(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023066930
(43)【公開日】2023-05-16
(54)【発明の名称】包装箱
(51)【国際特許分類】
B65D 5/52 20060101AFI20230509BHJP
B65D 5/02 20060101ALI20230509BHJP
【FI】
B65D5/52 K
B65D5/02 K
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021177807
(22)【出願日】2021-10-29
(71)【出願人】
【識別番号】390022895
【氏名又は名称】株式会社トーモク
(74)【代理人】
【識別番号】100159628
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 雅比呂
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】弁理士法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】土谷 恒
(72)【発明者】
【氏名】野尻 佳佑
【テーマコード(参考)】
3E060
【Fターム(参考)】
3E060AA03
3E060AB05
3E060BA03
3E060BC02
3E060CB02
3E060CB16
3E060CE04
3E060CE14
3E060CE15
3E060CE22
3E060CF05
3E060DA30
(57)【要約】
【課題】箱の開梱後に商品を見栄えよく陳列することができる包装箱を提供する。
【解決手段】包装箱1は、前板2、底板3、後板4、天板5及び第1外フラップ9,9などを備える。後板4と天板5との境目には、切れ目c4が形成され、天板5及び一対の第1外フラップ9,9には、一対の第1破断可能線c1,c1が形成されている。一対の第1破断可能線c1,c1は、切れ目c4の両端から前板2側に延びる破断開始線部c10,c10と、互いに離間しながら斜めに延びる一対の第1線部c11,c11と、一対の第1外フラップ9,9の下端までそれぞれ斜め前下がりに延びる一対の第2線部c12,c12と、を有している。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直方体状のラップアラウンドケースタイプの包装箱であって、
矩形の底板と、
当該底板と対向するように配置され、矩形の天板と、
前記底板の前側端部と前記天板の前側端部とを接続する前板と、
前記底板の後側端部と前記天板の後側端部とを接続する後板と、
前記前板の左右側端部から内方にそれぞれ折れ曲がるように連設された一対の第1内フラップと、
前記後板の左右側端部から内方にそれぞれ折れ曲がるように連設された一対の第2内フラップと、
前記天板の左右端部から内方にそれぞれ折れ曲がるように連設され、前記一対の第1内フラップ及び前記一対の第2内フラップの各々に外側から接する状態で固定された一対の第1外フラップと、
前記底板の左右端部から内方にそれぞれ折れ曲がるように連設され、前記一対の第2内フラップの各々に外側から接する状態で固定されるとともに、前記一対の第1内フラップの各々に非固定の一対の第2外フラップと、
を備え、
前記天板及び前記一対の第1外フラップには、当該包装箱の開梱時において前記天板及び前記一対の第1外フラップを破断するための第1破断可能線が、前記天板を通過して前記一対の第1外フラップの下端同士を結ぶように形成されており、
前記第1破断可能線は、前記第1外フラップ及び前記第1内フラップが固定されている領域と前記第1外フラップ及び前記第2内フラップが固定されている領域との間を通過して前記一対の第1外フラップの下端まで延びていることを特徴とする包装箱。
【請求項2】
請求項1に記載の包装箱において、
前記第1破断可能線は、一対の第1破断可能線で構成され、
当該一対の第1破断可能線は、
前記天板に形成され、前記後板側に向かって凸状に延びる一対の第1線部と、
前記一対の第1外フラップに形成され、当該一対の第1線部に連続して前記一対の第1外フラップの下端までそれぞれ斜め前下がりに延びる一対の第2線部と、を有していることを特徴とする包装箱。
【請求項3】
請求項2に記載の包装箱において、
前記後板と前記天板との境目の左右方向の中央部には、所定長さで左右方向に延びる切れ目が形成されており、
前記一対の第1破断可能線は、前記切れ目の両端と前記一対の第1線部の先端との間において所定長さで前記前板側に延びる一対の破断開始線部をさらに有していることを特徴とする包装箱。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の包装箱において、
