(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023066925
(43)【公開日】2023-05-16
(54)【発明の名称】青色蛍光体感光性組成物
(51)【国際特許分類】
G02B 5/20 20060101AFI20230509BHJP
C09K 11/08 20060101ALI20230509BHJP
C09K 11/02 20060101ALI20230509BHJP
【FI】
G02B5/20
C09K11/08
C09K11/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021177793
(22)【出願日】2021-10-29
(71)【出願人】
【識別番号】000180058
【氏名又は名称】山陽色素株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177264
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 嘉秀
(74)【代理人】
【識別番号】100074561
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 隆生
(74)【代理人】
【識別番号】100124925
【弁理士】
【氏名又は名称】森岡 則夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141874
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 久由
(74)【代理人】
【識別番号】100163577
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 正人
(72)【発明者】
【氏名】村上 博昭
【テーマコード(参考)】
2H148
4H001
【Fターム(参考)】
2H148AA05
2H148AA07
4H001CA01
4H001CA02
(57)【要約】
【課題】耐熱性に優れた青色蛍光体感光性組成物を提供すること。
【解決手段】400nm以下の波長範囲に主な吸収領域を、かつ430nm~480nmの波長範囲に発光ピークをそれぞれ有し、青色系蛍光を放出する青色系無機蛍光体、シリコーン樹脂、アルカリ可溶性樹脂、光重合性化合物、光重合開始剤、及び有機溶剤を含有することを特徴とする、青色蛍光体感光性組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
400nm以下の波長範囲に主な吸収領域を、かつ430nm~480nmの波長範囲に発光ピークをそれぞれ有し、青色系蛍光を放出する青色系無機蛍光体、シリコーン樹脂、アルカリ可溶性樹脂、光重合性化合物、光重合開始剤、及び有機溶剤を含有することを特徴とする、青色蛍光体感光性組成物。
【請求項2】
前記青色蛍光体感光性組成物が、前記青色系無機蛍光体、前記シリコーン樹脂及び前記有機溶剤を含有する蛍光体分散液と、前記アルカリ可溶性樹脂、前記光重合性化合物、前記光重合開始剤及び前記有機溶剤との混合物である、請求項1に記載の青色蛍光体感光性組成物。
【請求項3】
前記青色系無機蛍光体10~35重量%、
シリコーン樹脂1~16重量%、
アルカリ可溶性樹脂1~10重量%、
光重合性化合物5~10重量%、
光重合開始剤2~6重量%、及び
有機溶剤13~74重量%を含有する、請求項1又は2に記載の青色蛍光体感光性組成物。
【請求項4】
色変換層用である請求項1~3のいずれかに記載の青色蛍光体感光性組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、青色蛍光体感光性組成物に関するものである。より詳しくは、有機ELディスプレイ、マイクロLEDディスプレイにおける色変換層に使用するための青色蛍光体感光性組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自発光型ディスプレイとして、有機ELディスプレイ、マイクロLEDディスプレイが知られている。中でも、マイクロLEDディスプレイは、液晶ディスプレイに比べて、応答速度が速く、コントラストが高いという特徴がある。
前記マイクロLEDディスプレイ用の感光性樹脂組成物として、少なくとも、h線の吸光係数が100mL/g・cm以上である光重合開始剤、ピロメテン誘導体、光重合性化合物及びアルカリ可溶性樹脂を含有することを特徴とする感光性樹脂組成物が提案されている(特許文献1)。前記感光性樹脂組成物では、前記アルカリ可溶性樹脂としてアクリル樹脂が使用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
有機ELディスプレイ、マイクロLEDディスプレイの色変換層を形成する場合、段階的に加熱硬化させる手法は公知である。しかしながら、従来品であるアクリル樹脂やウレタン樹脂を含有した感光性樹脂組成物を加熱硬化させると硬化膜の発光維持率が低下するという、耐熱性の問題が存在する。
