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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023066988
(43)【公開日】2023-05-16
(54)【発明の名称】映像シェアシステム
(51)【国際特許分類】
   H04N 7/15 20060101AFI20230509BHJP
   H04N 7/18 20060101ALI20230509BHJP
   H04N 23/60 20230101ALI20230509BHJP
   H04N 5/222 20060101ALI20230509BHJP
   H04N 21/431 20110101ALI20230509BHJP
【FI】
H04N7/15
H04N7/18 V
H04N5/232 290
H04N5/232 300
H04N5/222
H04N21/431
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021177896
(22)【出願日】2021-10-29
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和2年度、国立研究開発法人科学技術振興機構、未来社会創造事業『QOL計測とハートフルネス実践による食体験共創システム』委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】503027931
【氏名又は名称】学校法人同志社
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 真大
(74)【代理人】
【識別番号】100206151
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 惇志
(74)【代理人】
【識別番号】100218187
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 治子
(72)【発明者】
【氏名】日下 菜穂子
(72)【発明者】
【氏名】上田 信行
(72)【発明者】
【氏名】小林 洋介
(72)【発明者】
【氏名】西田 浩二
(72)【発明者】
【氏名】秋山 昌平
(72)【発明者】
【氏名】小堀 哲夫
【テーマコード(参考)】
5C054
5C122
5C164
【Fターム(参考)】
5C054DA07
5C054DA09
5C054EA01
5C054EA03
5C054EA05
5C054FE11
5C054FE17
5C054FF03
5C122DA03
5C122DA07
5C122DA22
5C122DA35
5C122EA60
5C122EA61
5C122FA01
5C122FA18
5C122FH18
5C122FK23
5C122FK24
5C122FK41
5C122GC14
5C122GC37
5C122GC75
5C122HA13
5C122HA35
5C122HB05
5C164FA10
5C164UB89P
5C164VA05S
5C164VA36P
(57)【要約】
【課題】同じ場所に集合しにくい状況下においても、あたかも仲間と集合して食事等をしている雰囲気を作り出し、場を和ませることができる映像シェアシステム及び当該システム用映像シェアユニットを提供する。
【解決手段】作業をしている作業者の表情及び前記作業の対象である作業対象物の第1の動画データを送信する第1の端末と、前記作業と共通する作業をしている他の作業者の表情及び作業対象物の第2の動画データを送信する第2の端末と、前記第1の端末及び前記第2の端末からそれぞれ送信された各動画データを受信し、これらを所定形式で複合させた複合動画データを生成するとともに、前記複合動画データを前記第1の端末及び前記第2の端末に対して送信するサーバ装置とを備えた映像シェアシステムとした。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業をしている作業者の表情及び前記作業の対象である作業対象物の第1の動画データを送信する第1の端末と、
前記作業と共通する作業をしている他の作業者の表情及び作業対象物の第2の動画データを送信する第2の端末と、
前記第1の端末及び前記第2の端末からそれぞれ送信された各動画データを受信し、これらを所定形式で複合させた複合動画データを生成するとともに、
前記複合動画データを前記第1の端末及び前記第2の端末に対して送信するサーバ装置とを備えた映像シェアシステム。
【請求項2】
作業者毎に設けられて、該作業者が作業をする複数の作業ブースを備え、
