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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023066756
(43)【公開日】2023-05-16
(54)【発明の名称】物流管理装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/083 20230101AFI20230509BHJP
   G08G 1/00 20060101ALI20230509BHJP
【FI】
G06Q10/08 300
G08G1/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021177540
(22)【出願日】2021-10-29
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002365
【氏名又は名称】弁理士法人サンネクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】賀沢 唯
(72)【発明者】
【氏名】小林 雄一
(72)【発明者】
【氏名】永原 聡士
(72)【発明者】
【氏名】細田 順子
(72)【発明者】
【氏名】宇山 一世
【テーマコード(参考)】
5H181
5L049
【Fターム(参考)】
5H181AA15
5H181AA27
5H181FF13
5H181FF32
5L049AA16
(57)【要約】      (修正有)
【課題】配送ネットワーク全体の配送効率の低下を防止する物流管理装置及び方法を提供する。
【解決手段】集配基地から1又は複数の中継拠点を経由して届け出先の集配基地に荷物を配送する物流ネットワークにおける物流を管理する物流管理装置において実行される物流管理方法であって、各荷物の現在の配送状況をそれぞれ取得し、取得した各荷物の現在の配送状況に基づいて所定時間後の各荷物の配送状況を予測し、予測結果に基づいて荷物の仕分け作業が遅延して物流のボトルネックとなっている中継拠点を特定し、特定した各中継拠点において、所定時間後に仕分け作業の遅延が発生しないように、必要な中継拠点の仕分けパターンを最適化する処理手順を含む。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
集配基地から1又は複数の中継拠点を経由して届け出先の集配基地に荷物を配送する物流ネットワークにおける物流を管理する物流管理装置において、
各前記荷物の現在の配送状況をそれぞれ取得し、取得した各前記荷物の現在の配送状況に基づいて所定時間後の各前記荷物の配送状況を予測し、予測結果に基づいて前記荷物の仕分け作業が遅延して物流のボトルネックとなっている前記中継拠点を特定する配送状況予測部と、
前記配送状況予測部により特定された各前記中継拠点において、前記所定時間後に仕分け作業の遅延が発生しないように、必要な前記中継拠点の仕分けパターンを最適化する仕分けパターン最適化部と
を備えることを特徴とする物流管理装置。
【請求項2】
前記配送状況予測部は、
各前記中継拠点における前記荷物の仕分け作業の作業状況を取得する拠点作業状況取得部と、
前記集配基地及び前記中継拠点間又は各前記中継拠点間で前記荷物を配送する各輸送車両の現在位置の位置情報を取得する輸送車両位置情報取得部と、
前記配送状況予測部が取得した各前記中継拠点における前記荷物の仕分け作業の作業状況と、前記輸送車両位置情報取得部が取得した各前記輸送車両の現在位置の位置情報と、予め与えられた各前記輸送車両のダイヤ情報とに基づいて所定時間後の各前記荷物の配送状況を予測する配送状況予測情報生成部と、
前記配送状況予測情報生成部により予測された前記所定時間後の各前記荷物の配送状況に基づいて、物流のボトルネックとなる前記中継拠点を特定するボトルネック中継拠点特定部と
を備えることを特徴とする請求項1に記載の物流管理装置。
【請求項3】
前記仕分けパターン最適化部は、
前記配送状況予測部により特定された前記中継拠点において、前記所定時間後に仕分け作業の遅延が発生しないように仕分けパターンを変更する出荷元の前記中継拠点と、出荷先の前記中継拠点又は前記集配基地との組合せの候補を仕分けパターン変更候補として特定する仕分けパターン変更候補特定部と、
前記仕分けパターン変更候補特定部により特定された各前記仕分けパターン変更候補における前記仕分けパターンの組合せである仕分けパターン組合せのうち、整合性が取れる前記仕分けパターン組合せをすべて生成する仕分けパターン組合せ情報生成部と、
所定時間後の各仕分けパターン組合せに対する評価値をそれぞれ算出し、前記評価値が最良となる前記仕分けパターン組合せを、最適な仕分けパターン組合せとして選定する評価値算出部と
を備えることを特徴とする請求項1に記載の物流管理装置。
【請求項4】
前記評価値算出部は、
各前記中継拠点における前記荷物の滞留総数が最も少ない前記仕分けパターン組合せを最適な仕分けパターン組合せとして選定する
ことを特徴とする請求項3に記載の物流管理装置。
【請求項5】
前記仕分けパターン最適化部は、
前記仕分けパターン組合せ情報生成部により生成された各前記仕分けパターン組合せ通りに前記荷物を仕分けた場合に完成する機材ごとの、当該機材に積み付けられる前記荷物の出荷元、出荷先及び届け先をそれぞれ予測する機材完成予測情報生成部と、
前記機材完成予測情報生成部の予測結果と、各前記輸送車両のダイヤ情報とに基づいて、前記機材及び前記輸送車両の紐付けを前記機材ごとにそれぞれ行う荷物-便割付情報生成部と
をさらに備え、
前記評価値算出部は、
荷物-便割付情報生成部により紐付けられた前記機材及び前記輸送車両の関係に基づいて、各前記中継拠点における前記荷物の滞留総数に加えて、前記輸送車両の前記荷物の積載率を考慮して最適な前記仕分けパターン組合せを選定する
ことを特徴とする請求項4に記載の物流管理装置。
【請求項6】
前記仕分けパターン最適化部は、
前記機材完成予測情報生成部により予測された各前記仕分けパターン組合せ通りに前記荷物を仕分けた場合に完成する前記機材の出荷元から当該機材に積み付けられた前記荷物の届け先への直送便が設定されていない場合に、前記ダイヤ情報を更新して当該直送便を設定する直送便設定部をさらに備え、
前記評価値算出部は、
荷物-便割付情報生成部により紐付けられた前記機材及び前記輸送車両の関係に基づいて、各前記中継拠点における前記荷物の滞留総数と、前記輸送車両の前記荷物の積載率とに加えて、直送便の利用を考慮して最適な前記仕分けパターン組合せを選定する
ことを特徴とする請求項5に記載の物流管理装置。
【請求項7】
前記評価値算出部は、
選定した最適な仕分けパターン組合せを表示する
ことを特徴とする請求項3に記載の物流管理装置。
【請求項8】
集配基地から1又は複数の中継拠点を経由して届け出先の集配基地に荷物を配送する物流ネットワークにおける物流を管理する物流管理装置において実行される物流管理方法であって、
各前記荷物の現在の配送状況をそれぞれ取得し、取得した各前記荷物の現在の配送状況に基づいて所定時間後の各前記荷物の配送状況を予測し、予測結果に基づいて前記荷物の仕分け作業が遅延して物流のボトルネックとなっている前記中継拠点を特定する第1のステップと、
特定した各前記中継拠点において、前記所定時間後に仕分け作業の遅延が発生しないように、必要な前記中継拠点の仕分けパターンを最適化する第2のステップと
を備えることを特徴とする物流管理方法。
【請求項9】
前記第1のステップにおいて、前記物流管理装置は、
各前記中継拠点における前記荷物の仕分け作業の作業状況を取得すると共に、前記集配基地及び前記中継拠点間又は各前記中継拠点間で前記荷物を配送する各輸送車両の現在位置の位置情報を取得し、
取得した各前記中継拠点における前記荷物の仕分け作業の作業状況と、各前記輸送車両の現在位置の位置情報と、予め与えられた各前記輸送車両のダイヤ情報とに基づいて、所定時間後の各前記荷物の配送状況を予測し、
予測した前記所定時間後の各前記荷物の配送状況に基づいて、物流のボトルネックとなる前記中継拠点を特定する
を備えることを特徴とする請求項8に記載の物流管理方法。
【請求項10】
前記第2のステップにおいて、前記物流管理装置は、
特定した前記中継拠点において、前記所定時間後に仕分け作業の遅延が発生しないように仕分けパターンを変更する出荷元の前記中継拠点と、出荷先の前記中継拠点又は前記集配基地との組合せの候補を仕分けパターン変更候補として特定する仕分けパターン変更候補特定ステップと、
特定した各前記仕分けパターン変更候補における前記仕分けパターンの組合せである仕分けパターン組合せのうち、整合性が取れる前記仕分けパターン組合せをすべて生成する仕分けパターン組合せ情報生成ステップと、
所定時間後の各仕分けパターン組合せに対する評価値をそれぞれ算出し、前記評価値が最良となる前記仕分けパターン組合せを、最適な仕分けパターン組合せとして選定する評価値算出ステップと
を備えることを特徴とする請求項8に記載の物流管理方法。
【請求項11】
前記評価値算出ステップにおいて、前記物流管理装置は、
各前記中継拠点における前記荷物の滞留総数が最も少ない前記仕分けパターン組合せを最適な仕分けパターン組合せとして選定する
ことを特徴とする請求項10に記載の物流管理方法。
【請求項12】
前記第2のステップは、
生成した各前記仕分けパターン組合せ通りに前記荷物を仕分けた場合に完成する機材ごとの、当該機材に積み付けられる前記荷物の出荷元、出荷先及び届け先をそれぞれ予測する機材完成予測情報生成ステップと、
前記機材完成予測情報生成ステップの予測結果と、各前記輸送車両のダイヤ情報とに基づいて、前記機材及び前記輸送車両の紐付けを前記機材ごとにそれぞれ行う荷物-便割付情報生成ステップと
をさらに備え、
前記評価値算出ステップにおいて、前記物流管理装置は、
荷物-便割付情報生成ステップで紐付けた前記機材及び前記輸送車両の関係に基づいて、各前記中継拠点における前記荷物の滞留総数に加えて、前記輸送車両の前記荷物の積載率を考慮して最適な前記仕分けパターン組合せを選定する
ことを特徴とする請求項11に記載の物流管理方法。
【請求項13】
前記第2のステップは、
前記機材完成予測情報生成ステップで予測した各前記仕分けパターン組合せ通りに前記荷物を仕分けた場合に完成する前記機材の出荷元から当該機材に積み付けられた前記荷物の届け先への直送便が設定されていない場合に、前記ダイヤ情報を更新して当該直送便を設定する直送便設定ステップをさらに備え、
前記評価値算出ステップにおいて、前記物流管理装置は、
荷物-便割付情報生成ステップで紐付けた前記機材及び前記輸送車両の関係に基づいて、各前記中継拠点における前記荷物の滞留総数と、前記輸送車両の前記荷物の積載率とに加えて、直送便の利用を考慮して最適な前記仕分けパターン組合せを選定する
ことを特徴とする請求項12に記載の物流管理方法。
【請求項14】
前記評価値算出ステップにおいて、前記物流管理装置は、
