(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023066622
(43)【公開日】2023-05-16
(54)【発明の名称】溶融アスファルト貯留タンク
(51)【国際特許分類】
G01F 23/58 20060101AFI20230509BHJP
【FI】
G01F23/58
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021177307
(22)【出願日】2021-10-29
(71)【出願人】
【識別番号】000226714
【氏名又は名称】日新工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090985
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 幸雄
(74)【代理人】
【識別番号】100206302
【弁理士】
【氏名又は名称】落志 雅美
(72)【発明者】
【氏名】関原 克章
(72)【発明者】
【氏名】相臺 志浩
【テーマコード(参考)】
2F013
【Fターム(参考)】
2F013AB01
2F013AB03
2F013BA10
2F013BG01
2F013BG11
2F013CB02
(57)【要約】
【課題】
従来の溶融アスファルト貯留タンクの貯留量測定方法では測定器の既存タンクへの取り付けに支障があるとか、測定値が正確性に欠けるとかの問題が存在してるのに鑑みてなされたもので、より簡便な構造で溶融アスファルトの液面の高さを正確に計測できる手段を備えた
溶融アスファルト貯留タンクの提供を課題として行ったものである。
【解決手段】
溶融アスファルト貯留タンク内の貯留量を、溶融アスファルトの液面に浮かべるフロートと、フロートに取り付けられ上方に伸びる長尺の棒体とで構成され、該棒体が、アスファルト貯留タンクの上部に穿設されたガイド孔を介して先端部をタンク外に突出し、その突出長さによりタンク内の溶融アスファルトの液面の高さを計測する手段を備えた
溶融アスファルト貯留タンクによる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
防水工事用アスファルトルーフィング製造所、防水施工溶融アスファルト仕様現場又は道路用舗装アスファルト合材製造所に留置して用いられる溶融アスファルト貯留タンクであって、その内部の溶融アスファルトの液面の高さを計測する手段を備えてなることを特徴とする溶融アスファルト貯留タンク。
【請求項2】
溶融アスファルトの液面の高さを計測する手段が、溶融アスファルトの液面に浮かべるフロートと、フロートに取り付けられ上方にタンク外まで延出する長尺の棒体とからなることを特徴とする請求項1に記載の溶融アスファルト貯留タンク。
【請求項3】
溶融アスファルトの液面の高さを計測する手段が、溶融アスファルト貯留タンクの蓋に穿設された貫通孔と、溶融アスファルトの液面に浮かべるフロートと、同フロートに取り付けられて上方に前記貫通孔を通ってタンク外まで延出する長尺の棒体とからなることを特徴とする請求項1に記載の溶融アスファルト貯留タンク。
【請求項4】
溶融アスファルトの液面に浮かべるフロートが、嵩比重0.3以下素材であることを特徴とする請求項2又は3に記載の溶融アスファルト貯留タンク。
【請求項5】
溶融アスファルトの液面に浮かべるフロートが、嵩比重0.3以下のバルサ材、コルク、又は桐のいずれか1つであることを特徴とする請求項3又は4に記載の溶融アスファルト貯留タンク。
【請求項6】
溶融アスファルトの液面に浮かべるフロートが、前記貫通孔を通って上方にタンク外まで延出する長尺の棒体を装着した状態で溶融アスファルトの液面に浮かぶ浮力を持つ形状と体積とを有するものであることを特徴とする請求項3~5のいずれか1項に記載の溶融アスファルト貯留タンク。
【請求項7】
フロートに取り付けられる長尺の棒体の材質が、鉄、チタン、ニッケル、クロム、銅又はアルミニウムのいずれか1つ、あるいはそれらの合金であることを特徴とする請求項2~6のいずれか1項に記載の溶融アスファルト貯留タンク。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の溶融アスファルトの貯留量を計測する手段を用いて、溶融アスファルト貯留タンク中の溶融アスファルトの貯留量を計測する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
防水工事用アスファルトルーフィング製造所、防水施工溶融アスファルト仕様現場又は道路用舗装アスファルト合材製造所に留置して用いられる溶融アスファルト貯留タンクであって、その内部に貯留された溶融アスファルトの液面の高さを計測する手段を備えてなる溶融アスファルト貯留タンク、及びその計測手段を用いて、溶融アスファルト貯留タンク内の溶融アスファルトの貯留量を計測・検知する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
