(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023067072
(43)【公開日】2023-05-16
(54)【発明の名称】空気調和機
(51)【国際特許分類】
F24F 11/86 20180101AFI20230509BHJP
F24F 11/77 20180101ALI20230509BHJP
F24F 140/20 20180101ALN20230509BHJP
F24F 110/10 20180101ALN20230509BHJP
【FI】
F24F11/86
F24F11/77
F24F140:20
F24F110:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021178036
(22)【出願日】2021-10-29
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(74)【代理人】
【識別番号】100183265
【弁理士】
【氏名又は名称】中谷 剣一
(72)【発明者】
【氏名】後藤田 将和
(72)【発明者】
【氏名】馬場 準市
【テーマコード(参考)】
3L260
【Fターム(参考)】
3L260AB02
3L260AB15
3L260BA05
3L260CA12
3L260CB06
3L260EA07
3L260EA08
3L260FB02
3L260FB07
3L260FC01
3L260FC02
3L260FC06
(57)【要約】 (修正有)
【課題】除湿の効率低下を抑制することが可能な空気調和機を提供する。
【解決手段】空気調和機は、室外熱交換器、圧縮機及び膨張弁を有する室外機と、室内熱交換器を有する室内機と、前記室外熱交換器、前記圧縮機、前記膨張弁及び前記室内熱交換器を接続し、冷媒が循環する冷媒配管と、前記室内熱交換器において前記冷媒の流れ方向の上流側であって、前記室内熱交換器内に前記冷媒が流入する流入部分より下流の部分の第1の温度を取得する第1の温度センサと、前記室内熱交換器において前記冷媒の流れ方向の下流側の領域に向かって室外空気を供給する換気装置と、前記室外空気を供給することを含む除湿運転において、前記第1の温度に基づいて、前記圧縮機、前記膨張弁及び前記換気装置を制御する制御部と、を備える。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
室外熱交換器、圧縮機及び膨張弁を有する室外機と、
室内熱交換器を有する室内機と、
前記室外熱交換器、前記圧縮機、前記膨張弁及び前記室内熱交換器を接続し、冷媒が循環する冷媒配管と、
前記室内熱交換器において前記冷媒の流れ方向の上流側であって、前記室内熱交換器内に前記冷媒が流入する流入部分より下流の部分の第1の温度を取得する第1の温度センサと、
前記室内熱交換器において前記冷媒の流れ方向の下流側の領域に向かって室外空気を供給する換気装置と、
前記室外空気を供給することを含む除湿運転において、前記第1の温度に基づいて、前記圧縮機、前記膨張弁及び前記換気装置を制御する制御部と、
を備える、空気調和機。
【請求項2】
前記制御部は、
室内温度と設定温度とを取得し、
前記室内温度が前記設定温度より小さいと判定したとき、前記除湿運転に切り替え、前記膨張弁の開度と前記圧縮機の周波数を小さくする、
請求項1に記載の空気調和機。
【請求項3】
前記制御部は、前記第1の温度が第1の閾値以上となったとき、前記換気装置からの前記室外空気の供給を開始する、
請求項1又は2に記載の空気調和機。
【請求項4】
前記制御部は、前記第1の温度が第2の閾値以下となったとき、前記換気装置からの前記室外空気の供給を停止する、
請求項1~3のいずれか一項に記載の空気調和機。
【請求項5】
前記流入部分の第2の温度を取得する第2の温度センサを更に備え、
前記制御部は、前記第2の温度に基づいて前記圧縮機及び前記膨張弁を制御する、
請求項1~4のいずれか一項に記載の空気調和機。
【請求項6】
前記制御部は、前記第1の温度と前記第2の温度との温度差を算出し、前記温度差に基づいて前記圧縮機、前記膨張弁及び前記換気装置を制御する、
請求項5に記載の空気調和機。
【請求項7】
前記制御部は、前記温度差が第3の閾値以下となったとき、前記換気装置からの前記室外空気の供給を停止する、
請求項6に記載の空気調和機。
【請求項8】
前記制御部は、前記第2の温度が第4の閾値以下となったとき、前記膨張弁の開度及び前記圧縮機の周波数を大きくする、
請求項5~7のいずれか一項に記載の空気調和機。
【請求項9】
前記室内熱交換器において前記冷媒の流れ方向の下流側の領域の第3の温度を取得する第3の温度センサを更に備え、
前記制御部は、冷房運転において、前記第3の温度に基づいて前記圧縮機及び前記膨張弁を制御する、
請求項5~8のいずれか一項に記載の空気調和機。
【請求項10】
前記制御部は、
前記除湿運転において、室内温度と設定温度とを取得し、
前記室内温度が前記設定温度より大きいと判定したとき、前記換気装置からの前記室外空気の供給を停止し、前記膨張弁の開度と前記圧縮機の周波数を大きくする、
請求項1~9のいずれか一項に記載の空気調和機。
【請求項11】
前記換気装置は、
前記室外空気の水分を吸収する吸収材と、
前記室外と前記室内機とを接続し、前記室外空気が流れる流路と、
前記流路において前記吸収材の上流側に配置されるヒータと、
前記流路に前記室外空気を送るファンと、
前記流路を流れる前記室外空気を、前記室外と前記室内機とに振り分けるダンパ装置と、
を含み、
前記制御部は、
前記ヒータを制御し、前記吸収材を加熱して乾燥させ、
前記ファンを制御し、前記室外空気を前記吸収材に通過させることによって乾燥させ、
前記ダンパ装置を制御し、乾燥した前記室外空気を前記室内機に振り分ける、
請求項1~10のいずれか一項に記載の空気調和機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、空気調和機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、特許文献1に記載するように、空気調和対象の室内に配置される室内機と、室外に配置される室外機とから構成される空気調和機が知られている。この空気調和機は、室外機から室内機に室外空気を供給できるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
除湿の効率低下を抑制することが可能な空気調和機が求められている。
【0005】
そこで、本開示は、除湿の効率低下を抑制することが可能な空気調和機を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の課題を解決するために、本発明の一態様によれば、
