(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023066633
(43)【公開日】2023-05-16
(54)【発明の名称】ワーク支持具
(51)【国際特許分類】
F27D 5/00 20060101AFI20230509BHJP
F27D 3/12 20060101ALI20230509BHJP
C21D 1/00 20060101ALI20230509BHJP
C21D 9/08 20060101ALN20230509BHJP
C21D 9/32 20060101ALN20230509BHJP
C21D 9/40 20060101ALN20230509BHJP
【FI】
F27D5/00
F27D3/12 Z
C21D1/00 F
C21D9/08 J
C21D9/32 B
C21D9/40 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021177326
(22)【出願日】2021-10-29
(71)【出願人】
【識別番号】000167200
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクトサーモシステム
(74)【代理人】
【識別番号】100128912
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 徹
(72)【発明者】
【氏名】中田 綾香
(72)【発明者】
【氏名】幸田 尚久
(72)【発明者】
【氏名】吉田 学
(72)【発明者】
【氏名】萬田 裕介
【テーマコード(参考)】
4K034
4K042
4K055
【Fターム(参考)】
4K034AA16
4K034BA10
4K034EC07
4K034GA07
4K042AA06
4K042AA18
4K042AA22
4K042AA23
4K042BA13
4K042CA15
4K042DA02
4K042DA03
4K042DA06
4K042DB01
4K042DC05
4K042DF02
4K055AA05
4K055AA06
4K055HA07
4K055HA12
4K055HA16
4K055HA18
4K055HA27
4K055HA29
4K055NA04
(57)【要約】
【課題】ワークの重量が軽い場合に、ワークが載置される全体的な構造の部分を変えることなくワークとの接触面積を減らしてワークの品質を向上させることができ、ワークと接触する部分が摩耗した場合であってもワークが載置される全体的な構造の部分を交換する必要がないワーク支持具を提供する。
【解決手段】ワーク支持具1は、ワーク10に対して加熱処理を施す加熱装置100において用いられ、ワーク10を支持する。ワーク支持具1は、ワーク10が載置されることでワーク10を受ける受け部材11と、受け部材11の上面の面積より小さいワーク10との接触面を持ち、受け部材11の上面に配置されてワーク10の下端部と接触する複数の接触部材12と、を備える。接触部材12は、受け部材11とは別体で受け部材11に対して取り外し可能に設けられている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークに対して加熱処理を施す加熱装置において用いられ、前記ワークを支持するワーク支持具であって、
前記ワークが載置されることで前記ワークを受ける受け部材と、前記受け部材の上面の面積より小さい前記ワークとの接触面を持ち、前記受け部材の上面に配置されて前記ワークの下端部と接触する複数の接触部材と、を備え、
前記接触部材は、前記受け部材とは別体で前記受け部材に対して取り外し可能に設けられている、ワーク支持具。
【請求項2】
請求項1に記載のワーク支持具であって、
前記接触部材は、球形状または円柱状のころ形状の部材として設けられ、前記受け部材の上面において前記受け部材に対して転動可能に配置される、ワーク支持具。
【請求項3】
請求項2に記載のワーク支持具であって、
前記受け部材の上面には、複数の前記接触部材がそれぞれ転動自在に配置される複数の凹部が設けられ、
前記凹部は、断面が前記接触部材の外径に合わせた円弧状の形状である、ワーク支持具。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のワーク支持具であって、
前記ワークは、中空の部材であり、
前記受け部材の上面側に配置され、前記ワークの内周に当接して当該ワークを内側から支持する複数の支持部材を更に備え、
前記支持部材は、前記受け部材とは別体で前記受け部材に対して取り外し可能に設けられている、ワーク支持具。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のワーク支持具であって、
前記ワークは、金属製であり、前記接触部材は、少なくとも前記ワークに接触する表面部分がセラミック製である、ワーク支持具。
【請求項6】
請求項4に記載のワーク支持具であって、
前記ワークは、金属製であり、前記支持部材は、少なくとも前記ワークに接触する表面部分がセラミック製である、ワーク支持具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークに対して加熱処理を施す加熱装置において用いられ、ワークを支持するワーク支持具に関する。
【背景技術】
【0002】
ワークに対して加熱処理を施す加熱装置において用いられ、ワークを支持するワーク支持具として、特許文献1に開示されたワーク支持具が知られている。
【0003】
特許文献1に開示されたワーク支持具は、ワークが載置される支持台を備えて構成されている。そして、特許文献1のワーク支持具は、支持台の上面におけるワークと接触する領域に複数の凸部が設けられ、支持台上に載置されるワークに対して複数の凸部で接触するように構成されている。これにより、特許文献1のワーク支持具では、ワーク支持具に支持されるワークの下端面に対して、受け部材の上面の凸部で接触しワークの下端面を覆わずに凸部の小さい接触面積で接触でき、ワークの下端面の加熱処理品質を向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されたワーク支持具においては、ワークが支持台に載置されると、支持台の上面に設けられた複数の凸部の全てがワークに接触し、ワークが支持される。このため、ワーク支持具で支持されるワークの重量が軽い場合であっても、支持台の上面に設けられた複数の凸部の全てがワークに接触することになる。一方、ワーク支持具で支持するワークの重量が軽い場合は、ワーク支持具におけるワークと接触する部分での接触面圧が十分に小さくなる。この場合、ワーク支持具からワークに作用する接触面圧が高くなりすぎてワークの下端面に跡が生じてしまう面圧水準に対して、接触面圧が十分に小さく、十分に余裕がある状態となる。このため、ワークの重量が軽い場合には、ワーク支持具におけるワークとの接触面積を減らし、ワークの品質を更に向上させることが望まれる。
【0006】
しかし、特許文献1のワーク支持具では、ワークの重量が軽い場合にワーク支持具においてワークとの接触面積を減らすためには、複数の凸部が設けられた支持台ごと交換することが必要となる。即ち、特許文献1のワーク支持具では、ワークの重量が軽い場合に、ワークとの接触面積を減らすためには、ワークが載置される全体的な構造の部分を全て交換することが必要となる。
【0007】
また、特許文献1のワーク支持具では、ワーク支持具が繰り返し使用されると、支持台の上面に設けられた凸部がワークと繰り返し接触し、凸部が摩耗することになる。このため、特許文献1のワーク支持具では、繰り返しの使用によって凸部が摩耗すると、凸部が設けられた支持台ごと交換することが必要となる。即ち、特許文献1のワーク支持具では、ワークと接触する部分が摩耗すると、ワークが載置される全体的な構造の部分を全て交換することが必要となる。
【0008】
尚、ワークに加熱処理を施す加熱装置において用いられるワーク支持具を構成する材料は、高温に長時間耐え得る材料であるため、材料費用自体が高価となり、材料を加工してワーク支持具を製作するための加工費用も高価となる。このため、特許文献1のワーク支持具では、ワークとの接触面積を減らしたい場合、或いは、ワークと接触する部分が摩耗した場合に、ワークが載置される全体的な構造の部分を全て交換することが必要であり、コスト的に好ましくないという問題がある。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みることにより、ワークの重量が軽い場合に、ワークが載置される全体的な構造の部分を変えることなくワークとの接触面積を減らしてワークの品質を向上させることができ、ワークと接触する部分が摩耗した場合であってもワークが載置される全体的な構造の部分を交換する必要がないワーク支持具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)上記課題を解決するために、本発明のある局面に係わるワーク支持具は、ワークに対して加熱処理を施す加熱装置において用いられ、前記ワークを支持するワーク支持具であって、前記ワークが載置されることで前記ワークを受ける受け部材と、前記受け部材の上面の面積より小さい前記ワークとの接触面を持ち、前記受け部材の上面に配置されて前記ワークの下端部と接触する複数の接触部材と、を備え、前記接触部材は、前記受け部材とは別体で前記受け部材に対して取り外し可能に設けられている。
【0011】
この構成によると、加熱装置でのワークの加熱処理の際には、ワークがワーク支持具に支持された状態で、ワークに加熱処理が施される。また、ワークは、ワーク支持具において、受け部材に載置され、受け部材の上面に配置された複数の接触部材と接触した状態で、支持される。このため、ワーク支持具に支持されるワークの下端面に対して、ワーク支持具は、受け部材の上面の接触部材で接触しワークの下端面を覆うことがなく、接触部材の小さい接触面積で接触するため、ワークの下端面の加熱処理品質を向上できる。
【0012】