本発明の課題は、耐熱性に優れた青色蛍光体感光性組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、400nm以下の波長範囲に主な吸収領域を、かつ430nm~480nmの波長範囲に発光ピークをそれぞれ有し、青色系蛍光を放出する青色系無機蛍光体、シリコーン樹脂、アルカリ可溶性樹脂、光重合性化合物、光重合開始剤、及び有機溶剤を含有することを特徴とする、青色蛍光体感光性組成物に関する。
【0006】
前記青色蛍光体感光性組成物が、前記青色系無機蛍光体、前記シリコーン樹脂及び前記有機溶剤を含有する蛍光体分散液と、前記アルカリ可溶性樹脂、前記光重合性化合物、前記光重合開始剤及び前記有機溶剤との混合物であってもよい。
【0007】
前記青色蛍光体感光性組成物での各成分の含有量について、前記青色系無機蛍光体10~35重量%、シリコーン樹脂1~16重量%、アルカリ可溶性樹脂1~10重量%、光重合性化合物5~10重量%、光重合開始剤2~6重量%、及び有機溶剤13~74重量%であってもよい。
【0008】
前記青色蛍光体感光性組成物は、色変換層用であってもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る青色蛍光体感光性組成物は、加熱硬化させた場合でも発光維持率が高い。そのため、この青色蛍光体感光性組成物を用いて作製した有機ELディスプレイ又はマイクロLEDディスプレイ用の色変換基板は、単位面積あたり従来より少ない青色蛍光体量でも、必要な発光輝度を保つことができる。
また、発光維持率が高いため、従来品に比べて色変換基板を効率よく低コストで製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る青色蛍光体感光性組成物の実施形態について説明する。
【0011】
本発明の実施形態に係る青色蛍光体感光性組成物(以下、本発明の組成物ともいう)は、400nm以下の波長範囲に主な吸収領域を、かつ430nm~480nmの波長範囲に発光ピークをそれぞれ有し、青色系蛍光を放出する青色系無機蛍光体、シリコーン樹脂、アルカリ可溶性樹脂、光重合性化合物、光重合開始剤、及び有機溶剤を含有することを特徴とする。
【0012】
本発明の組成物では、シリコーン樹脂とアルカリ可溶性樹脂とを併用することで、組成物中における青色系無機蛍光体の分散性が向上し、かつ耐熱性が優れたものとなる。
【0013】
[青色系無機蛍光体]
前記青色系無機蛍光体とは、無機化合物からなり、かつ紫外線を吸収して青色光を放出する蛍光体であり、従来から種々のものが知られている。本発明では、そのような青色系無機蛍光体の中でも、紫外線の吸収領域が主に400nm以下の波長範囲にあり、かつ青色光を放出する発光領域の発光ピークが430nm~480nm、好ましくは450nm~470nmの波長範囲にあるものを使用する。なお、本発明で使用する青色系無機蛍光体は、410nm程度までは紫外線を吸収するものでもよい。本発明では、上記吸収領域及び発光ピークの波長範囲を有する青色系無機蛍光体を、1種単独で又は異なる2種以上の組み合わせで使用することができる。
【0014】
本発明では、前述の吸収領域及び発光ピークの波長範囲を有する青色系無機蛍光体であれば特に限定なく使用できる。例として、ユーロピウム付活ハロリン酸塩蛍光体及びユーロピウム付活アルミン酸塩蛍光体よりなる群から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
【0015】
ユーロピウム付活ハロリン酸塩蛍光体としては、前述の吸収領域及び発光ピークの波長範囲を有するものである。アルカリ土類金属を含むユーロピウム付活ハロリン酸塩蛍光体が好ましく、その具体例として、下記一般式(1)~(3)でそれぞれ表わされる蛍光体(1)~(3)等が挙げられる。蛍光体(1)~(3)は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0016】
蛍光体(1):(Sr,Ca)a(Ba)b(Eu)c(PO4)d(Cl)e〔式中、a及びbはそれぞれ、a+b=5-cかつ0.12≦{b/(a+b)}≦0.4の条件を満たす数である。0.3≦c≦1.2、2.7≦d≦3.3、0.9≦e≦1である。〕
蛍光体(1)は、例えば、国際公開第2012/114640号公報等に記載されている。
【0017】
蛍光体(1)の具体例としては、Eu0.50Sr4.05Ba0.45(PO4)3Cl、Eu0.50Sr3.83Ba0.57(PO4)3Cl、Eu0.50Sr3.78Ba0.72(PO4)3Cl、Eu0.50Sr3.42Ba1.08(PO4)3Cl、Eu0.50Sr2.97Ba1.53(PO4)3Cl、Eu0.45Sr3.40Ba0.65(PO4)3Cl、Eu0.55Sr3.74Ba0.71(PO4)3Cl、Eu0.65Sr3.65Ba0.70(PO4)3Cl、Eu0.32Sr3.74Ba0.94(PO4)3Cl、Eu0.38Sr3.70Ba0.92(PO4)3Cl、Eu0.95Sr3.24Ba0.81(PO4)3Cl、Eu0.50Sr3.60Ba0.45Ca0.45(PO4)3Cl等が挙げられる。蛍光体(1)は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0018】
