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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023067169
(43)【公開日】2023-05-16
(54)【発明の名称】センサユニット及び産業用ロボット
(51)【国際特許分類】
   B25J 13/08 20060101AFI20230509BHJP
   B25J 19/06 20060101ALI20230509BHJP
【FI】
B25J13/08 Z
B25J19/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021178189
(22)【出願日】2021-10-29
(71)【出願人】
【識別番号】501428545
【氏名又は名称】株式会社デンソーウェーブ
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100125575
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 洋
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 渉
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707CY12
3C707KS33
3C707KS35
3C707KX06
3C707LV01
3C707MS15
3C707MS27
3C707MS29
3C707MS30
3C707MT04
(57)【要約】
【課題】センサユニットによる監視範囲を広くしつつセンサユニットの取り付けの確実性を高めること。
【解決手段】ロボット10のアーム22を構成している第1上アーム部25の直線部45bには、センサユニット100が取り付けられている。センサユニット100は、物体との接触を検知可能であり、第1上アーム部25の直線部45bの周方向に並び当該直線部45bを覆う複数の検知部101と、第1アーム部25の直線部45bに装着され、複数の検知101が取り付けられる膨出部135が形成されたホルダ120とを有している。ホルダ120の膨出部135は、隣り合う一組の検知部101の境界部BPに位置するように構成されている。
【選択図】 図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一部が直線部となるように形成された所定のリンクを含む複数のリンクが一連となるようにして連結されたアームを有する産業用ロボットに適用されるセンサユニットであって、
物体との接触及び物体との接近の少なくとも一方を検知可能であり、前記所定のリンクの前記直線部の周方向に並び当該直線部を覆う複数の検知部と、
前記所定のリンクに装着され、前記複数の検知部のうち隣り合う一組の検知部が取り付けられる取付部が形成されたホルダ部材と
を備え、
前記ホルダ部材の前記取付部は、前記隣り合う一組の検知部の境界部分に位置するように構成されているセンサユニット。
【請求項2】
前記隣り合う一組の検知部において前記境界部分を挟んで相対向する縁部には、当該縁部の一部を後退させた凹部が形成されており、それら検知部を取り付けた状態では前記凹部によって囲まれた位置に前記取付部が位置する請求項1に記載のセンサユニット。
【請求項3】
前記取付部は、前記直線部の外周面からの突出量が、当該外周面からの前記検知部の張り出し量よりも小さくなるように形成されている請求項1又は請求項2に記載のセンサユニット。
【請求項4】
前記ホルダ部材は、前記取付部が形成されたブラケットと、当該ブラケットの前記リンクからの脱落を規制するバンドとを有してなり、
前記検知部が前記取付部に取り付けられることで、前記バンドが当該検知部によって覆われる請求項1乃至請求項3のいずれか1つに記載のセンサユニット。
【請求項5】
前記隣り合う一組の検知部の前記境界部分は、前記直線部の長手方向と同じ方向に延びており、
前記取付部は、前記境界部分に沿って複数配置されており、
前記隣り合う一組の検知部は何れも各前記取付部に取り付けられる請求項1乃至請求項4のいずれか1つに記載のセンサユニット。
【請求項6】
前記取付部の中央部分には、前記検知部を前記取付部から取り外す取外作業を行う場合に取外用の工具が挿入される挿入孔が形成されており、
前記挿入孔は、前記隣り合う一組の検知部のうち一方の検知部用の孔部と他方の検知部用の孔部とを有し、それら孔部に跨るようにして前記挿入孔の入口が形成されており、両前記孔部を仕切る仕切り部によって、各孔部への指の挿入が困難を妨げている請求項1乃至請求項5のいずれか1つに記載のセンサユニット。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか1つに記載のセンサユニットを備えている産業用ロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサユニット及び産業用ロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
複数のリンクが一連となるようにして連結された多関節型ロボット等の産業用ロボットには、リンクが人等の物体(障害物)に接触したことを検知可能となるように構成されているものがある。例えば特許文献1に記載された産業用ロボットは、物体と接触した際に発生する異常トルクに基づいて接触を検知する検知機能を有しており、接触を検知した場合に産業用ロボットを停止(防護停止)させることで産業用ロボットや物体の保護を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-103674号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した検知手法においては、物体との接触箇所から関節部分までの距離に関わらず同じ閾値を用いて異常トルクの判定がなされる。このため、接触箇所によって接触検知の精度や応答性に差が生じることとなる。例えば、関節部分から近い位置では遠い位置と比べて検知の精度や応答性が低くなる。なお、関節部分から近い位置での接触を想定して閾値を低くした場合には、不要な防護停止の機会が増えることで生産効率が低下し得る。これに対して、物体との接触や接近を検知する検知部を有するセンサユニットによってアーム(リンク)の表面を覆う構成とすれば、上述した検知精度や応答性の懸念を払拭できる。
【0005】
この種のセンサユニットを用いる場合には、アームの表面において検知部が配置されていない部分、すなわち接触等を検知しない非検知部分を極力小さくすることが好ましい。一方、非検知部分を極力小さくしようとすれば、検知部の取付構造に係る制約が強くなり、アーム側の取付構造(検知部用の取付部)が検知部に隠れる等して見えづらくなると想定される。つまり、検知部取付時の作業性が低下すると想定される。これは、検知部の取り付けが不完全となるといった作業ミスを誘発させる要因となり得るため好ましくない。そして、検知部の取り付けが不完全なまま産業用ロボットが動作することで上記保護機能が上手く発揮されなくなると懸念される。このように、アームにおいて検知部により覆われる部分すなわちセンサユニットによる監視範囲を広くしつつセンサユニットの取り付けの確実性を高める上でセンサユニットに係る構成には未だ改善の余地がある。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、センサユニットによる監視範囲を広くしつつセンサユニットの取り付けの確実性を高めることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以下、上記課題を解決するための手段について記載する。
【0008】
第1の手段.少なくとも一部が直線部となるように形成された所定のリンクを含む複数のリンクが一連となるようにして連結されたアームを有する産業用ロボットに適用されるセンサユニットであって、
物体との接触及び物体との接近の少なくとも一方を検知可能であり、前記所定のリンクの前記直線部の周方向に並び当該直線部を覆う複数の検知部と、
前記所定のリンクに装着され、前記複数の検知部のうち隣り合う一組の検知部が取り付けられる取付部が形成されたホルダ部材と
を備え、
前記ホルダ部材の前記取付部は、前記隣り合う一組の検知部の境界部分に位置するように構成されている。
【0009】
本手段1に示す構成によれば、所定のリンクにホルダ部材を装着し、当該ホルダ部材に検知部を取り付けることでそれら検知部によって所定のリンクが覆われることとなる。センサユニットを複数の検知部の組み合わせによって構成することにより、所定のリンクを広範囲にて無理なく覆うことができる。これは、センサユニットによる監視範囲を広くして検知漏れを抑制する上で好ましい。ここで、隣り合う一組の検知部については何れもホルダ部材の取付部に取り付けられることとなる。この取付部については、それら検知部の間に形成される境界部分に位置するため、検知部の取付作業を行う場合には、当該検知部と取付部との位置関係を目視で確認しながら当該作業を行うことができる。故に、検知部の取り付けが不完全となるといった作業ミスを生じにくくすることができる。すなわち、アームにおいてセンサユニットによる監視範囲を広くしつつセンサユニットの取り付けの確実性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1の実施形態におけるロボットの斜視図。
図2】ロボットの側面図。
図3】ロボット本体からセンサユニットを取り外した状態を示す斜視図。
図4】センサユニットの側面図。
図5】留め具を示す斜視図。
図6】センサユニットの着脱の流れを示す概略図。
図7】ロボット本体からセンサユニットを取り外した状態を示す斜視図。
図8】センサユニットの平面図。
図9】ホルダの平面図。
図10図8のA-A線部分断面図。
図11】第2センサユニットの着脱の流れを示す概略図。
図12】係止解除の流れを示す概略図。
図13】第2の実施形態におけるケーブルの配置を示す概略図。
図14】ホルダとケーブル保持具との関係を示す概略図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<第1の実施形態>
以下、第1の実施形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態は、機械組立工場において人間と協働可能な産業用のロボットに具現化している。
【0012】
図1に示すように、ロボット10は、垂直多関節型のロボット本体11を備えている。ロボット本体11は、床等に固定されるベース21と、複数のリンクが一連となるようにして連結されたアーム22とを有している。図1においては一部図示を省略しているがアーム22の各リンクの外周には人等の物体との接触を検知可能なセンサユニット群12が取り付けられている。
【0013】
