(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023006724
(43)【公開日】2023-01-18
(54)【発明の名称】充電装置、充電方法、及び充電制御プログラム
(51)【国際特許分類】
H02J 7/10 20060101AFI20230111BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20230111BHJP
H01M 10/44 20060101ALI20230111BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20230111BHJP
【FI】
H02J7/10 H
H02J7/10 C
H02J7/00 Y
H01M10/44 Q
H01M10/48 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021109469
(22)【出願日】2021-06-30
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】000139780
【氏名又は名称】株式会社イトーキ
(74)【代理人】
【識別番号】100177264
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 嘉秀
(74)【代理人】
【識別番号】100074561
【弁理士】
【氏名又は名称】柳野 隆生
(74)【代理人】
【識別番号】100124925
【弁理士】
【氏名又は名称】森岡 則夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141874
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 久由
(72)【発明者】
【氏名】大澤 幸一
【テーマコード(参考)】
5G503
5H030
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503CA03
5G503CA04
5G503CA14
5G503CA16
5G503CA17
5G503FA19
5G503GD06
5H030AA10
5H030AS03
5H030AS08
5H030AS11
5H030AS14
5H030FF42
5H030FF43
5H030FF44
5H030FF52
(57)【要約】
【課題】充電装置や二次電池の特性バラツキがあった場合でも、二次電池を満充電にする精度を向上することが容易な充電装置、充電方法、及び充電制御プログラムを提供する。
【解決手段】二次電池Bを充電する充電装置1であって、電流Iを二次電池Bへ出力する電源部2と、二次電池Bに流れる電流Iを測定する電流測定部3と、電源部2から一定の電圧を二次電池Bへ供給させて充電する定電圧充電処理を実行する充電制御部51とを備え、充電制御部51は、予め設定された電流監視時間Tiで生じた電流Iの変化と予め設定された基準電流変化Irefとを比較する判定処理を定電圧充電処理の実行期間中に実行し、判定処理において電流Iの変化が基準電流変化Irefよりも小さくなったとき、二次電池Bの充電を停止する充電装置。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次電池を充電する充電装置であって、
電流を前記二次電池へ出力する電源部と、
前記二次電池に流れる電流を測定する電流測定部と、
前記電源部から一定の電圧を前記二次電池へ供給させて充電する定電圧充電処理を実行する充電制御部とを備え、
前記充電制御部は、予め設定された電流監視時間で生じた前記電流の変化と予め設定された基準電流変化とを比較する判定処理を前記定電圧充電処理の実行期間中に実行し、前記判定処理において前記電流の変化が前記基準電流変化よりも小さくなったとき、前記二次電池の充電を停止する充電装置。
【請求項2】
前記二次電池の電圧を測定する電圧測定部をさらに備え、
前記充電制御部は、さらに、
前記電源部から一定の電流を前記二次電池へ供給させて充電する定電流充電処理を実行し、
前記定電流充電処理の実行期間中に前記判定処理として、予め設定された電圧監視時間で生じた前記電圧の変化と予め設定された基準電圧変化とを比較し、
前記定電流充電処理の実行期間中における前記判定処理において、前記電圧の変化が前記基準電圧変化よりも小さくなったとき、前記定電流充電処理を終了して前記定電圧充電処理を開始する請求項1に記載の充電装置。
【請求項3】
前記充電制御部は、前記定電圧充電処理の実行期間中における前記判定処理を、前記電流監視時間より短い時間間隔で繰り返し実行する請求項1又は2に記載の充電装置。
【請求項4】
二次電池を充電する充電装置であって、
電流を前記二次電池へ出力する電源部と、
前記二次電池の電圧を測定する電圧測定部と、
前記電源部から一定の電流を前記二次電池へ供給させて充電する定電流充電処理を実行する充電制御部とを備え、
前記充電制御部は、予め設定された電圧監視時間で生じた前記電圧の変化と予め設定された基準電圧変化とを比較する判定処理を前記定電流充電処理の実行期間中に実行し、前記判定処理において、前記電圧の変化が前記基準電圧変化よりも小さくなったとき、前記二次電池の充電を停止する充電装置。
【請求項5】
前記充電制御部は、前記定電流充電処理の実行期間中における前記判定処理を、前記電圧監視時間より短い時間間隔で繰り返し実行する請求項2又は4に記載の充電装置。
【請求項6】
前記二次電池の充電開始からの経過時間を計時する充電時間計時部をさらに備え、
前記充電制御部は、前記経過時間が予め設定された充電基準時間を超えた場合、前記二次電池の充電を停止する請求項3又は5に記載の充電装置。
【請求項7】
前記充電制御部は、前記経過時間が予め設定された充電基準時間を超えた場合、異常の発生を報知する請求項3、5、及び6のいずれか1項に記載の充電装置。
【請求項8】
前記二次電池の充電を停止した後の経過時間を計時する停止時間計時部をさらに備え、
