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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023067043
(43)【公開日】2023-05-16
(54)【発明の名称】戸パネル及びこれを備えた引戸装置
(51)【国際特許分類】
   E05F 17/00 20060101AFI20230509BHJP
   E06B 3/46 20060101ALI20230509BHJP
【FI】
E05F17/00 A
E06B3/46
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021177975
(22)【出願日】2021-10-29
(71)【出願人】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニックホールディングス株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】505201515
【氏名又は名称】辻産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002686
【氏名又は名称】協明国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】篠崎 美帆
(72)【発明者】
【氏名】瀬戸 一範
(72)【発明者】
【氏名】西村 幸司
(72)【発明者】
【氏名】辻 将士
【テーマコード(参考)】
2E014
【Fターム(参考)】
2E014AA02
2E014FA03
2E014FB05
2E014FB06
2E014FC01
(57)【要約】
【課題】ガイド体を安定的に取付可能でありながらも、縦フレームの戸幅方向に沿う寸法の小型化を図り得る戸パネル及びこれを備えた引戸装置を提供する。
【解決手段】四周のフレーム13内に板状部材11が設けられ、戸幅方向にスライド自在に上レール6に吊下支持される戸パネル10Aであって、戸厚方向に隣接される隣接戸パネル10Bの下端部に戸幅方向に延びるように設けられた下向き開口のガイド溝34に挿入されるガイド部37a及び戸幅方向第1端部の下端部に取り付けられる被取付部39を有したガイド体37と、中空筒状とされた下フレーム30の戸幅方向第1端部内に収容されるように設けられ、該下フレームに設けられた挿通孔30fを介して前記被取付部が差し込まれる取付穴36fが設けられたガイド取付部材36と、を備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
四周のフレーム内に板状部材が設けられ、戸幅方向にスライド自在に上レールに吊下支持される戸パネルであって、
戸厚方向に隣接される隣接戸パネルの下端部に戸幅方向に延びるように設けられた下向き開口のガイド溝に挿入されるガイド部及び戸幅方向第1端部の下端部に取り付けられる被取付部を有したガイド体と、中空筒状とされた下フレームの戸幅方向第1端部内に収容されるように設けられ、該下フレームに設けられた挿通孔を介して前記被取付部が差し込まれる取付穴が設けられたガイド取付部材と、を備えていることを特徴とする戸パネル。
【請求項2】
請求項1において、
前記被取付部は、軸方向が戸高方向となる四角柱状とされ、前記取付穴は、下向きに開口する四角穴状であることを特徴とする戸パネル。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記ガイド部は、閉鎖位置において当該戸パネルと前記隣接戸パネルとの召し合わせ部における縦フレーム同士が戸厚方向に見て互いに重なり合う位置に配置可能なように、前記被取付部よりも戸幅方向外側に位置するように連結支持部に支持されていることを特徴とする戸パネル。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項において、
前記挿通孔及び前記取付穴は、前記下フレーム及び前記ガイド取付部材の戸厚方向両側に設けられていることを特徴とする戸パネル。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項において、
前記ガイド取付部材は、前記下フレームよりも戸幅方向外側に向けて突出するように設けられ、該下フレームと縦勝状に連結される縦フレームの下端面を覆う下端覆い部を備えていることを特徴とする戸パネル。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項において、
前記下フレームの下面側の戸厚方向中央側部位には、下方側に向けて突出し、かつ全長に亘って延びる突部が設けられ、前記ガイド取付部材は、前記下フレームの下面側における前記突部よりも戸厚方向外側部位を貫通する固着具によって前記下フレームに固定されていることを特徴とする戸パネル。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の戸パネルを構成する第1戸パネルと、この第1戸パネルの戸厚方向に隣接される隣接戸パネルを構成し、前記第1戸パネルのガイド部が挿入される下向き開口のガイド溝が戸幅方向に延びるように下端部に設けられた第2戸パネルと、これら第1戸パネル及び第2戸パネルを戸幅方向にスライド自在に吊下支持する上レールと、を備えていることを特徴とする引戸装置。
【請求項8】
請求項7において、
前記第2戸パネルのガイド溝の溝長手方向両端部には、前記ガイド部が当接される衝撃吸収部材が設けられていることを特徴とする引戸装置。
【請求項9】
請求項8において、
前記第2戸パネルの中空筒状とされた下フレームの戸幅方向両端部内には、前記第1戸パネルに設けられたガイド取付部材と同様のガイド取付部材が収容されるように設けられており、該ガイド取付部材と前記下フレームとによって前記衝撃吸収部材が保持されていることを特徴とする引戸装置。
【請求項10】
請求項7乃至9のいずれか1項において、
前記第2戸パネルは、前記下フレームに設けられた下向き開口の受入溝に収容され、前記ガイド溝の溝幅方向両側壁部を構成する樹脂製のガイド溝部材を備えていることを特徴とする引戸装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、戸パネル及びこれを備えた引戸装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、四周のフレーム内に透光部材等の板状部材が設けられ、上レールに吊下支持される戸パネルが知られている。
例えば、下記特許文献1には、パネル板外縁を支持する矩形枠体を有する第一引戸及び第二引戸を備えた引戸装置が開示されている。この引戸装置は、第一引戸の一方の縦枠体の矩形枠部内に、第二引戸の下横枠体に形成されたガイド凹部に挿入されるガイド体のガイド固定部を挿入して縦枠体に固定した構成とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3190349号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載されたようなガイド体の固定構造では、縦枠体の矩形枠部内にガイド固定部の挿入が可能となるように、縦枠体の戸幅方向に沿う寸法を比較的に大とする必要があった。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、ガイド体を安定的に取付可能でありながらも、縦フレームの戸幅方向に沿う寸法の小型化を図り得る戸パネル及びこれを備えた引戸装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る戸パネルは、四周のフレーム内に板状部材が設けられ、戸幅方向にスライド自在に上レールに吊下支持される戸パネルであって、戸厚方向に隣接される隣接戸パネルの下端部に戸幅方向に延びるように設けられた下向き開口のガイド溝に挿入されるガイド部及び戸幅方向第1端部の下端部に取り付けられる被取付部を有したガイド体と、中空筒状とされた下フレームの戸幅方向第1端部内に収容されるように設けられ、該下フレームに設けられた挿通孔を介して前記被取付部が差し込まれる取付穴が設けられたガイド取付部材と、を備えていることを特徴とする。
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る引戸装置は、本発明に係る戸パネルを構成する第1戸パネルと、この第1戸パネルの戸厚方向に隣接される隣接戸パネルを構成し、前記第1戸パネルのガイド部が挿入される下向き開口のガイド溝が戸幅方向に延びるように下端部に設けられた第2戸パネルと、これら第1戸パネル及び第2戸パネルを戸幅方向にスライド自在に吊下支持する上レールと、を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る戸パネル及びこれを備えた引戸装置は、上述のような構成としたことで、ガイド体を安定的に取付可能でありながらも、縦フレームの戸幅方向に沿う寸法の小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】

図1】本発明の一実施形態に係る戸パネルの一例及びこれを備えた引戸装置の一例を模式的に示す一部破断概略正面図である。
図2】(a)、(b)は、図1におけるX-X線矢視に対応させた一部破断概略横断面図である。
図3図2(b)に対応させた一部を省略した一部破断概略底面図である。
図4図2(b)におけるY1-Y1線矢視に対応させた一部破断概略縦断面図である。
図5】(a)は、同戸パネルが備える縦フレームの一例を模式的に示す一部破断概略側面図、(b)は、同戸パネルが備える上フレームの一例を模式的に示す概略側面図、(c)は、同縦フレーム及び同上フレームの一部破断概略分解斜視図である。
図6】(a)は、同戸パネルの一部破断概略分解正面図、(b)は、同戸パネルの一部破断概略正面図、(c)は、同戸パネルの一部破断概略縦断面図である。
図7】同引戸装置の一部破断概略斜視図である。
図8】同引戸装置の一部破断概略分解斜視図である。
図9】同引戸装置の一部破断概略分解斜視図である。
図10】(a)は、図3におけるY2-Y2線矢視に対応させた一部を省略した一部破断概略縦断面図、(b)は、図3におけるY3-Y3線矢視に対応させた一部を省略した一部破断概略縦断面図である。
図11】(a)は、同引戸装置の施工手順の一例を模式的に示す一部破断概略正面図、(b)は、同施工手順の一例を模式的に示す一部破断概略縦断面図、
図12】(a)、(b)は、同施工手順の一例を模式的に示す一部破断概略正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
一部の図では、他図に付している詳細な符号の一部を省略している。
以下の実施形態では、本実施形態に係る戸パネルの一例及びこれを備えた引戸装置の一例を設置した状態を基準として上下方向等の方向を説明する。
図1図12は、本実施形態に係る戸パネルの一例及びこれを備えた引戸装置の一例並びに同引戸装置の施工手順の一例を模式的に示す図である。
