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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023066812
(43)【公開日】2023-05-16
(54)【発明の名称】圧電式バルブ
(51)【国際特許分類】
   F16K 31/02 20060101AFI20230509BHJP
【FI】
F16K31/02 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021177621
(22)【出願日】2021-10-29
(71)【出願人】
【識別番号】000001812
【氏名又は名称】株式会社サタケ
(71)【出願人】
【識別番号】502254796
【氏名又は名称】有限会社メカノトランスフォーマ
(74)【代理人】
【識別番号】110001151
【氏名又は名称】あいわ弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100158702
【弁理士】
【氏名又は名称】岡野 卓也
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 隆文
(72)【発明者】
【氏名】松下 忠史
(72)【発明者】
【氏名】徐 世傑
(72)【発明者】
【氏名】王 徴力
【テーマコード(参考)】
3H062
【Fターム(参考)】
3H062AA02
3H062AA12
3H062BB30
3H062CC07
3H062HH02
3H062HH10
(57)【要約】      (修正有)
【課題】バブルの前面において気体の排出口を幅方向に一列に揃えて開口することができる圧電式バルブを提供する。
【解決手段】複数の弁体を個別に駆動する複数のアクチュエータと、各弁体と個別に接離する弁座及び排出路を複数有する弁座プレートと、前記弁座プレートを収納する本体ケースと、を備え、各アクチュエータは、各弁体が各弁座に対峙すべく前記弁座プレートの側面に固定され、前記本体ケースの前面に設けられるコネクタ部を介して流体機器に脱着可能とされる圧電式バルブにおいて、各弁座は、幅方向に重合するように弁座部の両面に対として設けられ、前記対として設けられる前記各弁座に開口する各排出路は、幅方向に少なくとも一部重合するように前記弁座プレートに形成され、前記本体ケースの前面には、複数の気体排出口が幅方向に非一列に開口し、前記コネクタ部の前面には、複数の排出通路の排出口が幅方向に一列に開口する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の弁体をそれぞれ個別に平行な面内で駆動する複数のアクチュエータと、
前記複数の弁体とそれぞれ個別に接離する弁座及び排出路を複数有し、前記複数のアクチュエータを固定する弁座プレートと、
前記弁座プレートを収納する本体ケースと、を備える圧電式バルブであって、
前記複数のアクチュエータのそれぞれは、
前記弁座プレートに固定される基部と、
前記基部の取付け面に一端部が接続され、第1長手方向に延びる圧電素子と、
前記基部に一体に設けられ、前記圧電素子と並んで前記第1長手方向と交差する第2長手方向に延びる支持部と、
前記圧電素子の他端部及び前記支持部の先端部と接続され、前記圧電素子の伸縮に伴って、前記第1長手方向及び前記第2長手方向それぞれと異なる方向に変位する作用部と、
前記作用部の前記変位する方向の側に設けられ、前記作用部の変位によって駆動される前記弁体と、を備え、
前記弁座プレートは、前記弁座及び前記排出路が形成される弁座部を有し、前記複数の弁座が前記弁座部の正面側及び背面側の両面に設けられ、
前記複数のアクチュエータは、前記各弁体が前記各弁座にそれぞれ対峙すべく前記弁座プレートの側面に固定され、
前記本体ケースは、
圧縮気体が供給される気体供給口と、
前記気体供給口から供給された圧縮気体を前記複数の弁体と前記複数の弁座との離間によって前記弁座プレートの前記複数の排出路を介してそれぞれ個別に排出する複数の気体排出口と、を備え、
前記本体ケースの前面に設けられるコネクタ部を介して流体機器に脱着可能とされる圧電式バルブにおいて、
前記コネクタ部は、一端を前記本体ケースの前面に開口する前記気体供給口と連通する一方、他端を前記流体機器に形成される給気通路と連通可能とする吸入通路、及び、一端を前記本体ケースの前面に開口する前記複数の気体排出口とそれぞれ連通する一方、他端を前記流体機器に形成される複数の排気通路とそれぞれ連通可能とする複数の排出通路を有し、
