(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023067222
(43)【公開日】2023-05-16
(54)【発明の名称】コンセント装置及びこれを備えた可搬式給電装置
(51)【国際特許分類】
H01R 25/00 20060101AFI20230509BHJP
【FI】
H01R25/00 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021178262
(22)【出願日】2021-10-29
(71)【出願人】
【識別番号】000139780
【氏名又は名称】株式会社イトーキ
(74)【代理人】
【識別番号】100099966
【弁理士】
【氏名又は名称】西 博幸
(74)【代理人】
【識別番号】100134751
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 隆一
(72)【発明者】
【氏名】守田 圭
(57)【要約】
【課題】テーブルに添設して使用される可搬式給電装置に好適なコンセント装置において、コンセントユニット6の差し込み口をアーム5の外面と同じ面に開口させ得る構造を開示する。
【解決手段】コンセントユニット6は、支柱4の上端から片持ち梁状に延びているアーム5の内部に配置されており、アーム5の上面には、プラグを挿脱するための開口8の群が空いている。コンセントユニット6は、アッパケース37とロアケース38とプラグホルダー36の群とを有しており、プラグホルダー37の突起部36bがアッパケース37を介して開口8に嵌入している。コンセントユニット6の全高はアッパケース37の内部の上下寸法よりも小さい寸法であり、押さえ部材39によって押し上げられて、突起部36bが開口8に嵌入した状態が保持されている。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空角形の外ケースと、前記外ケースにその一端から挿入されるコンセントユニットと、を備え、
前記コンセントユニットの1つの面に、プラグの差し込み口を備えた突起部を設けている一方、
前記外ケースのうち前記コンセントユニットの1つの面が重なる部位に、前記コンセントユニットの突起部が内側から嵌入する開口を形成しており、前記コンセントユニットを一端から前記外ケースに差し込み、前記突起部が前記開口に嵌入されるコンセント装置であって、
前記コンセントユニットの突起部が前記外ケースの開口に嵌入した状態に保持する押さえ部材を備えている、
コンセント装置。
【請求項2】
前記押さえ部材は、前記外ケースに一端から挿入される方式であり、前記外ケースの内部のうち前記開口と反対側の部位に配置されている、
請求項1に記載したコンセント装置。
【請求項3】
前記コンセントユニットと押さえ部材との当接部を、前記外ケースの奥側が低くて手前側が高くなった段違い面又は傾斜面に形成している、
請求項2に記載したコンセント装置。
【請求項4】
前記押さえ部材は、前記外ケースの長手方向から見て、前記コンセントユニットを前記突起部の突出方向と平行な側面を挟む一対の側板を有している一方、
前記外ケースのうち前記突起部の突出方向と平行な一対の側面には、前記押さえ部材の側板が重なる肉盗み部を形成しており、前記肉盗み部の段差面に前記押さえ部材における側板の端面が当接している、
請求項2又は3に記載したコンセント装置。
【請求項5】
前記押さえ部材は、前記外ケースのうち前記開口と反対側に空けた穴から挿入されるねじ又はクリップである、
請求項1に記載したコンセント装置。
【請求項6】
床に載るベース体と、前記ベース体から立ち上がった支柱と、前記支柱の上端から片持ち梁の状態で水平状に延びるアームとを備えており、
前記アームを請求項1~4のうちのいずれかに記載した外ケースと成して、前記外ケースに請求項1~4のうちのいずれかに記載したコンセントユニットと押さえ部材とを設けている、
可搬式給電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、オフィス等で使用されるコンセント装置とこれを備えた可搬式給電装置とに関するものである。
【背景技術】
【0002】
オフィスや家庭、店舗等の様々な場所でノートパソコンやプロジェクタ等の電子・電気機器が多用されており、これら電子・電気機器には、一般にコンセントから給電されている。コンセントの態様としては、壁に設けた固定式のタイプや、延長コードに設けたテーブルタップのタイプ、或いは、机や間仕切りなどの什器に固定的に設けられたタイプなどがある。
