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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023066892
(43)【公開日】2023-05-16
(54)【発明の名称】確認シート、及び評価方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 31/00 20060101AFI20230509BHJP
   G01N 31/22 20060101ALI20230509BHJP
   G01N 33/38 20060101ALI20230509BHJP
【FI】
G01N31/00 A
G01N31/22 121F
G01N33/38
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021177742
(22)【出願日】2021-10-29
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-05-18
(71)【出願人】
【識別番号】512145114
【氏名又は名称】株式会社スーパーシールド
(74)【代理人】
【識別番号】110000958
【氏名又は名称】弁理士法人インテクト国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100120237
【弁理士】
【氏名又は名称】石橋 良規
(74)【代理人】
【識別番号】100152098
【弁理士】
【氏名又は名称】林 剛史
(72)【発明者】
【氏名】平井 智紀
(72)【発明者】
【氏名】赤城 由祐
【テーマコード(参考)】
2G042
【Fターム(参考)】
2G042AA01
2G042BB17
2G042CA04
2G042CB03
2G042DA08
2G042FA11
2G042FB07
2G042FC08
(57)【要約】      (修正有)
【課題】コンクリート構造物にアルカリ性のケイ酸系のコンクリート保護材が適切な付着量で付着されたかを確認するシート、及びこのシートを使用した評価方法を提供する。
【解決手段】確認シートは、基材シートに酸性物質を含浸させたものであり、酸性物質が、ヘテロポリ酸を含む組成物と、ヘテロポリ酸を含む組成物の色相を変化させる色相変化剤との反応物であり、ヘテロポリ酸は、モリブデン酸、及びタングステン酸の何れか一方、又は双方と、ケイ酸との反応物であり、コンクリート構造物1mに付着させるコンクリート保護材の目的とする付着量を基準付着量と定義したときに、酸性物質は、確認シート1mに基準付着量のコンクリート保護材を付着させたときに色相が変化し、一方で、酸性物質は、確認シート1mに基準付着量よりも少ない量のコンクリート保護材を付着させても色相が変化しないものである。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリート構造物に、アルカリ性のケイ酸塩系コンクリート保護材を付着させて、前記コンクリート保護材の付着量が適切であるかを確認するための確認シートであって、
前記確認シートは、基材シートに酸性物質を含浸させたものであり、
前記酸性物質が、ヘテロポリ酸を含む組成物と、前記ヘテロポリ酸を含む組成物の色相を変化させる色相変化剤との反応物であり、
前記ヘテロポリ酸は、モリブデン酸、及びタングステン酸の何れか一方、又は双方と、ケイ酸との反応物であり、
前記コンクリート構造物1mに付着させる前記コンクリート保護材の目的とする付着量を基準付着量と定義したときに、
前記酸性物質は、前記確認シート1mに前記基準付着量の前記コンクリート保護材を付着させたときに色相が変化し、一方で、前記酸性物質は、前記確認シート1mに前記基準付着量よりも少ない量の前記コンクリート保護材を付着させても色相が変化しないものである、確認シート。
【請求項2】
前記基準付着量の前記コンクリート保護材に含まれるケイ素のモル数が0.05モル以上0.1モル以下の範囲内の何れかである、請求項1に記載の確認シート。
【請求項3】
前記基準付着量が、100ml/m以上150ml/m以下の範囲内の何れかである、請求項1又は2に記載の確認シート。
【請求項4】
前記色相変化剤が、アスコルビン酸、又はソルビン酸である、請求項1乃至3の何れか1項に記載の確認シート。
【請求項5】
コンクリート構造物にコンクリート保護材を付着させる施工において、コンクリート保護材の付着量が適切であるかを評価する評価方法であって、
コンクリート構造物に確認シートを固定する工程と、
前記確認シートが固定された領域を含む前記コンクリート構造物にコンクリート保護材を付着させる工程と、
前記コンクリート保護材を付着させたときの、前記確認シートの色相の変化に基づいて、施工が適切に行われたかを評価する確認工程を含み、
前記コンクリート保護材が、アルカリ性のケイ酸塩系コンクリート保護材であり、
前記確認シートが、基材シートに酸性物質を含浸させたものであり、前記酸性物質が、ヘテロポリ酸を含む組成物と、前記ヘテロポリ酸を含む組成物の色相を変化させる色相変化剤との反応物であり、前記ヘテロポリ酸は、モリブデン酸、及びタングステン酸の何れか一方、又は双方と、ケイ酸との反応物であり、
前記コンクリート構造物1mに付着させる前記コンクリート保護材の目的とする付着量を基準付着量と定義したときに、
前記酸性物質は、前記確認シート1mに前記基準付着量の前記コンクリート保護材を付着させたときに色相が変化し、一方で、前記酸性物質は、前記確認シート1mに前記基準付着量よりも少ない量の前記コンクリート保護材を付着させても色相が変化しないものであり、
前記確認工程では、前記酸性物質の色相が変化した場合に、前記コンクリート保護材の付着量が適切量であると評価する、評価方法。
【請求項6】
前記基準付着量の前記コンクリート保護材に含まれるケイ素のモル数が0.05モル以上0.1モル以下の範囲内の何れかである、請求項5に記載の評価方法。
【請求項7】
