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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023066817
(43)【公開日】2023-05-16
(54)【発明の名称】ロボットの制御装置
(51)【国際特許分類】
   B25J 13/06 20060101AFI20230509BHJP
   B25J 19/00 20060101ALI20230509BHJP
   H05K 5/00 20060101ALI20230509BHJP
【FI】
B25J13/06
B25J19/00 M
H05K5/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021177628
(22)【出願日】2021-10-29
(71)【出願人】
【識別番号】501428545
【氏名又は名称】株式会社デンソーウェーブ
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】徳光 貴正
【テーマコード(参考)】
3C707
4E360
【Fターム(参考)】
3C707BS10
3C707CY34
3C707JS05
4E360AB02
4E360AB04
4E360AB08
4E360BD02
4E360CA02
4E360EA24
4E360ED02
4E360ED18
4E360GA24
4E360GA41
4E360GB99
4E360GC02
(57)【要約】
【課題】安全性を向上させることができるロボットの制御装置を提供する。
【解決手段】実施形態の制御装置1は、ロボット2を制御するものであって、筐体10と、筐体10の内部に配置される発熱源としての例えばIPC13と、筐体10の内部に配置され、発熱源を支持する支持部材20とを備え、支持部材20により発熱源を筐体10との間に空間が存在する状態で筐体10から離間した位置に支持する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の壁部により構成される筐体と、
前記筐体の内部に配置される発熱源と、
前記筐体の内部に配置され、前記発熱源を支持する支持部材と、を備え、
前記支持部材は、前記発熱源を、前記筐体との間に空間が存在する状態で前記筐体から離間した位置に支持するロボットの制御装置。
【請求項2】
前記発熱源は、前記筐体への取り付けが可能な形状に形成されている、または、前記筐体への取り付けが可能な構造を有しているものであり、
前記支持部材は、前記筐体への取り付けが可能な前記発熱源を、前記筐体との間に空間が存在する状態で前記筐体から離間した位置に支持する請求項1記載のロボットの制御装置。
【請求項3】
前記支持部材は、前記発熱源を、複数の前記壁部のうち前記筐体を設置した状態においてユーザが触れることが想定される壁部から離間した位置に支持する請求項1または2記載のロボットの制御装置。
【請求項4】
前記支持部材は、前記発熱源を支持した状態において、前記発熱源と対向している壁部とは異なる他の壁部で前記筐体に取り付けられている請求項1から3のいずれか一項記載のロボットの制御装置。
【請求項5】
前記支持部材は、前記発熱源を、複数の前記壁部のうち前記筐体を設置した状態においてユーザが触れることが想定される壁部から離間した位置に支持するとともに、当該ユーザが触れることが想定される壁部とは異なる他の壁部で前記筐体に取り付けられている請求項1から4のいずれか一項記載のロボットの制御装置。
【請求項6】
前記支持部材は、前記発熱源を支持するために必要な大きさよりも大きく形成されており、前記発熱源を取り付けた状態において前記発熱源よりも発熱量が少ない他の部品を少なくとも取り付け可能に形成されている請求項1から5のいずれか一項記載のロボットの制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットを制御する制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的な産業用ロボットは、電力線や信号線などのケーブルによって制御装置と接続されており、制御装置からの制御に基づいて動作する。このとき、制御装置は、筐体の内部に例えば演算回路や電力用半導体素子のような発熱する部品が配置されている。そのため、例えば特許文献1では、制御装置の筐体内の放熱効率を向上させることが提案されている。以下、筐体内に配置されている発熱する部品を発熱源と称する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-144590号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
