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特開2023-66968水処理システム、制御装置、水処理方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023066968
(43)【公開日】2023-05-16
(54)【発明の名称】水処理システム、制御装置、水処理方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   B01D 21/30 20060101AFI20230509BHJP
   B01D 21/01 20060101ALI20230509BHJP
   C02F 1/52 20230101ALI20230509BHJP
   G01N 21/17 20060101ALI20230509BHJP
【FI】
B01D21/30 A
B01D21/01 B
C02F1/52 Z
G01N21/17 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021177867
(22)【出願日】2021-10-29
(71)【出願人】
【識別番号】000004400
【氏名又は名称】オルガノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】福水 圭一郎
(72)【発明者】
【氏名】松元 洋一
【テーマコード(参考)】
2G059
4D015
【Fターム(参考)】
2G059AA05
2G059BB05
2G059BB06
2G059CC19
2G059FF01
2G059FF05
2G059KK04
2G059MM01
2G059MM05
4D015BA21
4D015BB05
4D015DA04
4D015DA05
4D015DA13
4D015DA16
4D015DB01
4D015DC07
4D015DC08
4D015EA03
4D015EA32
4D015EA33
4D015EA35
(57)【要約】
【課題】最適な添加量の凝集剤を添加する。
【解決手段】水槽100に貯留された水に凝集剤を添加する添加装置200と、水槽100へ流入する被処理水の水質を測定する水質計300と、添加装置200から凝集剤が添加された水中の凝集物の状態を撮像する撮像装置400と、水質計300が測定した水質と、撮像装置400が撮像した凝集物の状態とに基づいて、添加装置200が添加する凝集剤の添加量を制御する制御装置500とを有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理水が流入する水槽と、
前記水槽に貯留された水に凝集剤を添加する添加装置と、
前記水槽へ流入する被処理水の水質を測定する水質計と、
前記添加装置から前記凝集剤が添加された水中の凝集物の状態を撮像する撮像装置と、
前記水質計が測定した前記水質と、前記撮像装置が撮像した前記凝集物の状態とに基づいて、前記添加装置が添加する前記凝集剤の添加量を制御する制御装置とを有する水処理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の水処理システムにおいて、
前記制御装置は、第1の時間ごとに、前記水質計が測定した前記水質に基づいて、前記添加装置が添加する前記凝集剤の添加量を制御し、前記第1の時間の間に、前記撮像装置が撮像した前記凝集物の状態に基づいて、前記添加装置が添加する前記凝集剤の添加量を制御する水処理システム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の水処理システムにおいて、
前記制御装置は、前記水質計が測定した前記水質に応じた前記添加量を算出し、該算出した添加量の凝集剤を前記添加装置から添加するように制御し、第2の時間が経過するごとに、前記撮像装置が撮像した前記凝集物の状態に基づいて、前記添加量を変化させていく水処理システム。
【請求項4】
請求項3に記載の水処理システムにおいて、
前記制御装置は、前記水質計が測定した前記水質に応じた前記添加量の単位時間当たりの変化量が所定の閾値を超えたかどうかを判定し、前記水質計が測定した前記水質に応じた前記添加量の単位時間当たりの変化量が所定の閾値を超えた場合、そのときに前記水質計が測定した前記水質に応じて算出した添加量の凝集剤を前記添加装置から添加するように制御する水処理システム。
【請求項5】
