(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023067215
(43)【公開日】2023-05-16
(54)【発明の名称】制御装置
(51)【国際特許分類】
B62M 25/08 20060101AFI20230509BHJP
B62M 6/45 20100101ALI20230509BHJP
【FI】
B62M25/08
B62M6/45
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021178253
(22)【出願日】2021-10-29
(71)【出願人】
【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山口 遼太
(72)【発明者】
【氏名】田河 賢治
(72)【発明者】
【氏名】荒井 雅史
(57)【要約】
【課題】人力駆動車の振動状態に応じて変速装置を制御することによって、人力駆動車の快適な走行に貢献できる制御装置を提供する。
【解決手段】制御装置は、人力駆動車の駆動に関する状態量が変速条件を満たす場合、変速比を変更するように変速装置を制御する制御部を備える。制御部は、人力駆動車の振動状態が第1振動状態である場合、傾斜センサによって検出される傾斜に応じて変速条件を設定し、振動状態が第1振動状態とは異なる第2振動状態である場合、傾斜にかかわらず変速条件を設定する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人力駆動車の駆動に関する状態量が変速条件を満たす場合、変速比を変更するように変速装置を制御する制御部を備え、
前記制御部は、前記人力駆動車の振動状態が第1振動状態である場合、傾斜センサによって検出される傾斜に応じて前記変速条件を設定し、
前記振動状態が前記第1振動状態とは異なる第2振動状態である場合、前記傾斜にかかわらず前記変速条件を設定する、制御装置。
【請求項2】
人力駆動車の駆動に関する状態量が変速条件を満たす場合、変速比を変更するように変速装置を制御する制御部を備え、
前記制御部は、加速度センサによって検出される前記人力駆動車の振動状態が第1振動状態である場合、前記加速度センサによって検出される傾斜に応じて前記変速条件を設定し、
前記振動状態が前記第1振動状態とは異なる第2振動状態である場合、前記傾斜にかかわらず前記変速条件を設定する、制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記傾斜が第1傾斜状態の場合には、前記変速条件を第1変速条件に設定し、
前記傾斜が前記第1傾斜状態とは異なる第2傾斜状態の場合には、前記変速条件を、前記第1変速条件とは異なる第2変速条件に設定し、
前記振動状態が前記第2振動状態である場合、前記傾斜が前記第2傾斜状態であっても、前記変速条件を前記第1変速条件に設定する、請求項1に記載の制御装置。
【請求項4】
前記第1傾斜状態は、前記第2傾斜状態よりも前記傾斜が小さい、請求項3に記載の制御装置。
【請求項5】
前記第2振動状態は、前記第1振動状態よりも前記人力駆動車の振動が大きい、請求項1~4のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項6】
前記振動状態が前記第1振動状態であり、かつ前記人力駆動車の振動が第1所定振動範囲を超える場合、前記振動状態は前記第2振動状態に変更される、請求項1~5のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項7】
前記振動状態が前記第1振動状態であり、かつ所定時間内に前記第1所定振動範囲を超える前記振動の回数が所定回数以上である場合、前記振動状態は前記第2振動状態に変更される、請求項6に記載の制御装置。
【請求項8】
前記振動が前記第1所定振動範囲を超えてから第1所定経過時間内に、前記振動が前記第1所定振動範囲を超えない場合、前記第1所定振動範囲を超える前記振動の回数はリセットされる、請求項7に記載の制御装置。
【請求項9】
前記振動は、路面に直交する方向における前記人力駆動車の加速度であり、
前記第1所定振動範囲は、第1加速度閾値と第2加速度閾値との間の範囲であり、
前記第1加速度閾値は、前記路面に向かう方向における前記加速度の閾値であり、
前記第2加速度閾値は、前記路面に向かう方向とは反対方向における前記加速度の閾値であり、
前記第2加速度閾値の絶対値は、前記第1加速度閾値の絶対値よりも大きい、請求項6~8のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項10】
前記振動状態が前記第2振動状態であり、かつ前記振動が第2所定振動範囲を超える場合、前記振動状態は、前記第2振動状態に維持され、
前記第2所定振動範囲は、前記第1所定振動範囲よりも狭い、請求項6~9のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項11】
前記振動が前記第2所定振動範囲を超えてから第2所定経過時間内に、前記振動が前記第2所定振動範囲を超えない場合、前記振動状態は前記第1振動状態に変更される、請求項10に記載の制御装置。
【請求項12】
前記振動は、路面に直交する方向における前記人力駆動車の加速度であり、
前記第2所定振動範囲は、第3加速度閾値と第4加速度閾値との間の範囲であり、
前記第3加速度閾値は、前記路面に向かう方向における前記加速度の閾値であり、
前記第4加速度閾値は、前記路面に向かう方向とは反対方向における前記加速度の閾値であり、
前記第4加速度閾値の絶対値は、前記第3加速度閾値の絶対値よりも大きい、請求項10または11に記載の制御装置。
【請求項13】
前記第2所定振動範囲は、前記第1所定振動範囲とは異なる、請求項10~12のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項14】
前記第1所定振動範囲、および前記第2所定振動範囲は、前記人力駆動車の車速に応じて設定される、請求項10~13のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項15】
前記車速が所定車速以上の場合の前記第1所定振動範囲は、前記車速が所定車速未満の場合の前記第1所定振動範囲よりも広い、請求項14に記載の制御装置。
【請求項16】
前記車速が所定車速以上の場合の前記第2所定振動範囲は、前記車速が所定車速未満の場合の前記第2所定振動範囲よりも広い、請求項14または15に記載の制御装置。
【請求項17】
前記振動状態は、前記人力駆動車が走行する路面の状態であり、
前記第2振動状態は、石畳、および非舗装路の少なくとも1つの路面における前記振動状態を含む、請求項1~16のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項18】
前記状態量は、ケイデンスである、請求項1~17のいずれか一項に記載の制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、自転車に設けられる変速装置の変速比を自動で選択する制御装置が開示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の目的の1つは、人力駆動車の振動状態に応じて変速装置を制御することによって、人力駆動車の快適な走行に貢献できる制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第1側面に従う制御装置は、人力駆動車の駆動に関する状態量が変速条件を満たす場合、変速比を変更するように変速装置を制御する制御部を備える。前記制御部は、前記人力駆動車の振動状態が第1振動状態である場合、傾斜センサによって検出される傾斜に応じて前記変速条件を設定し、前記振動状態が前記第1振動状態とは異なる第2振動状態である場合、前記傾斜にかかわらず前記変速条件を設定する。
【0006】
第1側面の制御装置によれば、制御部は、人力駆動車の振動状態および傾斜に応じて変速条件を設定することによって、人力駆動車の変速装置の変速比を好適に変更できる。従って、制御装置は、人力駆動車の快適な走行に貢献できる。
【0007】
本開示の第2側面に従う制御装置は、人力駆動車の駆動に関する状態量が変速条件を満たす場合、変速比を変更するように変速装置を制御する制御部を備える。前記制御部は、加速度センサによって検出される前記人力駆動車の振動状態が第1振動状態である場合、前記加速度センサによって検出される傾斜に応じて前記変速条件を設定し、前記振動状態が前記第1振動状態とは異なる第2振動状態である場合、前記傾斜にかかわらず前記変速条件を設定する。
