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特開2023-66977ホームドア装置、状態判断装置、エリアセンサの状態判断方法、及びエリアセンサの状態判断プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023066977
(43)【公開日】2023-05-16
(54)【発明の名称】ホームドア装置、状態判断装置、エリアセンサの状態判断方法、及びエリアセンサの状態判断プログラム
(51)【国際特許分類】
   B61B 1/02 20060101AFI20230509BHJP
   B61L 23/00 20060101ALI20230509BHJP
【FI】
B61B1/02
B61L23/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021177876
(22)【出願日】2021-10-29
(71)【出願人】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】森本 康之
(72)【発明者】
【氏名】阿久津 昌兵
(72)【発明者】
【氏名】岩丸 幸司
【テーマコード(参考)】
3D101
5H161
【Fターム(参考)】
3D101AA01
3D101AA11
3D101AA23
3D101AA31
3D101AB15
3D101AB16
3D101AB18
3D101AB20
5H161AA01
5H161MM05
5H161MM15
5H161NN12
5H161PP01
5H161QQ03
(57)【要約】
【課題】エリアセンサの状態を検出する装置を別途設けることなく、エリアセンサの出射部の異常を把握するホームドア装置、状態判断装置、エリアセンサの状態判断方法、及びエリアセンサの状態判断プログラムを提供する。
【解決手段】ホームドア装置5は、プラットホーム上の乗降口を開閉する扉と、光を出射する出射部21と、出射部21から出射された光を受ける受光部22と、を備え、プラットホームの所定空間である監視エリアと、プラットホームの地面であり、前記光を反射する地面エリアとを含む検知エリア内の物体の有無を検知するエリアセンサ20と、監視エリアにおけるエリアセンサ20の検知結果に応じて扉の開閉を制御する制御部13Aと、地面エリアにおけるエリアセンサ20の検知結果が物体を検知していないことを示す場合に、出射部21に異常があると判断する判断部13Bとを備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラットホーム上の乗降口を開閉する扉と、
光を出射する出射部と、前記出射部から出射された光を受ける受光部と、を備え、前記プラットホーム又は軌道が対象であり、前記対象内の所定空間である監視エリアと前記対象の地面であり、前記光を反射する地面エリアとを含む検知エリア内の物体の有無を検知するエリアセンサと、
前記監視エリアにおける前記エリアセンサの検知結果に応じて前記扉の開閉を制御する制御部と、
前記地面エリアにおける前記エリアセンサの検知結果が前記物体を検知していないことを示す場合に、前記出射部に異常があると判断する判断部と、を備える
ホームドア装置。
【請求項2】
プラットホーム上の乗降口を開閉する扉と、
光を出射する出射部と、前記出射部から出射された光を受ける受光部と、を備え、前記プラットホーム又は軌道が対象であり、前記対象内の所定空間である監視エリアと前記対象の地面であり、前記光を反射する地面エリアとを含む検知エリア内の物体の有無を検知するエリアセンサと、
前記監視エリアにおける前記エリアセンサの検知結果に応じて前記扉の開閉を制御する制御部と、
前記地面エリアにおける前記エリアセンサの検知結果が基準値と異なる場合に、前記出射部に異常があると判断する判断部と、を備える
ホームドア装置。
【請求項3】
前記判断部は、前記地面エリアに向けて前記出射部から出射した後に前記受光部が受けた光の強度が、前記基準値よりも小さい場合に、前記出射部に異常があると判断する
請求項2に記載のホームドア装置。
【請求項4】
前記判断部は、前記地面エリアに向けて前記出射部から出射した光を前記受光部が受けるまでの所要時間が、前記基準値よりも小さい場合に、前記出射部に異常があると判断する
請求項2に記載のホームドア装置。
【請求項5】
前記監視エリアの少なくとも一部の延長上には、前記地面エリアが位置している
請求項1又は2に記載のホームドア装置。
【請求項6】
前記判断部は、前記扉が全閉していることを示す全閉信号を受信したときに、前記出射部に異常があるか否かの判断を行う
請求項1~5のいずれか一項に記載のホームドア装置。
【請求項7】
前記出射部に異常があると前記判断部が判断したとき、判断結果を報知する報知部を備える
請求項1~6のいずれか一項に記載のホームドア装置。
【請求項8】
前記判断部は、前記出射部に異常があると判断したとき、前記プラットホームに設置されたホームドア装置を制御する総合制御盤に判断結果を報知する
請求項1~7のいずれか一項に記載のホームドア装置。
【請求項9】
前記地面エリアは、第1地面エリアと、前記第1地面エリアと異なる第2地面エリアと、を含み、
前記判断部は、前記第1地面エリア及び前記第2地面エリアの一部の検知結果が前記物体を検知していないことを示す場合、前記出射部の汚れによる異常があると判断する
請求項1~8のいずれか一項に記載のホームドア装置。
【請求項10】
前記判断部は、前記第1地面エリア及び前記第2地面エリアの検知結果のいずれもが前記物体を検知していないことを示す場合、前記エリアセンサの出射部の汚れ以外の異常であると判断する
請求項9に記載のホームドア装置。
【請求項11】
前記エリアセンサは、前記扉の移動軌跡上に位置する物体を検知する支障物検知、又は前記プラットホーム上の前記扉よりも前記軌道寄りに位置する物体を検知する居残り検知に用いられる
請求項1~10のいずれか一項に記載のホームドア装置。
【請求項12】