アーム22は、上記複数のリンクとして、ベース21によって支持されたショルダ部23と、ショルダ部23により支持された下アーム部24と、下アーム部24により支持された第1上アーム部25と、第1上アーム部25により支持された第2上アーム部26と、第2上アーム部26により支持された手首部27と、手首部27により支持されたフランジ部28とを有している。フランジ部28にはエンドエフェクタ29が取り付けられている。本ロボット10については作業内容に応じて複数種のエンドエフェクタに付替可能である。
【0014】
図2に示すように、ベース21及びショルダ部23には、それらベース21及びショルダ部23を連結する第1関節部J1が形成されており、ショルダ部23は第1関節部J1の連結軸AX1を中心として水平方向に回動可能となっている。ショルダ部23及び下アーム部24には、それらショルダ部23及び下アーム部24を連結する第2関節部J2が形成されており、下アーム部24は第2関節部J2の連結軸AX2を中心として上下方向に回動可能となっている。下アーム部24及び第1上アーム部25には、それら下アーム部24及び第1上アーム部25を連結する第3関節部J3が形成されており、第1上アーム部25は第3関節部J3の連結軸AX3を中心として上下方向に回動可能となっている。第1上アーム部25及び第2上アーム部26には、それら第1上アーム部25及び第2上アーム部26を連結する第4関節部J4が形成されており、第2上アーム部26は第4関節部J4の連結軸AX4を中心として捻り方向に回動可能となっている。第2上アーム部26及び手首部27には、それら第2上アーム部26及び手首部27を連結する第5関節部J5が形成されており、手首部27は第5関節部J5の連結軸AX5を中心として上下方向に回動可能となっている。手首部27及びフランジ部28には、それら手首部27及びフランジ部28を連結する第6関節部J6が形成されており、フランジ部28は第6関節部J6の連結軸AX6を中心として捻り方向に回動可能となっている。
【0015】
各関節部J1~J6にはそれら関節部J1~J6を回動させる駆動部としてモータM1~M6(具体的にはサーボモータ)が各々配設されており、モータM1~M6はサーボアンプ32を介してモーションコントローラ33に接続されている。モーションコントローラ33はベース21に設けられた外部入出力端子34を介して上位コントローラCに接続可能となっており、上位コントローラCからの指令に基づいてモータM1~M6の駆動制御を行う。
【0016】
具体的には、モーションコントローラ33は、上位コントローラCからの指令を受けてプログラム記憶部から当該指令に対応した動作プログラムを読み込み且つ読み込んだ動作プログラムから動作目標位置を特定する。その後は、特定した動作目標位置とアーム22の現在の位置とを滑らかに繋ぐ目標軌道を生成し、当該目標軌道を細分化した位置である補間位置をサーボアンプ32に順次送信する。
【0017】
サーボアンプ32には、モータM1~M6に付属のエンコーダが接続されており、エンコーダ値に基づいてモータM1~M6の回転位置(すなわちアーム22の姿勢)を検出する。そして、検出した回転位置とモーションコントローラ33から受信した指令に含まれる補間位置との偏差に基づいて各モータM1~M6の目標トルク及び目標回転速度を算出し、算出した目標トルク及び目標回転速度に基づいて各モータM1~M6に供給する電力(電流、電圧、パルス)を決定し、各モータM1~M6に電力供給を行う。これらサーボアンプ32、モーションコントローラ33、上位コントローラCにより、ロボット10の制御システムが構成されている。
【0018】
なお、フランジ部28の外周部には、エンドエフェクタ29から延びるケーブル30を接続可能な接続端子28aが設けられており、ロボット本体11には接続端子28aとベース21の外部入出力端子34とを繋ぐ配線が収容(内蔵)されている。当該配線はモーションコントローラ33や外部入出力端子34に繋がっており、エンドエフェクタ29から延びるケーブル30を接続端子28aに接続することで、当該エンドエフェクタ29とモーションコントローラ33や上位コントローラCとを接続可能となっている。
【0019】
本実施形態に示す制御システムでは、アーム22が人等の物体と接触した際に発生する異常トルクに基づいて接触を検知する検知機能を有しており、接触を検知した場合にロボット本体11の動作を停止(防護停止)させることでロボット本体11や物体の保護を図っている。但し、この検知手法においては、物体との接触箇所から関節部までの距離に関わらず同じ閾値を用いて異常トルクの判定がなされる。このため、接触箇所によって接触検知の精度や応答性に差が生じることとなる。例えば、関節部から近い位置では遠い位置と比べて検知の精度や応答性が低くなる。なお、関節部から近い位置での接触を想定して閾値を低くした場合には、不要な防護停止の機会が増えることで生産効率が低下し得る。本実施形態に示すロボット10では、物体の接触を検知する面状の検知部を具備するセンサユニット群12によってアーム22を覆い、センサユニット群12にて接触を検知した場合にロボット10を停止(防護停止)させる構成となっている。つまり、異常トルクが発生したと判定した場合だけでなく、センサユニット群12によって接触を直接的に検出した場合にも防護停止が実行される構成となっている。
【0020】
ここで、図1に示したセンサユニット群12は、リンクの形状等によって大きく2つのグループに分類される。具体的には、リンクの直線形状部分(以下、直線部という)に適用されるセンサユニット群と、リンクの屈曲形状部分(以下、屈曲部という)に適用されるセンサユニット群とに分類される。本実施形態では、一部のセンサユニットについては図示を省略しているが、下アーム部24及び第1上アーム部25が直線部用のセンサユニットの適用対象となっており、第2上アーム部26及び手首部27が屈曲部用のセンサユニットの適用対象となっている。以下、先ず図3及び図4を参照して、屈曲部に適用されるセンサユニットについて手首部27用のセンサユニット50を例に説明する。
【0021】
図3に示すように、手首部27は、その中間位置にて屈曲しており、全体としてL字状をなしている。言い換えれば、手首部27は、第2上アーム部26に連なり連結軸AX5と同じ方向に延びる直線部41aと、フランジ部28に連なり連結軸AX6と同じ方向に延びる直線部41bと、それら直線部41a,41bを繋ぐ屈曲部41cとで構成されている。
【0022】
センサユニット50は、この屈曲部41cを屈曲外側から覆う面状の検知部51を有している。より詳しくは、検知部51は、屈曲部41c及び直線部41a,41bにおいて屈曲外側となる部分と、手首部27の側面とに対向している(図4参照)。なお、図4に示すように、手首部27の側面にはダイレクトティーチング等を行う場合にユーザによって操作される操作ボタン27aが配設されている。検知部51は、手首部27の側面を覆ってはいるものの、当該操作ボタン27aが検知部51によって覆われる領域から外れるようにして、当該検知部51の縁部55の一部を切り欠いている。
【0023】
検知部51は、手首部27の外面に当接する硬質樹脂製(例えばポリカーボネート製)のベースフレーム52と、ベースフレーム52を外側から覆う軟質樹脂製(例えばシリコン製)のカバー53とが組み合されてなり、ベースフレーム52とカバー53との間にシート状の圧力センサ(図示略)が収容されている。人等の物体がカバー53に当たることでカバー53が変形し、変形したカバー53によって圧力センサが押される。これにより、物体との接触を示す信号が出力されることとなる。
【0024】
手首部27の屈曲部41cには、屈曲外側となる部分の一部を凹ませることで、ロボット本体11側のコネクタ44を収容する収容部43が形成されている。この収容部43については、着脱可能なカバー42によって覆われている。センサユニット50をロボット本体11に取り付ける場合には、ロボット本体11側のコネクタ44と、センサユニット50側のコネクタ54とを接続することで、接触を示す信号がロボット本体11側に入力されることとなる。
【0025】
次に、センサユニット50の取付構造について説明する。検知部51において手首部27に側方から対向している各側部56,57には、検知部51を手首部27に取り付けるための留め具70,80が配設されている。これら留め具70,80は、何れもベースフレーム52が固定対象となっておりの固定箇所は検知部51(側部56,57)の縁部55から離れた箇所(検知部51の中央寄りとなる箇所)となるように規定されている。
【0026】
留め具70は、一端が側部56(ベースフレーム52)に固定された長尺状の面ファスナであり、一方の面部にフック部71と当該フック部71に結合するループ部72とが形成されている。フック部71とループ部72とは留め具70の長手方向に並んでおり、それらフック部71とループ部72との間にはフック部71及びループ部72の何れも形成されていないブランク部73が設けられている。
【0027】
留め具80は、一端が側部57(ベースフレーム52)に固定された長尺状のベルト81と当該ベルト81の他端(先端)に固定された連結プレート82とで構成されている。ここで、図5を参照して、連結プレート82について補足説明する。
【0028】
連結プレート82には横長の開口83を有するリング部84が設けられている。この開口83に挿通させたベルト81を当該開口83を起点に折り返して二重とし、その二重となっている部分を縫い合わせることでベルト81と連結プレート82とが分離不能に一体化されている。開口83には、ベルト81とともに留め具70を挿通可能となっている。開口83に挿通させた留め具70を折り返してフック部71とループ部72とを結合させることにより、留め具70,80が一連となるようにして結合された状態となる。
【0029】
連結プレート82においてリング部84の隣となる部分、具体的には結合に際して留め具70を折り返す側となる部分には、連結プレート82の板面82aを凹ませた凹部86が形成されている。凹部86についてもリング部84や開口83と同様に横長となっており、その横幅が留め具70の横幅よりも僅かに大きくなっている。これにより、開口83を起点として留め具70を折り返した場合に、当該留め具70において二重となった部分の一部を凹部86に収容可能となっている。留め具70が凹部86に収容されることで、凹部86の側壁によって留め具70の横ずれが回避されることとなる。上記フック部71、ループ部72、ブランク部73が形成されている範囲については、センサユニット50を手首部27に取り付けた場合にフック部71とループ部72とが連結プレート82から離れた位置にて結合され且つブランク部73が二重となる部分が凹部86に位置するように規定されている。
【0030】
