(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023067104
(43)【公開日】2023-05-16
(54)【発明の名称】揺動装置
(51)【国際特許分類】
F16H 1/28 20060101AFI20230509BHJP
【FI】
F16H1/28
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021178094
(22)【出願日】2021-10-29
(71)【出願人】
【識別番号】511122075
【氏名又は名称】テクノダイナミックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 平三郎
(72)【発明者】
【氏名】八木 宏樹
【テーマコード(参考)】
3J027
【Fターム(参考)】
3J027FB40
3J027GB03
3J027GC22
3J027GD04
3J027GD08
3J027GD12
(57)【要約】
【課題】線状部材を適切に保護することにある。
【解決手段】揺動体に一端部が設けられ該揺動体の揺動に応じて該一端部が揺動し、かつ、他端部が固定されている線状部材と、前記線状部材を保護する線状部材保護部と、を備え、前記線状部材保護部は、前記揺動体の所定第一角度の揺動に伴って該所定第一角度揺動する太陽歯車と、移動不能な内歯車と、前記太陽歯車と前記内歯車との間に設けられ、前記太陽歯車が前記所定第一角度揺動する際に該所定第一角度よりも小さい所定第二角度揺動する遊星歯車と、を有する遊星歯車機構と、前記遊星歯車の前記所定第二角度の揺動に伴って該所定第二角度揺動し、前記線状部材の両端部間の中間部を保持する線状部材保持部と、を有することを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
揺動体に一端部が設けられ該揺動体の揺動に応じて該一端部が揺動し、かつ、他端部が固定されている線状部材と、
前記線状部材を保護する線状部材保護部と、を備え、
前記線状部材保護部は、
前記揺動体の所定第一角度の揺動に伴って該所定第一角度揺動する太陽歯車と、移動不能な内歯車と、前記太陽歯車と前記内歯車との間に設けられ、前記太陽歯車が前記所定第一角度揺動する際に該所定第一角度よりも小さい所定第二角度揺動する遊星歯車と、を有する遊星歯車機構と、
前記遊星歯車の前記所定第二角度の揺動に伴って該所定第二角度揺動し、前記線状部材の両端部間の中間部を保持する線状部材保持部と、
を有することを特徴とする揺動装置。
【請求項2】
請求項1に記載の揺動装置であって、
前記遊星歯車機構は、
前記遊星歯車を自転可能に支持し、前記遊星歯車の揺動に伴って揺動するキャリアを備え、
前記キャリアに前記線状部材保持部が取り付けられていることを特徴とする揺動装置。
【請求項3】
請求項2に記載の揺動装置であって、
前記揺動体を揺動させるための揺動生成部を備え、
前記揺動生成部は、前記揺動体と一体的に回動する回動軸と、ハウジングと、を有し、
前記太陽歯車は前記回動軸に、前記内歯車は前記ハウジングにそれぞれ設けられていることを特徴とする揺動装置。
【請求項4】
請求項3に記載の揺動装置であって、
前記回動軸の軸方向における両端部のうち前記揺動体に近い側の一端部とは反対側の他端部に、前記太陽歯車が設けられていることを特徴とする揺動装置。
【請求項5】
請求項4に記載の揺動装置であって、
前記回動軸は、前記回動軸の軸方向に沿った中空穴を備え、
前記線状部材の前記一端部から前記中間部までの部分は、前記中空穴を貫通していることを特徴とする揺動装置。
【請求項6】
請求項5に記載の揺動装置であって、
前記中空穴には、
前記軸方向に沿った棒体と、
前記棒体に回転自在に取り付けられ、前記線状部材を支持する回転支持体と、が設けられていることを特徴とする揺動装置。
【請求項7】
請求項6に記載の揺動装置であって、
前記棒体は、前記線状部材保持部の揺動軸であることを特徴とする揺動装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、揺動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
揺動体に一端部が設けられ該揺動体の揺動に応じて該一端部が揺動し、かつ、他端部が固定されている線状部材を、備える揺動装置については、既によく知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来例に係る揺動装置において、揺動体が大きく揺動する場合には、線状部材に大きなねじれが発生し、線状部材が損傷する恐れがあった。
【0005】
本発明は、上記のような従来の問題に鑑みなされたものであって、その主な目的は、線状部材を適切に保護することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
主たる本発明は、揺動体に一端部が設けられ該揺動体の揺動に応じて該一端部が揺動し、かつ、他端部が固定されている線状部材と、
前記線状部材を保護する線状部材保護部と、を備え、
前記線状部材保護部は、
