(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023066866
(43)【公開日】2023-05-16
(54)【発明の名称】冷凍装置および冷凍装置の運転方法
(51)【国際特許分類】
F25B 9/00 20060101AFI20230509BHJP
F25B 11/02 20060101ALI20230509BHJP
F25B 47/02 20060101ALI20230509BHJP
F25B 1/00 20060101ALI20230509BHJP
【FI】
F25B9/00 301
F25B9/00 J
F25B11/02 B
F25B47/02 520Z
F25B1/00 101D
F25B1/00 101G
F25B1/00 101J
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021177703
(22)【出願日】2021-10-29
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107641
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 耕一
(74)【代理人】
【識別番号】100168273
【弁理士】
【氏名又は名称】古田 昌稔
(72)【発明者】
【氏名】倉本 哲英
(72)【発明者】
【氏名】本間 雅也
(72)【発明者】
【氏名】田口 英俊
(72)【発明者】
【氏名】引地 巧
(57)【要約】
【課題】空気を冷媒として用いた冷凍装置においてエネルギー効率の高い除霜運転を可能にする技術を提供する。
【解決手段】冷凍装置100は、圧縮機1、第1熱交換器2、高圧部31、膨張機4、第1接続部51、第2接続部52、および低圧部32を有し、冷媒がこれらの要素をこの順番で流れるように構成され、高圧部31を流れる冷媒と低圧部32を流れる冷媒とを熱交換させる第2熱交換器3が設けられた主回路10と、第1接続部51および第2接続部52に接続されるべき冷凍庫5を迂回する第1バイパス経路6と、を備える。冷媒は、空気である。冷凍装置100では、除霜運転時に、第1熱交換器2における冷媒の冷却熱量を減少させ、かつ、冷媒を第1バイパス経路6に流す。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機、第1熱交換器、高圧部、膨張機、第1接続部、第2接続部、および低圧部を有し、冷媒がこれらの要素をこの順番で流れるように構成され、前記高圧部を流れる前記冷媒と前記低圧部を流れる前記冷媒とを熱交換させる第2熱交換器が設けられた主回路と、
前記第1接続部および前記第2接続部に接続されるべき冷凍庫を迂回する第1バイパス経路と、
を備え、
前記冷媒は、空気であり、
除霜運転時に、前記第1熱交換器における前記冷媒の冷却熱量を減少させ、かつ、前記冷媒を前記第1バイパス経路に流す、
冷凍装置。
【請求項2】
前記第1熱交換器を迂回する第2バイパス経路をさらに備え、
前記除霜運転時に、前記第2バイパス経路に前記冷媒を流すことによって前記第1熱交換器における前記冷媒の冷却熱量を減少させる、
請求項1に記載の冷凍装置。
【請求項3】
前記第1熱交換器は、前記冷媒が流れる冷媒経路、および前記冷媒を冷却するための冷却用媒体が流れる熱媒体経路を有し、
前記除霜運転時に、前記熱媒体経路を流れる前記冷却用媒体の温度を上昇させること、
および前記冷却用媒体の流量を減少させること、からなる群から選択される少なくとも1つを実施することによって前記第1熱交換器における前記冷媒の冷却熱量を減少させる、
請求項1に記載の冷凍装置。
【請求項4】
前記第2熱交換器の前記低圧部における入口圧力と出口圧力との差が開始圧力差を上回った場合、前記圧縮機の吸入圧力が開始圧力を下回った場合、および前記圧縮機の吸入温度が開始温度を下回った場合、からなる群より選択される少なくとも1つの条件が満たされたときに前記除霜運転が行われる、
請求項1から3のいずれか一項に記載の冷凍装置。
【請求項5】
前記除霜運転時に、前記圧縮機の吐出温度が目標温度に収斂する、および前記圧縮機の吐出圧力が目標圧力に収斂する、からなる群から選択される少なくとも1つを満たすように、前記除霜運転時に、前記第1熱交換器における前記冷媒の冷却熱量を調節する、
請求項1から4のいずれか一項に記載の冷凍装置。
【請求項6】
前記第2熱交換器の前記低圧部の入口圧力と出口圧力との差が終了圧力差を下回った場合、前記圧縮機の吸入圧力が終了圧力を上回った場合、および前記圧縮機の吸入温度が終了温度を上回った場合、からなる群より選択される少なくとも1つの条件が満たされたときに前記除霜運転が終了する、
請求項1から5のいずれか一項に記載の冷凍装置。
【請求項7】
前記除霜運転の終了と冷却運転の開始との間に、前記第1バイパス経路に前記冷媒を流しながら前記第1熱交換器における前記冷媒の冷却熱量を増加させる予備冷却運転を行う、
請求項6に記載の冷凍装置。
【請求項8】
前記主回路における前記第2接続部よりも下流側かつ前記低圧部よりも上流側に設けられ、前記冷媒に含まれる水分および氷を除去する分離器をさらに備えた、
請求項1から7のいずれか一項に記載の冷凍装置。
【請求項9】
前記主回路における前記低圧部よりも下流側かつ前記圧縮機よりも上流側に設けられ、前記冷媒に含まれる水分および氷を除去する分離器をさらに備えた、
請求項1から8のいずれか一項に記載の冷凍装置。
【請求項10】
前記主回路における前記膨張機よりも下流側かつ前記第1接続部よりも上流側に設けられ、前記冷媒に含まれる水分および氷を除去する分離器をさらに備えた、
請求項1から9のいずれか一項に記載の冷凍装置。
【請求項11】
圧縮機、第1熱交換器、高圧部、膨張機、第1接続部、第2接続部、および低圧部を有し、冷媒がこれらの要素をこの順番で流れるように構成され、前記高圧部を流れる前記冷媒と前記低圧部を流れる前記冷媒とを熱交換させる第2熱交換器が設けられた主回路と、
前記第1接続部および前記第2接続部に接続されるべき冷凍庫を迂回する第1バイパス経路と、
前記第1熱交換器を迂回する第2バイパス経路と、
を備え、
前記冷媒は、空気である、
冷凍装置。
【請求項12】
前記第2バイパス経路に配置されたバイパス弁をさらに備えた、
請求項2または11に記載の冷凍装置。
【請求項13】
冷凍装置の運転方法であって、
前記冷凍装置は、
圧縮機、第1熱交換器、高圧部、膨張機、第1接続部、第2接続部、および低圧部を有し、冷媒がこれらの要素をこの順番で流れるように構成され、前記高圧部を流れる前記冷媒と前記低圧部を流れる前記冷媒とを熱交換させる第2熱交換器が設けられた主回路と、
前記第1接続部および前記第2接続部に接続されるべき冷凍庫を迂回する第1バイパス経路と、
を備え、
前記冷媒は、空気であり、
前記運転方法は、除霜運転時に、
前記第1熱交換器における前記冷媒の冷却熱量を減少させることと、
前記冷媒を前記第1バイパス経路に流すことと、
を含む、
冷凍装置の運転方法。
【請求項14】
前記冷凍装置は、前記第1熱交換器を迂回する第2バイパス経路をさらに備え、
前記除霜運転時に、前記第2バイパス経路に前記冷媒を流すことによって前記第1熱交換器における前記冷媒の冷却熱量を減少させる、
請求項13に記載の冷凍装置の運転方法。
【請求項15】
前記冷凍装置において、前記第1熱交換器は、前記冷媒が流れる冷媒経路、および前記冷媒を冷却するための冷却用媒体が流れる熱媒体経路を有し、
前記除霜運転時に、前記熱媒体経路を流れる前記冷却用媒体の温度を上昇させること、
および前記冷却用媒体の流量を減少させること、からなる群から選択される少なくとも1つを実施することによって前記第1熱交換器における前記冷媒の冷却熱量を減少させる、
請求項13に記載の冷凍装置の運転方法 。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、冷凍装置および冷凍装置の運転方法に関する。
【背景技術】
【0002】
