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特開2023-66608建物のゲート管理システム、ゲート管理方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023066608
(43)【公開日】2023-05-16
(54)【発明の名称】建物のゲート管理システム、ゲート管理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   E05B 49/00 20060101AFI20230509BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20230509BHJP
   G07C 9/27 20200101ALI20230509BHJP
   G07C 9/29 20200101ALI20230509BHJP
【FI】
E05B49/00 J
G06Q50/10
G07C9/27
G07C9/29
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021177289
(22)【出願日】2021-10-29
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ブルートゥース
(71)【出願人】
【識別番号】390037028
【氏名又は名称】美和ロック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080838
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 光康
(74)【代理人】
【識別番号】100194261
【弁理士】
【氏名又は名称】栢原 崇行
(72)【発明者】
【氏名】木下 琢生
(72)【発明者】
【氏名】岩田 圭司
(72)【発明者】
【氏名】宮本 敦
【テーマコード(参考)】
2E250
3E138
5L049
【Fターム(参考)】
2E250AA02
2E250AA03
2E250AA04
2E250AA05
2E250AA06
2E250BB08
2E250BB47
2E250DD02
2E250FF27
2E250FF36
3E138AA01
3E138JA01
3E138JB14
3E138JC05
3E138JC14
5L049CC29
(57)【要約】      (修正有)
【課題】携帯端末の遠隔操作の正当性の判断を容易とし、端末同士のブラックリストの認証を不要とし、通信端末と認証システムの負担を少なくする。
【解決手段】ゲート管理システムは、ゲート2開閉用のキーアカウントAを記録する通信端末4と、キーアカウントAと登録済み鍵情報Rとを照合してゲート2のロック装置3を作動させる認証システム5と、通信端末4及び認証システム5がそれぞれ接続するネットワーク6と、ネットワーク6を介して認証システム5に接続すると共にキーアカウントAを管理するサーバー7とから成る。認証システム5は、登録済み鍵情報Rを変更、使用禁止、抹消のいずれか一つの状態にすることができ、登録済み鍵情報Rが利用できない状態になった場合、通信端末4が記録しているキーアカウントAの利用不可情報の制御信号をサーバー7に送信し、サーバー7は利用不可情報を記憶部に記録する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
セキュリティーゾーンに設けられたゲート開閉用のキーアカウントを記録する通信端末と、前記キーアカウントと登録済み鍵情報とを照合し、その照合の判定結果が正当である場合にはゲート用のロック装置を作動させる認証システムと、前記通信端末及び認証システムがそれぞれ接続するネットワークと、前記ネットワークを介して前記認証システムに接続すると共に、前記キーアカウントを管理するサーバーとから成る建物のゲート管理システムであって、
前記認証システムは、前記登録済み鍵情報を、変更、使用禁止、抹消のいずれか一つの状態にすることができる指令信号を送信する外部機器又は指令操作部のいずれかを含み、
前記指令信号により、前記登録済み鍵情報が利用できない状態になった場合、該利用できない状態を条件として、前記通信端末が記録している前記キーアカウントの利用不可情報の制御信号を前記サーバーに送信し、該サーバーは前記利用不可情報を記憶部に記録することを特徴とする建物のゲート管理システム。
【請求項2】
請求項1の建物のゲート管理システムに於いて、前記通信端末は建物から退去した元居住者や前記建物に新たに入居する新規居住者が所持し、かつ、セキュリティーゾーンに設けられたゲート開閉用のキーアカウントを記録しており、前記キーアカウントの利用不可情報の制御信号は、セキュリティーゾーンを使用する資格がなくなった前記建物の元居住者が所持する通信端末のキーアカウントの利用不可情報の制御信号であることを特徴とする建物のゲート管理システム。
【請求項3】
請求項1の建物のゲート管理システムに於いて、前記セキュリティーゾーンに専用部及び共用部の両方が含まれ、前記共用部のセキュリティーゾーンの認証システムが、前記外部機器又は指令操作部の指令信号により、前記登録済み鍵情報が利用できない状態になった場合、該利用できない状態を条件として、前記通信端末が記録している前記キーアカウントの利用不可情報の制御信号を前記サーバーに送信し、該サーバーは前記利用不可情報を記憶部に記録後、キーアカウントの利用不可情報の制御信号をその他のセキュリティーゾーンの認証システムに送信することを特徴とする建物のゲート管理システム。
【請求項4】
請求項1又は請求項2の建物のゲート管理システムに於いて、建物の元居住者が認証システムに複数の鍵情報を登録している場合、認証システムが外部機器又は指令操作部前記指令信号により、前記複数の登録済み鍵情報のすべてが利用できない状態になった場合、該利用できない状態を条件として、前記通信端末が記録している前記キーアカウントの利用不可情報の制御信号を前記サーバーに送信することを特徴とする建物のゲート管理システム。
【請求項5】
請求項1又は請求項2の建物のゲート管理システムに於いて、前記サーバーは、前記利用不可情報を記憶部に記録した後、キーアカウントの利用不可情報の制御信号を前記元居住者の通信端末に送信することを特徴とする建物のゲート管理システム。
【請求項6】