凹部86の深さ寸法については留め具70が二重となった場合の厚さ寸法、詳しくは上記ブランクが二重となっている部分の厚さ寸法やフック部71とループ部72とが結合している部分の厚さ寸法よりも若干大きくなっている。そして、連結プレート82には、当該凹部86からの留め具70の抜けを規制する長板状の規制部材90が固定されている。具体的には、規制部材90は凹部86を覆っており、その両端が凹部86から左右に延出している。これら延出している部分が連結プレート82の板面82aに当接している。連結プレート82にて規制部材90と当接している部分(凹部86の左右)には、ネジ孔87が形成されており、規制部材90にはネジ孔87に連通する連通孔91が形成されている。連通孔91にネジ95を通した状態でそれらネジ95をネジ孔87に螺着させることで、規制部材90が連結プレート82に固定されている。規制部材90と底面86aとの隙間寸法については留め具70が二重となった場合の厚さ寸法よりも小さくなっており、凹部86に収容された留め具70がネジ95の締め付けによって連結プレート82と規制部材90とによって挟み込まれた状態となる。これら、連結プレート82規制部材90、ネジ95によって留め具70を固定するバックルが構成されているとも言える。
【0031】
次に、図5及び図6を参照して、手首部27に対してセンサユニット50を着脱する場合の作業の流れを、取り付け→取り外しの順に説明する。
【0032】
手首部27にセンサユニット50を取り付ける場合には、図6(a)に示すように、手首部27からカバー42を取り外してコネクタ44を露出させた状態とする。次に、図6(b)に示すように、センサユニット50を屈曲部41cに被せる前に、手首部27側のコネクタ44とセンサユニット50側のコネクタ54とを接続する。その後、図6(c)に示すように、屈曲外側から被せるようにしてセンサユニット50を手首部27に組み合せる。これにより、カバー42によって覆われていた部分(収容部43)は、センサユニット50によって覆われることとなる。この状態では、検知部51が手首部27の直線部41aに当たることで、フランジ部28側への検知部51の位置ずれが抑制され、検知部51が手首部27の直線部41bに当たることで、第2上アーム部26側への位置ずれが抑制される。
【0033】
その後は、留め具70を留め具80の連結プレート82に通した状態で留め具70の先端を引っ張ることで留め具70,80の弛みをなくして手首部27に対して屈曲内側から留め具70,80を当接させる。その後は、当接させた状態が維持されるように、留め具70のフック部71とループ部72(図3参照)とを結合させて、両留め具70,80を結合させた状態とする。これにより、留め具70,80から手を放しても検知部51の位置ずれや手首部27からの脱落が好適に回避されることとなる(図6(d)参照)。
【0034】
留め具70,80を結合させた後は、図5(a)に示すように、連結プレート82に規制部材90をネジ止めすることにより、留め具70が連結プレート82及び規制部材90によって挟み込まれた状態となる。これにより、留め具70,80の分離が規制されることとなる。
【0035】
本センサユニット50については、ネジ95を用いて留め具70,80の分離を規制している。故に、センサユニット50を手首部27から取り外す場合には、素手ではなく工具を用いて規制部材90を連結プレート82から取り外す。このようにして、留め具70,80の分離規制を解除した後、留め具70のフック部71とループ部72との結合を解除して留め具70を連結プレート82から引き抜く。その後は、コネクタ44,54の接続を解除し、カバー42を元の位置に戻すことで作業完了となる。
【0036】
以上、詳述したように、中間部分が屈曲している手首部27(「所定のリンク」に相当)の屈曲外側となる部分を面状の検知部51によって覆う構成とすれば、手首部27において人等の物体との接触や接近を好適に検知できる。産業用ロボットのアームを構成している各リンクについては、必ずしも直線状であるとは限らず、本実施形態に示す手首部27のように屈曲しているものもある。このようなリンクについては直線状のリンクと比べて検知部の取付構造等に係る制約が強くなると想定されものの、面状の検知部51を取付可能としてセンサユニット50による監視範囲(アーム22における監視範囲)を屈曲しているリンクにまで広げることは、接触等を検知しない非検知部分を極力小さくして検知漏れを抑制する上で好ましい。
【0037】
また、本実施形態に示した検知部51については、手首部27に対して屈曲外側から被せることで簡単に配置できる。その後は、留め具70,80を屈曲部41cの屈曲内側部分に当接させ且つ留め具70,80を結合することでセンサユニット50が手首部27に巻き付いた状態となる。一方、センサユニット50を取り外す場合には、工具を用いてネジ95を取り外すことで規制部材90による留め具70,80の分離規制を解除し、留め具70,80を分離(結合を解除)することで当該センサユニット50を簡易に取り外すことができる。このような構成とすることで、着脱作業を行う際の作業効率の向上に寄与している。産業用ロボットについては、様々な場面で使用される可能性があり、例えば協働の場面では、センサユニット50によって安全性を高めることが好ましいものの、非協働の場面ではセンサユニット50を取り外すことにより負荷の軽減や動作効率の向上等を図ることが好ましい。この点、本実施形態では、センサユニット50の事後的な取り付けや着脱を可能とすることでロボット10の適切な運用が可能となる。
【0038】
ロボット10の動作中に物体が留め具70,80等に接触する可能性を否定できない。また、ロボット10についてはダイレクトティーチングやメンテナンス等の作業時にユーザが留め具70,80等に偶然触れる可能性もある。特に、作業性の観点から例えば留め具70,80や規制部材90を検知部51の外に配置する場合にそのような事象が発生しやすくなる。これらの事象が発生した場合であっても、留め具70,80及び規制部材90を併用しているため手首部27からセンサユニット50が簡単に脱落することを抑制できる。
【0039】
以上の理由から、センサユニット50を着脱可能としてロボット10の適切な運用を可能としつつ、センサユニット50の取り付けの確実性及び作業性の向上に寄与できる。
【0040】
規制部材90が検知部51によって覆われない位置に配置されるため、規制部材90の着脱作業が検知部51によって妨げられることを回避できる。これにより、留め具70,80及び規制部材90を併用してセンサユニット50の脱落を回避しつつ、規制部材90がセンサユニット50を着脱する場合の作業性の向上を低下させる要因になることを抑制している。
【0041】
なお、屈曲内側となる位置に規制部材90が位置する構成とすることは、着脱作業に際しては当該規制部材90へのアクセスを可能としつつ、屈曲外側となる位置に規制部材90が位置する構成と比較して物体が規制部材90に当たる機会を減らすことができる。これは、規制部材90が検知の邪魔になることを抑制したり、規制部材90による規制が偶発的に解除される機会を減らしたりする上で好ましい。
【0042】
本実施形態に示したように、ブランク部73(「非形成部分」に相当)が重なっている部分を挟む構成とすれば、規制部材90によって留め具70を強く挟んだとしてもフック部71やループ部72の潰れが回避される。これは、センサユニット50の着脱を繰り返す場合の耐久性を向上させる上で好ましい。
【0043】
留め具70,80の一端を検知部51の内側部分であって当該検知部51における側部56,57の縁部55から離れた部分に固定することで、小さめのリンクにセンサユニット50を取り付ける場合に留め具70,80を締めたとしても検知部51に歪みが生じにくい。
【0044】
次に、図7図10を参照して、直線部に適用されるセンサユニットについて第1上アーム部25用のセンサユニット100を例に説明する。
【0045】
図7に示すように、第1上アーム部25についても手首部27と同様に中間位置にて屈曲している。つまり、第1上アーム部25は、下アーム部24に連なり連結軸AX3と同じ方向に延びる直線部45aと、第2上アーム部26に連なり連結軸AX4と同じ方向に延びる直線部45bと、それら直線部45a,45bを繋ぐ屈曲部45cとで構成されている。但し、上記手首部27では屈曲部41cが当該手首部27の大部分を占めていたのに対して、第1上アーム部25では直線部45bが当該第1上アーム部25の大部分を占めている点で大きくことなる。
【0046】
センサユニット100は、この直線部45bの周方向に並べて配置された左右一対の検知部101を有している。検知部101は何れも半円筒状をなしており、それら検知部101が直線部45bを左右から挟み込むようにして組付けられる。検知部101は、直線部45bの周面に対向する硬質樹脂製(例えばポリカーボネート製)のベースフレーム102と、ベースフレーム102を当該ベースフレーム102の外面側から覆う軟質樹脂製(例えばシリコン製)のカバー103とが組み合されてなり、ベースフレーム102とカバー103との間にシート状の圧力センサ(図示略)が収容されている。人等の物体がカバー103に当たることでカバー103が変形し、変形したカバー103によって圧力センサが押される。これにより、物体との接触を示す信号が出力されることとなる。
【0047】
なお、本実施形態では直線部45bの周方向に並ぶ2つの検知部によって当該直線部45bを覆う(囲む)構成としたが、検知部の数については任意である。例えば3つの検知部によって直線部45bを覆う(囲む)構成としてもよいし、4つの検知部によって直線部45bを覆う構成としてもよい。また、検知部101の組み合わせ方向については任意であり、例えば上下一対の検知部によって直線部45bを覆う(囲む)構成とすることも可能である。
【0048】
ここで、図8を参照して、一対の検知部101の関係について補足説明する。検知部101がホルダ120を介して直線部45bに組み付けられた状態では、それら検知部101における縁部108が直線部45bの上側と下側とで相対峙する。この状態では、相対峙する縁部108の境界部BPに隙間が生じ、当該境界部BPから直線部45bの一部が露出した状態となる。境界部BPは直線部45bの長手方向に延び、当該長手方向においては部分的に境界部BPの隙間が大きくなるように拡張されてはいるものの、その大部分は指を挿入不可となる程度の大きさとなっている。つまり、偶発的に、ユーザの手等の物体が境界部BPに近づいた場合であっても、ユーザの手は、何れかの検知部101に当たると想定され、実質的な見逃しは少なくとなると想定される。故に、境界部BPの存在が監視機能を大きく低下させる要因になることはない。
【0049】
本実施形態に示す第1上アーム部25においては、直線部45bの上部にダイレクトティーチング等に際してユーザにより操作される操作ボタン25aが複数配設されている。操作ボタン25aについても直線部45bの長手方向に並んでおり、何れも境界部BPを通じたアクセスが許容されている。より詳しくは、境界部BPが部分的に拡張されることで、操作ボタン25aの操作性の低下を回避しつつ、その配列方向と境界部BPの向きとを揃えることで境界部BPが過度に広くなることを回避している。
【0050】
検知部101を直線部45bに取り付けるための上記ホルダ120の一部についても、この境界部BPを通じて視認可能となっている。ここで、再び図7を参照して、センサユニット100の取付構造について説明する。両検知部101は環状をなすホルダ120を介して第1上アーム部25の直線部45bに取り付けられている。具体的には、ホルダ120は、上下一対のブラケット121と、それらブラケット121を連結する左右一対の面ファスナ122とで構成されている。面ファスナ122は帯状をなしており、面ファスナ122の両端にはフック部と当該フック部に結合するループ部とが各々形成されている。