前記揺動体の所定第一角度の揺動に伴って該所定第一角度揺動する太陽歯車と、移動不能な内歯車と、前記太陽歯車と前記内歯車との間に設けられ、前記太陽歯車が前記所定第一角度揺動する際に該所定第一角度よりも小さい所定第二角度揺動する遊星歯車と、を有する遊星歯車機構と、
前記遊星歯車の前記所定第二角度の揺動に伴って該所定第二角度揺動し、前記線状部材の両端部間の中間部を保持する線状部材保持部と、
を有することを特徴とする揺動装置である。
【0007】
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、線状部材を適切に保護することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施の形態に係るポジショナ1の側面概略図である。
【
図2】本実施の形態に係るポジショナ1の背面概略図である。
【
図3】
図1から、線状部材30、線状部材保持部60、回転支持体70を取り去った図であり、遊星歯車機構42を説明するための説明図である。
【
図4】
図2から、線状部材30、線状部材保持部60、回転支持体70を取り去った図であり、遊星歯車機構42を説明するための説明図である。
【
図7】揺動体が+100度揺動したときの線状部材30、遊星歯車機構42、線状部材保持部60の様子を示した図である。
【
図8】揺動体が-100度揺動したときの線状部材30、遊星歯車機構42、線状部材保持部60の様子を示した図である。
【
図9】第二実施形態に係る傾斜回転テーブル装置100の側面概略図である。
【
図10】ガイド部材110を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも次のことが明らかにされる。
【0011】
揺動体に一端部が設けられ該揺動体の揺動に応じて該一端部が揺動し、かつ、他端部が固定されている線状部材と、
前記線状部材を保護する線状部材保護部と、を備え、
前記線状部材保護部は、
前記揺動体の所定第一角度の揺動に伴って該所定第一角度揺動する太陽歯車と、移動不能な内歯車と、前記太陽歯車と前記内歯車との間に設けられ、前記太陽歯車が前記所定第一角度揺動する際に該所定第一角度よりも小さい所定第二角度揺動する遊星歯車と、を有する遊星歯車機構と、
前記遊星歯車の前記所定第二角度の揺動に伴って該所定第二角度揺動し、前記線状部材の両端部間の中間部を保持する線状部材保持部と、
を有することを特徴とする揺動装置。
【0012】
このような揺動装置によれば、線状部材へのストレスを軽減することができ、線状部材の損傷を適切に抑えることが可能となる(線状部材を適切に保護することが可能となる)。
【0013】
かかる揺動装置であって、
前記遊星歯車機構は、
前記遊星歯車を自転可能に支持し、前記遊星歯車の揺動に伴って揺動するキャリアを備え、
前記キャリアに前記線状部材保持部が取り付けられていることが望ましい。
【0014】
このような揺動装置によれば、キャリアを用いることにより遊星歯車の揺動を容易に線状部材保持部に伝達することが可能となる。
【0015】
かかる揺動装置であって、
前記揺動体を揺動させるための揺動生成部を備え、
前記揺動生成部は、前記揺動体と一体的に回動する回動軸と、ハウジングと、を有し、
前記太陽歯車は前記回動軸に、前記内歯車は前記ハウジングにそれぞれ設けられていることが望ましい。
【0016】
このような揺動装置によれば、揺動生成部の動く(揺動する)部分と動かない(固定の)部分を上手く利用して、効率的にかつ容易に遊星歯車機構の動きを作り出すことが可能となる。
【0017】
かかる揺動装置であって、
前記回動軸の軸方向における両端部のうち前記揺動体に近い側の一端部とは反対側の他端部に、前記太陽歯車が設けられていることが望ましい。
【0018】
このような揺動装置によれば、線状部材の一端部から中間部までの長さが短すぎてしまうことを回避することが可能となる。
【0019】
かかる揺動装置であって、
前記回動軸は、前記回動軸の軸方向に沿った中空穴を備え、
前記線状部材の前記一端部から前記中間部までの部分は、前記中空穴を貫通していることが望ましい。
【0020】
このような揺動装置によれば、回動軸に中空穴を設け、当該中空穴を利用することで、効率的に、かつ、見栄え良く、線状部材の一端部から中間部までの部分の配線をすることができる。
【0021】
かかる揺動装置であって、
前記中空穴には、
前記軸方向に沿った棒体と、
前記棒体に回転自在に取り付けられ、前記線状部材を支持する回転支持体と、が設けられていることが望ましい。
【0022】
このような揺動装置によれば、ねじれが線状部材の一部分に集中して(局所的に)発生することを抑制することが可能となる。
【0023】
かかる揺動装置であって、
前記棒体は、前記線状部材保持部の揺動軸であることが望ましい。
【0024】
このような揺動装置によれば、線状部材保持部の揺動軸を、回転支持体を取り付けるための取り付け部材として利用することとなり、当該取り付け部材を別途用意する必要がなくなるため、部品点数を減らすことが可能となる。
【0025】
===本実施の形態に係るポジショナ1について===