【0003】
さて、近年のオフィスでのワーキングスタイルとして、固定された席を持たないフリーアドレス方式が広がっているが、このフリーアドレス方式のワーキングスタイルでは、テーブルは融通性を重視して簡易なタイプが多用される傾向にあるため、ノートパソコンの電源としてはテーブルタップが多用されることになるが、ケーブルを床上に這わせるのは美観や歩行の安全の点で問題であるため、ケーブルを二重床から引き出してその先端にテーブルタップを接続することになるが、この方式では、テーブルタップは床に配置されるため融通性が悪い問題や、見た目もよくないという問題がある。
【0004】
そこで、床上に自立できてどこにでも持ち運びできる可搬式給電装置が提案されており、その例として特許文献1には、上下長手の角筒状に形成されたスタンドの内部に、当該スタンドの各面ごとにコンセントを配置し、スタンドの各面にはプラグを挿脱する開口を形成して、開口をスライドカバーで覆うことが開示されている。他方、特許文献2には、板状の支柱の片面にテーブルタップ状の給電部(コンセント)を配置した装置が開示されている。
【0005】
また、特許文献3には、照明器具を吊り下げるスタンドに関し、スタンドをパイプで構成して上端を水平状に曲げて、水平状の部位にコンセントと灯具吊下フックとを設けることが開示されている。特許文献3において詳細は記載されていないが、コンセントはスタンドの中空部内に配置されて、スタンドの上端には、コンセントの差し込み口を露出させるための開口が空いていると推測される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002-110302号公報
【特許文献2】特開2019-110131号公報
【特許文献3】特開2006-202715号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
さて、オフィス等で使用する可搬式給電装置において、床に自立した給電装置に一体的に設けたコンセントユニットをテーブルの上方に水平姿勢でオーバーハングさせたり、テーブルの側面に沿った状態で水平状に配置できたりすると、テーブルの使用者は椅子に腰掛けたままでプラグを挿脱できるため、非常に使い勝手がよい。特に、プラグの差し込み口を上向きに開口させると、テーブルに向かい合って座っているいずれの人も椅子に腰掛けたままでプラグを挿脱できるため、使い勝手は更に向上する。
【0008】
しかし、特許文献1,2はこのような使用態様は想定しておらず、オフィスや店舗などでの使い勝手がよいとは思えないし、特許文献3はそもそも照明具のスタンドであるので、給電装置とは言い難い。
【0009】
そこで本願発明者たちは、給電装置に中空角形のアーム(ホルダー)を設けてその内部にコンセントユニットを内蔵し、アームに設けた開口したらプラグをコンセントの差し込み口に挿脱する構成を着想するに至った。そして、その構成を具体化するに当たって、単にコンセントユニットをアームに挿入して固定しただけであると、コンセントユニットのうち差し込み口が開口している面はアームの外面の内側に位置するため、美観に欠けるのみでなく、プラグをしっかり挿入できない事態に至ることが判明した。
【0010】
本願発明は、このような現状を背景にして成されたものであり、アーム等の給電装置にコンセントユニットを配置しているコンセント装置に関し、美観やプラグ挿入の確実性を確保せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願発明は様々の構成を含んでおり、その典型例を各請求項で特定している。このうち請求項1の発明はコンセント装置に係るもので、
「中空角形の外ケースと、前記外ケースにその一端から挿入されるコンセントユニットと、を備え、
前記コンセントユニットの1つの面に、プラグの差し込み口を備えた突起部を設けている一方、
前記外ケースのうち前記コンセントユニットの1つの面が重なる部位に、前記コンセントユニットの突起部が内側から嵌入する開口を形成しており、前記コンセントユニットを一端から前記外ケースに差し込み、前記突起部が前記開口に嵌入される」
という基本構成において、
「前記コンセントユニットの突起部が前記外ケースの開口に嵌入した状態に保持する押さえ部材を備えている」
