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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023006696
(43)【公開日】2023-01-18
(54)【発明の名称】排熱回収システム
(51)【国際特許分類】
   F01K 25/00 20060101AFI20230111BHJP
   F01D 25/20 20060101ALI20230111BHJP
【FI】
F01K25/00 H
F01D25/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021109421
(22)【出願日】2021-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】521362885
【氏名又は名称】コベルコ・コンプレッサ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(74)【代理人】
【識別番号】100218132
【弁理士】
【氏名又は名称】近田 暢朗
(72)【発明者】
【氏名】壷井 昇
(72)【発明者】
【氏名】中村 元
【テーマコード(参考)】
3G081
【Fターム(参考)】
3G081BA08
3G081BB04
3G081BC18
(57)【要約】
【課題】排熱回収システムにおいて、一定範囲内の圧力の潤滑油内で作動媒体が液化することを防ぐ。
【解決手段】排熱回収システム1は、第1熱交換器11と、第2熱交換器21と、膨張機31と、動力回収部32と、油分離器41と、油ポンプ51とを備える。また、排熱回収システム1は、油分離器41から油ポンプ51と第2熱交換器21とを経由して膨張機31に潤滑油を供給する第3流路50を備える。膨張機31に供給される潤滑油の温度が一定範囲内の圧力に対する作動媒体の飽和温度より高い。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機から吐出された圧縮ガスを需要先に送るためのガス流路に設けられ、前記圧縮ガスと作動媒体とが熱交換し、前記作動媒体が昇温する第1熱交換器と、
前記第1熱交換器をバイパスするように前記ガス流路に接続されたバイパス流路に設けられ、前記圧縮ガスと潤滑油とが熱交換し、前記潤滑油が昇温する第2熱交換器と、
前記第1熱交換器で前記圧縮ガスと熱交換した前記作動媒体を膨張させる膨張機と、
前記膨張機からの動力を回収する動力回収部と、
前記膨張機に流体的に接続され、前記膨張機に供給された前記作動媒体と前記潤滑油とを分離する油分離器と、
前記油分離器で分離された前記潤滑油を前記膨張機に一定範囲内の圧力で供給する油ポンプと、
前記油分離器から前記第1熱交換器を経由して前記膨張機に前記作動媒体を供給する第1流路と、
前記膨張機から前記油分離器に前記作動媒体と前記潤滑油とを供給する第2流路と、
前記油分離器から前記油ポンプと前記第2熱交換器とを経由して前記膨張機に前記潤滑油を供給する第3流路と
を備え、
前記膨張機に供給される前記潤滑油の温度が前記一定範囲内の圧力に対する前記作動媒体の飽和温度より高い、排熱回収システム。
【請求項2】
前記バイパス流路に設けられ、前記バイパス流路に流れる前記圧縮ガスの流量を調整する流量調整弁をさらに備え、
前記流量調整弁の開度を調整することによって、前記膨張機に供給される前記潤滑油の温度を前記一定範囲内の圧力に対する前記作動媒体の前記飽和温度より高くする、請求項1に記載の排熱回収システム。
【請求項3】
前記第3流路の前記第2熱交換器と前記膨張機との間に設けられ、前記第2熱交換器で熱交換された前記潤滑油の温度を検出する温度センサと、
前記温度センサの検出温度に応じて、前記流量調整弁の開度を制御する第1制御装置と
をさらに備える、請求項2に記載の排熱回収システム。
【請求項4】
前記第3流路の前記油ポンプと前記膨張機との間に設けられ、前記油ポンプから前記膨張機に供給される前記潤滑油の圧力である給油圧力を検出する第1圧力センサと、
前記第1圧力センサの検出圧力に応じて、前記油ポンプの出力を制御する第2制御装置と
をさらに備え、