空気を冷媒として用いた冷凍装置に関する種々の検討がなされている。空気を冷媒として用いた冷凍装置では、膨張機で膨張した低温空気が冷凍庫の内部に供給される。
【0003】
特許文献1は、空気を冷媒として冷凍サイクルを形成する空気冷媒式冷凍装置を開示している。特許文献1の冷凍装置では、圧縮機および冷熱回収用熱交換器を経た空気を、膨張機および冷凍庫を迂回して冷熱回収用熱交換器の冷凍庫からの回収空気側に流すバイパス路が設けられている。バイパス路を経て装置内の空気を循環させるデフロスト運転により、冷熱回収熱交換器の内部に付着した雪および氷を溶かして排出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008-298322号公報
【特許文献2】特開昭58-124165号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、空気を冷媒として用いた冷凍装置においてエネルギー効率の高い除霜運転を可能にする技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示における冷凍装置は、
圧縮機、第1熱交換器、高圧部、膨張機、第1接続部、第2接続部、および低圧部を有し、冷媒がこれらの要素をこの順番で流れるように構成され、前記高圧部を流れる前記冷媒と前記低圧部を流れる前記冷媒とを熱交換させる第2熱交換器が設けられた主回路と、
前記第1接続部および前記第2接続部に接続されるべき冷凍庫を迂回する第1バイパス経路と、
を備え、
前記冷媒は、空気であり、
除霜運転時に、前記第1熱交換器における前記冷媒の冷却熱量を減少させ、かつ、前記冷媒を前記第1バイパス経路に流す。
【0007】
別の側面において、
本開示における冷凍装置は、
圧縮機、第1熱交換器、高圧部、膨張機、第1接続部、第2接続部、および低圧部を有し、冷媒がこれらの要素をこの順番で流れるように構成され、前記高圧部を流れる前記冷媒と前記低圧部を流れる前記冷媒とを熱交換させる第2熱交換器が設けられた主回路と、
前記第1接続部および前記第2接続部に接続されるべき冷凍庫を迂回する第1バイパス経路と、
前記第1熱交換器を迂回する第2バイパス経路と、
を備え、
前記冷媒は、空気である。
【0008】
また、本開示における冷凍装置の運転方法は、
冷凍装置の運転方法であって、
前記冷凍装置は、
圧縮機、第1熱交換器、高圧部、膨張機、第1接続部、第2接続部、および低圧部を有し、冷媒がこれらの要素をこの順番で流れるように構成され、前記高圧部を流れる前記冷媒と前記低圧部を流れる前記冷媒とを熱交換させる第2熱交換器が設けられた主回路と、
前記第1接続部および前記第2接続部に接続されるべき冷凍庫を迂回する第1バイパス経路と、
を備え、
前記冷媒は、空気であり、
前記運転方法は、除霜運転時に、
前記第1熱交換器における前記冷媒の冷却熱量を減少させることと、
前記冷媒を前記第1バイパス経路に流すことと、
を含む。
【発明の効果】
【0009】
本開示に係る技術は、空気を冷媒として用いた冷凍装置においてエネルギー効率の高い除霜運転を可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図3】実施の形態1における冷凍装置の冷却運転時の冷媒の状態を示すモリエル線図
【
図4】実施の形態1における冷凍装置の冷却運転中に着霜が進行したときの冷媒の状態を示すモリエル線図
【
図5】実施の形態1における冷凍装置の除霜運転での制御を示すフローチャート
【
図6】実施の形態1における冷凍装置の動作を示すタイミングチャート
【
図8】実施の形態2における冷凍装置の除霜運転での制御を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0011】
(本開示の基礎となった知見等)
発明者らが本開示に想到するに至った当時、空気を冷媒として用いた冷凍装置の基本構成は知られていた(例えば、特許文献2)。また、冷凍サイクルの内部に蓄積した氷または霜を除去する除霜運転に関しては、膨張機および冷凍庫を迂回させるバイパス路を用いた技術などが報告されている(例えば、特許文献1)。
【0012】
一方、本発明者らは、空気を冷媒として用いた冷凍装置において、圧縮機から吐出された冷媒を冷却する際に発生する熱量を利用して除霜を行うことにより、除霜運転のエネルギー効率の向上を図るという着想を得た。従来、圧縮機から吐出された冷媒を冷却する際に発生する熱量は、外部に捨てられていた。
【0013】
このような着想を実現するために、本発明者らは本開示の主題を構成するに至った。
【0014】
そこで、本開示は、空気を冷媒として用いた冷凍装置においてエネルギー効率の高い除霜運転が可能な技術を提供する。
【0015】
以下、図面を参照しながら、実施の形態を詳細に説明する。ただし、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細な説明、または、実質的に同一の構成に対する重複する説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が必要以上に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0016】
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図していない。
【0017】
(実施の形態1)
以下、
図1および
図2を用いて、実施の形態1を説明する。
【0018】
[1-1.構成]
図1は、実施の形態1における冷凍装置100の構成図である。冷凍装置100は、主回路10、および第1バイパス経路6を備えている。主回路10には冷媒が流れる。冷媒は空気である。以後、冷媒のことを単に空気と称することがある。
【0019】
主回路10は、圧縮機1、第1熱交換器2、高圧部31、膨張機4、第1接続部51、第2接続部52、および低圧部32を有する。主回路10は、冷媒としての空気がこれらの要素をこの順番で流れるように構成されている。主回路10には、高圧部31を流れる空気と低圧部32を流れる空気とを熱交換させる第2熱交換器3が設けられている。
【0020】
第1バイパス経路6は、第1接続部51および第2接続部52に接続されるべき冷凍庫5を迂回する流路である。
【0021】
冷凍装置100では、除霜運転時に、第1熱交換器2における空気の冷却熱量を減少させ、かつ、空気を第1バイパス経路6に流す。これにより、主回路10を流れる空気の温度が上昇するので、除霜運転を効率的に行うことができる。
【0022】
主回路10において、圧縮機1、第1熱交換器2、高圧部31、膨張機4、冷凍庫5、および低圧部32は、配管によって環状にこの順番で接続されている。本実施の形態において、冷凍装置100は、空気が閉鎖された回路を流れる、いわゆるクローズドサイクルではなく、空気が開放された回路を流れる、いわゆるオープンサイクルを採用している。そのため、主回路10には、冷凍庫5の扉を介して外部の空気が出入りする。
【0023】
以下、冷凍装置100の各構成要素について説明する。
【0024】
本実施の形態において、圧縮機1および膨張機4は、共通の回転軸40で接続され、膨張機4で得られる動力を圧縮機1の動力補助に利用する膨張機一体型圧縮機である。
【0025】
圧縮機1は、空気を搬送する役割を担う。圧縮機1は、空気を圧縮して高温高圧の空気を生成する。圧縮機1は、遠心圧縮機などの速度型圧縮機である。
【0026】
第1熱交換器2は、空気経路21および熱媒体経路22を有する。空気経路21は、主回路10に含まれた部分であって、高温高圧の空気が流れる部分である。熱媒体経路22は、空気を冷却するための冷却用媒体が流れる部分である。第1熱交換器2は、圧縮機1から吐出された高温高圧の空気を冷却する。第1熱交換器2において、空気経路21を流れる空気と熱媒体経路22を流れる冷却用媒体とが熱交換することによって空気が冷却される。冷却用媒体は、水、ブライン、オイルなどの液体であり、典型的には水である。第1熱交換器2は、例えば、フィンチューブ式熱交換器などの気体-液体熱交換器である。第1熱交換器2は、プレート式熱交換器などの気体-液体熱交換器であってもよい。