前記各作業ブースの形態が共通している、請求項1に記載の映像シェアシステム。
【請求項3】
前記作業ブースが前記作業対象物を載せる作業台を備え、
前記作業台の形状が、各作業ブースにおいて共通している、請求項2に記載の映像シェアシステム。
【請求項4】
前記作業台に対するカメラの位置及び撮像角度が、各作業ブースにおいて共通している、請求項3に記載の映像シェアシステム。
【請求項5】
前記作業が料理又は飲食である、請求項1~4のいずれか一項に記載の映像シェアシステム。
【請求項6】
作業をする作業者の表情を撮像する第1カメラと、
前記作業の対象である作業対象物を撮像する第2カメラと、
前記第1カメラ及び前記第2カメラによって撮像された第1の動画データを外部に送信する第1の動画データ送信部と、
前記第1の動画データと、他の映像シェアユニットにおいて前記作業と共通する作業をする作業者の表情を撮像する第1カメラ及び作業対象物を撮像する第2カメラによって撮像された第2の動画データとを含む複合動画データを受信して表示する表示部とを備えた映像シェアユニット。
【請求項7】
各作業者が作業をする作業ブースを備えている、請求項6に記載の映像シェアユニット。
【請求項8】
作業をしている作業者の表情及び前記作業の対象である作業対象物の第1の動画データを送信する第1の端末と、
前記作業と共通する作業をしている他の作業者の表情及び作業対象物の第2の動画データを送信する第2の端末と、
前記第1の端末及び前記第2の端末からそれぞれ送信された各動画データを受信し、これらを所定形式で複合させた複合動画データを生成するとともに、
前記複合動画データを前記第1の端末及び前記第2の端末に対して送信するサーバ装置とを備えた映像シェアシステムとしての機能をコンピュータに発揮させることを特徴とするプログラム。
【請求項9】
作業をしている作業者の表情及び前記作業の対象である作業対象物の第1の動画データと、
前記作業と共通する作業をしている他の作業者の表情及び作業対象物の第2の動画データとを取得し、
前記第1の動画データを送信する第1の端末及び前記第2の動画データを送信する第2の端末からそれぞれ送信された各動画データを複合させた複合動画データを生成するとともに、
前記複合動画データを前記第1の端末及び前記第2の端末に対して送信することを特徴とする映像シェア方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、離れた場所にいる仲間との間で、あたかも集合して共同作業をしているかのような雰囲気を作り出すことができる映像シェアシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
遠距離である等の理由で集まって食事をすることが難しい場合には、例えば、特許文献1のようなシステムを用いて、インターネット上で画像を共有しながら食事会をすることが考えられている。
【0003】
しかしながら、従来のインターネットを介する食事会などにおいては、各自がそれぞれ異なる角度で異なる範囲を撮像した動画が並べて表示されるだけであるので、このような動画を共有したとしても、同じ場所に集まって食事する場合のようには会話が盛り上がらず、一緒に食事をしているような雰囲気を作るのが難しいという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-028084号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は前述したような問題に鑑みてなされたものであり、遠距離である等の理由で同じ場所に集合しにくい状況下においても、実際に同じ場所に集まって食事等をしているような和やかな雰囲気を作り出すことができる映像シェアシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、本発明に係る映像シェアシステムは、作業をしている作業者の表情及び前記作業の対象である作業対象物の第1の動画データを送信する第1の端末と、前記作業と共通する作業をしている他の作業者の表情及び作業対象物の第2の動画データを送信する第2の端末と、前記第1の端末及び前記第2の端末からそれぞれ送信された各動画データを受信し、これらを所定形式で複合させた複合動画データを生成するとともに、前記複合動画データを前記第1の端末及び前記第2の端末に対して送信するサーバ装置とを備えたことを特徴とするものである。
【0007】
