(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023067067
(43)【公開日】2023-05-16
(54)【発明の名称】断面積を低減させる障壁部材を備えるトナーカートリッジ
(51)【国際特許分類】
G03G 15/08 20060101AFI20230509BHJP
【FI】
G03G15/08 343
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021178019
(22)【出願日】2021-10-29
(71)【出願人】
【識別番号】511076424
【氏名又は名称】ヒューレット-パッカード デベロップメント カンパニー エル.ピー.
【氏名又は名称原語表記】Hewlett‐Packard Development Company, L.P.
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100130052
【弁理士】
【氏名又は名称】大阪 弘一
(74)【代理人】
【識別番号】100182006
【弁理士】
【氏名又は名称】湯本 譲司
(72)【発明者】
【氏名】竹本 和彦
(72)【発明者】
【氏名】田中 健二
【テーマコード(参考)】
2H077
【Fターム(参考)】
2H077AA03
2H077AA05
2H077AA35
2H077AB02
2H077AB14
2H077AB15
2H077AC02
(57)【要約】 (修正有)
【課題】トナー容器から効率よくトナーを排出する。
【解決手段】一態様のトナーカートリッジは、長手方向に延びており、第1端及び第2端を形成し、トナーを収容する収容空間を形成する筒状のトナー容器を備え、前記第1端において前記トナーを排出する排出口と、前記第1端及び前記第2端の間に設けられており、前記排出口に前記トナーを搬送する搬送部と、前記搬送部及び前記排出口の間における前記排出口から離隔した位置に設けられ、前記長手方向に直交する断面における前記トナー容器の前記収容空間の断面積を低減させる障壁部材と、を備える。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トナーカートリッジであって、
長手方向に延びており、第1端及び第2端を形成し、トナーを収容する収容空間を形成する筒状のトナー容器を備え、
前記第1端において前記トナーを排出する排出口と、
前記第1端及び前記第2端の間に設けられており、前記排出口に前記トナーを搬送する搬送部と、
前記搬送部及び前記排出口の間における前記排出口から離隔した位置に設けられ、前記長手方向に直交する断面における前記トナー容器の前記収容空間の断面積を低減させる障壁部材と、
を備える、
トナーカートリッジ。
【請求項2】
前記排出口に隣接しており、画像形成装置の現像装置の開口に前記排出口を接続する接続部を備える、
請求項1に記載のトナーカートリッジ。
【請求項3】
前記接続部は、前記長手方向に移動して前記排出口を開閉するシャッタである、
請求項2に記載のトナーカートリッジ。
【請求項4】
前記障壁部材は、前記収容空間において前記トナー容器の径方向の内側に突出している、
請求項1に記載のトナーカートリッジ。
【請求項5】
前記長手方向に直交する断面において放射状に延びる複数の前記障壁部材を備える、
請求項1に記載のトナーカートリッジ。
【請求項6】
前記長手方向に直交する断面において、前記障壁部材は、前記収容空間の外縁の面積の24%以上且つ54%以下の面積を占めている、
請求項1に記載のトナーカートリッジ。
【請求項7】
前記長手方向において前記排出口に届く位置まで延在する筒状のトナー搬送制御部材を備え、
前記障壁部材は、前記トナー搬送制御部材の内面から前記トナー搬送制御部材の内側に突出している、
請求項1に記載のトナーカートリッジ。
【請求項8】
前記トナー搬送制御部材は、筒状部と、前記筒状部から前記筒状部の内側に突出する羽根部とを有し、
前記障壁部材は、前記羽根部と一体とされている、
請求項7に記載のトナーカートリッジ。
【請求項9】
前記トナー搬送制御部材は、前記羽根部に固定されている搬送フィルムを有し、
前記搬送フィルムの径方向外側の端部は、前記羽根部の径方向外側の端部よりも突出している、
請求項8に記載のトナーカートリッジ。
【請求項10】
前記搬送部は、前記第1端及び前記第2端の間の前記収容空間の内壁に沿って形成されれており、前記トナー容器の回転に伴って前記排出口に前記トナーを搬送する螺旋突起である、
請求項1に記載のトナーカートリッジ。
【請求項11】
前記搬送部は、前記トナー容器の底部から開口まで延びる第1螺旋状突起と、前記開口側のみに形成された第2螺旋状突起とを含む、
請求項1に記載のトナーカートリッジ。
【請求項12】
前記長手方向に沿って延びる前記トナー容器の断面において、前記障壁部材は、前記トナー容器の周方向及び前記長手方向の双方に対して傾斜している、
請求項1に記載のトナーカートリッジ。
【請求項13】
