IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社パイロットコーポレーションの特許一覧

<>
  • 特開-入力ペン 図1
  • 特開-入力ペン 図2
  • 特開-入力ペン 図3
  • 特開-入力ペン 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023066981
(43)【公開日】2023-05-16
(54)【発明の名称】入力ペン
(51)【国際特許分類】
   G06F 3/03 20060101AFI20230509BHJP
   G06F 3/044 20060101ALI20230509BHJP
【FI】
G06F3/03 400F
G06F3/044 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021177883
(22)【出願日】2021-10-29
(71)【出願人】
【識別番号】303022891
【氏名又は名称】株式会社パイロットコーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100108833
【弁理士】
【氏名又は名称】早川 裕司
(74)【代理人】
【識別番号】100162156
【弁理士】
【氏名又は名称】村雨 圭介
(72)【発明者】
【氏名】小松 靖志
(57)【要約】
【課題】タッチパネルの画面の視認性を犠牲にすることなく、タッチパネルが反応するのに十分な静電容量の変化を生じさせることができる入力ペンを提供する。
【解決手段】本発明の入力ペン10は、操作領域における操作部分の座標位置を静電容量変化に伴う電気量変化によって検出し、前記操作部分の座標位置を入力する入力装置に用いる入力ペンである。入力ペン10は、軸部1と、直接又は連接部材22を介して軸部1に装着された、入力装置の操作領域に接触する接触部21と、を備え、接触部21が、導電性材料211に複数の開口212が略均一に形成されたメッシュ構造を有しており、軸部1側から接触部21を通して入力装置の操作領域が視認可能に構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作領域における操作部分の座標位置を静電容量変化に伴う電気量変化によって検出し、前記操作部分の座標位置を入力する入力装置に用いる入力ペンであって、
軸部と、
直接又は連接部材を介して前記軸部に装着された、前記入力装置の前記操作領域に接触する接触部と、を備え、
前記接触部が、導電性材料に複数の開口が略均一に形成されたメッシュ構造を有しており、前記軸部側から前記接触部を通して前記入力装置の前記操作領域が視認可能に構成されている、入力ペン。
【請求項2】
前記接触部の開口率が50%以上である、請求項1に記載の入力ペン。
【請求項3】
前記接触部が、線状の導電性材料を網目状に配設してなる、請求項1又は2に記載の入力ペン。
【請求項4】
前記接触部が、シート状の導電性材料に貫通孔を複数穿設してなる、請求項1又は2に記載の入力ペン。
【請求項5】
前記接触部が、その中央部を凸状に湾曲させた凸曲面形状を有する、請求項1-4のいずれか1項に記載の入力ペン。
【請求項6】
前記接触部が弾性変形可能に構成されている、請求項1-5のいずれか1項に記載の入力ペン。
【請求項7】
透明でかつ弾性を有する補強部材が、前記接触部の外表面又は内表面に密着して配置されている、請求項1-6のいずれか1項に記載の入力ペン。
【請求項8】
前記連接部材が複数の棒状部で構成されている、請求項1-7のいずれか1項に記載の入力ペン。
【請求項9】
前記複数の棒状部のうち、少なくとも1つの棒状部が導電性を有する、請求項8に記載の入力ペン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本発明は、操作領域を入力ペンのペン先で触れることにより、静電容量変化に伴う電気量変化によって位置を検出する入力装置に用いる入力ペンに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートフォンやタブレットコンピュータのような携帯型情報端末のディスプレイとして、指や入力ペンを用いて操作の可能な静電容量型のタッチパネルが用いられている。そのような静電容量型のタッチパネルは、例えば特許文献1に開示されているように、透明な一枚の絶縁フィルム膜の表側に、X方向の座標検出を行うための電極パッドが複数Y方向に連結されて複数行形成されている酸化インジウム・スズ膜(ITO膜)層を、裏側に、Y方向の座標検出を行うための電極パッドが複数X方向に連結されて複数列形成されているITO膜層をそれぞれ配置してなり、平面視するとX方向の座標検出を行うための電極とY方向の座標検出を行うための電極とが格子状に並んだ構造を有している。
【0003】
