(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023066676
(43)【公開日】2023-05-16
(54)【発明の名称】エレベーター装置及びエレベーターの制御方法、並びにエレベーターの操作盤
(51)【国際特許分類】
B66B 1/14 20060101AFI20230509BHJP
B66B 3/00 20060101ALI20230509BHJP
【FI】
B66B1/14 L
B66B3/00 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021177404
(22)【出願日】2021-10-29
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】杉山 洋平
(72)【発明者】
【氏名】坂井 和道
(72)【発明者】
【氏名】大沢 卓也
(72)【発明者】
【氏名】比氣 靖大
【テーマコード(参考)】
3F303
3F502
【Fターム(参考)】
3F303CA03
3F303DB13
3F303DC05
3F502JA06
3F502MA25
3F502MA31
3F502MA42
(57)【要約】
【課題】本発明は、行先階の誤登録を抑制できるエレベーター装置を提供する。
【解決手段】本発明のエレベーター装置は、昇降路2内を昇降する乗りかご3と、乗りかご3を昇降させる巻上機6と、巻上機6を制御するエレベーター制御装置7と、乗りかご3を操作するかご操作盤30に設けられ、対象物を非接触方式で検出し行先階を登録する行先階センサを32a~32f備えている。
行先階センサ32a~32fは上下方向に並んで複数備えられている。エレベーター制御装置7は、行先階センサ32a~32fが検出した信号を受信し行先階の登録処理を行う運転制御部70を備えている。
運転制御部70は、複数の行先階センサ32a~32fのうち隣接する上下の行先階センサが同時に対象物を検出した場合には、上方に位置する行先階センサに対応する階を行先階として登録する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降路内を昇降する乗りかごと、前記乗りかごを操作するかご操作盤に設けられ、対象物を非接触方式で検出し行先階を登録する行先階センサを備えたエレベーター装置において、
前記行先階センサは上下方向に並んで複数備えられ、
前記行先階センサが検出した信号を受信し行先階の登録処理を行う運転制御部を備え、
前記運転制御部は、前記複数の行先階センサのうち隣接する上下の行先階センサが同時に対象物を検出した場合には、上方に位置する行先階センサに対応する階を行先階として登録することを特徴とするエレベーター装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記行先階センサには、対象物を非接触方式で検出するセンサ部と、登録された行先階を点灯表示する点灯表示部を備えたことを特徴とするエレベーター装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記運転制御部は、1つ目の行先階センサが対象物を検出後、0.5秒以内に2つ目の行先階センサが対象物を検出した際には同時と判断することを特徴とするエレベーター装置。
【請求項4】
請求項1又は2において、
前記乗りかごを昇降させる巻上機と、前記巻上機を制御するエレベーター制御装置を備え、
前記運転制御部は、前記エレベーター制御装置に備えたことを特徴とするエレベーター装置。
【請求項5】
請求項1又は2において、
前記運転制御部は、前記乗りかご内に設置したかご操作盤に備えたことを特徴とするエレベーター装置。
【請求項6】
請求項1又は2において、
前記運転制御部は、エレベーター乗場に設置したかご操作盤に備えたことを特徴とするエレベーター装置。
【請求項7】
昇降路内を昇降する乗りかごと、前記乗りかごを操作するかご操作盤に設けられ、対象物を非接触方式で検出し行先階を登録する行先階センサを備えたエレベーターの制御方法において、
前記行先階センサは上下方向に並んで複数備えられ、
前記複数の行先階センサのうち隣接する上下の行先階センサが同時に対象物を検出した場合には、上方に位置する行先階センサに対応する階を行先階として登録し、前記乗りかごを移動させることを特徴とするエレベーターの制御方法。
【請求項8】
乗りかごを操作する操作盤に設けられ、対象物を非接触方式で検出し行先階を登録する行先階センサを備えたエレベーターの操作盤において、
前記行先階センサは上下方向に並んで複数備えられ、
前記操作盤は、前記行先階センサが検出した信号を受信し行先階の登録処理を行う運転制御部を備え、