室外熱交換器、圧縮機及び膨張弁を有する室外機と、
室内熱交換器を有する室内機と、
前記室外熱交換器、前記圧縮機、前記膨張弁及び前記室内熱交換器を接続し、冷媒が循環する冷媒配管と、
前記室内熱交換器において前記冷媒の流れ方向の上流側であって、前記室内熱交換器内に前記冷媒が流入する流入部分より下流の部分の第1の温度を取得する第1の温度センサと、
前記室内熱交換器において前記冷媒の流れ方向の下流側の領域に向かって室外空気を供給する換気装置と、
前記室外空気を供給することを含む除湿運転において、前記第1の温度に基づいて、前記圧縮機、前記膨張弁及び前記換気装置を制御する制御部と、
を備える、空気調和機が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、除湿の効率低下を抑制することが可能な空気調和機が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の一実施の形態に係る空気調和機の概略図
【
図7B】室内熱交換器の冷媒の流れの一例を示す概略図
【
図8】室内熱交換器における複数の温度センサの配置の一例を示す模式図
【
図9】空気調和機の動作の一例を示すフローチャート
【
図11】空気調和機の制御の一例のタイミングチャート
【
図12】変形例の吸着運転制御を示すフローチャート
【
図13】変形例の吸着運転制御を示すフローチャート
【
図14】変形例の吸着運転制御を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0009】
(本開示に至った経緯)
近年、冷房運転時又は除湿運転時に乾燥した室外空気を室内へ供給する空気調和機が知られている。このような空気調和機は、室外空気を室内機の室内熱交換器へ供給することによって、室内機から室内へ室外空気を供給している。これにより、冷房運転による冷え過ぎを抑制したり、室内湿度を低下させている。
【0010】
しかしながら、冷房運転又は除湿運転時において、室内機の室内熱交換器に結露が生じる場合がある。室内熱交換器において結露が生じた部分に室外空気を供給すると、室外空気の熱により結露水が蒸発する。これにより、湿った室外空気が室内へ供給されてしまい、除湿を効率良く行うことができないという問題がある。
【0011】
そこで、本発明者らは、室外機の膨張弁及び圧縮機を制御することによって室内熱交換器において室外空気が供給される領域での結露の発生を抑制する構成を見出し、以下の発明に至った。
【0012】
本発明の一態様の空気調和機は、室外熱交換器、圧縮機及び膨張弁を有する室外機と、室内熱交換器を有する室内機と、前記室外熱交換器、前記圧縮機、前記膨張弁及び前記室内熱交換器を接続し、冷媒が循環する冷媒配管と、室内熱交換器において前記冷媒の流れ方向の上流側であって、前記室内熱交換器内に前記冷媒が流入する流入部分より下流の部分の第1の温度を取得する第1の温度センサと、前記室内熱交換器において前記冷媒の流れ方向の下流側の領域に向かって室外空気を供給する換気装置と、前記室外空気を供給することを含む除湿運転において、前記第1の温度に基づいて、前記圧縮機、前記膨張弁及び前記換気装置を制御する制御部と、を備える。
【0013】
このような一態様によれば、除湿の効率低下を抑制することができる。
【0014】
例えば、前記制御部は、室内温度と設定温度とを取得し、前記室内温度が前記設定温度より小さいと判定したとき、前記除湿運転に切り替え、前記膨張弁の開度と前記圧縮機の周波数を小さくしてもよい。
【0015】
例えば、前記制御部は、前記第1の温度が第1の閾値以上となったとき、前記換気装置からの前記室外空気の供給を開始してもよい。
【0016】
例えば、前記制御部は、前記第1の温度が第2の閾値以下となったとき、前記換気装置からの前記室外空気の供給を停止してもよい。
【0017】
例えば、空気調和機は、前記流入部分の第2の温度を取得する第2の温度センサを更に備え、前記制御部は、前記第2の温度に基づいて前記圧縮機及び前記膨張弁を制御してもよい。
【0018】
例えば、前記制御部は、前記第1の温度と前記第2の温度との温度差を算出し、前記温度差に基づいて前記圧縮機、前記膨張弁及び前記換気装置を制御してもよい。
【0019】
例えば、前記制御部は、前記温度差が第3の閾値以下となったとき、前記換気装置からの前記室外空気の供給を停止してもよい。
【0020】
例えば、前記制御部は、前記第2の温度が第4の閾値以下となったとき、前記膨張弁の開度及び前記圧縮機の周波数を大きくしてもよい。
【0021】
例えば、空気調和機は、前記室内熱交換器において前記冷媒の流れ方向の下流側の領域の第3の温度を取得する第3の温度センサを更に備え、前記制御部は、冷房運転において、前記第3の温度に基づいて前記圧縮機及び前記膨張弁を制御してもよい。
【0022】
例えば、前記制御部は、前記除湿運転において、室内温度と設定温度とを取得し、前記室内温度が前記設定温度より大きいと判定したとき、前記換気装置からの前記室外空気の供給を停止し、前記膨張弁の開度と前記圧縮機の周波数を大きくしてもよい。
【0023】
例えば、前記換気装置は、前記室外空気の水分を吸収する吸収材と、前記室外と前記室内機とを接続し、前記室外空気が流れる流路と、前記流路において前記吸収材の上流側に配置されるヒータと、前記流路に前記室外空気を送るファンと、前記流路を流れる前記室外空気を、前記室外と前記室内機とに振り分けるダンパ装置と、を含み、前記制御部は、前記ヒータを制御し、前記吸収材を加熱して乾燥させ、前記ファンを制御し、前記室外空気を前記吸収材に通過させることによって乾燥させ、前記ダンパ装置を制御し、乾燥した前記室外空気を前記室内機に振り分けてもよい。
【0024】
以下、本開示の一実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0025】
図1は、本開示の一実施の形態に係る空気調和機の概略図である。
【0026】
図1に示すように、本実施の形態に係る空気調和機10は、空調対象の室内Rinに配置される室内機20と、室外Routに配置される室外機30とを有する。
【0027】
室内機20には、室内空気A1と熱交換を行う室内熱交換器22と、室内空気A1を室内機20内に誘引するとともに、室内熱交換器22と熱交換した後の室内空気A1を室内Rinに吹き出すファン24とが設けられている。
【0028】
室外機30には、室外空気A2と熱交換を行う室外熱交換器32と、室外空気A2を室外機30内に誘引するとともに、室外熱交換器32と熱交換した後の室外空気A2を室外Routに吹き出すファン34とが設けられている。また、室外機30には、室内熱交換器22および室外熱交換器32と冷凍サイクルを実行する圧縮機36、膨張弁38、および四方弁40が設けられている。
