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特開2023-66919取引支援システム、取引支援方法及びプログラム
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  • 特開-取引支援システム、取引支援方法及びプログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023066919
(43)【公開日】2023-05-16
(54)【発明の名称】取引支援システム、取引支援方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 40/04 20120101AFI20230509BHJP
【FI】
G06Q40/04
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021177781
(22)【出願日】2021-10-29
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】515324349
【氏名又は名称】前田 充宏
(72)【発明者】
【氏名】星野 航
(72)【発明者】
【氏名】前田 充宏
【テーマコード(参考)】
5L055
【Fターム(参考)】
5L055BB53
(57)【要約】
【課題】デジタルアセットの移転を管理することができるようにする。
【解決手段】取引支援システムであって、第1のブロックチェーンにおいて第1のユーザの第1のウォレットに格納された第1のNFTを使用不能にするNFT破棄処理部と、第1のNFTが使用不能になったことを確認する確認部と、第1のNFTが使用不能になったことが確認されたことを条件として、第2のブロックチェーンにおいて第2のユーザの第2のウォレットに第2のNFTを発行するNFT発行処理部と、を備えることを特徴とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のブロックチェーンにおいて第1のユーザの第1のウォレットに格納された第1のNFTを使用不能にするNFT破棄処理部と、
前記第1のNFTが使用不能になったことを確認する確認部と、
前記第1のNFTが使用不能になったことが確認されたことを条件として、第2のブロックチェーンにおいて第2のユーザの第2のウォレットに第2のNFTを発行するNFT発行処理部と、
を備えることを特徴とする取引支援システム。
【請求項2】
請求項1に記載の取引支援システムであって、
前記第1のブロックチェーンにおいて前記第1のウォレットから管理者の第3のウォレットに第1のNFTを移転する第1移転処理部をさらに備え、
前記確認部は、前記第3のウォレットに格納された前記第1のNFTが使用不能になったことを確認し、
前記NFT発行処理部は、発行した前記第2のNFTを前記第2のブロックチェーンにおける前記管理者の第4のウォレットに格納し、
前記取引支援システムは、前記第1のNFTが使用不能になったことが確認されたことを条件として、前記第4のウォレットから前記第2のウォレットに前記第2のNFTを移転する第2移転処理部をさらに備えること、
を特徴とする取引支援システム。
【請求項3】
請求項1に記載の取引支援システムであって、
使用不能になった前記第1のNFTの数量と、発行された前記第2のNFTの数量とを管理する発行数記憶部をさらに備えること、
を特徴とする取引支援システム。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の取引支援システムであって、
前記第1のNFTに紐付くコンテンツは、前記第2のNFTに紐付くコンテンツと同一であること、
を特徴とする取引支援システム。
【請求項5】
第1のブロックチェーンにおいて第1のユーザの第1のウォレットに格納された第1のNFTを使用不能にするステップと、
前記第1のNFTが使用不能になったことを確認するステップと、
前記第1のNFTが使用不能になったことが確認されたことを条件として、第2のブロックチェーンにおいて第2のユーザの第2のウォレットに第2のNFTを発行するステップと、
をコンピュータが実行することを特徴とする取引支援方法。
【請求項6】
第1のブロックチェーンにおいて第1のユーザの第1のウォレットに格納された第1のNFTを使用不能にするステップと、
前記第1のNFTが使用不能になったことを確認するステップと、
前記第1のNFTが使用不能になったことが確認されたことを条件として、第2のブロックチェーンにおいて第2のユーザの第2のウォレットに第2のNFTを発行するステップと、
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、取引支援システム、取引支援方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ノンファンジブルトークンにより所有者を管理することが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2021/186814号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