請求項3または請求項4に記載の水処理システムにおいて、
前記制御装置は、前記第2の時間が経過するごとに、前記撮像装置が撮像した前記凝集物の状態である特徴量の変化量と所定の閾値とを比較し、該比較の結果に基づいて、前記凝集剤の添加量を制御する水処理システム。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の水処理システムにおいて、
前記水質計は、濁度計またはSS(Suspended Solids)計である水処理システム。
【請求項7】
請求項5に記載の水処理システムにおいて、
前記特徴量はエッジピクセルである水処理システム。
【請求項8】
水質計が測定した被処理水の水質に基づいて、前記被処理水が流入する水槽に貯留された水に添加する凝集剤の添加量を算出する算出部と、
前記凝集剤が添加された水中の凝集物を撮像する撮像装置が撮像した画像に基づいて、前記凝集物の状態を算出する画像処理部と、
前記算出部が算出した添加量と、前記画像処理部が算出した前記凝集物の状態とに基づいて、前記添加する前記凝集剤の添加量を制御する制御部とを有する制御装置。
【請求項9】
水質計が測定した被処理水の水質に基づいて、前記被処理水が流入する水槽に貯留された水に添加する凝集剤の添加量を算出する処理と、
前記凝集剤が添加された水中の凝集物を撮像する撮像装置が撮像した画像に基づいて、前記凝集物の状態を算出する処理と、
前記算出した添加量と、前記算出した前記凝集物の状態とに基づいて、前記添加する前記凝集剤の添加量を制御する処理とを行う水処理方法。
【請求項10】
コンピュータに、
水質計が測定した被処理水の水質に基づいて、前記被処理水が流入する水槽に貯留された水に添加する凝集剤の添加量を算出する手順と、
前記凝集剤が添加された水中の凝集物を撮像する撮像装置が撮像した画像に基づいて、前記凝集物の状態を算出する手順と、
前記算出した添加量と、前記算出した前記凝集物の状態とに基づいて、前記添加する前記凝集剤の添加量を制御する手順とを実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水処理システム、制御装置、水処理方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
浄水場や下水処理場、その他の排水処理設備においては、被処理水に凝集剤を添加し、被処理水中の懸濁物質(SS)を凝集させてフロックを形成させ、フロックを沈殿分離や浮上分離等で分離する処理が行われている。その際、例えば、被処理水である原水中の濁度を測定し、測定した濁度に基づいて、凝集剤の注入量を算出する技術が考えられている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-098236号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
水中の濁度が互いに同等な値であっても、周囲の環境等の影響を受けると、水中に含まれる物質が異なるものとなり、その結果、水中に凝集された凝集物の状態が異なる場合がある。そのため、被処理水の濁度だけを監視しても最適な添加量の凝集剤を添加できないおそれがある。
【0005】
本発明の目的は、最適な添加量の凝集剤を添加することができる水処理システム、制御装置、水処理方法およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の水処理システムは、
被処理水が流入する水槽と、
前記水槽に貯留された水に凝集剤を添加する添加装置と、
前記水槽へ流入する被処理水の水質を測定する水質計と、
前記添加装置から前記凝集剤が添加された水中の凝集物の状態を撮像する撮像装置と、
前記水質計が測定した前記水質と、前記撮像装置が撮像した前記凝集物の状態とに基づいて、前記添加装置が添加する前記凝集剤の添加量を制御する制御装置とを有する。
【0007】
また、本発明の制御装置は、
水質計が測定した被処理水の水質に基づいて、前記被処理水が流入する水槽に貯留された水に添加する凝集剤の添加量を算出する算出部と、
前記凝集剤が添加された水中の凝集物を撮像する撮像装置が撮像した画像に基づいて、前記凝集物の状態を算出する画像処理部と、
前記算出部が算出した添加量と、前記画像処理部が算出した前記凝集物の状態とに基づいて、前記添加する前記凝集剤の添加量を制御する制御部とを有する。
【0008】
また、本発明の水処理方法は、