【0011】
本実施形態に係る戸パネルを構成する第1戸パネル10Aは、図1に示すように、四周のフレーム(四周フレーム)13内に板状部材11が設けられ、戸幅(パネル幅)方向にスライド自在に上レール6に吊下支持される。この第1戸パネル10Aは、図4に示すように、戸厚(パネル厚さ)方向に隣接される隣接戸パネルを構成する第2戸パネル10Bの下端部にパネル幅方向に延びるように設けられた下向き開口のガイド溝34に挿入されるガイド部37aを有したガイド体37を備えている。このガイド体37は、第1戸パネル10Aのパネル幅方向第1端部の下端部に取り付けられる被取付部39を有している。第1戸パネル10Aは、図10(b)に示すように、中空筒状とされた下フレーム30のパネル幅方向第1端部内に収容されるように設けられたガイド取付部材36を備えている。このガイド取付部材36には、下フレーム30に設けられた挿通孔30fを介して被取付部39が差し込まれる取付穴36fが設けられている。このような構成とすれば、ガイド体37の被取付部39を、中空筒状とされた下フレーム30内に収容されたガイド取付部材36の取付穴36fに差し込んで安定的に取り付けることができる。また、縦フレーム14にガイド体37の被取付部39を取り付ける必要がなく、縦フレーム14のパネル幅方向に沿う寸法の小型化を図ることができる。ガイド取付部材36及びガイド体37の具体的構成の一例については後述する。
【0012】
引戸装置1は、図1及び図2に示すように、上レール6と、この上レール6にパネル幅方向にスライド自在に吊下支持される少なくとも一枚の可動パネルと、開放(全開)位置とされた上記可動パネルが納められる袖壁を構成する固定パネル10Cと、を備えている。可動パネルのパネル本体10と固定パネル10Cのパネル本体10とは、互いに同様の構成とされている。このような構成とすれば、可動パネルのパネル本体10と固定パネル10Cのパネル本体10とを共通部品にすることができる。本実施形態に係る引戸装置1は、可動パネルを構成する第1戸パネル10Aと、この第1戸パネル10Aのパネル厚さ方向に隣接される可動パネルを構成する第2戸パネル10Bと、を備えている。つまり、第1戸パネル10Aのパネル本体10、第2戸パネル10Bのパネル本体10及び固定パネル10Cのパネル本体10は、互いに同様の構成とされている。
【0013】
これら第1戸パネル10A、第2戸パネル10B及び固定パネル10Cは、建物内に設けられた開口部に設置される。固定パネル10Cは、開口部の開口幅方向一方側端に固定的に設置される。第1戸パネル10Aは、この固定パネル10Cのパネル厚さ方向一方側において、閉鎖位置(図2(a)参照)と開放位置(図2(b)参照)との間をスライド自在とされている。第2戸パネル10Bは、この第1戸パネル10Aのパネル厚さ方向一方側において、閉鎖位置(図2(a)参照)と開放位置(図2(b)参照)との間をスライド自在とされている。これら第1戸パネル10A及び第2戸パネル10Bを開放位置とすれば、これらの側方に出入口5が形成される。図例では、開放位置において、第1戸パネル10A及び第2戸パネル10Bと固定パネル10Cとがパネル厚さ方向に見て互いに完全に重なり合う位置とならずに、いわゆる引き残しが形成される例を示している。つまり、第1戸パネル10Aは、開放位置において、その戸先側(出入口5側)の端部が固定パネル10Cの出入口5側端部よりも出入口5側となるように配される。第2戸パネル10Bは、開放位置において、その戸先側の端部が第1戸パネル10Aの戸先側の端部よりも出入口5側となるように配される。この第2戸パネル10Bの戸先側端部のパネル厚さ方向両側に、引手部材が取り付けられていてもよい。
【0014】
これら第1戸パネル10A及び第2戸パネル10Bを閉鎖位置とすれば、出入口5が閉鎖される。閉鎖位置においては、第1戸パネル10Aの戸尻側の端部と固定パネル10Cの出入口5側端部とがパネル厚さ方向に見て互いに重なり合い、召し合わせ部となる。また、閉鎖位置においては、第2戸パネル10Bの戸尻側の端部と第1戸パネル10Aの戸先側の端部とがパネル厚さ方向に見て互いに重なり合い、召し合わせ部となる。図例では、閉鎖位置において、第1戸パネル10Aと固定パネル10Cとの召し合わせ部における縦フレーム14,14同士がパネル厚さ方向に見て互いに重なり合うように配置されている。また、閉鎖位置において、第2戸パネル10Bと第1戸パネル10Aとの召し合わせ部における縦フレーム14,14同士がパネル厚さ方向に見て互いに重なり合うように配置されている。
【0015】
図例では、これら第1戸パネル10A、第2戸パネル10B及び固定パネル10Cが設置される開口部は、壁体を貫通するように設けられている。この開口部は、図2及び図4に示すように、上側が天井2によって区画され、下側が床3によって区画され、開口幅方向両側が壁体の開口側端面4,4によって区画されている。図例では、壁体の壁厚方向両面及び開口側端面4,4は、石膏ボード等の壁下地ボードに貼着された壁クロス(壁紙)によって構成された例を示している。つまり、開口部の開口幅方向両側において戸枠等の縦枠部材を露出させていない例を示している。
図例では、壁体の開口側端面4,4と床3との入隅部に設けられる巾木の厚さよりも開口幅方向に沿う寸法が大とされた隙間調整突部4a,4aを開口幅方向両側に設けた例を示している。隙間調整突部4a,4aは、各開口側端面4,4に対向するように配される固定パネル10C及び第2戸パネル10Bが巾木に当接して隙間が形成されるようなことがないように、固定パネル10C及び第2戸パネル10Bと開口側端面4,4との間の隙間を塞ぐ。これら隙間調整突部4a,4aは、床3から天井2までの開口高全体に亘って上下方向に延びるように設けられている。
【0016】
これら隙間調整突部4a,4aのパネル厚さ方向に沿う寸法(見込寸法)は、パネル本体10の厚さ寸法(四周フレーム13の見込寸法)よりも小とされている。図例では、これら隙間調整突部4a,4aを構成する隙間調整部材の見込方向両側に壁下地ボードの端面が突き合わせられた例を示している。つまり、見込方向両側の壁下地ボード間に一部が埋込状に設けられた隙間調整部材の壁下地ボードからの突出部が隙間調整突部4a,4aとされている。開口幅方向一方側の隙間調整突部4aは、固定パネル10Cのパネル幅方向一方側の端面に対向する位置となるように設けられている。開口幅方向他方側の隙間調整突部4aは、第2戸パネル10Bの戸先側の端面に対向する位置となるように設けられている。つまり、開口幅方向一方側の隙間調整突部4aと開口幅方向他方側の隙間調整突部4aとは、見込方向にずれた位置となるように設けられている。
この隙間調整突部4a,4aの表面となる見付面及び見込面には、壁クロス(壁紙)が貼着されていない例を示している。つまり、開口側端面4,4を構成する壁クロスは、隙間調整突部4a,4aの見込方向両側に突き合わせられるように、隙間調整突部4a,4aの見込方向両側の壁下地ボードに貼着された例を示している。これら隙間調整突部4a,4aを構成する隙間調整部材は、例えば、MDF等の木質系材料から形成された芯材の表面に、化粧シートの貼着や塗装等の適宜の表面化粧処理が施された構成とされていてもよい。
第1戸パネル10A、第2戸パネル10B及び固定パネル10Cが設置される開口部としては、上記のような構成に限られず、開口部の開口幅方向両側が縦枠部材によって区画されていてもよい。また、開口部の上側が上枠によって区画されていてもよく、開口部の下側が下枠によって区画されていてもよい。
【0017】
これら第1戸パネル10A、第2戸パネル10B及び固定パネル10Cのパネル本体10,10,10は、上記したようにいずれも同様の構成であるので、以下では、具体的構成の一例について、一つのパネル本体10を例にとって説明する。
パネル本体10は、図1図2及び図4に示すように、板状部材11と、この板状部材11の四周を囲むように設けられた四周フレーム13と、を備えている。
パネル本体10は、上下(戸高)方向に長尺な略矩形平板状とされている。このパネル本体10の戸高寸法(長さ寸法)は、出入口5の開口高に応じた寸法でもよい。図例では、パネル本体10の長さ寸法は、床3から天井2までの開口高とされた出入口5に応じた寸法とされている。このパネル本体10の長さ寸法は、例えば、2400mm~3000mm程度であってもよい。パネル本体10の幅寸法は、出入口5を開閉する戸パネル(第1戸パネル10A及び第2戸パネル10B)の枚数や固定パネル10Cの有無、これらが設置される開口部の開口幅に応じて適宜の寸法としてもよく、例えば、600mm~1200mm程度でもよい。
【0018】
板状部材11は、パネル本体10と同様、上下方向に長尺な略矩形平板状とされている。この板状部材11は、アクリルやポリカーボネート等の合成樹脂系材料やガラス等の透光性材料から形成され、透光性を有した透光板とされている。つまり、この板状部材11は、採光部を構成する。この板状部材11は、例えば、2枚のガラス板を厚さ方向に接合した合わせガラスでもよい。この板状部材11は、略無色透明に限られず、有色透明や半透明でもよい。この板状部材11としては、例えば、透明材料に着色剤が添加されて有色透明とされていてもよく、樹脂フィルム等が積層されて有色透明とされていてもよい。この板状部材11としては、スモークガラス状やすりガラス状とされていてもよく、また、2枚の透明(透光)パネル間に、和紙等のシート材を介在させた構成とされていてもよい。板状部材11としては、ハーフミラー状とされていてもよく、さらには、厚さ方向両側が鏡とされていてもよく、その他の不透光な板体でもよく、また、厚さ方向両面が略平坦面状とされた構成に限られず、凹凸が設けられていてもよい。
【0019】
この板状部材11は、図2及び図4に示すように、その四周の端部11aが四周フレーム13に設けられた受入溝14a,14a,20a,30aに差し込まれて四周フレーム13に保持されている。板状部材11の四周の各端部11aは、その端部11aが嵌め込まれたガスケット(グレイジングガスケット)12を介して受入溝14a,14a,20a,30aに保持されている。このようなガスケット12としては、断面略C字状とされたいわゆるグレイジングチャンネルやパネル厚さ方向に分離されたグレイジングビードでもよい。板状部材11の端部11aを四周フレーム13に保持させる態様としては、このような態様に限られず、その他、種々の態様の採用が可能である。
【0020】
四周フレーム13は、図1図2及び図4に示すように、パネル本体10のパネル幅方向両端部を構成する一対の縦フレーム14,14と、パネル本体10の上端部を構成する上フレーム20と、パネル本体10の下端部を構成する下フレーム30と、を備えている。
両側の縦フレーム14,14は、上下方向に長尺状とされている。これら縦フレーム14,14には、互いに向き合う方向に向けて開口するように、かつそれぞれの全長に亘って延びるように受入溝14a,14aが設けられている。これら両側の縦フレーム14,14は、互いに同様の構成であるので、以下では、一方を例にとって説明する。
【0021】