前記前板と前記底板との境目には、前記前板と前記底板との間を破断するための第2破断可能線が形成されていることを特徴とする包装箱。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の包装箱において、
前記天板と前記後板との境目には、前記天板と前記後板との間を破断するための第3破断可能線が形成されていることを特徴とする包装箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、箱の一部が開梱時に破断されるラップアラウンドケースタイプの包装箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、包装箱として特許文献1に記載されたラップアラウンドケースタイプのものが知られている。この包装箱では、前板、後板、天板及び底板などが一体に形成されている。この包装箱を開梱する際には、作業者は、指を前板の切欠き孔に入れて前板を上方に持ち上げながら、前板の上側部分を破断可能線を介して前板の下側部分から切り離した後、前板及び天板を後ろ側に回動させる。それにより、包装箱が開梱される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の包装箱によれば、包装箱を開梱した状態では、前板の下側部分が底板から上方に延びた状態となる。そのため、包装箱を商品の陳列箱として利用しようとした場合、商品の前側部分が見えにくくなってしまい、商品を見栄え良く陳列できないという問題がある。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、箱の開梱後に商品を見栄えよく陳列することができる包装箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、直方体状のラップアラウンドケースタイプの包装箱であって、矩形の底板と、底板と対向するように配置され、矩形の天板と、底板の前側端部と天板の前側端部とを接続する前板と、底板の後側端部と天板の後側端部とを接続する後板と、前板の左右側端部から内方にそれぞれ折れ曲がるように連設された一対の第1内フラップと、後板の左右側端部から内方にそれぞれ折れ曲がるように連設された一対の第2内フラップと、天板の左右端部から内方にそれぞれ折れ曲がるように連設され、一対の第1内フラップ及び一対の第2内フラップの各々に外側から接する状態で固定された一対の第1外フラップと、底板の左右端部から内方にそれぞれ折れ曲がるように連設され、一対の第2内フラップの各々に外側から接する状態で固定されるとともに、一対の第1内フラップの各々に非固定の一対の第2外フラップと、を備え、天板及び一対の第1外フラップには、包装箱の開梱時において天板及び一対の第1外フラップを破断するための第1破断可能線が、天板を通過して一対の第1外フラップの下端同士を結ぶように形成されており、第1破断可能線は、第1外フラップ及び第1内フラップが固定されている領域と第1外フラップ及び第2内フラップが固定されている領域との間を通過して一対の第1外フラップの下端まで延びていることを特徴とする。
【0007】
この包装箱によれば、天板及び一対の第1外フラップには、包装箱の開梱時において天板及び一対の第1外フラップを破断するための第1破断可能線が、天板を通過して一対の第1外フラップの下端同士を結ぶように形成されており、この第1破断可能線は、第1外フラップ及び第1内フラップが固定されている領域と第1外フラップ及び第2内フラップが固定されている領域との間を通過して一対の第1外フラップの下端まで延びている。
【0008】
したがって、包装箱の開梱時、天板及び一対の第1外フラップは、作業者により第1破断可能線を介して破断される。その際、一対の第1外フラップが第1内フラップに対して非固定の状態にあるので、切り離された天板の一部、切り離された一対の第1外フラップの一部及び前板は、一体に手前側に回動する。それにより、包装箱の前面を前板が塞いでいない状態で包装箱を開梱することができる。その結果、包装箱を商品の陳列箱として利用した際、従来のものと比べて、商品の前側部分の視認性を向上させることができ、商品を見栄え良く陳列することができる。また、包装箱の前板及び後板に破断可能線が設けられていないため、包装箱の開梱前において、従来のものと比べて、高い耐圧強度を維持することができる。
【0009】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の包装箱において、第1破断可能線は、一対の第1破断可能線で構成され、一対の第1破断可能線は、天板に形成され、後板側に向かって凸状に延びる一対の第1線部と、一対の第1外フラップに形成され、一対の第1線部に連続して一対の第1外フラップの下端までそれぞれ斜め前下がりに延びる一対の第2線部と、を有していることを特徴とする。
