IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 平安伸銅工業株式会社の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023066967
(43)【公開日】2023-05-16
(54)【発明の名称】柱材支持具および圧縮力調整板
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/26 20060101AFI20230509BHJP
   E04B 2/74 20060101ALI20230509BHJP
【FI】
E04B1/26 Z
E04B2/74 531S
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021177865
(22)【出願日】2021-10-29
(71)【出願人】
【識別番号】591171851
【氏名又は名称】平安伸銅工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100136098
【弁理士】
【氏名又は名称】北野 修平
(74)【代理人】
【識別番号】100137246
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 勝也
(72)【発明者】
【氏名】竹内 一紘
(72)【発明者】
【氏名】大西 富男
(57)【要約】
【課題】設置時に壁面を傷つけるおそれを低減しながら、所望の位置に設置することができる柱材支持具を提供する。
【解決手段】柱材支持具は、対向する第1の壁面と第2の壁面との間にテンションを維持した状態で柱材を支持する。柱材支持具は、柱材の長手方向の一方側の端部である第1端部に取り付けられる第1の支持体と、柱材の長手方向の他方側の端部である第2端部に取り付けられる第2の支持体と、を備える。第1の支持体は、第1の壁面と接触する第1の接触部材と、第1端部を圧入する第1の圧入部材と、第1の圧入部材と第1の接触部材とが離隔する方向に弾性力を付与する弾性部材と、を含む。第2の支持体は、第2の壁面と接触する第2の接触部材と、第2端部を圧入する第2の圧入部材と、を含む。柱材支持具は、第1の接触部材と第1の圧入部材との距離が可変であり、第1の接触部材に対して第1の圧入部材を傾斜させるよう第1の圧入部材を回転可能に保持する保持部を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する第1の壁面と第2の壁面との間にテンションを維持した状態で柱材を支持する柱材支持具であって、
前記柱材の長手方向の一方側の端部である第1端部に取り付けられる第1の支持体と、
前記柱材の長手方向の他方側の端部である第2端部に取り付けられる第2の支持体と、を備え、
前記第1の支持体は、
前記第1の壁面と接触する第1の接触部材と、
前記第1端部を圧入する第1の圧入部材と、
前記第1の圧入部材と前記第1の接触部材とが離隔する方向に弾性力を付与する弾性部材と、を含み、
前記第2の支持体は、
前記第2の壁面と接触する第2の接触部材と、
前記第2端部を圧入する第2の圧入部材と、を含み、
前記柱材支持具は、前記第1の接触部材と前記第1の圧入部材との距離が可変であり、前記第1の接触部材に対して前記第1の圧入部材を傾斜させるよう前記第1の圧入部材を回転可能に保持する保持部を含む、柱材支持具。
【請求項2】
前記弾性部材は、押し縮められた状態で、前記第1の接触部材と前記第1の圧入部材との間に配置される、請求項1に記載の柱材支持具。
【請求項3】
前記第1の接触部材および前記第1の圧入部材のうちの少なくともいずれか一方には、前記弾性部材の押し縮められた状態を示すマークが前記柱材を支持する前の状態において外部から視認可能に設けられている、請求項1または請求項2に記載の柱材支持具。
【請求項4】
前記マークは、
前記第1の圧入部材に設けられ、
前記第1の圧入部材と前記第1の接触部材とが離隔する方向に交差する方向に延びる直線状の凹みから構成されている、請求項3に記載の柱材支持具。
【請求項5】
前記保持部は、前記第1の圧入部材に設けられる突起部を含み、
前記突起部は、中実円筒状であって、前記第1の圧入部材と前記第1の接触部材とが離隔する方向に垂直な方向に突出しており、
前記保持部は、前記第1の接触部材に設けられ、前記突起部を受け入れて前記突起部の移動を規制するガイドリブを含む、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の柱材支持具。
【請求項6】
前記突起部は、前記第1の圧入部材と前記第1の接触部材とが離隔する方向において、前記第1の接触部材側に位置する第1先端領域を含み、
前記第1先端領域は、前記第1の接触部材に近い側から遠い側に向かって、前記突起部の突出量が増加するよう傾斜している傾斜面である、請求項5に記載の柱材支持具。
【請求項7】
前記保持部は、前記突起部を複数含み、
前記保持部は、前記複数の突起部を受け入れる複数の前記ガイドリブを含む、請求項5または請求項6に記載の柱材支持具。
【請求項8】
前記弾性部材は、バネ定数が1N/mm以上5N/mm以下の圧縮バネである、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の柱材支持具。
【請求項9】
板状であって、厚さ方向の一方の面に圧縮力調整凸部が形成され、厚さ方向の他方の面に平面部を含む圧縮力調整板をさらに備え、
前記第2の圧入部材は、前記圧縮力調整板を載置する載置面を含み、
前記載置面には、平面部と、前記圧縮力調整凸部を受け入れる圧縮力調整凹部と、が形成されている、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の柱材支持具。
【請求項10】
対向する第1の壁面と第2の壁面との間にテンションを維持した状態で柱材を支持する柱材支持具であって、
前記柱材の長手方向の一方側の端部である第1端部に取り付けられる第1の支持体を備え、
前記第1の支持体は、
前記第1の壁面と接触する第1の接触部材と、
前記第1端部を圧入する第1の圧入部材と、
前記第1の圧入部材と前記第1の接触部材とが離隔する方向に弾性力を付与する弾性部材と、を含み、
前記弾性部材は、押し縮められた状態で、前記第1の接触部材と前記第1の圧入部材との間に配置される、柱材支持具。
【請求項11】
対向する第1の壁面と第2の壁面との間にテンションを維持した状態で柱材を支持する柱材支持具であって、
前記柱材の長手方向の一方側の端部である第1端部に取り付けられる第1の支持体を備え、
前記第1の支持体は、
前記第1の壁面と接触する第1の接触部材と、
前記第1端部を圧入する第1の圧入部材と、
前記第1の圧入部材と前記第1の接触部材とが離隔する方向に弾性力を付与する弾性部材と、を含み、
前記柱材支持具は、前記第1の接触部材と前記第1の圧入部材との距離が可変であり、前記第1の接触部材に対して前記第1の圧入部材を傾斜させるよう前記第1の圧入部材を回転可能に保持する保持部を含む、柱材支持具。
【請求項12】
対向する第1の壁面と第2の壁面との間にテンションを維持した状態で柱材を支持する柱材支持具に用いられる圧縮力調整板であって、
厚さ方向の一方の面に圧縮力調整凸部が形成され、厚さ方向の他方の面に平面部を含む、圧縮力調整板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、柱材支持具および圧縮力調整板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
柱を立てる際に用いられる仮設柱の支持機構が、例えば、特開2009-13770号公報(特許文献1)に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-13770号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示の仮設柱の支持機構は、柱の一方端部に取り付けられる第1の箱体と、柱の他方端部に取り付けられる第2の箱体と、を含む。例えば鉛直方向に真っ直ぐに柱を設置したい場合において、部屋の側壁面に近づけて真っ直ぐに設置しようとすると、箱体の角部と部屋の天壁面や側壁面とが接触して天壁面や側壁面に傷がついてしまうおそれがある。特に、柱材を側壁面と接触させたり、側壁面と近接させて設置しようとする場合、この傾向が顕著となる。このような状況は好ましくなく、天壁面や側壁面といった壁面を傷つけずに側壁面に近接した位置といった所望の位置に設置できることが求められる。