そして、上記の構成によると、ワークと接触してワークを直接に支持する接触部材が、受け部材と別体で受け部材に対して取り外し可能に設けられている。このため、ワーク支持具で支持されるワークに応じて、受け部材の上面に配置する接触部材の数、即ち、ワークと接触してワークを直接に支持する接触部材の数を変更することができる。これにより、ワーク支持具からワークに作用する接触面圧が高くなりすぎてワークの下端面に跡が生じてしまう面圧水準よりも接触面圧を小さくできる範囲で、支持するワークに応じて、接触部材の数を変更することができる。よって、ワークの重量が軽い場合は、受け部材を変更することなく、受け部材上に配置されてワークと接触する接触部材の数を減らして、ワークをワーク支持具で支持することができる。即ち、ワークの重量が軽い場合には、受け部材上に配置する接触部材の数を減らすことでワークとの接触面積を減らすことができ、よりワークの下端面の加熱処理品質を向上できる。また、ワークが載置される全体的な構造の部分である受け部材を変える必要がない。よって、上記の構成によると、ワークの重量が軽い場合に、ワークが載置される全体的な構造の部分を変えることなくワークとの接触面積を減らしてワークの品質を向上させることができる。
【0013】
また、上記の構成によると、接触部材が受け部材と別体で受け部材に対して取り外し可能に設けられているため、ワーク支持具が繰り返し使用されて接触部材が摩耗したときには、接触部材のみを交換することができる。よって、ワーク支持具においてワークと接触する部分が摩耗した場合であっても、ワークが載置される全体的な構造を構成する部分である受け部材の全体を交換する必要がないワーク支持具を実現することができる。
【0014】
従って、上記の構成によると、ワークの重量が軽い場合に、ワークが載置される全体的な構造の部分を変えることなくワークとの接触面積を減らしてワークの品質を向上させることができ、ワークと接触する部分が摩耗した場合であってもワークが載置される全体的な構造の部分を交換する必要がないワーク支持具を提供することができる。
【0015】
(2)前記接触部材は、球形状または円柱状のころ形状の部材として設けられ、前記受け部材の上面において前記受け部材に対して転動可能に配置される場合がある。
【0016】
この構成によると、接触部材が、受け部材に対して転動可能なため、接触部材におけるワークに接触する位置を変更することができる。接触部材はワークに対して転動するため、例えば、ワークの支持のためにワークが受け部材に載置される度に、接触部材におけるワーク側を向く部分が変わり、接触部材におけるワークに接触する位置が変更されることになる。また、ワーク支持具で支持されたワークが何等かの影響で振動を受けた際には、受け部材上で接触部材が転動し、接触部材におけるワークに接触する位置が変更されることになる。そして、上記の構成によると、接触部材におけるワークに接触する位置を変更することができるため、接触部材に偏った摩耗が発生することを抑制でき、接触部材の使用寿命を長くすることができる。また、接触部材は、球形状または円柱状のころ形状の部材として設けられるため、多角形形状よりも製作し易くすることができる。
【0017】
(3)前記受け部材の上面には、複数の前記接触部材がそれぞれ転動自在に配置される複数の凹部が設けられ、前記凹部は、断面が前記接触部材の外径に合わせた円弧状の形状である場合がある。
【0018】
この構成によると、接触部材が配置される受け部材上の凹部は、断面が円弧状の形状である。このため、例えば断面が四角形状や多角形形状の凹部の場合に比べ、凹部と接触部材との接触面圧を小さくでき、耐摩耗性を向上できる。
【0019】
(4)前記ワークは、中空の部材であり、前記ワーク支持具は、前記受け部材の上面側に配置され、前記ワークの内周に当接して当該ワークを内側から支持する複数の支持部材を更に備え、前記支持部材は、前記受け部材とは別体で前記受け部材に対して取り外し可能に設けられている場合がある。
【0020】
この構成によると、ワーク支持具でワークを支持する際に、中空の部材として構成されたワークがワークの内周側からも支持されるため、中空の部材としてのワークを安定した状態で支持することができる。そして、上記の構成によると、支持部材が、受け部材とは別体で受け部材に対して取り外し可能に設けられているため、ワーク支持具で支持されるワークの内径が変わる場合であっても、ワークの内径に対応した寸法の支持部材に入れ替えることができる。このため、ワークの内径が変わる場合であっても、受け部材を変更することなく、支持部材を入れ替えるだけで、ワークをワーク支持具で安定した状態で支持することができる。
【0021】
(5)前記ワークは、金属製であり、前記接触部材は、少なくとも前記ワークに接触する表面部分がセラミック製である場合がある。
【0022】
この構成によると、金属製のワークに対して、接触部材は、少なくともワークに接触する表面部分がセラミックで構成されるため、ワーク支持具で支持されたワークに加熱処理が施される際に、接触部材とワークとが溶着してしまうことを抑制することができる。
【0023】
(6)前記ワークは、金属製であり、前記支持部材は、少なくとも前記ワークに接触する表面部分がセラミック製である場合がある。
【0024】
この構成によると、金属製のワークに対して、支持部材は、少なくともワークに接触する表面部分がセラミックで構成されるため、ワーク支持具で支持されたワークに加熱処理が施される際に、支持部材とワークとが溶着してしまうことを抑制することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によると、ワークの重量が軽い場合に、ワークが載置される全体的な構造の部分を変えることなくワークとの接触面積を減らしてワークの品質を向上させることができ、ワークと接触する部分が摩耗した場合であってもワークが載置される全体的な構造の部分を交換する必要がないワーク支持具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明の一実施の形態に係るワーク支持具が用いられる加熱装置を模式的に示す図である。
【
図2】
図2(A)は、加熱装置における加熱コイルを示す正面図であり、
図2(B)は、加熱コイルにワークが配置された状態を示す正面図である。
【
図3】加熱装置における加熱コイルにワークが配置された状態を示す斜視図である。
【
図4】本発明の一実施の形態に係るワーク支持具の斜視図である。
【
図6】ワーク支持具がワークを支持している状態を示す断面図である。
【
図7】ワーク支持具における受け部材を示す斜視図である。
【
図8】
図8(A)は、ワーク支持具における接触部材を示す斜視図であり、
図8(B)は、ワーク支持具における支持部材を示す斜視図である。
【
図9】
図9(A)及び
図9(B)は、ワーク支持具における接触部材の配置形態の例を示す図である。
【
図10】第1の変形例に係るワーク支持具を示す平面図であって、
図10(A)は、複数の接触部材の全てが受け部材に配置された状態を示す図であり、
図10(B)は、複数の接触部材のうちの一部が受け部材に配置されていない状態を示す図である。
【
図11】第2の変形例に係るワーク支持具を示す平面図であって、
図11(A)は、複数の接触部材の全てが受け部材に配置された状態を示す図であり、
図11(B)は、複数の接触部材のうちの一部が受け部材に配置されていない状態を示す図である。
【
図12】第3の変形例に係るワーク支持具を示す平面図であって、
図12(A)は、複数の接触部材の全てが受け部材に配置された状態を示す図であり、
図12(B)は、複数の接触部材のうちの一部が受け部材に配置されていない状態を示す図である。
【
図13】第4の変形例に係るワーク支持具を示す平面図である。
【
図14】
図13に示すワーク支持具の断面図であって、
図14(A)は、
図13のA-A線矢視位置での断面を示す断面図であり、
図14(B)は、
図13のB-B線矢視位置での断面を示す断面図である。
【
図15】
図13に示すワーク支持具における接触部材の配置形態の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しつつ説明する。尚、本発明は、ワークに対して加熱処理を施す加熱装置において用いられ、ワークを支持するワーク支持具として、種々の用途に広く適用することができるものである。以下の説明においては、まず、ワーク支持具が用いられる加熱装置について説明し、次いで、本発明の一実施の形態に係るワーク支持具について説明する。
【0028】
[加熱装置]
図1は、本発明の一実施の形態に係るワーク支持具1が用いられる加熱装置100を模式的に示す図である。
図2(A)は、加熱装置100における加熱コイル103を示す正面図であり、
図2(B)は、加熱コイル103にワーク10が配置された状態を示す正面図である。
図3は、加熱装置100における加熱コイル103にワーク10が配置された状態を示す斜視図である。
図1乃至
図3を参照して、加熱装置100は、被処理物としてのワーク10に対して加熱処理を施すための装置として構成されている。より具体的には、加熱装置100は、加熱コイル103によってワーク10に対して誘導加熱による加熱処理を施す装置として構成されている。尚、加熱装置100での加熱処理としては、例えば、焼鈍処理、焼き戻し処理、浸炭処理などを例示することができる。
【0029】
本実施形態では、加熱装置100にて加熱処理が施される被処理物としてのワーク10は、金属製の部材であり、例えば、鉄鋼材料で構成された部材である。また、加熱装置100にて加熱処理が施されるワーク10は、中空の部材であり、例えば、筒状に延びる中空の軸状の部材である。筒状に延びる中空の軸状の部材としてのワーク10としては、例えば、円筒状の鋼管、長手方向に沿って断面積がテーパ状に減少する中空の軸状の部材、長手方向に沿って段階的に段状に断面積が減少する中空の軸状の部材、多角形形状等の円形形状以外の断面形状を有する筒状の部材を例示することができる。尚、
図1では、ワーク10が、長手方向に沿って段階的に段状に断面積が減少する中空の軸状の部材として構成されている形態を例示している。
【0030】