さて、筐体内に配置される発熱源は、従来では筐体に直接的に取り付けられることが多かった。これは、省スペース化も理由の1つであると考えらえるが、筐体をいわゆる放熱器として利用し、発熱源からの熱が筐体の内部にこもらないようにすることも大きな理由として考えられる。換言すると、従来では、筐体内の温度上昇を抑制することを重要視した設計となっていた。
【0005】
しかしながら、筐体内の温度上昇を抑制した結果、新たな問題が生じるおそれがある。すなわち、温度は基本的には目に見えないことから、発熱源からの熱によって筐体の表面温度が高くなっているにも関わらずユーザが意図せずに触れてしまい、安全性が損なわれるという問題が発生するおそれがある。
【0006】
そこで、安全性を向上させることができるロボットの制御装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載した発明では、制御装置は、複数の壁部により構成される筐体と、筐体の内部に配置される発熱源と、筐体の内部に配置され、発熱源を支持する支持部材と、を備えている。そして、支持部材は、発熱源を筐体との間に空間が存在する状態で、筐体から離間した位置に支持する。
【0008】
前述のように、発熱源は、省スペース化や筐体を放熱器として利用するためなどに理由により、筐体に直接的に取り付けることがあった。しかし、その場合には、発熱源からの熱が直接的に筐体に伝わることから、発熱源に近い位置における表面温度が高くなることが想定される。そして、温度は基本的には目に見えないことから、発熱源からの熱によって高温になっている箇所にユーザが意図せずに触れてしまうおそれがある。
【0009】
そこで、制御装置は、筐体の内部に発熱源を支持する支持部材を配置している。換言すると、制御装置は、発熱源を支持する支持部材を設けている。これにより、発熱源からの熱が筐体に直接的に伝わることがなくなって発熱源に近い位置の表面温度がピンポイントに高くなることが抑制され、火傷したりするおそれが低減される。したがって、安全性を向上させることができる。
【0010】
請求項2に記載した発明では、発熱源は、筐体への取り付けが可能な形状に形成されている、または、筐体への取り付けが可能な構造を有しているものであり、支持部材は、筐体への取り付けが可能な発熱源を、筐体との間に空間が存在する状態で筐体から離間した位置に支持する。つまり、制御装置は、部品コストや発熱源を取り付ける際の手間が増加することを許容した上で、敢えて発熱源を支持するための支持部材を設けている。これにより、これにより、発熱源からの熱が筐体に直接的に伝わることがなくなって発熱源に近い位置の表面温度がピンポイントに高くなることが抑制され、安全性を向上させることができる。
【0011】
請求項3に記載した発明では、支持部材は、発熱源を、複数の壁部のうち構成される筐体を設置した状態においてユーザが触れることが想定される壁部から離間した位置に支持する。これにより、ユーザが筐体に触れた際に熱の影響を受けるおそれをさらに低減することができる。
【0012】
請求項4に記載した発明では、支持部材は、発熱源を支持した状態において、発熱源と対向している壁部とは異なる他の壁部で筐体に取り付けられている。これにより、ユーザが筐体に触れた際に熱の影響を受けるおそれをさらに低減することができるとともに、発熱量が大きい部品を配置する必要がある場合において、支持部材を通して別の壁部に熱を逃がすことができ、安全性を向上させることができる。
【0013】
請求項5に記載した発明では、支持部材は、発熱源を、複数の壁部のうち筐体を設置した状態においてユーザが触れることが想定される壁部から離間した位置に支持するとともに、当該ユーザが触れることが想定される壁部とは異なる他の壁部で筐体に取り付けられている。これにより、これにより、ユーザが筐体に触れた際に熱の影響を受けるおそれをさらに低減することができるとともに、発熱量が大きい部品を配置する必要がある場合において、支持部材を通して別の壁部に熱を逃がすことができ、安全性を向上させることができる。
【0014】