このように構成した映像シェアシステムによれば、共通の作業をしている複数の作業者の表情とそれぞれの作業者が作業している作業対象物との動画を複合して、各作業者の元に送信することができるので、実際に集まって食事をする場合と同じように各作業者の表情と作業対象物の両方を確実に共有することができる。その結果、表情と食べ物などの作業対象物をバラバラに映している場合に比べて会話が弾みやすく、同じ場所に集合して一緒に作業をしているような雰囲気を作り出しやすい。
【0008】
作業者毎に備えられた作業をするための複数の作業ブースを備え、前記各作業ブースの形態が共通のものであれば、前記作業ブースにおいて撮像される動画に統一感を持たせることができるので、これら動画を複合して生成された複合動画データを各作業者間で共有することによってより一緒に作業をしている雰囲気を作りだしやすい。
【0009】
前記作業ブースが前記作業対象物を載せる作業台を備えるものであり、前記作業台の形状が、各作業ブースで共通しているものとすれば、動画を複合する際に、例えば、作業台をつなげて1つの大きな作業台として表示することができる。その結果、一つの大きな作業台を囲んで作業をしているような雰囲気を作り出すことができる。
【0010】
本発明の具体的な実施態様としては、前記作業ブースに設けられて前記動画データを撮像するカメラをさらに備え、前記カメラの前記作業台に対する位置及び撮像角度が、各作業ブースで共通しているものを挙げることができる。作業台に対するカメラの位置及び撮像角度を共通にすることによって、前述したように各作業台の動画を複合して、1つの大きな作業台のように見せる場合に、各動画データを単に並べて配置するだけで良いので便利である。
【0011】
作業者が行う作業は特に限定されないが、料理や飲食である場合に、特に本発明の効果を顕著に発揮することができる。
【0012】
本発明は、作業をする作業者の表情を撮像する第1カメラと、前記作業の対象である作業対象物を撮像する第2カメラと、前記第1カメラ及び前記第2カメラによって撮像された第1の動画データを外部に送信する第1の動画データ送信部と、前記第1の動画データと、他の映像シェアユニットにおいて前記作業と共通する作業をする作業者の表情を撮像する第1カメラ及び作業対象物を撮像する第2カメラによって撮像された第2の動画データとを含む複合動画データを受信して表示する表示部とを備えた映像シェアユニットをも含むものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、作業者の表情及び作業対象物の両方の動画を撮像し、この動画データを、共通の作業をしている他の作業者の表情及び作業対象物ブースの動画と複合した複合動画を作業者の間で共有することができるので、作業者の表情のみ又は作業対象物のみを各自がばらばらに撮像している動画を共有する場合に比べて、同じ場所で一緒に作業をしている場合と同じような視点で、お互いの作業の様子及び表情を見ながら作業を進めることができる。その結果、別々の場所で作業をしている作業者同士が物理的に離れた場所に居ながらも、一緒に作業をしているような雰囲気を味わうことができる。
【0014】
共通の作業をしている各作業者の表情から反応をリアルタイムで共有することにより、作業者間に共感を創出することによって、楽しい会話が弾み和やかな雰囲気を創出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係る映像シェアシステムの全体模式図。
図2】本発明の一実施形態に係る映像シェアシステムの機能ブロック図。
図3】本実施形態に係る映像シェアユニットの模式図。
図4】本実施形態に係る映像シェアユニットの模式図。
図5】本実施形態に係る作業台の天板の形状を表す模式図。
図6】本実施形態に係る複合動画の一例を示す模式図。
図7】作業者の数を変更した場合の複合動画における作業台の表示例を示す模式図。
図8】他の実施形態に係る映像シェアユニットを示す模式図。
図9】他の実施形態に係る映像シェアユニットを示す模式図。
図10】他の実施形態に係る映像シェアユニットを示す図。
図11図10に示す映像シェアユニットの内部を示す図。
図12図10に示す映像シェアユニットの正面図。
図13図10に示す映像シェアユニットの背面図。
図14図10に示す映像シェアユニットの側面図。
図15図10に示す映像シェアユニットの平面図。
図16図10に示す映像シェアユニットの前面を斜め上から視た図。
図17図10に示す映像シェアユニットの背面側斜視図。
図18】他の実施形態に係る作業台の天板を示す模式図。
図19】他の実施形態に係る作業台の天板を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本実施形態に係る映像シェアシステム100は、離れた場所にいる人々がインターネット回線を介してお互いの映像を見ながら、例えば料理や食事等の共通の作業をして楽しむことができる映像シェアシステムである。本実施形態では、一例として、映像シェアシステム100を4人で使用する場合について、各図を参照しながら説明する。
