の圧縮時に、皿バネ群7の上面と接する下面の外周部が外ガイド6の上面と接することで皿バネ群7の破損を防止することが好ましい。
このような内ガイド3を用いることで、部品点数少なく、皿バネ群7の圧縮による破損を防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0027】
本発明に係る緩み止め構造は、ナット1とネジ付き鋼棒2による定着部の緩みを確実に防止することができるので、木造建築物などの定着部に使用するのに好適である。
【符号の説明】
【0028】
1:ナット
2:ネジ付き鋼棒
3:内ガイド
3a:内ガイド3に設けたネジ付き鋼棒の貫通孔
4A:径大部
4B:径小部
5:アンカープレート
5a:アンカープレート5に設けた内ガイド4の貫通孔
6:外ガイド
7:皿バネ群
7a:皿バネ7に設けた内ガイド4の貫通孔