選定した最適な仕分けパターン組合せを表示する
ことを特徴とする請求項10に記載の物流管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は物流管理装置及び方法に関し、差出元地域の集配基地から一以上の中継拠点を経由して届け先地域の集配基地へ配送を行う配送ネットワークの物流を管理する物流管理システムに適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の配送ネットワークにおいては、各荷物の引受時に、差出元地域の集配基地と届け先地域の集配基地の組合せに基づいて、各荷物が届け先地域の集配基地に配送されるまでに経由する中継拠点が決められる。
【0003】
各中継拠点では、集配基地又は他の中継拠点から配送されてきた荷物の入荷及び出荷ごとに仕分けを行うが、この際、どのように荷物を仕分けるかを定めた仕分けパターンが予め設定されている場合がある。
【0004】
また、定期的に所定の荷物量を運送する必要があるとき、集配基地及び中継拠点間や各中継拠点間の運送便の本数、各集配基地や各中継拠点における輸送車両の着発時刻、運送便の移動経路などを定めた運送便ダイヤが立案される場合がある。
【0005】
なお配送ネットワークにおける物流を管理する先行技術として、中継拠点において荷役設備を利用する際に待機時間が発生すると予想される輸送車両に対し、荷役設備が利用可能となる時刻を到着時刻として通知する技術がある。例えば、特許文献1に記載の技術がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2020-177268号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
既定の仕分けパターンの設定時に想定していたよりも中継拠点に流入する荷量が多かった場合及び仕分け先が多く仕分け作業に要する時間が多かった場合には、中継拠点の仕分け能力不足により、入出荷作業の遅延及び荷物の滞留が生じ、配送ネットワーク全体の配送効率が低下するおそれがあった。
【0008】
一方で、各中継拠点において不必要に細かく仕分けを行うのは積載率が低下するおそれがあるため望ましくない。仕分けられた荷物は同一の機材(例えば、かご車やパレット)に積み付けられるため、荷物数が同じでも仕分けが細かくなるほど多くの機材が必要となる。輸送車両に積載可能な機材数には上限が存在するため、仕分けを細かくすると、輸送車両に積載可能な荷物数が少なくなってしまう。
【0009】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、配送ネットワーク全体の配送効率の低下を防止し得る物流管理装置及び方法を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
かかる課題を解決するため本発明においては、集配基地から1又は複数の中継拠点を経由して届け出先の集配基地に荷物を配送する物流ネットワークにおける物流を管理する物流管理装置において、各前記荷物の現在の配送状況をそれぞれ取得し、取得した各前記荷物の現在の配送状況に基づいて所定時間後の各前記荷物の配送状況を予測し、予測結果に基づいて前記荷物の仕分け作業が遅延して物流のボトルネックとなっている前記中継拠点を特定する配送状況予測部と、前記配送状況予測部により特定された各前記中継拠点において、前記所定時間後に仕分け作業の遅延が発生しないように、必要な前記中継拠点の仕分けパターンを最適化する仕分けパターン最適化部とを設けるようにした。
【0011】
また本発明においては、集配基地から1又は複数の中継拠点を経由して届け出先の集配基地に荷物を配送する物流ネットワークにおける物流を管理する物流管理装置において実行される物流管理方法であって、各前記荷物の現在の配送状況をそれぞれ取得し、取得した各前記荷物の現在の配送状況に基づいて所定時間後の各前記荷物の配送状況を予測し、予測結果に基づいて前記荷物の仕分け作業が遅延して物流のボトルネックとなっている前記中継拠点を特定する第1のステップと、特定した各前記中継拠点において、前記所定時間後に仕分け作業の遅延が発生しないように、必要な前記中継拠点の仕分けパターンを最適化する第2のステップとを設けるようにした。
【0012】
本発明の物流管理装置及び方法によれば、物流ネットワーク内のいずれかの中継拠点における荷物の仕分け作業の遅延に起因する物流の停滞を防止することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、配送ネットワーク全体の配送効率の低下を防止し得る物流管理装置及び方法を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】物流ネットワークの構成例を示すグラフである。
図2】第1~第3の実施の形態による物流管理システムの構成例を示すブロック図である。
図3】物流管理装置の物理構成を示すブロック図である。
図4】第1の実施の形態による物流管理装置の論理構成例を示すブロック図である。
図5】既定仕分けパターン情報テーブルの構成を示す図表である。
図6】配送状況情報テーブルの構成を示す図表である。
図7】配送状況予想情報テーブルの構成を示す図表である。
図8】荷物滞留情報テーブルの構成を示す図表である。
図9】仕分けパターン変更候補情報テーブルの構成を示す図表である。
図10】仕分けパターン組合せ情報テーブルの構成を示す図表である。
図11】物流管理処理の処理手順を示すフローチャートである。
図12】第1の実施の形態による仕分けパターン最適化処理の処理手順を示すフローチャートである。
図13】仕分けパターン変更候補探索処理の処理手順を示すフローチャートである。
図14】仕分けパターン変更内容表示画面の画面構成例を示す図である。
図15】第2の実施の形態による物流管理装置の論理構成例を示すブロック図である。
図16】機材完成予測情報テーブルの構成を示す図表である。
図17】第2の実施の形態による荷物-便割付情報テーブルの構成を示す図表である。
図18】第2の実施の形態による仕分けパターン最適化処理の処理手順を示すフローチャートである。
図19】荷物-便割付処理の処理手順を示すフローチャートである。
図20】第3の実施の形態による物流管理装置の論理構成例を示すブロック図である。
図21】第3の実施の形態による荷物-便割付情報テーブルの構成を示す図表である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下図面について、本発明の一実施の形態を詳述する。
【0016】
なお、以下に説明する実施の形態は、本発明を説明するための例示であって、説明の明確化のため、適宜、省略及び簡略化されている。本発明は、他の種々の形態でも実施することが可能である。特に限定しない限り、各構成要素は単数でも複数でも構わない。
【0017】
図面において示す各構成要素の位置、大きさ、形状、範囲などは、発明の理解を容易にするため、実際の位置、大きさ、形状、範囲などを表していない場合がある。このため、本発明は、必ずしも、図面に開示された位置、大きさ、形状、範囲などに限定されない。
【0018】
各種情報の例として、「テーブル」、「リスト」、「キュー」等の表現にて説明することがあるが、各種情報はこれら以外のデータ構造で表現されてもよい。例えば、「XXテーブル」、「XXリスト」、「XXキュー」等の各種情報は、「XX情報」としてもよい。識別情報について説明する際に、「識別情報」、「識別子」、「名」、「ID」、「番号」等の表現を用いるが、これらについてはお互いに置換が可能である。
【0019】
同一あるいは同様の機能を有する構成要素が複数ある場合には、同一の符号に異なる添字を付して説明する場合がある。また、これらの複数の構成要素を区別する必要がない場合には、添字を省略して説明する場合がある。
【0020】
実施の形態において、プログラムを実行して行う処理について説明する場合がある。ここで、計算機は、プロセッサ(例えばCPU、GPU)によりプログラムを実行し、記憶資源(例えばメモリ)やインターフェースデバイス(例えば通信ポート)等を用いながら、プログラムで定められた処理を行う。そのため、プログラムを実行して行う処理の主体を、プロセッサとしてもよい。
【0021】
同様に、プログラムを実行して行う処理の主体が、プロセッサを有するコントローラ、装置、システム、計算機、ノードであってもよい。プログラムを実行して行う処理の主体は、演算部であれば良く、特定の処理を行う専用回路を含んでいてもよい。ここで、専用回路とは、例えばFPGA(Field Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)等である。
【0022】
プログラムは、プログラムソースから計算機にインストールされてもよい。プログラムソースは、例えば、プログラム配布サーバ又は計算機が読み取り可能な記憶メディアであってもよい。プログラムソースがプログラム配布サーバの場合、プログラム配布サーバはプロセッサと配布対象のプログラムを記憶する記憶資源を含み、プログラム配布サーバのプロセッサが配布対象のプログラムを他の計算機に配布してもよい。また、実施の形態において、2以上のプログラムが1つのプログラムとして実現されてもよいし、1つのプログラムが2以上のプログラムとして実現されてもよい。
【0023】
(1)第1の実施の形態
(1-1)物流管理システムの構成例
図1は、物流ネットワーク1の構成例を示す。この物流ネットワーク1は図中「A」~「I」で示した集配基地2と、図中「1」~「9」で示した中継拠点3とを備えて構成される。「A」~「D」という集配基地2から出荷された荷物は中継拠点3を経由して最終的に「E」~「I」のいずれかの集配基地2に配送され、「E」~「I」という集配基地2から出荷された荷物は中継拠点3を経由して最終的に「A」~「D」のいずれかの集配基地2に配送される。
【0024】
具体的には、「A」~「C」という集配基地2から出荷された荷物は、「1」又は「2」という中継拠点3と、「4」という中継拠点3とを順次経由して「6」という中継拠点3に集められ、「D」という集配基地2から出荷された荷物は、「3」及び「5」という中継拠点3を順次経由して「6」という中継拠点3に集められる。そして、「6」という中継拠点3に集められたこれらの荷物が「7」、「8」又は「9」という中継拠点3を経由して「E」、「F」、「G」、「H」又は「I」という集配基地2に配送される。
【0025】
また「E」又は「F」という集配基地2から出荷された荷物は「7」という中継拠点3を経由して「6」という中継拠点3に集められ、「G」という集配基地2から出荷された荷物は「8」という中継拠点3を経由して「6」という中継拠点3に集められ、「H」又は「I」という集配基地2から出荷された荷物は「9」という中継拠点3を経由して「6」という中継拠点3に集められる。そして、「6」という中継拠点3に集められたこれらの荷物が「4」という中継拠点3と、「1」又は「2」という中継拠点3とを順次経由して「A」、「B」又は「C」という集配基地2に配送され、「5」という中継拠点3と、「3」という中継拠点3とを順次経由して「D」という集配基地2に配送される。