請求項6に記載した発明では、支持部材は、発熱源を支持するために必要な大きさよりも大きく形成されており、発熱源を取り付けた状態において発熱源よりも発熱量が少ない他の部品を少なくとも取り付け可能に形成されている。これにより、発熱源からの熱を支持部材に広く拡散させることが可能となり、一部の温度が高くなることを抑制できる。また、発熱源の設置個所以外を他の部品の配置スペースとして利用でき、各部品をいわゆるモジュール化することができる。これにより、支持部材を設けることで部品コストが増加したとしても、組み立てコストを低減することが可能となり、制御装置全体として見た場合におけるコストの増加を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】一実施形態における制御装置の利用形態例を模式的に示す図
図2】制御装置の形状例および内部配置例を模式的に示す図
図3】発熱源の配置態様例を模式的に示す図
図4】支持部材の他の構成例を模式的に示す図
図5】他の発熱源の構成例を模式的に示す図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、実施形態について説明する。図1に示すように、本実施形態の制御装置1は、産業用のロボット2を制御するものであり、ロボット2との間が電力ケーブルや信号ケーブルなどによって接続されている。また、制御装置1は、ロボット2に動作を教示するための教示装置3、および、必要に応じて上位の管理装置4と通信可能に接続されている。なお、管理措置の配下に複数の制御装置1が通信可能に接続されることもある。また、図1には垂直多関節型のいわゆる6軸ロボットを示しているが、制御装置1は、いわゆる7軸ロボットや水平多関節型のいわゆる4軸ロボットを制御対象とするものであってもよい。
【0017】
制御装置1は、図2に示すように、例えば金属材料により概ね矩形箱状に形成された筐体10を有している。以下、筐体10の6面を構成する各壁部を、平面視における図示左方側を左側壁部10a、図示右方側を右側壁部10b、図示下方を前壁部10c、図示上方を後壁部10dと称し、側面視における図示左方を上壁部10e、図示右方を底壁部10fと称する。なお、図2では説明のために筐体10の壁部を一部省略した態様で示しており、平面視においては上壁部10eを省略し、側面視においては右側壁を省略し、正面視においては前壁部10cを省略している。また、図1では、筐体10の内部に配置されている部品については、本実施形態に関連した要部を示している。
【0018】
この筐体10は、前壁部10cに外部の装置と接続するためのコネクタ11や操作パネル12が設けられている。そのため、筐体10は、操作パネル12等をユーザが視認あるいは操作可能な向き、つまりは、前壁部10cがユーザ側から見た正面となる向きに設置されると考えられる。また、筐体10は、前壁部10cを正面とした場合に、設置状態において底壁部10fが下方となる横置き状態、あるいは、設置状態において左側壁部10aまたは右側壁部10bが設置面側となる縦置き状態で設置されると考えられる。なお、筐体10は、作業台等に載置するだけでなく、収納ラックなどにいわゆるラックマウント式で設置することもできる。
【0019】
この筐体10内には、本実施形態に関連して、例えばロボット2を制御する際の演算処理や制御信号の生成などを行うIPC13、および、IPC13を支持する支持部材などが配置されている。IPC13は、Industrial Personal Computerの略であり産業用PCとも称され、CPU、メモリ、入出力用の電気回路および電源回路などをケース内に収容した構成となっている。
【0020】
このIPC13には、図2に示すようにケースの表面にヒートシンク14が取り付けられており、吸気スリット15側に設けられたファン16を駆動することによって冷却される。なお、空気は排気スリット17から筐体10の外部に排気される。また、IPC13は、図示左方の端部にフランジ13aが設けられており、取り付け面に対して直接的に取り付け可能な構造となっている。
【0021】
これは、IPC13のような組み込み用の装置の場合、効率よく放熱するために筐体10を放熱器として利用することが想定されているためであると考えられる。つまり、このような構造のIPC13は、フランジ13aを筐体10に直接的に取り付けることにより省スペースかと放熱の効率化とを図ることが一般的であると考えられる。換言すると、一般的には、筐体10を利用して外部に排熱すること、つまりは、筐体10の内部を冷却することが重要視されると考えられる。
【0022】