【0017】
本実施形態に係る映像シェアシステム100は、例えば、図1及び図2に示すようなものであり、作業者毎に設けられた複数の映像シェアユニット1と、前記各映像シェアユニット1で撮像された複数の動画を処理するサーバ装置2とを備えたものである。
【0018】
本実施形態においては、前記複数の映像シェアユニット1は別々の場所に配置されているものであり、特記しない部分については互いに全く同じものである。以下ではこれら映像シェアユニット1のうちの1つである第1の映像シェアユニット1について説明する。
【0019】
第1の映像シェアユニット1は、例えば、図3及び図4に示すように、作業ブース11と、作業者の表情を撮像する第1カメラ12と、作業対象物である食材や調理器具等を撮像する第2カメラ13と、前記第1カメラ12及び前記第2カメラ13に接続された第1の端末14と、該第1の端末14に接続された表示部15とを備えている。
なお、図4中のAは、前記作業ブース11の天井部に取り付けられた前記第2カメラ13が見えるように、作業ブース11の内部を斜め下から見上げた場合の拡大模式図である。
【0020】
作業ブース11は、例えば、作業スペースを形成する枠体111と、作業をするための作業台112とを備えるものである。
前記枠体111は、例えば直方体状のものであり、この枠体111によって形成される作業スペースは、伝統的な茶室の空間(180cm四方の立方体空間)を互いに直交する2つの平面によって4つの直方体に等分した際に形成される1つの直方体に等しい大きさ及び形状となるように設定されている。
【0021】
作業台112は、前記枠体111が該作業台112の脚部としての機能を兼ねるように、前記枠体111に対して固定されている天板を備えるものである。
前記作業台112の天板の形状は、例えば、図5(a)に示すようなものであり、作業スペースをできるだけ広く使えるように、四角形状の天板をその一辺から中心に向かって三角形状に切り欠いた形状としてある。この天板の形状は、他の映像シェアユニット1(第2の映像シェアユニット、第3の映像シェアユニット及び第4の映像シェアユニット)に設けられている作業台112の天板と同じ形状としてある。なお、本実施形態に係る作業台112の天板には食器や食材などを配置する印112aが付されている。本実施形態においては、図5(b)に示すように、この印112aの位置のみが前記他の映像シェアユニット1と異なるものとしてある。
【0022】
前記第1カメラ12は、例えば、汎用のデジタルカメラであり、料理をしている作業者の顔を正面から撮像可能な位置に配置されている。前記第1カメラ12は、前記作業ブース11に対する該第1カメラ12の位置及び撮像角度が固定された状態で前記作業ブース11に取り付けられている。本実施形態に係る作業ブース11は、作業時に作業者が座る椅子であり、位置が固定されていて高さのみ調節可能な作業用椅子113をさらに備えていても良く、作業者はこの作業用椅子113の高さを、例えば、作業者の顔を正面から撮像できる位置に位置決めするための位置決めガイド(不図示)等を利用して、前記第1カメラ12が作業者の顔を正面から撮像できる位置となるように調節できるようにしてある。
作業者同士が表示部15を介してお互いの顔を見やすいように、本実施形態において前記第1カメラ12は、表示部15が備える表示画面の外縁から10cm以内等の所定距離内、より具体的には表示画面の外縁部に配置されている。
【0023】
前記第2カメラ13は、例えば、汎用のデジタルカメラであり、前記作業台112全体を真上から撮像することができる位置及び撮像角度で配置されることによって、前記作業台112上に配置された作業対象物の動画を撮像するようにしてある。本実施形態においては、前記第2カメラ13は前記作業台112の真上に位置するように、前記作業ブース11を形成する枠体111の天井に固定されている。
【0024】
前記第1の端末14は、CPU、メモリ、入出力インタフェース等を備えた専用乃至汎用のコンピュータであり、前記作業ブース11内に設けられているものである。前記第1の端末14は、該メモリに記憶させたプログラムに従って前記CPUやその周辺機器が動作することによって、後述するカメラデータ受信部141、第1の動画データ生成部142、第1の動画データ送信部143及び複合動画データ受送信部144としての機能を発揮するものである。
【0025】