前記基準付着量が、100ml/m以上150ml/m以下の範囲内の何れかである、請求項5又は6に記載の評価方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、確認シート、及び評価方法に関し、具体的には、コンクリート構造物をコンクリート保護材で保護するときに使用する確認シート、及び確認シートを使用した評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近時、コンクリート構造物が、塩害、中性化、凍害、アルカリ骨材反応等によって劣化することを抑制するために、つまりは、コンクリート構造物を保護するために、コンクリート構造物にコンクリート保護材を塗布、噴霧、又は含浸(以下、これらを総称してコンクリート保護材を付着という)させることが行われている。コンクリート構造物を保護するコンクリート保護材については、各種の検討がなされており、特許文献1には、アルカリ金属を含むケイ酸塩と、アルカリ性電解水とを含むコンクリート保護材が提案されている。特許文献1に提案がされているようなケイ酸系のコンクリート保護材は、保護効果が高いことから、近年、広く使用されている。ところで、ケイ酸系のコンクリート保護材は、コンクリート構造物に付着させたときに、その外観が大きく変化しない特徴を有している。したがって、コンクリート構造物をコンクリート保護材で十分に保護する施工が行われているか、つまりは、目的とする量のコンクリート保護材がコンクリート構造物に付着されているかを目視で確認することが困難な状況にある。なお、コンクリート保護材による施工が行われているかの確認は、施工面全体、又は施工単位ごとのコンクリート保護材の使用量等に基づいて行われるのが一般的である。
【0003】
特許文献2には、アルカリ性のコンクリート改質剤(コンクリート保護材に相当)がコンクリート構造物の表面に施工されたことを検出するためのシール材が提案されている。特許文献2に提案がされているシール材は、コンクリート改質剤に含まれるアルカリに定量的に反応して変色する反応層を有している。特許文献2には、反応層に含まれる指示薬のpHは3~11であると記載されている。引用文献2に提案がされているシール材においては、pHが12以上のコンクリート改質剤(コンクリート保護材)を使用した場合の検出に問題が残る。なお、ケイ酸系のコンクリート保護材は、一般的に、強アルカリ性である。
【0004】
特許文献3には、薬剤がコンクリート構造物の表面に塗布、又は散布されたことを検出するためのテスターが提案されている。特許文献3に提案がされているテスターは、染料又は顔料が含浸されるとともに、薬剤との定性的な反応による染料又は顔料を溶出可能な定性検出部と、定性検出部から溶出した染料又は顔料によって着色される確認部を有している。特許文献3に提案がされているテスターによれば、ケイ酸塩系以外の施工品質管理が困難なコンクリート表面保護材についても適量のコンクリート表面保護材がコンクリート構造物の表面に施工されたことを目視に容易に、確実且つ客観的に確認できるとされている。引用文献3では、定性検出部から溶出した染料又は顔料によって着色されるとの記載がされているが、ケイ酸系のコンクリート保護材を使用したときに、どのようなメカニズムで反応溶出がされるのかが不明である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特表2018-52815号公報
【特許文献2】特開2007-178210号公報
【特許文献3】特開2012-173283号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、コンクリート構造物にアルカリ性のケイ酸系のコンクリート保護材が適切な付着量で付着されたかを容易に、且つ確実に確認できる確認シートを提供すること、及び確認シートを使用した評価方法を提供することを主たる課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態の確認シートは、コンクリート構造物に、アルカリ性のケイ酸塩系コンクリート保護材を付着させて、前記コンクリート保護材の付着量が適切であるかを確認するための確認シートであって、前記確認シートは、基材シートに酸性物質を含浸させたものであり、前記酸性物質が、ヘテロポリ酸を含む組成物と、前記ヘテロポリ酸を含む組成物の色相を変化させる色相変化剤との反応物であり、前記ヘテロポリ酸は、モリブデン酸、及びタングステン酸の何れか一方、又は双方と、ケイ酸との反応物であり、前記コンクリート構造物1mに付着させる前記コンクリート保護材の目的とする付着量を基準付着量と定義したときに、前記酸性物質は、前記確認シート1mに前記基準付着量の前記コンクリート保護材を付着させたときに色相が変化し、一方で、前記酸性物質は、前記確認シート1mに前記基準付着量よりも少ない量の前記コンクリート保護材を付着させても色相が変化しないものである。
【0008】
上記の確認シートにおいて、前記基準付着量の前記コンクリート保護材に含まれるケイ素のモル数を0.05モル以上0.1モル以下の範囲内の何れかとしてもよい。
上記の確認シートにおいて、前記基準付着量を100ml/m以上150ml/m以下の範囲内の何れかとしてもよい。
上記の確認シートにおいて、前記色相変化剤が、アスコルビン酸、又はソルビン酸でもよい。
【0009】
本発明の一実施形態の評価方法は、コンクリート構造物にコンクリート保護材を付着させる施工において、コンクリート保護材の付着量が適切であるかを評価する評価方法であって、コンクリート構造物に確認シートを固定する工程と、前記確認シートが固定された領域を含む前記コンクリート構造物にコンクリート保護材を付着させる工程と、前記コンクリート保護材を付着させたときの、前記確認シートの色相の変化に基づいて、施工が適切に行われたかを評価する確認工程を含み、前記コンクリート保護材が、アルカリ性のケイ酸塩系コンクリート保護材であり、前記確認シートが、基材シートに酸性物質を含浸させたものであり、前記酸性物質が、ヘテロポリ酸を含む組成物と、前記ヘテロポリ酸を含む組成物の色相を変化させる色相変化剤との反応物であり、前記ヘテロポリ酸は、モリブデン酸、及びタングステン酸の何れか一方、又は双方と、ケイ酸との反応物であり、前記コンクリート構造物1mに付着させる前記コンクリート保護材の目的とする付着量を基準付着量と定義したときに、前記酸性物質は、前記確認シート1mに前記基準付着量の前記コンクリート保護材を付着させたときに色相が変化し、一方で、前記酸性物質は、前記確認シート1mに前記基準付着量よりも少ない量の前記コンクリート保護材を付着させても色相が変化しないものであり、前記確認工程では、前記酸性物質の色相が変化した場合に、前記コンクリート保護材の付着量が適切量であると評価する。