前記長手方向に沿って延びる前記トナー容器の断面において、前記長手方向における位置が互いに異なる複数の前記障壁部材を備える、
請求項1に記載のトナーカートリッジ。
【請求項14】
前記トナー容器の外径が52mm以上且つ88mm以下である、
請求項1に記載のトナーカートリッジ。
【請求項15】
前記トナー容器の開口を覆うと共に前記排出口が形成されたキャップと、
前記キャップの内部に配置されるシール部材と、
を備える請求項1に記載のトナーカートリッジ。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
印刷媒体に画像を形成する画像形成装置は、トナーを収容するトナーカートリッジを備える。トナーカートリッジから現像装置にトナーが供給される。トナーカートリッジは、トナーを収容するトナー容器と、トナー容器に収容されたトナーが排出される排出口とを有する。
【図面の簡単な説明】
【0002】
【
図1】本明細書に開示された種々の例を実施するために使用することができる例示的な画像形成装置の概略図である。
【
図2】例示的なトナーカートリッジを示す斜視図である。
【
図3】例示的なトナーカートリッジ及び現像装置の断面図である。
【
図4】例示的なトナーカートリッジの断面図である。
【
図5】例示的なトナーカートリッジのキャップを示す斜視図である。
【
図6】例示的なトナーカートリッジのトナー搬送制御部材を示す斜視図である。
【
図7】例示的なトナーカートリッジのトナー搬送制御部材及びトナー容器を示す斜視図である。
【
図8】例示的なトナーカートリッジのトナー搬送制御部材を示す斜視図である。
【
図9】例示的なトナー容器、キャップ、トナー搬送制御部材及び障壁部材を示す断面図である。
【
図10】例示的なトナー搬送制御部材及び障壁部材を示す断面図である。
【
図12】
図11の障壁部材が配置されたトナーカートリッジにおけるトナー供給量の時系列変化を示すグラフである。
【
図13】障壁部材が配置されたトナーカートリッジにおけるトナー供給量の時系列変化を示すグラフである。
【
図14】例示的な障壁部材の配置態様を示す断面図である。
【
図15】
図14の障壁部材が配置されたトナーカートリッジにおけるトナー供給量の時系列変化を示すグラフである。
【
図16】例示的な障壁部材の配置態様を示す断面図である。
【
図17】
図16の障壁部材が配置されたトナーカートリッジにおけるトナー供給量の時系列変化を示すグラフである。
【
図18】障壁部材が配置されたトナーカートリッジにおけるトナー供給量の時系列変化を示すグラフである。
【
図19】トナーを収容する収容空間における断面積低減率と補給量のばらつきとの関係の例を示すグラフである。
【
図20】トナーを収容する収容空間における断面積低減率とトナー補給量との関係の例を示すグラフである。
【
図21】トナーを収容する収容空間における断面積低減率と補給量のばらつきとの関係の例をトナー容器の径ごとに示すグラフである。
【
図22】トナーを収容する収容空間における断面積低減率とトナー補給量との関係の例をトナー容器の径ごとに示すグラフである。
【
図23】変形例に係る障壁部材を示す断面図である。
【
図24】変形例に係る障壁部材を示す断面図である。
【
図25】変形例に係る障壁部材を示す断面図である。
【
図26】変形例に係る障壁部材を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0003】
以下では、図面を参照しながらトナーカートリッジの例について説明する。図面の説明において同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。図面は、理解の容易化のため、一部を簡略化又は誇張して描いている場合があり、寸法比率等は図面に記載のものに限定されない。また、図面には、必要に応じてXYZ直交座標系が示される。
【0004】
例示的なトナーカートリッジは画像形成装置に取り付けられる。トナーカートリッジはトナーを収容する収容空間が形成された筒状のトナー容器を備える。トナー容器は、長手方向に沿って延在する。トナー容器は、当該長手方向の一端である第1端、及び当該長手方向の他端である第2端を有する。例示的なトナー容器は、トナー容器の軸線を中心として回転する。トナー容器が回転することによって収容されたトナーが搬送される。
【0005】
トナー容器の内面には搬送部が設けられており、トナー容器の回転に伴って当該搬送部がトナーを搬送する。トナーカートリッジの第1端には、トナーカートリッジからトナーを排出するための排出口が形成されている。搬送部は、収容空間にあるトナーを排出口に搬送する。一例として、搬送部は、トナー容器の内面に形成された螺旋状の凸部である。搬送部と排出口の間には、収容空間の断面を低減させる障壁部材が設けられる。
【0006】
