(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023006710
(43)【公開日】2023-01-18
(54)【発明の名称】殺菌装置
(51)【国際特許分類】
C02F 1/32 20230101AFI20230111BHJP
【FI】
C02F1/32
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021109443
(22)【出願日】2021-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000208765
【氏名又は名称】株式会社エンプラス
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石川 直洋
(72)【発明者】
【氏名】岡田 俊範
(72)【発明者】
【氏名】中村 翔
【テーマコード(参考)】
4D037
【Fターム(参考)】
4D037AA01
4D037AA09
4D037AA11
4D037AB03
4D037BA18
(57)【要約】
【課題】流体に紫外線を効果的に照射して殺菌できる殺菌装置を提供すること。
【解決手段】殺菌装置は、流体を収容するための略球状の貯留部と、前記貯留部内に前記流体を供給するための供給口と、前記貯留部内の前記流体を取り出すための取出口と、紫外線を照射するための光源と、を有する。前記貯留部は、前記供給口における前記流体の流動方向において上流側に位置する略半球状の第1貯留部と、下流側に位置する略半球状の第2貯留部と、を含む。前記供給口において前記貯留部に接続される供給流路の内面の延在方向に直交する仮想平面に前記供給口および前記取出口を投影したとき、前記供給口の重心と前記取出口の重心とは離間している。前記光源は、その光軸が、前記貯留部の重心と、前記取出口の重心とを結ぶ直線に対して75°~105°になるように配置されている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体に紫外線を照射して前記流体を殺菌処理する殺菌装置であって、
前記流体を収容するための略球状の貯留部と、
前記貯留部に開口し、前記貯留部内に前記流体を供給するための供給口と、
前記貯留部に開口し、前記貯留部内の前記流体を取り出すための取出口と、
前記貯留部内に紫外線を照射するための光源と、
を有し、
前記貯留部は、前記供給口における前記流体の流動方向において上流側に位置する略半球状の第1貯留部と、下流側に位置する略半球状の第2貯留部と、を含み、
前記供給口は、前記第1貯留部に開口し、
前記取出口は、前記第2貯留部に開口し、
前記供給口において前記貯留部に接続される供給流路の内面の延在方向に直交する仮想平面に前記供給口および前記取出口を投影したとき、前記供給口の重心と前記取出口の重心とは離間しており、
前記光源は、その光軸が、前記貯留部の重心と、前記取出口の重心とを結ぶ直線に対して75°~105°になるように配置されている、
殺菌装置。
【請求項2】
前記貯留部の重心は、前記供給口の重心と前記取出口の重心とを結ぶ直線から離間している、請求項1に記載の殺菌装置。
【請求項3】
前記貯留部の重心は、前記供給口と前記取出口との間に位置しない、請求項2に記載の殺菌装置。
【請求項4】
前記取出口は、前記光源から出射された紫外線が直接到達しない位置に配置されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の殺菌装置。
【請求項5】
前記光源は、前記第2貯留部側に配置されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の殺菌装置。
【請求項6】
前記貯留部を構成する壁は、紫外線を透過させる窓を含み、
前記光源は、前記窓を通して前記貯留部内に紫外線を照射する、
請求項1~5のいずれか一項に記載の殺菌装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体に紫外線を照射して前記流体を殺菌処理する殺菌装置に関する。
【背景技術】
【0002】
紫外線を用いて液体などの流体を殺菌処理できることは広く知られている。たとえば、特許文献1には、軸方向に延びる流路に対して、上記軸方向に紫外線を照射して、流路内を流れる流体を殺菌する流体殺菌装置が記載されている。
【0003】