【0010】
上記の評価方法において、前記基準付着量の前記コンクリート保護材に含まれるケイ素のモル数を0.05モル以上0.1モル以下の範囲内の何れかとしてもよい。
上記の評価方法において、前記基準付着量を100ml/m以上150ml/m以下の範囲内の何れかとしてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の確認シート、及び評価方法によれば、コンクリート構造物にアルカリ性のケイ酸系のコンクリート保護材が適切な付着量で付着されたかを容易に、且つ確実に確認できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】一実施形態の確認シートの一例を示す概略断面図である。
図2】一実施形態の離型紙付き確認シートの一例を示す概略断面図である。
図3】一実施形態の離型紙付き基材シートの一例を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の確認シート、及び本発明の評価方法について説明する。本発明は以下に例示する実施形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0014】
<<確認シート>>
【0015】
本発明の確認シートは、コンクリート構造物に、アルカリ性のケイ酸塩系コンクリート保護材を付着させて、コンクリート保護材の付着量が適切であるかを確認するときに使用するものである。本発明の確認シートは、基材シートに酸性物質を含浸させたものである。
【0016】
本発明の確認シートは、当該確認シートに含浸されている酸性物質1mに、アルカリ性のコンクリート付着材を付着させていったときに、この付着量が目的とする付着量に達した時点で、酸性物質の色相が変化するものである。以下、コンクリート構造物1mに付着させる目的とする付着量、及び酸性物質1mに付着させる目的とする付着量のことを基準付着量という。
【0017】
基準付着量に限定はなく、目的とする付着量に応じて適宜決定できる。基準付着量としては、下記(i)、及び(ii)の何れか一方、又は双方を例示できる。この基準付着量は、コンクリート構造物の補強を十分なものとできる基準付着量の例である。
【0018】
(i)・・・アルカリ性のケイ酸塩系コンクリート保護材に含まれるケイ酸のモル数が0.025モル以上0.1モル以下の範囲内の何れかである。
(ii)・・・アルカリ性のケイ酸塩系コンクリート保護材の付着量が、100ml/m以上250ml/m以下の範囲内の何れか、又は100ml/m以上150ml/m以下の範囲内の何れかであり、一例としては、100ml/m、又は150ml/mである。
【0019】
基準付着量を、上記(i)、及び(ii)の何れか一方、又は双方とした場合には、本発明の確認シートをコンクリート構造物に固定し、当該確認シートを含むコンクリート構造物にアルカリ性のケイ酸塩系コンクリート保護材を付着していったときに、酸性物質の色相が変化したタイミングで、コンクリート構造物の補強が完了したものと評価できる。換言すれば、コンクリート構造物に目的とする付着量のコンクリート保護材を付着できたものと判断できる。
【0020】
一例としての基準付着量のアルカリ性のケイ酸塩系コンクリート保護材に含まれるケイ酸のモル数は、0.05モル以上1モル以下である。
一例としての基準付着量のアルカリ性のケイ酸塩系コンクリート保護材に含まれるケイ酸のモル数は、0.05モル以上0.075モル以下である。
一例としての基準付着量のアルカリ性のケイ酸塩系コンクリート保護材に含まれるケイ酸のモル数は、0.05モル、又は0.075モルである。
【0021】
また、コンクリート構造物に、アルカリ性のケイ酸塩系コンクリート保護材を段階的に付着させて補強をする場合には、各段階における付着量等を基準付着量としてもよい。つまり、基準付着量は、コンクリート構造物の補強を十分なものとできない付着量であってもよい。例えば、コンクリート構造物1mに150ml/mのアルカリ性のケイ酸塩系コンクリート保護材を付着させるときに、50ml/mの付着と、100ml/mの付着を段階的に行う場合には、基準付着量を50ml/m、100ml/mとすればよい。
【0022】
(コンクリート構造物)
コンクリート保護材で保護されるコンクリート構造物としては、橋梁(地覆、床版)、橋脚、橋台、ダム堤体、トンネル(孔壁)、ボックスカルバート、港湾施設、港湾構造物、河川構造物、護岸構造物、用水路、樋菅、樋門、貯水タンク、地下ピット、立体駐車場、コンクリート二次製品等を例示できる。これ以外のコンクリート構造物でもよい。
【0023】
(コンクリート保護材)
コンクリート保護材は、アルカリ性のケイ酸塩系コンクリート保護材である。コンクリート保護材を構成するケイ酸としては、カリウムシリケート、ナトリウムシリケート、及びリチウムシリケート等を例示できる。また、本願明細書でいうケイ酸には、シリケート等の無水ケイ酸も含まれる。一例としてのコンクリート保護材は、上記のケイ酸の少なくとも1つ、又は複数を含むコロイド溶液である。コンクリート保護材の溶媒としては、水等を例示できる。一例としてのコンクリート保護材のpHは11以上14以下である。このようなpHのコンクリート保護材をコンクリート構造物へ適正量付着させることで、コンクリート構造物の劣化をより高く抑制できる。換言すれば、コンクリート構造物の改質効果を高くできる。以下、アルカリ性のケイ酸塩系コンクリート保護材を、コンクリート保護材と略記する。また、コンクリート保護材を、コンクリート補強材と読み替えてもよい。
【0024】
一例としてのコンクリート保護材は、当該コンクリート保護材1l(リットル)に含まれるケイ素のモル数が、0.3モル以上0.7モル以下であり、好ましくは、0.4モル以上0.6モル以下であり、より好ましくは、0.45モル以上0.55モル以下である。
【0025】
一例としてのコンクリート保護材は、コンクリート構造物への適正量の付着により、中性化抑制、塩害抑制、凍害抑制、鉄筋腐食抑制、アルカリ骨材反応抑制、防水・止水、ひび割れ補修、耐摩耗性、防汚・防藻等の効果を付与できる。
【0026】
