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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023067079
(43)【公開日】2023-05-16
(54)【発明の名称】測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/404 20060101AFI20230509BHJP
   G01N 27/416 20060101ALI20230509BHJP
   G01N 27/27 20060101ALI20230509BHJP
【FI】
G01N27/404 341U
G01N27/416 323
G01N27/27 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021178050
(22)【出願日】2021-10-29
(71)【出願人】
【識別番号】504171134
【氏名又は名称】国立大学法人 筑波大学
(71)【出願人】
【識別番号】000103976
【氏名又は名称】株式会社オリジン
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 博章
(72)【発明者】
【氏名】中野 晃
(57)【要約】
【課題】例えば、複数の酸素電極を備えた場合に、当該酸素電極と電気的に接続された端子の数を抑制することができるような、新規な改善された測定装置を得る。
【解決手段】測定装置は、例えば、基板上に、それぞれが最大M個(Mは、1以上の整数)のアノードと電気的に接続されたN個(Nは、1以上の整数)の第一端子と、それぞれが最大N個のカソードと電気的に接続されたM個の第二端子と、を備え、アノードは、それぞれ、いずれか一つの第一端子と電気的に接続され、カソードは、それぞれ、いずれか一つの第二端子と電気的に接続され、MおよびNのうち少なくとも一方が2以上であり、Mが2以上である場合、同じ第一端子と電気的に接続されたアノードと対応したカソードは、それぞれ別の第二端子と電気的に接続され、Nが2以上である場合、同じ第二端子と電気的に接続されたカソードと対応したアノードは、それぞれ別の第一端子と電気的に接続される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板上に設けられ、それぞれがアノードと当該アノードに対応したカソードとを有した複数の酸素電極と、
前記酸素電極上に設けられ前記酸素電極と電気的に接続された電解質層と、
前記電解質層を覆う酸素透過膜と、
前記基板に設けられ、それぞれが最大M個(Mは、1以上の整数)の前記アノードと電気的に接続されたN個(Nは、1以上の整数)の第一端子と、
前記基板に設けられ、それぞれが最大N個の前記カソードと電気的に接続されたM個の第二端子と、
を備え、
前記アノードは、それぞれ、いずれか一つの前記第一端子と電気的に接続され、
前記カソードは、それぞれ、いずれか一つの前記第二端子と電気的に接続され、
MおよびNのうち少なくとも一方が2以上であり、
Mが2以上である場合、同じ前記第一端子と電気的に接続された前記アノードと対応した前記カソードは、それぞれ別の前記第二端子と電気的に接続され、
Nが2以上である場合、同じ前記第二端子と電気的に接続された前記カソードと対応した前記アノードは、それぞれ別の前記第一端子と電気的に接続された、測定装置。
【請求項2】
MおよびNの双方が2以上である、請求項1に記載の測定装置。
【請求項3】
前記複数の酸素電極が格子点状に配置された、請求項2に記載の測定装置。
【請求項4】
同じ前記第一端子と電気的に接続された前記アノードを有した前記酸素電極は、第一方向に並び、
同じ前記第二端子と電気的に接続された前記カソードを有した前記酸素電極は、前記第一方向と交差した第二方向に並んだ、請求項1~3のうちいずれか一つに記載の測定装置。
【請求項5】
複数の前記第一端子と、複数の前記第二端子とが、前記基板の同じ辺に沿って並んだ、請求項4に記載の測定装置。
【請求項6】
複数の前記第一端子と、複数の前記第二端子とが、それぞれ前記基板の異なる辺に沿って並んだ、請求項4に記載の測定装置。
【請求項7】
前記アノードと前記第一端子とを電気的に接続した第一導線と、前記カソードと前記第二端子とを電気的に接続した第二導線とが、間隔をあけて重なった交差箇所において、前記第一導線と前記第二導線との間に介在した絶縁層を備えた、請求項4~6のうちいずれか一つに記載の測定装置。
【請求項8】
前記酸素透過膜に対して前記電解質層とは反対側に位置し、サンプルを収容する第一収容室が設けられたチャンバを備え、
前記第一収容室は、前記酸素電極のそれぞれに対応して設けられた第一収容室を含む、請求項1~7のうちいずれか一つに記載の測定装置。
【請求項9】
前記酸素透過膜に対して前記電解質層とは反対側に位置し、サンプルを収容する第一収容室が設けられたチャンバを備え、
前記第一収容室は、前記複数の酸素電極に対応して設けられた第一収容室を含む、請求項1~8のうちいずれか一つに記載の測定装置。
【請求項10】
前記基板と前記酸素透過膜との間に介在した中間部材を備え、
前記中間部材には、前記基板と前記酸素透過膜との間で貫通した貫通穴の内周面と、前記基板の前記酸素透過膜と面した第一面と、前記酸素透過膜の前記基板と面した第二面と、の間に、第二収容室が形成され、