【0029】
室内熱交換器22、室外熱交換器32、圧縮機36、膨張弁38、および四方弁40それぞれは、冷媒が流れる冷媒配管42によって接続されている。冷房運転および除湿運転(弱冷房運転)の場合、空気調和機10は、冷媒が圧縮機36から四方弁40、室外熱交換器32、膨張弁38、室内熱交換器22を順に流れて圧縮機36に戻る冷凍サイクルを実行する。暖房運転の場合、空気調和機10は、冷媒が圧縮機36から四方弁40、室内熱交換器22、膨張弁38、室外熱交換器32を順に流れて圧縮機36に戻る冷凍サイクルを実行する。
【0030】
空気調和機10は、冷凍サイクルによる空調運転の他に、室外空気A3を室内Rinに導入する空調運転を実行する。そのために、空気調和機10は、換気装置50を有する。換気装置50は、室外機30に設けられている。
【0031】
【0032】
図2に示すように、換気装置50は、その内部に室外空気A3、A4が通過する吸収材52を備える。
【0033】
吸収材52は、空気が通過可能な部材であって、通過する空気から水分を捕集するまたは通過する空気に水分を与える部材である。本実施の形態の場合、吸収材52は、円盤状であって、その中心を通過する回転中心線C1を中心にして回転する。吸収材52は、モータ54によって回転駆動される。
【0034】
吸収材52は、空気中の水分を収着する高分子収着材が好ましい。高分子収着材は、例えば、ポリアクリル酸ナトリウム架橋体から構成される。高分子収着材は、シリカゲルやゼオライトなどの吸着材に比べて、同一体積あたり水分を吸収する量が多く、低い加熱温度で担持する水分を脱着することができ、そして水分を長時間担持することができる。
【0035】
換気装置50の内部には、吸収材52をそれぞれ通過し、室外空気A3、A4がそれぞれ流れる第1の流路P1と第2の流路P2とが設けられている。第1の流路P1と第2の流路P2は、異なる位置で吸収材52を通過する。
【0036】
第1の流路P1は、室内機20内に向かう室外空気A3が流れる流路である。第1の流路P1を流れる室外空気A3は、換気導管56を介して、室内機20内に供給される。
【0037】
本実施の形態の場合、第1の流路P1は、吸収材52に対して上流側に複数の支流路P1a、P1bを含んでいる。なお、本明細書において、「上流」および「下流」は、空気の流れに対して使用される。
【0038】
複数の支流路P1a、P2aは、吸収材52に対して上流側で合流する。複数の支流路P1a、P1bそれぞれには、室外空気A3を加熱する第1および第2のヒータ58、60が設けられている。
【0039】
第1および第2のヒータ58、60は、同一の加熱能力を備えるヒータであってもよいし、異なる加熱能力を備えるヒータであってもよい。また、第1および第2の加熱ヒータ58、60は、電流が流れて温度が上昇すると電気抵抗が増加する、すなわち過剰な加熱温度の上昇を抑制することができるPTC(Positive Temperature Coefficient)ヒータが好ましい。ニクロム線やカーボン繊維などを用いるヒータの場合、電流が流れ続けると加熱温度(表面温度)が上昇し続けるため、その温度をモニタリングする必要がある。PTCヒータの場合、ヒータ自体が加熱温度を一定の温度範囲内で調節するために、加熱温度をモニタリングする必要がなくなる。
【0040】
第1の流路P1には、室内機20内に向かう室外空気A3の流れを発生させる第1のファン62が設けられている。本実施の形態の場合、第1のファン62は、吸収材52に対して下流側に配置されている。第1のファン62が作動することにより、室外空気A3が、室外Routから第1の流路P1内に流入し、吸収材52を通過する。
【0041】
また、第1の流路P1には、第1の流路P1を流れる室外空気A3を室内Rin(すなわち室内機20)または室外Routに振り分けるダンパ装置64が設けられている。本実施の形態の場合、ダンパ装置64は、第1のファン62に対して下流側に配置されている。ダンパ装置64によって室内機20に振り分けられた室外空気A3は、換気導管56を介して室内機20内に入り、ファン24によって室内Rinに吹き出される。
【0042】
第2の流路P2は、室外空気A4が流れる流路である。第1の流路P1を流れる室外空気A3と異なり、第2の流路P2を流れる室外空気A4は、室内機20に向かうことはない。第2の流路P2を流れる室外空気A4は、吸収材52を通過した後、室外Routに流出する。
【0043】
第1の流路P1には、室外空気A4の流れを発生させる第2のファン66が設けられている。本実施の形態の場合、第2のファン66は、吸収材52に対して下流側に配置されている。第2のファン66が作動することにより、室外空気A4が、室外Routから第2の流路P2内に流入し、吸収材52を通過し、そして室外Routに流出する。
【0044】
換気装置50は、吸収材52、モータ54、第1のヒータ58、第2のヒータ60、第1のファン62、ダンパ装置64、および第2のファン66を選択的に使用して換気運転、加湿運転、および除湿運転を選択的に実行する。
【0045】
【0046】
換気運転は、室外空気A3をそのまま換気導管56を介して室内Rin(すなわち室内機20)に供給する空調運転である。
図3に示すように、換気運転中、モータ54は、吸収材52を回転し続ける。第1のヒータ58と第2のヒータ60は、OFF状態であって、室外空気A3を加熱していない。第1のファン62はON状態で、それにより第1の流路P1内を室外空気A3が流れている。ダンパ装置64は、第1の流路P1内の室外空気A3を室内機20に振り分ける。第2のファン66は、OFF状態であって、それにより第2の流路P2内に室外空気A4の流れが発生していない。
【0047】
このような換気運転によれば、室外空気A3は、第1の流路P1に流入し、第1および第2のヒータ58、60に加熱されることなく吸収材52を通過する。吸収材52を通過した室外空気A3は、ダンパ装置64によって室内機20に振り分けられる。ダンパ装置64を通過して換気導管56を介して室内機20に到達した室外空気A3は、ファン24によって室内Rinに吹き出される。このような換気運転により、室外空気A3がそのまま室内Rinに供給され、室内Rinが換気される。
【0048】
【0049】
加湿運転は、室外空気A3を加湿し、その加湿された室外空気A3を室内Rin(すなわち室内機20)に供給する空調運転である。
図4に示すように、加湿運転中、モータ54は、吸収材52を回転し続ける。第1のヒータ58と第2のヒータ60は、ON状態であって、室外空気A3を加熱している。第1のファン62はON状態で、それにより第1の流路P1内を室外空気A3が流れている。ダンパ装置64は、第1の流路P1内の室外空気A3を室内機20に振り分ける。第2のファン66は、ON状態であって、それにより第2の流路P2内を室外空気A4が流れている。