蛍光体(2):(Sr1-x-yBaxCay)5(PO4)3(Cl)(Eu)〔式中、0≦x<0.5、0≦y<0.1〕
蛍光体(2)は、例えば、特開2013-229539号公報等に記載されている。
【0019】
蛍光体(2)の具体例としては、Sr5(PO4)3Cl:Eu、(Sr0.88Ba0.12)5(PO4)3Cl:Eu、(Sr0.79Ba0.21)5(PO4)3Cl:Eu等が挙げられる。例えばSr5(PO4)3Cl:Euは(株)ネモトルミマテリアル、日亜化学(株)等から市販されている。また、本明細書では、蛍光体(2)と同種のものも蛍光体(2)に含まれるものとする。ここで、蛍光体(2)と同種のものとは、Euを少なくとも1モル含有し、さらにPO4、Cl及びアルカリ土類金属を含む青色蛍光体である。該青色蛍光体の具体例としては、例えば、(Sr、Ca、Ba2、Mg)10(PO4)6Cl2:Eu、(Sr,Ca,Ba)5(PO4)3Cl:Eu、(Ba,Ca)5(PO4)3Cl:Eu、(Ca,Sr,Ba)10(PO4)6(Cl,F)2:Eu、(Sr,Ca,Ba,Mg)10(PO4)6(Cl,F)2:Eu等が挙げられる。蛍光体(2)及び同種の青色蛍光体は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0020】
蛍光体(3):(Sr1-x-y-zMxCayEuz)5(PO4)3(Cl)〔式中、x及びyは前記に同じ。MはBa及び/又はMgを示す。0.005<z<0.1である。〕
蛍光体(3)は、例えば、特開2004-253747号公報、特開2014-197707号公報、国際公開第2009/141982号公報等に記載されている。
【0021】
蛍光体(3)の具体例としては、(Sr0.9Eu0.1)5(PO4)3Cl、(Sr0.8Eu0.2)5(PO4)3Cl、(Sr0.7Eu0.3)5(PO4)3Cl、(Sr0.6Eu0.4)5(PO4)3Cl、(Sr0.4Eu0.6)5(PO4)3Cl、(Sr0.99Eu0.01)5(PO4)3Cl、(Sr0.1Eu0.9)5(PO4)3Cl、(Sr0.98Eu0.02)5(PO4)3Cl、(Sr0.8Ba0.19Eu0.01)5(PO4)3Cl、(Sr0.8Ca0.19Eu0.01)5(PO4)3Cl、(Sr0.85Ba0.01Ca0.09Eu0.05)5(PO4)3Cl、(Sr0.894Ba0.1Eu0.006)5(PO4)3Cl、(Sr0.42Ba0.48Ca0.01Eu0.09)5(PO4)3Cl2、(Sr0.85Ba0.01Ca0.09Eu0.05)5(PO4)3Cl、(Sr0.44Ba0.49Ca0.02Eu0.05)5(PO4)3Cl等が挙げられる。蛍光体(3)は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0022】
ユーロピウム付活アルミン酸塩蛍光体としては、前述の吸収領域及び発光ピークの波長範囲を有するものである。例えば、アルカリ土類金属を含むユーロピウム付活アルミン酸塩蛍光体が好ましい。その具体例として、下記一般式(4)~(7)でそれぞれ表わされる蛍光体(4)~(7)等が挙げられる。蛍光体(4)~(7)は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0023】
蛍光体(4):BaMgAl10O17:Eu
蛍光体(5):(Ba,Sr)MgAl10O17:Eu
蛍光体(4)及び(5)は、例えば(株)ネモトルミマテリアル等から市販されている。蛍光体(5)においては、(Ba,Sr)とEuとの合計モル量に対して、Euを5~15モル%含有するように構成することが好ましい。
【0024】
蛍光体(6):Ba1-pMgAl10O17:Eup〔式中、0.03≦p≦0.2である。〕
蛍光体(7):Ba1-p-qMqMgAl10O17:Eup〔式中、pは前記に同じ。MはSr又はCaを示す。0.1≦q≦0である。〕
蛍光体(6)及び(7)は、例えば、特開2005-340155号公報、特開2008-181886号公報、特開2010-248525号公報等に記載されている。
【0025】
蛍光体(6)及び蛍光体(7)の具体例としては、Ba0.97MgAl10O17:Eu0.03、Ba0.95MgAl10O17:Eu0.05、Ba0.9MgAl10O17:Eu0.1、Ba0.8MgAl10O17:Eu0.2、Ba0.87Sr0.1MgAl10O17:Eu0.03、Ba0.6Sr0.3MgAl10O17:Eu0.1、Ba0.4Sr0.5MgAl10O17:Eu0.1、Ba0.5Sr0.3MgAl10O17:Eu0.2、Ba0.8Sr0.1MgAl10O17:Eu0.1等が挙げられる。蛍光体(6)及び蛍光体(7)は、それぞれ1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