前記給油圧力を前記一定範囲内の圧力に収めるように、前記第2制御装置によって前記油ポンプの出力を制御する、請求項1から3のいずれかに記載の排熱回収システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、排熱回収システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、圧縮機から吐出された圧縮ガスによって昇温されたランキンサイクルの作動媒体が膨張機内で膨張することで発生するエネルギーを電力に変換する排熱回収システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2014-505826号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の排熱回収システムでは、膨張機の軸受等に潤滑油を供給して潤滑している。供給された潤滑油は、作動媒体と共に膨張機の外部に排出され、油分離器で作動媒体から分離される。分離された潤滑油は、再度膨張機に供給される。
【0005】
潤滑油が膨張機に供給される際、潤滑油に対して一定以上の給油温度が求められる。例えば、潤滑油の給油温度が低い場合、作動媒体が液化し、潤滑油に混入するおそれがある。液化した作動媒体が混入した潤滑油が軸受に注入されると、軸受破損の原因となり得る。また、膨張機に供給された潤滑油が作動媒体の熱エネルギーを奪い、発電量低下の原因となり得る。
【0006】
また、潤滑油が膨張機に供給される際、一定範囲内の給油圧力が求められる。例えば、給油圧力が一定範囲より低い場合、潤滑油が膨張機に供給されないおそれがある。一方で、給油圧力が一定範囲より高い場合、作動媒体の飽和温度が上昇し、作動媒体が液化するおそれがある。
【0007】
特許文献1では、潤滑油の給油圧力と給油温度とについて特段の開示がない。
【0008】
本発明は、圧縮機が吐出する圧縮ガスの熱エネルギーを膨張機を含むランキンサイクルに回収する排熱回収システムにおいて、一定範囲内の圧力の潤滑油内での作動媒体の液化を防ぐことを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、圧縮機から吐出された圧縮ガスを需要先に送るためのガス流路に設けられ、前記圧縮ガスと作動媒体とが熱交換し、前記作動媒体が昇温する第1熱交換器と、前記第1熱交換器をバイパスするように前記ガス流路に接続されたバイパス流路に設けられ、前記圧縮ガスと潤滑油とが熱交換し、前記潤滑油が昇温する第2熱交換器と、前記第1熱交換器で前記圧縮ガスと熱交換した前記作動媒体を膨張させる膨張機と、前記膨張機からの動力を回収する動力回収部と、前記膨張機に流体的に接続され、前記膨張機に供給された前記作動媒体と前記潤滑油とを分離する油分離器と、前記油分離器で分離された前記潤滑油を前記膨張機に一定範囲内の圧力で供給する油ポンプと、前記油分離器から前記第1熱交換器を経由して前記膨張機に前記作動媒体を供給する第1流路と、前記膨張機から前記油分離器に前記作動媒体と前記潤滑油とを供給する第2流路と、前記油分離器から前記油ポンプと前記第2熱交換器とを経由して前記膨張機に前記潤滑油を供給する第3流路とを備え、前記膨張機に供給される前記潤滑油の温度が前記一定範囲内の圧力に対する前記作動媒体の飽和温度より高い、排熱回収システムを提供する。
【0010】
本発明の排熱回収システムによれば、第2熱交換器において潤滑油と圧縮ガスとが熱交換されることによって、潤滑油の温度を一定範囲内の圧力に対する作動媒体の飽和温度より高くできるため、作動媒体が潤滑油内で液化することを抑制できる。また、潤滑油は、第2熱交換器で圧縮ガスから熱交換されることで昇温する。つまり、圧縮ガスの熱エネルギーを利用していることから、エネルギーが有効利用され得る。従って、排熱回収システムの小型化と省エネルギー化とが達成され得る。
【0011】
前記排熱回収システムは、前記バイパス流路に設けられ、前記バイパス流路に流れる前記圧縮ガスの流量を調整する流量調整弁をさらに備え、前記流量調整弁の開度を調整することによって、前記膨張機に供給される前記潤滑油の温度を前記一定範囲内の圧力に対する前記作動媒体の前記飽和温度より高くしてもよい。
【0012】
