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特開2023-66877光センサ及び光センサに備わるバンドパスフィルタ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023066877
(43)【公開日】2023-05-16
(54)【発明の名称】光センサ及び光センサに備わるバンドパスフィルタ
(51)【国際特許分類】
   G01J 1/04 20060101AFI20230509BHJP
   G01J 1/02 20060101ALI20230509BHJP
   G01S 7/481 20060101ALI20230509BHJP
   G01C 3/06 20060101ALI20230509BHJP
   G02B 5/28 20060101ALI20230509BHJP
【FI】
G01J1/04 B
G01J1/02 P
G01S7/481 A
G01C3/06 110A
G01C3/06 120Q
G02B5/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021177718
(22)【出願日】2021-10-29
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100133514
【弁理士】
【氏名又は名称】寺山 啓進
(72)【発明者】
【氏名】國師 渡
(72)【発明者】
【氏名】宮井 英次
【テーマコード(参考)】
2F112
2G065
2H148
5J084
【Fターム(参考)】
2F112AA05
2F112BA07
2F112CA03
2F112CA12
2F112DA04
2F112DA19
2F112DA21
2F112DA25
2F112DA28
2G065AA12
2G065AA17
2G065AB09
2G065AB22
2G065BA09
2G065BB27
2G065CA08
2G065CA21
2G065DA15
2H148GA12
2H148GA23
5J084AA01
5J084AA05
5J084AD01
5J084AD07
5J084BA04
5J084BA36
5J084BB02
5J084BB20
5J084EA01
(57)【要約】
【課題】受光する光のノイズ成分を抑制することのできる光センサを提供する。また、当該光センサを備わる、バンドパスフィルタを提供する。
【解決手段】本実施形態の一態様によれば、光センサは、特定のピーク波長を含む波長帯域の照射光を被検出物に射出する光源と、被検出物によって反射した照射光を選択的に透過させるバンドパスフィルタと、バンドパスフィルタを透過した照射光を受光する受光器と、受光器が受光した光を用いて、被検出物の状態を測定する測定装置と、を備える。光源は、環境温度によって、第1の波長シフト量だけ射出される特定の波長ピークがシフトする温度特性を有する。バンドパスフィルタは、環境温度によって、第2の波長シフト量だけ特定の波長ピークがシフトする温度特性を有する。第2の波長シフト量が前記第1の波長シフト量と同等であるように、バンドパスフィルタの形状及び材料に選択される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検出物の状態を測定する光センサであって、
特定のピーク波長を含む波長帯域の照射光を前記被検出物に射出する光源と、
前記被検出物によって反射した前記照射光を選択的に透過させるバンドパスフィルタと、
前記バンドパスフィルタを透過した前記照射光を受光する受光器と、
前記受光器が受光した光を用いて、前記被検出物の状態を測定する測定装置と、
を備え、
前記光源は、
環境温度によって、第1の波長シフト量だけ射出される前記特定の波長ピークがシフトする温度特性を有し、
前記バンドパスフィルタは、
前記環境温度によって、第2の波長シフト量だけ前記特定の波長ピークがシフトする温度特性を有し、
前記第2の波長シフト量が前記第1の波長シフト量と同等であるように、前記バンドパスフィルタの形状及び材料に選択された、光センサ。
【請求項2】
前記バンドパスフィルタは、
複数の半導体層により形成された第1の半導体多層膜を有する半導体バンドパスフィルタを有し、
前記半導体バンドパスフィルタは、
半導体基板と、
前記半導体基板上に積層される前記第1の半導体多層膜と、
を備える、請求項1に記載の光センサ。
【請求項3】
前記バンドパスフィルタは、
さらに、複数の誘電体層により形成された誘電体多層膜を有する誘電体バンドパスフィルタを有し、
前記誘電体バンドパスフィルタは、
誘電体基板と、
前記誘電体基板上に積層される前記誘電体多層膜と、
を備える、請求項1または2に記載の光センサ。
【請求項4】
前記半導体バンドパスフィルタは、
さらに、複数の誘電体層により形成された誘電体多層膜を有し、
前記第1の半導体多層膜上に積層される前記誘電体多層膜と、
を備える、請求項2に記載の光センサ。
【請求項5】
前記半導体バンドパスフィルタは、
さらに、前記第1の半導体多層膜と特性が異なる半導体材料を有する複数の半導体層を積層した第2の半導体多層膜を有し、
