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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023067226
(43)【公開日】2023-05-16
(54)【発明の名称】給電装置付きテーブル
(51)【国際特許分類】
   A47B 13/00 20060101AFI20230509BHJP
【FI】
A47B13/00 B
A47B13/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021178266
(22)【出願日】2021-10-29
(71)【出願人】
【識別番号】000139780
【氏名又は名称】株式会社イトーキ
(74)【代理人】
【識別番号】100099966
【弁理士】
【氏名又は名称】西 博幸
(74)【代理人】
【識別番号】100134751
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 隆一
(72)【発明者】
【氏名】守田 圭
(72)【発明者】
【氏名】今 健一
【テーマコード(参考)】
3B053
【Fターム(参考)】
3B053NN01
3B053NP08
3B053NQ08
3B053NQ10
(57)【要約】
【解決課題】呼吸器系感染症が流行しても安心感の高い状態で使用できる給電装置付きテーブルを開示する。
【手段】四角形の天板2の上方に、細長いホルダー4が一対の支柱3を介して配置されており、ホルダー4の内部にコンセントユニット5が配置されている。ホルダー4は、平面視で天板1の前後長手縁1bに対して傾斜した姿勢で配置されている。コンセントユニット5の差し込み口7は、ホルダー4の上面に空けた開口6から上向きに露出している。ホルダー4によって前後に区画されたエリアは一方の方向Xに向けて前後間隔が広がるため、テーブルを挟んだ人M1,M2は、違和感なく左右逆方向にずれた状態で着座する。従って、テーブルを挟んだ人M1,M2が真正面から向かい合うことはなくて、呼吸器系感染症が流行していても安心感が高い。テーブルの前後幅が小さい場合に、人M1と人M2との距離を大きくできる利点もある。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人が前後に対向して使用できるテーブルであって、
平行な2つの前後側縁を有する天板上に、コンセントユニットをホルダーに装着した給電装置が、平面視で前記天板の前後側縁と傾斜した姿勢になるようにして配置されている、
給電装置付きテーブル。
【請求項2】
前記ホルダーは、前記天板の上方に位置するように、支柱を介して前記天板に取り付けられている、
請求項1に記載した給電装置付きテーブル。
【請求項3】
複数の給電装置が、平行に配置されている、
請求項1又は2に記載した給電装置付きテーブル。
【請求項4】
前記ホルダーは、複数本の支柱で支持された角パイプ状の形態であり、前記ホルダーの内部に前記コンセントユニットが配置されて、前記ホルダーの上面と側面とのうち少なくとも一方に、前記コンセントユニットの差し込み口を露出させる開口が空いている、
請求項1~3のうちのいずれかに記載した給電装置付きテーブル。
【請求項5】
前記天板には前記支柱の内部と連通した取り付け穴が空いている一方、
前記支柱は中空に形成されてその上面に重なる上フランジ板を設けており、前記天板の上面に配置した下フランジ板と前記上フランジ板とで前記天板を挟持することにより、前記支柱を前記天板に固定している、
請求項2~4のうちのいずれかに記載した給電装置付きテーブル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、給電装置付き(コンセント付き)テーブルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
オフィスや店舗、家庭などで使用するテーブル(机)において、電源用のコンセントを設けることは広く行われている。例えば、天板の後部にコンセント配置穴を設けて、コンセントを、天板の上面と略同一面を成すようにして配置することが行われている。また、天板の中央部等に配線穴を空けて、天板の下面に固定されたブラケットにコンセントを固定し、配線穴からプラグをコンセントに挿脱する構造ものも見られる。いわゆる学習机において、机上棚にコンセントを設けることも広く行われている。
【0003】