【0026】
集配基地2及び中継拠点3間や各中継拠点3間における荷物の配送は、トラックなどの輸送車両13(図2)から構成される運送便により行われる。各集配基地2及び各中継拠点3間の運送便の本数や、各集配基地2及び各中継拠点3における運送便の着発時刻、並びに、運送便の移動経路などは、予め運送便ダイヤとして定められている。
【0027】
また物流ネットワーク1では、各中継拠点3に対して、荷物の出荷先ごとにそれぞれ仕分けパターンが設定される。例えば、「6」という中継拠点3に対しては、「7」という中継拠点3を出荷先とする荷物の仕分けパターンと、「8」という中継拠点3を出荷先とする荷物の仕分けパターンと、「9」という中継拠点3を出荷先とする荷物の仕分けパターンとがそれぞれ設定される。従って、仕分けパターンは、出荷元及び出荷先の組合せごとにそれぞれ設定されるということができる。
【0028】
図2は、本実施の形態による物流管理システム10の構成例を示す。この物流管理システム10は、物流ネットワーク1における物流を管理するシステムであり、各中継拠点3にそれぞれ設置されたリソース機器11及び拠点管理装置12と、各輸送車両13を管理する輸配送管理装置14と、物流管理システム10全体を制御する物流管理装置15とを備えて構成される。
【0029】
そして物流管理装置15は、インターネットや専用回線などのネットワーク16を介して各中継拠点3にそれぞれ設置された拠点管理装置12、及び、センタ等に設置された輸配送管理装置14とそれぞれ接続されると共に、各拠点管理装置12は、有線又は無線のネットワークを介して同じ中継拠点3内のリソース機器11と接続されている。また輸配送管理装置14は、携帯電話回線などの無線通信ネットワークを介して各輸送車両13と接続されている。
【0030】
リソース機器11は、中継拠点3における荷役作業に利用される機器であり、例えば、フォークリフト、かご車、パレット、コンベア、搬送用ロボット及び又はピッキングシステム等のマテリアルハンドリング機器と、仕分け作業を支援するデジタルアソートシステムとなどの物流設備及び作業員端末から構成される。
【0031】
拠点管理装置12は、設置先の各中継拠点3におけるリソース機器11の稼働状況や、各荷物の各種情報を収集及び管理する機能を有するコンピュータ装置である。拠点管理装置12は、設置先の中継拠点3に荷物を入荷又は出荷する際に荷物のラベルから読み取ることにより取得された、これら荷物の識別子(荷物ID)、引受地(引き受けた集配基地)及び宛地(届け先の集配基地)などの荷物情報を入荷時刻又は出荷時刻と紐付けて管理する。また拠点管理装置12は、出荷された各荷物がそれぞれ積載された輸送車両13も各荷物と紐付けて管理する。
【0032】
輸配送管理装置14は、予め与えられた各輸送車両13の運送便ダイヤの情報(以下、これを運送便ダイヤ情報と呼ぶ)を保持しており、保持した運送便ダイヤ情報を物流管理装置15に通知する。また輸配送管理装置14は、保持している運送便ダイヤ情報に基づいて各輸送車両13に運行指示をそれぞれ送信したり、定期的に各輸送車両13から現在位置をそれぞれ取得してこれら輸送車両13の動態管理を行う。
【0033】
物流管理装置15は、ネットワーク16を介して各拠点管理装置12及び輸配送管理装置14から必要な情報を収集し、収集したこれらの情報に基づいて物流ネットワーク1における物流を管理する機能を有するコンピュータ装置である。物流管理装置15は、図3に示すように、処理装置20、記憶装置21、通信装置22、入力装置23及び表示装置24を備えた汎用のサーバ装置から構成される。
【0034】
処理装置20は、物流管理装置15全体の動作制御を司る制御部であり、例えばCPU(Central Processing Unit)などから構成されるプロセッサ25と、プロセッサ25の作業領域として利用されるRAM(Random Access Memory)などのメモリ26とから構成される。また記憶装置21は、例えば、ハードディスク装置やSSD(Solid State Drive)などの大容量で揮発性の大容量の記憶装置から構成され、各種プログラムや長期間保存が必要な各種データが格納される。
【0035】
記憶装置21に格納されたプログラムが物流管理装置15の起動時や必要時に記憶装置21から処理装置20のメモリ26に読み出され、このメモリ26に読み出されたプログラムをプロセッサ25が実行することにより、後述のような物流管理装置15全体としての各種処理が実行される。
【0036】
通信装置22は、例えばNIC(Network Interface Card)から構成され、物流管理装置15がネットワーク16(図2)を介して拠点管理装置12(図2)や輸配送管理装置14(図2)と通信を行う際のプロトコル制御を行う。
【0037】
入力装置23は、例えばキーボードやマウスなどから構成され、ユーザが各種命令や情報を物流管理装置15に入力するために利用される。また表示装置24は、液晶ディスプレイや有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイなどから構成され、各種GUI(Graphical User Interface)画面や必要な情報を表示するために利用される。なお入力装置23及び表示装置24として、これらが一体化したタッチパネルを適用するようにしてもよい。
【0038】
(1-2)本実施の形態による物流管理機能
次に、物流管理装置15に搭載された本実施の形態による物流管理機能について説明する。この物流管理機能は、所定時間後(例えば5分後)の各中継拠点の荷物の仕分け状況をその所定時間周期で予測し、所定時間後に荷物の集中等により仕分け作業に遅延が発生すると予測される中継拠点3が存在する場合に、かかる仕分け作業の遅延が発生しないように他の中継拠点3の仕分けパターンを変更する機能である。
【0039】
ここで、本実施の形態の物流ネットワーク1(図1)では、上述のように各中継拠点3における荷物の仕分けパターンが出荷先ごとにそれぞれ予め設定(出荷元及び出荷先の組合せごとにそれぞれ予め設定)されており、各中継拠点3では設定された仕分けパターンに従って荷物の仕分けが行われる。
【0040】
例えば、図1の物流ネットワーク1において、「4」という中継拠点3や「5」という中継拠点3では、「6」という中継拠点3に荷物を出荷する際、「E」~「I」という集配基地2を届け先とするすべての荷物を同一の機材(例えば、かご車やパレット)に積み付けるように仕分けパターンが予め設定される。
【0041】
この結果、図1に例示した配送ネットワークでは「6」という中継拠点に荷物が集中するためこの中継拠点3において仕分け作業に遅延が発生し易く、この結果として「6」という中継拠点3がボトルネックとなって物流ネットワーク1における配送業務に遅延が生じやすい。
【0042】
そこで、本物流管理システム10では、物流管理装置15が、例えば「4」という中継拠点3から「6」という中継拠点3に荷物を送り出す際には、「E」又は「F」という集配基地2を届け先とする荷物を同一機材に積み付け、「G」という集配基地2を届け先とする荷物を1つの機材に積み付け、「H」又は「I」という集配基地2を届け先とする荷物を同一機材に積み付けるように「4」という中継拠点3における仕分けパターンを変更したり、「E」~「G」という集配基地2を届け先とする荷物を同一機材に積み付け、「H」又は「I」を届け先とする荷物を同一機材に積み付けるように「4」という中継拠点3における仕分けパターンを変更する。これにより、「6」という中継拠点3における荷物の積み直し作業を省略又は低減させることができ、結果として物流ネットワーク1全体における配送業務の遅延を防止することができる。
【0043】
このような本実施の形態の物流管理機能を実現するための手段として、物流管理装置15には、図4に示すように、配送状況予測部30及び仕分けパターン最適化部31が設けられると共に、記憶装置21に、運送便ダイヤ情報テーブル32、既定仕分けパターン情報テーブル33、配送状況情報テーブル34、配送状況予測情報テーブル35、荷物滞留情報テーブル36、仕分けパターン変更候補情報テーブル37及び仕分けパターン組合せ情報テーブル38が格納される。
【0044】
配送状況予測部30は、所定時間後の各荷物の配送状況を予測等する機能を有する機能部であり、図3について上述した処理装置20のプロセッサ25が記憶装置21からメモリ26に読み出した図示しない所定のプログラムを実行することにより具現化される。この配送状況予測部30は、拠点作業状況取得部40、輸送車両位置情報取得部41、配送状況予測情報生成部42及びボトルネック中継拠点特定部43を備えて構成される。
【0045】
拠点作業状況取得部40は、各中継拠点3の拠点管理装置12(図2)から、その中継拠点3における現在の仕分け作業の作業状況をそれぞれ取得する機能を有する機能部である。また輸送車両位置情報取得部41は、輸配送管理装置14(図2)から各輸送車両13の現在位置を取得する機能を有する機能部である。拠点作業状況取得部40及び輸送車両位置情報取得部41は、かかる現在の仕分け作業の作業状況や各輸送車両の現在位置を所定時間周期で取得し、取得したこれらの情報を配送状況情報テーブル34に格納する。
【0046】
また配送状況予測情報生成部42は、配送状況情報テーブル34に格納された上述の各種情報と、後述する運送便ダイヤ情報テーブル32に予め登録されている各輸送車両13の運送便ダイヤ情報とに基づいて、所定時間後の各中継拠点3における仕分け作業の作業状況を予測する機能部である。配送状況予測情報生成部42は、かかる予測の予測結果を配送状況予測情報テーブル35に格納する。
【0047】
ボトルネック中継拠点特定部43は、配送状況予測情報テーブル35に格納された所定時間後の各中継拠点3における仕分け作業の作業状況の予測結果に基づいて、物流ネットワーク1(図1)における配送業務のボトルネックとなっている中継拠点(以下、これをボトルネック中継拠点と呼ぶ)3を特定する機能を有する機能部である。
【0048】
一方、仕分けパターン最適化部31は、配送状況予測情報テーブル35に登録されている所定時間後の配送状況に基づいて、所定時間後にボトルネック中継拠点3が発生しないように他の中継拠点3の仕分けパターンを最適化する機能を有する機能部であり、図3について上述した処理装置20のプロセッサ25が記憶装置21からメモリ26に読み出した図示しないプログラムを実行することにより具現化される。この仕分けパターン最適化部31は、仕分けパターン変更候補特定部44、仕分けパターン組合せ情報生成部45及び評価値算出部46を備えて構成される。
【0049】
仕分けパターン変更候補特定部44は、配送状況予測部30のボトルネック中継拠点特定部により特定されたボトルネック中継拠点3ごとに、そのボトルネック中継拠点3よりも手前の区間であって当該ボトルネック中継地点3に向かう荷物の配送量が多い区間を仕分けパターン変更候補として特定する機能を有する機能部である。