一例としてのコンクリート保護材は、カリウムシリケート、及びナトリウムシリケートを含むコロイド溶液である。コロイド溶液の総質量に対する、カリウムシリケートの質量は3質量%以上10質量%以下であり、ナトリウムシリケートの質量は7質量%以上40質量%以下である。カリウムシリケート、及びナトリウムシリケートの粒子径としては、一次粒子径で1nm以上2500nm以下を例示できる。一例としてのカリウムシリケート、及びナトリウムシリケートの粒子径は、一次粒子径で1nm以上50nm以下である。
【0027】
(基材シート)
基材シートの材料としては、濾紙(濾過紙)等の紙基材、不織布基材、綿ガーゼ等のガーゼ基材、及び発泡樹脂基材等の樹脂基材を例示できる。基材シートは、酸性物質を含浸できるものであればよく、これ以外の材料を使用してよい。基材シートの色相に限定はないが、本発明の確認シートは、酸性物質の色相の変化に基づいて、コンクリート保護材の付着量が適切であるかの確認に使用するところ、基材シートの色相は、酸性物質の色相と異なっていることが好ましい。一例としての基材シートの色相は、白色である。
【0028】
基材シートの厚みに限定はなく、酸性物質を十分に含浸できる厚みを有していればよい。一例としての基材シートの厚みは、0.7μm以上750μm以下である。一例としての基材シートの厚みは、150μm以上250μm以下である。
【0029】
(酸性物質)
一例としての酸性物質は、ヘテロポリ酸を含む組成物と、ヘテロポリ酸を含む組成物の色相を変化させる色相変化剤との反応物である。一例としてのヘテロポリ酸を含む組成物、及び、ヘテロポリ酸を含む組成物と色相調整剤との反応物は液状である。
【0030】
(ヘテロポリ酸)
一例としてのヘテロポリ酸は、(i)モリブデン酸、及びタングステン酸の何れか一方、又は双方と、(ii)ケイ酸との反応物である。ケイ酸としては、上記コンクリート保護材で説明したものを適宜選択して使用できる。
【0031】
好ましい形態のケイ酸は、粉体である。粉体のケイ酸を使用することで、確認シートにコンクリート保護材を付着させ、この付着量が基準付着量に達したときの酸性物質の色相の変化速度を速くできる。この形態では、コンクリート保護材の付着量が基準付着量に達したことを早期に認識できる。一例としてのケイ酸は、粉体のシリカである。ケイ酸の粒子径としては、一次粒子径で1nm以上2500nm以下を例示できる。一例としてのケイ酸の粒子径は、一次粒子径で1nm以上100nm以下であり、好ましくは、一次粒子径が5nm以上50nm以下のシリカである。
【0032】
ヘテロポリ酸を得るためのケイ酸は、1種でもよく、2種以上でもよい。ケイ酸の配合量に限定はなく、確認シートに基準付着量以上のコンクリート保護材を付着させたときに、酸性物質の色相が変化できる量とすればよい。以下の、モリブデン酸、タングステン酸の配合量についても同様である。
【0033】
モリブデン酸としては、モリブデン酸アンモニウム、モリブデン酸、モリブデン酸カリウム、モリブデン酸カルシウム、及び三酸化モリブデン等を例示できる。タングステン酸としては、タングステン酸アンモニウム、タングステン酸、タングステン酸カリウム、タングステン酸カルシウム、及び三酸化タングステン等を例示できる。
【0034】
ヘテロポリ酸を含む組成物は、ヘテロポリ酸のみを含むものであってもよく、ヘテロポリ酸を含む組成物のpHを調整するための各種の酸を含んでもよい。各種の酸としては、塩酸、硫酸、硝酸、ホウ酸、及びシュウ酸等を例示できる。
【0035】
ヘテロポリ酸を含む組成物のpHに限定はないが、1以上2以下が好ましい。一例としてのヘテロポリ酸を含む組成物は、ケイ酸、モリブデン酸、及び希硫酸を含む組成物であり、当該組成物の色相は、淡黄色となっている。
【0036】
色相調整剤に限定はなく、アスコルビン酸、ソルビン酸、カテキン、ジブチルヒドロキシトルエン、トコフェロール、ブチルヒドロキシアニソール、及びこれらの混合物等を例示できる。これら色相調整剤の中でも、アスコルビン酸、ソルビン酸は、ヘテロポリ酸を含む組成物の色相と、当該ヘテロポリ酸を含む組成物と色相調整剤との反応物である酸性物質の色相を十分に異ならせることができ好ましい。アスコルビン酸としては、L-アスコルビン酸を例示できる。ソルビン酸としては、エリソルビン酸を例示できる。一例としての色相調整剤は、ヘテロポリン酸の還元剤である。一例としての酸性物質は、ケイ酸、モリブデン酸、及び希硫酸を含む組成物からなるヘテロポリ酸を、L-アスコルビン酸で還元したものであり、その色相は青色となっている。
【0037】
下式(1)は、ヘテロポリ酸と色相調整剤との反応によって酸性物質が得られた状態を示している。下式(1)では、ヘテロポリ酸として、ケイモリブデン酸を使用し、色相調整剤としてアスコルビン酸を使用している。ヘテロポリ酸の色相は淡黄色であり、下式(1)で得られた酸性物質の色相は青色となっている。
【0038】
【化1】
【0039】
本発明においては、酸性物質に基準付着量のコンクリート保護材が付着されたときに、酸性物質の色相が変化する。酸性物質の色相が変化する明確なメカニズムは、現時点において必ずしも明らかとはなっていないが、コンクリート保護材のアルカリ成分と、酸性物質とが反応し、その色相が変化するものと推察される。
【0040】
酸性物質を構成する各構成成分の含有量について限定はなく、酸性物質へのコンクリート保護材の付着量が基準付着量に達した時点でその色相が変化するように適宜調整すればよい。例えば、酸性物質を構成するケイ酸の添加量を調整することで、コンクリート保護材の付着量が、上記基準付着量に達した時点で、酸性物質の色相が変化するようにできる。換言すれば、酸性物質に含まれるケイ素のモル数を調整してもよい。ケイ酸の添加量とともに、又はこれにかえて、モリブデン酸、タングステン酸の添加量や、色相変化剤の添加量等を適宜調整してもよい。
【0041】
上記ケイ酸の添加量の調整にかえて、又はケイ酸の添加量の調整とともに、基材シートへの酸性物質の含浸量を調整して、酸性物質へのコンクリート保護材の付着量が基準付着量に達した時点でその色相が変化するようにできる。
【0042】
<<評価方法>>