【0010】
この包装箱によれば、第1破断可能線は、一対の第1破断可能線で構成され、一対の第1破断可能線は、天板に形成され、後板側に向かって凸状に延びる一対の第1線部と、一対の第1外フラップに形成され、一対の第1線部に連続して一対の第1外フラップの下端までそれぞれ斜め前下がりに延びる一対の第2線部と、を有している。したがって、作業者は、天板を手前に引くことによって、天板及び一対の第1外フラップを容易に破断することができる。それにより、包装箱を開梱する際の作業性を向上させることができる。
【0011】
請求項3に係る発明は、請求項2に記載の包装箱において、後板と天板との境目の左右方向の中央部には、所定長さで左右方向に延びる切れ目が形成されており、一対の第1破断可能線は、切れ目の両端と一対の第1線部の先端との間において所定長さで前板側に延びる一対の破断開始線部をさらに有していることを特徴とする。
【0012】
この包装箱によれば、後板と天板との境目の左右方向の中央部には、所定長さで左右方向に延びる切れ目が形成されており、一対の第1破断可能線は、切れ目の両端と一対の第1線部の先端との間において所定長さで前板側に延びる一対の破断開始線部をさらに有している。したがって、包装箱の開梱を開始する際、作業者によって、天板が一対の破断開始線部に沿って破断されることになる。それにより、包装箱の開梱を開始する際の力を低減することができ、包装箱を開梱する際の作業性をさらに向上させることができる。なお、本明細書における「一対の破断開始線部が前板側に延びる」ことは、一対の破断開始線部が互いに平行な状態で前板側に延びることに限らず、一対の破断開始線部が、互いに離間/接近しながら前板側に延びることを含む。
【0013】
請求項4に係る発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の包装箱において、前板と底板との境目には、前板と底板との間を破断するための第2破断可能線が形成されていることを特徴とする。
【0014】
この包装箱によれば、一対の第1内フラップが一対の第2外フラップに非固定になっているので、包装箱の開梱時、天板の一部が一対の第1線部を介して破断され、一対の第1外フラップが一対の第2線部を介して破断された状態では、切り離された天板の一部及び一対の第1外フラップの一部及び前板は互いにつながっている状態になるとともに、前板は、底板のみにつながっている状態となる。したがって、前板と底板との間を第2破断可能線に沿って破断することにより、天板の一部、一対の第1外フラップの一部及び前板を底板から切り離すことができる。それにより、包装箱を商品の陳列箱として利用する際、包装箱の設置場所の自由度を向上させることができ、その商品性を向上させることができる。
【0015】
請求項5に係る発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載の包装箱において、天板と後板との境目には、天板と後板との間を破断するための一対の第3破断可能線が形成されていることを特徴とする。
【0016】
この包装箱によれば、天板と後板との境目には、天板と後板との間を破断するための一対の第3破断可能線が形成されている。したがって、上記のように、天板の一部、一対の第1外フラップの一部及び前板が取り除かれた状態の包装箱において、一対の第1外フラップの残りの部分を、一対の第2内フラップから強制的に引き剥がし、天板の残りの部分と後板との間を第3破断可能線に沿って破断することにより、天板の残りの部分及び一対の第1外フラップの残りの部分を包装箱から切り離すことができる。それにより、包装箱において、より大きな開口部分を確保することができ、包装箱を商品などを陳列するための陳列箱として利用した際において、陳列物の視認性をさらに向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施形態に係る包装箱の外観を示す斜視図である。
【
図2】包装箱の組み立て前の構成を示す平面図である。
【
図4】開梱を開始したときの包装箱を示す側面図である。
【
図7】簡易開封・陳列状態の包装箱を示す斜視図である。
【
図8】商品が簡易開封・陳列状態の包装箱に陳列された状態を示す斜視図である。
【
図9】商品が全面開封・陳列状態の包装箱に陳列された状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら、本発明の一実施形態に係る包装箱について説明する。
図1に示すように、本実施形態の包装箱1は、外観が直方体状に形成されたラップアラウンドケースタイプのものである。包装箱1では、例えば、陳列用の商品S(
図8参照)が内部に収納されるとともに、開梱時には箱の一部が破断される。
【0019】
この包装箱1は、
