IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ローム株式会社の特許一覧

特開2023-66719超音波センサ制御装置、超音波センサ、及び超音波センサ制御方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023066719
(43)【公開日】2023-05-16
(54)【発明の名称】超音波センサ制御装置、超音波センサ、及び超音波センサ制御方法
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/524 20060101AFI20230509BHJP
   G01S 7/526 20060101ALI20230509BHJP
   G01S 15/10 20060101ALI20230509BHJP
【FI】
G01S7/524 R
G01S7/526 M
G01S15/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021177478
(22)【出願日】2021-10-29
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100133514
【弁理士】
【氏名又は名称】寺山 啓進
(72)【発明者】
【氏名】内貴 崇
【テーマコード(参考)】
5J083
【Fターム(参考)】
5J083AA02
5J083AC13
5J083AD04
5J083BA02
5J083BB12
5J083BE09
5J083BE60
5J083CA03
(57)【要約】
【課題】超音波センサの混信を容易に解消することができる超音波センサ制御装置を提供する。
【解決手段】超音波センサ制御装置100は、送信超音波を送信する送信デバイスを制御する送信制御部114と、受信超音波を受信する受信部111と、周波数判定部112と、周波数切替部113とを備える。周波数判定部112は、受信部111で受信した受信超音波の周波数であって、受信部で受信可能な周波数である受信周波数と、送信制御部114で送信を制御する送信超音波の送信周波数とを、比較した結果を判定する。また、周波数切替部113は、周波数判定部112で判定された判定結果に基づいて、送信周波数及び受信周波数を切り替える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信超音波を送信する送信デバイスを制御する送信制御部と、
受信超音波を受信する受信部と、
前記受信部で受信した前記受信超音波の周波数であって、前記受信部で受信可能な周波数である受信周波数と、前記送信制御部で送信を制御する前記送信超音波の送信周波数とを、比較した結果を判定する周波数判定部と、
前記周波数判定部で判定された判定結果に基づいて、前記送信周波数及び前記受信周波数を切り替える周波数切替部と、を備える超音波センサ制御装置。
【請求項2】
前記周波数判定部は、前記送信超音波を送信するタイミング以前の所定の期間に、前記受信部で受信した前記受信周波数と前記送信周波数とが異なるか否かを判定し、
前記周波数切替部は、前記受信周波数と前記送信周波数とが同じであると判定した場合に、前記送信周波数及び前記受信周波数を、送信予定の周波数とは異なる周波数に切り替える、請求項1に記載の超音波センサ制御装置。
【請求項3】
前記受信部は、複数の前記受信超音波を受信する複数の受信デバイスから複数の前記受信超音波を受信し、
前記周波数判定部は、前記送信超音波を送信するタイミング以前の所定の期間に、前記受信部で受信した前記受信周波数と、前記送信周波数とが異なるか否かを判定し、
前記周波数切替部は、前記受信周波数と、前記送信周波数とが同じであると判定した場合に、前記送信周波数及び複数の前記受信周波数を、前記周波数判定部における判定時点の複数の前記受信デバイスで受信可能な周波数とは異なる周波数に切り替える、請求項1に記載の超音波センサ制御装置。
【請求項4】
前記受信部は、複数の前記受信超音波を受信する複数の受信デバイスから複数の前記受信超音波を受信し、
前記周波数判定部は、前記送信超音波を送信するタイミング以前の所定の期間に、前記受信部で受信した前記受信周波数と、前記送信周波数とが異なるか否かを判定し、
前記周波数切替部は、前記受信周波数と、前記送信周波数とが同じであると判定した場合に、前記送信周波数及び複数の前記受信周波数を、前記周波数判定部における判定時点の複数の前記受信デバイスで受信可能な周波数のうち、前記受信部で受信した前記受信超音波の前記受信周波数とは異なる周波数に切り替える、請求項1に記載の超音波センサ制御装置。
【請求項5】
前記送信制御部は、第1送信周波数の第1送信超音波と、第2送信周波数の第2送信超音波とを続けて送信するように前記送信デバイスを制御し、
前記受信部は、複数の前記受信超音波を受信する複数の受信デバイスから第1受信超音波と、第2受信超音波とを受信し、
前記周波数判定部は、前記第1受信超音波の第1受信周波数、及び前記第2受信超音波の第2受信周波数を、前記第1送信周波数及び前記第2送信周波数と比較した結果を判定し、
前記周波数切替部は、前記第1受信周波数が前記第1送信周波数と異なる場合、又は前記第2受信周波数が、前記第2送信周波数と異なる場合に、前記第1送信周波数、前記第2送信周波数、前記第1受信周波数及び前記第2受信周波数を、前記第1送信周波数及び前記第2送信周波数と異なる周波数に切り替える、請求項1に記載の超音波センサ制御装置。
【請求項6】
前記送信制御部は、第1送信周波数の第1送信超音波と、第2送信周波数の第2送信超音波とを同時に送信するように複数の前記送信デバイスを制御し、
前記受信部は、複数の前記受信超音波を受信する複数の受信デバイスから第1受信超音波と、第2受信超音波とを受信し、
前記周波数判定部は、前記第1受信超音波の第1受信周波数、及び前記第2受信超音波の第2受信周波数を、前記第1送信周波数及び前記第2送信周波数と比較した結果を判定し、
前記周波数切替部は、前記第1受信周波数及び前記第2受信周波数が、前記第1送信周波数又は前記第2送信周波数のいずれか一方の周波数と同じ周波数であって、前記第1受信超音波及び前記第2受信超音波の受信が同じタイミングでない場合に、前記第1送信周波数、前記第2送信周波数、前記第1受信周波数及び前記第2受信周波数を、前記第1送信周波数及び前記第2送信周波数と異なる周波数に切り替える、請求項1に記載の超音波センサ制御装置。
【請求項7】
超音波を送信及び受信する超音波センサデバイスと、
前記超音波センサデバイスを介して、送信超音波の送信を制御する送信制御部と、
前記超音波センサデバイスを介して、受信超音波を受信する受信部と、
前記受信部で受信した前記受信超音波の周波数であって、前記受信部で受信可能な周波数である受信周波数と、前記送信制御部で送信を制御する前記送信超音波の送信周波数とを、比較した結果を判定する周波数判定部と、
前記周波数判定部で判定された判定結果に基づいて、前記送信周波数及び前記受信周波数を切り替える周波数切替部と、を備える超音波センサ。
【請求項8】
送信超音波を送信する送信デバイスを制御し、
受信デバイスから受信超音波を受信し、
受信した前記受信超音波の周波数であって、前記受信デバイスを介して受信可能な周波数である受信周波数と、前記送信超音波の送信周波数とを、比較した結果を判定し、