また、加熱装置100において加熱処理されるワークとしては、中空の軸状の部材に限らず、円形断面の中実の軸状の部材、歯車又は軸受けなどの長さが短い部材も例示することができる。尚、長さが短い歯車又は軸受け等に対して加熱処理が施される場合は、歯車又は軸受け等が軸方向に複数重ねられた状態で加熱処理されてもよい。また、ワーク10の材料としては、例えば、SCM材(クロムモリブデン鋼鋼材)、SCr材(クロム鋼鋼材)、SNCM材(ニッケルクロムモリブデン鋼鋼材)、SUJ(高炭素クロム軸受鋼鋼材)等を例示することができる。
【0031】
加熱装置100は、搬送装置101、加熱槽102、加熱コイル103、回転駆動機構104、等を備えて構成されている。
【0032】
搬送装置101は、ワーク10を吊下げた状態で支持するとともに、支持したワーク10を加熱槽102に対して搬送する装置として構成されている。搬送装置101は、例えば、加熱槽102の上方に設置された本体部101aと、本体部101aに支持される水平移動部101bと、水平移動部101bに支持される上下移動部101cとを備えている。
【0033】
水平移動部101bは、本体部101aによって、鉛直軸回りに旋回するように駆動されることで水平方向に移動するように構成されている。
図1では、上下方向について両端矢印X1で示し、水平方向について両端矢印X2で示している。上下移動部101cは、ワーク10を吊下げた状態で支持するとともに、水平移動部101bによって駆動されて上下方向に沿って移動するように構成されている。また、上下移動部101cは、ワーク10を吊下げた状態で支持する支持軸101dを有している。支持軸101dは、上下方向に延びた状態で水平移動部101bによって上下方向に移動自在に支持されている。支持軸101dの下端部には、後述する本実施形態のワーク支持具1が取り付けられる。ワーク支持具1は、支持軸101dの下端部に取り付けられた状態で、ワーク10の下端部を受けてワーク10を支持するように構成されている。即ち、ワーク10は、支持軸101dに対して、支持軸101dの下端部に取り付けられたワーク支持具1を介して支持される。また、支持軸101dは、中空の軸状の部材としてのワーク10を上下方向に貫通した状態で、ワーク支持具1を介して、ワーク10を吊下げ支持するように構成されている。
【0034】
搬送装置101は、ワーク10を上下移動部101cで吊下げて支持した状態で、上下移動部101cを水平移動部101bによって駆動して下方に移動させ、ワーク10を加熱槽102内に上方から挿入する。そして、加熱槽102内にワーク10が挿入されると、搬送装置101は、例えば、水平移動部101bを本体部101aによって水平方向に駆動し、ワーク10が後述の加熱コイル103によって加熱される位置に到達するまでワーク10を移動させ、ワーク10を加熱コイル103に近接した位置に配置する。ワーク10が加熱コイル103に近接した位置に配置された状態で、ワーク10に対して加熱処理が施される。ワーク10の加熱処理が終了すると、搬送装置101は、例えば、水平移動部101bを本体部101aによって水平方向に駆動して、ワーク10を加熱コイル103から離間した位置まで移動させる。そして、搬送装置101は、上下移動部101cを水平移動部101bによって駆動して上方に移動させ、加熱槽102からワーク10を引き上げる。搬送装置101は、ワーク10を加熱槽102から引き上げると、例えば、ワーク10を次の処理に供するために、搬送する。
【0035】
加熱槽102は、ワーク10に対する加熱処理が行われる処理室を構成しており、ワーク10の加熱処理の際には、ワーク10が搬入される。加熱槽102は、例えば、上端側が開口した筒状の処理室として構成され、ワーク10の搬入の際には、ワーク10は、加熱槽102に対して、上端側の開口から挿入される。尚、加熱槽102は、上端側が開口した筒状の処理室として設けられていなくてもよい。例えば、加熱槽102は、正面側に開閉自在な扉が設けられた処理室として構成されていてもよい。この場合、ワーク10は、加熱槽102の扉が開放された状態で加熱槽102に対して搬入される。加熱槽102が、正面側に開閉自在な扉が設けられた構成の場合、搬送装置101は用いられずに、ワーク10の加熱槽102への搬出入が行われる。尚、加熱装置100がワーク10に対して加熱処理として浸炭処理を施すように構成される場合は、加熱槽102の内部には、浸炭ガスが供給される。また、加熱槽102内には、加熱コイル103が配置されている。
【0036】
加熱コイル103は、加熱槽102内に配置されており、加熱槽102内に搬入されたワーク10に対して誘導加熱によって加熱処理を施すように構成されている。加熱コイル103によってワーク10に対して加熱処理が行われる際には、支持軸101d及びワーク支持具1によって支持されたワーク10が、加熱コイル103に近接した位置に配置される。そして、ワーク10が加熱コイル103に近接して配置された状態で、加熱コイル103に対して高周波電流が供給されることで、ワーク10に対して誘導加熱による加熱処理が施される。
【0037】
図1、
図2(B)、及び
図3に示すように、ワーク10に加熱処理が施される際には、支持軸101d及びワーク支持具1によって支持されたワーク10は、加熱コイル103に近接した位置である加熱位置に配置される。そして、加熱コイル103は、ワーク10が加熱位置に配置された状態において、中空の軸状の部材として設けられたワーク10の周囲でワーク10の上下方向の全長に亘ってワーク10を取り囲んだ状態で延びるように設けられる。より具体的には、加熱コイル103は、高周波電源(図示省略)に対して接続される一端部103a及び他端部103bと、一端部103aと他端部103bとの間で連続して延びる第1電流路103c、第2電流路103d、第3電流路103e、第4電流路103f、及び第5電流路103gとを備えて構成されている。
【0038】
加熱コイル103の第1電流路103c、第2電流路103d、第3電流路103e、第4電流路103f、及び第5電流路103gは、一端部103aと他端部103bとの間において、この順番で連続して延びるとともに、加熱位置に配置されたワーク10の周囲を上下方向に亘ってワーク10を取り囲んだ状態で延びるように設けられている。第1電流路103cは、一端部103aからワーク10の上下方向に沿って下方に延びるように設けられている。第2電流路103dは、第1電流路103cの下端から連続して延びるとともに、ワーク10の下端部の近傍においてワーク10の周方向に沿ってワーク10の周方向の略半周近くに亘って延びるように設けられている。第3電流路103eは、第2電流路103dから連続して延びるとともに、ワーク10の上下方向に沿って上方に延びるように設けられている。第4電流路103fは、第3電流路103eの上端から連続して延びるとともに、ワーク10の上端部の近傍においてワーク10の周方向に沿ってワーク10の周方向の略半周近くに亘って延びるように設けられている。第5電流路103gは、第4電流路103fから連続して延びるとともに、ワーク10の上下方向に沿って下方に延び、他端部103bに連続するように設けられている。加熱コイル103は、このように、上下方向に延びる第1電流路103c、第3電流路103e、及び第5電流路103gが設けられていることで、加熱位置に配置されたワーク10の周囲を上下方向に亘ってワーク10を取り囲んだ状態で延びるように構成されている。
【0039】
尚、加熱コイル103の形態は、第1乃至第5電流路(103c~103g)が設けられた上述の形態でなくてもよい。加熱コイル103は、ワーク10の周囲で電流が流れる電流路を形成し、ワーク10に対して誘導加熱を行うことができる形態であればよい。例えば、加熱コイル103は、上下方向に沿って螺旋状に延びる電流路を有し、螺旋状に延びる電流路で周囲を囲まれた領域にワーク10が配置されるように構成されていてもよい。
【0040】
回転駆動機構104は、搬送装置101の支持軸101dとワーク支持具1とによって支持された状態で加熱槽102に配置されたワーク10を鉛直軸回りに回転駆動する機構として設けられている。回転駆動機構104は、駆動モータ104aと、駆動軸104bと、支持台104cとを備えて構成されている。駆動モータ104aは、電動モータとして設けられ、駆動軸104bと連結されている。駆動軸104bは、上下方向に延びた状態で駆動モータ104aに連結され、駆動モータ104aによって鉛直軸回りで回転駆動されるように設けられている。支持台104cは、駆動軸104bの上端部に設けられ、ワーク10を支持したワーク支持具1が連結される台として構成されている。支持台104cは、加熱コイル103の下端側における内側に配置されている。
【0041】
ワーク10の加熱処理の際には、ワーク支持具1に支持された状態で支持軸101dに吊下げ支持されたワーク10は、搬送装置101によって搬送され、加熱コイル103に対して近接した加熱位置に配置される。ワーク10が加熱コイル103に対して加熱位置に配置された状態において、回転駆動機構104の支持台104cとワーク支持具1とが連結される。支持台104cとワーク支持具1とは、例えば、支持台104cの上端部に設けられた嵌合凸部104dと、ワーク支持具1の下端部に設けられた嵌合孔とが嵌り合うことで連結される。ワーク10の加熱処理の際には、ワーク10が加熱コイル103に対して加熱位置に配置され、支持台104cとワーク支持部1とが連結された状態で、駆動モータ104aの作動によって駆動軸104bが回転駆動される。駆動軸104bの回転とともに支持台104cが回転し、支持台104cに連結されたワーク支持部1とともにワーク支持具1に支持されたワーク10が鉛直軸回りで回転駆動される。尚、ワーク支持具1に連結された支持軸101dは、水平移動部101bに対して回転自在に支持されており、ワーク支持部1とともにワーク10が回転する際には、ワーク支持具1が取り付けられた支持軸101dも回転する。ワーク10の加熱処理の際には、ワーク10は加熱コイル103による誘導加熱によって加熱されるとともに、回転駆動機構104によって鉛直軸回りで回転駆動される。これにより、ワーク10が周方向において均一に加熱される。
【0042】
[ワーク支持具の全体構成]
次に、本発明の一実施の形態に係るワーク支持具1について詳細に説明する。
図4は、本発明の一実施の形態に係るワーク支持具1の斜視図である。