【0008】
第2側面の制御装置によれば、人力駆動車の振動状態、および人力駆動車の傾斜が加速度センサによって検出される人力駆動車において、制御部は、振動状態に応じて、変速条件を、傾斜を用いた変速条件、または傾斜を用いない変速条件に設定できる。制御部は、振動状態に応じて人力駆動車の変速装置の変速比を好適に変更できる。従って、制御装置は、人力駆動車の快適な走行に貢献できる。
【0009】
第1側面に従う第3側面の制御装置において、前記制御部は、前記傾斜が第1傾斜状態の場合には、前記変速条件を第1変速条件に設定し、前記傾斜が前記第1傾斜状態とは異なる第2傾斜状態の場合には、前記変速条件を、前記第1変速条件とは異なる第2変速条件に設定し、前記振動状態が前記第2振動状態である場合、前記傾斜が前記第2傾斜状態であっても、前記変速条件を前記第1変速条件に設定する。
【0010】
第3側面の制御装置によれば、振動状態が第2振動状態である場合、制御部は、第1傾斜状態と同じ変速条件によって人力駆動車の変速装置の変速比を変更できる。振動状態が第2振動状態である場合、制御部は、人力駆動車の変速装置の変速比を、第2傾斜状態に関わらない変速比に設定できる。振動状態が第2振動状態である場合、制御装置は、第1傾斜状態と同じ状態量によって変速装置の変速比を変更することによって、ライダに与える違和感を低減できる。従って、制御装置は、人力駆動車の快適な走行にさらに貢献できる。
【0011】
第3側面に従う第4側面の制御装置において、前記第1傾斜状態は、前記第2傾斜状態よりも前記傾斜が小さい。
【0012】
第4側面の制御装置によれば、制御部は、振動状態が第2振動状態である場合、傾斜が小さい第1傾斜状態の変速条件によって人力駆動車の変速装置の変速比を変更できる。従って、振動状態が第2振動状態であっても、制御装置は、第1傾斜状態の変速条件に基づいて、変速装置を制御することによって、人力駆動車の快適な走行にさらに貢献できる。
【0013】
第1から第4側面のいずれか1つに従う第5側面の制御装置において、前記第2振動状態は、前記第1振動状態よりも前記人力駆動車の振動が大きい。
【0014】
第5側面の制御装置によれば、センサによって検出される傾斜に振動ノイズが重畳されることによって、傾斜の信頼性が低い場合、制御部は、傾斜にかかわらず、変速条件を設定する。制御部は、信頼性が低い傾斜に基づく変速比の変更を抑制できる。従って、制御装置は、人力駆動車の快適な走行にさらに貢献できる。
【0015】
第1から第5側面のいずれか1つに従う第6側面の制御装置において、前記振動状態が前記第1振動状態であり、かつ前記人力駆動車の振動が第1所定振動範囲を超える場合、前記振動状態は前記第2振動状態に変更される。
【0016】
第6側面の制御装置によれば、制御部は、人力駆動車の振動の変化に応じて振動状態を第1振動状態から第2振動状態に好適に変更できる。制御部は、人力駆動車の振動状態および傾斜に応じて変速条件を好適に設定できる。従って、制御装置は、人力駆動車の快適な走行にさらに貢献できる。
【0017】
第6側面に従う第7側面の制御装置において、前記振動状態が前記第1振動状態であり、かつ所定時間内に前記第1所定振動範囲を超える前記振動の回数が所定回数以上である場合、前記振動状態は前記第2振動状態に変更される。
【0018】
第7側面の制御装置によれば、制御部は、振動状態を第1振動状態から第2振動状態に人力駆動車の振動に応じて正確に変更できる。従って、制御装置は、人力駆動車の快適な走行にさらに貢献できる。
【0019】
第7側面に従う第8側面の制御装置において、前記振動が前記第1所定振動範囲を超えてから第1所定経過時間内に、前記振動が前記第1所定振動範囲を超えない場合、前記第1所定振動範囲を超える前記振動の回数はリセットされる。
【0020】
第8側面の制御装置によれば、制御部は、ノイズおよび路面の段差の乗り越えによる影響が抑制された振動の回数をカウントできる。制御部は、人力駆動車の振動状態を正確に判定できる。制御部は、人力駆動車の振動状態および傾斜に応じて変速条件をさらに好適に設定できる。従って、制御装置は、人力駆動車の快適な走行にさらに貢献できる。
【0021】
第6から第8側面のいずれか1つに従う第9側面の制御装置において、前記振動は、路面に直交する方向における前記人力駆動車の加速度である。前記第1所定振動範囲は、第1加速度閾値と第2加速度閾値との間の範囲である。前記第1加速度閾値は、前記路面に向かう方向における前記加速度の閾値である。前記第2加速度閾値は、前記路面に向かう方向とは反対方向における前記加速度の閾値である。前記第2加速度閾値の絶対値は、前記第1加速度閾値の絶対値よりも大きい。
【0022】
第9側面の制御装置によれば、制御部は、重力加速度の影響が抑制される第1所定振動範囲によって、振動状態を判定できる。制御部は、人力駆動車の振動状態をさらに正確に判定できる。制御部は、人力駆動車の振動状態および傾斜にさらに適した変速条件を設定できる。従って、制御装置は、人力駆動車の快適な走行にさらに貢献できる。
【0023】
第6から第9側面のいずれか1つに従う第10側面の制御装置において、前記振動状態が前記第2振動状態であり、かつ前記振動が第2所定振動範囲を超える場合、前記振動状態は、前記第2振動状態に維持される。前記第2所定振動範囲は、前記第1所定振動範囲よりも狭い。
【0024】
第10側面の制御装置によれば、振動状態が第1振動状態から第2振動状態に変更された場合、制御部は、振動状態が第2振動状態から第1振動状態に変更されることを抑制する。制御部は、振動状態を第1振動状態または第2振動状態に頻繁に変更することを抑制できる。従って、制御装置は、人力駆動車の快適な走行にさらに貢献できる。
【0025】
第10側面に従う第11側面の制御装置において、前記振動が前記第2所定振動範囲を超えてから第2所定経過時間内に、前記振動が前記第2所定振動範囲を超えない場合、前記振動状態は前記第1振動状態に変更される。
【0026】
第11側面の制御装置によれば、制御部は、人力駆動車の振動状態を正確に判定できる。振動が検出されない場合、制御部は、振動状態を第1振動状態に変更できる。制御部は、振動状態に適した変速条件を設定できる。従って、制御装置は、人力駆動車の快適な走行にさらに貢献できる。
【0027】
第10または第11側面に従う第12側面の制御装置において、前記振動は、路面に直交する方向における前記人力駆動車の加速度である。前記第2所定振動範囲は、第3加速度閾値と第4加速度閾値との間の範囲である。前記第3加速度閾値は、前記路面に向かう方向における前記加速度の閾値である。前記第4加速度閾値は、前記路面に向かう方向とは反対方向における前記加速度の閾値である。前記第4加速度閾値の絶対値は、前記第3加速度閾値の絶対値よりも大きい。
【0028】
第12側面の制御装置によれば、制御部は、重力加速度の影響が抑制される第2所定振動範囲によって、振動状態を判定できる。制御部は、人力駆動車の振動状態をさらに正確に判定できる。制御部は、人力駆動車の振動状態および傾斜にさらに適した変速条件を設定できる。従って、制御装置は、人力駆動車の快適な走行にさらに貢献できる。
【0029】
第10から第12側面のいずれか1つに従う第13側面の制御装置において、前記第2所定振動範囲は、前記第1所定振動範囲とは異なる。
【0030】
第13側面の制御装置によれば、制御部は、振動状態を第1振動状態または第2振動状態に頻繁に変更することを抑制できる。従って、制御装置は、人力駆動車の快適な走行にさらに貢献できる。
【0031】
第10から第13側面のいずれか1つに従う第14側面の制御装置において、前記第1所定振動範囲、および前記第2所定振動範囲は、前記人力駆動車の車速に応じて設定される。
【0032】
第14側面の制御装置によれば、制御部は、車速に起因する振動の変化に合わせて第1所定振動範囲および第2所定振動範囲を設定できる。制御部は、車速に応じて振動状態を正確に判定できる。従って、制御装置は、人力駆動車の快適な走行にさらに貢献できる。
【0033】
第14側面に従う第15側面の制御装置において、前記車速が所定車速以上の場合の前記第1所定振動範囲は、前記車速が所定車速未満の場合の前記第1所定振動範囲よりも広い。
【0034】