前記弁座プレートの前記各弁座は、正面視における幅方向に少なくとも一部重合するように前記弁座部の前記両面に対として設けられ、
前記弁座部の前記両面に対として設けられる前記各弁座に一端が開口する前記各排出路は、前記幅方向に少なくとも一部重合するように前記弁座プレートに形成され、
前記弁座プレートの前面には、前記複数の排出路の他端が前記幅方向に非一列に開口し、
前記本体ケースの前面には、前記複数の気体排出口が前記幅方向に非一列に開口する一方、
前記コネクタ部の前面には、前記複数の排出通路の排出口が前記幅方向に一列に開口することを特徴とする圧電式バルブ。
【請求項2】
前記コネクタ部が有する前記複数の排出通路は、それぞれ同じ容積の空間を有し、前記コネクタ部の前面に同じ開口面積の開口を有する請求項1に記載の圧電式バルブ。
【請求項3】
前記本体ケースが備える前記複数の気体排出口は、前記本体ケースの前面に同じ開口面積の開口を有する請求項2に記載の圧電式バルブ。
【請求項4】
前記流体機器はマニホールドであって、圧縮気体源から供給される圧縮気体を、前記給気通路から前記コネクタ部の前記吸入通路を介して前記本体ケースの内部に給気する一方、前記本体ケースの内部から排出される圧縮気体を、前記コネクタ部の前記複数の排出通路を介して前記複数の排気通路から排気する請求項1乃至3のいずれかに記載の圧電式バルブ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電素子の変位を利用してバルブの開閉を行う圧電式バルブに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、圧電素子の変位を利用してバルブの開閉を行い、圧縮気体を噴出する圧電式バルブは周知である(特許文献1~3を参照)。
【0003】
特許文献1~3に記載された圧電式バルブは、高速応答性能に優れる圧電素子の特性を利用するアクチュエータを備えるものであり、前記アクチュエータに前記圧電素子の小さな変位をテコの原理に基づき拡大する変位拡大機構を備えるものである。
【0004】
前記圧電式バルブは、応答性に優れるため、米粒等の粒状物を対象とした光学式選別機のエジェクタバルブに用いて不良品を除去する場合、良品が巻き添えとなって除去されることが少なく、除去された不良品側の不良品混入率が電磁式バルブに比べて高いとの知見を、試験からも、また経験則上も得られている。
【0005】
前記圧電式バルブは、前記光学式選別機のエジェクタバルブ等として用いる場合、例えば特許文献3に記載されるように、圧縮エア源から圧縮エアが供給される空間を内部に有するマニホールドに直接連続状に装着され、エジェクタの先端には多数のノズル孔が開口することとなる。
【0006】
ところで、本発明者らは、先に、アクチュエータがシンプルな構造の変位拡大機構を備える圧電式バルブを提案した(特許文献4を参照)。
特許文献4に記載された圧電式バルブは、弁座及び排出路が形成される弁座部を有し、前記弁座部の正面側及び背面側の両面に前記弁座が設けられる弁座プレートを備え、複数の前記アクチュエータが、各弁体が前記各弁座に対峙すべく前記弁座プレートの前記弁座部を挟んだ両側に固定されるものである。
【0007】
特許文献4に記載された圧電式バルブは、前記アクチュエータを固定した前記弁座プレートをバルブ本体のケース内に収納するものであり、特許文献1~3に記載された圧電式バルブに比べ、正面視における幅方向の寸法を小さくできるため、前記バルブ本体の前面に開口するエア排出口の前記幅方向のピッチを小さくすることが可能となる。
【0008】
ところが、前記特許文献4に記載された圧電式バルブは、前記弁座プレートにおける前記弁座部の前記両面の各弁座に開口する各排出路が、前記幅方向に重合するように形成される場合には、前記各排出路は前記弁座プレートの前面において前記幅方向に一列に開口するものとできず、前記バルブ本体の前面において前記エア排出口を前記幅方向に一列に揃えて開口することが困難な問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許第5764049号公報
【特許文献2】特開2021-8892号公報
【特許文献3】特開2015-137664号公報
【特許文献4】特願2020-154308号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
そこで、本発明は、バブルの前面において気体の排出口を幅方向に一列に揃えて開口することができる圧電式バルブを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明は、