障壁部材は、長手方向における搬送部と排出口との間における排出口から離隔した位置に設けられる。障壁部材は、長手方向に直交する断面における収容空間の断面積を低減させる。障壁部材が収容空間の断面積を低減させることにより、搬送部から排出口に移動するトナーの供給量が調整され、排出口からトナー容器の外部機器へのトナーの供給量を安定させることができる。例えば、排出口には画像形成装置の現像装置が接続されており、障壁部材によって現像装置へのトナーの供給量を安定させることができる。
【0007】
図1は、例示的な画像形成装置1を示す概略図である。画像形成装置1は、カートリッジ区画20と、像担持体30と、露光装置40と、現像装置50と、転写装置60と、クリーニング装置70と、定着装置80と、排出装置90とを備える。画像形成装置1は排出経路7を更に備える。画像形成装置1は、排出経路7において搬送される記録媒体としての用紙5に画像を形成する。
【0008】
一例として、用紙5は、カセット3の内部において積層された状態で収容されている。用紙5は、ピックアップローラ11によってピックアップされて排出経路7において搬送される。排出経路7において搬送される用紙5は、例えば、分離ローラ12によって1枚に単離される。単離された用紙5は、レジストローラ13によって、所定のタイミングで後述の転写領域に搬送される。
【0009】
カートリッジ区画20には、例えば、トナーカートリッジ100が収容される。カートリッジ区画20は、収容されたトナーカートリッジ100のトナー容器110(
図2参照)を回転させる駆動装置を備えていてもよい。例示的なトナーカートリッジ100は円筒状を呈する。カートリッジ区画20が円筒状を呈していてもよい。
図1の例では、カートリッジ区画20は、Y方向を長手方向とする円筒形状を呈する。
【0010】
像担持体30は、静電潜像担持体又は感光体ドラムであってもよい。像担持体30は、例えば、Y方向に延在する円柱状を呈する。像担持体30の外周面には、静電潜像が形成される。像担持体30の外周面には、帯電ローラ32が像担持体30に対向するように配置されている。帯電ローラ32は、像担持体30の外周面を所定の電位に均一に帯電させる。帯電ローラ32は、像担持体30の回転に追従して回転してもよい。
【0011】
露光装置40は、帯電ローラ32によって帯電した像担持体30の外周面を、用紙5に形成する画像に応じて露光する。像担持体30の外周面のうち露光装置40によって露光された部分の電位が変化し、像担持体30の外周面に静電潜像が形成される。例示的な露光装置40は、レーザ光源から出力されるレーザ光をポリゴンミラーで反射することによって、像担持体30の外周面をレーザ光によって走査する。
【0012】
現像装置50は、トナーカートリッジ100から供給されたトナーによって像担持体30の外周面に形成された静電潜像を現像し、像担持体30の外周面にトナー像を形成する。例えば、現像装置50は、現像ローラ52、供給オーガ54及び撹拌オーガ56を備える。現像ローラ52、供給オーガ54及び撹拌オーガ56は、筐体51に収容されている。撹拌オーガ56は、搬送路51aにおける現像剤を撹拌しながら現像剤を撹拌オーガ56の軸線方向(例えば、
図1の紙面に直交する方向)に沿って搬送する。
【0013】
撹拌オーガ56の軸線方向の一端まで搬送された現像剤は、搬送路51aに隣接する搬送路51bに入り込む。供給オーガ54は、搬送路51bにおける現像剤を供給オーガ54の軸線方向に沿って搬送する。搬送路51bにおいて搬送される現像剤は、現像ローラ52によってピックアップされる。ピックアップされた現像剤のうちのトナーは、像担持体30の静電潜像に現像される。
【0014】
転写装置60は転写ローラ62を含む。転写ローラ62は、例えば、像担持体30の軸線と平行に延びる軸線を有する。転写ローラ62の外周面と像担持体30の外周面とは互いに接触し、転写ローラ62及び像担持体30の間に転写領域(転写ニップ領域)が形成される。転写ローラ62は、像担持体30の外周面に形成されたトナー像が用紙5に転写されるように、転写領域に搬送された用紙5に電界(転写電界)を印加する。トナー像は、転写ローラ62によって、転写領域に搬送された用紙5に転写される。
【0015】
クリーニング装置70は、像担持体30に形成されたトナー像が用紙5に転写された後に、像担持体30に残存するトナー(未転写トナー)を回収する。クリーニング装置70は、例えば、ブレード71及び回収オーガ73を備える。一例として、回収オーガ73は筐体75に形成された搬送路76に収容されている。ブレード71が像担持体30の外周面に残存しているトナーを掻き取ることによって、クリーニング装置70は像担持体30からトナーを除去してトナーを回収する。ブレード71は、像担持体30の外周面に接触するように、筐体75に固定されている。
【0016】
回収オーガ73は、Y方向に沿って延びる軸線を有する。回収オーガ73は、当該軸線を中心として回転し、筐体75に収容されたトナーを当該軸線が延びる軸線方向(Y方向)に沿って搬送する。回収オーガ73は、例えば、画像形成装置1の制御部からの制御信号に基づいて回転駆動する。
【0017】