第15側面の制御装置によれば、制御部は、車速に起因する振動の変化に合わせて第1所定振動範囲を設定できる。制御部は、振動状態を正確に判定できる。従って、制御装置は、人力駆動車の快適な走行にさらに貢献できる。
【0035】
第14または第15側面に従う第16側面の制御装置において、前記車速が所定車速以上の場合の前記第2所定振動範囲は、前記車速が所定車速未満の場合の前記第2所定振動範囲よりも広い。
【0036】
第16側面の制御装置によれば、制御部は、車速に起因する振動の変化に合わせて第2所定振動範囲を設定できる。制御部は、振動状態を正確に判定できる。従って、制御装置は、人力駆動車の快適な走行にさらに貢献できる。
【0037】
第1から第16側面のいずれか1つに従う第17側面の制御装置において、前記振動状態は、前記人力駆動車が走行する路面の状態である。前記第2振動状態は、石畳、および非舗装路の少なくとも1つの路面における前記振動状態を含む。
【0038】
第17側面の制御装置によれば、制御部は、人力駆動車が走行する路面の状態に応じて、変速条件を設定できる。例えば、石畳の走行に起因する振動によって傾斜を正確に判定できない場合、制御部は、傾斜にかかわらず変速条件を設定する。従って、制御装置は、人力駆動車の快適な走行にさらに貢献できる。
【0039】
第1から第17側面のいずれか1つに従う第18側面の制御装置において、前記状態量は、ケイデンスである。
【0040】
第18側面の制御装置によれば、制御部は、ケイデンスに基づいて変速装置の変速比を変更する。制御部は、ライダの状態に合わせて変速装置の変速比を変更できる。従って、制御装置は、人力駆動車の快適な走行にさらに貢献できる。
【発明の効果】
【0041】
本開示の制御装置によれば、人力駆動車の振動状態に応じて変速装置を制御することによって、人力駆動車の快適な走行に貢献できる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【
図1】
図1は、実施形態に係る制御装置を搭載する人力駆動車の側面図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る制御装置を含む人力駆動車の電気的構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る傾斜状態の変更方法を示す図である。
【
図4A】
図4Aは、実施形態に係る各傾斜状態における所定ケイデンス範囲を示す図(その1)である。
【
図4B】
図4Bは、実施形態に係る各傾斜状態における所定ケイデンス範囲を示す図(その2)である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る制御装置における変速制御の制御フローの一例を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、実施形態に係る制御装置において振動状態を設定する制御フローの一例を示すフローチャート(その1)である。
【
図7】
図7は、実施形態に係る制御装置において振動状態を設定する制御フローの一例を示すフローチャート(その2)である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
図1に示すように、人力駆動車10は、例えばマウンテンバイクである。人力駆動車10は、マウンテンバイクに限定されるものではなく、少なくとも人力によって駆動することができれば、ロードバイク、クロスバイク、シティバイク、カーゴバイク、ハンドサイクル、および、リカンベントなどの他の自転車であってもよい。人力駆動車10は、1輪車および3輪以上の車輪を有する車両であってよい。人力駆動車10は、電動ドライブユニットを備えてもよい。電動ドライブユニットは、人力駆動車10の推進をアシストするように構成される。
【0044】
以下では、X軸、Y軸およびZ軸を有する直交座標系が用いられて、人力駆動車10は説明されることがある。X軸は、人力駆動車10の前後方向に一致する。Y軸は、人力駆動車10の左右方向に一致する。Z軸は、人力駆動車10の上下方向に一致する。
【0045】
人力駆動車10は、フレーム12を含む。フレーム12は、例えば、ヘッドチューブ12A、トップチューブ12B、ダウンチューブ12C、シートステー12D、およびチェーンステー12Eを含む。人力駆動車10は、フロントフォーク12F、ステム12G、および、ハンドルバー12Hを含む。フロントフォーク12Fおよびステム12Gは、ヘッドチューブ12Aに連結される。ハンドルバー12Hは、ステム12Gに連結される。人力駆動車10は、車輪14と、ドライブトレイン16と、変速システム18とを備える。車輪14は、前輪14Aおよび後輪14Bを含む。前輪14Aは、フロントフォーク12Fに連結される。後輪14Bは、シートステー12D、およびチェーンステー12Eの接続部に連結される。
【0046】
ドライブトレイン16は、人力駆動力を後輪14Bに伝達するように構成される。ドライブトレイン16は、一対のペダル20と、クランク22と、フロントチェーンホイール24と、チェーン26と、リアスプロケット28とを含む。一対のペダル20に付加される人力駆動力によってクランク22が回転すると、フロントチェーンホイール24が回転する。フロントチェーンホイール24の回転力は、チェーン26を介してリアスプロケット28に伝達される。リアスプロケット28が回転することによって車輪14が回転する。リアスプロケット28は、複数のスプロケットを含む。リアスプロケット28は、歯数が異なる複数のスプロケットを含む。
【0047】
ドライブトレイン16は、フロントチェーンホイール24、リアスプロケット28およびチェーン26に代えて、プーリおよびベルトを含んでいてもよく、ベベルギアおよびシャフトを含んでいてもよい。クランク22は、クランク軸の軸方向の第1端部に連結される第1クランクアームと、クランク軸の軸方向の第2端部に連結される第2クランクアームと、を含む。ドライブトレイン16は、ワンウェイクラッチ、他のスプロケット、または他のチェーンなどの他の部品を含んでいてもよい。フロントチェーンホイール24は、複数のチェーンホイールを含んでいてもよい。好ましくは、フロントチェーンホイール24の回転軸は、クランク22の回転軸と同軸に配置される。リアスプロケット28の回転軸は、後輪14Bの回転軸と同軸に配置される。
【0048】
変速システム18は、制御装置30と、変速装置32とを含む。制御装置30は、例えば、フレーム12に設けられる。制御装置30は、ダウンチューブ12Cに収容されてもよい。制御装置30は、変速装置32に設けられてもよい。制御装置30は、バッテリ34から供給される電力によって動作する。
【0049】
変速装置32は、人力駆動力の伝達経路に設けられる。人力駆動力の伝達経路は、ペダル20に付加された人力駆動力が車輪14に伝達されるまでの経路である。変速装置32は、外装変速機を含む。変速装置32は、例えばリアディレーラ36を含む。変速装置32は、フロントディレーラを含んでもよい。本実施形態の変速装置32は、リアディレーラ36、チェーン26、および、リアスプロケット28を含む。リアディレーラ36によってチェーン26と噛み合うリアスプロケット28が切り替えられることによって、変速装置32の変速比が変更される。
【0050】
変速比は、フロントチェーンホイール24の歯数と、リアスプロケット28の歯数との関係に基づいて規定される。一例では、変速比は、リアスプロケット28の歯数に対するフロントチェーンホイール24の歯数の割合で定義される。変速比をRとし、リアスプロケット28の歯数をTRとし、フロントチェーンホイール24の歯数TFとすると、変速比Rは、R=TF/TRによって表される。リアスプロケット28の歯数は、車輪14の回転速度に置き換えられ、フロントチェーンホイール24の歯数TFは、クランク22の回転速度に置き換えられてもよい。この場合、変速比Rは、クランク22の回転速度に対する車輪14の回転速度によって表される。変速装置32は、外装変速機に代えて内装変速機を含んでもよい。内装変速機は、例えば後輪14Bのハブに設けられる。変速装置32は、外装変速機に代えて無段変速機を含んでもよい。無段変速機は、例えば後輪14Bのハブに設けられる。
【0051】
変速システム18は、手動変速モード、および自動変速モードによって、変速装置32の変速比を変更できるように構成される。制御装置30は、変速モードとして手動変速モードおよび自動変速モードを有する。変速モードは、ライダによって切り替えられる。
【0052】