光を出射する出射部と、前記出射部から出射された光を受ける受光部と、を備え、プラットホーム又は軌道が対象であり、前記対象上の所定空間である監視エリアと前記対象の地面であり、前記光を反射する地面エリアとを含む検知エリア内の物体の有無を検知するエリアセンサと、
前記地面エリアにおける前記エリアセンサの検知結果が前記物体を検知していないことを示す場合に、前記出射部に異常があると判断する判断部と、を備える
状態判断装置。
【請求項13】
光を出射する出射部と、前記出射部から出射された光を受ける受光部と、を備え、プラットホーム又は軌道が対象であり、前記対象上の所定空間である監視エリアと前記対象の地面であり、前記光を反射する地面エリアとを含む検知エリア内の物体の有無をエリアセンサが検知する検知ステップと、
前記地面エリアにおける前記エリアセンサの検知結果が前記地面を検知していない場合に、前記出射部に異常があると判断する判断ステップと、を含む
エリアセンサの状態判断方法。
【請求項14】
光を出射する出射部と、前記出射部から出射された光を受ける受光部と、を備え、プラットホーム又は軌道が対象であり、前記対象上の所定空間である監視エリアと前記対象の地面であり、前記光を反射する地面エリアとを含む検知エリア内の物体の有無をエリアセンサが検知する検知ステップと、
前記地面エリアにおける前記エリアセンサの検知結果が前記地面を検知していない場合に、前記出射部が異常であると判断する判断ステップと、をコンピュータに実行させる
エリアセンサの状態判断プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホームドア装置、状態判断装置、エリアセンサの状態判断方法、及びエリアセンサの状態判断プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載のホームドア装置では、駅等のプラットホームに設置されて、プラットホームと線路等の軌道とを区画する。ホームドア装置は、プラットホームに設置された戸袋部から扉が突出することで乗降口を閉じ、扉が戸袋に収納されることで乗降口を開く。ホームドア装置は、ホームドア装置の周辺を検出するエリアセンサを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-183823号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のようなホームドア装置では、エリアセンサの光を出射する出射部の汚れ等による異常を検出するためにはエリアセンサの状態を検出する装置を別途設ける必要がある。そこで、エリアセンサの状態を検出する装置を別途設けることなく、エリアセンサの異常を検出することが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するホームドア装置は、プラットホーム上の乗降口を開閉する扉と、光を出射する出射部と、前記出射部から出射された光を受ける受光部と、を備え、前記プラットホーム又は軌道が対象であり、前記対象内の所定空間である監視エリアと前記対象の地面であり、前記光を反射する地面エリアとを含む検知エリア内の物体の有無を検知するエリアセンサと、前記監視エリアにおける前記エリアセンサの検知結果に応じて前記扉の開閉を制御する制御部と、前記地面エリアにおける前記エリアセンサの検知結果が前記物体を検知していないことを示す場合に、前記出射部に異常があると判断する判断部と、を備える。
【0006】
上記構成によれば、エリアセンサが対象の地面を検知する地面エリアを検知エリアに含むので、エリアセンサの出射部の異常の有無を判断することができる。よって、エリアセンサの状態を検出する装置を別途設けることなく、エリアセンサの出射部の異常をホームドア装置が把握することができる。
【0007】
上記課題を解決するホームドア装置は、プラットホーム上の乗降口を開閉する扉と、光を出射する出射部と、前記出射部から出射された光を受ける受光部と、を備え、前記プラットホーム又は軌道が対象であり、前記対象内の所定空間である監視エリアと前記対象の地面であり、前記光を反射する地面エリアとを含む検知エリア内の物体の有無を検知するエリアセンサと、前記監視エリアにおける前記エリアセンサの検知結果に応じて前記扉の開閉を制御する制御部と、前記地面エリアにおける前記エリアセンサの検知結果が基準値と異なる場合に、前記出射部に異常があると判断する判断部と、を備える。
【0008】
上記構成によれば、エリアセンサが対象の地面を検知する地面エリアを検知エリアに含むので、エリアセンサの出射部の異常の有無を判断することができる。よって、エリアセンサの状態を検出する装置を別途設けることなく、エリアセンサの出射部の異常をホームドア装置が把握することができる。
【0009】
上記ホームドア装置について、前記判断部は、前記地面エリアに向けて前記出射部から出射した後に前記受光部が受けた光の強度が、前記基準値よりも小さい場合に、前記出射部に異常があると判断することが好ましい。
【0010】
上記ホームドア装置について、前記判断部は、前記地面エリアに向けて前記出射部から出射した光を前記受光部が受けるまでの所要時間が、前記基準値よりも小さい場合に、前記出射部に異常があると判断することが好ましい。
【0011】
上記ホームドア装置について、前記監視エリアの少なくとも一部の延長上には、前記地面エリアが位置していることが好ましい。
上記ホームドア装置について、前記判断部は、前記扉が全閉していることを示す全閉信号を受信したときに、前記出射部に異常があるか否かの判断を行うことが好ましい。
【0012】
上記ホームドア装置について、前記出射部に異常があると前記判断部が判断したとき、判断結果を報知する報知部を備えることが好ましい。
上記ホームドア装置について、前記判断部は、前記出射部に異常があると判断したとき、前記プラットホームに設置されたホームドア装置を制御する総合制御盤に判断結果を報知することが好ましい。
【0013】
上記ホームドア装置について、前記地面エリアは、第1地面エリアと、前記第1地面エリアと異なる第2地面エリアと、を含み、前記判断部は、前記第1地面エリア及び前記第2地面エリアの一部の検知結果が前記物体を検知していないことを示す場合、前記出射部の汚れによる異常があると判断することが好ましい。