縦フレーム14は、パネル厚さ方向に沿う寸法よりもパネル幅方向に沿う寸法が小とされている。縦フレーム14のパネル厚さ方向に沿う寸法は、板状部材11の厚さ寸法よりも大とされている。この縦フレーム14のパネル厚さ方向に沿う寸法は、一般的な戸パネルの厚さと概ね同様な寸法であってもよく、例えば、30mm~40mm程度でもよい。縦フレーム14のパネル幅方向に沿う寸法は、例えば、10mm~30mm程度でもよい。図例では、縦フレーム14のパネル幅方向に沿う寸法は、縦フレーム14のパネル厚さ方向に沿う寸法の約1/3程度とされている。
縦フレーム14のパネル幅方向内側(パネル本体10の幅方向中央側)に向く内側面14b,14bは、図2及び図5(c)に示すように、パネル厚さ方向両外側から板状部材11に向かうに従いパネル幅方向中央側となるように傾斜する傾斜面状とされている。このような構成とすれば、縦フレーム14自体のパネル幅方向に沿う寸法を確保しながらも、縦フレーム14のパネル厚さ方向外側に向く表面(見付面)のパネル幅方向に沿う寸法を小さくすることができ、すっきりとした印象を与えることができる。
【0022】
この縦フレーム14のパネル厚さ方向両側の内側面14b,14bは、パネル厚さ方向両外側縁部からパネル厚さ方向中心側となる板状部材11に向かうに従いパネル幅方向中央側となるように傾斜面状とされている。これらパネル厚さ方向両側の内側面14b,14bは、横断面視において、パネル厚さ方向中心線を対称軸として線対称状とされている。
これら内側面14b,14bは、横断面視において、略円弧状とされた凹湾曲面状とされている。これら内側面14b,14bの縦フレーム14のパネル厚さ方向外側に向く表面とのなす角度や曲率半径等は、見栄え上の観点等から適宜の角度や曲率半径とされていてもよい。図例では、これら内側面14b,14bのパネル厚さ方向中心側端部に、板状部材11の表面に対して略垂直面状とされた部位を設けた例を示している。
図例では、これら内側面14b,14bをパネル厚さ方向に見た状態のパネル幅方向に沿う寸法は、縦フレーム14のパネル厚さ方向外側に向く表面のパネル幅方向に沿う寸法と略同寸法とされている。つまり、縦フレーム14のパネル厚さ方向外側に向く表面のパネル幅方向に沿う寸法は、縦フレーム14自体のパネル幅方向に沿う寸法の約1/2の寸法とされている。
【0023】
この縦フレーム14のパネル幅方向外側面には、パネル本体10のパネル幅方向一方側の当接対象に当接されるクッション17(図2及び図3参照)を保持する保持溝14cがパネル幅方向外側に向けて開口し、かつ全長に亘って延びるように設けられている。図例では、縦フレーム14のパネル厚さ方向中央側部位においてパネル厚さ方向に間隔を空けて2本の保持溝14c,14cが設けられた例を示している。これら保持溝14c,14cのそれぞれに保持されるクッション17,17は、縦フレーム14のパネル幅方向外側面からパネル幅方向外側に向けて突出するように、かつ全長に亘って延びるように設けられている。これらクッション17,17のパネル厚さ方向に沿う寸法やパネル幅方向に沿う突出寸法は、当接対象との隙間を防止する観点や衝撃を吸収する観点等から適宜の寸法としてもよく、例えば、2mm~5mm程度でもよい。図例では、固定パネル10Cのパネル幅方向一方側の端面に、これに対向する開口幅方向一方側の隙間調整突部4aに当接されるクッション17,17を設けた例を示している。第2戸パネル10Bの戸先側の端面に、これに対向する開口幅方向他方側の隙間調整突部4aに当接されるクッション17,17を設けた例を示している。図例では、これら固定パネル10Cのパネル幅方向一方側の端面及び第2戸パネル10Bの戸先側の端面以外の端面の保持溝14cには、クッション17を設けていない例を示しているが、このような例に限られない。
【0024】
上フレーム20は、図1に示すように、パネル幅方向に長尺状とされている。この上フレーム20には、図4に示すように、下方側に向けて開口するように、かつ全長に亘って延びるように受入溝20aが設けられている。この上フレーム20は、図5(b)及び図6(c)に示すように、パネル厚さ方向に沿う寸法よりも上下方向に沿う寸法が小とされている。この上フレーム20のパネル厚さ方向に沿う寸法は、板状部材11の厚さ寸法よりも大とされている。この上フレーム20のパネル厚さ方向に沿う寸法は、上記した縦フレーム14のパネル厚さ方向に沿う寸法と概ね同寸法でもよい。図例では、上フレーム20のパネル厚さ方向に沿う寸法は、縦フレーム14のパネル厚さ方向に沿う寸法よりも僅かに小さい寸法とされている。この上フレーム20の上下方向に沿う寸法は、縦フレーム14のパネル幅方向に沿う寸法よりも大とされている。図例では、上フレーム20の上下方向に沿う寸法は、上フレーム20のパネル厚さ方向に沿う寸法の約3/5程度とされている。
【0025】
上フレーム20の下方側に向く下側面20b,20bは、図5(b)及び図6(c)に示すように、パネル厚さ方向両外側から板状部材11に向かうに従いパネル高さ方向中央側となるように傾斜する傾斜面状とされている。これら下側面20b,20bは、縦フレーム14の内側面14b,14bと同様、縦断面視において、パネル厚さ方向中心線を対称軸として線対称状とされ、かつ略円弧状とされた凹湾曲面状とされている。縦断面視における下側面20b,20bと、横断面視における縦フレーム14の内側面14b,14bとは、略同寸同形状とされている。
上フレーム20のパネル厚さ方向両外側に向く面は、下端部を除いて縦フレーム14のパネル厚さ方向両外側に向く表面と略平行状の垂直面状とされている。上フレーム20のパネル厚さ方向両外側に向く面の下端部は、下方側に向かうに従いパネル厚さ方向外側となるように傾斜する傾斜面状とされている。この上フレーム20のパネル厚さ方向両外側に向く面の下端部と下側面20bとによってパネル厚さ方向両外側に向けて突出する長手方向に見て尖頭状の突部が形成されている。
【0026】
この上フレーム20と縦フレーム14とは、縦勝状に接合されている。上フレーム20のパネル幅方向外側(縦フレーム14側)に向く長手方向の端面は、上フレーム20の長手方向に対して略垂直面状とされている。縦フレーム14の上端部には、上フレーム20の長手方向の端部を受け入れる受入凹段部15が設けられている。このような構成とすれば、上記のように、縦フレーム14の内側面14b,14b及び上フレーム20の下側面20b,20bが傾斜面状とされている場合にも、見栄え良く接合することができる。例えば、縦フレーム14の上端部及び上フレーム20の長手方向の端部の両方を斜め状に切断して留め継ぎ状に突き合わせることも考えられるが、この場合には、加工誤差等によってずれや隙間が生じ易くなる傾向がある。一方、上記構成によれば、図6(a)、(b)に示すように、長手方向の端面が略垂直面状とされた上フレーム20の端部が縦フレーム14の受入凹段部15に受け入れられて接合されるので、ずれや隙間が形成され難くなる。
【0027】
受入凹段部15は、図5(a)、(c)及び図6(a)に示すように、縦フレーム14の上端部における傾斜面状とされた内側面14b,14bを構成する部位を欠落させる(切除する)ように形成されている。この受入凹段部15は、パネル幅方向内側及び上方側に向けて開口するように形成されている。この受入凹段部15のパネル幅方向内側に向く段底面は、上フレーム20の長手方向の端面が突き合わせ可能となるように略垂直面状とされている。この受入凹段部15の上方側に向く段壁面15a,15aは、上フレーム20の傾斜面状とされた下側面20b,20bに突き合わせ可能となるように、パネル幅方向(上フレーム20の長手方向)に見て、上フレーム20の下側面20b,20bに沿う形状とされている。受入凹段部15の段壁面15a,15aは、図5(a)に示すように、パネル幅方向に見て、パネル厚さ方向中心に向かうに従い下方側となるように傾斜する傾斜面状とされている。受入凹段部15の段壁面15a,15aは、図6(a)に示すように、パネル厚さ方向に見て、パネル幅方向内側に向かうに従い下方側となるように傾斜する傾斜面状とされている。
【0028】
この受入凹段部15の上側部位(段壁面15a,15aよりも上側部位)のパネル厚さ方向に沿う寸法は、上フレーム20のパネル厚さ方向に沿う寸法に応じた寸法とされている。図例では、受入凹段部15の上側部位のパネル厚さ方向に沿う寸法は、上記のように上フレーム20の下側面20bとパネル厚さ方向両外側に向く面の下端部とによって形成された突部の先端部分におけるパネル厚さ方向に沿う寸法と略同寸法とされている。
縦フレーム14には、図5(a)及び図6(c)に示すように、受入凹段部15の段底面において開口するように、かつパネル幅方向外側からねじ等の固着具19が挿通される挿通孔15bが設けられている。上フレーム20には、この挿通孔15bを介して止着される固着具19の止着部20cが設けられている。このような構成とすれば、縦フレーム14と上フレーム20とを固着具19によって容易に接合することができる。
【0029】
上フレーム20には、受入溝20aのパネル厚さ方向両側において中実状とされた部位のそれぞれの長手方向の端面において開口するように穴状とされた2つの止着部20c,20cが設けられている。このような構成とすれば、中空部において開環状(略C字状)とされた止着部が設けられた構成と比べて、固着具19を安定的に止着することができる。これら止着部20c,20cは、固着具19がねじ合わされる雌ねじ穴でもよく、固着具19がねじ込まれる下穴でもよい。これら止着部20c,20cは、上フレーム20の全長に亘って延びるように設けられていてもよい。
縦フレーム14には、これら止着部20c,20cに整合する位置となるように、受入溝14aのパネル厚さ方向両側部位をパネル幅方向に貫通するように2つの挿通孔15b,15bが設けられている。これら挿通孔15b,15bは、パネル幅方向内側部位が固着具19の軸部に応じた径とされ、パネル幅方向外側部位がパネル幅方向内側部位よりも大径状とされ、かつ固着具19の頭部に応じた径とされている。これら挿通孔15b,15bに納められた固着具19の頭部を覆うように取り付けられるキャップ18,18(図8参照)が設けられていてもよい。
【0030】
上フレーム20の上面側には、図4に示すように、上レール6にガイドされる被ガイド部材を構成するランナー25の固定部28または上端保持部材7の保持溝7aに挿入される係合突部29が固定される。パネル本体10は、固定部28または係合突部29を覆うように、上フレーム20のパネル厚さ方向両側に着脱可能に取り付けられるカバー22,22を備えている。このような構成とすれば、縦フレーム14のパネル幅方向に沿う寸法及び上フレーム20の上下方向に沿う寸法が比較的に小とされて固定部28を、これらに埋込状に設け難い場合にも、上フレーム20に固定された固定部28を目立ち難くすることができる。また、カバー22,22を脱離させた状態で、上レール6に吊下支持されたランナー25のランナー本体26と上フレーム20に固定された固定部28とを連結することができ、作業性を向上させることができる。また、これらカバー22,22は、上フレーム20に対して着脱可能とされているので、ランナー25のメンテナンス性を向上させることもできる。また、固定パネル10Cのパネル本体10の外観を可動パネルと同様の外観としながらも、上端保持部材7の保持溝7aに挿入される係合突部29を目立ち難くすることができる。また、カバー22,22を脱離させた状態で、上端保持部材7の保持溝7aに係合突部29を挿入することができ、パネル本体10の上端側を上端保持部材7に容易に保持させることができる。上レール6やランナー25、上端保持部材7、係合突部29の具体的構成の一例については後述する。