また、IPC13は、フランジ13aの逆側に内部配線用の接続用コネクタ13bが設けられていることから、筐体10を大型化しなくても、また、いわゆる直角ケーブルのように内部配線に加工を施さなくてもよいように、広い配線用スペースを確保できる状態に配置されると考えられる。その場合、IPC13は、フランジ13aが左側壁部10aあるいは右側壁部10bに向いていて接続用コネクタ13bが筐体10の内部に向いた状態に配置されると一般的には考えられる。
【0023】
支持部材20は、金属材料により形成されており、正面視において左側壁部10aに沿って延びている平板状の第1面20aと、第1面20aの下端から底壁部10fに沿って延びている平板状の第2面20bとを有する概ねL字状に形成されている。そして、支持部材20は、第1面20aに例えばネジによってIPC13が取り付けられ、第1面20aとは異なる第2面20bにおいて筐体10に固定されている。換言すると、支持部材20は、発熱源であるIPC13を支持した状態において、発熱源と対向している左側壁部10aとは異なる他の底壁部10fで、筐体10に取り付けられている。
【0024】
そのため、支持部材20の第1面20aと左側壁部10aとの間、および、支持部材20の第2面20bと底壁部10fとの間には、それぞれ所定距離の空間が存在することになる。また、支持部材20は、正面視および側面視として示すように、第2面20bの複数個所において、固定部材21によって底壁部10fに固定されている。
【0025】
次に、上記した制御装置1の作用および効果について説明する。
制御装置1は、上記したように操作パネル12等をユーザが視認あるいは操作可能な状態に配置されると考えられる。その場合、横置き状態であれば、左側壁部10a、右側壁部10b、上壁部10eおよび前壁部10cが、筐体10を設置した状態においてユーザが触れることが一般的に想定される壁部になると考えられる。また、縦置き状態向であれば、左側壁部10aまたは右側壁部10bの一方、上壁部10e、底壁部10fおよび前壁部10cが、筐体10を設置した状態においてユーザが触れることが一般的に想定される壁部になると考えられる。また、配線スペースを考慮した場合には、上記したようにフランジ13aが左側壁部10aまたは右側壁部10bに向く状態で配置されると考えられる。
【0026】
しかし、図3に比較例として示すように、発熱源を筐体10に接触させた状態で直接的に取り付けると、発熱源に近い位置(P1)においては、IPC13からの熱が矢印F1にて示すように直接的な熱伝導によって筐体10まで伝わることになる。その結果、筐体10の表面温度がピンポイントで高くなる。
【0027】
そして、温度は基本的には目に見えないことから、発熱源からの熱によって高温になっている箇所にユーザが意図せずに触れてしまうおそれがある。つまり、従来のように筐体10を放熱器として利用して筐体10内の温度上昇を抑制することを重要視した構成の場合には、筐体10の内部を冷却することはできたとしても、安全性が損なわれるおそれがあるという新たな問題が発生する可能性がある。
【0028】
そこで、本実施形態の制御装置1は、筐体10の内部に発熱源を支持する支持部材20を配置している。このとき、支持部材20は、図3に実施例として示すように、筐体10への直接的な取り付けが可能な発熱源であるIPC13を、筐体10との間に空間が存在する状態で、筐体10から離間した位置に支持している。
【0029】
換言すると、制御装置1では、部品コストやIPC13のような発熱源を取り付ける手間が増加することを許容した上で、敢えて筐体10への取り付けが可能なIPC13を筐体10から離間した位置で支持することにより、また、支持部材20を設けることにより発熱源からの熱を筐体10の内部に放出することにより、発熱源に近い位置(P1)における筐体10の表面温度の上昇を抑制している。
【0030】
この場合、IPC13からの熱は直接的な熱伝導によって支持部材20に伝わるものの、発熱源に近い位置(P1)に対しては輻射によってのみ伝わることから、表面温度がピンポイントで高くなることが抑制される。また、IPC13からの熱は一部が支持部材20に伝わって広く拡散される。そのため、支持部材20の固定位置(P2、P3、P4)の表面温度がピンポイントに高くなることが抑制される。また、IPC13からの熱が支持部材20によって筐体10内に放出されたとしても、上記したようにファン16を駆動することによって筐体10の外部に排出することができる。
【0031】