【0027】
第2熱交換器3は、第1熱交換器2から排出された空気と、冷凍庫5から排出された空気とを熱交換させる。第2熱交換器3の高圧部31に第1熱交換器2の空気経路21から排出された空気が流れる。第2熱交換器3の低圧部32に冷凍庫5から排出された空気が流れる。これにより、第1熱交換器2の空気経路21から排出された空気は冷却され、冷凍庫5から排出された空気は加熱される。第2熱交換器3は、高圧の空気と低圧の空気とを熱交換させる気体-気体熱交換器である。第2熱交換器3は、典型的には、プレート式熱交換器である。
【0028】
膨張機4は、高圧の空気を膨張させて低温低圧の空気を生成する。本実施の形態では、膨張機4は、膨張タービンである。膨張機4は、典型的には、ラジアルタービンである。圧縮機1の型式が膨張機4の型式と同一である場合、共通の回転軸40による動力回収の構造を採用しやすい。
【0029】
膨張機4から吐出された低温低圧の空気は、冷凍庫5に供給される。膨張機4から低温低圧の空気が吐出されるとき、冷凍庫5の内部における空気の圧力は、おおよそ大気圧である。冷凍庫5の内部における空気の温度は、例えば、-40℃から-60℃である。冷凍庫5の壁面には、外部から内部への熱の侵入を抑制するための断熱材が設置されている。冷凍庫5から排出された空気は、低圧部32を経由して圧縮機1へと戻される。
【0030】
第1バイパス経路6は、主回路10における膨張機4の吐出口よりも下流側かつ第1接続部51よりも上流側の部分10eと、主回路10における第2接続部52よりも下流側かつ低圧部32の入口よりも上流側の部分10dとを接続している。
【0031】
冷凍装置100は、空気を冷凍庫5に流す第1運転モードと、空気を第1バイパス経路6に流す第2運転モードとを相互に切り替える少なくとも1つの弁を備えている。第1運転モードは、冷凍庫5に低温の空気を供給する冷却運転の運転モードである。第2運転モードは、第1バイパス経路6に空気を供給する除霜運転の運転モードである。少なくとも1つの弁は、三方弁であってもよく、二方弁であってもよい。なお、第2運転モードには、後述する予備冷却運転も含まれる。
【0032】
本実施の形態において、主回路10と第1バイパス経路6との分岐位置には、三方弁61が設けられている。主回路10と第1バイパス経路6との合流位置には、三方弁62が設けられている。三方弁61および三方弁62により、第1運転モードと第2運転モードとを切り替えることができる。
【0033】
図2は、変形例における冷凍装置101の構成図である。変形例において、上記分岐位置と第1接続部51との間には、二方弁63が設けられている。上記合流位置と第2接続部52との間には、二方弁64が設けられている。第1バイパス経路6には、二方弁65が設けられている。このように、少なくとも1つの弁は、2つの三方弁61および62に代えて、複数(例えば、3つ)の二方弁を含んでいてもよい。三方弁よりも構造がシンプルな二方弁を使用した場合には、低コスト化を図ることができる。三方弁と1または複数の二方弁との組み合わせが使用されてもよい。
【0034】
本実施の形態において、冷凍装置100は、第2バイパス経路7を備えている。第2バイパス経路7は、第1熱交換器2を迂回する流路である。第2バイパス経路7は、主回路10における圧縮機1の吐出口よりも下流側かつ第1熱交換器2の入口よりも上流側の部分10aと、主回路10における第1熱交換器2の出口よりも下流側かつ第2熱交換器3の高圧部31の入口よりも上流側の部分10bとを接続している。
【0035】
冷凍装置100は、除霜運転時に、第2バイパス経路7に空気を流すことによって第1熱交換器2における空気の冷却熱量を減少させる。すなわち、第2バイパス経路7は、第1熱交換器2における空気の冷却熱量を減少させる手段の一例である。圧縮機1から吐出される空気の流量が一定であると仮定したとき、第2バイパス経路7を流れる空気の割合が増えれば増えるほど空気の冷却熱量は減少する。第2バイパス経路7を流れる空気の割合を減らすと空気の冷却熱量が増加する。本開示において、「第1熱交換器2における空気の冷却熱量」とは、第1熱交換器2における単位時間あたりの熱交換量を意味する。具体的には、「空気の冷却熱量」は、冷却前の空気の温度と冷却後の空気の温度との差に、単位時間あたりの空気の流量と空気の比熱とを乗じることによって算出される熱量を意味する。冷却前の空気の温度をTbefore(℃)と定義し、冷却後の空気の温度をTafter(℃)と定義し、空気の流量をF(L/min)と定義する。第1熱交換器2における空気の冷却熱量H(kW)は、(Tbefore-Tafter)×F×1/60(min/s)×C(kJ/kg・℃)で算出される。Cは空気の比熱を示す。
【0036】
第2バイパス経路7には、バイパス弁71が配置されている。バイパス弁71は、開閉弁であってもよく、流量調節弁であってもよい。バイパス弁71が流量調節弁であると、開度を0%から100%の間の任意の開度に設定できるので、第2バイパス経路7を流れる空気の流量を容易に調節することができる。言い換えると、第2バイパス経路7を流れる空気の流量と、空気経路21を流れる空気の流量との比率を調節することができる。このようにして、空気経路21を流れる空気の流量を調節することで、第1熱交換器2における空気の冷却熱量を調節することができる。
【0037】
本実施の形態において、冷凍装置100は、圧力センサ11aおよび圧力センサ12aをさらに備えている。圧力センサ11aは、第2熱交換器3の低圧部32の入口圧力P11を検出する。圧力センサ12aは、圧縮機1の吸入圧力P12を検出する。圧力センサ11aおよび圧力センサ12aによって、低圧部32における入口圧力と出口圧力との差PDを検出できる。
【0038】
冷凍装置100は、温度センサ12bをさらに備えている。温度センサ12bは、圧縮機1の吸入温度T12を検出する。
【0039】
低圧部32の入口圧力P11とは、主回路10における第2接続部52よりも下流側かつ低圧部32の入口よりも上流側の部分10dにおける圧力を含む概念である。第2接続部52から低圧部32の入口までの配管長さが比較的短い範囲においては、空気の圧力は一定とみなすことができるからである。圧縮機1の吸入圧力P12とは、主回路10における低圧部32の出口よりも下流側かつ圧縮機1の吸入口よりも上流側の部分10cにおける圧力を含む概念である。圧縮機1の吸入温度T12とは、部分10cにおける温度を含む概念である。主回路10において、低圧部32の出口から圧縮機1の吸入口までの配管長さが比較的短い範囲においては、空気の圧力および温度は一定とみなすことができるからである。
【0040】
圧力センサ11aは、低圧部32の入口に設けられていてもよい。圧力センサ11aは、低圧部32の入口付近に設けられていてもよい。圧力センサ12aおよび温度センサ12bは、低圧部32の出口または圧縮機1の吸入口に設けられていてもよい。圧力センサ12aおよび温度センサ12bは、低圧部32の出口付近に設けられていてもよい。圧力センサ12aおよび温度センサ12bは、圧縮機1の吸入口付近に設けられていてもよい。圧力センサ12aと温度センサ12bとが、別の箇所に設けられていてもよい。
【0041】
本実施の形態において、冷凍装置100は、圧力センサ13aをさらに備えている。圧力センサ13aは、圧縮機1の吐出圧力P13を検出する。
【0042】
冷凍装置100は、温度センサ13bをさらに備えている。温度センサ13bは、圧縮機1の吐出温度T13を検出する。
【0043】
圧縮機1の吐出圧力P13とは、主回路10における圧縮機1よりも下流側かつ第1熱交換器2よりも上流側の部分10aにおける圧力を含む概念である。圧縮機1の吐出温度T13とは、部分10aにおける温度を含む概念である。主回路10において、圧縮機1の吐出口から第1熱交換器2の入口までの配管長さが比較的短い範囲においては、空気の圧力および温度は一定とみなすことができるからである。