前記受信周波数と、前記送信周波数とを比較し判定した結果に基づいて、前記送信超音波の前記送信周波数及び前記受信周波数を切り替える、超音波センサ制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波センサ制御装置、超音波センサ、及び超音波センサ制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、超音波を発生させて対象物からの反射波が返ってくるまでの時間を計測することにより対象物までの距離を測定する超音波システムにおいて、他のシステムから送信される超音波との干渉を回避するための方法が提案されている。特許文献1には、他のシステムから送波される超音波による干渉を回避するための機能を備える音波処理装置が開示されている。特許文献1に開示された音波処理装置は、連続的に送信される2つの超音波の位相差、バースト波間隔、バースト継続時間、及び振幅レベル比によって特徴(パターン)を持たせることで、他のシステムから送波される超音波による干渉を回避させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-60410号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、送信する超音波に設けられる特徴(パターン)には限りがあり、同じシステムを用いた場合に同じ特徴(パターン)で、超音波が送信されるケースも想定される。他のシステムから送波される超音波と干渉(混信)した場合の、混信を解消するための手段についてこれまで検討が十分されておらず、他のシステムの超音波との干渉が発生した場合に誤った測距がなされる可能性がある。
【0005】
本発明は、上記のような事情を鑑み、超音波センサの混信を容易に解消することができる超音波センサ制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の課題を解決するため、本実施形態の一態様に係る超音波センサ制御装置は、送信超音波を送信する送信デバイスを制御する送信制御部と、受信超音波を受信する受信部と、受信部で受信した受信超音波の周波数であって、受信部で受信可能な周波数である受信周波数と、送信制御部で送信を制御する送信超音波の送信周波数と、を比較した結果を判定する周波数判定部と、周波数判定部で判定された判定結果に基づいて、送信周波数及び受信周波数を切り替える周波数切替部と、を備える。
【0007】
本実施形態の他の一態様に係る超音波センサは、超音波を送信及び受信する超音波センサデバイスと、超音波センサデバイスを介して、送信超音波の送信を制御する送信制御部と、超音波センサデバイスを介して、受信超音波を受信する受信部と、受信部で受信した受信超音波の周波数であって、受信部で受信可能な周波数である受信周波数と、送信制御部で送信を制御する送信超音波の送信周波数とを、比較した結果を判定する周波数判定部と、周波数判定部で判定された判定結果に基づいて、送信周波数及び受信周波数を切り替える周波数切替部と、を備える。
【0008】
本実施形態の他の一態様に係る超音波センサ制御方法は、送信超音波を送信する送信デバイスを制御し、受信デバイスから受信超音波を受信し、受信した受信超音波の周波数であって、受信デバイスを介して受信可能な周波数である受信周波数と、送信超音波の送信周波数とを、比較した結果を判定し、受信周波数と、送信周波数とを比較し判定した結果に基づいて、送信超音波の送信周波数及び受信周波数を切り替える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、超音波センサの混信を容易に解消することができる超音波センサ制御装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、第1の実施形態に係る超音波センサ制御装置の構成を示すブロック図である。
図2図2は、第1の実施形態に係る周波数情報、送信情報、及び受信情報の一例を示す図である。
図3A図3Aは、超音波センサにおける混信の状態を説明するためのタイミングチャートである。
図3B図3Bは、第1の実施形態に係る超音波センサ制御装置における処理を説明するためのタイミングチャートである。
図4図4は、第1の実施形態に係る超音波センサ制御装置の処理の一例を示すフローチャートである。
図5図5は、第2の実施形態に係る超音波センサ制御装置の構成を示すブロック図である。
図6図6は、第2の実施形態に係る周波数情報、送信情報、及び受信情報の一例を示す図である。
図7A図7Aは、超音波センサにおける混信の状態を説明するためのタイミングチャートである。
図7B図7Bは、第2の実施形態に係る超音波センサ制御装置における処理を説明するためのタイミングチャートである。
図7C図7Cは、第2の実施形態に係る超音波センサ制御装置における処理を説明するためのタイミングチャートである。
図8図8は、第3の実施形態に係る超音波センサ制御装置の構成を示すブロック図である。
図9図9は、第3の実施形態に係る周波数情報、送信情報、及び受信情報の一例を示す図である。
図10A図10Aは、超音波センサにおける混信の状態を説明するためのタイミングチャートである。
図10B図10Bは、第3の実施形態に係る超音波センサ制御装置における処理を説明するためのタイミングチャートである。
図11図11は、第3の実施形態に係る超音波センサ制御装置の処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図面に示すタイミングチャートの時間の長短の比率関係、パルス数及び/又は極性などについて、その関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0012】
また、以下に示す実施形態は、技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、各構成部品の材質、形状、構造、配置等を特定するものではない。本実施形態は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0013】
具体的な本実施形態の一態様は、以下の通りである。
【0014】
<1>送信超音波を送信する送信デバイスを制御する送信制御部と、受信超音波を受信する受信部と、前記受信部で受信した前記受信超音波の周波数であって、前記受信部で受信可能な周波数である受信周波数と、前記送信制御部で送信を制御する前記送信超音波の送信周波数とを、比較した結果を判定する周波数判定部と、前記周波数判定部で判定された判定結果に基づいて、前記送信周波数及び前記受信周波数を切り替える周波数切替部と、を備える超音波センサ制御装置。
【0015】
<2>前記周波数判定部は、前記送信超音波を送信するタイミング以前の所定の期間に、前記受信部で受信した前記受信周波数と前記送信周波数とが異なるか否かを判定し、前記周波数切替部は、前記受信周波数と前記送信周波数とが同じであると判定した場合に、前記送信周波数及び前記受信周波数を、送信予定の周波数とは異なる周波数に切り替える、<1>に記載の超音波センサ制御装置。
【0016】
<3>前記受信部は、複数の前記受信超音波を受信する複数の受信デバイスから複数の前記受信超音波を受信し、前記周波数判定部は、前記送信超音波を送信するタイミング以前の所定の期間に、前記受信部で受信した前記受信周波数と、前記送信周波数とが異なるか否かを判定し、前記周波数切替部は、前記受信周波数と、前記送信周波数とが同じであると判定した場合に、前記送信周波数及び複数の前記受信周波数を、前記周波数判定部における判定時点の複数の前記受信デバイスで受信可能な周波数とは異なる周波数に切り替える、<1>に記載の超音波センサ制御装置。