前記運転制御部は、前記複数の行先階センサのうち隣接する上下の行先階センサが同時に対象物を検出した場合には、上方に位置する行先階センサに対応する階を行先階として登録することを特徴とするエレベーターの操作盤。
【請求項9】
請求項8において、
前記行先階センサには、対象物を非接触方式で検出するセンサ部と、登録された行先階を点灯表示する点灯表示部を備えたことを特徴とするエレベーターの操作盤。
【請求項10】
請求項8又は9において、
前記運転制御部は、1つ目の行先階センサが対象物を検出後、0.5秒以内に2つ目の行先階センサが対象物を検出した際には同時と判断することを特徴とするエレベーターの操作盤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレベーター装置及びエレベーターの制御方法、並びにエレベーターの操作盤に関する。
【背景技術】
【0002】
エレベーターの乗りかご内には、行先階を入力する複数の行先階ボタンが並んだ操作盤が備えられている。乗客は複数の行先階ボタンの中から任意の行先階を選択する。
【0003】
行先階ボタンには、乗客が行先階ボタンに直接触れる押しボタン方式、タッチセンサ方式等の加え、乗客が行先階ボタンの直接触れない非接触センサ方式がある。
【0004】
非接触センサ方式の行先階センサ(ボタン)では、乗客が意図しない行先階を誤登録する可能性があるため、これを防止するための対策が成されている。誤登録を防止する技術として、例えば、特許文献1及び2に記載の技術が提案されている。
【0005】
特許文献1には、行先階センサが第1閾値時間まで継続して操作されるとその行先階を登録し、第1閾値時間が経過するまでに、行先階センサと隣接する隣接センサ(別の行先階センサ)の両方が操作されると、行先階を未登録とする技術が開示されている。
【0006】
また、特許文献2には、非接触式操作部を備えたものにおいて、所定時間内に閾値時間以上継続する行先階操作部の操作信号が複数出力されたときに、それらの各操作信号のうち信号継続時間が最長となるもの、又は信号強度が最大となるものに対応する行先階を登録するようにした技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2020-125213号公報
【特許文献2】特開2013-124166号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載の技術においては、行先階センサと隣接する隣接センサ(別の行先階センサ)の両方が操作されると、行先階が未登録となってしまうので、再度行先階を登録しなければならず、操作が煩わしいものであった。また、行先階センサの一つが故障、もしくは行先階センサに異物が付着していると、これに隣接する行先階センサを操作しても行先階が未登録となってしまい、行先階を登録できないといった課題があった。
【0009】
特許文献2に記載の技術においては、乗客が手にした荷物等に行先階操作部が反応し、信号継続時間が最長、又は信号強度が最大であることを検知した場合、乗客が意図しない行先階が登録されてしまうといった課題があった。
【0010】
本発明の目的は、上記課題を解決し、行先階の誤登録を抑制できるエレベーター装置及びエレベーターの制御方法、並びにエレベーターの操作盤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために本発明は、昇降路内を昇降する乗りかごと、前記乗りかごを操作するかご操作盤に設けられ、対象物を非接触方式で検出し行先階を登録する行先階センサを備えたエレベーター装置において、前記行先階センサは上下方向に並んで複数備えられ、前記行先階センサが検出した信号を受信し行先階の登録処理を行う運転制御部を備え、前記運転制御部は、前記複数の行先階センサのうち隣接する上下の行先階センサが同時に対象物を検出した場合には、上方に位置する行先階センサに対応する階を行先階として登録することを特徴とする。
【0012】
また本発明は、昇降路内を昇降する乗りかごと、前記乗りかごを操作するかご操作盤に設けられ、対象物を非接触方式で検出し行先階を登録する行先階センサを備えたエレベーターの制御方法において、前記行先階センサは上下方向に並んで複数備えられ、前記複数の行先階センサのうち隣接する上下の行先階センサが同時に対象物を検出した場合には、上方に位置する行先階センサに対応する階を行先階として登録し、前記乗りかごを移動させることを特徴とする。
【0013】