前記表示部15は、前記第1の端末14と有線又は無線で接続されたディスプレイであり、前記作業ブース11内で作業をする作業者がその画面を見ることができるように前記作業ブース11の内部に配置されている。本実施形態においては、表示部は第1の端末14と一体に構成されている。
前記作業ブース11は、前述した以外に、作業スペース内の照明や各カメラによる撮像時の照明となるライト16をさらに備えている。
【0026】
前記サーバ装置2は、CPU、メモリ、入出力インタフェース等を備えた専用乃至汎用のコンピュータである。このサーバ装置2は、該メモリに記憶させたプログラムに従って前記CPUやその周辺機器が動作することによって、後述する複合動画生成部21及び複合動画送信部22としての機能を発揮するものである。
【0027】
このように構成した映像シェアシステム100について、前記端末14及びサーバ装置2の各機能部の説明を兼ねてその動作の一例を以下に詳述する。
作業者が、前記作業ブース11に入り前記第1の映像シェアユニット1を起動させる。次に作業者は、前記作業用椅子113に座って、自分の顔の位置が位置決めガイドに合うように前記作業用椅子113の高さを調節してから、前記第1カメラ12及び前記第2カメラ13による撮像をスタートさせる信号を入力し、料理等の作業を開始する。
【0028】
前記作業ブース11で料理等をしている各作業者の表情の動画を前記第1の映像シェアユニット1が備える前記第1カメラ12が撮像するとともに、作業者が料理している手元の動画(作業対象物の動画)を前記第1の映像シェアユニット1が備える前記第2カメラ13が撮像し、これら2台のカメラ12,13で同時に取得された2種類の動画データ及び音声データを前記第1の端末14の前記カメラデータ受信部141に対して出力する。
【0029】
前記カメラデータ受信部141は、前記カメラ12,13から出力された前記2種類の動画データ及び前記カメラ12,13によって画像と共に収録された音声データを受け付ける。次に、前記第1の動画データ生成部142がこれら2種類の動画データ及び音声データを紐づけて第1動画データを生成する。このようにして生成された第1動画データを前記第1の動画データ送信部143が前記サーバ装置2の前記複合動画生成部21に対して出力する。
【0030】
前記複合動画生成部21は、第1の動画データ及び他の3つの端末14(第2の端末、第3の端末及び第4の端末)からそれぞれ同様にして送信される各動画データ(第2の動画データ、第3の動画データ及び第4の動画データ)を受信し、これら4つの動画データを複合して複合動画データを生成する。
このとき、前記複合動画生成部21は、例えば図6に示すように、前記作業台112上の様子を撮像した4つの動画データを画像の中心に並べて4つの作業台112が1つの大きな作業台に見えるように合成する。またこのように形成した1つの大きな作業台の周囲を囲んで作業しているように見えるように、作業者の表情を撮像した4つの動画をそれぞれの前記作業台112の外側に配置して合成する。
【0031】
前述されたようにして生成された複合動画データは、前記複合動画送信部22によって前記各端末14に対してリアルタイムで配信される。
【0032】
前記複合動画送信部22によって前記第1の端末14に配信された前記複合動画データは、前記第1の端末14の前記複合動画データ受送信部144によって受信されて前記表示部15に対して出力される。同様に、第2の映像シェアユニット1、第3の映像シェアユニット1及び第4の映像シェアユニット1がそれぞれ備える前記複合動画データ受送信部144によって受信されてそれぞれの前記表示部15に対して出力される。
前記複合動画データを受信した前記各表示部15は、各作業者に対して前記複合動画を表示する。
作業者は、前記表示部15に表示された複合動画を見ながら料理をし、料理を終わった後には引き続き食事をして、後片付けをした後に前記第1の映像シェアユニット1を終了させて前記作業ブース11を離れる。
【0033】
このように構成した映像シェアシステム100によれば、各作業者が料理をしている作業台112の上の様子を撮像した動画を合成して、1つの大きな作業台に見えるようにしている。さらに作業者の表情を撮像した動画を各作業者が作業している作業台112の映像の外側に配置するように複合動画を合成している。そのため、この複合動画を見ながら作業をすることで、各作業者は、互いの表情と作業状況とをまるで同じ部屋にいるように見ることができる。その結果、それぞれが離れた場所で作業しているにもかかわらず、同じ場所に集まって料理をしているような雰囲気を作り出すことができる。
【0034】