【0014】
上記ホームドア装置について、前記判断部は、前記第1地面エリア及び前記第2地面エリアの検知結果のいずれもが前記物体を検知していないことを示す場合、前記エリアセンサの出射部の汚れ以外の異常であると判断することが好ましい。
【0015】
上記ホームドア装置について、前記エリアセンサは、前記扉の移動軌跡上に位置する物体を検知する支障物検知、又は前記プラットホーム上の前記扉よりも前記軌道寄りに位置する物体を検知する居残り検知に用いられることが好ましい。
【0016】
上記課題を解決する状態判断装置は、光を出射する出射部と、前記出射部から出射された光を受ける受光部と、を備え、プラットホーム又は軌道が対象であり、前記対象上の所定空間である監視エリアと前記対象の地面であり、前記光を反射する地面エリアとを含む検知エリア内の物体の有無を検知するエリアセンサと、前記地面エリアにおける前記エリアセンサの検知結果が前記物体を検知していないことを示す場合に、前記出射部に異常があると判断する判断部と、を備える。
【0017】
上記構成によれば、エリアセンサが対象の地面を検知する地面エリアを検知エリアに含むので、センサエリアの出射部の異常の有無を判断することができる。よって、エリアセンサの状態を検出する装置を別途設けることなく、エリアセンサによる検出によってエリアセンサの異常を把握することができる。
【0018】
上記課題を解決するエリアセンサの状態判断方法は、光を出射する出射部と、前記出射部から出射された光を受ける受光部と、を備え、プラットホーム又は軌道が対象であり、前記対象上の所定空間である監視エリアと前記対象の地面であり、前記光を反射する地面エリアとを含む検知エリア内の物体の有無をエリアセンサが検知する検知ステップと、前記地面エリアにおける前記エリアセンサの検知結果が前記地面を検知していない場合に、前記出射部に異常があると判断する判断ステップと、を含む。
【0019】
上記方法によれば、エリアセンサが対象の地面を検知する地面エリアを検知エリアに含むので、センサエリアの出射部の異常の有無を判断することができる。よって、エリアセンサの状態を検出する装置を別途設けることなく、エリアセンサの出射部の異常を把握することができる。
【0020】
上記課題を解決するエリアセンサの状態判断プログラムは、光を出射する出射部と、前記出射部から出射された光を受ける受光部と、を備え、プラットホーム又は軌道が対象であり、前記対象上の所定空間である監視エリアと前記対象の地面であり、前記光を反射する地面エリアとを含む検知エリア内の物体の有無をエリアセンサが検知する検知ステップと、前記地面エリアにおける前記エリアセンサの検知結果が前記地面を検知していない場合に、前記出射部に異常があると判断する判断ステップと、をコンピュータに実行させる。
【0021】
上記プログラムによれば、エリアセンサが対象の地面を検知する地面エリアを検知エリアに含むので、センサエリアの出射部の異常の有無を判断することができる。よって、エリアセンサの状態を検出する装置を別途設けることなく、エリアセンサの出射部の異常を把握することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、エリアセンサを診断する装置を別途設けることなく、エリアセンサの出射部の異常を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】ホームドア装置の第1実施形態が設置されたプラットホームを示す平面図。
図2】同実施形態のホームドア装置の概略構成を示す正面図。
図3】同実施形態のホームドア装置の電気的構成を示すブロック図。
図4】同実施形態のホームドア装置による出射部の異常判断処理を示す正面図。
図5】同実施形態のホームドア装置による出射部の異常判断処理を示す正面図。
図6】同実施形態のホームドア装置による異常判断処理を示すフローチャート。
図7】ホームドア装置の第2実施形態が設置されたプラットホームを示す側面図。
図8】同実施形態のホームドア装置による出射部の異常判断処理を示す正面図。
図9】ホームドア装置の第3実施形態が設置されたプラットホームを示す側面図。
図10】同実施形態のホームドア装置による出射部の異常判断処理を示す側面図。
図11】状態判断装置の電気的構成を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(第1実施形態)
以下、図1図6を参照して、ホームドア装置の第1実施形態について説明する。ホームドア装置は、駅のプラットホームに設置される。
【0025】
図1に示すように、駅1には、軌道2と、軌道2に沿ってプラットホーム3が設けられている。ホームドア装置5は、プラットホーム3の延出方向に沿って複数並んで設置されている。
【0026】
(ホームドア装置5)
図1及び図2に示すように、ホームドア装置5は、プラットホーム3側と軌道2側とを区画する。ホームドア装置5は、戸袋10と、第1扉11と、第2扉12とを備えている。戸袋10は、プラットホーム3に固定される。第1扉11及び第2扉12は、二重引戸であって、リニアガイド等のガイド部材(図示略)によって戸袋10に支持され、戸袋10から開閉方向に進退可能に設けられる。第1扉11及び第2扉12は、プラットホーム3上の乗降口Eを開閉する。乗降口Eは、戸袋10と戸袋10との間である。第1扉11は、開閉方向に移動可能に戸袋10に支持されている。第1扉11は、戸袋10の左側面から進退可能に設けられている。第2扉12は、開閉方向に移動可能に戸袋10に支持されている。第2扉12は、戸袋10の右側面から進退可能に設けられる。1つの乗降口Eは、2つのホームドア装置5によって開閉される。すなわち、乗降口Eは、左側に位置するホームドア装置5の第2扉12と右側に位置するホームドア装置5の第1扉11とによって開閉される。なお、戸袋10の左右側面のいずれか一方のみから第1扉11及び第2扉12が進退可能に設けられてもよい。
【0027】