【0050】
このような加湿運転によれば、室外空気A3は、第1の流路P1に流入し、第1および第2のヒータ58、60に加熱されて吸収材52を通過する。このとき、加熱された室外空気A3は、加熱されていない場合に比べて、吸収材52からより多量の水分を奪うことができる。それにより、室外空気A3が多量の水分を担持する。吸収材52を通過して多量の水分を担持する室外空気A3は、ダンパ装置64によって室内機20に振り分けられる。ダンパ装置64を通過して換気導管56を介して室内機20に到達した室外空気A3は、ファン24によって室内Rinに吹き出される。このような加湿運転により、多量の水分を担持する室外空気A3が室内Rinに供給され、室内Rinが加湿される。
【0051】
なお、第1のヒータ58と第2のヒータ60のいずれか一方をOFF状態にすることによって室外空気A3が吸収材52から奪う水分量を少なくする、すなわち室内Rinの加湿量が少ない弱加湿運転が実行されてもよい。
【0052】
加熱された室外空気A3に水分が奪われることにより、吸収材52の保水量が減少する、すなわち吸収材52が乾燥する。吸収材52が乾燥すると、第1の流路P1を流れる室外空気A3は吸収材52から水分を奪うことができない。その対処として、吸収材52は、第2の流路P2を流れる室外空気A4から水分を奪う。それにより、吸収材52の保水量がほぼ一定に維持され、加湿運転を継続することができる。
【0053】
【0054】
除湿運転は、室外空気A3を除湿し、その除湿された室外空気A3を室内Rin(すなわち室内機20)に供給する空調運転である。
図5に示すように、除湿運転では、吸着運転と再生運転とが交互に実行される。
【0055】
吸着運転は、室外空気A3に担持されている水分を吸収材52に吸着させ、それにより室外空気A3を除湿する運転である。
図5に示すように、吸着運転中、モータ54は、吸収材52を回転し続ける。第1のヒータ58と第2のヒータ60は、OFF状態であって、室外空気A3を加熱していない。第1のファン62はON状態で、それにより第1の流路P1内を室外空気A3が流れている。ダンパ装置64は、第1の流路P1内の室外空気A3を室内機20に振り分ける。第2のファン66は、OFF状態であって、それにより第2の流路P2内に室外空気A4の流れが発生していない。
【0056】
このような吸着運転によれば、室外空気A3は、第1の流路P1に流入し、第1および第2のヒータ58、60に加熱されることなく吸収材52を通過する。このとき、室外空気A3に担持されている水分が吸収材52に吸着する。それにより、室外空気A3の水分の担持量が減少する、すなわち室外空気A3が乾燥される。吸収材52を通過して乾燥した室外空気A3は、ダンパ装置64によって室内機20に振り分けられる。ダンパ装置64を通過して換気導管56を介して室内機20に到達した室外空気A3は、ファン24によって室内Rinに吹き出される。このような吸着運転により、乾燥した室外空気A3が室内Rinに供給され、室内Rinが除湿される。
【0057】
吸着運転が続くと、吸収材52の保水量が増加し続け、その結果、室外空気A3に担持されている水分に対する吸収材52の吸着能力が低下する。その吸着能力を回復するために吸収材52を再生させる再生運転が実行される。
【0058】
再生運転中、モータ54は、吸収材52を回転し続ける。第1のヒータ58と第2のヒータ60は、ON状態であって、室外空気A3を加熱している。第1のファン62はON状態で、それにより第1の流路P1内を室外空気A3が流れている。ダンパ装置64は、第1の流路P1内の室外空気A3を、室内機20ではなく、室外Routに振り分ける。第2のファン66は、OFF状態であって、それにより第2の流路P2内に室外空気A4の流れが発生していない。
【0059】
このような再生運転によれば、室外空気A3は、第1の流路P1に流入し、第1および第2のヒータ58、60に加熱されて吸収材52を通過する。このとき、加熱された室外空気A3は、吸収材52から多量の水分を奪う。それにより、室外空気A3に多量の水分が担持される。それとともに、吸収材52の保水量が減少する、すなわち吸収材52が乾燥してその吸着能力が再生する。吸収材52を通過して多量の水分を担持する室外空気A3は、ダンパ装置64によって室外Routに振り分けられ、室外Routに排出される。これにより、除湿運転における再生運転中に、吸収材52の再生によって多量の水分を担持する室外空気A3が室内Rinに供給されることがない。
【0060】
このような吸着運転と再生運転を交互に行うことにより、吸収材52の吸着能力が維持され、除湿運転を継続的に実行することができる。
【0061】
上述の冷凍サイクルによる空調運転(冷房運転、除湿運転(弱冷房運転)、暖房運転)と換気装置50による空調運転(換気運転、加湿運転、除湿運転)は、別々に実行可能であり、また同時に実行することも可能である。例えば、冷凍サイクルによる除湿運転と換気装置50による除湿運転を同時に実行すれば、室温を一定に維持した状態で室内Rinを除湿することが可能である。
【0062】
空気調和機10が実行する空調運転は、ユーザによって選択される。例えば、
図1に示すリモートコントローラ70に対するユーザの選択操作により、その操作に対応する空調運転を空気調和機10は実行する。
【0063】
ここまでは、本実施の形態に係る空気調和機10の構成および動作について概略的に説明してきた。ここからは、本実施の形態に係る空気調和機10の更なる特徴について説明する。
【0064】
図6は、空気調和機を制御する構成を示すブロック図である。
【0065】
図6に示すように、空気調和機10の構成要素は、制御部90によって制御される。制御部90は、例えば、プログラムを記憶したメモリと、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサに対応する処理回路を備える。制御部90の機能は、ハードウェアのみで構成してもよいし、ハードウェアとソフトウェアとを組み合わせることにより実現してもよい。制御部90は、メモリに格納されたデータやプログラムを読み出して種々の演算処理を行うことで、所定の機能を実現する。本実施の形態の場合、制御部90は、圧縮機36、膨張弁38、モータ54、第1のヒータ58、第2のヒータ60、第1のファン62、ダンパ装置64、第2のファン66を制御する。
【0066】
図7Aは、室内機の内部構造の一例を示す概略図である。
【0067】