【0017】
<4>前記受信部は、複数の前記受信超音波を受信する複数の受信デバイスから複数の前記受信超音波を受信し、前記周波数判定部は、前記送信超音波を送信するタイミング以前の所定の期間に、前記受信部で受信した前記受信周波数と、前記送信周波数とが異なるか否かを判定し、前記周波数切替部は、前記受信周波数と、前記送信周波数とが同じであると判定した場合に、前記送信周波数及び複数の前記受信周波数を、前記周波数判定部における判定時点の複数の前記受信デバイスで受信可能な周波数のうち、前記受信部で受信した前記受信超音波の前記受信周波数とは異なる周波数に切り替える、<1>に記載の超音波センサ制御装置。
【0018】
<5>前記送信制御部は、第1送信周波数の第1送信超音波と、第2送信周波数の第2送信超音波とを続けて送信するように前記送信デバイスを制御し、前記受信部は、複数の前記受信超音波を受信する複数の受信デバイスから第1受信超音波と、第2受信超音波とを受信し、前記周波数判定部は、前記第1受信超音波の第1受信周波数、及び前記第2受信超音波の第2受信周波数を、前記第1送信周波数及び前記第2送信周波数と比較した結果を判定し、前記周波数切替部は、前記第1受信周波数が前記第1送信周波数と異なる場合、又は前記第2受信周波数が、前記第2送信周波数と異なる場合に、前記第1送信周波数、前記第2送信周波数、前記第1受信周波数及び前記第2受信周波数を、前記第1送信周波数及び前記第2送信周波数と異なる周波数に切り替える、<1>に記載の超音波センサ制御装置。
【0019】
<6>前記送信制御部は、第1送信周波数の第1送信超音波と、第2送信周波数の第2送信超音波とを同時に送信するように複数の前記送信デバイスを制御し、前記受信部は、複数の前記受信超音波を受信する複数の受信デバイスから第1受信超音波と、第2受信超音波とを受信し、前記周波数判定部は、前記第1受信超音波の第1受信周波数、及び前記第2受信超音波の第2受信周波数を、前記第1送信周波数及び前記第2送信周波数と比較した結果を判定し、前記周波数切替部は、前記第1受信周波数及び前記第2受信周波数が、前記第1送信周波数又は前記第2送信周波数のいずれか一方の周波数と同じ周波数であって、前記第1受信超音波及び前記第2受信超音波の受信が同じタイミングでない場合に、前記第1送信周波数、前記第2送信周波数、前記第1受信周波数及び前記第2受信周波数を、前記第1送信周波数及び前記第2送信周波数と異なる周波数に切り替える、<1>に記載の超音波センサ制御装置。
【0020】
<7>超音波を送信及び受信する超音波センサデバイスと、前記超音波センサデバイスを介して、送信超音波の送信を制御する送信制御部と、前記超音波センサデバイスを介して、受信超音波を受信する受信部と、前記受信部で受信した前記受信超音波の周波数であって、前記受信部で受信可能な周波数である受信周波数と、前記送信制御部で送信を制御する前記送信超音波の送信周波数とを、比較した結果を判定する周波数判定部と、前記周波数判定部で判定された判定結果に基づいて、前記送信周波数及び前記受信周波数を切り替える周波数切替部と、を備える超音波センサ。
【0021】
<8>送信超音波を送信する送信デバイスを制御し、受信デバイスから受信超音波を受信し、受信した前記受信超音波の周波数であって、前記受信デバイスを介して受信可能な周波数である受信周波数と、前記送信超音波の送信周波数とを、比較した結果を判定し、前記受信周波数と、前記送信周波数とを比較し判定した結果に基づいて、前記送信超音波の前記送信周波数及び前記受信周波数を切り替える、超音波センサ制御方法。
【0022】
(第1の実施形態)
図1を参照して、第1の実施形態に係る超音波センサ10の構成を説明する。超音波センサ10は、超音波センサ制御装置100と、超音波センサデバイス200と、を含んで構成される。本実施形態における超音波センサ10は、超音波を送信し、さらに超音波を受信することが可能なセンサである。超音波センサ10は、例えば、超音波を送信させて対象物からの反射波が返ってくるまでの時間TOF(Time Of Flight)を計測することにより対象物までの距離を測定することが可能な測距システム等に用いられる。
【0023】
超音波センサ制御装置100は、受信部111と、周波数判定部112と、周波数切替部113と、送信制御部114と、記憶部120とを備える。超音波センサデバイス200は、超音波を受信する受信デバイス210と、送信デバイス220とを備える超音波センサデバイスであり、例えば圧電効果を用いたトランスデューサによって構成される。送信デバイス220に所定の電圧を印加することで、送信デバイス220に備えられた圧電振動子(図示なし)を振動させ、超音波を発生させる。また、受信デバイス210に所定の周波数の超音波が到達することにより、受信デバイス210の圧電振動子(図示なし)に所定の電圧が発生し、この電圧を検知することで超音波を受信することが可能となる。
【0024】
受信部111は、受信デバイス210を介して受信超音波を受信し、受信した超音波に関する受信情報を記憶部120に記憶する。具体的には、受信部111は、記憶部120に記憶された受信情報の受信周波数で、受信デバイス210を介して受信超音波を受信し、記憶部120に記憶された受信情報の受信状況に「受信あり」を示す内容を格納する。
【0025】
周波数判定部112は、記憶部120に記憶された送信情報の送信状況に基づき、送信超音波の送信前か否かを判定する。また、周波数判定部112は、記憶部120に記憶された送信情報の送信周波数、及び受信情報の受信周波数に基づき、受信超音波の受信周波数と、送信超音波の送信周波数とを比較し、受信周波数と、送信周波数とが同じであるか否かを判定する。
【0026】
なお、本明細書において、「周波数が同じ」であるとは、判定の対象となる周波数が完全に同一であることを限定するものではなく、所定の範囲内において同じであることを示す。例えば、超音波センサ10の測定仕様が、「音源周波数40kHz、動作温度-20℃~60℃条件で、測定対象物との相対速度±5km/h」であった場合の周波数の範囲は以下の通りとなる。具体的には、周波数40kHzに対し、対象物に反射して戻り受信した周波数が最も低い場合の周波数は、39,653.5Hz(-20℃時に5km/hで遠ざかる)となる。また、同様に、対象物に反射して戻り受信した周波数が最も高い場合の周波数は、40,303.0Hz(+60℃時に5kmで近づく)となる。なお、これらの場合、ともに有効数字0.1Hz、音源の公差0、音速=(331.5+0.61T)m/s(T=気温)であるものとする。すなわち、例えば、判定の対象となる周波数が40kHzである場合において、比較対象となる周波数が39,653.5Hz~40,303.0Hzの範囲の場合に、周波数判定部112は、「周波数が同じ」であると判定する。なお、周波数の判定における所定の範囲は上述の例の値に限定されるものではなく、超音波センサ10の測定仕様や、対象となる周波数の値に応じて異なる。
【0027】