具体的には、特許文献1に記載の流体殺菌装置は、紫外線を出射する半導体発光素子を含む光源と、殺菌対象の流体が軸方向に流れる流路を有する筐体と、を有する。上記光源は、筐体の軸方向の一端部に配置される。上記筐体は、上記一端部から他端部に向けて流路の断面積が徐々に大きくなるテーパ構造を有する。当該テーパ構造は、上記半導体発光素子の配向角に合わせた傾斜を有している。また、上記筐体の他端部に、流体の流れを整える整流手段が設けられている。
【0004】
特許文献1では、筐体が半導体発光素子の配向角に合わせた傾斜を有するテーパ構造を有することにより、光源から遠い位置まで紫外線を到達させることができ、かつ、整流手段で流れを整えた流体に紫外線を照射することで、流体に万遍なく紫外線が照射されるので、殺菌効果を高めることができるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載の殺菌装置には、流体に紫外線を効果的に照射する観点から改善の余地がある。
【0007】
そこで、本発明の目的は、流体に紫外線を効果的に照射して殺菌できる殺菌装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施の形態に係る殺菌装置は、流体に紫外線を照射して前記流体を殺菌処理する殺菌装置であって、前記流体を収容するための略球状の貯留部と、前記貯留部に開口し、前記貯留部内に前記流体を供給するための供給口と、前記貯留部に開口し、前記貯留部内の前記流体を取り出すための取出口と、前記貯留部内に紫外線を照射するための光源と、を有し、前記貯留部は、前記供給口における前記流体の流動方向において上流側に位置する略半球状の第1貯留部と、下流側に位置する略半球状の第2貯留部と、を含み、前記供給口は、前記第1貯留部に開口し、前記取出口は、前記第2貯留部に開口し、前記供給口において前記貯留部に接続される供給流路の内面の延在方向に直交する仮想平面に前記供給口および前記取出口を投影したとき、前記供給口の重心と前記取出口の重心とは離間しており、前記光源は、その光軸が、前記貯留部の重心と、前記取出口の重心とを結ぶ直線に対して75°~105°になるように配置されている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、流体に紫外線を効果的に照射して殺菌できる殺菌装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施の形態に係る殺菌装置の斜視図である。
【
図2】
図2は、実施の形態に係る殺菌装置の断面斜視図である。
【
図3】
図3は、仮想平面に供給口、取出口および貯留部を投影したときの、供給口と取出口との位置関係を示す投影図である。
【
図4】
図4は、実施の形態に係る殺菌装置の貯留部内における流体の流れを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態に係る殺菌装置について説明する。
【0012】
(殺菌装置の構成)
図1、
図2は、本発明の一実施の形態に係る殺菌装置100の構成を示す図である。
図1は、殺菌装置100の斜視図である。
図2は、殺菌装置100の断面斜視図である。
図3は、仮想平面(後述)に供給口216、取出口217および貯留部210を投影したときの、供給口216と取出口217との位置関係を示す投影図である。
図4は、貯留部210における流体の流れを示す図である。
【0013】
図1および
図2に示されるように、殺菌装置100は、流体に紫外線を照射して流体を殺菌処理する殺菌装置であって、内壁部110と、窓120と、光源130と、外壁部140と、封止部材150とを有する。本実施の形態の殺菌装置100は、上記の構成に加え、供給部170と、取出部180とをさらに有する。
【0014】
内壁部110は、貯留部210と、照射口215と、供給口216と、取出口217とを構成する。貯留部210は、内壁部110の内部に配置された、流体を収容するための略球状の空間である。照射口215は、貯留部210および外部に開口し、外部(光源130)からの紫外線を貯留部210内に導く貫通孔である。供給口216は、貯留部210および外部に開口し、貯留部210内に流体を供給するための貫通孔である。取出口217は、貯留部210および外部に開口し、貯留部210内の流体を取り出すための貫通孔である。
【0015】
貯留部210の内径W1は、特に限定されない。貯留部210の内径W1は、例えば10~60mm程度である。貯留部210の内径W1を10~60mm程度にすることにより、光源130として1個のUV-C LEDのみを用いた場合でも、内壁部110内の流体を十分に殺菌できる。