変速モードが手動変速モードに設定される場合、変速システム18は、例えば変速操作装置38の操作に応じて、変速装置32が駆動されるように構成される。変速装置32は、電動アクチュエータ40を含む。変速装置32は、バッテリ34から供給される電力によって動作する。変速装置32は、変速装置32の専用バッテリから電力が供給されてもよい。本実施形態では、電動アクチュエータ40によって、リアディレーラ36が駆動される。電動アクチュエータ40は、例えば、リアディレーラ36に設けられる。電動アクチュエータ40は、ボーデンケーブルを介してリアディレーラ36に接続されてもよい。電動アクチュエータ40は、例えば、電動モータ、および、電動モータに接続される減速機を含む。変速モードが自動変速モードである場合、変速システム18は、人力駆動車10の入力情報と変速条件とに応じて、変速装置32が駆動されるように構成される。
【0053】
制御装置30は、
図2に示すように、記憶部50と、制御部52とを備える。記憶部50は、例えば、不揮発性メモリおよび揮発性メモリなどの記憶装置を含む。不揮発性メモリは、例えば、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、ハードディスクの少なくとも1つを含む。揮発性メモリは、例えば、RAM(Random Access Memory)を含む。記憶部50は、制御部52が制御に用いるプログラムを記憶する。記憶部50は、例えば変速条件に関する情報を記憶する。
【0054】
制御部52は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、またはMPU(Micro Processing Unit)などの演算装置を含む。制御部52は、複数の演算装置を含んでいてもよい。複数の演算装置は、相互に離れた位置に設けられてもよい。制御部52は、例えば演算装置がROMに記憶されるプログラムを、RAMを作業領域として使用して実行することによって、変速システム18全体の動作を統括的に制御するように構成される。制御部52は、人力駆動車10の変速装置32以外に、人力駆動車10に搭載される各種のコンポーネントをさらに制御してもよい。制御部52は、例えば電動ドライブユニットを制御してもよい。
【0055】
制御部52は、車速センサ60と、クランク回転センサ62と、傾斜センサ64と、入力装置66と、電動アクチュエータ40とに、電気ケーブルおよび無線通信装置の少なくとも1つを介して接続される。制御部52は、外部装置68と電気ケーブルおよび無線通信装置の少なくとも1つを介して接続される。制御部52は、電気ケーブルを介してバッテリ34と接続される。
【0056】
好ましくは、制御部52は、第1インタフェース52Aを含む。第1インタフェース52Aは、車速センサ60によって検出される情報を入力するように構成される。好ましくは、制御部52は、第2インタフェース52Bを含む。第2インタフェース52Bは、クランク回転センサ62によって検出される情報を入力するように構成される。好ましくは、制御部52は、第3インタフェース52Cを含む。第3インタフェース52Cは、傾斜センサ64によって検出される情報を入力するように構成される。好ましくは、制御部52は、第4インタフェース52Dを含む。第4インタフェース52Dは、入力装置66によって受け付けられた情報を入力するように構成される。好ましくは、制御部52は、第5インタフェース52Eを含む。第5インタフェース52Eは、外部装置68から送信される情報を入力するように構成される。好ましくは、制御部52は、第6インタフェース52Fを含む。第6インタフェース52Fは、変速操作装置38から送信される情報を入力するように構成される。
【0057】
第1インタフェース52Aから第6インタフェース52Fは、例えば、ケーブル接続ポートおよび無線通信装置の少なくとも1つを含む。無線通信装置は、例えば、近距離無線通信ユニットを含む。近距離無線通信ユニットは、例えば、Bluetooth(登録商標)およびANT+などの無線通信規格に基づいて無線通信するように構成される。
【0058】
第1インタフェース52Aには、車速センサ60に接続される電気ケーブルが固定されてもよい。第2インタフェース52Bには、クランク回転センサ62に接続される電気ケーブルが固定されてもよい。第3インタフェース52Cには、傾斜センサ64に接続される電気ケーブルが固定されてもよい。第4インタフェース52Dには、入力装置66に接続される電気ケーブルが固定されてもよい。第5インタフェース52Eは、例えば、無線通信装置を含む。第6インタフェース52Fは、変速操作装置38に接続される電気ケーブルが接続されてもよい。
【0059】
車速センサ60は、人力駆動車10の速度に関する情報を制御部52へ出力するように構成される。車速センサ60は、車輪14の回転速度に応じた信号を出力するように構成される。車速センサ60は、例えば、人力駆動車10のチェーンステー12Eに設けられる。車速センサ60は、磁気センサを含む。車速センサ60は、車輪14のスポーク、ディスクブレーキロータ、またはハブに取り付けられる1または複数の磁石の磁界を検出するように構成される。
【0060】
車速センサ60は、磁界を検出すると信号を出力するように構成される。制御部52は、例えば、車輪14の回転に伴って車速センサ60から出力される信号の時間間隔または信号の幅と、車輪14の周長に関する情報とに基づいて、人力駆動車10の走行速度を演算するように構成される。車速センサ60は、人力駆動車10の速度に関する情報を出力するように構成されれば、どのような構成であってもよく、磁気センサに限らず、光学センサ、加速度センサ、または、GPS受信機などの他のセンサを含んでいてもよい。
【0061】
クランク回転センサ62は、クランク22の回転状態に応じた情報を制御部52へ出力するように構成される。クランク回転センサ62は、例えば、クランク22の回転速度に応じた情報を検出するように構成される。クランク回転センサ62は、磁界の強度に応じた信号を出力する磁気センサを含んで構成される。周方向に磁界の強度が変化する環状の磁石が、クランク22の回転軸に連動して回転する部材、または、クランク22の回転軸からフロントチェーンホイール24までの間の動力伝達経路に設けられる。
【0062】
例えば、クランク22の回転軸とフロントチェーンホイール24との間にワンウェイクラッチが設けられない場合、フロントチェーンホイール24に環状の磁石が設けられてもよい。クランク回転センサ62は、クランク22の回転状態に応じた情報を出力するように構成されれば、どのような構成であってもよく、磁気センサに代えて光学センサ、加速度センサ、ジャイロセンサ、またはトルクセンサなどを含んでいてもよい。
【0063】
傾斜センサ64は、傾斜に関する情報を制御部52へ出力するように構成される。傾斜センサ64は、例えば、加速度センサを含む。傾斜センサ64は、角速度センサを含んでもよい。傾斜は、人力駆動車10の姿勢角である。傾斜は、人力駆動車10が走行する路面に対する人力駆動車10の姿勢角を含む。人力駆動車10が上り坂を走行する場合、傾斜は正の値となる。人力駆動車10が下り坂を走行する場合、傾斜は負の値となる。
【0064】
傾斜センサ64は、X軸、Y軸、およびZ軸の軸方向における加速度に応じた情報を出力するように構成される。傾斜センサ64は、水平面に前輪14A、および、後輪14Bを接地させて直立させた基準状態において、Z軸が重力方向に沿うように人力駆動車10に設けられる。具体的には、傾斜センサ64は、水平面に前輪14A、および、後輪14Bを接地させて直立させた状態において、Z軸正方向が鉛直方向に一致するように人力駆動車10に設けられる。傾斜センサ64は、水平面に前輪14A、および、後輪14Bを接地させて直立させた状態において、Y軸が人力駆動車10の前後方向に沿うように人力駆動車10に設けられる。具体的には、傾斜センサ64は、水平面に前輪14A、および、後輪14Bを接地させて直立させた状態において、Y軸正方向が人力駆動車10の前進方向に一致するように設けられる。
【0065】
傾斜は、X軸、Y軸およびZ軸における加速度から、Z軸正方向と重力方向との角度が検出されることによって、算出される。Z軸正方向と重力方向との角度は、Y軸回りのピッチ角である。傾斜は、Y軸回りのピッチ角を傾斜として検出される。
【0066】
人力駆動車10が走行する場合、傾斜センサ64によって検出されるX軸方向の加速度には、人力駆動車10の走行における加速度が含まれる。傾斜センサ64によって検出されるX軸方向の加速度を、車速センサ60によって検出される車速から算出されるX軸方向の加速度によって補正することによって、X軸方向の加速度が算出される。傾斜は、補正されたX軸方向の加速度を用いて算出される。