【0044】
圧力センサ13aおよび温度センサ13bは、圧縮機1の吐出口または第1熱交換器2の入口に設けられていてもよい。圧力センサ13aおよび温度センサ13bは、圧縮機1の吐出口付近に設けられていてもよい。圧力センサ13aおよび温度センサ13bは、第1熱交換器2の入口付近に設けられていてもよい。圧力センサ13aと温度センサ13bとが、別の箇所に設けられていてもよい。
【0045】
本実施の形態において、冷凍装置100は、温度センサ14bをさらに備えている。温度センサ14bは、膨張機4の吐出温度T14を検出する。
【0046】
膨張機4の吐出温度T14とは、主回路10における膨張機4の吐出口よりも下流側かつ第1接続部51よりも上流側の部分10eにおける温度を含む概念である。主回路10において、膨張機4の吐出口から第1接続部51までの配管長さが比較的短い範囲においては、空気の温度は一定とみなすことができるからである。
【0047】
温度センサ14bは、膨張機4の吐出口または第1接続部51に設けられていてもよい。センサ14は、膨張機4の吐出口付近に設けられていてもよい。センサ14は、第1接続部51付近に設けられていてもよい。
【0048】
後述する除霜運転の開始条件の成否および終了条件の成否を判断するために、低圧部32における入口圧力と出口圧力との差PD、圧縮機1の吸入圧力P12、および圧縮機1の吸入温度T12からなる群より選択される少なくとも1つを使用することができる。
【0049】
後述する予備冷却運転の終了条件の成否を判断するために、膨張機4の吐出温度T14を使用することができる。
【0050】
本実施の形態において、冷凍装置100は、制御器8をさらに備えている。制御器8は、圧力センサ11a、圧力センサ12a、温度センサ12b、圧力センサ13a、温度センサ13b、および温度センサ14bから取得した信号に基づき、圧縮機1、膨張機4、三方弁61、三方弁62、およびバイパス弁71などの冷凍装置100の要素を制御する。また、制御器8は、後述する除霜運転の開始、除霜運転の終了、予備冷却運転の開始、および予備冷却運転の終了などの冷凍装置100の運転の制御を行う。
【0051】
[1-2.動作]
以上のように構成された冷凍装置100の動作について、さらに
図3から
図6を参照しながら説明する。
【0052】
まず、実施の形態1における冷凍装置100の冷却運転時の空気の状態について、
図3および
図4を参照しながら説明する。
【0053】
図3は、冷凍装置100の冷却運転時の空気の状態を示すモリエル線図である。本実施の形態において、「冷却運転時」とは、回路内に霜が発生していない、または霜が発生していてもその量が無視できる程度に少ない状態を意味する。冷却運転時、冷凍装置100における空気の状態は、
図3に示すモリエル線図に沿って変化する。
【0054】
図3において、横軸は比エンタルピ(単位質量あたりのエンタルピ)を示し、縦軸は圧力を示す。矢印CMPは、圧縮機1の圧縮による昇圧を表す。矢印ICは、第1熱交換器2における、熱媒体経路22を流れる冷却用媒体と空気経路21を流れる空気との熱交換による冷却を表す。矢印RE-Hは、第2熱交換器3における、高圧部31と低圧部32との熱交換による冷却を表す。矢印EXPは、膨張機4の膨張による降圧を表す。矢印FRZは、冷凍庫5における冷却負荷による加熱を表す。冷凍庫5の冷却負荷とは、冷凍庫5の内部に保存されている食品等の物品を冷却する際に発生する熱量、冷凍庫5の壁面を通じて外部から内部に侵入する熱量、および冷凍庫5の扉の開閉に伴い外部から内部に侵入する空気の熱量を含む。矢印RE-Lは、第2熱交換器3において、低圧部32と高圧部31との熱交換による加熱を表す。これらの矢印が表す作用によって、空気の状態は、状態(1)、状態(2)、状態(3)、状態(4)、状態(5)、状態(6)の順番に変化する。
【0055】
状態(1)は、部分10cおける低圧高温の空気の状態を示す。
【0056】
状態(2)は、部分10aにおける、圧縮機1で圧縮された高圧高温の空気の状態を示す。状態(2)の空気は、状態(1)の空気の比エンタルピよりも大きい比エンタルピを有する。
【0057】
状態(3)は、部分10bにおける、第1熱交換器2で冷却された高圧中温の空気の状態を示す。状態(3)の空気は、状態(2)の空気の比エンタルピよりも小さい比エンタルピを有する。
【0058】
状態(4)は、主回路10における高圧部31よりも下流側かつ膨張機4よりも上流側の部分10fにおける、高圧部31において低圧部32との熱交換により冷却された高圧低温の空気の状態を示す。状態(4)の空気は、状態(3)の空気の比エンタルピよりも小さい比エンタルピを有する。
【0059】
状態(2)から状態(4)に至るまでの間において、実際には、第1熱交換器2の空気経路21、高圧部31、および接続配管の圧力損失により空気の圧力は徐々に低下していく。しかし、本実施の形態では、説明の簡略化のために、上記区間における圧力損失は無視できる程度に小さいものとして扱う。そのため、
図3のモリエル線図において上記区間は水平で示される。
【0060】
状態(5)は、部分10eにおける、膨張機4で膨張された低圧低温の空気の状態を示す。状態(5)において、空気の温度および比エンタルピが最小となる。
【0061】
状態(6)は、冷凍庫5の冷却負荷によって加熱された低圧中温の空気の状態を示す。状態(6)の空気は、状態(5)の空気に比べて比エンタルピが大きい。上述の通り、冷凍装置100はオープンサイクルを採用しているため、冷凍庫5の内部における空気の圧力はおおよそ大気圧となる。
【0062】
低圧中温の状態(6)の空気は、低圧部32において高圧部31との熱交換により加熱されて低圧高温の状態(1)の空気となり、圧縮機1に戻る。状態(1)の空気は、状態(6)の空気の比エンタルピよりも大きい比エンタルピを有する。
【0063】
状態(5)から状態(1)に至るまでの間においても、実際には、冷凍庫5、低圧部32、および接続配管の圧力損失により空気の圧力は徐々に低下していく。しかし、本実施の形態では、説明の簡略化のために、上記区間における圧力損失は無視できる程度に小さいものとして扱う。そのため、
図3のモリエル線図において上記区間は水平で示される。
【0064】
通常、空気を冷媒として用いた冷凍装置では、低温部において空気の温度がマイナス領域となるため、低温部において空気中の水分が氷または霜として凍結し、蓄積する。これらの氷または霜を放置すると、配管および熱交換器の内部に氷または霜として付着して配管内部の流路断面積を減少させるため、圧力損失が増大する。配管および熱交換器の圧力損失が増大すると、冷凍装置の冷却性能の低下を招くため、蓄積した氷または霜を除去する除霜運転が必要となる。
【0065】
図4は、冷凍装置100の冷却運転中に着霜が進行したとき、すなわち、除霜運転が必要なときの空気の状態を示すモリエル線図である。
図4には、比較のために
図3の冷却運転時のモリエル線図を破線で重ねて示している。なお、
図4では、着霜の進行によるモリエル線図の変化の理解を容易にするため、実線と破線の違いを強調して記載している。そのため、
図4は必ずしも実際の変化を記載しているものではないことを注記する。
【0066】
冷凍装置100の内部に蓄積した氷または霜は、冷凍庫5の内部に保存されている食品等の物品から発生した水分、および冷凍庫5の扉の開閉に伴い外部から内部に侵入した空気中の水分に起因している。すなわち、冷凍庫5の内部で発生した水分は、冷凍庫5の内部の低温の空気によって冷却され、氷または霜に変化して空気中に混入した状態で冷凍庫5から吐出され、低圧部32を通って圧縮機1へと移動する。このような氷または霜は、移動途中の配管の内壁面および/または低圧部32の内壁面に堆積し、時間とともに着霜が進行する。冷凍庫5から圧縮機1の吸入口までの間で氷または霜として堆積しなかった水分の一部は、膨張機4の吐出口から冷凍庫5までの間の空気の温度が一番低下する部分で、氷または霜として空気中に析出する。または、配管の内壁面に着霜して蓄積する。