【0016】
照射口215の内径は、貯留部210の内径W1の大きさに対して、20~50%の大きさであることが好ましい。照射口215の内径を大きくすることで、貯留部210の広い範囲に紫外線を直接照射ができる。一方、照射口215の内径を小さくすることで、貯留部210の内面に占める紫外線反射面の割合を大きくすることができる。
【0017】
内壁部110は、1つの部材で構成されていてもよいし、複数の部材で構成されていてもよい。本実施の形態では、内壁部110は、第1内壁部111と、第2内壁部112との2部材で構成されている。また、内壁部110は、貯留部210と、照射口215と、供給口216と、取出口217とを構成する。
【0018】
第1内壁部111は、供給口216と、供給口216における流体の流動方向(
図2に示される矢印A方向)において上流側に位置する略半球状の第1貯留部211とを構成する。供給口216には、供給流路270が接続されている。
【0019】
第2内壁部112は、取出口217と、照射口215と、供給口216における流体の流動方向(
図2における矢印A方向)において下流側に位置する略半球状の第2貯留部212とを構成する。取出口217には、取出流路280が接続されている。照射口215は、窓120により覆われており、光源130から出射された紫外線が通過する。本実施の形態では、第2内壁部112の外面には、環状溝114が配置されている。
【0020】
なお、上記では供給口216は第1内壁部111に存在し、取出口217は第2内壁部112に存在するように説明したが、供給口216、取出口217の態様はこれに限定されない。供給口216は、第1内壁部111および第2内壁部112に渡って存在するように構成されてもよいし、取出口217は、第2内壁部112および第1内壁部111に渡って存在するように構成されてもよい。すなわち、供給口216は、第1貯留部211および第2貯留部212に渡って開口し、取出口217は第2貯留部212および第1貯留部211に渡って開口してもよい。
【0021】
環状溝114は、封止部材150を位置決めするための溝である。環状溝114の形状は光源130からの光を妨げない範囲で封止部材150を適切に配置することができれば特に限定されない。本実施の形態では、環状溝114は、照射口215を取り囲むように配置されている。環状溝114の形状に倣って封止部材150を変形させることが可能であるため、環状溝114の形状は、封止部材150の形状と同じ形状であっても、異なる形状であってもよい。本実施の形態では、環状溝114の平面視形状は、楕円形状であり、円形状である封止部材150がこれに合わせて変形されてはめ込まれる。
【0022】
内壁部110は、流れる流体の圧力によって変形または破損しない部材で形成されている。内壁部110の材料の例には、アルミニウムなどの金属、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などの樹脂が含まれる。また、内壁部110内の流体に対して効率よく紫外線を照射する観点から、内壁部110の内面は、光源130から照射される紫外線の反射率が80%以上である紫外線反射面を含むことが好ましい。紫外線反射面の材料の例には、紫外線に対して高い反射率を有するアルミニウム、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)が含まれる。また、紫外線反射面は、内壁部110の内面に紫外線反射塗料を塗布することや紫外線反射膜を形成することで構成されてもよい。本実施の形態では、内壁部110(第1内壁部111および第2内壁部112)の材料は、いずれもPTFEである。
【0023】
窓120は、照射口215を覆うように配置されている。窓120の形状は、光源130から出射された紫外線を貯留部210に透過させることができれば、特に限定されない。窓120の形状は、平板状でもよいし、貯留部210の内面に合わせた形状でもよい。本実施の形態では、窓120の形状は、平板状である。窓120の大きさは、照射口215を完全に塞ぎ、かつ内壁部110と窓120との間に封止部材150を適切に配置することができれば特に限定されない。
【0024】
窓120の材料は、紫外線を透過させることができ、かつ必要な強度を有していれば、特に限定されない。殺菌性能を向上させる観点からは、窓120の材料は、波長200nm以上350nm以下の紫外線を透過させる材料であることが好ましく、200nm以上280nm以下の紫外線を透過させる材料であることがより好ましい。窓120の材料の例には、石英(SiO2)、サファイア(Al2O3)および非晶質のフッ素系樹脂などが含まれる。