図5は、ワーク支持具1の平面図である。
図6は、ワーク支持具1がワーク10を支持している状態を示す断面図である。尚、
図6の断面図では、ワーク10を支持している状態のワーク支持具1の断面について、ワーク10の下端側の部分の断面、及び、搬送装置101の支持軸101dの下端側の部分の断面とともに示している。尚、以下の説明では、
図4及び
図6において、両端矢印X1で示すように、ワーク支持具1の上下方向X1を定義する。ワーク支持具1における上下方向X1は、ワーク支持具1が搬送装置101の支持軸101dに取り付けられて加熱装置100において用いられる状態での上下方向を基準として定義される。
【0043】
図1乃至
図6を参照して、ワーク支持具1は、ワーク10に対して加熱処理を施す加熱装置100において用いられ、ワーク10を支持する支持具として構成されている。加熱装置100において、ワーク支持具1を用いてワーク10が支持される際には、まず、搬送装置101の支持軸101dが、中空の軸状の部材としてのワーク10に挿入され、支持軸101dがワーク10を軸方向に貫通した状態で、ワーク10が搬送装置101に対して配置される。この状態で、ワーク支持具1が、支持軸101dの下端部に取り付けられ、ワーク10の下端部がワーク支持具1によって支持される。これにより、ワーク10は、ワーク支持具1を介して、搬送装置101の支持軸101dに吊下げ支持された状態となる。
【0044】
図4乃至
図6を参照して、ワーク支持具1は、受け部材11と、複数の接触部材12と、複数の支持部材13とを備えて構成されている。
【0045】
[受け部材]
図7は、ワーク支持具1における受け部材11を示す斜視図である。
図4乃至
図7を参照して、受け部材11は、ワーク10が載置されることでワーク10を受ける部材として設けられている。受け部材11は、鉄鋼材料で構成されており、例えば、ステンレス鋼で構成されている。また、受け部材11は、ステンレス鋼として構成される場合は、例えば、SUS304で構成されている。
【0046】
受け部材11は、基本的な外形形状が円盤状に形成された部材として設けられている。受け部材11の外形は、ワーク支持具1の基本的な外形を構成しているため、ワーク支持具1の基本的な外形は、略円盤状の形状となる。尚、加熱装置100においては、前述のように、ワーク支持具1は、ワーク10を支持した状態で回転駆動機構104の支持台104cに連結され、ワーク支持具1で支持されたワーク10が、加熱コイル103に対して加熱コイル103に近接した加熱位置に配置される。この状態で、回転駆動機構104の回転によって、ワーク支持具1とともにワーク10が加熱コイル103に近接した位置で回転駆動され、加熱コイル103の誘導加熱によってワーク10が周方向において均一に加熱される。そして、ワーク支持具1は、略円盤状の形状に形成されている。このため、ワーク支持具1は、加熱コイル103に近接した位置でワーク10とともに回転できるように構成されている。
【0047】
また、円盤状に形成された受け部材11は、一体に設けられた外側部分14と内側部分15とを備えて構成されている。外側部分14は、円盤状の受け部材11における径方向外側の部分として設けられており、外周形状が円形形状に形成され、径寸法に比して高さ寸法が小さい薄型の円筒状の部分として設けられている。受け部材11にワーク10が載置される際には、ワーク10の下端部が、外側部分14の上面14aに対して載置される。
【0048】
内側部分15は、円盤状の受け部材11における径方向内側の部分として設けられており、外周形状が円形形状に形成され、径寸法に比して高さ寸法が小さい円柱状の部分として設けられている。内側部分15の外周の径寸法は、外側部分14の内周の径寸法よりも小さく設定されており、内側部分15が、外側部分14の内側に配置されている。外側部分14と内側部分15とは同心状に配置されている。また、内側部分15の高さ寸法は、外側部分14の高さ寸法よりも大きく設定されている。受け部材11の外側部分14にワーク10が載置された状態では、内側部分15の上端側の部分は、中空の軸状の部材であるワーク10において軸方向に延びる貫通孔10aの内側に配置される(
図6を参照)。
【0049】
外側部分14と内側部分15とは、一体に設けられており、複数の架橋部16によって一体に結合されている。複数の架橋部16のそれぞれは、受け部材11の径方向に延びて外側部分14と内側部分15とを一体に架橋するように構成されており、本実施形態では、複数の架橋部16は、4つ設けられている。
【0050】
また、受け部材11の上面には、後述する複数の接触部材12がそれぞれ転動自在に配置される複数の凹部17が設けられている。本実施形態では、複数の凹部17として、12個の凹部17が設けられている。複数の凹部17は、受け部材11の外側部分14の上面14aにおいて設けられている。複数の凹部17は、外側部分14の上面14aにおいて、外側部分14の周方向に沿って等角度間隔で並んで設けられている。複数の凹部17のそれぞれは、外側部分14の上面14aにおいて半円柱状に凹んだ領域として形成されている。尚、半円柱状に凹んだ各凹部17は、円柱軸方向が外側部分14の径方向に延びた状態で、外側部分14の上面14aに設けられている。そして、各凹部17は、その断面形状が、円弧状の形状に形成されている。更に、各凹部17は、その断面形状が、円柱状のころ部材として設けられる後述の接触部材12の外形に合わせた円弧状の形状に形成されている。
【0051】
また、受け部材11の上面側には、後述する複数の支持部材13がそれぞれ嵌め込まれて取り付けられる複数の取り付け溝18が設けられている。本実施形態では、複数の取り付け溝18として、4個の取り付け溝18が設けられている。複数の取り付け溝18は、受け部材11の内側部分15の上面側において設けられており、複数の架橋部16に対応する位置に設けられている。複数の取り付け溝18のそれぞれは、内側部分15の上面側において、内側部分15の径方向に延びる溝として設けられている。
【0052】
また、受け部材11には、内側部分15において、貫通孔19が設けられている。貫通孔19は、内側部分15における径方向の中央に設けられて内側部分15を上下方向X1に貫通する孔として設けられている。ワーク支持具1が搬送装置101の支持軸101dの下端部に取り付けられる際には、ワーク支持具1は、受け部材11の貫通孔19において支持軸101dの下端部に対して取り付けられる。尚、支持軸101dの下端部の外周には、オネジ溝が設けられ、受け部材11の貫通孔19の内周の上半側の部分には、支持軸101dの下端部のオネジ溝に螺合するメネジ溝が設けられている。ワーク支持具1は、受け部材11の貫通孔19の内周の上半側のメネジ溝と支持軸101dの下端部の外周のオネジ溝とが螺合することで、支持軸101dの下端部に取り付けられるように構成されている。尚、ワーク支持具1と支持軸101dとは、螺合によって取り付けられる形態に限らず、他の形態によってワーク支持具1が支持軸101dに取り付けられてもよい。例えば、内側部分15に対して内側部分15の径方向に沿って螺合するボルトが設けられ、貫通孔19に挿入された支持軸101dの下端部に対してボルトが締め込まれることで、ワーク支持具1が支持軸101dに対して固定されて取り付けられる形態が実施されてもよい。
【0053】
また、受け部材11の貫通孔19における下半側の部分は、回転駆動機構104の支持台104cの上端部に設けられた嵌合凸部104dと嵌り合う嵌合孔として構成されている。ワーク10の加熱処理の際には、搬送装置101の支持軸101dの下端部に取り付けられてワーク10を支持した状態のワーク支持具1は、受け部材11の貫通孔19の下半側の部分が支持台104cの嵌合凸部104dに嵌るようにして、支持台104cに配置される。このように、受け部材11の貫通孔19と支持台104cの嵌合凸部104dとが嵌合することで、ワーク支持具1と支持台104cとが連結される。尚、ワーク支持具1と支持台104cとは、貫通孔19と嵌合凸部104dとの嵌合によって連結される形態に限らず、他の形態によってワーク支持具1と支持台104cとが連結されてもよい。例えば、受け部材11の下面に凹部及び凸部の一方が設けられ、支持台104cの上面に凹部及び凸部の他方が設けられ、受け部材11及び支持台104cにおける凹部と凸部とが嵌り合うことで、ワーク支持具1が支持台104cに連結される形態が実施されてもよい。
【0054】
[接触部材]
図8(A)は、ワーク支持具1における接触部材12を示す斜視図である。
図4、
図5、
図6、及び
図8(A)を参照して、ワーク支持具1には、複数の接触部材12が備えられている。本実施形態では、複数の接触部材12として、12個の接触部材12が備えられている。複数の接触部材12は、受け部材11の上面に配置されてワーク10の下端部と接触する部材として設けられている。
【0055】
複数の接触部材12は、受け部材11に対して、外側部分14の上面14aにおいて配置される。そして、外側部分14の上面14aに配置された複数の接触部材12のそれぞれが、ワーク10の下端部と接触するように設けられている。また、複数の接触部材12は、受け部材11の上面の面積より小さいワーク10との接触面積を持つように構成されている。即ち、複数の接触部材12は、複数の接触部材12とワーク10とが接触する接触面積の合計面積が、受け部材11の上面の面積よりも小さくなるように、構成されている。更に、本実施形態では、複数の接触部材12は、複数の接触部材12とワーク10とが接触する接触面積の合計面積が、受け部材11においてワーク10が直接的に載置される外側部分14の上面14aの面積よりも小さくなるように、構成されている。
【0056】
また、複数の接触部材12のそれぞれは、受け部材11とは別体の部材として設けられており、受け部材11に対して取り外し可能な部材として設けられている。そして、本実施形態では、複数の接触部材12のそれぞれは、円柱状のころ部材として設けられており、受け部材11の外側部分14の上面14aにおいて受け部材11に対して転動可能に配置されている。より具体的には、複数の接触部材12のそれぞれは、受け部材11の外側部分14の上面14aに設けられた複数の凹部17のそれぞれに対して、転動自在な状態で嵌め込まれるようにして配置される。