図2に示すほぼ矩形状の段ボール板紙1xを原紙から打抜いて形成した後、これを折り曲げて組み立てられる。以下、
図2を参照しながら、段ボール板紙1xの構成について説明する。なお、以下の段ボール板紙1xの説明においては、便宜上、
図2の右側を「前」、左側を「後ろ」、上側を「右」、下側を「左」という。
【0020】
図2に示すように、段ボール板紙1xは、前板2、底板3、後板4及び天板5を備えており、これらの要素2~5はいずれも平面視矩形でかつ一体に形成されている。底板3の左右両端部には、折目線f1,f1を介して、一対の第2外フラップ6,6が連設されており、第2外フラップ6,6の各々は、平面視台形に形成されている。
【0021】
この第2外フラップ6は、その左右方向の長さが前板2及び後板4のほぼ半分のサイズに設定されている。また、折目線f1,f1は、段ボール板紙1xの折り曲げを容易にするための線(例えば、ミシン目状の線)であり、この点は後述する他の折目線においても同様である。
【0022】
底板3の前端部には、第2破断可能線c2を介して、前板2が連接されている。この第2破断可能線c2は、段ボール板紙1xの破断及び折り曲げを容易にするためのミシン目線で構成されており、この点は後述する他の破断可能線においても同様である。また、底板3の後端部には、折目線f2を介して、後板4が連接されている。
【0023】
前板2の左右端部には、一対の第1内フラップ7,7が折目線f3,f3を介してそれぞれ連設されており、第1内フラップ7,7の各々は、平面視台形に形成されている。
【0024】
後板4の左右端部には、一対の第2内フラップ8,8が折目線f4,f4を介してそれぞれ連設されている。後板4は、前板2と同一のサイズに構成されており、各第2内フラップ8は、各第1内フラップ7と同一のサイズ及び形状に構成されている。
【0025】
後板4の後端部には、第3破断可能線c3,c3を介して、天板5が連設されている。これらの第3破断可能線c3,c3の間には、切れ目c4が形成されており、この切れ目c4によって、後板4と天板5の間に隙間が形成されている。
【0026】
天板5の左右両端部には、折目線f5,f5を介して、第1外フラップ9,9がそれぞれ連設されている。天板5は、底板3と同一のサイズに構成され、各第1外フラップ9は、各第2外フラップ6と同一のサイズ及び形状に構成されている。
【0027】
また、天板5の後端部には、折目線f6を介して接着片10が連設されている。この接着片10は、平面視矩形に構成され、左右方向のサイズが天板5よりも若干小さく、前後方向のサイズが前板2よりもかなり短く形成されている。
【0028】
さらに、天板5及び第1外フラップ9,9には、一対の第1破断可能線c1,c1が形成されている。一対の第1破断可能線c1,c1は、一対の破断開始線部c10,c10、一対の第1線部c11,c11及び一対の第2線部c12,c12で構成されている。
【0029】
一対の破断開始線部c10,c10は、切れ目c4の両端から後方に向かって互いに平行に所定長さで延びている。また、一対の第1線部c11,c11は、破断開始線部c10,c10の先端から折目線f5,f5と交差する位置まで、互いに離間しながら斜め後方に延びている。さらに、一対の第2線部c12,c12は、一対の第1線部c11,c11の先端から後板4側に若干、折れ曲がった後、互いに離間しながら第1外フラップ9,9の先端まで斜めに延びている。
【0030】
次に、以上の
図2に示す段ボール板紙1xから
図1に示す包装箱1を組み立てる手順について説明する。なお、以下の説明においては、
図1の矢印X1-X2で示す方向を「前後方向」、矢印Y1-Y2で示す方向を「左右方向」、上下方向を「上下方向」とそれぞれ呼ぶ。
【0031】
まず、作業者によって、段ボール板紙1xが例えば台(図示せず)に載置され、複数の商品Sが底板3上に整列させた状態で載置される。
【0032】
次いで、前板2が、底板3から起立され、これに直角になるように破断可能線c2を介して後板4側に折り曲げられる。次に、後板4が、底板3から起立され、これに直角になるように折目線f2を介して前板2側に折り曲げられる。そして、天板5が底板3と平行になるように第3破断可能線c3,c3を介して前板2側に折り曲げられる。
【0033】
その後、接着片10が、前板2に対して平行になるように前板2側に折目線f6を介して折り曲げられるとともに、接着剤(図示せず)を介して前板2の外面に固定される。さらに、各第1内フラップ7が、折目線f3を介して前板2から内側に直角に折り曲げられ、各第2内フラップ8が、折目線f4を介して後板4から内側に直角に折り曲げられる。
【0034】
次いで、各第2外フラップ6が、折目線f1を介して底板3から上方に直角に折り曲げられ、その内面が接着剤G(
