(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023067162
(43)【公開日】2023-05-16
(54)【発明の名称】装着部材、基板ユニット、コネクタ及びコネクタセット
(51)【国際特許分類】
H01R 12/77 20110101AFI20230509BHJP
【FI】
H01R12/77
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021178179
(22)【出願日】2021-10-29
(71)【出願人】
【識別番号】390012977
【氏名又は名称】イリソ電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】北澤 大輔
【テーマコード(参考)】
5E223
【Fターム(参考)】
5E223AB51
5E223BA01
5E223BA04
5E223BA08
5E223BB12
5E223CA15
5E223CB17
5E223CB22
5E223CB29
5E223CB39
5E223CC15
5E223CD02
5E223DB04
5E223EA02
(57)【要約】
【課題】端子間同士の間隔が狭い場合でも短絡を抑制することができる装着部材、基板ユニット、コネクタ及びコネクタセットを得る。
【解決手段】平板状の基板に装着される装着部材18であって、装着部材18は、複数の導通部26が一方向に配列された基板の一端部に装着される。また、装着部材18は、基板に装着した状態でコネクタに嵌合可能に構成されている。さらに、装着部材18には、基板に装着した状態で隣り合う導通部26を隔てる隔壁部46が設けられている。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平板状の基板において複数の導通部が一方向に配列された一端部に装着される装着部材であって、
前記基板に装着した状態でコネクタに嵌合可能に構成され、
隣り合う前記導通部を隔てる隔壁部が設けられた、
装着部材。
【請求項2】
前記基板の一方面が載置される第1取付部材と、
前記基板の他方面に沿って配置されると共に、前記第1取付部材とで前記基板を挟持可能な第2取付部材と、を含んで構成されている請求項1に記載の装着部材。
【請求項3】
前記第1取付部材には、前記基板が前記第1取付部材に載置された状態で前記導通部の配列方向である幅方向の移動を制限する幅方向位置決め部が設けられている請求項2に記載の装着部材。
【請求項4】
前記幅方向位置決め部は、前記導通部に対応した形状の溝部を含んで構成されている請求項3に記載の装着部材。
【請求項5】
前記第1取付部材には、前記基板が前記第1取付部材に載置された状態で前記基板の嵌合方向である前後方向の移動を制限する前後方向位置決め部が設けられている請求項2~4の何れか1項に記載の装着部材。
【請求項6】
前記第1取付部材には、前記基板の板厚方向の移動を制限する板厚方向移動制限部が設けられている請求項2~5の何れか1項に記載の装着部材。
【請求項7】
請求項2~6の何れか1項に記載の装着部材と、
前記装着部材が装着される前記基板と、
を有する基板ユニット。
【請求項8】
前記基板における隣り合う前記導通部の間にはスリットが形成されており、
前記隔壁部は、前記スリットを貫通するように形成されている請求項7に記載の基板ユニット。
【請求項9】
前記基板には、前記導通部の先端同士を配列方向に連結する連結部材が設けられており、
前記第2取付部材には、前記第1取付部材側へ膨出されて前記連結部材を前記第1取付部材側へ押圧する膨出部が形成されており、
前記第1取付部材には、前記第2取付部材側とは反対側へ凹んだ凹部が形成されている請求項7又は8に記載の基板ユニット。
【請求項10】
請求項7に記載の基板ユニットにおける前記装着部材側の端部が嵌合される嵌合孔を備え、
前記嵌合孔における前記基板の板厚方向一方側の孔壁には、前記装着部材を押圧することで前記隔壁部を前記嵌合孔における前記基板の板厚方向他方側の孔壁へ押し付ける押圧部が設けられている、
コネクタ。
【請求項11】
前記嵌合孔が形成されたハウジングと、前記ハウジング内に設けられた主板バネ部材とを含んで構成されており、
前記主板バネ部材は、前記導通部の配列方向に沿って配列されると共に、それぞれの前記主板バネ部材に前記押圧部が形成されている請求項10に記載のコネクタ。
【請求項12】
前記主板バネ部材は、前記導通部の配列方向である幅方向が板厚方向となるように形成されている請求項11に記載のコネクタ。
【請求項13】
前記主板バネ部材は、前記押圧部と一体的に形成されて前記導通部と導通可能な主端子部を備えている請求項11又は12に記載のコネクタ。
【請求項14】
前記導通部の配列方向に沿って配列されると共に、前記導通部と導通可能な副端子部を備えた副板バネ部材をさらに含んで構成されており、
前記副板バネ部材は、前記配列方向から見て前記主板バネ部材と異なる高さに配置されている請求項13に記載のコネクタ。
【請求項15】
前記主板バネ部材と前記副板バネ部材とが前記配列方向に沿って交互に配置されている請求項14に記載のコネクタ。
【請求項16】
前記装着部材を係止可能な係止部を備えている請求項10~15の何れか1項に記載のコネクタ。
【請求項17】
請求項10~16の何れか1項に記載のコネクタと、
前記コネクタが取付けられる取付孔を備え、前記コネクタが取付けられた状態で前記コネクタと導通される取付部材と、