ここでは、揺動装置としてポジショナ1を例に挙げ、当該ポジショナ1について
図1乃至
図8を用いて説明する。
図1は、本実施の形態に係るポジショナ1の側面概略図であり、ポジショナ1に取り付けられた揺動体が揺動していないときの状態を示した図である。
図2は、
図1のポジショナ1を白矢印の方向から見た図であり、ポジショナ1の背面概略図である。
図3(
図4)は、図面(特に、遊星歯車機構42)を分かり易くするために、
図1(
図2)から、線状部材30、線状部材保持部60、回転支持体70を取り去った図であり、遊星歯車機構42を説明するための説明図である。
図5は、
図4のF-F断面図である。
図6は、線状部材保持部60の斜視概略図である。なお、
図6において、線状部材保持部60のうちの揺動軸68については、その記載を省略している。
図7は、
図2に対応した図であり、揺動体が+100度揺動したときの線状部材30、遊星歯車機構42、線状部材保持部60の様子を示した図である。
図8は、
図2に対応した図であり、揺動体が-100度揺動したときの線状部材30、遊星歯車機構42、線状部材保持部60の様子を示した図である。
【0026】
また、本実施形態に係るポジショナ1は、X方向、Y方向、Z方向を有しており、X方向とY方向は互いに交差し、X方向とY方向の双方とZ方向は交差している。そして、
図1における紙面の横方向をX方向として紙面の左側(右側)を左(右)と呼び、
図2における紙面の横方向をY方向として紙面の左側(右側)を手前(奥)と呼び、
図1及び
図2における紙面の縦方向をZ方向(鉛直方向)として紙面の上側(下側)を上(下)と呼ぶ。
【0027】
ポジショナ1は、揺動生成部10と、線状部材30と、線状部材保護部40と、を有している。
【0028】
揺動生成部10は、回動することにより、揺動体(不図示)を揺動させるためのものである。ポジショナ1の所有者(購入者)は、ポジショナ1に位置決め対象となる様々な物品を取り付けることが可能となっている。例えば、モータ、画像センサー、油圧機器、空圧機器、ロボット関連の物品を取り付けることができる。そして、当該揺動生成部10が回動することにより当該物品が揺動する。すなわち、このような取り付けられた物品(以下、取り付け物品とも呼ぶ)は揺動生成部10により揺動され、揺動体となる。
【0029】
揺動生成部10は、駆動部と、回動軸16と、回動テーブル18と、ハウジング20と、を有している。
【0030】
駆動部は、駆動源とカム機構と駆動部本体12とを備えている(モータとカムについては、図示を省略している)。駆動部本体12は、軸受14によってハウジング20に対して回動可能に支持されている。そして、駆動部本体12には、カムフォロア12aが設けられており、当該カムフォロア12aにカム(例えば、バレルカム)が係合することによりカム機構が構成されている。カムには、駆動源が接続されており、駆動源によりカムが動作することにより、当該動作が駆動部本体12に伝達され、駆動部本体12が回動するようになっている。
【0031】
駆動部本体12の中央部には孔が備えられ、当該孔を貫通するように回動軸16が設けられている。回動軸の軸方向は、X方向(左右方向)に沿っている。回動軸16は駆動部本体12に第一ボルト22で固定されており、したがって、回動軸16は駆動部本体12と一体的に回動するようになっている。換言すれば、回動軸16は、駆動部本体12の回動に伴って回動する。
【0032】
また、回動軸16は、当該回動軸16の軸方向に沿った中空穴17を有している。この中空穴17の断面は円形状を有している。そして、当該中空穴17内には、線状部材30等が設けられている(詳細については、後述する)。
【0033】
回動テーブル18は、前述した揺動体(取り付け物品)を取り付けるための取り付け台の役割を果たす部材である。この回動テーブル18は、X方向において駆動部本体12の左側に位置している(隣接している)。そして、駆動部本体12と同じように、中央部に孔が備えられ、当該孔には回動軸16が挿入されている。また、回動テーブル18には、ボルト穴18aが設けられており、当該ボルト穴18aにボルトが挿入されることで、回動テーブル18に揺動体(取り付け物品)をボルト止めできるようになっている(当該ボルト止めにより回動テーブル18の駆動部本体12への固定も行われる)。そのため、回動テーブル18は駆動部本体12と一体的に回動するようになっている。換言すれば、回動テーブル18は、駆動部本体12の回動に伴って回動する。
【0034】
また、前述したとおり、回動軸16は駆動部本体12と一体的に回動するため、回動テーブル18、回動軸16、駆動部本体12は一体的に回動することとなる。
【0035】
また、揺動体(取り付け物品)は、回動テーブル18にボルトで固定されている。そのため、揺動体(取り付け物品)は、前記3つの部材(回動テーブル18、回動軸16、駆動部本体12)と一体的に回動(揺動)することとなる(逆に言えば、前記3つの部材は揺動体(取り付け物品)と一体的に揺動する)。すなわち、当該3つの部材が回動(揺動)することにより、揺動体(取り付け物品)が揺動する。
【0036】