本発明の一実施形態の評価方法は、コンクリート構造物にコンクリート保護材を付着させる施工において、コンクリート保護材の付着量が適切であるかを評価する評価方法であって、コンクリート構造物に確認シートを固定する工程と、確認シートが固定された領域を含むコンクリート構造物にコンクリート保護材を付着させる工程と、コンクリート保護材を付着させたときの、確認シートの色相の変化に基づいて、施工が適切に行われたかを評価する確認工程を含み、コンクリート保護材が、アルカリ性のケイ酸塩系コンクリート保護材であり、確認シートが、基材シートに酸性物質を含浸させたものであり、酸性物質が、ヘテロポリ酸を含む組成物と、ヘテロポリ酸を含む組成物の色相を変化させる色相変化剤との反応物であり、ヘテロポリ酸は、モリブデン酸、及びタングステン酸の何れか一方、又は双方と、コンクリート保護材を構成するケイ酸との反応物であり、コンクリート構造物1mに付着させるコンクリート保護材の目的とする付着量を基準付着量と定義したときに、酸性物質は、確認シート1mに基準付着量のコンクリート保護材を付着させたときに色相が変化し、一方で、酸性物質は、確認シート1mに基準付着量よりも少ない量のコンクリート保護材を付着させても色相が変化しないものであり、確認工程では、酸性物質の色相が変化した場合に、コンクリート保護材の付着量が適切量であると評価する。
【0043】
(コンクリート保護材)
一実施形態の評価方法に使用するコンクリート保護材は、上記確認シートで説明したコンクリート保護材を適宜選択して使用できる。
【0044】
(確認シート)
一実施形態の評価方法で使用する確認シートとしては、上記で説明した確認シートを適宜選択して使用できる。
【0045】
(固定工程)
固定工程は、コンクリート構造物に確認シートを固定する工程である。確認シートは、コンクリート構造物に直接的に固定してもよく、間接的に固定してもよい。例えば、確認シートのコンクリート構造物と接する側に粘着層を設け、この粘着層を介して、コンクリート構造物に確認シートを固定できる。また、確認シートを、支持部材、例えば、ケースに固定し、このケースをコンクリート構造物に固定してもよい。
【0046】
図1は、確認シート10の一例を示す概略断面図である。図1に示す形態の確認シート10は、酸性物質3が含浸された基材シート1から構成された単層構造である。図2は離型紙付き確認シート10Aの一例を示す概略断面図である。図2に示す形態の離型紙付き確認シート10Aは、離型紙5と確認シート10が一体化した積層構造である。確認シート10は離型紙5から分離できる。図2に示す形態の離型紙付き確認シート10Aは、酸性物質3が含浸された基材シート1の離型紙5側の面に設けられた粘着層2を有する。粘着層2の成分としては、酢酸ビニル、エチレン酢酸ビニル、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ウレタン、エポキシ、及びスチレン等を例示できる。粘着層を接着層と読み替えてもよい。この形態の離型紙付き確認シート10Aでは、離型紙5から確認シート10を剥離し、露出した粘着層2を使用して、コンクリート構造物に確認シート10を固定できる。換言すれば、コンクリート構造物に確認シート10を貼着できる。離型紙を、離型フィルム、剥離紙、剥離フィルムと読み替えてもよい。離型紙は、単層構造でもよく、積層構造でもよい。一例としての離型紙は、紙基材上に、剥離層が設けられた積層構造である。剥離層の材料としては、シリコーン等を例示できる。
【0047】
各図に示す形態では、基材シート1の一部分に酸性物質を含浸させているが、基材シート1の全部分に酸性物質を含浸させてもよい。
【0048】
図3は、離型紙付き基材シート20の一例を示す平面図である。図3に示す形態の離型紙付き基材シート20は、離型紙5と、酸性物質が含浸される前の基材シート1が一体化された積層構造であり、基材シート1は、離型紙5から剥離可能となっている。図3に示す形態の離型紙付き基材シート20は、基材シート1に酸性物質3を含浸させることで、離型紙付き確認シート10Aとできる。図3に示す形態の離型紙付き基材シート20は、基材シート1に複数の切り取り線部が設けられており、切り取り線部に沿って、基材シート1を複数に分割可能となっている。この形態では、基材シートに酸性物質を含浸させることで、複数の確認シートを一括して製造できる。図3に示す形態の離型紙付き基材シート20は、基材シート1の離型紙5側の面に粘着層2が設けられている。図3に示す形態において、離型紙、及び粘着層の何れか一方、又は双方を除いた構成としてもよい。
【0049】
(付着工程)
付着工程は、コンクリート構造物に確認シートを固定した後に、当該確認シートが固定された領域を含むコンクリート構造物に、コンクリート保護材を付着させる工程である。本願明細書でいう付着とは、塗布、噴霧、及び含浸等のコンクリート構造物に、コンクリート保護材を接しさせることができるあらゆる形態を含む。
【0050】
一例としての付着工程は、コンクリート構造物1mに対し、コンクリート保護材を150ml/m付着させる。次いで、付着させたコンクリート保護材の上に、コンクリート保護材を100ml/m付着させる。このような2段階のコンクリート保護材を付着させる場合には、それぞれの付着量に対応した確認シートを準備し、1段階目のコンクリート保護材の付着においては、1つの確認シートを使用し、2段階目のコンクリート保護材の付着においては、他の1つの確認シートを使用して、コンクリート構造物に、それぞれ目的量のコンクリート保護材が付着されたかを評価すればよい。この例においては、基準付着量を100ml/mとし、付着量が、この基準付着量に達したときに酸性物質の色相が変化する確認シート、及び基準付着量を150ml/mとし、付着量が、この基準付着量に達したときに酸性物質の色相が変化する確認シートを準備し、使用すればよい。
【0051】
次に実施例を挙げて、本発明を具体的に説明する。
【0052】
(酸性物質1の調製)
下記組成のヘテロポリ酸1 81部
・L-アスコルビン酸 19部
(CAS RN:50-81-7 林純薬工業(株))
【0053】
(ヘテロポリ酸1)
・シリカ(粉末状) 1部
(レオロシール(登録商標)CP-102 株式会社トクヤマ)
・モリブデン酸アンモニウム 40部
(CAS RN:12054-85-2 林純薬工業(株))
・希硫酸 40部
【0054】
ヘテロポリ酸1の色相は淡黄色である。酸性物質1の色相は青色である。ヘテロポリ酸1のpHは1.84である。酸性物質1のpHは1.63である。pHの測定は、液温26.5℃の条件で行った。以下のpHの測定条件も同じである。
【0055】
(酸性物質2の調製)