他方、特許文献1には、机上パネルが水平旋回自在に取り付けられたコンセントユニットを天板の上面に固定したものが開示されており、この特許文献1では、コンセントユニットは、天板の前後縁と平行な左右長手の姿勢で配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5145571号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
さて、近年のオフィスでのワーキングスタイルとして、固定された席を持たないフリーアドレス方式が広がっている。また、ワーカーが単独で執務するスタイルの他に、複数人が討議してアイデアを出し合うようなスタイルも広がっている。このように複数人が討議する場合、人は向かい合わせでテーブルを使用することになる。もとより、商談や打合せのように、1つのテーブルを複数人が向かい合わせて使用することは従来から広く行われている。
【0006】
人が向かい合わせでテーブルを使用するに当たって、特許文献1のようにコンセントユニットが左右長手の姿勢で配置されていると、コンセントユニットは単なる給電装置としての機能しか発揮しないため、人は、相手の人が真正面に位置するように正対した状態でテーブルの前後に腰掛けるのが普通である。
【0007】
ここで問題は、2019年末から流行している新型コロナウイルス感染症のような呼吸器系感染症が流行している場合である。すなわち、呼吸器系感染症のウイルスは人の呼気に乗って飛散するため、感染防止の点からは、人は正対せずに左右にずらして着座し、相手に呼気が向かわないようにするのが好ましい。また、実際には互いに感染していなくても、着座位置を左右にずらしていると、互いに心理的な安心感を得ることもできる(現実的には、このような心理的な安心感が大きいと云える。)。
【0008】
テーブルの前後幅が大きい場合は、対向した人と人との距離は大きくなるので、感染リスク及び心理的な不安は低くなるが、例えば前後幅が600mmや700mmといった細幅である場合は、会話に際して飛沫が相手に届きやすくなるため、互いにマスクを装着していても心理的な不安は高くなりやすい。
【0009】
しかし、何のきっかけもなしに着座位置を左右にずらすのは礼儀に反して相手に失礼ではないかという観念があり、従って、テーブルを挟んだ人は感染の不安を抱きながら正対せざるを得ない状況にあると云える。
【0010】
本願発明はこのような現状を背景にして成されたものであり、人と人とが左右逆方向に身体をずらして向かい合うことを失礼なく自然に行えるテーブルを開示せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願発明は様々の構成を含んでおり、その典型例を各請求項で特定している。このうち請求項1の発明は上位概念を成すもので、給電装置付きテーブルは、
「人が前後に対向して使用できるテーブルであって、
平行な2つの前後側縁を有する天板上に、コンセントユニットをホルダーに装着した給電装置が、平面視で前記天板の前後側縁と傾斜した姿勢になるようにして配置されている」
という構成になっている。
【0012】
請求項1において、給電装置は天板の上面に直接に載置されていたり、天板に埋め込まれた状態になっていたりすることも可能であるが、請求項3の発明では、
「前記ホルダーは、前記天板の上方に位置するように、支柱を介して前記天板に取り付けられている」
という構成を採用している。
【0013】
請求項3の発明は、請求項1又は2において、
「複数の給電装置が平行に配置されている」
という構成になっている。
【0014】
請求項4の発明は給電装置の形態を具体化したものであり、請求項1~3のうちのいずれかにおいて、
「前記ホルダーは、複数本の支柱で支持された角パイプ状の形態であり、前記ホルダーの内部に前記コンセントユニットが配置されて、前記ホルダーの上面と側面とのうち少なくとも一方に、前記コンセントユニットの差し込み口を露出させる開口が空いている」
という構成になっている。
【0015】
請求項5の発明は給電装置の取り付け構造の具体例であり、請求項1~4のうちのいずれかにおいて、
「前記天板には前記支柱の内部と連通した取り付け穴が空いている一方、
前記支柱は中空に形成されてその上面に重なる上フランジ板を設けており、前記天板の面に配置した下フランジ板と前記上フランジ板とで前記天板を挟持することにより、前記支柱を前記天板に固定している」
という構成になっている。
【発明の効果】