異なるブロックチェーン間でトークンを移動させる場合には、その一貫性を管理することが難しい。
【0005】
本発明はこのような背景を鑑みてなされたものであり、デジタルアセットの移転を管理することのできる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための本発明の主たる発明は、取引支援システムであって、第1のブロックチェーンにおいて第1のユーザの第1のウォレットに格納された第1のNFTを使用不能にするNFT破棄処理部と、前記第1のNFTが使用不能になったことを確認する確認部と、前記第1のNFTが使用不能になったことが確認されたことを条件として、第2のブロックチェーンにおいて第2のユーザの第2のウォレットに第2のNFTを発行するNFT発行処理部と、を備えることを特徴とする。
【0007】
その他本願が開示する課題やその解決方法については、発明の実施形態の欄及び図面により明らかにされる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、デジタルアセットの移転を管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係る取引支援システムの全体構成例を示す図である。
図2】各ブロックチェーンのウォレットについて説明する図である。
図3】管理サーバ3のハードウェア構成例を示す図である。
図4】管理サーバ3のソフトウェア構成例を示す図である。
図5】本実施形態の取引支援システムの動作を説明する図である。
図6】第2の実施形態に係る取引支援システムの全体構成例を示す図である。
図7】第2の実施形態に係る管理サーバ3のソフトウェア構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<発明の概要>
本発明の実施形態の内容を列記して説明する。本発明は、たとえば、以下のような構成を備える。
[項目1]
第1のブロックチェーンにおいて第1のユーザの第1のウォレットに格納された第1のNFTを使用不能にするNFT破棄処理部と、
前記第1のNFTが使用不能になったことを確認する確認部と、
前記第1のNFTが使用不能になったことが確認されたことを条件として、第2のブロックチェーンにおいて第2のユーザの第2のウォレットに第2のNFTを発行するNFT発行処理部と、
を備えることを特徴とする取引支援システム。
[項目2]
項目1に記載の取引支援システムであって、
前記第1のブロックチェーンにおいて前記第1のウォレットから管理者の第3のウォレットに第1のNFTを移転する第1移転処理部をさらに備え、
前記確認部は、前記第3のウォレットに格納された前記第1のNFTが使用不能になったことを確認し、
前記NFT発行処理部は、発行した前記第2のNFTを前記第2のブロックチェーンにおける前記管理者の第4のウォレットに格納し、
前記取引支援システムは、前記第1のNFTが使用不能になったことが確認されたことを条件として、前記第4のウォレットから前記第2のウォレットに前記第2のNFTを移転する第2移転処理部をさらに備えること、
を特徴とする取引支援システム。
[項目3]
項目1に記載の取引支援システムであって、
使用不能になった前記第1のNFTの数量と、発行された前記第2のNFTの数量とを管理する発行数記憶部をさらに備えること、
を特徴とする取引支援システム。
[項目4]
項目1ないし3のいずれか1項に記載の取引支援システムであって、
前記第1のNFTに紐付くコンテンツは、前記第2のNFTに紐付くコンテンツと同一であること、
を特徴とする取引支援システム。
[項目5]
第1のブロックチェーンにおいて第1のユーザの第1のウォレットに格納された第1のNFTを使用不能にするステップと、
前記第1のNFTが使用不能になったことを確認するステップと、
前記第1のNFTが使用不能になったことが確認されたことを条件として、第2のブロックチェーンにおいて第2のユーザの第2のウォレットに第2のNFTを発行するステップと、
をコンピュータが実行することを特徴とする取引支援方法。
[項目6]
第1のブロックチェーンにおいて第1のユーザの第1のウォレットに格納された第1のNFTを使用不能にするステップと、
前記第1のNFTが使用不能になったことを確認するステップと、
前記第1のNFTが使用不能になったことが確認されたことを条件として、第2のブロックチェーンにおいて第2のユーザの第2のウォレットに第2のNFTを発行するステップと、
をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【0011】
<システムの概要>