このような静電容量型のタッチパネルにおいては、各電極パッドが、指や入力ペンの接触位置を検出可能なだけの静電容量の変化を発生させるのに十分な面積を有している必要がある。そして、このようなタッチパネルに対して、カバーガラス等を介して入力ペンを接触させると、X方向に連結された電極パッドのうち、接触位置の電極パッドの静電容量が所定値以上に変化するので、これによりY方向の座標位置が検出され、また、Y方向に連結された電極パッドのうち、接触位置の電極パッドの静電容量が所定値以上に変化するので、これによりX方向の座標位置が検出される。
【0004】
静電容量型のタッチパネルは、上述のように、入力ペン等による接触箇所に所定以上の静電容量の変化を発生させなければ、その位置を検出することができない。このため、静電容量型のタッチパネルに対する入力操作に用いられる従来の入力ペンは、電極パッドの面積よりも大きい接触面積で接触可能な導電性の接触部を有するものとなっている。例えば特許文献2には、導電性ゴムで形成され、画面との接触面積が直径3mmの円より大きくかつ直径8mmの円より小さくなるように構成された先端チップを前方に設けた入力ペンが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008-310551号公報
【特許文献2】特許第4142776号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したような従来の入力ペンの接触部は、良好な導電性や所定以上の接触面積を実現するために、例えば直径が概ね5mm以上の半球形状や毛筆形状になっており、当該接触部の存在によってタッチパネルの画面の視認性が低下してしまうという問題があった。
【0007】
本発明は、このような点に鑑みてなされたものであり、タッチパネルの画面の視認性を犠牲にすることなく、タッチパネルが反応するのに十分な静電容量の変化を生じさせることができる入力ペンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明は、操作領域における操作部分の座標位置を静電容量変化に伴う電気量変化によって検出し、前記操作部分の座標位置を入力する入力装置に用いる入力ペンであって、軸部と、直接又は連接部材を介して前記軸部に装着された、前記入力装置の前記操作領域に接触する接触部と、を備え、前記接触部が、導電性材料に複数の開口が略均一に形成されたメッシュ構造を有しており、前記軸部側から前記接触部を通して前記入力装置の前記操作領域が視認可能に構成されている、入力ペンを提供する(発明1)。
【0009】
かかる発明(発明1)によれば、接触部を、入力装置の操作領域に接触させた際に入力装置が反応するのに十分な静電容量の変化を生じさせることができる程度の寸法や形状に構成したとしても、接触部が導電性材料に複数の開口が略均一に形成されたメッシュ構造を有しており、軸部側から接触部を通して入力装置の操作領域が視認可能に構成されているので、接触部の存在によってタッチパネル(入力装置)の画面の視認性が低下してしまうことがなくなる。したがって、このような入力ペンであれば、タッチパネルの画面の視認性を犠牲にすることなく、タッチパネルが反応するのに十分な静電容量の変化を生じさせることができる。
【0010】
上記発明(発明1)においては、前記接触部の開口率が50%以上であることが好ましい(発明2)。
【0011】
かかる発明(発明2)によれば、接触部の開口率が50%以上であれば、接触部に形成された開口を介して入力装置の操作領域を視認できる度合いが高まるため、タッチパネルの画面の視認性の低下をより抑制することができる。なお、本発明において、接触部の開口率とは、接触部全体の表面面積に対する、接触部に形成された複数の開口の面積の合計が占める割合を算出したものをいう。
【0012】
上記発明(発明1、2)においては、前記接触部が、線状の導電性材料を網目状に配設してなるものであってもよいし(発明3)、前記接触部が、シート状の導電性材料に貫通孔を複数穿設してなるものであってもよい(発明4)。
【0013】
上記発明(発明1-4)においては、前記接触部が、その中央部を凸状に湾曲させた凸曲面形状を有することが好ましい(発明5)。
【0014】
上記発明(発明1-5)においては、前記接触部が弾性変形可能に構成されていることが好ましい(発明6)。
【0015】
上記発明(発明1-6)においては、透明でかつ弾性を有する補強部材が、前記接触部の外表面又は内表面に密着して配置されていてもよい(発明7)。
【0016】
上記発明(発明1-7)においては、前記連接部材が複数の棒状部で構成されていてもよい(発明8)。
【0017】