図7Aに示すように、室内機20は、室内熱交換器22、ファン24及びノズル57を有する。ノズル57は、室内機20内に換気装置50から換気導管56を介して供給された室外空気A3を吹き出すように、室内機20内に設けられている。具体的には、ノズル57は、吹き出した室外空気A3が室内熱交換器22における湿りパスPA1を避けて乾きパスPA2における領域DP1を通過してファン24に向かうように室内機20内に配置されている。ファン24は、例えばクロスフローファンである。
【0068】
「湿りパスPA1」及び「乾きパスPA2」は、空気調和機10の弱冷房運転(除湿運転)時に圧縮機36の周波数を膨張弁38の開度を制御することによって、室内熱交換器22に生じる湿った領域及び乾いた領域を示す。具体的には、湿りパスPA1は、弱冷房運転(除湿運転)おいて圧縮機36の周波数及び膨張弁38の開度を小さくすることによって、室内熱交換器22における冷媒の流れ方向の上流側に形成される湿った領域である。乾きパスPA2は、弱冷房運転(除湿運転)おいて圧縮機36の周波数及び膨張弁38の開度を小さくすることによって、室内熱交換器22において湿りパスPA1の下流側に形成される乾いた領域である。
【0069】
「領域DP1」とは、室内熱交換器22において他の領域に比べて乾燥している領域である。領域DP1は、室内熱交換器22において冷媒の流れ方向の下流側の領域であって、換気装置50からの室外空気A3が供給される領域である。領域DP1は、乾きパスPA2の下流側に形成される。このような「領域DP1」は、実験的にまたはシミュレーションによって特定することができる。
【0070】
本実施の形態の場合、
図7Aに示すように、ファン24の回転中心線の延在方向視(U軸方向視)で、室内熱交換器22は、ファン24を部分的に囲むように(本実施の形態の場合はファン24の下方を除いて囲むように)室内機20内に設けられている。室内熱交換器22はまた、ファン24の後方に位置する第1の部分22aと、ファン24の前側に位置する第2の部分22bとから構成されている。このような室内熱交換器22内を、圧縮機36から供給された冷媒が流れる。
【0071】
図7Bは、室内熱交換器の冷媒の流れの一例を示す概略図である。
【0072】
図7Bに示すように、空気調和機10の冷房運転または弱冷房運転(除湿運転)時、ファン24の回転中心線の延在方向視で、冷媒は、(A)→(B)→(C1,C2,C3)→(D,E1,E2,F)→(G1,G2,G3,G4)の順に流れる。
【0073】
冷媒は、室内熱交換器22の冷媒入口22cから第1の冷媒流路「(A)→(B)」に流入する。第1の冷媒流路「(A)→(B)」は、室内熱交換器22の第1の部分22aの中央部の外面側に設けられており、冷媒が下方向へ流れる流路である。第1の部分22aの外面とは、第1の部分22aにおいて、室内熱交換器22を収納する室内機20の筐体が位置する側の面である。
【0074】
冷媒は、第1の冷媒流路「(A)→(B)」を流れた後、第2の冷媒流路「(B)→(C1,C2,C3)」を流れる。第2の冷媒流路「(B)→(C1,C2,C3)」は、室内熱交換器22の第2の部分22bの中央部の外面側に設けられており、冷媒が上方向へ流れる流路である。第2の部分22bの外面とは、第2の部分22bにおいて、室内熱交換器22を収納する室内機20の筐体が位置する側の面である。
【0075】
室内熱交換器22において、冷媒入口22cから流入した冷媒の温度は、他の部分に比べて低い。このため、室内熱交換器22の冷媒流路の上流側は、冷却部として機能し、湿った状態となる。冷却部とは、膨張弁38の開度を絞ることで室内熱交換器22内を流れる冷媒が圧力の低い液冷媒の状態となる部分である。本実施形態では、第1の冷媒流路「(A)→(B)」および第2の冷媒流路「(B)→(C1,C2,C3)」が、冷却部として機能し、湿りパスPA1となっている。
【0076】
冷媒は、第2の冷媒流路「(B)→(C1,C2,C3)」を流れた後、さらに3つの冷媒流路に分かれて流れる。3つの冷媒流路は、第3の冷媒流路「(C1)→(D)」、第4の冷媒流路「(C2)→(E1,E2)」及び第5の冷媒流路「(C3)→(F)」を含む。
【0077】
第3の冷媒流路「(C1)→(D)」は、第2の部分22bの中央部において、第2の部分22bの外面から内面側に向かって設けられており、冷媒が第2の部分22bの外面から内面に向かって流れる流路である。第2の部分22bの内面とは、第2の部分22bにおいて、ファン24が位置する側の面である。冷媒は、第3の冷媒流路「(C1)→(D)」を流れた後、第6の冷媒流路「(D)→(G1)」を流れる。
【0078】
第4の冷媒流路「(C2)→(E1,E2)」は、第2の部分22bの中央部よりも上側において、第2の部分22bの外面から内面側に向かって設けられており、冷媒が第2の部分22bの外面から内面に向かって流れる流路である。冷媒は、第4の冷媒流路「(C2)→(E1,E2)」を流れた後、さらに2つの冷媒流路に分かれて流れる。2つの冷媒流路は、第7の冷媒流路「(E1)→(G2)」と第8の冷媒流路「(E2)→(G3)」とを含む。
【0079】
第5の冷媒流路「(C3)→(F)」は、第4の冷媒流路よりも上側において、第2の部分22bの外面から内面側に向かって設けられており、冷媒が第2の部分22bの外面から内面に向かって流れる流路である。冷媒は、第5の冷媒流路「(C3)→(F)」を流れた後、第9の冷媒流路「(F)→(G4)」を流れる。
【0080】
第6の冷媒流路「(D)→(G1)」は、第2の部分22bの中央部よりも下側において、第2の部分22bの外面から内面側に向かって設けられており、冷媒が第2の部分22bの外面から内面に向かって流れる流路である。
【0081】
第7の冷媒流路「(E1)→(G2)」は、第1の部分22aの中央部よりも上側において、第1の部分22aの外面から内面側に向かうと共に、第1の部分22aの上側から下側に向かって設けられており、冷媒が第1の部分22aの外面から内面側、且つ下方向へ向かって流れる流路である。
【0082】
第8の冷媒流路「(E2)→(G3)」は、第1の部分22aの中央部において、第1の部分22aの外面から内面側に向かうと共に、第1の部分22aの中央部から下側に向かって設けられており、冷媒が第1の部分22aの外面から内面に向かって流れる流路である。
【0083】
第9の冷媒流路「(F)→(G4)」は、第2の部分22bの中央部よりも下側、且つ第6の第6の冷媒流路「(D)→(G1)」よりも上側において、第2の部分22bの外面から内面側に向かって設けられており、冷媒が第2の部分22bの外面から内面に向かって流れる流路である。
【0084】
冷媒は、第6の冷媒流路「(D)→(G1)」、第7の冷媒流路「(E1)→(G2)」、第8の冷媒流路「(E2)→(G3)」および第9の冷媒流路「(F)→(G4)」を流れた後、合流し、冷媒出口22dから排出される。