前記充電制御部は、前記二次電池の充電を停止した後に前記二次電池の電圧が予め設定された充電開始電圧以下となった場合において、前記経過時間が予め設定された再開禁止時間を超えていれば前記二次電池の充電を開始し、前記経過時間が前記再開禁止時間に満たなければ前記二次電池の充電を開始しない請求項1~7のいずれか1項に記載の充電装置。
【請求項9】
前記二次電池の充電を停止した後の経過時間を計時する停止時間計時部をさらに備え、
前記充電制御部は、
前記二次電池の充電を停止した後に前記二次電池の電圧が予め設定された充電開始電圧以下となった場合において、前記経過時間が前記再開禁止時間に満たないとき、異常の発生を報知する請求項1~8のいずれか1項に記載の充電装置。
【請求項10】
二次電池を充電する充電方法であって、
一定の電圧を前記二次電池へ供給して充電する定電圧充電処理を実行するステップと、
予め設定された電流監視時間で生じた前記電流の変化と予め設定された基準電流変化とを比較する判定処理を前記定電圧充電処理の実行期間中に実行し、前記判定処理において、前記電流の変化が前記基準電流変化よりも小さくなったとき、前記二次電池の充電を停止するステップとを含む充電方法。
【請求項11】
二次電池を充電する充電方法であって、
一定の電流を前記二次電池へ供給して充電する定電流充電処理を実行するステップと、
予め設定された電圧監視時間で生じた前記電圧の変化と予め設定された基準電圧変化とを比較する判定処理を前記定電流充電処理の実行期間中に実行し、前記判定処理において、前記電圧の変化が前記基準電圧変化よりも小さくなったとき、前記二次電池の充電を停止するステップとを含む充電方法。
【請求項12】
二次電池を充電するための充電制御プログラムであって、
コンピュータに、
一定の電圧を前記二次電池へ供給して充電する定電圧充電処理を実行するステップと、
予め設定された電流監視時間で生じた前記電流の変化と予め設定された基準電流変化とを比較する判定処理を前記定電圧充電処理の実行期間中に実行し、前記判定処理において、前記電流の変化が前記基準電流変化よりも小さくなったとき、前記二次電池の充電を停止するステップとを実行させる充電制御プログラム。
【請求項13】
二次電池を充電するための充電制御プログラムであって、
コンピュータに、
一定の電流を前記二次電池へ供給して充電する定電流充電処理を実行するステップと、
予め設定された電圧監視時間で生じた前記電圧の変化と予め設定された基準変化とを比較する判定処理を前記定電流充電処理の実行期間中に実行し、前記判定処理において、前記電圧の変化が前記基準電圧変化よりも小さくなったとき、前記二次電池の充電を停止するステップとを実行させる充電制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この開示は、二次電池を充電するための充電装置、充電方法、及び充電制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、充電を開始してから二次電池の電圧が所定の電圧値になるまでは一定の充電電流による定電流充電(CC充電)による充電を行い、所定の電圧値に達すると一定の充電電圧による定電圧充電(CV充電)に切り替え、充電の進行に伴って二次電池に流れる充電電流が減少し、充電電流値が一定値以下になったとき、充電を完了する充電方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術では、充電電流値を測定し、充電電流値が一定値以下になったことを検出したときに、二次電池が満充電になったものとして充電を終了する。しかしながら、二次電池自体に特性バラツキがあり、電流検出回路や充電回路にも特性バラツキがある。また、冬場や夏場の周辺温度変化の影響等を受けることによっても、二次電池や充電回路の特性が変動する。
【0005】
このような、二次電池や充電回路等の特性バラツキ、特性変動によって、充電装置の充電電流値が一定値以下になったことを検出するタイミングは、必ずしも二次電池が満充電になったタイミングと一致しない。
【0006】
そのため、充電電流値が一定値以下になったことが検出されたタイミングが満充電になったタイミングよりも、早ければ充電が不十分となり、遅ければ過充電となって二次電池を劣化させてしまうおそれがある。
【0007】
そこで本開示は、充電装置や二次電池の特性バラツキがあった場合でも、二次電池を満充電にする精度を向上することが容易な充電装置、充電方法、及び充電制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る充電装置は、二次電池を充電する充電装置であって、電流を前記二次電池へ出力する電源部と、前記二次電池に流れる電流を測定する電流測定部と、前記電源部から一定の電圧を前記二次電池へ供給させて充電する定電圧充電処理を実行する充電制御部とを備え、前記充電制御部は、予め設定された電流監視時間で生じた前記電流の変化と予め設定された基準電流変化とを比較する判定処理を前記定電圧充電処理の実行期間中に実行し、前記判定処理において前記電流の変化が前記基準電流変化よりも小さくなったとき、前記二次電池の充電を停止する。
【0009】
また、本発明に係る充電方法は、二次電池を充電する充電方法であって、一定の電圧を前記二次電池へ供給して充電する定電圧充電処理を実行するステップと、予め設定された電流監視時間で生じた前記電流の変化と予め設定された基準電流変化とを比較する判定処理を前記定電圧充電処理の実行期間中に実行し、前記判定処理において、前記電流の変化が前記基準電流変化よりも小さくなったとき、前記二次電池の充電を停止するステップとを含む。
【0010】
また、本発明に係る充電制御プログラムは、二次電池を充電するための充電制御プログラムであって、コンピュータに、一定の電圧を前記二次電池へ供給して充電する定電圧充電処理を実行するステップと、予め設定された電流監視時間で生じた前記電流の変化と予め設定された基準電流変化とを比較する判定処理を前記定電圧充電処理の実行期間中に実行し、前記判定処理において、前記電流の変化が前記基準電流変化よりも小さくなったとき、前記二次電池の充電を停止するステップとを実行させる。