【0050】
ここでの「区間」とは、仕分けパターンを変更すべき中継拠点3(出荷元)と、その中継拠点3から、ボトルネック中継拠点3を経由して届け先の集配基地2に向かう荷物が配送される中継拠点3(出荷先)とを繋ぐ経路部分を指す。仕分けパターン変更候補特定部44は、上述の出荷元及び出荷先の組合せを仕分けパターン変更候補としてすべて特定し、特定した各仕分けパターン変更候補を仕分けパターン変更候補情報テーブル37に格納する。
【0051】
また仕分けパターン組合せ情報生成部45は、仕分けパターン変更候補情報テーブル37に格納された各仕分けパターン変更候補の出荷元に対してそれぞれ設定可能な各仕分けパターンの組合せ(以下、これを仕分けパターン組合せと呼ぶ)をすべて生成し、生成したこれらの仕分けパターン組合せのうち、整合性のある仕分けパターン組合せを仕分けパターン組合せ情報テーブル38に格納する機能を有する機能部である。
【0052】
例えば、仕分けパターン変更候補特定部44がかかる仕分けパターン変更候補として「出荷元・出荷先組合せ1」及び「出荷元・出荷先組合せ2」という2つの仕分けパターン変更候補を特定したものとする。また「出荷元・出荷先組合せ1」という仕分けパターン変更候補については出荷元の仕分けパターンとして「仕分けパターン1」及び「仕分けパターン2」を設定可能であり、「出荷元・出荷先組合せ2」という仕分けパターン変更候補については出荷元の仕分けパターンとして「仕分けパターン3」及び「仕分けパターン4」を設定可能であるものとする。
【0053】
この場合、仕分けパターン組合せ情報生成部45は、{仕分けパターン1、仕分けパターン3}、{仕分けパターン1、仕分けパターン4}、{仕分けパターン2、仕分けパターン3}、{仕分けパターン2、仕分けパターン4}という4つの仕分けパターン組合せを生成し、生成した4つの仕分けパターン組合せのうち、整合性のある仕分けパターン組合せの情報を仕分けパターン組合せ情報テーブル38に格納する。
【0054】
なお、ここでの「整合性のある仕分けパターン」とは、仕分けパターン変更候補における出荷元で同一機材に積み付けられた荷物が、その後の中継拠点3において仕分けられることがない仕分けパターンを指す。
【0055】
例えば図1の例で、「4」という中継拠点3において、「E」という集配基地2を届け先とする荷物を同一の機材に積み付け、「F」又は「G」という各集配基地2を届け先とする荷物を同一の機材に積み付け、「H」又は「I」という各集配基地2を届け先とする荷物を同一の機材に積み付ける一方で、「6」という中継拠点3において、「E」又「F」又は「G」という各集配基地2を届け先とする荷物を同一の機材に積み付け、「H」又は「I」という各集配基地2を届け先とする荷物を同一の機材に積み付け直すものとする。
【0056】
このような場合、「4」という中継拠点3において「F」又は「G」という集配基地2を届け先とする荷物と仕分けられた「E」という集配基地2を届け先とする荷物が、「6」という中継拠点3において「F」又は「G」という集配基地2を届け先とする荷物と同一機材に積み付けられている。このように手前の中継地点において仕分けされた荷物が再度同一機材に積み付けられるような仕分けパターン組み合わせを整合性がないものとする。整合性が取れる仕分けパターン組合せは、任意のアルゴリズムを用いて生成することができる。
【0057】
さらに評価値算出部46は、仕分けパターン組合せ情報テーブル38に登録された各仕分けパターン組合せをそれぞれ適用した場合の評価値をそれぞれ算出し、算出した評価値に基づいて、これらの仕分けパターン組合せの中から所定時間後に最適な仕分けパターン組合せを選定する機能を有する機能部である。「評価値」及び「荷物滞留数」の詳細については、後述する。
【0058】
評価値算出部46は、算出した所定時間後の最適な仕分けパターン組合せを表示装置24(図3)に表示したり、仕分けパターンを変更すべき中継拠点3の拠点管理装置12(図2)に変更後の仕分けパターンを通知する。この結果、この通知に従って、その中継拠点3において作業員や仕分け機による所定時間後の仕分けパターンが変更後の仕分けパターンに切り替えられる。
【0059】
一方、運送便ダイヤ情報テーブル32は、予め輸配送管理装置14(図2)から物流管理装置15に通知された各運送便ダイヤ情報が格納されたテーブルである。運送便ダイヤ情報テーブル32には、運送便ごとの識別子と、その運送便として利用する輸送車両13の識別子(輸送車両ID)と、その運送便の配送経路(発着及び経由する拠点)と、その配送経路上の各集配基地及び各中継拠点におけるその運送便の着発時刻などの情報が格納される。
【0060】
また既定仕分けパターン情報テーブル33は、各中継拠点3に対して出荷先ごとにそれぞれ設定された荷物の仕分けパターンが格納されたテーブルであり、事前に作成されて物流管理装置15の記憶装置21に格納される。「出荷先」とは、出荷元の中継拠点3から出荷された荷物の配送先となり得る中継拠点3又は集配基地2であり、物流ネットワーク1における各中継拠点3及び各集配基地2をノードとしたときの隣接ノードとなる中継拠点3又は集配基地2が該当する。例えば、図1の配送ネットワークの場合、「6」という中継拠点3を出荷元とした場合、「4」、「5」、「7」、「8」又は「9」という中継拠点3が出荷先になり得る。
【0061】
この既定仕分けパターン情報テーブル33は、図5に示すように、出荷元欄33A、出荷先欄33B及び仕分けパターン欄33Cを備えて構成される。既定仕分けパターン情報テーブル33では、1つの行が、出荷元及び出荷先の組合せに対して設定されている仕分けパターンに対応する。
【0062】
そして出荷元欄33Aには、荷物の出荷元となる中継拠点3の中継拠点IDが格納され、出荷先欄33Bには、その荷物の出荷先となる集配基地2又は中継拠点3の集配基地ID又は中継拠点IDが格納される。また仕分けパターン欄33Cには、かかる出荷元及び出荷先の組合せに対して予め設定された仕分けパターンが格納される。
【0063】
従って、図5の例の場合、「1」という中継拠点3から「A」という集配基地2に荷物を出荷する場合の既定の仕分けパターンは「[A]」であり、「1」という中継拠点3から「4」という中継拠点3に荷物を出荷する場合の既定の仕分けパターンは「[E,F,G,H,I]」であることが示されている。
【0064】
なお図5において「[○,△,□]」という表記は、「○」、「△」又は「□」という集配基地2をそれぞれ届け先とするすべての荷物を同一機材に積み付ける仕分けパターンを表す。従って、「[A]」は、「A」という集配基地2を届け先とする荷物を同一機材に積み付ける仕分けパターンであり、「[E,F,G,H,I]」は、「E」、「F」、「G」、「H」又は「I」という集配基地2をそれぞれ届け先とするすべての荷物を同一機材に積み付ける仕分けパターンを表す。以下においても同様である。
【0065】
配送状況情報テーブル34は、拠点作業状況取得部40(図4)が各中継拠点3の拠点管理装置12(図2)から取得したその中継拠点3における仕分け作業の作業状況と、輸送車両位置情報取得部41が輸配送管理装置14(図2)から取得した各輸送車両13の現在位置(正確には、これら輸送車両13に積載された各荷物の現在位置)とを保持するために利用されるテーブルである。この配送状況情報テーブル34は、図6に示すように、荷物ID欄34A、状態欄34B、現在位置欄34C、引受地欄34D、引受時刻欄34E、宛先欄34F及び配送経路欄34Gを備えて構成される。配送状況情報テーブル34では、1つの行がそのとき物流ネットワーク1内に存在する配送対象の1つの荷物に対応する。
【0066】
そして荷物ID欄34Aには、対応する荷物に対して付与されたその荷物の荷物IDが格納され、状態欄34Bには、その荷物の現在の状態が格納される。このような荷物の状態としては、集配基地2や中継拠点3において仕分けを待っている状態にある「仕分待」と、仕分けされた後であって、その集配基地2や中継拠点3からの出荷待ち状態にある「出荷待」と、輸送車両13により出荷先の中継拠点3又は集配基地2に配送中の状態にある「配送中」などがある。
【0067】
また現在位置欄34Cには、対応する荷物の現在位置が格納される。なおその荷物の状態が「配送中」である場合には、その現在位置は、その荷物が搭載された輸送車両13の現在位置がその荷物の現在位置として現在位置欄34Cに格納される。この場合、輸送車両13の現在位置は、その輸送車両13が「○」という集配基地2又は中継拠点3から「△」という中継拠点3又は集配基地2に向かっている場合には、「区間○-△」のような形式で表現される。
【0068】
さらに引受地欄34Dには、その荷物が引き受けられた集配基地2の集配基地IDが格納され、引受時刻欄34Eには、その荷物がその集配基地2において引き受けられた時刻が格納される。さらに宛先欄34Fには、その荷物の届け先となる集配基地2の集配基地IDが格納され、配送経路欄34Gには、物流管理装置15により決定されたその荷物の配送経路が格納される。なお配送経路は、物流管理装置15が、予め与えられたマスタを参照して算出したものであっても、公知の配送経路最適化技術を用いて算出したものであってもよい。
【0069】
従って、図6の例の場合、例えば「荷物1」という荷物IDが付与された荷物は、「13:40」に「E」という集配基地2を届け先として「A」という集配基地2で引き受けられ、現在はその集配基地2において「出荷待」の状態にあり、「A→1→4→6→7→E」という配送経路により「E」という集配基地2まで配送予定であることが示されている。
【0070】
配送状況予測情報テーブル35は、配送状況予測情報生成部42(図4)により予測された所定時間後の各荷物の配送状況に関する情報を保持するために利用されるテーブルであり、図7に示すように、荷物ID欄35A、予測状態欄35B、予測位置欄35C、次拠点欄35D、引受地欄35E、引受時刻欄35F、宛先欄35G及び配送経路欄35Hを備えて構成される。配送状況予測情報テーブル35では、1つの行が1つの荷物に対応する。
【0071】
そして荷物ID欄35A、引受地欄35E、引受時刻欄35F、宛先欄35G及び配送経路欄35Hには、対応する荷物に関して配送状況情報テーブル34(図6)の荷物ID欄34A、引受地欄34D、引受時刻欄34E、宛先欄34F及び配送経路欄34Gにそれぞれ格納された情報と同様の情報がそれぞれ格納される。
【0072】
また予測状態欄35Bには、対応する荷物について予測された所定時間後の状態が格納され、予測位置欄35Cには、その荷物について予測された所定時間後の位置が格納される。さらに次拠点欄35Dには、その荷物について予測された所定時間後の次の出荷先となる集配基地2又は中継拠点3の識別子(集配基地ID又は中継拠点ID)が格納される。
【0073】