という構成が付加されている。
【0012】
請求項2の発明は請求項1を具体化したもので、
「前記押さえ部材は、前記外ケースに一端から挿入される方式であり、前記外ケースの内部のうち前記開口と反対側の部位に配置されている」
という構成になっている。
【0013】
請求項3の発明は更に請求項2を具体化したもので、
「前記コンセントユニットと押さえ部材との当接部を、前記外ケースの奥側が低くて手前側が高くなった段違い面又は傾斜面に形成している」
という構成になっている。
【0014】
請求項4の発明は請求項2又は3を具体化したもので、
「前記押さえ部材は、前記外ケースの長手方向から見て、前記コンセントユニットを前記突起部の突出方向と平行な側面を挟む一対の側板を有している一方、
前記外ケースのうち前記突起部の突出方向と平行な一対の側面には、前記押さえ部材の側板が重なる肉盗み部を形成しており、前記肉盗み部の段差面に前記押さえ部材における側板の端面が当接している」
という構成になっている。
【0015】
請求項5の発明は請求項2と並立するもので、請求項1において、
「前記押さえ部材は、前記外ケースのうち前記開口と反対側に空けた穴から挿入されるねじ又はクリップである」
という構成になっている。
【0016】
請求項6の発明は可搬式給電装置を対象にしており、
「床に載るベース体と、前記ベース体から立ち上がった支柱と、前記支柱の上端から片持ち梁の状態で水平状に延びるアームとを備えており、
前記アームを請求項1~5のうちのいずれかに記載した外ケースと成して、前記外ケースに請求項1~5のうちのいずれかに記載したコンセントユニットと押さえ部材とを設けている」
という構成になっている。
【発明の効果】
【0017】
本願各発明では、コンセントユニットの突起部が外ケースの開口に嵌入しているため、突起部の表面と外ケースの表面とを同一面に設定できる。従って、開口の内周面は人目に触れずに美観に優れていると共に、プラグは差し込み口が開口している面に当たるまで差し込みできるため、プラグとコンセントユニットとの接続不良が生じることはない。
【0018】
また、コンセントユニットは、その突起部が外ケースの開口に嵌入していることによって抜け不能に保持されるため、他に位置決め手段を設ける必要はなくて、それだけ構造を簡単化できる。
【0019】
そして、本願発明では、コンセントユニットの全体の厚さを外ケースに挿入できる厚さに設定しておいて、コンセントユニットを外ケースに挿入してから突起部を開口に止め入れ、その状態を押さえ部材で保持することにより、外ケースへのコンセントユニットの挿入を許容しつつ、コンセントユニットの突起部を開口に嵌め入れた状態を保持できる。
【0020】
押さえ部材は様々な態様に具体化できるが、請求項2のように差し込み式に構成すると、外ケースへの加工を無くして美観を向上できる利点や、押さえ部材とコンセントユニットとの当接範囲を大きくしてコンセントユニットの安定性を向上できる利点がある。
【0021】
請求項2において、押さえ部材は長くなるため安定性を向上できるが、請求項3の構成に具体化すると、押さえ部材の挿入行程の終期において押さえ部材の全長をコンセントユニットに当てることができるため、押さえ部材が挿入途中でつかえてしまう不具合を無くして、コンセント装置の組み立て容易かつ迅速に行える。
【0022】
請求項4の発明では、コンセントユニットを外ケースに取り付けるにおいて、コンセントユニットと押さえ部材とを部分的に嵌め合わせておいて、コンセントユニットの全体を外ケースに挿入してから押さえ部材を押し込むという手順により、コンセントユニットの取り付けを迅速かつ正確に行うことができる。また、押さえ部材の側板はコンセントユニットの肉盗み部に入り込んでいることにより、コンセントユニットと押さえ部材との複合体の側面を同一面に揃えることができるため、コンセントユニット及び押さえ部材を、ガタ付きのない状態で外ケースに装着できる利点もある。
【0023】
請求項2~4では、実施形態のように、押さえ部材にばね部を設けて、押さえ部材によってコンセントユニットを弾性的に付勢すると、コンセントユニット及び押さえ部材のガタツキをなくすことができて好適である。
【0024】
請求項5の発明では、押さえ部材の挿入に際してコンセントユニットにその長手方向の外力が作用することはないため、作業性に優れている。
【0025】