【0011】
二次電池を定電圧で充電した場合、二次電池に流れる充電電流は、充電の進行に伴って徐々に減少し、満充電に近づくほど変化が少なくなる充電特性がある。そこで、これらの構成によれば、この充電特性を利用して、電流監視時間で生じた電流の変化が基準電流変化よりも小さくなったとき、二次電池の充電を停止する。この場合、満充電に近づくほど充電電流の変化が少なくなるという二次電池の特性は、特許文献1で充電完了の条件として用いる充電電流の絶対値と比べて、充電装置や二次電池の特性バラツキの影響を受けにくい。従って、充電装置や二次電池の特性バラツキがあった場合でも、二次電池を満充電にする精度を向上することが容易となる。
【0012】
また、前記二次電池の電圧を測定する電圧測定部をさらに備え、前記充電制御部は、さらに、前記電源部から一定の電流を前記二次電池へ供給させて充電する定電流充電処理を実行し、前記定電流充電処理の実行期間中に前記判定処理として、予め設定された電圧監視時間で生じた前記電圧の変化と予め設定された基準電圧変化とを比較し、前記定電流充電処理の実行期間中における前記判定処理において、前記電圧の変化が前記基準電圧変化よりも小さくなったとき、前記定電流充電処理を終了して前記定電圧充電処理を開始することが好ましい。
【0013】
二次電池を定電流で充電した場合、二次電池の端子電圧は、充電の進行に伴って徐々に上昇し、満充電に近づくほど変化が少なくなる充電特性がある。そこで、この構成によれば、この充電特性を利用して、電圧監視時間で生じた電圧の変化が基準電圧変化よりも小さくなったとき、定電流充電から定電圧充電に切り替える。この場合、満充電に近づくほど充電電圧の変化が少なくなるという二次電池の特性は、充電電圧の絶対値と比べて、充電装置や二次電池の特性バラツキの影響を受けにくい。従って、充電装置や二次電池の特性バラツキがあった場合でも、適切なタイミングで定電流充電から定電圧充電に切り替える精度を向上することが容易となる。
【0014】
また、前記充電制御部は、前記定電圧充電処理の実行期間中における前記判定処理を、前記電流監視時間より短い時間間隔で繰り返し実行することが好ましい。
【0015】
二次電池が満充電に近づくと、充電時間に対する充電電流の変化はわずかになる。わずかな充電電流の変化を判定するためには、変化の前後の時間である電流監視時間が長い方が、判定精度が向上する。しかしながら、電流監視時間が経過する都度判定を行うと、電流監視時間を延ばすことによって判定精度が向上する一方、判定を行う頻度が減少し、判定結果に応じて充電を停止させるのにタイムラグが生じてしまう。そこで、判定処理を、電流監視時間より短い時間間隔で繰り返し実行することによって、電流監視時間を長くして判定精度を向上しつつ、電流監視時間の長さを有する複数の期間をオーバーラップさせながら電流監視時間より短い時間間隔で各期間について判定処理を行うことで、充電停止のタイムラグを減少させることが可能となる。
【0016】
また、本発明に係る充電装置は、二次電池を充電する充電装置であって、電流を前記二次電池へ出力する電源部と、前記二次電池の電圧を測定する電圧測定部と、前記電源部から一定の電流を前記二次電池へ供給させて充電する定電流充電処理を実行する充電制御部とを備え、前記充電制御部は、予め設定された電圧監視時間で生じた前記電圧の変化と予め設定された基準電圧変化とを比較する判定処理を前記定電流充電処理の実行期間中に実行し、前記判定処理において、前記電圧の変化が前記基準電圧変化よりも小さくなったとき、前記二次電池の充電を停止する。
【0017】
また、本発明に係る充電方法は、二次電池を充電する充電方法であって、一定の電流を前記二次電池へ供給して充電する定電流充電処理を実行するステップと、予め設定された電圧監視時間で生じた前記電圧の変化と予め設定された基準電圧変化とを比較する判定処理を前記定電流充電処理の実行期間中に実行し、前記判定処理において、前記電圧の変化が前記基準電圧変化よりも小さくなったとき、前記二次電池の充電を停止するステップとを含む。
【0018】
また、本発明に係る充電制御プログラムは、二次電池を充電するための充電制御プログラムであって、コンピュータに、一定の電流を前記二次電池へ供給して充電する定電流充電処理を実行するステップと、予め設定された電圧監視時間で生じた前記電圧の変化と予め設定された基準変化とを比較する判定処理を前記定電流充電処理の実行期間中に実行し、前記判定処理において、前記電圧の変化が前記基準電圧変化よりも小さくなったとき、前記二次電池の充電を停止するステップとを実行させる。
【0019】
二次電池を定電流で充電した場合、二次電池の端子電圧は、充電の進行に伴って徐々に上昇し、満充電に近づくほど変化が少なくなる充電特性がある。そこで、これらの構成によれば、この充電特性を利用して、電圧監視時間で生じた電圧の変化が基準電圧変化よりも小さくなったとき、二次電池の充電を停止する。この場合、満充電に近づくほど充電電圧の変化が少なくなるという二次電池の特性は、充電電圧の絶対値と比べて、充電装置や二次電池の特性バラツキの影響を受けにくい。従って、充電装置や二次電池の特性バラツキがあった場合でも、二次電池を満充電にする精度を向上することが容易となる。
【0020】
また、前記充電制御部は、前記定電流充電処理の実行期間中における前記判定処理を、前記電圧監視時間より短い時間間隔で繰り返し実行することが好ましい。
【0021】
二次電池が満充電に近づくと、充電時間に対する充電電圧の変化はわずかになる。わずかな充電電圧の変化を判定するためには、変化の前後の時間である電圧監視時間が長い方が、判定精度が向上する。しかしながら、電圧監視時間が経過する都度判定を行うと、電圧監視時間を延ばすことによって判定精度が向上する一方、判定を行う頻度が減少し、判定結果がでるのにタイムラグが生じてしまう。そこで、判定処理を、電圧監視時間より短い時間間隔で繰り返し実行することによって、電圧監視時間を長くして判定精度を向上しつつ、電圧監視時間の長さを有する複数の期間をオーバーラップさせながら電圧監視時間より短い時間間隔で各期間について判定処理を行うことで、判定のタイムラグを減少させることが可能となる。
