(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023067301
(43)【公開日】2023-05-16
(54)【発明の名称】情報処理方法、情報処理プログラム、及び情報処理システム
(51)【国際特許分類】
G09B 7/02 20060101AFI20230509BHJP
G09B 19/00 20060101ALI20230509BHJP
G06Q 50/20 20120101ALI20230509BHJP
【FI】
G09B7/02
G09B19/00 H
G06Q50/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021178397
(22)【出願日】2021-10-30
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】517310197
【氏名又は名称】モノグサ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】230116539
【弁護士】
【氏名又は名称】恩田 俊明
(72)【発明者】
【氏名】竹内 孝太朗
(72)【発明者】
【氏名】畔柳 圭佑
【テーマコード(参考)】
2C028
5L049
【Fターム(参考)】
2C028BB04
2C028BC01
2C028BC02
2C028BD01
5L049CC34
(57)【要約】 (修正有)
【課題】従来の学習システムでは、回答手段に着目した理解度把握が困難であったり、学習単元という恣意的に設定可能な範囲での理解度を図ろうとしていたため、真にユーザの学習効率を高めることができるかの検証は困難だった。
【解決手段】問題と回答とを対にして保持する問題保持部を有するサーバとユーザ端末との間で情報を送受信する情報処理方法であって、問題を出力する問題出力ステップと、問題に対する回答を受信する回答受信ステップと、回答に応じてユーザにおける当該問題に関する理解の定着度を判定する定着度判定ステップと、判定の結果をユーザと紐付けて記録する定着度記録ステップと、ユーザが学習を行う際に、記録された判定の結果を用いて問題と当該問題に対応した複数手段の回答手段の一又は複数を出力させる判定結果利用出題ステップと、をコンピュータにて実行する情報処理方法などを提案する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザに対する出題問題と回答とを対にして保持する問題保持部を有するサーバと、前記ユーザの管理する端末との間で情報を送受信する情報処理方法であって、
ユーザに対し問題を出力する問題出力ステップと、
前記出力された問題に対する回答を受信する回答受信ステップと、
前記受信した回答に応じて前記ユーザにおける当該問題に関する理解の定着度を判定する定着度判定ステップと、
前記判定の結果をユーザと紐付けて記録する定着度記録ステップと、
前記ユーザが学習を行う際に、前記記録された判定の結果を用いて問題と当該問題に対応した複数手段の回答手段の一又は複数を出力させる判定結果利用出題ステップと、
をコンピュータにて実行する情報処理方法。
【請求項2】
判定結果利用出題ステップは、定着度記録ステップにて情報を記録したタイミングを利用して問題と回答手段とを出力させる経時情報利用サブステップをさらに有する請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項3】
判定結果利用出題ステップは、複数手段の回答手段として、多肢選択、自由入力、穴埋めのうち少なくとも複数の回答手段を出力させる複数回答手段選択サブステップをさらに有する請求項1又は2に記載の情報処理方法。
【請求項4】
所定のユーザに対し定着度記録ステップにて記録された情報を出力可能とする情報開示ステップをさらに有する請求項1から3のいずれか一に記載の情報処理方法。
【請求項5】
ユーザに対する出題問題と回答とを対にして保持する問題保持部を有するサーバと、前記ユーザの管理する端末との間で情報を送受信する機能を備える情報処理プログラムであって、
ユーザに対し問題を出力する問題出力ステップと、
前記出力された問題に対する回答を受信する回答受信ステップと、
前記受信した回答に応じて前記ユーザにおける当該問題に関する理解の定着度を判定する定着度判定ステップと、
前記判定の結果をユーザと紐付けて記録する定着度記録ステップと、
前記ユーザが学習を行う際に、前記記録された判定の結果を用いて問題と当該問題に対応した複数手段の回答手段の一又は複数を出力させる判定結果利用出題ステップと、
をコンピュータにて実行する可能な情報処理プログラム。
【請求項6】
ユーザに対する出題問題と回答とを対にして保持する問題保持部と、
ユーザに対し問題を出力する問題出力部と、
前記出力された問題に対する回答を受信する回答受信部と、
前記受信した回答に応じて前記ユーザにおける当該問題に関する理解の定着度を判定する定着度判定部と、
前記判定の結果をユーザと紐付けて記録する定着度記録部と、
前記ユーザが学習を行う際に、前記記録された判定の結果を用いて問題と当該問題に対応した複数手段の回答手段の一又は複数を出力させる判定結果利用出題部と、