【0085】
第3~9の冷媒流路は、過熱部として機能し、乾いた状態となる。過熱部とは、冷媒が飽和温度に達しているが相変化せずに、冷却部と比べて高温となっている部分である。本実施形態では、第3~9の冷媒流路は、乾きパスPA2となっている。
【0086】
このような冷媒の流れの結果、室内熱交換器22において、第1の冷媒流路及び第2の冷媒流路が湿りパスPA1となり、第3~9の冷媒流路が乾きパスPA2となる。冷媒は室内熱交換器22の上流から下流に向かって流れている間に温度が上昇するので、乾きパスPA2の下流に位置する領域DP1では、他の部分に比べて結露が生じにくい(付着する結露水が少ない)。本実施形態では、第6の冷媒流路「(D)→(G1)」及び9の冷媒流路「(F)→(G4)」が、領域DP1となっている。
【0087】
第1~9の冷媒流路は、例えば、配管で形成されている。
【0088】
室内熱交換器22には、複数の温度センサ26~28が配置されている。本実施の形態では、複数の温度センサ26~28は、第1の温度センサ26、第2の温度センサ27及び第3の温度センサ28を含む。
【0089】
図8は、室内熱交換器における複数の温度センサの配置の一例を示す模式図である。
【0090】
図8に示すように、室内熱交換器22には、冷媒が流入する冷媒入口22cと、冷媒が流出する冷媒出口22dと、が設けられている。冷媒入口22cは、室内熱交換器22において冷媒配管42と接続され、冷媒配管42から室内熱交換器22内に冷媒が流入する開口である。冷媒出口22dは、室内熱交換器22において冷媒配管42と接続され、室内熱交換器22から冷媒配管42へ冷媒が流出する開口である。
【0091】
本実施の形態では、冷媒入口22cは、室内熱交換器22の第1の冷媒流路に接続される流路に設けられている。冷媒出口22dは第5~8の冷媒流路に接続される流路に設けられている。
【0092】
室内熱交換器22において、冷媒入口22c側が冷媒の流れ方向における上流となり、冷媒出口22d側が冷媒の流れ方向における下流となる。
【0093】
室内熱交換器22において室外空気A3が供給される領域DP1は、室内熱交換器22において冷媒の流れ方向の下流側に位置する。言い換えると、領域DP1は、冷媒入口22cと冷媒出口22dとの間において冷媒の流れ方向の下流側に位置する。具体的には、領域DP1は、室内熱交換器22の第2の部分22bの下部に位置する。
【0094】
第1の温度センサ26は、室内熱交換器22において冷媒の流れ方向の上流側であって、室内熱交換器22内に冷媒が流入する流入部分より下流の部分の第1の温度T1を取得する。具体的には、第1の温度センサ26は、湿りパスPA1の入口より下流の湿りパスPA1の出口における室内熱交換器22の第1の温度T1を取得する。湿りパスPA1の出口とは、室内熱交換器22における冷媒流路の上流側であって、冷媒流路の下流側と比べて比較的温度の低い冷媒が流れる部分の出口である。言い換えると、湿りパスPA1の出口は、冷却部と過熱部との境界である。本実施形態では、第1の温度センサ26は、室内熱交換器22の第2の部分22bの中央部において、第2の部分22bの外面側に配置されている。具体的には、第1の温度センサ26は、第2の冷媒流路「(B)→(C1,C2,C3)」の出口に配置されている。
【0095】
第2の温度センサ27は、室内熱交換器22内に冷媒が流入する流入部分における室内熱交換器22の第2の温度T2を取得する。具体的には、第2の温度センサ27は、冷媒入口22cにおける室内熱交換器22の第2の温度T2を取得する。第2の温度センサ27は、冷媒入口22cの近傍又は冷媒入口22cに配置されている。本実施の形態では、第2の温度センサ27は、第1の部分22aの中央部において、第1の部分22aの外面側に配置されている。具体的には、第2の温度センサ27は、第1の冷媒流路「(A)→(B)」の入口に配置されている。
【0096】
第3の温度センサ28は、室内熱交換器22において冷媒の流れ方向の下流側の領域DP1の第3の温度T3を取得する。第3の温度センサ28は、冷媒の流れ方向において、第1の温度センサ26よりも下流側の室内熱交換器22の第3の温度T3を取得する。第3の温度T3は、冷媒出口22dにおける室内熱交換器22の温度であってもよい。本実施の形態では、第3の温度センサ28は、第2の部分22bの下部に配置されている。具体的には、第3の温度センサ28は、第6の冷媒流路「(D)→(G1)」の入口に配置されている。
【0097】
図9は、空気調和機の動作の一例を示すフローチャートである。
図10は、吸着運転制御の一例を示すフローチャートである。
図11は、空気調和機の制御の一例のタイミングチャートである。
【0098】
図9及び
図10に示す処理は、制御部90によって空気調和機10の構成要素を制御することによって実施される。なお、
図9及び
図10に示す処理は一例であって、本実施の形態は
図9及び
図10に示す処理に限定されない。
【0099】
図9に示す処理は、例えば、
図1に示すリモートコントローラ70に対するユーザの選択操作により、冷房運転がONになったときに開始する。
【0100】
図9に示すように、ステップS10では、制御部90が、開始条件が成立しているか否かを判定する。制御部90が、開始条件が成立していると判定した場合、処理はステップS20に進む。制御部90が、開始条件が成立していないと判定した場合、処理はステップS10を繰り返す。
【0101】
開始条件は、冷房運転を開始するための条件であり、例えば、運転モード、湿度、湿度コントロール、運転周波数、インバータ電流、温度又は異常の有無のうち少なくとも1つを含んでいてもよい。
【0102】
なお、制御部90が、開始条件が成立していないと判定した場合、制御部90は開始条件が成立するための制御を実施してもよい。
【0103】
ステップS20では、制御部90が冷房運転制御を実施する。具体的には、制御部90は、圧縮機36、膨張弁38及び四方弁40を制御し、冷媒が圧縮機36から四方弁40、室外熱交換器32、膨張弁38、室内熱交換器22を順に流れて圧縮機36に戻る冷凍サイクルを実行する。
【0104】
冷房運転時において、制御部90は、第3の温度センサ28で取得した第3の温度T3に基づいて、圧縮機36及び膨張弁38を制御する。具体的には、制御部90は、第3の温度T3に基づいて圧縮機36の周波数及び膨張弁38の開度を制御する。
【0105】
例えば、
図11に示すように、冷房運転開始時の第3の温度T3が比較的高いとき、制御部90は、膨張弁38の開度を大きくし、圧縮機36の周波数を大きくしている。例えば、制御部90は、冷房運転開始時に膨張弁38の開度を約40%以上約50%以下に制御し、圧縮機36の周波数を約80Hzに制御する。