を有するコネクタセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装着部材、基板ユニット、コネクタ及びコネクタセットに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、フラットケーブルを保持した状態で被接続用ハウジング要素に嵌入される電気的接続装置が開示されている。この電気的接続装置は、フラットケーブルを保持するケーブルホルダを備えており、ケーブルホルダにはフラットケーブルの導体間に配置されて導体間の絶縁状態を確保するためのリブが形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、小型のコネクタが求められており、コネクタの小型化に伴って基板の端子間の間隔が狭くなっている。端子間の間隔が狭くなった場合、結露などにより発生する水滴が原因となって端子間で短絡する可能性があり、上記特許文献1に記載された技術を用いても効果的に短絡を抑制することが困難となっている。
【0005】
本発明は上記事実を考慮し、端子間同士の間隔が狭い場合でも短絡を抑制することができる装着部材、基板ユニット、コネクタ及びコネクタセットを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1態様の装着部材は、平板状の基板において複数の導通部が一方向に配列された一端部に装着される装着部材であって、前記基板に装着した状態でコネクタに嵌合可能に構成され、隣り合う前記導通部を隔てる隔壁部が設けられている。
【0007】
第1態様の装着部材では、平板状の基板の一端部に装着した状態でコネクタに嵌合可能に構成されている。また、基板の一端部には複数の導通部が一方向に配列されており、装着部材には、基板に装着した状態で隣り合う導通部を隔てる隔壁部が設けられている。このように隔壁部によって隣り合う導通部が隔てられるため、導通部間の間隔が狭い場合であっても水滴などによる短絡を抑制することができる。
【0008】
第2態様の装着部材は、第1態様において、前記基板の一方面が載置される第1取付部材と、前記基板の他方面に沿って配置されると共に、前記第1取付部材とで前記基板を挟持可能な第2取付部材と、を含んで構成されている。
【0009】
第2態様の装着部材では、第1取付部材と第2取付部材とを含んで構成されており、この第1取付部材と第2取付部材とで基板を挟持可能に構成されている。これにより、基板を差し込むことで基板を保持する構成と比較して、容易に基板を保持することができる。特に、小型のFPC(Flexible Printed Circuits)及びFFC(Flexible Flat Cable)などによって基板が構成されている場合、差し込んで保持する装着部材では基板を損傷させる可能性がある。そこで、第1取付部材と第2取付部材とで基板を挟持可能に構成することで、基板の状態を良好に維持しつつ容易に基板を保持することができる。
【0010】
第3態様の装着部材は、第2態様において、前記第1取付部材には、前記基板が前記第1取付部材に載置された状態で前記導通部の配列方向である幅方向の移動を制限する幅方向位置決め部が設けられている。
【0011】
第3態様の装着部材では、幅方向位置決め部によって第1取付部材に載置した基板が幅方向に移動するのを制限することができる。これにより、基板の幅方向の位置決めを容易に行うことができ、装着部材の装着作業性を向上させることができる。
【0012】
第4態様の装着部材は、第3態様において、前記幅方向位置決め部は、前記導通部に対応した形状の溝部を含んで構成されている。
【0013】
第4態様の装着部材では、基板の導通部が溝部に入り込むことで、導通部を含む基板の幅方向の位置決めを行うことができる。
【0014】
第5態様の装着部材は、第2態様~第4態様の何れか1の態様において、前記第1取付部材には、前記基板が前記第1取付部材に載置された状態で前記基板の嵌合方向である前後方向の移動を制限する前後方向位置決め部が設けられている。
【0015】
第5態様の装着部材では、前後方向位置決め部によって第1取付部材に載置した基板が前後方向(嵌合方向)に移動するのを制限することができる。これにより、基板の前後方向の位置決めを容易に行うことができ、装着部材の装着作業性を向上させることができる。
【0016】
第6態様の装着部材は、第2態様~第5態様の何れか1の態様において、前記第1取付部材には、前記基板の板厚方向の移動を制限する板厚方向移動制限部が設けられている。
【0017】
第6態様の装着部材では、板厚方向移動制限部によって第1取付部材に載置した基板が板厚方向に移動して第1取付部材から脱落するのを制限することができる。これにより、装着部材の装着作業性を向上させることができる。
【0018】
第7態様の基板ユニットは、第2態様~第6態様の何れか1の態様における装着部材と、前記装着部材が装着される前記基板と、を有する。
【0019】
第7態様の基板ユニットでは、装着部材に設けられた隔壁部によって基板の隣り合う導通部が隔てられるため、導通部間の間隔が狭い基板であっても水滴などによる短絡を抑制することができる。
【0020】
第8態様の基板ユニットは、第7態様において、前記基板における隣り合う前記導通部の間にはスリットが形成されており、前記隔壁部は、前記スリットを貫通するように形成されている。
【0021】
第8態様の基板ユニットでは、導通部間のスリットを貫通して隔壁部が形成されているため、基板の厚みにばらつきがある場合であっても隔壁部と基板との間に隙間が生じるのを抑制することができる。
【0022】
第9態様の基板ユニットは、第7態様又は第8態様において、前記基板には、前記導通部の先端同士を配列方向に連結する連結部材が設けられており、前記第2取付部材には、前記第1取付部材側へ膨出されて前記連結部材を前記第1取付部材側へ押圧する膨出部が形成されており、前記第1取付部材には、前記第2取付部材側とは反対側へ凹んだ凹部が形成されている。
【0023】
第9態様の基板ユニットでは、膨出部によって基板に設けられた連結部材が導通部の先端部と共に第1取付部材側へ押圧される。一方、第1取付部材には凹部が形成されているため、連結部材及び導通部は、膨出部に押圧されて凹部に入り込んだ状態となる。これにより、導粒の先端部と基端部とが板厚方向に変位された状態となるため、導通部が直線状に延在された構成と比較して、装着部材をコネクタへ嵌合する際に導通部が座屈するのを抑制することができる。