上記発明(発明8)においては、前記複数の棒状部のうち、少なくとも1つの棒状部が導電性を有することが好ましい(発明9)。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、接触部を、入力装置の操作領域に接触させた際に入力装置が反応するのに十分な静電容量の変化を生じさせることができる程度のサイズや形状に構成したとしても、接触部が導電性材料に複数の開口が略均一に形成されたメッシュ構造を有しており、軸部側から接触部を通して入力装置の操作領域が視認可能に構成されているので、接触部の存在によってタッチパネルの画面の視認性が低下してしまうことがなくなる。したがって、タッチパネルの画面の視認性を犠牲にすることなく、タッチパネルが反応するのに十分な静電容量の変化を生じさせることができる入力ペンを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の一実施形態に係る入力ペンの全体構造を示す説明図である。
図2】入力ペンのペン先の構造を示す説明図である。
図3】入力ペンのペン先の構造の第1変形例を示す説明図である。
図4】入力ペンのペン先の構造の第2変形例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明の一実施形態に係る入力ペン10の全体構造を示す説明図であり、図2は同実施形態に係る入力ペン10のペン先2の構造を示す説明図である。なお、本発明は、以下に説明する実施形態にのみ限定されるものではなく、実施形態はあくまでも本発明の技術的特徴を説明するために記載された例示にすぎない。また、各図面に示す形状や寸法はあくまでも本発明の内容の理解を容易にするために示したものであり、実際の形状や寸法を正しく反映したものではない。
【0021】
本明細書において、「先端側」とは、入力ペン10を構成する軸部1の軸方向に沿う方向であって、ペン先2が取り付けられている側の方向を意味する。「後端側」とは、入力ペン10を構成する軸部1の軸方向に沿う方向であって、上記先端側と反対の方向を意味する。また、「先端」とは、任意の部材または部位における先端側の端部、「後端」とは、任意の部材または部位における後端側の端部をそれぞれ示す。さらに、「先端部」とは、任意の部材または部位において、その先端を含み上記先端から後端側に向かって上記部材等の中途まで延びる部位を指し、「後端部」とは、任意の部材または部位において、その後端を含みこの後端から先端側に向かって上記部材等の中途まで延びる部位を指す。なお、図1においては、図示左側が「先端側」であり、図示右側が「後端側」である。図2及び図3においては、図示上側が「先端側」であり、図示下側が「後端側」である。
【0022】
入力ペン10は、操作領域における操作部分の座標位置を静電容量変化に伴う電気量変化によって検出し、操作部分の座標位置を入力する入力装置、すなわち一般にタッチパネルと呼ばれる入力装置に用いられるものである。入力ペン10は、図1に示すように、長尺の軸部1と、軸部1に装着されたペン先2とを備えている。
【0023】
軸部1は、導電性金属からなる筒状部材であり、入力ペン10を持って入力装置に入力を行う操作者が把持する部分となる。本実施形態の軸部1は略円筒形状に形成されており、その後端部にクリップ11が取り付けられている。
【0024】
ペン先2は、入力装置の操作領域に接触する接触部21と、接触部21の軸部1への装着を仲介する連接部材22と、接触部21の外表面に密着して配置されている補強部材23とを備えている。
【0025】
接触部21は、導電性材料211に複数の開口212が略均一に形成されたメッシュ構造を有しており、操作者が軸部1を把持して、入力ペン10によって入力装置に入力を行う際、軸部1側から接触部21を通して入力装置の操作領域が視認可能に構成されている。
【0026】
本実施形態においては、接触部21は、線状の導電性材料211を網目状に配設してなるものである。具体的には、例えば径が0.01mm~1.0mmの銀、銅、金、アルミニウム等の金属の線材を導電性材料211とし、このような導電性材料211を編み込むことにより、三角形の開口212が略均一に並べられたメッシュ構造を有する、半球形状(ドーム形状)の接触部21が形成される。
【0027】
なお、接触部21のように三角形等の幾何学形状を組み合わせて半球形状とした構造体は、一般にジオデシック・ドームと呼ばれており、三角形の大きさ(各辺の長さ)を変化させることによって、全体形状に複数のバリエーションが存在し得る。このような接触部21においては、当然ながら三角形の開口212の形状やサイズは必ずしも全て同一である必要はなく、また、開口212を五角形や六角形にすることもできる。すなわち、幾何学形状の開口212を全て三角形で構成してもよいし、五角形や六角形を組み合わせて構成してもよい。また部分的に開口212が導電性材料211で埋められてしまっていてもよい。
【0028】
接触部21は、入力装置の操作領域に接触させた際に、少なくとも2つの電極パッドに対して導電性材料211が接触するように、その中央部を凸状に湾曲させた凸曲面形状を有することが望ましい。上述した半球形状(ドーム形状)の接触部21は、中央部を凸状に湾曲させた凸曲面形状を有する接触部21の一例である。また、接触部21は、入力ペン10のペン先2を入力装置に押し付けた際にたわむ程度に弾性変形可能に構成されていることが望ましい。