【0016】
本願発明のように給電装置を傾斜姿勢で配置すると、給電装置によって前後に分けられたエリアができるが、前後の使用できるスペースが互いに逆方向に広がる状態になる。従って、テーブルを挟んだ人は、それぞれのエリアの広い方に身体を寄せて着座するのが自然であり、すると、テーブルを挟んだ人は左右逆方向にずれることになる。
【0017】
また、給電装置のコンセントユニットは、平面視で給電装置と直交した方向から最も使いやすいものであり、従って、コンセントユニットが人の誘導機能を発揮して、人が左右逆方向にずらした状態で着座することを導くことになっている。
【0018】
いずれにしても、給電装置は、人がテーブルを挟んで着座するにおいて、人を違和感なく真正面ではなく左右逆方向にずらして着座させる機能を発揮するのであり、これにより、人に失礼になるのではないかという感情を抱かせることなく、呼吸器系感染症に対する不安を低減した状態でテーブルを使用できる。前後幅が小さいテーブルでは、呼吸器系感染症の流行とは関係なく、身体を天板に寄せると互いの間隔が近くなり過ぎることがあるが、本願発明では、テーブルを挟んだ人は、天板に身体を寄せつつ違和感無く互いの距離を広げて心理的な抵抗感を無くすことができる。
【0019】
請求項2のようにホルダーを天板の上方の空間に配置すると、机上面において物品でコンセントユニットが隠れたたり、物品を天板上に載せるに際してコンセントユニットが邪魔なったりすることは無く、机上面を広く使用しつつノートパソコン等の電子機器に給電できる。また、ホルダーが天板上の空間にあると、ホルダーによる仕切り機能が強く発揮されるため、人を左右にずらして着座させる機能が強く発揮される。
【0020】
また、コンセントが天板に埋設されていたり直接に固定されていたりすると、例えば飲み物を零したときに、零れた飲み物がコンセントの差し込み口に入り込んでショートや漏電の事故を起こすことが懸念されるが、本願発明ではコンセントユニットが天板の上方に離れて配置されているため、天板上に飲み物を零してもショートや漏電の問題は皆無であって安全性にも優れている。また、天板の掃除もコンセントユニットに邪魔されることなく容易に行える(水に濡らした雑巾も問題なく使用できるため、天板の汚れを拭き取って綺麗に掃除することも簡単に実現できる。)。
【0021】
また、コンセントユニットはその差し込み口が天板の上方において露出しているため、天板上にノートパソコン等の機器を載せていてもプラグの挿脱をしごく簡単に行えて、使い勝手がよい。更に述べると、テーブルを挟んで着座した両側の人も手を伸ばしてプラグを簡単に挿脱できるため、昨今のワーキングスタイルにマッチして、知的生産性の向上に貢献できる。
【0022】
請求項3のようにテーブルに複数の給電装置を平行な姿勢で配置すると、テーブルに複数人が腰掛けて使用できるテーブルの場合、個々の人に着座位置を明確にガイドできるため、複数人ずつで使用するテーブルに好適である。
【0023】
ホルダーの形態は様々に具体化できるが、請求項4のようにホルダーを角パイプ状に形成して複数の支柱で支持すると、高い強度を確保しつつ、テーブルの使用者のいずれもが手を伸ばすだけでプラグを容易に挿脱できる状態を現出できるため、使い勝手を更に向上できる。
【0024】
ホルダーは、給電以外の他の用途に使用することも可能である。例えば、ホルダーをスチール製にすると、マグネットを使用して紙片類を止めることができる。また、ホルダーのうちコンセントユニットが配置されていない部位に小テーブルを取り付けて、飲み物やミニプランター等の小物の載置に利用することも可能になる。
【0025】
天板に対する支柱の取り付け手段は様々な構造を採用できるが、請求項5のようにフランジ板による挟み付け構造を採用すると、天板には鬼目ナットを装着するなどの加工は不要であり、天板には取り付け穴を空けるだけでよいため、天板の加工の手間を軽減できる。
【0026】
コンセントユニットの差し込み口は側方(水平方向)に開口させることも可能であるが、実施形態のように上向きに開口させると、テーブルを挟んで向かい合ったいずれの人も各コンセントユニットを使用できるため、ノートパソコン等の機器がテーブルを挟んで片側に偏っている場合でも、的確に対応できる。すなわち、コンセントユニットの口数の全体の数は足りているのには、特定の人がコンセントユニットを使用しにくいという事態の発生を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】第1実施形態を示す図で、(A)は全体の斜視図、(B)は平面図である。