【0067】
このように、冷凍装置100の低温部において着霜が進行すると、
図4に示すように、モリエル線図は点線から実線へとその形状が変化する。
【0068】
冷凍庫5から低圧部32までの部分10dで着霜が進行すると、部分10dにおける配管の内部および低圧部32の内部の流路断面積が減少する。これにより、空気の圧力損失が増大し、モリエル線図は状態(1)から状態(11)へと変化する。
【0069】
状態(11)では、圧縮機1の吸入圧力が低下している。圧縮機1の吸入圧力が低下すると空気の比体積が大きくなる。そのため、運転回転数が同一の条件下では空気の流量が低下するとともに、状態(21)に示されるように、圧縮機1から吐出される空気の圧力および温度が低下する。
【0070】
図4の実線で示されるモリエル線図の状態では、破線で示されるモリエル線図の状態に対して冷凍装置100の冷却性能およびエネルギー効率が低下している。したがって、冷凍装置100の低温部に蓄積した氷または霜を除去する除霜運転を行い、
図4の破線で示されるモリエル線図に復帰させて、冷凍装置100の冷却性能およびエネルギー効率の低下を抑制することが必要となる。
【0071】
次に、
図1に示した構成を有する冷凍装置100を例に、冷凍装置100の運転の制御について、
図5を参照しながら詳説する。
図5は、冷凍装置100の除霜運転での制御を示すフローチャートである。以下の説明では、冷却運転の制御と除霜運転の制御を中心に説明し、起動の制御および停止の制御については詳細を割愛する。
【0072】
ステップS1において、冷凍装置100は冷却運転を行っている。すなわち、バイパス弁71は閉鎖し、かつ、冷凍庫5に空気が流れている。
【0073】
ステップS2において、除霜運転を開始するかどうか判断する。具体的には、圧力差PD、圧力P12、および温度T12からなる群から選択される少なくとも1つを検出する。そして、圧力差PDが開始圧力差PDsを上回った場合、圧力P12が開始圧力Psを下回った場合、および温度T12が開始温度Tsを下回った場合、からなる群から選択される少なくとも1つの条件が満たされているかどうか判断する。上記少なくとも1つの条件が満たされた場合、除霜運転が行われる。
【0074】
除霜運転を開始しない場合、ステップS1に戻り、冷却運転を継続する。
【0075】
ステップS3において、第1熱交換器2における空気の冷却熱量を減少させる。具体的には、バイパス弁71を開放する。バイパス弁71が開放されると、空気経路21に空気が流れるとともに、第2バイパス経路7にも空気が流れる。これにより、空気経路21を流れる空気の流量が減少するので、第1熱交換器2における空気の冷却熱量が減少する。したがって、比較的高温の空気が高圧部31、膨張機4、第1バイパス経路6、および低圧部32を流れるので、この区間に堆積した氷または霜を融解させることができる。
【0076】
ステップS4において、第1バイパス経路6に空気を流す。三方弁61および三方弁62を切り替えることにより、第1バイパス経路6に空気を流すことができる。冷凍庫5を迂回する第1バイパス経路6に空気を流すことで、比較的高温の空気が冷凍庫5の内部に供給されるのを防ぐことができる。これにより、冷凍庫5の内部の温度上昇を防ぐことができる。ステップS4の処理をステップS3の処理の前に行ってもよい。
【0077】
ステップS3では、バイパス弁71の開度に応じて、空気経路21を流れる空気の流量と第2バイパス経路7を流れる空気の流量とが調節される。バイパス弁71が全開状態である場合を開度100%と定義し、バイパス弁71が全閉状態である場合を開度0%と定義する。本実施の形態において、「バイパス弁71が開放」とは、バイパス弁71の開度が、例えば、10%から100%の範囲にあることを意味する。
【0078】
一具体例では、開始圧力差PDsは、0.01MPaである。ただし、開始圧力差PDsは特に限定されない。開始圧力差PDsは、第2熱交換器3のサイズに応じて設定されてもよい。
【0079】
一具体例では、開始圧力Psは、0.08MPa・absである。ただし、開始圧力Psは特に限定されない。開始圧力Psは、圧力センサ12aの位置に応じて設定されてもよい。
【0080】
一具体例では、開始温度Tsは、0℃である。ただし、開始温度Tsは特に限定されない。開始温度Tsは、温度センサ12bの位置に応じて設定されてもよい。
【0081】
ステップS5において、バイパス弁71の開度を調節する。具体的には、圧縮機1の吐出温度T13が目標温度Ttに収斂する、および圧縮機1の吐出圧力P13が目標圧力Ptに収斂する、からなる群から選択される少なくとも1つを満たすように、第1熱交換器2における空気の冷却熱量を調節する。より具体的には、フィードバック制御またはフィードフォワード制御により、バイパス弁71の開度を調節する。例えば、圧縮機1の吐出温度T13が目標温度Ttよりも高い場合、バイパス弁71の開度を減少させる。すると、空気経路21を流れる空気の流量が増加し、第2バイパス経路7を流れる空気の流量が減少する。これにより、吐出温度T13が低下する。同様に、圧縮機1の吐出圧力P13が目標圧力Ptよりも高い場合、バイパス弁71の開度を減少させる。すると、空気経路21を流れる空気の流量が増加し、第2バイパス経路7を流れる空気の流量が減少する。これにより、吐出圧力P13が低下する。また、逆に、圧縮機1の吐出温度T13が目標温度Ttよりも低い場合、バイパス弁71の開度を増加させる。すると、空気経路21を流れる空気の流量が減少し、第2バイパス経路7を流れる空気の流量が増加する。これにより、吐出温度T13が上昇する。同様に、圧縮機1の吐出圧力P13が目標圧力Ptよりも低い場合、バイパス弁71の開度を増加させる。すると、空気経路21を流れる空気の流量が減少し、第2バイパス経路7を流れる空気の流量が増加する。これにより、吐出圧力P13が上昇する。
【0082】
ステップS5では、バイパス弁71の開度を徐々に減少させてもよい。バイパス弁71の開度を徐々に増加させてもよい。バイパス弁71の開度は、温度T13と目標温度Ttとの偏差に応じた比例制御(P制御)によって決定してもよいし、応答性などを考慮したPID制御によって決定してもよい。バイパス弁71の開度は、圧力P13と目標圧力Ptとの偏差に応じた比例制御(P制御)によって決定してもよいし、応答性などを考慮したPID制御によって決定してもよい。
【0083】
本実施の形態において、開始温度Tsおよび目標温度Ttについて、Ts<Ttが満たされる。
【0084】
本実施の形態において、開始圧力Psおよび目標圧力Ptについて、Ps<Ptが満たされる。
【0085】
一具体例では、目標温度Ttは、60℃である。ただし、目標温度Ttは特に限定されない。目標温度Ttは、温度センサ13bの位置に応じて設定されてもよい。
【0086】
ステップS6において、除霜運転を終了するかどうか判断する。具体的には、圧力差PD、圧力P12、および温度T12からなる群から選択される少なくとも1つを検出する。そして、圧力差PDが終了圧力差PDeを下回った場合、圧力P12が終了圧力Peを上回った場合、および温度T12が終了温度Teを上回った場合、からなる群より選択される少なくとも1つの条件が満たされているかどうか判断する。上記少なくとも1つの条件が満たされた場合、除霜運転が終了する。
【0087】
除霜運転を終了しない場合、ステップS5に戻り、冷却運転を継続する。
【0088】
ステップS7において、第1熱交換器2における空気の冷却熱量を増加させる。具体的には、バイパス弁71を閉鎖する。バイパス弁71が閉鎖されると、第2バイパス経路7に空気が流れず、空気経路21のみに空気が流れる。これにより、空気経路21を流れる空気の流量が復帰するので、第1熱交換器2の出口における空気の温度が低下する。
【0089】
本実施の形態において、「バイパス弁71が閉鎖」とは、バイパス弁71の開度が、0%であることを意味する。
【0090】