ハウジング20は、駆動部や回動軸16を収容するための部材であり、軸受14を介して駆動部の駆動部本体12を回動可能に支持する機能も備える。
【0037】
また、ポジショナ1には、線状部材30が備えられている。ここで、線状部材30とは、例えば、通電等に用いられるケーブルや、油圧や空圧用に用いられるホース(管)である。なお、これらのケーブル及びホースに、スパイラルチューブや所謂ケーブルベア(登録商標)等のケーブル保護部材が設けられている場合と設けられていない場合があるが、いずれの場合についても線状部材30に含まれる。例えば、ケーブル(ホース)にスパイラルチューブが巻き付けられて一体化された物体やケーブル(ホース)がケーブルベア(登録商標)内に収容されて一体化された物体は、いずれも線状部材30である。
【0038】
線状部材30は、揺動体(取り付け物品)に通電したり油(空)圧をかけたりするために、ポジショナ1に用意されているものである。そのため、線状部材30の一端部は、揺動体(取り付け物品)に設けられ、当該一端部は揺動体(取り付け物品)の揺動に応じて揺動する。一方、他端部は、例えば、通電のための電気発生部や油(空)圧のための圧力発生部に設けられている(電気発生部や圧力発生部が線状部材30の他端部の固定部となってる)ため、一端部のようには揺動しない(固定されている)。つまり、本実施の形態にかかる線状部材30は、揺動体(取り付け物品)に一端部が設けられ該揺動体(取り付け物品)の揺動に応じて該一端部が揺動し、かつ、他端部が固定されている部材となっている。
【0039】
このように、線状部材30は、揺動体が揺動する際に、他端部が固定されている状態で一端部が揺動することになるため、線状部材30にねじれが発生し得る。そして、揺動体の揺動角度が大きいほど、線状部材30に大きなねじれが発生し、このような大きなねじれが発生した場合には、線状部材30にストレスがかかり、線状部材30が損傷する恐れがある。特に、大きなねじれが(全体的ではなく)線状部材30の一部分に集中して(局所的に)発生した場合には、線状部材30が損傷する可能性がより一層高まる。
【0040】
そこで、本実施の形態にかかるポジショナ1には、線状部材保護部40が設けられ、当該線状部材保護部40は、揺動体(線状部材30の一端部)が所定第一角度(所定最大角度)の揺動を行う際に(当該揺動に連動して)、線状部材30の両端部(一端部及び他端部)の中間部30a(一端部と他端部の丁度真ん中である必要はない)を前記所定第一角度よりも小さい所定第二角度揺動させる。
【0041】
より具体的に説明すると、本実施の形態に係るポジショナ1における揺動体(線状部材30の一端部)の前述した所定第一角度(所定最大角度)は100度(ただし、この角度に限定されるものではない)となっている。すなわち、揺動生成部10は、揺動体を-100度から+100度の範囲で揺動させ、その結果、揺動体(線状部材30の一端部)が-100度から+100度の範囲で揺動する。そして、揺動体(線状部材30の一端部)が100度(-100度)の揺動を行う際に、線状部材保護部40は、線状部材30の中間部30aを100度よりも小さい角度である40.9度(-40.9度)揺動させる。そのため、線状部材30の中間部30a(より具体的には、後述する第二部材保持部66bに保持される中間部30a)から他端部(固定端)までの間(以下、後段部とも呼ぶ)では、40.9度分(40.9度相当)のねじれしか発生せず、また、一端部から中間部30a(より具体的には、後述する第一部材保持部66aに保持される中間部30a)までの間(以下、前段部とも呼ぶ)では、59.1度分(59.1度相当)のねじれしか発生しない。仮に線状部材保護部40が存在しない場合には、線状部材30には100度分(100度相当)のねじれが発生し、この100度分のねじれが線状部材30の一部分に集中して発生した場合には、線状部材30が損傷する可能性がより一層高まる。これに対し、本実施の形態においては、ねじれが線状部材30の一部分に集中して発生したとしても、最大で59.1度分のねじれしか発生しないので、線状部材30へのストレスを軽減することができ、線状部材30の損傷を適切に抑えることが可能となる(線状部材30を適切に保護することが可能となる)。
【0042】
そして、線状部材保護部40の上記の機能は、遊星歯車機構42により実現される。以下、線状部材保護部40について説明する。
【0043】
線状部材保護部40は、線状部材30を保護するためのものであり、遊星歯車機構42と、線状部材保持部60と、回転支持体70と、を有している。
【0044】
遊星歯車機構42は、前記回動軸16の軸方向(X方向)における両端部のうち揺動体に近い側の一端部16aとは反対側の他端部16bに位置しており、太陽歯車44と、内歯車46と、遊星歯車48と、キャリア50(歯車と区別するため、
図1、
図3、
図5においてハッチングを施している)と、を備えている。
【0045】
太陽歯車44は、太陽歯車44の中心位置が回動軸16の軸中心と一致するように回動軸16の前記他端部16bに設けられており、回動軸16と一体的に回動する。また、前述したとおり、揺動体は回動軸16と一体的に揺動(回動)するため、太陽歯車44は揺動体の揺動に伴って揺動することとなる。すなわち、太陽歯車44は、揺動体の所定第一角度(100度)の揺動に伴って該所定第一角度(100度)揺動する(つまり、太陽歯車44の角度は、常時揺動体の角度と一致する)。