【0005】
そこで、設置時に壁面を傷つけるおそれを低減しながら、所望の位置に設置することができる柱材支持具を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に従った柱材支持具は、対向する第1の壁面と第2の壁面との間にテンションを維持した状態で柱材を支持する。柱材支持具は、柱材の長手方向の一方側の端部である第1端部に取り付けられる第1の支持体と、柱材の長手方向の他方側の端部である第2端部に取り付けられる第2の支持体と、を備える。第1の支持体は、第1の壁面と接触する第1の接触部材と、第1端部を圧入する第1の圧入部材と、第1の圧入部材と第1の接触部材とが離隔する方向に弾性力を付与する弾性部材と、を含む。第2の支持体は、第2の壁面と接触する第2の接触部材と、第2端部を圧入する第2の圧入部材と、を含む。柱材支持具は、第1の接触部材と第1の圧入部材との距離が可変であり、第1の接触部材に対して第1の圧入部材を傾斜させるよう第1の圧入部材を回転可能に保持する保持部を含む。
【発明の効果】
【0007】
このような柱材支持具によると、設置時に壁面を傷つけるおそれを低減しながら、所望の位置に設置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施の形態1における柱材支持具の分解斜視図である。
図2図2は、実施の形態1における柱材支持具の外観を示す斜視図である。
図3図3は、図2に示す柱材支持具の正面図である。
図4図4は、図2に示す柱材支持具の側面図である。
図5図5は、図2に示す柱材支持具の平面図である。
図6図6は、図4中の線分VI-VIで切断した場合の断面図である。
図7図7は、第1の圧入部材を拡大して示す概略斜視図である。
図8図8は、第1の圧入部材を拡大して示す概略斜視図である。
図9図9は、カバー部を拡大して示す概略斜視図である。
図10図10は、カバー部を拡大して示す概略斜視図である。
図11図11は、第2の圧入部材を拡大して示す概略斜視図である。
図12図12は、第2の圧入部材を拡大して示す概略斜視図である。
図13図13は、図11および図12に示す第2の圧入部材の平面図である。
図14図14は、図11および図12に示す第2の圧入部材を図13中の矢印XIV-XIVで示す断面で切断した場合の断面図である。
図15図15は、第2パッド部を拡大して示す概略斜視図である。
図16図16は、圧縮力調整板を拡大して示す概略斜視図である。
図17図17は、圧縮力調整板を拡大して示す概略斜視図である。
図18図18は、圧縮力調整板の平面図である。
図19図19は、圧縮力調整板の底面図である。
図20図20は、圧縮力調整板の正面図である。
図21図21は、圧縮力調整板の右側面図である。
図22図22は、圧縮力調整板を載置面上に載置した場合の平面図である。
図23図23は、図22中の線分XXIII-XXIIIで切断した場合の断面図である。
図24図24は、1枚目の圧縮板調整板上に2枚目の圧縮力調整板を載置した場合の平面図である。
図25図25は、図24中の線分XXV-XXVで切断した場合の断面図である。
図26図26は、第1の接触部材を天壁面および側壁面に接触させた場合の側面図である。
図27図27は、第1の接触部材を天壁面および側壁面に接触させた場合の斜視図である。
図28図28は、第1の接触部材を天壁面および側壁面に接触させた場合の正面図である。
図29図29は、図28中の線分XXIX-XXIXで切断した場合の断面図である。
図30図30は、天壁面と床壁面との間に設置された柱材を支持する柱材支持具の正面図である。
図31図31は、図30に示す柱材および柱材を支持する柱材支持具の断面図である。
図32図32は、図23で示す場合と異なるパターンで1枚の圧縮力調整板を載置面上に載置した場合の断面図である。
図33図33は、図25で示す場合と異なるパターンで2枚の圧縮力調整板を載置面上に載置した場合の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。本開示に係る柱材支持具は、対向する第1の壁面と第2の壁面との間にテンションを維持した状態で柱材を支持する。柱材支持具は、柱材の長手方向の一方側の端部である第1端部に取り付けられる第1の支持体と、柱材の長手方向の他方側の端部である第2端部に取り付けられる第2の支持体と、を備える。第1の支持体は、第1の壁面と接触する第1の接触部材と、第1端部を圧入する第1の圧入部材と、第1の圧入部材と第1の接触部材とが離隔する方向に弾性力を付与する弾性部材と、を含む。第2の支持体は、第2の壁面と接触する第2の接触部材と、第2端部を圧入する第2の圧入部材と、を含む。柱材支持具は、第1の接触部材と第1の圧入部材との距離が可変であり、第1の接触部材に対して第1の圧入部材を傾斜させるよう第1の圧入部材を回転可能に保持する保持部を含む。
【0010】
このような構成の柱材支持具によると、柱材支持具を利用して柱材を第1の壁面と第2の壁面との間にテンションを維持した状態で設置する際に、上記保持部により、第1の接触部材に対して柱材が圧入された第1の圧入部材を回転させて傾斜させることができる。そうすると、柱材が圧入された第1の圧入部材を傾斜させた状態で、先に第1の接触部材を第1の壁面に接触させることができる。このような状態によれば、第1の壁面に近い位置に側壁面が配置されていたとしても、第1の壁面および側壁面に第1の接触部材の角部を接触するおそれを低減しながら設置することができる。その後、柱材の長手方向の他方側の端部を押し進めて、第1の壁面と第2の壁面との間にテンションを維持した状態で柱材を支持することができる。したがって、このような柱材支持具によれば、設置時に壁面を傷つけるおそれを低減しながら、所望の位置に設置することができる。
【0011】
上記柱材支持具において、弾性部材は、押し縮められた状態で、第1の接触部材と第1の圧入部材との間に配置されてもよい。このようにすることにより、設置時において、ユーザーが弾性部材を押し縮めて圧縮する際の押し縮め量を小さくすることができる。したがって、設置時におけるユーザーの労力の負担を軽減でき、より容易に柱材を設置することができる。
【0012】
上記柱材支持具において、第1の接触部材および第1の圧入部材のうちの少なくともいずれか一方には、弾性部材の押し縮められた状態を示すマークが柱材を支持する前の状態において外部から視認可能に設けられていてもよい。このようにすることにより、弾性部材の押し縮められた状態を外部から把握することができ、柱材を支持する際の圧縮力が適切であるか否かを容易に判断することができる。そうすると、圧縮力が適切となるような柱材の長さの調整等を促進することができる。したがって、より適切に柱材を設置することができる。
【0013】
上記柱材支持具において、マークは、第1の圧入部材に設けられ、第1の圧入部材と第1の接触部材とが離隔する方向に交差する方向に延びる直線状の凹みから構成されていてもよい。このようにすることにより、より容易にマークを視認することができることに加え、マークと他の部材とが干渉するおそれを低減することができる。また、マークの傾斜の度合いから取り付け時における傾斜度合いも視認することができるため、さらに適切に柱材を設置することができる。
【0014】
上記柱材支持具において、保持部は、第1の圧入部材に設けられる突起部を含んでもよい。突起部は、中実円筒状であって、第1の圧入部材と第1の接触部材とが離隔する方向に垂直な方向に突出してもよい。保持部は、第1の接触部材に設けられ、突起部を受け入れて突起部の移動を規制するガイドリブを含んでもよい。このようにすることにより、保持部に含まれ、第1の圧入部材に設けられる突起部と、保持部に含まれ、第1の接触部材に設けられるガイドリブとにより、より適切に第1の圧入部材を傾斜させるよう回転可能に第1の圧入部材を保持することができる。したがって、より適切に柱材を設置することができる。
【0015】
上記柱材支持具において、突起部は、第1の圧入部材と第1の接触部材とが離隔する方向において、第1の接触部材側に位置する第1先端領域を含んでもよい。第1先端領域は、第1の接触部材に近い側から遠い側に向かって、突起部の突出量が増加するよう傾斜している傾斜面であってもよい。このようにすることにより、第1先端領域を利用して、より円滑にガイドリブによる突起部との係合を実現することができる。
【0016】