従って、図7の例の場合、「荷物1」という荷物IDの荷物は、引受地が「A」という集配基地、引受時刻が「13:40」、宛先が「E」という集配基地2、配送経路が「A→1→4→6→7→E」で、予測される所定時間後の状態が「出荷待」、位置が「区間1-4」で、次の出荷先が「4」という中継拠点IDが付与された中継拠点3であることが示されている。
【0074】
荷物滞留情報テーブル36は、仕分けパターン変更候補特定部44により特定された各仕分けパターン変更候補の出荷元(ボトルネック中継拠点3)における所定時間後の各出荷先への荷物の滞留状況の推定結果を保持するために利用されるテーブルである。この荷物滞留情報テーブル36は、図8に示すように、出荷元欄36A、出荷先欄36B及び仕分け待ち荷物個数欄36Cを備えて構成される。
【0075】
そして出荷元欄36Aには、所定時間後に荷物の滞留が発生していると推定されるパターン変更候補の出荷元(ボトルネック中継拠点3)の中継拠点IDが格納され、出荷先欄36Bには、その出荷元から出荷される荷物の出荷先となり得る各中継拠点3や各集配基地2の中継拠点3の中継拠点ID又は集配基地IDが格納される。また仕分け待ち荷物個数欄36Cには、そのパターン変更候補において出荷元(ボトルネック中継拠点3)から対応する出荷先に出荷すべき荷物であって、所定時間後に出荷元において「仕分待」の状態にある荷物の推定個数が格納される。
【0076】
従って、図8の例の場合、「6」という中継拠点(ボトルネック中継拠点)3を出荷元とし、「4」、「5」、「7」、「8」又は「9」という各中継拠点3を出荷先とする、所定時間後に「仕分待」の状態にある荷物の個数は、それぞれ「10」、「20」、「100」、「150」又は「100」個であることが示されている。
【0077】
仕分けパターン変更候補情報テーブル37は、仕分けパターン変更候補特定部44により特定された仕分けパターン変更候補の情報を保持するために利用されるテーブルであり、図9に示すように、出荷元欄37A、出荷先欄37B及び既定仕分けパターン欄37Cを備えて構成される。仕分けパターン変更候補情報テーブル37では、1つの行が、仕分けパターン変更候補特定部44により仕分けパターン変更候補として特定された1つの出荷元及び出荷先の組合せに対応する。
【0078】
そして出荷元欄37Aには、仕分けパターン変更候補として特定された出荷元及び出荷先の組合せのうちの出荷元の中継拠点3の中継拠点IDが格納され、出荷先欄37Bには、かかる組合せのうちの出荷先の中継拠点3の中継拠点IDが格納される。ここでの出荷先は、ボトルネック中継拠点3での仕分け作業の遅延防止のために事前の仕分けパターンの変更を行う中継拠点3に該当する。また既定仕分けパターン欄37Cには、その出荷元及び出荷先の組合せについて出荷元に現在設定されている仕分けパターンが格納される。
【0079】
従って、図9の例の場合、「4」という中継拠点3を出荷元、「6」という中継拠点3を出荷先とする仕分けパターン変更候補の場合、「E」、「F」、「G」、「H」及び「I」を届け先とする荷物については同一の機材に積み付けることが現在の(既定の)仕分けパターンであることが示されている。
【0080】
仕分けパターン組合せ情報テーブル38は、仕分けパターン組合せ情報生成部45により生成された整合性のある仕分けパターン組合せを保持するために利用されるテーブルである。この仕分けパターン組合せ情報テーブルは、図10に示すように、ID欄38A、出荷元欄38B、出荷元種別欄38C、出荷先欄38D及び仕分けパターン欄38Eを備えて構成される。そしてID欄38Aには、各仕分けパターン組合せに対してそれぞれ付与された識別子(仕分けパターン組合せID)が格納される。
【0081】
また1つの仕分けパターン組合せに対応する出荷元欄38B、出荷元種別欄38C、出荷先欄38D及び仕分けパターン欄38Eは、対応する各仕分けパターン変更候補にそれぞれ対応付けられた行L1と、対応するボトルネック中継拠点3における仕分け作業の遅延の影響を受ける各中継拠点38にそれぞれ対応付けられた行L2とに区分されている。
【0082】
そして、仕分けパターン変更候補に対応付けられた行L1の場合、出荷元欄38Bには、その仕分けパターン変更候補における出荷元の中継拠点3の中継拠点IDが格納され、出荷先欄38Dには、その仕分けパターン変更候補における出荷先の集配基地2又は中継拠点3の集配基地ID又は中継拠点IDが格納される。また出荷元種別欄38Cには、対応する出荷元が仕分けパターンを変更すべき候補であることを表す情報(図10では「変更候補拠点」)が格納される。さらに仕分けパターン欄38Eには、対応する仕分けパターン組合せにおける対応する出荷元の仕分けパターンが格納される。
【0083】
また、対応するボトルネック中継拠点3における仕分け作業の遅延の影響を受ける各中継拠点3にそれぞれ対応付けられた行L2の場合、出荷元欄38Bには、そのボトルネック中継拠点3の中継拠点IDが格納され、出荷先欄38Dには、ボトルネック中継拠点3における仕分け作業の遅延の影響を受ける中継拠点3の中継拠点IDが格納される。また出荷元種別欄38Cには、出荷元がボトルネック中継拠点3であることを表す情報(図10では「ボトルネック中継拠点」)が格納される。さらに仕分けパターン欄38Eには、対応する仕分けパターン組合せにおける対応する出荷元の仕分けパターンが格納される。
【0084】
従って、図10の例の場合、「1」という仕分けパターン組合せIDが付与された仕分けパターン組合せは、出荷元が「4」という中継拠点3、出荷先が「6」という中継拠点3である仕分けパターン候補の出荷元の仕分けパターンと、出荷元が「3」という中継拠点3、出荷先が「5」という中継拠点3である仕分けパターン候補の出荷元の仕分けパターンと、出荷元が「5」という中継拠点3、出荷先が「6」という中継拠点3である仕分けパターン候補の出荷元の仕分けパターンとがすべて「[E,F,G,H,I]」という仕分けパターンである場合の仕分けパターンの組合せであることが示されている。
【0085】
また図10の例の場合、「2」という仕分けパターン組合せIDが付与された仕分けパターン組合せは、出荷元が「4」という中継拠点3、出荷先が「6」という中継拠点3である仕分けパターン候補の出荷元の仕分けパターンと、出荷元が「3」という中継拠点3、出荷先が「5」という中継拠点3である仕分けパターン候補の出荷元の仕分けパターンと、出荷元が「5」という中継拠点3、出荷先が「6」という中継拠点3である仕分けパターン候補の出荷元の仕分けパターンとがすべて「[E,F, H,I],[G]」という仕分けパターンである場合の仕分けパターンの組合せであることが示されている。
【0086】
なお「[E,F, H,I],[G]」という仕分けパターンは、「E」、「F」、「H」又は「I」という各集配基地2を届け先とする荷物をすべて同一機材に積み付け、「G」という集配基地2を届け先とする荷物をこれとは別の機材に積み付けることを意味する。
【0087】
この場合において、「3」という中継拠点3のみ仕分けパターンを「[E,F, H,I],[G]」に変更し、「5」という中継拠点3の仕分けパターンを既定の「[E,F,G,H,I]」とすると、「5」という中継拠点3では、「3」という中継拠点3で仕分けた荷物を再度同一機材に混載することになり整合性が取れない仕分けパターンの組合せとなってしまう。従って、「3」という中継拠点3のみ仕分けパターンを「[E,F, H,I],[G]」に変更する場合には、「5」という中継拠点3における仕分けパターンも「[E,F, H,I],[G]」に変更する必要がある。このようにすることによって、「5」という中継拠点3において「3」という中継拠点3からの荷物の仕分け作業を省略することができ、機材単位での荷卸し及び荷積みのみで対応することが可能となる。
【0088】
また出荷元が「6」という中継拠点3の各行を参照すると、仕分けパターン組合せIDが「1」及び「2」のいずれも仕分けパターン組合せにおいても、「7」という中継拠点3に出荷する荷物の仕分けパターンは「[E,F]」、「8」という中継拠点3に出荷する荷物の仕分けパターンは「[G]」、「9」という中継拠点3に出荷する荷物の仕分けパターンは「[H,I]」である。しかしながら、仕分けパターン組合せIDが「2」の仕分けパターン組合せでは、届け先が「G」という集配基地2である荷物は「4」という中継拠点3及び「3」という中継拠点3において事前に仕分けがされている。よって、この場合、「6」という中継拠点3における仕分け作業の作業量は、届け先が「G」という集配基地2である荷物の仕分け作業の分だけ低減される。
【0089】
(1-3)物流管理機能に関連して実行される各種処理
(1-3-1)物流管理処理
次に、かかる本実施の形態の物流管理機能に関連して本実施の形態の物流管理システム10において実行される各種処理の処理内容について説明する。
【0090】
図11は、上述した本実施の形態の物流管理機能に関連して物流管理システム10において実行される一連の処理(以下、これを物流管理処理と呼ぶ)の流れを示す。物流管理システム10は、この図11に示す物流管理処理を定期的(例えば5分間隔)に実行することにより所定時間後(例えば5分後)の物流を順次予測し、所定時間後にボトルネック中継拠点3が発生することを予知した場合に、そのボトルネック中継拠点3において仕分け作業の遅延が発生しないように、手前の中継拠点3のうちの必要な中継拠点3の仕分けパターンを変更する。
【0091】
実際上、物流管理システム10では、この物流管理処理が定期的に開始され、まず、配送状況予測部30(図4)の拠点作業状況取得部40(図4)が、各中継拠点3の拠点管理装置12(図2)から設置先の中継拠点3における各荷物の入出荷状況と、仕分け作業の作業状況と、荷物及び輸送車両13を紐付けた紐付け情報とを取得し、取得したこれらの情報を配送状況情報テーブル34(図6)に格納する(S1)。
【0092】
また配送状況予測部30の輸送車両位置情報取得部41(図4)が、輸配送管理装置14(図2)から各輸送車両13の走行位置をそれぞれ取得し、取得した各輸送車両13の走行位置と、上述の紐付け情報とに基づいて、そのとき輸送車両13により配送が行われている荷物について、配送状況情報テーブル34の現在位置欄34Cにその荷物を積載した輸送車両13の現在位置を格納する(S2)。
【0093】
続いて、配送状況予測部30の配送状況予測情報生成部42(図4)が、配送状況情報テーブル34に格納された各情報と、運送便ダイヤ情報テーブル32(図4)に格納された各輸送車両13のダイヤ情報とに基づいて、所定時間後の各荷物の状態及び位置と、その荷物が配送中である場合には次拠点となどの配送状況を予測し、予測結果を配送状況予測情報テーブル35(図7)に格納する(S3)。
【0094】
次いで、配送状況予測部30のボトルネック中継拠点特定部43(図4)が、配送状況予測情報テーブル35に格納された所定時間後の各荷物の配送状況に基づいて、所定時間後に仕分け作業に遅延が発生している中継拠点(ボトルネック中継拠点)3が存在するか否かを判断する(S4)。
【0095】