前記第二収容室には、一つの前記酸素電極の前記アノードおよび前記カソードが露出するとともに、前記電解質層を構成する電解質を含む流体が収容され、かつ当該電解質を含む流体を含浸する含浸体が収容されない、請求項1~9のうちいずれか一つに記載の測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、酸素透過膜で被覆された乾燥状態の電解質層に、サンプルの水分を水蒸気として導入し、当該電解質層を介して酸素電極を活性化することにより、当該サンプルの酸素濃度を測定する測定装置が知られている(例えば、特許文献1)。当該特許文献1において、酸素電極は、アノードと、当該アノードと対応したカソードと、を有している。また、測定装置は、アノードと電気的に接続された端子と、カソードと電気的に接続された端子と、を備えている。測定装置では、これら端子間に所定電圧を印加した際の電流値に応じて、サンプルの酸素濃度を測定することができる。
【0003】
特許文献1には、一つの酸素電極を備えた測定装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-139818号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
この種の測定装置が複数の酸素電極を備え、当該複数の酸素電極において並行して酸素濃度を測定することができれば、有益である。
【0006】
ところが、測定装置が、特許文献1のように、一つの酸素電極について、アノードと電気的に接続された端子と、カソードと電気的に接続された端子と、を備えた構成である場合、酸素電極の数を増大すると端子の数が当該酸素電極の数の2倍になるため、例えば、測定装置が大型化したり、端子に繋がる配線の数が増大したり、といった、不都合な事象が生じる虞がある。
【0007】
そこで、本発明の課題は、例えば、複数の酸素電極を備えた場合に、当該酸素電極と電気的に接続された端子の数を抑制することができるような、新規な改善された測定装置を得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の測定装置は、例えば、基板と、前記基板上に設けられ、それぞれがアノードと当該アノードに対応したカソードとを有した複数の酸素電極と、前記酸素電極上に設けられ前記酸素電極と電気的に接続された電解質層と、前記電解質層を覆う酸素透過膜と、前記基板に設けられ、それぞれが最大M個(Mは、1以上の整数)の前記アノードと電気的に接続されたN個(Nは、1以上の整数)の第一端子と、前記基板に設けられ、それぞれが最大N個の前記カソードと電気的に接続されたM個の第二端子と、を備え、前記アノードは、それぞれ、いずれか一つの前記第一端子と電気的に接続され、前記カソードは、それぞれ、いずれか一つの前記第二端子と電気的に接続され、MおよびNのうち少なくとも一方が2以上であり、Mが2以上である場合、同じ前記第一端子と電気的に接続された前記アノードと対応した前記カソードは、それぞれ別の前記第二端子と電気的に接続され、Nが2以上である場合、同じ前記第二端子と電気的に接続された前記カソードと対応した前記アノードは、それぞれ別の前記第一端子と電気的に接続される。
【0009】
前記測定装置では、MおよびNの双方が2以上であってもよい。
【0010】
前記測定装置では、前記複数の酸素電極が格子点状に配置されてもよい。
【0011】
前記測定装置では、同じ前記第一端子と電気的に接続された前記アノードは、第一方向に並び、同じ前記第二端子と電気的に接続された前記カソードは、前記第一方向と交差した第二方向に並んでもよい。
【0012】
前記測定装置では、複数の前記第一端子と、複数の前記第二端子とが、前記基板の同じ辺に沿って並んでもよい。
【0013】
前記測定装置では、複数の前記第一端子と、複数の前記第二端子とが、それぞれ前記基板の異なる辺に沿って並んでもよい。
【0014】
前記測定装置は、前記アノードと前記第一端子とを電気的に接続した第一導線と、前記カソードと前記第二端子とを電気的に接続した第二導線とが、間隔をあけて重なった交差箇所において、前記第一導線と前記第二導線との間に介在した絶縁層を備えてもよい。
【0015】
前記測定装置は、前記酸素透過膜に対して前記電解質層とは反対側に位置し、サンプルを収容する第一収容室が設けられたチャンバを備え、前記第一収容室は、前記酸素電極のそれぞれに対応して設けられた第一収容室を含んでもよい。
【0016】
前記測定装置は、前記酸素透過膜に対して前記電解質層とは反対側に位置し、サンプルを収容する第一収容室が設けられたチャンバを備え、前記第一収容室は、前記複数の酸素電極に対応して設けられた第一収容室を含んでもよい。
【0017】
前記測定装置は、前記基板と前記酸素透過膜との間に介在した中間部材を備え、前記中間部材を前記基板と前記酸素透過膜との間で貫通した貫通穴の内周面と、前記基板の前記酸素透過膜と面した第一面と、前記酸素透過膜の前記基板と面した第二面と、の間に、第二収容室が形成され、前記第二収容室には、一つの前記酸素電極の前記アノードおよび前記カソードが露出するとともに、前記電解質層を構成する電解質を含む流体が収容され、かつ当該電解質を含む流体を含浸する含浸体が収容されなくてもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、例えば、複数の酸素電極を備えた場合に、電極と電気的に接続された端子の数を抑制することができるような、新規な改善された測定装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1図1は、第1実施形態の測定装置の例示的かつ模式的な断面図である。