上記柱材支持具において、保持部は、突起部を複数含んでもよい。保持部は、複数の突起部を受け入れる複数のガイドリブを含んでもよい。このようにすることにより、より安定して、第1の方向に対して柱材が圧入された第1の圧入部材を傾斜させることができる。したがって、より確実に設置時に壁面を傷つけるおそれを低減しながら、所望の位置に設置することができる。
【0017】
上記柱材支持具において、弾性部材は、バネ定数が1N/mm以上5N/mm以下の圧縮バネであってもよい。このようにすることにより、壁面間にかけるテンションを適当な範囲とすることができる。
【0018】
上記柱材支持具は、板状であって、厚さ方向の一方の面に圧縮力調整凸部が形成され、厚さ方向の他方の面に平面部を含む圧縮力調整板をさらに備えてもよい。第2の圧入部材は、圧縮力調整板を載置する載置面を含んでもよい。載置面には、平面部と、圧縮力調整凸部を受け入れる圧縮力調整凹部と、が形成されていてもよい。このようにすることにより、圧縮力調整板により柱材の長手方向の長さを容易に調整することができ、適度なテンションで柱材を支持することが容易となる。
【0019】
本開示の柱材支持具は、対向する第1の壁面と第2の壁面との間にテンションを維持した状態で柱材を支持する。柱材支持具は、柱材の長手方向の一方側の端部である第1端部に取り付けられる第1の支持体を備える。第1の支持体は、第1の壁面と接触する第1の接触部材と、第1端部を圧入する第1の圧入部材と、第1の圧入部材と第1の接触部材とが離隔する方向に弾性力を付与する弾性部材と、を含む。弾性部材は、押し縮められた状態で、第1の接触部材と第1の圧入部材との間に配置される。
【0020】
このような柱材支持具によると、設置時におけるユーザーの労力の負担を軽減でき、より容易に柱材を設置することができる。
【0021】
本開示の柱材支持具は、対向する第1の壁面と第2の壁面との間にテンションを維持した状態で柱材を支持する。柱材支持具は、柱材の長手方向の一方側の端部である第1端部に取り付けられる第1の支持体を備える。第1の支持体は、第1の壁面と接触する第1の接触部材と、第1端部を圧入する第1の圧入部材と、第1の圧入部材と第1の接触部材とが離隔する方向に弾性力を付与する弾性部材と、を含む。柱材支持具は、第1の接触部材と第1の圧入部材との距離が可変であり、第1の接触部材に対して第1の圧入部材を傾斜させるよう第1の圧入部材を回転可能に保持する保持部を含む。
【0022】
このような柱材支持具は、設置時に壁面を傷つけるおそれを低減しながら、所望の位置に設置することができる。
【0023】
本開示の圧縮力調整板は、対向する第1の壁面と第2の壁面との間にテンションを維持した状態で柱材を支持する柱材支持具に用いられる。圧縮力調整板において、厚さ方向の一方の面に圧縮力調整凸部が形成され、厚さ方向の他方の面に平面部を含む。
【0024】
このような圧縮力調整板によると、柱材の長手方向の長さを容易に調整することができ、適度なテンションで柱材を支持することが容易となる。
【0025】
[本開示の実施形態の詳細]
次に、本開示の柱材支持具の実施形態を、図面を参照しつつ説明する。以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照符号を付しその説明は繰り返さない。
【0026】
(実施の形態1)
本開示の実施の形態1に係る柱材支持具について説明する。図1は、実施の形態1における柱材支持具の分解斜視図である。図2は、実施の形態1における柱材支持具の外観を示す斜視図である。図3は、図2に示す柱材支持具の正面図である。図4は、図2に示す柱材支持具の側面図である。図5は、図2に示す柱材支持具の平面図である。図6は、図4中の線分VI-VIで切断した場合の断面図である。なお、本実施形態においては、設置された柱材の長手方向(高さ方向)をZ方向とし、Z方向に垂直な柱材の断面の縦方向をX方向とし、柱材の断面の横方向をY方向とする。すなわち、柱材支持具により柱材は、Z方向に支持される。X方向とY方向とZ方向はそれぞれ直交している。なお、図1等において、柱材の長手方向の長さを省略して図示している。また、本明細書において、X方向、Y方向およびZ方向については、対向する第1の壁面としての天壁面および第2の壁面としての床壁面の間に柱材を支持した場合の方向を示すものであり、柱材支持具を構成する部品の説明時においては、便宜上柱材を支持した場合の方向として示している。
【0027】
図1図6を参照して、実施の形態1における柱材支持具11は、第1の支持体13と、第2の支持体14と、圧縮力調整板29a,29bと、を含む。圧縮力調整板29a,29bの構成については、後に詳述する。柱材支持具11は、柱材12を支持するために用いられる。柱材支持具11によって支持される柱材12については、柱材12の長手方向に垂直な断面(設置時におけるX-Y断面)で切断した場合の断面形状が矩形状である。本実施形態においては、角材、具体的には断面形状が四角形であり、木製である。具体的な柱材12の一例としては、いわゆるツーバイフォーの木材である。なお、柱材支持具11の形状は、用途や必要性に応じて、ワンバイフォーの木材に対応する形状やツーバイシックスの木材に対応する形状であってもよいし、他の任意の縦方向の長さおよび横方向の長さを有する木材に対応する形状であってもよい。
【0028】
柱材支持具11は、第1の方向において対向する第1の壁面と第2の壁面との間にテンションを維持した状態で柱材12を支持する。具体的には、例えば、第1の方向としての鉛直方向において対向する第1の壁面としての部屋の天壁面(天井面)と、第2の壁面としての部屋の床壁面(床面)との間において、天壁面と床壁面との間にテンションを維持した状態で柱材12を支持する。これについては、後述する。柱材支持具11の材質は、金属製である後述する圧縮バネ22a,22bを除き、樹脂製である。具体的には、後述する第1パッド部25および第2パッド部27の材質は、EVA(Ethylene-Vinyl Acetate(エチレン-酢酸ビニル共重合))樹脂である。圧縮バネ22a,22b、第1パッド部25および第2パッド部27を除き、柱材支持具11を構成する部材の材質は、ABS(Acrylonitrile Butadiene Styrene)樹脂である。もちろん、これら樹脂の材質については、上記したものに限定されるものではない。
【0029】
次に、第1の支持体13の具体的な構成について説明する。第1の支持体13は、柱材12の長手方向の一方側の端部である第1端部16aに取り付けられる。第1の支持体13は、柱材12を支持する際に、鉛直方向上側である天壁面側に位置するように配置される。第1の支持体13は、第1の圧入部材21と、弾性部材である2つの圧縮バネ22a,22bと、第1の接触部材23と、を含む。第1の接触部材23は、カバー部24と、第1パッド部25と、を含む。本実施形態においては、第1の接触部材23は、カバー部24と、第1パッド部25とに分離可能に設けられている。なお、第1の接触部材23は、一体品として構成されていてもよい。圧縮バネ22a,22bは、第1の圧入部材21と第1の接触部材23とが離隔する方向に弾性力を付与する。
【0030】
ここで、柱材支持具11は、第1の接触部材23と第1の圧入部材21との距離が可変であり、第1の接触部材23に対して第1の圧入部材21を傾斜させるよう第1の圧入部材21を回転可能に保持する保持部38を含む。これについては、後述する。なお、第1の圧入部材21と第1の接触部材23とが離隔する方向は、図1図6に示す状態においては、第1の方向であるZ方向である。
【0031】
次に、第1の圧入部材21の構成について説明する。図7および図8は、第1の圧入部材21を拡大して示す概略斜視図である。図7図8とは、それぞれ角度を異ならせて第1の圧入部材21を図示している。図7および図8を併せて参照して、第1の圧入部材21は、環状の第1側壁部31と、環状の第2側壁部32と、平板部33と、を含む。環状の第1側壁部31の一方の開口および環状の第2側壁部32の他方の開口を覆うように平板部33が配置される。
【0032】
Z方向に開口34を有する第1側壁部31内には、空間35が形成されている。空間35は、平板部33と、第1側壁部31とによって囲まれた領域となる。第1側壁部31における開口34の形状は、Z方向に見て矩形状であって、柱材12の長手方向に垂直な断面と同様である。第1の圧入部材21を柱材12に取り付ける際には、空間35内に柱材12の長手方向の第1端部16aが圧入される。
【0033】