前記第1の半導体多層膜上に積層される第2の半導体多層膜と、
を備える、請求項2に記載の光センサ。
【請求項6】
前記バンドパスフィルタは、
複数の半導体層により形成された第1の半導体多層膜を有する半導体バンドパスフィルタを有し、
前記半導体バンドパスフィルタが、
前記受光器の表面に前記第1の半導体多層膜を配置されている、
請求項1に記載の光センサ。
【請求項7】
前記半導体バンドパスフィルタは、
さらに、複数の誘電体層により形成された誘電体多層膜を有し、
前記第1の半導体多層膜上に積層される誘電体多層膜と、
を備える、請求項6に記載の光センサ。
【請求項8】
前記半導体バンドパスフィルタは、
さらに、前記第1の半導体多層膜と特性が異なる半導体材料を有する複数の半導体層を積層した第2の半導体多層膜を有し、
前記第1の半導体多層膜上に積層される第2の半導体多層膜と、
を備える、請求項6に記載の光センサ。
【請求項9】
基台と、
厚さ方向において、前記基台上に第1の屈折率層が積層され、前記第1の屈折率層上に第1のスタック層が積層される第1の層と、
前記第1の層上に第1の屈折率よりも高い第2の屈性率を有する第1のキャビティ層が積層され、前記第1のキャビティ層上に前記第1の屈折率層が積層され、前記第1の屈折率層上に第2のスタック層が積層される複数の第2の層と、
複数の前記第2の層の最も上部の層の上に、前記第2の屈性率を有する第2のキャビティ層が積層され、前記第2のキャビティ層上に前記第1の屈折率層が積層され、前記第1の屈折率層上に第3のスタック層が積層される第3の層と、
前記第3の層上に積層されるキャップ層とを有し、
前記第2の波長シフト量が前記第1の波長シフト量と同等であるように、前記第1の層、前記第2の層、及び前記第3の層の形状及び材料に選択された、
請求項1~8のいずれか1項に記載の光センサに備わる、バンドパスフィルタ。
【請求項10】
前記基台は、
半導体基板または前記受光器のいずれか少なくとも1つを備える、
請求項9に記載のバンドパスフィルタ。
【請求項11】
前記第1のスタック層、前記第2のスタック層、及び前記第3のスタック層は、
複数の前記第1の屈折率層と前記第2の屈性率を有する屈折率層とのペアで構成される第1の積層構造を有し、
前記第1の積層構造は、
前記第2の屈性率を有する屈折率層上に、前記第1の屈折率層が積層される、
請求項9または請求項10に記載のバンドパスフィルタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、光センサ及び光センサに備わるバンドパスフィルタに関する。
【0002】
光センサの光源に対し、垂直共振面発光レーザ(Vertial Cavity Surface Emitting Laset:VCSEL)が用いられることが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-185107号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、垂直共振面発光レーザ(VCSEL)は、環境温度が変化すると、射出される光の波長がシフトする。そのため、所定の波長を受光する場合、温度変動を考慮したバンドパスフィルタが必要となる。したがって、バンドパスフィルタの透過帯域が広くなることでノイズ成分が大きくなる可能性がある。
【0005】
本開示は、受光する光のノイズ成分を抑制することのできる光センサ及びバンドパスフィルタを提供する。
【0006】
本実施形態の一態様によれば、被検出物の状態を測定する光センサであって、特定のピーク波長を含む波長帯域の照射光を被検出物に射出する光源と、被検出物によって反射した照射光を選択的に透過させるバンドパスフィルタと、バンドパスフィルタを透過した照射光を受光する受光器と、受光器が受光した光を用いて、被検出物の状態を測定する測定装置と、を備える。光源は、環境温度によって、第1の波長シフト量だけ射出される特定の波長ピークがシフトする温度特性を有する。バンドパスフィルタは、環境温度によって、第2の波長シフト量だけ特定の波長ピークがシフトする温度特性を有する。第2の波長シフト量が前記第1の波長シフト量と同等であるように、バンドパスフィルタの形状及び材料を選択された、光センサが提供される。
【0007】
また、本実施形態の他の一態様によれば、基台と、厚さ方向において、基台上に第1の屈折率層が積層される。第1の屈折率層上に第1のスタック層が積層される第1の層と、第1の層上に第1の屈折率よりも高い第2の屈性率を有する第1のキャビティ層が積層される。第1のキャビティ層上に第1の屈折率層が積層される。第1の屈折率層上に第2のスタック層が積層される複数の第2の層と、複数の第2の層の最も上部の層の上に、第2の屈性率を有する第2のキャビティ層が積層される。第2のキャビティ層上に第1の屈折率層が積層される。第1の屈折率層上に第3のスタック層が積層される第3の層と、第3の層上に積層されるキャップ層とを有する。第2の波長シフト量が第1の波長シフト量と同等であるように、第1の層、第2の層、及び第3の層の形状及び材料を選択された、請求項1~8のいずれか1項に記載の光センサに備わる、バンドパスフィルタが提供される。
【発明の効果】
【0008】