【0067】
入力装置66は、入力された情報を制御部52へ出力するように構成される。入力装置66は、例えばサイクルコンピュータを含む。入力装置66は、人力駆動車10に着脱可能に設けられてもよい。入力装置66は、スマートフォンを含んでいてもよい。
【0068】
外部装置68は、例えば人力駆動車10の設定を外部から変更可能な装置である。外部装置68は、スマートデバイス、およびパーソナルコンピュータの少なくとも1つを含む。スマートデバイスは、スマートウォッチなどのウェアラブルデバイス、スマートフォン、およびタブレットコンピュータの少なくとも1つを含む。
【0069】
変速操作装置38は、ユーザの手指などによって操作される操作スイッチを含む。好ましくは、変速操作装置38は、アップシフト用の操作スイッチと、ダウンシフト用の操作スイッチを含む。変速操作装置38は、好ましくは、ハンドルバー12Hに設けられる。
【0070】
変速モードが自動変速モードであり、人力駆動車10の駆動に関する状態量が変速条件を満たす場合、制御部52は、変速比を変更するように変速装置32を制御する。人力駆動車10の駆動に関する状態量は、ケイデンス、速度、ドライブトレイン16に作用する人力駆動力の少なく1つを含む。例えば、人力駆動車10の駆動に関する状態量は、ケイデンスである。ケイデンスは、人力駆動車10のクランク軸の回転速度を含む。人力駆動車10の駆動に関するクランク軸の回転速度に関するケイデンスが変速条件を満たす場合、制御部52は、変速比を変更するように変速装置32を制御する。ケイデンスは、人力駆動車10の後輪14Bの回転速度を変速装置32の変速比によって除算することによって算出されてもよい。制御部52は、傾斜状態に基づいて変速条件を設定する。
【0071】
制御部52は、傾斜センサ64によって検出される傾斜に基づいて傾斜状態を
図3に示すように変更する。傾斜状態は、「FLAT」、「UP1」、「UP2」、「UP3」、「DW1」、「DW2」および「DW3」の7つ状態を含む。「FLAT」は、水平路面の状態を含む。「UP1」、「UP2」および「UP3」は、人力駆動車10の進行方向に対して上り傾斜の状態を含む。「UP2」は、「UP1」よりも上り傾斜が大きい状態である。「UP3」は、「UP2」よりも上り傾斜が大きい状態である。「DW1」、「DW2」および「DW3」は、人力駆動車10の進行方向に対して下り傾斜の状態を含む。「DW2」は、「DW1」よりも下り傾斜が大きい状態である。「DW3」は、「DW2」よりも下り傾斜が大きい状態である。
【0072】
例えば、傾斜状態が「FLAT」であり、かつ傾斜が第1閾値以上である場合、傾斜状態は、「FLAT」から「UP1」に変更される。第1閾値は、予め設定される値である。第1閾値は、上り傾斜を示す値である。傾斜状態が「UP1」であり、かつ傾斜が第2閾値以上である状態が第1時間以上継続する場合、傾斜状態は、「UP1」から「UP2」に変更される。第2閾値は、予め設定される値である。第2閾値は、第1閾値よりも大きい。第1時間は、予め設定される時間である。傾斜状態が「UP2」であり、かつ傾斜が第3閾値以上である状態が第2時間以上継続する場合、傾斜状態は、「UP2」から「UP3」に変更される。第3閾値は、予め設定される値である。第3閾値は、第2閾値よりも大きい。第2時間は、予め設定される時間である。第2時間は、第1時間と同じ時間であってもよい。
【0073】
傾斜状態が「UP3」であり、かつ傾斜が第4閾値以下である場合、傾斜状態は、「UP3」から「UP2」に変更される。第4閾値は、予め設定される値である。第4閾値は、第3閾値よりも小さい。傾斜状態が「UP2」であり、かつ傾斜が第5閾値以下である場合、傾斜状態は、「UP2」から「UP1」に変更される。第5閾値は、予め設定される値である。第5閾値は、第2閾値よりも小さい。傾斜状態が「UP1」であり、かつ傾斜が第6閾値以下である場合、傾斜状態は、「UP1」から「FLAT」に変更される。第6閾値は、予め設定される値である。第6閾値は、第1閾値よりも小さい。
【0074】
傾斜状態が「FLAT」であり、かつ傾斜が第7閾値以下である場合、傾斜状態は、「FLAT」から「DW1」に変更される。第7閾値は、予め設定される値である。第7閾値は、下り傾斜を示す値である。傾斜状態が「DW1」であり、かつ傾斜が第8閾値以下である状態が第3時間以上継続する場合、傾斜状態は、「DW1」から「DW2」に変更される。第8閾値は、予め設定される値である。第3時間は、予め設定される時間である。第8閾値は、第7閾値よりも小さい。傾斜状態が「DW2」であり、かつ傾斜が第9閾値以下である状態が第4時間以上継続する場合、傾斜状態は、「DW2」から「DW3」に変更される。第9閾値は、予め設定される値である。第9閾値は、第8閾値よりも小さい。第4時間は、予め設定される時間である。第4時間は、第3時間と同じ時間であってもよい。
【0075】
傾斜状態が「DW3」であり、かつ傾斜が第10閾値以上である場合、傾斜状態は、「DW3」から「DW2」に変更される。第10閾値は、予め設定される値である。第10閾値は、第9閾値よりも大きい。傾斜状態が「DW2」であり、かつ傾斜が第11閾値以上である場合、傾斜状態は、「DW2」から「DW1」に変更される。第11閾値は、予め設定される値である。第11閾値は、第8閾値よりも大きい。傾斜状態が「DW1」であり、かつ傾斜が第12閾値以上である場合、傾斜状態は、「DW1」から「FLAT」に変更される。第12閾値は、予め設定される値である。第12閾値は、第7閾値よりも大きい。
【0076】
変速モードが自動変速モードであり、かつ人力駆動車10の駆動に関する状態量がケイデンスである場合、変速条件は、ケイデンスに関する条件である。ケイデンスが所定ケイデンス範囲を超える場合、制御部52は、変速条件を満たすと判定する。ケイデンスが所定ケイデンス範囲を超える場合、制御部52は、変速比を変更するように変速装置32を制御する。所定ケイデンス範囲は、下限ケイデンス以上、かつ上限ケイデンス以下の範囲である。所定ケイデンス範囲は、基準ケイデンスを含む。下限ケイデンス、および上限ケイデンスのうち少なくとも1つは、基準ケイデンスに対して設定される。ケイデンスが上限ケイデンスよりも大きい場合、制御部52は、変速比が大きくなるように変速装置32を制御する。ケイデンスが下限ケイデンスよりも小さい場合、制御部52は、変速比が小さくなるように変速装置32を制御する。所定ケイデンス範囲は、傾斜状態に基づいて設定される。所定ケイデンス範囲は、ユーザによって設定されてもよい。基準ケイデンスは、ユーザによって設定されてもよい。下限ケイデンスおよび上限ケイデンスの少なくとも1つは、ユーザによって設定されてもよい。ユーザは、ライダを含む。例えば、所定ケイデンス範囲は、入力装置66および外部装置68の少なくとも1つを介して設定されてもよい。
【0077】
制御部52は、人力駆動車10の傾斜に基づいて所定ケイデンス範囲を設定する。所定ケイデンス範囲は、
図4Aおよび
図4Bに示すように、各傾斜状態に対してそれぞれ設定される。複数の傾斜状態に対して同じ所定ケイデンス範囲が設定されてもよい。
【0078】
傾斜状態が「FLAT」である場合、所定ケイデンス範囲は、第1所定ケイデンス範囲に設定される。第1所定ケイデンス範囲は、第1下限ケイデンス以上、かつ第1上限ケイデンス以下の範囲である。第1下限ケイデンスは、基準ケイデンスから第1所定値が減算されて設定される。第1所定値は、予め設定される値である。第1上限ケイデンスは、基準ケイデンスに第1所定値が加算されて設定される。
【0079】
傾斜状態が「UP1」である場合、所定ケイデンス範囲は、第2所定ケイデンス範囲に設定される。第2所定ケイデンス範囲は、第2下限ケイデンス以上、かつ第2上限ケイデンス以下の範囲である。第2下限ケイデンスは、第1下限ケイデンスと同じである。第2下限ケイデンスは、第1下限ケイデンスとは異なる値であってもよい。第2上限ケイデンスは、基準ケイデンスに第2所定値が加算されて設定される。第2所定値は、予め設定される値である。第2所定値は、第1所定値よりも大きい。第2上限ケイデンスは、第1上限ケイデンスよりも大きい。
【0080】