前記の構成によれば、流量調整弁の開度を調整することで、潤滑油の温度を調整できる。すなわち、流量調整弁の開度を増大することで、第2熱交換器における熱交換量が増大され、潤滑油の温度を上昇できる。同様に、流量調整弁の開度を減少することで、潤滑油の温度を低下できる。そのため、一定範囲内で圧力が変動した場合、潤滑油の温度がその圧力に対する作動媒体の飽和温度より高くなるように調整できる。従って、効率的に熱エネルギーを利用でき、省エネルギー化が達成され得る。
【0013】
前記排熱回収システムは、前記第3流路の前記第2熱交換器と前記膨張機との間に設けられ、前記第2熱交換器で熱交換された前記潤滑油の温度を検出する温度センサと、前記温度センサの検出温度に応じて、前記流量調整弁の開度を制御する第1制御装置とをさらに備えてもよい。
【0014】
前記の構成によれば、潤滑油の温度を監視しつつ、潤滑油の温度に応じて第1制御装置で流量調整弁の開度を制御することで自動的に潤滑油の温度を調整できる。そのため、一定範囲内で圧力が変動した場合、潤滑油の温度がその圧力に対する作動媒体の飽和温度より高くなるように自動的に調整できる。従って、確実に潤滑油の温度を制御できる。
【0015】
前記第3流路の前記油ポンプと前記膨張機との間に設けられ、前記油ポンプから前記膨張機に供給される前記潤滑油の圧力である給油圧力を検出する第1圧力センサと、前記第1圧力センサの検出圧力に応じて、前記油ポンプの出力を制御する第2制御装置とをさらに備え、前記給油圧力を前記一定範囲内の圧力に収めるように、前記第2制御装置によって前記油ポンプの出力を制御してもよい。
【0016】
前記の構成によれば、潤滑油の給油圧力を監視しつつ、給油圧力に応じて第2制御装置で油ポンプの出力を制御することで自動的に潤滑油の給油圧力を調整し、一定範囲内の圧力に収めることができる。そのため、確実に給油圧力を一定範囲内の圧力に収めることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、圧縮機が吐出する圧縮ガスの熱エネルギーを膨張機を含むランキンサイクルに回収する排熱回収システムにおいて、一定範囲内の圧力の潤滑油内で作動媒体が液化することを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明に係る排熱回収システムの構成の概略図。
図2図1の膨張機の概略図。
図3】油ポンプ消費電力と給油圧力との関係を示すグラフの図。
図4】本発明に係る排熱回収システムのフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1を参照し、本実施形態に係る排熱回収システム1を説明する。
【0020】
排熱回収システム1では、圧縮機3から吐出された圧縮ガス(本実施形態では圧縮空気)の有する熱エネルギーを膨張機31を含むランキンサイクルに回収する。
【0021】
圧縮機3には駆動モータ2が機械的に連結されており、駆動モータ2によって圧縮機3は駆動される。圧縮機3の吐出口3bには、圧縮機3から吐出された圧縮ガスを需要先に送るためのガス流路10が接続されており、ガス流路10は需要先9に接続されている。また、ガス流路10には第1熱交換器11が設けられている。
【0022】
圧縮機3で吸込口3aから吸い込まれたガス(本実施形態では空気)は圧縮されて、高温の圧縮ガスとなって吐出口3bからガス流路10に吐出される。圧縮ガスは、ガス流路10に介在する第1熱交換器11で冷却され、需要先9に供給される。
【0023】
本実施形態では、第1熱交換器11をバイパスするようにバイパス流路20が、ガス流路10に接続されている。バイパス流路20の一端(上流側の端部)は、ガス流路10のうち圧縮機3と第1熱交換器11との間の部位に接続され、バイパス流路20の他端(下流側の端部)は、ガス流路10のうち第1熱交換器11と需要先9との間の部位に接続されている。また、バイパス流路20には第2熱交換器21が設けられている。
【0024】
圧縮機3から吐出された圧縮ガスは、圧縮機3と第1熱交換器11との間で分岐し、バイパス流路20に介在する第2熱交換器21で冷却された後、第1熱交換器11と需要先9との間で合流する。すなわち、圧縮機3から吐出された圧縮ガスは、上述のように第1熱交換器11で冷却され需要先9に供給される流路と、第1熱交換器11をバイパスし、第2熱交換器21で冷却される流路とを流れる。
【0025】
