(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023067037
(43)【公開日】2023-05-16
(54)【発明の名称】消毒液ボトル携帯機能付き医療用上着
(51)【国際特許分類】
A41D 13/12 20060101AFI20230509BHJP
A41D 27/22 20060101ALI20230509BHJP
A41D 1/00 20180101ALI20230509BHJP
【FI】
A41D13/12 109
A41D27/22
A41D1/00 H
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021177965
(22)【出願日】2021-10-29
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】501468057
【氏名又は名称】フォーク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】下北 裕樹
【テーマコード(参考)】
3B011
3B030
3B035
【Fターム(参考)】
3B011AA01
3B011AB06
3B011AC21
3B030AA02
3B030AA03
3B030AA07
3B030AB12
3B035AA04
3B035AA07
3B035AB08
3B035AB09
3B035AB11
3B035AB12
3B035AB14
3B035AC20
3B035AC24
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ポンプ付き消毒液ボトルを携帯するための機能を備えた医療用上着を提供する。
【解決手段】本発明の医療用上着1は、ファスナー20が裾の端から縦方向に付けられ、ファスナー内側に、ファスナーを横断するように一つ以上の細長いタブが設けられており、タブの片方の端部が上着の内側に固定され、他方の端部がファスナーを横断した反対側の上着の内側に脱着可能に固定されている。タブは、上着の中で肩から下げられた消毒液ボトルのボトルホルダーの肩ベルト12を上着の内側に固定するか、あるいはファスナーが過剰に開くのを防止するようにされている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファスナーが裾の下端から縦方向に付けられた医療用の上着であって、
前記ファスナーの内側に、前記ファスナーを横切るように一つ以上の細長いタブが設けられており、
前記タブの一方の端部が前記ファスナーの一方の横側の前記上着の内側に固定され、他方の端部が前記ファスナーを横切った反対側の前記上着の内側に脱着可能に固定されており、
前記タブは、前記上着の中で肩から下げられた消毒液ボトルのボトルホルダーの肩ベルトを前記上着の内側に固定するか、あるいは前記ファスナーが過剰に開くのを防止するようにされている
医療用上着。
【請求項2】
一つの前記タブが中央部で折り曲げられ、当該折り曲げた部分が前記ファスナーの一方の横側の前記上着の内側に固定され、
折り曲げられて形成された上側と下側のタブのそれぞれの端部は、前記ファスナーを横切った反対側の、前記上着の内側の上下方向に離れた二つの位置に設けられた留め具に、それぞれ脱着可能に固定できるようにされており、
折り曲げられた前記上側のタブは、前記上側の留め具に固定して前記肩ベルトを前記上着の内側に固定し、前記下側のタブは前記下側の留め具に固定して前記ファスナーが過剰に開くのを防止するようにされている
請求項1に記載の医療用上着。
【請求項3】
一つの前記タブの一方の端部が前記ファスナーの一方の横側の前記上着の内側に固定され、
前記タブの他方の端部は、前記ファスナーを横切った他方の側の前記上着の内側に上下方向に離れて設けられた二つの留め具のいずれかに、選択的に脱着可能に固定できるようにされており、
前記タブを前記上側の留め具に固定した時に前記肩ベルトをまとめて前記上着の内側に固定し、前記タブを下側の前記留め具に固定した時に前記ファスナーが過剰に開くのを防止するようにされている
請求項1に記載の医療用上着。
【請求項4】
前記上着の外側の前記ファスナーの上端の上部に、前記ボトルホルダーに設けられた留め具を保持可能な固定手段をさらに設け、該固定手段によりボトルホルダーを保持し、