本願発明のコンセント装置はそれ自体を独立して使用することも可能ではあるが、請求項6のように給電装置に組み込むと、外ケースの機能が生きて真価が強く発揮される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】第1実施形態を示す図で、(A)は給電装置の使用状態の全体斜視図、(B)は(A)のB-B視側面図、(C)は平面図である。
【
図2】(A)は給電装置を下方から見た斜視図、(B)は底面図、(C)は(A)のC-C視断面図、(D)は別例の下方斜視図である。
【
図3】(A)は支柱を分離した状態での斜視図、(B)は継手も分離した状態での斜視図である。
【
図4】主として継手を説明するための図で、(A)は上方から見た分離斜視図、(B)は下方から見た分離斜視図である。
【
図5】(A)はキャップを分離した状態での給電部の縦断側面図、(B)は組み付け途中での給電部の縦断側面図、(C)はコンセントユニットとアームとの分離斜視図、(D)はコンセントユニットとキャップとの分離側面図である。
【
図6】(A)はアームの外観斜視図、(B)は給電部の分離斜視図、(C)は押さえ部材の別例を示す縦断側面図である。
【
図7】(A)はキャップを外した状態での給電部の部分的な斜視図、(B)は給電部を下方から見た分離斜視図、(C)はキャップの斜視図、(D)は給電部の部分的な分離斜視図、(D)は押さえ部材の別例を示す縦断正面図、(E)は押さえ部材の別例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
(1).実施形態の概要
次に、本願発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、給電装置1は、テーブル2の外周部(一般に左又は右の短辺部)に配置して使用されるものであり、床に載る円形のベース体3と、ベース体3の縁部から立ち上がった支柱4と、支柱4の上端から水平状に曲がったアーム5とを備えている。なお、アーム5はアーム状ホルダーと呼ぶことも可能である。
【0028】
支柱4は、テーブル2における天板2aの上面よりも高い高さに設定されており、アーム5は、平面視でベース体3を二分する姿勢で延びている。本実施形態では、アーム5は請求項に記載した外ケースに該当する。なお、アーム5は支柱4と一体に形成れているが、支柱4とアーム5とを別部材として製造して後加工で接続することも可能である。
【0029】
ベース体3をテーブル2の内部に入り込ませることにより、アーム5をテーブル2の上面の上方に配置できる。
図1(C)のとおり、アーム5は、平面視で先端がベース体3の外側にはみ出ない寸法に設定されている。
【0030】
以下では、方向を特定するため前後・左右の文言を使用するが、アーム5の長手方向を前後方向として、アーム5の長手方向と直交した水平方向を左右方向としている。前と後ろは、アーム5の自由端の側を前として、支柱4の側を後ろとしている。
【0031】
支柱4及びアーム5はスチール製の角パイプをL形に曲げて一体に形成されており、アーム5の内部に、
図5(C)に示すコンセントユニット6が内蔵されている。アーム5の先端はキャップ7で塞がれている。コンセントユニット6は基本的には4口タイプであり、プラグ(図示せず)の差し込み口35を上向きにして配置されている。従って、アーム5の上面板には、プラグを挿脱するための四角形の4つの開口(角穴)8が空いている。
【0032】
図2(A)(C)に示すように、アーム5と支柱4とが繋がったコーナー部の内角面に、アーム5の基端から支柱4の上端に向け延びる内向きのリブ9を形成している。リブ9は、真っ直ぐな角パイプを曲げ加工する前に形成されており、曲げ加工時の応力をリブ9で吸収させている。従って、角パイプを皺が発生しない状態に曲げ加工できると共に、内角部が広がり変形する現象も防止できる。
【0033】
図2(A)(B)に示すように、ベース体3の下面には4つの接地体10が周方向に並んで配置され、ビス止めや接着等の手段でベース体3に固定されている。接地体10は合成樹脂製で、外向き面はベース体3の外周面よりも僅かに曲率半径が小さい円弧状に形成され、ベース体3の中心に向いた内向き面は平坦面に形成されている。
【0034】
そして、接地体10の外向き面には、電源ケーブル11を巻き込みできる凹溝12が形成されて、内向き面には、電源ケーブル11の一端に接続されたプラグ13の端子を差し込みできる一対ずつのダミー接続口14が形成されている。従って、給電装置1を使用しないときには、電源ケーブル11は、接地体10の群の凹溝12に巻き込んで、プラグ13をいずれかの接地体10のダミー接続口14に接続しておくことにより、電源ケーブル11をばらけない状態に保持している。