【0031】
これらカバー22,22のパネル厚さ方向内側(対向側)には、各カバー22,22の下方側及びパネル厚さ方向への移動を抑止するように、上フレーム20に設けられた被係合部21,21に対して係合する係合部23,23が設けられている。このような構成とすれば、各カバー22,22の係合部23,23を上フレーム20の被係合部21,21に係合させて各カバー22,22を上フレーム20に対して仮保持させることができる。縦フレーム14の上端部には、これらカバー22,22の係合部23,23の上方側への移動を抑止するように係合部23,23に当接される固着具19,19の軸部が挿通される挿通孔15c,15cがパネル幅方向に貫通するように設けられている。
【0032】
上記のような構成とすれば、縦フレーム14のパネル幅方向外側から挿通孔15c,15cを介して固着具19,19を挿通すれば、固着具19,19の軸部によって各カバー22,22の係合部23,23の上方側への移動が抑止される。これら固着具19,19の軸部及び上記した被係合部21,21に対する係合部23,23の係合によって各カバー22,22の上下方向及びパネル厚さ方向への移動が抑制され、各カバー22,22を上フレーム20に対して容易に取り付けることができる。また、各カバー22,22を上フレーム20に対して脱離させる際には、固着具19,19を取り外すことで容易に脱離させることができる。また、パネル厚さ方向両面側において各カバー22,22を取り付けるねじ等が露出するものと比べて、見栄えを向上させることができる。パネル厚さ方向両側のカバー22,22及びこれらが取り付けられる上フレーム20のパネル厚さ方向両側は、互いに同様の構成であるので、以下では、パネル厚さ方向一方側を例にとって説明する。
【0033】
カバー22は、図6(c)に示すように、上フレーム20のパネル厚さ方向外側に向く面に沿うように配され、かつ上フレーム20の上端部よりも上方側に向けて延出する延出部を有したカバー本体22aを備えている。このカバー本体22aは、厚さ方向がパネル厚さ方向となるように配される略帯板状とされている。このカバー本体22aは、受入凹段部15のパネル厚さ方向外側縁部に沿うように配され、長手方向の端面が段底面に突き合わせられる。
このカバー本体22aは、図6(b)に示すように、カバー22が上フレーム20に取付けられた状態で、その上端面が縦フレーム14の上端面と略同一平面状となるように形成されている。このような構成とすれば、縦フレーム14とカバー22を含む上フレーム20とが縦勝状に接合されたような外観を呈し、カバー22を設けながらも見栄えを向上させることができる。つまり、上記した上フレーム20は、図6(a)、(c)に示すように、縦フレーム14の上端面よりも下方側に位置するように縦フレーム14の上端部に接合されている。
【0034】
カバー本体22aの下端面は、図6(c)に示すように、上記した上フレーム20のパネル厚さ方向外側に向く面の下端部の傾斜面に突き合わせられる傾斜面状とされている。このような構成とすれば、カバー本体22aの下端面を見え難くすることが可能でありながらも、上フレーム20側の突き合わせ面となる傾斜面との隙間やずれ等を目立ち難くすることができる。また、図4及び図6(b)に示すように、カバー本体22aと上フレーム20との継目が下側面20bとの出隅部に位置することとなり、継目を目立ち難くすることができる。つまりは、このカバー本体22aのパネル厚さ方向外側に向く面が上フレーム20のパネル厚さ方向外側に向く面を構成するような外観を呈することができ、カバー22を設けながらも違和感を生じ難くすることができる。
【0035】
係合部23は、図6(c)に示すように、カバー本体22aのパネル厚さ方向内側の上下方向途中部位からパネル厚さ方向内側に向けて突出する突片部と、この突片部の先端部から下方側に向けて垂れ下がる垂下片部と、を備えている。この係合部23の突片部及び垂下片部とカバー本体22aとによって下向きに開口する係合溝24が全長に亘って延びるように設けられている。図例では、係合部23の突片部は、カバー本体22aの上下方向略中央部位に位置するように設けられている。係合部23の垂下片部は、下方側に向かうに従いパネル厚さ方向内側となるように傾斜状に形成されている。この垂下片部は、その下端がカバー本体22aの下端面よりも上方側に位置するように形成されている。
【0036】
上フレーム20の被係合部21は、カバー22の係合溝24に嵌め合わされるように係合する突片部状とされている。この被係合部21は、上フレーム20のパネル厚さ方向外側縁部から上方側に向けて突出するように設けられている。この被係合部21のパネル厚さ方向外側に向く面が、上フレーム20のパネル厚さ方向外側に向く面を構成する。つまり、カバー22は、そのカバー本体22aが被係合部21のパネル厚さ方向外側に向く面に沿うように配される。カバー22は、その係合溝24の溝底(突片部の下面)が被係合部21の上端面(突出方向先端面)に当接または近接するように配される。カバー22は、その係合溝24のパネル厚さ方向外側に向く溝側面(垂下片部の溝側面)が被係合部21のパネル厚さ方向内側に向く面に沿うように配される。図例では、上フレーム20における被係合部21の基端部とパネル厚さ方向内側部位の上面との入隅部に、上方側に向けて開口し、係合部23の垂下片部の下端部を受け入れる受溝を全長に亘って延びるように設けた例を示している。
【0037】
縦フレーム14の上端部には、各カバー22,22の係合部23,23の突片部と垂下片部との出隅部に固着具19,19の軸部が当接する位置となるように、2つの挿通孔15c,15cが設けられている。
これら挿通孔15c,15cは、縦フレーム14の受入溝14aのパネル厚さ方向両側部位をパネル幅方向に貫通するように設けられている。これら挿通孔15c,15cは、縦フレーム14と上フレーム20とを接合する固着具19,19の挿通孔15b,15bの略直上に位置するように設けられている。これら挿通孔15c,15cは、上記同様、パネル幅方向内側部位が固着具19の軸部に応じた径とされ、パネル幅方向外側部位がパネル幅方向内側部位よりも大径状とされ、かつ固着具19の頭部に応じた径とされている。これら挿通孔15c,15cに納められた固着具19の頭部を覆うように取り付けられるキャップ18,18(図8参照)が設けられていてもよい。上フレーム20にカバー22,22を固定する態様としては、上記したような態様に限られず、その他、種々の態様の採用が可能である。
【0038】
上フレーム20にカバー22,22が取り付けられた状態では、図4及び図6(c)に示すように、これらの間にランナー25の固定部28または係合突部29の配置スペースが形成される。
ランナー25は、第1戸パネル10A及び第2戸パネル10Bの各パネル本体10,10の上端部に固定される。このランナー25は、上レール6のガイド片部上を走行する転動体27が設けられたランナー本体26と、このランナー本体26に連結され、パネル本体10の上フレーム20に固定される固定部28と、を備えている。図例では、上レール6には、下向きに開口し、全長に亘って延びるようにガイド溝6aが設けられている。この上レール6は、ガイド溝6aの溝底を区画し、天井2側の天井下地や上枠等の固定対象にねじ等の固着具によって固定される固定片部を備えている。上レール6は、固定片部の溝幅方向両側端部から垂れ下がるように設けられガイド溝6aの溝幅方向両側を区画する溝側片部と、これら溝幅方向両側の溝側片部の下端部から互いに向き合う方向に突出するように設けられたガイド片部と、を備えている。また、図例では、第1戸パネル10Aのランナー25をガイドする上レール6と第2戸パネル10Bのランナー25をガイドする上レール6とを連結片部によって連結した例を示しているが、このような例に限られない。また、図例では、上レール6を天井2に埋込状に設けた例を示しているが、このような例に限られない。この上レール6は、適宜の金属系材料から形成された押出成形品でもよい。
【0039】
ランナー本体26は、上レール6のガイド溝6aに挿入されるように配され、パネル厚さ方向両側に、上レール6の両側のガイド片部上を走行する転動体27,27を設けた構成とされている。これら転動体27,27は、パネル厚さ方向に沿う軸回りに回転自在とされたローラー状とされている。ランナー本体26には、レール長手方向(パネル幅方向)に間隔を空けて2組の転動体27,27が設けられていてもよい。
このランナー本体26には、下方側に向けて突出する軸部と、この軸部に設けられ、固定部28に対するランナー本体26の高さ位置を調整する際に操作される高さ調整操作部26aと、が設けられている。軸部は、ランナー本体26に設けられた雌ねじ部にねじ合わされる雄ねじ部でもよい。この軸部の下端部が適宜の連結部を介して固定部28に連結されていてもよい。
固定部28は、上フレーム20のパネル厚さ方向両側の被係合部21,21間の上面に沿うように固定されている。この固定部28は、適宜の固着具によって上フレーム20に固定されている。
【0040】
上記構成とされたランナー25は、上フレーム20の長手方向両端部のそれぞれに設けられている。つまり、パネル本体10の上端部のパネル幅方向両端部のそれぞれにランナー25,25が設けられている。これらパネル幅方向両側のランナー25,25のうちの一方に連結されるように設けられ、開放位置及び閉鎖位置のうちの一方または両方に移動するパネル本体10(第1戸パネル10A及び第2戸パネル10B)を減速させる緩衝機構が設けられていてもよい。この場合は、上レール6のガイド溝6a内に、緩衝機構を作動させる適宜のトリガーが設けられていてもよい。このような緩衝機構を設けた態様に代えて、または加えて、第1戸パネル10A及び第2戸パネル10Bを開放位置及び閉鎖位置のそれぞれにおいて停止させる適宜のストッパーが設けられていてもよい。
【0041】
係合突部29は、図4及び図12(a)に示すように、固定パネル10Cのパネル本体10の上端部に固定される。
この係合突部29は、上フレーム20のパネル厚さ方向両側の被係合部21,21間の上面に沿うように固定され、この上面から上方側に向けて突出するように設けられている。この係合突部29は、天井2側に固定される上端保持部材7の保持溝7aに挿入可能なように設けられている。この係合突部29は、その上端が縦フレーム14及びカバー22の上端と概ね同高さとなるように設けられている。図例では、係合突部29の上端が縦フレーム14及びカバー22の上端よりも僅かに上方側に位置する例を示している。