【0024】
第10態様のコネクタは、第7態様に記載の基板ユニットにおける前記装着部材側の端部が嵌合される嵌合孔を備え、前記嵌合孔における前記基板の板厚方向一方側の孔壁には、前記装着部材を押圧することで前記隔壁部を前記嵌合孔における前記基板の板厚方向他方側の孔壁へ押し付ける押圧部が設けられている。
【0025】
第10態様のコネクタでは、基板ユニットにおける装着部材側の端部が嵌合される嵌合孔を備えており、この嵌合孔における基板の板厚方向一方側の孔壁には押圧部が設けられている。そして、押圧部によって装着部材が押圧されることで、装着部材に設けられた隔壁部が嵌合孔の孔壁へ押し付けられる。これにより、隔壁部とコネクタとを密着させることができる。
【0026】
第11態様のコネクタは、第10態様において、前記嵌合孔が形成されたハウジングと、前記ハウジング内に設けられた主板バネ部材とを含んで構成されており、前記主板バネ部材は、前記導通部の配列方向に沿って配列されると共に、それぞれの前記主板バネ部材に前記押圧部が形成されている。
【0027】
第11態様のコネクタでは、導通部の配列方向に沿って配列された複数の主板バネ部材のそれぞれに押圧部が形成されている。これにより、隔壁部を安定してハウジングに形成された嵌合孔の孔壁へ密着させることができる。
【0028】
第12態様のコネクタは、第11態様において、前記主板バネ部材は、前記導通部の配列方向である幅方向が板厚方向となるように形成されている。
【0029】
第12態様のコネクタでは、押圧部によって装着部材を押圧する方向が押圧部の板厚方向と直交する方向となる。これにより、主板バネ部材の板厚方向を押圧方向とした構成と比較して、主板バネ部材のバネ定数を高めることができる。
【0030】
第13態様のコネクタは、第11態様又は第12態様において、前記主板バネ部材は、前記押圧部と一体的に形成されて前記導通部と導通可能な主端子部を備えている。
【0031】
第13態様のコネクタでは、導通部と導通可能な端子が別体で形成された構成と比較して、コネクタの部品点数を削減することができる。
【0032】
第14態様のコネクタは、第13態様において、前記導通部の配列方向に沿って配列されると共に、前記導通部と導通可能な副端子部を備えた副板バネ部材をさらに含んで構成されており、前記副板バネ部材は、前記配列方向から見て前記主板バネ部材と異なる高さに配置されている。
【0033】
第14態様のコネクタでは、導通部の配列方向に沿って副板バネ部材が配列されている。ここで、副板バネ部材は、配列方向から見て主板バネ部材と異なる高さに配置されている。これにより、主板バネ部材の押圧部が設けられた位置には副板バネ部材が設けられておらず、副板バネ部材と主板バネ部材とが短絡するのを抑制することができる。
【0034】
第15態様のコネクタは、第14態様において、前記主板バネ部材と前記副板バネ部材とが前記配列方向に沿って交互に配置されている。
【0035】
第15態様のコネクタでは、主板バネ部材の間に副板バネ部材が配置されることで、隣り合う押圧部の間隔を広くすることができ、押圧部同士で短絡するのを抑制することができる。
【0036】
第16態様のコネクタは、第10態様~第15態様の何れか1の態様において、前記装着部材を係止可能な係止部を備えている。
【0037】
第16態様のコネクタでは、コネクタに設けられた係止部によって装着部材が係止される。これにより、意図せずに基板ユニットがコネクタから外れるのを抑制することができる。
【0038】
第17態様のコネクタセットは、第10態様~第16態様の何れか1の態様に記載のコネクタと、前記コネクタが取付けられる取付孔を備え、前記コネクタが取付けられた状態で前記コネクタと導通される取付部材と、を有する。
【発明の効果】
【0039】
本発明に係る装着部材、基板ユニット、コネクタ及びコネクタセットによれば、端子間同士の間隔が狭い場合でも短絡を抑制することができる、という優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】実施形態に係るコネクタセットを示す斜視図である。
【
図2】実施形態に係る基板ユニットとコネクタとを示す分解斜視図である。
【
図3】実施形態に係る基板ユニットの分解斜視図である。
【
図4】実施形態に係る基板ユニットの要部を示す斜視図である。
【
図5】
図4の5-5線で切断して前後方向から見た状態を示す断面図である。
【
図6】
図4の6-6線で切断して幅方向から見た状態を示す側断面図である。
【
図7】実施形態に係る基板ユニットの要部を示す斜視図である。
【
図8】
図7の一部を切断した状態を示す一部破断断斜視図である。
【
図9】実施形態に係る基板ユニットの要部を示す平面図である。
【
図10】実施形態に係るコネクタを斜め後側から見た斜視図である。
【
図11】
図10の11-11線で切断して幅方向から見た状態を示す側断面図である。
【
図12】
図10の12-12線で切断して幅方向から見た状態を示す側断面図である。
【
図13】
図10の13-13線で切断して幅方向から見た状態を示す側断面図である。
【
図14】変形例に係る基板ユニットの要部を前側から見た図である。
【
図15】
図14の15-15線で切断して上側から見た状態を示す平断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
図1~
図13を用いて、本発明の実施形態に係るコネクタセット10、コネクタとしてのソケット12、基板ユニット14及び装着部材18について説明する。なお、以下の説明において、便宜上、基板16の嵌合方向を前後方向とし、導通部26の配列方向を幅方向とし、基板16の板厚方向を上下方向と呼ぶ。また、各図に適宜示された矢印X、矢印Y及び矢印Zはそれぞれ、前後方向(嵌合方向)の前方向、幅方向(配列方向)の一方向、上下方向(板厚方向)の上方向を示している。
【0042】
(コネクタセット10)