【0046】
なお、太陽歯車44は、第二ボルト23により回動軸16に固定されている。また、本実施の形態に係る太陽歯車44は、
図4に示すように、1周分は存在せず、当該太陽歯車44には、周方向における端部である周方向端部44aが存在する。
【0047】
内歯車46は、内歯車46の中心位置が太陽歯車44の中心位置と一致するようにハウジング20に設けられ、太陽歯車44よりも径方向における外側に位置している。内歯車46は、ハウジング20に第三ボルト24により固定されているため、移動不能となっている。なお、内歯車46も、
図4に示すように、1周分は存在せず、当該内歯車46にも周方向端部46aが存在する。
【0048】
遊星歯車48は、太陽歯車44と内歯車46との間に設けられ、双方の歯車と噛合している。したがって、遊星歯車48は、太陽歯車44が揺動すると、自転しながら、太陽歯車44の揺動方向と同じ方向(太陽歯車44がプラス方向に揺動するときにはプラス方向)に揺動(公転)する。ここで、遊星歯車機構42おいては、太陽歯車44の1周分の歯数をZaとし、内歯車の1周分の歯数をZbとしたときに、遊星歯車48が、太陽歯車44と比べて、減速比α=1/(Zb/Za+1)で回転することが知られている。本実施の形態においては、Zb=78、Za=54と設定しているので、減速比α=0.409となる。つまり、遊星歯車48の揺動速度は、太陽歯車44の揺動速度よりも遅くなり、遊星歯車48は、太陽歯車44が所定第一角度(100度)移動する際に該所定第一角度(100度)よりも小さい所定第二角度(100×0.409=40.9度)だけ揺動することとなる。
【0049】
キャリア50は、X方向において遊星歯車48よりも左側に位置し、遊星歯車48を自転可能に支持する。そして、キャリア50は、遊星歯車48が自転しながら揺動(公転)すると、当該揺動(公転)に伴って揺動する。すなわち、キャリア50は、遊星歯車48の自転を許容しつつ、遊星歯車48と一体的に揺動(移動)する。また、キャリア50には、線状部材保持部60(の被固定部64)を固定するために、キャリア本体50aからX方向右側へ向けて突出した固定台部50bが設けられている(
図5参照)。この固定台部50bは、遊星歯車48よりもY方向手前側と奥側に一つずつ備えられている(
図4参照)。そして、当該固定台部50bには、ボルト穴50cが設けられ、当該ボルト穴50cが用いられることでキャリア50に線状部材保持部60が取り付けられている。なお、キャリア50も、
図4に示すように、1周分は存在せず、当該キャリア50にも周方向端部50dが存在する。
【0050】
線状部材保持部60は、線状部材30の前記中間部30aを保持するための部材であり、保持部本体62と、被固定部64と、部材保持部66と、揺動軸68と、を有している。
【0051】
保持部本体62は、前記回動軸16の軸方向(X方向)における両端部のうち揺動体に近い側の一端部16aとは反対側の他端部16b側に位置している。すなわち、保持部本体62は、X方向において回動軸16よりも右側に備えられている。
【0052】
被固定部64は、線状部材保持部60をキャリア50に固定するための部分であり、保持部本体62のX方向における左側かつZ方向における中央より少し下側に設けられている(
図1参照)。保持部本体62と被固定部64を貫通するようにボルト穴60aが設けられており、当該ボルト穴60aとキャリア50のボルト穴50cに第四ボルト25が挿入されることにより、線状部材保持部60がキャリア50にボルト止めされている。
【0053】
部材保持部66は、線状部材30の中間部30aを保持するための部分である。本実施の形態においては、線状部材30の2箇所の中間部30aが保持されるようになっており、そのため、部材保持部66が2つ(第一部材保持部66a及び第二部材保持部66bと呼ぶ)設けられている。第一部材保持部66aは、保持部本体62のX方向、Y方向、Z方向における略中央に設けられ、第二部材保持部66bは、保持部本体62のX方向、Y方向における略中央かつZ方向における下部に設けられている(
図6参照)。部材保持部66には、線状部材30を通すための孔部67が設けられており、孔部67を通過する線状部材30の中間部30aが当該孔部67により保持されるようになっている。また、本実施の形態においては、第一部材保持部66aに保持される中間部30aよりも第二部材保持部66bに保持される中間部30aの方が線状部材30の一端部よりも遠い側(他端部よりも近い側)に位置する。
【0054】
なお、本実施の形態においては、線状部材保持部60(部材保持部66)が2箇所で線状部材30を保持することとしたが、これに限定されるものではなく、1箇所でも3箇所以上でも構わない。また、本実施の形態においては、
図6に示すように、一つの部材保持部66当たり2つの孔部67が設けられているが、孔部67の個数はこれに限定されず、線状部材30の数に基づいて決定されるものである。
【0055】