周波数切替部113は、周波数判定部112で、周波数が同じであると判定した場合に、記憶部120に記憶された、送信情報の送信周波数、及び受信情報の受信周波数を異なる周波数に切り替えて変更する。すなわち、周波数切替部113は、周波数判定部112において、送信デバイス220が送信超音波を送信するタイミング以前の所定の期間に、受信周波数と、送信周波数とが同じであると判定した場合に、送信超音波の送信周波数を、送信予定の周波数とは異なる周波数に切り替えて変更する。なお、本実施形態において、所定の期間は、超音波センサ制御装置100の起動から、送信デバイス220が送信超音波を送信するタイミングまでの期間である。また、この所定の期間は、任意に設定可能であるものとし、例えば、他の装置からの超音波との混信をより正確に判定したい場合には、この所定の期間をデフォルト(初期設定)の期間よりも長くするように設定してもよい。
【0028】
送信制御部114は、送信デバイス220に対し、送信超音波の送信を制御する。具体的には、送信制御部114は、記憶部120に記憶された送信情報の送信周波数で、送信デバイス220から送信超音波を送信させる。また、送信制御部114は、送信超音波を送信後に、記憶部120に記憶された送信情報の送信状況を「送信済」に変更する。
【0029】
記憶部120は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random access memory)、ハードディスク等で構成され「周波数情報」、「送信情報」、及び「受信情報」を記憶する。具体的には、記憶部120は、図2に示す情報を格納する。なお、記憶部120に格納される「周波数情報」、「送信情報」、及び「受信情報」は、一つのストレージデバイスの中に物理的又は論理的に分けて設けられた領域として構成されていてもよい。あるいは、物理的に異なる複数のストレージデバイスに各データの記憶部120を設ける構成としてもよい。
【0030】
記憶部120に記憶された「周波数情報」には、超音波センサ10において、対応可能な超音波の周波数が格納されている。具体的には、超音波センサデバイス200の受信デバイス210による受信、及び送信デバイス220による送信が可能な超音波の周波数が格納されている。また、「周波数情報」に格納された周波数の値は、ドップラーシフトや受信特性などを考慮して混信しない程度に乖離しているものとする。例えば図2に示す例においては、「周波数情報」の第1周波数、第2周波数、及び第3周波数の欄には、それぞれ5kHzずつ乖離した45kHz、50kHz、及び55kHzが周波数の値として格納されている。超音波センサ制御装置100は、この「周波数情報」に格納された周波数を選択し、超音波の送信、及び受信を行う。
【0031】
記憶部120に記憶された「送信情報」には、送信デバイス220を介して送信する送信超音波に関する情報が格納されている。具体的には、送信デバイス220から送信超音波を送信したか否かを示す「送信状況」が格納される。「送信状況」は、送信デバイス220から送信超音波が送信される前の状況においては、「送信前」である旨の情報が格納される。また、「送信状況」は、送信デバイス220から送信超音波が送信された後の状況においては、「送信済」である旨の情報が格納される。
【0032】
また、「送信情報」には、送信周波数に関する情報が格納される。この「送信情報」の送信周波数は、送信デバイス220から送信超音波が送信される前の状況においては、送信予定の周波数が格納される。また、「送信情報」の送信周波数は、送信デバイス220から送信超音波が送信された後の状況においては、実際に送信した送信超音波の周波数が格納される。
【0033】
記憶部120に記憶された「受信情報」は、受信デバイス210を介して受信する受信超音波に関する情報が格納されている。具体的には、受信デバイス210で受信超音波を受信したか否かを示す「受信状況」が格納される。「受信状況」は、受信デバイス210から受信超音波を受信する前の状況においては、「送信なし」である旨の情報が格納される。また、「受信状況」は、受信デバイス210から受信超音波を受信した後の状況においては、「送信あり」である旨の情報が格納される。
【0034】
また、「受信情報」には、受信周波数に関する情報が格納される。この「受信情報」の受信周波数は、受信デバイス210から受信することが可能となる受信超音波の周波数が格納される。すなわち、「受信情報」の受信周波数は、受信デバイス210で受信可能な周波数である。
【0035】
ここで、図3A及び図3Bのタイミングチャートを用いて、超音波センサ制御装置100の処理について説明する。図3A及び図3Bに示すタイミングチャートにおいては、超音波の周波数の違いを図形のパターン及びUF1及びUF2を用いて模式的に表している。なお、UF1は超音波の第1周波数を示し、UF2は、超音波の第2周波数を示すものとする。以降、タイミングチャートにおいては、図3A及び図3Bと同様に、超音波の周波数の違いを模式的に表すものとする。
【0036】
図3A及び図3Bにおいて、超音波センサ制御装置100の起動時における送信周波数、及び受信周波数は例えば第1周波数(UF1)が設定されているものとする。すなわち、超音波センサ制御装置100は、第1周波数(UF1)を送信し、対象物に反射した反射波を第1周波数(UF1)で受信してその距離を測定するというものである。
【0037】
図3Aにおいては、時刻T2で送信デバイス220から送信した超音波が対象物に反射して、この反射した超音波を時刻T4で受信するものとする。一方で、図3Aにおいては、時刻T1及び時刻T3においては、この超音波センサ制御装置100とは別の装置から送信された超音波を第1周波数(UF1)で受信しているものとする。本実施形態において別の装置は、他の超音波センサ10のみならず、例えば、超音波センサ10で扱う超音波の周波数に近い周波数が用いられる他の超音波センサを用いた測距システム、あるいは獣害用撃退器等であってもよい。
【0038】
この場合、超音波センサ制御装置100は、図3Aに示す例においては、時刻T3で受信した超音波を時刻T2で送信した超音波の反射波として認識してしまう。受信すべき超音波は、時刻T4で受信すべきであるのに対し、時刻T3で誤って受信しているため、送信デバイス220から超音波を送信してから超音波を受信するまでの時間が短くなる。すなわち、超音波センサにおいて正確に測距が行えないことになる。
【0039】
一方で、図3Bに示す例においては、時刻T1で第1周波数の超音波を受信した場合、周波数判定部112は、送信デバイス220からの超音波送信(時刻T2)までのタイミングで、送信周波数である第1周波数(UF1)の超音波を受信したと判定する。
【0040】
この周波数判定部112の判定結果に基づいて、周波数切替部113は、送信周波数及び受信周波数を、第1周波数(UF1)とは異なる第2周波数(UF2)に切り替える。これにより、図3Bに示す例においては、時刻T3のタイミングにおいて第1周波数(UF1)の超音波を、送信デバイス220から送信された超音波としては受信しない。また、時刻T4において正しく第2周波数(UF2)の超音波を受信することがでる。これにより、超音波センサ制御装置100を用いた測距システムにおいて、他の装置との混信を解消し、正確な距離の測定が可能となる。
【0041】
(超音波センサ制御装置100の処理フローの概略)