【0035】
接地体10はある程度の厚さがあるので、周方向と放射方向とに延びる多数のリブ15を形成して、軽量化しつつ厚さを保持している。各接地体10に複数対のダミー接続口14を設けてもよい。また、
図2(A)に示すように、接地体10の内向き側面部をダミー接続口14を挟んで両側において外側に湾曲させ、この湾曲部の下端に、電源ケーブル11を載せ得るケーブル受け部10aを設けている。ケーブル受け部10aには、電源ケーブル11のずれ落ちを防止する上向きの堰片10bを設けている。
【0036】
接地体10の数は任意に設定できる。
図2(D)に示す変形例では、8個の接地体10を周方向に並べている。接地体10の個数を少なくすると、凹溝12の長さを長くして接地体10の群より成る巻き取り装置をドラムに近い形状に形成できる。隣り合った接地体10の間には、若干の間隔の隙間16が空いている。給電装置1の使用に際しては、隣り合った接地体10の間の隙間16から電源ケーブル11を外側に引き出すことができる。
【0037】
図2(A)(B)(D)に示すように、ベース体3のうち柱4の下方に部位には、上下に貫通したケーブル挿通穴17が空いている。当然ながら、ケーブル挿通穴17は隣り合った2つの接地体10の間の隙間16に開口している。
【0038】
(2).支柱の接続構造
図3,4に示すように、支柱4は、互いに重なり合った前後一対の継手20を介してベース体3に接続されている。すなわち、ベース体3に下方から挿通した上向きビス21を継手20にねじ込むことにより、継手20をベース体3に固定し、支柱4に側方から挿通した横向きビス22を継手20にねじ込むことにより、支柱4を継手20に固定している。
【0039】
従って、ベース体3と支柱4とにはそれぞれビス挿通穴23,24が開口しており、また、継手20には、上向きビス21がねじ込まれる縦長雌ねじ穴25と、横向きビス22がねじ込まれる横長雌ねじ穴26とが形成されている。
【0040】
継手20は、箱状に形成されていて重なり合うとブロック状の外観を呈しており、互いに重なり合う長手側縁に、上下長手の係合突起27と係合溝28とが振り分けて形成されている。一対の継手20は同じ構造になっているが、一方の継手20の係合突起27と他方の継手20の係合溝28とが嵌合することにより、一対の継手20は支柱4の内部でずれ不能に保持されている。
【0041】
継手20の対向した部位は凹所になっており、この凹所に十字状のリブ29と、横長雌ねじ穴26を形成するための筒状ボス30とが形成されている。継手20の上端には、電源ケーブル11を通すために内向き切欠き31が形成されている。
【0042】
また、継手20の下面には、互いに重なり合って電源ケーブル11を抱持する半割状の樋状部32が下向きに突設しており、樋状部32はベース体3のビス挿通穴23に嵌入している。従って、樋状部32は継手20をベース体3に対して位置決めする機能も備えている。継手20は1本の上向きビス21でベース体3に固定されているので、縦長雌ねじ穴25は継手20の一端部に寄せて形成されている。
【0043】
支柱4にはビス挿通穴24が空いているが、ビス挿通穴24の箇所は内向きに突出したバーリング部になっている。そこで、継手20のうち支柱4と対向した部位の上面には、支柱4を嵌め込むに際してバーリング部を逃がすための外向き切欠き33を形成している。また、外向き切欠き33を挟んだ左右両側に縦長溝33aを形成している。従って、継手20は、縦長の4本のリブを介して支柱4の内面に当接している。
【0044】
(3).給電部
図6(B)や
図7(B)に明示するように、コンセントユニット6は、一対ずつのプラグの差し込み口(端子口)35が形成された4つのプラグホルダー36と、プラグホルダー36の群に上から重なる前後長手のアッパケース37と、プラグホルダー36の群に下から重なる前後長手のロアケース38とを備えており、ロアケース38は前後長手の押さえ部材39によって下方から押さえ保持されている。ロアケース38の前端には、コンセントユニット7の一部を構成するフロントプラグホルダー40が装着されている。
【0045】