ホームドア装置5は、エリアセンサ20を備えている。エリアセンサ20は、第1扉11及び第2扉12の移動軌跡上に位置する物体を検知する支障物検知を行う。エリアセンサ20は、戸袋10と戸袋10との間に位置する物体の有無を検知する。エリアセンサ20は、戸袋10内の右側に設けられている。エリアセンサ20は、戸袋10の右側面から光を出射し、物体に反射した光を受ける。エリアセンサ20は、反射ミラーが回転することで光を走査して、検知エリアを形成する。エリアセンサ20は、戸袋10と戸袋10との間に検知エリアとして監視エリアASを形成する。なお、プラットホーム3が対象である。エリアセンサ20が検知する物体には、人、支障物、地面を含む。エリアセンサ20は、光が反射した物体までの距離をタイム・オブ・フライト(TOF)原理を利用して測定する。エリアセンサ20は、光が反射した物体の位置を、反射ミラーの回転角度と、物体までの距離とから特定する。エリアセンサ20は、光が反射した物体の位置を検知エリアに含むか否かを設定することで検知エリアの範囲を決定している。
【0028】
次に、図3を参照して、ホームドア装置5の電気的な構成について説明する。
図3に示すように、ホームドア装置5は、プラットホーム3毎に設置される総合制御盤4に通信線Lを介してそれぞれ接続されている。ホームドア装置5は、ドアコントローラ13と、第1駆動部14と、第2駆動部15と、エリアセンサ20と、報知部16と、を備えている。第1駆動部14、第2駆動部15、エリアセンサ20、及び報知部16は、ドアコントローラ13に接続されている。
【0029】
エリアセンサ20は、出射部21と、受光部22とを備えている。出射部21は、レーザ(光の一例)を反射ミラーに当て、当該反射ミラーを回転させて出射方向を変えることができる。受光部22は、出射部21から出射された光を受けるフォトダイオードである。エリアセンサ20は、出射部21が光を出射したタイミングと受光部22が光を受けたタイミングとから物体を検知したか否かを判断し、その判断結果を検知結果としてドアコントローラ13に出力する。
【0030】
(ドアコントローラ13)
ドアコントローラ13は、コンピュータプログラム(ソフトウェア)に従って各種処理を実行する1つ以上のプロセッサとして構成し得る。ドアコントローラ13すなわちプロセッサにより実行される処理には、エリアセンサ20の状態判断方法が含まれる。エリアセンサ20の状態判断方法は、後述する検知ステップと判断ステップとを含む。なお、ドアコントローラ13は、各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する、特定用途向け集積回路(ASIC)等の1つ以上の専用のハードウェア回路、またはそれらの組み合わせを含む回路(circuitry)として構成してもよい。プロセッサは、CPU及び、RAM並びにROM等のメモリを含む。メモリは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納している。メモリすなわちコンピュータ可読媒体は、汎用または専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含む。コンピュータ可読媒体に格納されたプログラムにはエリアセンサ20の状態判断プログラムが含まれる。エリアセンサ20の状態判断プログラムは、検知ステップと判断ステップとをコンピュータに実行させる。
【0031】
第1駆動部14及び第2駆動部15は、ドアコントローラ13に駆動制御される。第1駆動部14は、モータ(図示略)を備え、モータの駆動力をベルト(図示略)を介して第1扉11に伝達することで第1扉11を開閉方向に駆動する。第2駆動部15は、モータ(図示略)を備え、モータの駆動力をベルト(図示略)を介して第2扉12に伝達することで第2扉12を開閉方向に駆動する。ドアコントローラ13は、第1扉11及び第2扉12が全閉していることを検知する位置センサ(図示略)から第1扉11及び第2扉12が全閉していることを示す全閉信号を受信する。
【0032】
ドアコントローラ13は、制御部13Aと、判断部13Bとを備えている。制御部13Aは、エリアセンサ20の検知結果に応じて第1扉11及び第2扉12の開閉を制御する。制御部13Aは、第1駆動部14を駆動制御することで第1扉11を開閉し、第2駆動部15を駆動制御することで第2扉12を開閉する。エリアセンサ20の検知結果は、図1の左側のホームドア装置5から右側のホームドア装置5に送信される。つまり、ホームドア装置5は、自身に設けられたエリアセンサ20の検知結果に応じて第2扉12の開閉を制御し、左隣に位置するホームドア装置5に設けられたエリアセンサ20の検知結果に応じて第1扉11の開閉を制御する。制御部13Aは、総合制御盤4からの開閉指令に応じて第1扉11及び第2扉12を開閉し、第1扉11及び第2扉12の開閉中に支障物を検知したら駆動を停止させ、支障物の検知がなくなったら開閉動作を行う。
【0033】
ところで、出射部21の光源から光が通過する部分に位置する反射ミラーやレンズ等の部材や、出射部21を覆うカバーが汚れると、出射部21から光が出射されず物体の検知ができなくなる。そこで、ホームドア装置5は、エリアセンサ20の検知を利用して、出射部21に異常があるか否かを判断する異常判断処理を行う。判断部13Bは、エリアセンサ20の出射部21に異常があるか否かの判断を行う。出射部21の異常とは、汚れ以外に、光源の発光異常や、反射ミラーを回転させるモータの異常等が含まれる。
【0034】
報知部16は、出射部21に異常があると判断部13Bが判断したとき、判断結果を報知する。判断部13Bは、プラットホーム3に設置されたホームドア装置5を制御する総合制御盤4に判断結果を報知する。
【0035】
(エリアセンサ20)