定着装置80は、加熱及び加圧を行う定着ニップ領域に用紙5を通過させることによってトナー像を用紙5に定着させる。定着装置80は、用紙5を加熱する加熱ローラ82と加熱ローラ82を加圧して回転駆動する加圧ローラ84とを備える。定着装置80の定着ニップ領域は加熱ローラ82及び加圧ローラ84の間に形成される。排出装置90は、例えば、定着装置80によってトナー像が定着された用紙5を画像形成装置1の外部に排出する排出ローラ92,94を備える。
【0018】
図2は、例示的なトナーカートリッジ100を示す斜視図である。
図1及び
図2に示されるように、トナーカートリッジ100は、筒状のトナー容器110を備える。一例として、トナー容器110は、円筒状を呈する。例えば、トナー容器110の外径は52mm以上且つ88mm以下である。この場合、トナー容器110の外径を適切な大きさとすることができる。
【0019】
トナーカートリッジ100は、画像形成装置1の現像装置50にトナーを供給する。トナーカートリッジ100は、例えば、画像形成装置1に対して取り替え可能とされている。
図3は、トナー容器110の径方向D2及び長手方向D1に延びる平面でトナーカートリッジ100を切断したトナーカートリッジ100の断面図である。
【0020】
図2及び
図3に示されるように、トナー容器110は、トナーを収容する収容空間110fを形成する。トナーカートリッジ100は、トナーカートリッジ100の長手方向D1の第1端110cを構成するキャップ120と、リング部材160と、トナー搬送制御部材170と、現像装置50に接続する接続部190とを有する。
【0021】
接続部190は、排出口127に隣接している。トナーカートリッジ100は、現像装置50の開口51cに排出口127を接続する接続部190を備える。この場合、接続部190を介してトナーカートリッジ100が直接現像装置50に接続される。
【0022】
上記のように、トナーカートリッジ100は、現像装置50に直接接続されている。「直接接続」とは、トナーカートリッジ100及び現像装置50以外の部品を介することなく、トナーカートリッジ100が現像装置50に接続されていることを示している。一例として、現像装置50は筐体51を貫通する開口51cを有し、開口51cは現像装置50の内部におけるトナーの搬送路51aに連通する。
【0023】
排出口127は、例えば、接続部190によって開閉される。一例として、接続部190は、長手方向D1に移動して排出口127を開閉するシャッタである。この場合、接続部190の長手方向D1へのスライド移動によって排出口127を容易に開閉することができる。
【0024】
トナーカートリッジ100のトナーは、排出口127及び開口51cを介して現像装置50に供給される。すなわち、トナーカートリッジ100の収容空間110fに収容されたトナーは、排出口127及び開口51cを介して現像装置50の搬送路51aに供給される。
【0025】
図4は、例示的なトナーカートリッジ100を示す断面図である。
図2~
図4に示されるように、例示的なトナー容器110は、有底筒状を呈する。一例として、トナー容器110は有底円筒状を呈する。トナー容器110は、長手方向D1の一端に位置する開口111と、トナーカートリッジ100の長手方向D1の第2端110dに位置する底部112と、底部112から開口111に向かって延びる側部113と、側部113の底部112とは反対側の端部に位置するフランジ116とを備える。
【0026】
例えば、側部113は、側部113の外周面113bにおいて螺旋状に延びる溝113cを有する。例えば、トナー容器110の溝113cは、底部112から開口111まで延びる第1螺旋溝113dと、開口111側のみに形成された第2螺旋溝113fとを含む。
【0027】
この場合、トナー容器110の底部112側には第1螺旋溝113dのみが形成されており、トナー容器110の開口111側には第1螺旋溝113d及び第2螺旋溝113fが形成されている。すなわち、トナー容器110の底部112側には1条の溝113c(第1螺旋溝113d)が形成されており、トナー容器110の開口111側には2条の溝113c(第1螺旋溝113d及び第2螺旋溝113f)が形成されている。例えば、第2螺旋溝113fの位相は、第1螺旋溝113dの位相に対して180°ずれている。
【0028】
例えば、溝113cが形成された部分のトナー容器110の内周側には、溝113cに対応する螺旋状の搬送部114が形成されている。搬送部114はトナー容器110の内部においてトナー容器110の径方向D2の内側に突出している凸部である。搬送部114は、トナー容器110の内部に形成された螺旋突起である。
【0029】
搬送部114は、第1端110c及び第2端110dの間の収容空間110fの内壁に沿って形成されている。搬送部114は、トナー容器110の回転に伴って排出口127にトナーを搬送する螺旋突起である。この場合、螺旋突起という簡易な構成でトナーを排出口127に搬送することができる。
【0030】