セキュリティーゾーンに設けられたゲート開閉用のキーアカウントを記録する通信端末と、前記キーアカウントと登録済み鍵情報とを照合し、その照合の判定結果が正当である場合にはゲート用のロック装置を作動させる認証システムと、前記通信端末及び認証システムがそれぞれ接続するネットワークと、前記ネットワークを介して前記認証システムに接続すると共に、前記キーアカウントを管理するサーバーとから成る建物のゲート管理方法であって、
前記通信端末に対して、前記認証システム又は前記ネットワークのいずれかを介してキーアカウントを取得する第1通信工程(b)と、外部機器又は指令操作部のいずれかの入力実行により、前記認証システムが前記通信端末に記録されているキーアカウントに対応する前記登録済み鍵情報を利用できない状態にする登録済み鍵情報の使用不可実行工程(c)と、該利用できない状態を条件として、前記通信端末が記録しているキーアカウントの利用不可情報を前記認証システムから前記サーバーに送信する第2通信工程(d)と、前記利用不可情報取得したサーバーが該利用不可情報に基づいてその記憶部に利用不可情報を登録する利用不可情報保存工程(e)を含む建物のゲート管理方法。
【請求項7】
セキュリティーゾーンに設けられたゲート開閉用のキーアカウントを記録する通信端末と、前記キーアカウントと登録済み鍵情報とを照合し、その照合の判定結果が正当である場合にはゲート用のロック装置を作動させる認証システムと、前記通信端末及び認証システムがそれぞれ接続するネットワークと、前記ネットワークを介して前記認証システムに接続すると共に、前記キーアカウントを管理するサーバーとから成る建物のゲート管理方法に使用される該サーバーのコンピュータを実行させるプログラムであって、
前記コンピュータに、
前記認証システムの登録済み鍵情報が、前記セキュリティーゾーン内の外部機器又は指令操作部のいずれかにより、変更、使用禁止、抹消のいずれか一つの状態にした指令信号を受信した時、該指令信号を前記建物の元居住者が所持する通信端末のキーアカウントの利用不可情報の制御信号であると判定し、前記利用不可情報を記憶部の使用禁止のリストに記録する処理を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は建物のゲート管理システム、ゲート管理方法及びプログラムに関し、特に、通信端末が記録しているキーアカウントでセキュリティーゾーンに設けられたゲートの電気錠、自動扉開閉装置などのロック装置の作動(例えば解錠、開閉など)を不可の状態(キーアカウントの使用禁止)にすることができる建物のゲート管理システム、ゲート管理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、出願人が提案した出入管理システムであり、該出入管理システムの通信ユニット2は、読み取った情報の種類が第1情報記憶媒体5aと判別したときに中央監視装置3に問い合わせ信号を出力し、読み取った情報の種類が第2情報記憶媒体5bと判別し、その情報を正常と判定したときは電気錠装置4に解錠制御信号を出力する。そして、中央監視装置3は、問い合わせ信号が入力され、第1情報記憶媒体5aと判別した情報を正常と判定したときに通信ユニット2に解錠命令を出力する。通信ユニット2は、中央監視装置3から問い合わせ信号に対する応答として解錠命令が入力されると、電気錠装置4に解錠制御信号を出力するものである。そして、前記情報記憶媒体は、例えばICカードやICタグを内蔵した携帯電話で構成されている(段落0022)。符号は特許文献1のもの。
【0003】
特許文献2も出願人が提案した出入管理システム及び出入管理方法である。この特許文献2のゲート監視装置(図2)は、特許文献として、本発明の認証システムの構成に近いものであるが、携帯端末は鍵屋(業者)が、認証システムが記録している鍵情報をメンテナンス(例えば旧鍵データの削除や変更)ために所持しており、当該携帯端末は建物の居住者のものではない。
【0004】
特許文献3は、ユーザが所持する携帯端末から管理サーバーに鍵データを要求し、鍵配信サーバーが前記管理サーバーから配信OKの通知をもらった場合に、出入管理システムに利用することができるキーアカウント(電子キーの使用権限)を前記携帯端末に配信するものである。
【0005】
特許文献4の出入管理システムの認証装置に関するもので、電気錠の解錠を制御する錠制御端末と、電気錠が設置された施設の利用者が所持する携帯端末とを有する電気錠システムであって、錠制御端末は、携帯端末から受信した電子証明書及び送信元端末識別情報を用いて、携帯端末が電気錠の解錠権限を有することを認証する解錠認証手段と、該手段によって携帯端末が電気錠の解錠権限を有すると認証された場合、電気錠を解錠するよう制御する解錠制御手段とを有する。そして、解錠認証手段は、正当であると検証した電子証明書から読み出した錠識別情報が電気錠の錠識別情報と一致する場合、電子証明書が電気錠に対する電子証明書であると確認し、確認した電子証明書から読み出した端末識別情報が送信元端末識別情報と一致する場合、携帯端末が電気錠の解錠権限を有すると認証するものである。
【0006】
そして、特許文献4の請求項5には、「 前記錠制御端末(認証システム側)は、前記電気錠の解錠を禁止する携帯端末の端末識別情報を登録したブラックリストを記憶する記憶部をさらに有し、前記携帯端末からブラックリストを受信すると、前記記憶したブラックリストを更新し、前記送信元端末識別情報が、前記更新したブラックリストに登録されている端末識別情報と一致する場合、前記携帯端末が前記電気錠の解錠権限を有すると認証しないこと」が記載されている。
【0007】
前記請求項5に記載の発明は、電気錠が、電気錠の解錠権限を管理する管理装置と通信しなくても、解錠を要求した携帯端末が解錠権限を有することを適切に認証できる、電気錠システムおよび錠制御端末を提供することができるという効果があるものの、携帯端末及び錠制御端末(認証システム側)の両方にそれぞれ携帯端末自体の端末識別情報を登録したブラックリストを記録(ブラックリストの更新も含む)させ、通信接続の際、錠制御端末(認証システム側)が常にブラックリストの端末識別情報を検証することから、端末同士の記録情報が増大化する、システムが複雑になる、携帯端末にブラックリストに記録されている情報が残る等のという問題点がある。
【0008】