本実施形態によれば、受光する光のノイズ成分を抑制することのできる光センサを提供することができる。また、当該光センサに用いられるバンドパスフィルタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、第1の実施形態に係る光センサを示す構成図である。
図2図2は、本実施形態に係るバンドパスフィルタを示す構成図である。
図3図3は、本実施形態に係る半導体多層膜の詳細な構造を示す構成図である。
図4図4は、本実施形態に係る半導体バンドパスフィルタの透過帯域と遮断帯域の関係を示す特性図である。
図5図5は、本実施形態に係る半導体バンドパスフィルタの照射光に対する温度と透過率の関係を示す特性図である。
図6図6は、本実施形態に係る半導体バンドパスフィルタの照射光に対する入射角度と透過率の関係を示す特性図である。
図7図7は、第2の実施形態に係るバンドパスフィルタを示す構成図である。
図8図8は、第2の実施形態の変形例に係るバンドパスフィルタを示す構成図である。
図9図9は、第3の実施形態に係るバンドパスフィルタと受光器を示す構成図である。
図10図10は、第3の実施形態の変形例に係るバンドパスフィルタと受光器を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、図面を参照して、本実施形態について説明する。以下に説明する図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各構成部品の厚みと平面寸法との関係等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面の相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0011】
また、以下に示す実施形態は、技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、各構成部品の材質、形状、構造、配置等を特定するものではない。本実施形態は、特許請求の範囲において、種々の変更を加えることができる。
【0012】
本実施形態に係る光センサについて説明する。
【0013】
[第1の実施形態]
(光センサの構成)
図1は、第1の実施形態に係る光センサの構成図の一例である。
【0014】
本実施形態に係る光センサ1は、図1に示すように、光源11と、投光レンズ12と、受光レンズ13と、バンドパスフィルタ14と、受光器15、測定装置16とを備えている。
【0015】
光センサ1は、例えば、被検出物21に光を照射して反射した光を受光する。具体的には、光センサ1は、図1に示すように、光源11が光を射出し、投光レンズ12を介して被検出物21に光を照射する。また、光センサ1は、被検出物21に反射した光を受光レンズ13及びバンドパスフィルタ14を介して受光器15が光を受光する。また、光センサ1は、受光した光を用いて、測定装置16で光センサ1と被検出物21との距離を測定する。なお、光センサ1は、例えば、三角距離方式を用いて、受光器15の受光位置を解析して距離を測定してもよい。また、光センサ1は、例えば、タイム・オブ・フライト方式を用いて、被検出物21によって反射し受光されるまでの時間を計測し、演算処理によって距離を測定してもよい。あるいは受光器15の受光強度によって光センサ1の周囲における被検出物21の有無を判断しても良い。以下の説明において、光センサ1と被検出物21の関係の状態を示す情報である、光センサ1と被検出物21との距離、あるいは光センサ1の周囲の被検出物21の有無などを、「被検出物21の状態」とも称する。
【0016】
光源11は、例えば、波長800nm~1000nmの光を射出する。具体的には、光源11は、例えば、波長920~970nmの光を射出する垂直共振面発光レーザ(VCSEL)で構成してもよい。なお、光源11を分布帰還型レーザ(Distributed Feedback : DFB)またはフォトニック結晶レーザで構成してもよい。以下の説明において、光源11は、垂直共振面発光レーザとして説明する。
【0017】
光源11は、環境温度によって、第1の波長シフト量だけ射出される特定の波長ピークがシフトする温度特性を有する。光源11の第1の波長シフト量は、例えば、0.07nm/℃である。また、光源11は、例えば、特定のピーク波長を含む波長帯域の照射光を被検出物に射出する。環境温度とは、ここでは、光源の周囲温度をいう。
【0018】
投光レンズ12は、光源11から射出した光を集光して照射する。なお、投光レンズ12は、光源11が射出した光を略平行な光束に変換してもよい。
【0019】
受光レンズ13は、被検出物21に反射した照射光を受けて集光する。なお、受光レンズ13は、被検出物21に反射した照射光を略平行な光束に変換してもよい。
【0020】
バンドパスフィルタ14は、被検出物21に反射した照射光を選択的に透過させる。すなわち、バンドパスフィルタ14は、特定のピーク波長を含まない波長帯域の外乱光を遮断する。外乱光とは、外部環境から受光器15に入射する光であり、広範な波長帯域において存在する。なお、バンドパスフィルタ14は、受光レンズ13と受光器15の間に配置するのではなく、被検出物21と受光レンズ13の間に配置してもよい。つまり、被検出物21に反射した照射光は、先にバンドパスフィルタ14を透過して受光レンズ13で照射光を集光してもよい。バンドパスフィルタ14の構成の詳細は、後で説明する。