【0057】
接触部材12は、円柱状に形成されており、受け部材11における凹部17は、半円柱状に窪むように形成されている。そして、接触部材12が配置される凹部17は、断面が接触部材12の外径に合わせた円弧状の形状に形成されている。即ち、半円柱状に窪んだ凹部17の断面の円弧の直径寸法は、円柱状の接触部材12の円形断面の直径寸法に合わせて設定されている。
【0058】
受け部材11に接触部材12が配置される際には、接触部材12は、円柱軸方向が受け部材11の径方向に沿って延びた状態で、受け部材11の凹部17に配置される。そして、接触部材12が凹部17に配置されることで、接触部材12は、その円柱状の周囲側面の略半分の部分が受け部材11の外側部分14の上面14aから半円状に盛り上がって露出した状態で、受け部材11に対して配置される。複数の接触部材12が複数の凹部17に配置された状態で、受け部材11の外側部分14の上面14aにワーク10が載置されると、ワーク10の下端部は、上面14aとは直接には接触せず、複数の接触部材12と接触した状態となる。この状態では、複数の接触部材12のそれぞれは、周囲側面の一部において、ワーク10の下端部に対して、線接触状態又は線接触状態に近い状態で、接触している。
【0059】
また、接触部材12は、少なくともワーク10に接触する表面部分がセラミック製である部材として設けられている。より具体的には、接触部材12は、円柱状の母材部分が鉄鋼材料で形成されており、更に、その円柱状の母材部分の表面に対してセラミックを溶射することで形成されたセラミックコーティング層が設けられている。尚、接触部材12における円柱状の母材部分を構成する鉄鋼材料としては、例えば、ステンレス鋼が用いられる。また、母材部分がステンレス鋼で構成される場合は、例えば、母材部分は、SUS304で構成される。また、接触部材12の表面のセラミックコーティング層を構成するセラミック材料としては、例えば、ジルコニアが用いられる。
【0060】
接触部材12は、上記の通り、少なくともワーク10に接触する表面部分がセラミック製であり、金属製のワーク10とは異なる材料で形成されている。尚、接触部材12の表面部分を構成するセラミックとは、非金属・無機物の固体材料であり、鉄やアルミ、銅などの金属材料やプラスチックや、木材などの有機材料以外が該当する。より具体的には、セラミックとして代表的な、陶磁器・耐火物(耐火煉瓦)・ガラス・セメントなどオールドセラミックや、ニューセラミック(ファインセラミック)が該当する。また、上述の通り、接触部材12の表面部分を構成するセラミック材料としてジルコニアを用いることができる。尚、ジルコニア(化学式:ZrO2)は、ジルコニウムの酸化物である二酸化ジルコニウムのことである。ジルコニアは、常態では白色の個体として存在しており、常圧での融点が2700℃と高く、耐熱性セラミックスの材料として利用できる。このため、接触部材12の表面部分がジルコニアで構成されることで、加熱装置100において用いられるワーク支持具1の接触部材12の耐熱性を向上させることができる。
【0061】
尚、本実施形態では、接触部材12の母材部分が鉄鋼材料で構成され、接触部材12の表面部分がセラミック材料で構成された形態を例示したが、この通りでなくてもよい。接触部材12は、少なくともワーク10に接触する表面部分がセラミック製であればよく、接触部材12の全体が、セラミック材料で構成されていてもよい。例えば、接触部材12の全体が、ジルコニアで構成されていてもよい。
【0062】
[支持部材]
図8(B)は、ワーク支持具1における支持部材13を示す斜視図である。
図4、
図5、
図6、及び
図8(B)を参照して、ワーク支持具1には、複数の支持部材13が備えられている。本実施形態では、複数の支持部材13として、4個の支持部材13が備えられている。複数の支持部材13は、受け部材11の上面側に配置され、中空の軸状の部材であるワーク10の内周に当接してワーク10を内側から支持する部材として設けられている。
【0063】
複数の支持部材13のそれぞれは、受け部材11とは別体の部材として設けられており、受け部材11に対して取り外し可能な部材として設けられている。また、複数の支持部材13のそれぞれは、プレート状の部材として設けられており、受け部材11の内側部分15に設けられた複数の取り付け溝18のそれぞれに対して嵌め込まれて取り付けられるように構成されている。また、支持部材13は、プレート状の支持部材13における平坦に広がる両側面が上下方向X1及び内側部分15の径方向に沿って広がる状態で、取り付け溝18に嵌め込まれて取り付けられる。
【0064】
また、支持部材13は、取り付け溝18に嵌め込まれて取り付けられた状態では、プレート状の支持部材13の略半分の部分が取り付け溝18内に収納された状態で、受け部材11の上面側に配置される。そして、支持部材13における取り付け溝18から突出した部分は、受け部材11の架橋部16上で受け部材11の径方向に沿って延びるように配置される。尚、本実施形態では、受け部材11の取り付け溝18と支持部材13とは、4個ずつ設けられている。そして、取り付け溝18は、内側部分15において周方向に沿って90°間隔で配置されている。このため、支持部材13が取り付け溝18に嵌め込まれて受け部材11に取り付けられた状態では、支持部材13は、内側部分15の周方向に沿って90°間隔で配置される。
【0065】
また、内側部分15に取り付けられた支持部材13において、取り付け溝18から突出して受け部材11の径方向に沿って延びる端部には、湾曲面13aとテーパ面13bとが設けられている。湾曲面13aは、円弧状の断面で上下方向X1に沿って延びる面として設けられている。ワーク10が受け部材11の上面に載置されてワーク10の下端部と複数の接触部材12とが接触した状態では、内側部分15に取り付けられた支持部材13は、中空の軸状の部材であるワーク10において軸方向に延びる貫通孔10aの内側に配置される。そして、湾曲面13aは、ワーク10が受け部材11の上面に載置された状態で、ワーク10の貫通孔10aの内周に対して接触する面として設けられている。そして、受け部材11の上面に載置されたワーク10の貫通孔10aの内周に対しては、複数の支持部材13のそれぞれの湾曲面13aが接触する。ワーク10の貫通孔10aの内周に複数の支持部材13の湾曲面13aが接触して当接していることで、ワーク10が、複数の支持部材13によって内側から支持される。また、本実施形態では、内側部分15の周方向に沿って90°間隔で配置された支持部材13の湾曲面13aが、ワーク10の内周における周方向に90°間隔で離れた位置においてワーク10の内周に当接し、ワーク10を内側から支持する。このため、複数の支持部材13によって、ワーク10を内側から安定して支持することができる。
【0066】
支持部材13のテーパ面13bは、湾曲面13aと上下方向X1において並んで設けられ、湾曲面13aの上側に設けられている。テーパ面13bは、上下方向X1に対して斜めに延びる面として設けられ、下方から上方に向かうにつれて受け部材11の径方向の内側に向かって斜めに延びる面として設けられている。ワーク10が受け部材11に載置される際には、ワーク10の貫通孔10aの内周は、テーパ面13bによって案内されて湾曲面13aに接触する位置に到達する。
【0067】
また、支持部材13は、少なくともワーク10に接触する表面部分がセラミック製である部材として設けられている。より具体的には、支持部材13は、プレート状の母材部分が鉄鋼材料で形成されており、更に、そのプレート状の母材部分の表面に対してセラミックを溶射することで形成されたセラミックコーティング層が設けられている。尚、支持部材13におけるプレート状の母材部分を構成する鉄鋼材料としては、例えば、ステンレス鋼が用いられる。また、母材部分がステンレス鋼で構成される場合は、例えば、母材部分は、SUS304で構成される。また、支持部材13の表面のセラミックコーティング層を構成するセラミック材料としては、例えば、ジルコニアが用いられる。支持部材13は、上記の通り、少なくともワーク10に接触する表面部分がセラミック製であり、金属製のワーク10とは異なる材料で形成されている。
【0068】
[接触部材の受け部材への配置形態]
ワーク支持具1においては、複数の接触部材12のそれぞれは、受け部材11とは別体で受け部材11に対して取り外し可能に設けられている。このため、ワーク支持具1で支持する対象のワーク10に応じて、受け部材11の上面に配置する接触部材12の数を変更することができる。
【0069】
ワーク支持具1で支持する対象のワーク10の重量が重い場合、
図4及び
図5に示すように、複数の接触部材12の全てを受け部材11の上面に配置し、全ての接触部材12によってワーク10を支持することができる。即ち、この場合、12個の接触部材12の全てを受け部材11における12個の凹部17の全てに対してそれぞれ配置し、12個の接触部材12でワーク10を支持することができる。これに対し、ワーク支持具1で支持する対象のワーク10の重量が軽い場合、受け部材11の上面に配置する接触部材12の数を減らすことができる。
【0070】
図9(A)及び
図9(B)は、ワーク支持具1における接触部材12の配置形態の例を示す図である。
図9(A)では、12個の接触部材12のうち、8個の接触部材12が受け部材11の上面に配置された形態を例示している。即ち、
図9(A)では、受け部材11における12個の凹部17のうちの8個の凹部17に対して、接触部材12が配置され、4個の凹部17には接触部材12が配置されていない形態を例示している。ワーク支持具1で支持する対象のワーク10の重量が軽くなり、中程度の重量である場合、例えば、
図9(A)に示すように、受け部材11の上面に配置する接触部材12の数を8個に減らしてワーク10を支持し、ワーク10との接触面積を減らすことができる。
【0071】
また、
図9(B)では、12個の接触部材12のうち、4個の接触部材12が受け部材11の上面に配置された形態を例示している。即ち、