なお、本発明者が実際に実験を行ってみたところ、ただ単に作業者の表情のみを表示した複合動画を共有する場合に比べて、本実施形態に係る映像シェアシステム100を使用した場合の方が明らかに作業者間の会話が盛り上がることが確かめられている。
【0035】
本実施形態においては共通の作業として料理や食事など食に関する作業を採用しているので、各自が用意した食材や食器等、誰でもが普段から接する機会のある食に関するものを会話のきっかけとすることによって、より会話が弾み、楽しい雰囲気を醸し出すことができる。
【0036】
作業ブース11内に形成された作業スペースが伝統的な茶室の空間を4等分した大きさのスペースとなっているので、これら作業ブース11内で撮像された動画を合成した複合動画についても茶室の大きさのスペースに作業者が集まっているような雰囲気を作り出すことができる。その結果、茶室のようなプライベート空間に集まっているような感覚を複合動画によって作り出し、映像シェアシステムを介する作業者同士のコミュニケーションをより円滑にすることができる。
また、作業スペースが広すぎないので、例えば、食材や料理などを、複合画像上でとなりに映し出されている作業者に渡すようなジェスチャーを自然に行うことも可能である。
【0037】
全ての映像シェアユニット1において作業台112の天板の形が同一形状となっているので、動画を合成する際に縮尺を調節することなく、複数の作業台112を並べて1つの大きな作業台のように見せることができる。その結果、複合動画における違和感をできるだけ抑えて、作業者間に一緒に料理をしているような雰囲気を作り出しやすい。
また、作業台112の天板の形状が多角形状であるので、各作業台112の天板の角と角とを合わせるように並べて合成することができる。その結果、作業台112の映像をずれることなく隙間なく並べて表示しやすいので、複合動画をより自然なものとすることができる。
【0038】
作業台112上に印112aを配置することによって、例えば図5(b)に示すように、作業台112の動画を並べた状態で合成して複合動画を作成した際に、作業台112上に配置された食器や食材を見えやすくしたり、料理などが1つのさらに盛られているように見せたりすることもできる。その結果、一緒の空間で料理や食事を楽しんでいる雰囲気をさらに盛り上げることができる。
【0039】
被写体である作業者の顔や作業台112の天板に対する第1カメラ12及び第2カメラ13の位置及び撮像角度が全ての映像シェアユニット1において統一されているので、撮像される動画の画角をそろえることができる。その結果、複合動画が不自然な画像になりにくく、一緒に作業をしている雰囲気をより一層向上することができる。
【0040】
第1カメラ12が表示部15の近傍に配置されているので、表示部15を見ながら作業をする各作業者の視点を自然に第1カメラ12の方に向かわせることができる。その結果、複合動画に映る他の作業者と表示部15を介して目を合わせて会話をしているような感覚を生じさせて、より一緒に作業をしている雰囲気を作り出しやすい。
【0041】
本発明は、前記実施形態に限られたものではない。
例えば、前記実施形態では、映像シェアシステムを4人で使用する場合について説明したが、2人以上であれば使用することができ、3人であってもよいし、5人
6人、7人等で使用するようにしてもよい。図7には他の例として8人で使用する場合を挙げているがこれ以上の人数で使用することも可能である。
【0042】
映像シェアユニットの作業ブースの形状は、前述したものに限らず、適宜変更することができる。例えば、図8及び図9に挙げるように、作業ブースとは別体として用意した作業台の上に、作業ブースを配置するようにしてもよいし、作業スペースをより広くしてもよい。また、作業ブースの形状は、直方体状のものに限らず、他の多角柱状のものとしてもよいし、円筒状のもの等としてもよい。
【0043】
映像シェアユニットを形成する作業ブースの形状は、すべての映像シェアユニットで同一形状となっていることが好ましいが、設置場所等によって形状を変更するものとしてもよい。このように映像シェアユニットの作業ブースの形状が各映像シェアユニット間で異なる場合であっても、被写体に対する第1カメラ及び第2カメラの位置及び撮像角度は全ての映像シェアユニットにおいて統一されていることが好ましい。
【0044】
前記作業ブースが、図10~17に示すように、作業スペースと外部とを隔てるパネル17をさらに備えるものとしてもよい。パネル17としては、例えば、布状のものやメッシュ状のものなどを挙げることができるがこれらに限られない。このパネル17は、容易に着脱が可能に構成されたジョイントパーツ18によって枠体111に対して着脱可能に取り付けられていてもよい。この場合には使用環境やユーザである作業者の好みに合わせてパネル17の透過性や素材、色、柄などを変更できるようにすることもできる。また、作業ブースが荷物や作業道具等を置くための棚19をさらに備えているものとしてもよい。