さらに本発明は、乗りかごを操作する操作盤に設けられ、対象物を非接触方式で検出し行先階を登録する行先階センサを備えたエレベーターの操作盤において、前記行先階センサは上下方向に並んで複数備えられ、前記操作盤は、前記行先階センサが検出した信号を受信し行先階の登録処理を行う運転制御部を備え、前記運転制御部は、前記複数の行先階センサのうち隣接する上下の行先階センサが同時に対象物を検出した場合には、上方に位置する行先階センサに対応する階を行先階として登録することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、行先階の誤登録を抑制したエレベーター装置及びエレベーターの制御方法、並びにエレベーターの操作盤を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の実施例1に係るエレベーター装置の概略図である。
【
図2】本発明の実施例1に係るかご操作盤の概略図である。
【
図3】本発明の実施例1に係るエレベーター制御装置とかご操作盤の構成を示す制御ブロック図である。
【
図4】かご内制御盤の一部を拡大した拡大図であり、(a)は行先階センサを正面から見た図、(b)は行先階センサを上下方向に断面した断面図である。
【
図5】本発明の実施例1に係るエレベーター装置のフローチャートである。
【
図6】本発明の実施例2に係るエレベーター制御装置とかご操作盤の構成を示す制御ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施例について添付の図面を参照しつつ説明する。同様の構成要素には同様の符号を付し、同様の説明は繰り返さない。
【0017】
本発明の各種の構成要素は必ずしも個々に独立した存在である必要はなく、一の構成要素が複数の部材から成ること、複数の構成要素が一の部材から成ること、或る構成要素が別の構成要素の一部であること、或る構成要素の一部と他の構成要素の一部とが重複すること、などを許容する。
【実施例0018】
図1は、本発明の実施例1に係るエレベーター装置の概略図である。エレベーター装置1は、昇降路2内を昇降する乗りかご3と、乗りかご3にロープ4を介して接続された釣合い錘5と、ロープ4を巻上げて乗りかご3及び釣合い錘5を昇降させる巻上機6と、巻上機6を制御するエレベーター制御装置7と、乗りかご3内に設置されたかご操作盤30(操作盤)とエレベーター制御装置7とを電気的に接続し、信号の送受信を行うテールコード8とを備えている。実施例1では、巻上機6とエレベーター制御装置7は昇降路2の上部に位置する機械室9に備えられている。
【0019】
また、エレベーター装置1は、各階にエレベーター乗場10a,10b,10c,10d,10e,10fが設置されている。実施例1では、6階建てのビルにエレベーター装置1が設置されている。エレベーター乗場10a~10fは、それぞれ1階~6階に対応している。各階のエレベーター乗場10には、乗りかご3を呼ぶためのかご呼び操作盤11a,11b,11c,11d,11e,11f(操作盤)が設置されている。かご呼び操作盤11b~11eには、上の階への移動若しくは下の階への移動を指定し、操作されたかご呼び操作盤が設置される階に乗りかごを呼ぶための2つのボタンが備えられている。かご呼び操作盤11aには上の階への移動を指定する1つのボタン、かご呼び操作盤11fには、下の階への移動を指定する1つのボタンが備えられている。すなわち、乗りかご3内に設置されたかご操作盤30とエレベーター乗場10a~10fに設置されたかご呼び操作盤は、乗りかご3を操作するものである。
【0020】
図2は、本発明の実施例1に係るかご操作盤の概略図である。かご操作盤30には、乗客が乗りかご3の行先階を指定する操作を行う行先階操作部31が備えられている。行先階操作部31には、行先階を登録する複数の行先階センサ32a,32b,32c,32d,32e,32fと、乗りかご3のドアの開閉操作を行う開ボタン35a,閉ボタン35bが備えられている。行先階センサ32a~32fは、それぞれエレベーター乗場10a~10fの階に対応しており、上下方向に並んで配置されている。
【0021】
行先階センサ32a~32fには、それぞれ非接触方式で対象物を検出するセンサ部33a,33b,33c,33d,33e,33fと、センサ部33a~33fが対象物を検出し、行先階が登録されたことを示す点灯表示部34a,34b,34c,34d,34e,34fが備えられている。点灯表示部34a~34fは、LED等の光源が発光することにより、行先階が登録されたことを点灯表示する。
【0022】
また、かご操作盤30には、乗りかご3の現在位置、つぎの停止階等の情報を表示する情報表示部36が備えられている。
【0023】
行先階センサ32a~32fのセンサ部33a~33fには、例えば、静電容量式型近接センサ、赤外線センサ等を用いる。
【0024】
静電容量型近接センサを用いた場合には、検出用電極を乗りかご内に向けて設置する。検出用電極が発生する電界内に対象物が進入すると、検出用電極の電荷量が変化するので、この変化を検出回路で検出し、対象物の有無を検出する。
【0025】