本実施の形態において、開始圧力差PDsおよび終了圧力差PDeについて、PDs>PDeが満たされる。開始圧力Ps、目標圧力Pt、および終了圧力Peについて、Ps<Pt<Peが満たされる。開始温度Ts、目標温度Tt、および終了温度Teについて、Ts<Tt<Teが満たされる。
【0091】
一具体例では、終了圧力差PDeは、0.05MPaである。ただし、終了圧力差PDeは特に限定されない。終了圧力差PDeは、第2熱交換器3のサイズに応じて設定されてもよい。
【0092】
一具体例では、終了圧力Peは、0.09MPa・absである。ただし、終了圧力Peは特に限定されない。終了圧力Peは、圧力センサ12aの位置に応じて設定されてもよい。
【0093】
一具体例では、終了温度Teは、5℃である。ただし、終了温度Teは特に限定されない。終了温度Teは、温度センサ12bの位置に応じて設定されてもよい。
【0094】
ステップS8において、予備冷却運転を行う。具体的には、第1バイパス経路6に空気を流しながら第1熱交換器2における空気の冷却熱量を増加させる。より具体的には、バイパス弁71を閉鎖するとともに、引き続き第1バイパス経路6に空気を流す。これにより、除霜運転の終了直後における比較的高温の空気が冷凍庫5の内部に供給されるのを防ぐことができる。膨張機4の吐出温度が徐々に低下するとともに、主回路10の配管の温度を下げることができる。
【0095】
ステップS9において、予備冷却運転を終了するかどうか判断する。具体的には、温度T14を検出する。そして、温度T14が冷却開始温度Tcを下回ったかどうか判断する。温度T14が冷却開始温度Tcを下回った場合、予備冷却運転が終了する。
【0096】
一具体例では、冷却開始温度Tcは、-70℃である。ただし、冷却開始温度Tcは特に限定されない。冷却開始温度Tcは、センサ14の位置に応じて設定されてもよい。
【0097】
予備冷却運転を終了しない場合、ステップS8に戻り、予備冷却運転を継続する。
【0098】
ステップS10において、冷凍庫5に空気を流す。すなわち、冷却運転を開始する。具体的には、空気を第1バイパス経路6に流さずに、冷凍庫5に流す。三方弁61および三方弁62を切り替えることにより、空気を冷凍庫5に流すことができる。これにより、十分に冷却された空気を冷凍庫5の内部に供給することができる。
【0099】
このように、冷凍装置100の運転方法は、除霜運転時に、第1熱交換器2における空気の冷却熱量を減少させることと、空気を第1バイパス経路6に流すことと、を含む。
【0100】
冷凍装置100の運転方法では、除霜運転時に、第2バイパス経路7に空気を流すことによって第1熱交換器2における空気の冷却熱量を減少させる。
【0101】
冷凍装置100の運転の制御は、制御器8によって行われる。この場合、制御器8は、
図5のフローチャートの各処理を所定の制御周期で実行する。
【0102】
次に、
図1に示した構成を有する冷凍装置100を例に、冷凍装置100の動作について、
図6を参照しながら説明する。
【0103】
図6は、冷凍装置100の動作を示すタイミングチャートである。
図6では、理解を容易にするために、温度センサ12b、温度センサ13b、および温度センサ14bを用いた場合を例示している。
図6の上図において、縦軸は、温度センサ12bによって検出された温度T
12、温度センサ13bによって検出された温度T
13、および温度センサ14bによって検出された温度T
14を示す。
図6の中図において、縦軸は、バイパス弁71の開度(%)を示す。
図6の下図において、縦軸は、第1バイパス8の開通または非開通を示す。
図6において、横軸は時間を示す。
【0104】
温度T
12が開始温度T
sを下回ったとき、除霜運転が行われる。すなわち、バイパス弁71を開放し、かつ、空気を第1バイパス経路6に流す。
図6では、このタイミングが「時間A」で示されている。時間Aにおけるバイパス弁71の開度は、例えば、50%である。
【0105】
除霜運転時、温度T
13が目標温度T
tに収斂するように、バイパス弁71の開度を調節してもよい。このとき、第1バイパス経路6には、引き続き空気が流れている。
図6は、温度T
13が目標温度T
tを下回ったとき、バイパス弁71の開度を増加させた例を示している。
図6では、このタイミングが「時間B」で示されている。時間Bにおけるバイパス弁71の開度は、例えば、80%である。
【0106】
温度T
12が終了温度T
eを上回ったとき、除霜運転が終了する。すなわち、バイパス弁71を閉鎖する。
図6では、このタイミングが「時間C」で示されている。時間Cにおけるバイパス弁71の開度は、0%である。
【0107】
温度T12が終了温度Teを上回ったとき、バイパス弁71を閉鎖するとともに、空気を第1バイパス経路6に流さずに、冷凍庫5に空気を流してもよい。
【0108】
除霜運転の終了後に、第1熱交換器2における空気の冷却熱量が復帰するまで、引き続き空気を第1バイパス経路6に流してもよい。すなわち、予備冷却運転が行われてもよい。
図6は、予備冷却運転を行った例を示している。
【0109】
温度T
14が冷却開始温度T
cを下回ったとき、予備冷却運転が終了してもよい。すなわち、空気を第1バイパス経路6に流さずに、冷凍庫5に空気を流してもよい。
図6では、このタイミングが「時間D」で示されている。
【0110】
[1-3.効果等]
本実施の形態では、除霜運転時に、バイパス弁71が開放され、かつ、空気を第1バイパス経路6に流す。これにより、空気経路21を流れる空気の流量が減少するので、第1熱交換器2における空気の冷却熱量が減少する。したがって、比較的高温の空気が高圧部31、膨張機4、第1バイパス経路6、および低圧部32を流れるので、この区間に堆積した氷または霜を融解させることができる。また、冷凍庫5を迂回する第1バイパス経路6に空気を流すことで、比較的高温の空気が冷凍庫5の内部に供給されるのを防ぐことができる。これにより、冷凍庫5の内部の温度上昇を防ぐことができる。
【0111】
以上の説明から理解されるように、本実施の形態によれば、従来は外部に排出されていた圧縮機1の吐出空気の熱量を利用したエネルギー効率が高い除霜運転が可能となる。
【0112】
本実施の形態では、圧力差PDが開始圧力差PDsを上回った場合、圧力P12が開始圧力Psを下回った場合、および温度T12が開始温度Tsを下回った場合、からなる群から選択される少なくとも1つの条件が満たされたときに除霜運転が開始される。このように、除霜運転の開始タイミングが適正化されているので、除霜運転時間が最短化され、除霜運転および冷却運転のエネルギー効率が向上する。
【0113】
本実施の形態では、除霜運転時、温度T13が目標温度Ttに収斂する、および圧力P13が目標圧力Ptに収斂する、からなる群から選択される少なくとも1つを満たすように、バイパス弁71の開度を調節してもよい。これにより、除霜運転中のサイクルにおける空気の急激な温度変動および圧力変動が抑制されるので、除霜運転中の冷凍装置100の運転状態が安定しやすい。したがって、圧縮機1および膨張機4の信頼性、ひいては、冷凍装置100の信頼性が向上する。
【0114】
本実施の形態では、圧力差PDが終了圧力差PDeを下回った場合、圧力P12が終了圧力Peを上回った場合、および温度T12が終了温度eを上回った場合、からなる群から選択される少なくとも1つの条件が満たされたときに除霜運転が終了する。このように、除霜運転の終了タイミングが適正化されているので、除霜運転時間が最短化され、除霜運転および冷却運転のエネルギー効率が向上する。
【0115】
本実施の形態では、除霜運転の終了後に、空気経路21を流れる空気の流量が復帰するまで、引き続き空気を第1バイパス経路6に流してもよい。これにより、除霜運転の終了直後における比較的高温の空気が冷凍庫5の内部に供給されるのを防ぐことができる。したがって、冷凍庫5の内部の温度上昇を防ぐことができる。
【0116】
本実施の形態では、温度T14が冷却開始温度Tcを下回った場合、空気を第1バイパス経路6に流さずに冷凍庫5に流してもよい。これにより、予備冷却運転を終了し、十分冷却された空気を冷凍庫5の内部に供給することができる。