第1側壁部31の内側面36には、Z方向に延びる第1突状部37がX方向およびY方向に間隔をあけて複数設けられている。本実施形態においては、第1突状部37は、X方向に対向する内側面36に合計4つ設けられている。第1突状部37の内側面36からの突出量は、Z方向の途中から開口34に近づくに従い、小さくなっている。この第1突状部37により、柱材12の第1端部16aを圧入した際に、柱材12の側面に第1突状部37が食い込んで、柱材12の強い圧入状態を維持している。すなわち、このようにすることにより、柱材12を圧入した後の柱材12のがたつきを抑制することができる。
【0034】
Z方向に開口41を有する第2側壁部32には、空間42が形成されている。空間42は、平板部33と、第2側壁部32とによって囲まれた領域となる。第2側壁部32における開口41の形状についても、Z方向に見て矩形状である。開口41の形状は、開口34の形状よりも小さい。具体的には、開口41の縦方向(X方向)の長さは、開口34の縦方向の長さよりも短い。また、開口41の横方向(Y方向)の長さは、開口34の横方向の長さよりも短い。
【0035】
空間42内に、圧縮バネ22a,22bが収容される。空間42内には、圧縮バネ22a,22bの一部を保持する2つの第1保持突起43a,43bが設けられている。第1保持突起43a,43bはそれぞれ中空円筒状であり、Y方向に間隔をあけて配置されている。第1保持突起43a,43bは、平板部33からZ方向に延びるように形成されている。第1保持突起43a,43bの内径はそれぞれ、圧縮バネ22a,22bを収容可能な大きさである。第1保持突起43a,43b内に圧縮バネ22a,22bがZ方向の一部を収容するように配置される。圧縮バネ22a,22bは、第1保持突起43a,43b内にそれぞれ収容されるとき、圧縮バネ22a,22bのZ方向の一方端部(矢印Zと逆向き側の端部)が、平板部33と接触している。
【0036】
第2側壁部32の外側面44には、保持部38としての2つの突起部45a,45bが形成されている。突起部45a,45bはそれぞれY方向に突出するように設けられている。突起部45a,45bは、第2側壁部32の外側面44からY方向にそれぞれ突出するように設けられている。突起部45aの外形形状は、Y方向に見て、丸状である。すなわち、突起部45aの側面46aは、円弧状となっている。この突起部45aの丸状の中心が、回転中心となる。
【0037】
突起部45aは、第1の圧入部材21と第1の接触部材23とが離隔する方向(Z方向)において、第1の接触部材23側に位置する第1先端領域47aを含む。本実施形態においては、突起部45aはさらに、第2先端領域48aと、第3先端領域49aと、を含む。第3先端領域49aは、Z方向において平板部33側に位置する。第2先端領域48aは、Z方向において、第3先端領域49aに対して開口41側、すなわち、第1の接触部材23側に位置する。第2先端領域48aは、Z方向において、第1先端領域47aと第3先端領域49aとの間に配置される。第3先端領域49aは、X-Z平面に平行な平面である。第2先端領域48aは、第1先端領域47aから第3先端領域49aに向かって、滑らかに連なる円弧面である。すなわち、第2先端領域48aは、X方向から見た場合に、円弧面として表れる。第1先端領域47aは、平面である。ここで、第1先端領域47aは、第1の接触部材23に近い側から遠い側に向かって、突起部45の突出量が増加するよう傾斜している傾斜面である。突起部45bについても、同様の構成である。
【0038】
第2側壁部32の外側面44には、圧縮バネ22a,22bの押し縮められた状態を示すマーク39が形成されている。すなわち、マーク39は、第1の圧入部材21に設けられている。マーク39は、外側面44のうちのX方向に位置する領域に設けられている。マーク39は、Y方向の中央領域において、Y方向に延びるように設けられている。マーク39は、外側面44から溝状に凹むように形成されている。本実施形態においては、マーク39は、第1の圧入部材21と第1の接触部材23とが離隔する方向であるZ方向に交差する方向、具体的にはZ方向に直交するY方向に延びる直線状の凹みから構成されている。マーク39は、柱材12を支持する前の状態において外部から視認可能に設けられている。具体的には、マーク39は、Z方向において、後述するように第1の圧入部材21にカバー部24が嵌め込まれた際に、X方向において露出する位置に設けられている。
【0039】
第1の接触部材23は、カバー部24と、第1パッド部25と、を含む。次に、カバー部24の構成について説明する。図9および図10は、カバー部24を拡大して示す概略斜視図である。図9および図10は、それぞれ角度を異ならせてカバー部24を図示している。図9および図10を併せて参照して、カバー部24には、Z方向に開口53を有する空間54が設けられている。カバー部24は、底板部51と、側壁部52と、を含む。空間54は、底板部51と側壁部52とによって囲まれた領域である。側壁部52の内側面55には、X方向およびY方向にそれぞれ間隔をあけて、Z方向に延びる複数の突状ガイド部56が形成されている。空間54内に第1の圧入部材21の第2側壁部32の一部が配置される。空間54内に第2側壁部32を収容する際に、複数の突状ガイド部56によって、X方向の位置が案内される。
【0040】
カバー部24における開口53の形状についても、上記した開口34,41と同様に、Z方向に見て矩形状である。開口53の形状は、開口41の形状よりも大きい。具体的には、開口41の縦方向(X方向)の長さおよび横方向(Y方向)の長さはそれぞれ、開口34の縦方向の長さおよび横方向の長さよりも短い。本実施形態においては、開口53の大きさは、開口34の大きさと同じである。
【0041】
カバー部24の底板部51には、Z方向において空間54側に突出する2つの第2保持突起57a,57bが設けられている。第2保持突起57a,57bは、底板部51から半球状に突出している部分を有する。第2保持突起57a,57bは、Y方向に間隔をあけて配置されている。
【0042】
第2保持突起57a,57bはそれぞれ、圧縮バネ22a,22bに収容される。圧縮バネ22a,22bは、第2保持突起57a,57bの他方端部内にそれぞれ収容されることにより、圧縮バネ22a,22bの圧縮時における位置のずれを抑制することができる。すなわち、第2保持突起57a,57bは、圧縮バネ22a,22bの圧縮時におけるガイドの機能を果たすことができる。
【0043】
カバー部24は、底板部51からZ方向において、空間54と反対側に突出する第1嵌め込み突起58a,58b,58c,58d,58e,58f,58g,58hが複数形成されている。本実施形態においては、第1嵌め込み突起58a~58hは、X方向およびY方向にそれぞれ間隔をあけて8つ設けられている。これらの第1嵌め込み突起58a~58hは、第1パッド部25をカバー部24に取り付ける際に利用される。
【0044】
保持部38は、第1の接触部材23、具体的には、カバー部24に設けられ、突起部45a,45bを受け入れて突起部45a,45bの移動を規制するガイドリブ61a,61bを含む。ガイドリブ61aは、上記第1の圧入部材21の第2側壁部32に設けられている突起部45a,45bをそれぞれガイドする。ガイドリブ61a,61bはそれぞれ、側壁部52の内側面55から突出して設けられている。一方のガイドリブ61aは、第1凸状部62aと、第2凸状部63aと、第3凸状部64aと、第4凸状部65aと、を含む。第1凸状部62aおよび第2凸状部63aはそれぞれ、開口53から底板部51に向かってZ方向に延びる形状である。第1凸状部62aと第2凸状部63aとは、X方向に間隔をあけて設けられている。第3凸状部64aは、第1凸状部62aから第2凸状部63aに向かってX方向に延びる形状である。第1凸状部62a、第2凸状部63aおよび第3凸状部64aによって仕切られる領域66aに、突起部45aが収容される。第4凸状部65aは、開口53から第3凸状部64aに向かってZ方向に延びる形状である。第4凸状部65aは、Z方向において開口53側が最も内側面55との距離が短く、第3凸状部64aに近づくに従い、内側面55との距離が長くなるテーパ状に形成されている。他方のガイドリブ61bの構成についても、同様である。
【0045】