赤外線センサを用いた場合には、乗りかご内に向けて赤外線を放射し、放射された赤外線内に対象物が進入すると、対象物によって赤外線が反射され、反射された赤外線を検出回路で検出し、対象物の有無を検出する。
【0026】
なお、非接触式センサの種類はこれらに限定されるものでは無く、エレベーターの仕様等に合わせて最適なセンサを適宜選択すれば良い。
【0027】
図3は、本発明の実施例1に係るエレベーター制御装置とかご操作盤の構成を示す制御ブロック図である。
【0028】
エレベーター制御装置7には、かご操作盤30aの操作入力を受けて信号を処理する運転制御部70と、運転制御部70からの信号に基づき、巻上機6を制御する巻上機駆動制御部71を備えている。運転制御部70には、かご操作盤30aの各センサ部33a~33fからの操作入力を受けて信号を処理するセンサ入力処理部72と、センサ入力処理部72からの信号を受けて行先階を決定し登録処理を行うと共に、巻上機駆動制御部71に指令信号を出力する行先階登録処理部73を備えている。また、行先階登録処理部73は、行先階を決定後、かご操作盤30aに信号を送信し、決定した行先階に対応する点灯表示部34a~34fを点灯させる指令信号を出力する。運転制御部70とかご操作盤30aとの信号の送受信はテールコード8を介して行われる。
【0029】
図4は、かご内制御盤の一部を拡大した拡大図であり、(a)は行先階センサを正面から見た図、(b)は行先階センサを上下方向に断面した断面図である。
【0030】
乗客は、行先階センサのセンサ部に指先40を近付けることで行先階を登録する。例えば、行先階として6階を登録する場合、乗客は
図4(a)に示すように、指先40を行先階センサ32fのセンサ部33fに近付ける。センサ部33fは指先40(対象物)を検出し、入力情報としてセンサ入力処理部72に送信され、行先階が登録される。
【0031】
6階を登録する行先階センサ32fの下方には、隣接して5階を登録する行先階センサ32eが設置されている。乗客が指先40をセンサ部33fに近付けた際、他の指41が行先階センサ32eのセンサ部33eに近付き、センサ部33eが他の指41を対象物として検出する可能性がある。
【0032】
センサ部33fと指先40との距離、センサ部33eと他の指41との距離は、
図4(b)に示すようにほぼ同等な状態にある。
図4(b)に示す状態では、センサ部33fとセンサ部33eが同時に入力操作を検出してしまうので、行先階として6階に加え5階も登録され、乗客が意図しない行先階が登録される可能性がある。これを抑制するための手段について以下説明する。
【0033】
図5は、本発明の実施例1に係るエレベーター装置のフローチャートである。センサ入力処理部72は、行先階センサ32a~32fのセンサ部33a~33fが対象物を検出したか否かを判断し(ステップS101)、センサ部33a~33fが対象物を検出しない場合(ステップS101のNo)には、ステップS101の判断を繰り返す。
【0034】
センサ部33a~33fが対象物を検出した場合(ステップS101のYes)には、センサ入力処理部72は対象物を検出したセンサ部がセンサ部33a~33fのうち何れか1つであるか否か判断する(ステップS102)。
【0035】
センサ入力処理部72は、センサ部33a~33fのうち何れか1つが対象物を検出した場合(ステップS102のYes)には、検出したセンサ部に対応した行先階の情報を行先階登録処理部73に送信する。
【0036】
行先階登録処理部73は、検出したセンサ部に対応する行先階を登録し(ステップS103)、かご操作盤30aに信号を送信し、登録した行先階に対応する点灯表示部34a~34fを点灯させる(ステップS107)。また、行先階登録処理部73は、巻上機駆動制御部71登録された行先階に乗りかごを移動させる指令信号を巻上機駆動制御部71に出力する。
【0037】
巻上機駆動制御部71は、行先階登録処理部73からの指令信号を受け、行先階に乗りかごを移動するように巻上機を制御する(ステップS108)。
【0038】
ステップS102において、センサ入力処理部72は、隣接する2つ以上のセンサ部が対象物を検出した場合(ステップS102のNo)には、2つ以上のセンサ部が同時に対象物を検出したか否か判断する(ステップS104)。実施例1でいう「同時」とは、例えば1つ目のセンサ部が対象物を検出後、2つ目のセンサ部が対象物を検出するまでの時間の遅れが0秒~0.5秒以内の範囲を含んでいる。
【0039】
センサ入力処理部72は、センサ部33a~33fのうち隣接する2つ以上のセンサ部が対象物を同時に検出した場合(ステップS104のYes)には、上方に位置するセンサ部に対応した階を行先階とし、その情報を行先階登録処理部73に送信する。
【0040】