【0026】
青色系無機蛍光体としては、前述の吸収領域及び発光ピークの波長範囲を有するものであれば、各種市販品を用いることもできる。
前記市販品としては、大電株式会社製の青色系無機蛍光体(例えば、VPB-1等)、根本特殊化学株式会社製の青色系無機蛍光体(例えば、D1234等)、堺化学工業株式会社製の青色系無機蛍光体(例えば、SL-B)等が挙げられる。
【0027】
青色系無機蛍光体の粒径は、分散性の観点から、好ましくは2~5μmである。ここでの粒径は、光散乱法で測定される50%累積体積平均粒子径(D50)である。
【0028】
本発明の組成物中における青色系無機蛍光体の含有量としては、青色系無機蛍光体の作用効果を十分に発揮する観点から、10~35重量%が好まく、15~30重量%がより好ましい。
【0029】
[シリコーン樹脂]
青色系無機蛍光体と共に必須成分として用いられるシリコーン樹脂は、蛍光体層において青色系無機蛍光体を保持するマトリックス樹脂になる。さらに、青色系無機蛍光体を高温から保護し、高温に晒されても、青色系無機蛍光体の熱による変質や劣化を抑制する。
【0030】
シリコーン樹脂としては、主鎖が複数のシロキサン結合(-Si-O-)を含みかつ側鎖に有機官能基を有し又は有さないものを使用できる。青色系無機蛍光体の熱による変質や劣化を抑制する観点から、側鎖に1種又は2種以上の有機官能基を有するシリコーン樹脂が好ましい。有機官能基は1個のSi原子に対して0~2個置換し、シリコーン樹脂に含まれる全ての珪素原子に置換していてもよく又は置換していなくてもよい。ここで、有機官能基としては、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、n-ブチル、iso-ブチル、tert-ブチル等の炭素数1~4の直鎖又は分岐鎖状アルキル基、メトキシ、エトキシ、n-プロポキシ、iso-プロポキシ、n-ブトキシ、iso-ブトキシ、tert-ブトキシ等の炭素数1~4の直鎖又は分岐鎖状アルコキシ基、フェニル基等の芳香族炭化水素基等が挙げられる。
【0031】
また、シリコーン樹脂には、鎖状シリコーン樹脂、鎖状シリコーン樹脂の側鎖及び/又は末端に有機基が導入された変性鎖状シリコーン樹脂、鎖状シリコーン樹脂中の一の珪素原子と他の珪素原子とが二価基により架橋された架橋シリコーン樹脂、環状シリコーン樹脂(環状ポリシロキサン)等がある。
【0032】
鎖状シリコーン樹脂としては、全珪素原子の少なくとも一部に直鎖状アルキル基及び/又はフェニル基が置換した鎖状シリコーン樹脂が挙げられ、メチルシリコーン樹脂、メチルフェニルシリコーン樹脂等が含まれる。変性鎖状シリコーン樹脂としては、アクリル変性シリコーン樹脂、ポリエステル変性シリコーン樹脂、エポキシ変性シリコーン樹脂、アクリル酸などのアクリルモノマーにシラン化合物を反応させたモノマーを重合又は他のアクリルモノマーに共重合させたアクリル樹脂変性シリコーン樹脂、ポリエステルの水酸基等にシラン化合物を反応させたポリエステル樹脂変性シリコーン樹脂、樹脂のアミノ基残基等にエポキシ含有シラン化合物を反応させたエポキシ樹脂変性シリコーン樹脂、アルキンド樹脂に同様に反応性シラン化合物で変性したアルキッド樹脂変性シリコーン樹脂、オキシム系開始剤を用いて樹脂と直接共有結合を形成させるゴム系のシリコーン樹脂等が挙げられる。
【0033】
本発明では、使用成分の種類及び本発明の組成物での所望の物性に応じて、好ましいシリコーン樹脂を選択すればよい。青色系無機蛍光体の分散性を良好にしやすいシリコーン樹脂としては、エトキシ基含有シリコーンポリエステル樹脂(SILIKOFTAL(登録商標) HTT)、ポリエステル変性ポリジメチルシロキサン(BYK(登録商標)-313)等が挙げられる。
シリコーン樹脂としては市販品を用いてもよい。該市販品として、例えば、KR-112、KR-211、KR-212、KR-255、KR-271、KR-272、KR-282、KR-300、KR-311、KR-2621-1、X-40-2667A、KR-480、KR-220L、KR-220LP、KR-242A、KR-251、KR-5230、KR-5234、KR-5235(いずれも商品名、信越化学工業(株)製)、BYK(登録商標)-313、BYK(登録商標)-302(いずれも商品名、BYK-Chemie社製)、SILIKOFTAL(登録商標) HTT(商品名、エボニック社製)、TSRl16、TSRl17、TSR144、TSR145、TSR1452、TSR165、TSR180、TSR194、XR32-901、XR-32-901、XR32-A1612、XR3303、YR47、YR3370(いずれも商品名、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)、804RESIN、805RESIN、806ARESIN、840RESIN、SR2400(いずれも商品名、東レ・ダウコーニング(株)製)等を用いてもよい。
【0034】