【0045】
作業台の天板は、前述したものに限らず、例えば図18にしめすように、食器などを配置する印が無くてもよいし、これらの位置や数が異なるものとしてもよい。
作業台の天板は、例えば、図19に示すように、板状のベース部材112bと板状の天板ピース112cとからなるものとし、複数の天板ピース112cをベース部材112bの上に並べて配置することによって、天板112’の表面を天板ピース112cによって形成するものとしてもよい。各天板ピース112cは、例えば、その両面がどちらも天板112’の表面として使用することができるように加工してあり、各天板ピース112cの片方の面には前述した皿などを配置するための印となる半円や1/4円等が描かれている。そこで、これら天板ピース112cの配置や表裏を組み合わせることによって、作業者が天板112’に設けられた皿などを置く印の位置や形状を自在に変更できるようにすることも可能である。
【0046】
作業台の形状は前述したものに限られず、他の多角形状のものであってもよいし、円形状のものであってもよいし、異形状のものであってもよい。
【0047】
作業台の形状は複数の映像シェアユニットにおいて必ずしも同じ形状でなくてもよく、第2カメラによって撮像される作業台上の範囲を同じ形状とするものとしてもよい。
【0048】
作業対象物が直接床におけるものである場合等には、映像シェアユニットが作業台を備えないものとしてもよい。
【0049】
第1カメラの高さを移動できるようにしてもよい。第1カメラと表示部との位置関係は前述したものに限られず、例えば、第1カメラの角度や取り付け方によっては表示部から第1カメラまでの距離が10cm以上離れるように配置されていてもよい。
【0050】
前記実施形態においては、カメラによる撮像角度を作業用椅子の高さを調節するなどして、作業者が手動で調節するものを説明したが、カメラが作業者の顔や作業台を認識して、撮像範囲や撮像角度を各作業ブース間で共通するように自動で調節するものであってもよい。
【0051】
カメラの位置や撮像角度について、前述した実施形態では、すべての映像シェアユニットで共通するものを説明したが、これに限らず各映像シェアユニットのカメラの位置や撮像角度を互いに異なるものとしてもよい。
【0052】
1つの映像シェアユニットが2台のカメラを備えるものに限らず、1台のカメラで作業者の表情及び作業対象物との両方を撮像するものとしてもよいし、3台以上のカメラを備えるものとしてもよい。
【0053】
映像シェアシステムが、合動画の一部を静止画として印刷する印刷部をさらに備えるようにしてもよい。映像シェアシステムが前述したような印刷部を備えるものとすれば、印刷された写真を記念に持ち帰ってコレクションにすることも可能である。また、印刷部が静止画を裏面に接着層を有するシール台紙に印刷するものとしてもよい。
【0054】
映像シェアシステムを使用する複数人のグループは、知り合い同士であってもよいし、知らない者同士としてもよい。知らない者同士が使用する場合には、例えば、映像シェアシステムが所定の数の映像シェアユニットに作業者が入ったことを確認した時点で、これら映像シェアユニットの間で映像をシェアできるように接続するものとしてもよい。また、作業者が中に入っている複数の映像シェアユニットの中から、どの映像シェアユニットとの間で映像をシェアするかをユーザに選択させるようにしてもよい。
【0055】
前記実施形態では映像シェアユニットが、作業ブースを備えるものについて説明したが、映像シェアユニットは、作業をしている作業者の表情及び前記作業の対象である作業対象物を撮像するカメラと、該カメラによって撮像された動画データをサーバ装置に送信する端末とを少なくとも備えて入れば良く、作業ブースは必須の構成ではない。
【0056】
各端末及びサーバ装置は、必ずしもそれぞれ独立したコンピュータである必要はない。
また、各端末は少なくともカメラからの動画データを取得してサーバ装置に送信する機能のみを果たすものであれば良く、前記実施形態において説明した端末の他の機能をサーバ装置が担うようにしてもよい。
【符号の説明】
【0057】
100・・・映像シェアシステム
1 ・・・映像シェアユニット
11 ・・・作業ブース
112・・・作業台
12 ・・・第1カメラ
13 ・・・第2カメラ
14 ・・・端末
15 ・・・表示部
2 ・・・サーバ装置
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