図1に示されるように、本実施形態に係るコネクタセット10は、コネクタとしてのソケット12と、ソケット12が取付けられる取付部材としてのプラグ100とを含んで構成されている。
【0043】
プラグ100は、後部が開口された略角筒状に形成されており、プラグ100の前端部には図示しない複数の端子が接続されている。複数の端子は、それぞれプラグ100の内部の端子と導通されている。また、プラグ100にはソケット12が取付けられる取付孔100Aが形成されている。
【0044】
取付孔100Aは、ソケット12の外形に対応した形状に形成されており、取付孔100Aの形状は、ソケット12の外形よりも僅かに大きく形成されている。また、取付孔100Aにおける上側の孔縁には、前後方向に延在する位置決め用の突起100Bが形成されている。
【0045】
ソケット12は、ハウジング54を備えており、このハウジング54は、プラグ100の取付孔100Aに挿入される挿入部54Aと、挿入部54Aの後端に設けられたフランジ部54Bとを含んで構成されている。挿入部54Aは、プラグ100の取付孔100Aと対応する形状に形成されており、挿入部54Aの上面には、突起100Bと対応する位置に溝部54Cが形成されている。また、挿入部54Aの上面には、溝部54Cを挟んで溝部54Cの幅方向両側に一対の溝部54Dが形成されている。溝部54Cは、前後方向に延在しており、挿入部54Aを取付孔100Aに挿入する際に、プラグ100側の突起100Bが入り込むように構成されている。また、一対の溝部54Dは、前後方向に延在しており、突起100Bの両側に形成された図示しない突起が入り込むように構成されている。
【0046】
図2に示されるように、ソケット12における挿入部54Aの前面には、複数の端子挿入孔54Eが形成されている。本実施形態では一例として、上部に幅方向に沿って12の端子挿入孔54Eが形成されており、下部にも幅方向に沿って12の端子挿入孔54Eが形成されている。これらの挿入部54Aは、プラグ100の端子と対応する位置に形成されており、プラグ100にソケット12が取付けられた状態で、プラグ100の端子が端子挿入孔54Eに挿入されてプラグ100とソケット12とが導通されるように構成されている。
【0047】
図1に示されるように、ソケット12におけるフランジ部54Bには嵌合孔54Fが形成されており、この嵌合孔54Fには基板ユニット14が嵌合されている。ソケット12の詳細については後述する。
【0048】
(基板ユニット14)
図3に示されるように、基板ユニット14は、装着部材18と、装着部材18が装着される基板16とを含んで構成されている。また、装着部材18は、第1取付部材20と第2取付部材22とを含んで構成されている。以下の説明では、まず、基板16の詳細について説明し、その後、装着部材18を構成する第1取付部材20及び第2取付部材22のそれぞれの部材の詳細を説明する。
【0049】
(基板16)
本実施形態では一例として、基板16は、FFC(Flexible Flat Cable)であり、導通部26が被覆された被覆部16Aと、導通部26が露出された露出部16Bとを含んで略平板状に形成されている。
【0050】
被覆部16Aは、平面視で略矩形状とされており、絶縁被膜によって形成されている。また、被覆部16Aの前部は、後部よりも肉厚に形成されており、被覆部16Aにおける前端部の幅方向両端部には、突片24が設けられている。突片24は、平面視で略矩形状に形成されており、被覆部16Aから幅方向外側へ延出されている。また、突片24は、被覆部16Aよりも厚みが薄く形成されており、被覆部16Aと突片24との間には段差が設けられている。
【0051】
露出部16Bには、複数の導通部26が露出された状態で配列されている。複数の導通部26は、それぞれ前後方向に延在されており、幅方向に配列されている。すなわち、導通部26の配列方向と基板16の幅方向とが一致している。
【0052】
また、導通部26は、所定の隙間をあけて幅方向に配列されているため、隣り合う導通部26の間にはスリットSが形成されている。さらに、露出部16Bの前端部には、導通部26の先端同士を配列方向に連結する連結部材27が設けられている。
【0053】
連結部材27は、被覆部16Aと同じ絶縁被膜によって形成されており、導通部26の下面同士を幅方向に連結している。このため、導通部26間のスリットSは、連結部材27と被覆部16Aとの間の領域に前後方向に沿って形成されている。
【0054】
(第1取付部材20)
装着部材18は、基板16の一端部である露出部16Bに装着されるように構成されており、装着部材18を構成する第1取付部材20は、露出部16Bの下面側に装着される。
【0055】
第1取付部材20は、絶縁性の樹脂成形体によって幅方向を長手方向とする略矩形板状に形成されており、第1取付部材20の後部には基板16が載置される載置面28が形成されている。
【0056】
第1取付部材20の前部は、載置面28よりも高く形成されており、載置面28との間に段差部29が形成されている。そして、段差部29よりも前部には複数の溝部30が形成されている。
図5及び
図9に示されるように、溝部30は、導通部26の配列方向に沿って複数形成されており、それぞれの溝部30の溝幅は導通部26よりも僅かに広幅に形成されている。
【0057】
第1取付部材20において、隣り合う溝部30の間の部分には、溝部30に対して上方へ突出されたリブ32が形成されており、このリブ32は、後述する上側隔壁44と共に隔壁部46を構成する。
【0058】
図3に示されるように、第1取付部材20における載置面28の幅方向両端部には、突出部34が形成されている。
【0059】
図7に示されるように、突出部34は、載置面28よりも上方へ突出しており、突出部34における幅方向外側の面には、幅方向内側へ凹んだ凹部34Aが形成されている。このため、
図8に示されるように、突出部34は平断面視で幅方向外側が開放された扁平の略U字状に形成されている。そして、この突出部34における幅方向外側の凹部には、第2取付部材22の係合腕部38が上方から挿通されるように構成されている(