複数の弁体をそれぞれ個別に平行な面内で駆動する複数のアクチュエータと、
前記複数の弁体とそれぞれ個別に接離する弁座及び排出路を複数有し、前記複数のアクチュエータを固定する弁座プレートと、
前記弁座プレートを収納する本体ケースと、を備える圧電式バルブであって、
前記複数のアクチュエータのそれぞれは、
前記弁座プレートに固定される基部と、
前記基部の取付け面に一端部が接続され、第1長手方向に延びる圧電素子と、
前記基部に一体に設けられ、前記圧電素子と並んで前記第1長手方向と交差する第2長手方向に延びる支持部と、
前記圧電素子の他端部及び前記支持部の先端部と接続され、前記圧電素子の伸縮に伴って、前記第1長手方向及び前記第2長手方向それぞれと異なる方向に変位する作用部と、
前記作用部の前記変位する方向の側に設けられ、前記作用部の変位によって駆動される前記弁体と、を備え、
前記弁座プレートは、前記弁座及び前記排出路が形成される弁座部を有し、前記複数の弁座が前記弁座部の正面側及び背面側の両面に設けられ、
前記複数のアクチュエータは、前記各弁体が前記各弁座にそれぞれ対峙すべく前記弁座プレートの側面に固定され、
前記本体ケースは、
圧縮気体が供給される気体供給口と、
前記気体供給口から供給された圧縮気体を前記複数の弁体と前記複数の弁座との離間によって前記弁座プレートの前記複数の排出路を介してそれぞれ個別に排出する複数の気体排出口と、を備え、
前記本体ケースの前面に設けられるコネクタ部を介して流体機器に脱着可能とされる圧電式バルブにおいて、
前記コネクタ部は、一端を前記本体ケースの前面に開口する前記気体供給口と連通する一方、他端を前記流体機器に形成される給気通路と連通可能とする吸入通路、及び、一端を前記本体ケースの前面に開口する前記複数の気体排出口とそれぞれ連通する一方、他端を前記流体機器に形成される複数の排気通路とそれぞれ連通可能とする複数の排出通路を有し、
前記弁座プレートの前記各弁座は、正面視における幅方向に少なくとも一部重合するように前記弁座部の前記両面に対として設けられ、
前記弁座部の前記両面に対として設けられる前記各弁座に一端が開口する前記各排出路は、前記幅方向に少なくとも一部重合するように前記弁座プレートに形成され、
前記弁座プレートの前面には、前記複数の排出路の他端が前記幅方向に非一列に開口し、
前記本体ケースの前面には、前記複数の気体排出口が前記幅方向に非一列に開口する一方、
前記コネクタ部の前面には、前記複数の排出通路の排出口が前記幅方向に一列に開口することを特徴とする。
【0012】
ここで、本発明において「幅方向」とは、特に断りがない限り、圧電式バルブの正面視における幅方向を意味することとする。
【0013】
本発明は、
前記コネクタ部が有する前記複数の排出通路が、それぞれ同じ容積の空間を有し、かつ、前記コネクタ部の前面に同じ開口面積の開口を有することが好ましい。
【0014】
本発明は、
前記本体ケースが備える前記複数の気体排出口が、前記本体ケースの前面に同じ開口面積の開口を有することが好ましい。
【0015】
本発明は、
前記コネクタ部が有する前記複数の排出通路が、前記本体ケースの前面に開口する前記複数の気体排出口及び前記コネクタ部の前面に開口する前記複数の排出通路の排出口のそれぞれの開口を前記コネクタ部の後面に投影し、前記コネクタ部の後面に前記両開口を連結した長穴形状の開口を有することが好ましい。
【0016】
本発明は、
前記流体機器がマニホールドであって、圧縮気体源から供給される圧縮気体を、前記給気通路から前記コネクタ部の前記吸入通路を介して前記本体ケースの内部に給気する一方、前記本体ケースの内部から排出される圧縮気体を、前記コネクタ部の前記複数の排出通路を介して前記複数の排気通路から排気することが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明の圧電式バルブは、前記弁座プレートの前記各弁座は、正面視における幅方向に少なくとも一部重合するように前記弁座部の前記両面に対として設けられ、前記弁座部の前記両面に対として設けられる前記各弁座に一端が開口する前記各排出路は、前記幅方向に少なくとも一部重合するように前記弁座プレートに形成され、前記弁座プレートの前面には、前記複数の排出路の他端が前記幅方向に非一列に開口し、前記本体ケースの前面には、前記複数の気体排出口が前記幅方向に非一列に開口する一方、前記コネクタ部の前面には、前記複数の排出通路の排出口が前記幅方向に一列に開口するので、前記本体ケースの前面に、前記複数の気体排出口が前記幅方向に一列に開口しない場合でも、バブルの前面において気体の排出口を前記幅方向に一列に揃えて開口することができる。