図1は、本発明の一実施形態に係る取引支援システムの全体構成例を示す図である。本実施形態の取引支援システムは、管理サーバ3を含んで構成される。管理サーバ3は、ブロックチェーンネットワーク1及びブロックチェーンネットワーク2にアクセス可能である。ブロックチェーンネットワーク1には第1のユーザ(ユーザA)のユーザ端末4がアクセス可能であり、ブロックチェーンネットワーク2には第2のユーザ(ユーザB)のユーザ端末5がアクセス可能である。なお、ユーザ端末4及び5は、それぞれブロックチェーンネットワーク2及び1にアクセス可能としてもよい。また、ユーザA及びユーザBは同一人物であってもよく、ユーザ端末4及び5は同一の端末であってもよい。
【0012】
ブロックチェーンネットワーク1及び2は、複数のノード(コンピュータ)により構成され、台帳データを分散して管理することができる。分散台帳は、いわゆるブロックチェーンの仕組みにより改ざん困難に管理される。なお、ブロックチェーンによる分散台帳管理の仕組みについては一般的なものを採用するものとしてここでは詳細な説明を省略する。ブロックチェーンネットワーク1及び2は、例えば、イーサリアムなどにより構築することができる。
【0013】
イーサリアムなどのブロックチェーンネットワーク1及び2によって発行可能なトークン(イーサリアムトークン)としては、ファンジブルトークンと、ノンファンジブルトークン(非代替性トークン;Non-Fungible Token:NFT)とがある。NFTは、ファンジブルトークンとは異なり、代替性を有さないトークンである。NFTは、他のNFTと区別される独自の価値を有することができる。このため、NFTは、他のNFTとの区別を可能にするための固有の識別子(NFT-ID)を有する。NFTは、例えば、ERC(Ethereum Request for Comments)721規格に従って発行されたトークンである。ERC721規格に準拠したNFTは、NFT-721トークンとも呼ばれる。本実施形態では、一例として、NFTは、NFT-721トークンであることを想定する。NFTは、ファンジブルトークンと同様に、ブロックチェーンネットワーク1及び2上において取引可能である。NFTの取引履歴は、ブロックチェーンネットワーク1及び2において記録される。ブロックチェーンネットワーク1及び2の分散台帳では、NFTの所有者(オーナー)及び所有履歴も記録される。
【0014】
本実施形態の取引支援システムでは、ブロックチェーンネットワーク1のユーザAのウォレットに格納されているNFTを、ブロックチェーンネットワーク2のユーザBのウォレットに移転する際に、安全に移転を行うことができるようにしている。ブロックチェーンを跨ぐNFTの移転を行うには、移転元のブロックチェーンにおいてNFTを破棄し、移転先のブロックチェーンにおいてNFTを新規に発行する必要がある。これらの処理の原子性を担保するべく、本実施形態の取引支援システムでは、エンドユーザ(ユーザA及びB)とは異なる第三者(本実施形態では、管理サーバ3の管理者Xであるものとし、管理者ユーザと称する。)のウォレットを経由させることで、管理者Xの管理下においてNFTの破棄及び生成を一連の処理として実行することを可能としている。
【0015】
図2は、各ブロックチェーンのウォレットについて説明する図である。同図に示すように、ブロックチェーンネットワーク1にはユーザAのウォレット11が設けられ、ブロックチェーンネットワーク2にはユーザBのウォレット22が設けられている。また、管理者Xは、取引の支援対象とするブロックチェーンネットワークについては全てウォレットを開設するものとし、図2の例では、ブロックチェーンネットワーク1には管理者Xのウォレット12、ブロックチェーンネットワーク2には管理者Xのウォレット21がそれぞれ開設されている。
【0016】
<管理サーバ>
管理サーバ3は、例えばワークステーションやパーソナルコンピュータのような汎用コンピュータとしてもよいし、あるいはクラウド・コンピューティングによって論理的に実現されてもよい。図3は、管理サーバ3のハードウェア構成例を示す図である。なお、図示された構成は一例であり、これ以外の構成を有していてもよい。管理サーバ3は、CPU301、メモリ302、記憶装置303、通信インタフェース304、入力装置305、出力装置306を備える。記憶装置303は、各種のデータやプログラムを記憶する、例えばハードディスクドライブやソリッドステートドライブ、フラッシュメモリなどである。通信インタフェース304は、通信ネットワークに接続するためのインタフェースであり、例えばイーサネット(登録商標)に接続するためのアダプタ、公衆電話回線網に接続するためのモデム、無線通信を行うための無線通信機、シリアル通信のためのUSB(Universal Serial Bus)コネクタやRS232Cコネクタなどである。入力装置305は、データを入力する、例えばキーボードやマウス、タッチパネル、ボタン、マイクロフォンなどである。出力装置306は、データを出力する、例えばディスプレイやプリンタ、スピーカなどである。なお、後述する管理サーバ装置3の各機能部はCPU301が記憶装置303に記憶されているプログラムをメモリ302に読み出して実行することにより実現され、管理サーバ3の各記憶部はメモリ302及び記憶装置303が提供する記憶領域の一部として実現される。