本実施の形態の場合、ボトルネック中継拠点特定部43は、所定時間後に「仕分待」の状態にある荷物の個数が予め設定された第1の閾値を超過する荷物が存在する中継拠点3が存在する場合、その中継拠点3をボトルネック中継拠点3として特定するものとする。
【0096】
ただし、所定時間後における仕分け先の個数が予め設定された第2の閾値を超過した中継拠点3をボトルネック中継拠点3として特定するようにしてもよい。また過去の履歴データを用いて予め統計モデルを構築し、当該統計モデルを用いて各中継拠点3がボトルネック中継拠点3であるか否かを判定することでボトルネック中継拠点3を特定するようにしてもよい。
【0097】
そして、ステップS4においてボトルネック中継拠点特定部43がボトルネック中継拠点3を特定できなかった場合(つまり所定時間後にボトルネック中継拠点3が存在しないと予測された場合)には、この物流管理処理が終了する。
【0098】
これに対して、ステップS4においてボトルネック中継拠点特定部43が少なくとも1つのボトルネック中継拠点3を特定できた場合(つまり所定時間後に少なくとも1つのボトルネック中継拠点3が存在すると予測された場合)には、仕分けパターン最適化部31(図4)の仕分けパターン変更候補特定部44(図4)が、ステップS6以降が未処理のボトルネック中継拠点3が1つ選択する(S5)。
【0099】
続いて、そのボトルネック中継拠点(以下、これを選択ボトルネック中継拠点と呼ぶ)3における所定時間後の仕分け作業の遅延を防止すべく、仕分けパターン最適化部31の仕分けパターン変更候補特定部44、仕分けパターン組合せ情報生成部45(図4)及び評価値算出部46(図4)により、その選択ボトルネック中継拠点3よりも手前の中継拠点3の中から必要な1又は複数の中継拠点3について、その中継拠点3における最適な仕分けパターンを算出する仕分けパターン最適化処理が実行される(S6)。
【0100】
次いで、仕分けパターン最適化部31の仕分けパターン変更候補特定部44が、ステップS4で特定したすべてのボトルネック中継拠点3についてステップS6の仕分けパターン最適化処理を実行し終えたか否かを判断する(S7)。
【0101】
そして、このステップS7の判断で否定結果が得られた場合、処理がステップS5に戻って、この後、ステップS5において選択するボトルネック中継拠点3をステップS6が未処理の他のボトルネック中継拠点3に順次切り替えながら、ステップS5~ステップS7の処理が繰り返される。
【0102】
そして、やがてすべてのボトルネック中継拠点3に対するステップS6の処理が実行し終えることによりステップS7で肯定結果が得られる、仕分けパターン最適化部31の仕分けパターン変更候補特定部44が、ステップS4~ステップS7の処理結果に従って、物流管理装置15の記憶装置21に格納されている既定仕分けパターン情報テーブル33(図5)を更新する(S8)。
【0103】
ただし、仕分けパターン変更候補特定部44が、既定仕分けパターン情報テーブル33を更新する前にユーザに対して既定仕分けパターン情報テーブル33を更新しても良いか否かを問い合わせるようにしてもよい。また仕分けパターン変更候補特定部44が、更新された既定仕分けパターン情報テーブル33の内容を対応する中継拠点3の拠点管理装置12に送信してもよく、さらには拠点管理装置12が、かかる更新された既定仕分けパターン情報テーブル33の情報を受け入れるか否かを判断し、場合によっては受け入れを拒否するようにしてもよい。
【0104】
続いて、仕分けパターン変更候補特定部44が、更新後の既定仕分けパターン情報テーブル33の内容に応じた図14について後述する仕分けパターン変更内容表示画面50を表示装置24(図3)に表示すると共に、仕分けパターンが更新された中継拠点3の拠点管理装置12に更新後の仕分けパターンを通知し(S9)、この後、この物流管理処理が終了する。
【0105】
(1-3-2)仕分けパターン最適化処理
図12は、上述した物流管理処理のステップS6において、仕分けパターン最適化部31の仕分けパターン変更候補特定部44、仕分けパターン組合せ情報生成部45及び評価値算出部46により実行される仕分けパターン最適化処理の具体的な処理内容を示す。
【0106】
物流管理処理のステップS6に処理が進むと、この図12に示す仕分けパターン最適化処理が開始され、まず、仕分けパターン変更候補特定部44が、仕分けパターンを変更すべき出荷元及び出荷先の中継拠点3の組合せの候補(つまり仕分けパターン変更候補)を探索する仕分けパターン変更候補探索処理を実行する(S10)。
【0107】
続いて、仕分けパターン組合せ情報生成部45が、図9について上述した仕分けパターン変更候補情報テーブル37を参照して、図10について上述した仕分けパターン組合せ情報テーブル38を生成する(S11)。
【0108】
次いで、評価値算出部46が、ステップS11で生成された仕分けパターン組合せ情報テーブル38に登録されている各仕分けパターン組合せのうちのステップS13以降が未処理の仕分けパターン組合せを1つ選択し(S12)、選択した仕分けパターン組合せを物流ネットワーク1(図1)に用した場合の評価値Vを、次式
【数1】
により算出する。
【0109】
なお(1)式において、「α」は、任意のパラメータであり、「荷物滞留数」は、所定時間後にその中継拠点3において「仕分待」の状態にあると予測された荷物の個数を表す。「荷物滞留数」は、中継拠点3における作業効率の評価に利用可能な指標であるが、他の指標を用いて中継拠点3の作業効率を評価するようにしてもよい(S13)。
【0110】
さらに仕分けパターンを変更した場合、荷物の出荷時刻が変化し、その結果として荷役設備の順番待ちに伴う輸送車両13の荷待ち時間が発生する可能性があるため、評価値Vを算出する際に輸送車両13の荷待ち時間を併せて考慮するようにしてもよい。
【0111】
この後、評価値算出部46が、そのときステップS13で算出した評価値Vが最良であるか否かを判断する(S14)。具体的に、評価値算出部46は、そのとき算出した評価値Vの値が、今回の仕分けパターン最適化処理を開始してからこれまでにステップS13で算出した評価値Vの中で最小であるか否かを判断する。
【0112】
そして、評価値算出部46は、この判断で否定結果を得るとステップS16に進み、これに対して肯定結果を得ると、評価値Vの最適解をそのとき算出した評価値Vに更新する(S15)。
【0113】
この後、評価値算出部46は、ステップS11で生成された仕分けパターン組合せ情報テーブルに登録されているすべての仕分けパターン組合せに対してステップS13~ステップS15の処理を実行し終えたか否かを判断する(S16)。
【0114】
そして評価値算出部46は、この判断で否定結果を得るとステップS12に戻り、この後、ステップS12で選択する仕分けパターン組合せを、仕分けパターン組合せ情報テーブル38に登録されている仕分けパターン組合せであって、ステップS13以降が未処理の仕分けパターン組合せに順次切り替えながらステップS12~ステップS16の処理を繰り返す。この繰返し処理により、仕分けパターン組合せ情報テーブル38に登録されている各仕分けパターン組合せの評価値Vのうちの最小の評価値Vが最適化として抽出される。
【0115】
そして評価値算出部46は、やがて仕分けパターン組合せ情報テーブル38に登録されているすべての仕分けパターン組合せについてステップS13~ステップS15の処理を実行し終えることによりステップS16で肯定結果を得ると一連の処理を終了し、これに伴ってこの仕分けパターン最適化処理も終了する。
【0116】
(1-3-3)仕分けパターン変更候補探索処理
一方、図13は、図12について上述した仕分けパターン最適化処理のステップS10において、仕分けパターン最適化部31の仕分けパターン変更候補特定部44により実行される仕分けパターン変更候補探索処理の具体的な処理内容を示す。
【0117】
仕分けパターン変更候補特定部44は、仕分けパターン最適化処理のステップS10においてこの図13に示す仕分けパターン変更候補探索処理を開始し、まず、図8について上述した荷物滞留情報テーブル36を生成する(S20)。
【0118】
続いて、仕分けパターン変更候補特定部44は、ボトルネック中継拠点3での仕分け作業の遅延の影響を受ける出荷先を特定する(S21)。本実施の形態の場合、仕分けパターン変更候補特定部44は、「仕分待」の状態にある荷物の個数が予め設定された閾値(以下、これを仕分待閾値と呼ぶ)を超えた出荷先を、ボトルネック中継拠点3での仕分け作業の遅延の影響を受ける出荷先に特定する。ここでは、図1において、「6」がボトルネック中継拠点3であり、「7」~「9」という中継拠点3がそれぞれボトルネック中継拠点3での仕分け作業の遅延の影響を受ける出荷先として特定されたものとする。
【0119】
なお、本実施の形態においては、荷物滞留情報テーブル36を作成し、所定時間後における出荷先ごとの「仕分待」の状態にある荷物の個数に基づいてボトルネック中継拠点3での仕分け作業の遅延の影響を受ける出荷先を特定するようにしたが、これ以外の手法によりボトルネック中継拠点3での仕分け作業の遅延の影響を受ける出荷先を特定するようにしてもよい。例えば、過去の履歴データを用いて予め統計的モデルを構築し、この統計的モデルを用いてボトルネック中継拠点3での仕分け作業の遅延の影響を受ける出荷先を特定するようにしてもよい。
【0120】
次いで、仕分けパターン変更候補特定部44は、ボトルネック中継拠点3と、ステップS21で特定したそのボトルネック中継拠点3での仕分け作業の遅延の影響を受ける出荷先とを含む配送経路を対象経路として抽出する(S22)。従って、例えば図1の例において、「6」がボトルネック中継拠点であり、「8」という中継拠点がそれぞれボトルネック中継拠点3での仕分け作業の遅延の影響を受ける出荷先である場合には、「A→1→4→6→8→G」、「B→2→4→6→8→G」、「C→2→4→6→8→G」、「D→3→5→6→8→G」の4つの配送経路が対象経路として抽出される。
【0121】
続いて、仕分けパターン変更候補特定部44は、対象経路(ステップS22で抽出した配送経路)の中からステップS24以降が未処理の対象経路を1つ選択し(S23)、選択した対象経路においてボトルネック中継拠点3よりも手前の各中継拠点3の中からステップS25以降が未処理の中継拠点を1つ選択する(S24)。
【0122】
次いで、仕分けパターン変更候補特定部44は、ステップS24で選択した中継拠点3において所定の時間枠内(例えば1時間以内)に出荷する荷物のうちでボトルネック中継拠点3を経由する荷物の出荷量を算出する(S25)。
【0123】
また仕分けパターン変更候補特定部44は、ステップS25で算出した出荷量が予め設定された第3の閾値以上であるか否かを判断する(S26)。そして仕分けパターン変更候補特定部44は、このステップS26の判断で否定結果を得るとステップS28に進む。
【0124】