図3参照)を介して第2内フラップ8の外面に固定されるとともに、第1内フラップ7の外面に固定されることなく、これに接した状態に保持される。
【0035】
さらに、天板5の各第1外フラップ9が、折目線f5を介して下方に直角に折り曲げられ、その内面が接着剤G(
図3参照)を介して第2内フラップ8の外面及び第1内フラップ7の外面に固定される。以上により、商品Sを内蔵した包装箱1の組み立てが終了し、
図1に示す状態の包装箱1が完成する。
【0036】
以上のように、包装箱1が組み立てられた場合、
図1に示すように、第1破断可能線c1,c1の破断開始線部c10、c10は、後板4側から前板2側に向かって互いに平行に延びるとともに、第1線部c11,c11は、破断開始線部c10、c10の先端から互いに離間しながら天板5と第1外フラップ9,9との境目の所定位置まで斜めに延びた状態となる。さらに、第2線部c12,c12は、破断開始線部c10、c10の先端から、第1外フラップ9及び第1内フラップ7が互いに固定されている領域と第1外フラップ9及び第2内フラップ8が互いに固定されている領域との間を通過しながら、斜め前下がりに第1外フラップ9,9の下端まで延びた状態となる。
【0037】
次に、
図3~7を参照しながら、本実施形態の包装箱1の開梱作業について説明する。なお、
図4~7は、理解の容易化のために、商品Sが省略された状態を示している。
【0038】
まず、作業者が、
図3に示す未開梱の包装箱1の切れ目c4に指を差し込み、天板5の後端部を摘まんで手前に引くことにより、天板5が、第1破断可能線c1の一対の破断開始線部c10,c10に沿って破断される。
【0039】
さらに、作業者が天板5を手前に引くことにより、天板5が一対の第1線部c11,c11に沿って破断された後、
図4に示すように、天板5と一体の第1外フラップ9,9が一対の第2線部c12,c12に沿って破断される。なお、以下の説明では、上記の作業によって包装箱1から切り離された天板5及び第1外フラップ9,9の一部を、「天板5と第1外フラップ9,9の切り離し部」という。
【0040】
そして、作業者が天板5を
図4に示す状態からさらに手前に引いた場合、前板2と一体の第1内フラップ7,7が第2外フラップ6に接着されていないことで、天板5と第1外フラップ9,9の切り離し部、第1内フラップ7,7及び前板2は、前板2と底板3との境目を中心として手前側に回動し、それにより、包装箱1は、
図5及び
図6に示す開封状態となる。なお、
図5及び
図6に示す開封状態は、前板2及び底板3が包装箱1の載置面(図示せず)に接した状態となっている場合の例である。
【0041】
また、包装箱1が開封状態にある場合、作業者が天板5と第1外フラップ9,9の切り離し部、第1内フラップ7,7及び前板2を後方に回動させることで、
図1に示すように、包装箱1が再封緘される。
【0042】
そして、開封状態にある包装箱1において、作業者が前板2を第2破断可能線c2を介して底板3から切り離した場合、包装箱1は、
図7に示す簡易開封・陳列状態になる。このように包装箱1が簡易開封・陳列状態になった場合、商品Sが包装箱1に収納されているときには、例えば、
図8に示すように、商品Sが陳列された状態となる。
【0043】
さらに、簡易開封・陳列状態にある包装箱1において、作業者が、天板5と一体の第1外フラップ9,9を第2内フラップ8,8から強制的に引き剥がした後、天板5を第3破断可能線c3,c3に沿って後板4から切り離した場合、包装箱1は、
図9に示す全面開封・陳列状態になる。
【0044】
以上のように、本実施形態の包装箱1によれば、開梱作業時、作業者が指を切れ目c4に差し込み、指で天板5の一対の破断開始線部c10,c10間の部分を掴んだ後、天板5を手前側に引くことによって、天板5及び一対の第1外フラップ9,9が一対の第1破断可能線c11,c11を介して破断される。その後、一体の第1外フラップ9,9が一対の第2線部c12,c12に沿って破断されることにより、包装箱1が開封状態になる。
【0045】
このように開梱作業を実施した際、一対の破断開始線部c10,c10は、後板4側から前板2側に向かって平行に延び、一対の第1線部c11,c11は、互いに離間しながら天板5の前側の両隅部まで斜めに延び、一対の第2線部c12,c12は、一対の第1外フラップ9,9の下端まで斜め前下がりに延びているので、天板5及び一対の第1外フラップ9,9を比較的,小さい力で破断することができる。
【0046】
また、開封状態の包装箱1が台上に置いてある場合において、天板5と第1外フラップ9,9の切り離し部、第1内フラップ7,7及び前板2がその台の前方に位置するようにしたときには、包装箱1の前面を前板2が塞いでいない状態になる。その結果、包装箱1を商品の陳列箱として利用した際、従来のものと比べて、商品の前側部分の視認性を向上させることができ、商品を見栄え良く陳列することができる。