図2図2は、第1実施形態の測定装置の基板、酸素電極、第一端子、第二端子、および導線を示す例示的かつ模式的な平面図である。
図3図3は、第1実施形態の測定装置のチャンバの例示的かつ模式的な平面図である。
図4図4は、第2実施形態の測定装置の基板、酸素電極、第一端子、第二端子、および導線を示す例示的かつ模式的な平面図である。
図5図5は、第3実施形態の測定装置の基板、酸素電極、第一端子、第二端子、および導線を示す例示的かつ模式的な平面図である。
図6図6は、第4実施形態の測定装置の一部の例示的かつ模式的な平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の例示的な実施形態が開示される。以下に示される実施形態の構成、ならびに当該構成によってもたらされる作用および効果は、一例である。本発明は、以下の実施形態に開示される構成以外によっても実現可能である。また、本発明によれば、構成によって得られる種々の効果(派生的な効果も含む)のうち少なくとも一つを得ることが可能である。
【0021】
以下に示される実施形態は、同様の構成を備えている。よって、各実施形態の構成によれば、当該同様の構成に基づく同様の作用および効果が得られる。また、以下では、それら同様の構成には同様の符号が付与されるとともに、重複する説明が省略される場合がある。
【0022】
本明細書において、序数は、部材等を区別するために便宜上付与されており、優先順位や順番を示すものではない。
【0023】
また、各図中、X方向を矢印Xで示し、Y方向を矢印Yで示し、Z方向を矢印Zで示している。X方向およびY方向は、基板の表面に沿う方向であり、Z方向は、基板の厚さ方向であるとともに、基板および基板上に積層される各層の積層方向である。X方向、Y方向、およびZ方向は、互いに交差するとともに互いに直交している。
【0024】
また、各図の寸法の比率は、実際の構造とは異なる場合がある。
【0025】
[第1実施形態]
[測定装置の構成]
図1は、測定装置1Aの一部の断面図であり、図2のI-I位置における断面を示す。また、図2は、測定装置1Aに含まれる基板10、酸素電極20、パッド81,82、および導線91,92を示す平面図である。
【0026】
図1に示されるように、測定装置1Aは、基板10、酸素電極20、絶縁層30、中間部材40、含浸体50、酸素透過膜60、およびチャンバ70を備えている。さらに、測定装置1Aは、図2に示されるように、パッド81,82および導線91,92を備えている。パッド81,82は、端子の一例である。酸素電極20、絶縁層30、パッド81,82、および導線91,92は、公知の半導体製造プロセスと同様のプロセスにより形成することができる。
【0027】
基板10は、例えば、四角形状かつ板状の形状を有している。基板10は、Z方向における略一定の厚さを有し、X方向およびY方向に延びている。基板10は、例えば、ガラスで作られる。
【0028】
基板10の表面10a上には、図1に示されるように、アノード21およびカソード22を有した酸素電極20および絶縁層30が形成されるとともに、図2に示されるように、パッド81,82および導線91,92が形成される。
【0029】
図2に示されるように、測定装置1Aは、複数の酸素電極20を備えている。本実施形態では、一例として、四つの酸素電極20を備えている。酸素電極20は、クラーク型酸素電極である。また、酸素電極20は、アノード21およびカソード22を有した比較的簡素な2電極方式の酸素電極である。これにより、測定装置1Aをよりコンパクトに構成することが可能となる。なお、一例として、酸素電極20の直径は、7~8[mm]である。
【0030】
図2に示されるような表面10aの平面視において、カソード22は、略円形の形状を有し、アノード21は、カソード22を間隔をあけて取り囲む略C字状の形状を有している。また、アノード21のC字の開放部には、径方向に延びたスリットが設けられている。当該スリットにおいて、カソード22と電気的に接続された導線92の一部である引出部92aが延びている。本実施形態では、カソード22と、当該カソード22を取り囲むアノード21とが、互いに対応しサンプルの酸素濃度を測定する酸素電極20のペアを構成している。なお、図2に示される形状は一例であって、アノード21およびカソード22は、このような形状には限定されない。また、引出部92aの引出方向も、図2に示される方向には限定されない。
【0031】
アノード21は、例えば、銀で作られる。ただし、これには限定されず、アノード21は、例えば、鉛のような別の材料で作られてもよい。なお、電解質は、例えば、塩化カリウム等である。アノード21が銀で作られた場合、通電により電解質中の塩素イオンがアノード21と反応し、アノード21の少なくとも一部が塩化銀となる。
【0032】
他方、カソード22は、例えば、白金で作られる。ただし、これには限定されず、カソード22は、例えば、金や、銀のような別の材料で作られてもよい。
【0033】
