(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023067227
(43)【公開日】2023-05-16
(54)【発明の名称】水冷式冷凍機システム
(51)【国際特許分類】
F28G 13/00 20060101AFI20230509BHJP
F28F 27/00 20060101ALI20230509BHJP
F28C 1/02 20060101ALI20230509BHJP
F24F 1/0007 20190101ALI20230509BHJP
【FI】
F28G13/00 A
F28F27/00 501D
F28C1/02
F24F1/0007 331
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021178268
(22)【出願日】2021-10-29
(71)【出願人】
【識別番号】503164502
【氏名又は名称】荏原冷熱システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】内村 知行
(72)【発明者】
【氏名】北村 正史
(72)【発明者】
【氏名】上総 雅裕
(72)【発明者】
【氏名】磯辺 剛司
(72)【発明者】
【氏名】中村 知亮
【テーマコード(参考)】
3L050
【Fターム(参考)】
3L050BB14
(57)【要約】
【課題】システム構成を簡素化しながら循環水の質を適切に管理する水冷式冷凍機システムを提供する。
【解決手段】水冷式冷凍機システム1は、冷水Cが保有する熱を冷却水CDに放出することで冷水Cを冷却する水冷式の冷凍機11と、冷凍機11から冷却水CDを導入し、循環水CDの蒸発潜熱を冷却水CDから奪うことで冷却水CDを冷却する冷却塔21と、冷凍機11に入る冷水Cの温度と冷凍機11から出た冷水Cの温度との差を検出する温度検出器15、16と、冷凍機11を通過する冷水Cの流量を検出する流量検出器18と、温度検出器15、16で検出した温度差と流量検出器18で検出した流量とから算出した冷凍機11の冷凍出力、及び冷凍機11の運転に利用された消費動力、の合計を、冷凍機11における冷水Cから冷却水CDへの放熱量と推定して、冷却塔21における循環水CDの蒸発量を算出する制御装置50と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷水が保有する熱を冷却水に放出することで前記冷水を冷却する、水冷式の冷凍機と、
前記冷凍機から前記冷却水を導入し、循環水の蒸発潜熱を前記冷却水から奪うことで前記冷却水を冷却する冷却塔と、
前記冷凍機に入る前記冷水の温度と前記冷凍機から出た前記冷水の温度との差を検出する温度検出器と、
前記冷凍機を通過する前記冷水の流量を検出する流量検出器と、
前記温度検出器で検出した温度差と前記流量検出器で検出した流量とから算出した前記冷凍機の冷凍出力、及び前記冷凍機の運転に利用された消費動力、の合計を、前記冷凍機における前記冷水から前記冷却水への放熱量と推定して、前記冷却塔における前記循環水の蒸発量を算出する制御装置と、を備える、
水冷式冷凍機システム。
【請求項2】
冷水が保有する熱を冷却水に放出することで前記冷水を冷却する、水冷式の冷凍機と、
前記冷凍機から前記冷却水を導入し、循環水の蒸発潜熱を前記冷却水から奪うことで前記冷却水を冷却する冷却塔と、
前記冷凍機に入る前記冷水の温度と前記冷凍機から出た前記冷水の温度との差を検出する温度検出器と、
前記冷凍機を通過する前記冷水の流量を検出する流量検出器と、
前記温度検出器で検出した温度差と前記流量検出器で検出した流量とから算出した前記冷凍機の冷凍出力、及びあらかじめ把握された前記冷凍機の成績係数から推定された前記冷凍機の消費動力、の合計を、前記冷凍機における前記冷水から前記冷却水への放熱量と推定して、前記冷却塔における前記循環水の蒸発量を算出する制御装置と、を備える、
水冷式冷凍機システム。
【請求項3】
前記制御装置は、複数種類の前記冷凍機について、前記循環水の蒸発量の算出手順が、前記冷凍機の種類ごとに記憶されていると共に、前記算出手順は、前記冷凍機の種類に応じて選択可能に構成されている、
請求項1又は請求項2に記載の水冷式冷凍機システム。
【請求項4】
前記冷凍機は圧縮式の冷凍機であり、
前記消費動力は、前記冷凍機の消費電力である、
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の水冷式冷凍機システム。
【請求項5】
前記冷凍機は直焚き式の吸収式冷凍機であり、
前記消費動力は、前記冷凍機が単位時間あたりに消費した燃料の量に対してボイラ効率を乗じて求められる、
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の水冷式冷凍機システム。
【請求項6】
前記冷凍機は蒸気式の吸収式冷凍機であり、
前記消費動力は、前記冷凍機に対して単位時間あたりに供給された蒸気の量又は排出された凝縮水の量に、蒸気と凝縮水との比エンタルピ差を乗じて求められる、
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の水冷式冷凍機システム。
【請求項7】
前記冷凍機は温水式の吸収式冷凍機であり、
前記消費動力は、前記冷凍機に導入される駆動温水の流量に対して前記駆動温水の出入口温度差を乗じて求められる、
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の水冷式冷凍機システム。
【請求項8】
前記流量検出器は、前記冷凍機に入る前記冷水の圧力と前記冷凍機から出た前記冷水の圧力との差を検出する圧力検出器を有すると共に、前記圧力検出器で検出した圧力差から前記冷水の流量を検出する、
請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の水冷式冷凍機システム。
【請求項9】
前記循環水に補給される補給水の流量を検出する補給水流量検出器を備え、
前記制御装置は、算出した前記循環水の蒸発量と、前記補給水流量検出器で検出された前記補給水の流量と、から、前記循環水の濃縮倍率を算出する、
請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の水冷式冷凍機システム。
【請求項10】
前記循環水を前記冷却塔から排出するブロー管と、
前記ブロー管を介して前記冷却塔から排出される前記循環水の量を調節するブロー弁と、を備え、
前記制御装置は、算出された前記濃縮倍率が所定の値を超えないように、前記ブロー弁の開度を調節する、
請求項9に記載の水冷式冷凍機システム。
【請求項11】
前記制御装置は、前記冷凍機の動作を制御する制御盤に実装されている、
請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載の水冷式冷凍機システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は水冷式冷凍機システムに関し、特に冷却塔で蒸発する循環水の質を適切に管理する水冷式冷凍機システムに関する。