このように、筐体10と、筐体10の内部に配置される発熱源と、筐体10の内部に配置され、発熱源を支持する支持部材20とを備え、支持部材20により発熱源を筐体10との間に空間が存在する状態で筐体10から離間した位置に支持するロボット2の制御装置1によれば、コストの増加を許容しつつ敢えて支持部材20を設けることにより、筐体10の表面温度がピンポイントに高くなることを抑制でき、不意にユーザが触れて火傷してしまったり熱さに驚いて手を離した際に付近の構造物にぶつけてしまったりするなどのおそれを低減でき、安全性を向上させることができる。
【0032】
また、制御装置1は、筐体10への取り付けが可能な形状に形成されている、または、筐体10への取り付けが可能な構造を有している発熱源、つまりは、筐体10を放熱器として利用可能な発熱源を、敢えて筐体10から離間した状態で支持している。これにより、安全性を向上させることができる。
【0033】
また、支持部材20は、発熱源を、筐体10を設置した状態においてユーザが触れることが想定される例えば左側壁部10aなどの壁部から離間した位置に支持する。これにより、ユーザが筐体10に触れた際に熱の影響を受けるおそれをさらに低減することができる。
【0034】
また、支持部材20は、発熱源を支持した状態において、発熱源と対向している例えば左側壁部10aとは異なる他の例えば底壁部10fで筐体10に取り付けられている。これにより、支持部材20と発熱源とが接触している位置から離れた位置で支持部材20が筐体10と接触することになり、その支持部材20によって熱を拡散することが可能となり、支持部材20の固定位置における安全性も確保することができる。また、発熱源の発熱が大きい場合に特に有意となる。また、支持部材20は、発熱源からの輻射が集中する部位つまりは発熱源に近い部位とは異なる位置で筐体10に取り付けることで、支持部材20から筐体10への伝熱を低減でき、筐体10の表面温度が高くなることを抑制できる。
【0035】
また、支持部材20は、発熱源を、複数の壁部のうち筐体10を設置した状態においてユーザが触れることが想定される壁部から離間した位置に支持するとともに、当該ユーザが触れることが想定される壁部とは異なる他の壁部で筐体10に取り付けられている。これにより、これにより、ユーザが筐体10に触れた際に熱の影響を受けるおそれをさらに低減することができるとともに、発熱量が大きい部品を配置する必要がある場合において、支持部材20を通して別の壁部に熱を逃がすことができ、安全性を向上させることができる。
【0036】
ところで、本実施形態の場合、支持部材20は、第1面20aおよび第2面20bが、IPC13を設置可能な大きさよりも大きく形成されている。具体的には、図2に示すように、支持部材20の第1面20aは概ね左側壁部10aの8割程度の面積で形成されており、第2面20bは概ね底壁部10fの4割程度の面積で形成されている。そのため、第1面20aにはIPC13を除いた範囲(R1)が存在し、第2面20bにはIPC13を除いた範囲(R2)が存在している。
【0037】
そして、第1面20aおよび第2面20bは平板状に形成されていることから、範囲(R1)および範囲(R2)で規定される立体的な空間は、他の部品を配置する配置スペースとして利用することができる。このとき、他の部品としては、発熱源よりも発熱量が少ない部品を少なくとも含んでいる。そして、IPC13や他の部品を支持部材20に配置することにより、支持部材20を利用して複数の部品をいわゆるモジュール化することが可能になる。このように、発熱源を支持するために必要な大きさよりも支持部材20を大きく形成し、発熱源を取り付けた状態において他の部品を取り付け可能にすることにより、制御装置1の組み立て作業や配線作業を効率化することができる。また、製造コスト全体で見た場合、支持部材20を設けることで部品コストが増加したとしても、作業コストが低減されることによりコストの増加を最小限に抑制することを期待できる。
【0038】
また、例えば図4に他の構成例その1として示すように、第2面20bを後壁部10dに沿って設け、後壁部10d側で筐体10に固定する支持部材20Aのような構成とすることができる。後壁部10dは、制御装置1を設置した状態においてユーザが触れる可能性が最も低いと考えられるため、安全性を向上させることができる。この場合、IPC13を取り付けた第1面20aの空いているスペースに複数の取付穴30を設けておくことで、他の部品を設置する設置スペースとして利用することもできる。
【0039】