防水工事用アスファルトルーフィング製造所、防水施工溶融アスファルト仕様現場又は道路用舗装アスファルト合材製造所で使用するアスファルトは、150~200℃程度に加熱溶融して供給先に液状で搬送され、10~50トン程度の溶融アスファルト貯留タンクに供給貯蔵され、その後用途に応じて各攪拌タンクなどに排出供給される。したがって溶融アスファルト貯留タンク内の溶融アスファルトの貯留量はその都度変化することから、その供給量および排出量を常に把握しておく必要がある。しかし、 溶融アスファルトは高温であり、粘性もあることから、タンク内の溶融アスファルトの量を把握する方法は限られる。
正確に計量するには、ロードセル式の重量測定器を用いるのが好ましいが、既存のタンクへの取り付けには支障があり、他に用いられている静電容量式のレベルメーターや、電波式液面感知センサーも高温で煙の多いタンク内で溶融アスファルトの貯留量を正確に把握するのには問題も多い。また、通常の液体の水位測定に多用されている金属製の球状フロートも、この用途には不適とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記背景技術に示したように従来の溶融アスファルト貯留タンクの貯留量測定方法では測定器の既存タンクへの取り付けに支障があるとか、測定値が正確性に欠けるとかの問題が存在してるのに鑑みてなされたもので、より簡便な構造で溶融アスファルトの液面の高さを正確に計測できる手段を備えた溶融アスファルト貯留タンクの提供を課題として行ったものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは上記課題を下記の手段によって解決した。
(1)防水工事用アスファルトルーフィング製造所、防水施工溶融アスファルト仕様現場又は道路用舗装アスファルト合材製造所に留置して用いられる溶融アスファルト貯留タンクであって、その内部の溶融アスファルトの液面の高さを計測する手段を備えてなることを特徴とする溶融アスファルト貯留タンク。
(2)溶融アスファルトの液面の高さを計測する手段が、溶融アスファルトの液面に浮かべるフロートと、フロートに取り付けられ上方にタンク外まで延出する長尺の棒体とからなることを特徴とする(1)に記載の溶融アスファルト貯留タンク。
(3)溶融アスファルトの液面の高さを計測する手段が、溶融アスファルト貯留タンクの蓋に穿設された貫通孔と、溶融アスファルトの液面に浮かべるフロートと、同フロートに取り付けられて上方に前記貫通孔通ってタンク外まで延出する長尺の棒体とからなることを特徴とする(1)に記載の溶融アスファルト貯留タンク。
(4)溶融アスファルトの液面に浮かべるフロートが嵩比重0.3以下の素材でなることを特徴とする(2)又は(3)に記載の溶融アスファルト貯留タンク。
(5)溶融アスファルトの液面に浮かべるフロートが嵩比重0.3以下のバルサ材、コルク、又は桐のいずれか1つであることを特徴とする(3)又は(4)に記載の溶融アスファルト貯留タンク。
(6)溶融アスファルトの液面に浮かべるフロートが、前記貫通孔を通って上方にタンク外まで延出する長尺の棒体を装着した状態で溶融アスファルトの液面に安定して浮かぶ浮力を備えた形状と体積とを有するものであることを特徴とする(3)~(5)のいずれか1項に記載の溶融アスファルト貯留タンク。
(7)フロートに取り付けられる長尺の棒体の材質が、鉄、チタン、ニッケル、クロム、銅又はアルミニウムのいずれか1つ、あるいはそれらの合金であることを特徴とする(2)~(6)のいずれか1項に記載の溶融アスファルト貯留タンク。
(8)(1)~(7)のいずれか1項に記載の溶融アスファルトの貯留量を計測・検知する手段を用いて、溶融アスファルト貯留タンク中の溶融アスファルトの貯留量を計測・検知する方法。
【発明の効果】
【0006】
本発明の溶融アスファルト貯留タンクによって下記の効果が発揮される。
(1)防水工事用アスファルトルーフィング製造所、防水施工溶融アスファルト仕様現場又は道路用舗装アスファルト合材製造所に留置して用いられる溶融アスファルト貯留タンクであって、その内部の溶融アスファルトの液面の高さを計測する手段を備えているので、同手段によって常時溶融アスファルト貯留タンク内の溶融アスファルト貯留量が正確に検知でき、アスファルトルーフィング製造や防水工事、舗装工事が停滞することなく、効率よく実施できる
(2)溶融アスファルトの液面の高さを計測する手段が、溶融アスファルトの液面に浮かべるフロートと、フロートに取り付けられ上方にタンク外まで延出する長尺の棒体とからなる極めて簡便な構造であり、製造及びタンクへの取り付けが容易で、故障も少なく、製造・取り付け・保守点検に要する経費も節減できる。なお棒体は中実のものあるいは中空の管状のものであってもよい。