最後に、特許文献5は、例えば住宅を購入する希望者(訪問者)が、自己の所持する通信端末を利用して、集合住宅の共用部と専有部の各ゲートを通過(解錠)することができるシステムであり、該発明の構成は、例えば管理端末12は集合住宅のゲートを管理する管理会社やオーナーが所持する端末である点、キーアカウントを取得するためには、前記管理端末12は、前記集合住宅に一時的に入ることを希望する訪問者からの通信端末18を介して予約を受ける必要がある点、管理端末12は、通信端末18から予約を受け付けると、集合住宅の共用部及び専有部ゲートの識別情報と紐付けした時限付(ワンタイムパスワードを含む)キーアカウントを、前記通信端末18に送信する点、前記時限付キーアカウントでもって、共用部と専有部の各ゲートを解錠することができる点、さらに、訪問者が希望の専用部を内覧した後に、集合住宅を退去した時は、専有部ゲートのキーアカウントを削除した通知を受信した管理端末12が、共用部のゲートのキーアカウントを削除する点などを特徴としている(符号は特許文献5のもの)。
【0009】
しかしながら、特許文献5の記載の発明は、例えば住宅を購入する希望者(訪問者)等が、専用部の内覧、見学等のために分譲住宅を一時的に訪問する場合を想定したものであり、例えば分譲住宅を購入した居住者や、住宅の賃貸契約をし、契約期間、当該住宅に長い間住む場合や、当該住宅を引っ越した者(退去者)を想定したものではない。それ故に、キーアカウントは時限付(ワンタイムパスワードを含む)であり、かつ、集合住宅の共用部と専有部の各ゲートを通過するための解錠コードも同一である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2012-36704号公報
【特許文献2】特開2015-161163号公報
【特許文献3】特開2016-188502号公報
【特許文献4】特開2019-173523号公報
【特許文献5】特開2021-110117号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の主たる目的は、好ましくは分譲住宅を購入した入居者や、住宅の賃貸借契約をし、当該住宅に契約期間住む賃借人や、建物から退去した元居住者を想定したものであり、特に、建物から退去した元居住者が所持している通信端末の記憶部に登録されているキーアカウントに関連して、該通信端末及び錠制御端末(認証システム側)の両方にブラックリストを記録させることなく、その代わり、通信端末がキーアカウントを利用する権限がなくなった場合に、セキュリティーゾーン内に存在している認証システムがその記憶部に登録している登録済み鍵情報を使用禁止の状態(例えば抹消)にすると共に、好ましくは使用禁止の対象になった登録済み鍵情報を記憶容量の大きいサーバーが一括管理し、該サーバーの管理下で携帯端末がその記憶部に記録しているキーアカウントを利用することができなくなるようにし、これにより携帯端末の遠隔操作が正当か不当化の判断が容易となる、端末同士のブラックリストの認証を不要する、端末同士の記録情報が増大化しないようにする等の効果を得ることである。なお、使用禁止の状態はキーアカウントを抹消することが望ましい。第2の目的は、セキュリティーゾーンが、
複数存在する場合に、全てのセキュリティーゾーンの記憶部に記録されている鍵情報を使用禁止の状態にすることである。典型例の実施形態として、例えば集合住宅のセキュリティーゾーンのゲートに、居住者の居室(専有部)及び共用エントランス(共用部)が含まれる場合には、これらのゲートの不当解錠を防止するために、専有部、共用部に設置された各認証システムの記憶部にそれぞれ記録されている鍵情報を使用禁止の状態にすることである。
【0012】
さらに、実施形態如何によっては、複数の共用部を含む場合に、全ての共用部のセキュリティーゾーンの記憶部に記録されている鍵情報を使用禁止の状態にすることである。具体的な実施形態として、例えばセキュリティーゾーンのゲートに、例えばエントランス、エレベーター等のゲートが含まれる場合には、これらのゲートの不当解錠を防止するために、共用部に設置された各認証システムの記憶部にそれぞれ記録されている鍵情報を使用禁止の状態にすることである。その他、建物の居住者が所持する通信端末を用い、サーバーに容易かつ迅速にアクセスし、本発明のシステムを迅速に利用することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
まず、本発明の建物のゲート管理システムは、セキュリティーゾーンに設けられたゲート開閉用のキーアカウントを記録する通信端末と、前記キーアカウントと登録済み鍵情報とを照合し、その照合の判定結果が正当である場合にはゲート用のロック装置を作動させる認証システムと、前記通信端末及び認証システムがそれぞれ接続するネットワークと、前記ネットワークを介して前記認証システムに接続すると共に、前記キーアカウントを管理するサーバーとから成る建物のゲート管理システムであって、前記認証システムは、前記登録済み鍵情報を、変更、使用禁止、抹消のいずれか一つの状態にすることができる指令信号を送信する外部機器又は指令操作部のいずれかを含み、前記指令信号により、前記登録済み鍵情報が利用できない状態になった場合、該利用できない状態を条件として、前記通信端末が記録している前記キーアカウントの利用不可情報の制御信号を前記サーバーに送信し、該サーバーは前記利用不可情報を記憶部に記録することを特徴とする(請求項1)。これにより、携帯端末の遠隔操作が正当か不当化の判断が容易となる、端末同士のブラックリストの認証を不要する、端末同士の記録情報が増大化しないようにする等の効果を得ることができる。
【0014】
上記構成に於いて、前記通信端末は建物から退去した元居住者や前記建物に新たに入居する新規居住者が所持し、かつ、セキュリティーゾーンに設けられたゲート開閉用のキーアカウントを記録しており、前記キーアカウントの利用不可情報の制御信号は、セキュリティーゾーンを使用する資格がなくなった前記建物の元居住者が所持する通信端末のキーアカウントの利用不可情報の制御信号であることを特徴とする(請求項2)。これにより、一時的ではなく、当該住居に長い間住む人のセキャリティー性の向上化を図ることができる。
【0015】