次に、図4に示すフローチャートを用いて超音波センサ制御装置100における処理(超音波センサ制御方法)の流れを示す。図4のフローチャートに示す超音波センサ制御装置100の一連の動作は、超音波センサ制御装置100が起動されると開始され、送信超音波の送信により処理を終了する。また、図4に示すフローチャートは、電源オフや処理終了の割り込みによっても処理は終了する。また、以下のフローチャートの説明において、上述の超音波センサ制御装置100の説明で記載した内容と同じ内容については、省略又は簡略化して説明する。
【0042】
ステップS401において、送信制御部114は、送信超音波の送信タイミングであるか否かを判定する。ステップS401において、送信制御部114は、送信超音波の送信タイミングであると判定した場合(ステップS401:YES)には、処理はステップS406に進む。一方で、ステップS401において、送信制御部114は、送信超音波の送信タイミングでないと判定した場合(ステップS401:NO)には、処理はステップS402に進む。
【0043】
ステップS402において、受信部111は、受信超音波を受信したか否かを判定する。具体的には、受信部111は、記憶部120に記憶された受信情報の受信周波数で受信超音波を受信したか否かを判定する。ステップS402において、受信部111は、受信超音波を受信したと判定した場合(ステップS402:YES)には、処理はステップS403に進む。一方で、ステップS402において、受信部111は、受信超音波を受信していないと判定した場合(ステップS402:NO)には、処理はステップS401に戻り、ステップS401からの処理を繰り返す。すなわち、送信超音波の送信タイミングになるまでは、処理はステップS401及びステップS402の処理を繰り返し、受信超音波を受信したか否かを判定する。先に送信超音波のタイミングとなった場合には、送信制御部114は、後述のステップS406において、送信超音波を送信する。一方で、先に受信超音波を受信した場合には、処理は後述のステップS403以降の処理が実行される。
【0044】
ステップS403において、周波数判定部112は、送信超音波の送信前か否かを判定する。具体的には、ステップS403において、周波数判定部112は、記憶部120に記憶された送信情報の送信状況に基づき、送信超音波の送信前か否かを判定する。ステップS403において、周波数判定部112は、送信超音波の送信前であると判定した場合(ステップS403:YES)には、処理はステップS404に進む。一方で、ステップS403において、周波数判定部112は、送信超音波の送信前でない、すなわち送信超音波の送信後であると判定した場合(ステップS403:NO)には、処理はステップS401に戻り、ステップS401からの処理を繰り返す。
【0045】
ステップS404において、周波数判定部112は、受信超音波の受信周波数と、送信予定の送信超音波の送信周波数とが同じであるか否かを判定する。具体的には、周波数判定部112は、記憶部120に記憶された送信情報の送信周波数、及び受信情報の受信周波数に基づき、受信超音波の受信周波数と、送信超音波の送信周波数とが同じであるか否かを判定する。ステップS404において、周波数判定部112は、受信超音波の受信周波数と、送信超音波の送信周波数とが同じであると判定した場合(ステップS404:YES)には、処理はステップS405に進む。一方で、ステップS404において、周波数判定部112は、受信超音波の受信周波数と、送信超音波の送信周波数とが同じでないと判定した場合(ステップS404:NO)には、処理はステップS401に戻り、ステップS401からの処理を繰り返す。
【0046】
ステップS405において、周波数切替部113は、送信超音波の送信周波数、及び受信超音波の受信周波数を切り替えて変更する。具体的には、周波数切替部113は、記憶部120に記憶された、送信情報の送信周波数、及び受信情報の受信周波数を異なる周波数に切り替えて変更する。その後、処理はステップS401に戻り、ステップS401からの処理を繰り返す。
【0047】
ステップS406において、送信制御部114は、送信超音波を送信する。具体的には、ステップS406において、送信制御部114は、記憶部120に記憶された送信情報の送信周波数で、送信デバイス220から送信超音波を送信させる。また、送信制御部114は、送信超音波を送信後に、記憶部120に記憶された送信情報の送信状況を「送信済」に変更する。
【0048】
上述の通り、第1の実施形態に係る超音波センサ制御装置100は、送信超音波を送信する送信デバイスを制御する送信制御部114と、受信超音波を受信する受信部111と、周波数判定部112と、周波数切替部113とを備える。周波数判定部112は、受信部111で受信した受信超音波の周波数であって、受信部111で受信可能な周波数である受信周波数と、送信制御部114で送信を制御する送信超音波の送信周波数とを、比較した結果を判定する。また、周波数切替部113は、周波数判定部112で判定された判定結果に基づいて、送信超音波及び受信周波数の送信周波数を切り替える。
【0049】
この構成により、超音波センサ制御装置100は、送信超音波の送信周波数と、受信超音波の受信周波数とを比較した結果を判定する。これにより、他の装置との超音波の混信を容易に判定し、さらには、送信周波数及び受信周波数を切り替えることで、他の装置との混信を容易に解消することが可能となる。
【0050】
また、第1の実施形態において、周波数判定部112は、送信超音波を送信するタイミング以前の所定の期間に、受信部111で受信した受信周波数と送信周波数とが異なるか否かを判定する。周波数切替部113は、受信周波数と送信周波数とが同じであると判定した場合に、送信周波数及び受信周波数を、送信予定の周波数とは異なる周波数に切り替える。
【0051】
この構成により、例えば、第1の実施形態に係る超音波センサ10を使用する場合において、あらかじめ混信が予想される超音波を判定し、その混信が予想される超音波とは別の超音波の周波数を用いて、超音波センサ10における超音波の送信、及び反射波の受信が可能となる。すなわち、実際の測距前に他の装置との混信の判定及び解消の処理を効率よく行うことが可能となり、実際の測距においては、混信による誤った測定を防ぐことが可能となる。
【0052】
(第2の実施形態)
以上の通り、具体的な実施形態を一つ説明したが、上述した実施形態は例示であって実施形態を限定するものではない。例えば、上述の実施形態では、送信超音波の送信前において、送信超音波の送信周波数と受信超音波の受信周波数とを判定し、送信周波数と受信周波数とが同じ場合に送信周波数及び受信周波数を切り替える形態を例示した。ここではさらに、複数の受信超音波を受信し、送信超音波の送信周波数と複数の受信超音波の受信周波数とを判定する第2の実施形態に係る超音波センサ制御装置100について、第1の実施形態と異なる構成について説明する。
【0053】
図5は、第2の実施形態に係る超音波センサ10の概略構成を示す図である。図5に示すように、第2の実施形態に係る超音波センサ10においては、超音波センサデバイス200に複数の受信デバイス210を備える点で、第1の実施形態と構成が異なる。
【0054】
図6は、第2の実施形態に係る超音波センサ制御装置100の記憶部120に記憶された「周波数情報」、「送信情報」、及び「受信情報」を示す。図6に示すように、第2の実施形態に係る超音波センサ制御装置100の記憶部120に格納された「受信情報」において、複数の受信デバイス210に対する受信状況及び受信周波数が格納されている点で、第1の実施形態と異なる。