【0117】
以下、他の実施の形態を例示する。以下では、先に説明した実施の形態と同一の機能を有する構成要素には同一番号を付して詳細な説明は省略することがある。
【0118】
(実施の形態2)
以下、
図7を用いて、実施の形態2を説明する。
【0119】
[2-1.構成]
図7は、実施の形態2における冷凍装置200を示す図である。冷凍装置200では、除霜運転時に、熱媒体経路22を流れる冷却用媒体の温度を上昇させること、および冷却用媒体の流量を減少させること、からなる群から選択される少なくとも1つを実施することによって第1熱交換器2における空気の冷却熱量を減少させる。このことを除き、本実施の形態の冷凍装置200は、実施の形態1における冷凍装置100と同一の構成を有している。
【0120】
本実施の形態では、冷凍装置200は、熱媒体経路22を流れる冷却用媒体の温度および流量からなる群から選択される少なくとも1つを調節する調節装置23を備えている。調節装置23は、熱媒体経路22に設けられている。調節装置23は、第1熱交換器2における空気の冷却熱量を減少させる手段の一例である。調節装置23の一例は、流量を変更可能なポンプである。調節装置23の他の例は、冷却用媒体(水)の温度を変更可能なチラーである。
【0121】
調節装置23の構成は特に限定されない。調節装置23は、熱媒体経路22を流れる冷却用媒体の温度および流量からなる群から選択される少なくとも1つを任意の値に設定することが可能な装置である。調節装置23において、熱媒体経路22を流れる冷却用媒体の温度および流量からなる群から選択される少なくとも1つを任意の値に設定することで、第1熱交換器2における空気の冷却熱量を調節することができる。
【0122】
[2-2.動作]
次に、
図7に示した構成を有する冷凍装置200を例に、冷凍装置200の運転の制御について、
図8を参照しながら詳説する。
図8は、冷凍装置200の除霜運転での制御を示すフローチャートである。以下の説明では、実施の形態1で説明した冷凍装置100の運転の制御と同一の内容については詳細な説明は省略することがある。
【0123】
ステップST1において、冷凍装置200は冷却運転を行っている。すなわち、調節装置23は作動しておらず、かつ、冷凍庫5に空気が流れている。
【0124】
ステップST2において、除霜運転を開始するかどうか判断する。除霜運転の開始条件は実施の形態1で説明した通りである。除霜運転の開始条件が満たされた場合、除霜運転が行われる。
【0125】
ステップST3において、第1熱交換器2における空気の冷却熱量を減少させる。具体的には、調節装置23により熱媒体経路22を流れる冷却用媒体の温度を上昇させること、および冷却用媒体の流量を減少させること、からなる群から選択される少なくとも1つを実施する。これにより、第1熱交換器2における空気の冷却熱量が減少する。したがって、比較的高温の空気が高圧部31、膨張機4、第1バイパス経路6、および低圧部32を流れるので、この区間に堆積した氷または霜を融解させることができる。
【0126】
ステップST4において、第1バイパス経路6に空気を流す。三方弁61および三方弁62を切り替えることにより、第1バイパス経路6に空気を流すことができる。冷凍庫5を迂回する第1バイパス経路6に空気を流すことで、比較的高温の空気が冷凍庫5の内部に供給されるのを防ぐことができる。これにより、冷凍庫5の内部の温度上昇を防ぐことができる。ステップST4の処理をステップST3の処理の前に行ってもよい。
【0127】
ステップST5において、調節装置23により熱媒体経路22を流れる冷却用媒体の温度および流量からなる群から選択される少なくとも1つを調節する。具体的には、圧縮機1の吐出温度T13が目標温度Ttに収斂する、および圧縮機1の吐出圧力P13が目標圧力Ptに収斂する、からなる群から選択される少なくとも1つを満たすように、第1熱交換器2における空気の冷却熱量を調節する。より具体的には、フィードバック制御またはフィードフォワード制御により、調節する。例えば、圧縮機1の吐出温度T13が目標温度Ttよりも高い場合、調節装置23により熱媒体経路22を流れる冷却用媒体の温度を低下させること、および冷却用媒体の流量を増加させること、からなる群から選択される少なくとも1つを実施する。これにより、吐出温度T13が低下する。同様に、圧縮機1の吐出圧力P13が目標圧力Ptよりも高い場合、調節装置23により熱媒体経路22を流れる冷却用媒体の温度を低下させること、および冷却用媒体の流量を増加させること、からなる群から選択される少なくとも1つを実施する。これにより、吐出圧力P13が低下する。また、逆に、圧縮機1の吐出温度T13が目標温度Ttよりも低い場合、調節装置23により熱媒体経路22を流れる冷却用媒体の温度を上昇させること、および冷却用媒体の流量を減少させること、からなる群から選択される少なくとも1つを実施する。これにより、吐出温度T13が上昇する。同様に、圧縮機1の吐出圧力P13が目標圧力Ptよりも低い場合、調節装置23により熱媒体経路22を流れる冷却用媒体の温度を上昇させること、および冷却用媒体の流量を減少させること、からなる群から選択される少なくとも1つを実施する。これにより、吐出圧力P13が上昇する。
【0128】
ステップST5では、調節装置23により熱媒体経路22を流れる冷却用媒体の温度を徐々に低下させてもよく、徐々に上昇させてもよい。調節装置23により熱媒体経路22を流れる冷却用媒体の流量を徐々に増加させてもよく、徐々に減少させてもよい。熱媒体経路22を流れる冷却用媒体の温度および流量からなる群から選択される少なくとも1つの任意の値への調節は、温度T13と目標温度Ttとの偏差に応じた比例制御(P制御)によって決定してもよいし、応答性などを考慮したPID制御によって決定してもよい。熱媒体経路22を流れる冷却用媒体の温度および流量からなる群から選択される少なくとも1つの任意の値への調節は、圧力P13と目標圧力Ptとの偏差に応じた比例制御(P制御)によって決定してもよいし、応答性などを考慮したPID制御によって決定してもよい。
【0129】
ステップST6において、除霜運転を終了するかどうか判断する。除霜運転の終了条件は実施の形態1で説明した通りである。除霜運転の終了条件が満たされた場合、除霜運転が終了する。
【0130】
ステップST7において、第1熱交換器2における空気の冷却熱量を増加させる。具体的には、調節装置23による熱媒体経路22を流れる冷却用媒体の温度および流量からなる群から選択される少なくとも1つの調節を終了する。調節装置23による上記調節を終了すると、第1熱交換器2における空気の冷却熱量が復帰するので、第1熱交換器2の出口における空気の温度が低下する。
【0131】
ステップST8において、除霜運転の終了と冷却運転の開始との間に、予備冷却運転を行う。具体的には、第1バイパス経路6に空気を流しながら第1熱交換器2における空気の冷却熱量を増加させる。より具体的には、調節装置23による上記調節を終了するとともに、引き続き第1バイパス経路6に空気を流す。これにより、除霜運転の終了直後における比較的高温の空気が冷凍庫5の内部に供給されるのを防ぐことができる。膨張機4の吐出温度が徐々に低下するとともに、主回路10を流れる空気の温度を下げることができる。
【0132】
ステップST9において、予備冷却運転を終了するかどうか判断する。予備冷却運転の終了条件は実施の形態1で説明した通りである。予備冷却運転の終了条件が満たされた場合、予備冷却運転が終了する。
【0133】
ステップST10において、冷凍庫5に空気を流す。すなわち、冷却運転を開始する。具体的には、空気を第1バイパス経路6に流さずに、冷凍庫5に流す。三方弁61および三方弁62を切り替えることにより、空気を冷凍庫5に流すことができる。これにより、十分に冷却された空気を冷凍庫5の内部に供給することができる。
【0134】
このように、冷凍装置200の運転方法は、除霜運転時に、第1熱交換器2における空気の冷却熱量を減少させることと、空気を第1バイパス経路6に流すことと、を含む。