図4に示すように、検知エリアは、プラットホーム3の所定空間である監視エリアASと、プラットホーム3の地面である床面3Aであり、光を反射する地面エリアAGと、を含む。監視エリアASの少なくとも一部の延長上には、地面エリアAGが位置している。詳しくは、監視エリアASは、プラットホーム3の床面3Aを検知しないように設定しているが、地面エリアAGは、エリアセンサ20から監視エリアASの一部を延長させて地面エリアAGを設定している。また、地面エリアAGは、等角に分割された8個のエリアであって、第1地面エリアA1~第8地面エリアA8を含む。第1地面エリアA1~第8地面エリアA8は、それぞれ異なるエリアである。エリアセンサ20は、エリアセンサ20の異常判断を行うときは、第1地面エリアA1から1つずつ順に第8地面エリアA8まで物体の検知を行う。制御部13Aは、エリアセンサ20が監視エリアASにおいて物体を検知すると、第1駆動部14及び第2駆動部15を駆動させず、第1扉11及び第2扉12を開閉させない。また、制御部13Aは、第1扉11及び第2扉12が開閉しているときにエリアセンサ20が監視エリアASにおいて物体を検知すると、第1駆動部14及び第2駆動部15の駆動を停止して、第1扉11及び第2扉12を停止させる。又は制御部13Aは、第1駆動部14及び第2駆動部15を反対方向に駆動させて第1扉11及び第2扉12を反対方向に移動させる。
【0036】
判断部13Bがエリアセンサ20の異常判断を行うときには、エリアセンサ20は、地面エリアAGに位置する物体を検知する。エリアセンサ20は、地面エリアAGを検知する場合に検知エリアに物体が位置していなければ、プラットホーム3の床面3Aを検知することになる。判断部13Bは、第1扉11及び第2扉12が全閉していることを示す全閉信号を受信したときに、出射部21に異常があるか否かの判断を行う。判断部13Bは、地面エリアAGにおけるエリアセンサ20の検知結果が物体を検知していないことを示す場合に、出射部21に異常あると判断する。
【0037】
図5に示すように、判断部13Bは、第1地面エリアA1~第8地面エリアA8の一部の検知結果が物体を検知していないことを示す場合、エリアセンサ20の出射部21の反射ミラーやレンズ、カバーが異常であると判断する。図5では、第3地面エリアA3が物体を検知していない状態を示している。
【0038】
また、判断部13Bは、第1地面エリアA1~第8地面エリアA8の検知結果のいずれもが物体を検知していないことを示す場合、エリアセンサ20の出射部21の汚れ以外の光源の発光異常や、反射ミラーを回転させるモータ異常であると判断する。
【0039】
(異常判断処理)
次に、図6を併せ参照して、上記ホームドア装置5の異常判断処理について説明する。なお、図5に示すように、第3地面エリアA3に光を出射する部分に汚れがあるために、第3地面エリアA3では物体を検知していない状態とする。
【0040】
図6に示すように、エリアセンサ20は、開始時に「i=0」とする(ステップS1)。すなわち、エリアセンサ20は、地面エリアAGを順に1つずつ検知するために、i=0から開始する。
【0041】
続いて、エリアセンサ20は、「i+1=i」とする(ステップS2)。すなわち、エリアセンサ20は、0+1=1=iとする。
そして、エリアセンサ20は、センサエリアAiに切り替える(ステップS3)。すなわち、エリアセンサ20は、検知エリアを第1地面エリアA1に切り替える。
【0042】
続いて、エリアセンサ20は、センサエリアAiにおいて検知状態であるか否かを判断する(ステップS4)。すなわち、エリアセンサ20は、第1地面エリアA1において物体を検知しているか否かを判断する。そして、エリアセンサ20が第1地面エリアA1において検知状態であると判断した場合には(ステップS4:YES)、ドアコントローラ13は、出射部21の第1地面エリアA1に光を出射する部分に異常なしと判断する(ステップS5)。すなわち、判断部13Bは、第1地面エリアA1において検知ができるので、出射部21の第1地面エリアA1に光を出射する部分に異常がないと判断する。
【0043】
続いて、エリアセンサ20は、iがMaxである8であるか否かを判断する(ステップS6)。すなわち、全地面エリアAGにおいて検知をしたか否かを判断する。そして、エリアセンサ20は、iがMaxである8でないと判断した場合には(ステップS6:NO)、ステップS2に移行して、1+1=2=iとする。そして、エリアセンサ20は、検知エリアを第2地面エリアA2に切り替える(ステップS3)。
【0044】
続いて、エリアセンサ20は、第2地面エリアA2において物体を検知しているか否かを判断する(ステップS4)。そして、エリアセンサ20は、第2地面エリアA2において検知状態であると判断した場合には(ステップS4:YES)、ドアコントローラ13は、出射部21の第1地面エリアA1に光を出射する部分に異常なしと判断する(ステップS5)。すなわち、判断部13Bは、第2地面エリアA2において検知ができるので、出射部21の第2地面エリアA2に光を出射する部分に異常がないと判断する。
【0045】
続いて、エリアセンサ20は、iがMaxである8であるか否かを判断する(ステップS6)。そして、エリアセンサ20は、iがMaxである8でないと判断した場合には(ステップS6:NO)、ステップS2に移行して、2+1=3=iとする。そして、エリアセンサ20は、検知エリアを第3地面エリアA3に切り替える(ステップS3)。
【0046】
続いて、エリアセンサ20は、第3地面エリアA3において物体を検知しているか否かを判断する(ステップS4)。そして、エリアセンサ20が第3地面エリアA3において検知状態でないと判断した場合には(ステップS4:NO)、ドアコントローラ13は、出射部21に異常ありと判断する(ステップS7)。すなわち、判断部13Bは、第3地面エリアA3において検知ができないので、出射部21に異常があると判断する。
【0047】
そして、ドアコントローラ13は、エリアセンサ20の異常を出力して(ステップS8)、ステップS6に移行する。すなわち、ドアコントローラ13は、報知部16から音や光の少なくとも一方によってエリアセンサ20の異常を出力するとともに、総合制御盤4に異常を出力する。
【0048】
続いて、エリアセンサ20は、iがMaxである8であるか否かを判断して(ステップS6)、i=Maxである8であると判断する(ステップS6:YES)までステップS2~S6を繰り返す。
【0049】
そして、エリアセンサ20が全ての地面エリアAGにおいて検知状態と判断した場合には(ステップS4:YES)、i=Maxである8であると判断して(ステップS6:YES)、異常判断処理を終了する。