上記ヘテロポリ酸1におけるシリカ1部のみを、ケイ酸カルシウム(フローライトR 富田製薬(株))1部に変更したヘテロポリ酸2を使用した以外は、酸性物質1と同じにして酸性物質2を調製した。酸性物質2の色相は青色である。ヘテロポリ酸2のpHは1.18であり、酸性物質2のpHは1.38である。
【0056】
(酸性物質3の調製)
上記ヘテロポリ酸1のモリブデン酸アンモニウム1部のみを、タングステン酸アンモニウム(Cat.No.01331-01 関東化学(株))1部に変更したヘテロポリ酸3を使用した以外は、酸性物質1と同じにして酸性物質3を調製した。ヘテロポリ酸3の色相は白濁であり、酸性物質3の色相は黄色である。ヘテロポリ酸3のpHは1.17であり、酸性物質3のpHは1.07である。
【0057】
(酸性物質4の調製)
上記酸性物質1におけるL-アスコルビン酸19部を、エリソビレン酸ナトリウム(エリソビレン酸ナトリウム 八宝食産(株))19部に変更した以外は、酸性物質1と同じにして酸性物質4を調製した。酸性物質4の色相は青色である。酸性物質4のpHは2.21である。
【0058】
(酸性物質Aの調製)
ヘテロポリ酸1からモリブデン酸アンモニウムを除いた以外は、酸性物質1と同じにして酸性物質Aを調製した。酸性物質Aの色相は透明(微濁)である。酸性物質AのpHは0.62である。
【0059】
(酸性物質Bの調製)
酸性物質1からL-アスコルビン酸を除いた以外は、酸性物質1と同じにして酸性物質Bを調製した。酸性物質Bの色相は淡黄色である。酸性物質BのpHは1.84である。
【0060】
(実施例1)
厚みが200μmの濾紙に、上記酸性物質1を、濾紙1mあたりの含浸量が187.15mlとなるように滴下して実施例1の確認シートを得た。濾紙1mあたりに含浸されている酸性物質中のケイ素のモル数は0.00075モルである。
実施例1の確認シートは、コンクリート保護材の基準付着量を150ml/mに設定し、この基準付着量を付着させたときに色相が変化するようにしたものである。
実施例1の確認シートに、アルカリ性のケイ酸塩系コンクリート保護材(スーパーシールド 株式会社スーパーシールド)を100ml/m付着させたときに、酸性物質の色相は変化せず、基準付着量(150ml/m)で付着させたときに酸性物質の色相が青色から白色(濾紙の色相)に変化した。換言すれば、青色が消色した。
なお、基準付着量のコンクリート保護材に含まれるケイ素のモル数は0.075モルである。
【0061】
(実施例2)
酸性物質1の濾紙1mあたりの含浸量を126mlとなるように滴下して実施例2の確認シートを得た。濾紙1mあたりに含浸されている酸性物質中のケイ素のモル数は0.0005モルである。
実施例2の確認シートは、コンクリート保護材の基準付着量を100ml/mに設定し、この基準付着量を付着させたときに色相が変化するようにしたものである。
実施例2の確認シートに、アルカリ性のケイ酸塩系コンクリート保護材(スーパーシールド 株式会社スーパーシールド)を90ml/m付着させたときに、酸性物質の色相は変化せず、基準付着量(100ml/m)で付着させたときに酸性物質の色相が青色から白色(濾紙の色相)に変化した。
なお、基準付着量のコンクリート保護材に含まれるケイ素のモル数は0.05モルである。
【0062】
(実施例3)
酸性物質1を、上記酸性物質2に変更した以外は、全て実施例1と同様にして、実施例3の確認シートを得た。
実施例3の確認シートは、コンクリート保護材の基準付着量を150ml/mに設定し、この基準付着量を付着させたときに色相が変化するようにしたものである。
実施例3の確認シートに、アルカリ性のケイ酸塩系コンクリート保護材(スーパーシールド 株式会社スーパーシールド)を100ml/m付着させたときに、酸性物質の色相は変化せず、基準付着量(150ml/m)で付着させたときに酸性物質の色相が青色から白色(濾紙の色相)に変化した。
【0063】
(実施例4)
酸性物質1を、上記酸性物質3に変更した以外は、全て実施例1と同様にして、実施例4の確認シートを得た。
実施例4の確認シートは、コンクリート保護材の基準付着量を150ml/mに設定し、この基準付着量を付着させたときに色相が変化するようにしたものである。
実施例4の確認シートに、アルカリ性のケイ酸塩系コンクリート保護材(スーパーシールド 株式会社スーパーシールド)を100ml/m付着させたときに、酸性物質の色相は変化せず、基準付着量(150ml/m)で付着させたときに酸性物質の色相が黄色から白色(濾紙の色相)に変化した。
【0064】
(実施例5)
厚みが200μmの濾紙に、上記酸性物質1を、濾紙1mあたりの含浸量が63mlとなるように滴下して実施例5の確認シートを得た。
実施例5の確認シートは、コンクリート保護材の基準付着量を50ml/mに設定し、この基準付着量を付着させたときに色相が変化するようにしたものである。
実施例5の確認シートに、アルカリ性のケイ酸塩系コンクリート保護材(スーパーシールド 株式会社スーパーシールド)を10ml/m付着させたときに、酸性物質の色相は変化せず、基準付着量(50ml/m)で付着させたときに酸性物質の色相が青色から白色(濾紙の色相)に変化した。なお、基準付着量のコンクリート保護材に含まれるケイ素のモル数は0.025モルである。
【0065】
(比較例1)
酸性物質1を、上記酸性物質Aに変更した以外は、全て実施例1と同様にして、比較例1の確認シートを得た。
比較例1の確認シートに、アルカリ性のケイ酸塩系コンクリート保護材(スーパーシールド 株式会社スーパーシールド)を150ml/m付着させても酸性物質の色相は変化しなかった。また、これ以上の付着量でコンクリート保護材を付着させても酸性物質の色相は変化しなかった。
【0066】
(比較例2)
酸性物質1を、上記酸性物質Bに変更した以外は、全て実施例1と同様にして、比較例2の確認シートを得た。
比較例2の確認シートに、アルカリ性のケイ酸塩系コンクリート保護材(スーパーシールド 株式会社スーパーシールド)を150ml/m付着させても酸性物質の色相は変化しなかった。また、これ以上の付着量でコンクリート保護材を付着させても酸性物質の色相は変化しなかった。
【符号の説明】
【0067】
10・・・確認シート
10A・・・離型紙付き確認シート
20・・・離型紙付き基材シート
1・・・基材シート
2・・・粘着層
3・・・酸性物質
5・・・離型紙