前記タブを前記下側の留め具に固定して前記ボトルホルダーの一部分を固定し、かつファスナーが過剰に開くのを防止するようにされている
請求項3に記載の医療用上着。
【請求項5】
前記脱着可能な留め具が釦である、請求項1~4のいずれか1項に記載の医療用上着。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポンプ付き消毒液ボトルを携帯するための機能を備えた医療用上着の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
医師や看護士、理学療法士等の医療従事者は、様々な症状の多数の患者に対して処置を行うため、特にCovid19の蔓延以降、常に手指の消毒を行う必要がある。そのため、医療従事者は、処置に必要な常備品を携帯するためのウエストポーチ、バッグ類と共に、消毒用アルコール等の消毒液が入った手動ポンプ付きプラスチック製ボトルを常に携帯している。通常この消毒液ボトルは、肩掛けベルト付きホルダーで腰付近に吊り下げるか、あるいはウェストベルトに取り付けるボトルホルダーで保持して携帯している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、肩掛けベルト付きホルダーの場合、肩掛けベルトを上着の上から肩から斜め掛けにして消毒液ボトル携帯すると、特に女性の場合、消毒液ボトルの自重により胸部にベルトによる縦溝ができてしまい、外見上から敬遠されるという問題があった。また、ウェストベルトに取り付けるホルダーで携帯した場合、消毒液ボトルの幅のため、上着の腰の部分に盛り上がりや裾の捲れが生じることにより、上着の下の部分にしわが増えて外見がだらしなく見えるという問題があった(
図1)。また、上着の裾付近が変形することにより、着心地および作業性が悪くなるという問題もあった。さらに、消毒液ボトルの自重による身体的過労の症状(肩こり、腰痛)も報告されている。
【0005】
本発明の目的は、上記消毒液ボトルを携帯した際の上記のような外見上、作業性上の問題点を解決でき、さらに消毒液ボトルの自重を分散することで、身体的過労を軽減できる医療用衣服、特に上着を提供することである。
【発明の効果】
【0006】
本発明の上着を着用すれば、上着を変形させることなく、消毒液ボトルを安定に保持できるので、外見、作業性の問題を解決し、身体的過労を軽減することができる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の消毒液ボトル携帯機能付き医療用上着は、腰脇部分のファスナーとその内部に付けられたタブにより、下着の上に肩掛けベルトで肩から下げた腰脇部のボトルホルダー、あるいは上着の外側に留め具により腰脇部に掛けられたボトルホルダーを、ファスナーの内側に設けられたタブによって、上着の外側に安定に保持する。
【0008】
本発明の医療用上着は以下のように構成される。
ファスナーが裾の下端から縦方向に付けられ、
ファスナー内側に、ファスナーを横切るように一つ以上の細長いタブが設けられており、
タブの一方の端部がファスナーの一方の横側の上着の内側に固定され、他方の端部がファスナーを横切った反対側の上着の内側に脱着可能に固定されており、
タブは、上着の中で肩から下げられた消毒液ボトルのボトルホルダーの肩ベルトを上着の内側に固定するか、あるいはファスナーが過剰に開くのを防止するようにされている。
【0009】
一つの実施形態では、
一つのタブが中央部で折り曲げられ、当該折り曲げた部分がファスナーの一方の横側の上着の内側に固定され、
折り曲げられて形成された上側と下側のタブのそれぞれの端部は、ファスナーを横切った反対側の、上着の内側の上下方向に離れた二つの位置に設けられた留め具に、それぞれ脱着可能に固定できるようにされており、
折り曲げられた上側のタブは、上側の留め具に固定して肩ベルトを上着の内側に固定し、下側のタブは下側の留め具に固定してファスナーが過剰に開くのを防止するようにされている。
脱着可能な留め具は釦であってよい。
【0010】
別の実施形態では、
一つのタブの一方の端部がファスナーの横方向の一方の横側の上着の内側に固定され、