【0022】
また、前記二次電池の充電開始からの経過時間を計時する充電時間計時部をさらに備え、前記充電制御部は、前記経過時間が予め設定された充電基準時間を超えた場合、前記二次電池の充電を停止することが好ましい。
【0023】
二次電池が劣化したり、漏れ電流が生じるなどの異常が生じている場合、長時間充電しても充電が終了しないおそれがある。そこで、二次電池の充電開始からの経過時間が充電基準時間を超えた場合、二次電池の充電を停止することによって、安全性を向上することが可能となる。
【0024】
また、前記充電制御部は、前記経過時間が予め設定された充電基準時間を超えた場合、異常の発生を報知することが好ましい。
【0025】
二次電池が劣化したり、漏れ電流が生じるなどの異常が生じている場合、長時間充電しても充電が終了しないおそれがある。そこで、二次電池の充電開始からの経過時間が充電基準時間を超えた場合、異常の発生を報知することによって、ユーザに異常を知らせることが可能となる。
【0026】
また、前記二次電池の充電を停止した後の経過時間を計時する停止時間計時部をさらに備え、前記充電制御部は、前記二次電池の充電を停止した後に前記二次電池の電圧が予め設定された充電開始電圧以下となった場合において、前記経過時間が予め設定された再開禁止時間を超えていれば前記二次電池の充電を開始し、前記経過時間が前記再開禁止時間に満たなければ前記二次電池の充電を開始しないことが好ましい。
【0027】
この構成によれば、二次電池を満充電して充電を停止した後に放電して二次電池の電圧が充電開始電圧以下となった場合において、経過時間が再開禁止時間を超えていれば二次電池の充電が開始される。その結果、二次電池の充電量を、ある程度以上に維持することが可能となる。一方、二次電池を満充電して充電を停止した後の経過時間が再開禁止時間に満たない短時間で二次電池が充電開始電圧以下に低下した場合、何らかの異常が生じているおそれがある。そこで、二次電池の電圧が充電開始電圧以下となった場合であっても、経過時間が再開禁止時間に満たなければ二次電池の充電を開始しないことによって、安全性を向上することが可能となる。
【0028】
また、前記二次電池の充電を停止した後の経過時間を計時する停止時間計時部をさらに備え、前記充電制御部は、前記二次電池の充電を停止した後に前記二次電池の電圧が予め設定された充電開始電圧以下となった場合において、前記経過時間が前記再開禁止時間に満たないとき、異常の発生を報知することが好ましい。
【0029】
二次電池を満充電して充電を停止した後の経過時間が再開禁止時間に満たない短時間で二次電池が充電開始電圧以下に低下した場合、何らかの異常が生じているおそれがある。そこで、この構成によれば、二次電池の充電を停止した後に二次電池の電圧が充電開始電圧以下となった場合において、経過時間が前記再開禁止時間に満たないとき、異常の発生をユーザに知らせることが可能となる。
【発明の効果】
【0030】
このような構成の充電装置、充電方法、及び充電制御プログラムは、充電装置や二次電池の特性バラツキがあった場合でも、二次電池を満充電にする精度を向上することが容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本発明の一実施形態に係る充電方法を実行する充電装置の一例を簡略的に示すブロック図である。
【
図2】
図1に示す充電装置の動作を説明するための説明図である。
【
図3】
図1に示す充電装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図4】
図1に示す充電装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図5】
図1に示す充電装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図6】
図2に示す定電流充電処理を説明するための説明図である。
【
図7】
図2に示す定電圧充電処理を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明に係る実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、その説明を省略する。
図1は、本発明の一実施形態に係る充電方法を実行する充電装置の一例を簡略的に示すブロック図である。
図1では、例えば充電装置1に二次電池Bが取り付けられた無停電電源装置(UPS)を示している。二次電池Bは、充電装置1そのものの構成には含まれない。
図1では、二次電池Bから電力供給を受ける負荷回路の記載を省略している。
【0033】
充電装置1は、無停電電源装置、電気自動車、携帯電話装置、タブレット端末等、二次電池Bを用いる種々の装置に組み込まれていてもよい。また、充電装置1は、例えば電池パック等の脱着可能な二次電池Bを充電する充電装置であってもよい。
【0034】
二次電池Bは、例えばリチウムイオン二次電池、ニッケル水素二次電池、鉛蓄電池等、種々の二次電池である。
【0035】
充電装置1を用いた無停電電源装置は、例えばマイクロコンピュータを用いたコンピュータシステムにおいて、停電時に正常にシャットダウン処理を実行させるための電力供給用に好適に用いることができる。
【0036】
例えば、ICカード、暗証番号、あるいは生体認証等のユーザ認証によって、オフィス等の扉の電気錠の解錠を行うセキュリティシステムがある。このようなセキュリティシステムでは、マイクロコンピュータを用いた制御装置でユーザ認証や解錠制御を行っている。充電装置1を用いた無停電電源装置は、このようなセキュリティシステムの制御装置の電源バックアップに好適に用いることができる。このようなセキュリティシステムの制御装置に対して充電装置1を用いた無停電電源装置を適用することによって、停電時のセキュリティを確保することが容易となる。
【0037】
充電装置1は、電源部2、電流測定部3、電圧測定部4、制御部5、及び表示部6を備えている。電源部2は、二次電池Bを充電するための電流を出力するいわゆる電源回路である。電源部2は、制御部5からの制御信号に応じた電流、電圧を二次電池Bへ供給する。