搬送部114は、トナー容器110の底部112から開口111まで延びる第1螺旋状突起114bと、開口111側のみに形成された第2螺旋状突起114cとを含んでいてもよい。第1螺旋状突起114bは第1螺旋溝113dに対応しており、第2螺旋状突起114cは第2螺旋溝113fに対応している。トナー容器110の開口111側において第1螺旋状突起114b及び第2螺旋状突起114cの双方が形成される場合、トナーの搬送力を高めてトナー容器110からより効率よくトナーを排出することができる。
【0031】
トナー容器110は、トナー容器110の軸線Lを中心として回転する。トナー容器110が内部にトナーを収容した状態で軸線Lを中心として回転することにより、トナー容器110の内部のトナーは搬送部114に当接して開口111に向かうように搬送される。開口111まで搬送されたトナーは、キャップ120を介してトナーカートリッジ100の外部の現像装置50に供給される。
【0032】
キャップ120は、例えば、径方向D2に沿って延びる段差120bを有する。一例として、キャップ120は、段差120bを含む段付き円筒状を呈する。
図5は、キャップ120を拡大した斜視図である。
図4及び
図5に示されるように、例示的なキャップ120は、第1円筒部121と、第1円筒部121よりも直径が大きい第2円筒部122とを有する。
【0033】
例示的なキャップ120は、第2円筒部122の長手方向D1の一端に開口124を有する。開口124の内部には、トナー容器110の長手方向D1の端部が収容される。キャップ120は、リング部材160が嵌合する係止部126を備える。一例として、キャップ120は複数の係止部126を備え、複数の係止部126はキャップ120の周方向D3に沿って並んでいる。例示的な係止部126は、第2円筒部122の第1円筒部121側の端部において長手方向D1に窪む凹部によって形成されている。
【0034】
図4、
図6及び
図7に示されるように、例示的なリング部材160は、筒状部161と、筒状部161から筒状部161の径方向外側に突出する突出部162とを備える。筒状部161は、キャップ120の端面120fが接触する接触部161bと、接触部161bの反対側を向く外周面161cと、接触部161bの反対側に突出する係止部161dとを有する。
【0035】
係止部161dは、キャップ120の係止部126に係止する部位である。例えば、リング部材160は複数(一例として4個)の係止部161dを有し、係止部161dの数は係止部126の数と同一である。リング部材160は、係止部161dが係止部126に係止することによってキャップ120に固定される。
【0036】
図3に示されるように、例えば、トナーカートリッジ100の排出口127はキャップ120に形成されている。一例として、排出口127は、第1円筒部121の周面に形成されている。例えば、排出口127は矩形状を呈する。トナー容器110において搬送されたトナーは、例えば、キャップ120の排出口127を介して現像装置50に供給される。
【0037】
接続部190は、例えば、排出口127の径方向D2の外側(一例として下側)に配置されている。例えば、
図2に示されるように、接続部190は、キャップ120において長手方向D1に突出する突出部120dに対してスライドすることによって排出口127を開閉する。
【0038】
図2に例示される接続部190は、排出口127を封止する封止部191と、封止部191を長手方向D1に沿ってスライドさせるスライド部192とを有する。一例として、封止部191は板状を呈し、封止部191の長手方向に沿って一対のスライド部192が並んでいる。接続部190は、各スライド部192が突出部120dに長手方向D1に沿って移動可能に支持された状態でキャップ120に取り付けられている。
【0039】
例示的なトナーカートリッジ100は、トナー搬送制御部材170を備える。
図4、
図7及び
図8に示されるように、トナー搬送制御部材170は、長手方向D1において排出口127に届く位置まで延在する。すなわち、トナー搬送制御部材170の一部の長手方向D1の位置が排出口127の長手方向D1の位置と一致する。トナー搬送制御部材170は、例えば、筒状(一例として円筒状)を呈する。トナー搬送制御部材170は、例えば、キャップ120の内部に設けられる。
【0040】
例示的なトナー搬送制御部材170は、筒状部171と、筒状部171から筒状部171の内側に突出する羽根部172とを有する。羽根部172は、筒状部171から筒状部171の内側に突出すると共に、筒状部171から筒状部171の軸線方向に突出する。羽根部172は筒状部171の内周面に固定されている。例えば、トナー搬送制御部材170は、更に、羽根部172に固定されている搬送フィルム173を備える。
【0041】
筒状部171は、一例として、円筒状を呈する。トナー搬送制御部材170は、例えば、複数の羽根部172を備え、各羽根部172は板状を呈する。トナー搬送制御部材170は、例えば、トナー容器110と共に回転し、トナー搬送制御部材170の回転に伴って羽根部172がトナーを撹拌する。