導線91は、アノード21と同じ材料で作られてもよいし、例えば、銅系金属や、カーボンのような、アノード21とは異なる材料の導電体で作られてもよい。導線91は、第一導線の一例である。また、導線92は、カソード22と同じ材料で作られてもよいし、例えば、銅系金属や、カーボンのような、カソード22とは異なる材料の導電体で作られてもよい。導線92は、第二導線の一例である。導線91,92は、配線あるいは配線パターンとも称されうる。
【0034】
また、絶縁層30は、例えば、ポリイミドのような絶縁性の合成樹脂材料で作られるが、これには限定されない。
【0035】
図1に示されるように、酸素電極20および絶縁層30の上、すなわち酸素電極20および絶縁層30に対して基板10とは反対側には、中間部材40が設けられている。中間部材40は、Z方向における略一定の厚さを有し、X方向およびY方向に延びている。中間部材40は、例えば、エポキシ樹脂のような絶縁性を有した合成樹脂材料で作られるが、これには限定されない。なお、一例として、中間部材40の厚さは、略25[μm]である。
【0036】
測定装置1Aには、中間部材40を利用して、酸素電極20のそれぞれに対応して電解質を含む液体やペーストのような流体(流動性を有した気体ではない物体)を収容した収容室41が形成されている。中間部材40は、基板10と酸素透過膜60との間に介在している。収容室41は、中間部材40に設けられた貫通穴40aの内周面40a1と、基板10の表面10aと、酸素透過膜60の裏面60aと、の間に形成されている。貫通穴40aは、基板10と酸素透過膜60との間で中間部材40を貫通している。また、表面10aにおいては、収容室41のそれぞれに、一つの酸素電極20のアノード21およびカソード22が露出している。ここで、基板10、ならびに当該基板10に設けられた酸素電極20や、導線91,92、パッド81,82等は、基板アセンブリと称することができる。よって、収容室41は、中間部材40の内周面40a1と、基板アセンブリの酸素透過膜60と面した表面と、酸素透過膜60の裏面60aと、によって取り囲まれていると言うことができる。なお、内周面40a1は、例えば、カソード22の外周とZ方向に重なった円筒内面であるが、これには限定されない。収容室41は、第二収容室の一例である。また、表面10aは、第一面の一例であり、裏面60aは、第二面の一例である。
【0037】
また、電解質を含む流体は、保湿剤を含有してもよい。この場合、電解質層からの水分の蒸発が抑制され、酸素電極20における測定値が時間的に安定しやすい。保湿剤は、例えば、ソルビトールや、スクロース、グルコース等であるが、これには限定されない。
【0038】
さらに、電解質を含む流体は、緩衝成分を含んでもよい。緩衝成分は、例えば、トリス塩酸等であるが、これには限定されない。
【0039】
また、本実施形態では、収容室41内には、電解質を含む流体を含浸する含浸体50が収容されている。含浸体50は、例えば、紙や、布、不織布のような、液体を保持する性質を有した部材である。また、含浸体50は、例えば、略円柱状の形状を有し、その外周面が収容室41の内周面と微少隙間を有し、かつ中間部材40の上から突出しない高さを有するよう、構成される。一例として、含浸体50の厚さは、略20[μm]である。
【0040】
対応するとともにペアを構成するアノード21およびカソード22は、いずれも電解質層と電気的に接続される。すなわち、対応するとともにペアを構成するアノード21およびカソード22は、電解質層を介して電気的に接続される。測定装置1Aは、アノード21とカソード22との間で、収容室41内の電解質を含む液体を介して流れる電流により、当該液体の酸素濃度を測定する。
【0041】
含浸体50を備えた構成においては、電解質を含む液体を含浸する含浸体50が、電解質層の一例である。
【0042】
なお、収容室41内に含浸体50が収容されることは必須ではなく、収容室41には、電解質を含む流体が含浸体50に含浸されることなくそのまま収容されてもよい。この場合、当該電解質を含む流体が、電解質層の一例である。この場合も、電解質を含む流体は、保湿剤や緩衝成分を含んでもよい。
【0043】
酸素透過膜60は、中間部材40に対して、基板10とは反対側に設けられ、電解質層を基板10とは反対側から覆っている。酸素透過膜60は、Z方向における略一定の厚さを有し、X方向およびY方向に延びている。酸素透過膜60は、例えば、シリコーン等で作られるが、これには限定されない。電解質を含む流体を含浸する含浸体50を用いる場合、酸素透過膜60は、含浸体50を一旦乾燥させた後、スピンコーティングによって形成することができる。あるいは、既に成形されている膜状部材を中間部材40に接着することにより、酸素透過膜60を形成してもよい。また、含浸体50を用いない場合、酸素透過膜60は、電解質を含む流体中の水分を一旦蒸発させて乾燥させた後、中間部材40に膜状部材を接着することにより、形成することができる。このようにして酸素透過膜60が形成された状態では、収容室41において、カソード22上での酸素の還元に必要な水分が全て抜けている。この水分は、酸素透過膜60を介して水蒸気の形で収容室41内に導入することができる。これは、上記の酸素電極20を水中に浸漬して放置することにより、行うことができる。
【0044】
チャンバ70は、酸素透過膜60に対して、基板10とは反対側に設けられている。チャンバ70は、Z方向における略一定の厚さを有し、X方向およびY方向に延びている。チャンバ70は、例えば、ポリイミドやアクリルのような絶縁性を有した材料で作られるが、これには限定されない。なお、一例として、チャンバ70の厚さは、略5[mm]である。