行先階登録処理部73は、上方に位置するセンサ部に対応する行先階のみを登録し(ステップS105)、かご操作盤30aに信号を送信し、登録した行先階に対応する点灯表示部34a~34fを点灯させる(ステップS107)。また、行先階登録処理部73は、巻上機駆動制御部71登録された行先階に乗りかごを移動させる指令信号を巻上機駆動制御部71に出力する。
【0041】
ステップS104において、センサ入力処理部72は、2つ以上のセンサ部が所定の時間(例えば0.5秒)を超えて対象物を検出した場合(ステップS104のNo)には、最初に検出したセンサ部に対応した行先階の情報のみを行先階登録処理部73に送信する。
【0042】
行先階登録処理部73は、最初に検出したセンサ部に対応する行先階を登録し(ステップS106)、かご操作盤30aに信号を送信し、登録した行先階に対応する点灯表示部34a~34fを点灯させる(ステップS107)。また、行先階登録処理部73は、巻上機駆動制御部71登録された行先階に乗りかごを移動させる指令信号を巻上機駆動制御部71に出力する。
【0043】
実施例1の運転制御部は、2つ以上のセンサ部が対象物を同時に検出した場合には、上部に位置するセンサ部に対応した行先階のみを登録し巻上機を制御することを特徴としている。例えば、
図4に示すように乗客が行先階として指先40で6階を登録する際、他の指41が5階を登録するセンサ部33eに接近し、センサ部33eが他の指41を対象物として検出してしまう場合がある。この際、行先階として5階を登録することは誤登録となる。
【0044】
そこで、実施例1では、乗客が指先40で登録し得ることに着目し、上部に位置するセンサ部に対応した行先階のみを登録して行先階の誤登録を抑制するようにしている。行先階を登録する際、指先40より上部には、センサ部が検出し得る対象物が存在しない可能性が高いので、2つ以上のセンサ部が同時に検出された際には上部に位置するセンサ部に対応した行先階のみを登録するようにすれば、乗客が意図した行先階を登録でき、誤検知を抑制することができる。
【0045】
実施例1によれば、行先階の誤登録を抑制したエレベーター装置及びエレベーターの制御方法を提供することができる。
かご操作盤30bには、運転制御部37を備えている。運転制御部37には、各センサ部33a~33fからの操作入力を受けて信号を処理するセンサ入力処理部38と、センサ入力処理部38からの信号を受けて行先階を決定し登録処理を行うと共に、巻上機駆動制御部71に指令信号を出力する行先階登録処理部39を備えている。また、行先階登録処理部39は、行先階を決定後、決定した行先階に対応する点灯表示部34a~34fを点灯させる指令信号を出力する。エレベーター制御装置7とかご操作盤30bとの信号の送受信はテールコード8を介して行われる。
なお、本発明は、上述した実施例に限定するものではなく、様々な変形例が含まれる。上述した実施例は本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定するものではない。
上述した実施例1、2では、乗りかご3内に設置したかご操作盤30a,30bに適用した例で説明したが、例えば、エレベーター乗場に設置したかご呼び操作盤に適用するようにしても良い。各階のエレベーター乗場10には、乗りかご3を呼ぶためのかご呼び操作盤11a,11b,11c,11d,11e,11fが設置されている。かご呼び操作盤11b~11eには、上の階若しくは下の階を指定する2つのボタンが上下方向に並んで備えられている。この2つのボタンにそれぞれ非接触方式で対象物を検出するセンサ部が設けられる。または、ボタンと併設して(ボタンの上隣もしくは下隣、または、ボタンの右隣もしくは左隣に)、センサ部が上下方向に並んだ配置で設けられても良い。さらには、ボタンの代わりにセンサ部が設けられても良い。
そして、上下に並んだ2つのセンサ部が同時に対象物を検出した場合には、上方に位置するセンサ部に対応する方向を行先方向として、操作されたかご呼び操作盤が設置される階をかごの行先階として登録する。本発明のかご操作盤は、エレベーター乗場に設置したかご呼び操作盤を含むものである。
さらに、例えば、エレベーター乗場に設置された、乗り場にて行先階を登録可能な乗場行先階登録装置に適用するようにしても良い。エレベーター乗場には、乗客が乗場で行先階を登録可能な乗場行先階登録が設けられる場合がある。この場合、行先階登録装置に設けられる行先階ボタンにそれぞれ非接触方式で対象物を検出するセンサ部が設けられる。または、行先階ボタンと併設して(ボタンの上隣もしくは下隣、または、ボタンの右隣もしくは左隣に)、センサ部が上下方向に並んだ配置で設けられても良い。さらには、ボタンの代わりにセンサ部が設けられても良い。
そして、上下に並んだ2つのセンサ部が同時に対象物を検出した場合には、上方に位置するセンサ部に対応する階を行先階として登録する。本発明のかご操作盤は、エレベーター乗場に設置した乗場行先階登録装置を含むものである。