【背景技術】
【0002】
水冷式の冷凍機は、多くの場合、冷却塔を用いて冷却水の排熱を放出する。冷却塔では、一般に、循環水が蒸発する際に必要な気化熱を冷却水から奪うことで冷却水を冷却する。なお、ここでいう循環水は、開放型冷却塔にあっては冷却水自身、密閉型冷却塔にあっては冷却水チューブの外に散布される散布水を指す。循環水は、循環中に、蒸発分が減少するため、減少分を補給している。補給水は、一般に、不純物を含む水道水が用いられる。このため、循環水の蒸発に伴い、補給水が補充された循環水中の不純物が徐々に濃縮され、循環水中の不純物濃度が高まると、不純物がスケールとなって沈着する場合があり、また、循環水が接する部材が腐食する原因となり得る。このような不都合を回避するために、一般に、濃縮された循環水を適宜排出し、循環水の濃縮倍率を所定値以下に維持するようにしている。循環水の質を維持するのに際し、過剰な排出を抑制しつつ、適正濃度に維持する冷却水管理の手法がある。従来の冷却水管理は、冷却水の流量及び温度差から蒸発量ひいては濃縮倍率を求めていた(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された冷却水管理では、冷却水の流量を測定する必要がある。一般に、冷凍機の冷却水流量は監視したり精密に制御したりする必要性が高くないため、冷却水の流量計を設置した場合は、濃縮倍率の測定に用途が限定されることになる。また、冷却水は、比較的流量が大きいので、流量計を設置する場合は、比較的高価な大流量の流量計を設置することになる。濃縮倍率の測定のためだけに比較的高価な大流量の流量計を設置することは、システムの運用効率の低下を招来することとなる。
【0005】
本開示は上述の課題に鑑み、システム構成を簡素化しながら循環水の質を適切に管理する水冷式冷凍機システムを提供することに関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の態様に係る水冷式冷凍機システムは、冷水が保有する熱を冷却水に放出することで前記冷水を冷却する、水冷式の冷凍機と、前記冷凍機から前記冷却水を導入し、循環水の蒸発潜熱を前記冷却水から奪うことで前記冷却水を冷却する冷却塔と、前記冷凍機に入る前記冷水の温度と前記冷凍機から出た前記冷水の温度との差を検出する温度検出器と、前記冷凍機を通過する前記冷水の流量を検出する流量検出器と、前記温度検出器で検出した温度差と前記流量検出器で検出した流量とから算出した前記冷凍機の冷凍出力、及び前記冷凍機の運転に利用された消費動力、の合計を、前記冷凍機における前記冷水から前記冷却水への放熱量と推定して、前記冷却塔における前記循環水の蒸発量を算出する制御装置と、を備える。ここで、「検出する」とは、計測機器で計測することのほか、計測値から演算で対象値を求めることも含む。
【0007】
このように構成すると、冷却水の物理量の計測を要さずに循環水の蒸発量を把握することができ、システム構成を簡素化しながら循環水の質を適切に管理することができる。
【0008】
本開示の第2の態様に係る水冷式冷凍機システムは、冷水が保有する熱を冷却水に放出することで前記冷水を冷却する、水冷式の冷凍機と、前記冷凍機から前記冷却水を導入し、循環水の蒸発潜熱を前記冷却水から奪うことで前記冷却水を冷却する冷却塔と、前記冷凍機に入る前記冷水の温度と前記冷凍機から出た前記冷水の温度との差を検出する温度検出器と、前記冷凍機を通過する前記冷水の流量を検出する流量検出器と、前記温度検出器で検出した温度差と前記流量検出器で検出した流量とから算出した前記冷凍機の冷凍出力、及びあらかじめ把握された前記冷凍機の成績係数から推定された前記冷凍機の消費動力、の合計を、前記冷凍機における前記冷水から前記冷却水への放熱量と推定して、前記冷却塔における前記循環水の蒸発量を算出する制御装置と、を備える。
【0009】
このように構成すると、冷却水の物理量の計測を要さずに循環水の蒸発量を把握することができ、システム構成を簡素化しながら循環水の質を適切に管理することができる。
【0010】
また、本開示の第3の態様に係る水冷式冷凍機システムは、上記本開示の第1の態様又は第2の態様に係る水冷式冷凍機システムにおいて、前記制御装置は、複数種類の前記冷凍機について、前記循環水の蒸発量の算出手順が、前記冷凍機の種類ごとに記憶されていると共に、前記算出手順は、前記冷凍機の種類に応じて選択可能に構成されている。
【0011】
このように構成すると、採用する冷凍機の種類に応じて消費動力を適切に把握することができる。
【0012】
また、本開示の第4の態様に係る水冷式冷凍機システムは、上記本開示の第1の態様乃至第3の態様のいずれか1つの態様に係る水冷式冷凍機システムにおいて、前記冷凍機は圧縮式の冷凍機であり、前記消費動力は、前記冷凍機の消費電力である。
【0013】
このように構成すると、冷凍機の消費電力を消費動力に当てはめて循環水の蒸発量を算出することができ、循環水の蒸発量を適切に把握することができる。
【0014】
また、本開示の第5の態様に係る水冷式冷凍機システムは、上記本開示の第1の態様乃至第3の態様のいずれか1つの態様に係る水冷式冷凍機システムにおいて、前記冷凍機は直焚き式の吸収式冷凍機であり、前記消費動力は、前記冷凍機が単位時間あたりに消費した燃料の量に対してボイラ効率を乗じて求められる。
【0015】
このように構成すると、冷凍機が単位時間あたりに消費した燃料の量にボイラ効率を乗じたものを消費動力に当てはめて循環水の蒸発量を算出することができ、循環水の蒸発量を適切に把握することができる。
【0016】
また、本開示の第6の態様に係る水冷式冷凍機システムは、上記本開示の第1の態様乃至第3の態様のいずれか1つの態様に係る水冷式冷凍機システムにおいて、前記冷凍機は蒸気式の吸収式冷凍機であり、前記消費動力は、前記冷凍機に対して単位時間あたりに供給された蒸気の量又は排出された凝縮水の量に、蒸気と凝縮水との比エンタルピ差を乗じて求められる。
【0017】
このように構成すると、蒸気供給量又は凝縮水排出量に比エンタルピ差を乗じたものを消費動力に当てはめて循環水の蒸発量を算出することができ、循環水の蒸発量を適切に把握することができる。
【0018】
また、本開示の第7の態様に係る水冷式冷凍機システムは、上記本開示の第1の態様乃至第3の態様のいずれか1つの態様に係る水冷式冷凍機システムにおいて、前記冷凍機は温水式の吸収式冷凍機であり、前記消費動力は、前記冷凍機に導入される駆動温水の流量に対して前記駆動温水の出入口温度差を乗じて求められる。
【0019】
このように構成すると、駆動温水の流量に出入口温度差を乗じたものを消費動力に当てはめて循環水の蒸発量を算出することができ、循環水の蒸発量を適切に把握することができる。
【0020】
また、本開示の第8の態様に係る水冷式冷凍機システムは、上記本開示の第1の態様乃至第7の態様のいずれか1つの態様に係る水冷式冷凍機システムにおいて、前記流量検出器は、前記冷凍機に入る前記冷水の圧力と前記冷凍機から出た前記冷水の圧力との差を検出する圧力検出器を有すると共に、前記圧力検出器で検出した圧力差から前記冷水の流量を検出する。
【0021】