図9(B)では、受け部材11における12個の凹部17のうちの4個の凹部17に対して、接触部材12が配置され、8個の凹部17には接触部材12が配置されていない形態を例示している。ワーク支持具1で支持する対象のワーク10の重量が更に軽量である場合、例えば、
図9(B)に示すように、受け部材11の上面に配置する接触部材12の数を4個に減らしてワーク10を支持し、ワーク10との接触面積を減らすことができる。
【0072】
[本実施形態の作用効果]
以上説明したように、本実施形態によると、加熱装置100でのワーク10の加熱処理の際には、ワーク10がワーク支持具1に支持された状態で、ワーク10に加熱処理が施される。また、ワーク10は、ワーク支持具1において、受け部材11に載置され、受け部材11の上面に配置された複数の接触部材12と接触した状態で、支持される。このため、ワーク支持具1に支持されるワーク10の下端面に対して、ワーク支持具1は、受け部材11の上面の接触部材12で接触しワーク10の下端面を覆うことがなく、接触部材12の小さい接触面積で接触するため、ワーク10の下端面の加熱処理品質を向上できる。
【0073】
そして、本実施形態によると、ワーク10と接触してワーク10を直接に支持する接触部材12が、受け部材11と別体で受け部材11に対して取り外し可能に設けられている。このため、ワーク支持具1で支持されるワーク10に応じて、受け部材11の上面に配置する接触部材12の数、即ち、ワーク10と接触してワーク10を直接に支持する接触部材12の数を変更することができる。これにより、ワーク支持具1からワーク10に作用する接触面圧が高くなりすぎてワーク10の下端面に跡が生じてしまう面圧水準よりも接触面圧を小さくできる範囲で、支持するワーク10に応じて、接触部材12の数を変更することができる。よって、ワーク10の重量が軽い場合は、受け部材11を変更することなく、受け部材11上に配置されてワーク10と接触する接触部材12の数を減らして、ワーク10をワーク支持具1で支持することができる。即ち、ワーク10の重量が軽い場合には、受け部材11上に配置する接触部材12の数を減らすことでワーク10との接触面積を減らすことができ、よりワーク10の下端面の加熱処理品質を向上できる。また、ワーク10が載置される全体的な構造の部分である受け部材11を変える必要がない。よって、本実施形態によると、ワーク10の重量が軽い場合に、ワーク10が載置される全体的な構造の部分を変えることなくワーク10との接触面積を減らしてワーク10の品質を向上させることができる。
【0074】
また、本実施形態によると、接触部材12が受け部材11と別体で受け部材11に対して取り外し可能に設けられているため、ワーク支持具1が繰り返し使用されて接触部材12が摩耗したときには、接触部材12のみを交換することができる。よって、ワーク支持具1においてワーク10と接触する部分が摩耗した場合であっても、ワーク10が載置される全体的な構造を構成する部分である受け部材11の全体を交換する必要がないワーク支持具1を実現することができる。
【0075】
従って、本実施形態によると、ワーク10の重量が軽い場合に、ワーク10が載置される全体的な構造の部分を変えることなくワーク10との接触面積を減らしてワーク10の品質を向上させることができ、ワーク10と接触する部分が摩耗した場合であってもワーク10が載置される全体的な構造の部分を交換する必要がないワーク支持具1を提供することができる。
【0076】
また、本実施形態によると、接触部材12が、受け部材11に対して転動可能なため、接触部材12におけるワーク10に接触する位置を変更することができる。接触部材12はワーク10に対して転動するため、例えば、ワーク10の支持のためにワーク10が受け部材11に載置される度に、接触部材12におけるワーク10側を向く部分が変わり、接触部材12におけるワーク10に接触する位置が変更されることになる。また、ワーク支持具1で支持されたワーク10が何等かの影響で振動を受けた際には、受け部材11上で接触部材12が転動し、接触部材12におけるワーク10に接触する位置が変更されることになる。そして、本実施形態によると、接触部材12におけるワーク10に接触する位置を変更することができるため、接触部材12に偏った摩耗が発生することを抑制でき、接触部材12の使用寿命を長くすることができる。また、接触部材12は、円柱状のころ形状の部材として設けられるため、多角形形状よりも製作し易くすることができる。
【0077】
また、本実施形態によると、接触部材12が配置される受け部材11上の凹部17は、断面が円弧状の形状である。このため、例えば断面が四角形状や多角形形状の凹部の場合に比べ、凹部と接触部材との接触面圧を小さくでき、耐摩耗性を向上できる。
【0078】
また、本実施形態によると、ワーク支持具1でワーク10を支持する際に、中空の部材として構成されたワーク10がワーク10の内周側からも支持されるため、中空の部材としてのワーク10を安定した状態で支持することができる。そして、本実施形態によると、支持部材13が、受け部材11とは別体で受け部材11に対して取り外し可能に設けられているため、ワーク支持具1で支持されるワーク10の内径が変わる場合であっても、ワーク10の内径に対応した寸法の支持部材13に入れ替えることができる。このため、ワーク10の内径が変わる場合であっても、受け部材11を変更することなく、支持部材13を入れ替えるだけで、ワーク10をワーク支持具1で安定した状態で支持することができる。
【0079】
また、本実施形態によると、金属製のワーク10に対して、接触部材12は、少なくともワーク10に接触する表面部分がセラミックで構成されるため、ワーク支持具1で支持されたワーク10に加熱処理が施される際に、接触部材12とワーク10とが溶着してしまうことを抑制することができる。
【0080】
また、本実施形態によると、金属製のワーク10に対して、支持部材13は、少なくともワーク10に接触する表面部分がセラミックで構成されるため、ワーク支持具1で支持されたワーク10に加熱処理が施される際に、支持部材13とワーク10とが溶着してしまうことを抑制することができる。
【0081】
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前述の実施形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々に変更して実施することができるものである。例えば、次のような変形例が実施されてもよい。尚、以下の変形例の説明においては、前述の実施形態と異なる点について説明し、前述の実施形態と同様の構成或いは対応する構成については、図面において同一の符号を付すことで、或いは同一の符号を引用することで、重複する説明を省略する。
【0082】
(1)前述の実施形態では、複数の接触部材12として12個の接触部材12が受け部材11の上面に配置される形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。
図10は、第1の変形例に係るワーク支持具1aを示す平面図であって、
図10(A)は、複数の接触部材12の全てが受け部材11に配置された状態を示す図であり、
図10(B)は、複数の接触部材12のうちの一部が受け部材11に配置されていない状態を示す図である。
【0083】
図10に示す第1の変形例に係るワーク支持具1aにおいては、複数の接触部材12として8個の接触部材12が備えられている。そして、ワーク支持具1aの受け部材11においては、8個の接触部材12に対応して、8個の凹部17が、受け部材11の外側部分14の上面14aに設けられている。8個の凹部17は、受け部材11の外側部分14の上面14aにおいて、周方向に沿って等角度間隔で設けられている。
【0084】
ワーク支持具1aにおいては、8個の接触部材12のそれぞれは、受け部材11とは別体で受け部材11に対して取り外し可能に設けられている。このため、ワーク支持具1aで支持する対象のワーク10に応じて、受け部材11の上面に配置する接触部材12の数を変更することができる。
【0085】
ワーク支持具1aで支持する対象のワーク10の重量が重い場合、
図10(A)に示すように、8個の接触部材12の全てを受け部材11の上面に配置し、全ての接触部材12によってワーク10を支持することができる。即ち、この場合、8個の接触部材12の全てを受け部材11における8個の凹部17の全てに対してそれぞれ配置し、8個の接触部材12でワーク10を支持することができる。これに対し、ワーク支持具1aで支持する対象のワーク10の重量が軽い場合、受け部材11の上面に配置する接触部材12の数を減らすことができる。
【0086】
図10(B)では、8個の接触部材12のうち、4個の接触部材12が受け部材11の上面に配置された形態を例示している。即ち、
図10(B)では、受け部材11における8個の凹部17のうちの4個の凹部17に対して、接触部材12が配置され、残りの4個の凹部17には接触部材12が配置されていない形態を例示している。ワーク支持具1aで支持する対象のワーク10の重量が軽くなり、例えば、8個全ての接触部材12で支持する必要がある場合に比してワーク10の重量が半分以下である場合、
図10(B)に示すような接触部材12の配置とすることができる。即ち、受け部材11の上面に配置する接触部材12の数を4個に減らしてワーク10を支持し、ワーク10との接触面積を減らすことができる。
【0087】
上述のように、受け部材11の上面に配置可能な複数の接触部材12の数については、前述の実施形態で例示した12個の形態に限らず、第1の変形例のワーク支持具1aのように、11個以下の数に設定されてもよい。また、受け部材11の上面に配置可能な複数の接触部材12の数は、13個以上の数に設定されてもよい。
【0088】
(2)前述の実施形態では、複数の接触部材12が受け部材11の上面において周方向に沿って等角度間隔で配置される形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。
図11は、第2の変形例に係るワーク支持具1bを示す平面図であって、
図11(A)は、複数の接触部材12の全てが受け部材11に配置された状態を示す図であり、
図11(B)は、複数の接触部材12のうちの一部が受け部材11に配置されていない状態を示す図である。