【0050】
よって、ホームドア装置5は、エリアセンサ20の検知を利用して、エリアセンサ20の出射部21の異常を把握することができる。また、出射部21の検知エリアを分割して異常判断を行うことで、光の通過する検知エリアがそれぞれ異なるため、光が通過する検知エリア毎に出射部21の細かい汚れ等の異常も把握することができる。
【0051】
次に、第1実施形態の効果について説明する。
(1-1)エリアセンサ20がプラットホーム3の床面3Aを検知する地面エリアAGを含むので、エリアセンサ20の出射部21の異常の有無を判断することができる。具体的には、エリアセンサ20に異常が無いときは、地面エリアAGには常に光を反射する床面3Aが存在するため、物体を検知したという判断結果になる。このことを利用して、常時存在するはずの床面3Aを検知することができない場合には、出射部21のレンズやカバーの汚れ、光源異常、モータ異常等のセンサ異常と推定することができる。よって、エリアセンサ20の状態を検出する装置を別途設けることなく、エリアセンサ20の出射部21の異常をホームドア装置5が把握することができる。
【0052】
(1-2)監視エリアASの少なくとも一部の延長上に地面エリアAGが位置している。このため、監視エリアASの物体を検出するときに光が通過する出射部21の異常を判断することができる。
【0053】
(1-3)全閉信号を受信したときに、出射部21に異常があるか否かの判断を判断部13Bが行う。このため、第1扉11及び第2扉12が全閉しているときは乗降口Eに人や物体の通過がないので、エリアセンサ20の異常の検出において誤検知を抑制して、検出精度を向上させることができる。
【0054】
(1-4)報知部16が判断結果を出力することで、出射部21に異常があることを外部の人が把握することができる。
(1-5)判断部13Bが判断結果を総合制御盤4に出力することで、エリアセンサ20が異常であることを総合制御盤4が把握することができる。
【0055】
(1-6)地面エリアAGの一部の検知結果が物体を検知していないことを示す場合、出射部21の汚れによる異常があると判断する。このため、出射部21に微小な汚れがある場合でも出射部21の異常を把握することができる。
【0056】
(1-7)出射部21に汚れがある場合、一部の地面エリアAGでプラットホーム3の床面3Aを検知する可能性が高い。そこで、全ての地面エリアAGでプラットホーム3の床面3Aを検知していないということは出射部21の汚れによる異常ではなく出射部21の汚れ以外の異常であると判断することができる。
【0057】
(1-8)支障物検知に用いられるエリアセンサ20の状態を検出する装置を別途設けることなく、エリアセンサ20の出射部21の異常をホームドア装置5が把握することができる。
【0058】
(第2実施形態)
以下、図7及び図8を参照して、ホームドア装置の第2実施形態について説明する。この実施形態のホームドア装置は、フルハイト型である点、及びエリアセンサ20が居残り検知を行う点が上記第1実施形態と異なっている。以下、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0059】
図7及び図8に示すように、ホームドア装置6は、収納ボックス30と、第1扉31と、第2扉32と、第1フィックス33と、第2フィックス34とを備えている。収納ボックス30は、プラットホーム3の上部に設けられている。収納ボックス30は、第1扉31及び第2扉32を開閉可能に支持する支持機構及び駆動部(図示略)を収納している。第1フィックス33及び第2フィックス34は、収納ボックス30とプラットホーム3の床面3Aとの間に固定されている。
【0060】
ホームドア装置6は、エリアセンサ20を備えている。エリアセンサ20は、プラットホーム3上の第1扉31及び第2扉32よりも軌道2寄りに位置する物体を検知する居残り検知を行う。エリアセンサ20は、第1扉31及び第2扉32と軌道2との間に位置する物体を検知する。エリアセンサ20は、収納ボックス30の軌道2側の背面に設置されている。エリアセンサ20は、第1扉31及び第2扉32と軌道2との間に検知エリアとして監視エリアASを形成する。なお、エリアセンサ20の構成については第1実施形態と同様であるため説明を割愛する。また、ホームドア装置6は、第1実施形態のホームドア装置5と同様にドアコントローラ13を備えている。
【0061】
図8に示すように、検知エリアは、プラットホーム3の所定空間である監視エリアASと、プラットホーム3の地面である床面3Aであり、光を反射する地面エリアAGと、を含む。監視エリアASの少なくとも一部の延長上には、地面エリアAGが位置している。詳しくは、監視エリアASは、プラットホーム3の床面3Aを検知しないように設定しているが、地面エリアAGは、エリアセンサ20から監視エリアASの一部を延長させて地面エリアAGを設定している。また、地面エリアAGは、等角に分割された8個のエリアであって、第1地面エリアA1~第8地面エリアA8を含む。第1地面エリアA1~第8地面エリアA8は、それぞれ異なるエリアである。エリアセンサ20は、エリアセンサ20の異常判断を行うときは、第1地面エリアA1から1つずつ順に第8地面エリアA8まで物体の検知を行う。制御部13Aは、エリアセンサ20が監視エリアASにおいて物体を検知すると、第1駆動部14及び第2駆動部15を駆動させず、第1扉11及び第2扉12を開閉させない。また、制御部13Aは、第1扉11及び第2扉12が開閉しているときにエリアセンサ20が監視エリアASにおいて物体を検知すると、第1駆動部14及び第2駆動部15の駆動を停止して、第1扉11及び第2扉12を停止させる。又は制御部13Aは、第1駆動部14及び第2駆動部15を反対方向に駆動させて第1扉11及び第2扉12を反対方向に移動させる。
【0062】