【0021】
受光器15は、被検出物21に反射した照射光を受光する。受光器15は、例えば、フォトダイオードで構成してもよい。
【0022】
測定装置16は、受光器15が受光した光を用いて、被検出物21の状態を測定する。具体的には、測定装置16は、受光器15が受光した光を用いて、光センサ1と被検出物21との距離を測定する。なお、測定装置16は、受光器15が受光した光を用いて、受光した光の位置を解析してもよい。また、測定装置16は、光源11を射出する時間から被検出物21に反射して受光器15が受光するまでの時間を計測し、演算処理によって距離を測定してもよい。あるいは受光器15の受光強度によって光センサ1の周囲における被検出物21の有無を判断しても良い。
【0023】
(バンドパスフィルタの構成)
次に、本実施形態に係るバンドパスフィルタ14Aの構成について説明する。
【0024】
図2は、本実施形態に係るバンドパスフィルタ14Aを示す構成図の一例である。図3は、本実施形態に係る半導体多層膜142Aの詳細な構造を示す構成図の一例である。
【0025】
本実施形態に係るバンドパスフィルタ14Aは、図2に示すように、半導体バンドパスフィルタ241と、誘電体バンドパスフィルタ242とを備える。なお、図2では、半導体バンドパスフィルタ241は、受光器15側に配置し、誘電体バンドパスフィルタ242は、被検出物21側に配置される。なお、半導体バンドパスフィルタ241は、被検出物21側に配置し、誘電体バンドパスフィルタ242は、受光器15側に配置してもよい。
【0026】
半導体バンドパスフィルタ241及び誘電体バンドパスフィルタ242は、被検出物21によって反射した照射光を選択的に透過させる。つまり、被検出物21に反射した照射光は、図2に示すように、誘電体バンドパスフィルタ242を透過した後に、半導体バンドパスフィルタ241を透過する。また、半導体バンドパスフィルタ241及び誘電体バンドパスフィルタ242は、外乱光を遮断する。誘電体バンドパスフィルタ242を備える理由は、半導体バンドパスフィルタ241を単独で用いるよりも広範囲の波長帯域において、外乱光を遮断するためである。
【0027】
半導体バンドパスフィルタ241は、環境温度によって、第2の波長シフト量だけ特定の波長ピークがシフトする温度特性を有する。環境温度とは、ここでは、半導体バンドパスフィルタの周囲温度をいう。半導体バンドパスフィルタ241の温度に依存してシフトする波長のシフト量を第2の波長シフト量と称する。第2の波長シフト量は、半導体バンドパスフィルタ241の構成形状及び材料の設定により調整される。半導体バンドパスフィルタ241は、環境温度によって発生する第2の波長シフト量と、光源11の環境温度によって発生する第1波長シフト量とが同等であるように、半導体バンドパスフィルタ241の構成形状及び材料に選択される。具体的には、光センサ1は、光源11の環境温度によって発生する第1の波長シフト量が0.07nm/℃の場合、半導体バンドパスフィルタ241の構成形状及び材料に基づいて、第2の波長シフト量が0.07nm/℃を有する半導体バンドパスフィルタ241を含むバンドパスフィルタ14を用いればよい。
【0028】
半導体バンドパスフィルタ241は、図2に示すように、基台の一例である半導体基板141Aと、第1の半導体多層膜の一例である半導体材料を有する複数の半導体層を積層した半導体多層膜142Aとを備える。具体的には、半導体バンドパスフィルタ241は、半導体基板141A上に、半導体材料を有する複数の半導体層を積層した半導体多層膜142Aを形成する構造である。なお、半導体基板141Aの受光器15側を向く面と、半導体多層膜142Aの被検出物21側を向く面との表面に反射防止膜(Anti Reflection Coating:ARコーティング)を形成してもよい。
【0029】
半導体基板141Aは、例えば、単体半導体基板または化合物半導体基板のいずれか少なくとも1つの基板であればよい。なお、単体半導体基板の材料としては、例えば、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)などを用いてもよい。また、化合物半導体基板の材料としては、例えば、ガリウムヒ素(GaAs)、ガリウムリン(GaP)、ガリウムナイトライド(GaN)、インジウムリン(InP)、シリコンカーバイト(SiC)、酸化亜鉛(ZnO)、テルル化カドミウム(CdTe)、セレン化亜鉛(ZnSe)などを用いてもよい。
【0030】
半導体多層膜142Aは、図3に示すように、例えば、第1の層Y1と、複数の第2の層Y2と、第3の層Y3と、キャップ層202LTを備える。半導体多層膜142Aは、第1の層Y1、第2の層Y2、第3の層Y3、及びキャップ層202LTに積層されている個々の半導体層の形状の一例である膜厚及び材料の物性の一例である屈折率に基づいて、環境温度によって発生する第2の波長シフト量を設定する。
【0031】