上端保持部材7には、下向きに開口し、全長に亘って延びるように保持溝7aが設けられている。上端保持部材7は、保持溝7aの溝底を区画し、天井2側の天井下地や上枠等の固定対象にねじ等の固着具によって固定される固定片部と、固定片部の溝幅方向両側端部から垂れ下がるように設けられ保持溝7aの溝幅方向両側を区画する溝側片部と、を備えている。図例では、上端保持部材7の固定片部が天井2に沿うように固定された例を示しているが、このような例に限られない。
【0042】
この上端保持部材7の両側の溝側片部は、係合突部29のパネル厚さ方向両側に当接または近接するように配され、かつ、上フレーム20に取り付けられた両側のカバー22,22のカバー本体22a,22a間に位置するように配される。このような構成とすれば、上端保持部材7及び係合突部29をカバー22,22によって目立ち難くすることができる。
固定パネル10Cの上端部は、係合突部29を上端保持部材7の保持溝7aに挿入して保持される態様でもよく、適宜の固着具によって天井2側に固定されてもよい。例えば、係合突部29と上端保持部材7の溝側片部とを適宜の固着具によって締結して固定パネル10Cの上端部を天井2側に固定するようにしてもよい。また、詳細には後述するが、上端保持部材7の出入口5側の端部には、固定パネル10Cのパネル幅方向一方側端部の上端部(図例では、パネル幅方向一方側の縦フレーム14及び係合突部29)を受入可能な欠落部が設けられている。この欠落部は、上端保持部材7の出入口5側の端部の両側の溝側片部を切除して形成されていてもよい。この上端保持部材7は、適宜の金属系材料から形成された押出成形品でもよく、表面が化粧シートの貼着や塗装等の適宜の表面化粧処理によって化粧面とされていてもよい。
【0043】
下フレーム30は、図1に示すように、パネル幅方向に長尺状とされている。この下フレーム30には、図4に示すように、上方側に向けて開口するように、かつ全長に亘って延びるように受入溝30aが設けられている。この下フレーム30は、パネル厚さ方向に沿う寸法が上フレーム20のパネル厚さ方向に沿う寸法と略同寸法とされている。つまり、下フレーム30のパネル厚さ方向に沿う寸法は、縦フレーム14のパネル厚さ方向に沿う寸法よりも僅かに小さい寸法とされている。この下フレーム30の上下方向に沿う寸法は、縦フレーム14のパネル幅方向に沿う寸法よりも大とされている。図例では、下フレーム30の上下方向に沿う寸法と下フレーム30のパネル厚さ方向に沿う寸法とを概ね同寸法とした例を示しているが、このような例に限られない。
【0044】
下フレーム30の上方側に向く上側面30b,30bは、図9及び図10に示すように、パネル厚さ方向両外側から板状部材11に向かうに従い上方側となるように傾斜する傾斜面状とされている。これら上側面30b,30bは、上フレーム20の下側面20b,20bと同様、縦断面視において、パネル厚さ方向中心線を対称軸として線対称状とされ、かつ略円弧状とされた凹湾曲面状とされている。縦断面視における上側面30b,30bと、横断面視における縦フレーム14の内側面14b,14bとは、略同寸同形状とされている。
下フレーム30のパネル厚さ方向両外側に向く面は、縦フレーム14のパネル厚さ方向両外側に向く表面と略平行状の垂直面状とされている。
この下フレーム30と縦フレーム14とは、図8及び図9に示すように、上記同様、縦勝状に接合されている。下フレーム30のパネル幅方向外側(縦フレーム14側)に向く長手方向の端面は、下フレーム30の長手方向に対して略垂直面状とされている。縦フレーム14の下端部には、上記と概ね同様、下フレーム30の長手方向の端部を受け入れる受入凹段部16が設けられている。
【0045】
受入凹段部16は、上記と概ね同様、縦フレーム14の下端部における傾斜面状とされた内側面14b,14bを構成する部位を欠落させる(切除する)ように形成されている。この受入凹段部16は、パネル幅方向内側及び下方側に向けて開口するように形成されている。この受入凹段部16のパネル幅方向内側に向く段底面は、下フレーム30の長手方向の端面が突き合わせ可能となるように略垂直面状とされている。この受入凹段部16の下方側に向く段壁面16a,16aは、下フレーム30の傾斜面状とされた上側面30b,30bに突き合わせ可能となるように、パネル幅方向(下フレーム30の長手方向)に見て、下フレーム30の上側面30b,30bに沿う形状とされている。受入凹段部16の段壁面16a,16aは、上記と概ね同様、パネル幅方向に見て、パネル厚さ方向中心に向かうに従い上方側となるように傾斜する傾斜面状とされている。受入凹段部16の段壁面16a,16aは、パネル厚さ方向に見て、パネル幅方向内側に向かうに従い上方側となるように傾斜する傾斜面状とされている。
【0046】
この受入凹段部16の下側部位(段壁面16a,16aよりも下側部位)のパネル厚さ方向に沿う寸法は、下フレーム30のパネル厚さ方向に沿う寸法に応じた寸法とされている。
縦フレーム14には、上記と概ね同様、受入凹段部16の段底面において開口するように、かつパネル幅方向外側から固着具19が挿通される挿通孔16bが設けられている。下フレーム30には、この挿通孔16bを介して止着される固着具19の止着部30cが設けられている。
下フレーム30には、上記した上フレーム20と概ね同様、受入溝30aのパネル厚さ方向両側において中実状とされた部位のそれぞれの長手方向の端面において開口するように穴状とされた2つの止着部30c,30cが設けられている。これら止着部30c,30cは、上記同様、雌ねじ穴でもよく、下穴でもよい。これら止着部30c,30cは、下フレーム30の全長に亘って延びるように設けられていてもよい。
【0047】
縦フレーム14には、これら止着部30c,30cに整合する位置となるように、受入溝14aのパネル厚さ方向両側部位をパネル幅方向に貫通するように2つの挿通孔16b,16bが設けられている。これら挿通孔16b,16bは、上記同様、パネル幅方向内側部位が固着具19の軸部に応じた径とされ、パネル幅方向外側部位がパネル幅方向内側部位よりも大径状とされ、かつ固着具19の頭部に応じた径とされている。これら挿通孔16b,16bに納められた固着具19の頭部を覆うように取り付けられるキャップ18,18が設けられている。
縦フレーム14の内側面14b、上フレーム20の下側面20b及び下フレーム30の上側面30bは、上記のような略円弧状とされた凹湾曲面状の傾斜面に限られず、多面形状の傾斜面や略平坦面状の傾斜面でもよく、その他、種々の傾斜面でもよい。この場合は、上記した受入凹段部15,16等の形状を、適宜、必要に応じて変形すればよい。さらには、縦フレーム14の内側面14b並びに上フレーム20の下側面20b及び下フレーム30の上側面30bのうちの一方または両方が板状部材11の表面に対して略垂直面状とされていてもよい。
下フレーム30と縦フレーム14との接合態様及び上フレーム20と縦フレーム14との接合態様としては、上記したような態様に限られない。例えば、下フレーム30と縦フレーム14との接合部及び上フレーム20と縦フレーム14との接合部の両方または一方を、互いに斜め状に切断して留め継ぎ状に接合する態様としてもよく、また、別体とされた接合部材を用いて接合されていてもよい。これらの接合態様としては、その他、種々の接合態様の採用が可能である。
【0048】
下フレーム30の下面側のパネル厚さ方向中央側部位には、図3及び図4に示すように、下方側に向けて突出し、かつ全長に亘って延びる突部31が設けられている。後述するガイド取付部材36は、下フレーム30の下面側における突部31よりもパネル厚さ方向外側部位を貫通する固着具19によって下フレーム30に固定されている。このような構成とすれば、ガイド取付部材36を固定する固着具19の頭部が下フレーム30の下面側に位置することとなるので、固着具19を目立ち難くすることができ、また、突部31がパネル本体10の下端となるのでパネル本体10の下端における固着具19頭部の突出を抑制することができる。また、突部31が下フレーム30の下面側のパネル厚さ方向中央側部位に設けられているので、下フレーム30の上下方向に沿う見付寸法を小さく見せることができ、すっきりとした印象を与えることができる。
【0049】
突部31は、ガイド溝34の開口側の溝幅方向両側壁を構成するように、パネル厚さ方向に間隔を空けて2箇所に設けられている。このような構成とすれば、ガイド溝34の溝深さ寸法を確保しながらも、上記のように下フレーム30の見付寸法を小さく見せることができる。
パネル本体10は、下フレーム30に設けられた下向き開口の受入溝32(図8参照)に収容され、ガイド溝34の溝幅方向両側壁部を構成する樹脂製のガイド溝部材33を備えている。このような構成とすれば、第1戸パネル10Aのガイド部37aを、ガイド溝部材33によって溝幅方向両側が区画されるガイド溝34に沿って相対的に移動させることができる。これにより、金属製の下フレーム30と金属製のガイド体37のガイド部37aとの摺動による異音等の発生を抑制することができる。
【0050】
ガイド溝34の長手方向両端部には、ガイド部37aが当接される衝撃吸収部材35,35が設けられている。このような構成とすれば、ガイド溝34内を相対的に移動するガイド部37aが溝長手方向両端部において当接する際に生じる衝撃を緩和することができ、ガイド部37aの損傷や異音の発生等を抑制することができる。
衝撃吸収部材35,35は、中空筒状とされた下フレーム30のパネル幅方向両端部内に収容されたガイド取付部材36,36と下フレーム30とによって保持されている。このような構成とすれば、第2戸パネル10B及び第1戸パネル10Aに設ける部品の共通化を図ることができ、必要に応じて第2戸パネル10Bにガイド体37を取り付けることも可能となる。また、ガイド取付部材36に、ガイド体37を取り付ける機能と衝撃吸収部材35を保持する機能とを兼ね備えさせることができ、部品点数を削減することもできる。
【0051】
具体的には、下フレーム30は、図8及び図10に示すように、上記した止着部30c,30cが設けられた上側部位よりも下方側となる下側部位に、パネル幅方向に見て、略方形状の中空部を全長に亘って設けた構成とされている。この中空部は、上側が止着部30c,30c及び受入溝30aが設けられた上側部位によって区画され、パネル厚さ方向両側が上側部位のパネル厚さ方向両側縁から垂れ下がるように設けられた両側の側片部によって区画されている。中空部の下側は、両側の側片部の下端部から互いに向き合う方向に延出し、互いの間に受入溝32を形成するように設けられた下片部によって区画されている。
受入溝32は、中空部に連通するように設けられている。この受入溝32は、下フレーム30の下面側のパネル厚さ方向略中央部において下向きに開口し、かつ全長に亘って延びるように設けられている。この受入溝32の溝幅方向両側は、一対の突部31,31によって区画されている。これら突部31,31は、下フレーム30の中空部を区画する下片部の対向端部から下方側に向けて突出するように設けられている。これら突部31,31の突出寸法は、固着具19の頭部がパネル本体10の下端とならないように、また、ガイド溝34の溝深さを確保する観点等から適宜の寸法とされていてもよく、例えば、3mm~10mm程度でもよい。