【0051】
本実施形態における直線部45bは、当該直線部45bの長手方向と直交する断面が円形となるように形成されており、ブラケット121は直線部45bの外周に合わせて湾曲する弧状のベース部131を有している。図9に示すように、ベース部131の両端(左右の端部)には面ファスナ122が挿通されるスリット132が各々形成されている。面ファスナ122を上下のブラケット121の各スリット132に挿通してそれらブラケット121に架け渡した状態とし、各スリット132を起点に面ファスナ122を折り返してフック部とループ部とを各々結合させることにより、上下一対のブラケット121と左右一対の面ファスナとで環状のホルダ120が形成される。
【0052】
ホルダ120のベース部131には、当該ベース部131において外側(直線部45bから遠くなる側)に膨出する膨出部135が形成されている。検知部101の縁部108には、膨出部135に対応させて凹部109が形成されており、境界部BPが部分的に拡張されている。凹部109によって境界部BPを部分的に拡張することにより、境界部BP全体で検知部101によって覆われない部分が多くなることを抑制している(図8参照)。なお、膨出部135については、直線部45bの周面からの突出量が、検知部101の突出量よりも小さくなっており、凹部109からの突出が抑えられている。
【0053】
検知部101のベースフレーム102は半円筒状のフレーム本体105を有しており、このフレーム本体105の上下の端部、具体的には上記凹部109が形成されている部分には、内側へ突出するようにして爪部106が各々形成されている。図10に示すように、膨出部135には、両検知部101の爪部106が直線部45b側から引っ掛かる爪受け部136が形成されている。ベース部131には、検知部101を膨出部135に向けて移動させた場合に、爪受け部136へ向けた爪部106のアプローチを許容する開口部133が形成されている。各爪部106が爪受け部136に引っかかることにより、検知部101の脱落が回避されることとなる。
【0054】
検知部101をホルダ120に取り付けた状態では、面ファスナ122が検知部101によって覆われることとなる。これにより、偶発的に面ファスナ122に物体が当たったり引っ掛かったりすることで、面ファスナ122の結合が解除されて検知部101が脱落するといった不都合が生じることを抑制している。
【0055】
上述したように、検知部101が取り付けられた状態では、当該検知部101から露出する部分は上記膨出部135に限定される。本実施形態においては、膨出部135に、爪部106と爪受け部136との引っ掛かりを解除するための構成を設けることにより、センサユニット100の着脱を可能としている。以下、図10を参照して、センサユニット100の取り外しに係る構成について説明する。
【0056】
膨出部135の中央には、貫通孔137が形成されており、検知部101の組み付け方向に貫通孔137を挟むようにして爪受け部136が分けて形成されている。爪受け部136に爪部106が引っ掛かった状態では、爪部106の先端(自由端)が貫通孔137へ突出しており、この貫通孔137へ工具を差し込んで爪部106を爪受け部136との掛り代が小さくなるように押すことが可能となっている。但し、既に説明したように、膨出部135は検知部101によって覆われていないため、物体が接触する可能性だけでなく、ダイレクトティーチングやメンテナンス作業に際してユーザが触れる可能性も否定できない。貫通孔137を大きくすることは工具の挿入箇所をユーザに分かりやすく伝える上では好ましいものの、ユーザの指が誤って爪部106に当たることは好ましくない。また、2つの検知部101が同時に外れてしまった場合には、検知部101が落下して損傷等の不都合が発生する要因になるため好ましくない。そこで、本実施形態では、貫通孔137の奥側に当該貫通孔137を各爪部106用として仕切る仕切り部138が形成されている。つまり、貫通孔137の奥側では工具の挿入部139が爪部106毎に分かれている。これにより、同時解除による不都合を好適に抑制できる。また、ユーザの指が爪部106に当たることを仕切り部138によって抑制できるため、検知部101が偶発的に脱落することを好適に抑制できる。
【0057】
ここで、図11及び図12を参照して、第1上アーム部25に対してセンサユニット100を着脱する場合の作業の流れを、取り付け→取り外しの順に説明する。
【0058】
第1上アーム部25にセンサユニット100を取り付ける場合には、図11(a)→図11(b)に示すように、直線部45bにホルダ120を当該直線部45bの長手方向に離して2つセットする。具体的には、ブラケット121の内面に形成されている突起を直線部45b形成された位置合わせ用の凹み嵌めるようにして各ブラケット121を配置する(図10参照)。これにより、両ホルダ120の膨出部135が直線部45bの長手方向に整列することとなる。
【0059】
なお、本実施の形態に示す直線部45bはアーム22の先端側に向けて径が小さくなるように僅かなテーパが設けられているが、面ファスナ122を用いて簡易に長さを調整できる構成としたことにより、2つのホルダ120の共用化が無理なく実現されている。
【0060】
ホルダ120のセットが完了した後は、検知部101をホルダ120に取り付ける。具体的には、図11(c)→図11(d)に示すように、ターゲットとなる膨出部135と、手で持っている検知部101の爪部106との位置関係を目視で確認しながら、爪部106を爪受け部136へと誘導する。爪受け部136へと続く開口部133に爪部106の先端が入った後は、そのまま、検知部101を第1上アーム部25に近づけることで、爪部106が撓んで爪受け部136に引っ掛かることとなる。検知部101を一つ取り付けた後はもう一つの検知部101を同様の方法で取り付けるが、この際既に取り付けられている検知部101によって膨出部135が隠れたりすることがなく、目視での爪部106と爪受け部136との位置関係の確認が困難になることはない。
【0061】
なお、両検知部101の取り付けが完了した後は、爪部106が爪受け部136に引っ掛かっているかを貫通孔137を通じて目視で確認できるため、検知部101の取り付けが不完全なままロボット10の作業が再開されるといった不都合を生じにくくすることができる。
【0062】
次に、検知部101を取り外す場合には、図12に示すように、工具を挿入部139に挿入して爪部106を押す。これにより、爪部106が撓んで爪受け部136から離間する。このようにして、爪部106と爪受け部136との引っ掛かりを解除することで、検知部101の取り外しが可能となる。
【0063】
以上詳述した構成によれば、第1上アーム部25の直線部45bにホルダ120を装着し、当該ホルダ120に検知部101を取り付けることでそれら検知部101によって直線部45bが覆われることとなる。センサユニット100を複数の検知部101の組み合わせによって構成することにより、直線部45bを広範囲にて無理なく覆うことができる。これは、センサユニット100による監視範囲を広くして検知漏れを抑制する上で好ましい。ここで、隣り合う一組の検知部101については何れもホルダ120の膨出部135に取り付けられることとなる。この膨出部135については、それら検知部101の間に形成される境界部BPに位置するため、検知部101の取付作業を行う場合には、当該検知部101と膨出部135との位置関係を目視で確認しながら当該作業を行うことができる。故に、検知部101の取り付けが不完全となるといった作業ミスを生じにくくすることができる。すなわち、アーム22においてセンサユニットによる監視範囲を広くしつつ検知部の取り付けの確実性を高めることができる。
【0064】
隣り合う一組の検知部101の取付方向が互いに逆となっているため、それら検知部101を取り付ける場合に、先に取り付けた一方の検知部101が他方の検知部101の取り付けの邪魔になることを抑制できる。
【0065】
本実施形態に示したように検知部101の縁部108を後退させて凹部109を形成すれば、境界部BPにおいて膨出部135が配置される部分以外では隙間を極力小さくすることができる。これはセンサユニットによる監視範囲を広くして検知漏れを抑制する上で好ましい。
【0066】
検知部101の境界部BPに膨出部135を配置する構成においては、膨出部135が露出することで、当該膨出部135に物体が接触等する可能性が生じる。この点、本実施形態に示したように、検知部101の境界部BPからの膨出部135の突出を回避することにより、当該膨出部135に向かう物体が先ず検知部101に当たるように促しやすくなる。これにより、膨出部135の存在が検知漏れの要因になることを抑制できる。
【0067】
膨出部135の中央部分に工具用の挿入孔である貫通孔137が形成されており且つ膨出部135と貫通孔137との間に肉部が存在することで、膨出部135を見た作業者が検知部101と膨出部135との隙間が工具の挿入箇所であると誤認することを好適に抑制できる。
【0068】
工具を挿入する貫通孔137の入口を広くすることは、工具先端が入口から外れて検知部101等に当たることを抑制する上で好ましい。ここで、産業用ロボットのアームについては、ダイレクトティーチングやメンテナンス等を行う際にユーザが触れる可能性がある。本実施形態に示したす構成では、アーム22を掴んだ指が膨出部135に当たったとしても爪部106(「係止部」に相当)へのアクセスが仕切り部138によって妨げられることとなり、偶発的に係止が解除されることを抑制できる。
【0069】
<第2の実施形態>
上記第1の実施形態では、ロボット本体11のフランジ部28にエンドエフェクタ用の接続端子28aを複数設けた。フランジ部28に予め用意できる接続端子28aの数については限りがあり、エンドエフェクタの種類によっては、当該接続端子28aが適合しない場合もあると想定される。このように接続端子28aに適合しない場合であっても、ケーブを、アーム22の内側ではなくアーム22の外側を通すことで当該エンドエフェクタを使用できる。この際、エンドエフェクタから延びるケーブルの中間部分をアーム22にて保持することでケーブルのバタつき等を抑制することができる。本実施形態では、第1の実施形態に示したようにアーム22の外周をセンサユニット群12によって覆う構成と併用する上で、センサユニットとケーブルの保持構造とを好適に共存させる工夫がなされていることを特徴の1つとしている。以下、図13及び図14を参照して当該工夫について説明する。
【0070】
図13に示すように、第1上アーム部25には、当該第1上アーム部25に取り付けられたセンサユニット100、詳しくは左右一対の検知部101によって当該第1上アーム部25(直線部)の長手方向に延びる境界部BPが形成されている。この境界部BPについては、検知部101によって覆われていない領域であり、検知部101の縁部108によって溝状をなしている。第1上アーム部25には、この境界部BPに沿って複数のケーブル保持具140が配設されている。ケーブル保持具140は、検知部101を第1上アーム部25に取り付けるホルダ120に固定されている。具体的には、ホルダ120において境界部BPに位置する膨出部135に固定されている。