【0045】
図3は、測定装置1Aに含まれるチャンバ70の平面図である。図1,3に示されるように、チャンバ70には、酸素電極20および収容室41とZ方向に重なるサンプル収容室70aが設けられている。サンプル収容室70aは、酸素電極20および収容室41(電解質層)のそれぞれに対応して設けられている。また、サンプル収容室70aはチャンバ70をZ方向に貫通する略円筒状の貫通穴である。酸素透過膜60は、サンプル収容室70aの底部の少なくとも一部を構成している。よって、サンプル収容室70aに収容された液体としてのサンプル中の溶存酸素が、酸素透過膜60を通じて電解質層へ供給される。上述したように、測定装置1Aは、アノード21とカソード22との間で、収容室41内の電解質を含む流体を介して流れる電流により、当該液体の酸素濃度を測定することができる。サンプル中の溶存酸素濃度に応じて、電解質中の酸素濃度が変化するため、測定装置1Aは、アノード21とカソード22との間で流れる電流値に応じて、サンプル中の溶存酸素濃度を測定することができる。測定装置1Aでは、酸素透過膜60によって、サンプル収容室70a内のサンプル溶液と、収容室41内の電解質を含む流体とを分離することができる。よって、測定装置1Aによれば、比較的容易な処理によって、より精度良く、サンプル溶液の溶存酸素濃度の測定を行うことが可能となる。サンプル収容室70aは、第一収容室の一例である。
【0046】
[酸素電極およびパッドの配置]
図2に示されるように、基板10の表面10a上には、複数の酸素電極20と、パッド81,82と、導線91,92と、が設けられている。酸素電極20のアノード21、カソード22、パッド81,82、および導線91,92は、絶縁層30(図1参照)によって互いに電気的に絶縁されている。
【0047】
アノード21は、それぞれ、いずれか一つのパッド81と電気的に接続され、カソード22は、それぞれ、いずれか一つのパッド82と電気的に接続されている。アノード21とパッド81とは、導線91を介して電気的に接続され、カソード22とパッド82とは、導線92を介して電気的に接続されている。パッド81は、第一端子の一例であり、パッド82は、第二端子の一例である。
【0048】
パッド81(第一端子)の数をN(N:1以上の整数)とし、パッド82(第二端子)の数をM(M:1以上の整数)としたとき、本実施形態では、N=2、M=2である。すなわち、本実施形態では、MおよびNともに、2以上である。
【0049】
酸素電極20は、最大M×N個設けられる。本実施形態では、4個の酸素電極20が設けられている。
【0050】
パッド81(81-1,81-2)は、それぞれ、最大M個のアノード21と電気的に接続される。本実施形態では、パッド81-1,81-2は、それぞれ、2個のアノード21と電気的に接続されている。具体的に、パッド81-1は、導線91-1(91)を介して、酸素電極20-11,20-12のアノード21と電気的に接続されている。これにより、パッド81-1は、酸素電極20-11,20-12における測定に共用されうる。他方、パッド81-2は、導線91-2(91)を介して、酸素電極20-21,20-22のアノード21と電気的に接続されている。これにより、パッド81-2は、酸素電極20-21,20-22における測定に共用されうる。導線91は、第一導線の一例である。
【0051】
パッド82(82-1,82-2)は、それぞれ、最大N個のカソード22と電気的に接続される。本実施形態では、パッド82-1,82-2は、それぞれ、2個のカソード22と電気的に接続されている。具体的に、パッド82-1は、導線92-1(92)を介して、酸素電極20-11,20-21のカソード22と電気的に接続されている。これにより、パッド82-1は、酸素電極20-11,20-21における測定に共用されうる。他方、パッド82-2は、導線92-2(92)を介して、酸素電極20-12,20-22のカソード22と電気的に接続されている。これにより、パッド82-2は、酸素電極20-12,20-22における測定に共用されうる。導線92は、第二導線の一例である。
【0052】
同じパッド81-1と電気的に接続されたアノード21と対応したカソード22、すなわち酸素電極20-11,20-12のカソード22は、それぞれ、別のパッド82-1,82-2と電気的に接続されている。また、同じパッド81-2と電気的に接続されたアノード21と対応したカソード22、すなわち酸素電極20-21,20-22のカソード22は、それぞれ、別のパッド82-1,82-2と電気的に接続されている。
【0053】
さらに、同じパッド82-1と電気的に接続されたカソード22と対応したアノード21、すなわち酸素電極20-11,20-21のアノード21は、それぞれ、別のパッド81-1,81-2と電気的に接続されている。また、同じパッド82-2と電気的に接続されたカソード22と対応したアノード21、すなわち酸素電極20-12,20-22のアノード21は、それぞれ、別のパッド81-1,81-2と電気的に接続されている。
【0054】