【0052】
下フレーム30には、これら突部31,31のパネル厚さ方向外側部位において開口するように、ガイド取付部材36を下フレーム30に固定する固着具19の挿通孔30eが設けられている。図例では、下フレーム30の長手方向の各端部に、パネル厚さ方向両側の下片部を貫通させるように、4つの挿通孔30eを設けた例を示している。
下フレーム30の中空部の下方側に向く内天面には、図4及び図10に示すように、ガイド溝部材33及びガイド取付部材36に設けられた突部33a,36aを受け入れる受溝30dが下向きに開口し、かつ全長に亘って延びるように設けられている。この受溝30dは、パネル厚さ方向略中央部に位置するように設けられている。
下フレーム30、上記した両側の縦フレーム14,14、上フレーム20及び両側のカバー22,22は、適宜の金属系材料から形成された押出成形品でもよい。これら両側の縦フレーム14,14、上フレーム20、両側のカバー22,22及び下フレーム30の表面は、化粧シートの貼着や塗装等の適宜の表面化粧処理によって化粧面とされていてもよい。
【0053】
ガイド溝部材33は、パネル幅方向に長尺状とされている。このガイド溝部材33は、は、適宜の合成樹脂系材料から形成された押出成形品でもよい。
このガイド溝部材33は、ガイド溝34の溝底を区画する溝底片部と、ガイド溝34の溝幅方向両側を区画する溝側壁部と、を有し、パネル幅方向に見て、下向きに開口する略U字状(略コ字状)とされている。ガイド溝部材33の突部33aは、溝底片部の上面から上方側に向けて突出するように設けられている。
このガイド溝部材33の両側の溝側壁部は、両側の突部31,31の対向する内側面に当接または近接するように設けられている。
このガイド溝部材33の両側の溝側壁部の外側面の上下方向途中部位には、突部31,31と下片部との角部に係止する係止突部33b,33bが設けられている。これら係止突部33b,33bは、パネル厚さ方向外側に向けて突出するように設けられ、下側に向く面が下片部の上面に当接される。これら係止突部33b,33bは、ガイド溝部材33の両側の溝側壁部の下端が突部31,31の下端と略同高さとなるように設けられている。つまり、これら係止突部33b,33bの下側に向く面からガイド溝部材33の両側の溝側壁部の下端までの寸法と、下片部の上面から突部31,31の下端までの寸法と、が略同寸法とされている。これら係止突部33b,33bは、ガイド溝部材33の全長に亘って設けられていてもよく、長手方向に間隔を空けて複数箇所に設けられていてもよい。
【0054】
このガイド溝部材33は、下フレーム30の長手方向一方側の開口から差し込まれて下フレーム30に取り付けられてもよい。
このガイド溝部材33は、長手方向両端部がパネル幅方向両側のガイド取付部材36,36に設けられた受入溝36b,36bに差し込まれている(図8図9及び図10(a)参照)。ガイド溝部材33の長手方向両端部の突部33aは、これらパネル幅方向両側のガイド取付部材36,36の受入溝36b,36bに干渉しないように切除されている。
このガイド溝部材33の長さ寸法は、図3に示すように、パネル幅方向両側のガイド取付部材36,36に保持された衝撃吸収部材35,35間の寸法に応じた寸法とされている。このガイド溝部材33は、その長手方向への移動がパネル幅方向両側の衝撃吸収部材35,35によって抑制され、パネル厚さ方向への移動が両側の突部31,31によって抑制されている。ガイド溝部材33の上下方向への移動は、受溝30dに係合する突部33a及び下片部に係止する係止突部33b,33bによって抑制されている。ガイド溝部材33の下フレーム30への固定態様としては、上記のような構成に限られず、その他、種々の変形が可能である。また、このようなガイド溝部材33を設けてない構成としてもよい。また、下フレーム30に、上記のような突部31,31を設けていない構成としてもよい。
【0055】
パネル幅方向両側のガイド取付部材36,36及びこれらのそれぞれに保持されたパネル幅方向両側の衝撃吸収部材35,35は、互いに同様の構成であるので、以下では、一方側を例にとって説明する。
衝撃吸収部材35は、図3及び図10(a)に示すように、ガイド溝34の溝長手方向の溝内端面を区画するように設けられている。この衝撃吸収部材35は、図8図9及び図10(b)に示すように、ガイド取付部材36に設けられた受入溝36bに差し込まれ(嵌め込まれ)ている。この衝撃吸収部材35のパネル厚さ方向に沿う寸法は、ガイド溝34の溝幅よりも大とされている。この衝撃吸収部材35の上下方向に沿う寸法は、ガイド溝34の溝深さよりも大とされている。この衝撃吸収部材35のパネル幅方向に沿う寸法は、衝撃吸収性等の観点から適宜の寸法とされていてもよく、例えば、3mm~50mm程度でもよく、20mm以下でもよい。この衝撃吸収部材35は、ゴムや、ABS等の適宜の合成樹脂系材料から形成されていてもよい。
【0056】
この衝撃吸収部材35は、その上面が受入溝36bの溝底に当接または近接され、パネル厚さ方向両側面が受入溝36bの溝幅方向両内側面及び両側の突部31,31の対向する内側面に当接または近接するように設けられている。
この衝撃吸収部材35のパネル厚さ方向両側面の上下方向途中部位には、上記したガイド溝部材33と概ね同様、突部31,31と下片部との角部に係止する係止突部35b,35bが設けられている。つまり、衝撃吸収部材35は、上方側への移動がガイド取付部材36の受入溝36bの溝底によって抑制され、下方側への移動が係止突部35b,35bが係止する下フレーム30の下片部によって抑制されている。また、衝撃吸収部材35は、パネル厚さ方向への移動がガイド取付部材36の受入溝36bの溝幅方向両内側面及び下フレーム30の両側の突部31,31によって抑制されている。また、衝撃吸収部材35は、図3に示すように、パネル幅方向外側への移動がガイド取付部材36の受入溝36bの溝長手方向一方側(パネル幅方向外側)を区画する内端面によって抑制され、パネル幅方向内側への移動がガイド溝部材33によって抑制されている。
【0057】
図例では、ガイド取付部材36の受入溝36bの内端面に、上下方向に見て円弧状とされた凹湾曲面部36cを設けた例を示している。衝撃吸収部材35のパネル幅方向外側には、パネル幅方向外側に向けて突出し、この凹湾曲面部36cに当接される突部35aが設けられている。凹湾曲面部36cは、後記するガイドピン9aのガイド溝34内における相対的な可動範囲をより大とする場合に、衝撃吸収部材35を設けない構成とすることで、ガイドピン9aの一部を受入可能とされている。このような凹湾曲面部36cや突部35aを設けていない構成としてもよい。
衝撃吸収部材35の構成や衝撃吸収部材35を下フレーム30に保持させる構成としては、上記したような構成に限られず、その他、種々の変形が可能である。さらには、このような衝撃吸収部材35を設けていない構成としてもよい。
【0058】
ガイド取付部材36は、図8図10に示すように、下フレーム30の中空部の形状に応じた概ね直方体形状とされている。このガイド取付部材36は、上側面、下側面及びパネル厚さ方向両外側面が下フレーム30の中空部の内天面、内底面及びパネル厚さ方向両内側面に当接または近接するように中空部に収容されている。このガイド取付部材36のパネル幅方向外側に向く面は、上記した縦フレーム14の受入凹段部16の段底面に突き合わせられる。図例では、ガイド取付部材36のパネル幅方向外側に向く面に、受入凹段部16の段底面に上下方向に延びるように設けられた溝に嵌め込まれる突部を設けた例を示している。
突部36aは、ガイド取付部材36の上側面のパネル厚さ方向略中央部において上方側に向けて突出し、かつパネル幅方向の全体に亘って延びるように設けられている。図例では、この突部36aのパネル厚さ方向両側に、上方側に向けて開口し、かつパネル幅方向の略全体に亘って延びる溝を設けた例を示している。
受入溝36bは、下方側及びパネル幅方向内側に向けて開口するように設けられている。この受入溝36bの溝深さ寸法及び溝幅寸法は、突部33aが切除されたガイド溝部材33の受け入れが可能なようにガイド溝34の溝深さ寸法及び溝幅寸法よりも大とされている。この受入溝36bの下方側の開口両縁部には、上記したガイド溝部材33及び衝撃吸収部材35の係止突部33b,33b,35b,35bを受入可能なように下向き拡開状の傾斜面が設けられている。
【0059】
ガイド取付部材36は、図7及び図8に示すように、下フレーム30よりもパネル幅方向外側に向けて突出するように設けられ、下フレーム30と縦勝状に連結される縦フレーム14の下端面14dを覆う下端覆い部36dを備えている。このような構成とすれば、縦フレーム14の下端面14dを下端覆い部36dによって覆うことができる。これにより、縦フレーム14の下端面14dが切断面である場合にも切断面の露出を抑制することができる。この下端覆い部36dは、下フレーム30のパネル厚さ方向両側の側片部の下端部、両側の下片部及び両側の突部31,31のパネル幅方向外側に向く端面を覆うように設けられている。この下端覆い部36dは、ガイド取付部材36のパネル幅方向外側端部の下端縁からパネル幅方向外側及びパネル厚さ方向両側に突出するように設けられている。この下端覆い部36dのパネル厚さ方向中央部には、下方側に向けて突出し、両側の突部31,31間及びこれらの端面を覆う突部覆い部が設けられている。
【0060】
下端覆い部36dは、パネル厚さ方向両側部位の下方側に向く面が下フレーム30の下片部の下面と略同一平面状となり、突部覆い部のパネル厚さ方向外側及び下方側に向く面が突部31,31の外側面及び下端面とそれぞれ略同一平面状となるように設けられている。下端覆い部36dは、パネル厚さ方向外側に向く面が縦フレーム14のパネル厚さ方向外側に向く面と略同一平面状となり、パネル幅方向外側に向く面が縦フレーム14のパネル幅方向外側に向く面と略同一平面状となるように設けられている。このような下端覆い部36dをパネル取付部材36に設けていない構成としてもよい。この場合は、縦フレーム14の下端面14dを覆う適宜のキャップ部材を別途に設けた構成としてもよい。
ガイド取付部材36には、下フレーム30に設けられた挿通孔30eに整合する位置となるように、固着具19の止着部36eが設けられている。図例では、下フレーム30の4つの挿通孔30eのそれぞれに応じた位置となるように、4つの止着部36eを受入溝36bの両側のそれぞれにおいてパネル幅方向に間隔を空けて設けた例を示している。これら止着部36eは、上記同様、雌ねじ穴でもよく、下穴でもよい。
【0061】
ガイド体37の被取付部39が差し込まれる下フレーム30の挿通孔30f及びガイド取付部材36の取付穴36fは、下フレーム30及びガイド取付部材36のパネル厚さ方向両側のそれぞれに設けられている。このような構成とすれば、第1戸パネル10Aの配置態様や右引き及び左引き(左右引き仕様)等に応じて、ガイド体37をパネル厚さ方向両側のうちのいずれかに選択的に取り付けることができる。