【0055】
図7A図7Cに示すタイミングチャートを用いて、第2の実施形態に係る超音波センサ制御装置100の処理について説明する。
【0056】
図7A図7Cにおいて、超音波センサ制御装置100の起動時における送信周波数は例えば第1周波数(UF1)が設定されているものとする。また、第1受信デバイス、第2受信デバイス、及び第3受信デバイスの各受信周波数はそれぞれ第1周波数(UF1)、第2周波数(UF2)、及び第3周波数(UF3)が設定されているものとする。また、超音波センサ制御装置100は、第1周波数(UF1)を送信し、対象物に反射した反射波を第1受信デバイスが第1周波数(UF1)で受信して、その対象物までの距離を測定するというものである。
【0057】
図7Aにおいては、時刻T4で送信デバイス220から送信した超音波が対象物に反射して、この反射した超音波を、第1受信デバイスが、時刻T8で受信するものとする。一方で、図7Aにおいては、時刻T1及び時刻T5においては、この超音波センサ制御装置100とは別の装置から送信された超音波を第1受信デバイスが第1周波数(UF1)で受信しているものとする。
【0058】
この場合、図7Aに示す例においては、第1受信デバイスが時刻T5で受信した超音波を時刻T4で送信した超音波の反射波として認識してしまう。受信すべき超音波は、時刻T8で受信すべきであるのに対し、時刻T5で誤って受信しているため、送信デバイス220から超音波を送信してから超音波を受信するまでの時間が短くなる。すなわち、測距が誤って行われることになる。
【0059】
一方で、図7Bに示す例においては、時刻T1、時刻T2、及び時刻T3において、それぞれ第1受信デバイス、第2受信デバイス、及び第3受信デバイスで、第1周波数(UF1)、第2周波数(UF2)、及び第3周波数(UF3)の超音波を受信している。この場合、第2の実施形態における周波数判定部112は、送信デバイス220からの超音波送信までのタイミングで、送信周波数である第1周波数(UF1)の超音波を第1受信デバイスで受信したと判定する。
【0060】
この周波数判定部112の判定結果に基づいて、周波数切替部113は、送信周波数及び第1受信デバイスの受信周波数を、第1周波数(UF1)とは異なる周波数に切り替える。ここで第2の実施形態においては、第1受信デバイス以外の第2及び第3受信デバイスにおいても、第2周波数(UF2)及び第3周波数(UF3)を受信している。そのため、送信超音波の送信周波数を第1周波数(UF1)とは異なる周波数である第2周波数(UF2)及び第3周波数(UF3)に切り替えた場合、時刻T6又は時刻T7において、誤って受信超音波を受信することになる。
【0061】
そのため、第2の実施形態においては、周波数切替部113は、複数の受信デバイス210に対する受信周波数とは異なる周波数に切り替える。例えば、図7Bに示す例においては、送信超音波の周波数、及び第1受信デバイスの受信周波数を第4周波数(UF4)に切り替える。これにより、図7Bに示す例においては、時刻T5のタイミングにおいて第1周波数(UF1)の超音波を受信しない。また、時刻T8において正しく第4周波数(UF4)の超音波を受信することができる。これにより、超音波センサ制御装置100を用いた測距システムにおいて、誤った受信をなくし、正しい距離の測定ができる。
【0062】
また、第2の実施形態における超音波センサ制御装置100において、周波数切替部113は、複数の受信デバイス210に対する受信周波数の内、受信超音波を受信していない受信周波数に、送信周波数及び第1受信デバイスの受信周波数を切り替えてもよい。例えば、図7Cに示す例において、送信デバイス220からの送信超音波の送信前に、第3受信デバイスで、受信超音波を受信していない。よって、図7Cに示す例において、送信超音波の周波数、及び第1受信デバイスの受信周波数を、第3受信デバイスで受信していない第3周波数(UF3)に切り替える。これにより、図7Cに示す例においては、時刻T5のタイミングにおいて第1周波数(UF1)の超音波を受信しない。また、時刻T8において正しく第3周波数(UF3)の超音波を受信することがでる。これにより、超音波センサ制御装置100を用いた測距システムにおいて、誤った受信をなくし、正しい距離の測定ができる。
【0063】
上述の通り、第2の実施形態における超音波センサ制御装置100の受信部111は、複数の受信超音波を受信する複数の受信デバイス210から複数の受信超音波を受信する。また、周波数判定部112は、送信超音波を送信するタイミング以前の所定の期間に、受信部111で受信した受信周波数と、送信周波数とが異なるか否かを判定する。さらに、周波数切替部113は、受信周波数と、送信周波数とが同じであると判定した場合に、送信周波数及び複数の受信周波数を、周波数判定部112における判定時点の複数の受信デバイス210で受信可能な周波数とは異なる周波数に切り替える。
【0064】
この構成により、第2の実施形態に係る超音波センサ10においては、複数の受信デバイス210で受信可能な複数の周波数を検知することが可能となる。これにより、他システム由来の超音波による誤った受信をより低減することができるため、より正確な測距システムを実現することが可能となる。
【0065】
また、第2の実施形態における超音波センサ制御装置100の受信部111は、複数の受信超音波を受信する複数の受信デバイス210から複数の受信超音波を受信する。また、周波数判定部112は、送信超音波を送信するタイミング以前の所定の期間に、受信部111で受信した受信周波数と、送信周波数とが異なるか否かを判定する。さらに、周波数切替部113は、受信周波数と、送信周波数とが同じであると判定した場合に、送信周波数及び複数の受信周波数を、周波数判定部における判定時点の複数の受信デバイスで受信可能な周波数のうち、受信部で受信した受信超音波の受信周波数とは異なる周波数に切り替える構成としてもよい。
【0066】
この構成により、第2の実施形態に係る超音波センサ10においては、複数の受信デバイス210で受信可能な複数の周波数を検知することが可能となる。また、この構成においては、適用可能な周波数の数を少なくすることができる。これにより、他システム由来の超音波による誤った受信をより低減することができるため、より正確な測距システムを実現することが可能となる。
【0067】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態について説明する。なお、以下の説明において、第1及び/又は第2の実施形態と同じ符号を用いる場合、第1及び/又は第2の実施形態と同一の構成を示し、特に説明がない限り先行する説明を参照する。ここでは、複数の送信超音波を送信し、受信した複数の受信超音波の受信タイミングを判定する、第3の実施形態に係る超音波センサ10について、第1及び/又は第2の実施形態と異なる構成について説明する。
【0068】
図8は、第3の実施形態に係る超音波センサ10の概略構成を示す図である。図8に示すように、第3の実施形態に係る超音波センサ10においては、超音波センサデバイス200に、複数の送信デバイス220及び複数の受信デバイス210を備える点で、第1及び/又は第2の実施形態と構成が異なる。
【0069】