【0025】
光源130は、貯留部210の流体に紫外線を照射する。光源130は、貯留部210の流体に直接紫外線を照射してもよいし、窓などの他の部材を介して貯留部210の流体に紫外線を照射してもよい。本実施の形態では、光源130は、外壁部140に固定されており、窓120を通して貯留部210に紫外線を照射する。より具体的には、本実施の形態において、光源130は第2貯留部212側に配置されている。光源130の種類は、紫外線を出射できれば特に限定されない。光源130の例には、発光ダイオード(LED)、水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、レーザーダイオード(LD)が含まれる。本実施の形態では、光源130は、発光ダイオード(LED)である。光源130が出射する紫外線の波長は、特に限定されない。光源130が出射する紫外線の波長は、効果的に殺菌する観点から、200nm以上350nm以下が好ましく、200nm以上280nm以下がより好ましい。すなわち、光源130から出射される紫外線は、紫外線C波(UVC)が好ましい。市販されている光源130の例には、ピーク波長が280nmの紫外線発光ダイオードであるNCSU334A(日亜化学工業株式会社)が含まれる。また、ピーク波長が280nmの紫外線発光ダイオードの他の例には、KLARAN(旭化成株式会社)、ZEU110BEAE(スタンレー電気株式会社)が含まれる。
【0026】
なお、上記では光源130が、第2貯留部212側に配置されている態様を説明したが、本発明の殺菌装置はこの態様に限定されない。光源130は、第1貯留部211側に配置されていてもよい。
【0027】
光源130は、その光軸LAが、貯留部210の重心と、取出口217(より正確には貯留部210への取出口217の開口部)の重心とを結ぶ直線に対して75°~105°になるように配置されることが好ましく、80°~100°であることがさらに好ましく、85°~95°であることがさらに好ましい。
図4に示されるように、本実施の形態においては、光軸LAは上記の直線に対して90°になるように配置されている。また、光軸LAは、貯留部210の重心と交わることが好ましい。このように光源130が配置されることで、流体に効率的に紫外線を照射することができる。
【0028】
なお、上記の貯留部210の重心および取出口217の重心とは本実施の形態において以下のようなものである。すなわち、
図3に示されるように、供給口216において貯留部210に接続される供給流路270の内面の延在方向(
図2における矢印A方向)に直交する仮想平面に取出口217(の開口部)および貯留部210を投影したとき、これらはいずれも円形である。したがって、本実施の形態において、取出口217(の開口部)の重心は、取出口217(の開口部)の中心と一致し、貯留部210の重心は、貯留部210の中心と一致する。また、
図4に示されるように、本実施の形態において、上記の取出口217の重心は、取出流路280の中心線Lと、貯留部210の球の仮想表面との交点Xである。また、上記の光軸LAとは、光源130からの立体的な出射光束の中心の光線を意味する。
【0029】
図4に示されるように、貯留部210内において、供給口216から取出口217へ向かう流体は、上記の貯留部210の重心と、取出口217の重心とを結ぶ直線を中心軸として旋回しやすい。ここで光源130が上記のように配置されることで、旋回の軸に対して紫外線がおおむね90°の角度で照射されて効果的に殺菌することができる。
【0030】
なお、上記の旋回の軸は、貯留部210内への流体の供給量などによって、角度が変化するが、光源130が上記の角度の範囲で配置されることで、光軸LAが旋回の軸に対しておおむね90°となり、流体に紫外線を効果的に照射することができる。
【0031】
外壁部140は、内壁部110および窓120を覆い、内壁部110および窓120を押圧する。本実施の形態では、外壁部140は、内壁部110、窓120に加え、光源130も覆う。本実施の形態では、外壁部140は、第1外壁部141と、第2外壁部142とを有する。
【0032】
第1外壁部141は、第1内壁部111を流体の流動方向における上流側から覆う。本実施の形態では、第1外壁部141は、第1内壁部111と、第2内壁部112の第1内壁部111側の一部を覆うように配置されている。
【0033】