被取付部39は、軸方向が上下方向となる四角柱状とされ、取付穴36fは、下向きに開口する四角穴状とされている。このような構成とすれば、ガイド体37を取り付ける際に、被取付部39が軸回りに回転するようなことを抑制することができる。また、例えば、下フレーム30に取付穴を設けるために中実状の部位を設けた構成としても四角穴状の取付穴は成形上、設け難いことが考えられる。上記構成によれば、ガイド取付部材36は、下フレーム30とは別体であるので鋳造成形品等とでき、四角穴状の取付穴36fを容易に設けることができる。
【0062】
具体的には、下フレーム30の挿通孔30f,30fは、図3図8及び図10(b)に示すように、下フレーム30の長手方向の各端部のパネル厚さ方向両側の下片部を貫通するように設けられている。パネル厚さ方向両側の挿通孔30f,30fは、パネル幅方向で互いに一致した位置となるように設けられている。これら挿通孔30f,30fは、取付穴36fと同径状の四角孔状とされている。図例では、これら挿通孔30f,30fは、略正方形孔状とされている。
ガイド取付部材36の取付穴36f,36fは、ガイド取付部材36のパネル幅方向外側端部のパネル厚さ方向両側部位の下面側において開口するように設けられている。パネル厚さ方向両側の取付穴36f,36fは、パネル幅方向で互いに一致した位置となるように設けられている。これら取付穴36f,36fは、挿通孔30f,30fと同様、略正方形穴状とされている。これら取付穴36f,36fの上下方向に沿う深さ寸法は、ガイド体37の被取付部39を安定的に取り付け可能なように適宜の寸法としてもよい。
【0063】
下フレーム30及びガイド取付部材36には、挿通孔30fを介して取付穴36fに差し込まれた被取付部39の止着部39aに止着される固着具19が挿通される挿通孔30g,36gが設けられている。これら挿通孔30g,36gは、取付穴36fに対して直交状に交差するように設けられている。ガイド取付部材36の挿通孔36gは、ガイド取付部材36のパネル厚さ方向外側に向く面において開口し、取付穴36fに連通するようにパネル厚さ方向に沿って設けられている。この挿通孔36gは、パネル厚さ方向両側の各取付穴36f,36fに連通するように、パネル厚さ方向両側のそれぞれに設けられていてもよく、ガイド取付部材36をパネル厚さ方向に貫通するように設けられていてもよい。下フレーム30の挿通孔30gは、ガイド取付部材36の挿通孔36gに整合する位置となるように、パネル厚さ方向両側の側片部のそれぞれを貫通するように設けられている。
【0064】
ガイド体37は、第1戸パネル10Aの第1端部としての戸先側端部の下端部に取り付けられている。
このガイド体37の被取付部39は、上端側部位が挿通孔30fを介して取付穴36fに差し込まれ、下端側部位が下フレーム30の下片部の下面から下方側に向けて延出するように設けられている。この被取付部39の下端側部位の延出寸法は、後記する連結支持部38が隣接する第2戸パネル10Bの突部31の下端に干渉しないように適宜の寸法とされている。この被取付部39の外径(一辺の寸法)は、取付穴36fの内径(一辺の寸法)に応じた寸法とされている。
被取付部39の止着部39aは、下フレーム30の挿通孔30g及びガイド取付部材36の挿通孔36gに整合する位置となるように設けられている。この止着部39aは、図例では、被取付部39をパネル厚さ方向に貫通するように設けられた孔状とされている。この止着部39aは、上記同様、雌ねじ穴でもよく、下穴でもよい。このような態様に代えて、被取付部39をパネル幅方向に貫通する止着部39aとしてもよい。この場合は、縦フレーム14及びガイド取付部材36のパネル幅方向外側部位に、取付穴36fに連通するようにパネル幅方向に沿って挿通孔が設けられていてもよい。被取付部39をガイド取付部材36に取り付ける態様としては、上記のような態様に限られない。例えば、被取付部39に止着部39aを設けた態様に代えて、ガイド取付部材36に設けられた雌ねじ孔にねじ合わされる固着具19の先端を被取付部39に圧接するような態様でもよく、その他、種々の態様とされていてもよい。
【0065】
ガイド部37aは、閉鎖位置において第1戸パネル10Aと第2戸パネル10Bとの召し合わせ部における縦フレーム14,14同士がパネル厚さ方向に見て互いに重なり合う位置に配置可能なように、被取付部39よりもパネル幅方向外側に位置されている。ガイド部37aは、被取付部39よりもパネル幅方向外側に位置するように連結支持部38に支持されている。このような構成とすれば、縦フレーム14のパネル幅方向に沿う寸法の小型化を図ってガイド体37を下フレーム30側に取付可能でありながらも、上記召し合わせ部の縦フレーム14,14同士をパネル厚さ方向に見て重なり合う位置に配置することができる。
連結支持部38は、図3図7及び図10に示すように、被取付部39の下端部からパネル厚さ方向外側に向けて延出する第1支持部38aと、この第1支持部38aの延出方向の先端部からパネル幅方向外側に向けて延出する第2支持部38bと、を備えている。つまり、連結支持部38は、平面視して略L字状とされている。
【0066】
第1支持部38aは、図4に示すように、パネル幅方向に見て、先端部が第2戸パネル10Bのガイド溝34の直下に位置するように設けられている。
第2支持部38bは、図3に示すように、第2戸パネル10Bのガイド溝34に平行状にパネル幅方向に延びるように設けられている。
ガイド部37aは、図4及び図7に示すように、第2支持部38bの延出方向の先端部から上方側に向けて突出するように設けられている。このガイド部37aの突出寸法は、ガイド溝34に挿入可能で、かつガイド溝34の溝底に干渉しないように適宜の寸法とされている。
これらガイド部37a、第1支持部38a及び第2支持部38bは、いずれも軸方向が延出方向(突出方向)となる四角柱状とされている。これらガイド部37a、第1支持部38a及び第2支持部38bの外径(一辺の寸法)は、上記した被取付部39の外径(一辺の寸法)と同径(同寸法)とされている。
【0067】
ガイド体37としては、このようにガイド部37a、連結支持部38及び被取付部39が四角柱状とされた構成に限られず、少なくとも被取付部39が四角柱状とされていてもよい。また、ガイド体37は、三角柱状や五角以上の多角柱状とされていてもよく、更には、円柱状とされていてもよい。この場合は、取付穴36fをガイド体37の被取付部39の形状に合わせた形状とすればよい。
連結支持部38としては、上記のように、平面視して略L字状とされた構成に限られず、被取付部39からパネル厚さ方向外側でかつパネル幅方向外側に向けて斜め状に直線状に延びる構成とされていてもよい。
ガイド体37及びガイド取付部材36は、適宜の金属系材料から形成された鋳造成形品(ダイカスト)でもよい。
【0068】
上記構成とされた引戸装置1においては、第1戸パネル10A及び第2戸パネル10Bが閉鎖位置では、図2(a)に示すように、ガイド部37aは、第2戸パネル10Bのガイド溝34の戸尻側(固定パネル10C側)端部に位置する。この状態では、ガイド部37aは、第2戸パネル10Bのガイド溝34の戸尻側端部に設けられた衝撃吸収部材35に当接または近接される(図3の二点鎖線参照)。また、第1戸パネル10Aの戸先側の縦フレーム14と第2戸パネル10Bの戸尻側の縦フレーム14とがパネル厚さ方向に見て重なり合う位置となる。
この閉鎖位置から第2戸パネル10Bを開放側に移動させれば、第1戸パネル10Aのガイド部37aが第2戸パネル10Bのガイド溝34に沿って相対的に移動し、第2戸パネル10Bのガイド溝34の戸先側端部に設けられた衝撃吸収部材35に当接する。この状態で、更に第2戸パネル10Bを開放側に移動させれば、第1戸パネル10Aのガイド部37aが第2戸パネル10Bの戸先側の衝撃吸収部材35に押されるようにして第1戸パネル10Aが開放側に連動して移動し、開放位置となる。
【0069】
第1戸パネル10A及び第2戸パネル10Bが開放位置では、図2(b)及び図3に示すように、ガイド部37aは、第2戸パネル10Bのガイド溝34の戸先側(出入口5側)端部に位置する。この状態では、ガイド部37aは、第2戸パネル10Bのガイド溝34の戸先側端部に設けられた衝撃吸収部材35に当接または近接される。
この開放位置から第2戸パネル10Bを閉鎖側に移動させれば、第1戸パネル10Aのガイド部37aが第2戸パネル10Bのガイド溝34に沿って相対的に移動し、第2戸パネル10Bのガイド溝34の戸尻側端部に設けられた衝撃吸収部材35に当接する。この状態で、更に第2戸パネル10Bを閉鎖側に移動させれば、第1戸パネル10Aのガイド部37aが第2戸パネル10Bの戸尻側の衝撃吸収部材35に押されるようにして第1戸パネル10Aが閉鎖側に連動して移動し、閉鎖位置となる。
【0070】
引戸装置1は、図4に示すように、床3側に固定され、第1戸パネル10Aのパネル本体10のガイド溝34に差し込まれるガイドピン9aを有したガイド部材9を備えている。このような構成とすれば、共通部品とされたパネル本体10のガイド溝34を、床3側に固定されるガイド部材9のガイドピン9aが差し込まれるガイド溝として利用することができる。また、第1戸パネル10Aの下端側のパネル厚さ方向への振れを抑制することができる。ガイド部材9は、図2に示すように、閉鎖位置と開放位置との間を移動する第1戸パネル10Aのガイド溝34にガイドピン9aの挿入が可能となるように設けられている。図例では、ガイド部材9は、パネル厚さ方向に見て、ガイドピン9aが固定パネル10Cの出入口5側の端部の端面よりも僅かに出入口5側に位置するように、固定パネル10Cのパネル厚さ方向一方側に設けられている。このガイド部材9は、床3に沿うように固定される固定片部の上面から上方側に向けて突出させるようにガイドピン9aを固定的に設けた構成とされている。
【0071】
第1戸パネル10Aが閉鎖位置では、図2(a)に示すように、ガイドピン9aは、第1戸パネル10Aのガイド溝34の戸尻側(固定パネル10C側)端部に位置する。この状態では、ガイドピン9aは、第1戸パネル10Aのガイド溝34の戸尻側端部に設けられた衝撃吸収部材35に当接または近接される(図3の二点鎖線参照)。
第1戸パネル10Aが開放位置では、図2(b)及び図3に示すように、ガイドピン9aは、第1戸パネル10Aのガイド溝34の戸先側(出入口5側)端部に位置する。この状態では、ガイドピン9aは、第1戸パネル10Aのガイド溝34の戸先側端部に設けられた衝撃吸収部材35に当接または近接される。ガイド部材9としては、ガイドピン9aが固定的に設けられた構成に限られず、床3側に埋込状に設けられ上方側に向けて出没自在とされたガイドピン9aを備えたマグネットガイドでもよい。この場合は、ガイド溝34側に、ガイドピン9aに設けられた磁石を吸着する適宜の強磁性体等を設けるようにすればよい。
【0072】