また二次的な発明の課題との関係で、前記セキュリティーゾーンに専用部及び共用部の両方が含まれ、前記共用部のセキュリティーゾーンの認証システムが、前記外部機器又は指令操作部の指令信号により、前記登録済み鍵情報が利用できない状態になった場合、該利用できない状態を条件として、前記通信端末が記録している前記キーアカウントの利用不可情報の制御信号を前記サーバーに送信し、該サーバーは前記利用不可情報を記憶部に記録後、キーアカウントの利用不可情報の制御信号をその他のセキュリティーゾーンの認証システムに送信することを特徴とする(請求項3)。
【0016】
これにより、セキュリティーゾーンに専用部及び共用部の両方が含まれる場合、さらに、実施形態如何によっては、共用部に複数個のゲートが存在する場合に、それらの登録済み鍵情報を、例えば抹消することができるので、不正に建物の中に入るのを確実に防止することができる。なお、集合住宅の場合の運用として、共用部の抹消等をトリガーとする理由は、退去者が出た場合、セキュリティ上、まず退去者がマンションに立ち入りを防ぐ必要がある為、管理人は一般的に、共用部の認証システムから鍵情報を抹消する方が好ましい。
【0017】
また建物の元居住者が認証システムに複数の鍵情報を登録している場合、認証システムが外部機器又は指令操作部前記指令信号により、前記複数の登録済み鍵情報のすべてが利用できない状態になった場合、該利用できない状態を条件として、前記通信端末が記録している前記キーアカウントの利用不可情報の制御信号を前記サーバーに送信することを特徴とする(請求項4)。ここで、「すべて」を対象とした理由は、後述するように、通信端末のキーアカウントは、親子といえども、個々の通信端末の識別情報によって異なるからである。
【0018】
また前記サーバーは、前記利用不可情報を記憶部に記録した後、キーアカウントの利用不可情報の制御信号を前記元居住者の通信端末に送信することを特徴とする(請求項5)。これにより、本システムに利用されているキーアカウントを積極的に削除するように促すことができる。
【0019】
次に、本発明の建物のゲート管理方法は、セキュリティーゾーンに設けられたゲート開閉用のキーアカウントを記録する通信端末と、前記キーアカウントと登録済み鍵情報とを照合し、その照合の判定結果が正当である場合にはゲート用のロック装置を作動させる認証システムと、前記通信端末及び認証システムがそれぞれ接続するネットワークと、前記ネットワークを介して前記認証システムに接続すると共に、前記キーアカウントを管理するサーバーとから成る建物のゲート管理方法であって、前記通信端末に対して、前記認証システム又は前記ネットワークのいずれかを介してキーアカウントを取得する第1通信工程(b)と、外部機器又は指令操作部のいずれかの入力実行により、前記認証システムが前記通信端末に記録されているキーアカウントに対応する前記登録済み鍵情報を利用できない状態にする登録済み鍵情報の使用不可実行工程(c)と、該利用できない状態を条件として、前記通信端末が記録しているキーアカウントの利用不可情報を前記認証システムから前記サーバーに送信する第2通信工程(d)と、前記利用不可情報取得したサーバーが該利用不可情報に基づいてその記憶部に利用不可情報を登録する利用不可情報保存工程(e)を含むことを特徴とする(請求項6)。
【0020】
さらに、本発明の建物のゲート管理方法に使用される該サーバーのコンピュータを実行させるプログラムは、セキュリティーゾーンに設けられたゲート開閉用のキーアカウントを記録する通信端末と、前記キーアカウントと登録済み鍵情報とを照合し、その照合の判定結果が正当である場合にはゲート用のロック装置を作動させる認証システムと、前記通信端末及び認証システムがそれぞれ接続するネットワークと、前記ネットワークを介して前記認証システムに接続すると共に、前記キーアカウントを管理するサーバーとから成る建物のゲート管理方法に使用される該サーバーのコンピュータを実行させるプログラムであって、前記コンピュータに、前記認証システムの登録済み鍵情報が、前記セキュリティーゾーン内の外部機器又は指令操作部のいずれかにより、変更、使用禁止、抹消のいずれか一つの状態にした指令信号を受信した時、該指令信号を前記建物の元居住者が所持する通信端末のキーアカウントの利用不可情報の制御信号であると判定し、前記利用不可情報を記憶部の使用禁止のリストに記録する処理を実行させることを特徴とする(請求項7)。ここで「前記認証システム又は前記ネットワークのいずれかを介して」とした理由は、セキュリティーゾーン内に存在する認証システムから通信手段(例えば無線)により、キーアカウントを取得することもできるからである。
【0021】
ここでの「通信端末」は、住宅を一時的に訪問する訪問者ではなく、例えば住宅を購入して当該住宅に長く住む居住者や賃貸借契約をして当該住宅に長く住む賃借人が所持するものや、当該住宅から退去した元居住者が所持する携帯端末を言う。またここで「キーアカウント」とは、例えば通信端末の識別情報と、認証システム側のゲート・錠ID・制御部のいずれか一つ以上の識別情報と、サーバー側の識別情報とが紐付けられている電気キーをいう。キーアカウントは、例えば通信端末の識別情報と、認証システム側の識別情報と、認証システム側のゲートの識別情報と、サーバー側の識別情報とが紐付けられている電気キーが好ましい。なお、元居住者や新居住者が複数人(父親、母親、子供など)存在する場合に於いて、それぞれ自己の通信端末を所持している時には、前記通信端末のキーアカウントは、個々の通信端末の識別情報によって異なるので、このような場合には、認証システムの登録済み鍵情報も前記個々の通信端末のキーアカウントに対応して複数個存在する。
【0022】
また「セキュリティーゾーン」とは、建物の敷地に入るための門扉、エントランスに入るための自動開閉扉、エレベーターに乗るための自動開閉ドア、専有部に入るための扉を基準にして区分けされた占有スペースをいう。それ故に、占有スペースは単数又は複数である。
【0023】
また「ゲート」とは、建物の遮蔽用開閉体をいう。また「ロック装置」には、錠前本体にシリンダー錠やサムターン錠を備え、機械的・電気的に施・解錠することができる電気錠のみならず、駆動モータ、動力伝達手段等を備え、駆動モータの駆動力により遮蔽用開閉体を水平方向や垂直方向へと開くための駆動装置も含まれる。したがって、ここでの「作動」には、遮蔽用開閉体が静止状態で、いわゆるデッドボルトに対するロック手段のロック状態を解消させる場合、デッドボルトが解錠方向に移動する場合や、駆動モータの駆動力により遮蔽用開閉体が開く方向へ移動する場合が含まれる。また普通一般に、集合住宅の場合のセキュリティーゾーンは、エントランスに使用される共用部用のゲートと、個々の建物区分所有権に対応する専用部用のゲートが存在するので、認証システムも前記共用部用のゲート用の第1認証システムと前記専用部用のゲートに対応する第2認証システムとが存在する。さらに、「登録済み鍵情報を利用できない状態になった場合」とは、広義では、使用期間のある鍵情報を更新しない場合、鍵情報の使用を停止した場合、鍵情報を変更した場合、鍵情報を抹消した場合等の鍵情報の使用を禁止したときをいい、狭義では鍵情報を抹消した場合をいう。