また、一つの孔部67には、一つの線状部材30のみを通すのではなく、複数の線状部材30を通すこととしてもよい。また、複数のケーブル等が纏められてケーブル保護部材により保護された形態の線状部材30が孔部67を通過するようにしてもよい。なお、
図6においては、孔部67が円形となっており、複数の線状部材30や当該形態の線状部材30に適合した形状とはなっていないが、線状部材30の本数や線状部材30の形態に応じて楕円形にする等形状を適宜変更することができる。
【0056】
揺動軸68は、軸方向に沿った棒体であり、揺動軸68の軸中心が回動軸16の軸中心と一致するように回動軸16の中空穴17内に設けられている。この揺動軸68は、中空穴17を貫通するように設けられ、中空穴17内で揺動可能に支持されている。
【0057】
また、揺動軸68の軸方向における一端部には、保持部本体62が固定されている。より具体的には、保持部本体62のX方向、Y方向における略中央かつZ方向における上部には、揺動軸68を固定するための固定穴62aが設けられており、当該固定穴62aに揺動軸68が嵌合されることにより揺動軸68と保持部本体62が連結されている。
【0058】
前述したとおり、キャリア50は、遊星歯車48と一体的に揺動し、線状部材保持部60は、キャリア50にボルト止めされている。したがって、線状部材保持部60は、遊星歯車48と一体的に揺動することとなる。すなわち、線状部材保持部60は、遊星歯車48の前記所定第二角度(40.9度)の揺動に伴って、揺動軸68を中心として当該所定第二角度(40.9度)揺動する。そして、線状部材保持部60には、線状部材30の中間部30aが保持されているため、線状部材30の中間部30aも当該所定第二角度(40.9度)揺動することとなる。
【0059】
回転支持体70は、前記棒体(すなわち、揺動軸68)に回転自在に取り付けられ、線状部材30を支持するためのものである。
図1に示すように、線状部材30の一端部から中間部30aまでの部分(前記前段部)は、中空穴17を貫通しており、回転支持体70は当該部分を支持する。回転支持体70は、回動軸16の軸方向における中空穴17の両端部に、一つずつ設けられている。そして、線状部材30の一端部や中間部30aの前述した揺動により線状部材30の前段部が移動する(動く)と、各々の回転支持体70は、この移動に応じて回転し、線状部材30のスムーズな動きの助力となる。このことにより、ねじれが線状部材30の一部分に集中して(局所的に)発生することを抑制することが可能となる。
【0060】
また、当該回転支持体70は、二つのストッパー71間を軸方向に移動することができるようになっている。このことにより、より一層効果的に線状部材30をスムーズに動かすことができる。なお、当該回転支持体70は一方のストッパー71に向けてバネ部材72により付勢されている。
【0061】
次に、ポジショナ1の動作について、
図2、
図7、
図8を参照しつつ説明する。揺動体の角度が0度の状態(
図2参照)で、揺動生成部10が、揺動体を所定第一角度(+100度)揺動させると、当該揺動体と一体的に回動軸16及び太陽歯車44も当該所定第一角度(+100度)揺動する(
図7参照)。そして、遊星歯車48は、遊星歯車機構42の機能により、該所定第一角度(+100度)よりも小さい所定第二角度だけ(+40.9度)揺動する。遊星歯車48が当該所定第二角度(+40.9度)揺動すると、当該遊星歯車48と一体的に、キャリア50、線状部材保持部60、線状部材30の中間部30aも当該所定第二角度(+40.9度)揺動する(
図7参照)。
【0062】
次に、揺動体の角度が+100度の状態(
図7参照)で、揺動生成部10が、揺動体を0度に戻すと、回動軸16及び太陽歯車44も0度に戻る(
図2参照)。そして、遊星歯車48も、遊星歯車機構42の機能により、0度に戻り、同様に、キャリア50、線状部材保持部60、線状部材30の中間部30aも0度に戻る(
図2参照)。
【0063】
次に、揺動体の角度が0度の状態(
図2参照)で、揺動生成部10が、逆方向に揺動体を所定第一角度(-100度)揺動させると、当該揺動体と一体的に回動軸16及び太陽歯車44も当該所定第一角度(-100度)揺動する(
図8参照)。そして、遊星歯車48は、遊星歯車機構42の機能により、該所定第一角度(-100度)よりも小さい所定第二角度だけ(-40.9度)揺動する。遊星歯車48が当該所定第二角度(-40.9度)揺動すると、当該遊星歯車48と一体的に、キャリア50、線状部材保持部60、線状部材30の中間部30aも当該所定第二角度(-40.9度)揺動する(
図8参照)。
【0064】
次に、揺動体の角度が-100度の状態(
図8参照)で、揺動生成部10が、揺動体を0度に戻すと、回動軸16及び太陽歯車44も0度に戻る(
図2参照)。そして、遊星歯車48も、遊星歯車機構42の機能により、0度に戻り、同様に、キャリア50、線状部材保持部60、線状部材30の中間部30aも0度に戻る(
図2参照)。
【0065】