図2】(A)はコンセントユニットとホルダーと支柱3との分離斜視図、(B)はホルダーの部分斜視図である。
図3】(A)は支柱とホルダーとの接続状態を示す一部破断正面図、(B)は部分側面図、(C)は図4(B)及び図5(A)のIIIC-IIIC 視断面図である。
図4】支柱の取り付け構造を示す図で、(A)は上から見た斜視図、(B)は下から見た斜視図、(C)は支柱固定用部材を上方から見た斜視図、(D)は支柱固定用部材を下方から見た斜視図である。
図5】コンセントユニットを示す図で、(A)は上方から見た分離斜視図、(B)は下方から見た分離斜視図である。
図6】第2実施形態のコンセントユニットを示す図で、(A)は上方から見た分離斜視図、(B)は下方から見た分離斜視図である。
図7】(A)は第2実施形態の組み立てた状態での側側面図、(B)は第2実施形態の組み立て途中での側断面図、(C)は第3実施形態の断面図である。
図8】第4実施形態の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
(1).実施形態の概要
次に、本願発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1に示すように、テーブルは左右の脚1aで支持された左右長手の天板1を有し、天板1の左右のエリアに、左右一対ずつの給電装置2が配置されている。給電装置2は、一対の支柱(足体)3で支持された中空角形のホルダー4を有しており、ホルダー4は、平面視で天板1の前後長手縁1cに対して傾斜姿勢を成した姿勢に配置されている。従って、一対の支柱3は、天板1の長手中心線を挟んだ前後逆方向にずれた状態で配置されている。
【0029】
天板1の上方の空間はホルダー4によって仕切られているが、ホルダー4は平面視で前後長手縁1cに対して傾斜しているため、ホルダー4で仕切られたエリアは、使用する人M1,M2から見て右側に広がる状態になっている。
【0030】
ホルダー4は角形鋼管からなっており、その両端寄り部位に、図2に明示するようにコンセントユニット5を内蔵している。そして、ホルダー4には、コンセントユニット5が内蔵された箇所に、長方形の4つの開口6が長手方向に並んで形成されており、各開口6に、コンセントユニット5の差し込み口7が露出している。
【0031】
以下では、コンセントユニット5の説明に関して前後・左右の文言を使用するが、前後方向はホルダー4の軸心方向から見た方向、左右方向はホルダー4の軸心と直交した水平方向としている。前と後ろに関しては、ホルダー4の端の側を前としている。なお、脚1はロ字形になっているが、棒脚や門型、或いはH形などの各種のものを使用できる。天板2は合板を含む木製であるが、スチール製や積層品であってもよい。
【0032】
支柱3は丸パイプ製であり、その上端をホルダー4に下面板に溶接している。図2(A)に明示するように、コンセントユニット5に接続された電源ケーブル8は、ホルダー4の内部から支柱3に内部を通って下方に引き出されている。この場合、2つのコンセントユニット5の電源ケーブル8は1本に纏められて、1本の支柱3の下方に引き出されている。
【0033】
すなわち、左右のコンセントユニット5において電源ケーブル8を共有して、共有された電源ケーブル8の芯線から両コンセントユニット5の各端子に枝線が分岐している。従って、2つ(複数)のコンセントユニット5を備えつつ、外部電源に接続する電源ケーブル8は1本で足りる。このため、配線作業の手間を軽減できる。もとより、各コンセントユニット5ごとに電源ケーブル8を設けることは可能である。
【0034】
図3(B)に示すように、天板2の下面のうち天板1の長手中心線と重なる部位に、メインダクト9aがビス止めによって配置されて、メインダクト9aから、各支柱3の下方に向けて4本の枝ダクト9bが延びている。各給電装置2において1本に纏められた電源ケーブル8は、メインダクト9aの端からテーブルの外側に引き出して外部電源に接続できる。
【0035】
既述のように、各給電装置2において電源ケーブル8は1本に纏めているため、枝ダクト9bは片方しか使用していないが、各コンセントユニット5ごとに電源ケーブル8を設けた場合に対応できるように、2本ずつの枝ダクト9bを設けている。なお、2つの給電装置2の電源ケーブル8をダクト9の内部で1本に纏めることも可能である。また、メインダクト9a又は他のブラケットにバッテリー載置部を設けて、バッテリーから各コンセントユニット5に給電することも可能である。