シリコーン樹脂の分子量は、青色系無機蛍光体の種類や含有量、本発明の組成物の用途等に応じて広い範囲から適宜選択できる。耐熱性と分散性のバランスの観点から、数平均分子量が好ましくは1000~l000000、より好ましくは2000~800000、さらに好ましくは2500~500000である。
【0035】
本発明の組成物においては、シリコーン樹脂が存在することにより青色系無機蛍光体の熱による劣化や変質が顕著に抑制される。シリコーン樹脂の配合量は特に制限されず、使用する青色系無機蛍光体の種類や粒径、シリコーン樹脂の種類、本発明の組成物の用途等に応じ、その保存安定性、塗工性、ハンドリング性や、硬化後の蛍光体層の機械強度や耐久性、等を考慮して、適した範囲を適宜選択すればよい。
【0036】
本発明の組成物中におけるシリコーン樹脂の含有量としては、青色系無機蛍光体の熱による劣化又は変質を抑制又は防止する観点から、1~16重量%が好ましく、1~10重量%がより好ましい。
【0037】
[アルカリ可溶性樹脂]
本発明における「アルカリ可溶性樹脂」は、光や熱の作用による反応性及びアルカリ溶解性を有し、青色系無機蛍光体の分散媒として作用する成分であり、酸性基を有する樹脂をいう。酸性基としては、カルボキシル基、水酸基などが好ましい。アルカリ可溶性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ウレタン樹脂、尿素樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエステル樹脂などが挙げられる。本発明の組成物では、アルカリ可溶性樹脂として、これらを2種以上含有してもよい。これらの中でも、安定性の観点から、アクリル樹脂がより好ましい。
【0038】
アクリル樹脂は、脂環式炭化水素基を有することがより好ましい。アクリル樹脂は、脂環式炭化水素基を有することにより、アルカリ現像液や有機溶剤等に対する耐薬品性を向上させることができる。アクリル樹脂としては、例えば、特許文献1で使用されるものが挙げられる。
【0039】
本発明の組成物中におけるアルカリ可溶性樹脂の含有量としては、フォトレジストの現像性の観点から、1~10重量%が好ましく、2~10重量%がより好ましく、3~7重量%がさらに好ましい。
【0040】
[光重合性化合物]
本発明における「光重合性化合物」とは、エチレン性不飽和基を有する化合物をいう。光重合性化合物としては、例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル(メタ)アクリレート、ポリ(メタ)アクリレートカルバメート、変性ビスフェノールAエポキシ(メタ)アクリレート、アジピン酸1,6-ヘキサンジオール(メタ)アクリル酸エステル、無水フタル酸プロピレンオキサイド(メタ)アクリル酸エステル、トリメリット酸ジエチレングリコール(メタ)アクリル酸エステル、ロジン変性エポキシジ(メタ)アクリレート、アルキッド変性(メタ)アクリレートなどのオリゴマー、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリアクリルホルマール、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールポリアクリレート、ビスフェノキシエタノールフルオレンジアクリレート、ジシクロペンタンジエニルジアクリレート、これらのアルキル変性物、アルキルエーテル変性物やアルキルエステル変性物などが挙げられる。本発明の組成物では、光重合性化合物として、これらを2種以上含有してもよい。
【0041】
本発明の組成物中における光重合性化合物の含有量としては、硬化させた塗膜の強度の観点から、5~10重量%が好ましい。
【0042】
[光重合開始剤]
本発明における「光重合開始剤」とは、光(紫外線、電子線を含む)により分解及び/又は反応し、前記光重合性化合物の重合を開始するための化合物であればよい。例えば、2-メチル-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ジメチルアミノ-2-(4-メチルベンジル)-1-(4-モルフォリン-4-イル-フェニル)-ブタン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1などのα-アミノアルキルフェノン化合物;2,4,6-トリメチルベンゾイルフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-(2,4,4-トリメチルペンチル)-ホスフィンオキサイドなどのアシルホスフィンオキサイド化合物;1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-(O-エトキシカルボニル)オキシム、1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)-2-(O-ベンゾイルオキシム)]、1-フェニル-1,2-ブタジオン-2-(O-メトキシカルボニル)オキシム、1,3-ジフェニルプロパントリオン-2-