水質計が測定した被処理水の水質に基づいて、前記被処理水が流入する水槽に貯留された水に添加する凝集剤の添加量を算出する処理と、
前記凝集剤が添加された水中の凝集物を撮像する撮像装置が撮像した画像に基づいて、前記凝集物の状態を算出する処理と、
前記算出した添加量と、前記算出した前記凝集物の状態とに基づいて、前記添加する前記凝集剤の添加量を制御する処理とを行う。
【0009】
また、本発明のプログラムは、
コンピュータに実行させるためのプログラムであって、
水質計が測定した被処理水の水質に基づいて、前記被処理水が流入する水槽に貯留された水に添加する凝集剤の添加量を算出する手順と、
前記凝集剤が添加された水中の凝集物を撮像する撮像装置が撮像した画像に基づいて、前記凝集物の状態を算出する手順と、
前記算出した添加量と、前記算出した前記凝集物の状態とに基づいて、前記添加する前記凝集剤の添加量を制御する手順とを実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明においては、最適な添加量の凝集剤を添加することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の水処理システムの実施の一形態を示す図である。
図2図1に示した制御装置の内部構成の一例を示す図である。
図3図2に示した制御部が制御する凝集剤の添加量の時間的変化の一例を示す図である。
図4図1に示した水処理システムにおける水処理方法の一例を説明するためのフローチャートである。
図5図1に示した水処理システムにおける水処理方法の他の例を説明するためのフローチャートである。
図6】本発明の水処理システムの第1の適用例を示す図である。
図7】本発明の水処理システムの第2の適用例を示す図である。
図8】本発明の水処理システムの第3の適用例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0013】
図1は、本発明の水処理システムの実施の一形態を示す図である。本形態における水処理システムは図1に示すように、水槽100と、添加装置200と、凝集剤貯槽210と、水質計300と、撮像装置400と、制御装置500とを有する。
【0014】
水槽100は、原水である被処理水が流入し、流入された被処理水を貯留する貯留槽である。水槽100は、所定の容量を持つ。添加装置200は、水槽100に貯留された水に凝集剤貯槽210に貯められた凝集剤を添加する。添加装置200は、制御装置500からの指示に基づいた添加量の凝集剤を凝集剤貯槽210から水槽100に貯留された水に添加する。水質計300は、水槽へ流入する被処理水の水質を継続的に測定する。水質計300は、COD(Chemical Oxygen Demand)計や紫外部吸光度計等であっても良いが、濁度計またはSS(Suspended Solids)計であることが好ましい。水質計300は、測定した値を制御装置500へ出力する。撮像装置400は、水槽100に貯留された水に添加装置200から凝集剤が添加された水中の凝集物(フロック)を撮像する。撮像装置400は、例えば、水の画像を撮像する非接液の画像センサ(カメラ)であっても良い。撮像装置400は、赤外線センサであることが好ましい。撮像装置400は、水槽100内の水の画像をあらかじめ設定された時間間隔以下の時間間隔で撮像するカメラ(例えば、継続的に撮像を行う動画撮像用カメラ)であっても良い。撮像装置400は、撮像した画像を示す画像データを制御装置500へ出力する。制御装置500は、水質計300が測定した水質の値と、撮像装置400が撮像した凝集物の状態とに基づいて、添加装置200が凝集剤貯槽210から添加する凝集剤の添加量を制御する。
【0015】
図2は、図1に示した制御装置500の内部構成の一例を示す図である。図1に示した制御装置500は図2に示すように、算出部510と、画像処理部520と、制御部530とを有する。なお、図2には、図1に示した制御装置500が有する構成要素のうち、本形態に関わる主要な構成要素のみを示した。
【0016】
算出部510は、水質計300から出力されてきた水質の値に応じた添加量を算出する。算出部510は、算出した添加量を制御部530へ通知する。例えば、算出部510は、水質と添加量とをあらかじめ対応付けた対応付けを用いて、水質に応じた添加量を算出しても良いし、あらかじめ生成された数式を用いて、水質に応じた添加量を算出しても良い。
【0017】