【0018】
本発明の圧電式バルブは、前記コネクタ部が有する前記複数の排出通路が、それぞれ同じ容積の空間を有し、かつ、前記コネクタ部の前面に同じ開口面積の開口を有するものであれば、バブルの前面からの気体噴出量や噴出速度、応答性などの各種特性を、前記複数の排出通路間で同程度とし、前記コネクタ部を設けない場合と比較して遜色のない良好な状態とすることができる。
【0019】
本発明の圧電式バルブは、前記流体機器がマニホールドであって、圧縮気体源から供給される圧縮気体を、前記給気通路から前記コネクタ部の前記吸入通路を介して前記本体ケースの内部に給気する一方、前記本体ケースの内部から排出される圧縮気体を、前記コネクタ部の前記複数の排出通路を介して前記複数の排気通路から排気することとすれば、前記マニホールドに装着することで、例えば、光学式選別機におけるエジェクタに利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】圧電式バルブの斜視図である。
図2図1の圧電式バルブの正面図である。
図3図1の圧電式バルブの平面図である。
図4】バルブ本体の斜視図である。
図5】アクチュエータの斜視図である。
図6】弁座プレートの斜視図である。
図7図6の弁座プレートの正面図である。
図8図6の弁座プレートの側面図である。
図9】アクチュエータを固定した状態の弁座プレートの斜視図である。
図10図9の弁座プレートの正面図である。
図11図9の弁座プレートの側面図である。
図12図9の弁座プレートの下面図である。
図13】エジェクタを正面側から見た説明図である。
図14図13のF-F断面図である。
図15】コネクタ部の左側面図である。
図16】コネクタ部の平面図である。
図17】コネクタ部の下面図である。
図18】圧電式バルブの組立分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は圧電式バルブの斜視図を示す。図2図1の圧電式バルブの正面図を示す。図3図1の圧電式バルブの平面図を示す。図4はバルブ本体の斜視図を示す。
本発明の実施の形態において、圧電式バルブ1は、バルブ本体2、後述するアクチュエータ3、及び前記アクチュエータ3が固定された状態で前記バルブ本体2の内部に配設される後述する弁座プレート4を備える。
【0022】
前記バルブ本体2は、後面(図4では下面)が開口するケースであって、内部には、外部の圧縮気体供給源(図示せず)から圧縮気体の供給を受ける気体圧力室を備える。
また、前記バルブ本体2の前面(図4では上面)には、図1に示すように、圧縮気体源から圧縮気体が供給される空間を内部に有するマニホールド(図示せず)に装着するためのコネクタ部5が設けられる。
【0023】
前記コネクタ部5の前面(図1では上面)には、前記バルブ本体2内に圧縮気体を吸入する吸入口51及び前記圧縮気体を排出する複数の排出口52が開口する。
また、前記バルブ本体2の前面には、前記コネクタ部5の前記吸入口51と連通する気体供給口21、及び前記コネクタ部5の前記各排出口52と連通する複数の気体排出口22が開口する。
【0024】
図1及び図2に示すように、前記バルブ本体2の後面にはカバー体6が装着され、前記カバー体6の正面側に形成される開口から後述する圧電素子32に給電するためのケーブル(図示せず)が延出する。
【0025】
なお、本発明の実施の形態において「幅方向」とは、特に断りがない限り、例えば図1乃至図3に示すように、圧電式バルブの正面視における幅方向Wを意味することとする。
【0026】
図5はアクチュエータの斜視図を示す。
前記アクチュエータ3は、後述する弁座プレート4に固定される基部31と、前記基部31の取付け面に一端部が接続され、第1長手方向に延びる圧電素子32と、前記基部31に一体に設けられ、前記圧電素子32と並んで前記第1長手方向と交差する第2長手方向に延びる支持部33を備える。
【0027】
前記アクチュエータ3は、前記圧電素子32の他端部及び前記支持部33の先端部と接続され、前記圧電素子32の伸縮に伴って、前記第1長手方向及び前記第2長手方向それぞれと異なる方向に変位する作用部34、前記作用部34の先端側であって前記変位する方向の一側面に設けられ、前記作用部34の前記変位によって駆動される弁体35を備える。
【0028】
前記基部31は、少なくとも前記支持部33が一体に設けられる側の取付け穴381を利用して前記弁座プレート4にネジにより固定される。
【0029】