第2外壁部142は、第2内壁部112を流体の流動方向における下流側から覆う。本実施の形態では、第2内壁部112の流体の流動方向における下流側の一部を覆うように配置されている。また、第2外壁部142には、窓120を位置決めする位置決め段部143が配置されている。位置決め段部143は、照射口215を取り囲むように配置されている。また、位置決め段部143により位置決めされた窓120に対向するように光源130が配置されている。
【0034】
第1外壁部141と、第2外壁部142とを接合すると、第1内壁部111と、第2内壁部112とが接合される。本実施の形態では、流体の流動方向において、第1外壁部141および第2外壁部142の接合部分と、第1内壁部111および第2内壁部112の接合部分は、一致していない。より具体的には、流体の流動方向において、第1外壁部141および第2外壁部142の接合部分は、第1内壁部111および第2内壁部112の接合部分よりも下流側に配置されている。第1外壁部141および第2外壁部142の接合方法は、特に限定されない。本実施の形態では、第1外壁部141および第2外壁部142は、嵌合により接合されている。
【0035】
封止部材150は、内壁部110および窓120の間に配置された弾性を有する部材であって、内壁部110および窓120の間を封止する。封止部材150は、内壁部110および窓120の間に照射口215を取り囲むように配置されている。封止部材150の構成は、内壁部110および窓120の間を適切に封止できれば特に限定されない。封止部材150は、例えばOリングや、パッキンである。本実施の形態では、封止部材150は、Oリングである。本実施の形態では、封止部材150(Oリング)は、第2内壁部112の環状溝114に配置されている。本実施の形態では、光源130が固定された第2外壁部142に、封止部材150および窓120を順番に配置した第2内壁部112を収容する。
【0036】
供給部170は、内壁部110内の貯留部210内に流体を供給する。供給部170は、供給流路270を有する。供給流路270の一方の端部は、内壁部110の供給口216に接続しており、他方の端部は、図外の流体供給装置に接続されている。供給流路270は、貯留部210内に貯留部210の壁に沿って滑らかに流体を供給できるように配置されていることが好ましい。本実施の形態では、供給口216における流体の流動方向(
図2における矢印A方向)に沿い、かつ貯留部210の重心を含む断面における、供給流路270の内面と貯留部210の内面との第1接続部271において、供給流路270の内面の一部は、第1接続部271における貯留部210の内面の接線と一致するように、貯留部210の内面と滑らかに連続して配置されている。
【0037】
取出部180は、内壁部110内の貯留部210内の殺菌された流体を取り出す。取出部180は、取出流路280を構成する。取出流路280の一方の端部は、内壁部110の取出口217に接続しており、他方の端部は、図外の流体取出装置に接続されている。取出部180は、貯留部210(第2貯留部212)において、光源130から出射された紫外線が直接到達しない位置に配置されていることが好ましい。取出流路280は、貯留部210から貯留部210の壁に沿って滑らかに流体を取り出せるように配置されていることが好ましい。本実施の形態では、取出口217における流体の流動方向(
図2における矢印B方向)に沿い、かつ貯留部210の重心を含む断面における、取出流路280の内面と貯留部210の内面との第2接続部281において、取出流路280の内面の一部は、第2接続部281における貯留部210の内面の接線と一致するように、貯留部210の内面と滑らかに連続して配置されている。本実施の形態では、供給流路270および取出流路280は、互いに平行である。
【0038】
供給流路270の内面と貯留部210の内面との第1接続部271、および取出流路280の内面と貯留部210の内面との第2接続部281において段差を無くすことにより、球状の貯留部210の壁面に沿った流体の流れを作ることができるとともに、貯留部210内で流体を一定の方向に回転させながら滞留させた後に流体を取り出すことができる。これにより、流体に紫外線が均一に照射されるので、流体の十分な殺菌を行うことができる。
【0039】