【0071】
図14に示すように、ケーブル保持具140は、膨出部135を第1上アーム部25側とは反対側から覆う台座部141と、当該台座部141から起立してもうけられたクランプ部142とを有してなり、台座部141と膨出部135とが重なっている状態で当該膨出部135に対してネジ止めされている。つまり、爪部106へのアクセスが台座部141によって不可となっている。
【0072】
クランプ部142は、ケーブル145が挿入される環状のケーブル挿入部を有してなり、このケーブル挿入部に挿入されたケーブル145を保持する。ケーブル挿入部については、中心軸線方向が第1上アーム部25の長手方向、すなわち境界部BPが延びる方向と同じ方向を向くように規定されており、クランプ部142間のたわみが抑制された状態でそれらクランプ部142によって保持されたケーブル145については、境界部BPに沿って延びている(図13参照)。
【0073】
ケーブル保持具140については、保持するケーブル145が境界部BPから離れた位置を通過するように、第1上アーム部25の周面からの当該ケーブル145のオフセット量を規定しており、縦及び横の両方向にて検知部101からの距離を稼いでいる。
【0074】
センサユニット100及びケーブル145(「線状部材」に相当)の両方を第1上アーム部25に取り付けた場合には、以下の不都合が生じ得る。すなわち、ロボット10の動作によって揺れたケーブル145が検知部101に接触する可能性がある。このようなケーブル145の動きによって物体の接触等が検知されることは、不要な防護停止の要因となり生産性向上の妨げとなると懸念される。この点、本実施形態に示した構成では、一対の検知部101の縁部108が隙間を隔てて対峙することにより、第1上アーム部25の長手方向に延びる境界部BPが形成されており、その境界部BPにはケーブル145を保持する複数のケーブル保持具140が当該境界部BPに沿って配置されている。ケーブル保持具140に合せてケーブル145を配置することで、ケーブル145を境界部BPに沿わせることができる。これにより、ロボット10の動作によってケーブル145が揺れた場合であっても当該ケーブル145が検知部101に当たることを抑制できる。このように、センサユニットによる監視範囲を広げつつ検知部101とケーブル145との接触を抑制することにより、ロボット10の安全性と生産性とを好適に両立させることができる。
【0075】
本実施形態に示した構成によれば、境界部BPの幅方向だけでなく境界部BPの高さ方向においてもケーブル145と検知部101との距離を稼ぐことができる。これにより、ケーブル145と検知部101との接触機会を好適に減らすことができる。
【0076】
また、ケーブル145を境界部BPの隙間の外にて保持する構成であるため、ケーブル保持具140を避ける上で隙間(境界部BP)の幅を極力小さくすることができる。これは、検知漏れ減らす上で好ましい。
【0077】
検知部101を第1上アーム部25に取り付けるためのホルダ120にケーブル保持具140を配設することにより、検知部101とケーブル保持具140との位置合わせ等が容易となる。
【0078】
爪部106と爪受け部136との引っ掛かり箇所をケーブル保持具140によって覆う構成にすれば、物体が爪部106に当たる等して検知部101が脱落することを簡易に抑制できる。
【0079】
境界部BPは、第1上アーム部25(直線部)の長手方向と同じ方向に延びている。このような構成によれば、ケーブル保持具140の数を極力少なくし、センサユニット100による監視範囲を稼ぐことができる。
【0080】
境界部BPに沿うようにして操作ボタン25a及びケーブル保持具140を並べることは、センサユニットによる監視範囲を広げる上で好ましい。
【0081】
<その他の実施形態>
なお、上述した各実施形態の記載内容に限定されず例えば次のように実施してもよい。ちなみに、以下の各構成を個別に上記各実施形態に対して適用してもよく、一部又は全部を組み合わせて上記各実施形態に対して適用してもよい。また、上記各実施形態に示した各種構成の全て又は一部を任意に組み合わせることも可能である。この場合、組み合わせの対象となる各構成の技術的意義(発揮される効果)が担保されることが好ましい。実施形態の組み合わせからなる新たな構成に対して以下の各構成を個別に適用してもよく、一部又は全部を組み合わせて適用することも可能である。
【0082】
・上記各実施形態では、圧力センサによって物体の接触を検知する構成としたが、これに限定されるものではない。これに代えて又は加えて、静電容量センサ等によって物体の接近を検知する構成とすることも可能である。
【0083】
・上記各実施形態では、留め具70,80を検知部51の側部56,57において縁部55から離れた位置にてベースフレーム52に固定する構成としたが、留め具70,80を検知部51の側部56,57における縁部55にてベースフレーム52に固定する構成とすることも可能である。
【0084】
・上記各実施形態では、留め具70を連結プレート82を用いて留め具80と結合する構成としたが、留め具70及び留め具80を何れも面ファスナとして、それら留め具70,80を直接結合させる構成とすることも可能である。
【0085】
・上記各実施形態では、検知部101の境界部BPに幅の広い部分と狭い部分とを設けたが、これに限定されるものではない。境界部BPの幅を一定とすることも可能である。また、境界部BPが直線部45bの長手方向に延びる構成としたが、境界部BPが直線部45bの長手方向に対して交差する方向に延びる構成を否定するものではない。
【0086】
・上記各実施形態では、連結プレート82と規制部材90とによって二重になっているブランク部73を挟む構成としたが、これに限定されるものではない。連結プレート82と規制部材90とによってフック部71とループ部72とが結合して二重になっている部分を挟む構成とすることも可能である。
【0087】
・上記各実施形態では、留め具70,80の結合が解除されないように規制することができるのであれば、連結プレート82と規制部材90とによって留め具70を挟み込む必要は必ずしもない。例えば、留め具70,80に自身の長手方向に延びる長孔を形成し、規制部材として当該長孔にピン等を挿入することで結合の解除を規制したり留め具70の抜けを規制したりすることも可能である。
【0088】
・上記各実施形態では、ホルダ120によって検知部101を保持する構成としたが、検知部101を面ファスナを用いて第1上アーム部25の周面に直接取り付ける構成とすることも可能である。
【0089】
・上記各実施形態では、各爪部106用の工具の挿入部139を分けることで爪部106と爪受け部136との引っ掛かりを工具を用いて1つずつ解除可能な構成としたが、これに限定されるものではない。少なくとも工具によって各爪部106の引っ掛かりを解除することができるのであれば、両方の爪部106の引っ掛かりを1度の操作で解除可能としてもよい。
【0090】
・上記各実施形態では、センサユニット50,100を何れも中空として、物体が接触した際の衝撃を緩和可能としたが、これに限定されるものではない。例えば、検知部をシート状とすることも可能である。
【0091】
・上記第2の実施形態では、エンドエフェクタ29から延びる「線状部材」として、電気信号を送るケーブル145を想定した場合について例示したが、これに限定されるものではない。例えば、エンドエフェクタから延びるチューブが空気や油等の流体を送る構成についても当該チューブに上述したケーブル保持具140による保持構造を適用してもよい。
【0092】
・上記第2の実施形態では、ケーブル145を境界部BPに沿って配置する一方、ケーブル145が境界部BP内に位置しない構成としたが、ケーブル145を境界部BPに収容する構成を否定するものではない。
【0093】
・上記第2の実施形態では、ケーブル保持具140の固定対象を検知部101取付用のホルダ120としたが、これを変更し、第1上アーム部25の周面にケーブル保持具140を固定する構成としてもよい。
【0094】
<上記実施形態から抽出される発明群について>
以下、上記実施形態から抽出される発明群の特徴について、必要に応じて効果等を示しつつ説明する。なお以下においては、理解の容易のため、上記実施形態において対応する構成を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
【0095】
<特徴A群> 屈曲部用のセンサユニット及びその取付構造
以下の特徴A群は、「複数のリンクが一連となるようにして連結された多関節型ロボット等の産業用ロボットには、リンクが人等の物体(障害物)に接触したことを検知可能となるように構成されているものがある。例えば特許文献1(特開2005-103674号公報)に記載された産業用ロボットは、物体と接触した際に発生する異常トルクに基づいて接触を検知する検知機能を有しており、接触を検知した場合に産業用ロボットを停止(防護停止)させることで産業用ロボットや物体の保護を図っている。」という背景技術について、「上述した検知手法においては、物体との接触箇所から関節部分までの距離に関わらず同じ閾値を用いて異常トルクの判定がなされる。このため、接触箇所によって接触検知の精度や応答性に差が生じることとなる。例えば、関節部分から近い位置では遠い位置と比べて検知の精度や応答性が低くなる。なお、関節部分から近い位置での接触を想定して閾値を低くした場合には、不要な防護停止の機会が増えることで生産効率が低下し得る。これに対して、物体との接触や接近を検知可能な検知部を有するセンサユニットによってアーム(リンク)の表面を覆う構成とすれば、上述した検知精度や応答性の懸念を払拭できる。この種のセンサユニットを用いる場合には、アームの表面においてセンサユニットが配置されていない部分、すなわち接触等を検知しない非検知部分を極力小さくすることが好ましい。また、産業用ロボットについては様々な場面で使用される可能性があり、センサユニットの事後的な取り付けや着脱を可能とすることで産業用ロボットの適切な運用が可能となる。例えば、協働の場面ではセンサユニットによって安全性を高めることが好ましいものの、非協働の場面ではセンサユニットを取り外すことにより負荷の軽減や動作効率の向上等を図ることが好ましい。ここで、アームを構成する各リンクについては、必ずしも直線状であるとは限らず、中間部分にて屈曲することでL字状等をなしているもの(屈曲部が形成されているもの)もある。屈曲部が形成されたリンクについては直線状のリンクと比べてセンサユニットの取付構造等に係る制約が強くなると想定される。つまり、センサユニットを着脱可能として産業用ロボットの適切な運用を可能としつつ、センサユニットの取り付けの確実性及び作業性の向上を図る上で、当該センサユニット及びその取付構造に係る構成には未だ改善の余地がある。」という背景・課題等に鑑みてなされたものである。
【0096】