【0038】
電流測定部3は、二次電池Bに流れる電流Iを測定する。電流測定部3は、例えばシャント抵抗やアナログデジタルコンバータ等を用いて構成されていてもよく、ホールセンサ等の電流センサ等を用いて構成されていてもよい。以下、電流測定部3によって測定された電流Iを単に電流Iと記載し、電流測定部3の記載を省略する。
【0039】
電圧測定部4は、二次電池Bの端子電圧Vを測定する。電圧測定部4は、例えば分圧抵抗やアナログデジタルコンバータ等を用いて構成することができる。アナログデジタルコンバータは制御部5に内蔵されていてもよい。以下、電圧測定部4によって測定された電圧Vを単に電圧Vと記載し、電圧測定部4の記載を省略する。
【0040】
表示部6としては、例えば液晶、有機EL(Electro Luminescence)、LED(Light Emitting Diode)等、種々の表示装置を用いることができる。
【0041】
制御部5は、いわゆるマイクロコンピュータである。制御部5は、所定の演算処理を実行するCPU(Central Processing Unit)、データを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の不揮発性の記憶装置、タイマ回路、及びその周辺回路等を備えて構成されている。
【0042】
制御部5は、例えば上述の記憶装置に予め記憶された充電制御プログラムを実行することによって、充電制御部51、充電時間計時部52、及び停止時間計時部53として機能する。
【0043】
図2は、
図1に示す充電装置1の動作を説明するための説明図である。
図2は、二次電池Bに流れる電流Iと、二次電池Bの電圧Vとを示している。
図2の横軸は時間、縦軸は、電流Iに対しては電流値、電圧Vに対しては電圧値である。
【0044】
充電制御部51は、二次電池Bの充電を制御する。具体的には、充電制御部51は、定電流充電処理の後に定電圧充電処理を実行するいわゆる定電流定電圧(CCCV)充電を実行する。
【0045】
定電流充電処理では、充電制御部51は、電源部2から一定の電流Icを二次電池Bへ供給させて充電する。充電制御部51は、定電流充電処理の実行期間中に判定処理として、予め設定された電圧監視時間Tvで生じた電圧Vの変化と予め設定された基準電圧変化Vrefとを比較し、定電流充電処理の実行期間中における判定処理において、電圧Vの変化が基準電圧変化Vrefよりも小さくなったとき、定電流充電処理を終了して定電圧充電処理を開始する。
【0046】
定電圧充電処理では、充電制御部51は、電源部2から一定の電圧Vcを二次電池Bへ供給させて充電する。充電制御部51は、予め設定された電流監視時間Tiで生じた電流Iの変化と予め設定された基準電流変化Irefとを比較する判定処理を定電圧充電処理の実行期間中に実行し、判定処理において電流Iの変化が基準電流変化Irefよりも小さくなったとき、二次電池Bの充電を停止する。
【0047】
充電時間計時部52は、二次電池Bの充電開始からの経過時間である充電経過時間Tcを計時する。停止時間計時部53は、二次電池Bの充電を停止した後の経過時間である停止経過時間Tsを計時する。
【0048】
図3~
図5は、
図1に示す充電装置1の動作の一例を示すフローチャートである。まず、充電制御部51は、予め設定された充電開始電圧Vsと二次電池Bの電圧Vとを比較する(ステップS1)。そして、電圧Vが充電開始電圧Vs以下になったとき(ステップS1でYES)、充電制御部51は、二次電池Bの充電を開始するべく処理をステップS2へ移行する。
【0049】
これにより、二次電池Bの電圧Vが充電開始電圧Vs以下になると、自動的に充電を開始することができるので、二次電池Bの充電量を、ある程度以上に維持することが可能となる。従って、充電装置1を無停電電源装置に適用した場合、二次電池Bの充電量は常時一定量以上に維持されるので、いつ停電が発生しても、二次電池Bによる電源バックアップを行うことが可能となる。
【0050】
初めてステップS2に移行した際は、ステップS2の処理を実行することなくステップS3へ移行する。ステップS2の処理については後述する。
【0051】
次に、充電制御部51は、予め設定された一定の電流Icを、電源部2から二次電池Bへ供給させ、定電流充電を開始する(ステップS3)。これにより、
図2に示す定電流充電処理が開始される。
【0052】
次に、充電時間計時部52は、充電経過時間Tcの計時を開始する(ステップS4)。これにより、充電開始からの経過時間が計時される。
【0053】
次に、充電制御部51は、電圧測定部4によって測定された電圧Vを、例えば上述のRAMに記憶させる(ステップS5)。
図6は、
図2に示す定電流充電処理を説明するための説明図である。横軸は時間、縦軸は電圧を示している。黒点はステップS5で記憶された電圧Vを示している。
【0054】
次に、充電制御部51は、判定時間Tjvの計時を開始する(ステップS6)。判定時間Tjvは、電圧Vを記憶した後の経過時間であり、後述するステップS12の判定処理を実行した後の経過時間でもある。
【0055】
次に、充電制御部51は、予め設定された時間間隔Tcycvと、判定時間Tjvとを比較する(ステップS7)。そして、判定時間Tjvが時間間隔Tcycvに達したとき(ステップS7でYES)、ステップS8へ移行する。
【0056】
ステップS8において、充電制御部51は、予め設定された充電基準時間Trefと、充電経過時間Tcとを比較する(ステップS8)。そして、充電経過時間Tcが充電基準時間Trefを超えていた場合(ステップS8でYES)、ステップS41へ処理を移行する。
【0057】
ステップS41では、充電制御部51は、電源部2の出力をゼロにさせることによって二次電池Bの充電を停止し、表示部6に異常の発生を知らせるメッセージを表示することにより異常を報知し、処理を終了する。
【0058】