第1の層Y1は、例えば、基台の一例である半導体基板141A上に積層される第1の半導体層の一例である第1の屈折率層201LBと、第1の屈折率層201LB上に積層される第1のスタック層S1とを備える。以下の説明において、第1の半導体層の一例を第1の屈折率層201LBとも称する。
【0032】
第1のスタック層S1は、複数の第1の積層構造(PB1、PB2、・・・、PBm)を備える。具体的には、第1の積層構造は、第2の半導体層の一例である第1の屈折率層よりも高い屈折率を有する第2の屈折率層202B上に、第3の半導体層の一例である第1の屈折率層201Bを積層して、第2の屈折率層202Bと第1の屈折率層201Bとが対となる構造である。以下の説明において、第2の屈折率層202Bと第1の屈折率層201Bとが対となる構造を第1の積層構造を称する。
【0033】
第1の屈折率層201LB及び第1の屈折率層201Bは、第2の屈折率層202Bより屈折率が低い。具体的には、第1の屈折率層201LB及び第1の屈折率層201Bは、例えば、屈折率n=3.073を有するアルミニウムガリウムヒ素(Al0.85GaAs)を用いてもよい。また、第2の屈折率層202Bは、例えば、屈折率n=3.589を有するガリウムヒ素(GaAs)を用いてもよい。なお、一例として、屈折率n=3.073を有するアルミニウムガリウムヒ素、屈折率n=3.589を有するガリウムヒ素を挙げたが、これに限定するものではない。
【0034】
第1の屈折率層201LB、第2の屈折率層202B、第1の屈折率層201Bの膜厚は、例えば、40~100nm程度で形成されていればよい。
【0035】
第2の層Y2は、例えば、第1の層Y1上に積層される第4の半導体層の一例である第1の屈折率層よりも高い屈折率を有する第1のキャビティ層203LMと、第1のキャビティ層203LB上に積層される第5の半導体層の一例である第1の屈折率層201LMと、第1の屈折率層201LM上に積層される第2のスタック層S2とを備える。以下の説明において、第1の屈折率層よりも高い屈折率を有する第4の半導体層を第1のキャビティ層203LMとも称する。
【0036】
第2のスタック層S2は、複数の第1の積層構造(PM1、PM2、・・・、PMm)を備える。具体的には、第1の積層構造(PM1、PM2、・・・、PMm)は、第6の半導体層の一例である第2の屈折率層202M上に、第7の半導体層の一例である第1の屈折率層201Mを積層して、第2の屈折率層202Mと第1の屈折率層201Mとが対となる構造である。以下の説明において、第2の屈折率層202Mと第1の屈折率層201Mとが対となる構造を第1の積層構造とも称する。
【0037】
第1のキャビティ層203LM及び第2の屈折率層202Mは、第1の屈折率層201LM及び第1の屈折率層201Mより屈折率が高い。具体的には、第1のキャビティ層203LM及び第2の屈折率層202Mは、例えば、屈折率n=3.589を有するガリウムヒ素(GaAs)を用いてもよい。第1の屈折率層201LM及び第1の屈折率層201Mは、例えば、屈折率n=3.073を有するアルミニウムガリウムヒ素(Al0.85GaAs)を用いてもよい。なお、一例として、屈折率n=3.073を有するアルミニウムガリウムヒ素、屈折率n=3.589を有するガリウムヒ素を挙げたが、これに限定するものではない。
【0038】
第1の屈折率層201LM、第2の屈折率層202M、第1の屈折率層201Mの膜厚は、例えば、40~100nm程度で形成されていればよい。また、第1のキャビティ層203LMの膜厚は、例えば、100~700nm程度で形成されていればよい。
【0039】
第3の層Y3は、例えば、第2の層Y2上に積層される第8の半導体層の一例である第1の屈折率層よりも高い屈折率を有する第2のキャビティ層203LTと、第2のキャビティ層203LT上に積層される第9の半導体層の一例である第1の屈折率層201LTと、第1の屈折率層201LT上に積層される第3のスタックS3を備える。以下の説明において、第1の屈折率層よりも高い屈折率を有する第8の半導体層を第2のキャビティ層203LTとも称する。
【0040】
第3のスタック層S3は、第1の積層構造(PT1、PT2、・・・、PTm)を備える。具体的には、第3の積層構造(PT1、PT2、・・・、PTm)は、第10の半導体層の一例である第2の屈折率層202T上に、第11の半導体層の一例である第1の屈折率層201Tを積層して、第2の屈折率層202Tと第1の屈折率層201Tとが対となる構造である。以下の説明において、第2の屈折率層202Tと第1の屈折率層201Tとが対となる構造を第1の積層構造を称する。
【0041】
第2のキャビティ層203LT及び第2の屈折率層202Tは、第1の屈折率層201LT及び第1の屈折率層201Tより屈折率が高い。具体的には、第2のキャビティ層203LT及び第2の屈折率層202Tは、例えば、屈折率n=3.589を有するガリウムヒ素(GaAs)を用いてもよい。第1の屈折率層201LT及び第1の屈折率層201Tは、例えば、屈折率n=3.073を有するアルミニウムガリウムヒ素(Al0.85GaAs)を用いてもよい。なお、一例として、屈折率n=3.073を有するアルミニウムガリウムヒ素、屈折率n=3.589を有するガリウムヒ素を挙げたが、これに限定するものではない。