【0036】
(2).支柱3の固定構造
図4に示すように、支柱3の下部には、天板2の上面に重なるリング板状の上フランジ板10が溶接されており、上フランジ板10の下面に、中継板11を介して一対(複数個)のナット(ロングナット)12が固定されている。ナット12は、その上端が中継板11にかしめ付け又は溶接で回転不能に固定されており、中継板11は、その外周部に形成した複数の切欠きの箇所が上フランジ板10に溶接されている(スポット溶接してもよい。)。
【0037】
なお、ナット12はホルダー4の長手方向から見て左右に一対配置しているが、前後に一対配置してもよいし、3個以上のナット12を周方向に等間隔で配置してもよい。また、ナット12を上フランジ板10の下面に直接溶接することも可能である。
【0038】
天板2には、ナット12に外接(又は近接)する円形の取り付け穴13が空いている。ナット12の下端は天板2の下面よりも上に位置しており、天板2の下面にリング板状の下フランジ板14を重ねて、下フランジ板14に挿通された2本の上向きビス15をナット12にねじ込んでいる。従って、天板2が上下のフランジ板10,14で挟み付けられて、支柱3は天板2に対して固定される。
【0039】
下フランジ板14には、合成樹脂製の保護ブッシュ16が下方から嵌着されており、かつ、保護ブッシュ16には、下方からキャップ17が嵌着している。保護ブッシュ16は、その下端に外向きフランジ部18を設けると共に、その外周の下端には、下フランジ板14の内周に嵌着するリブ19の群を形成している。従って、保護ブッシュ16は、下方からの圧入によって下フランジ板14に外れ不能に取り付けられる。
【0040】
保護ブッシュ16の下端には内向きフランジ部20を形成している一方、キャップ17の上面には、保護ブッシュ16の内向きフランジ部20に係合する一対の係合爪21を上向きに突設している。従って、キャップ17は下向き脱落不能でかつ回転可能に保持されている。
【0041】
キャップ17には、電源ケーブル8を引き出す切欠き22が形成されている。従って、電源ケーブル8を側方に引き出すことができる。実施形態のようにキャップ17に切欠き22を形成していると、電源ケーブル8の引出し方向を特定できるため、必ずしも枝ダクト9bを設けなくても、電源ケーブル8をメインダクト9aに引き込むことが可能である。実施形態のように、2つの(複数の)コンセントユニット5の電源ケーブル8を1本にまとめると、電源ケーブル8は天板2の一側縁の箇所のみに位置するため、枝ダクト9bを使用せずに外側に引き出すことを容易に実現できる。
【0042】
支柱3の固定手段としては、下フランジ板14に、支柱3の下部に螺合するナット筒を設けて、上下のフランジ板10,14で天板2を挟み固定することも可能である。
【0043】
(3).給電部
図5図3(C)も参照)に示すように、コンセントユニット5は、一対ずつのプラグの差し込み口(端子口)7が形成された4つのプラグホルダー27と、プラグホルダー27の群に上から重なる前後長手のアッパケース28と、プラグホルダー27の群に下から重なる前後長手のロアケース29とを備えている。ロアケース29の前端にはエンドプラグホルダー30を装着できるが、本実施形態では、コンセントユニット5はホルダー4の端部からある程度奥に入っているので、エンドプラグホルダー27を使用することはできない。従って、エンドプラグホルダー30の表示は参考である。
【0044】
アッパケース28は左右の側板を備えて、下向きに開口した角形樋状の形態を成しており、プラグホルダー27が下方から嵌入する窓穴31が空いている。他方、プラグホルダー27には、アッパケース28の下面に当たる前後のフランジ部32が形成されており、フランジ部32がアッパケース28に下方から当たった状態で、各プラグホルダー27は、アッパケース28の上に露出したホルダー4の開口6に嵌入している。従って、各プラグホルダー27のうちホルダー4の開口6から上向きに露出した部位が突起部27aになって、突起部27aに差し込み口7が開口している。
【0045】
ロアケース29は、左右の側板29aと前面板29bと後面板29cとを有して上向き開口の箱状の形態を成しており、アッパケース28とロアケース29とで各プラグホルダー27を上下から挟み固定している。図示は省略しているが、各プラグホルダー36には、電源ケーブル8から分岐した2本ずつの枝線が接続されている。