【0042】
羽根部172は、例えば、キャップ120(第1円筒部121)の内部において排出口127の直上に位置する。これにより、羽根部172によって撹拌されたトナーが直ちに排出口127に入り込むので、排出口127におけるトナーの排出不良を抑制することができる。
【0043】
例えば、搬送フィルム173は、羽根部172の径方向(軸線Lに接近及び離間する方向)の外側に突出するように羽根部172に貼り付けられている。搬送フィルム173は、羽根部172における筒状部171から軸線方向に突出した部分に貼り付けられている。搬送フィルム173の径方向外側の端部は、羽根部172の径方向外側の端部よりも突出している。
【0044】
従って、搬送フィルム173がキャップ120の内面に接触することによってキャップ120の内面に付着したトナーを掻き落とすことが可能となる。搬送フィルム173は、例えば、PET(Poly Ethylene Terephthalate)樹脂又はウレタンゴムによって構成されている。一例として、搬送フィルム173は、矩形平板状の弾性フィルムであってもよい。
【0045】
トナーカートリッジ100は、例えば、第1端110cにおいてトナー容器110の開口111を覆うキャップ120と、キャップ120の内部に配置されるシール部材180とを備える。シール部材180によってトナー容器110とキャップ120との間を封止することができる。シール部材180は、例えば、フランジ116とキャップ120との間に配置されている。段差120bは、例えば、第1円筒部121と第2円筒部122の間に形成されている。シール部材180は、トナー搬送制御部材170の径方向D2の外側に配置されていてもよい。
【0046】
トナーカートリッジ100は、長手方向D1に直交する収容空間110fの断面積を低減する障壁部材130を備える。
図9は、トナーカートリッジ100の内部に設けられた障壁部材130の例を示す断面図である。
図10は、長手方向D1に直交するトナーカートリッジ100の断面を示す図である。
図9及び
図10に示されるように、障壁部材130は、長手方向D1における搬送部114と排出口127の間における排出口127から離隔した位置に設けられる。
【0047】
障壁部材130は、長手方向D1に直交する断面におけるトナー容器110の収容空間110fの断面積を低減させる。例えば、障壁部材130は、トナー容器110の収容空間110fにおいてトナー容器110の径方向D2の内側に突出している。この場合、障壁部材130を簡易な構成とすることが可能となる。例えば、トナーカートリッジ100は、長手方向D1に直交する断面において放射状に延びる障壁部材130を備える。よって、簡易な構成とされた障壁部材130によって収容空間110fの断面積を効果的に低減できる。
【0048】
トナーカートリッジ100では、障壁部材130から見て、収容空間110fがトナーカートリッジ100の長手方向D1の中央寄りの位置に形成され、排出口127がトナーカートリッジ100の長手方向D1の端部寄りの位置に形成されている。障壁部材130は、搬送部114及び排出口127の間における排出口127から離隔した位置に設けられる。
【0049】
よって、障壁部材130と排出口127との間に形成された空間が緩衝空間となり、障壁部材130を通過した後のトナーが、長手方向D1において排出口127に届く位置まで延在するトナー搬送制御部材170で十分に撹拌される。その結果、トナーをスムーズに排出口127に導くことができるので、現像装置50とトナーカートリッジ100の間に介在する従来のディスペンサ部品等がなくても、トナーカートリッジ100から現像装置50に安定してトナーを供給することができる。
【0050】
従来のディスペンサ部品は、トナーカートリッジ100の外部に設けられる部品であって、例えば、トナーを搬送するオーガと、トナーの量を検知するセンサ等を備える部品である。トナーカートリッジ100では、前述したように、障壁部材130と排出口127との間に形成された空間が緩衝空間となり、障壁部材130を通過した後のトナーが十分に撹拌されて排出口127から安定して排出されるので、トナーカートリッジ100の外部に位置する従来のディスペンサ部品等を不要とすることができる。従って、部品点数を減らして画像形成装置1をコンパクトにすると共に画像形成装置1の部品にかかるコストを抑えることができる。
【0051】
例えば、障壁部材130は、トナー搬送制御部材170と一体とされている。この場合、障壁部材130をトナー搬送制御部材170と共に容易に形成できる。一例として、障壁部材130は、筒状部171の内面から筒状部171の内側に突出している。よって、障壁部材130を配置する場所としてトナー搬送制御部材170の筒状部171を有効利用できる。例えば、障壁部材130及びトナー搬送制御部材170は樹脂製である。この場合、例えば、障壁部材130は、トナー搬送制御部材170と共に一体成形されている。例えば、障壁部材130は、一対の羽根部172の間に設けられている。