アッパケース37は左右の側板を備えて、下向きに開口した角形樋状の形態を成しており、プラグホルダー36が下方から嵌入する窓穴41が空いている。他方、プラグホルダー36には、アッパケース37の下面に当たる前後のフランジ36aが形成されており、フランジ36aがアッパケース37に下方から当たった状態で、各プラグホルダー36は、アッパケース37の上に露出したアーム5の開口8に嵌入している。従って、本実施形態では、各プラグホルダー36のうちアーム5から上向きに露出した部位が突起部36bになって、突起部36bに差し込み口35が開口している。例えば
図6(B)に示すように、アッパケース37の後端部は下向き傾斜面42になっている。
【0046】
ロアケース38は、左右の側板38aと前面板38bと後面板38cとを有して上向き開口の箱状の形態を成しており、アッパケース37とロアケース38とで各プラグホルダー36を挟み固定している。図示は省略しているが、各プラグホルダー36には、電源ケーブル11から分岐した2本ずつの枝線が接続されている。
【0047】
図6(B)に示すように、ロアケース38の後面板38cには、電源ケーブル11を引出しために上向きの切欠き38fを形成している。
図7(B)に示すように、アッパケース37の後面板にも、電源ケーブル11を引き出す切欠き37fが形成されている。
【0048】
図7(B)に示すように、アッパケース37に、長さが長い3本のロングボス筒43と、長さが短い2本のショートボス筒44とを前後に交互に配置して下向きに突設している一方、
図6(B)に示すように、ロアケース38には、アッパケース37のロングボス筒43に被嵌するショート受け筒45と、アッパケース37のショートボス筒44に被嵌する2本のロング受け筒46とを突設しており、ボス筒43,44と受け筒45,46とを強制嵌合させることにより、上下ケース37,38を一体化している。なお、アッパケース37とロアケース38とは、ボス筒43,44及び受け筒45,46の箇所においてビスで固定してもよい。
【0049】
図7(D)に明示するように、ロアケース38の前端部には、フロントプラグホルダー40のフランジ40aが上から嵌まるフロント係合溝47を形成している。フロントプラグホルダー40はアッパケース37によって上向き移動不能に保持されている。フロントプラグホルダー40にも2本の電源線が接続されており、この電源線は、他のプラグホルダー36の電源線と同様に1本の電源ケーブル11から分岐している。
【0050】
コンセントユニット6は、プラグホルダー36の上向き突部36bがアーム5の角穴8に嵌入していることによって前後移動不能に保持されているが、この状態で押さえ部材39がロアケース38に下方から重なっているため、上下ケース37,38及び各プラグホルダー36は下向き移動不能に保持されている。
【0051】
そして、
図6(B)及び
図7(B)に示すように、押さえ部材39は左右の側板39aと前面板39bとを有して樋状の形態を成しており、左右の側板でロアケース38を左右両側から抱持しているが、押さえ部材39の左右側板39を、奥から順に上向き低段部48、上向き中段部49、上向き高段部50の三段の高さに形成して階段状に高さを変えると共に、各上向き段部に48,49,50に、抜き穴によって線ばね状に形成された押しばね部51を上向きに突設している。
【0052】
他方、ロアケース38の左右側面に、押さえ部材39の側板39aが重なる肉盗み部38eを形成し、肉盗み部38eの上面(段差面)に、押さえ部材39の各段部48,49,50に対応して、下向き低段部52、下向き中段部53、下向き高段部54の三段の下向き段部を形成している。従って、ロアケース38と押さえ部材39とは、その外側面を同一面と成した状態で上下に嵌合している。
【0053】
隣り合った段部48,49,50,52,53,54の高低差は、アーム5の板厚よりも僅かに大きい程度に設定している。そして、コンセントユニット6をアッパケース37に装着に当たっては、例えば、押さえ部材39の上向き低段部48をロアケース38の下向き中段部53に重ねた状態で、コンセントユニット6をアーム5に挿入して、各プラグホルダー36をアーム5の開口8に下方から嵌入させてから、押さえ部材39を上向きに押しつつ奥に押し込む。
【0054】
すると、押さえ部材39を押し込みきると、各プラグホルダー36がアーム5の開口8に嵌合した状態で、上下ケース37,38は全長にわたって下向き動不能に保持されて、コンセントユニット6は安定した状態に保持される。この場合は、押さえ部材39に押しばね部51を形成しているため、各部材に製造誤差があっても、コンセントユニット6をガタ付きのない状態に保持できる。