【0029】
連接部材22は、4本の円柱形状の棒状部221a,221b,221c,221dが天板部222と底板部223との間に架設された構造を有する。天板部222は、中央部に円孔が貫設された環状の板状部材であり、先端側の周縁部には接触部21が取り付けられている。底板部223は円板状部材であり、その後端側が軸部1に固着されている。天板部222及び底板部223は、いずれも金属等の導電性材料からなり、4本の棒状部221a,221b,221c,221dのうち、少なくとも1つの棒状部が金属等の導電性材料からなることで、連接部材22は導電性を有する部材となっている。このように天板部222及び底板部223の間を棒状部221a,221b,221c,221dで繋いだ形状とし、さらに天板部222の中央部に円孔を貫設することにより、軸部1側から連接部材22を通して入力装置の操作領域が視認可能になる。
【0030】
連接部材22を構成する棒状部の数は4本に限られるものではないが、接触部21を安定的に支持するためには3本以上であることが好ましく、視認性を阻害しない程度の本数及び太さであることが好ましい。棒状部の長さや径、形状等は特に限定されるものではなく、入力ペン10の使用時にペン先2の強度が十分に確保される構造でさえあればどのようなサイズ、形状であってもよい。また、側周面を円筒形状の透明の樹脂製カバー等で覆うことで、視認性を確保しつつ、連接部材22そのものの強度を高めてもよい。
【0031】
補強部材23は、透明でかつ弾性を有する部材であり、例えば、シリコンゴム、ウレタンゴム、エチレンプロプレンゴム等の合成ゴム材料、あるいはスチレン系エラストマー、アクリル系エラストマー等のエラストマー材料を半球形状(ドーム形状)に成型してなる。本実施形態では、接触部21の外表面に密着して配置されているが、これに限られるものではなく、接触部21の内表面に密着して配置されていてもよいし、接触部21自体が、補強部材23がなくとも形状保持できる場合には、ペン先2が補強部材23を備えていなくてもよい。
【0032】
以上説明した入力ペン10によれば、接触部21を、入力装置の操作領域に接触させた際に入力装置が反応するのに十分な静電容量の変化を生じさせることができる程度の寸法や形状に構成したとしても、接触部21が導電性材料211に複数の開口212が略均一に形成されたメッシュ構造を有しており、軸部1側から接触部21を通して入力装置の操作領域が視認可能に構成されているので、接触部21の存在によってタッチパネルの画面の視認性が低下してしまうことがなくなる。したがって、このような入力ペン10であれば、タッチパネルの画面の視認性を犠牲にすることなく、タッチパネルが反応するのに十分な静電容量の変化を生じさせることができる。
【0033】
また、接触部21の開口率、すなわち接触部21の表面面積に対する開口面積の合計の比率が50%以上であれば、接触部21に形成された開口212を介して入力装置の操作領域を視認できる度合いが高まるため、タッチパネルの画面の視認性の低下をより抑制することができる。なお、接触部21の開口率とは、接触部21全体の表面面積に対する、接触部21に形成された複数の開口212の面積の合計が占める割合を算出したものをいう。このように算出される接触部21の開口率が50%以上であれば、軸部1側から入力装置の操作領域を見た場合に、接触部21の導電性材料211によって部分的に視界を遮られたとしても、開口212を介して入力装置の操作領域を十分に視認可能となる。
【0034】
<第1変形例>
図3は入力ペン1のペン先の構造の第1変形例を示す説明図である。本変形例のペン先2Aは、接触部21Aがシート状の導電性材料211Aに貫通孔212Aを複数穿設してなる点で、上述したペン先2とは異なる構造となっている。
【0035】
ペン先2Aは、上述したような連接部材22や補強部材23は備えておらず、接触部21Aが軸部1に直接装着されるものとなっているが、これに限られるものではなく、上述の実施形態と同様の連接部材22及び/又は補強部材23を備えていてもよい。
【0036】
接触部21Aは、導電性材料211Aに複数の開口212Aが略均一に形成されたメッシュ構造を有しており、上述の実施形態と同様、軸部1側から接触部21Aを通して入力装置の操作領域が視認可能に構成されている。
【0037】
本変形例の接触部21Aは、シート状の導電性材料211Aに貫通孔212Aを複数穿設してなるものである。具体的には、例えばシリコンゴムを導電性材料211として、厚みが0.2mm~1.0mmの半球形状(ドーム形状)に成型し、このような導電性材料211Aに孔開け加工を施すことにより、円形の開口212Aが略均一に並べられたメッシュ構造を有する、半球形状(ドーム形状)の接触部21Aが形成される。
【0038】