【0052】
例えば、トナーカートリッジ100は、複数の障壁部材130を有する。複数の障壁部材130は、例えば、トナー搬送制御部材170の周方向に沿って羽根部172と交互に配置されている。
図9に示される例において、障壁部材130は、羽根部172とは非接触である。
【0053】
長手方向D1に延びる平面に沿って障壁部材130を切断したときにおける障壁部材130の断面形状は、例えば、筒状部171の周方向に延びる長辺、及び長手方向D1に延びる短辺を有する長方形状である。長手方向D1に直交する平面で障壁部材130を切断したときにおける障壁部材130の断面形状は、例えば、筒状部171の径方向内側に向かうに従って幅が狭くなる台形状である。
【0054】
以上、障壁部材130の形状、数、材料及び配置の例について説明した。しかしながら、障壁部材130の形状、数、材料及び配置態様は上記の例に限定されない。例えば、
図11に示されるように、羽根部172に固定される障壁部材130であってもよい。以上のように、トナーカートリッジ100は、トナー容器110の収容空間110fの断面積を低減させる障壁部材130を備え、障壁部材130は搬送部114と排出口127との間における排出口127から離隔した位置に配置されている。これにより、排出口127から排出されて現像装置50に供給されるトナーの供給量を安定させることができる。
【0055】
図11では、長手方向D1に直交する断面において、障壁部材130が収容空間110fの外縁の面積(以下では単に収容空間110fの断面積ということがある)の27%を占めている例を示している。
図12は、障壁部材130が収容空間110fの断面積の27%を占めている場合におけるトナー容器110から現像装置50へのトナーの供給量を示すグラフである。一方、
図13は、障壁部材130が収容空間110fの断面積の22%を占めている場合におけるトナー容器110から現像装置50へのトナーの供給量を示すグラフである。
【0056】
図12及び
図13に示されるように、障壁部材130が収容空間110fの断面積の27%を占めている場合、すなわち、障壁部材130による断面積低減率が27%である場合、当該断面積低減率が22%である場合と比較して現像装置50へのトナーの供給量を安定させることができる。
【0057】
特に、新たにトナーカートリッジ100が装填された初期にトナーの供給量が増大し、中盤にトナーの供給量が低減し、後半にトナーの供給量が再度増大する傾向が見られる。しかしながら、当該断面積低減率が27%である場合には、初期のトナーの供給量の増大を抑え、中盤におけるトナーの供給量の低減を抑え、更に後半におけるトナーの供給量の増大を抑えることにより、トナーの供給量を安定させることができる。
【0058】
図14は、長手方向D1に直交する断面において、障壁部材130が収容空間110fの断面積の38%を占めている例を示している。
図15は、障壁部材130が収容空間110fの断面積の38%を占めている場合における現像装置50へのトナーの供給量を示すグラフである。
図13~
図15に示されるように、障壁部材130による断面積低減率が38%である場合、当該断面積低減率が27%である場合と比較して、現像装置50へのトナーの供給量をより安定させることができる。
【0059】
図16は、長手方向D1に直交する断面において、障壁部材130が収容空間110fの断面積の52%を占めている例を示している。
図17は、障壁部材130が収容空間110fの断面積の52%を占めている場合における現像装置50へのトナーの供給量を示すグラフである。
【0060】
図15~
図17に示されるように、障壁部材130による断面積低減率が52%である場合、当該断面積低減率が38%である場合と比較して、現像装置50へのトナーの供給量を更に安定させることができる。しかしながら、当該断面積低減率が52%である場合、当該断面積低減率が38%である場合と比較して、単位時間あたりにおける現像装置50へのトナーの供給量が減少する。
【0061】
図18は、当該断面積低減率が59%である場合における現像装置50へのトナーの供給量を示している。
図17及び
図18に示されるように、当該断面積低減率が59%である場合には、当該断面積低減率が52%である場合と比較して、単位時間あたりにおける現像装置50へのトナーの供給量が減少することが分かった。
【0062】
図19は、当該断面積低減率と現像装置50へのトナーの補給量のばらつきとの関係を示すグラフである。現像装置50の内部におけるトナーの濃度の変動及び画質変化を考慮すると、当該補給量のばらつきは15以下であることが望ましい。
図19に示されるように、当該断面率低減率が24%以上である場合には、当該補給量のばらつきを15以下にすることができる。
【0063】
図20は、当該断面積低減率と現像装置50へのトナーの補給量との関係を示すグラフである。1ページにおいて必要となるトナーの補給量を考慮すると、当該トナーの補給量は30(mg/Pulse)以上であることが望ましい。