上述した構成により、通電するパッド81,82の選択的な切り替えによって、全ての酸素電極20(20-11,20-12,20-21,20-22)の測定を実行することができる。具体的に、パッド81-1とパッド82-1とを通電した場合には、酸素電極20-11の測定を実行でき、パッド81-1とパッド82-2とを通電した場合には、酸素電極20-12の測定を実行でき、パッド81-2とパッド82-1とを通電した場合には、酸素電極20-21の測定を実行でき、パッド81-2とパッド82-2とを通電した場合には、酸素電極20-22の測定を実行できる。
【0055】
仮に、複数の酸素電極20のそれぞれについて、パッド81,82を設けた場合、パッド81,82の数は、酸素電極20の数の2倍になってしまう。例えば、酸素電極20が4個設けられた場合、パッド81,82の数は、8個になってしまう。本実施形態では、上述した接続構成により、酸素電極20が4個設けられた場合にあっても、パッド81,82の数を4個にすることができる。すなわち、本実施形態によれば、N個のパッド81およびM個のパッド82、すなわち合計(M+N)個のパッド81,82により、最大M×N個の酸素電極20の測定を実行することができる。このようなパッド81,82の数の抑制により、例えば、基板10の表面10aのフットプリントを抑制することができるとともに、パッド81,82と電気的に接続される配線(不図示)の数を抑制することができるため、基板10ひいては測定装置1Aをより小型化することができるという利点が得られる。
【0056】
また、上述した構成によれば、同じパッド81,82を用いない測定は、並行して実行することが可能となる。本実施形態の構成にあっては、パッド81-1とパッド82-1との間の通電による酸素電極20-11の測定と、パッド81-2とパッド82-2との間の通電による酸素電極20-22の測定とは、並行して実行することができる。また、パッド81-1とパッド82-2との間の通電による酸素電極20-12の測定と、パッド81-2とパッド82-1との間の通電による酸素電極20-21の測定とは、並行して実行することができる。すなわち、本実施形態によれば、複数の酸素電極20の並行測定が可能となることにより、測定時間の短縮という効果も得られる。また、バイポテンショスタットのような、単一のアノード21(参照極、対極)に対し複数のカソード22(作用極)を同時に用いることができる回路を用いると、アノード21を共有した状態で、パッド82を介した接続の切り替えを行わなくても、同時並行的に複数の酸素電極20での測定を行うことが可能となる。
【0057】
そして、図2から明らかとなるように、複数の酸素電極20は、格子点状に配置されている。具体的に、複数の酸素電極20は、平面上の正方格子や、矩形格子の格子点と略重なる位置に配置されている。また、同じパッド81と電気的に接続されたアノード21を有した複数の酸素電極20は、Y方向に並び、同じパッド82と電気的に接続されたカソード22を有した複数の酸素電極20は、X方向に並んでいる。この場合、複数のアノード21とパッド81とを電気的に接続する導線91を、複数の酸素電極20がY方向に並んだ酸素電極20の行の間で、Y方向に延びるように配置することができるとともに、複数のカソード22とパッド82とを電気的に接続する導線92を、複数の酸素電極20がX方向に並んだ酸素電極20の列の間で、X方向に延びるように配置することができる。よって、複数の酸素電極20の格子点状、あるいは行列状の配置により、上述したようなパッド81,82の共用が可能となる構成を、比較的容易に実現することができる。Y方向は、第一方向の一例であり、X方向は第二方向の一例である。なお、同じパッド81と電気的に接続されたアノード21を有した複数の酸素電極20が、X方向に並び、同じパッド82と電気的に接続されたカソード22を有した複数の酸素電極20が、Y方向に並んでもよい。この場合は、X方向が、第一方向の一例となり、Y方向が第二方向の一例となる。
【0058】
導線91と導線92とが互いに交差する方向に延びるような構成にあっては、図2に示されるように、導線91と導線92とが立体的に交差する交差箇所Cが生じる場合がある。このような場合、少なくとも交差箇所Cにおいて導線91,92をZ方向に離間して配置するとともに、当該導線91,92間に介在する絶縁層31を設ければよい。本実施形態では、導線92が、導線91に対してZ方向にずれた位置で延びるブリッジ部92bを有し、絶縁層31は、導線91とブリッジ部92bとの間に介在している。絶縁層31は、例えば、絶縁性のレジストで作られる。このような構成により、導線91と導線92とが互いに絶縁された状態で交差することができ、ひいては導線91,92をより短くできる場合がある。なお、ブリッジ部92bは、導線91に対して基板10の表面10aに近い側に位置してもよいし、表面10aから遠い側に位置してもよい。導線91がブリッジ部を有してもよい。その場合、ブリッジ部は、導線92に対して基板10の表面10aに近い側に位置してもよいし、表面10aから遠い側に位置してもよい。また、絶縁層31は、絶縁層30の一部であってもよい。すなわち、絶縁層30を形成する工程において、導線91と導線92との間の絶縁層31が形成されてもよい。
【0059】
また、図2に示されるように、本実施形態では、複数のパッド81と、複数のパッド82とが、基板10の同じ辺10b1に沿って並んでいる。これにより、パッド81,82と電気的に接続される配線(不図示)を纏めて配置することができ、例えば、配線の接続作業をより容易に行うことができる。また、例えば、配線が基板10から一方向(X方向)のみに延びるため、複数方向に延びる場合に比べて基板10および配線をよりコンパクトに構成できる、という利点が得られる。なお、パッド81,82は、辺10b1と接していることは必須ではなく、辺10b1と隙間をあけて配置されてもよい。