このように、本実施の形態に係るポジショナ1においては、揺動体(線状部材30の一端部)が0度→+100度→0度→-100度→0度の揺動を行う際に、線状部材30の中間部30aが0度→+40.9度→0度→-40.9度→0度の揺動を行うこととなる。そのため、線状部材30の後段部では、40.9度分(40.9度相当)のねじれしか発生せず、また、前段部では、59.1度分(59.1度相当)のねじれしか発生しない。そのため、前述したとおり、ねじれが線状部材30の一部分に集中して発生したとしても、(100度分ではなく)最大で59.1度分のねじれしか発生しないこととなるので、線状部材30へのストレスを軽減することができ、線状部材30の損傷を適切に抑えることが可能となる(線状部材30を適切に保護することが可能となる)。
【0066】
===本実施の形態に係る揺動装置(ポジショナ1)の有効性について===
上述したとおり、本実施の形態に係るポジショナ1は、揺動体に一端部が設けられ該揺動体の揺動に応じて該一端部が揺動し、かつ、他端部が固定されている線状部材30と、線状部材30を保護する線状部材保護部40と、を備え、線状部材保護部40は、揺動体の所定第一角度の揺動に伴って該所定第一角度揺動する太陽歯車44と、移動不能な内歯車46と、前記太陽歯車44と前記内歯車46との間に設けられ、前記太陽歯車44が前記所定第一角度揺動する際に該所定第一角度よりも小さい所定第二角度揺動する遊星歯車48と、を有する遊星歯車機構42と、遊星歯車48の前記所定第二角度の揺動に伴って該所定第二角度揺動し、線状部材30の両端部間の中間部30aを保持する線状部材保持部60と、を有することとした。
【0067】
そのため、前述したとおり、線状部材30へのストレスを軽減することができ、線状部材30の損傷を適切に抑えることが可能となる(線状部材30を適切に保護することが可能となる)。
【0068】
また、本実施の形態において、遊星歯車機構42は、遊星歯車48を自転可能に支持し、遊星歯車48の揺動に伴って揺動するキャリア50を備え、キャリア50に線状部材保持部60が取り付けられていることとした。
【0069】
そのため、キャリア50を用いることにより遊星歯車48の揺動を容易に線状部材保持部60に伝達することが可能となる。
【0070】
また、本実施の形態においては、揺動体を揺動させるための揺動生成部10を備え、揺動生成部10は、揺動体と一体的に回動する回動軸16と、ハウジング20と、を有し、太陽歯車44は回動軸16に、内歯車46はハウジング20にそれぞれ設けられていることとした。
【0071】
そのため、揺動生成部10の動く(揺動する)部分と動かない(固定の)部分を上手く利用して、効率的にかつ容易に遊星歯車機構42の動きを作り出すことが可能となる。
【0072】
また、本実施の形態においては、回動軸16の軸方向における両端部のうち揺動体に近い側の一端部16aとは反対側の他端部16bに、太陽歯車44が設けられていることとした。
【0073】
仮に、一端部16aに太陽歯車44を設けた場合には、線状部材保持部60も一端部16a側に位置することとなる。その場合には、揺動体内に位置する線状部材30の一端部から、中間部30aまでの長さが短すぎてしまう恐れがある。本実施の形態においては、他端部16bに太陽歯車44が設けられているため、線状部材30の一端部から中間部30aまでの長さが短すぎてしまうことを回避することが可能となる。
【0074】
また、本実施の形態において、回動軸16は、回動軸16の軸方向に沿った中空穴17を備え、線状部材30の一端部から中間部30aまでの部分は、中空穴17を貫通していることとした。
【0075】
そのため、回動軸16に中空穴17を設け、当該中空穴17を利用することで、効率的に、かつ、見栄え良く、線状部材30の一端部から中間部30aまでの部分の配線をすることができる。
【0076】
また、本実施の形態において、中空穴17には、軸方向に沿った棒体と、棒体に回転自在に取り付けられ、線状部材30を支持する回転支持体70と、が設けられていることとした。
【0077】
そのため、前述したとおり、ねじれが線状部材30の一部分に集中して(局所的に)発生することを抑制することが可能となる。
【0078】
また、本実施の形態において、前記棒体は、線状部材保持部60の揺動軸68であることとした。
【0079】
そのため、線状部材保持部60の揺動軸68を、回転支持体70を取り付けるための取り付け部材として利用することとなり、当該取り付け部材を別途用意する必要がなくなるため、部品点数を減らすことが可能となる。
【0080】
===その他の実施の形態===
上記の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは言うまでもない。特に、以下に述べる実施形態であっても、本発明に含まれるものである。
【0081】
上記実施の形態(第一実施形態とも呼ぶ)に係る揺動装置(ポジショナ1)には、揺動体は含まれていなかった(組み込まれていなかった)。すなわち、揺動体は、ポジショナ1の所有者(購入者)が、自由に取り付ける取り付け物品であることとした。しかしながら、これに限定されるものではなく、
図9の例(第二実施形態)に示すように、揺動装置に揺動体が含まれている(組み込まれている)こととしてもよい。
【0082】