特徴A1.中間部分に屈曲部(屈曲部41c)が形成された所定のリンク(例えば手首部27)を含む複数のリンク(ショルダ部23、下アーム部24、第1上アーム部25、第2上アーム部26、手首部27、フランジ部28)が一連となるようにして連結されたアーム(アーム22)を有する産業用ロボットに適用されるセンサユニット(センサユニット50)であって、
物体との接触及び物体との接近の少なくとも一方を検知可能であり、前記屈曲部における屈曲外側となる部分を覆う面状の検知部(検知部51)と、
前記検知部において前記屈曲部の側方に位置し且つ前記屈曲部を挟んで相対向する部分(側部56,57)に各々設けられ、前記検知部を前記所定のリンクに対して着脱可能とする留め具(留め具70,80)と
を備え、
前記留め具の少なくとも一方が前記屈曲部における屈曲内側となる部分に当接し且つそれら留め具が結合された状態となることにより、前記所定のリンクからの前記検知部の脱落が回避される構成となっており、
前記結合された状態となっている前記留め具の分離を規制し、所定の解除操作(工具を用いた取り外し操作)が行われることで当該規制が解除されるように構成された規制部(規制部材90及びネジ95)を備えているセンサユニット。
【0097】
本特徴に示すように、中間部分が屈曲している所定のリンクの屈曲外側となる部分を面状の検知部によって覆う構成とすれば、所定のリンクにおいて人等の物体との接触や接近を好適に検知できる。産業用ロボットのアームを構成している各リンクについては、必ずしも直線状であるとは限らず、本特徴に示す所定のリンクのように屈曲しているものもある。このようなリンクについては直線状のリンクと比べてセンサユニット(検知部)の取付構造等に係る制約が強くなると想定されものの、面状の検知部を取付可能としてセンサユニットによる監視範囲(アームにおける監視範囲)を屈曲しているリンクにまで広げることは、接触等を検知しない非検知部分を極力小さくして検知漏れを抑制する上で好ましい。
【0098】
また、本特徴に示す構成では、検知部を所定のリンクに対して屈曲外側から被せることで簡単に配置できる。その後は、留め具を屈曲部の内側部分に当接させ且つ留め具を結合することでセンサユニットが所定のリンクに巻き付いた状態となる。一方、センサユニットを取り外す場合には、所定の解除操作によって規制部による留め具の分離規制を解除し、留め具を分離(結合を解除)することで当該センサユニットを簡易に取り外すことができる。このような構成とすることで、着脱作業を行う際の作業効率の向上に寄与している。産業用ロボットについては、様々な場面で使用される可能性があり、例えば協働の場面では、センサユニットによって安全性を高めることが好ましいものの、非協働の場面ではセンサユニットを取り外すことにより負荷の軽減や動作効率の向上等を図ることが好ましい。この点、本特徴に示す構成によれば、センサユニット(検知部)の事後的な取り付けや着脱を可能とすることで産業用ロボットの適切な運用が可能となる。
【0099】
産業用ロボットの動作中に物体が留め具等に接触する可能性を否定できない。また、産業用ロボットについてはダイレクトティーチングやメンテナンス等の作業時にユーザが留め具等に偶然触れる可能性もある。特に、作業性の観点から例えば留め具や規制部をセンサユニット外に配置する場合にそのような事象が発生しやすくなる。これらの事象が発生した場合であっても、留め具及び規制部を併用しているため所定のリンクからセンサユニットが簡単に脱落することを抑制できる。
【0100】
以上の理由から、センサユニットを着脱可能として産業用ロボットの適切な運用を可能としつつ、センサユニットの取り付けの確実性及び作業性の向上に寄与できる。
【0101】
特徴A2.前記検知部は、前記屈曲部の屈曲内側となる部分の少なくとも一部については覆わない構成となっており、
前記規制部は、前記屈曲部に対して前記屈曲内側となる位置であって前記検知部により覆われない位置に配置される特徴A1に記載のセンサユニット。
【0102】
規制部が検知部によって覆われない位置に配置されるため、規制部の着脱作業が検知部によって妨げられることを回避できる。これにより、留め具及び規制部を併用してセンサユニットの脱落を回避しつつ、規制部がセンサユニットを着脱する場合の作業性の向上を低下させる要因になることを抑制している。
【0103】
なお、屈曲内側となる位置に規制部が位置する構成とすることは、着脱作業に際しては当該規制部へのアクセスを可能としつつ、屈曲外側となる位置に規制部が位置する構成と比較して物体が規制部に当たる機会を減らすことができる。これは、規制部が検知の邪魔になることを抑制したり、規制部による規制が偶発的に解除される機会を減らしたりする上で好ましい。
【0104】
特徴A3.前記所定のリンクは、前記屈曲部の一端に連続する第1直線部(直線部41a)と前記屈曲部の他端に連続する第2直線部(直線部41b)とを有し、全体としてL字状をなすリンクであり、
前記検知部は、前記第1直線部の少なくとも一部と前記第2直線部の少なくとも一部とを前記屈曲外側から覆うように形成されている特徴A1又は特徴A2に記載のセンサユニット。
【0105】
検知部を所定のリンクに被せた後に、当該検知部を固定する構成においては、留め具による固定作業中に検知部が位置ずれすることで作業がやり直しとなる。また、仮に検知部の位置がずれたまま固定された場合には、検知機能が上手く発揮されなくなると懸念される。この点、本特徴に示す構成によれば、所定のリンクの第1直線部に検知部が当たることで第2直線部側への位置ずれが抑制され、所定のリンクの第2直線部に検知部が当たることで第1直線部側への位置ずれが抑制される。このように、検知部に自身の位置ずれを抑制する機能を付与することにより、固定作業を行う際の作業性や確実性の向上に寄与できる。なお、規制部を用いてセンサユニットの脱落をより確実に回避する構成を実現するにあたり、センサユニットの着脱に係る作業時間が嵩むことを抑制できる。
【0106】
特徴A4.前記留め具は、ベルト状の第1留め具(留め具70)と、当該第1留め具が挿通される挿通部(開口83)が形成された第2留め具(留め具80)とで構成され、前記結合された状態では前記第1留め具が前記挿通部を起点に折り返されて二重となるように構成されており、
前記規制部は、前記第1留め具において前記二重となっている部分をその重なり方向にて挟むことにより、前記分離を規制する特徴A1乃至特徴A3のいずれか1つに記載のセンサユニット。
【0107】
ベルト状の第1留め具において挿通部を起点に折り返されて二重となっている部分を挟む構成とすれば、挿通部からの第1留め具の抜けを好適に抑制できる。
【0108】
特徴A5.前記第1留め具は、表面に第1結合部(フック部71)と当該第1結合部に結合可能な第2結合部(ループ部72)とが形成された面ファスナであり、
前記第1留め具が前記挿通部に挿通された状態で前記第1結合部と前記第2結合部とが結合することで両留め具が前記結合された状態となり、
前記二重となっている部分は、前記第1留め具において前記第1結合部及び前記第2結合部の何れも形成されていない非形成部分(ブランク部73)が重なっている部分を含み、
前記規制部は、前記非形成部分が重なっている部分を挟む構成となっている特徴A4に記載のセンサユニット。
【0109】
本特徴に示すように、非形成部分が重なっている部分を挟む構成とすれば、規制部によって第1留め具を強く挟んだとしても第1結合部や第2結合の潰れが回避される。これは、センサユニットの着脱を繰り返す場合の耐久性を向上させる上で好ましい。
【0110】
特徴A6.前記第1留め具は、表面に第1結合部(フック部71)と当該第1結合部に結合可能な第2結合部(ループ部72)とが形成された面ファスナであり、
前記第1留め具が前記挿通部に挿通された状態で前記第1結合部と前記第2結合部とが結合することで両留め具が前記結合された状態となり、
前記規制部は、前記二重となっている部分であって前記第1結合部と前記第2結合部とが重なっている部分を挟む構成となっている特徴A4に記載のセンサユニット。
【0111】
第1結合部と第2結合部とが重なっている部分(結合箇所)を規制部によって挟む構成とすれば、規制部によって結合をサポートすることができる。着脱が繰り返されることで結合力が弱くなった場合であっても、規制部によるサポートによって簡単に分離されることを抑制できる。
【0112】
特徴A7.前記規制部は、前記第2留め具に固定可能となっており、
前記第2留め具と当該第2留め具に固定された前記規制部とによって前記第1留め具の前記二重となっている部分を挟む構成となっている特徴A4乃至特徴A6のいずれか1つに記載のセンサユニット。
【0113】
規制部と第2留め具とで第1留め具を挟む構成とする構成によれば、例えば規制部単独で第1留め具を挟んだ後に当該規制部を第2留め具等に固定する構成と比較して、作業の手間を少なくすることができる。
【0114】
特徴A8.前記第2留め具と前記規制部とはネジにより固定されており、
前記所定の解除操作により前記ネジを取り外すことで前記規制が解除される特徴A7に記載のセンサユニット。
【0115】
上述したように産業用ロボットにおいてはダイレクトティーチングやメンテナンス等にてアームに作業者が触れる可能性がある。このような作業は素手で行われることが多いため、仮に作業者が規制部に触れたとしても偶発的にネジが外れる可能性は低い。故に、センサユニットの脱落を好適に抑制できる。
【0116】
特徴A9.前記規制部及び前記第2留め具には、前記重なり方向にて前記規制部と前記留め具とを重ね合わせた状態でそれら第2留め具及び規制部に連通するようにして前記ネジ用の孔部が形成されている特徴A8に記載のセンサユニット。
【0117】
本特徴に示す構成によれば、ネジを締めることで規制部によってベルトを押圧できる。このような構成とすれば、ベルトが規制部と第2留め具との間をすり抜けることを好適に抑制できる。
【0118】
特徴A10.前記留め具の少なくとも一方は、ベルトを有してなり、
前記ベルトの一端は、前記検知部の内側部分であって当該検知部の前記相対向する部分における縁から離れた部分に固定されている特徴A1乃至特徴A9のいずれか1に記載のセンサユニット。
【0119】
留め具をベルトとすれば屈曲するリンクについてある程度のサイズの違いを許容できる。ここで、本特徴に示すように、ベルトの一端を検知部の内側部分であって当該検知部における上記相対向する部分の縁から離れた部分に固定することで、リンクが小さめである場合に留め具を締めたとしても検知部に歪みが生じにくい。
【0120】
特徴A11.前記留め具の少なくとも一方は、ベルトを有してなり、
前記ベルトの一端は、前記検知部の前記相対向する部分における縁に固定されている特徴A1乃至特徴A9のいずれか1つに記載のセンサユニット。
【0121】
留め具をベルトとすれば屈曲するリンクについてある程度のサイズの違いを許容できる。ここで、本特徴に示すように、ベルトの一端を検知部における上記相対向する部分の縁に固定すれば、留め具を締めた際に検知部を当該リンクの表面に追従させやすくなる。
【0122】
特徴A12.特徴A1乃至特徴A11のいずれか1つに記載のセンサユニットを備えている産業用ロボット。
【0123】
センサユニットを着脱可能として産業用ロボットの適切な運用を可能としつつ、センサユニットの取り付けの確実性及び作業性の向上に寄与できる。