【0042】
第1の屈折率層201LT、第2の屈折率層202T、第1の屈折率層201Tの膜厚は、例えば、40~100nm程度で形成されていればよい。また、第2のキャビティ層203LTの膜厚は、例えば、100~700nm程度で形成されていればよい。
【0043】
キャップ層202LTは、第3の層上に積層される第1の屈折率層よりも高い屈折率を有する半導体層である。キャップ層202LTは、例えば、屈折率n=3.589を有するガリウムヒ素(GaAs)を用いてもよい。なお、一例として、屈折率n=3.589を有するガリウムヒ素(GaAs)を挙げたが、これに限定するものではない。また、キャップ層202LTの膜厚は、例えば、100~700nm程度で形成されていればよい。
【0044】
誘電体バンドパスフィルタ242は、図2に示すように、誘電体基板143Aと、誘電体材料を有する複数の誘電体層を積層した誘電体多層膜144Aとを備える。具体的には、誘電体バンドパスフィルタ242は、誘電体基板143A上に誘電体材料を有する複数の誘電体層を積層した誘電体多層膜144Aを形成する構造である。なお、誘電体基板143Aの受光器15側を向く面と、誘電体多層膜144Aの被検出物21側を向く面との表面に反射防止膜(ARコーティング)を形成してもよい。なお、誘電体バンドパスフィルタ242の内部構成は公知であるので、内部構成の説明は省略する。
【0045】
図4は、本実施形態に係る半導体バンドパスフィルタ241の透過帯域と遮断帯域の関係を示す特性図である。図5は、本実施形態に係る半導体バンドパスフィルタ241の照射光に対する温度と透過率の関係を示す特性図である。図6は、本実施形態に係る半導体バンドパスフィルタ241の照射光に対する入射角度と透過率の関係を示す特性図である。
【0046】
図4において、半導体バンドパスフィルタ241の透過帯域と遮断帯域の関係は、被検出物21によって反射した照射光が、波長935~955nm程度の透過帯域で透過し、波長935nm以下及び955nm以上の遮断帯域で遮断されることを示す。すなわち、半導体バンドパスフィルタ241は、図4に示すように、特定のピーク波長(ここでは、波長945nm)を含む波長帯域で照射光を透過させ、遮断帯域の外乱光を遮断する。波長890nm以下及び1010nm以上の波長帯域の外乱光は、誘電体バンドパスフィルタ242により遮断される。
【0047】
図5において、半導体バンドパスフィルタ241の照射光に対する温度と透過率の関係は、被検出物21によって反射した照射光を有する波長が、環境温度によって、ピーク波長がシフトしていることを示す。具体的には、照射光は、例えば、環境温度30℃の場合、ピーク波長が945nmに対し、環境温度80℃の場合、ピーク波長が957nmにシフトしている。つまり、半導体バンドパスフィルタ241は、環境温度によって、透過できる特定の波長ピークがシフトする第2の波長シフト量0.077nm/℃を有する。
【0048】
図6において、半導体バンドパスフィルタ241の照射光に対する入射角度と透過率の関係は、被検出物21によって反射した照射光を有する波長が、照射光に対する入射角度によって、ピーク波長がシフトしていることを示す。
【0049】
具体的には、照射光は、例えば、入射角0°の場合、ピーク波長が945nmに対し、入射角60°の場合、ピーク波長が920nmにシフトしている。つまり、半導体バンドパスフィルタ241は、照射光の斜め方向からの入射する光によって、透過できる特定の波長ピークがシフトする。なお、半導体バンドパスフィルタ241の入射角度によるシフト量は、例えば、入射角度40°の場合、15nm/°である。これは、例えば、誘電体バンドパスフィルタの入射角度40°による89.4nm/°よりシフト量が小さい。なお、ここでの斜め方向からの入射する光とは、1°~90°である。
【0050】
以上のように、第1の実施形態の光センサ1は、環境温度によって、第1の波長シフト量だけ射出される特定の波長ピークがシフトする温度特性を有する光源11に対し、環境温度によって、第2の波長シフト量だけ特定の波長ピークがシフトする温度特性を有するバンドパスフィルタ14によって、第2の波長シフト量が第1の波長シフト量と同等であるように、バンドパスフィルタ14の構成形状及び材料を選択する。したがって、第1の実施形態の光センサ1によれば、環境温度によって、射出される特定の波長ピークがシフトする第1の波長シフト量が発生したときに、半導体バンドパスフィルタ241を有するバンドパスフィルタ14が第1の波長シフト量と同等の第2の波長シフト量だけ特定の波長ピークがシフトする温度特性を有することで透過する帯域を狭く設定することができ、受光する光のノイズ成分を抑制することができる。
【0051】
また、第1の実施形態の光センサ1は、半導体バンドパスフィルタ241を有するバンドパスフィルタ14を備えることで、誘電体バンドパスフィルタに対し、受光する光の入射角によるシフト量が小さいため、透過する帯域が変化しにくくなり、受光する光のノイズ成分を抑制することができる。
【0052】