傾斜状態が「UP2」である場合、所定ケイデンス範囲は、第3所定ケイデンス範囲に設定される。第3所定ケイデンス範囲は、第3下限ケイデンス以上、かつ第3上限ケイデンス以下の範囲である。第3下限ケイデンスは、第2下限ケイデンスよりも大きい。第3下限ケイデンスは、傾斜が第2閾値以上になった時のケイデンス、および基準ケイデンスのうち、大きいケイデンスから、第3所定値が減算されて設定される。第3所定値は、予め設定される値である。第3上限ケイデンスは、第2上限ケイデンスよりも大きい。例えば、第3上限ケイデンスは、基準ケイデンスに第4所定値が加算される値、および第5所定値のうち、大きい値である。第4所定値は、予め設定される値である。第4所定値は、第2所定値よりも大きい。第5所定値は、予め設定される値である。第5所定値は、基準ケイデンスに関係なく設定される上限値である。
【0081】
傾斜状態が「UP3」である場合、所定ケイデンス範囲は、第4所定ケイデンス範囲に設定される。第4所定ケイデンス範囲は、第4下限ケイデンス以上、かつ第4上限ケイデンス以下の範囲である。第4下限ケイデンスは、第3下限ケイデンスよりも大きい。例えば、第4下限ケイデンスは、傾斜が第3閾値以上になった時のケイデンス、および基準ケイデンスのうち、大きいケイデンスから、第6所定値が減算されて設定される。第6所定値は、予め設定される値である。第6所定値は、第4所定値よりも小さい。第4上限ケイデンスは、第3上限ケイデンスと同じである。第4上限ケイデンスは、第3上限ケイデンスよりも大きい値であってもよい。
【0082】
傾斜状態が「DW1」である場合、所定ケイデンス範囲は、第5所定ケイデンス範囲に設定される。第5所定ケイデンス範囲は、第5下限ケイデンス以上、かつ第5上限ケイデンス以下の範囲である。例えば、第5所定ケイデンス範囲は、第1所定ケイデンス範囲と同じ範囲である。第5所定ケイデンス範囲は、第1所定ケイデンス範囲とは異なる範囲に設定されてもよい。例えば、第5下限ケイデンスは、第1下限ケイデンスよりも小さくてもよい。制御部52は、人力駆動車10が下り坂を走行する場合、変速比が小さくなることを抑制するように所定ケイデンス範囲を設定してもよい。
【0083】
傾斜状態が「DW2」である場合、所定ケイデンス範囲は、第6所定ケイデンス範囲に設定される。第6所定ケイデンス範囲は、第6下限ケイデンス以上、かつ第6上限ケイデンス以下の範囲である。第6下限ケイデンスは、第1下限ケイデンスよりも小さい。第6下限ケイデンスは、基準ケイデンスから、第7所定値が減算されて設定される。第7所定値は、予め設定される値である。第7所定値は、第1所定値よりも大きい。第6上限ケイデンスは、第1上限ケイデンスよりも小さい。第6上限ケイデンスは、基準ケイデンスに第8所定値が加算されて設定される。第8所定値は、予め設定される値である。第8所定値は、第1所定値よりも小さい。第6下限ケイデンスは、基準ケイデンスに関係なく設定される下限値であってもよい。
【0084】
傾斜状態が「DW3」である場合、所定ケイデンス範囲は、第7所定ケイデンス範囲に設定される。第7所定ケイデンス範囲は、第7下限ケイデンス以上、かつ第7上限ケイデンス以下の範囲である。第7下限ケイデンスは、第6下限ケイデンスよりも小さい。第7下限ケイデンスは、基準ケイデンスから、第9所定値が減算されて設定される。第9所定値は、予め設定される値である。第9所定値は、第7所定値よりも大きい。第7上限ケイデンスは、第6上限ケイデンスと同じである。第7上限ケイデンスは、第6上限ケイデンスとは異なる値であってもよい。第7所定ケイデンス範囲は、第6所定ケイデンス範囲と同じ範囲に設定されてもよい。第7上限ケイデンス、および、第7下限ケイデンスのうち、少なくとも1つは、基準ケイデンスに関係なく設定される下限値であってもよい。
【0085】
制御部52は、変速モードが自動変速モードである場合、
図5に示す制御フローを実行することによって、変速装置32を制御する。制御部52は、
図5に示す制御フローが終了すると、自動変速モードが解除されるまで、または、電力の供給が停止されるまで、
図5に示す制御フローを繰り返し実行する。
【0086】
制御部52は、ステップS10において傾斜を検出して、ステップS11に移行する。制御部52は、ステップS11において人力駆動車10の振動状態が第1振動状態であるか否かを判定する。制御部52は、人力駆動車10の振動状態が、第1振動状態であるか、第2振動状態であるかを判定する。振動状態は、人力駆動車10が走行する路面の状態である。振動状態は、人力駆動車10の上下方向における振動である。振動状態の設定方法の詳細は、後述される。第1振動状態は、凹凸が少ない舗装路における振動状態を含む。凹凸が少ない舗装路は、例えば、アスファルト、コンクリートによって舗装された路面を含む。第2振動状態は、石畳および非舗装路の少なくとも1つの路面における振動状態を含む。石畳および非舗装路の少なくとも1つの路面は、凹凸が多い路面である。非舗装路は、砂利道を含む。第2振動状態は、第1振動状態よりも人力駆動車10の振動が大きい。
【0087】
人力駆動車10の振動状態が第1振動状態である場合、制御部52は、傾斜センサ64によって検出される傾斜に応じて変速条件を設定する。加速度センサによって検出される人力駆動車10の振動状態が第1振動状態である場合、制御部52は、加速度センサによって検出される傾斜に応じて変速条件を設定する。人力駆動車10の振動状態が第1振動状態である場合、制御部52は、ステップS12に移行する。制御部52は、ステップS12において、傾斜が第1傾斜状態であるか否かを判定する。制御部52は、傾斜が第1傾斜状態であるか、第2傾斜状態であるかを判定する。第1傾斜状態は、傾斜が無い状態を含む。第1傾斜状態は、「FLAT」の傾斜状態を含む。第2傾斜状態は、第1傾斜状態以外の傾斜状態である。第2傾斜状態は、「UP1」、「UP2」、「UP3」、「DW1」、「DW2」および「DW3」を含む。第1傾斜状態は、第2傾斜状態よりも傾斜が小さい。具体的には、第1傾斜状態の傾斜の絶対値は、第2傾斜状態の傾斜の絶対値よりも小さい。第1傾斜状態は、「FLAT」の傾斜状態に加えて、「DW1」の傾斜状態を含んでもよい。
【0088】
傾斜状態が第1傾斜状態である場合、制御部52は、ステップS13に移行する。制御部52は、ステップS13において、変速条件を第1変速条件に設定する。第1変速条件は、第1所定ケイデンス範囲である。制御部52は、変速条件を第1変速条件に設定し、ステップS14に移行する。
【0089】
制御部52は、ステップS14において、第1変速条件を満たすか否かを判定する。制御部52は、ケイデンスが第1所定ケイデンス範囲を超えるか否かを判定する。ケイデンスが第1上限ケイデンスよりも大きい場合、またはケイデンスが第1下限ケイデンスよりも小さい場合、制御部52は、ケイデンスが第1所定ケイデンス範囲を超えると判定する。すなわち、ケイデンスが第1上限ケイデンスよりも大きい場合、またはケイデンスが第1下限ケイデンスよりも小さい場合、制御部52は、第1変速条件を満たすと判定する。ケイデンスが第1所定ケイデンス範囲内である場合、制御部52は、第1変速条件を満たさないと判定する。第1変速条件が満たされる場合、制御部52は、ステップS15に移行し、変速比が変わるように変速装置32を制御する。ケイデンスが第1上限ケイデンスよりも大きい場合、制御部52は、変速比が大きくなるように変速装置32を制御する。ケイデンスが第1下限ケイデンスよりも小さい場合、制御部52は、変速比が小さくなるように変速装置32を制御する。第1変速条件が満たされない場合、制御部52は、今回の処理を終了する。
【0090】
ステップS12において傾斜が第1傾斜状態ではないと判定された場合、制御部52は、ステップS16に移行する。すなわち、傾斜が第1傾斜状態とは異なる第2傾斜状態である場合、制御部52は、ステップS16に移行する。制御部52は、ステップS16において、変速条件を、第1変速条件とは異なる第2変速条件に設定する。第2変速条件は、第2所定ケイデンス範囲~第7所定ケイデンス範囲を含む。第2変速条件は、傾斜に応じて、第2所定ケイデンス範囲~第7所定ケイデンス範囲のうちいずれか1つに設定される。
【0091】
制御部52は、傾斜に応じて変速条件を第2変速条件に設定し、ステップS17に移行する。制御部52は、ステップS17において、第2変速条件を満たすか否かを判定する。制御部52は、ステップS16において設定される所定ケイデンス範囲をケイデンスが超えるか否かを判定する。
【0092】