図9は、第3の実施形態に係る超音波センサ制御装置100の記憶部120に記憶された「周波数情報」、「送信情報」、及び「受信情報」を示す。図9に示すように、第3の実施形態に係る超音波センサ制御装置100の記憶部120に格納された「送信情報」において、複数の送信デバイス220に対する送信状況及び送信周波数が格納されている点で、第2の実施形態と異なる。
【0070】
また、図9に示すように、第3の実施形態に係る超音波センサ制御装置100の記憶部120に格納された「送信情報」及び「受信情報」において、それぞれ送信時刻、及び受信時刻の項目を設ける点で、第1及び第2の実施形態と異なる。図9に示す例においては、送信時刻で示す「タイミングA」は第1送信デバイスで送信した超音波の送信時刻を示す。また、送信時刻で示す「タイミングA+時間B」は、第2送信デバイスで送信した超音波の送信時刻を示し、「タイミングA」から「時間B」だけ経過した時刻を示す。また、「タイミングC」及び「タイミングD」は、それぞれ第1受信デバイス及び第2受信デバイスで超音波を受信した時刻を示す。
【0071】
図10A、及び図10Bに示すタイミングチャートを用いて、第3の実施形態に係る超音波センサ制御装置100の処理について説明する。
【0072】
図10A、及び図10Bにおいて、超音波センサ制御装置100の起動時における第1送信デバイス、及び第2送信デバイスの送信周波数は、例えばそれぞれ第1周波数(UF1)及び第2周波数(UF2)が設定されているものとする。また、第1受信デバイス、及び第2受信デバイスの受信周波数は、それぞれ第1周波数(UF1)、及び第2周波数(UF2)が設定されているものとする。また、超音波センサ制御装置100は、第1送信デバイス及び第2送信デバイスから第1周波数(UF1)及び第2周波数(UF2)の送信超音波を送信する。そして対象物に反射した反射波を第1受信デバイスが第1周波数(UF1)で受信、又は第2受信デバイスが第2周波数(UF2)で受信して、その対象物までの距離を測定するというものである。なお、第1送信デバイス及び第2送信デバイスから送信される送信超音波の送信周波数は、それぞれ第1送信周波数、及び第2送信周波数に相当する。同様に、第1受信デバイス及び第2受信デバイスで受信する受信周波数は、それぞれ第1受信周波数、及び第2受信周波数に相当する。
【0073】
さらに、第3の実施形態においては、第1及び第2送信デバイスから送信される送信超音波の送信順番と、第1及び第2受信デバイスで受信する反射波の受信順番を比較し、他の超音波センサシステムからの信号の混信がないかを判定する。なお、第1送信デバイスから送信される送信超音波は、第1送信超音波に相当する。また、第2送信デバイスから送信される送信超音波は、第2送信超音波に相当する。同様に、第1受信デバイスで受信する受信超音波は、第1受信超音波に相当する。また、第2受信デバイスで受信する受信超音波は、第2受信超音波に相当する。
【0074】
例えば、図10Aに示す例において、超音波センサ10は、時刻T1及び時刻T2において、第1及び第2送信デバイスから第1周波数(UF1)及び第2周波数(UF2)の順番で送信超音波を送信する。ここで、第1及び第2受信デバイスにおいては、他の超音波センサからの信号の混信がない場合、反射波を第1周波数(UF1)及び第2周波数(UF2)の順で受信するが、図10Aに示す例においては、時刻T3で先に第2周波数(UF2)を受信している。この第3の実施形態に係る超音波センサ10により、第2周波数(UF2)の超音波による混信の発生を認識することが可能となる。
【0075】
図10Bを参照し、第3の実施形態に係る超音波センサ10の処理について説明を進める。例えば、第3の実施形態における超音波センサ10においては、図10Bの時刻T3~時刻T5で受信した受信超音波について、受信しない(受信信号として使用しない)としてもよい。その後、周波数切替部113において、第1及び第2送信デバイスの送信周波数を例えば第3周波数(UF3)及び第4周波数(UF4)に変更する。時刻T6及び時刻T7において、第1及び第2送信デバイスから第3周波数(UF3)及び第4周波数(UF4)の超音波を送信する。
【0076】
その後、時刻T8及び時刻T9において、第1及び第2受信デバイスは、それぞれ第3周波数(UF3)及び第4周波数(UF4)の受信超音波を受信する。この第1及び第2受信デバイスが受信した第3周波数(UF3)及び第4周波数(UF4)の受信順番は、時刻T6及び時刻T7で第1及び第2送信デバイスが送信した第3周波数(UF3)及び第4周波数(UF4)の送信超音波の送信順番と同じである。よって、第3の実施形態における超音波センサ10において、受信した第3周波数(UF3)及び/又は第4周波数(UF4)を用いて測距等の処理を行うことができる。
【0077】
(超音波センサ制御装置100の処理フローの概略)
次に、図11に示すフローチャートを用いて第3の実施形態に係る超音波センサ制御装置100における処理(超音波センサ制御方法)の流れを示す。図11のフローチャートに示す超音波センサ制御装置100の一連の動作は、超音波センサ制御装置100が起動されると開始され、送信超音波の送信により処理を終了する。また、図11に示すフローチャートは、電源オフや、処理終了又はタイムアウトの割り込みによっても処理は終了する。また、以下のフローチャートの説明において、上述の超音波センサ制御装置100の説明で記載した内容と同じ内容については、省略又は簡略化して説明する。
【0078】
ステップS1101において、送信制御部114は、送信デバイス220に対して複数の送信周波数の送信超音波を、所定の順番(所定の組み合わせ)で送信するように制御する。これにより、複数の送信デバイス220から複数の送信超音波が送信される。
【0079】
ステップS1102において、受信部111は、複数の受信超音波を受信したか否かを判定する。ステップS1102において、受信部111は、複数の受信超音波を受信したと判定した場合(ステップS1102:YES)には、処理はステップS1103に進む。一方で、ステップS1102において、受信部111は、複数の受信超音波を受信していないと判定した場合(ステップS1102:NO)には、処理はステップS1102に戻る。すなわち、複数の受信超音波を受信するまで、処理はステップS1102が繰り返し実行される。なお、超音波センサ10の異常等により、正常に複数の受信超音波が受信されない状態においては、所定の時間経過後にタイムアウトの割り込み等により、図11に示す処理を終了する構成としてもよい。
【0080】
ステップS1103において、周波数判定部112は、受信した受信超音波を、所定の組み合わせで受信したか否かを判定する。ここで所定の組み合わせは、例えば、第1送信デバイス及び第2送信デバイスから送信した送信超音波の送信順番である。ステップS1103において、周波数判定部112は、受信した受信超音波を、所定の組み合わせで受信したと判定した場合(ステップS1103:YES)には、処理はステップS1105に進む。一方で、ステップS1103において、周波数判定部112は、受信した受信超音波を、所定の組み合わせで受信したと判定しない場合(ステップS1103:NO)には、処理はステップS1104に進む。
【0081】
ステップS1104において、周波数切替部113は、送信超音波の送信周波数、及び受信超音波の受信周波数を切り替えて変更する。具体的には、周波数切替部113は、記憶部120に記憶された、複数の送信デバイス220の送信情報の送信周波数、及び複数の受信デバイス210の受信情報の受信周波数を、異なる周波数に切り替えて変更する。