画像処理部520は、撮像装置400から出力されてきた画像データが示す画像に含まれる凝集物の特徴量を当該凝集物の状態として算出する。画像処理部520は、撮像装置400から出力されてきた画像データが示す画像中の互いに隣接する画素の色差(例えば、RGBの値の差)が閾値以上である画素を検出し、その検出された画素数の単位面積当たり(撮像範囲)の総和であるエッジピクセルを凝集物の特徴量として算出しても良い。画像処理部520は、算出した凝集物の状態(特徴量)を制御部530へ通知する。なお、画像処理部520は、撮像装置400から出力されてきた画像データを入力することでその画像データが示す画像に含まれる凝集物の特徴量や、必要な凝集物の添加量、凝集剤の添加のタイミング等を出力する学習済みモデルを用いて、学習済みモデルから取得(推論)した情報を制御部530へ通知するものでも良い。
【0018】
制御部530は、算出部510が算出した添加量と、画像処理部520が算出した凝集物の状態とに基づいて、添加装置200が凝集剤貯槽210から添加する凝集剤の添加量を制御する。具体的には、制御部530は、まず、算出部510が算出した添加量の凝集剤を凝集剤貯槽210から添加するように添加装置200を制御する。その後、制御部530は、あらかじめ設定された第2の時間(第2の規定時間)が経過するごとに、画像処理部520が算出した凝集物の状態に基づいて、凝集剤貯槽210から添加する添加量を変化させていくように添加装置200を制御する。制御部530は、第2の時間が経過後、あらかじめ設定された第1の時間(第1の規定時間)が経過するごとに、そのときに水質計300から出力されてきた水質の値に応じて算出部510が算出した添加量の凝集剤を凝集剤貯槽210から添加するように添加装置200を制御する。この第1の時間は、第2の時間よりも長い時間である。例えば、
第1の時間=第2の時間×n(nは2以上の自然数)
であっても良い。
【0019】
また、制御部530は、算出部510が算出した添加量の単位時間当たりの変化量が所定の閾値を超えたかどうかを判定する。算出部510が算出した添加量の変化量が所定の閾値を超えた場合、制御部530は、第1の時間の経過や第2の時間の経過に関わらず、そのときに算出部510が算出した添加量の凝集剤を凝集剤貯槽210から添加するように添加装置200を制御する。これにより、水質計300から出力されてきた水質の値の急激な変化に対応することができる。
【0020】
なお、上述したように、画像処理部520が学習済みモデルから画像に含まれる凝集物の特徴量や、凝集剤の添加量および添加のタイミングを取得した場合、制御部530は、画像処理部520が学習済みモデルから取得した情報に基づいて、添加装置200が凝集剤貯槽210から添加する凝集剤の添加を制御しても良い。
【0021】
画像処理部520が撮像装置400から出力されてきた画像データが示す画像に含まれる凝集物の特徴量を凝集物の状態として算出した場合、制御部530は、画像処理部520が算出した特徴量を凝集物の状態として用いる。また、第2の時間は例えば5分間であり、第1の時間は例えば30分間である。制御部530は、第2の時間および第1の時間それぞれを測定する2つのタイマを具備し、それぞれのタイマが第2の時間に達した時および第1の時間に達した時に、それぞれがリセットされる。
【0022】
図3は、図2に示した制御部530が制御する凝集剤の添加量の時間的変化の一例を示す図である。図3に示した例では、凝集剤の添加を開始する時点で、水質計300が測定した濁度Aに応じて算出部510が算出した添加量の凝集剤が添加されるように添加装置200が制御されている。その後、第2の時間に到達するまでは、濁度Aに応じて算出部510が算出した添加量の凝集剤が添加される。第2の時間を経過すると、制御部530は、画像処理部520が算出した、撮像装置400から出力されてきた画像データが示す画像に含まれる凝集物の状態(特徴量)に基づいて、凝集剤貯槽210から添加する添加量を変化させる。このとき、画像処理部520が算出した、凝集剤の添加が開始された時点の撮像装置400から出力されてきた画像データが示す画像に含まれる凝集物の特徴量と、第2の時間を経過したときに画像処理部520が算出した、撮像装置400から出力されてきた画像データが示す画像に含まれる凝集物の特徴量とを制御部530が比較する。比較の結果、それらの互いの差分(特徴量の変化量)が所定の閾値を超えるものである場合、制御部530は、凝集剤貯槽210から添加する凝集剤の添加量を増加させる。一方、上記比較の結果、それらの互いの差分(特徴量の変化量)が所定の閾値以下である場合、制御部530は、凝集剤貯槽210から添加する凝集剤の添加量を減少させる。増加させる量(増加幅)および減少させる量(減少幅)は、あらかじめ設定された量である。図3に示した例では、第2の時間が経過した時、特徴量の変化量が閾値を超えているため、制御部530は、凝集剤貯槽210から添加する凝集剤の添加量を増加させる。その後、第1の時間に到達するまで、第2の規定時間ごとに制御装置500は、上記の比較および添加量の変更の処理を繰り返す。