タブの他方の端部は、ファスナーを横切った他方の側の上着の内側の上下方向に離れて設けられた二つの留め具のいずれかに、選択的に脱着可能に固定できるようにされており、
タブを上側の留め具に固定した時に肩ベルトをまとめて上着の内側に固定し、タブを下側の留め具に固定した時にファスナーが過剰に開くのを防止するようにされている。
【0011】
さらに、上着の外側のファスナーの上端の上部に、ボトルホルダーに設けられた留め具を保持可能な固定手段をさらに設け、この固定手段によりボトルホルダーを保持し、上記タブを下側の留め具に固定してボトルホルダーの一部分を固定し、かつファスナーが過剰に開くのを防止するようにされていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、従来の医療用上着を着用してウェストベルトで消毒液ボトルを携帯した場合の背面の外見を示す図である。
【
図2】
図2は、本発明の一つの実施例による、肩掛けベルトを用いて消毒液ボトルを携帯するための、医療用上着のファスナーとタブの位置を示す背面概観図である。
【
図3】
図3は、本発明の一つの実施例による、医療用上着の内側に設けられた、消毒液ボトルを携帯するためのファスナーとタブの構成を示す拡大図である。
【
図4】
図4は、本発明の別の実施例による、医療用上着の内側に設けられた、消毒液ボトルを携帯するためのファスナーとタブの構成を示す拡大図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施例の医療用上着を着用して、消毒液ボトルを携帯した時の背面外観図である。
【
図6】
図6は、本発明のまた別の実施例による医療用上着を着用して、消毒液ボトルを携帯した時の背面外観図である。
【
図7】
図7は、本発明の医療用上着の種々のファスナーの位置を示す概観図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例0013】
図2は、本発明の実施例の医療用上着1(以下では単に上着という)の背面の概観図を示し、
図3は上着1の内側の、ファスナー20の拡大図を示す。上着1の背面側右下の腰の位置には下から上に開くファスナー20が逢着されている。消毒液ボトルホルダー(以下では単にボトルホルダーという)10(
図5参照)は、上着1を着用する前に、肩掛けベルト(点線)12を下着の上から前後に斜めに掛け、腰の位置に前後のベルトをまとめて保持する。ボトル11とボトルホルダー10の一部分はファスナー20の外に出すようにされる。ファスナー20の内側には、ボトルホルダー10あるいは肩掛けベルト12を固定するためのタブ30が取り付けられている。
【0014】
図3に示すように、タブ30は一続きの細長い布がその中心付近で斜めに折られ、その折り曲げ部で上着に逢着されている(なお
図3は、
図2とは逆向きに折った例を示している)。この逢着部32より上側のタブA、30aは、合流した前後の肩掛けベルト12を上着1とタブA、30aの間に挟み込み、タブA、30aの先端部を釦36で上着に留め、肩掛けベルト12をファスナー20の上部に固定する。このようにして肩掛けベルト12を上着1の内側に固定することにより、ボトル11の自重を分散することができる。
【0015】
一方、逢着部32より下側のタブB、30bは、ファスナー20が過剰に開くのを防止する。肩掛けベルト12を肩から斜めに掛けた後、上着を着てからボトルをファスナー20から上着の外に出す。その後タブB、30bを先端部の釦36で上着に留める。このようにして消毒液ボトル11を腰脇部に保持して携帯、使用する際、歩行によりボトル11が揺れたり、手指の消毒時にボトル11に力がかかることにより、ファスナー20が自然に大きく開いてしまうことが生じる。タブB、30bで35dに留めるにより、ファスナー20が過剰に大きく開いて外見が醜くなることを防止できる(
図5)。
【0016】
タブ30は、
図3に示すように、繰り返しの耐久性を得るため布を二層に折って周端部を縫合してもよい。ファスナー20を設ける位置は、ボトル11は通常の患者の処置中は邪魔であること、および手指の消毒時のポンプ付きボトルの操作の容易性を考慮して、例えば
図2に示すように、上着の背面の右脇下のやや背中寄りの裾に設けるのが好ましい。しかしこれに限られず、背面側、正面側の
図7に示す位置の内、任意の一つまたは複数の位置の裾に設けても良い。