これに対して、仕分けパターン変更候補特定部44は、ステップS26の判断で肯定結果を得ると、そのときステップS24で選択した中継拠点3を出荷元とし、ステップS23で選択した対象経路における当該出荷元の次の中継拠点3を出荷先として、これら出荷元及び出荷先の組合せを、その出荷元について設定されたその出荷元からその出荷先への仕分けパターンを変更すべき候補(仕分けパターン変更候補)に決定する。そして仕分けパターン変更候補特定部44は、このようにして決定した出荷元及び出荷先の組合せを仕分けパターン変更候補情報テーブル37(図9)に登録する(S27)。
【0125】
この後、仕分けパターン変更候補特定部44は、ステップS23で選択した対象経路における物流管理処理(図11)のステップS5で選択したボトルネック中継拠点3の手前の中継拠点3のすべてについてステップS25~ステップS27の処理を実行し終えたか否かを判断する(S28)。そして仕分けパターン変更候補特定部44は、この判断で否定結果を得るとステップS24に戻り、この後、ステップS28で肯定結果を得るまでステップS24~ステップS28の処理を繰り返す。
【0126】
そして仕分けパターン変更候補特定部44は、やがてかかるボトルネック中継拠点3の手前のすべての中継拠点3についてステップS25~ステップS27の処理を実行し終えることによりステップS28で肯定結果を得ると、ステップS22で抽出したすべての配送経路についてステップS24~ステップS28の処理を実行し終えたか否かを判断する(S29)。
【0127】
そして仕分けパターン変更候補特定部44は、この判断で否定結果を得るとステップS23に戻り、この後、ステップS29で肯定結果を得るまでステップS23~ステップS29の処理を繰り返す。
【0128】
そして仕分けパターン変更候補特定部44は、やがてステップS22で抽出したすべての配送経路についてステップS24~ステップS28の処理を実行し終えることによりステップS29で肯定結果を得ると、この仕分けパターン変更候補探索処理を終了して仕分けパターン最適化処理に戻る。
【0129】
(1-4)仕分けパターン変更内容表示画面
図14は、図11について上述した物流管理処理のステップS9で仕分けパターン最適化部31のボトルネック中継拠点特定部43により物流管理装置15の表示装置24(図3)に表示される仕分けパターン変更内容表示画面50の画面構成例を示す。この図14に示すように、仕分けパターン変更内容表示画面50は、中継拠点ネットワーク表示領域51と、仕分けパターン変更詳細表示領域52とを備えて構成される。
【0130】
そして中継拠点ネットワーク表示領域51には、本実施の形態の物流管理システム10が物流を管理している物流ネットワーク1のうちの中継拠点3間のネットワークの模式図(以下、これを中継拠点ネットワーク模式図と呼ぶ)53が表示される。
【0131】
この中継拠点ネットワーク模式図53では、かかる物流ネットワーク1における各中継拠点3が丸印として表現され、その丸印内に対応する中継拠点3の中継拠点IDが表示される。また、この中継拠点ネットワーク模式図53では、荷物の出荷元及びその荷物の出荷先となり得る2つの中継拠点3に対応する丸印間が線で接続される。
【0132】
そして中継拠点ネットワーク表示領域51には、中継拠点ネットワーク模式図53内の各中継拠点3に対応する丸印のうち、図11の物流管理処理により仕分けパターンが変更された各中継拠点3に対応する丸印の近傍に、その中継拠点3の仕分けパターンが変更された旨の表示(図14では「変更あり」)がなされた吹出し54が表示される。
【0133】
また仕分けパターン変更詳細表示領域52には、仕分けパターンが変更された各中継拠点3にそれぞれ対応させて、その中継拠点3の識別情報(図14では中継拠点ID)と、その中継拠点3における変更前の仕分けパターンと、その中継拠点3における変更後の仕分けパターンとが表示される。
【0134】
(1-5)本実施の形態の効果
以上のように本実施の形態の物流管理システム10では、物流管理装置15が、各荷物の現在の配送状況をそれぞれ取得し、取得した各荷物の現在の配送状況に基づいて所定時間後の各荷物の配送状況を予測し、予測結果に基づいて荷物の仕分け作業が遅延して物流のボトルネックとなっているすべての中継拠点3を特定し、特定した各中継拠点3において、所定時間後に仕分け作業の遅延が発生しないように、必要な中継拠点3の仕分けパターンを最適化する。
【0135】
従って、本実施の形態の物流管理システム10によれば、物流ネットワーク1内のいずれかの中継拠点3における荷物の仕分け作業の遅延に起因する物流の停滞を防止することができ、かくして物流ネットワーク1全体の配送効率の低下を防止しながら各中継拠点3における作業効率を向上させることができる。
【0136】
(2)第2の実施の形態
図4との対応部分に同一符号を付して示す図15は、第1の実施の形態の物流管理装置15に代えて図2について上述した物流管理システム10に適用される、第2の実施の形態による物流管理装置60の論理構成を示す。本実施の形態の物流管理装置60の物理構成は、図3について上述した第1の実施の形態の物流管理装置15の物理構成と同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0137】
本実施の形態の物流管理装置60は、仕分けパターン組合せ情報生成部45が生成した仕分けパターン組合せの中から最適な仕分けパターン組合せを評価値算出部62が選定する際、輸送車両13の荷物の積載率を考慮する点が第1の実施の形態の物流管理装置15と相違し、これ以外は第1の実施の形態の物流管理装置15と同様に構成されている。
【0138】
このため手段として、本実施の形態の物流管理装置60の場合、仕分けパターン最適化部61には、仕分けパターン変更候補特定部44及び仕分けパターン組合せ情報生成部45に加えて、機材完成予測情報生成部63及び荷物-便割付情報生成部64と、本実施の形態の評価値算出部62とが設けられ、記憶装置21には、運送便ダイヤ情報テーブル32、既定仕分けパターン情報テーブル33、配送状況情報テーブル34、配送状況予測情報テーブル35、荷物滞留情報テーブル36、仕分けパターン変更候補情報テーブル37及び仕分けパターン組合せ情報テーブル38に加えて、機材完成予測情報テーブル65及び荷物-便割付情報テーブル66が格納される。
【0139】
機材完成予測情報生成部63は、仕分けパターン組合せ情報生成部45により生成された各仕分けパターン組合せの通りに荷物を仕分けた場合に完成する機材ごとの、その機材に積み付けられる荷物の出荷元、出荷先及び最終目的地(届け先の集配基地2)を予測する機能を有する機能部である。機材完成予測情報生成部63は、機材ごとの予測結果を機材完成予測情報として機材完成予測情報テーブル65にそれぞれ格納する。
【0140】
また荷物-便割付情報生成部64は、運送便ダイヤ情報テーブル32及び機材完成予測情報テーブル65に基づいて、機材と、その機材を配送する輸送車両13とを機材ごとにそれぞれ紐付けた荷物-便割付情報を生成する機能を有する機能部である。なお、機材と、その機材を配送する輸送車両13とを紐付ける手法としては、任意のアルゴリズムを利用することができる。荷物-便割付情報生成部64は、生成した機材ごとの荷物-便割付情報を荷物-便割付情報テーブル66に格納する。
【0141】
そして本実施の形態の評価値算出部62は、この荷物-便割付情報テーブル66に格納されている荷物-便割付情報に基づいて、後述のように輸送車両13の積載率を考慮しながら、仕分けパターン組合せ情報生成部45が生成した仕分けパターン組合せの中から最適な仕分けパターン組合せを選定する。
【0142】
一方、機材完成予測情報テーブル65は、機材完成予測情報生成部63が生成した機材ごとの機材完成予測情報を保持するために利用されるテーブルであり、図16に示すように、機材ID欄65A、出荷元欄65B、出荷先欄65C及び最終目的地欄65Dを備えて構成される。機材完成予測情報テーブル65では、1つの行が1つの機材の機材完成予測情報に対応する。
【0143】
そして機材ID欄65Aには、対応する機材の識別子(機材ID)が格納される。また出荷元欄65B及び出荷先欄65Cには、その機材の出荷元又は出荷先の拠点(中継拠点3又は集配基地2)の中継拠点ID又は集配基地IDがそれぞれ格納され、最終目的地欄65Dには、その機材に積み付けられた荷物の最終目的地の集配基地IDが格納される。
【0144】
従って、図16の例の場合、例えば「1」という機材IDの機材は、出荷元が「1」という中継拠点3、出荷先が「A」という集配基地2であり、その機材に積み付けられた荷物の最終目的地は「A」という集配基地2であることが示されている。
【0145】
また荷物-便割付情報テーブル66は、荷物-便割付情報生成部64が生成した機材ごとの荷物-便割付情報を保持するために利用されるテーブルであり、図17に示すように、機材ID欄66A、出荷元欄66B、出荷先欄66C、最終目的地欄66D及び輸送車両ID欄66Eを備えて構成される。荷物-便割付情報テーブル66では、1つの行が1つの機材に対応する。
【0146】
そして機材ID欄66A、出荷元欄66B、出荷先欄66C及び最終目的地欄66Dには、機材完成予測情報テーブル65における対応する行の機材ID欄65A、出荷元欄65B、出荷先欄65C及び最終目的地欄65Dと同じ情報が格納される。また輸送車両ID欄66Eには、出荷元から出荷先までの区間においてその機材を配送する輸送車両13(その区間その機材に割り付けられた輸送車両13)の輸送車両IDが格納される。
【0147】
従って、図17の例の場合、例えば「1」という機材IDの機材は、出荷元が「1」という中継拠点3、出荷先が「A」という集配基地2であり、出荷元から出荷先までは「1」という輸送車両13により配送され、その機材に積み付けられた荷物の最終目的地は「A」という集配基地2であることが示されている。
【0148】
図18は、図12について上述した第1の実施の形態の仕分けパターン最適化処理に代えて、本実施の形態の物流管理装置60の仕分けパターン最適化部61により実行される本実施の形態の仕分けパターン最適化処理の処理内容を示す。
【0149】
この図18において、ステップS30及びステップS31の各処理の処理内容は、図12のステップS10及びステップS11と同様であるため、ここでの説明は省略する。この後、評価値算出部62が、ステップS31で生成された仕分けパターン組合せ情報テーブル38に登録されている各仕分けパターン組合せのうちのステップS33以降が未処理の仕分けパターン組合せを1つ選択する(S32)。
【0150】
続いて、仕分けパターン最適化部61の機材完成予測情報生成部63及び荷物-便割付情報生成部64が連携して、ステップS32で選択した仕分けパターン組合せに従って各荷物をそれぞれ輸送車両13に割り付けた場合の荷物-便割付情報テーブル66(図17)を作成する荷物-便割付処理を実行する(S33)。
【0151】