このように構成すると、流量計を用いることなく冷水流量を検出することができ、システム構成の簡素化を図ることができる。
【0022】
また、本開示の第9の態様に係る水冷式冷凍機システムは、上記本開示の第1の態様乃至第8の態様のいずれか1つの態様に係る水冷式冷凍機システムにおいて、前記循環水に補給される補給水の流量を検出する補給水流量検出器を備え、前記制御装置は、算出した前記循環水の蒸発量と、前記補給水流量検出器で検出された前記補給水の流量と、から、前記循環水の濃縮倍率を算出する。
【0023】
このように構成すると、循環水の水質管理の指標となる濃縮倍率を簡便に把握することができる。
【0024】
また、本開示の第10の態様に係る水冷式冷凍機システムは、上記本開示の第9の態様に係る水冷式冷凍機システムにおいて、前記循環水を前記冷却塔から排出するブロー管と、前記ブロー管を介して前記冷却塔から排出される前記循環水の量を調節するブロー弁と、を備え、前記制御装置は、算出された前記濃縮倍率が所定の値を超えないように、前記ブロー弁の開度を調節する。
【0025】
このように構成すると、冷却塔の水質管理を自動で行うことができる。
【0026】
また、本開示の第11の態様に係る水冷式冷凍機システムは、上記本開示の第1の態様乃至第10の態様のいずれか1つの態様に係る水冷式冷凍機システムにおいて、前記制御装置は、前記冷凍機の動作を制御する制御盤に実装されている。
【0027】
このように構成すると、循環水の蒸発量の算出に用いる値を検出するセンサ等を冷凍機に関連する値を検出するセンサ等と共用にすることができ、構成を簡素化してコストを抑制することができる。
【発明の効果】
【0028】
本開示によれば、冷却水の物理量の計測を要さずに循環水の蒸発量を把握することができ、システム構成を簡素化しながら循環水の質を適切に管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】一実施の形態に係る水冷式冷凍機システムの模式的系統図である。
【
図2】別の実施の形態に係る水冷式冷凍機システムの模式的系統図である。
【
図3】変形例に係る水冷式冷凍機システムの部分系統図である。
【
図4】冷却塔を密閉式とした場合の冷却塔回りの構成例を示す部分系統図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。なお、各図において互いに同一又は相当する部材には同一あるいは類似の符号を付し、重複した説明は省略する。
【0031】
[水冷式冷凍機システムの一形態]
まず
図1を参照して、一実施の形態に係る水冷式冷凍機システム1(以下、単に「冷凍機システム1」という。)を説明する。
図1は、冷凍機システム1の模式的系統図である。冷凍機システム1は、主要な構成として、水冷式の冷凍機11と、冷却塔21とを備えている。冷凍機システム1は、冷却塔21に出入りする冷却水CDの流量を直接計測することなく、冷却水CDを冷却するために蒸発した液体の量(蒸発量)を把握することができるシステムである。このことを実現するため、冷凍機システム1は、冷凍機11及び冷却塔21のほか、温度計15、16と、差圧計18と、電力計19と、制御装置50と、を備えている。以下、冷凍機システム1の構成を説明する。
【0032】
冷凍機11は、空調機等の熱負荷を処理する機器(不図示)に供給する冷水Cの温度を調節する機器である。換言すれば、冷凍機11は、冷熱を利用する場所(熱負荷を処理する機器が設置されている場所)から送られてきた冷水Cを導入し、導入した冷水Cを冷却して、冷却された冷水Cを冷熱の利用場所に向けて流出させるものである。冷凍機11は、内部において、液体の機内熱媒体が蒸発する際に費やされる潜熱を冷水Cから奪うことで冷水Cを冷却し、蒸発した機内熱媒体が凝縮する際に生じる凝縮熱を冷却水CDに放出する冷凍サイクルを行う。つまり、冷凍機11は、内部において、冷媒となる機内熱媒体が相変化を伴う冷凍サイクルを行うことで、冷水Cから奪った熱を冷却水CDに放出している。このように、冷凍機11は、空気ではなく、冷却水CDで冷却する構成(すなわち水冷)になっている。冷凍機11は、本実施の形態では、圧縮式の冷凍機が用いられている。圧縮式の冷凍機11は、外部から電力を入力して、蒸発した機内熱媒体を圧縮する圧縮機を作動させるように構成されている。冷凍機11に電力を供給するルートには、冷凍機11の消費電力を検出する電力計19が設けられている。
【0033】
冷凍機11には、冷水往管12と、冷水還管13と、冷却水往管22と、冷却水還管23と、が接続されている。冷水往管12は、冷凍機11で冷却された冷水Cを冷熱の利用場所に向けて流す配管である。冷水還管13は、温度が上昇した冷水Cを冷凍機11に導く配管である。冷却水往管22は、冷却塔21で冷却された冷却水CDを冷凍機11に導く配管である。冷却水還管23は、冷凍機11内で温度が上昇した冷却水CDを冷却塔21に向けて流す配管である。冷水往管12には、内部を流れる冷水Cの温度を検出する往温度計15が設けられている。冷水還管13には、内部を流れる冷水Cの温度を検出する還温度計16が設けられている。また、冷水往管12及び冷水還管13には、それぞれの内部を流れる冷水Cの圧力の差を検出する差圧計18が、両配管12、13にまたがって設けられている。
【0034】
冷却塔21は、冷凍機11に供給する冷却水CDの温度を低下させる機器である。換言すれば、冷却塔21は、冷凍機11から送られてきた冷却水CDを導入し、導入した冷却水CDを冷却して、冷却された冷却水CDを冷凍機11に向けて流出させるものである。冷却塔21は、本実施の形態では、開放型の冷却塔が用いられている。つまり、冷却塔21は、内部に設けられている充填層に、冷凍機11から導入した冷却水CD自体を散布して、散布した冷却水CDの一部が蒸発する際に残りの冷却水CDから蒸発潜熱を奪うことで、残りの冷却水CDを冷却するように構成されている。本実施の形態では、冷却水CD自体が残りの冷却水CDから蒸発潜熱を奪うので、冷却水CDが循環水に相当する。つまり、本実施の形態では、冷却水CDが循環水を兼ねている。冷却塔21は、内部に空気を強制的に通過させるためのファンが設けられている。冷却塔21は、ファンの回転速度を変えることで内部を通過する空気の流量を変えることができ、通過空気流量の変化によって循環水としての冷却水CDの蒸発量を調節することができるように構成されている。
【0035】
冷却塔21には、冷却水往管22と、冷却水還管23と、が接続されている。換言すれば、冷却塔21と冷凍機11とは、冷却水往管22及び冷却水還管23を介して接続されてる。冷却水往管22には、冷却塔21で冷却された冷却水CDを冷凍機11に圧送する冷却水ポンプ25が設けられている。冷却塔21は、冷却水還管23を介して冷凍機11からの温度が上昇した冷却水CDを導入して冷却し、温度が低下した冷却水CDを冷凍機11に向けて冷却水往管22に流出するように構成されている。
【0036】