図4参照)。
【0060】
また、
図7に示されるように、突出部34の上端部には板厚方向移動制限部としての上壁34Bが形成されており、この上壁34Bは、基板16の突片24を上方から覆う位置に設けられている。このため、第1取付部材20に基板16が載置された状態では、上壁34Bによって突片24の上方向(板厚方向)の移動を制限することで、基板16の板厚方向の移動が制限される。
【0061】
図8に示されるように、突出部34における幅方向内側には、前後方向に延在された内側側壁34Cと、内側側壁34Cの後端から幅方向内側へ延在された内側後壁34Dとが設けられている。内側側壁34Cは、突片24の前後方向の長さよりも僅かに長く形成されており、基板16が載置された状態で突片24よりも高く形成されている。そして、この内側側壁34Cによって突片24の幅方向の移動が制限される。すなわち、内側側壁34Cによって突片24が幅方向に移動するのを制限し、溝部30によって導通部26が幅方向に移動するのを制限するため、内側側壁34C及び溝部30が本発明の幅方向位置決め部に相当する。
【0062】
突出部34に設けられた内側後壁34Dは、内側側壁34Cと同様に突片24よりも高く形成されており、この内側後壁34Dによって突片24の後方への移動を制限している。また、
図6に示されるように、第1取付部材20の載置面28の前端部に形成された段差部29は、載置面28に載置された基板16における被覆部16Aの前端部と前後方向に対向配置されており、基板16の前方への移動を制限している。このため、内側後壁34D及び段差部29が本発明の前後方向位置決め部に相当する。ここで、段差部29の上端部は、面取加工が施されており、基板16を第1取付部材20に載置する際に、被覆部16Aを載置面28に案内するように構成されている。
【0063】
図9に示されるように、第1取付部材20における突出部34よりも前方には、係止孔20Aが形成されている。係止孔20Aは、第1取付部材20における前部の一部を幅方向内側へ切り欠いた形状に形成されており、この係止孔20Aにはソケット12の弾性腕部78(
図13参照)が係止されるように構成されている。弾性腕部78の詳細については後述する。
【0064】
(第2取付部材22)
図3に示されるように、第2取付部材22は絶縁性の樹脂成形体で形成されており、ベース部36、係合腕部38及び縞状部40を含んで構成されている。
【0065】
ベース部36は、幅方向を長手方向として長尺状に形成されており、第1取付部材20の幅と同程度の長さに形成されている。また、ベース部36の下面は平面状に形成されており、基板16の被覆部16Aに面接触するように構成されている。このため、基板16に第1取付部材20及び第2取付部材22を装着した状態では、被覆部16A(基板16)は、第1取付部材20と第2取付部材22とで挟み込まれた状態で保持される。
【0066】
ベース部36の両端部から下方へ一対の係合腕部38が延出されている。
図4に示されるように、係合腕部38は、側面視で略矩形状に形成されており、係合腕部38の前後方向の幅は、第1取付部材20に形成された突出部34の凹部34Aの幅よりも僅かに小さく形成されている。
【0067】
図3に示されるように、係合腕部38の下端には、幅方向内側へ爪部38Aが突出している。この爪部38Aは、第2取付部材22を第1取付部材20に装着した際に、第1取付部材20の下面に入り込んで第2取付部材22が外れないように係止する。
【0068】
図4に示されるように、ベース部36から前方へ縞状部40が延出されている。縞状部40は、連結部42と、上側隔壁44と、引掛部48とを含んで構成されている。
【0069】
連結部42は、ベース部36の前面に接続されており、幅方向に延在されている。また、連結部42は、側面視で略L字状に形成されており、ベース部36の前面に沿って上下に延在された部分と、この部分の下端から前方へ延出された部分とを含んで構成されている。連結部42の下面は、ベース部36の下面と連続する平面状に形成されている。
【0070】
連結部42の前端部から複数の上側隔壁44が前方へ延出されている。上側隔壁44は、幅方向に沿って所定の間隔で配置されており、上側隔壁44の幅方向のピッチは、基板16の導通部26のピッチと同じピッチとされている。そして、
図5に示されるように、第2取付部材22を基板16に取り付けた状態で、複数の上側隔壁44がそれぞれ導通部26の間に配置されている。
【0071】
ここで、隣り合う導通部26の間のスリットSには、第1取付部材20のリブ32が配置されており、上側隔壁44は、リブ32の上面に接触した状態で配置されている。そして、このリブ32と上側隔壁44とで隣り合う導通部26を隔てる隔壁部46が構成されている。また、本実施形態では、隔壁部46を構成するリブ32と上側隔壁44とが密接されており、この隔壁部46がスリットSを貫通するように形成されている。
【0072】
図4に示されるように、上側隔壁44の間には、開口40Aが形成されている。開口40Aは、連結部42から引掛部48まで前後方向に延在されており、この開口40Aから導通部26が露出した状態となっている。
【0073】
また、
図6に示されるように、上側隔壁44の前部には、下方へ膨出された膨出部50が形成されており、この膨出部50によって上側隔壁44の後部よりも前部が肉厚に形成されている。また、膨出部50の後端には、後側から前側へ向かうにつれて下方へ傾斜した傾斜部52が形成されており、この傾斜部52に沿って導通部26が屈曲又は湾曲されている。そして、基板16の連結部材27は、膨出部50によって下方側(第1取付部材20側)へ押圧されている。
【0074】
一方、第1取付部材20には、膨出部50と対向する部分に凹部33が形成されており、この凹部33は、下方側(第2取付部材22側とは反対側)に凹んで導通部26が入り込む空間を形成している。
【0075】