二次電池Bは、ある程度以上の時間充電を継続すれば、満充電になるはずである。このように、二次電池Bが、満充電になるはずの時間が充電基準時間Trefとして予め設定されている。そして、充電経過時間Tcが充電基準時間Trefを超えていた場合(ステップS8でYES)、二次電池Bが満充電になるはずの時間が経過しても定電流充電の終了条件(ステップS12)が成立しないことを意味する。
【0059】
この場合、二次電池Bが劣化したり、漏れ電流が生じるなどの異常が生じているおそれがある。そこで、二次電池Bの充電開始からの充電経過時間Tcが充電基準時間Trefを超えた場合、二次電池Bの充電を停止し、異常の発生を報知する(ステップS41)。これにより、安全性を向上し、ユーザに異常を知らせることが可能となる。
【0060】
一方、充電経過時間Tcが充電基準時間Tref以下の場合(ステップS8でNO)、充電制御部51は、予め設定された電圧監視時間Tvと充電経過時間Tcとを比較する(ステップS9)。電圧監視時間Tvは、時間間隔Tcycvよりも長い時間とされている。電圧監視時間Tvは、時間間隔Tcycvの整数倍がより好ましい。
【0061】
充電経過時間Tcが電圧監視時間Tvに満たないとき(ステップS9でNO)、後述するステップS11における「電圧監視時間Tv前の電圧V」がまだ記憶されておらず、従って判定処理を実行することができない。そのため、充電制御部51は、ステップS11へ移行することなく判定時間Tjvを0に初期化し(ステップS10)、再びステップS5~S9を繰り返す。
図6における電圧V1~V5では、まだ充電開始から電圧監視時間Tvが経過していないため、ステップS9でNOとなり、ステップS5~S9を繰り返すことになる。
【0062】
一方、充電経過時間Tcが電圧監視時間Tv以上のとき(ステップS9でYES)、定電流充電の終了条件を判定する判定処理を実行するべくステップS11へ移行する。
図6における電圧V6以降は、充電開始から電圧監視時間Tv以上の時間が経過しているため、ステップS11へ移行する。
【0063】
ステップS11において、充電制御部51は、記憶された最新の電圧Vを第一電圧Va、電圧監視時間Tv前の電圧Vを第二電圧Vbとする(ステップS11)。
【0064】
次に、充電制御部51は、(Va/Vb-1)を、予め設定された基準電圧変化Vrefと比較する(ステップS12:判定処理)。電圧監視時間Tvの間に電圧Vが変化せず、第一電圧Vaと第二電圧Vbとが等しければ、Va/Vb=1となり、(Va/Vb-1)は0となる。すなわち、電圧監視時間Tvで生じた電圧Vの変化が小さくなるほど(Va/Vb-1)は小さくなる。(Va/Vb-1)は、電圧監視時間Tvで生じた電圧Vの変化の大きさを表している。
【0065】
定電流充電を行った場合、二次電池Bの電圧Vは、
図6に示すように、充電初期では変化が大きく、充電が進むにつれて変化が小さくなる。そこで、定電流充電を終了させる条件として適切な電圧Vの小さな変化を表す(Va/Vb-1)の値を、例えば予め実験的に求めて基準電圧変化Vrefとして設定しておく。
【0066】
そして、(Va/Vb-1)が基準電圧変化Vrefを超えていれば(ステップS12でNO)、すなわち電圧監視時間Tvで生じた電圧Vの変化が基準電圧変化Vrefを超えていれば、定電流充電処理を継続するべく判定時間Tjvを0に初期化し(ステップS10)、再びステップS5~S12を繰り返す。
【0067】
一方、(Va/Vb-1)が基準電圧変化Vref以下であれば(ステップS12でYES)、すなわち電圧監視時間Tvで生じた電圧Vの変化が基準電圧変化Vref以下であれば、定電流充電処理を終了し(ステップS13)、定電圧充電処理を開始するべくステップS21へ移行する。
【0068】
ステップS11において、例えば、最新の電圧Vが電圧V6であった場合、電圧監視時間Tv前の電圧Vは電圧V1となるから、第一電圧Va=V6、第二電圧Vb=V1となる。そうすると、ステップS12において、Va/Vb=V6/V1となる。V6/V1は、電圧監視時間Tvで生じた電圧Vの、V1からV6への変化を倍率で表したものに相当する。すなわち、(Va/Vb-1)は、電圧監視時間Tvで生じた電圧Vの変化を倍率で表す指標である。
【0069】
また、上述したように、定電流充電処理における二次電池Bの電圧Vは、充電が進むにつれて変化が小さくなるため、例えば
図6に示す電圧V11のタイミングで定電流充電処理を終了しようとする場合、電圧V11の手前から電圧Vの変化は極めて微小になっている。
【0070】
そのため、もし仮に、判定処理の時間間隔Tcycvと同じように、時間間隔Tcycvで生じた電圧Vの変化に基づいて定電流充電処理の終了を判定しようとすると、電圧V9と電圧V10との間の変化も、電圧V10と電圧V11との間の変化も、いずれも微小であるため電圧V10のタイミングでは定電流充電処理を継続し、電圧V11のタイミングで定電流充電処理を終了するように判定を行うことが難しい。
【0071】
一方、充電制御部51は、時間間隔Tcycvよりも長い電圧監視時間Tvで生じた電圧Vの変化に基づいて定電流充電処理の終了判定を行うので、時間間隔Tcycvで生じた電圧Vの変化よりも大きな電圧変化に基づいて終了判定を行うことができる。その結果、定電流充電処理の終了判定精度を向上させることが容易となる。
【0072】
図6に示す例では、電圧監視時間Tvは時間間隔Tcycvの5倍となっており、電圧監視時間Tv間の、電圧V7から電圧V10の変化と電圧V8から電圧V11の変化とを区別することは、電圧V9から電圧V10の変化と電圧V10から電圧V11の変化とを区別することよりも容易である。
【0073】
このように、時間間隔Tcycvよりも長い電圧監視時間Tvで生じた電圧Vの変化に基づいて定電流充電処理の終了判定を行うことによって、定電流充電処理の終了判定精度を向上させることが容易となる。
【0074】
また、定電流で充電した場合、充電が進むほど充電電圧の変化が少なくなるという二次電池Bの特性は、背景技術が判定に用いる充電電圧の絶対値と比べて、充電装置や二次電池Bの特性バラツキの影響を受けにくい。従って、電圧監視時間Tvで生じた電圧Vの変化に基づいて定電流充電処理の終了判定を行う方法は、充電装置や二次電池Bの特性バラツキがあった場合でも、定電流充電処理の終了判定を行う精度を向上することが容易となる。