【0106】
冷房運転において、第3の温度T3が下がってくるのに伴い、制御部90は、膨張弁38の開度を小さくし、圧縮機36の周波数を小さくしている。例えば、制御部90は、第3の温度T3に応じて、膨張弁38の開度を約50%から約8%までの範囲で小さくする。制御部90は、圧縮機36の周波数を約80Hzから約30Hzまでの範囲で小さくする。
【0107】
冷房運転制御において、制御部90は、室内温度Trと設定温度Tsとを取得する。例えば、制御部90は、室内機20に設けられた室内温度センサから室内温度Trを取得してもよい。例えば、制御部90は、記憶部から設定温度Tsを取得してもよい。この場合。記憶部は、ユーザがリモートコントローラ70に入力した設定温度Tsの情報を記憶していてもよい。
【0108】
制御部90は、室内温度Trが設定温度Tsより小さくなるまで、第3の温度T3に基づいて圧縮機36の周波数及び膨張弁38の開度を制御する。例えば、制御部90は、室内温度Trが設定温度Tsより1℃小さくなるまで、第3の温度T3に基づいて圧縮機36の周波数及び膨張弁38の開度を制御する。
【0109】
図9に戻って、ステップS30では、制御部90が、室内温度Trが設定温度Tsより小さくなっているか否かを判定する。制御部90が、室内温度Trが設定温度Tsより小さくなっていると判定した場合、処理はステップS40に進む。制御部90が、室内温度Trが設定温度Tsより小さくなっていないと判定した場合、処理はステップS30に戻る。
【0110】
図11に示す例では、室内温度Trが設定温度Tsより1℃小さい温度Tr1になったとき、即ち、
図11に示すタイミングtmg1のとき、制御部90は、室内温度Trが設定温度Tsより小さくなっていると判定する。室内温度Trが温度Tr1より大きい場合、制御部90は、室内温度Trが設定温度Tsより小さくなっていないと判定する。
【0111】
ステップS40では、制御部90が、室外空気A3を室内機20に供給することを含む除湿運転制御を実施する。除湿運転制御は、ステップS50の再生運転制御と、ステップS60の吸着運転制御と、を繰り返す(
図5参照)。
【0112】
次に、
図10を用いて本実施の形態における吸着運転制御について説明する。
【0113】
図10に示すように、吸着運転制御を開始すると、ステップS61では、制御部90が、膨張弁38の開度を制御する。具体的には、
図11に示すように、制御部90は、冷房運転時に比べて膨張弁38の開度を小さくする。例えば、制御部90は、膨張弁38の開度を0%以上7%未満に制御する。
【0114】
ステップS62では、制御部90が、圧縮機36の周波数を制御する。具体的には、
図11に示すように、制御部90は、冷房運転時に比べて圧縮機36の周波数を小さくする。例えば、制御部90は、圧縮機36の周波数を0Hz以上20Hz以下に制御する。
【0115】
ステップS61,S62を実施することによって、室内熱交換器22において、上流側に冷却部を形成し、下流側に過熱部を形成する。
【0116】
本実施の形態では、冷却部は、室内熱交換器22の第1の部分22aの中央部の外面側と、第2の部分22bの中央部の外面側と、に形成される。言い換えると、冷却部は、第1の冷媒流路「(A)→(B)」および第2の冷媒流路「(B)→(C1,C2,C3)」に形成される。過熱部は、室内熱交換器22の第1の部分22aの中央部の外面側を除いて、第1の部分22aの上部から下部および第2の部分22bの上部から下部にかけて形成されている。また、過熱部は、室内熱交換器22の第2の部分22bの中央部の外面側を除いて、第2の部分22bの上部から下部にかけて形成されている。言い換えると、過熱部は、第3~9の冷媒流路に形成される。
【0117】
第1の温度センサ26は、冷却部と過熱部との境界付近に配置されている。第2の温度センサ27は、冷媒の流れ方向において冷却部の上流側に配置されている。第3の温度センサ28は、冷媒の流れ方向において過熱部の下流側に配置されている。
【0118】
図11に示す例では、第2の温度T2は、冷却部の温度を示しており、17℃から5℃程度まで下がっている。第1の温度T1は、過熱部と冷却部の境界付近の温度を示しており、17℃から22℃まで上がっている。即ち、室内熱交換器22において、湿りパスPA1の入口である第1の冷媒流路「(A)→(B)」の入口が17℃から5℃に冷やされ、湿りパスPA1の出口である第2の冷媒流路「(B)→(C1,C2,C3)」の出口が17℃から22℃まで暖められている。
【0119】
ステップS63では、制御部90が、第1の温度T1が第1の閾値L1以上であるか否かを判定する。制御部90が、第1の温度T1が第1の閾値L1以上であると判定したとき、処理はステップS64に進む。制御部90が、第1の温度T1が第1の閾値L1より小さいと判定したとき、処理はステップS61,S62を繰り返す。第1の閾値L1は、例えば、22[℃]である。
【0120】
図11に示す例では、第1の温度T1が第1の閾値L1を示す温度T11となるタイミングtmg2のとき、制御部90は、第1の温度T1が第1の閾値L1以上であると判定し、処理がステップS64に進む。
【0121】
ステップS64では、制御部90が、換気装置50を制御し、室外空気A3を室内熱交換器22に供給する。具体的には、制御部90は、第1のファン62、モータ54及びダンパ装置64を制御し、室外Routから室内機20の室内熱交換器22に乾燥した室外空気A3を供給する。
【0122】
例えば、制御部90は、ヒータ58,60をオンにし、吸収材52を加熱して乾燥させる。制御部90は、ヒータ58,60をオフにした後、第1のファン62を回転させ、室外空気A3を吸収材52に通過させる。これにより、室外空気A3の水分が吸収材52に吸収され、室外空気A3が乾燥する。また、室外空気A3は、ヒータ58,60で加熱された吸収材52によって暖められる。制御部90は、ダンパ装置64を開き、乾燥した室外空気A3を室内機20に振り分ける。これにより、室外空気A3は、換気導管56を通って室内機20の室内熱交換器22に供給される。
【0123】
室外空気A3は、室内熱交換器22の過熱部の下流に位置する領域DP1、即ち第2の部分22bの下部に供給される。過熱部は冷却部と比べて高温となっている部分であり、冷却部に比べて乾燥している。このため、過熱部には、結露水が発生しにくい。その結果、過熱部に対して室外空気A3を吹き出す場合、室外空気A3が湿った状態にならずに、室内Rinから吹き出される。
【0124】