【0047】
さらに、包装箱1が
図5及び
図6に示す開梱状態にある場合、前述したように、前板2と底板3との間を第2破断可能線c2に沿って破断することにより、包装箱1を
図7及び
図8に示す簡易開封・陳列状態にすることができる。それにより、包装箱1を商品の陳列箱として利用する際、包装箱1の設置場所の自由度を向上させることができ、その商品性を向上させることができる。
【0048】
さらに、簡易開封・陳列状態にある包装箱1において、作業者が、天板5と一体の第1外フラップ9,9を後板4と一体の第2内フラップ8,8から強制的に引き剥がした後、天板5を第3破断可能線c3,c3に沿って後板4から切り離すことにより、包装箱1を、
図9に示す全面開封・陳列状態にすることができる。それにより、包装箱1において、簡易開封・陳列状態にあるときよりも大きな開口部分を確保することができ、包装箱1を商品Sなどを陳列するための陳列箱として利用した際において、陳列物の視認性をさらに向上させることができる。
【0049】
なお、実施形態は、第1破断可能線として、切れ目c4の両端から延びる一対の第1破断可能線c1,c1を用いた例であるが、本発明の第1破断可能線は、これらに限らず、天板を通過して一対の第1外フラップの下端同士を結ぶように形成され、第1外フラップ及び第1内フラップが固定されている領域と第1外フラップ及び第2内フラップが固定されている領域との間を通過して一対の第1外フラップの下端まで延びているものであればよい。
【0050】
例えば、切れ目c4を省略するとともに、第1破断可能線を、天板5と第1外フラップ9,9との境目の所定位置から後板4側に向かって平面視円弧状に延びる第1線部と、この第1線部の両端から一対の第1外フラップ9,9の下端まで延びる一対の第2線部と、有するように構成してもよい。
【0051】
また、切れ目c4を省略するとともに、第1破断可能線を、天板5と第1外フラップ9,9との境目の所定位置から後板4側に向かって平面視三角形状に延びて互いに繋がる一対の第1線部と、これら一対の第1線部の先端から一対の第1外フラップの下端まで延びる一対の第2線部とを有するように構成してもよい。さらに、第1破断可能線を、天板5と第1外フラップ9,9との境目の所定位置から平面視階段状に延びて互いに繋がる一対の第1線部と、これら一対の第1線部の先端から一対の第1外フラップの下端まで延びる一対の第2線部とを有するように構成してもよい。
【0052】
さらに、実施形態は、一対の第1線部c11,c11を、破断開始線部c10、c10の先端から互いに離間しながら天板5と第1外フラップ9,9との境目の所定位置まで斜めに延びるように構成した例であるが、本発明の一対の第1線部は、天板に形成され、後板側に向かって凸状に延びるものであればよい。例えば、一対の第1線部を、上述したように、天板5と第1外フラップ9,9との境目の所定位置から後板4側に向かって平面視三角形状に延びて互いに繋がるように構成してもよい。
【0053】
一方、実施形態は、一対の破断開始線部c10,c10を、後板4側から前板2側に向かって互いに平行に延びるように構成した例であるが、一対の破断開始線部c10,c10を互いに離間/接近しながら後板4側から前板2側に向かって斜めに延びるように構成してもよい。例えば、一対の破断開始線部c10,c10が互いに離間しながら延びる場合には、一対の破断開始線部c10,c10間の角度が、一対の第1線部c11,c11間の角度よりも小さくなるように構成すればよい。
【0054】
また、実施形態は、各第1破断可能線c1が、破断開始線部c10、第1線部c11及び第2線部c12を有するように構成した例であるが、各第1破断可能線c1が、第1線部c11及び第2線部c12のみを有するように構成してもよい。その場合には、各第1線部c11が切れ目c4の先端から第2線部c12の先端まで延びるように構成すればよい。
【0055】
さらに、実施形態は、第3破断可能線として、一対の第3破断可能線c,c3を用いた例であるが、本発明の第3破断可能線は、これらに限らず、天板と後板との境目に形成されたものであればよい。例えば、実施形態の包装箱1において、切れ目c4を省略し、第3破断可能線を天板5と後板4の境目の両端間に延びるように形成してもよい。
【0056】
さらに、本発明の包装箱1の材質は段ボールに限らず、折り曲げて組み立て可能であるとともに、破断可能線に沿って破断可能なものであればよい。例えば、包装箱1の材質を、ボール紙や薄い合成樹脂板としてもよい。
【符号の説明】
【0057】
1 包装箱
2 前板
3 底板
4 後板
6 第2外フラップ
7 第1内フラップ
8 第2内フラップ
9 第1外フラップ
c1 第1破断可能線
c10 破断開始線部
c11 第1線部
c12 第2線部
c2 第2破断可能線
c3 第3破断可能線
c4 切れ目