【発明の効果】
【0024】
本発明は、建物から退去した元居住者が所持する通信端末がキーアカウントを利用する権限がなくなった場合に、好ましくは、認証システムがその記憶部に登録している登録済み鍵情報を抹消すると共に、該抹消情報をサーバーが一括管理し、前記通信端末がその記憶部に記録しているキーアカウントを利用することができなくなるようにすることができる。
【0025】
付言すると、サーバーが建物の元居住者が所持する通信端末のキーアカウントの利用不可情報を記憶部の使用禁止のリストに記録するので、例えば建物から離れた場所にいる居住者が、留守時の来客対応や宅配などのサービス業者を入れる為に、通信端末を遠隔操作し、サーバーを介してキーアカウント権限の下、例えば共用部の自動ドアに指示して開け、又は専有部のロックに指示して施解錠したりなどをしてきた場合には、サーバーは当該通信端末が正当なものであるか、または不当なものであるかを判別することができる。この点は、サーバーがキーアカウント(鍵)を通信端末へ配信する場合にも同様である。なお、端末間でブラックリストの認証を不要にすることにより、建物のゲート管理システムの簡略化を図ることができる。なお、セキュリティーゾーンに専用部及び共用部の両方が含まれ、しかも、前記共用部のセキュリティーゾーンが複数存在する場合に、共用部に設置してある全ての認証システムの記憶部にそれぞれ記録されている鍵情報を使用禁止の状態にすることができるので、共用部のセキュリティーゾーンの不当な利用をより一層防止することができる。
【0026】
方法の発明は、建物のゲート管理システムと同様の効果があると共に、その構成如何によっては、建物の居住者が所持する通信端末のカメラで二次元コードをとらえることができるから、サーバーに容易かつ迅速にアクセスし、本発明のシステムを簡単に利用することがでる。またプログラムの発明も、建物のゲート管理システムと同様の効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1乃至図4は本発明の第1実施形態を示す各説明図。図5は本発明の方法の一例である。
図1】管理システムXの全体を示す概念構成図。
図2】通信端末4の構成を示すブロック図。
図3】認証システム5の構成を示す概略図。
図4】サーバー7の構成を示す概略図。
図5】方法の発明の簡単な工程図。
図6】本発明の第3実施形態を示す説明図。
図7】本発明の技術的思想の概略説明図。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1乃至図4は、本発明の第1実施形態のる建物のゲート管理システムX(以下、ここでは「管理システムX」ともいう。)の各説明図である。図1は管理システムXの全体を示す概念構成図である。
【0029】
〈基本的な全体構成〉
図1に於いて、1は単数又は複数の建物のセキュリティーゾーン、2はセキュリティーゾーンに設けられた単数又は複数のゲート、3はゲート自体又はゲート付近(扉枠部、壁部)に設けられたゲート用のロック装置(電気錠、自動開閉扉、自動開閉シャッター等)、4はゲート開閉用のキーアカウント(例えば電気錠を解錠する権限、自動開閉扉を開く権限等)Aを記録する通信端末、5は前記キーアカウントと登録済み鍵情報Rとを照合し、該登録済み鍵情報RとキーアカウントAとが一致した場合にゲート用のロック装置3を作動させる認証システム、6は通信端末4及び認証システム5がそれぞれ接続するネットワーク、7は前記ネットワーク6を介して前記認証システム5に接続すると共に、その記憶部に前記キーアカウントAを管理するサーバーである。第1実施形態では、サーバー7が管理しているキーアカウントAを、ネットワーク6を介して通信端末4に配信することができる。
【0030】
〈通信端末4の構成〉
図2は通信端末4の構成を示すブロック図である。通信端末4は、セキュリティーゾーン1のゲート2を通過する人(例えば建物の入居者、入居者からキーアカウントを付与された者、ホテルの宿泊者など)が所持し、ゲート用のロック装置3を作動(解錠、施錠、開閉)させるために用いられるスマートフォン、タブレットなどの携帯情報処理端末である。
【0031】
したがって、通信端末4は、端末制御部10、操作部及び表示部としてのタッチパネル11、記憶部12、キーアカウントAの新規登録・更新登録・変更登録・抹消登録をするためのモード切替え機能を有する登録部12a、記憶部に記録されているキーアカウントのコピーを抽出するキーアカウント特定部15、キーアカウントを受信・送信する複数の通信部13(13a、13b)、図示しない各種のスイッチ、カメラ機能などを有する。
しかして、前記端末制御部10には、その記憶部12にゲート開閉用のキーアカウントA(電子キーの権限)が記録されている。また前記通信部13の第1通信部13aは、サーバー7からキーアカウントAを取得し、かつ登録部12aに該キーアカウントAを渡すキーアカウント受信手段14を含み、一方、前記通信部13の第2通信部13bは、キーアカウント特定部15を介してゲート識別情報、自動ロック装置の識別情報、自動ロック装置用の制御部識別情報、サーバーの送信元識別情報等の識別情報が適宜に紐付けされた前記キーアカウントAを用い、かつ、自動ロック装置3の作動を要求するキーアカウント送信手段(解錠要求手段)16を含む。
【0032】
付言すると、端末制御部10はプログラムに基づいて通信端末4の動作を制御し、またタッチパネル11は多数のアイコン等を表示し、各アイコンにタッチ操作すると、各種の画面が現れる。
【0033】
そこで、本発明の実施形態では、前記ゲート開閉用のキーアカウントAは、ネットワーク(例えばインターネット)6を介してサーバー7からダウンロードすることにより、登録部12aを介して記憶部12に書き込まれる。なお、前記キーアカウントAは、通信端末は、通信手段(無線)により、認証システムから得ることもできる(後述する方法の発明)。それ故に、前記通信部13の第2通信部13bの通信方式は、例えばブルートゥース、NFCなどの近距離通信部である。通信端末4は、例えば4Gやファイブジー(5G)のような高性能・多機能のスマートフォンが望ましい。