【0017】
図4は、管理サーバ3のソフトウェア構成例を示す図である。管理サーバ3は、移転指示受信部311、第1移転処理部312、支払確認部313、NFT発行処理部314、NFT破棄処理部315、第2移転処理部316を備える。
【0018】
移転指示受信部311は、NFTの移転の指示(以下、移転指示という。)を受け付ける。本実施形態では、移転指示受信部311は、ユーザ端末4から移転指示を受信することができる。また、移転指示受信部311は、ユーザ端末4とは異なる通信装置から移転指示を受信してもよい。移転指示には、移転元のNFTの現オーナーのユーザ(すなわちユーザA)と、NFTの移転先のユーザ(すなわちユーザB)とを指定することができる。
【0019】
第1移転処理部312は、NFTを移転元(ユーザA)のウォレット11から管理者Xのウォレット12に移転する。なお、本実施形態では、所定の第三者は、管理サーバ3の管理者であるものとし、当該所定の第三者のユーザを管理者ユーザと称するが、管理サーバ3の管理者に限らず、ユーザによる信頼を得た第三者とすることができる。第1移転処理部312は、NFTを譲渡元のユーザAから管理者Xに移転するトランザクションをブロックチェーンネットワーク1に発行することができる。
【0020】
支払確認部313は、NFTの移転に法定通貨による金銭対価の支払が発生する場合に、当該支払が完了したことを確認する。支払確認部313は、例えば、決済業者の決済システム(不図示)から支払完了の通知を受け取ることにより支払の完了を確認するようにしてもよい。また、支払確認部313は、決済業者の決済システム(不図示)にアクセスして譲渡先ユーザBから譲渡元ユーザAへの支払に係る決済に成功したか否かを確認するようにしてもよい。
【0021】
NFT発行処理部314は、ブロックチェーンネットワーク1で管理されているNFTに対応するNFTを、移転先のブロックチェーンネットワーク2において発行することができる。NFT発行処理部314は、例えば、NFTに紐付けられているコンテンツを示すコンテンツIDを、ブロックチェーンネットワーク2において発行されるNFTにも引き継いで設定することができる。NFT発行処理部314は、新規に発行したNFTを、管理者Xのブロックチェーンネットワーク2におけるウォレット21に格納させることができる。
【0022】
NFT破棄処理部315は、移転対象となるNFTを破棄する。NFT破棄処理部315は、例えば、NFTを破棄するトランザクションを発行するこができる。NFT破棄処理部315は、ブロックチェーンネットワーク1において移転対象のNFTが管理者Xのウォレット12に移転され、当該NFTに対応するNFTがブロックチェーンネットワーク2において発行されて管理者Xのウォレット21に格納された後、ブロックチェーンネットワーク1においてNFTを破棄することができる。
【0023】
第2移転処理部316は、ブロックチェーンネットワーク2において管理者Xのウォレット21から、移転先のユーザBのウォレット22にNFTを移転する。第2移転処理部316は、トランザクションを発行して当該移転処理を行うことができる。
【0024】
<動作>
図5は、本実施形態の取引支援システムの動作を説明する図である。
【0025】
管理サーバ3は、移転指示に応じて、ブロックチェーンネットワーク1において、移転対象のNFTを所有するユーザAのウォレット11から管理者Xのウォレット12に当該NFTを移転する(S401)。移転に伴う対価の支払がある場合には(S402:YES)、管理サーバ3は、移転先となるユーザBから、移転元のユーザA(又は管理者X)への法定通貨による支払が行われたことを確認する(S403)。
【0026】
管理サーバ3は、移転対象のNFTに対応する新規のNFTをブロックチェーンネットワーク2において発行し、管理者Xのウォレット21に格納する(S404)。ブロックチェーンネットワーク2において新規にNFTが発行された後、管理サーバ3は、ブロックチェーンネットワーク1において、管理者Xのウォレット12に格納されている取引対象のNFTを破棄する(S405)。
【0027】
管理サーバ3は、ブロックチェーンネットワーク1においてNFTが破棄された後、ブロックチェーンネットワーク2において管理者Xのウォレット21から、移転先のユーザBのウォレット22にNFTを移転することができる(S406)。
【0028】
以上のようにして、本実施形態の取引支援システムでは、管理者Xのウォレットを介してブロックチェーン間でのNFTの移転を行うことにより、一連の処理の原子性を確保することができる。
【0029】
<第2実施形態>