第1の実施形態の光センサ1は、受光する光のノイズ成分を抑制することで、光センサ1と被検出物21との距離の測定値を精度が高くなる。よって、第1の実施形態の光センサ1は、光センサ1と被検出物21との距離を正確に測定することができる。あるいは受光する光のノイズ成分を抑制することで、照射光の強度が弱い条件でも被検出物の検知が可能となる。
【0053】
[第2の実施形態]
(バンドパスフィルタの構成)
第2の実施形態に係るバンドパスフィルタ14Bについて説明する。
【0054】
図7は、第2の実施形態に係るバンドパスフィルタ14Bを示す構成図の一例である。
【0055】
第2の実施形態に係るバンドパスフィルタ14Bは、図2のバンドパスフィルタ14Aに対し、構成が異なる。具体的には、第1の実施形態に係るバンドパスフィルタ14Aは、半導体バンドパスフィルタ241と、誘電体バンドパスフィルタ242とを備えるのに対し、第2の実施形態に係るバンドパスフィルタ14Bは、図7に示すように、半導体バンドパスフィルタ243を備える。なお、光センサ1のバンドパスフィルタ14の他の構成は、光センサ1と同様である。
【0056】
半導体バンドパスフィルタ243は、具体的には、基台の一例である半導体基板141Bと、第1の半導体多層膜の一例である半導体材料を有する複数の半導体層を積層した半導体多層膜142Bと、誘電体材料を有する複数の誘電体層を積層した誘電体多層膜144Bとを備える。
【0057】
すなわち、半導体バンドパスフィルタ243は、半導体基板141B上に、半導体材料を有する複数の半導体層を積層した半導体多層膜142Bを形成し、半導体多層膜142B上に、誘電体材料を有する複数の誘電体層を積層した誘電体多層膜144Bを形成する構造である。なお、半導体基板141Bの受光器15側を向く面と、誘電体多層膜144Bの被検出物21側を向く面との表面に反射防止膜(ARコーティング)を形成してもよい。
【0058】
第2の実施形態に係る半導体バンドパスフィルタ243を有する光センサ1の効果は、第1の実施形態に係る光センサ1と同様である。
【0059】
また、第2の実施形態に係る半導体バンドパスフィルタ243によれば、半導体多層膜142B上に誘電体多層膜144Bを形成することで、バンドパスフィルタを1つにすることができる。さらに、半導体バンドパスフィルタ243は、半導体多層膜142Bが遮断できない波長帯域の外乱光を、ハイパスフィルタまたはローパスフィルタを有する誘電体多層膜144Bを用いて遮断することで受光する光のノイズ成分を抑制することができる。
【0060】
[第2の実施形態の変形例]
(バンドパスフィルタの構成)
第2の実施形態の変形例に係るバンドパスフィルタ14Cについて説明する。
【0061】
図8は、第2の実施形態の変形例に係るバンドパスフィルタ14Cを示す構成図の一例である。
【0062】
第2の実施形態の変形例に係るバンドパスフィルタ14Cは、図7の第2の実施形態に係るバンドパスフィルタ14Bに対し、構成が異なる。具体的には、第2の実施形態に係るバンドパスフィルタ14Bは、基台の一例である半導体基板141Bと、半導体材料を有する複数の半導体層を積層した半導体多層膜142Bと、誘電体材料を有する複数の誘電体層を積層した誘電体多層膜144Bとを備えるのに対し、第2の実施形態変形例に係るバンドパスフィルタ14Cは、図8に示すように、半導体バンドパスフィルタ244を備える。なお、光センサ1のバンドパスフィルタ14の他の構成は、光センサ1と同様である。
【0063】
半導体バンドパスフィルタ244は、具体的には、基台の一例である半導体基板141Cと、第1の半導体多層膜の一例である半導体材料を有する複数の半導体層を積層した半導体多層膜142Cと、第2の半導体多層膜の一例である半導体多層膜142Cと特性が異なる半導体材料を有する複数の半導体層を積層した半導体多層膜145Cとを備える。
【0064】
すなわち、半導体バンドパスフィルタ244は、半導体基板141C上に、半導体材料を有する複数の半導体層を積層した半導体多層膜142Cを形成し、半導体多層膜142C上に、半導体多層膜142Cと特性が異なる半導体材料を有する複数の半導体層を積層した半導体多層膜145Cを形成する構造である。なお、半導体基板141Cの受光器15側を向く面と、半導体多層膜145Cの被検出物21側を向く面との表面に反射防止膜(ARコーティング)を形成してもよい。
【0065】
第2の実施形態の変形例に係る半導体バンドパスフィルタ244を有する光センサ1の効果は、第1の実施形態に係る光センサ1と同様である。
【0066】
また、第2の実施形態の変形例に係る半導体バンドパスフィルタ244によれば、半導体多層膜142C上に半導体多層膜142Cを形成することで、バンドパスフィルタを1つにすることができる。さらに、半導体バンドパスフィルタ244は、半導体多層膜142Cが遮断できない波長帯域の外乱光を、ハイパスフィルタまたはローパスフィルタを有する半導体多層膜145Cを用いて遮断することで受光する光のノイズ成分を抑制することができる。
[第3の実施形態]
(バンドパスフィルタの構成)
【0067】
第3の実施形態に係るバンドパスフィルタ14Dについて説明する。
【0068】
図9は、第3の実施形態に係るバンドパスフィルタ14Dを示す構成図の一例である。
【0069】
第3の実施形態に係るバンドパスフィルタ14Dは、図2のバンドパスフィルタ14及A及び受光器15に対し、構成が異なる。