次に、第1パッド部25の構成について説明する。第1パッド部25は、板状である。第1パッド部25のうちの厚さ方向の一方の面は、平面である。第1パッド部25は、カバー部24と比較してクッション性を有する。第1パッド部25の外形形状は、厚さ方向(Z方向)に見た場合に、矩形状であって、カバー部24の外形形状に沿う形状である。第1パッド部25は、第1の壁面である天壁面に接触する部分である。具体的には、第1パッド部25のうちの厚さ方向の一方の面が天壁面に接触するように設置される。第1パッド部25は、天壁面に対して滑りにくい材質で構成されている。第1パッド部25は、カバー部24に取り付けられる。具体的には、第1パッド部25の厚さ方向の他方の面には、上記したカバー部24に設けられた8つの第1嵌め込み突起58a,58b,58c,58d,58e,58f,58g,58hに対応する位置に設けられた8つの第1嵌め込み凹部が設けられている。第1嵌め込み凹部はそれぞれ、円柱状の部材において、第1嵌め込み突起58a~58hにそれぞれ対応する部分を凹ませた形状である。第1パッド部25は、8つの第1嵌め込み突起58a~58hに対応する位置に設けられた第1嵌め込み凹部に第1嵌め込み突起58a~58hを嵌め合わせることにより、カバー部24に取り付けられる。
【0046】
圧縮バネ22a,22bについては、バネ定数が1N/mm以上5N/mm以下の圧縮バネが用いられる。すなわち、バネ定数が1N/mmの場合、一つの圧縮バネ22aに対し1mm押し縮めようとすると、1Nの力を必要とする。本実施形態においては、2つの圧縮バネ22a,22bが用いられているため、それぞれのバネ定数が3N/mmであった場合、第1の支持体13を柱材に取り付けた状態において、長手方向(Z方向)に1mm押し縮めるのに合計6Nの力が必要となる。
【0047】
次に、第1の支持体13の組み立てについて説明する。第1の支持体13については、上記した構成の第1の圧入部材21、2つの圧縮バネ22a,22b、カバー部24および第1パッド部25を含む第1の接触部材23を用いて組み立てられる。具体的には、第1の圧入部材21の中空円筒状の第1保持突起43a,43b内に圧縮バネ22a,22bの一方端部側をそれぞれ収容する。次に、圧縮バネ22a,22bの他方端部側を第2保持突起57a,57bに保持させるようにして、圧縮バネ22a,22bを押し縮めるようにしてカバー部24を第1の圧入部材21に取り付ける。
【0048】
ここで、押し縮めていく際には、突起部45aには、第2先端領域48aが設けられているため、ガイドリブ61aの第4凸状部65aに沿って、より円滑に押し縮めることができる。すなわち、突起部45aとガイドリブ61aの第3凸状部64aとが干渉するおそれを低減することができる。そして、第3凸状部64aを突起部45aがかわして、ガイドリブ61aの領域66a内に突起部45aが配置されることになる。この時、圧縮バネ22a,22bはある程度の圧縮力で押し縮められた状態となっているが、突起部45a,45bと第3凸状部64aとが引っ掛かった状態となっている。突起部45bおよびガイドリブ61bの関係についても同様である。このようにして、圧縮バネ22a,22bは、第1の圧入部材21と第1の接触部材23とが離隔する方向に弾性力を付与する。このような保持部38の構成を採用することにより、カバー部24が第1の圧入部材21の第2側壁部32から脱落するおそれを大きく低減することができる。その後、第1嵌め込み突起58a~58hと第1嵌め込み凹部とを嵌め込んで、カバー部24に第1パッド部25を取り付ける。このようにして、第1の支持体13が組み立てられる。なお、最初にカバー部24に第1パッド部25を取り付けた後、カバー部24を第1の圧入部材21に取り付けることとしてもよい。
【0049】
次に、第2の支持体14の具体的な構成について説明する。第2の支持体14は、柱材12の長手方向の他方側に取り付けられる。第2の支持体14は、柱材12を支持する際に、床面側に位置するように配置される。第2の支持体14は、第2の圧入部材26と、第2パッド部27と、を含む。なお、本実施形態においては、第2の支持体14は、第2の圧入部材26と、別部材としての第2パッド部27と、を含む構成としたが、第2の支持体14については、一体品として構成されていてもよい。すなわち、第2の圧入部材26と第2パッド部27とを一体として形成してもよい。
【0050】
まず、第2の圧入部材26の構成について説明する。図11および図12は、第2の圧入部材26を拡大して示す概略斜視図である。図11および図12は、それぞれ角度を異ならせて第2の圧入部材26を図示している。図13は、図11および図12に示す第2の圧入部材26の平面図である。図14は、図11および図12に示す第2の圧入部材26を図13中の矢印XIV-XIVで示す断面で切断した場合の断面図である。図14においては、理解を容易にする観点から第2の圧入部材26に第2パッド部27が取り付けられた状態を示している。
【0051】
図11図14を併せて参照して、第2の圧入部材26には、Z方向に開口73を有する空間74が設けられている。第2の圧入部材26は、底板部71と、側壁部72と、を含む。空間74は、底板部71と側壁部72とによって囲まれた領域である。第2の圧入部材26を柱材12に取り付ける際には、空間74内に柱材12の長手方向の他方端部である第2端部16bが圧入される。
【0052】
側壁部72の内側面75には、Z方向に延びる第2突状部76a,76b,76c,76dがX方向およびY方向に間隔をあけて複数設けられている。本実施形態においては、第2突状部76a~76dは、X方向に対向する内側面75に合計4つ設けられている。第2突状部76a~76dの内側面75からの突出量は、Z方向の途中から開口73に近づくに従い、小さくなっている。この第2突状部76a~76dにより、柱材12の第2端部16bを圧入した際に、柱材12の側面に第2突状部76a~76dが食い込んで、柱材12の強い圧入状態を維持している。すなわち、このようにすることにより、柱材12を圧入した後の柱材12のがたつきを抑制することができる。
【0053】
第2の圧入部材26は、底板部71からZ方向において、空間74と反対側に突出する第2嵌め込み突起78a,78b,78c,78d,78e,78f,78g,78hが複数形成されている。本実施形態においては、第2嵌め込み突起78a~78hは、X方向およびY方向にそれぞれ間隔をあけて8つ設けられている。これらの第2嵌め込み突起78a~78hは、第2パッド部27を第2の圧入部材26に取り付ける際に利用される。底板部71のさらに具体的な構成については、後に詳述する。
【0054】
次に、第2パッド部27の構成について説明する。図15は、第2パッド部27を拡大して示す概略斜視図である。図15を併せて参照して、第2パッド部27は、板状である。第2パッド部27の外形形状は、厚さ方向(Z方向)に見た場合に、矩形状であって、第2の圧入部材26の外形形状に沿う形状である。第2パッド部27は、床壁面(床面)に接触する部分である。具体的には、第2パッド部27のうちの厚さ方向の一方の面が床壁面に接触するように設置される。第2パッド部27のうちの厚さ方向の一方の面は、平面である。第2パッド部27は、クッション性を有する。第2パッド部27は、床壁面に対して滑りにくい材質で構成されている。第2パッド部27は、第2の圧入部材26に取り付けられる。具体的には、第2パッド部27の厚さ方向の他方の面には、上記した第2の圧入部材26に設けられた8つの第2嵌め込み突起78a,78b,78c,78d,78e,78f,78g,78hに対応する位置に設けられた8つの第2嵌め込み凹部28a,28b,28c,28d,28e,28f,28g,28hが設けられている。第2嵌め込み凹部28a~28hはそれぞれ、円柱状の部材において、第2嵌め込み突起78a~78hにそれぞれ対応する部分を凹ませた形状である。第2パッド部27は、8つの第2嵌め込み突起78a~78hに対応する位置に設けられた第2嵌め込み凹部28a~28hに第2嵌め込み突起78a~78hをそれぞれ嵌め合わせることにより、第2の圧入部材26に取り付けられる。第2パッド部27においては、第2嵌め込み凹部28a~28hが設けられていない厚さ方向の一方の面が床壁面に接触する面となる。
【0055】
次に、圧縮力調整板29aの構成について説明する。図16および図17は、圧縮力調整板29aを拡大して示す概略斜視図である。図16および図17は、それぞれ角度を異ならせて圧縮力調整板29aを図示している。図18は、圧縮力調整板29aの平面図である。図19は、圧縮力調整板29aの底面図である。図20は、圧縮力調整板29aの正面図である。図21は、圧縮力調整板29aの右側面図である。圧縮力調整板29aの背面図は、図20に示す圧縮力調整板29aの正面図と対称に表れるため、その図示を省略する。また、圧縮力調整板29aの左側面図は、図21に示す圧縮力調整板29aの右側面図と対称に表れるため、その図示を省略する。
【0056】