【0046】
アッパケース28に、長さが長い3本の下向きロングボス筒33と、長さが短い2本の下向きショートボス筒34とを前後に交互に配置して下向きに突設している一方、ロアケース29には、アッパケース28の下向きロングボス筒33に被嵌する上向きショート受け筒35と、アッパケース28のショートボス筒34に被嵌する2本の上向きロング受け筒36とを突設しており、ボス筒33,34と受け筒35,36とを嵌合させている(強制嵌合させて、上下ケース28,29を一体化してもよいし、上下ケース28,29をビスで固定してもよい。)。
【0047】
なお、ロアケース29の一端部には、エンドプラグホルダー30のフランジ部32が上から嵌まるフロント係合溝37を形成している。エンドプラグホルダー30は、アッパケース28によって上向き移動不能に保持され得る。コンセントユニット5をホルダー4の端に配置している場合は、エンドプラグホルダー30を使用可能である。この場合は、エンドプラグホルダー30を充電用USBポートに代えることも可能である。
【0048】
図3(C)に示すように、ホルダー4の下面板に、ロアケース29における2本の上向きロング受け筒36に下方から嵌入当接するビス38がねじ込まれており、ビス38によってコンセントユニット6を上向きに押し上げて、プラグホルダー27の突起部27aがホルダー4の開口8に嵌入した状態を保持している。
【0049】
ロアケース29の後面板29a及びアッパケース28の後面板には、電源ケーブル8を引出すために上向きの切欠き39を形成している。また、図3(C)に示すように、ロアケース29には、プラグホルダー27の下方でかつ受け筒35,36を挟んだ両側に、電源ケーブル8が通る通路40を形成している。なお、図5(A)に一点鎖線で示すように、ロアケース29の前面板29cにも切欠き39を形成することは可能である。
【0050】
図1(C)や図4(A)に示すように、ホルダー4の両端はキャップ41で塞がれている。図5(B)に示すように、キャップ41には角筒状の足体42を設けており、足体42がホルダー4の先端部に弾性的に嵌入するようになっている。足体42の外周には断面山形の突条を形成しており、突条をホルダー4に線接触させることにより、弾性力を利用して取り付けている。
【0051】
(4).まとめ
本実施形態では、コンセントユニット5は天板1の上方に配置されているため、机上面において物品でコンセントユニット5が隠れたり、物品を天板上に載せるに際してコンセントユニット5が邪魔なったりすることは無く、机上面を広く使用しつつ機器に給電できる。特に、実施形態のように支柱3を天板1の左右側部に寄せて配置すると、支柱3が物品の邪魔になりにくいため、特に好適である。
【0052】
そして、ホルダー4が平面視で天板1の前後長手縁1bに対して傾斜していることにより、ホルダー4で区分された前後のエリアは天板1の長手方向の一方の方向(右方向)Xに広がるため、人M1,M2は、エリアを広く使用できるように、エリアの広い側に自然に身体をずらして着座することになる。すなわち、ホルダー4が平面視で天板1の前後縁1bに対して傾斜していることにより、人M1,M2は自分の使用エリアの右側に身体をずらすように誘導される。
【0053】
そして、テーブルを挟んだ人M1,M2は逆方向に移動するため、テーブルを挟んだ人M1,M2が互いに真正面を向いて対峙することはなくて、一方の人の呼気が相手に向かうことはない。従って、呼吸器系感染症が流行している場合であっても、感染に対する不安を無くした状態で打合せ等を行える。
【0054】
また、天板1の前後幅が小さいと、呼吸器系感染症の流行とは関係なく互いの距離が近過ぎると人が感じることがあり、さりとて椅子を引いて天板1との間隔を空けるのは失礼になると思うことがあるが、テーブルを挟んだ人M1,M2が互いに左右にずれていると、真正面を向いている場合に比べて距離は大きくなるため、互いに天板1に身体を近づけて失礼のない状態で着座しつつ、心理的に安心な距離を取ることができる。
【0055】
実施形態のようにコンセントユニット5をホルダー4の長手方向の2か所に配置すると、人M1,M2は自分に近いコンセントユニット5を使用できるため、各人M1,M2の使用エリアを画定する上で好適である。
【0056】
ホルダー4の側面に差し込み口7を開口させることも可能であるが、実施形態のように差し込み口7をホルダー4の上面に開口させると、電源ケーブル8がホルダー4から上向きに立ち上がるため、プラグや電源ケーブル8が邪魔になりにくい利点がある。また、テーブルを挟んだ両側のM1,M2がいずれの差し込み口7も使用できるため、特定人が使用する機器が多くて近くの差し込み口7の数を足りなくなっても、簡単に対応できる利点もある。