また、図4に構成例その2として示すように、例えば第2面20bに開口31を設ける支持部材20Bのような構成とすることができる。これにより、例えばIPC13にヒートシンク14を付ける場合において、ヒートシンク14側にける空気の流れが阻害されることを抑制でき、筐体10の内部からの熱の排出を促すことができる。
【0040】
また、図4に構成例その3として示すように、第1面20aを柱状の枠部材32によって支持する支持部材20Cのような構成とすることができる。これにより、例えば底壁部10fに補強部材等の構造物があるような場合であっても支持部材20を配置することができる。すなわち、支持部材20を配置する際の自由度を高めることができる。
【0041】
また、図4に構成例その4として示すように、枠部材32のみで形成した支持部材20Dのように構成し、部品を取り付ける箇所にねじ穴33を設ける構成とすることができる。これにより、例えば空気の流れが阻害されることを抑制でき、効率的な冷却を行うことなどが可能になる。
【0042】
さて、ここまでは発熱源としてIPC13を想定した構成を例示したが、ケースを備えていないいわゆるCPUモジュールもIPC13と同様に支持部材20によって支持することができる。これにより、上記したように筐体10の表面温度がピンポイントに高くなることを抑制でき、安全性が損なわれるおそれを低減することができる。
【0043】
また、例えば図5に構成例その5として示すように、発熱源として電気部品34を想定することができる。このような電気部品34としては、例えばパワーMOSFET、IGBT、サイリスタ、整流ダイオード、トライアックなどの電力用半導体や大容量抵抗素子あるいは電源トランスなどのように、通電することにより発熱するものが想定される。例えば電力用半導体は、貫通孔34aが設けられた金属製の大きな端子が設けられ、筐体10に取り付け可能な形状に形成されていることがある。
【0044】
このような電気部品34の場合、比較例として示すように筐体10に取り付けると、発熱源に近い位置(P1)の表面温度がピンポイントに高くなることがある。これに対して、実施例として示すように例えばL字状の支持部材20Eを設けて電気部品34を筐体10の壁部から離間した位置に支持することにより、発熱源に近い位置(P1)の表面温度がピンポイントに高くなることを抑制することができる。なお、支持部材20Eは、個別に設けることもできるが、上記した支持部材20の配置スペースを利用して実現することもできる。
【0045】
また、例えば図5に構成例その6として示すように、発熱源としては電気部品34が実装された回路基板35を想定することができる。このような回路基板35は、例えば筐体10の壁部に対向する側となる裏面に別部品36が実装されていたり、スルーホールで裏面に端子が飛び出ていたりすることがある。そのため、回路基板35は、スペーサ37をかませることで筐体10に取り付け可能ではあるものの、直接的に筐体10に取り付けることは一般的ではないと考えられる。換言すると、回路基板35の場合には、取り付け用のスペーサ37を含めた状態が、筐体10に取り付け可能な状態に相当する。
【0046】
このような回路基板35の場合、比較例として示すように筐体10に直接的に取り付けると、発熱源に近い位置(P1)の表面温度がピンポイントに高くなることがある。これに対して、実施例として示すように例えばL字状の支持部材20Fを設けて回路基板35を筐体10の例えば底壁部10fから離間した位置に支持することにより、発熱源に近い位置(P1)の表面温度がピンポイントに高くなることを抑制することができる。なお、支持部材20Fは、個別に設けることもできるが、上記した支持部材20の例えば第2面20bの配置スペースを利用して実現することもできる。また、支持部材20Fを支えるための例えばゴム足38を設ける構成とすることができる。
【0047】
本発明は、上記した、あるいは、図面に記載した実施形態にのみ限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変形、拡張あるいは各実施形態の構成を組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0048】
図面中、1は制御装置、2はロボット、10は筐体、10aは左側壁部(壁部)、10bは右側壁部(壁部)、10cは前壁部(壁部)、10dは後壁部(壁部)、10eは上壁部(壁部)、10fは底壁部(壁部)、13はIPC(発熱源)、20、20A~20は支持部材、32は枠部材(支持部材)、34は電気部品(発熱源)、35は回路基板(発熱源)を示す。
図1
図2
図3
図4
図5