図16図21を併せて参照して、圧縮力調整板29aは、対向する第1の壁面と第2の壁面との間にテンションを維持した状態で柱材12を支持する柱材支持具11に用いられる。圧縮力調整板29aは、弾性部材である圧縮バネ22a,22bの圧縮力を調整する。具体的には、柱材支持具11が柱材12に取り付けられた際に、柱材12の長手方向の長さ(高さ)を調整して、圧縮バネ22a,22bの圧縮力を調整する。圧縮力調整板29aは、板状である。圧縮力調整板29aは、厚さ方向の一方に位置する第1の面91aと、厚さ方向の他方に位置する第2の面92aと、を含む。圧縮力調整板29aの外形形状は、厚さ方向(Z方向)に見て、矩形状である。具体的には、圧縮力調整板29aの外形形状は、Z方向に見て、第2の圧入部材26の空間74を構成する側壁部72の内側面75に沿う形状である。圧縮力調整板29aは、Z方向において、第2の圧入部材26の底板部71上に重ねることができる。
【0057】
第1の面91aには、圧縮力を調整するために利用される厚さ方向に突出する圧縮力調整凸部93a,94a,95aが形成されている。圧縮力調整凸部93a,94a,95aはそれぞれ、畝状であって、X方向に延びるように設けられている。圧縮力調整凸部93a,94a,95aは、厚さ方向(Z方向)に突出するように形成されている。圧縮力調整凸部93a,94a,95aはそれぞれ、Y方向に間隔をあけて設けられている。圧縮力調整凸部93a,94a,95aのそれぞれのZ方向の頂面は、X-Y平面と平行な平面である。第2の面92aには、圧縮力調整凸部93a,94a,95aに対応する位置において、第2の面92aから厚さ方向に窪んだ3つの窪み96a,97a,98aが設けられている。窪み96a,97a,98aはそれぞれ、X方向の中央において仕切られている。すなわち、窪み96a,97a,98aはそれぞれ、X方向に分割された構成である。また、第2の面92aのうち、窪み96a,97a,98aが設けられた領域以外の領域は、平面部99aである。すなわち、第2の面92aは、X-Y平面と平行な平面部99aを含む。圧縮力調整板29aは、厚さ方向の一方の面である第1の面91aに圧縮力調整凸部93a,94a,95aが形成され、厚さ方向の他方の面である第2の面92aに平面部99aを含む。
【0058】
次に、底板部71の具体的な構成について、特に図13および図14を併せて参照して説明する。底板部71は、厚さ方向において空間74側において、圧縮力調整板29aを載置可能な載置面79を含む。底板部71は、載置面79と第1の面91aとが対向するように圧縮力調整板29aが配置された際に、圧縮力調整凸部93a,94a,95aに対応する位置に設けられ、圧縮力調整凸部93a,94a,95aを受け入れる圧縮力調整凹部81a,82a,83aを含む。また、底板部71は、載置面79と第2の面92aとが対向するように圧縮力調整板29aが配置された際に、圧縮力調整凹部81a,82a,83aと隣り合って配置され、第2の面92aの平面部99aと接触する平面部84a,85a,86a,87aと、を含む。すなわち、第2の圧入部材26は、圧縮力調整板29aを載置する載置面79を含み、載置面79には、平面部84a,85a,86a,87aと、圧縮力調整凸部93a,94a,95aを受け入れる圧縮力調整凹部81a,82a,83aと、が形成されている。第2パッド部27から平面部84a,85a,86a,87aまでのZ方向の高さHは、圧縮力調整板29a,29bを配置しない場合の第2パッド部27から底板部71までの高さとなる。
【0059】
なお、圧縮力調整板29bの構成は、圧縮力調整板29aの構成と同様であるため、その説明を省略する。すなわち、本実施形態においては、柱材支持具11は、同じ構成の圧縮力調整板29a,29bを2つ備える構成を採用している。
【0060】
次に、第2の支持体14の組み立てについて説明する。まず、第2の圧入部材26の空間74内に圧縮力調整板29a,29bを配置する。この場合、まず底板部71の載置面79と1枚目の圧縮力調整板29aの第1の面91aとが対向するように圧縮力調整板29aが配置する。図22は、圧縮力調整板29aを載置面79上に載置した場合の平面図である。図23は、図22中の線分XXIII-XXIIIで切断した場合の断面図である。図22および図23を併せて参照して、圧縮力調整板29aを載置面79上に載置した場合、圧縮力調整凹部81a,82a,83aは圧縮力調整凸部93a,94a,95aを受け入れる形状であるため、圧縮力調整凸部93a,94a,95aと圧縮力調整凹部81a,82a,83aとが嵌め合った状態で載置される。この場合、圧縮力調整凸部93a,94a,95aがそれぞれ、Z方向において第2パッド部27側に向くことになる。そして、Z方向において、第2パッド部27からの圧縮力調整板29aまでのZ方向の高さを変更して上記高さHと異なる高さHとすることができる。すなわち、圧縮力調整板29aによって、圧縮力調整板29aの板厚分だけ底板部71の高さを高くすることができる。
【0061】
次に、1枚目の圧縮力調整板29a上に2枚目の圧縮力調整板29bを載置する。図24は、1枚目の圧縮力調整板29a上に2枚目の圧縮力調整板29bを載置した場合の平面図である。図25は、図24中の線分XXV-XXVで切断した場合の断面図である。図24および図25を併せて参照して、1枚目の圧縮力調整板29aの第2の面92aと2枚目の圧縮力調整板29bの第2の面92bとが対向するように、1枚目の圧縮力調整板29a上に2枚目の圧縮力調整板29bを載置する。この場合、圧縮力調整凸部93b,94b,95bがそれぞれ、Z方向において第2パッド部27側と逆に向くことになる。そして、Z方向において、第2パッド部27からの圧縮力調整板29bまでのZ方向の高さを変更して上記高さHおよび高さH2のそれぞれと異なる高さHとすることができる。そうすると、2枚目の圧縮力調整板29bによって、圧縮力調整板29bの板厚分に加え、圧縮力調整板29bの圧縮力調整凸部93b,94b,95bの高さ分だけ底板部71の高さを高くすることができる。このようにして、底板部71の高さを調整し、引いては、弾性部材である圧縮バネ22a,22bの圧縮力を調整する。
【0062】
次に、このような第1の支持体13および第2の支持体14を含む柱材支持具11を用いて、柱材12を天壁面と床壁面との間に設置する方法について説明する。まず、上記したように組み立てられた第1の支持体13を柱材12の第1端部16aに取り付ける。また、上記したように組み立てられた第2の支持体14を柱材12の第2端部16bに取り付ける。この第1の支持体13および第2の支持体14の柱材12への取り付けの順序は問わない。このようにして、柱材12に取り付けられた第1の支持体13については、Z方向へ力を加えることにより、圧縮バネ22a,22bを押し縮めることができる。なお、第2側壁部32に設けられたマーク39は、弱い圧縮力では外部、この場合、X方向から視認することができ、強い圧縮力では外部から視認することができない状態である。
【0063】
次に、第1の支持体13および第2の支持体14を取り付けた柱材12のうち、第1の接触部材23を天壁面および側壁面に接触させる。図26は、第1の接触部材23を天壁面および側壁面に接触させた場合の側面図である。図27は、第1の接触部材23を天壁面および側壁面に接触させた場合の斜視図である。図28は、第1の接触部材23を天壁面および側壁面に接触させた場合の正面図である。図29は、図28中の線分XXIX-XXIXで切断した場合の断面図である。
【0064】
図26図29を併せて参照して、第1の支持体13を取り付けた側が鉛直方向上側となるようにして、天壁面17および側壁面18のそれぞれと第1の接触部材23とが接触するように配置する。ここで、柱材支持具11は、第1の接触部材23と第1の圧入部材21との距離が可変であり、第1の接触部材23に対して第1の圧入部材21を傾斜させるよう第1の圧入部材21を回転可能に保持する保持部38を含む。したがって、図26図29に示す状態とすることができる。すなわち、柱材支持具11を利用して柱材12を第1の壁面である天壁面17と第2の壁面である床壁面19との間にテンションを維持した状態で設置する際に、上記保持部38により、第1の接触部材23に対して柱材12が圧入された第1の圧入部材21を回転させて傾斜させることができる。そうすると、柱材12が圧入された第1の圧入部材21を傾斜させた状態で、先に第1の接触部材23を第1の壁面である天壁面17に接触させることができる。このような状態によれば、天壁面17に近い位置に側壁面18が配置されていたとしても、天壁面17および側壁面18に第1の接触部材23の角部を接触するおそれを低減しながら設置することができる。すなわち、Z方向に対して柱材12が圧入された第1の圧入部材21側の領域を傾斜させて、先に第1の接触部材23を天壁面17と側壁面18とに押し当てることができる。この時、柱材12が圧入された第1の圧入部材21側の領域は、Z方向に対して傾斜しているので、第1の接触部材23の角部が天壁面17や側壁面18に接触して傷つけるおそれおを大きく低減することができる。