具体的には、図19に示す処理手順に従って、機材完成予測情報生成部63が、ステップS32で選択された仕分けパターン組合せ通りに仕分けを行った場合における機材完成予測情報テーブル65(図16)を作成し(S40)、この後、荷物-便割付情報生成部64が、この機材完成予測情報テーブル65及び運送便ダイヤ情報テーブル32に基づいて、荷物-便割付情報テーブル66を作成する(S41)。
【0152】
続いて、評価値算出部62が、ステップS32で選択した仕分けパターン組合せを適用した場合の評価値Vを、次式
【数2】
により算出する(S34)。
【0153】
なお(2)式において、α及びβは任意のパラメータであり、βはαよりも大きく設定される。また(2)式において、「各区間の予測積載率」とは、荷物-便割付情報テーブル66に格納されている荷物-便割付情報に基づいて算出した、所定時間後における輸送車両13の各中継拠点3又は各集配基地2間の積載率である。
【0154】
この後、評価値算出部62が、そのときステップS34で算出した評価値Vが最良であるか否かを判断する(S35)。具体的に、評価値算出部62は、そのとき算出した評価値Vの値が、今回の仕分けパターン最適化処理を開始してからこれまでにステップS34で算出した評価値Vの中で最小であるか否かを判断する。
【0155】
そして、評価値算出部62は、この判断で否定結果を得るとステップS37に進み、これに対して肯定結果を得ると、評価値Vの最適解をそのとき算出した評価値Vに更新する(S36)。
【0156】
続いて、評価値算出部62は、ステップS31で生成された仕分けパターン組合せ情報テーブル38に登録されているすべての仕分けパターン組合せに対してステップS33~ステップS36の処理を実行し終えたか否かを判断する(S37)。
【0157】
そして評価値算出部62は、この判断で否定結果を得るとステップS32に戻り、この後、ステップS32で選択する仕分けパターン組合せを、仕分けパターン組合せ情報テーブル38に登録されている仕分けパターン組合せであって、ステップS33以降が未処理の仕分けパターン組合せに順次切り替えながらステップS32~ステップS37の処理を繰り返す。この繰返し処理により、仕分けパターン組合せ情報テーブル38に登録されている各仕分けパターン組合せの評価値Vのうちの最小の評価値Vが最適化として抽出される。
【0158】
そして評価値算出部62は、やがて仕分けパターン組合せ情報テーブル38に登録されているすべての仕分けパターン組合せについてステップS33~ステップS36の処理を実行し終えることによりステップS37で肯定結果を得ると一連の処理を終了し、これに伴ってこの仕分けパターン最適化処理も終了する。
【0159】
以上のように本実施の形態では、物流管理装置60の評価値算出部62が、仕分けパターン組合せ情報生成部45が生成した仕分けパターン組合せの中から最適な仕分けパターン組合せを選定する際、輸送車両13の積載率を考慮する。従って、本実施の形態の物流管理システムによれば、配送効率が高い仕分けパターン組合せを選定することができ、物流ネットワーク1内のいずれかの中継拠点3における荷物の仕分け作業の遅延に起因する物流の停滞を防止することができる。これにより、物流ネットワーク1における配送効率をより一層と向上させながら、各中継拠点3における作業効率を向上させることができる。
【0160】
(3)第3の実施の形態
図15との対応部分に同一符号を付して示す図20は、第1の実施の形態の物流管理装置15に代えて図2について上述した物流管理システム10に適用される、第3の実施の形態による物流管理装置70の論理構成を示す。本実施の形態の物流管理装置70の物理構成は、図3について上述した第1の実施の形態の物流管理装置15の物理構成と同様であるため、ここでの説明は省略する。
【0161】
本実施の形態の物流管理装置70は、仕分けパターン組合せ情報生成部45が生成した仕分けパターン組合せの中から最適な仕分けパターン組合せを選定する際、輸送車両13の積載率に加えて、直送便を設定できる場合にはその利用をも考慮して最適な仕分けパターン組合せを選定する点が第2の実施の形態の物流管理装置60と相違し、これ以外は第2の実施の形態の物流管理装置60と同様に構成されている。
【0162】
そのための手段として、本実施の形態の物流管理装置70の仕分けパターン最適化部71には、運送便ダイヤ情報テーブル32に格納された運送便ダイヤを更新して必要な直行便を設定する直送便設定部73が設けられている。
【0163】
そして仕分けパターン最適化部71の評価値算出部72は、荷物-便割付情報テーブル66に格納されている荷物-便割付情報に基づいて、後述のように輸送車両13の積載率と、直送便との利用とを考慮しながら、仕分けパターン組合せ情報生成部45が生成した仕分けパターン組合せの中から最適な仕分けパターン組合せを選定する機能を有する機能部である。
【0164】
図21は、図19について上述した荷物-便割付処理に代えて、図18について上述した仕分けパターン最適化処理のステップS33で実行される本実施の形態の荷物-便割付処理の処理手順を示す。この荷物-便割付処理は、図18の仕分けパターン最適化処理のステップS33に処理が進むと開始され、まず、機材完成予測情報生成部63が、仕分けパターン組合せ情報生成部45が生成した各仕分けパターン組合せ通りに仕分けを行った場合における機材完成予測情報テーブル65(図16)を作成する(S50)。
【0165】
続いて、直送便設定部73が、ステップS50において機材完成予測情報生成部63が作成した機材完成予測情報テーブル65に登録されている各機材のうちのステップS52以降が未処理の機材を1つ選択し(S51)、選択した機材(以下、これを選択機材と呼ぶ)に積み付けられるすべての荷物の最終目的地(届け先)が同一であるか否かを判断する(S52)。この判断は、機材完成予測情報テーブル65における選択機材に対応する行の最終目的地欄65D(図16)に格納されている最終目的地(届け先の集配基地2)が1つであるか否かに基づいて行われる。
【0166】
そして直送便設定部73は、この判断で否定結果を得るとステップS55に進み、これに対して肯定結果を得ると、運送便ダイヤ情報テーブル32を参照して、出荷元の集配基地2又は中継拠点3から選択機材に積み付けられている荷物の届け先への直送便が存在するか否かを判断する(S53)。
【0167】
直送便設定部73は、この判断で肯定結果を得るとステップS55に進み、これに対して否定結果を得ると、出荷元の集配基地2又は中継拠点3から選択機材に積み付けられている荷物の届け先への直送便を設定するよう運送便ダイヤ情報テーブル32を更新する(S54)。
【0168】
なお、この際、出荷元の集配基地2又は中継拠点3から荷物の届け先の集配基地2への直送便が運行可能か否かを、直送便設定部73が輸配送管理装置14(図2)に問い合わせるようにしてもよい。また輸配送管理装置14からの応答を受けて直送便設定部73が直送便を設定するか否かを決定するようにしてもよい。
【0169】
続いて、直送便設定部73は、機材完成予測情報テーブル65に登録されているすべての機材についてステップS52~ステップS54の処理を実行し終えたか否かを判断する(S55)。そして直送便設定部73は、この判断で否定結果を得るとステップS52に戻り、この後、ステップS55で肯定結果を得るまでステップS52~ステップS55の処理を繰り返す。
【0170】
やがて機材完成予測情報テーブル65に登録されているすべての機材についてステップS52~ステップS54の処理を実行し終えることによりステップS55で肯定結果が得られると、荷物-便割付情報生成部64が、この機材完成予測情報テーブル65及び運送便ダイヤ情報テーブル32に基づいて、荷物-便割付情報テーブル66を作成する(S56)。以上により、この荷物-便割付処理が終了する。
【0171】
以上のように、本実施の形態の物流管理システムによれば、仕分けパターン組合せ情報生成部45が生成した仕分けパターン組合せの中から最適な仕分けパターン組合せを選定する際、輸送車両13の積載率に加えて、直送便を設定できる場合にはその利用をも考慮して最適な仕分けパターン組合せを選定する。従って、本実施の形態の物流管理システムによれば、物流ネットワーク1における配送効率をより一層と向上させながら、各中継拠点3における作業効率を向上させることができる。
【0172】
(4)他の実施の形態
なお上述の第1~第3の実施の形態においては、物流管理装置を1つのコンピュータ装置により構成するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、物流管理装置を、分散コンピューティングシステムを構成する複数のコンピュータ装置により構成し、かかる物流管理装置の機能をこれら複数のコンピュータ装置に分散して搭載するようにしてもよい。
【0173】
また上述の第1~第3の実施の形態においては、本発明を図1のような物流ネットワーク1に適用するようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、この他種々の形態の配送ネットワークに広く適用することができる。
【0174】
さらに上述の第1~第3の実施の形態においては、運送便ダイヤ情報や、既定仕分けパターン情報及び配送状況情報などの各種情報をテーブル構造とするようにした場合について述べたが、本発明はこれに限らず、情報の構造としてはこの他種々の構造を広く適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0175】
本発明は、集配基地から1又は複数の中継拠点を経由して届け出先の集配基地に荷物を配送する物流ネットワークにおける物流を管理する物流管理装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0176】
1……物流ネットワーク、2……集配基地、3……中継拠点、10……物流管理システム、11……リソース機器、12……拠点管理装置、13……輸送車両、14……輸配送管理装置、15,60,70……物流管理装置、20……処理装置、24……表示装置、30……配送状況予測部、31,61,71……仕分けパターン最適化部、32……運送便ダイヤ情報テーブル、33……既定仕分けパターン情報テーブル、34……配送状況情報テーブル、35……配送状況予測情報テーブル、36……荷物滞留情報テーブル、37……仕分けパターン変更候補情報テーブル、38……仕分けパターン組合せ情報テーブル、40……拠点作業状況取得部、41……輸送車両位置情報取得部、42……配送状況予測情報生成部、43……ボトルネック中継拠点特定部、44……仕分けパターン変更候補特定部、45……仕分けパターン組合せ情報生成部、46,62,72……評価値算出部、50……仕分けパターン変更内容表示画面、63……機材完成予測情報生成部、64……荷物-便割付情報生成部、65……機材完成予測情報テーブル、66……荷物-便割付情報テーブル、73……直送便設定部。
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