第二実施形態に係る揺動装置は、一般的にチルトテーブルと呼ばれる傾斜回転テーブル装置100であり、
図9は、第二実施形態に係る傾斜回転テーブル装置100の側面概略図(
図1に対応した図)である。傾斜回転テーブル装置100における揺動体は、回転テーブル装置102であり、この回転テーブル装置102は、第一実施形態と同様、揺動生成部10により揺動されると共に、自ら回転するようになっている。つまり、傾斜回転テーブル装置100は、この回転テーブル装置102のテーブル面を当該揺動により傾斜させ、かつ、テーブル102aを回転させることにより、ワーク等の割り出しを行い、所定の加工を行う装置となっている。
【0083】
第二実施形態の第一実施形態との主な相違点は、揺動生成部10と揺動体との連結にある。すなわち、第二実施形態において、第一実施形態の回動テーブル18に相当する部材は、回動出力部104となるが、この回動出力部104は、揺動体(回転テーブル装置102)と一体化されている(対して、第一実施形態においては、揺動体が回動テーブル18に対し着脱可能となっていた)。これは、第二実施形態においては、揺動装置(傾斜回転テーブル装置100)に揺動体(回転テーブル装置102)が組み込まれているため、着脱可能とする必要がないからである。
【0084】
このような傾斜回転テーブル装置100において、導入される可能性がある線状部材30としては、以下のようなものがある。すなわち、ケーブルとしては、サーボモータの電力用電線や制御用電線、ロータリーエンコーダの信号線等が考えられる。また、ホース(管)としては、ワークのクランプ・アンクランプのための油流路用ホース、テーブルのクランプのための油又は空気流路用ホース、サーボモータ冷却のための空気流路用ホース、ロータリーエンコーダ洗浄のためのエアパージ(空気流路)用ホースが考えられる。これらを合計すると10本以上の線状部材30が導入される可能性があるが、
図9においては、図面が複雑化することを回避するために、便宜上、線状部材30を4本のみ示している。なお、第一実施形態(
図1、2、7、8)においても、表されている線状部材30の数は2本のみであるが、これも便宜上のものであり、この本数に限定されるものではない。
【0085】
また、
図9の揺動体(回転テーブル装置102)において4本であった線状部材30が、回動軸16の中空穴17内においては2本になっているが、これは、1本ずつ分かれていた線状部材30が、途中(回転テーブル装置102と中空穴17との間)で、2本のケーブル等が纏められてケーブル保護部材により保護された形態とされているからである(なお、ケーブル保護部材の記載は、図面が複雑化することを回避するために省略している。第一実施形態においても同様である。)。また、線状部材保持部60においては、かかる形態の線状部材30が孔部67を通過している(前述したとおり、
図6においては、孔部67が円形となっており、このような形態の線状部材30に適合した形状とはなっていないが、線状部材30の形態に応じて楕円形にする等形状を適宜変更することができる)。
【0086】
また、
図10に示すように、線状部材30の前記後段部をガイドするガイド部材110(線状部材30と区別するために、図においてハッチングを施している)を揺動装置に設けることとしてもよい。
図10は、ガイド部材110を説明するための説明図である。
図10においては、二つのガイド部材110(可動ガイド部材110a及び固定ガイド部材110b)が設けられており、双方のガイド部材110は共に、周方向に沿った曲面を有している。また、可動ガイド部材110aは、線状部材保持部60の揺動に伴って揺動するようになっている。この可動ガイド部材110aは、径方向における可動ガイド部材110aの外側にて、線状部材30をガイドする。一方、固定ガイド部材110bは、固定されており、径方向における固定ガイド部材110bの内側にて、線状部材30をガイドする。
【0087】
このようなガイド部材110を揺動装置に設けることとすれば、揺動体(線状部材30の一端部)が揺動したとしても、線状部材30の後段部をある程度所望の形状に維持することが可能となる。
【符号の説明】
【0088】
1 ポジショナ
10 揺動生成部
12 駆動部本体
12a カムフォロア
14 軸受
16 回動軸
16a 一端部
16b 他端部
17 中空穴
18 回動テーブル
18a ボルト穴
20 ハウジング
22 第一ボルト
23 第二ボルト
24 第三ボルト
25 第四ボルト
30 線状部材
30a 中間部
40 線状部材保護部
42 遊星歯車機構
44 太陽歯車
44a 周方向端部
46 内歯車
46a 周方向端部
48 遊星歯車
50 キャリア
50a キャリア本体
50b 固定台部
50c ボルト穴
50d 周方向端部
60 線状部材保持部
60a ボルト穴
62 保持部本体
62a 固定穴
64 被固定部
66 部材保持部
66a 第一部材保持部
66b 第二部材保持部
67 孔部
68 揺動軸
70 回転支持体
71 ストッパー
72 バネ部材
100 傾斜回転テーブル装置
102 回転テーブル装置
102a テーブル
104 回動出力部
110 ガイド部材
110a 可動ガイド部材
110b 固定ガイド部材