また、前記支持部33は、前記第2長手方向に延びる中間部分にくびれ部331を有し、前記くびれ部331よりも前記基部31の側に設けられる取付け穴382を利用して前記弁座プレート4にネジにより固定される。
【0030】
前記アクチュエータ3は、前記圧電素子32の変位を拡大して前記弁体35に作用させる変位拡大機構として前記支持部33及び前記作用部34を含み、前記圧電素子32の伸縮に伴い、前記作用部34が前記第1長手方向及び前記第2長手方向を含む平面に略平行な面内で、前記第1長手方向及び前記第2長手方向それぞれと異なる変位方向に変位する。
その際、前記支持部33の前記第2長手方向に延びる中間部分に前記くびれ部331を設けることで、前記圧電素子32の伸縮に伴う前記作用部34の変位を拡大することができる。
【0031】
ここで、前記基部31及び前記支持部33は、例えばインバー材を含むステンレス材等の金属材料を打ち抜いて一体成形することができる。
前記基部31及び前記支持部33を、金属材料を打ち抜いて一体成形すれば、部品点数が削減され、前記アクチュエータ3の組立てが容易となる。
【0032】
また、前記基部31と前記支持部33を別部材により形成し、前記基部31に別部材の前記支持部33を取り付けることで、前記支持部33を前記基部31に一体に設けることもできる。
【0033】
前記基部31の取付け面には、例えばアルミブロック等からなる連結部材(図示せず)を取付けることができる。
前記基部31の取付け面に、前記支持部33よりも線膨張係数の大きな材料からなる連結部材を取付け、前記圧電素子32を、前記連結部材を介して前記基部31に取付けることとすれば、温度変化による前記圧電素子32の熱膨張又は熱収縮の影響を軽減し、又は無くすことができる。
前記連結部材は、前記基部31の取付け面でなく、前記圧電素子32と前記作用部34の間に取り付けることもできる。
【0034】
前記作用部34は、例えばアルミニウム材等の軽量材料により形成することができる。前記作用部34をアルミニウム材等の軽量材料により形成することとすれば、前記作用部34を変位させるうえで好ましい。
また、前記弁体35は、ゴム製等であって、好ましくは滑性ゴムとすることができる。
【0035】
前記アクチュエータ3は、前記基部31と前記作用部34の間を圧縮部材36で連結することができる。
圧電素子は引張方向の荷重に対し損傷しやすいが、前記基部31と前記作用部34の間を前記圧縮部材36で連結することとすれば、前記圧電素子32を前記第1長手方向に圧縮することができるため、前記圧電素子32の損傷を防止できる。
【0036】
図6は弁座プレートの斜視図を示す。図7図6の弁座プレートの正面図を示す。図8図6の弁座プレートの側面図を示す。
図6に示す弁座プレート4は、4つのアクチュエータを取り付けることが可能な弁座プレートの一例である。前記弁座プレート4は中央部分に弁座部41を有し、前記弁座部41の正面側及び背面側の相対する両面にそれぞれ前記アクチュエータ3の前記弁体35が当接する弁座42が2つずつ設けられる。
ここでは、前記各弁座42は、正面視における幅方向に重合するように前記弁座部41の前記両面に対として対向して設けられている。
【0037】
前記弁座プレート4の一側面には、前記弁座部41の前記両面に対向する位置にそれぞれ前記アクチュエータ3の取り付け部43,43が形成される。
また、前記弁座プレート4の他側面にも、前記弁座部41の前記両面に対向する位置にそれぞれ前記アクチュエータ3の取り付け部44が形成される。
【0038】
図8に示すように、前記弁座部41には、前記各弁座42の弁座面に一端が開口する複数の排出路45が形成され、前記各排出路45の他端が前記弁座プレート4の前面(図6乃至図8では上面)に開口する。
また、前記弁座プレート4には、前記バルブ本体2の後面の開口を閉鎖する蓋材46が一体に設けられる。
【0039】
ここで、前記弁座部41の前記両面に対として対向して設けられる前記各弁座42に一端が開口する前記各排出路45は、前記幅方向に重合するように前記弁座プレート4に形成される。
そのため、図6に示すように、前記弁座プレート4の前面には、前記複数の排出路45の他端が前記幅方向に非一列に開口する(前記幅方向に一列に開口しない)。
また、図4に示すように、前記弁座プレート4が収納される前記バルブ本体2の前面には、前記複数の気体排出口22が前記幅方向に非一列に開口する。
【0040】
なお、前記弁座プレート4の前記各弁座42は、正面視における幅方向に少なくとも一部重合するように前記弁座41部の前記両面に対として設けられ、前記弁座部41の前記両面に対として設けられる前記各弁座42に一端が開口する前記各排出路45は、前記幅方向に少なくとも一部重合するように前記弁座プレート4に形成されるものであればよい。