【0070】
具体的には、第1の実施形態に係る光センサは、バンドパスフィルタ14及び受光器15は、別々に構成されているのに対し、第3の実施形態に係るバンドパスフィルタ14Dは、図9に示すように、受光器15Dを備える。なお、光センサ1のバンドパスフィルタ14及び受光器15の他の構成は、光センサ1と同様である。
【0071】
また、バンドパスフィルタ14Dは、基台の一例である受光器15Dと、第1の半導体多層膜の一例である半導体材料を有する複数の半導体層を積層した半導体多層膜142Dと、誘電体材料を有する複数の誘電体層を積層した誘電体多層膜144Dとを備える。
【0072】
すなわち、バンドパスフィルタ14Dは、受光器15D上に、半導体材料を有する複数の半導体層を積層した半導体多層膜142Dを形成し、半導体多層膜142D上に、誘電体材料を有する複数の誘電体層を積層した誘電体多層膜144Dを形成する構造である。なお、誘電体多層膜144Dの被検出物21側を向く面との表面に反射防止膜(ARコーティング)を形成してもよい。
【0073】
第3の実施形態に係るバンドパスフィルタ14Dを有する光センサ1の効果は、第1の実施形態に係る光センサ1と同様である。
【0074】
また、第3の実施形態に係るバンドパスフィルタ14Dによれば、受光器15D上に半導体多層膜142D及び誘電体多層膜144Dを形成することで、バンドパスフィルタと受光器を1つにすることができる。さらに、バンドパスフィルタ14Dの半導体多層膜142Dが遮断できない波長帯域の外乱光を、ハイパスフィルタまたはローパスフィルタを有する誘電体多層膜144Dを用いて遮断することで受光する光のノイズ成分を抑制することができる。
【0075】
[第3の実施形態の変形例]
(バンドパスフィルタの構成)
第3の実施形態の変形例に係るバンドパスフィルタ14Eについて説明する。
【0076】
図10は、第3の実施形態の変形例に係るバンドパスフィルタ14Eを示す構成図の一例である。
【0077】
第3の実施形態の変形例に係るバンドパスフィルタ14Eは、図9の第3の実施形態に係る誘電体多層膜144Dに対し、構成が異なる。
【0078】
具体的には、第3の実施形態の変形例に係るバンドパスフィルタ14Eは、図10に示すように、第3の実施形態に係る誘電体多層膜144Dに対し、半導体多層膜142Eと特性が異なる半導体材料を有する複数の半導体層を積層した半導体多層膜145Eである。なお、光センサ1のバンドパスフィルタ14及び受光器15の他の構成は、光センサ1と同様である。
【0079】
また、バンドパスフィルタ14Eは、基台の一例である受光器15Eと、第1の半導体多層膜の一例である半導体材料を有する複数の半導体層を積層した半導体多層膜142Eと、第2の半導体多層膜の一例である半導体多層膜142Eと特性が異なる半導体材料を有する複数の半導体層を積層した半導体多層膜145Eとを備える。
【0080】
すなわち、バンドパスフィルタ14Eは、受光器15E上に、半導体材料を有する複数の半導体層を積層した半導体多層膜142Eを形成し、半導体多層膜142E上に、半導体多層膜142Eと特性が異なる半導体材料を有する複数の半導体層を積層した半導体多層膜145Eを形成する構造である。なお、半導体多層膜145Eの被検出物21側を向く面との表面に反射防止膜(ARコーティング)を形成してもよい。
【0081】
第3の実施形態の変形例に係るバンドパスフィルタ14Eを有する光センサ1の効果は、第1の実施形態に係る光センサ1と同様である。
【0082】
また、第3の実施形態の変形例に係るバンドパスフィルタ14Eによれば、受光器15E上に半導体多層膜142E及び半導体多層膜145Eを形成することで、バンドパスフィルタと受光器を1つにすることができる。さらに、バンドパスフィルタ14Eの半導体多層膜142Eが遮断できない波長帯域の外乱光を、ハイパスフィルタまたはローパスフィルタを有する半導体多層膜145Eを用いて遮断することで受光する光のノイズ成分を抑制することができる。
【0083】
(その他の実施形態)
上述のように、一実施形態について記載したが、開示の一部をなす論述及び図面は例示的なものであり、限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替の実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。このように、本実施形態は、ここでは記載しない様々な実施形態等を含む。
【符号の説明】
【0084】
1 光センサ
11 光源
12 投光レンズ
13 受光レンズ
14、14A、14B、14C、14D、14E バンドパスフィルタ
15 15D、15E 受光器
16 測定装置
21 被検出物
141A、141B、141C 半導体基板
142A、142B、142C、142D、142E、145C、145E 半導体多層膜
143A 誘電体基板
144A 144B、144D 誘電体多層膜
241、243、244 半導体バンドパスフィルタ
242 誘電体バンドパスフィルタ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10