例えば、ステップS16において、第2所定ケイデンス範囲が第2変速条件として設定される場合、制御部52は、ケイデンスが第2所定ケイデンス範囲を超えるか否かを判定する。ケイデンスが第2上限ケイデンスよりも大きい場合、またはケイデンスが第2下限ケイデンス範囲よりも小さい場合、制御部52は、ケイデンスが第2所定ケイデンス範囲を超えると判定する。すなわち、ケイデンスが第2上限ケイデンスよりも大きい場合、またはケイデンスが第2下限ケイデンスよりも小さい場合、制御部52は、第2変速条件を満たすと判定する。ケイデンスが第2所定ケイデンス範囲内である場合、制御部52は、第2変速条件を満たさないと判定する。
【0093】
ステップS16において設定される所定ケイデンス範囲をケイデンスが超える場合、制御部52は、第2変速条件を満たすと判定する。ケイデンスが、ステップS16において設定される所定ケイデンス範囲内である場合、制御部52は、第2変速条件を満たさないと判定する。第2変速条件が満たされる場合、制御部52は、ステップS15に移行し、変速比が変わるように変速装置32を制御する。ケイデンスが第2上限ケイデンスよりも大きい場合、制御部52は、変速比が大きくなるように変速装置32を制御する。ケイデンスが第2下限ケイデンスよりも小さい場合、制御部52は、変速比が小さくなるように変速装置32を制御する。第2変速条件が満たされない場合、制御部52は、今回の処理を終了する。
【0094】
ステップS11において、人力駆動車10の振動状態が第2振動状態であると判定される場合、制御部52は、ステップS18に移行する。人力駆動車10の振動状態が第2振動状態である場合、制御部52は、傾斜にかかわらず変速条件を設定する。制御部52は、ステップS18において、変速条件を第1変速条件に設定する。制御部52は、人力駆動車の振動が大きい場合、傾斜にかかわらず変速条件を設定する。人力駆動車10の振動状態が第2振動状態である場合、制御部52は、例えば傾斜が第2傾斜状態であっても、変速条件を第1変速条件に設定する。人力駆動車10の振動状態が第2振動状態である場合、制御部52は、変速条件を第1所定ケイデンス範囲に設定する。すなわち、人力駆動車10の振動状態が第2振動状態である場合、制御部52は、傾斜にかかわらず、変速条件を、傾斜状態が「FLAT」である場合の第1変速条件に設定する。制御部52は、変速条件を第1変速条件に設定し、ステップS19に移行する。
【0095】
制御部52は、ステップS19において第1変速条件を満たすか否かを判定する。第1変速条件が満たされる場合、制御部52は、ステップS15に移行し、変速比が変わるように変速装置32を制御する。ケイデンスが第1上限ケイデンスよりも大きい場合、制御部52は、変速比が大きくなるように変速装置32を制御する。ケイデンスが第1下限ケイデンスよりも小さい場合、制御部52は、変速比が小さくなるように変速装置32を制御する。人力駆動車10の振動状態が第2振動状態である場合、傾斜にかかわらず第1変速条件に基づいて、制御部52は、変速装置32を制御する。第1変速条件が満たされない場合、制御部52は、今回の処理を終了する。
【0096】
制御部52は、
図6および
図7に示す制御フローを実行することによって、振動状態を設定する。
図6および
図7に示す制御フローは、変速モードが自動変速モードである場合に実行される。制御部52は、
図6および
図7に示す制御フローが終了すると、自動変速モードが解除されるまで、または、電力の供給が停止されるまで、
図6および
図7に示す制御フローを繰り返し実行する。
図6および
図7に示す制御フローは、変速モードが手動変速モードである場合にも実行されてもよい。
【0097】
制御部52は、ステップS30において車速を検出し、ステップS31に移行する。制御部52は、ステップS31において振動を検出する。振動は、路面に直交する方向における人力駆動車10の加速度である。制御部52は、傾斜センサ64によってZ軸方向の加速度を人力駆動車10の振動として検出する。制御部52は、振動を検出した後、ステップS32に移行する。
【0098】
制御部52は、ステップS32において、車速が所定車速未満であるか否かを判定する。所定車速は、予め設定された車速である。車速が所定車速未満である場合、制御部52は、ステップS33に移行する。制御部52は、ステップS33において、現在の人力駆動車10の振動状態が第1振動状態であるか否かを判定する。制御部52は、現在の人力駆動車10の振動状態が、第1振動状態であるか、第2振動状態であるか判定する。現在の人力駆動車10の振動状態が第1振動状態である場合、制御部52は、ステップS34に移行する。
【0099】
制御部52は、ステップS34において、振動が第1所定振動範囲内であるか否かを判定する。第1所定振動範囲は、予め設定される範囲である。第1所定振動範囲は、人力駆動車10の車速に応じて設定される。第1所定振動範囲は、第1加速度閾値と第2加速度閾値との間の範囲である。第1加速度閾値は、路面に向かう方向における加速度の閾値である。第1加速度閾値は、Z軸正方向における加速度の閾値である。第2加速度閾値は、路面に向かう方向とは反対方向における加速度の閾値である。第2加速度閾値は、Z軸負方向における加速度の閾値である。第2加速度閾値の絶対値は、第1加速度閾値の絶対値よりも大きい。傾斜センサ64は、基準状態においてZ軸負方向に「1G」の加速度を検出する。すなわち、傾斜センサ64によって検出されるZ軸方向の加速度は、Z軸負方向にオフセットされる値が検出される。そのため、Z軸負方向へオフセットされる値が考慮されて、第1加速度閾値および第2加速度閾値は、設定される。例えば、第2加速度閾値の絶対値は、第1加速度閾値の絶対値に、Z軸方向へオフセットされる値の絶対値を加算して設定される。振動が第1加速度閾値以下であり、かつ振動が第2加速度閾値以上である場合、制御部52は、振動が第1所定振動範囲内であると判定する。振動が第1加速度閾値よりも大きい場合、または振動が第2加速度閾値よりも小さい場合、制御部52は、振動が第1所定振動範囲を超えると判定する。第1所定振動範囲は、ライダなどによって設定されてもよい。例えば、第1所定振動範囲は、入力装置66および外部装置68の少なくとも1つを介して設定されてもよい。
【0100】
ステップS34において、振動が第1所定振動範囲を超えると判定される場合、制御部52は、ステップS35に移行する。制御部52は、ステップS35において、段差を検出したと判定する。段差は、第1所定振動範囲を超える振動が生じる路面の高低差である。制御部52は、段差を検出した後、ステップS36に移行する。制御部52は、ステップS36において、段差の回数をインクリメントして、ステップS37に移行する。
【0101】
制御部52は、ステップS37において、第1所定条件を満たすか否かを判定する。所定時間内における段差の回数が所定回数以上である場合、制御部52は、第1所定条件を満たすと判定する。所定時間は、予め設定される時間である。所定回数は、予め設定される回数である。例えば、所定時間および所定回数は、人力駆動車10が石畳など、凹凸が多い路面を走行する場合に発生する振動に対応する値である。所定時間内における段差の回数が所定回数未満である場合、制御部52は、第1所定条件を満たさないと判定する。第1所定条件が満たされる場合、制御部52は、ステップS38に移行する。第1所定条件が満たされない場合、制御部52は、今回の処理を終了する。第1所定条件は、ライダなどによって設定されてもよい。例えば、第1所定条件は、入力装置66および外部装置68の少なくとも1つを介して設定されてもよい。
【0102】
制御部52は、ステップS38において、振動状態を第1振動状態から第2振動状態に変更する。振動状態が第1振動状態であり、かつ第1所定時間内に第1所定振動範囲を超える振動の回数が第1所定回数以上である場合、振動状態は、第2振動状態に変更される。
【0103】
ステップS34において、振動が第1所定振動範囲内である場合、制御部52は、ステップS39に移行する。制御部52は、ステップS39において、第1リセット条件を満たすか否かを判定する。制御部52は、前回の段差を検出してから第1所定経過時間が経過したか否かを判定する。前回の段差を検出してから、段差が検出されない状態が第1所定経過時間継続する場合、制御部52は、第1リセット条件を満たすと判定する。前回の段差を検出してから第1所定経過時間が経過しない場合、制御部52は、第1リセット条件を満たさないと判定する。第1リセット条件が満たされる場合、制御部52は、ステップS40に移行する。第1リセット条件が満たされない場合、制御部52は、今回の処理を終了する。段差の回数が「0」である場合、ステップS39およびステップS40はスキップされてもよい。