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2022-03-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリート構造物に、アルカリ性のケイ酸塩系コンクリート保護材を付着させる施工において、前記コンクリート保護材の付着量が適切であるかを確認するための確認シートであって、
前記確認シートは、基材シートに酸性物質を含浸させたものであり、
前記酸性物質が、ヘテロポリ酸を含む組成物と、前記ヘテロポリ酸を含む組成物の色相を変化させる色相変化剤との反応物であり、
前記ヘテロポリ酸は、モリブデン酸、及びタングステン酸の何れか一方、又は双方と、ケイ酸との反応物であり、
前記色相変化剤が、前記ヘテロポリ酸の還元剤であり、
前記コンクリート構造物1mに付着させる前記コンクリート保護材の目的とする付着量を基準付着量と定義したときに、
前記酸性物質は、前記確認シート1mに前記基準付着量の前記コンクリート保護材を付着させたときに色相が変化し、一方で、前記酸性物質は、前記確認シート1mに前記基準付着量よりも少ない量の前記コンクリート保護材を付着させても色相が変化しないものである、確認シート。
【請求項2】
コンクリート構造物に、アルカリ性のケイ酸塩系コンクリート保護材を付着させる施工において、前記コンクリート保護材の付着量が適切であるかを確認するための確認シートであって、
前記確認シートは、基材シートに酸性物質を含浸させたものであり、
前記酸性物質が、ヘテロポリ酸を含む組成物と、前記ヘテロポリ酸を含む組成物の色相を変化させる色相変化剤との反応物であり、
前記ヘテロポリ酸は、モリブデン酸、及びタングステン酸の何れか一方、又は双方と、ケイ酸との反応物であり、
前記色相変化剤が、アスコルビン酸、ソルビン酸、カテキン、ジブチルヒドロキシトルエン、トコフェロール、及びブチルヒドロキシアニソールの群から選択される1つ、又は複数であり、
前記コンクリート構造物1m に付着させる前記コンクリート保護材の目的とする付着量を基準付着量と定義したときに、
前記酸性物質は、前記確認シート1m に前記基準付着量の前記コンクリート保護材を付着させたときに色相が変化し、一方で、前記酸性物質は、前記確認シート1m に前記基準付着量よりも少ない量の前記コンクリート保護材を付着させても色相が変化しないものである、確認シート。
【請求項3】
前記基準付着量の前記コンクリート保護材に含まれるケイ素のモル数が0.05モル以上0.1モル以下の範囲内の何れかである、請求項1又は2に記載の確認シート。
【請求項4】
前記基準付着量が、100ml/m 以上150ml/m 以下の範囲内の何れかである、請求項1乃至3の何れか1項に記載の確認シート。
【請求項5】
コンクリート構造物にコンクリート保護材を付着させる施工において、コンクリート保護材の付着量が適切であるかを評価する評価方法であって、
コンクリート構造物に確認シートを固定する工程と、
前記確認シートが固定された領域を含む前記コンクリート構造物にコンクリート保護材を付着させる工程と、
前記コンクリート保護材を付着させたときの、前記確認シートの色相の変化に基づいて、施工が適切に行われたかを評価する確認工程を含み、
前記コンクリート保護材が、アルカリ性のケイ酸塩系コンクリート保護材であり、
前記確認シートが、基材シートに酸性物質を含浸させたものであり、前記酸性物質が、ヘテロポリ酸を含む組成物と、前記ヘテロポリ酸を含む組成物の色相を変化させる色相変化剤との反応物であり、前記ヘテロポリ酸は、モリブデン酸、及びタングステン酸の何れか一方、又は双方と、ケイ酸との反応物であり、前記色相変化剤が、前記ヘテロポリ酸の還元剤であり、
前記コンクリート構造物1mに付着させる前記コンクリート保護材の目的とする付着量を基準付着量と定義したときに、
前記酸性物質は、前記確認シート1mに前記基準付着量の前記コンクリート保護材を付着させたときに色相が変化し、一方で、前記酸性物質は、前記確認シート1mに前記基準付着量よりも少ない量の前記コンクリート保護材を付着させても色相が変化しないものであり、
前記確認工程では、前記酸性物質の色相が変化した場合に、前記コンクリート保護材の付着量が適切量であると評価する、評価方法。
【請求項6】
コンクリート構造物にコンクリート保護材を付着させる施工において、コンクリート保護材の付着量が適切であるかを評価する評価方法であって、
コンクリート構造物に確認シートを固定する工程と、
前記確認シートが固定された領域を含む前記コンクリート構造物にコンクリート保護材を付着させる工程と、
前記コンクリート保護材を付着させたときの、前記確認シートの色相の変化に基づいて、施工が適切に行われたかを評価する確認工程を含み、
前記コンクリート保護材が、アルカリ性のケイ酸塩系コンクリート保護材であり、
前記確認シートが、基材シートに酸性物質を含浸させたものであり、前記酸性物質が、ヘテロポリ酸を含む組成物と、前記ヘテロポリ酸を含む組成物の色相を変化させる色相変化剤との反応物であり、前記ヘテロポリ酸は、モリブデン酸、及びタングステン酸の何れか一方、又は双方と、ケイ酸との反応物であり、前記色相変化剤が、アスコルビン酸、ソルビン酸、カテキン、ジブチルヒドロキシトルエン、トコフェロール、及びブチルヒドロキシアニソールの群から選択される1つ、又は複数であり、
前記コンクリート構造物1m に付着させる前記コンクリート保護材の目的とする付着量を基準付着量と定義したときに、
前記酸性物質は、前記確認シート1m に前記基準付着量の前記コンクリート保護材を付着させたときに色相が変化し、一方で、前記酸性物質は、前記確認シート1m に前記基準付着量よりも少ない量の前記コンクリート保護材を付着させても色相が変化しないものであり、
前記確認工程では、前記酸性物質の色相が変化した場合に、前記コンクリート保護材の付着量が適切量であると評価する、評価方法。
【請求項7】
前記基準付着量の前記コンクリート保護材に含まれるケイ素のモル数が0.05モル以上0.1モル以下の範囲内の何れかである、請求項5又は6に記載の評価方法。
【請求項8】
前記基準付着量が、100ml/m 以上150ml/m 以下の範囲内の何れかであ
る、請求項5乃至7の何れか1項に記載の評価方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