(O-エトキシカルボニル)オキシム、エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(O-アセチルオキシム)などのオキシムエステル化合物;ベンジルジメチルケタールなどのベンジルケタール化合物;2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル-(2-ヒドロキシ-2-プロピル)ケトン、1-ヒドロキシシクロヘキシル-フェニルケトンなどのα-ヒドロキシケトン化合物;ベンゾフェノン、4,4-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、O-ベンゾイル安息香酸メチル、4-フェニルベンゾフェノン、4,4-ジクロロベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチル-ジフェニルサルファイド、アルキル化ベンゾフェノン、3,3’,4,4’-テトラ(t-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノンなどのベンゾフェノン化合物;2,2-ジエトキシアセトフェノン、2,3-ジエトキシアセトフェノン、4-t-ブチルジクロロアセトフェノン、ベンザルアセトフェノン、4-アジドベンザルアセトフェノンなどのアセトフェノン化合物;2-フェニル-2-オキシ酢酸メチルなどの芳香族ケトエステル化合物;4-ジメチルアミノ安息香酸エチル、4-ジメチルアミノ安息香酸(2-エチル)ヘキシル、4-ジエチルアミノ安息香酸エチル、2-ベンゾイル安息香酸メチルなどの安息香酸エステル化合物などが挙げられる。これらを2種以上含有してもよい。
【0043】
本発明の組成物中における光重合開始剤の含有量としては、重合速度と塗膜の物性との観点から、2~6重量%が好ましい。
【0044】
[有機溶剤]
本発明の組成物で使用する有機溶剤は、青色系無機蛍光体及びシリコーン樹脂の分散性や保存安定性(特に青色系無機蛍光体の凝集や沈殿の防止)、蛍光体層における青色系無機蛍光体の均一分散性、本発明の組成物のハンドリング性、塗工性等を向上させるのに有用である。
【0045】
有機溶剤としては、青色系無機蛍光体やシリコーン樹脂の種類、これらの配合量、得られる本発明の組成物の用途等、種々の条件に応じて適宜選択される。例えば、芳香族系溶剤、脂肪族系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、グリコールエーテル系溶剤、アルコール系溶剤等が挙げられる。これらの中でも、シリコーン樹脂との相溶性等を観点からは、芳香族系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、グリコールエーテル系剤等が好ましい。有機溶剤は、1種を単独で又は可能であれば2種以上組み合わせて用いてもよい。
【0046】
芳香族系溶剤としては、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素類が挙げられる。
脂肪族系溶剤としては、n-ペンタン、n-ヘキサン、n-ヘプタン等の脂肪族炭化水素等が挙げられる。
ケトン系溶剤としては、メチルエチルケトン、メチルインブチルケトン、ジインブチルケトン、アセトン、アセチルアセトン、イソホロン、アセトフェノン、シクロヘキサノン等が挙げられる。
【0047】
エステル系溶剤としては、例えば、酢酸エチル、酢酸-n-ブチル、酢酸イソブチル、酢酸インプロピル、プロピオン酸メチル、酢酸-3-メトキシブチル、エチルグリコールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート、モノクロロ酢酸メチル、モノクロロ酢酸エチル、モノクロロ酢酸ブチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、ブチルカルビトールアセテート、乳酸ブチル、エチル-3-エトキシプロピオネート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸プロピル、1,3-ブチレングリコールジアセテート等が挙げられる。
【0048】
グリコールエーテル系溶剤としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、エチレングリコールモノ-iso-プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ-iso-プロピルエーテル、エチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、エチレングリコールモノ-tert-ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ-tert-ブチルエーテル、1-メチル-1-メトキシブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ-tert-ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ-iso-プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ-iso-プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテル等の水溶性のグリコールエーテル類、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコール-2-エチルヘキシルエーテル、エチレングリコールフェニルエーテル、ジエチレングリコール-n-ヘキシルエーテル、ジエチレングリコール-2-エチルヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールプロピルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルプロピオネート等の非水溶性のグリコールエーテル類等が挙げられる。
【0049】
アルコール系溶剤としては、例えば、エタノール、メタノール、n-ブタノール、n-プロパノール、インプロパノール等の炭素数1~4のアルキルアルコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ペンタメチレングリコール、 トリメチレングリコール、2-ブテンー1,4-ジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、トリプロピレングリコール、分子量2000以下のポリエチレングリコール、1,3-プロピレングリコール、インプロピレングリコール、インブチレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、グリセリン、メノエリスリトール、ペンタエリスリトール等が挙げられる。
【0050】
本発明の組成物中における有機溶剤の含有量としては、塗膜作製時のハンドリングを考慮して、13~74重量%が好ましく、50~65重量%がより好ましい。
【0051】
本発明の組成物は、前述成分の他に、必要に応じて、感光性組成物に用いられる任意の添加剤を含むことができる。該添加剤としては、例えば、増粘剤、分散助剤、pH調整剤、酸化防止剤、防腐剤、防カビ剤、界面活性剤、密着促進剤、表面調整剤、等が挙げられる。
前記増粘剤として、シリカ粒子ACEMATT(登録商標) 3600(エボニック社製)、NIPSIL(登録商標) SS-50F(東ソー・シリカ社製)等が挙げられる。
本発明の組成物における添加剤の含有量は、本発明の組成物中の0.01~10重量%の範囲から適宜選択される。
【0052】
本発明の組成物は、前記青色系無機蛍光体、前記シリコーン樹脂及び前記有機溶剤を含有する蛍光体分散液を予め作製し、この蛍光体分散液、前記アルカリ可溶性樹脂、前記光重合性化合物、前記光重合開始剤及び前記有機溶剤を混合することで本発明の組成物を製造することができる。また、本発明の組成物は、各成分を任意の順番で混合することにより製造してもよい。
前記蛍光体分散液と混合するための、アルカリ可溶性樹脂、前記光重合性化合物、前記光重合開始剤及び前記有機溶剤については、これらの成分を混合したレジスト溶液としてもよい。この場合、蛍光体分散液とレジスト溶液との混合比率(重量比)は3:7~7:3の範囲で好ましく選択できる。
【0053】
前記蛍光体分散液は、青色系無機蛍光体と、シリコーン樹脂と、必要に応じて添加剤とを混合することにより製造できる。青色系無機蛍光体の分散性を高める等の目的で、青色系無機蛍光体を有機溶剤に分散させた蛍光体分散液と、シリコーン樹脂又はその有機溶剤溶液と、必要に応じて添加剤とを混合することにより製造してもよい。
また、青色系無機蛍光体の有機溶剤への分散には、微細粒子の有機溶剤への分散に利用される種々の分散方法を利用できる。
【0054】
前記蛍光体分散液、前記アルカリ可溶性樹脂、前記光重合性化合物、前記光重合開始剤及び前記有機溶剤を混合する方法としては、公知の混合方法を利用できる。
【0055】
以上のようにして得られる本発明の組成物は、自発光型ディスプレイの発光素子を構成する色変換基板の表面に形成される色変換層の材料として使用することができる。
【0056】
前記色変換層は、本発明の組成物を色変換基板表面の所定領域に塗布し、自然硬化又は加熱硬化させて、硬化層とすることにより形成される。
本発明の組成物の塗布方法としては公知の塗布(又は印刷)方法をいずれも採用できる。例えば、ロールコーティング、スピンコーティング、スロットコーティング、スクリーン印刷等の手法を利用できる。
【0057】
色変換基板表面に塗布された本発明の組成物の塗膜は、例えば加熱や光照射により硬化される。該塗膜の加熱硬化において、加熱温度及び加熱時間は本発明の組成物に含まれるシリコーン樹脂や有機溶剤の種類等に応じて適宜選択される。例えば80~120℃程度の温度下で、1分~30分程度でプリベイク加熱を行い、次いで200~250℃程度の温度下に行なわれ、20分~60分程度で本加熱を行う。前記色変換層の厚みは、有機ELディスプレイの場合には、好ましくは0.5~10μm程度、マイクロLEDディスプレイの場合には、好ましくは10~30μm程度である。