また、冷却塔21には、ブロー管32と、補給水管35と、が接続されている。ブロー管32は、循環水としての冷却水CDを、冷却塔21から排出して、冷凍機システム1の外へ導く配管である。ブロー管32には、ブロー弁33が設けられている。ブロー弁33は、ブロー管32を流れる流体の流量を調節するために設けられている。ブロー弁33は、典型的には開度を0%から100%まで無段階に調節することができるように構成されているが、開状態と閉状態との二位置で切り換えるように構成されていてもよい。ブロー弁33は、典型的には電動弁又は電磁弁が用いられ、制御装置50からの指令により開度を調節することができるようになっている。補給水管35は、補給水Aを、冷凍機システム1の外から、冷却塔21に導く配管である。冷却塔21に導入された補給水Aは、循環水としての冷却水CDに混合され、冷却のための蒸発により減少した冷却水CDを補充する。冷却塔21における補給水管35の端部にはボールタップが設けられており、冷却された冷却水CDを貯留する下部水槽の水位が所定の水位よりも低下しているときにボールタップの弁が開いて補給水Aが補充されるようになっている。また、本実施の形態では、補給水管35に、補給水流量計36が設けられている。補給水流量計36は、本実施の形態では、積算式流量計が用いられており、パルス発信機が取り付けられている。補給水流量計36のパルス定数(パルスが発信される間隔における流量)は、冷却塔21の定格運転時に、補給水Aが、概ね10分間~30分間で補給される流量に設定するとよい。
【0037】
制御装置50は、冷凍機システム1の動作を制御する装置である。制御装置50は、冷凍機11と有線又は無線で電気的に接続されており、冷凍機11に信号を送信して、冷凍機11の出力(冷凍容量)を調節することができるように構成されている。また、制御装置50は、冷却塔21と有線又は無線で電気的に接続されており、冷却塔21に信号を送信して、ファンの回転速度を調節することができるように構成されている。また、制御装置50は、冷却水ポンプ25と有線又は無線で電気的に接続されており、冷却水ポンプ25に信号を送信して、冷却水ポンプ25の発停を制御することができるように構成されている。また、制御装置50は、往温度計15及び還温度計16のそれぞれと有線又は無線で電気的に接続されており、各温度計15、16で検出された値を信号として受信することができるように構成されている。また、制御装置50は、差圧計18と有線又は無線で電気的に接続されており、差圧計18で検出された値を信号として受信することができるように構成されている。また、制御装置50は、電力計19と有線又は無線で電気的に接続されており、電力計19で検出された値を信号として受信することができるように構成されている。また、制御装置50は、ブロー弁33と有線又は無線で電気的に接続されており、ブロー弁33に信号を送信して、ブロー弁33の開度を調節することができるように構成されている。また、制御装置50は、補給水流量計36と有線又は無線で電気的に接続されており、補給水流量計36から発信されたパルスを受信することができるように構成されている。
【0038】
また、制御装置50は、冷却塔21における循環水としての冷却水CDの蒸発量を算出することができるように構成されている。前述のように、従来は、冷却水の流量及び冷却塔出入口温度差を計測して、冷却水の蒸発量を求めていた。しかし、冷却水は、一般に、流量や熱量を管理しないことが多いため、冷却水の流量及び温度差から蒸発量を算出する場合は、このためだけに流量計及び温度計を設けることとなる。他方、冷凍機は、エネルギーの管理や効率の悪化などを検出するために、冷水の流量、冷凍出力、消費動力(冷凍機を動かすために利用されたエネルギー)等を、測定及び/又は演算していることが多い。ここで、冷凍機の熱収支を考えると、冷凍機における冷却水への放熱量は、冷凍出力(冷水からの吸熱量)と、冷凍機の消費動力との和にほぼ等しくなる。そこで本実施の形態では、水冷式冷凍機の冷水流量及び冷水の出入り温度差から算出した冷凍出力と、水冷式冷凍機の消費動力とを求め、この合計を冷却水への放熱量とみなして冷却水の蒸発量を演算することとしている。このような演算をするために、制御装置50は、冷水流量算出部51と、冷凍出力算出部52と、蒸発量算出部53と、濃縮倍率算出部54と、を有している。
【0039】
冷水流量算出部51は、冷水Cの流量を算出するものである。冷水流量算出部51は、本実施の形態では、差圧計18から受信した差圧の情報から、冷水Cの流量を算出することとしている。冷水Cについて差圧から流量を算出する際、流体の圧力損失は流量の二乗に比例するという法則を用いている。冷水流量算出部51には、典型的には、次の計算式が記憶されている。
Q=Qn・(dP/dPn)1/2
ここで、Qは求めるべき冷水Cの流量、Qnは冷凍機11の定格流量、dPnは定格運転時の差圧、dPは差圧計18で検出された差圧である。定格流量Qn及び定格差圧dPnは、あらかじめ計測して冷水流量算出部51に記憶させておく。冷水流量算出部51は、上述の計算式を記憶しておく代わりに、あらかじめ測定された差圧と流量との関係(流量特性)をテーブルとして記憶させておき、差圧計18で検出された差圧を当該テーブルに照らして冷水Cの流量を求めることとしてもよい。特に非線形性のある場合(冷水流量を層流域まで減少させて使用する場合など)では、その方が適している場合もある。テーブル演算にて冷水Cの流量を算出する場合、複数の点をあらかじめ測定により求めておく。テーブルに数値がない点については、当該点を挟む隣接する2点間の線形比例に基づいて求めることができる。
【0040】
冷凍出力算出部52は、冷凍機11の冷凍出力を算出するものである。冷凍出力算出部52は、本実施の形態では、往温度計15及び還温度計16のそれぞれで検出された温度、並びに冷水流量算出部51で算出された冷水Cの流量から、冷凍機11の冷凍出力を算出することとしている。冷凍出力算出部52には、典型的には、次の計算式が記憶されている。
Pw=Cw・Q(T2-T1)
ここで、Pwは求めるべき冷凍出力、Cwは冷水Cの比熱、Qは上述の冷水流量算出部51で算出された冷水Cの流量、T1は往温度計15で検出された温度、T2は還温度計16で検出された温度である。なお、冷凍機の分野で一般的であるように、冷水Cの出口温度が一定になるように制御する場合は、その変動範囲は小さいため、比熱Cwを冷水Cの種類(例えば、水、エチレングリコール等)による定数として差し支えない。冷凍出力算出部52には、冷水Cの種類に応じた定数の比熱Cwが記憶されている。
【0041】
蒸発量算出部53は、冷却水CDの蒸発量を算出するものである。蒸発量算出部53は、本実施の形態では、冷凍出力算出部52で算出された冷凍出力Pw、及び電力計19で検出された電力から、冷却水CDの蒸発量を算出することとしている。蒸発量算出部53には、典型的には、次の計算式が記憶されている。
E=(Pw+P)/Ce