【0104】
制御部52は、ステップS40において、段差の回数をリセットする。振動が第1所定振動範囲を超えてから第1所定経過時間内に、振動が第1所定振動範囲を超えない場合、第1所定振動範囲を超える振動の回数は、リセットされる。
【0105】
ステップS33において、現在の人力駆動車10の振動状態が第2振動状態であると判定される場合、制御部52は、ステップS41に移行する。
【0106】
制御部52は、ステップS41において、振動が第2所定振動範囲内であるか否かを判定する。第2所定振動範囲は、予め設定される範囲である。第2所定振動範囲は、人力駆動車10の車速に応じて設定される。第2所定振動範囲は、第1所定振動範囲とは異なる。第2所定振動範囲は、第3加速度閾値と第4加速度閾値との間の範囲である。第3加速度閾値は、路面に向かう方向における加速度の閾値である。第3加速度閾値は、Z軸正方向における加速度の閾値である。第4加速度閾値は、路面に向かう方向とは反対方向における加速度の閾値である。第4加速度閾値は、Z軸負方向における加速度の閾値である。第4加速度閾値の絶対値は、第3加速度閾値の絶対値より大きい。第2所定振動範囲は、第1所定振動範囲よりも狭い。振動状態が第2振動状態である場合、振動状態が第1振動状態である場合よりも、振動が所定振動範囲を超えると判定されやすい。第3加速度閾値は、第1加速度閾値よりも小さい。第4加速度閾値は、第2加速度閾値よりも大きい。振動が第3加速度閾値以下であり、かつ振動が第4加速度閾値以上である場合、制御部52は、振動が第2所定振動範囲内であると判定する。振動が第3加速度閾値よりも大きい場合、または振動が第4加速度閾値よりも小さい場合、制御部52は、振動が第2所定振動範囲を超えると判定する。第2所定振動範囲は、ライダなどによって設定されてもよい。例えば、第2所定振動範囲は、入力装置66および外部装置68の少なくとも1つを介して設定されてもよい。
【0107】
ステップS41において、振動が第2所定振動範囲を超える場合、制御部52は、ステップS42に移行する。制御部52は、ステップS42において、段差を検出したと判定する。振動状態が第2振動状態であり、かつ振動が第2所定振動範囲を超える場合、振動状態は第2振動状態に維持される。ステップS41において、振動が第2所定振動範囲内である場合、制御部52は、ステップS43に移行する。
【0108】
制御部52は、ステップS43において、第2所定条件を満たすか否かを判定する。制御部52は、前回の段差を検出してから第2所定経過時間が経過したか否かを判定する。第2所定経過時間は、予め設定される時間である。第2所定経過時間は、第1所定経過時間と同じ時間である。第2所定経過時間は、第1所定経過時間とは異なる時間であってもよい。前回の段差を検出してから、段差が検出されない状態が第2所定経過時間継続する場合、制御部52は、第2所定条件を満たすと判定する。前回の段差を検出してから第2所定経過時間が経過しない場合、制御部52は、第2所定条件を満たさないと判定する。第2所定条件が満たされる場合、制御部52は、ステップS44に移行する。第2所定条件が満たされない場合、制御部52は、今回の処理を終了する。
【0109】
制御部52は、ステップS44において、振動状態を第2振動状態から第1振動状態に変更する。振動状態が第2振動状態であり、かつ振動が第2所定振動範囲を超えてから第2所定経過時間内に、振動が第2所定振動範囲を超えない場合、振動状態は、第1振動状態に変更される。
【0110】
ステップS32において、車速が所定車速以上である場合、制御部52は、ステップS45に移行する。制御部52は、ステップS45において、現在の人力駆動車10の振動状態が第1振動状態であるか否かを判定する。現在の振動状態が第1振動状態である場合、制御部52は、ステップS46に移行する。
【0111】
制御部52は、ステップS46において、振動が第1所定振動範囲内であるか否かを判定する。車速が所定車速以上である場合の第1所定振動範囲は、車速が所定車速未満の場合の第1所定振動範囲よりも広い。車速が大きい場合、段差に対する人力駆動車10の振動が大きい。そのため、車速が所定車速以上である場合の第1所定振動範囲は、車速が所定車速未満の第1所定振動範囲よりも広く設定される。第1所定振動範囲は、車速が所定車速以上である場合の第1加速度閾値は、車速が所定車速未満の場合の第1加速度閾値よりも大きい。車速が所定車速以上である場合の第2加速度閾値は、車速が所定車速未満の場合の第2加速度閾値よりも小さい。振動が第1所定振動範囲を超える場合、制御部52は、ステップS47に移行する。
【0112】
制御部52は、ステップS47において、段差を検出したと判定し、ステップS48に移行する。制御部52は、ステップS48において、段差の回数をインクリメントして、ステップS49に移行する。
【0113】
制御部52は、ステップS49において、第1所定条件を満たすか否かを判定する。第1所定条件が満たされる場合、制御部52は、ステップS50に移行する。制御部52は、ステップS50において、振動状態を第1振動状態から第2振動状態に変更する。ステップS49において、第1所定条件が満たされない場合、制御部52は、今回の処理を終了する。
【0114】
ステップS46において、振動が第1所定振動範囲内である場合、制御部52は、ステップS51に移行する。制御部52は、ステップS51において、第1リセット条件を満たすか否かを判定する。第1リセット条件が満たされる場合、制御部52は、ステップS52に移行する。第1リセット条件が満たされない場合、制御部52は、今回の処理を終了する。段差の回数が「0」である場合、ステップS51およびステップS52はスキップされてもよい。制御部52は、ステップS52において、段差の回数をリセットする。
【0115】
ステップS45において、現在の振動状態が第2振動状態であると判定される場合、制御部52は、ステップS53に移行する。制御部52は、ステップS53において、振動が第2所定振動範囲内であるか否かを判定する。車速が所定車速以上である場合の第2所定振動範囲は、車速が所定車速未満の場合の第2所定振動範囲よりも広い。車速が所定車速以上である場合の第3加速度閾値は、車速が所定車速未満の場合の第3加速度閾値よりも大きい。車速が所定車速以上である場合の第4加速度閾値は、車速が所定車速未満の場合の第4加速度閾値よりも小さい。振動が第2所定振動範囲を超える場合、制御部52は、ステップS54に移行する。制御部52は、ステップS54において、段差を検出したと判定する。
【0116】
ステップS53において、振動が第2所定振動範囲内である場合、制御部52は、ステップS55に移行する。制御部52は、ステップS55において、第2所定条件を満たすか否かを判定する。第2所定条件が満たされる場合、制御部52は、ステップS56に移行して、振動状態を第2振動状態から第1振動状態に変更する。第2所定条件が満たされない場合、制御部52は、今回の処理を終了する。
【0117】
変形例に係る制御装置30においては、第1所定回数は、「1」であってもよい。変形例に係る制御装置30においては、振動状態が第1振動状態であり、かつ第1所定時間内に第1所定振動範囲を超える場合、振動状態は、第2振動状態に変更される。所定回数が「1」の場合、制御部52は、例えば、ステップ35における段差の検出によって、振動状態を第1振動状態から第2振動状態に変更する。
【0118】
実施形態の制御装置30において、手動変速モードが省略されてもよい。実施形態の制御装置30において、第1インタフェース52Aから第6インタフェース52Fのうち、制御に不要なインタフェースは省略されてもよい。
【0119】
本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、所望の選択肢の「1つ以上」を意味する。一例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、選択肢の数が2つであれば「1つの選択肢のみ」または「2つの選択肢の双方」を意味する。他の例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、選択肢の数が3つ以上であれば「1つの選択肢のみ」または「2つ以上の任意の選択肢の組み合わせ」を意味する。
【符号の説明】
【0120】
10…人力駆動車、18…変速システム、22…クランク、30…制御装置、32…変速装置、52…制御部、60…車速センサ、62…クランク回転センサ、64…傾斜センサ