(3)溶融アスファルトの液面の高さを計測する手段が、溶融アスファルト貯留タンクの蓋に穿設された貫通孔と、溶融アスファルトの液面に浮かべるフロートと、同フロートに取り付けられて上方に前記貫通孔通ってタンク外まで延出する長尺の棒体とからなるので、貫通孔を通ってタンク外に延出した長尺の棒体の長さを観測・測定することによって液面の高さを常時正確に計測でき、アスファルトルーフィング製造や防水工事、舗装工事の効率化が図れる。
(4)溶融アスファルトの液面に浮かべるフロートの素材が、嵩比重0.3以下のバルサ材、コルク、又は桐のいずれか1つであって、前記貫通孔を通ってタンク外まで延出する長尺の棒体を装着した状態で、溶融アスファルトの液面に安定して浮かぶ浮力を備えた形状と体積とを有するものであるので、溶融アスファルトの液面の高さを常時正確に計測でき、アスファルトルーフィング製造や防水工事、舗装工事の効率化が図れる。
(5)フロートに取り付けられる長尺の棒体の材質が、鉄、チタン、ニッケル、クロム、銅又はアルミニウムのいずれか1つ、あるいはそれらの合金であるので、溶融アスファルト貯留タンク内の高温による変形がなく、液面の高さをタンク外に突出する長さによって正確に計測でき、アスファルトルーフィング製造や防水工事、舗装工事の効率化が図れる。
(6)(1)~(5)のいずれか1項に記載の溶融アスファルトの貯留量を計測する手段を用いて、溶融アスファルト貯留タンク中の溶融アスファルトの貯留量を計測・検知する方法であるので、新設のタンクはもとより既存の溶融アスファルト貯留タンクへの適用も容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】防水工事用アスファルトルーフィング製造所、防水施工溶融アスファルト仕様現場又は道路用舗装アスファルト合材製造所に留置して用いられる溶融アスファルト貯留タンクであって、その内部の溶融アスファルトの液面の高さを計測する手段を備えてなることを特徴とする溶融アスファルト貯留タンクの横断面図で、(a)図が貯留量の少ない場合、(b)図が貯留量の多い場合を示している。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の溶融アスファルト貯留タンク、およびその内部に備えた溶融アスファルトの液面高さを計測する手段を実施するための形態を、実施例の図に基づいて説明する。
図1は内部に溶融アスファルトの液面の高さを計測する手段を備えた溶融アスファルト貯留タンクの横断面図で、(a)図に貯留量の少ない場合、(b)図に貯留量の多い場合を示した。
図において1は溶融アスファルト貯留タンク、2は溶融アスファルトの液面の高さを計測する手段を構成するフロート、3はフロートに取り付けられ上部に伸びる棒体、4はタンクの上部に設けられ前記棒体の滑らかな上下動を可能にするガイド孔を備えた支持部材、そして5はタンク内の溶融アスファルトを示す。
【0009】
本発明の溶融アスファルト貯留タンクの内部に備えた溶融アスファルトの液面高さを計測する手段は、
図1に示すように、溶融アスファルトの液面に浮かベて液面の位置を検知させるフロート2と、フロート2に取り付けられて上方に延び、その先端部を溶融アスファルト貯留タンク1の上部に穿かれたガイド孔を介してタンク1外に突出させてなる長尺の棒体3の2種の部材のみで構成された極めて単純な構造のものであり、安価に製作でき、既設の溶融アスファルト貯留タンク1においてもその蓋に貫通孔を穿設し、該穿設孔にフロート2に取り付けられた棒体3を挿入すれば容易に取着できる利便性を備えたものとなっている。
【0010】
溶融アスファルト液面に浮かべて液面の位置を検知させるフロート2は、長尺な棒体3を取り付けた状態で溶融アスファルトの液面に安定して浮かんでいなければならず、そのために要する浮力が得られる形状と体積を備えたものでなければならず、かつ該フロート2の素材自体の比重が小さければフロート3の小型化が図れるとして、表1に示すバルサ材、桐、杉、ファルカタ、金属缶を素材とした同一形状寸法のフロートに、同一形状、寸法の棒体を取り付け、
図1に示す溶融アスファルト貯留タンク1に装着してフロート2へのアスファルト含浸の有無、フロート2の変形の有無、棒体の動きの滑らかさを検証した。
その結果、表1に示すように比重0.12のバルサ材がすべての条件を満たし、比重0.19の桐が変形が少なく棒体の動きも滑らかであり、フロート材として使用できるものと判断した。
【表1】
【0011】
フロートに取り付けられる棒体の材質として、溶融アスファルト貯留タンク内の高温による伸び縮みの少ない鉄、チタン、ニッケル、クロム、銅又はアルミニウムのいずれか1つ、あるいはそれらの合金が使用され、精度の高い液面高さの計測値が得られるものとなっている。
また棒体の上部側面に液面の高さを示す目盛りを刻んでおくことも、一見して溶融アスファルトタンク内の溶融アスファルト貯留量を知り得るので好ましい。
【符号の説明】
【0012】
1:溶融アスファルト貯留タンク
2:フロート
3:棒体
4:棒体の上下動を可能にするガイド孔を備えた支持部材
5:溶融アスファルト