ここで、Eは求めるべき冷却水CDの蒸発量、Pwは冷凍出力算出部52で算出された冷凍出力、Pは電力計19で検出された電力、Ceは循環水の蒸発潜熱に相当する値である。前述のように、水冷式冷凍機の冷却水の放熱量は、熱収支から、冷凍出力と冷凍機の消費動力との和にほぼ等しくなる。厳密には、冷凍機本体からの放熱量により差異が生じるが、当該放熱量は、冷凍機本体の保温・保冷を行わない場合でも冷凍出力の数%程度であり、保温を行っている状態であれば、ほぼ無視して差し支えない。また、圧縮式冷凍機の場合、冷凍機で高温となるところは少なく、冷却水温度は外気温度とあまり変わらないため、放熱は、外気温度より低温である冷水からが主となる。したがって、熱収支としては正方向(収入側)であるため、冷却水の放熱量をやや多めに評価することになり、循環水の濃縮を抑制するという観点で見れば安全側となる。このような観点から、上述の計算式を用いて冷却水CDの蒸発量を算出することとしている。なお、蒸発潜熱Ceに関し、従来は冷却水の放熱量をkcal単位で計算したうえで当該温度域の蒸発潜熱を切り上げた600kcal/kgが一般に用いられてきた。しかし、冷凍出力Pw及び電力PをkWとし、蒸発量Eをkg/secの単位で求める場合、単位を換算して、蒸発潜熱Ceは25000kJ/kgの値を用いるとよい。あるいは、蒸発量Eをkg/min≒LPM(リットル/min)の単位で求める場合、蒸発潜熱Ceは42kW/LPMの値を用いるとよい。ここからさらに蒸発量Eの単位をkg/hとする場合、蒸発潜熱Ceの逆数1/Ceは1.44kg/kWhとなるので、上述の蒸発量Eを求める式を以下のように表すこともできる。
E[kg/h]=1.44(Pw[kW]+P[kW])
なお、上記計算式により得られる蒸発量E[kg/h]は瞬時値であることに留意し、数時間や1日単位で蒸発量Eを捕らえる場合は積算するとよい。
【0042】
濃縮倍率算出部54は、循環水としての冷却水CDの濃縮倍率を算出するものである。濃縮倍率算出部54は、本実施の形態では、蒸発量算出部53で算出された蒸発量Eを適切に積算したもの、及び補給水流量計36で検出された補給水Aの積算流量から、冷却水CDの濃縮倍率を算出することとしている。濃縮倍率算出部54には、典型的には、次の計算式が記憶されている。
N=M/(M-E)
ここで、Nは求めるべき濃縮倍率、Mは補給水流量計36で検出された補給水Aの積算流量、Eは蒸発量算出部53で算出された蒸発量を適切に積算したものである。濃縮倍率算出部54は、本実施の形態では、補給水流量計36からパルスを受信するごとに濃縮倍率Nを算出するように構成されている。仮に、ある決まった時間間隔で濃縮倍率Nを算出することとすると、パルス定数によっては、当該時間間隔に入るパルスの数が変動し得る。例えば、パルス定数が1m3で、1時間に4m3の補給水量である場合、既定の時間おきに濃縮倍率を計算すると、1つのパルスがぎりぎり検定時間に入るか入らないかで、パルスは最小3回から最大5回のばらつきが生じる。この場合、正しい補給水量(4m3)に対して±1m3(25%)もの誤差(いわゆる、量子化誤差の一種)が生じることとなる。この点、本実施の形態のように補給水流量計36からパルスを受信するごとに濃縮倍率Nを算出すると、パルス定数の大きさによる誤差をなくし、適切な濃縮倍率を演算して維持することが可能となる。
【0043】
上述の、冷水流量算出部51、冷凍出力算出部52、蒸発量算出部53、濃縮倍率算出部54に記憶された計算式は、プログラムとして格納されていてもよい。上述のような制御装置50に関し、
図1では、冷水流量算出部51、冷凍出力算出部52、蒸発量算出部53、及び濃縮倍率算出部54が別々に構成されているように示している。しかしながら、これは機能の観点から概念的に別々に表現したものであり、物理的には渾然一体に構成されていてもよい。また、
図1では、冷水流量算出部51、冷凍出力算出部52、蒸発量算出部53、及び濃縮倍率算出部54が1つの筐体に収容されて制御装置50を構成しているように示されているが、これは概念を示しているものであって、物理的にはこれらが分離して配設されていてもよい。
【0044】
引き続き
図1を参照して、冷凍機システム1の作用を説明する。冷凍機システム1を起動すると、制御装置50は、冷水ポンプ(不図示)を起動し、冷水Cを流動させる。これにより、流動を始めた冷水Cは、冷水還管13内を流れてから冷凍機11に流入し、冷凍機11内を通過した後に冷水往管12に流出し、冷水往管12を流れて冷熱の利用場所に供給される。また、制御装置50は、冷却水ポンプ25を起動し、冷却水CDを流動させる。これにより、流動を始めた冷却水CDは、冷却塔21から冷却水往管22内を流れて冷凍機11に流入し、冷凍機11内を通過した後に冷却水還管23に流出し、冷却水還管23を流れて再び冷却塔21に至る。冷却水CDの流動が開始したら、制御装置50は、冷却塔21を起動する。冷却塔21が起動すると、冷却塔21のファンが回転を始める。冷却水CDは、冷却塔21に流入すると、冷却塔21の上部から充填層に向けて散布され、充填層の各層を伝わりながら落下し、下部水槽に集まる。冷却水CDは、充填層の各層を伝わりながら落下する際に、一部が蒸発するのであるが、この蒸発のための潜熱を残りの冷却水CDから奪うことで、残りの冷却水CDが、最大で外気湿球温度付近まで冷却される。このため、下部水槽に貯留される冷却水CDは、冷却塔21に流入した冷却水CDよりも温度が低くなっている。制御装置50は、冷却塔21のファンの回転速度を調節して冷却塔21内を通過する外気量を調節することで、下部水槽に貯留される冷却水CDの温度を調節する。
【0045】
冷却塔21を起動したら、制御装置50は、冷凍機11を起動する。冷凍機11が起動すると、冷凍機11の圧縮機が作動を始める。すると、冷凍機11の内部では、圧縮機の助けを借りて機内熱媒体が相変化を伴う冷凍サイクルを行う。冷凍機11では、流入した冷水Cが保有する熱を、機内熱媒体を介して、流入した冷却水CDに放出することで、冷水Cの温度が低下し、冷却水CDの温度は上昇する。制御装置50は、典型的には随時、往温度計15で検出された温度を受信して、往温度計15で検出された温度が所定の温度(例えば7℃)になるように、冷凍機11の出力(冷凍容量)を調節する。冷凍機システム1の作動中、制御装置50は、往温度計15で検出された温度のほか、還温度計16で検出された温度、差圧計18で検出された差圧、及び電力計19で検出された電力を、典型的には随時受信している。また、制御装置50は、補給水流量計36から発信されたパルスを適宜受信している。冷却塔21においては、冷却水CDの一部が蒸発して量が少なくなり、下部水槽に貯留されている冷却水CDの水位が所定の水位よりも低下しているときに、ボールタップの弁が開いて補給水Aが下部水槽に補充される。
【0046】
上述のように冷凍機システム1が作動しているとき、制御装置50は、冷却水CDの蒸発量(E)及び濃縮倍率(N)を適時に算出している。本実施の形態では、制御装置50は、まず、差圧計18で検出された差圧から冷水Cの流量(Q)を求める。次に、この冷水Cの流量(Q)と往温度計15及び還温度計16のそれぞれで検出された温度差(T2-T1)とから、定数の比熱(Cw)を参照して、冷凍出力(Pw)を求める。その後、この冷凍出力(Pw)と電力計19で検出された電力(P)とから、冷却水CDの蒸発潜熱に相当する値(Ce)を参照して、冷却水CDの蒸発量(E)を求める。このように、本実施の形態では、冷凍機11の冷凍容量の制御にも用いられる冷水Cに関する計測値を利用して冷却水CDの蒸発量(E)を求めているので、冷却水CDの物理量を計測する構成を別途設けなくて済み、構成を簡素にすることができる。