【0057】
実施形態のようにホルダー4を中空構造に形成してコンセントユニット6を内蔵すると、コンセントユニット5は差し込み口7を設けた突起部27aしか露出しないため、すっきりとした外観で美観に優れている。特に、コンセントユニット5における突起部27aの上面とホルダー4の上面とを同一面に揃えると、見た目は更に良い。この場合、コンセントユニット5はホルダー4に挿入してから押し上げることになるが、実施形態のようにビス38を使用すると、簡単な構造でコンセントユニット5の押し上げできる利点がある。
【0058】
図示は省略するが、ホルダー4のうち一対のコンセントユニット5の間の部位に小テーブルを配置ことも可能である。小テーブルには、小型プランターや飲み物などの小物を載置できて便利である。また、ホルダー4に、コンセントユニット5の使用を損なわない状態でアクリル等の透明板を取り付けることも可能である(この場合は、透明板から一対の足体を垂下し、足体をホルダー4に取り付けたらよい。)。
【0059】
(5).他の実施形態
次に、図6~8に示す他の実施形態を説明する。図6,7では第2実施形態を示している。この第2実施形態は、第1実施形態のコンセントユニット5の他の利用形態であり、この実施形態では、ロアケース29の下方に、当該ロアケース29と略同じ全長の押さえ部材46が配置されており、押さえ部材46の挿入によってコンセントユニット5を押し上げている。
【0060】
図6に明示するように、押さえ部材46は左右の側板46aと前面板46bとを有して樋状の形態を成しており、左右の側板でロアケース29を左右両側から抱持しているが、押さえ部材46の左右側板46aを、奥から順に上向き低段部47、上向き中段部48、上向き高段部49の三段の高さに形成して階段状に高さを変えると共に、各上向き段部47,48,49に、抜き穴によって線ばね状に形成された押しばね部50を上向きに突設している。
【0061】
他方、ロアケース29の左右側面には、押さえ部材46の側板46aが入り込む肉盗み部(幅狭部)51を形成しており、肉盗み部51の上面(段差面)に、押さえ部材46の各段部47,48,49に対応して、下向き低段部52、下向き中段部53、下向き高段部54の三段の下向き段部を形成している。
【0062】
隣り合った段部47,48,49,52,53,54の高低差は、ホルダー4の板厚よりも僅かに大きい程度に設定している。そして、コンセントユニット5をアッパケース28に装着に当たっては、例えば、図7(B)に示すように、押さえ部材46の上向き低段部47をロアケース29の下向き中段部52に重ねた状態で、コンセントユニット5をホルダー4に挿入して、各プラグホルダー27をホルダー4の開口6に下方から嵌入させてから、押さえ部材46を上向きに押しつつ奥に押し込む。
【0063】
すると、押さえ部材46を押し込みきると、各プラグホルダー27がホルダー4の開口6に嵌合した状態で、押さえ部材46の各段部47,48,49がロアケース29の各段部52,53,54に下方から当接することにより、上上下ケース27,28は全長にわたって下向き動不能に保持されて、コンセントユニット5は安定した状態に保持される。この場合は、押さえ部材46に押しばね部50を形成しているため、各部材に製造誤差があっても、コンセントユニット5をガタ付きのない状態に保持できる。
【0064】
押さえ部材46の下面には左右複数対ずつの下向きリブ55を設けており、下向きリブ55がホルダー4の下内面に当たるように設定している。このように下向きリブ55を設けると、押さえ部材46はホルダー4に対して線接触状に当たるため、押さえ部材46の挿入をスムースに行える。
【0065】
また、ロアケース29における左右側板29aの前端部に下向きに開口したストッパー凹所59を形成する一方、押さえ部材46における左右側板46aの前端には、ストッパー凹所59に下方から嵌合するばね片状のストッパー片60を設けており、これらストッパー片60とストッパー凹所59との嵌まり合いによってロアケース29と押さえ部材46とを相対動不能に保持することにより、コンセントユニット5は前後動不能に保持されている。
【0066】