ホームドア装置6は、ホームドア装置5と同様の異常判断処理を行う。すなわち、判断部13Bがエリアセンサ20の異常判断を行うときには、エリアセンサ20は、地面エリアAGに位置する物体を検知する。エリアセンサ20は、地面エリアAGを検知する場合に検知エリアに物体が位置していなければ、プラットホーム3の床面3Aを検知することになる。判断部13Bは、第1扉31及び第2扉32が全閉していることを示す全閉信号を受信したときに、出射部21に異常があるか否かの判断を行う。判断部13Bは、地面エリアAGにおけるエリアセンサ20の検知結果が物体を検知していないことを示す場合に、出射部21に異常があると判断する。判断部13Bは、第1地面エリアA1~第8地面エリアA8の一部の検知結果が物体を検知していないことを示す場合、エリアセンサ20の出射部21の汚れによる異常があると判断する。また、判断部13Bは、第1地面エリアA1~第8地面エリアA8の検知結果のいずれもが物体を検知していないことを示す場合、エリアセンサ20の出射部21の汚れ以外が異常であると判断する。
【0063】
次に、第2実施形態の効果について説明する。なお、第1実施形態の(1-1)~(1-7)の効果に加え、以下の効果を奏する。
(2-1)居残り検知に用いられるエリアセンサ20の状態を検出する装置を別途設けることなく、エリアセンサ20の出射部21の異常をホームドア装置6が把握することができる。
【0064】
(第3実施形態)
以下、図9及び図10を参照して、ホームドア装置の第3実施形態について説明する。この実施形態のホームドア装置は、エリアセンサが鉄道車両を検知する点が上記第1実施形態と異なっている。以下、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0065】
図9及び図10に示すように、ホームドア装置7は、エリアセンサ20を収納する収納ボックス40を備えている。収納ボックス40は、戸袋10の背面側である軌道2側に設置されている。エリアセンサ20は、駅1に停止した鉄道車両8を検知可能な範囲に検知エリアとして監視エリアASを形成する。なお、軌道が対象である。エリアセンサ20の構成については第1実施形態と同様であるため説明を割愛する。また、ホームドア装置7は、第1実施形態のホームドア装置5と同様にドアコントローラ13を備えている。
【0066】
ホームドア装置7のエリアセンサ20は、駅1に停止した鉄道車両8を検知する。エリアセンサ20が鉄道車両8を検知することで、鉄道車両8が入線したことを検知したり、鉄道車両8が停止位置に停止しているか否かを検知したりすることができる。また、複数のエリアセンサ20の検知結果を取得することで、鉄道車両8の編成を検知することもできる。
【0067】
図10に示すように、検知エリアは、軌道2の所定空間である監視エリアASと、軌道2の地面9であり、光を反射する地面エリアAGと、を含む。監視エリアASの少なくとも一部の延長上には、地面エリアAGが位置している。詳しくは、監視エリアASは、軌道2の地面9を検知しないように設定しているが、地面エリアAGは、エリアセンサ20から監視エリアASの一部を延長させて地面エリアAGを設定している。また、地面エリアAGは、等角に分割された8個のエリアであって、第1地面エリアA1~第8地面エリアA8を含む。第1地面エリアA1~第8地面エリアA8は、それぞれ異なるエリアである。エリアセンサ20は、エリアセンサ20の異常判断を行うときは、第1地面エリアA1から1つずつ順に第8地面エリアA8まで物体の検知を行う。なお、制御部13Aは、監視エリアASにおいて鉄道車両8を検知している場合のみ、第1扉11及び第2扉12を開く。
【0068】
ホームドア装置7は、ホームドア装置5と同様の異常判断処理を行う。すなわち、判断部13Bがエリアセンサ20の異常判断を行うときには、エリアセンサ20は、地面エリアAGに位置する物体を検知する。エリアセンサ20は、地面エリアAGを検知する場合に検知エリアに物体が位置していなければ、軌道2の地面9を検知することになる。判断部13Bは、第1扉31及び第2扉32が全閉していることを示す全閉信号を受信したときに、出射部21に異常があるか否かの判断を行う。判断部13Bは、地面エリアAGにおけるエリアセンサ20の検知結果が物体を検知していないことを示す場合に、出射部21に異常があると判断する。判断部13Bは、第1地面エリアA1~第8地面エリアA8の一部の検知結果が物体を検知していないことを示す場合、エリアセンサ20の出射部21の汚れによる異常があると判断する。また、判断部13Bは、第1地面エリアA1~第8地面エリアA8の検知結果のいずれもが物体を検知していないことを示す場合、エリアセンサ20の出射部21の汚れ以外が異常であると判断する。
【0069】
次に、第3実施形態の効果について説明する。なお、第1実施形態の(1-2)~(1-7)の効果に加え、以下の効果を奏する。
(3-1)エリアセンサ20が軌道2の地面9を検知する地面エリアAGを含むので、エリアセンサ20の出射部21の異常の有無を判断することができる。よって、エリアセンサ20の状態を検出する装置を別途設けることなく、エリアセンサ20の出射部21の異常をホームドア装置5が把握することができる。
【0070】
(3-2)車両検知に用いられるエリアセンサ20の状態を検出する装置を別途設けることなく、エリアセンサ20の出射部21の異常をホームドア装置7が把握することができる。
【0071】
(他の実施形態)
上記各実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記各実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0072】
・上記各実施形態では、ホームドア装置5,6,7のドアコントローラ13に判断部13Bを備え、判断部13Bがエリアセンサ20の異常を判断した。しかしながら、エリアセンサ20に判断部を設けた状態判断装置としてもよい。すなわち、図11に示すように、ドアコントローラ13は、第1駆動部14及び第2駆動部15を制御する制御部13Aを備えている。状態判断装置50は、エリアセンサ20と、判断部51と、報知部52とを備えている。判断部51は、第1実施形態の判断部13Bと同様にエリアセンサ20の異常判断を行う。また、報知部52は、音や光等によってエリアセンサ20の異常を出力するとともに、総合制御盤4に異常を出力する。