【0023】
第1の時間が経過すると、制御部530は、そのときに水質計300から出力されてきた水質の値に応じて算出部510が算出した添加量の凝集剤を凝集剤貯槽210から添加するように添加装置200を制御する。図3に示した例では、このときに水質計300が測定した濁度Bに応じて算出部510が算出した添加量の凝集剤を凝集剤貯槽210から添加するように制御部530が添加装置200を制御する。その後は、第1の時間に到達するまでに行われた処理と同じ処理が、次に第1の時間が到達するまで繰り返される。
【0024】
以下に、図1に示した水処理システムにおける水処理方法について説明する。図4は、図1に示した水処理システムにおける水処理方法の一例を説明するためのフローチャートである。
【0025】
まず、算出部510が、水質計300から出力されてきた水質の値に応じた添加量を算出する(ステップS1)。制御部530が、添加装置200を制御して、算出部510が算出した添加量の凝集剤を凝集剤貯槽210から水槽100へ添加する(ステップS2)。その後、画像処理部520は、撮像装置400から出力されてきた画像データが示す画像中の互いに隣接する画素の色差が閾値以上である画素を検出し、その検出された画素数の単位面積当たり(撮像範囲)の総和であるエッジピクセルを算出する(ステップS3)。すると、制御部530は、添加装置200が凝集剤貯槽210から添加している凝集剤の添加量に変更が必要かどうかを判定する(ステップS4)。具体的には、制御部530は、凝集剤の添加が開始された時点の撮像装置400から出力されてきた画像データが示す画像に基づいて画像処理部520が算出した凝集物の特徴量と、第2の規定時間を経過したときに撮像装置400から出力されてきた画像データが示す画像に基づいて画像処理部520が算出した凝集物の特徴量とを比較し、その比較の結果に基づいて、添加装置200が凝集剤貯槽210から添加している凝集剤の添加量に変更が必要かどうかを判定する。
【0026】
添加装置200が凝集剤貯槽210から添加している凝集剤の添加量に変更が必要である場合、制御部530は、添加装置200が凝集剤貯槽210から添加している凝集剤の添加量を変更する(ステップS5)。添加量の変更量は、上述した通りである。制御部530は、変更した添加量の凝集剤を凝集剤貯槽210から水槽100へ添加するように添加装置200を制御する(ステップS6)。その後、制御部530は、第1の規定時間が経過したかどうかを判定する(ステップS7)。ステップS4にて、添加装置200が凝集剤貯槽210から添加している凝集剤の添加量に変更が必要ない場合は、ステップS5,S6の処理は行われず、ステップS7の処理が行われる。
【0027】
ステップS7にて、第1の規定時間が経過していないと判定された場合、ステップS3の処理が行われる。一方、ステップS7にて、第1の規定時間が経過したと判定された場合は、ステップS1の処理が行われる。
【0028】
図5は、図1に示した水処理システムにおける水処理方法の他の例を説明するためのフローチャートである。
【0029】
まず、算出部510が、水質計300から出力されてきた水質の値に応じた添加量を算出する(ステップS11)。制御部530が、添加装置200を制御して、算出部510が算出した添加量の凝集剤を凝集剤貯槽210から水槽100へ添加する(ステップS12)。その後、制御部530は、第2の規定時間が経過したかどうかを判定する(ステップS13)。第2の規定時間が経過するまで、ステップS11にて算出部510が算出した添加量の凝集剤が凝集剤貯槽210から水槽100へ添加される。第2の規定時間が経過すると、画像処理部520は、撮像装置400から出力されてきた画像データが示す画像中の互いに隣接する画素の色差が閾値以上である画素を検出し、その検出された画素数の単位面積当たり(撮像範囲)の総和であるエッジピクセルを算出する(ステップS14)。すると、制御部530は、添加装置200が凝集剤貯槽210から添加している凝集剤の添加量に変更が必要かどうかを判定する(ステップS15)。具体的には、制御部530は、凝集剤の添加が開始された時点の撮像装置400から出力されてきた画像データが示す画像に基づいて画像処理部520が算出した凝集物の特徴量と、第2の規定時間を経過したときに撮像装置400から出力されてきた画像データが示す画像に基づいて画像処理部520が算出した凝集物の特徴量とを比較し、その比較の結果に基づいて、添加装置200が凝集剤貯槽210から添加している凝集剤の添加量に変更が必要かどうかを判定する。