【0124】
<特徴B群> 直線部用のセンサユニット及びその取付構造
以下の特徴B群は、「複数のリンクが一連となるようにして連結された多関節型ロボット等の産業用ロボットには、リンクが人等の物体(障害物)に接触したことを検知可能となるように構成されているものがある。例えば特許文献1(特開2005-103674号公報)に記載された産業用ロボットは、物体と接触した際に発生する異常トルクに基づいて接触を検知する検知機能を有しており、接触を検知した場合に産業用ロボットを停止(防護停止)させることで産業用ロボットや物体の保護を図っている。」という背景技術について、「上述した検知手法においては、物体との接触箇所から関節部分までの距離に関わらず同じ閾値を用いて異常トルクの判定がなされる。このため、接触箇所によって接触検知の精度や応答性に差が生じることとなる。例えば、関節部分から近い位置では遠い位置と比べて検知の精度や応答性が低くなる。なお、関節部分から近い位置での接触を想定して閾値を低くした場合には、不要な防護停止の機会が増えることで生産効率が低下し得る。これに対して、物体との接触や接近を検知する検知部を有するセンサユニットによってアーム(リンク)の表面を覆う構成とすれば、上述した検知精度や応答性の懸念を払拭できる。この種のセンサユニットを用いる場合には、アームの表面において検知部が配置されていない部分、すなわち接触等を検知しない非検知部分を極力小さくすることが好ましい。一方、非検知部分を極力小さくしようとすれば、検知部の取付構造に係る制約が強くなり、アーム側の取付構造(検知部用の取付部)が検知部に隠れる等して見えづらくなると想定される。つまり、検知部取付時の作業性が低下すると想定される。これは、検知部の取り付けが不完全となるといった作業ミスを誘発させる要因となり得るため好ましくない。そして、検知部の取り付けが不完全なまま産業用ロボットが動作することで上記保護機能が上手く発揮されなくなると懸念される。このように、アームにおいて検知部により覆われる部分すなわちセンサユニットによる監視範囲を広くしつつセンサユニットの取り付けの確実性を高める上でセンサユニットに係る構成には未だ改善の余地がある。」という背景・課題等に鑑みてなされたものである。
【0125】
特徴B1.少なくとも一部が直線部(直線部45b)となるように形成された所定のリンク(第1上アーム部25)を含む複数のリンク(ショルダ部23、下アーム部24、第1上アーム部25、第2上アーム部26、手首部27、フランジ部28)が一連となるようにして連結されたアーム(アーム22)を有する産業用ロボットに適用されるセンサユニット(センサユニット100)であって、
物体との接触及び物体との接近の少なくとも一方を検知可能であり、前記所定のリンクの前記直線部の周方向に並び当該直線部を覆う複数の検知部(検知部101)と、
前記所定のリンクに装着され、前記複数の検知部のうち隣り合う一組の検知部が取り付けられる取付部(膨出部135)が形成されたホルダ部材(ホルダ120)と
を備え、
前記ホルダ部材の前記取付部は、前記隣り合う一組の検知部の境界部分(境界部BP)に位置するように構成されているセンサユニット。
【0126】
本特徴に示す構成によれば、所定のリンクにホルダ部材を装着し、当該ホルダ部材に検知部を取り付けることでそれら検知部によって所定のリンクが覆われることとなる。センサユニットを複数の検知部の組み合わせによって構成することにより、所定のリンクを広範囲にて無理なく覆うことができる。これは、センサユニットによる監視範囲を広くして検知漏れを抑制する上で好ましい。ここで、隣り合う一組の検知部については何れもホルダ部材の取付部に取り付けられることとなる。この取付部については、それら検知部の間に形成される境界部分に位置するため、検知部の取付作業を行う場合には、当該検知部と取付部との位置関係を目視で確認しながら当該作業を行うことができる。故に、検知部の取り付けが不完全となるといった作業ミスを生じにくくすることができる。すなわち、アームにおいてセンサユニットによる監視範囲を広くしつつセンサユニットの取り付けの確実性を高めることができる。
【0127】
特徴B2.前記隣り合う一組の検知部の取付方向が互いに逆となっている特徴B1に記載のセンサユニット。
【0128】
本特徴に示す構成によれば、隣り合う一組の検知部を取り付ける場合に、先に取り付けた一方の検知部が他方の検知部の取り付けの邪魔になることを抑制できる。
【0129】
特徴B3.前記隣り合う一組の検知部において前記境界部分を挟んで相対向する縁部(縁部108)には、当該縁部の一部を後退させた凹部(凹部109)が形成されており、それら検知部を取り付けた状態では前記凹部によって囲まれた位置に前記取付部が位置する特徴B1又は特徴B2に記載のセンサユニット。
【0130】
本特徴に示すように縁部を後退させて凹部を形成すれば、境界部分において取付部が配置される部分以外では隙間を極力小さくすることができる。これはセンサユニットによる監視範囲を広くして検知漏れを抑制する上で好ましい。
【0131】
なお、例えば1の検知部に形成された凹部と、他の検知部に形成された凹部とで囲まれた位置に取付部が位置する構成とするとよい。
【0132】
特徴B4.前記取付部は、前記直線部の外周面からの突出量が、当該外周面からの前記検知部の張り出し量よりも小さくなるように形成されている特徴B1乃至特徴B3のいずれか1つに記載のセンサユニット。
【0133】
特徴B1に示したように、検知部の境界部分に取付部を配置する構成においては、取付部が露出することで、当該取付部に物体が接触等する可能性が生じる。この点、本特徴に示すように、検知部の境界部分からの取付部の突出を回避することにより、当該取付部に向かう物体が先ず検知部に当たるように促しやすくなる。これにより、取付部の存在が検知漏れの要因になることを抑制できる。なお、本特徴に示す構成によれば取付部への接触の機会を減らすことができ、検知部の取り付けが偶発的に解除さることを抑制する上で好ましい。
【0134】
特徴B5.前記ホルダ部材は、前記取付部が形成されたブラケット(ブラケット121)と、当該ブラケットの前記リンクからの脱落を規制するバンド(面ファスナ122)とを有してなり、
前記検知部が前記取付部に取り付けられることで、前記バンドが当該検知部によって覆われる特徴B1乃至特徴B4のいずれか1つに記載のセンサユニット。
【0135】
本特徴に示すように、バンドが検知部によって覆われる(隠す)構成とすることにより、ユーザ等が誤ってバンドに触れる機会を減らすことができる。これは、バンドが偶発的に外れて検知部が脱落することを抑制する上で好ましい。
【0136】
特徴B6.前記バンドは面ファスナであり、
前記検知部が前記取付部に取り付けられた状態では当該検知部が前記面ファスナの結合箇所に対してその結合方向にて対峙する特徴B5に記載のセンサユニット。
【0137】
本特徴に示す構成とすれば、面ファスナの分離を検知部によって抑制できる。例えば、検知部のフレーム(ベースフレーム102)を面ファスナの結合箇所に当接させるとよい。
【0138】
特徴B7.前記隣り合う一組の検知部の前記境界部分は、前記直線部の長手方向と同じ方向に延びており、
前記取付部は、前記境界部分に沿って複数配置されており、
前記隣り合う一組の検知部は何れも各前記取付部に取り付けられる特徴B1乃至特徴B6のいずれか1つに記載のセンサユニット。
【0139】
複数の取付部に各検知部を取り付ける構成とすることは、検知部の脱落を抑制したり検知部の位置ずれを抑制したりする上で好ましいものの、取付部の数が増えることで取付作業が難しくなると懸念される。この点、本特徴に示すように、所定のリンクの直線部の長手方向と同じ方向に境界部分が延びる構成とした上で、当該境界部分に沿って取付部を配置する構成とすれば、各取付部を目視で確認しながら取付作業を行うことができる。故に、上述した効果を発揮させつつ、作業性の低下を最小限に抑えることができる。
【0140】
特徴B8.前記取付部の中央部分には、前記検知部を前記取付部から取り外す取外作業を行う場合に取外用の工具が挿入される挿入孔(貫通孔137)が形成されている特徴B1乃至特徴B7のいずれか1つに記載のセンサユニット。
【0141】
検知部を取り外す場合には、挿入孔に工具が挿入される。この挿入孔を取付部の中央に配設することにより、工具が検知部に接触することを抑制し、当該検知部の保護に寄与できる。
【0142】
特徴B9.前記検知部には係止部(爪部106)が形成されており、
前記取付部において前記挿入孔と前記検知部との間となる肉部(爪受け部136)に前記係止部が引っ掛かることにより前記検知部が前記取付部に取り付けられた状態となる特徴B8に記載のセンサユニット。
【0143】
本特徴に示す構成によれば、中央部分に工具用の挿入孔が形成されており且つ取付部と挿入孔との間に肉部が存在することで、取付部を見た作業者が検知部と取付部との隙間が工具の挿入箇所であると誤認することを好適に抑制できる。
【0144】
特徴B10.前記挿入孔は、前記隣り合う一組の検知部のうち一方の検知部用の孔部(挿入部139)と他方の検知部用の孔部(挿入部139)とを有し、それら孔部に跨るようにして前記挿入孔の入口が形成されており、両前記孔部を仕切る仕切り部(仕切り部138)によって、各孔部への指の挿入が困難を妨げている特徴B8又は特徴B9に記載のセンサユニット。
【0145】
挿入孔の入口を広くすることは、工具先端が入口から外れて検知部等に当たることを抑制する上で好ましい。ここで、産業用ロボットのアームについては、ダイレクトティーチングやメンテナンス等を行う際にユーザが触れる可能性がある。本特徴に示す構成では、アームを掴んだ指が取付部に当たったとしても係止部へのアクセスが仕切り部によって妨げられることとなり、偶発的に係止が解除されることを抑制できる。
【0146】
特徴B11.特徴B1乃至特徴B11のいずれか1つに記載のセンサユニットを備えている産業用ロボット。
【0147】
アームにおいて検知部により覆われる部分を広くしつつ検知部(センサユニット)の取り付けの確実性を高めることができる。
【0148】
特徴B12(クレームアップ メインクレーム 取付構造).少なくとも一部が直線部(直線部45b)となるように形成された所定のリンク(第1上アーム部25)を含む複数のリンク(ショルダ部23、下アーム部24、第1上アーム部25、第2上アーム部26、手首部27、フランジ部28)が一連となるようにして連結されたアーム(アーム22)を有する産業用ロボットに適用され、センサユニット(センサユニット100)を前記所定のリンクの前記直線部に取り付ける取付構造であって、
前記センサユニットは、物体との接触及び物体との接近の少なくとも一方を検知可能であり且つ前記所定のリンクの前記直線部の周方向に並び当該直線部を覆う複数の検知部(検知部101)を有してなり、
前記アームに装着され、前記複数の検知部のうち隣り合う一組の検知部が取り付けられる取付部(膨出部135)が形成されたホルダ部材(ホルダ120)を備え、
前記ホルダ部材の前記取付部は、前記隣り合う一組の検知部の境界部分(境界部BP)に位置するように構成されている取付構造。