本発明の一実施形態の確認シートは、コンクリート構造物に、アルカリ性のケイ酸塩系コンクリート保護材を付着させる施工において、前記コンクリート保護材の付着量が適切であるかを確認するための確認シートであって、前記確認シートは、基材シートに酸性物質を含浸させたものであり、前記酸性物質が、ヘテロポリ酸を含む組成物と、前記ヘテロポリ酸を含む組成物の色相を変化させる色相変化剤との反応物であり、前記ヘテロポリ酸は、モリブデン酸、及びタングステン酸の何れか一方、又は双方と、ケイ酸との反応物であり、前記色相変化剤が、前記ヘテロポリ酸の還元剤であり、前記コンクリート構造物1mに付着させる前記コンクリート保護材の目的とする付着量を基準付着量と定義したときに、前記酸性物質は、前記確認シート1mに前記基準付着量の前記コンクリート保護材を付着させたときに色相が変化し、一方で、前記酸性物質は、前記確認シート1mに前記基準付着量よりも少ない量の前記コンクリート保護材を付着させても色相が変化しないものである。
本発明の一実施形態の確認シートは、コンクリート構造物に、アルカリ性のケイ酸塩系コンクリート保護材を付着させる施工において、前記コンクリート保護材の付着量が適切であるかを確認するための確認シートであって、前記確認シートは、基材シートに酸性物質を含浸させたものであり、前記酸性物質が、ヘテロポリ酸を含む組成物と、前記ヘテロポリ酸を含む組成物の色相を変化させる色相変化剤との反応物であり、前記ヘテロポリ酸は、モリブデン酸、及びタングステン酸の何れか一方、又は双方と、ケイ酸との反応物であり、前記色相変化剤が、アスコルビン酸、ソルビン酸、カテキン、ジブチルヒドロキシトルエン、トコフェロール、及びブチルヒドロキシアニソールの群から選択される1つ、又は複数であり、前記コンクリート構造物1m に付着させる前記コンクリート保護材の目的とする付着量を基準付着量と定義したときに、前記酸性物質は、前記確認シート1m に前記基準付着量の前記コンクリート保護材を付着させたときに色相が変化し、一方で、前記酸性物質は、前記確認シート1m に前記基準付着量よりも少ない量の前記コンクリート保護材を付着させても色相が変化しないものである。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
本発明の一実施形態の評価方法は、コンクリート構造物にコンクリート保護材を付着させる施工において、コンクリート保護材の付着量が適切であるかを評価する評価方法であって、コンクリート構造物に確認シートを固定する工程と、前記確認シートが固定された領域を含む前記コンクリート構造物にコンクリート保護材を付着させる工程と、前記コンクリート保護材を付着させたときの、前記確認シートの色相の変化に基づいて、施工が適切に行われたかを評価する確認工程を含み、前記コンクリート保護材が、アルカリ性のケイ酸塩系コンクリート保護材であり、前記確認シートが、基材シートに酸性物質を含浸させたものであり、前記酸性物質が、ヘテロポリ酸を含む組成物と、前記ヘテロポリ酸を含む組成物の色相を変化させる色相変化剤との反応物であり、前記ヘテロポリ酸は、モリブデン酸、及びタングステン酸の何れか一方、又は双方と、ケイ酸との反応物であり、前記色相変化剤が、前記ヘテロポリ酸の還元剤であり、前記コンクリート構造物1mに付着させる前記コンクリート保護材の目的とする付着量を基準付着量と定義したときに、前記酸性物質は、前記確認シート1mに前記基準付着量の前記コンクリート保護材を付着させたときに色相が変化し、一方で、前記酸性物質は、前記確認シート1mに前記基準付着量よりも少ない量の前記コンクリート保護材を付着させても色相が変化しないものであり、前記確認工程では、前記酸性物質の色相が変化した場合に、前記コンクリート保護材の付着量が適切量であると評価する。
本発明の一実施形態の評価方法は、コンクリート構造物にコンクリート保護材を付着させる施工において、コンクリート保護材の付着量が適切であるかを評価する評価方法であって、コンクリート構造物に確認シートを固定する工程と、前記確認シートが固定された領域を含む前記コンクリート構造物にコンクリート保護材を付着させる工程と、前記コンクリート保護材を付着させたときの、前記確認シートの色相の変化に基づいて、施工が適切に行われたかを評価する確認工程を含み、前記コンクリート保護材が、アルカリ性のケイ酸塩系コンクリート保護材であり、前記確認シートが、基材シートに酸性物質を含浸させたものであり、前記酸性物質が、ヘテロポリ酸を含む組成物と、前記ヘテロポリ酸を含む組成物の色相を変化させる色相変化剤との反応物であり、前記ヘテロポリ酸は、モリブデン酸、及びタングステン酸の何れか一方、又は双方と、ケイ酸との反応物であり、前記色相変化剤が、アスコルビン酸、ソルビン酸、カテキン、ジブチルヒドロキシトルエン、トコフェロール、及びブチルヒドロキシアニソールの群から選択される1つ、又は複数であり、前記コンクリート構造物1m に付着させる前記コンクリート保護材の目的とする付着量を基準付着量と定義したときに、前記酸性物質は、前記確認シート1m に前記基準付着量の前記コンクリート保護材を付着させたときに色相が変化し、一方で、前記酸性物質は、前記確認シート1m に前記基準付着量よりも少ない量の前記コンクリート保護材を付着させても色相が変化しないものであり、前記確認工程では、前記酸性物質の色相が変化した場合に、前記コンクリート保護材の付着量が適切量であると評価する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0036
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0036】
色相調整剤に限定はなく、アスコルビン酸、ソルビン酸、カテキン、ジブチルヒドロキシトルエン、トコフェロール、ブチルヒドロキシアニソール、及びこれらの混合物等を例示できる。これら色相調整剤の中でも、アスコルビン酸、ソルビン酸は、ヘテロポリ酸を含む組成物の色相と、当該ヘテロポリ酸を含む組成物と色相調整剤との反応物である酸性物質の色相を十分に異ならせることができ好ましい。アスコルビン酸としては、L-アスコルビン酸を例示できる。ソルビン酸としては、エリソルビン酸を例示できる。一例としての色相調整剤は、ヘテロポリ酸の還元剤である。一例としての酸性物質は、ケイ酸、モリブデン酸、及び希硫酸を含む組成物からなるヘテロポリ酸を、L-アスコルビン酸で還元したものであり、その色相は青色となっている。