【0075】
なお、ステップS12の判定処理において、電圧監視時間Tvで生じた電圧Vの変化を倍率で表す指標に基づいて判定を行う例を示したが、電圧監視時間Tvで生じた電圧Vの変化は種々の方法で表すことができ、倍率で表す例に限らない。例えば、電圧監視時間Tvで生じた電圧Vの変化を差分で表してもよい。
【0076】
例えば、(Va-Vb)を、電圧監視時間Tvで生じた電圧Vの変化を差分で表す指標として用いてもよい。この場合、定電流充電を終了させる条件として適切な電圧Vの小さな変化を表す(Va-Vb)の値を、例えば予め実験的に求めて基準電圧変化Vrefとして設定しておく。このようにすれば、ステップS12の処理を、「(Va-Vb)≦Vref?」とすることができる。
【0077】
次に、ステップS21において、充電制御部51は、予め設定された一定の電圧Vcを、電源部2から二次電池Bへ供給させ、定電圧充電を開始する(ステップS21)。これにより、
図2に示す定電圧充電処理が開始される。
【0078】
次に、充電時間計時部52は、定電圧充電時間Tcvの計時を開始する(ステップS22)。これにより、定電圧充電開始からの経過時間が計時される。
【0079】
次に、充電制御部51は、電流測定部3によって測定された電流Iを、例えば上述のRAMに記憶させる(ステップS23)。
図7は、
図2に示す定電圧充電処理を説明するための説明図である。横軸は時間、縦軸は電流を示している。黒点はステップS23で記憶された電流Iを示している。
【0080】
次に、充電制御部51は、判定時間Tjiの計時を開始する(ステップS24)。判定時間Tjiは、電流Iを記憶した後の経過時間であり、後述するステップS29の判定処理を実行した後の経過時間でもある。
【0081】
次に、充電制御部51は、予め設定された時間間隔Tcyciと、判定時間Tjiとを比較する(ステップS25)。そして、判定時間Tjiが時間間隔Tcyciに達したとき(ステップS25でYES)、ステップS26へ移行する。
【0082】
次に、充電制御部51は、予め設定された充電基準時間Trefと、充電経過時間Tcとを比較する(ステップS26)。そして、充電経過時間Tcが充電基準時間Trefを超えていた場合(ステップS26でYES)、上述と同様、二次電池Bの充電を停止し、異常の発生を報知する(ステップS41)。
【0083】
一方、充電経過時間Tcが充電基準時間Tref以下の場合(ステップS26でNO)、充電制御部51は、予め設定された電流監視時間Tiと定電圧充電時間Tcvとを比較する(ステップS27)。電流監視時間Tiは、時間間隔Tcyciよりも長い時間とされている。電流監視時間Tiは、時間間隔Tcyciの整数倍がより好ましい。
【0084】
定電圧充電時間Tcvが電流監視時間Tiに満たないとき(ステップS27でNO)、後述するステップS28における「電流監視時間Ti前の電流I」がまだ記憶されておらず、従って判定処理を実行することができない。そのため、充電制御部51は、ステップS28へ移行することなく判定時間Tjiを0に初期化し(ステップS32)、再びステップS22~S27を繰り返す。
図7における電流I1~I5では、まだ定電圧充電開始から電流監視時間Tiが経過していないため、ステップS27でNOとなり、ステップS22~S27を繰り返すことになる。
【0085】
一方、定電圧充電時間Tcvが電流監視時間Ti以上のとき(ステップS27でYES)、定電圧充電の終了条件を判定する判定処理を実行するべくステップS28へ移行する。
図7における電流I6以降は、定電圧充電開始から電流監視時間Ti以上の時間が経過しているため、ステップS28へ移行する。
【0086】
ステップS28において、充電制御部51は、記憶された最新の電流Iを第一電流Ia、電流監視時間Ti前の電流Iを第二電流Ibとする(ステップS28)。
【0087】
次に、充電制御部51は、(1-Ia/Ib)を、予め設定された基準電流変化Irefと比較する(ステップS29:判定処理)。電流監視時間Tiの間に電流Iが変化せず、第一電流Iaと第二電流Ibとが等しければ、Ia/Ib=1となり、(1-Ia/Ib)は0となる。すなわち、電流監視時間Tiで生じた電流Iの変化が小さくなるほど(1-Ia/Ib)は小さくなる。(1-Ia/Ib)は、電流監視時間Tiで生じた電流Iの変化の大きさを表している。
【0088】
定電圧充電を行った場合、二次電池Bの電流Iは、
図7に示すように、充電初期では変化が大きく、充電が進むにつれて変化が小さくなる。そこで、定電圧充電を終了させる条件として適切な電流Iの小さな変化を表す(1-Ia/Ib)の値を、例えば予め実験的に求めて基準電流変化Irefとして設定しておく。
【0089】
そして、(1-Ia/Ib)が基準電流変化Irefを超えていれば(ステップS29でNO)、すなわち電流監視時間Tiで生じた電流Iの変化が基準電流変化Irefを超えていれば、定電圧充電処理を継続するべく判定時間Tjiを0に初期化し(ステップS32)、再びステップS22~S29を繰り返す。
【0090】
一方、(1-Ia/Ib)が基準電流変化Iref以下であれば(ステップS29でYES)、すなわち電流監視時間Tiで生じた電流Iの変化が基準電流変化Irefより小さければ、定電圧充電処理を終了し、二次電池Bの充電を終了する(ステップS30)。
【0091】
ステップS28において、例えば、最新の電流Iが電流I6であった場合、電流監視時間Ti前の電流Iは電流I1となるから、第一電流Ia=I6、第二電流Ib=I1となる。そうすると、ステップS29において、Ia/Ib=I6/I1となる。I6/I1は、電流監視時間Tiで生じた電流Iの、I1からI6への変化を倍率で表したものに相当する。すなわち、(1-Ia/Ib)は、電流監視時間Tiで生じた電流Iの変化を倍率で表す指標である。
【0092】
また、上述したように、定電圧充電処理における二次電池Bの電流Iは、充電が進むにつれて変化が小さくなるため、例えば
図7に示す電流I11のタイミングで定電圧充電処理を終了しようとする場合、電流I11の手前から電流Iの変化は極めて微小になっている。