【0065】
その後、柱材12の長手方向の他方側の第2端部16b側を矢印Dで示す向きに押し進めて、天壁面17と床壁面19との間にテンションを維持した状態で柱材12を支持することができる。したがって、このような柱材支持具11によれば、設置時に壁面を傷つけるおそれを低減しながら、所望の位置に設置することができる。
【0066】
図30は、天壁面と床壁面との間に設置された柱材12を支持する柱材支持具11の正面図である。図31は、図30に示す柱材12および柱材12を支持する柱材支持具11の断面図である。図31は、図6に示す断面に相当する。図30および図31を併せて参照して、天壁面17と床壁面19との間にテンションを維持した状態で柱材支持具11により支持された柱材12は、鉛直方向に真っ直ぐに延びるように設置される。ここで、第1の圧入部材21に設けられたマーク39は、第1の接触部材23によって隠れ、X方向から見てぎりぎり視認できる程度に露出している。このような状態で支持されていれば、柱材12を支持する際の圧縮力が適切であることを認識することができる。なお、柱材支持具11を用いて柱材12を支持した場合において、マーク39が容易に視認できる状態であれば、圧縮力が不十分であると認識することができる。よって、柱材12の長手方向の高さを調整して、圧縮力調整板29a,29bを利用して、例えば、後述する図33に示す圧縮力調整板29a,29bの配置を採用することにより、高さHを高さHとして、マーク39がぎりぎり視認できる状態となるよう、圧縮力を調整することができる。一方、マーク39が完全に視認することができない状態であれば、圧縮力が強すぎると認識することができる。この場合、圧縮力調整板29a,29bの一方または双方を取り外して、図14に示す高さH図23に示す高さH、さらには後述する図32に示す高さHとして、マーク39がぎりぎり視認できる状態となるよう、圧縮力を調整することができる。
【0067】
以上より、このような構成によると、柱材支持具11を利用して柱材12を第1の壁面と第2の壁面との間にテンションを維持した状態で設置する際に、上記保持部38により、第1の接触部材23に対して柱材12が圧入された第1の圧入部材21を回転させて傾斜させることができる。そうすると、柱材12が圧入された第1の圧入部材21を傾斜させた状態で、先に第1の接触部材23を第1の壁面に接触させることができる。このような状態によれば、第1の壁面に近い位置に側壁面が配置されていたとしても、第1の壁面および側壁面に第1の接触部材23の角部を接触するおそれを低減しながら設置することができる。その後、柱材12の長手方向の他方側の端部を押し進めて、第1の壁面と第2の壁面との間にテンションを維持した状態で柱材12を支持することができる。したがって、このような柱材支持具11によれば、設置時に壁面を傷つけるおそれを低減しながら、所望の位置に設置することができる。すなわち、このような柱材支持具11によれば、適度な突っ張り力で柱材12を支持しつつ、設置時に壁面を傷つけるおそれを低減しながら、所望の位置に設置することができる。
【0068】
本実施形態においては、弾性部材である圧縮バネ22a,22bは、押し縮められた状態で、第1の接触部材23と第1の圧入部材21との間に配置される。よって、設置時において、ユーザーが圧縮バネ22a,22bを押し縮めて圧縮する際の押し縮め量を小さくすることができる。したがって、設置時におけるユーザーの労力の負担を軽減でき、より容易に柱材12を設置することができる。
【0069】
本実施形態においては、第1の圧入部材21には、圧縮バネ22a,22bの押し縮められた状態を示すマーク39が柱材12を支持する前の状態において外部から視認可能に設けられている。よって、圧縮バネ22a,22bの押し縮められた状態を外部から把握することができ、柱材12を支持する際の圧縮力が適切であるか否かを容易に判断することができる。そうすると、圧縮力が適切となるような柱材12の長さの調整等を促進することができる。したがって、より適切に柱材12を設置することができる。
【0070】
本実施形態においては、マーク39は、第1の圧入部材21に設けられ、第1の圧入部材21と第1の接触部材23とが離隔する方向に交差する方向に延びる直線状の凹みから構成されている。よって、より容易にマーク39を視認することができることに加え、マーク39と他の部材、例えば第1の圧入部材21が傾斜された状態における第1の接触部材23とが干渉するおそれを低減することができる。また、マーク39の傾斜の度合いから取り付け時における傾斜度合いも視認することができるため、さらに適切に柱材12を設置することができる。
【0071】
なお、圧縮力の調整については、上記した圧縮力調整板29a,29bを用いることとしたが、圧縮力調整板29a,29bの配置については、以下のものが挙げられる。図32は、図23で示す場合と異なるパターンで1枚の圧縮力調整板29aを載置面79上に載置した場合の断面図である。図32は、図23に示す断面に相当する。
【0072】
図32を併せて参照して、圧縮力調整板29aについては、載置面79と圧縮力調整板29aの第2の面92aと載置面79とが対向するように配置する。この場合、圧縮力調整凸部93a,94a,95aがそれぞれ、第2パッド部27とZ方向において、図23で示す場合と比較して逆向きに配置されることとなる。そうすると、第2パッド部27からの圧縮力調整板29aまでのZ方向の高さを変更して上記高さH、高さHおよび高さHのそれぞれと異なる高さHとすることができる。
【0073】
また、図33は、図25で示す場合と異なるパターンで2枚の圧縮力調整板29a,29bを載置面79上に載置した場合の断面図である。図33は、図25に示す断面に相当する。
【0074】
図33を併せて参照して、図32に示す場合に加え、圧縮力調整板29bについては、圧縮力調整板29aの第1の面91aと圧縮力調整板29bの第1の面91bとが対向するように配置する。この場合、圧縮力調整凸部93a,94a,95aがそれぞれ、圧縮力調整凸部93b,94b,95bと接触して配置される。そうすると、第2パッド部27からの圧縮力調整板29bまでのZ方向の高さを変更して上記高さH、高さH、高さHおよび高さHのそれぞれと異なる高さHとすることができる。
【0075】
すなわち、上記した構成の2枚の圧縮力調整板29a,29bおよび第2の圧入部材26を用いることにより、合計5パターンの高さの調整、すなわち、5段階で圧縮力の調整を行うことができる。特に、柱材12を長手方向に切り出した際に誤差が生じた場合、この誤差の微調整を上記した圧縮力調整板29a,29bの利用および組み合わせにより高さを調整することができ、マーク39がぎりぎり視認できるという適切な圧縮力となるようにすることが容易になる。すなわち、柱材12の切断時における厳密な管理をせずとも、上記した圧縮力調整板29a,29bを用いて、適切な圧縮力で柱材12を支持することができる。もちろん、切り出した柱材12の長さによっては、圧縮力調整板29a,29bを1枚利用することにしてもよいし、圧縮力調整板29a,29bを全く使用しなくてもよい。さらに3枚以上の圧縮力調整板29a,29bを用いることにしてもよい。
【0076】
本実施形態においては、保持部38は、第1の圧入部材21に設けられる突起部45a,45bを含む。突起部45a,45bは、中実円筒状であって、第1の圧入部材21と第1の接触部材23とが離隔する方向に垂直な方向に突出する。保持部38は、第1の接触部材23に設けられ、突起部45a,45bを受け入れて突起部45a,45bの移動を規制するガイドリブ61a,61bを含む。よってより、保持部38に含まれ、第1の圧入部材21に設けられる突起部45a,45bと、保持部38に含まれ、第1の接触部材23に設けられるガイドリブ61a,61bとにより、より適切に第1の圧入部材21を傾斜させるよう回転可能に第1の圧入部材21を保持することができる。したがって、より適切に柱材12を設置することができる。
【0077】