【0034】
〈認証システムの構成〉
図3は認証システムの構成を示す概略図である。この図3に於いて、20は制御部、21は記憶部としての鍵情報登録部、22は前記鍵情報登録部に登録されているキーアカウントAを削除するための鍵情報抹消手段、23はキーアカウントAと登録済み鍵情報Rとを照合して一致するか否かを検証する解錠認証手段、24はゲート2用の自動ロック装置3に対して解錠や開閉信号を要求する解錠要求手段、25はサーバー7と通信する第1通信部、26は通信端末4とキーアカウントAや抹消信号を通信する第2通信部、27は入出力部、28は鍵情報設定・抹消用の外部機器(例えばノートパソコン)である。
【0035】
前記外部機器28は、例えば建物のセキュリティーゾーンの一例であるマンションの専有部に、新規な入居者が住むことになった場合には、サーバー側から通信端末4にキーアカウントを配信する前に、管理者やキーメンテナンスをする資格を有する業者が、前記鍵情報登録部21に当該キーアカウントに対応する新規な鍵情報を登録するために用いられるものである。したがって、実施形態では、業者が新規な鍵情報を、外部機器28を介して鍵情報登録部21に設定した時、認証システム5は第1通信部25からサーバー7に対してその新規な鍵情報を登録した旨を通知する。サーバー7は前記通知を受信した場合には、後述するように、その記憶部33に登録する。
【0036】
ところで、前記外部機器28が、例えばノートパソコン、タブレット端末等の機器である場合には、認証システム5に対して外部指令装置としいの機能を有するので、特に図示しないが、新規な鍵情報を登録するための登録ファイル、登録済みキーアカウントを他のキーアカウントに変更するための変更ファイル、登録済みキーアカウントを使用禁止するための使用禁止ファイル、登録済みキーアカウントを抹消するための抹消ファイル、キーアカウント配信用ファイルなどの各種のファイルを外部指令用記憶部に有している。また認証システム5と通信を行うための外部指令用通信処理部を有している。また前記外部指令用記憶部、外部指令通信処理部等の各構成要素の動作を制御すると共に、各構成要素間の各種の信号や情報の伝送を実行する制御部を有している。したがって、例えば認証システム5が前記外部機器28を含む実施形態では、認証システム5は、サーバー7に対してキーアカウントに関する情報を提示する情報提示装置側通信装置としての役割(機能)を果たす。
【0037】
であるから、認証システム5は、少なくともゲート2用の自動ロック装置3と、キーアカウントが利用可能か否かを判定する照合部(解錠認証手段)23と、前記自動ロック装置3を制御する制御部20と、記憶部としての鍵情報登録部21と、通信端末4及びサーバー7と通信する複数の通信部(25、26)、入出力部23とを備え、好ましくは前記外部機器28も含まれる。
【0038】
そして、前記制御部20は、前記鍵情報登録部21が記録している登録済み鍵情報Rが鍵情報設定・抹消用の外部機器28によってキーアカウントに関する新規登録・更新登録・抹消登録がされた場合には、少なくともその抹消登録の時期(例えば入居者が引越で退出した時、新入居者が入居する直前、前記退出時から前記入居時までの間の適宜時期)に、サーバー7に対して利用不可情報又は通信端末4に対してキーアカウントAを利用することができなくなる制御信号(好ましくは抹消信号)を出力する。第1実施形態では、認証システム5の第1通信部25からネットワークを介してサーバー7に利用不可情報が通知される。
【0039】
ところで、解錠認証手段24が通信端末4からのキーアカウントAと外部機器28によって設定され、かつ、鍵情報登録部21に登録されている登録済み鍵情報Rとが一致した場合には、自動ロック装置3に対して有線又は無線で解錠信号を送信し、これにより、例えば自動ロック装置3が電気錠の場合には、カム部材又は歯車部材が駆動手段の動力により解錠方向に作動し、その結果、ダルマによってデッドボルトが錠箱側に引き戻される。前記自動ロック装置3は特に限定するものではないが、例えば電気錠の場合には、機械的並びに電気的に施・解錠することができる。
【0040】
なお、特許文献2の特開2015-161163号公報に記載の発明は出願人が提案したものであるが、例えば図2と共に、認証システム5に関する技術が詳細に記載されている。ここでは、公知乃至周知と言える認証システム5に関する詳細な説明は割愛する。
【0041】
〈該サーバーの構成〉
図4はサーバー7の構成を示す概略図である。サーバー7は、望ましくは記憶容量が大きいクラウドであり、通信部31、制御部32、記憶部33、操作部34、表示部35などを有する。ここでは、通信部31、制御部32、記憶部33及びキーアカウントの管理方式、キーアカウントの抹消方式、キーアカウントの配信先、キー配信アプリケーション(以下、「キー配信アプリ」という)の配信等について説明する。
【0042】
まず通信部31は、通信端末4や認証システム5と通信を行う通信インターフェイスであり、専用回線やインターネットなどの通信網を介して通信端末4や認証システム5とSSL/TLS、IPSecなどにより安全な通信を行う。通信部31は、好ましくは接続する広域通信網に応じて専用プロトコル、インターネットプロトコルなどの通信プロトコルに準ずるものである。
【0043】
次に制御部32は、周知のように各種の情報を処理する。付言すると、制御部32は、プロセッサおよび周辺回路を有し、当該プロセッサは、記憶部33に記憶されたコンピュータプログラムのコードを実行することによって通信端末4が行う種々の動作を実現する。
【0044】
また制御部32は、コンピュータプログラムにより実現される機能モジュールとして、通信端末4に対して、少なくともアドレス情報を発行するアドレス情報発行手段36、前記アドレス情報と他の識別情報(ゲートの識別情報、錠ID、当該通信端末の識別情報、制御部の識別情報など)をキーアカウントに紐付して通信端末4に発行するキーアカウント発行手段37、認証システム5のトリガーによって利用不可情報を、通信部31を介して受け取った場合に、後述する記憶部33の第2データリスト33bに登録する利用不可情報登録手段38などを有している。
【0045】