第1熱交換器11と第2熱交換器21とによって圧縮ガスから回収された熱エネルギーはランキンサイクルに利用される。以下、本実施形態に係る排熱回収システム1のランキンサイクルについて説明する。
【0026】
排熱回収システム1は、膨張機31と、膨張機31の下流に流体的に接続されている油分離器41とを備える。また、排熱回収システム1は、ランキンサイクルの作動媒体(潤滑油分離後)が流れる第1流路30(図1の二点鎖線部)、作動媒体(潤滑油分離前)が流れる第2流路40(図1の点線部)、及び膨張機31の潤滑油が流れる第3流路50(図1の太線部)を備える。本実施形態では、潤滑油は合成エステルで、作動媒体は水よりも低沸点の有機流体である。
【0027】
第1流路30は、一端(上流側の端部)が油分離器41の上部に接続され、他端(下流側の端部)が膨張機31の吸気口31b(図2参照)に接続されている。第1流路30では、潤滑油分離後の作動媒体が液体又は気体の状態で流れる。
【0028】
また、第2流路40は、一端(上流側の端部)が膨張機31の吐出口31c(図2参照)に接続され、他端(下流側の端部)は油分離器41に接続されている。第2流路40では、潤滑油分離前の作動媒体が流れる。
【0029】
第1流路30には油分離器41側から順に、凝縮器33、ポンプ34、及び第1熱交換器11が設けられている。油分離器41で分離された気体の作動媒体は、凝縮器33で冷却されることで凝縮(液化)し、ポンプ34に供給される。ポンプ34では、作動媒体は加圧され、第1熱交換器11に向けて吐出される。
【0030】
吐出された作動媒体は、第1熱交換器11で加熱されることで再度気化され、膨張機31に供給される。膨張機31では、作動媒体の熱エネルギーと圧力とがエネルギーとして取り出され、膨張機31からの動力を回収する発電機(動力回収部)32を介して電力に変換される。
【0031】
後述のように、膨張機31では、膨張機31の軸受37A,37B(図2参照)に対して潤滑油が供給されている。そのため、作動媒体は、膨張機31で潤滑油を伴い、第2流路40を介して油分離器41に流れる。油分離器41では、作動媒体と潤滑油とが分離され、作動媒体は第1流路30を流れ、潤滑油は第3流路50を流れる。
【0032】
第3流路50は、一端(上流側の端部)が油分離器41の下部の油溜り41aに接続され、他端(下流側の端部)が膨張機31の給油口31a(図2参照)に接続されている。
【0033】
第3流路50には油分離器41側から順に、油ポンプ51と第2熱交換器21とが設けられている。油ポンプ51は、モータ52を動力として駆動する。モータ52にはインバータ53が設けられており、インバータ53によってモータ52の回転数が変更される。モータ52の回転数が増加すると潤滑油の給油圧力が増加し、モータ52の回転数が減少すると潤滑油の給油圧力が減少する。
【0034】
油分離器41で分離された潤滑油は、油ポンプ51で一定範囲内の圧力まで加圧され、第2熱交換器21に向けて吐出される。吐出された潤滑油は、第2熱交換器21で加熱され、膨張機31に供給される。
【0035】
図2を参照すると、膨張機31には、第1流路30、第2流路40、及び第3流路50が接続されている。膨張機31では、第1熱交換器11で圧縮ガスと熱交換し加熱された作動媒体を膨張させる。本実施形態では、膨張機31として、作動媒体のエネルギーにより回転駆動されるスクリュロータ36を有するスクリュ膨張機が用いられている。膨張機31としては、遠心式のものやスクロールタイプのもの等が用いられてもよい。
【0036】
第3流路50は、潤滑油を軸受37A,37Bとロータ室39とに供給するように、膨張機31に接続されている。膨張機31に供給された潤滑油は、作動媒体と共に吐出口31cから吐出される。
【0037】
図1を参照すると、第1熱交換器11は、ガス流路10に設けられている。また、第1熱交換器11は、第1流路30に介在している。第1熱交換器11では、ガス流路10を流れる高温の圧縮ガスと、第1流路30を流れる作動媒体とが熱交換し、作動媒体が昇温する。すなわち、作動媒体は高温の圧縮ガスから熱エネルギーを受け取ることで加熱され、圧縮ガスは冷却される。
【0038】