【0060】
また、辺10b1において、複数のパッド81の群と、複数のパッド82の群とが、それぞれ分けて設けられている。このような構成によれば、アノード21と電気的に接続される配線と、アノード21とは極性が異なるカソード22と電気的に接続される配線とを、それぞれ纏めることができ、例えば、測定装置1Aにおける配線のレイアウトがより容易になったり、測定装置1Aの製造やメンテナンス等において配線の接続をより容易にあるいはより迅速に実行できたり、といった利点が得られる。
【0061】
以上、説明したように、本実施形態によれば、複数の酸素電極20を備えた場合に、当該酸素電極20と電気的に接続されたパッド81(第一端子)およびパッド82(第二端子)の数を抑制することができる。
【0062】
[第2実施形態]
図4は、第2実施形態の測定装置1Bに含まれる基板10、酸素電極20、パッド81,82、および導線91,92を示す平面図である。図4に示されるように、本実施形態では、パッド81の数が4、パッド82の数が1である。すなわち、N=4、M=1であり、Mは、2より小さく、Nは、2以上である。また、酸素電極20の数は、4であり、M×N=4に等しい。
【0063】
本実施形態では、パッド81-1,81-2,81-3,81-4は、それぞれ、1個(M個)のアノード21と電気的に接続され、パッド82は、4個(N個)のカソード22と電気的に接続されている。この場合、パッド82は、酸素電極20-1,20-2,20-3,20-4における測定に共用されうる。
【0064】
また、同じパッド82と電気的に接続されたカソード22と対応したアノード21、すなわち、本実施形態では全ての酸素電極20のアノード21は、それぞれ、別のパッド81-1,81-2,81-3,81-4と電気的に接続されている。
【0065】
上述した構成により、本実施形態でも、通電するパッド81,82の選択的な切り替えによって、全ての酸素電極20(20-1,20-2,20-3,20-4)の測定を実行することができる。具体的には、パッド81-1とパッド82とを通電した場合には、酸素電極20-1の測定を実行でき、パッド81-2とパッド82とを通電した場合には、酸素電極20-2の測定を実行でき、パッド81-3とパッド82とを通電した場合には、酸素電極20-3の測定を実行でき、パッド81-4とパッド82とを通電した場合には、酸素電極20-4の測定を実行できる。
【0066】
本実施形態によっても、酸素電極20のそれぞれについてパッド81,82を設けた場合に比べてパッド81,82の数を減らすことができ、上記第1実施形態と同様の効果が得られる。なお、本実施形態では、4個のパッド81が基板10の辺10b2に設けられ、パッド82が基板10の辺10b2とは反対側の異なる辺10b3に設けられたが、このようなレイアウトには限定されず、例えば、パッド82は辺10b2に設けられてもよい。
【0067】
また、本実施形態では、導線91,92は、互いに交差しないように配置されているが、これには限定されない。
【0068】
[第3実施形態]
図5は、第3実施形態の測定装置1Cに含まれる基板10、酸素電極20、パッド81,82、および導線91,92を示す平面図である。図5に示されるように、本実施形態では、パッド81の数が2、パッド82の数が3である。すなわち、N=2、M=3であり、MおよびNともに2以上である。また、酸素電極20の数は、6であり、M×N=6に等しい。
【0069】
パッド81-1,81-2は、それぞれ、3個のアノード21と電気的に接続されている。具体的に、パッド81-1は、酸素電極20-11,20-12,20-13の測定に共用され、パッド81-2は、酸素電極20-21,20-22,20-23の測定に共用されうる。
【0070】
パッド82-1,82-2,82-3は、それぞれ2個のカソード22と電気的に接続されている。具体的に、パッド82-1は、酸素電極20-11,20-21の測定に共用され、パッド82-2は、酸素電極20-12,20-22の測定に共用され、パッド82-3は、酸素電極20-13,20-23の測定に共用されうる。
【0071】
同じパッド81-1と電気的に接続されたアノード21と対応したカソード22、すなわち、酸素電極20-11,20-12,20-13のカソード22は、それぞれ、別のパッド82-1,82-2,82-3と電気的に接続され、同じパッド81-2と電気的に接続されたアノード21と対応したカソード22、すなわち、酸素電極20-21,20-22,20-23のカソード22は、それぞれ、別のパッド82-1,82-2,82-3と電気的に接続されている。
【0072】
また、同じパッド82-1と電気的に接続されたカソード22と対応したアノード21、すなわち、酸素電極20-11,20-21のアノード21は、それぞれ、別のパッド81-1,81-2と電気的に接続され、同じパッド82-2と電気的に接続されたカソード22と対応したアノード21、すなわち、酸素電極20-12,20-22のアノード21は、それぞれ、別のパッド81-1,81-2と電気的に接続され、同じパッド82-3と電気的に接続されたカソード22と対応したアノード21、すなわち、酸素電極20-13,20-23のアノード21は、それぞれ、別のパッド81-1,81-2と電気的に接続されている。