【0047】
制御装置50は、冷却水CDの蒸発量(E)を求めたら、この蒸発量(E)と補給水流量計36から受信した流量とから、濃縮倍率(N)を求める。濃縮倍率(N)は、前述のように、補給水流量計36からパルスを受信するごとに算出する。制御装置50は、算出した濃縮倍率(N)が所定の値を上回ったら、ブロー弁33を制御してその開度を上げる。ここで、濃縮倍率(N)の所定の値は、不純物がスケールとなって沈着することがない濃度の範囲で任意に決定することができ、例えば補給水A中の不純物濃度の3倍程度であってもよい。ブロー弁33の開度が大きくなると、ブロー弁33を介して排出される冷却水CDの流量が増加し、濃度が高い冷却水CDが比較的多く冷却塔21から排出される。比較的濃度が高い冷却水CDが排出され、変わって補給水Aが冷却塔21に導入されることで、冷却塔21内の冷却水CDの濃度が希釈される。これにより、冷却水CD中の不純物がスケールとなって沈着することを抑制することができる。制御装置50は、引き続き補給水流量計36からパルスを受信するごとに濃縮倍率(N)を算出し、濃縮倍率(N)が所定の値を下回ったら、ブロー弁33を制御してその開度を下げる。このように、冷凍機システム1では、その運転状態から冷却水CDの蒸発量(E)を算出して、適切な量の冷却水CDを排出しているので、必要以上の補給水Aを消費することを抑制することができる。
【0048】
以上で説明したように、本実施の形態に係る冷凍機システム1によれば、検出した冷水Cの流量及び冷水Cの冷凍機11に対する出入口温度差並びに冷凍機11の消費電力から循環水としての冷却水CDの蒸発量(E)を求めている。このため、冷却水CDの物理量を計測することなく冷却水CDの蒸発量を把握することができ、冷凍機システム1の構成を簡素にしつつ、かつ、補給水(A)の過剰消費を抑制しつつ、冷却水CDの質を適切に管理することができる。
【0049】
[直焚き吸収式冷凍機]
次に
図2を参照して、別の実施の形態に係る水冷式冷凍機システム2(以下、単に「冷凍機システム2」という。)を説明する。
図2は、冷凍機システム2の模式的系統図である。冷凍機システム2の、冷凍機システム1(
図1参照)と異なる主要な点として、圧縮式の冷凍機11(
図1参照)に代えて直焚きの吸収式の冷凍機61が設けられている点、電力計19(
図1参照)に代えて燃料流量計63が設けられている点がある。冷凍機61は、内部において、吸収液と冷媒とが吸収冷凍サイクルを行うことで、蒸発器において冷媒が蒸発する際に利用される潜熱を冷水Cから奪って冷水Cを冷却する。また、冷凍機61では、吸収器において冷媒を吸収した吸収液から冷媒を離脱させるための加熱を、再生器で燃料Fを燃焼させて行っている。燃料Fを燃焼させて吸収液を加熱する再生器は、ボイラとみなすことができる。また、冷凍機61では、冷水Cから熱を奪って蒸発した冷媒を吸収器において吸収液が吸収した際に生じる熱、及び再生器で加熱されて離脱した冷媒を凝縮器において凝縮させた際に生じた熱を、冷却水CDに放出する。冷凍機61には、動力源として、電力ではなく、燃料供給管62を介して燃料Fが供給されるように構成されている。燃料流量計63は、燃料供給管62に設けられている。また、冷凍機61には、燃料Fを燃焼させて生じた排ガスを排出する排ガス流路64が接続されている。排ガス流路64には、内部を流れる排ガスの温度を検出する排ガス温度計65が設けられている。燃料流量計63及び排ガス温度計65は、それぞれ、制御装置50と有線又は無線で電気的に接続されており、検出した値を信号として制御装置50に送信することができるように構成されている。
【0050】
冷凍機61の消費動力は、冷凍機61で単位時間あたりに燃焼される燃料Fの消費量(kg/sec)に、燃料Fの単位発熱量(kJ/kg)と、ボイラ効率とを乗じることで求めることができる。冷凍機61で燃焼される燃料Fの消費量は、本変形例では燃料供給管62を通過した燃料Fの量に等しいと見ることができ、燃料流量計63で検出することができる。単位発熱量は、燃料Fの種類に固有の値となる。燃料Fの燃焼に伴う発熱量は、燃料Fの単位発熱量に燃料Fの消費量を乗じたものとなり、これにボイラ効率を掛け合わせたものが冷凍機61への入熱量となる。ボイラ効率は、排ガス温度計65で検出した排ガスの温度から推定することができる(熱損失法)。厳密には、冷凍機61における燃焼ガスの空燃比を排気ガス中の酸素濃度などから求めて吸気量を推定し、吸気の温度も測定することが好ましい。しかし、一般に冷凍機のバーナでは空燃比が適切になるように調整されているので、空燃比を一定と仮定することができ、これに基づいて吸気量を推定することができる。また、冷凍機61が冷凍運転を行う期間中の外気温度はそれほど大きくは変わらないので、これも一定と仮定することができる。したがって、排気ガス温度を計測すれば、ボイラ効率は演算可能となる。また、一般にボイラ効率も、冷凍機61の運転条件によって大きくは変わらないので、これを一定と仮定してもよい。なお、単位発熱量としては低位発熱量を用いる方法と高位発熱量を用いる方法とがあるが、発熱量とボイラ効率とが整合していればどちらを用いてもよい。この場合、推定される効率を実際の効率を若干上回る値としておくことで、蒸発量(E)を過少に評価するリスク(濃縮倍率(N)を過少に評価するリスク)を低減することができる。冷凍機システム2は、制御装置50の蒸発量算出部53において、前述の蒸発量(E)を算出する計算式中で、冷凍機システム1(
図1参照)における電力(P)を、上述の冷凍機61の消費動力(燃料Fの消費量×単位発熱量×ボイラ効率)に置き換えればよい。冷凍機システム2の上記以外の構成は、冷凍機システム1(
図1参照)と同様である。
【0051】
上述のように構成された冷凍機システム2は、冷凍機システム1(
図1参照)と同様に作用して、冷却水CDの蒸発量(E)及び濃縮倍率(N)を算出し、冷却水CDの質を適切に管理することができる。
【0052】
[蒸気式吸収式冷凍機]
なお、図示は省略するが、冷凍機システム1(
図1参照)の圧縮式の冷凍機11を、冷凍機システム2(
図2参照)では直焚きの吸収式の冷凍機61に代えたのに倣い、冷凍機として蒸気式の吸収式冷凍機を用いてもよい。蒸気式の吸収式冷凍機は、直焚きの吸収式の冷凍機61(
図2参照)と比較して、再生器における加熱を、燃料を燃焼させて発生した熱ではなく、蒸気の熱で行っている点が異なっている。その他の蒸気式の吸収式冷凍機の構成は、直焚きの吸収式の冷凍機61(
図2参照)と同様である。したがって、蒸気式の吸収式冷凍機は、吸収液と冷媒との吸収冷凍サイクルにより、蒸発器における冷媒の蒸発潜熱を冷水Cから奪うことで冷水Cを冷却し、吸収器における吸収熱及び凝縮器における凝縮熱を冷却水CDに放出する。また、蒸気式の吸収式冷凍機は、燃料供給管62(
図2参照)に代えて、蒸気を内部に流す蒸気供給管が接続されている。蒸気式の吸収式冷凍機を用いる冷凍機システムでは、蒸気式の吸収式冷凍機に供給される蒸気の流量を計測する蒸気流量計及び/又は蒸気利用後に生じるドレン水(凝縮水)の流量を計測するドレン流量計が設けられているとよい。蒸気式の吸収式冷凍機を用いる冷凍機システムでは、排ガス流路64(