【0089】
図11に示す第2の変形例に係るワーク支持具1bにおいては、複数の接触部材12として4個の接触部材12が備えられている。そして、ワーク支持具1bの受け部材11においては、4個の接触部材12に対応して、4個の凹部17が、受け部材11の外側部分14の上面14aに設けられている。4個の凹部17は、受け部材11の外側部分14の上面14aにおいて、周方向に沿って等角度間隔で設けられておらず、異なる角度間隔で設けられている。
【0090】
ワーク支持具1bにおいては、4個の接触部材12として、接触部材12a、12b、12c、12dが備えられている。そして、ワーク支持具1bの受け部材11においては、4個の凹部17として、凹部17a、17b、17c、17dが、外側部分14の上面14aに設けられている。そして、例えば、接触部材12aが凹部17aに配置され、接触部材12bが凹部17bに配置され、接触部材12cが凹部17cに配置され、接触部材12dが凹部17dに配置される。
【0091】
4個の凹部17a、17b、17c、17dは、受け部材11の外側部分14の上面14aにおいて、受け部材11を上方から視た状態でこの順番で時計回りに、周方向に沿って並んで設けられている。外側部分14の周方向における凹部17a~17dの配置角度間隔は、凹部17aと凹部17bとの間の角度間隔が120°、凹部17bと凹部17cとの間の角度間隔が60°、凹部17cと凹部17dとの間の角度間隔が60°、凹部17dと凹部17aとの間の角度間隔が120°に設定されている。このため、凹部17a~17dに接触部材12a~12dがそれぞれ配置された状態では、外側部分14の周方向における接触部材12a~12dの配置角度間隔は、凹部17a~17dの配置角度間隔と同じとなる。即ち、接触部材12aと接触部材12bとの間の角度間隔が120°、接触部材12bと接触部材12cとの間の角度間隔が60°、接触部材12cと接触部材12dとの間の角度間隔が60°、接触部材12dと接触部材12aとの間の角度間隔が120°となる。
【0092】
ワーク支持具1bにおいては、4個の接触部材12のそれぞれは、受け部材11とは別体で受け部材11に対して取り外し可能に設けられている。このため、ワーク支持具1bで支持する対象のワーク10に応じて、受け部材11の上面に配置する接触部材12の数を変更することができる。
【0093】
ワーク支持具1bで支持する対象のワーク10の重量が重い場合、
図11(A)に示すように、4個の接触部材12a~12dの全てを受け部材11の上面に配置し、全ての接触部材12a~12dによってワーク10を支持することができる。即ち、この場合、4個の接触部材12a~12dの全てを受け部材11における4個の凹部17a~17dの全てに対してそれぞれ配置し、4個の接触部材12a~12dでワーク10を支持することができる。これに対し、ワーク支持具1bで支持する対象のワーク10の重量が軽い場合、受け部材11の上面に配置する接触部材12の数を減らすことができる。
【0094】
図11(B)では、4個の接触部材12a~12dのうち、3個の接触部材12a、12b、12dが受け部材11の上面に配置された形態を例示している。即ち、
図11(B)では、受け部材11における4個の凹部17a~17dのうちの3個の凹部17a、17b、17dに対して、接触部材12a、12b、12dが配置され、凹部17cには接触部材12cが配置されていない形態を例示している。ワーク支持具1bで支持する対象のワーク10の重量が軽い場合、
図11(B)に示すような接触部材12の配置とすることができる。即ち、受け部材11の上面に配置する接触部材12の数を3個に減らしてワーク10を支持し、ワーク10との接触面積を減らすことができる。また、
図11(B)に示す接触部材12の配置では、3個の接触部材12a、12b、12dは、受け部材11の外側部分14の上面14aにおいて、周方向に沿って120°の等角度間隔で配置される。このため、ワーク支持具1bによると、受け部材11の上面に配置する接触部材12の数を3個に減らした場合においても、受け部材11の周方向に沿って等角度間隔に配置される3個の接触部材12でワーク10を安定した状態で支持することができる。
【0095】
尚、ワーク10を接触部材12で支持する場合、少なくとも3個の接触部材12が必要となる。そして、受け部材11の上面に配置する接触部材12の数を支持対象のワーク10の重量に応じて変更するためには、ワーク支持具1bのように、少なくとも4個の接触部材12が必要となる。従って、第2の変形例によると、ワーク10の重量が軽い場合に、ワーク10が載置される全体的な構造の部分を変えることなくワーク10との接触面積を減らしてワーク10の品質を向上させることができるワーク支持具1bを、最低個数の接触部材12を備えた構成で実現することができる。
【0096】
上述した第2の変形例に係るワーク支持具1bのように、複数の接触部材12の全てが受け部材11の上面に配置された際に、複数の接触部材12が受け部材11の周方向に沿って、等角度間隔ではなく異なる角度間隔で配置される形態が実施されてもよい。
【0097】
(3)前述の実施形態では、受け部材11の基本的な外形形状が円盤状に形成された形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。
図12は、第3の変形例に係るワーク支持具1cを示す平面図であって、
図12(A)は、複数の接触部材12の全てが受け部材20に配置された状態を示す図であり、
図12(B)は、複数の接触部材12のうちの一部が受け部材20に配置されていない状態を示す図である。
【0098】
図12(A)及び
図12(B)に示すように、ワーク支持具1cにおいては、ワーク10が載置される受け部材20は、基本的な外形形状が略直方体状に形成された部材として設けられている。略直方体状に形成された受け部材20は、一体に設けられた外側部分21と内側部分15とを備えて構成されている。外側部分21は、外周形状が四角形の形状に形成され、内側部分15が配置される円柱状の空間が内側に設けられている。外側部分21は、その内側に配置された内側部分15と一体に設けられており、外側部分21と内側部分15とは、複数の架橋部16によって一体に結合されている。受け部材20にワーク10が載置される際には、ワーク10の下端部が、外側部分21の上面21aに対して載置される。
【0099】
受け部材20の上面には、複数の接触部材12がそれぞれ転動自在に配置される複数の凹部17が設けられている。第3の変形例に係るワーク支持具1cにおいては、複数の凹部17として、8個の凹部17が設けられた形態を例示している。複数の凹部17は、受け部材20の外側部分21の上面21aにおいて設けられている。複数の凹部17は、外側部分21の上面21aにおいて、内側部分15の径方向の外側で内側部分15の周方向に沿って等角度間隔で並んで設けられている。
【0100】
ワーク支持具1cにおいては、受け部材20の上面に配置されてワーク10の下端部と接触する複数の接触部材12として、8個の接触部材12が備えられている。8個の接触部材12のそれぞれは、受け部材20の外側部分21の上面21aに設けられた8個の凹部17のそれぞれに対して、転動自在な状態で配置される。8個の接触部材12のそれぞれは、受け部材20とは別体で受け部材20に対して取り外し可能に設けられている。このため、ワーク支持具1cで支持する対象のワーク10に応じて、受け部材20の上面に配置する接触部材12の数を変更することができる。
【0101】
ワーク支持具1cで支持する対象のワーク10の重量が重い場合、
図12(A)に示すように、8個の接触部材12の全てを受け部材20の上面に配置し、全ての接触部材12によってワーク10を支持することができる。即ち、この場合、8個の接触部材12の全てを受け部材11における8個の凹部17の全てに対してそれぞれ配置し、8個の接触部材12でワーク10を支持することができる。これに対し、ワーク支持具1cで支持する対象のワーク10の重量が軽い場合、受け部材11の上面に配置する接触部材12の数を減らすことができる。
【0102】
図12(B)では、8個の接触部材12のうち、4個の接触部材12が受け部材11の上面に配置された形態を例示している。即ち、
図12(B)では、受け部材11における8個の凹部17のうちの4個の凹部17に対して、接触部材12が配置され、残りの4個の凹部17には接触部材12が配置されていない形態を例示している。ワーク支持具1cで支持する対象のワーク10の重量が軽くなり、例えば、8個全ての接触部材12で支持する必要がある場合に比してワーク10の重量が半分以下である場合、
図12(B)に示すような接触部材12の配置とすることができる。即ち、受け部材20の上面に配置する接触部材12の数を4個に減らしてワーク10を支持し、ワーク10との接触面積を減らすことができる。
【0103】
上述した第3の変形例に係るワーク支持具1cのように、受け部材20の外形形状が円盤状ではなく、直方体状などの他の形状に形成される形態が実施されてもよい。例えば、加熱装置100において、ワーク支持具1cに支持されるワーク10が回転駆動されずにワーク10に対して加熱処理が施される場合には、円盤状に限らず、種々の形状の受け部材を備えたワーク支持具を実施してもよい。
【0104】
(4)前述の実施形態では、受け部材11の上面に配置される複数の接触部材12が、円柱状のころ形状の部材として設けられる形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。受け部材の上面に配置される複数の接触部材の形状としては、円柱状のころ形状以外の形状として、例えば、球形状、又は、多角形形状の断面で柱状に延びる形状などであってもよい。また、接触部材が、直方体状の形状の部材、又は、円柱状の形状の部材として設けられ、受け部材の上面に設けられた矩形断面で凹む凹部、又は円柱形状の断面で凹む凹部に対して、接触部材が嵌め込まれるようにして配置される形態が実施されてもよい。
【0105】
図13は、第4の変形例に係るワーク支持具1dを示す平面図である。
図14は、
図13に示すワーク支持具1dの断面図であって、
図14(A)は、