【0055】
例えば
図7(B)に示すように、押さえ部材39の下面には左右複数対ずつの下向きリブ39cを設けており、下向きリブ39cがアーム5の下内面に当たるように設定している。このように下向きリブ39cを設けると、押さえ部材39はアーム5に対して線接触状に当たるため、押さえ部材39の挿入をスムースに行える。
【0056】
また、例えば
図7(D)に示すように、ロアケース38における左右側板39aの前端部に下向きに開口したストッパー凹所38dを形成する一方、押さえ部材39における左右側板39aの前端には、ストッパー凹所38dに下方から嵌合するばね片状のストッパー片39dを設けており、これらストッパー片39dとストッパー凹所38dとの嵌まり合いによってロアケース38と押さえ部材39とを相対動不能に保持することにより、コンセントユニット7は前後動不能に保持されている。
【0057】
図7(C)に示すように、キャップ7には角筒状の足体55を設けており、足体55がアーム5の先端部に弾性的に嵌入するようになっている。
図5(D)に示すように、足体55の外周には断面山形の突条55aを形成しており、突条55aをアーム5に線接触させることにより、弾性力を利用した取り付けを確実化している。
【0058】
(4).まとめ
本実施形態では、電源ケーブル11は、二重床から引き出した外部コンセントに接続してもよいし、建物の壁に設けた外部コンセントに接続してもよい。可搬式であるため、必要に応じて任意の場所に持ち運んで使用できる。従って、フリーアドレス方式のオフィスにも好適である。
【0059】
そして、既に述べたように、アーム5はテーブル2の上方にオーバーハングさせることができるため、ノートパソコン等の機器のプラグは、椅子に腰掛けたままでプラグホルダー36に挿脱できる。しかも、プラグホルダー36の差し込み口35は上向きに開口しているため、テーブル2を挟んで向かい合ったいずれの人も全てのプラグホルダー36を使用可能であり、従って、差し込み口数が足りなくなることはなくて、使い勝手がよい(実施形態のテーブルの場合、差し込み口35は4口あると現実的には十分である。)。
【0060】
また、プラグホルダー36を構成する突起部36aの上面はアーム5の上面と同一面を成しているため、開口8の内周面は人目に触れずに美観に優れていると共に、プラグは突起部36aの上面に当たるまで挿入できるため、接続不良が生じることはない。
【0061】
実施形態のようにフロントプラグホルダー40を設けると、これを予備的な差し込み口として使用できるため、机上で使用する機器の数が多い場合に好適である。また、フロントプラグホルダー40としてUSBポートを設けると、スマートフォンやタブレット端末にも適用できて好適である。
【0062】
実施形態のように、挿入式の押さえ部材39を使用してコンセントユニット6をずれ不能に保持すると、ビスを使用することなくコンセントユニット6を簡単に装着できて好適である。なお、本実施形態の給電装置1は、アーム5を掴んで移動させることができるため、持ち運びも容易である。
【0063】
なお、給電装置1の使用態様はユーザーに委ねられている。従って、テーブル2の上面を広く使用するために、アーム5をテーブル2の上方にオーバーハングさせずに、アーム5をテーブル2の側縁と平行な姿勢にして使用することも考えられる。この場合も、プラグホルダー36は上向きに開口しているため、プラグの挿脱は簡単であって使い勝手はよい。
【0064】
コンセントユニット6をアーム5に組み込むにおいて、アーム5を上下にひっくり返して開口8を下向きにした姿勢で行うと、人が手を離しても突起部36bが開口8に嵌入した状態が保持されるため、組み付けを容易に行える。或いは、コンセントユニット6をいったんアーム5に挿入してから、プラグ(又はプラグ状の治具)を差し込み口に差し込んで引き込むことにより、突起部36bが開口8に嵌まった状態を仮り保持することも可能である。
【0065】
図6(C)に示す別例では、押さえ部材39をクリップ方式に構成している。すなわち、押さえ部材39は、アーム5に形成された前後長手の長穴57に下方から嵌入するように前後長手の板状に形成されており、その前後両端に、スリット58によって区画された下向きの係合足59を形成し、係合足59の下端に、アーム5における下板の内面に当接する係合爪60を形成している。
【0066】