以下、第2の実施形態について説明する。第2の実施形態では、管理者Xのウォレット12、21を介した移転処理を行わず、各ブロックチェーンネットワーク1,2において現存しているNFTの数を管理する。図6は、第2の実施形態に係る取引支援システムの全体構成例を示す図である。第2の実施形態では、各ブロックチェーンネットワーク1,2には事業者装置6,7が接続されている。事業者装置6,7は、それぞれに対応するブロックチェーンネットワーク1,2においてNFTを発行し、またNFTを破棄することのできる事業者のコンピュータである。
【0030】
図7は、第2の実施形態に係る管理サーバ3のソフトウェア構成例を示す図である。図7に示すように、第2の実施形態では、第1移転処理部312、第2移転処理部316を省略することができる。また、管理サーバ3はさらに、取引通知受信部321、発行数記憶部322、変動履歴記憶部323、発行数提供部324を備える。
【0031】
発行数記憶部322は、ブロックチェーンネットワーク1,2におけるNFTの数を記憶する。発行数記憶部322は、ブロックチェーンネットワークを特定するブロックチェーンID、NFTに紐付けられているコンテンツの種類を示す種類ID、当該種類のNFTが発行されている数(発行数)、一度発行された後に破棄されたNFTの数(破棄数)などを記憶することができる。発行数記憶部322はまた、発行数から破棄数を引いた残数である流通数を記憶することもできる。
【0032】
変動履歴記憶部323は、ブロックチェーンネットワーク1,2におけるNFTの変動の履歴を記憶する。変動履歴記憶部323は、ブロックチェーンネットワークを特定するブロックチェーンIDと、NFTを特定するNFT_IDとに対応付けて、取引の内容を記憶することができる。また、変動履歴記憶部323は、取引されたNFTの種類を示す種類IDを記憶してもよい。
【0033】
取引通知受信部321は、事業者装置6,7からNFTの取引に関する通知(以下、取引通知という。)を受信する。本実施形態では、事業者装置6,7からは、それぞれに対応するブロックチェーンネットワーク1,2において、NFTを発行した場合と、NFTを破棄した場合とに通知されるものとする。また、取引通知は、NFTの移転についても送信される。取引通知には、NFTに紐付けられるコンテンツの種類を示す情報(以下、種類IDという。)と、NFTの識別情報(以下、NFT_IDという。)とが含まれる。また、移転に係る取引通知については、移転元及び移転先の情報などを含めることができる。
【0034】
取引通知受信部321は、取引通知に基づいて発行数記憶部322に記憶されている発行数、破棄数、流通数を更新することができる。取引通知受信部321は、NFTが発行されたことを示す取引通知を受信した場合、取引通知の送信元のブロックチェーンネットワークを示すブロックチェーンID及び取引通知に指定されている種類IDに対応する発行数及び流通数をインクリメントすることができる。取引通知受信部321は、NFTが破棄されたことを示す取引通知を受信した場合、取引通知の送信元のブロックチェーンネットワークを示すブロックチェーンID及び取引通知に指定されている種類IDに対応する破棄数をインクリメントし、流通数をデクリメントすることができる。また、取引通知受信部321は、取引通知の送信元のブロックチェーンネットワークを示すブロックチェーンIDと、取引通知に設定されているNFT_ID及び種類IDと、処理の内容(新規発行、破棄、移転など)を設定したレコードを変動履歴記憶部323に登録することができる。また、取引通知に、取引に関する移転元や移転先などの他の情報が設定されている場合には、取引通知受信部321は、当該情報を処理内容に追記することができる。
【0035】
発行数提供部324は、リクエスト(以下、発行数リクエストという。)に応じてブロックチェーンネットワークにおけるNFTの数を応答することができる。発行数リクエストには、発行数、破棄数又は流通数のいずれか又は全部の指定と、ブロックチェーンネットワークの指定とが含まれる。発行数提供部324は、発行数リクエストに指定されているブロックチェーンネットワークに対応する、指定されている発行数、破棄数及び流通数の少なくともいずれかを発行数記憶部322から読み出して応答することができる。
【0036】
このように、ブロックチェーンネットワーク1,2において流通しているNFTの数を事業者とは異なる第三者が管理することにより、例えば、限定販売等の数が真実であるかどうかを検証することができる。
【0037】
以上、本実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物も含まれる。
【0038】
例えば、本実施形態では、NFTの対価は法定通貨により支払われるものとしたが、仮想通貨により支払われるものとしてもよい。また、仮想通貨以外の対価弁済を行うようにしてもよい。
【0039】