第2熱交換器21は、バイパス流路20に設けられている。また、第2熱交換器21は、第3流路50に介在している。第2熱交換器21では、ガス流路10から分岐してバイパス流路20を流れる高温の圧縮ガスと、第3流路50を流れる潤滑油とが熱交換し、潤滑油が昇温する。すなわち、潤滑油は高温の圧縮ガスから熱エネルギーを受け取ることで加熱され、圧縮ガスは冷却される。
【0039】
バイパス流路20には、流量調整弁22が設けられている。流量調整弁22の開度を調整することでバイパス流路20を流れる圧縮ガスの流量が調整される。すなわち、第2熱交換器21を流れる圧縮ガスの流量が調整され、潤滑油と熱交換される熱エネルギー量も調整される。つまり、流量調整弁22の開度を増大することで潤滑油の温度を上げ、流量調整弁の開度を減少することで潤滑油の温度を下げる。
【0040】
第3流路50のうち膨張機31の直前の部位、具体的には第2熱交換器21と膨張機31との間に温度センサ55と圧力センサ(第1圧力センサ)56とが設けられている。温度センサ55によって、膨張機31に供給される潤滑油の温度toが検出される。圧力センサ56によって、膨張機31に供給される潤滑油の圧力(給油圧力)Poが検出される。
【0041】
温度センサ55によって検出された温度値は、第1制御装置100に送信される。第1制御装置100は、受信した潤滑油の温度値に応じて、流量調整弁22の開度を制御する。
【0042】
圧力センサ56によって検出された圧力値は、第2制御装置200に送信される。第2制御装置200は、受信した潤滑油の圧力値に応じて、インバータ53を介してモータ52の回転数を変更し、ポンプ34の出力を制御する。
【0043】
第1流路30のうち膨張機31の直前の部位、具体的には第1熱交換器11と膨張機31との間に圧力センサ35が設けられている。圧力センサ35によって、膨張機31に流入する作動媒体の圧力(吸込圧)Psが検出される。また、第2流路40のうち膨張機31の直後の部位に圧力センサ45が設けられている。圧力センサ45によって、膨張機31から流出する潤滑油を伴う作動媒体の圧力(吐出圧)Pdが検出される。検出された圧力Ps,Pdは、圧力値として第2制御装置に送信される。
【0044】
排熱回収システム1は、図4に示すフローチャートに従って動作する。
【0045】
ステップS1において、排熱回収システム1が開始すると、圧力センサ35と圧力センサ45とによって圧力Ps,Pdが検出され、温度センサ55によって温度toが検出され、圧力センサ56によって圧力Poが検出される。ステップS2において、温度toは、検出信号として第1制御装置100で受信され、圧力Ps,Pd,Poは、検出信号として第2制御装置200で受信される。
【0046】
ステップS3において、第2制御装置200によって、圧力Pxが圧力Psと圧力Pdとの平均圧力として算出され(Px=(Ps+Pd)/2)、圧力Pyが圧力Psよりわずかに小さい圧力として算出される(例えば、Py=Ps-0.1MPa)。
【0047】
本実施形態では、圧力Pxは潤滑油が膨張機31に供給されるための最低圧力である。また、圧力Pyは、油ポンプ51の消費電力が過剰に消費されることなく、潤滑油が膨張機31に供給されるための最大圧力である。すなわち、図3を参照すると、油ポンプ51の給油圧力を大きくすればするほど、消費電力も大きくなることから、本実施形態では、最大圧力Pyが設けられている。
【0048】
ステップS4において、潤滑油の圧力センサ56における圧力PoがPxより大きい場合、潤滑油は膨張機31内に給油可能な圧力と判断し、ステップS6へ移行する。ステップS4において、圧力PoがPx以下の場合、潤滑油は膨張機31内に給油できていないと判断され、ステップS5において、油ポンプの回転数を増加する。
【0049】
ステップS6において、圧力PoがPy未満の場合、油ポンプ51の消費電力は適切であると判断し、ステップS8において、油ポンプ51の回転数を維持する。ステップS6において、圧力PoがPy以上の場合、油ポンプ51の消費電力が過剰であると判断し、ステップS7において、油ポンプ51の回転数を減少する。
【0050】
すなわち、給油圧力Poを一定範囲内の圧力(Px<Po<Py)に収めるように、第2制御装置200によって油ポンプ51の出力を制御する。
【0051】