【0093】
そのため、もし仮に、判定処理の時間間隔Tcyciと同じように、時間間隔Tcyciで生じた電流Iの変化に基づいて定電圧充電処理の終了を判定しようとすると、電流I9と電流I10との間の変化も、電流I10と電流I11との間の変化も、いずれも微小であるため電流I10のタイミングでは定電圧充電処理を継続し、電流I11のタイミングで定電圧充電処理を終了するように判定を行うことが難しい。
【0094】
一方、充電制御部51は、時間間隔Tcyciよりも長い電流監視時間Tiで生じた電流Iの変化に基づいて定電圧充電処理の終了判定を行うので、時間間隔Tcyciで生じた電流Iの変化よりも大きな電圧変化に基づいて終了判定を行うことができる。その結果、定電圧充電処理の終了判定精度を向上させることが容易となる。
【0095】
図7に示す例では、電流監視時間Tiは時間間隔Tcyciの5倍となっており、電流監視時間Ti間の、電流I7から電流I10の変化と電流I8から電流I11の変化とを区別することは、電流I9から電流I10の変化と電流I10から電流I11の変化とを区別することよりも容易である。
【0096】
このように、時間間隔Tcyciよりも長い電流監視時間Tiで生じた電流Iの変化に基づいて定電圧充電処理の終了判定を行うことによって、定電圧充電処理の終了判定精度を向上させることが容易となる。
【0097】
また、定電圧で充電した場合、充電が進むほど充電電流の変化が少なくなるという二次電池Bの特性は、背景技術が判定に用いる充電電流の絶対値と比べて、充電装置や二次電池Bの特性バラツキの影響を受けにくい。従って、電流監視時間Tiで生じた電流Iの変化に基づいて定電圧充電処理の終了判定を行う方法は、充電装置1や二次電池Bの特性バラツキがあった場合でも、二次電池Bを満充電にして充電を終了する精度を向上することが容易となる。
【0098】
なお、ステップS29の判定処理において、電流監視時間Tiで生じた電流Iの変化を倍率で表す指標に基づいて判定を行う例を示したが、電流監視時間Tiで生じた電流Iの変化は種々の方法で表すことができ、倍率で表す例に限らない。例えば、電流監視時間Tiで生じた電流Iの変化を差分で表してもよい。
【0099】
例えば、(Ib-Ia)を、電流監視時間Tiで生じた電流Iの変化を差分で表す指標として用いてもよい。この場合、定電圧充電を終了させる条件として適切な電流Iの小さな変化を表す(Ib-Ia)の値を、例えば予め実験的に求めて基準電流変化Irefとして設定しておく。このようにすれば、ステップS29の処理を、「(Ib-Ia)≦Iref?」とすることができる。
【0100】
次に、停止時間計時部53は、定電圧充電終了後の経過時間を停止経過時間Tsとして計時し(ステップS31)、処理をステップS1へ移行する。
【0101】
ステップS1では、二次電池Bの電圧Vが充電開始電圧Vs以下になったとき(ステップS1でYES)、充電制御部51は、再び二次電池Bの充電を開始するべく処理をステップS2へ移行する。
【0102】
ステップS2では、充電制御部51は、予め設定された再開禁止時間Txと停止経過時間Tsとを比較する(ステップS2)。停止経過時間Tsが再開禁止時間Txを超えていれば(ステップS2でYES)、充電制御部51は、正常に充電を開始するべく処理をステップS3へ移行する。一方、停止経過時間Tsが再開禁止時間Tx以下の場合(ステップS2でNO)、上述と同様、二次電池Bの充電を停止し、異常の発生を報知する(ステップS41)。
【0103】
二次電池Bは、ステップS30で充電を終了した時点で満充電になっているはずである。満充電された二次電池Bが、正常な放電によって電圧Vが充電開始電圧Vs以下に低下するには、一定の時間がかかる。そこで、正常な放電によって電圧Vが充電開始電圧Vs以下に低下するために必要な時間より短い時間を、予め、例えば実験的に求めて再開禁止時間Txとして設定する。
【0104】
この場合、停止経過時間Tsが再開禁止時間Tx以下(ステップS2でNO)であったときは、何らかの異常が生じているおそれがある。そこで、二次電池Bの電圧Vが充電開始電圧Vs以下になった場合(ステップS1でYES)であっても、停止経過時間Tsが再開禁止時間Txを超えていなければ二次電池Bの充電を開始せず、あるいは異常を報知する(ステップS41)ことによって、安全性を向上することが可能となる。
【0105】
なお、充電装置1は、停止時間計時部53を備えていなくてもよく、ステップS2,S31,S41を実行しなくてもよい。また、充電装置1は、充電時間計時部52を備えていなくてもよく、ステップS4,S8,S26,S41を実行しなくてもよい。また、充電装置1は、表示部6を備えず、ステップS41において異常を報知しなくてもよい。また、ステップS41において、充電を停止することなく異常を報知してもよい。
【0106】
また、時間間隔Tcycvが電圧監視時間Tvより短い例に限られず、時間間隔Tcyciが電流監視時間Tiより短い例に限られない。例えば時間間隔Tcycvと電圧監視時間Tvとが等しくてもよく、時間間隔Tcyciと電流監視時間Tiとが等しくてもよい。
【0107】
また、充電制御部51は、必ずしも定電流定電圧(CCCV)充電を実行する例に限らない。充電制御部51は、ステップS3~S13の定電流充電処理を実行せず、ステップS2でYESでステップS21へ移行し、定電圧充電処理のみを実行して充電を終了してもよい。また、充電制御部51は、ステップS21~S30の定電圧充電処理を実行せず、ステップS13からステップS31へ移行してもよい。
【符号の説明】
【0108】
1 充電装置
2 電源部
3 電流測定部
4 電圧測定部
5 制御部
6 表示部
51 充電制御部
52 充電時間計時部
53 停止時間計時部
B 二次電池
Iref 基準電流変化
Tc 充電経過時間
Tcv 定電圧充電時間
Tcyci,Tcycv 時間間隔
Ti 電流監視時間
Tji,Tjv 判定時間
Tref 充電基準時間
Ts 停止経過時間
Tv 電圧監視時間
Tx 再開禁止時間
V 電圧
Vref 基準電圧変化
Vs 充電開始電圧