図4に示されるように、引掛部48は、幅方向に延在されており、上側隔壁44の前端同士を幅方向に連結している。また、
図6に示されるように、引掛部48は、上側隔壁44の前端から下方へ延在されており、さらに後方へ折り返された形状となっている。そして、この折り返された部分が第1取付部材20の前端に形成された切欠部35に係合されるように構成されている。
【0076】
装着部材18は以上のように構成されており、基板16に装着部材18を装着する際には、まず、第1取付部材20に基板16を載置した状態で、第2取付部材22の引掛部48を第1取付部材20の前端に形成された切欠部35に引掛ける。このとき、第2取付部材22の後部は、基板16に対して持ち上げられた状態となる。
【0077】
続いて、引掛部48を起点として第2取付部材22の後部を基板16側へ回動するように移動させ、第2取付部材22の係合腕部38を第1取付部材20の突出部34の凹部34Aに入り込ませる。係合腕部38を凹部34Aの下端まで移動させることで、係合腕部38の下端に設けられた爪部38Aが第1取付部材20の下面に入り込んで第2取付部材22が外れないように係止される。このようにして、基板16に装着部材18が装着される。
【0078】
(ソケット12)
次に、基板ユニット14が嵌合されるソケット12について説明する。
【0079】
図10に示されるように、ソケット12は、ハウジング54と、主板バネ部材62と、副板バネ部材64と、係止部としての弾性腕部78とを含んで構成されている。
【0080】
ハウジング54は、絶縁性の樹脂成形体で形成されており、幅方向を長手方向とする略直方体状とされている。また、ハウジング54の後面には、嵌合孔54Fが形成されている。嵌合孔54Fは、幅方向を長手方向として細長い形状に形成されており、嵌合孔54Fの上下方向の寸法は、装着部材18が嵌合される程度の大きさとされている。
【0081】
嵌合孔54Fの幅方向両端部には、嵌合孔54Fと連通する治具挿入孔54Gが形成されている。治具挿入孔54Gに専用の治具を挿入することで、後述する弾性腕部78と装着部材18との係合状態を解除することができるように構成されている。
【0082】
嵌合孔54Fにおける下側の孔壁には、下側突起部56が設けられている。下側突起部56は、嵌合孔54Fの下側の孔壁から上方へ突出してハウジング54と一体的に形成されている。また、下側突起部56には、幅方向に所定の間隔で複数の下側溝部56Aが形成されている。下側溝部56Aはそれぞれ、下部よりも上部の溝幅が広くなっており、ハウジング54の前端まで延在されている。そして、この下側溝部56Aには、後述する主板バネ部材62の下部が配置されている。
【0083】
嵌合孔54Fにおける上側の孔壁には、上側突起部60が設けられている。上側突起部60は、嵌合孔54Fの上側の孔壁から下方へ突出してハウジング54と一体的に形成されている。また、上側突起部60には、幅方向に所定の間隔で複数の上側溝部60Aが形成されている。上側溝部60Aは、隣り合う下側溝部56Aの間に位置しており、ハウジング54の前端まで延在されている。そして、この上側溝部60Aには、後述する副板バネ部材64が配置されている。さらに、上側突起部60には、隣り合う上側溝部60Aの間に切込部60Bが形成されており、この切込部60Bは、下側溝部56Aと幅方向で同じ位置に形成されている。そして、切込部60Bには、主板バネ部材62の上部が配置される。
【0084】
嵌合孔54Fの内側には、複数の主板バネ部材62及び副板バネ部材64が設けられている。主板バネ部材62及び副板バネ部材64は、それぞれ幅方向に配列されており、幅方向が板厚方向となるように略板状に形成されている。また、主板バネ部材62及び副板バネ部材64は、配列方向に沿って交互に配置されている。
【0085】
図11に示されるように、主板バネ部材62は、ハウジング54に圧入されており、基部66と、押圧部68と、主端子部70とを含んで構成されている。基部66は、前後方向に延在されており、この基部66から幅方向に図示しないプラグ側端子部が延出されている。プラグ側端子部は、ソケット12をプラグ100へ取り付けた際に、プラグ100に設けられた端子と導通される。
【0086】
基部66の後端部から後方へ押圧部68及び主端子部70が延出されており、基部66、押圧部68及び主端子部70は、金属によって一体的に形成されている。押圧部68は、支持腕部68Aと、荷重入力部68Bとを含んで構成されている。押圧部68の支持腕部68Aは、基部66からハウジング54の下側に沿って後方へ延出されており、支持腕部68Aの後端は、湾曲した先細り形状となっており、弾性変形可能に構成されている。
【0087】
支持腕部68Aの後端には、荷重入力部68Bが設けられている。荷重入力部68Bは、上面が弧状に形成されており、ソケット12に嵌合された装着部材18(基板ユニット14)の第1取付部材20の下面に接触するように構成されている。具体的には、荷重入力部68Bは、支持腕部68Aが弾性変形された状態で、導通部26と平面視で重なる部分に接触する。そして、弾性変形した支持腕部68Aから荷重入力部68Bへ反力が作用することで、第1取付部材20が上方へ押圧され、装着部材18の隔壁部46が嵌合孔54Fの上側の孔壁へ押し付けられる。
【0088】
主端子部70は、支持腕部70Aと接触部70Bとを含んで構成されている。主端子部70の支持腕部70Aは、基部66から後方へ延出されており、押圧部68よりも上方に位置している。また、支持腕部70Aと支持腕部68Aとでハウジング54の一部が挟み込まれた状態となっている。支持腕部70Aは先細り形状となっており、この支持腕部70Aの後端に接触部70Bが設けられている。接触部70Bは、支持腕部70Aから下方へ突出されており、基板ユニット14の導通部26と接触する。
【0089】
図12に示されるように、副板バネ部材64は、ハウジング54の主板バネ部材62よりも上側に圧入されているため、配列方向から見て主板バネ部材62と異なる高さに配置されている。また、副板バネ部材64は、基部72と、副端子部74と、保持片76とを含んで構成されている。