【0041】
図9はアクチュエータを固定した状態の弁座プレートの斜視図を示す。図10図9の弁座プレートの正面図を示す。図11図9の弁座プレートの側面図を示す。図12図9の弁座プレートの下面図を示す。
本発明の実施の形態では、前記弁座プレート4の前記各取り付け部43,44に対し、4つのアクチュエータ3の各弁体35が前記各弁座42に対峙するように配設され、前記各アクチュエータ3が前記弁座プレート4に対しネジにより固定される。
【0042】
前記弁座プレート4の後方(図9乃至図11では下方)位置には、前記アクチュエータ3における前記圧電素子32のリード線(図示せず)を接続するための電極47が設けられる。また、前記弁座プレート4の後方位置には、前記圧電素子32に給電するための配線ピン48がモールドされている。
前記弁座プレート4の後方端部には、前記バルブ本体2のケース後面の開口を閉鎖する前記蓋材46が一体に設けられており、前記配線ピン48は、一端が前記電極47に接続され、他端が前記蓋材46の後面(図9乃至図11では下面)から後方へ延出して前記圧電素子32に給電するためのケーブル(図示せず)に接続される。
【0043】
ここで、前記電極47は、前記圧電素子32のリード線及び前記配線ピン48と接続された状態で、前記配線ピン48の一端側とともに絶縁性材料、例えばシリコーン等の絶縁性樹脂材料により被覆することができる。
前記電極47が、前記圧電素子32のリード線及び前記配線ピン48と接続された状態で、前記配線ピン48の一端側とともに絶縁性材料により被覆されるものであれば、前記配線ピン48が前記弁座プレート4にモールドされることと相俟って、水滴などによるショートを防ぐことができる。
【0044】
図13及び図14は光学式選別機におけるエジェクタの説明図であって、図13はエジェクタを正面側から見た説明図、図14図13のF-F断面図であってエジェクタを側面側から見た説明図を示す。
図13及び図14に示すエジェクタ7は、図示しない圧縮エア供給源から圧縮エアが供給されるエア空間711を内部に有するマニホールド71と、前記コネクタ部5を介して前記マニホールド71に装着される前記圧電式バルブ1と、前記マニホールド71に取り付けられるノズル部材72を備える。
【0045】
前記マニホールド71は、前記エア空間711と連通する多数の給気通路712及び多数の排気通路713を長手方向に有し、前記各給気通路712及び前記各排気通路713が前記長手方向にそれぞれ一直線上に開口し、前記多数の排気通路713にはそれぞれ前記ノズル部材72のノズル孔721が連通して設けられる。
【0046】
前記圧電式バルブ1は前記マニホールド71に装着され、前記コネクタ部5の前記吸入口51が前記マニホールド71の前記給気通路712と連通し、前記コネクタ部5の複数の前記排出口52が前記マニホールド71の複数の前記排気通路713と連通する。
【0047】
前記マニホールド71には、1本の給気通路712と4本の排気通路713を対として、当該給気通路712と排気通路713の対が、前記マニホールド71に装着される前記圧電式バルブ1の数だけ長手方向に沿って形成される。
【0048】
図15はコネクタ部の左側面図を示す。図16はコネクタ部の平面図を示す。図17はコネクタ部の下面図を示す。
前記コネクタ部5には、後面において一端が前記バルブ本体2の前面に開口する前記気体供給口21と連通し、前面において他端が前記マニホールド71に形成される給気通路712と連通可能とする吸入通路が形成される。
また、前記コネクタ部5には、後面において一端が前記バルブ本体2の前面に開口する前記複数の気体排出口22とそれぞれ連通し、前面において他端が前記マニホールド71の下面に開口する前記複数の排気通路713とそれぞれ連通可能とする複数の排出通路が形成される。
【0049】
前記コネクタ部5の前面には、前記複数の排出通路の排出口52(他端側開口521)が幅方向に一列に開口し、前記各排出通路は、前記マニホールド71の下面において長手方向に一直線上に開口する前記各排気通路713と連通する。
【0050】
また、前記コネクタ部5の後面には、前記複数の排出通路が、前記記バルブ本体2の前面に開口する前記複数の気体排出口22及び前記コネクタ部5の前面に開口する前記複数の排出口52のそれぞれの開口を前記コネクタ部5の後面に投影し、前記両開口を連結した長穴形状に開口(一端側開口522)し、前記各排出通路は、前記バルブ本体2の前面において幅方向に非一列に開口する前記複数の気体排出口22と連通する。