【実施例0058】
以下に実施例及び比較例を挙げ、本発明を具体的に説明する。
【0059】
(製造例1:蛍光体分散液1の製造)
青色系無機蛍光体(「VPB-1」大電社製)と、シリコーン樹脂(SILIKOFTAL(登録商標) HTT)と、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PMA)とを混合して蛍光体分散液1を製造した。蛍光体分散液は、組成がVPB-1/HTT/PMA=35/7/58(重量%)となるように調整した。なお、この組成は、後記のレジスト溶液との混合後の青色蛍光体感光性組成物1において、VPB-1/HTT/PMA=17.5/3.5/29(重量%)に相当する。
【0060】
(製造例2~7:蛍光体分散液2~7の製造)
シリコーン樹脂を「BYK(登録商標)-313」(製造例2)、「BYK(登録商標)-302」(製造例3)、「KR-5230」(製造例4)、「KR-5234」(製造例5)、「KR-5235」(製造例6)、「KR-300」(製造例7)に変えた以外は、製造例1と同様にして蛍光体分散液2~7を製造した。
【0061】
(比較製造例1~3:蛍光体分散液8~10の製造)
シリコーン樹脂を市販のアクリル樹脂A(昭和電工社製)(比較製造例1)、市販のアクリル樹脂B(日本触媒社製)(比較製造例2)、市販のウレタン樹脂A(Borchers社製)(比較製造例3)に変えた以外は、製造例1と同様にして蛍光体分散液8~10を製造した。
【0062】
(実施例1:青色蛍光体感光性組成物1の製造)
アルカリ可溶性樹脂(アクリル系重合体(日本触媒社製)、光重合性化合物(ジペンタエリスリトールポリアクリレート「NKエステルA-DPH」、新中村化学工業株式会社製)、光重合開始剤(2-メチル-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノ-1-プロパン「Omnirad(登録商標)-907」、IGM-RESINS社製)及びPMAを混合してレジスト組成物を作製した。
レジスト溶液は、組成が、アルカリ可溶性樹脂/NKエステルA-DPH/Omnirad-907(登録商標)/PMA=10.40/14.00/9.20/66.40(重量%)となるように調整した。この組成は、後記の蛍光体分散液との混合後の青色蛍光体感光性組成物1において、アルカリ可溶性樹脂/NKエステルA-DPH/Omnirad-907(登録商標)/PMA=5.2/7.0/4.6/33.2(重量%)に相当する。
【0063】
次いで、製造例1で作製した蛍光体分散液1 0.5gに対して、前記レジスト組成物0.5gを添加し、均一になるように混合して青色蛍光体感光性組成物1を製造した。
【0064】
(実施例2~7:青色蛍光体感光性組成物2~7の製造)
製造例2~7で得られた蛍光体分散液2~7を、蛍光体分散液1のかわりに用いた以外は、実施例1と同様にして青色蛍光体感光性組成物2~7を作製した。
【0065】
(比較例1~3:青色蛍光体感光性組成物8~10の製造)
比較製造例1~3で得られた蛍光体分散液8~10を、蛍光体分散液1のかわりに用いた以外は、実施例1と同様にして青色蛍光体感光性組成物8~10を作製した。
【0066】
(試験例1:発光特性評価及び耐熱性評価)
<青色蛍光体感光性組成物の塗布、及び塗膜の作製>
得られた青色蛍光体感光性組成物1~10を、厚さ1mm、50mm角ガラス板の表面に、スピンコーターを用いて塗布(300rpm、10sec)し、90℃エアバス内で10分間乾燥(プリベイク)して、約4μmの塗膜が形成されたガラス板を得た。
次いで、露光装置(株式会社三永電機製作所製、商品名:UVE-1001S型露光光源装置、YSH-100SA型超高圧水銀ランプ)を用いて、「積算光量;500mJ/cm2」の露光強度となるようガラス板に照射して塗膜を硬化させた。
【0067】
得られた塗膜(硬化膜)を有するガラス塗板を20mm角にカットし、発光特性評価用試験片とした。
得られた試験片の塗膜の蛍光積分値を蛍光評価装置(大塚電子社製 量子効率測定システムQE-2000)を用いて測定した。
【0068】
次いで、上記試験片を230℃エアバス中で20分間加熱(ポストベイク)し、塗膜の蛍光積分値を測定した。
【0069】
プレベイク後及びポストベイク後の塗膜の蛍光積分値から、発光維持率を算出した。その結果を表1に示す。発光維持率が50%以上を耐熱性合格品「〇」、50%未満を耐熱性不合格品「×」とする。
【0070】
【0071】
実施例1~7で作製した試験片の塗膜を目視で確認したところ、いずれも青色系無機蛍光体が均一に分散された状態のものであった。またそれぞれの発光維持率はいずれも50%以上であったことから耐熱性に優れたものであることがわかる。
一方、比較例1~3で作製した試験片の塗膜は、いずれも発光維持率が40%未満であり、実施例1~7の試験片に比べて耐熱性が低いものであることがわかる。