図20に示されるように、当該断面積低減率が54%以下である場合には、当該トナーの補給量を30(mg/Pulse)以上とすることができる。
【0064】
以上より、長手方向D1に直交する断面において、障壁部材130が、収容空間110fの外縁の面積の24%以上且つ54%以下の面積を占めている場合、現像装置50へのトナーの補給量のばらつきを抑えられると共に、現像装置50へのトナーの補給量の低下を抑制できる。
【0065】
図21は、トナー容器110の外径が52mm又は88mmである場合における当該断面積低減率と現像装置50へのトナーの補給量のばらつきとの関係を示すグラフである。
図21に示されるように、トナー容器110の外径が88mmである場合、トナー容器110の外径が52mmである場合と比較して、当該補給量のばらつきが大きくなると共に、当該ばらつきの許容量を大きくすることが可能となる。
【0066】
一例として、トナー容器110の外径が88mmである場合における当該ばらつきの許容量は30であり、トナー容器110の外径が52mmである場合における当該ばらつきの許容量は15である。トナー容器110の外径が52mmであっても88mmであっても、当該断面積低減率が24%以上である場合には、当該ばらつきを許容量以下とすることができる。
【0067】
図22は、トナー容器110の外径が52mm又は88mmである場合における当該断面積低減率と単位時間あたりにおける現像装置50へのトナーの補給量との関係を示すグラフである。
図22に示されるように、トナー容器110の外径が88mmである場合、トナー容器110の外径が52mmである場合と比較して単位時間あたりにおける現像装置50へのトナーの補給量を多くすることができる。また、トナー容器110の外径が52mmである場合でも、当該断面積低減率が54%以下である場合には、現像装置50へのトナーの補給量を許容値以上とすることができる。
【0068】
次に、変形例に係る障壁部材140について説明する。
図23は、長手方向D1に沿って延びる平面で切断したときにおける障壁部材140の断面図である。
図24は、長手方向D1に直交する平面で切断したときにおける障壁部材140の断面図である。
図23及び
図24に示されるように、変形例に係るトナーカートリッジ100Aは、複数の障壁部材140を備える。長手方向D1に直交する平面で切断したときにおける障壁部材140の形状は矩形状を呈する。
【0069】
長手方向D1に沿って延びるトナー容器110の断面において、障壁部材140は、トナー容器110の周方向及び長手方向D1の双方に対して傾斜している。この障壁部材140によれば、トナー容器110の回転に伴ってトナーをより効率よく排出口127に搬送することができる。
【0070】
続いて、変形例に係る障壁部材150について説明する。
図25は、長手方向D1に沿って延びる平面で切断したときにおける障壁部材150の断面図である。
図26は、長手方向D1に直交する平面で切断したときにおける障壁部材150の断面図である。
図25及び
図26に示されるように、変形例に係るトナーカートリッジ100Bは、長手方向D1に沿って延びるトナー容器110の断面において、長手方向D1における位置が互いに異なる複数の障壁部材150を備える。
【0071】
例えば、複数の障壁部材150は、トナー搬送制御部材170のトナー容器110寄りの位置においてトナー容器110の周方向に沿って並ぶ複数の第1障壁部材151と、トナー搬送制御部材170のキャップ120寄りの位置においてトナー容器110の周方向に沿って並ぶ複数の第2障壁部材152とを含む。例えば、長手方向D1に直交する断面において、複数の第1障壁部材151が収容空間110fの外縁の面積の27%を占めていてもよい。また、長手方向D1に直交する断面において、複数の第2障壁部材152が収容空間110fの外縁の27%を占めていてもよい。しかしながら、複数の第1障壁部材151による断面積低減率、及び複数の第2障壁部材152による断面積低減率は、27%以外の値であってもよい。
【0072】
以上、本明細書に記載の全ての側面、利点及び特徴が、必ずしも、いずれかひとつの特定の例及び実施形態により達成される又は含まれるわけではないことは理解されたい。実際、本明細書において様々な例を記載し示したが、他の例もその配置及び詳細について修正することができることは明らかであるべきだ。ここに請求される保護主題の精神及び範囲に包含される全ての修正及び変形を請求する。
【0073】
例えば、上記では、障壁部材130がトナー搬送制御部材170と一体とされている例について説明した。しかしながら、障壁部材はトナー搬送制御部材とは別体であってもよい。例えば、上記では、障壁部材130がトナー搬送制御部材170に設けられる例について説明した。しかしながら、この例に限られず、障壁部材はトナー搬送制御部材以外の部品に設けられてもよい。例えば、障壁部材は、トナー容器の内面に設けられてもよい。このように、障壁部材の位置及び配置態様については適宜変更可能である。