【0090】
基部72は、前後方向に延在されており、この基部72から幅方向に図示しないプラグ側端子部が延出されている。プラグ側端子部は、ソケット12をプラグ100へ取り付けた際に、プラグ100に設けられた端子と導通される。
【0091】
基部72の後端部から後方へ副端子部74及び保持片76が延出されており、基部72、副端子部74及び保持片76は、金属によって一体的に形成されている。副端子部74は、支持腕部74Aと接触部74Bとを含んで構成されている。副端子部74の支持腕部74Aは、基部72から後方へ延出されており、主板バネ部材62における主端子部70の支持腕部70Aと略同じ高さに配置されている。
【0092】
また、支持腕部74Aは、主端子部70の支持腕部70Aと同様に先細り形状となっており、この支持腕部74Aの後端に接触部74Bが設けられている。接触部74Bは、支持腕部74Aから下方へ突出されており、基板ユニット14の導通部26と接触する。
【0093】
保持片76は、副端子部74よりも上方に位置しており、基部72から後方へ延出されている。また、保持片76は副端子部74よりも前後方向に短く形成されており、ハウジング54に固定されている。
【0094】
図13に示されるように、弾性腕部78は、腕本体部78Aと、係止突起部78Bとを含んで構成されている。腕本体部78Aは、ハウジング54の嵌合孔54Fにおける上側の孔壁から下方かつ後方へ延出されており、樹脂によってハウジング54と一体的に形成されている。そして、この弾性腕部78は、片持ち支持された構造となっているため、基端部を起点として上下に弾性変形可能に構成されている。
【0095】
腕本体部78Aの後端には、係止突起部78Bが設けられている。係止突起部78Bは、腕本体部78Aから下方へ突出されており、ソケット12に基板ユニット14が嵌合された状態で、装着部材18の第1取付部材20に形成された係止孔20Aに入り込むように構成されている。また、係止突起部78Bの後面は、側面視で後方から前方へ向かうにつれて下方へ傾斜しているため、ソケット12の後方から基板ユニット14が嵌合される際に、装着部材18が係止突起部78Bに当接することで、係止突起部78Bが上方へ弾性変形され、装着部材18の移動を許容する。そして、係止突起部78Bの位置と第1取付部材20の係止孔20Aの位置が一致した時点で、腕本体部78Aの復元力によって係止突起部78Bが下方へ移動して係止孔20Aに係合される。このようにして、装着部材18が係止される。
【0096】
(作用及び効果)
次に、本実施形態の作用及び効果について説明する。
【0097】
本実施形態では、
図5に示されるように、基板16には複数の導通部26が配列されており、装着部材18は、基板16に装着した状態で隣り合う導通部26を隔てる隔壁部46が設けられている。このように隔壁部46によって隣り合う導通部26が隔てられるため、導通部26間の間隔が狭い場合であっても水滴などによる短絡を抑制することができる。
【0098】
特に、本実施形態では、導通部26間のスリットSを貫通して隔壁部46が形成されている。具体的には、第1取付部材20に形成されたリブ32と、リブ32の上面に密接された上側隔壁44とで構成された隔壁部46がスリットSを貫通している。これにより、基板16の厚みにばらつきがある場合であっても、隔壁部46と基板16との間に隙間が生じるのを抑制することができる。
【0099】
さらに、本実施形態では、
図3及び
図4に示されるように、装着部材18を構成する第1取付部材20と第2取付部材22とで基板を挟持可能に構成されている。具体的には、第1取付部材20に基板16を載置した状態で、第2取付部材22を上方から挟み込むように取付けることで、基板16に装着部材18が装着される。これにより、基板16を差し込むことで基板16を保持する構成と比較して、容易に基板を保持することができる。特に、小型のFPC(Flexible Printed Circuits)及びFFC(Flexible Flat Cable)などによって基板が構成されている場合、差し込んで保持する装着部材では基板を損傷させる可能性があり、基板を挟持可能に構成することで、基板の状態を良好に維持しつつ容易に基板を保持することができる。
【0100】
さらにまた、本実施形態では、
図7及び
図8に示されるように、内側側壁34C及び溝部30によって基板16の幅方向の移動を制限することができる。また、内側後壁34D及び段差部29によって基板16の前後方向(嵌合方向)の移動を制限することができる。さらに、上壁34Bによって基板16の板厚方向の移動を制限することができる。これにより、基板16に装着部材18を装着する際の作業性を向上させることができる。
【0101】
また、本実施形態では、
図6に示されるように、上側隔壁44に形成された膨出部50によって基板16に設けられた連結部材27が下方側へ押圧されており、連結部材27及び導通部26の前端が凹部33に入り込んでいる。これにより、膨出部50が形成されておらず導通部26が直線状に延在された構成と比較して、装着部材18をソケット12へ嵌合する際に導通部26が座屈するのを抑制することができる。
【0102】
さらに、本実施形態では、
図10に示されるように、導通部26の配列方向に沿って複数の主板バネ部材62が配列されている。そして、
図11に示されるように、主板バネ部材62には、装着部材18(基板ユニット14)を上方へ押圧する押圧部68が形成されている。これにより、装着部材18の隔壁部46を安定してハウジング54に形成された嵌合孔54Fの孔壁へ密着させることができ、導通部26の空間が隔壁部46によって完全に隔てられることで、水滴及びウィスカによる短絡を確実に抑制することができる。
【0103】
さらにまた、本実施形態では、主板バネ部材62の板厚方向が幅方向となっているため、押圧部68によって装着部材18を押圧する方向が押圧部68の板厚方向と直交する方向となる。これにより、主板バネ部材62の板厚方向を押圧方向(上下方向)とした構成と比較して、主板バネ部材62のバネ定数を高めることができる。