【0149】
本特徴に示す構成によれば、アームにおいて検知部により覆われる部分を広くしつつ検知部(センサユニット)の取り付けの確実性を高めることができる。
【0150】
<特徴C群> エンドエフェクタ用ケーブルの保持構造
以下の特徴C群は、「複数のリンクが一連となるようにして連結された多関節型ロボット等の産業用ロボットには、リンクが人等の物体(障害物)に接触したことを検知可能となるように構成されているものがある。例えば特許文献1(特開2005-103674号公報)に記載された産業用ロボットは、物体と接触した際に発生する異常トルクに基づいて接触を検知する検知機能を有しており、接触を検知した場合に産業用ロボットを停止(防護停止)させることで産業用ロボットや物体の保護を図っている。」という背景技術について、「上述した検知手法においては、物体との接触箇所から関節部分までの距離に関わらず同じ閾値を用いて異常トルクの判定がなされる。このため、接触箇所によって接触検知の精度や応答性に差が生じることとなる。例えば、関節部分から近い位置では遠い位置と比べて検知の精度や応答性が低くなる。なお、関節部分から近い位置での接触を想定して閾値を低くした場合には、不要な防護停止の機会が増えることで生産効率が低下し得る。これに対して、物体との接触や接近を検知する検知部を有するセンサユニットによってアーム(リンク)の表面を覆う構成とすれば、上述した検知精度や応答性の懸念を払拭できる。この種のセンサユニットを用いる場合には、アームの表面において検知部が配置されていない部分、すなわち接触等を検知しない非検知部分を極力小さくすることが好ましい。ここで、アームの先端にはハンド等のエンドエフェクタが装着され、エンドエフェクタを作業の種類に応じて交換可能とすることにより、産業用ロボットの利便性の向上が図られている。エンドエフェクタには、チューブやケーブル等の部材(以下、線状部材という)の一端が接続される。この線状部材を介して流体や信号が送られることによりエンドエフェクタが駆動する。線状部材をアームの表面(外面)に沿って配置する場合には、当該線状部材をアームにて保持することにより、作業者等が線状部材に引っ掛かる機会を減らすことができる。なお、保持箇所をアームの表面に配することはエンドエフェクタの交換作業に際して線状部材の着脱を容易とする上で有利である。但し、上述したセンサユニット及び線状部材の両方をアームに取り付けた場合には、以下の不都合が生じ得る。すなわち、産業用ロボットの動作によって揺れた線状部材が検知部に接触したり接近したりする可能性がある。このような線状部材の動きによって物体の接触等が検知されることは、不要な防護停止の要因となり生産性向上の妨げとなると懸念される。このように、産業用ロボットの安全性及び生産性の両立を図る上でセンサユニットや線状部材の保持構造(取付構造)には未だ改善の余地がある。」という背景・課題等に鑑みてなされたものである。
【0151】
特徴C1.所定のリンク(第1上アーム部25)を含む複数のリンク(ショルダ部23、下アーム部24、第1上アーム部25、第2上アーム部26、手首部27、フランジ部28)が一連となるようにして連結されたアーム(アーム22)を備え且つ前記所定のリンクに物体との接触及び物体との接近の少なくとも一方を検知可能なセンサユニットが取り付けられる産業用ロボットに適用され、前記アームの先端に装着されたエンドエフェクタ(エンドエフェクタ29)から延びる線状部材(ケーブル145)を前記アームにて保持する保持構造であって、
前記センサユニットは、前記所定のリンクの周方向に並ぶ複数の検知部(検知部101)を有し、それら検知部によって前記所定のリンクを覆う構成となっており、
前記複数の検知部のうち隣り合う一組の検知部の縁部(縁部108)が隙間を隔てて対峙することにより、前記所定のリンクの長手方向に延びる境界部分(境界部BP)が形成されており、
前記境界部分には、前記線状部材を保持する複数の保持部(ケーブル保持具140)が当該境界部分に沿って配置されている保持構造。
【0152】
産業用ロボットのアームの先端に装着されたハンド等のエンドエフェクタにはチューブやケーブル等の線状部材が接続される。この線状部材をアームにて保持することで、作業者等が線状部材に引っ掛かる機会を減らすことができる。
【0153】
また、センサユニットを複数の検知部の組み合わせによって構成することにより、所定のリンクを広範囲にて無理なく覆うことができる。これは、センサユニットによる監視範囲を広くして検知漏れを抑制する上で好ましい。
【0154】
ここで、センサユニット及び線状部材の両方をアーム(所定のリンク)に取り付けた場合には、以下の不都合が生じ得る。すなわち、産業用ロボットの動作によって揺れた線状部材が検知部に接触したり接近したりする可能性がある。このような線状部材の動きによって物体の接触等が検知されることは、不要な防護停止の要因となり生産性向上の妨げとなると懸念される。この点、本特徴に示す構成では、隣り合う一組の検知部の縁部が隙間を隔てて対峙することにより、所定のリンクの長手方向に延びる境界部分が形成されており、その境界部分には線状部材を保持する複数の保持部が当該境界部分に沿って配置されている。保持部に合せて線状部材を配置することで、線状部材を境界部分に沿わせることができる。これにより、産業用ロボットの動作によって線状部材が揺れた場合であっても当該線状部材が検知部に当たることを抑制できる。このように、センサユニットによる監視範囲を広げつつセンサユニットの検知部と線状部材との接触を抑制することにより、産業用ロボットの安全性と生産性とを好適に両立させることができる。
【0155】
特徴C2.前記保持部は、前記線状部材を前記所定のリンクの表面からオフセットした位置にて保持する特徴C1に記載の保持構造。
【0156】
本特徴に示す構成によれば、境界部分の幅方向だけでなく境界部分の高さ方向においても線状部材と検知部との距離を稼ぐことができる。これにより、線状部材と検知部との接触機会を好適に減らすことができる。
【0157】
特徴C3.前記保持部は、前記線状部材を前記境界部分の前記隙間の外にて保持可能となっている特徴C1又は特徴C2に記載の保持構造。
【0158】
本特徴に示すように線状部材を隙間の外にて保持する構成とすれば、保持部を避ける上で隙間(境界部分)の幅を極力小さくすることができる。これは、検知漏れ減らす上で好ましい。
【0159】
特徴C4.前記センサユニットは、前記所定のリンクに巻き付けるようにして装着されるホルダ部材(ホルダ120)を有し、このホルダ部材に前記検知部が取り付けられる構成であり、
前記ホルダ部材において前記境界部分に位置する部分に前記保持部が配設される特徴C1乃至特徴C3のいずれか1つに記載の保持構造。
【0160】
本特徴に示すように取付部用のホルダ部材に保持部を配設することにより、検知部と保持部との位置合わせ等が容易となる。
【0161】
特徴C5.前記ホルダ部材には、前記検知部に設けられた係止部(爪部106)が係止される受け部(爪受け部136)が形成されており、前記係止部が前記受け部に係止されることで前記ホルダ部材に前記検知部が取り付けられる構成となっており、
前記係止部と前記受け部との係止箇所が前記保持部によって覆われる特徴C4に記載の保持構造。
【0162】
本特徴に示すように係止部と受け部との係止箇所を保持部によって覆う構成とすれば、物体が係止部に当たる等して検知部が脱落することを簡易に抑制できる。
【0163】
特徴C6.特徴C1乃至特徴C5のいずれか1つに記載された保持構造を有している産業用ロボット。
【0164】
産業用ロボットの安全性と生産性とを好適に両立させることができる。
【0165】
特徴C7.所定のリンク(第1上アーム部25)を含む複数のリンク(ショルダ部23、下アーム部24、第1上アーム部25、第2上アーム部26、手首部27、フランジ部28)が一連となるようにして連結されたアーム(アーム22)と、
前記アームに取り付けられ、物体との接触及び物体との接近の少なくとも一方を検知可能なセンサユニット(センサユニット100)と、
前記アームの先端に装着されたエンドエフェクタ(エンドエフェクタ29)から延びる線状部材(ケーブル145)を前記アームにて保持する保持部(ケーブル保持具140)と
を備えている産業用ロボットであって、
前記センサユニットは、前記所定のリンクの周方向に並ぶ複数の検知部(検知部101)を有し、それら検知部によって前記所定のリンクを覆う構成となっており、
前記複数の検知部のうち隣り合う一組の検知部の縁部が隙間を隔てて対峙することにより、前記所定のリンクの長手方向に延びる境界部分(境界部BP)が形成されており、
前記境界部分に前記保持部が配置され、前記線状部材が前記保持部によって保持されることで前記境界部分に沿うようにして配置されている産業用ロボット。
【0166】
本特徴に示す構成によれば、センサユニットによる監視範囲を広げつつセンサユニットの検知部と線状部材との接触を抑制することにより、産業用ロボットの安全性と生産性とを好適に両立させることができる。
【0167】
特徴C8.前記境界部分は、前記所定のリンクの前記直線部の長手方向と同じ方向に延びている特徴C7に記載の産業用ロボット。
【0168】
本特徴に示す構成によれば、保持部の数を極力少なくし、センサユニットによる監視範囲を稼ぐことができる。
【0169】
特徴C9.前記所定のリンクは、直線状をなす直線部(直線部45b)を有し、
前記境界部分は、前記直線部の両端に跨るようにして延びている特徴C8に記載の産業用ロボット。
【0170】
本特徴に示す構成によれば、直線部の両端に跨るようにして境界部分が延びている。このような構成とすれば、境界部分の長さを短く抑えることができる。これにより、線状部材を境界部分に沿って配置する上で必要になる保持部の数を少なくすることができる。また、例えば境界部分が湾曲する等して三次元的に変化している構成と比較して、線状部材を配置する際に必要な保持部の数を少なくする上で有利である。
【0171】
特徴C10.前記所定のリンクには、ユーザにより操作される操作ボタン(操作ボタン25a)が配設されており、
前記操作ボタン及び前記保持部は、前記境界部分に位置し且つ前記境界部分に沿うようにして並んでいる特徴C7乃至特徴C9のいずれか1つに記載の産業用ロボット。
【0172】
境界部分に沿うようにして操作ボタン及び保持部を並べることは、センサユニットによる監視範囲を広げる上で好ましい。
【符号の説明】
【0173】
10…ロボット、11…ロボット本体、12…センサユニット群、22…アーム、25~28…リンク、29…エンドエフェクタ、41c…屈曲部、45b…直線部、50…センサユニット、51…検知部、56,57…側部、70…第1留め具、80…第2留め具、82…連結プレート、90…規制部材、95…ネジ、100…センサユニット、101…検知部、106…爪部、108…縁部、109…凹部、120…ホルダ、121…ブラケット、122…面ファスナ、135…取付部、136…受け部、137…貫通孔、138…仕切り部、139…挿入部、140…ケーブル保持具、145…ケーブル、BP…境界部。
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