このような接触部21Aを有する入力ペン10であっても、軸部1側から接触部21Aを通して入力装置の操作領域が視認可能な構成が実現できるので、接触部21Aの存在によってタッチパネルの画面の視認性が低下してしまうことがなくなる。したがって、このような接触部21Aを有する入力ペン10であれば、上述の実施形態と同様に、タッチパネルの画面の視認性を犠牲にすることなく、タッチパネルが反応するのに十分な静電容量の変化を生じさせることができる。
【0039】
また、接触部21Aの開口率、すなわち接触部21Aの表面面積に対する開口面積の合計の比率が50%以上であれば、接触部21Aに形成された開口212Aを介して入力装置の操作領域を視認できる度合いが高まることも、上述の実施形態と同様である。なお、接触部21Aの開口率とは、接触部21A全体の表面面積に対する、接触部21Aに形成された複数の開口212Aの面積の合計が占める割合を算出したものをいう。このように算出される接触部21Aの開口率が50%以上であれば、軸部1側から入力装置の操作領域を見た場合に、接触部21Aの導電性材料211Aによって部分的に視界を遮られたとしても、開口212Aを介して入力装置の操作領域を十分に視認可能となる。
【0040】
<第2変形例>
図3は入力ペン1のペン先の構造の第2変形例を示す説明図である。本変形例のペン先2Bは、上述したペン先2と同様に、線状の導電性材料211Bを網目状に配設してなるものであるが、線状の導電性材料211Bによって形成されるメッシュ構造の態様が上述したペン先2とは異なるものとなっている。
【0041】
ペン先2Bは、上述したような連接部材22や補強部材23は備えておらず、接触部21Bが軸部1に直接装着されるものとなっているが、これに限られるものではなく、上述の実施形態と同様の連接部材22及び/又は補強部材23を備えていてもよい。
【0042】
接触部21Bは、導電性材料211Bに複数の開口212Bが略均一に形成されたメッシュ構造を有しており、上述の実施形態と同様、軸部1側から接触部21Bを通して入力装置の操作領域が視認可能に構成されている。
【0043】
本変形例の接触部21Bは、線状の導電性材料211Bを網目状に配設してなるものである。具体的には、例えば径が0.01mm~1.0mmの銀、銅、金、アルミニウム等の金属の線材を導電性材料211Bとし、このような導電性材料211Bを縦横に緯線、経線のように編み込むことにより、四角形の開口212Bが略均一に並べられたメッシュ構造(頂点部分のみ開口212Bは三角形)を有する、半球形状(ドーム形状)の接触部21Bが形成される。
【0044】
このような接触部21Bを有する入力ペン10であっても、軸部1側から接触部21Bを通して入力装置の操作領域が視認可能な構成が実現できるので、接触部21Bの存在によってタッチパネルの画面の視認性が低下してしまうことがなくなる。したがって、このような接触部21Bを有する入力ペン10であれば、上述の実施形態と同様に、タッチパネルの画面の視認性を犠牲にすることなく、タッチパネルが反応するのに十分な静電容量の変化を生じさせることができる。
【0045】
また、接触部21Bの開口率、すなわち接触部21Bの表面面積に対する開口面積の合計の比率が50%以上であれば、接触部21Bに形成された開口212Bを介して入力装置の操作領域を視認できる度合いが高まることも、上述の実施形態と同様である。なお、接触部21Bの開口率とは、接触部21B全体の表面面積に対する、接触部21Bに形成された複数の開口212Bの面積の合計が占める割合を算出したものをいう。このように算出される接触部21Bの開口率が50%以上であれば、軸部1側から入力装置の操作領域を見た場合に、接触部21Bの導電性材料211Bによって部分的に視界を遮られたとしても、開口212Bを介して入力装置の操作領域を十分に視認可能となる。
【0046】
以上、本発明に係る入力ペンについて図面に基づいて説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されることはなく、種々の変更実施が可能である。例えば、入力ペンの接触部を構成する導電性材料は導電性繊維であってもよいし、天然ゴム、ニトリルゴム等の中にカーボンあるいは金属等の導電剤を入れて成形した導電性ゴムであってもよいし、ポリエーテルエーテルケートン樹脂、ポリアセタール樹脂等の中にカーボンあるいは金属等の導電剤を入れて成形した導電性樹脂であってもよいし、カーボン繊維を弾力性のあるエポキシ樹脂で固めたFRP(繊維強化プラスチック)であってもよいし、それらの複合材料であってもよい。また、接触部が、補強部材の外表面又は内表面に導電性材料を貼り付けることによって形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0047】
10 入力ペン
1 軸部
2,2A,2B ペン先
21,21A,21B 接触部
211,211A,211B 導電性材料
212,212A,212B 開口
22 連接部材
221a,221b,221c,221d 棒状部
222 天板部
223 底板部
23 補強部材
図1
図2
図3
図4