【0030】
添加装置200が凝集剤貯槽210から添加している凝集剤の添加量に変更が必要である場合、制御部530は、添加装置200が凝集剤貯槽210から添加している凝集剤の添加量を変更する(ステップS16)。添加量の変更量は、上述した通りである。制御部530は、変更した添加量の凝集剤を凝集剤貯槽210から水槽100へ添加するように添加装置200を制御する(ステップS17)。その後、制御部530は、第1の規定時間が経過したかどうかを判定する(ステップS18)。ステップS15にて、添加装置200が凝集剤貯槽210から添加している凝集剤の添加量に変更が必要ない場合は、ステップS16,S17の処理は行われず、ステップS18の処理が行われる。
【0031】
ステップS18にて、第1の規定時間が経過していないと判定された場合、制御部530は、さらに第2の規定時間が経過したかどうかを判定する(ステップS19)。一方、ステップS18にて、第1の規定時間が経過したと判定された場合は、ステップS11の処理が行われる。
【0032】
ステップS19にて、第2の規定時間が経過していないと判定された場合、ステップS18の処理が行われる。一方、ステップS19にて、第2の規定時間が経過したと判定された場合は、ステップS14の処理が行われる。
【0033】
上述した形態においては、被処理水は、懸濁物質や不溶化したい物質を含むものであれば良い。また、凝集剤貯槽210から添加される凝集剤は、無機凝集剤、有機凝結剤やポリマー(高分子凝集剤)でも良い。凝集剤貯槽210から添加される凝集剤が無機凝集剤である場合、当該凝集剤はアルミニウム系(PAC、硫酸バンド等)、鉄系(ポリ鉄、塩化第二鉄)等でも良く、特に限定しない。また、凝集剤貯槽210から添加される凝集剤がポリマーである場合、当該凝集剤はカチオンでもアニオンでも良い。
【0034】
このように、本形態においては、水質計が測定した被処理水の水質と、凝集剤を添加した時の被処理水内の凝集物の状態とに基づいて、被処理水に添加する凝集剤の添加量を制御する。このとき、撮像装置を用いて撮像した画像に基づいて凝集物の状態を算出し、被処理水の水質に基づいて算出された添加量を、凝集物の状態に応じて変化させていく。これにより、最適な添加量の凝集剤を添加することができる。凝集剤の添加量を水質計が測定した水質のみに応じて制御した場合、対象水の濁度が同等なものであっても、予想よりも多くの凝集剤を必要とするケースに対応できない。一方、本形態においては、撮像画像から算出されたエッジピクセルに応じた添加量の制御も併せて行う。これにより、水質計が測定した水質に応じて制御された凝集剤の添加量からの過不足を調整することが可能となる。また、水質計の値が急激に大きく変化した場合、添加する凝集剤の添加量を水質計が測定した水質に応じて制御された凝集剤の添加量へ優先的に変更する。これにより、急激な原水変動が生じた場合であっても、対応することができる。
(第1の適用例)
【0035】
図6は、本発明の水処理システムの第1の適用例を示す図である。本適用例は図6に示すように、反応槽110と、凝集槽120と、沈殿槽130と、添加装置200と、無機凝集剤貯槽211と、水質計300と、撮像装置400と、制御装置500とを有する。添加装置200、水質計300、撮像装置400および制御装置500それぞれは、図1に示した実施の形態におけるものとそれぞれ同じものである。
【0036】