ステップS65では、制御部90は、第1の温度センサ26で取得した第1の温度T1に基づいて膨張弁38の開度を制御する。例えば、制御部90は、第1の温度T1が小さくなると膨張弁38の開度を大きくし、第1の温度T1が大きくなると膨張弁38の開度を小さくする。制御部90は、膨張弁38の開度を調節することによって、第1の温度T1を所望の温度に調節している。例えば、制御部90は、膨張弁38の開度を調節することによって、第1の温度T1を約22℃に調節する。このようにして、過熱部の温度が下がることを抑制している。
【0125】
ステップS66では、制御部90は、室内温度Trに基づいて圧縮機36の周波数を制御する。例えば、制御部90は、室内温度Trが大きくなると圧縮機36の周波数を大きくし、室内温度Trが小さくなると圧縮機36の周波数を小さくする。例えば、制御部90は、圧縮機36の周波数を調節することによって、室内温度Trを設定温度Ts以下に調節する。このようにして、室内温度Trが上がることを抑制している。
【0126】
ステップS67では、制御部90は、第1の温度T1が第2の閾値L2以下になっているか否かを判定する。制御部90が、第1の温度T1が第2の閾値L2以下になっていると判定したとき、処理はステップS66に進む。制御部90は、第1の温度T1が第2の閾値L2より大きいと判定したとき、処理はステップS64を繰り返す。例えば、第2の閾値L2は、18[℃]である。
【0127】
ステップS68では、制御部90が、換気装置50を制御し、室外空気A3の供給を停止する。具体的には、制御部90は、ダンパ装置64を閉じ、室内機20の室内熱交換器22に乾燥した室外空気A3を供給することを停止する。
【0128】
図11に示す例では、第1の温度T1が第2の閾値L2を示す温度T12となるタイミングtmg3のとき、制御部90は、換気装置50を制御し、室外空気A3の供給を停止する。
【0129】
本実施の形態では、制御部90は、室外空気A3の供給を停止した後、除湿運転制御から冷房運転制御に切り替える。
【0130】
以上のような本実施の形態によれば、室内熱交換器22において室外空気A3が供給される領域DP1で結露が発生することを抑制できる。これにより、空気調和機10における除湿の効率低下を抑制することができる。
【0131】
以上、上述の実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本開示は上述の実施の形態に限定されない。
【0132】
上述の実施の形態の場合、除湿運転時において、制御部90は、第1の温度T1に基づいて圧縮機36、膨張弁38及び換気装置50を制御する例について説明したが、これに限定されない。例えば、制御部90は、第1の温度T1と第2の温度T2とに基づいて圧縮機36、膨張弁38及び換気装置50を制御してもよい。例えば、制御部90は、第1の温度T1と第2の温度T2との温度差Td1を算出し、温度差Td1に基づいて圧縮機36、膨張弁38及び換気装置50を制御してもよい。このような構成により、除湿の効率低下を更に抑制することができる。
【0133】
上述の実施の形態の場合、
図10のステップS67,S68に示すように、制御部90は、第1の温度T1に基づいて室外空気A3の供給の停止を判定する例について説明したが、これに限定されない。
【0134】
図12~
図14は、変形例の吸着運転制御を示すフローチャートである。
図12及び
図13の処理は、それぞれ、ステップS67A,S67Bが
図10のステップS67と異なる点を除いて、
図10の処理と同様である。
図14の処理は、ステップS67A,S68Aが
図10のステップS67,S68と異なる点を除いて、
図10の処理と同様である。
【0135】
図12に示すように、ステップS67A,S68では、制御部90は、第1の温度T1と第2の温度T2との温度差Td1が第3の閾値L3以下となったとき、換気装置50からの室外空気A3の供給を停止してもよい。例えば、第3の閾値L3は5[℃]である。このような構成により、このような構成により、除湿の効率低下を更に抑制することができる。
【0136】
図13に示すように、ステップS67B,S68では、制御部90は、室内温度Trと設定温度Tsとを取得し、室内温度Trが設定温度Tsより大きいと判定したとき、換気装置50からの室外空気A3の供給を停止してもよい。また、制御部90は、膨張弁38の開度と圧縮機36の周波数を大きくし、例えば、冷房運転制御を実施してもよい。このような構成により、快適性を向上させることができる。
【0137】
図14に示すように、ステップS67C,S69では、制御部90は、第2の温度T2が第4の閾値L4以下となったとき、膨張弁38の開度及び圧縮機36の周波数を制御してもよい。具体的には、制御部90は、第2の温度T2が第4の閾値L4以下となったとき、膨張弁38の開度及び圧縮機36の周波数を大きくしてもよい。例えば、第4の閾値L4は0℃である。このような構成により、冷媒が露点温度以下になり、凍結することを抑制することができる。なお、第4の閾値L4は露点温度より大きくてもよい。
【0138】
なお、本明細書において、「第1」、「第2」などの用語は、説明のためだけに用いられるものであり、相対的な重要性または技術的特徴の順位を明示または暗示するものとして理解されるべきではない。「第1」と「第2」と限定されている特徴は、1つまたはさらに多くの当該特徴を含むことを明示または暗示するものである。
【0139】
本開示の実施の形態に係る空気調和機は、広義には、室外熱交換器、圧縮機及び膨張弁を有する室外機と、室内熱交換器を有する室内機と、前記室外熱交換器、前記圧縮機、前記膨張弁及び前記室内熱交換器を接続し、冷媒が循環する冷媒配管と、室内熱交換器において前記冷媒の流れ方向の上流側であって、前記室内熱交換器内に前記冷媒が流入する流入部分より下流の部分の第1の温度を取得する第1の温度センサと、室内熱交換器において前記冷媒の流れ方向の下流側の領域に向かって室外空気を供給する換気装置と、前記第1の温度に基づいて、前記圧縮機、前記膨張弁及び前記換気装置を制御する制御部と、を備える。
【産業上の利用可能性】
【0140】
本開示は、室内機と室外機を備える空気調和機であれば適用可能である。
【符号の説明】
【0141】
10 空気調和機
20 室内機
22 室内熱交換器
22a 第1の部分
22b 第2の部分
22c 冷媒入口
22d 冷媒出口
26 第1の温度センサ
27 第2の温度センサ
28 第3の温度センサ
30 室外機
32 室外熱交換器
36 圧縮機
38 膨張弁
40 四方弁
42 冷媒配管
50 換気装置
52 吸収材
54 モータ
56 換気導管
57 ノズル
58 第1のヒータ
60 第2のヒータ
62 ファン(第1のファン)
64 ダンパ装置
66 ファン(第2のファン)
70 リモートコントローラ
90 制御部
DP1 領域
P1 流路(第1の流路)
P2 流路(第2の流路)
PA1 湿りパス
PA2 乾きパス