次に記憶部32は、サーバー7上で実行されるコンピュータプログラムのコードおよび各種のデータを記憶し、RAM、ROMなどの任意の半導体メモリを有するものである。しかして、記憶部12は、通信端末4に配信するためのキーアカウントを保存管理する第1データリスト33aと、前記通信端末4に配信済みでありかつ認証システム5から利用不可情報の通知を受けたキーアカウントを使用停止や抹消した記録を保存管理する第2データリスト(使用禁止のリスト)33bとを有する。前記第2データリスト33bは、配信済みのキーアカウントの再使用を禁止するための措置である。
【0046】
テーブル化された紐付情報については特に図示しないが、サーバー7は、例えば利用者(新入居者、宿泊者など)が利用するマンション、一戸建住宅、宿泊施設、老人ホーム、介護所等の施設名、利用者名、連絡先、利用期間などの利用者情報、サーバー7が管理する各施設名に対応するケード情報、ケードに設けられた自動ロック装置(例えば電気錠)3の錠IDなどのロック情報、自動ロック装置3のIDに紐付けられた送信元識別符号であるURLなどのサーバーのアドレス情報、通信端末のID、パスワードなどの情報と前記第1データリスト33aに保存管理されている多数のキーアカウントとを関係付けるための紐付用ファイル33cを有している。
【0047】
第1データリスト33a及び第2データリスト33bは、いわばマトリックス状の識別鍵ロッカーで、各情報はテーブル化されている。
【0048】
次に、通信端末4がサーバー7にアクセスする態様について説明する。好ましい実施形態は、通信端末4のカメラで二次元コードをとらえる方法である。例えば不動産としての建物の壁(ゲートの壁面、ゲート付近の壁など)、動産として各種物品(包装箱、はがき、カード、ポスター、カレンダー、スタンドなど)の平面部に二次元コードを印刷し、通信端末4のカメラを用いて二次元コードを読み込むと、webサイトの表示画面が直ちに現れ、その表示画面にタッチするとサーバーに容易かつ迅速に接続可能である。もちろん、URL(送信可能化された情報)の取得方法は、テレビジョンの画面に一時的に表れた二次元コードを通信端末4のカメラを用いて読み込むこともできる。その取得方法は色々とある。
【0049】
そこで、本発明の建物のゲート管理システムXが、仮に「キー配信アプリ」を使用する場合には、サーバー7から利用者が所持している手元の通信端末4にURLに紐付けされたキー配信アプリをダウンロードし、かつ、該キー配信アプリを使えるようにインストールした上で、アプリケーションの様式に基づいて利用者に関する必要な情報をサーバー7に送信することができる。
【0050】
しかして、第1実施形態では、認証システム5がその登録済み鍵情報を利用できない状態(例えば抹消、変更、使用停止等)になった場合、これを「トリガー」として、キーアカウントAの利用不可情報をサーバー7に送信し、該サーバー7は前記利用不可情報に基づいて記憶部33の第2データリスト(使用禁止のリスト)33bに保存管理すると共に、前記キーアカウントAを利用することができなくなる制御信号(好ましくは抹消信号)を通信端末4にネットワーク(ローカル又は広域の通信網)を介して単数又は複数回送信する。
【0051】
なお、前記制御信号は、異なる時期(例えば入居から退去により当該セキュリティーゾーンを利用することができなくなった直後、当該セキュリティーゾーンを利用する新規居住者が引っ越してくる直前、前記直後と直前の間など)に、少なくとも合計二回以上送信することが好ましい。
【0052】
またセキュリティーゾーン1が、少なくとも第1のセキュリティーゾーン(例えば建物の共用部)と、第2のキュリティーゾーン(例えば建物の専用部)が存在する場合に、サーバー7又は認証システム5のいずれかが、キーアカウントを利用することができなくなる制御信号を出力する時、該制御信号には、前記第1のセキュリティーゾーンのゲートを利用することができなくする共用部専用の第1制御信号と、前記第1制御信号とは別個の共用部専用の前記第2のキュリティーゾーンのゲートを利用することができなくする前記第1制御信号とは別個の専用部専用の第2制御信号が含まれている。
【0053】
〈付記〉
建物のゲート管理システムに於いて、前記セキュリティーゾーンが、少なくとも第1のセキュリティーゾーンと、第2のキュリティーゾーンが存在する場合に、前記第1のセキュリティーゾーンの認証システムが外部機器又は指令操作部前記指令信号により、前記登録済み鍵情報が利用できない状態になった場合、該利用できない状態を条件として、前記通信端末が記録している前記キーアカウントの利用不可情報の制御信号を前記サーバーに送信し、該サーバーは前記利用不可情報を記憶部に記録後、キーアカウントの利用不可情報の制御信号を第2のセキュリティーゾーンの認証システムに送信しても良い。これとは逆に、前記第2のセキュリティーゾーンの認証システムが外部機器又は指令操作部前記指令信号により、前記登録済み鍵情報が利用できない状態になった場合、該利用できない状態を条件として、前記通信端末が記録している前記キーアカウントの利用不可情報の制御信号を前記サーバーに送信し、該サーバーは前記利用不可情報を記憶部に記録後、キーアカウントの利用不可情報の制御信号を前記第1のセキュリティーゾーンの認証システムに送信しても良い。
【0054】
また同じ建物の共用部内においても、前記セキュリティーゾーンが共用玄関やエレベータフロア、駐車場や駐輪場への出入口等で区分けされ、セキュリティーゾーンが複数存在する場合がある。同様に、同じ建物の専有部においても、建物の住人が複数の居室(専有部)を所有している場合、セキュリティーゾーンが複数存在する場合がある。
【0055】
このように、前記セキュリティーゾーンが、複数存在する場合に、前記複数のセキュリティーゾーンの内、何れか一つのセキュリティーゾーンの認証システムが外部機器又は指令操作部の前記指令信号により、前記登録済み鍵情報が利用できない状態になった場合、該利用できない状態を条件として、前記通信端末が記録している前記キーアカウントの利用不可情報の制御信号を前記サーバーに送信し、該サーバーは前記利用不可情報を記憶部に記録後、キーアカウントの利用不可情報の制御信号をその他のセキュリティーゾーン内、少なくとも一つのセキュリティーゾーンの認証システムに送信しても良い。
【0056】