【0073】
上述した構成により、本実施形態でも、通電するパッド81,82の選択的な切り替えによって、全ての酸素電極20(20-11,20-12,20-13,20-21,20-22,20-23)の測定を実行することができる。具体的には、パッド81-1とパッド82-1とを通電した場合には、酸素電極20-11の測定を実行でき、パッド81-1とパッド82-2とを通電した場合には、酸素電極20-12の測定を実行でき、パッド81-1とパッド82-3とを通電した場合には、酸素電極20-13の測定を実行できる。また、パッド81-2とパッド82-1とを通電した場合には、酸素電極20-21の測定を実行でき、パッド81-2とパッド82-2とを通電した場合には、酸素電極20-22の測定を実行でき、パッド81-2とパッド82-3とを通電した場合には、酸素電極20-23の測定を実行できる。
【0074】
本実施形態によっても、酸素電極20のそれぞれについてパッド81,82を設けた場合に比べてパッド81,82の数を減らすことができ、上記第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0075】
また、本実施形態では、複数のパッド81が基板10の辺10b2に沿って並び、複数のパッド82が基板10の辺10b1に沿って並んでいる。すなわち、複数のパッド81と、複数のパッド82とが、それぞれ基板10の異なる辺10b2,10b1に沿って並んでいる。仮に、パッド81,82の数が増大し、それらパッド81,82をいずれも基板10の一つの辺に沿って配置すると、例えば、パッド81,82の幅や間隔が短くなり、パッド81,82を一つの辺に沿って配置し難くなる虞がある。この点、本実施形態のように、複数のパッド81および複数のパッド82をそれぞれ異なる辺に沿って配置すれば、パッド81,82の数が増えた場合にあっても、当該パッド81,82を所期の広さで所期の間隔をあけて配置し易くなる。また、導線91,92の配策経路をより短くできる場合もある。
【0076】
さらに、本実施形態では、同じパッド81と電気的に接続される複数のアノード21がY方向に並ぶとともに、当該パッド81が、基板10のY方向(またはY方向の反対方向)の端部に位置する辺10b2に設けられている。また、同じパッド82と電気的に接続される複数のカソード22がX方向に並ぶとともに、当該パッド82が、基板10のX方向(またはX方向の反対方向)の端部に位置する辺10b1に設けられている。このような構成により、例えば、導線91,92の長さをより短く構成することができるという利点が得られる。
【0077】
[第4実施形態]
【0078】
図6は、測定装置1Dに含まれるチャンバ70の平面図である。図6に示されるように、本実施形態では、チャンバ70に設けられたサンプル収容室70aは、複数の酸素電極20および中間部材40に設けられた収容室41に対応して設けられている。この場合、収容室41および酸素電極20のX方向およびY方向の設置位置におけるサンプル中の溶存酸素濃度、すなわち、サンプル中の溶存酸素濃度のX方向およびY方向の各位置における分布を、測定することができる。なお、本実施形態では、全ての収容室41および酸素電極20が、一つのサンプル収容室70aと対応しているが、これには限定されず、例えば、チャンバ70に、それぞれ一つ以上の収容室41および酸素電極20が対応する複数のサンプル収容室70aが設けられてもよい。
【0079】
以上、本発明の実施形態が例示されたが、上記実施形態は一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、組み合わせ、変更を行うことができる。また、各構成や、形状、等のスペック(構造や、種類、方向、型式、大きさ、長さ、幅、厚さ、高さ、数、配置、位置、材質等)は、適宜に変更して実施することができる。
【0080】
例えば、複数の酸素電極の配置は、例えば、線状や、円環状のような、格子点状の配置とは異なる配置であってもよい。また、導線の配置も、種々に変更して実施することができる。
【0081】
また、酸素電極の数や、第一端子の数(N)、第二端子の数(M)等は、上記実施形態以外の数であってもよい。
【0082】
また、第一端子には、Mよりも少ない数の酸素電極のアノードが電気的に接続されてもよいし、第二端子には、Nよりも少ない数の酸素電極のカソードが電気的に接続されてもよい。
【符号の説明】
【0083】
1A~1D…測定装置
10…基板
10a…表面(第一面)
10b1,10b2,10b3…辺
20,20-1,20-2,20-3,20-4,20-11,20-12,20-13,20-21,20-22,20-23…酸素電極
21…アノード
22…カソード
30,31…絶縁層
40…中間部材
40a…貫通穴
40a1…内周面
41…収容室(第二収容室)
50…含浸体
60…酸素透過膜
60a…裏面(第二面)
70…チャンバ
70a…サンプル収容室(第一収容室)
81,81-1,81-2,81-3,81-4…パッド(第一端子)
82,82-1,82-2,82-3…パッド(第二端子)
91,91-1,91-2…導線(第一導線)
92,92-1,92-2…導線(第二導線)
92a…引出部
92b…ブリッジ部
C…交差箇所
X…方向(第二方向)
Y…方向(第一方向)
Z…方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6