反応槽110および凝集槽120は、図1に示した実施の形態における水槽100を分けたものである。反応槽110および凝集槽120それぞれは、所定の容量を持つ。反応槽110は、被処理水が貯留され、添加装置200から無機凝集剤が添加される槽である。添加される無機凝集剤は、図1に示した実施の形態のおける水槽100に添加される無機凝集剤と同じもので良い。また、反応槽110にはpH計が具備されており、pH計が測定した値に応じてpH調整剤が注入される。撮像装置400は、反応槽110に貯留された水中の凝集物を撮像して、撮像した画像を示す画像データを制御装置500へ送信する。撮像装置400は、撮像装置400が撮像した画像に基づいて凝集剤の添加量を制御するため、タイムラグの観点から反応槽110に貯留された水中の凝集物を撮像するものが好ましい。添加装置200は制御装置500からの指示に基づいた添加量の無機凝集剤を無機凝集剤貯槽211から反応槽110へ添加する。制御装置500における制御方法は図1に示した形態において説明した方法と同じである。凝集槽120は、反応槽110で処理された水が注入される槽である。凝集槽120に貯留された水には、例えばポリマーが注入される。沈殿槽130は、凝集槽120で処理された水が注入される。沈殿槽130にて、処理水と沈殿した沈殿物とに分離され、沈殿物はポンプを用いて沈殿槽130の外部へ排泥される。
(第2の適用例)
【0037】
図7は、本発明の水処理システムの第2の適用例を示す図である。本適用例は図7に示すように、反応槽110と、凝集槽120と、沈殿槽130と、添加装置200と、無機凝集剤貯槽211と、水質計300と、撮像装置400と、制御装置500とを有する。これらの構成要素自体はそれぞれ、図6に示した適用例におけるものとそれぞれ同じものである。図6に示した適用例との違いは、撮像装置400が、凝集槽120に貯留された水中の凝集物を撮像する点である。
(第3の適用例)
【0038】
図8は、本発明の水処理システムの第3の適用例を示す図である。本適用例は図8に示すように、反応槽110と、凝集槽120と、沈殿槽130と、添加装置200と、ポリマー貯槽212と、水質計300と、撮像装置400と、制御装置500とを有する。反応槽110、凝集槽120、沈殿槽130、添加装置200、水質計300、撮像装置400および制御装置500の構成要素自体はそれぞれ、図6に示した適用例におけるものとそれぞれ同じものである。撮像装置400は、凝集槽120に貯留された水中の凝集物を撮像する。添加装置200は、制御装置500からの指示に基づいて、ポリマー貯槽212内のポリマーを凝集槽120へ添加する。反応槽110には、無機凝集剤が添加される。
【0039】
上述した第1~3の適用例においては、凝集沈澱を行う沈殿槽を具備するものについて説明したが、凝集を含む装置であれば良い。例えば、凝集加圧浮上、凝集ろ過等へ本発明を適応することもできる。また、反応槽110と凝集槽120とのそれぞれに、貯留されている処理水を攪拌する攪拌部材が設けられていても良い。
【0040】
以上、各構成要素に各機能(処理)それぞれを分担させて説明したが、この割り当ては上述したものに限定しない。また、構成要素の構成についても、上述した形態はあくまでも例であって、これに限定しない。
【0041】
上述した制御装置500が行う処理は、目的に応じてそれぞれ作製された論理回路で行うようにしても良い。また、処理内容を手順として記述したコンピュータプログラム(以下、プログラムと称する)を制御装置500にて読取可能な記録媒体に記録し、この記録媒体に記録されたプログラムを制御装置500に読み込ませ、実行するものであっても良い。制御装置500にて読取可能な記録媒体とは、フロッピー(登録商標)ディスク、光磁気ディスク、DVD(Digital Versatile Disc)、CD(Compact Disc)、Blu-ray(登録商標) Disc、USB(Universal Serial Bus)メモリなどの移設可能な記録媒体の他、制御装置500に内蔵されたROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等のメモリやHDD(Hard Disc Drive)等を指す。この記録媒体に記録されたプログラムは、制御装置500に設けられたCPUにて読み込まれ、CPUの制御によって、上述したものと同様の処理が行われる。ここで、CPUは、プログラムが記録された記録媒体から読み込まれたプログラムを実行するコンピュータとして動作するものである。
【符号の説明】
【0042】
100 水槽
110 反応槽
120 凝集槽
130 沈殿槽
200 添加装置
210 凝集剤貯槽
211 無機凝集剤貯槽
212 ポリマー貯槽
300 水質計
400 撮像装置
500 制御装置
510 算出部
520 画像処理部
530 制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8