この第2実施形態では、ホルダー4の下面にビス穴等の穴は不要であるため、ホルダー4の加工の手間を抑制できる。なお、第2実施形態のコンセントユニット5は、第1実施形態のコンセントユニット5を共用している。本実施形態では、2つのコンセントユニット5は、その高段部49,54がホルダー4の端部側に位置するように逆向きの姿勢で配置されている。ホルダー4の下面板に、コンセントユニット5の挿入位置を規定するビスを下方からねじ込んでおいてもよい。
【0067】
(6).第3実施形態
図7(C)に示す第3実施形態では、押さえ部材46をクリップ方式に構成している。すなわち、押さえ部材46は、ホルダー4に形成された前後長手の長穴61に下方から嵌入するように前後長手の板状に形成されており、その前後両端に、スリット62によって区画された下向きの係合足63を形成し、係合足63の下端に、ホルダー4における下板の内面に当接する係合爪64を形成している。
【0068】
コンセントユニット5には、押さえ部材46が下方から嵌入する溝穴65を形成している。コンセントユニット5は簡略して表示しており、ハッチングも施していない。押さえ部材46には、第2実施形態と同様の構造の押しばね部50を設けている。図では、押しばね部50は変形しきった状態に表示している。
【0069】
この例では、コンセントユニット5の全高はホルダー4に内部の上下幅よりも僅かに小さい寸法に設定しており、コンセントユニット5の突起部27a(図示せず)をホルダー4の開口6(図示せず)に嵌合させた状態で、コンセントユニット5の溝穴65に下方から押し込むと、係合爪64がホルダー4の下面部に係合して、押さえ部材46は外れ不能に保持されると共に、コンセントユニット5は前後ずれ不能に保持される。この状態で、コンセントユニット5は押さえ部材46の押しばね部50によって弾性的に付勢されているため、ガタ付きのない状態に保持される。
【0070】
この例では、押さえ部材46は、ホルダー4の下面部に左右一対ずつでかつ前後に複数対配置するのが好ましい。また、押さえ部材46は、隣り合った突起部27aの間に配置するのが好ましい。
【0071】
図8では、1つのテーブルに1つの給電装置2を設けた例を示している。この例では、ホルダー4に1つのコンセントユニット5を設けているが、第1実施形態と同様に2つのコンセントユニット5を設けてもよい。
【0072】
以上、本願発明の実施形態を説明したが、本願発明は他にも様々に具体化できる。例えば、各コンセントユニットにおいて差し込み口の口数は任意に設定できる。また、支柱3で支持されたホルダーを使用する場合、ホルダーは、単なる上向き開口コ字形又は下向き開口コ字形のような樋状(チャンネル状)の形態、或いは板状の形態なども採用できる。また、1本の支柱3の上端にホルダーの前後中間部を固定して、全体としてT形に形成することも可能である。
【0073】
ホルダーを天板の上面に直接重ねて固定したり、細長いコンセントユニットを天板に埋め込むといったことも可能である。一対のコンセントユニットを前後左右にずらして平面視傾斜姿勢で天板に埋め込み配置し、天板の上面に一対のコンセントユニットを結ぶラインを表示するといったことも可能である(この場合、ラインはコンセントユニットと同じ幅であるのが好ましい。)。
【0074】
テーブルは左右長さが3m以上のロングタイプもあるが、このようなロングテーブルの場合は、片側の使用人数分の給電装置を設けたらよい。また、支柱3で支持されたホルダーを設けた場合は、ホルダーに、パソコンやタブレット端末と接続できるモニターを取り付けることも可能である。
【0075】
実施形態のコンセントユニットは上下のケースとプラグホルダーとの3種類の部材で構成されているが、コンセントユニットは、1つのケースにプラグホルダー部を設けた構造など、様々な構造に具体化できる。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本願発明は、給電装置付きテーブルに具体化できる。従って、産業上利用できる。
【符号の説明】
【0077】
1 天板
1a 脚
1b 長手側縁
2 給電装置
3 給電装置を構成する支柱
4 給電装置を構成するホルダー
5 給電装置を構成するコンセントユニット
6 ホルダーの開口
10 上フランジ板
13 取り付け穴
14 下フランジ板
27 プラグホルダー
28 アッパケース
29 ロアケース
38 押さえ用のビス
46 押さえ部材
M1,M2 テーブルを使用する人
X 身体のずらし方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8