引戸装置1は、図4に示すように、床3側に固定され、固定パネル10Cのパネル本体10のガイド溝34に差し込まれる突部8aを有した下端保持部材8を備えている。このような構成とすれば、固定パネル10Cのパネル本体10の外観を可動パネルと同様の外観としながらも、固定パネル10Cの下端を下端保持部材8に保持させることができる。つまり、固定パネル10Cは、上端側が上記した上端保持部材7に保持され、下端側が下端保持部材8に保持される。上端保持部材7及び下端保持部材8は、固定パネル10Cの係合突部29を上端保持部材7の保持溝7aに受け入れさせた状態で、固定パネル10Cの下端のガイド溝34に下端保持部材8の突部8aを受け入れさせてけんどん状に設置可能な構成とされていてもよい。このように設置する際には、固定パネル10Cのカバー22,22を取り外した状態で行うようにしてもよい。
【0073】
この下端保持部材8は、図3に示すように、パネル幅方向に長尺状とされている。この下端保持部材8の長さ寸法は、固定パネル10Cの幅寸法以下とされている。図例では、中空筒状とされた下端保持部材8の出入口5側の端部の開口を覆うキャップを取り付けた例を示している。また、図例では、下端保持部材8の出入口5側の端部とは異なる側の端部を、隙間調整突部4aに突き合わせた例を示しているが、キャップを取り付けた態様としてもよい。
この下端保持部材8は、図4に示すように、パネル幅方向に見て、略方形状の本体部の上面に、上方側に向けて突出するように突部8aを設けた構成とされている。この突部8aは、ガイド溝34に挿入が可能なように、下端保持部材8の概ね全長に亘って設けられていてもよく、長手方向に間隔を空けて複数箇所に設けられていてもよい。図例では、突部8aは、パネル幅方向に見て、T字状とされている例を示しているが、このような例に限られない。この突部8aのパネル厚さ方向に沿う寸法は、ガイド溝34に挿入が可能なように、ガイド溝34の溝幅に応じて適宜の寸法とされている。また、突部8aは、上記のようにガイド溝34の両端側に設けられた衝撃吸収部材35,35に干渉しないように、下端保持部材8の長手方向両端部には設けられていない構成としてもよい。
【0074】
この下端保持部材8のパネル厚さ方向に沿う寸法は、下フレーム30のパネル厚さ方向に沿う寸法よりも小とされている。このような構成とすれば、下端保持部材8を目立ち難くすることができる。
この下端保持部材8の上下方向に沿う寸法は、固定パネル10Cが可動パネル(第1戸パネル10A及び第2戸パネル10B)と略同高さに位置するように、上レール6に吊下支持される可動パネルの下端から床3までの上下方向に沿う寸法に応じた寸法でもよい。図例では、下端保持部材8の突部8aを除く部位の上下方向に沿う寸法と下端保持部材8のパネル厚さ方向に沿う寸法とを略同寸法とした例を示している。
この下端保持部材8は、ねじ等の固着具によって床3側の固定対象に固定されてもよい。図例では、T字状とされた突部8aの横片部のパネル厚さ方向一方側部位を切り欠くようにして、下端保持部材8の突部8aの縦片部よりもパネル厚さ方向一方側となる部位を貫通する挿通孔を介して固着具を固定対象に止着した例を示している。この下端保持部材8は、適宜の金属系材料から形成された押出成形品でもよい。この下端保持部材8の表面は、化粧シートの貼着や塗装等の適宜の表面化粧処理によって化粧面とされていてもよい。下端保持部材8としては、図例のような構成に限られず、例えば、固定パネル10Cが水平(上下端面が水平)となるように調整可能な調整機構や固定パネル10Cが垂直(厚さ方向両面が垂直)となるように調整可能な調整機構を備えていてもよい。つまりは、下端保持部材8は、床3側の不陸を吸収し得る不陸吸収機構を備えていてもよい。この場合、下端保持部材8は、例えば、床3側に固定されるベース部と、このベース部に対して上下動自在に、かつパネル幅方向に間隔を空けて複数箇所に設けられる高さ調整部と、を備えた構成とされていてもよい。下端保持部材8としては、その他、種々の構成とされていてもよい。
【0075】
上記構成とされた引戸装置1を施工する際には、上レール6を天井2側の固定対象に固定し、ガイド部材9を床3側の固定対象に固定する。そして、第1戸パネル10Aのガイド溝34にガイド部材9のガイドピン9aを係合させ、上レール6に吊下支持されたランナー25のランナー本体26を第1戸パネル10Aの固定部28に連結して第1戸パネル10Aを吊下げる。そして、第1戸パネル10Aのガイド部37aを、第2戸パネル10Bのガイド溝34に係合させ、上レール6に吊下支持されたランナー25のランナー本体26を第2戸パネル10Bの固定部28に連結して第2戸パネル10Bを吊下げるようにしてもよい。
【0076】
固定パネル10Cは、図11及び図12に示すように、天井2側に固定された上端保持部材7及び床3側に固定された下端保持部材8に対して固定パネル10Cをパネル幅方向にスライドさせて設置するようにしてもよい。例えば、可動パネルが1枚のみで片引きの場合には、固定パネル10Cの側方の出入口5の開口幅が固定パネル10Cのパネル幅寸法よりも小となる場合がある。このような場合には、出入口5側から固定パネル10Cをパネル幅方向にスライドさせ難くなるため、以下のようにしてもよい。この場合、固定パネル10Cの隙間調整突部4aに突き合わせられる縦フレーム14の上端部に、上端保持部材7の両側の溝側片部の受け入れが可能な切欠状の凹所を設けるようにしてもよい(図11(b)参照)。また、固定パネル10Cの隙間調整突部4a側のガイド取付部材36を設けない構成とし、縦フレーム14の下端部を下フレーム30の端面を全面に亘って覆い得る形状とし、かつこの下端部に下端保持部材8の突部8aの受け入れが可能な切欠状の凹所を設けるようにしてもよい。
【0077】
図11(a)に示すように、上記のように出入口5側の端部に欠落部が設けられた上端保持部材7を天井2側に固定し、出入口5側の端部にキャップが取り付けられた下端保持部材8を床3側に固定する。この下端保持部材8の突部8aの出入口5側の端部は、固定パネル10Cの出入口5側の衝撃吸収部材35やガイド取付部材36に干渉しないように切除されていてもよい。
そして、図11(b)及び図12(a)に示すように、固定パネル10Cの隙間調整突部4a側の端部の下端部のガイド溝34に、下端保持部材8の突部8aを受け入れさせる。また、固定パネル10Cの隙間調整突部4a側の端部の上端部を、上端保持部材7の欠落部に受け入れさせる。そして、図12(b)に示すように、固定パネル10Cを隙間調整突部4aに当接するまで上端保持部材7及び下端保持部材8に沿わせてパネル幅方向にスライドさせる。そして、図1に示すように、上フレーム20のパネル厚さ方向両側にカバー22,22を取り付けるようにしてもよい。これらカバー22,22の隙間調整突部4a側の端部は、隙間調整突部4aとの間に隙間を設けた状態で固着具19を止着して固定するようにしてもよい。
【0078】
固定パネル10Cの施工手順としては、上記したような構成に限られず、けんどん状に設置するようにしてもよい。この場合は、隙間調整突部4aに突き合わせられる縦フレーム14の上端部に切欠状の凹所を設けないようにしてもよく、また、隙間調整突部4a側のガイド取付部材36を設けた構成としてもよい。また、この場合は、隙間調整突部4a側に手指の差し込みが可能でけんどん状に立てた後に隙間調整突部4a側にスライド可能なように、上端保持部材7及び下端保持部材8の突部8aのパネル幅方向に沿う寸法を適宜の寸法としてもよい。つまり、上端保持部材7と隙間調整突部4a側の縦フレーム14とが干渉しないように、また、下端保持部材8の突部8aと衝撃吸収部材35やガイド取付部材36とが干渉しないように、上端保持部材7及び下端保持部材8の突部8aのパネル幅方向に沿う寸法を適宜の寸法としてもよい。この場合において、上下両端側において隙間調整突部4aとの間に隙間が形成される場合には、隙間を遮蔽する適宜の隙間遮蔽部材を設けた構成としてもよい。引戸装置1の施工手順としては、上記したような構成に限られず、その他、種々の構成の採用が可能である。
【0079】
上記した例では、閉鎖位置において第1戸パネル10Aの戸先側の縦フレーム14と第2戸パネル10Bの戸尻側の縦フレーム14とがパネル厚さ方向に見て重なり合う位置となる態様とした例を示しているが、重なり合わない位置となる態様としてもよい。この場合は、ガイド体37のガイド部37aと被取付部39とがパネル幅方向で一致した位置となるように、連結支持部38がパネル厚さ方向に延びる直線状とされていてもよい。
上記した例では、第1戸パネル10Aの戸先側にガイド体37を取り付けた例を示しているが、第2戸パネル10Bの戸尻側に、第1戸パネル10Aのガイド溝34に差し込まれるガイド部37aを有したガイド体37を取り付けた構成としてもよい。この場合は、上記のようなガイド部材9を設けていない構成としてもよい。
上記した例では、被取付部39が差し込まれる挿通孔30f及び取付穴36fを、下フレーム30及びガイド取付部材36のパネル厚さ方向両側に設けた例を示しているが、パネル厚さ方向一方側のみに設けた構成としてもよい。
【0080】
上記した例では、下フレーム30のパネル幅方向の各端部に選択的にガイド体37の取付が可能なように、下フレーム30のパネル幅方向の各端部にガイド取付部材36,36を設けた例を示しているが、パネル幅方向一方側の端部のみに設けた構成としてもよい。
上記した例では、第1戸パネル10A、第2戸パネル10B及び固定パネル10Cの各パネル本体10,10,10を、同様の構成とした例を示しているが、異なる構成とされていてもよい。
上記した例では、開放位置の第1戸パネル10A及び第2戸パネル10Bが納められる袖壁を、これらと同様に採光性を有した固定パネル10Cによって構成した例を示しているが、このような態様に代えて、不透光な壁体によって構成してもよい。
【0081】
上記した例では、2枚片引き状に配される第2戸パネル10Bとこの開閉に連動するように移動される第1戸パネル10Aとを備えた引戸装置1を例示しているが、このような態様に限られない。例えば、引戸装置1は、3枚以上の連動する戸パネルを備えていてもよい。この場合は、適宜の枚数の戸パネルに、他の戸パネルのガイド溝34に差し込まれるガイド部37aを有したガイド体37を取り付けるようにしてもよい。また、上記のように共通部品とされるパネル本体10は、複数枚が連動する戸パネルとして設置される態様に限られず、1枚のみで設置されたり、引分状に設置されたりしてもよい。本実施形態に係る戸パネル(第1戸パネル)10A及びこれを備えた引戸装置1の各部材及び各部の構成は、上記したような構成に限られず、その他、種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0082】
1 引戸装置
6 上レール
10A 第1戸パネル(戸パネル)
10B 第2戸パネル(隣接戸パネル)
11 板状部材
13 四周フレーム(四周のフレーム)
14 縦フレーム
14d 下端面
30 下フレーム
30f 挿通孔
31 突部
32 受入溝
33 ガイド溝部材
34 ガイド溝
35 衝撃吸収部材
36 ガイド取付部材
36d 下端覆い部
36f 取付穴
37 ガイド体
37a ガイド部
38 連結支持部
39 被取付部
19 固着具
図1
図2
図3
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図5
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図10
図11
図12