図2参照)及び排ガス温度計65(
図2参照)は設けられていない。
【0053】
蒸気式の吸収式冷凍機を用いる冷凍機システムにおける消費動力は、蒸気式の吸収式冷凍機に単位時間あたりに供給される蒸気の量(kg/sec)に、蒸気の比エンタルピとドレン水の比エンタルピとの差(kJ/kg)を乗じることで求めることができる。なお、蒸気式の吸収式冷凍機に単位時間あたりに供給される蒸気の量に代えて、蒸気式の吸収式冷凍機から単位時間あたりに排出されるドレン水の量を適用してもよい。蒸気式の吸収式冷凍機に供給される蒸気の量は蒸気流量計で計測することができ、蒸気式の吸収式冷凍機から排出されるドレン水の量はドレン流量計で計測することができる。なお、蒸気式の吸収式冷凍機に供給される蒸気の圧力がほぼ一定であれば、蒸気の比エンタルピもほぼ一定とみなすことができ、ドレン水の温度も大きくは変化しないので、比エンタルピ差は定数として差し支えない。この場合、定数として扱う比エンタルピ差を、運転条件の変動範囲内で大きめの値としておくことで、蒸発量(E)を過少に評価するリスク(濃縮倍率(N)を過少に評価するリスク)を低減することができる。蒸気式の吸収式冷凍機を用いる冷凍機システムは、制御装置50の蒸発量算出部53において、前述の蒸発量(E)を算出する計算式中で、電力(P)を、上述の蒸気式の吸収式冷凍機の消費動力(蒸気又はドレン水の量×比エンタルピ差)に置き換えればよい。蒸気式の吸収式冷凍機を用いる冷凍機システムの上記以外の構成は、冷凍機システム1(
図1参照)及び冷凍機システム2(
図2参照)と同様である。上述のように構成された蒸気式の吸収式冷凍機利用の冷凍機システムは、冷凍機システム1(
図1参照)及び冷凍機システム2(
図2参照)と同様に作用して、冷却水CDの蒸発量(E)及び濃縮倍率(N)を算出し、冷却水CDの質を適切に管理することができる。
【0054】
[温水式吸収式冷凍機]
また、蒸気式の吸収式冷凍機に代えて、温水式の吸収式冷凍機を用いてもよい。温水式の吸収式冷凍機は、蒸気式の吸収式冷凍機と比較して、再生器における加熱を、蒸気の熱ではなく、温水の熱で行っている点が異なっている。その他の温水式の吸収式冷凍機の構成は、蒸気式の吸収式冷凍機と同様である。したがって、温水式の吸収式冷凍機は、吸収液と冷媒との吸収冷凍サイクルにより、蒸発器における冷媒の蒸発潜熱を冷水Cから奪うことで冷水Cを冷却し、吸収器における吸収熱及び凝縮器における凝縮熱を冷却水CDに放出する。また、温水式の吸収式冷凍機は、蒸気供給管に代えて、温水を内部に流す温水供給管が接続されている。温水式の吸収式冷凍機を用いる冷凍機システムでは、温水式の吸収式冷凍機に供給される温水の流量を検出する温水流量検出器、及び温水出入口温度差を検出する温水温度検出器が設けられているとよい。温水式の吸収式冷凍機を用いる冷凍機システムでも、排ガス流路64(
図2参照)及び排ガス温度計65(
図2参照)は設けられていない。温水式の吸収式冷凍機を用いる冷凍機システムにおける消費動力は、温水式の吸収式冷凍機に供給される温水について、流量と、出入口温度差と、比熱との積で求めることができる。温水式の吸収式冷凍機を用いる冷凍機システムは、制御装置50の蒸発量算出部53において、前述の蒸発量(E)を算出する計算式中で、電力(P)を、上述の温水式の吸収式冷凍機の消費動力(温水流量×温水出入口温度差×温水比熱)に置き換えればよい。温水式の吸収式冷凍機を用いる冷凍機システムの上記以外の構成は、冷凍機システム1(
図1参照)等と同様である。上述のように構成された温水式の吸収式冷凍機利用の冷凍機システムは、冷凍機システム1(
図1参照)等と同様に作用して、冷却水CDの蒸発量(E)及び濃縮倍率(N)を算出し、冷却水CDの質を適切に管理することができる。
【0055】
[ブロー管接続位置の変形例]
次に
図3を参照して、ブロー管32まわりの変形例を説明する。
図3は、変形例に係る冷凍機システムの部分系統図である。本変形例では、ブロー管32の接続位置が、これまで説明した冷凍機システムのものと異なっている。本変形例では、ブロー管32が、冷却塔21の下部水槽ではなく、冷却水ポンプ25の吐出側の冷却水往管22に接続されている。本変形例では、ブロー管32に、ブロー流量計38が設けられている。ブロー流量計38は、ブロー管32を通って冷凍機システムから排出される冷却水CD(以下「ブロー水」という場合もある)の流量を計測するものであり、本変形例では積算流量計が用いられている。ブロー流量計38は、制御装置50と有線又は無線で電気的に接続されており、計測した流量を信号として制御装置50に送信することができるように構成されている。ブロー流量計38は、本変形例では、冷却水ポンプ25とブロー弁33との間のブロー管32に設けられている。本変形例の構成は、これまで説明したすべての冷凍機システム(冷凍機が、圧縮式、各種吸収式(直焚き、蒸気式、温水式)のすべて)に適用可能である。
【0056】
本変形例の構成が適用された冷凍機システムは、冷凍機システムの外へ排出される冷却水CDを、冷却水ポンプ25の圧力でブロー管32を流すことができるので、冷却塔21の下部水槽から自然流下する場合よりも、流量を正確に測定することができる。ここで、ブロー管32を流れる冷却水CDの流量を計測する実益は、下水道料金の減免を得ることにある。一般に、ブロー水は、下水道に排出されるが、冷却塔21において蒸発する冷却水CD及び冷却用の空気等に同伴されるなどして飛散する冷却水CDは、下水道に排出されない。一般に下水道料金は、上水の使用量がすべて下水道に流れ込んだものと推定して、上水の使用量応じて課金されるが、上水を使用しても下水道に流れ込まなかった流量を明確にすることができれば、その分、下水道料金が減免される制度のある自治体等がある。本変形例の場合、補給水流量計36で検出された補給水Aの量と、ブロー流量計38で検出されたブロー水の量との差が、下水道料金の減免を受けることができる量に相当する。本変形例の構成とすることで、ブロー流量計38はブロー管32中の常に満水の部位で、冷却水ポンプ25の圧力のある条件下で測定できるようになるため、ブロー水の量を安価な流量計(積算流量計)で正確に把握し、下水料金の減免を受けることが可能となる。また、補給水流量計36で測定された補給水Aの量から、ブロー流量計38で測定されたブロー水の量と、制御装置50で演算された蒸発量(E)とを差し引いた値は、冷却塔21から飛散した飛散量の推定値となる。飛散量自体は濃縮倍率の管理等には特段必要な値ではない。しかし、飛散量が通常に比べて多かったり、一時的に増加したりした場合、冷却塔からの水漏れや、スプレー配管の異常など、何らかの異常を示唆している可能性があり、点検等を行う目安とするなどの活用もできる。
【0057】
[密閉式冷却塔]