【0073】
上記構成によれば、エリアセンサ20がプラットホーム3の床面3Aや地面9を検知する地面エリアAGを含むので、エリアセンサ20の出射部21の異常の有無を判断することができる。よって、エリアセンサ20の状態を検出する装置を別途設けることなく、エリアセンサ20による検出によってエリアセンサ20の異常を把握することができる。
【0074】
・上記各実施形態では、全ての地面エリアAGでプラットホーム3の床面3A又は地面9を検知していない場合には出射部21の汚れによる異常ではなく出射部21の汚れ以外の異常であると判断した。しかしながら、全ての地面エリアAGでプラットホーム3の床面3A又は地面9を検知していない場合に、まず出射部21の異常と判断してもよい。
【0075】
・上記各実施形態では、判断部13Bが判断結果を総合制御盤4に出力した。しかしながら、ホームドア装置5,6,7において報知部16が報知すれば、総合制御盤4に出力しなくてもよい。
【0076】
・上記各実施形態では、報知部16が判断結果を光や音等で出力した。しかしながら、総合制御盤4に判断結果を出力することができれば、光や音等による出力をしなくてもよい。
【0077】
・上記各実施形態では、全閉信号を受信したときに、出射部21に異常があるか否かを判断した。しかしながら、全閉信号を受信したとき以外に、出射部21に異常があるか否かを判断してもよい。
【0078】
・上記各実施形態では、監視エリアASの少なくとも一部の延長上に地面エリアAGを位置させた。しかしながら、監視エリアASの全ての延長上に地面エリアAGを位置させてもよい。なお、プラットホーム3上に監視エリアASを形成する場合には、プラットホーム3の床面3Aに、監視エリアASの全ての延長上に地面エリアAGを位置させることができる場合である。また、軌道2上に監視エリアASを形成する場合には、軌道2の地面9に、監視エリアASの全ての延長上に地面エリアAGを位置させることができる場合である。
【0079】
・上記各実施形態において、判断部13Bが地面エリアAGにおけるエリアセンサ20の検知結果が基準値と異なる場合に、出射部21に異常があると判断してもよい。上記実施形態のように、エリアセンサ20が物体の有無を判断した結果を制御部13Aに送信するのではなく、エリアセンサ20が測定した光強度や、TOF原理を利用して測定した物体までの距離を制御部13Aに送り、制御部13Aでその値を用いて、支障物や居残りの有無を検知する構成であってもよい。この場合、監視エリアASでは、光強度や測定した物体までの距離が閾値未満になった場合、支障物や居残りを検知と判断する。なお、基準値は、ホームドア装置5,6,7の艤装時など、支障物が存在しないとき等、運用前に予め測定した値である。このような構成によれば、エリアセンサ20が対象の地面を検知する地面エリアAGを検知エリアに含むので、エリアセンサ20の出射部21の異常の有無を判断することができる。よって、エリアセンサ20の状態を検出する装置を別途設けることなく、エリアセンサ20の出射部21の異常をホームドア装置5,6,7が把握することができる。
【0080】
例えば、判断部13Bは、地面エリアAGに向けて出射部21から出射した後に受光部22が受けた光の強度が、基準値よりも小さい場合に、出射部21に異常があると判断する。出射部21に汚れが付着することで、受光強度が落ちる、又はTOF原理を利用して測定した物体までの距離が短くなる。なお、汚れ部分で光が反射すると、測定した物体までの距離が極小になる可能性がある。
【0081】
例えば、判断部13Bは、地面エリアAGに向けて出射部21から出射した光を受光部22が受けるまでの所要時間が、基準値よりも小さい場合に、出射部21に異常があると判断する。このような構成によれば、エリアセンサ20が物体の有無を検出するのではなく、ホームドア装置5,6,7の判断部13Bがエリアセンサ20から取得した受光部22が光を受けるまでの所要時間によって出射部21の異常を判断することができる。
【0082】
・上記各実施形態では、地面エリアAGを等角に分割された8個のエリアとした。しかしながら、地面エリアAGを等角に分割せず、異なる角度で分割してもよい。また、地面エリアAGを8個ではなく、8以外の複数のエリアとしてもよい。
【0083】
・上記各実施形態では、1枚の扉を有する引戸とする。しかしながら、扉を二重引戸や三重引戸であってもよい。
・上記各実施形態では、戸袋10をプラットホーム3に固定したが、戸袋10がプラットホーム3上を移動可能なように設置してもよい。
【0084】
・上記各実施形態において、複数の物体で構成されているものは、当該複数の物体を一体化してもよく、逆に一つの物体で構成されているものを複数の物体に分けることができる。一体化されているか否かにかかわらず、発明の目的を達成することができるように構成されていればよい。
【0085】
・上記各実施形態において、複数の機能が分散して設けられているものは、当該複数の機能の一部又は全部を集約して設けても良く、逆に複数の機能が集約して設けられているものを、当該複数の機能の一部又は全部が分散するように設けることができる。機能が集約されているか分散されているかにかかわらず、発明の目的を達成することができるように構成されていればよい。
【符号の説明】
【0086】
AG…地面エリア
AS…監視エリア
E…乗降口
L…通信線
1…駅
2…軌道
3…プラットホーム
3A…床面
4…総合制御盤
5…ホームドア装置
6…ホームドア装置
7…ホームドア装置
8…鉄道車両
9…地面
10…戸袋
11…第1扉
12…第2扉
13…ドアコントローラ
13A…制御部
13B…判断部
14…第1駆動部
15…第2駆動部
16…報知部
20…エリアセンサ
21…出射部
22…受光部
30…収納ボックス
31…第1扉
32…第2扉
33…第1フィックス
34…第2フィックス
40…収納ボックス
50…状態判断装置
51…判断部
52…報知部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11