図13のA-A線矢視位置での断面を示す断面図であり、
図14(B)は、
図13のB-B線矢視位置での断面を示す断面図である。
図13及び
図14に示す第4の変形例に係るワーク支持具1dにおいては、球形状の部材として設けられた複数の接触部材22が備えられ、受け部材11には、複数の接触部材22が配置される複数の凹部23が設けられている。
【0106】
受け部材11の上面には、複数の接触部材22がそれぞれ転動自在に配置される複数の凹部23が設けられている。本変形例では、複数の凹部23として、20個の凹部23が設けられている。複数の凹部23は、受け部材11の外側部分14の上面14aにおいて設けられている。20個の凹部23のうちの半分の10個の凹部23は、外側部分14の上面14aにおける内周側の領域において、外側部分14の周方向に沿って同一円周上で等角度間隔に並んで設けられている。また、20個の凹部23のうちの残りの半分の10個の凹部23は、外側部分14の上面14aにおける外周側の領域において、外側部分14の周方向に沿って同一円周上で等角度間隔に並んで設けられている。複数の凹部23のそれぞれは、外側部分14の上面14aにおいて半球状に凹んだ領域として形成されている。
【0107】
ワーク支持具1dにおいては、複数の接触部材22が備えられており、複数の接触部材22は、受け部材11の上面に配置されてワーク10の下端部と接触する部材として設けられている。尚、ワーク支持具1dにおいては、複数の接触部材22として、20個の接触部材22が備えられている。複数の接触部材22は、受け部材11に対して、外側部分14の上面14aにおいて配置される。また、複数の接触部材22は、受け部材11の上面の面積より小さいワーク10との接触面積を持つように構成されている。即ち、複数の接触部材22は、複数の接触部材22とワーク10とが接触する接触面積の合計面積が、受け部材11の上面の面積よりも小さくなるように、構成されている。更に、本変形例では、複数の接触部材22は、複数の接触部材22とワーク10とが接触する接触面積の合計面積が、受け部材11においてワーク10が直接的に載置される外側部分14の上面14aの面積よりも小さくなるように、構成されている。
【0108】
また、複数の接触部材22のそれぞれは、受け部材11とは別体の部材として設けられており、受け部材11に対して取り外し可能な部材として設けられている。そして、本変形例では、複数の接触部材22のそれぞれは、球形状の部材として設けられており、受け部材11の外側部分14の上面14aにおいて受け部材11に対して転動可能に配置されている。より具体的には、複数の接触部材22のそれぞれは、受け部材11の外側部分14の上面14aに設けられた複数の凹部23のそれぞれに対して、転動自在な状態で嵌め込まれるようにして配置される。
【0109】
接触部材22は、球形状に形成されており、受け部材11における凹部23は、半球状に窪むように形成されている。そして、接触部材22が配置される凹部23は、断面が接触部材22の外径に合わせた円弧状の形状に形成されている。即ち、半球状に窪んだ凹部23の断面の円弧の直径寸法は、球形状の接触部材22の円形断面の直径寸法に合わせて設定されている。
【0110】
受け部材11に接触部材22が配置される際には、接触部材22は、その球形状の表面の略半分の部分が受け部材11の外側部分14の上面14aから半球状に盛り上がって露出した状態で、受け部材11に対して配置される。複数の接触部材22が複数の凹部23に配置された状態で、受け部材11の外側部分14の上面14aにワーク10が載置されると、ワーク10の下端部は、上面14aとは直接には接触せず、複数の接触部材22と接触した状態となる。この状態では、複数の接触部材22のそれぞれは、表面の一部において、ワーク10の下端部に対して、点接触状態又は点接触状態に近い状態で、接触している。
【0111】
また、接触部材22は、少なくともワーク10に接触する表面部分がセラミック製である部材として設けられている。より具体的には、接触部材22は、球形状の母材部分が鉄鋼材料で形成されており、更に、その球形状の母材部分の表面に対してセラミックを溶射することで形成されたセラミックコーティング層が設けられている。尚、接触部材22における球形状の母材部分を構成する鉄鋼材料としては、例えば、ステンレス鋼が用いられる。また、母材部分がステンレス鋼で構成される場合は、例えば、母材部分は、SUS304で構成される。また、接触部材22の表面のセラミックコーティング層を構成するセラミック材料としては、例えば、ジルコニアが用いられる。このように、接触部材22は、少なくともワーク10に接触する表面部分がセラミック製であり、金属製のワーク10とは異なる材料で形成されている。
【0112】
尚、本変形例では、接触部材22の母材部分が鉄鋼材料で構成され、接触部材22の表面部分がセラミック材料で構成された形態を例示したが、この通りでなくてもよい。接触部材22は、少なくともワーク10に接触する表面部分がセラミック製であればよく、接触部材22の全体が、セラミック材料で構成されていてもよい。例えば、接触部材22の全体が、ジルコニアで構成されていてもよい。
【0113】
ワーク支持具1dにおいては、20個の接触部材22のそれぞれは、受け部材11とは別体で受け部材11に対して取り外し可能に設けられている。このため、ワーク支持具1dで支持する対象のワーク10に応じて、受け部材11の上面に配置する接触部材22の数を変更することができる。
【0114】
ワーク支持具1dで支持する対象のワーク10の重量が重い場合、
図13に示すように、20個の接触部材22の全てを受け部材11の上面に配置し、全ての接触部材22によってワーク10を支持することができる。即ち、この場合、20個の接触部材22の全てを受け部材11における20個の凹部23の全てに対してそれぞれ配置し、20個の接触部材22でワーク10を支持することができる。これに対し、ワーク支持具1dで支持する対象のワーク10の重量が軽い場合、受け部材11の上面に配置する接触部材22の数を減らすことができる。
【0115】
図15は、ワーク支持具1dにおける接触部材22の配置形態の例を示す図である。
図15では、20個の接触部材22のうち、10個の接触部材22が受け部材11の上面に配置された形態を例示している。より具体的には、
図15に示す配置形態の例では、受け部材11における外側部分14の上面14aの内周側の領域で同一円周上に並んで設けられた10個の凹部23に対して、接触部材22が配置されている。そして、
図15に示す配置形態の例では、受け部材11における外側部分14の上面14aの外周側の領域で同一円周上に並んで設けられた10個の凹部23に対しては、接触部材22が配置されていない。ワーク支持具1dで支持する対象のワーク10の重量が軽く、ワーク10の径方向の寸法が小さいような場合、
図15に示すような接触部材22の配置とすることができる。即ち、受け部材11の上面に配置する接触部材22の数を10個に減らしてワーク10を支持し、ワーク10との接触面積を減らすことができる。尚、ワーク支持具1dにおいては、
図13及び
図15に示した配置形態の例に限らず、種々の配置形態で接触部材22を凹部23に配置することができる。例えば、外側部分14の上面14aの外周側の領域に設けられた10個の凹部23に対してのみ接触部材22を配置し、外側部分14の上面14aの内周側の領域に設けられた10個の凹部23に対しては接触部材22を配置しないような接触部材22の配置とすることもできる。或いは、外側部分14の上面14aの外周側の領域に設けられた10個の凹部23のうちの半分の5個の凹部23に対して1つおきに接触部材22を配置し、外側部分14の上面14aの内周側の領域に設けられた10個の凹部23のうちの半分の5個の凹部23に対して1つおきに接触部材22を配置するような接触部材22の配置とすることもできる。
【0116】
上述した第4の変形例によると、ワーク10の重量が軽い場合に、ワーク10が載置される全体的な構造の部分を変えることなくワーク10との接触面積を減らしてワーク10の品質を向上させることができ、ワーク10と接触する部分が摩耗した場合であってもワーク10が載置される全体的な構造の部分を交換する必要がないワーク支持具1dを提供することができる。
【0117】
また、上述した第4の変形例によると、接触部材22が、受け部材11に対して転動可能なため、接触部材22におけるワーク10に接触する位置を変更することができる。そして、接触部材22におけるワーク10に接触する位置を変更することができるため、接触部材22に偏った摩耗が発生することを抑制でき、接触部材22の使用寿命を長くすることができる。また、接触部材22は、球形状の部材として設けられるため、多角形形状よりも製作し易くすることができる。
【0118】
(5)前述の実施形態では、ワーク10の内周に当接してワーク10を内側から支持する複数の支持部材13が、受け部材11とは別体で設けられて受け部材11に対して取り外し可能に設けられた形態を例にとって説明したが、この通りでなくてもよい。例えば、複数の支持部材13が、受け部材11と一体に設けられた形態が実施されてもよい。この場合、複数の支持部材13は、受け部材11の内側部分15と一体に設けられる。また、複数の支持部材13が受け部材11の内側部分15と一体に設けられる場合、内側部分15から径方向に突出する複数の支持部材13の表面に対してセラミックを溶射することで、複数の支持部材13の表面部分にセラミックコーティング層を形成してもよい。これにより、内側部分15と一体に設けられてワーク10の内周に当接する支持部材13の表面部分をセラミック材料で形成することができ、金属製のワーク10とは異なる材料で形成することができる。これによって、受け部材11と一体に設けられた支持部材13とワーク10とが溶着してしまうことを抑制することができる。
【産業上の利用可能性】
【0119】
本発明は、ワークに対して加熱処理を施す加熱装置において用いられ、ワークを支持するワーク支持具として、広く適用することができる。
【符号の説明】
【0120】
1、1a、1b、1c、1d ワーク支持具
11、20 受け部材
12、22 接触部材
13 支持部材
17、23 凹部