供給口216(供給流路270)の内径W2および取出口217(取出流路280)の内径W3の大きさは、特に限定されないが、殺菌性能を維持しつつ流体の圧力損失を低減する観点からは、貯留部210の内径W1に対して、25~40%の範囲内が好ましい。供給口216の内径W2および取出口217の内径W3を大きくすることで、殺菌装置100における流体の圧力損失を低減することができる。一方、供給口216の内径W2および取出口217の内径W3を小さくすることで、供給口216から供給された流体が貯留部210に留まる時間が長くなり、殺菌性能を向上させることができる。より具体的には、供給口216(供給流路270)の内径W2および取出口217(取出流路280)の内径W3の大きさは、例えば、貯留部210の内径W1に対して10%以上であってもよい。
【0040】
図3に示されるように、供給口216において貯留部210に接続される供給流路270の内面の延在方向(
図2における矢印A方向)に直交する仮想平面に供給口216、取出口217および貯留部210を投影したとき、供給口216の重心と取出口217の重心とが離間するように、供給口216および取出口217は配置されている。本実施の形態では、上記のように投影したときに、供給口216と取出口217とが離間するように、供給口216および取出口217は配置されている。このように供給口216および取出口217を配置した場合、
図4に示されるように、供給口216から貯留部210内に供給された流体は、取出口217に直線的に向かうことなく、貯留部210内を何度も旋回した上で取出口217に到達する。したがって、流体は、十分な量の紫外線を照射され、十分に殺菌された上で取出口217に到達する。なお、本実施の形態では、上記のように投影したときに、窓120(光源130)は、供給口216および取出口217と重ならないように配置されている。なお、本実施の形態では、
図4に示されるように、上記仮想平面に投影したとき、供給口216、取出口217、および貯留部210は、いずれも円形である。したがって、供給口216の重心は、供給口216の中心と一致し、取出口217の重心は、取出口217の中心と一致し、貯留部210の重心は、貯留部210の中心と一致する。
【0041】
また、本実施の形態では、
図3に示すように、上記仮想平面に供給口216、取出口217および貯留部210を投影したとき、供給口216の重心および貯留部210の重心を結ぶ直線と、取出口217の重心および貯留部210の重心を結ぶ直線とのなす角度αは、75~165°の範囲内であることが好ましく、120~150°の範囲内であることがより好ましい。角度αを上記の範囲内とすることで、十分な殺菌性能を維持しつつ流体の圧力損失をより低減することができる。ここで2つの直線がなす角度とは、2つの直線がなす2つの角度のうち小さい方の角度を意味する。
【0042】
(殺菌装置の使用方法)
次に、本実施の形態に係る殺菌装置100の使用方法について説明する。
【0043】
光源130から紫外線を出射させた状態で、殺菌対象の流体(例えば水)を供給口216から貯留部210内に導入するとともに、貯留部210内の流体を取出口217から取り出す。このとき、供給口216(供給流路270)側を加圧して流体を移動させてもよいし、取出口217(取出流路280)側を減圧して流体を移動させてもよい。前述のとおり、本実施の形態に係る殺菌装置100では、貯留部210の形状を略球状とし、かつ供給口216および取出口217を所定の条件を満たすように配置したため、殺菌対象の流体は、貯留部210内を旋回する。また、光源130は、前述の通り、貯留部210の重心と、取出口217(の開口部)の重心とを結ぶ直線に対して75°~105°になるように配置されている。これにより流体は十分に殺菌された状態で取出口217から取り出される。
【0044】
(効果)
以上のように、本実施の形態に係る殺菌装置100によれば、上記の様に光源130が配置されることで、流体を効果的に殺菌することができる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本実施の形態に係る殺菌装置は、例えば、浄水や農業用水、食品用洗浄水、各種洗浄水、浴場の水、プールの水などの殺菌において有用である。
【符号の説明】
【0046】
100 殺菌装置
110 内壁部
111 第1内壁部
112 第2内壁部
114 環状溝
120 窓
130 光源
140 外壁部
141 第1外壁部
142 第2外壁部
143 位置決め段部
150 封止部材
170 供給部
180 取出部
210 貯留部
211 第1貯留部
212 第2貯留部
215 照射口
216 供給口
217 取出口
270 供給流路
271 第1接続部
280 取出流路
281 第2接続部