【0051】
前記コネクタ部5に形成される前記複数の排出通路は、それぞれが略同じ空間容積の空間を有し、かつ、前記コネクタ部5の前面に略同じ開口面積の開口(排出口52)を有する。
また、前記バルブ本体2の前面に開口する前記複数の気体排出口22は、略同じ開口面積を有する。
【0052】
図18は圧電式バルブの組立分解図を示す。
前記圧電式バルブ1は、4つの前記アクチュエータ3が固定された前記弁座プレート4を、前記バルブ本体2の後面の開口からケース内に挿入し、前記弁座プレート4に設けられた蓋材46により前記バルブ本体2の後面の開口を閉鎖し、前記蓋材46の後面にカバー体6を固定し、前記バルブ本体2の前面に前記コネクタ部5を取り付けることで組み立てることができる。
【0053】
前記弁座プレート4は、前記各排出路45を有する側の前方部において、前記バルブ本体2のケース内で前記各排出路45が開口する前面が前記バルブ本体2に対し前方からネジ81,81により固定され、前記各排出路45が前記バルブ本体2の前面に開口する前記各気体排出口22と連通する。
【0054】
また、前記弁座プレート4は、前記アクチュエータ3を固定する側の後方部において、前記蓋材46が前記バルブ本体2に対し後方からネジ82,82により固定され、前記バルブ本体2の前記後面の開口を閉鎖する。
【0055】
その際、前記弁座プレート4の前記前面が前記バルブ本体2の前方側内面に固定される部分であって、前記弁座プレート4の前記排出路45と前記バルブ本体2の前記気体排出口22が連通する部分をパッキン85によりシールし、また、前記弁座プレート4の前記蓋材46が前記バルブ本体2の前記後面の開口を閉鎖する部分をOリング86によりシールすることで、前記バルブ本体2からの気体の漏れを防止することができる。
【0056】
そして、前記弁座プレート4の前記蓋材46の後面には、前記蓋材46の後面から後方へ延出する前記配線ピン48に接続され前記圧電素子32に給電するためのケーブル49を正面側の開口から延出させる前記カバー体6がネジ84等により固定される。
【0057】
前記コネクタ部5は、前方からネジ53,53により前記バルブ本体2の前面に固定される。
その際、前記バルブ本体2の前面に開口する前記各気体排出口22と前記コネクタ部5の後面に開口する前記複数の排出通路の開口(一端側開口522)が連通する部分をパッキン25によりシールする。
【0058】
さらに、前記コネクタ部5の前面であって前記複数の排出口52(他端側開口521)が開口する部分にはパッキン55が設けられ、当該圧電式バルブ1を前記マニホールド71に装着した際における前記コネクタ部5の前記各排出口52と前記マニホールド71の前記各排気通路が連通する部分をシールする。
【0059】
前記圧電式バルブ1は、前記弁座プレート4が、前記排出路45を有する側の前方部、及び前記アクチュエータ3を固定する側の後方部において前記バルブ本体2に固定されるので、前記弁座プレート4が揺れて前記バルブ本体2の内面に接触することがない。
したがって、前記圧電式バルブによれば、弁座プレート4がバルブ本体2の内面に接触する際の衝撃による破損や、接触による動作不良を防止することができる。
【0060】
また、前記圧電式バルブ1は、前記弁座プレート4が、前記排出路45を有する側の前方部において、前記バルブ本体2のケース内で前記排出路45が開口する前面が前記バルブ本体2に対し前方からネジ81,81により固定され、前記アクチュエータ3を固定する側の後方部であって、前記蓋材46が前記バルブ本体2に対し後方からネジ82,82により固定されるので、ネジの取り外しにより分解することが可能となり、不具合時の原因調査や修理を行うことが可能となる。
【0061】
さらに、前記弁座プレート4は、図18に示すように、前記アクチュエータ3を固定する側の後方部において、両側面を前記バルブ本体2に対し両側方からネジ83,83により固定することができる。
前記弁座プレート4が、前記アクチュエータ3を固定する側の後方部において、両側面を前記バルブ本体2に対し両側方からネジ83,83により固定することとすれば、前記バルブ本体2のケースの幅方向の膨らみを小さく抑えることで、当該圧電式バルブ1を光学式選別機のエジェクタバルブ等に用いて複数並設した場合における不具合を防止することができる。
【0062】