【0082】
ステップS1105において、送信制御部114は、送信超音波を送信する。具体的には、ステップS1105において、送信制御部114は、記憶部120に記憶された送信情報の送信周波数で、複数の送信デバイス220から所定の順番で送信超音波を送信させる。また、送信制御部114は、送信超音波を送信後に、記憶部120に記憶された複数の送信デバイス220の送信情報の送信状況を「送信済」に変更する。
【0083】
なお、上述の第3の実施形態における超音波センサ10においては、第1及び第2送信デバイスから送信される送信周波数の送信順番に対して、周波数判定部112が、第1及び第2受信デバイスで受信する受信周波数の受信順番を判定する例を示した。第3の実施形態においては、上述の送信順番、及び受信順番について、例えば同時とする構成としてもよい。例えば、第1及び第2送信デバイスから異なる送信周波数の送信超音波を同時に送信し、周波数判定部112が、第1及び第2受信デバイスで受信する受信超音波を同時に受信するか否かを判定する構成としてもよい。なお、この場合、周波数判定部112は、第1及び第2受信デバイスで受信する受信超音波を同時に受信するか否かの判定において、完全に同時である必要はなく、所定の期間のマージンを設けて同時に受信したか否かを判定してもよい。
【0084】
上述の通り、第3の実施形態における超音波センサ10の送信制御部114は、第1送信周波数の第1送信超音波と、第2送信周波数の第2送信超音波とを続けて送信するように送信デバイス220を制御する。また、受信部111は、複数の受信超音波を受信する複数の受信デバイス210から第1受信超音波と、第2受信超音波とを受信する。また、周波数判定部112は、第1受信超音波の第1受信周波数、及び第2受信超音波の第2受信周波数を、第1送信周波数及び第2送信周波数と比較した結果を判定する。さらに、周波数切替部113は、第1受信周波数が第1送信周波数と異なる場合、又は第2受信周波数が、第2送信周波数と異なる場合に、第1送信周波数、第2送信周波数、第1受信周波数及び第2受信周波数を、第1送信周波数及び第2送信周波数と異なる周波数に切り替える。
【0085】
この構成により、第3の実施形態に係る超音波センサ10は、送信周波数及び受信周波数の所定の組み合わせに基づいて、他の装置からの混信があるか否かを判定することが可能となる。すなわち、第3の実施形態においては、送信デバイス220からの送信超音波の送信後においても、他の装置からの超音波の混信を判定、及び解消の処理を効率よく行うことが可能となり、実際の測距においては、混信による誤った測定を防ぐことが可能となる。
【0086】
また、第3の実施形態における超音波センサ10の送信制御部114は、第1送信周波数の第1送信超音波と、第2送信周波数の第2送信超音波とを続けて送信するように送信デバイス220を制御する。また、受信部111は、複数の受信超音波を受信する複数の受信デバイス210から第1受信超音波と、第2受信超音波とを受信する。また、周波数判定部112は、第1受信超音波の第1受信周波数、及び第2受信超音波の第2受信周波数を、第1送信周波数及び第2送信周波数と比較した結果を判定する。さらに、周波数切替部113は、第1受信周波数及び第2受信周波数が、第1送信周波数又は第2送信周波数のいずれか一方の周波数と同じ周波数であって、第1受信超音波及び第2受信超音波の受信が同じタイミングでない場合に、第1送信周波数、第2送信周波数、第1受信周波数及び第2受信周波数を、第1送信周波数及び第2送信周波数と異なる周波数に切り替える構成としてもよい。
【0087】
この構成により、第3の実施形態に係る超音波センサ10は、送信周波数及び受信周波数の所定の組み合わせに基づいて、他の装置からの混信があるか否かを判定することが可能となる。すなわち、第3の実施形態においては、送信デバイス220からの送信超音波の送信後においても、他の装置からの超音波の混信を判定、及び解消の処理を効率よく行うことが可能となり、実際の測距においては、混信による誤った測定を防ぐことが可能となる。
【0088】
(他の実施形態)
なお、上述の実施形態は、実施する形態の一例である。このため、本実施形態は、上述の実施形態に限定されることはなく、これ以外の形態であっても、本実施形態に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計などに応じて種々の変更が可能であることは言うまでもない。
【0089】
上述の第3の実施形態における超音波センサ10においては、複数の送信超音波及び複数の受信超音波の所定の順番(組み合わせ)で、混信があるか否かを判定する方法を示した。例えば、この複数の送信超音波において、送信順番の組み合わせにより所定のコードを生成し、受信デバイス210において、この所定のコードの順番で受信超音波を受信するか否かを判定する構成としてもよい。例えば、第1送信デバイスからの超音波の送信を「0」で表し、第2送信デバイスから超音波の送信を「1」で表す。この場合において第1及び第2送信デバイスからの超音波の送信を4回連続で行う場合には、コードとして「0000」及び「1111」を除く「0001」~「1110」の14パターンのコードを作成することが可能となる。さらに、この第1及び第2送信デバイスからの超音波の送信回数を増やすことで、適用可能なコードの数も増加し、例えば、同種のシステムを用いる場合でも、混信を避けるシステムを実現することが可能となる。
【0090】
また、上述の実施形態における超音波センサ制御装置100においては、周波数判定部112により、受信超音波の受信周波数と、送信超音波の送信周波数とを比較し、受信周波数と、送信周波数とが同じであるか否かを判定する実施形態について示した。この形態は実施形態の構成を限定するものでない。例えば、超音波センサ制御装置100は、周波数特性を切り替えられることを可能とする超音波センサ10を用いて、受信判定の結果に基づいて、超音波センサ10の周波数特性を切り替える構成を適用してもよい。また、いくつかの専用周波数を用いた複数の超音波センサ10において、周波数を判定し、切り替えて使用する構成としてもよい。さらには、超音波センサ制御装置100は、より広い範囲の周波数を送信及び受信できる超音波センサ10があって、その駆動波形を変えたり、受信波形の分析の仕方を複数適用したりすることで、実質複数の周波数を使い分けることを可能する構成としてもよい。
【0091】
また、上述した超音波センサ制御装置100における処理をコンピュータに実行させるコンピュータプログラム(超音波センサ制御プログラム)、及びそのプログラムを記録したコンピュータで読み取り可能な記録媒体は、本実施形態の範囲に含まれる。ここで、コンピュータで読み取り可能な記録媒体の種類は任意である。また、上記コンピュータプログラムは、上記記録媒体に記録されたものに限られず、電気通信回線、無線又は有線通信回線、インターネットを代表とするネットワーク等を経由して伝送されるものであってもよい。
【符号の説明】
【0092】
10 超音波センサ
100 超音波センサ制御装置
111 受信部
112 周波数判定部
113 周波数切替部
114 送信制御部
120 記憶部
200 超音波センサデバイス
210 受信デバイス
220 送信デバイス
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図8
図9
図10A
図10B
図11