コンセントユニット6には、押さえ部材39が下方から嵌入する溝穴61を形成している。コンセントユニット6は簡略して表示しており、ハッチングも施していない。押さえ部材39には、従前の説明と同様の押しばね部51を設けている。
図6(C)では、押しばね部51は変形しきった状態に表示している。
【0067】
この例では、コンセントユニット6の全高はアーム5に内部の上下幅よりも僅かに小さい寸法に設定しており、コンセントユニット6の突起部36b(図示せず)をアーム5の開口8(図示せず)に嵌合させた状態で、コンセントユニット6の溝穴61に下方から 押し込むと、係合爪69がアーム5の下面部に係合して、押さえ部材39は外れ不能に保持されると共に、コンセントユニット6は前後ずれ不能に保持される。この状態で、コンセントユニット6は押さえ部材39の押しばね部51によって弾性的に付勢されているため、ガタ付きのない状態に保持される。
【0068】
この例では、押さえ部材39は、アーム5の下面部に左右一対ずつでかつ前後に複数対配置するのが好ましい。また、押さえ部材39は、隣り合った突起部36bの間に配置するのが好ましい。
【0069】
図7(E)では、更に別の例を示している。この例では、コンセントユニット6の下端部に、水平状の姿勢から下向きに回動し得る回動式の押さえ部材39を配置している。押さえ部材39はピン等でコンセントユニット6に回動自在に保持されており、コンセントユニット6の前からドライバ等で回動操作できる。
【0070】
そして、押さえ部材39は、下向きに回動すると、アーム5の下面に当たってコンセントユニット6を持ち上げる長さに設定しており、この動きにより、突起部36bがアーム5の開口8に嵌め込まれる。左右の押さえ部材39を下向きに回動させてから、両押さえ部材39の間に板状のストッパーを挿入することにより、押さえ部材39を下向きに回動した姿勢に保持できる。押さえ部材39をアーム5の下面に突っ張らせておくことにより、コンセントユニット6をガタつきのない状態に保持できる。
【0071】
以上、本願発明の実施形態を説明したが、本願発明は他にも様々に具体化できる。例えば押さえ部材としては、アーム5の下面板にねじ込まれたビスも採用できる。或いは、アームの長手方向に長い軸心回りに回転する周面カムを採用して、カムの回転によってコンセントユニットを押し上げることも可能である。第1実施形態において、押さえ部材39を使用せずにビスで押し上げる場合、ビスは、ロアケース38のうち受け筒45,46のうちいずれか一方又は両方の箇所に下方から当てると好適である。
【0072】
実施形態のように押さえ部材とコンセントユニットとの当接部を階段状に形成することに代えて、奥に向けて低くなる傾斜面に形成することも可能である。この場合、前端部の当接部は水平状に形成しておくと、コンセントユニットの下向き荷重がコンセントユニットを抜け方向に押すように作用しないため、好適である。
【0073】
コンセントユニットは、実施形態では、アッパケースとロアケースとプラグホルダーとの3種類の部材で構成されていたが、例えば、実施形態のプラグホルダーに相当する部分をアッパケースに一体化するというように、様々な構造を採用できる。電極板を除いて1パーツ構造にすることも可能である。
【0074】
アームの開口は、水平方向に向いて開口していてもよい。この場合は、押さえ部材はコンセントユニットを側方に押すように作用する。従って、押さえ部材39の側板39aとロアケース38の肉盗み部38eとは上下に配置される。実施形態の給電装置は、支柱4の上端からアームが片持ち梁状に突出していたが、給電装置は、例えば、2本の支柱にアーム(ホルダー)が両端支持の状態で繋がった形態に構成することも可能である(この場合は、アームはテーブルの側縁に沿って配置される。)。また、給電装置はバッテリー方式とすることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本願発明は、コンセント装置及び可搬式給電装置に具体化できる。従って、産業上利用できる。
【符号の説明】
【0076】
1 給電装置
2 テーブル
3 ベース体
4 支柱
5 アーム(外ケース)
6 コンセントユニット
7 キャップ
8 開口(角穴)
35 差し込み口
36 プラグホルダー
36b 突起部
37 アッパケース
38 ロアケース
39 押さえ部材
48,49,50 上向き段部
51 押しばね部
52,53,54 下向き段部