第2制御装置200によって油ポンプ51の回転数、つまり圧力Poが維持されたら、ステップS9において、圧力Poに対する作動媒体の飽和温度tosが算出される。作動媒体の温度が飽和温度tosより大きい場合は、作動媒体は気体となり、作動媒体の温度が飽和温度tosより小さい場合は、作動媒体は液体となる。
【0052】
潤滑油が膨張機31に供給される際、ステップS10において、潤滑油の温度toが飽和温度tosより大きい場合、潤滑油に接する作動媒体の温度が飽和温度tos以下にならず、潤滑油に液化した作動媒体が混入しない。この場合、ステップS12において、潤滑油の温度を維持する、すなわち、流量調整弁22の開度を維持する。ステップS10において、温度toが飽和温度tosより小さい場合、潤滑油に接する作動媒体の温度が飽和温度tos以下になるおそれがあり、潤滑油に液化した作動媒体が混入するおそれがある。この場合、ステップS11において、潤滑油の温度を上昇させる、すなわち、流量調整弁22の開度を増大する。
【0053】
本実施形態では、排熱回収システム1は、図4のフローチャートに従って、連続的に動作する。すなわち、第2熱交換器21から膨張機31に供給される潤滑油の温度toが、一定範囲内の圧力(Px<Po<Py)に対する作動媒体の飽和温度tosより高くなるように、流量調整弁22の開度は常に調整される。
【0054】
本実施形態の排熱回収システム1によれば、第2熱交換器21において潤滑油と圧縮ガスとが熱交換されることによって、第2熱交換器21から膨張機31に供給される潤滑油の温度toを一定範囲内の圧力(Px<Po<Py)に対する作動媒体の飽和温度tosより高くできる(to>tos)ため、作動媒体が潤滑油内で液化することを抑制できる。また、潤滑油は、第2熱交換器21で圧縮ガスから熱交換されることで昇温する。つまり、圧縮ガスの熱エネルギーを利用していることから、エネルギーが有効利用され得る。従って、排熱回収システム1の小型化と省エネルギー化とが達成され得る。
【0055】
また、流量調整弁22の開度を調整することで、潤滑油の温度を調整できる。すなわち、流量調整弁22の開度を増大することで、第2熱交換器21における熱交換量が増大され、潤滑油の温度を上昇できる。同様に、流量調整弁22の開度を減少することで、潤滑油の温度を低下できる。そのため、一定範囲内で圧力Poが変動した場合(Px<Po<Py)、潤滑油の温度toがその圧力Poに対する作動媒体の飽和温度tosより高くなるように調整できる。従って、効率的に熱エネルギーを利用でき、省エネルギー化が達成され得る。
【0056】
また、潤滑油の温度toを監視しつつ、潤滑油の温度toに応じて第1制御装置100で流量調整弁22の開度を制御することで自動的に潤滑油の温度toを調整できる。そのため、一定範囲内で圧力Poが変動した場合(Px<Po<Py)、潤滑油の温度toがその圧力Poに対する作動媒体の飽和温度tosより高くなるように自動的に調整できる。従って、確実に潤滑油の温度toを制御できる。
【0057】
また、潤滑油の給油圧力Poを監視しつつ、給油圧力Poに応じて第2制御装置200で油ポンプ51の出力を制御することで自動的に潤滑油の給油圧力Poを調整し、一定範囲内の圧力(Px<Po<Py)に収めることができる。そのため、確実に給油圧力Poを一定範囲内の圧力(Px<Po<Py)に収めることができる。
【0058】
以上より、本実施形態によれば、圧縮機3が吐出する圧縮ガスの熱エネルギーを膨張機31を含むランキンサイクルに回収する排熱回収システム1において、一定範囲内の圧力(Px<Po<Py)の潤滑油内で作動媒体が液化することを防止できる。
【符号の説明】
【0059】
1 排熱回収システム
2 駆動モータ
3 圧縮機
3a 吸込口
3b 吐出口
9 需要先
10 ガス流路
11 第1熱交換器
20 バイパス流路
21 第2熱交換器
22 流量調整弁
30 第1流路
31 膨張機
31a 給油口
31b 吸気口
31c 吐出口
32 発電機(動力回収部)
33 凝縮器
34 ポンプ
35 圧力センサ
36 スクリュロータ
37A,37B 軸受
38 回転軸
39 ロータ室
40 第2流路
41 油分離器
45 圧力センサ
50 第3流路
51 油ポンプ
52 モータ
53 インバータ
55 温度センサ
56 圧力センサ(第1圧力センサ)
100 第1制御装置
200 第2制御装置
図1
図2
図3
図4