本実施形態においては、突起部45aは、第1の圧入部材21と第1の接触部材23とが離隔する方向において、第1の接触部材23側に位置する第1先端領域47aを含む。第1先端領域47aは、第1の接触部材23に近い側から遠い側に向かって、突起部45aの突出量が増加するよう傾斜している傾斜面である。よって、第1先端領域47aを利用して、より円滑にガイドリブ61aによる突起部45aとの係合を実現することができる。
【0078】
本実施形態においては、保持部38は、突起部45a,45bを複数含む。保持部38は、複数の突起部45a,45bを受け入れる複数のガイドリブ61a,61bを含む。よって、より安定して、第1の方向に対して柱材12が圧入された第1の圧入部材21を傾斜させることができる。したがって、より確実に設置時に壁面を傷つけるおそれを低減しながら、所望の位置に設置することができる。
【0079】
本実施形態においては、弾性部材である圧縮バネ22a,22bは、バネ定数が1N/mm以上5N/mm以下の圧縮バネである。よって、壁面間に適度な圧縮力でテンションをかけながら柱材を支持することができる。この場合、バネ定数が大きすぎることにより過度に強い圧縮力で天壁面17や床壁面19を強く押し付けることを抑制することができる。また、バネ定数が小さすぎることにより例えば水平方向から柱材12に衝撃が加えられた場合に、柱材12の支持が解除されて柱材12が倒れてしまうことを回避することができる。なお、圧縮バネ22a,22bについては、設置時におけるユーザーの労力の低減を図りながら、適切な圧縮力を維持する観点から、バネ定数が3N/mm以上4N/mm以下のものを用いるのがより好適である。
【0080】
(他の実施の形態)
なお、上記の実施の形態においては、カバー部と第1パッド部をそれぞれ別の部材としてカバー部に第1パッド部を取り付けることとしたが、これに限らず、カバー部と第1パッド部とは一体で構成されていてもよい。同様に、第2の圧入部材と第2パッド部とは一体で構成されていてもよい。
【0081】
また、上記の実施の形態においては、柱材支持具は、天井面と床面との間において柱材を鉛直方向に真っ直ぐに支持することとしたが、これに限らず、柱材支持具は、水平方向に対向する壁面間において柱材を水平方向に真っ直ぐに支持することにしてもよい。すなわち、第1の壁面と第2の壁面とは、それぞれ対向する部屋やスペースの側壁面であってもよい。さらに柱材支持具は、鉛直方向に対して傾斜する方向、すなわち、斜め方向に対向する壁面間において柱材を壁面が対向する斜め方向に真っ直ぐに支持することにしてもよい。鉛直方向に対する角度については、鉛直方向に対して1度や2度といった小さな傾斜角度や、30度といった大きな傾斜角度も含まれるものである。
【0082】
なお、上記の実施の形態においては、マークは、第1の圧入部材に設けられ、第1の圧入部材と第1の接触部材とが離隔する方向に交差する方向に延びる直線状の凹みから構成されていることとしたが、これに限らず、マークは、例えば直線状に突出したマーク突出部から構成されていてもよいし、シール状部材を貼付することにしてもよいし、第1の圧入部材に描かれた平面的なものであってもよい。また、例えばZ方向に色や模様を変えることによりマークとして利用することにしてもよい。もちろんマークについては、適度な圧縮力で支持している場合に、マークが全く視認できない状態であるよう規定してもよい。さらに、第1の接触部材側にマークを設けることにしてもよい。
【0083】
また、上記の実施の形態においては、突起部は、第2先端領域および第3先端領域を含むこととしたが、これに限らず、第2先端領域および第3先端領域のいずれか、または第2先端領域および第3先端領域の双方を含まない構成としてもよい。また、第1先端領域については、平面ではなく、円弧面であってもよい。
【0084】
なお、上記の実施の形態においては、圧縮力調整板は、第2の圧入部材に設けられた空間内に配置されることとしたが、これに限らず、圧縮力調整板は、第1の圧入部材に設けられた空間内や、カバー部と第1パッド部との間の領域に配置されることとしてもよい。
【0085】
また、上記の実施の形態においては、保持部は、第1の圧入部材に設けられる突起部を含み、保持部は、第1の接触部材に設けられ、突起部を受け入れて突起部の移動を規制するガイドリブを含むこととしたが、これに限らず、保持部は、第1の接触部材に設けられる突起部を含み、保持部は、第1の圧入部材に設けられ、突起部を受け入れて突起部の移動を規制するガイドリブを含むこととしてもよい。すなわち、突起部とガイドリブとの設けられる部材が、第1の圧入部材と第1の接触部材とで替わっていてもよい。
【0086】
なお、上記の実施の形態において、柱材支持具11は、第2の支持体14を含まない構成としてもよい。すなわち、本開示の柱材支持具11は、対向する第1の壁面と第2の壁面との間にテンションを維持した状態で柱材を支持する。柱材支持具は、柱材の長手方向の一方側の端部である第1端部に取り付けられる第1の支持体を備える。第1の支持体は、第1の壁面と接触する第1の接触部材と、第1端部を圧入する第1の圧入部材と、第1の圧入部材と第1の接触部材とが離隔する方向に弾性力を付与する弾性部材と、を含む。柱材支持具は、第1の接触部材と第1の圧入部材との距離が可変であり、第1の接触部材に対して第1の圧入部材を傾斜させるよう第1の圧入部材を回転可能に保持する保持部を含む。
【0087】
このような柱材支持具は、設置時に壁面を傷つけるおそれを低減しながら、所望の位置に設置することができる。
【0088】
また、上記の実施の形態において、柱材支持具11は、以下の構成としてもよい。すなわち、柱材支持具は、対向する第1の壁面と第2の壁面との間にテンションを維持した状態で柱材を支持する。柱材支持具は、柱材の長手方向の一方側の端部である第1端部に取り付けられる第1の支持体を備える。第1の支持体は、第1の壁面と接触する第1の接触部材と、第1端部を圧入する第1の圧入部材と、第1の圧入部材と第1の接触部材とが離隔する方向に弾性力を付与する弾性部材と、を含む。弾性部材は、押し縮められた状態で、第1の接触部材と第1の圧入部材との間に配置される。
【0089】
このような柱材支持具によると、設置時におけるユーザーの労力の負担を軽減でき、より容易に柱材を設置することができる。
【0090】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、どのような面からも制限的なものではないと理解されるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって規定され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本開示の柱材支持具および圧縮力調整板は、設置時に壁面を傷つけるおそれの低減および所望の位置への設置が求められる場合に、特に有利に適用され得る。
【符号の説明】
【0092】
11 柱材支持具、12 柱材、13 第1の支持体、14 第2の支持体、16a 第1端部、16b 第2端部、17 天壁面、18 側壁面、19 床壁面、21 第1の圧入部材、22a,22b 圧縮バネ、23 第1の接触部材、24 カバー部、25 第1パッド部、26 第2の圧入部材、27 第2パッド部、28a,28b,28c,28d,28e,28f,28g,28h 第2嵌め込み凹部、29a,29b 圧縮力調整板、31 第1側壁部、32 第2側壁部、33 平板部、34,41,53,73 開口、35,42,54,74 空間、36,55,75 内側面、37 第1突状部、38 保持部、39 マーク、43a,43b 第1保持突起、44 外側面、54a,45b 突起部、46a 側面、47a 第1先端領域、48a 第2先端領域、49a 第3先端領域、51,71 底板部、52,72 側壁部、56 突状ガイド部、57a,57b 第2保持突起、58a,58b,58c,58d,58e,58f,58g,58h 第1嵌め込み突起、61a,61b ガイドリブ、62a 第1凸状部、63a 第2凸状部、64a 第3凸状部、65a 第4凸状部、66a 領域、76a,76b,76c,76d 第2突状部、78a,78b,78c,78d,78e,78f,78g,78h 第2嵌め込み突起、79 載置面、81a,82a,83a 圧縮力調整凹部、84a,85a,86a,87a,99a 平面部、91a 第1の面、92a 第2の面、93a,93b,94a,94b,95a,95b 圧縮力調整凸部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33