以上で説明した各種の冷凍機システムでは、冷却塔21が開放型であるとしたが、密閉式であってもよい。冷却塔21が密閉式の場合、冷却塔21において、冷却水CDは、コイルの内部を流れるために、空気に触れて蒸発することはない。代わりに、冷却水CDとは別の散布水が、冷却水CDを流すコイルの外側に散布され、散布された散布水が蒸発する際にコイル内の冷却水CDから蒸発潜熱を奪うことで、コイル内の冷却水CDが冷却されるようになっている。コイルに散布された散布水のうち、蒸発しなかったものは、収集されて、再度コイルに散布されるように循環する。このように、密閉式の冷却塔の場合、散布水が循環水に相当する。冷却塔21が密閉式の場合、冷却水CDは、水が用いられる場合が多いが、ブライン等、水以外の液体であってもよい。
【0058】
図4に、冷凍機システムにおける密閉式の冷却塔21まわりの構成の一例を示す。密閉式の冷却塔21の場合、冷却塔21の下部水槽には、散布水Sを流す散布水管28の一端が接続されている。散布水管28の他端は、冷却塔21の上部の散布水ノズルに接続されている。散布水管28には、散布水Sを圧送する散布水ポンプ29が設けられている。散布水ポンプ29の作動によって散布水ノズルから散布された散布水Sは、内部に冷却水CDを流すコイルの外面を濡らし、一部は蒸発し、残りは下部水槽に収集されるようになっている。ブロー弁33が設けられたブロー管32は、散布水ポンプ29の吐出側の散布水管28に接続されている。ブロー管32には、ブロー流量計38が設けられていてもよい。
図4に示す例では、冷凍機システムの外へ排出される散布水Sを、散布水ポンプ29の圧力でブロー管32を流すことができるので、ブロー流量計38を設けることで排出される散布水Sの流量を正確に測定することができる。ブロー管32を流れる散布水Sの流量を正確に測定することで、上述した
図3に示す例の場合と同様に、下水道料金の減免を得ることができる。
図4に示す例において、補給水流量計36が設けられた補給水管35が下部水槽に接続されている構成は、開放型の冷却塔と同様である。冷却塔21が密閉式の場合、補給水Aは散布水Sに混合される。このように構成された密閉式の冷却塔21は、これまで説明したいずれの種類の冷凍機(圧縮式及び各種吸収式(直焚き、蒸気式、温水式))にも適用することができる。
【0059】
[COPを利用した蒸発量の算出]
これまで、各実施の形態(変形例を含む)において、冷凍機の種類に応じた適切な算出式を説明してきた。特に、循環水の蒸発量(E)を算出する際に用いられる冷凍機の消費動力について、冷凍機の種類に応じて適切な要素を考慮してきた。他方、吸収式冷凍機や容積式の圧縮式冷凍機では、消費動力に対する冷凍出力の比(成績係数、COP)が、その原理上、条件によってあまり大きく変化しないものがある。例えば、二重効用型の吸収式冷凍機であれば、COPは定格負荷時に1.5程度である場合、吸収液の循環量制御を行って部分負荷特性を改善しても、1.7程度にとどまる。ここで、冷凍出力をCOPで除して消費動力を算出した場合の蒸発量を、COPが1.5の場合と1.7(実際のCOP)の場合とで比べると、(1/1.5+1)/(1/1.7+1)≒1.05となる。このように、COPから消費動力を推定して循環水の蒸発量を求めた場合、蒸発量を5%過大に算出するだけとなる。このとき、蒸発量が多めになることから算出される濃縮倍率は高めになって、ブロー制御の観点からは安全側となる。このように、冷凍出力を(固定値の)COPで除することで、消費動力を簡易的に算出することができる。このようにすることで、冷凍機の消費動力を測定しない場合であっても、循環水の蒸発量を演算し、濃縮倍率を一定の範囲に維持して、補給水Aの量を最適化することが可能となる。また、定速式のターボ冷凍機などでは、冷凍機の消費電力と冷凍出力とがほぼ一次関数となるものなどがある。このような場合にも、冷凍機の消費電力を冷凍出力から推定し、これを基に蒸発量等を算出することもできる。以上のようにすることで、精度は若干低下するものの、電力計19や燃料流量計63等の設置を省略することができ、システム構成を簡素にして、さらに安価に蒸発量を推定し、循環水の管理を行うことが可能となる。
【0060】
[その他の代替構成]
これまで説明した各実施の形態(変形例を含む)における循環水の蒸発量(ひいては濃縮倍率)の算出式は、冷凍機の種類ごとに規定されていて制御装置50に記憶されていることとした。換言すれば、循環水の蒸発量の算出式は、適用される冷凍機の種類に適合した1つが制御装置50に記憶されていることとした。しかしながら、冷凍機の種類に応じた循環水の蒸発量の算出式の複数を制御装置50に記憶させておき、適用する冷凍機の種類に応じて適切な算出式を選択可能に構成してもよい。この場合、これらの複数の算出式が記憶された制御装置50は、冷却塔21の制御盤に実装されているとよい。循環水の蒸発量の算出式の複数種類が記憶された制御装置50が冷却塔21の制御盤に実装されていると、この冷却塔21にどのような種類の冷凍機を組み合わせても、循環水の管理を適切に行うことができるシステムを簡便に構築することができる。つまり、この場合は、冷却塔21にどのような冷凍機が組み合わせられるか不明なときに特に有用となる。なお、算出式の選択は、外付け又は内蔵の入力装置を介して管理者が行うことができる。
【0061】
以上の説明では、ブロー弁33が電動弁又は電磁弁のような自動弁であるとしたが、手動で開度を調節可能な弁であってもよい。この場合、制御装置50は、算出した循環水の蒸発量を表示する表示装置を有しているとよい。これにより、システム管理者は、表示装置に表示された蒸発量を視認し、別途補給水Aの量を測定し、これらを照らし合わせることで濃縮倍率を求め、当該濃縮倍率に基づいて手動のブロー弁33の開度を調節することができる。
【0062】
以上の説明では、冷水流量算出部51において、冷水Cの流量を、差圧計18で検出された差圧から求めるとしたが、冷水Cの系統に流量計が設けられている場合は、当該流量計の計測値を用いてもよい。
【0063】
以上の説明では、往温度計15が冷水往管12に、還温度計16が冷水還管13に、それぞれ設けられていることとしたが、冷凍機11が冷水Cの温度を測定するセンサを有している場合は、当該温度センサを温度検出器として用いることができる。この場合、別途往温度計15及び還温度計16を設けなくてよい。また、冷凍機11が冷水Cの出入りの差圧を測定するセンサを内蔵している場合は、この内蔵の差圧センサを利用することとして、別途差圧計18を設けなくてよい。冷凍機11が温度センサ及び/又は差圧センサを有している場合は特に、制御装置50を冷凍機11の制御装置(制御盤)と兼用とするのが好ましい。このようにすることで、冷凍機11が備えている装備を活用して循環水の蒸発量及び濃縮倍率を把握することができ、追加の装置の設置を抑制することとなり、構成を簡素化すると共にコストの上昇を抑制することができる。このことは、圧縮式の冷凍機11以外の冷凍機(直焚き、蒸気式、温水式の各種の吸収式冷凍機)にも適用できることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0064】
1、2 冷凍機システム
11 冷凍機
15 往温度計
16 還温度計
18 差圧計
21 冷却塔
32 ブロー管
33 ブロー弁
35 補給水管
36 流量計
50 制御装置
61 冷凍機
A 補給水
C 冷水
CD 冷却水