【0135】
冷凍装置200の運転方法では、除霜運転時に、熱媒体経路22を流れる冷却用媒体の温度を上昇させること、および冷却用媒体の流量を減少させること、からなる群から選択される少なくとも1つを実施することによって第1熱交換器2における冷媒の冷却熱量を減少させる。
【0136】
冷凍装置200の運転の制御は、制御器8によって行われる。この場合、制御器8は、
図8のフローチャートの各処理を所定の制御周期で実行する。
【0137】
[2-3.効果等]
本実施の形態では、除霜運転時に、調節装置23が熱媒体経路22を流れる冷却用媒体の温度および流量からなる群から選択される少なくとも1つを減少し、かつ、空気を第1バイパス経路6に流す。これにより、第1熱交換器2における空気の冷却熱量が減少する。したがって、比較的高温の空気が高圧部31、膨張機4、第1バイパス経路6、および低圧部32を流れるので、この区間に堆積した氷または霜を融解させることができる。また、冷凍庫5を迂回する第1バイパス経路6に空気を流すことで、比較的高温の空気が冷凍庫5の内部に供給されるのを防ぐことができる。これにより、冷凍庫5の内部の温度上昇を防ぐことができる。
【0138】
以上の説明から理解されるように、本実施の形態によれば、従来は外部に排出されていた圧縮機1の吐出空気の熱量を利用したエネルギー効率が高い除霜運転が可能となる。
【0139】
また、本実施の形態によれば、実施の形態1における第2バイパス経路6およびバイパス弁71に代えて調節装置23を用いているので、回路構成を簡略化できる。したがって、冷凍装置200をコンパクト化することができるとともに、低コスト化が可能となる。
【0140】
(実施の形態3)
以下、
図9を用いて、実施の形態3を説明する。
【0141】
[3-1.構成]
図9は、実施の形態3における冷凍装置300を示す図である。冷凍装置300は、空気に含まれる水分および氷を除去可能な分離器91、分離器92、および分離器93からなる群から選択される少なくとも1つを備える。このことを除き、本実施の形態の冷凍装置300は、実施の形態1における冷凍装置100と同一の構成を有している。
【0142】
分離器91は、主回路10における第2接続部52よりも下流側かつ低圧部32の入口よりも上流側の部分10dに設けられている。部分10dは、空気に含まれる水分および氷の量が最も多いことが予想される区域である。これは、着霜の原因となる水分が、冷凍庫5に外部から搬入された保蔵物から発生する水分、または冷凍庫5の扉の開閉に伴い外部から侵入した空気に由来するためである。分離器91により、特に、冷凍庫5の内部で発生した水分および氷を除去することができるので、空気中の氷または霜のさらなる生成が抑制される。そのため、除霜運転の頻度を減少させることができるので、冷凍装置300のエネルギー効率が向上する。
【0143】
分離器92は、主回路10における低圧部32の出口よりも下流側かつ圧縮機1の吸入口よりも上流側の部分10cに設けられている。部分10cは、第2熱交換器3の低圧部32で空気が加熱されるため、空気が氷としてではなく水として存在することが予想される区域である。分離器92により、特に、回路の内部で発生した水分を除去することができるので、空気中の氷または霜の生成が抑制される。そのため、除霜運転の頻度を減少させることができるので、冷凍装置300のエネルギー効率が向上する。分離器92は、除湿器であってもよい。
【0144】
分離器93は、主回路10における膨張機4の吐出口よりも下流側かつ第1接続部51よりも上流側の部分10eに設けられている。部分10eは、主回路10の中で空気の温度が一番低温になるので、空気に含まれる氷または霜の量が多いことが予想される区域である。分離器93により、特に、膨張機4の吐出口付近で発生した氷または霜を除去することができるので、空気中の氷または霜のさらなる生成が抑制される。そのため、除霜運転の頻度を減少させることができるので、冷凍装置300のエネルギー効率が向上する。
【0145】
分離器91および分離器93としては、空気中の水分および氷を物理的に除去可能な遠心式分離器またはエリミネータ式分離器などを採用することができる。分離器92としては、空気中の水分を化学的に除去可能なゼオライト式除湿器などを採用することができる。
【0146】
分離器91、分離器92、および分離器93からなる群から選択される少なくとも1つは、実施の形態2における冷凍装置200に組み合わせることも可能である。
【0147】
[3-2.効果等]
本実施の形態では、冷凍装置300の低温部に、分離器91、分離器92、および分離器93からなる群から選択される少なくとも1つを設けることで、空気に含まれる水分および氷を除去することができる。これにより、冷却運転時に氷または霜の蓄積が進行することを抑制し、除霜運転の頻度を減少させることができる。
【0148】
(他の実施の形態)
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施の形態1から3を説明した。しかし、本開示における技術は、これに限定されず、変更、置き換え、付加、省略等を行った実施の形態にも適用できる。また、実施の形態1から3で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。
【0149】
以下、他の実施の形態を例示する。
【0150】
実施の形態3を例示する
図9では、冷凍装置300は、分離器91、分離器92、および分離器93のすべてを備えている。しかし、これら分離器については様々な組み合わせが可能である。冷凍庫5の内部の温度が比較的高く、例えば、-10℃であって、冷凍庫5の内部に保存されている食品等の物品から発生する水分の量が少ない条件では、分離器91、分離器92、および分離器93のすべてを設置しなくともよい。一方、冷凍庫5の内部の温度が低く、例えば、-60℃であって、冷凍庫5の内部に保存されている食品等の物品から発生する水分の量が多い条件では、分離器91、分離器92、および分離器93のすべてを設置してもよい。
【0151】
実施の形態1から3を例示する
図1、
図2、
図7および
図9では、圧力センサ12aおよび温度センサ12bは、部分10cに設けられている。しかし、圧力センサ12aおよび温度センサ12bは、例えば、部分10dに設けられてもよい。
【0152】
開始圧力差PDsおよび終了圧力差PDeとしては、運転条件および冷凍装置の仕様に応じて最適値を設定することができる。開始圧力Ps、目標圧力Pt、および終了圧力Peとしては、運転条件および冷凍装置の仕様に応じて最適値を設定することができる。開始温度Ts、目標温度Tt、および終了温度Teとしては、運転条件および冷凍装置の仕様に応じて最適値を設定することができる。
【0153】
実施の形態1から3では、圧縮機1および膨張機4は、共通の回転軸40で接続された膨張機一体型圧縮機である。しかし、圧縮機1および膨張機4は、個別型の圧縮機1および膨張機4であってもよい。
【0154】
上述の実施の形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲またはその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0155】
本開示に係る技術は、空気を冷媒として用いたオープンサイクルの冷凍装置に有用である。
【符号の説明】
【0156】
1 圧縮機
2 第1熱交換器
21 空気経路
22 熱媒体経路
23 調節装置
3 第2熱交換器
31 高圧部
32 低圧部
4 膨張機
40 回転軸
5 冷凍庫
51 第1接続部
52 第2接続部
6 第1バイパス経路
61,62 三方弁
63,64,65 二方弁
7 第2バイパス経路
71 バイパス弁
8 制御器
91,92,93 分離器
10 主回路
10a,10b,10c,10d,10e,10f 部分
11a 圧力センサ
12a 圧力センサ
12b 温度センサ
13a 圧力センサ
13b 温度センサ
14b 温度センサ
100,101,200,300 冷凍装置