また、建物のゲート管理システムに於いて、建物の元居住者が認証システムに複数の鍵情報を登録している場合、認証システムが外部機器又は指令操作部前記指令信号により、前記複数の登録済み鍵情報のすべてが利用できない状態になった場合、該利用できない状態を条件として、前記通信端末が記録している前記キーアカウントの利用不可情報の制御信号を前記サーバーに送信する。
【0057】
ここで、「プログラム」についてクレームすると、次の通りである。「セキュリティーゾーンに設けられたゲート開閉用のキーアカウントを記録する通信端末と、前記キーアカウントと登録済み鍵情報とを照合し、その照合の判定結果が正当である場合にはゲート用のロック装置を作動させる認証システムと、前記通信端末及び認証システムがそれぞれ接続するネットワークと、前記ネットワークを介して前記認証システムに接続すると共に、前記キーアカウントを管理するサーバーとから成る建物のゲート管理方法に使用される該サーバーのコンピュータを実行させるプログラムであって、前記コンピュータに、前記認証システムの登録済み鍵情報が、前記セキュリティーゾーン内の外部機器又は指令操作部のいずれかにより、変更、使用禁止、抹消のいずれか一つの状態にした指令信号を受信した時、該指令信号を前記建物の元居住者が所持する通信端末のキーアカウントの利用不可情報の制御信号であると判定し、前記利用不可情報を記憶部の使用禁止のリストに記録する処理を実行させるプログラム。」
【実施例0058】
ここでは、まず、図5を参照にて、第1実施形態(装置)に対応する方法の発明について説明する。なお、用語と符号は第1実施形態のものを利用する。
【0059】
方法の発明は、セキュリティーゾーン1に設けられたゲート開閉用のキーアカウントAを記録する通信端末と、前記キーアカウントと登録済み鍵情報とを照合し、該登録済み鍵情報とキーアカウントとが一致した場合にゲート用のロック装置3を作動させる認証システム5と、前記通信端末4及び認証システム5がそれぞれ接続するネットワーク6と、認証システム又は前記ネットワークのいずれかを介して前記認証システムに接続すると共に、前記キーアカウントを管理するサーバー7とから成る建物のゲート管理方法Yである。
【0060】
しかして、前記サーバー7が、先行する新規居住者が所持する第1の通信端末に対して前記ネットワークを介して第1のキーアカウントを配信する第1通信工程(b)と、外部機器28又は指令操作部28Aのいずれかの入力実行により、前記認証システム5が前記第1の通信端末に記録されているキーアカウントに対応する前記登録済み鍵情報を利用できない状態にする登録済み鍵情報の使用不可実行工程(c)と、該利用できない状態を条件(トリガー)として、前記第1の通信端末が記録しているキーアカウントの利用不可情報を前記認証システムから前記サーバーに送信する第2通信工程(d)と、前記利用不可情報取得したサーバー7が該利用不可情報に基づいてその記憶部33に利用不可情報を登録する利用不可情報保存工程(e)と、前記利用不可情報としての前記キーアカウントを利用することができなくなる制御信号を前記第1の通信端末に前記ネットワーク6を介して送信する第3通信工程(f)とを含む建物のゲート管理方法である。
【0061】
前述したように、業者が新規な鍵情報を、有線又は無線で外部機器28を介して認証システム5の鍵情報登録部21に設定した時、認証システム5は第1通信部25からサーバー7に対してその新規な鍵情報を登録した旨を通知する。そして、サーバー7は前記通知を受信した場合には、その記憶部33の第1データリスト(新規登録のリスト)33bに登録する(サーバー側に新規な鍵情報を登録する工程)。
【0062】
しかして、建物のゲート管理方法Yは、予め前記第1の通信端末が二次元コードを読み取りネットワーク6上のサーバー7にアクセスし、該サーバー7から送信元識別符号(URL)に紐付けられたセキュリティーゾーン1のゲート開閉用のキーアカウントを、前記ネットワーク6を介して取得するキーアカウント取得工程(a)を含んでいても良い。
【0063】
また前記通信端末4が、退去者が所持する第1通信端末と新入居者が記録する第2通信端末とから構成されている場合、前記第3通信工程(f)により、先の前記第1通信端末のキーアカウントを利用することができなくなった時から前記新入居者が前記セキュリティーゾーン1のゲートを最初に通過する直前までの間に、後の第2通信端末に対して使用可能な新規のキーアカウントを単数又は複数配信する第4通信工程(g)を加味しても良い(構成要件にしても良い)。
【0064】
次に、図6は、本発明の第1実施形態の変形例(第3実施形態)である。用語と符号は第1実施形態のものを利用する。この第3実施形態が第1実施形態と主に異なる点は、第1実施形態の外部機器28に代えて、指令操作部28Aを、認証システム5自体に直接的に配設した点である。
【0065】
指令操作部28Aは、認証システム5を構成するハードウェア(筐体)にタッチパネルや複数の操作ボタンとして設けられる。指令操作部28Aは、タッチパネルや複数の操作ボタンを操作することにより、指令信号(コマンド信号)を制御部20に送り、登録済み鍵情報を、変更、使用禁止、抹消のいずれか一つの状態にすることができるものなので、図示しないCPUを有する情報処理装置であっても良い。
【0066】
最後に図7は、本発明の技術的思想を示す概略説明図である。この図7では、敷地を含むセキュリティーゾーン1に存在する認証システム5に対して指令信号(コマンド信号)を送る場合、図3で示した外部機器28又は指令操作部28A(情報処理装置も含む)のいずれでも良い旨を示している。要するに、セキュリティーゾーン1の現場で、少なくとも認証システム5の登録済み鍵情報を設定・変更等を実行する。図7の詳細は重複するので、ここでは割愛する。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明は、建物のゲート管理システムの分野で利用することができる。
【符号の説明】
【0068】
X…建物のゲート管理システム、
Y…建物のゲート管理方法、
1…セキュリティーゾーン、2…ゲート、
3…自動ロック装置、
4…通信端末、
5…認証システム、
6…ネットワーク、
7…サーバー、
28…外部機器、
28A…指令操作部、
A…キーアカウント、
R…登録済み鍵情報、
a…キーアカウント取得工程、
b…第1通信工程、
c…使用不可実行工程、
d…第2通信工程、
e…利用不可情報保存工程、
f…第3通信工程、
g…第4通信工程。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7