また、本実施形態では、管理サーバ3がNFTの移転、破棄及び発行を行うものとしたが、ブロックチェーン1及び2においてスマートコントラクトにより行うようにすることもできる。また、支払確認部313を含め、全ての管理サーバ3の機能をスマートコントラクトにより実装することもできる。
【0040】
また、本実施形態では、ブロックチェーンネットワーク1において管理者Xのウォレット12にNFTが移転した後に、ブロックチェーンネットワーク2においてNFTを発行するものとしたが、ブロックチェーンネットワーク2においてNFTを発行した後に、ブロックチェーンネットワーク1において管理者Xのウォレット12にNFTを移転するようにしてもよい。
【0041】
また、本実施形態では、ブロックチェーンネットワーク1からブロックチェーンネットワーク2に移転させるNFTは、ブロックチェーンネットワーク1において破棄されるものとしたが、これに限らず、ブロックチェーンネットワーク1において使用不能とされればよい。例えば、ブロックチェーンネットワーク1において所定のバーンアドレスにNFTを移転することにより使用不能とすることができる。また、NFTのメタデータに使用可否を示すフラグ値を格納するようにし、当該フラグ値を使用不能を示す値(例えば、偽)に設定することによりNFTを使用不能に設定してもよい。また、ブロックチェーンネットワーク1において、使用可能なNFT及び/又は使用不能なNFTを管理する分散台帳を管理するようにし、破棄する代わりに使用不能なNFTとして管理するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0042】
1 ブロックチェーン
2 ブロックチェーン
3 管理サーバ
4 ユーザ端末
5 ユーザ端末
A ユーザ
B ユーザ
X 管理者
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2021-12-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のブロックチェーンにおいて第1のユーザの第1のウォレットに格納された、コンテンツに紐付けられた第1のNFTを管理者の第3のウォレットに移転する第1移転処理部と、
第2のブロックチェーンにおいて前記コンテンツに紐付けられた第2のNFTを発行して、前記第2のブロックチェーンにおける前記管理者の第4のウォレットに前記第2のNFTを格納するNFT発行処理部と、
前記第1のブロックチェーンにおいて前記第3のウォレットに格納された前記第1のNFTを使用不能にするNFT破棄処理部と、
前記第1のNFTが使用不能になったことを確認する確認部と、
前記第1のNFTが使用不能になったことが確認されたことを条件として、前記第2のブロックチェーンにおいて前記第4のウォレットから、前記第1のユーザとは異なる第2のユーザの第2のウォレットに前記第2のNFTを移転する第2移転処理部と、
を備えることを特徴とする取引支援システム。
【請求項2】
請求項1に記載の取引支援システムであって、
使用不能になった前記第1のNFTの数量と、発行された前記第2のNFTの数量とを管理する発行数記憶部をさらに備えること、
を特徴とする取引支援システム。
【請求項3】
第1のブロックチェーンにおいて第1のユーザの第1のウォレットに格納された、コンテンツに紐付けられた第1のNFTを管理者の第3のウォレットに移転するステップと、
第2のブロックチェーンにおいて前記コンテンツに紐付けられた第2のNFTを発行して、前記第2のブロックチェーンにおける前記管理者の第4のウォレットに前記第2のNFTを格納するステップと、
前記第1のブロックチェーンにおいて前記第3のウォレットに格納された前記第1のNFTを使用不能にするステップと、
前記第1のNFTが使用不能になったことを確認するステップと、
前記第1のNFTが使用不能になったことが確認されたことを条件として、前記第2のブロックチェーンにおいて前記第4のウォレットから、前記第1のユーザとは異なる第2のユーザの第2のウォレットに前記第2のNFTを移転するステップと、
をコンピュータが実行することを特徴とする取引支援方法。
【請求項4】
第1のブロックチェーンにおいて第1のユーザの第1のウォレットに格納された、コンテンツに紐付けられた第1のNFTを管理者の第3のウォレットに移転するステップと、
第2のブロックチェーンにおいて前記コンテンツに紐付けられた第2のNFTを発行して、前記第2のブロックチェーンにおける前記管理者の第4のウォレットに前記第2のNFTを格納するステップと、
前記第1のブロックチェーンにおいて前記第3のウォレットに格納された前記第1のNFTを使用不能にするステップと、
前記第1のNFTが使用不能になったことを確認するステップと、
前記第1のNFTが使用不能になったことが確認されたことを条件として、前記第2のブロックチェーンにおいて前記第4のウォレットから、前記第1のユーザとは異なる第2のユーザの第2のウォレットに前記第2のNFTを移転するステップと、
をコンピュータに実行させるためのプログラム。