【0104】
また、本実施形態では、押圧部68と主端子部70とが一体的に形成されている。これにより、導通部26と導通可能な端子が別体で形成された構成と比較して、ソケット12の部品点数を削減することができる。
【0105】
さらに、本実施形態では、
図12に示されるように、導通部26の配列方向に沿って副板バネ部材64が配列されている。ここで、副板バネ部材64は、主板バネ部材62よりも上方に配置されているため、副板バネ部材64と主板バネ部材62とを同じ高さに配列した構成と比較して、両者が短絡するのを抑制することができる。特に、本実施形態では、主板バネ部材62の間に副板バネ部材64が配置されているため、隣り合う押圧部68の間隔を広くすることができ、押圧部68同士で短絡するのを抑制することができる。
【0106】
さらにまた、本実施形態では、
図13に示されるように、ソケット12に設けられた弾性腕部78によって装着部材18が係止される。これにより、意図せずに基板ユニット14がソケット12から外れるのを抑制することができる。
【0107】
なお、上記実施形態では、
図4及び
図6に示されるように、基板16に装着部材18を装着する際には、第2取付部材22の引掛部48を第1取付部材20の切欠部35に引掛けた状態で、第2取付部材22の後部を基板16側へ回動させて係合腕部38を凹部34Aに入り込ませたが、他の構成を採用してもよい。例えば、
図14及び
図15に示される変形例の構成を採用してもよい。
【0108】
(変形例)
図14に示されるように、変形例に係る装着部材80は、基板16の下面が載置される第1取付部材82と、基板16の上面に沿って配置されると共に、第1取付部材82とで基板16を挟持可能な第2取付部材84とを含んで構成されている。ここで、第1取付部材82は、幅方向両端部に形成された係合突起部86を除いて実施形態の第1取付部材20と同様の構成とされている。また、第2取付部材84は、幅方向両端部に形成された被係合部88を除いて実施形態の第2取付部材22と同様の構成とされている。
【0109】
係合突起部86は、第1取付部材82における幅方向両端部から幅方向外側へ延出されており、
図15に示されるように、係合突起部86は、平面視で幅方向内側かつ前側の角が切り欠かれた略矩形状に形成されている。また、係合突起部86における前端部から幅方向外側へ突片部86Aが突出されており、突片部86Aの前部には傾斜面が形成されている。
【0110】
図14に示されるように、被係合部88は、第2取付部材84におけるベース部36の幅方向端部に設けられており、前方から見て幅方向内側が開放された略U字状に形成されている。具体的には、被係合部88は、ベース部36から幅方向外側へ延出された上壁部88Aと、上壁部88Aの外側端部から下方へ延出された側壁部88Bと、側壁部88Bの下端から幅方向内側へ折り返された下壁部88Cとを含んで構成されている。そして、この上壁部88A、側壁部88B及び下壁部88Cで囲まれた部分に係合突起部86が入り込むように構成されている。
【0111】
図15に示されるように、基板16に装着部材80が装着された状態では、第1取付部材82の係合突起部86が第2取付部材84の被係合部88における側壁部88Bに形成された段差に係止された状態となっている。
【0112】
以上のように構成された変形例の装着部材80では、第1取付部材82に基板16を載置した後、第2取付部材84を前方側からスライドさせることで第2取付部材84が取付けられる。このとき、第2取付部材84の被係合部88を構成する側壁部88Bと突片部86Aとが干渉するが、突片部86Aの前部に傾斜面が形成されているため、側壁部88Bが外側へ弾性変形しながら後方へ移動する。そして、側壁部88Bの段差部が突片部86Aまで移動することで、側壁部88Bが復元して突片部86Aに係止される。このように、本変形例では、第2取付部材84を第1取付部材82に対してスライドさせることで基板16に装着部材80が装着される。
【0113】
以上、本発明の実施形態及び変形例について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、その主旨を逸脱しない範囲内において上記以外にも種々変形して実施することが可能であることは勿論である。例えば、上記実施形態では、
図13に示されるように、弾性腕部78がハウジング54の嵌合孔54Fにおける上側の孔壁に設けられているが、これに限定されず、嵌合孔54Fにおける下側の孔壁に設けてもよい。この場合、弾性腕部から装着部材に対して上方向の力が作用するため、押圧部68及び弾性腕部の両部材によって隔壁部46を嵌合孔54Fの上側の孔壁へ押し付けることができる。
【0114】
また、上記実施形態では、
図8に示されるように、基板16に突片24を形成し、この突片24の移動を制限するように内側側壁34C及び内側後壁34Dを設けたが、これに限定されない。例えば、突片24を備えていない基板を採用してもよい。この場合、基板16の被覆部16Aの側部の移動を制限するように位置決め部を形成してもよい。
【符号の説明】
【0115】
10 コネクタセット
12 ソケット(コネクタ)
14 基板ユニット
16 基板
18 装着部材
20 第1取付部材
22 第2取付部材
26 導通部
27 連結部材
29 段差部(前後方向位置決め部)
30 溝部(幅方向位置決め部)
33 凹部
34B 上壁(板厚方向移動制限部)
34C 内側側壁(幅方向位置決め部)
34D 内側後壁(前後方向位置決め部)
46 隔壁部
50 膨出部
54 ハウジング
54F 嵌合孔
62 主板バネ部材
64 副板バネ部材
68 押圧部
70 主端子部
74 副端子部
78 弾性腕部(係止部)
80 装着部材
82 第1取付部材
84 第2取付部材
100 プラグ(取付部材)
100A 取付孔
S スリット