前記圧電式バルブ1は、閉弁状態において前記アクチュエータ3の前記圧電素子32に通電すると、前記圧電素子32が伸長し、前記作用部34が変位して、前記弁体35が前記弁座42から離間して開弁し、前記バルブ本体2に前記気体供給口21から供給される圧縮気体を、前記弁座プレート4の前記弁座部41に形成される前記排出路45から前記バルブ本体2の前面に開口する前記気体排出口22を介して前記コネクタ部5の前面に開口する前記排出口52から排出する。
他方、前記圧電式バルブ1は、前記アクチュエータ3の前記圧電素子32への通電が解除されると、前記圧電素子32が収縮し、前記作用部34が反対方向へ変位して、前記弁体35が前記弁座42に着座して閉弁する。
【0063】
本発明の実施の形態における圧電式バルブ1は、前記弁座プレート4の前記各弁座42が、正面視における幅方向に少なくとも一部重合するように前記弁座部41の前記両面に対として対向して設けられ、前記弁座部41の前記両面に対として対向して設けられる前記各弁座42に一端が開口する前記各排出路45が、前記幅方向に少なくとも一部重合するように前記弁座プレート4に形成され、前記弁座プレート4の前面には、前記複数の排出路45の他端が前記幅方向に非一列に開口し、前記弁座プレート4が収納される前記バルブ本体2の前面には、前記複数の気体排出口22が前記幅方向に非一列に開口する一方、前記コネクタ部5の前面には、前記複数の排出通路の排出口52が前記幅方向に一列に開口するので、前記バルブ本体2の前面に、前記複数の気体排出口22が前記幅方向に一列に開口しない場合でも、バブルの前面において気体の排出口を前記幅方向に一列に揃えて開口することができる。
【0064】
本発明の実施の形態における圧電式バルブ1は、前記コネクタ部5に形成される前記複数の排出通路が、それぞれが略同じ空間容積の空間を有し、かつ、前記コネクタ部5の前面に略同じ開口面積の開口(排出口52)を有するものであり、前記バルブ本体2の前面に開口する前記複数の気体排出口22が、略同じ開口面積を有するので、バブルの前面からの気体噴出量や噴出速度、応答性などの各種特性を、前記複数の排出通路間で同程度とし、前記コネクタ部5を設けない場合と比較して遜色のない良好な状態に維持することができる。
【0065】
上記本発明の実施の形態において、前記圧電式バルブ1は、前記圧電素子32に電圧が印加されていない状態で、弁体35が弁座42に着座することとしたが、駆動部から供給される電圧等の極性を変更することで、前記圧電素子32に電圧が印加されていない状態で、弁体35が弁座42から離間した状態とすることもできる。
【0066】
上記本発明の実施の形態において、前記圧電式バルブ1は、弁座プレート4の両側面にそれぞれ2つのアクチュエータ3を固定し、前記バルブ本体2の前面に4つの気体排出口22が開口することとしたが、これに限定されるものでなく、例えば、弁座プレート4の一側面にのみ2つのアクチュエータ3を固定し、又は弁座プレート4の両側面にそれぞれ1つのアクチュエータを固定して、前記バルブ本体2の前面に2つの気体排出口22が開口するものとすることもできる。
【0067】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものでなく、発明の範囲を逸脱しない限りにおいてその構成を適宜変更することができることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明の圧電式バルブは、従来に比べ正面視における幅方向の寸法を小さくできるものであって、バルブ本体の前面において複数の気体排出口を幅方向に一列に揃えて開口することができない場合でも、バルブの前面において気体の排出口を幅方向に一列に揃えて開口することができるものであり、利便性に優れるものである。
【符号の説明】
【0069】
1 圧電式バルブ
2 バルブ本体(本体ケース)
21 気体供給口
22 気体排出口
25 パッキン
3 アクチュエータ
31 基部
32 圧電素子
33 支持部
331 くびれ部
34 作用部
35 弁体
36 圧縮部材
381 取付け穴
382 取付け穴
4 弁座プレート
41 弁座部
42 弁座
43 取り付け部
44 取り付け部
45 排出路
46 蓋材
47 電極
48 配線ピン
49 ケーブル
5 コネクタ部
51 吸入口
52 排出口
521 他端側開口
522 一端側開口
53 ネジ
55 パッキン
6 カバー体
7 エジェクタ
71 マニホールド(流体機器)
711 エア空間
712 給気通路
713 排気通路
72 ノズル部材
721 ノズル孔
81 ネジ
82 ネジ
83 ネジ
84 ネジ
85 パッキン
86 Oリング

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18