を有する情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、実効性のある学習環境を提供するための情報処理方法などに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、個々人の学習を効率よく、ないしは実効性をもって行うための様々な仕組みが提案され、係る提案に基づく技術が公開されてきた。それらの技術にはいくつかのアプローチがあるが、種々の分野における問題をユーザの習熟度に応じて複数作成しておき、それらの問題を所定の順番で出題するような仕組みが多くみられ、この「ユーザの習熟度」をどのようにして覚知するか、あるいは実効性をもって「所定の順番で出題する」ための仕組みが様々に提案されてきた。
【0003】
例えば特許文献1には、ユーザの回答履歴を記憶しておき、当該履歴に応じて次回以降の出題傾向を判断する技術が開示されている。また、特許文献2には、学習履歴を用いてある学習単元のユーザの理解度を学習しておき、当該単元の他の未出題問題の理解度を計算することで、その後に出題された問題への回答が当該単元を真に理解したものかどうかを検証可能にする技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-008189号
【特許文献2】特開2016-212271号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ただ、特許文献1記載の技術は、出題される問題が選択されるにとどまるため、ユーザがどのような回答手段が得意で苦手なのかといった、回答手段に着目した理解度把握が困難だった。また、特許文献2記載の技術は、あくまでいち学習単元における理解度を把握するための技術であって、所定の学習単元の範囲が恣意的に設定可能な以上、真にユーザの学習効率を高めることができるかの検証は困難だった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上のような課題を解決すべく、本発明は、ユーザに対する出題問題と解答とを対にして保持する問題保持部を有するサーバと、前記ユーザの管理する端末との間で情報を送受信する情報処理方法であって、ユーザに対し問題を出力する問題出力ステップと、前記出力された問題に対する回答を受信する回答受信ステップと、前記受信した回答に応じて前記ユーザにおける当該問題に関する理解の定着度を判定する定着度判定ステップと、前記判定の結果をユーザと紐付けて記録する定着度記録ステップと、前記ユーザが学習を行う際に、前記記録された判定の結果を用いて問題と当該問題に対応した複数手段の回答手段の一又は複数を出力させる判定結果利用出題ステップと、をコンピュータにて実行する情報処理方法などを提案する。
【0007】
また上記発明に関連して、判定結果利用出題ステップは、定着度記録ステップにて情報を記録したタイミングを利用して問題と回答手段とを出力させる経時情報利用サブステップをさらに有する情報処理方法なども提案する。
【0008】
また上記各発明に関連して、判定結果利用出題ステップは、複数手段の回答手段として、多肢選択、自由入力、穴埋めのうち少なくとも複数の回答手段を出力させる複数回答手段選択サブステップをさらに有する情報処理方法なども提案する。
【0009】
また上記各発明に関連して、所定のユーザに対し定着度記録ステップにて記録された情報を出力可能とする情報開示ステップをさらに有する情報処理方法なども提案する。
【0010】
さらに、上記各方法に関連したプログラムやシステムなどに関する発明も提案する。
【発明の効果】
【0011】
主に以上のような構成をとる本発明によって、出題者の恣意的なカテゴライズにかかわらず、回答手段に着目した理解度把握が可能となり、問題に回答する際のユーザの思考過程にまで踏み込んだより実効性のある学習環境を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図2】実施形態1のシステムの機能ブロックの一例を示す図
【
図3】本実施形態の情報処理システムを用いた判定結果利用出題部による問題出力の一例を示した表示図
【
図4】実施形態1のシステムの機能的な各構成をまとめて一のハードウェアとして実現した際の構成の一例を示す概略図
【
図5】実施形態1のシステムにおける処理の流れの一例を示す図
【
図6】実施形態2のシステムの機能ブロックの一例を示す図
【
図7】実施形態2のシステムにおける処理の流れの一例を示す図
【
図8】実施形態3のシステムの機能ブロックの一例を示す図
【
図9】実施形態3のシステムにおける処理の流れの一例を示す図
【発明を実施するための形態】
【0013】
まず
図1を示す。
図1は本発明の概要を示す図である。同図に示されているように、本発 明は、出題問題と解答とを対にして保持する問題保持部を有するサーバ0101と、ユーザの管理する端末との間で情報を送受信する点を技術的特徴として備えている。すなわち、本発明は、ユーザに対し問題を出力するためのコンピュータ0102や上記サーバを管理する事業者と、当該問題の出力を受け回答したり解説を見たりするなどして学習のための種々の処理を行うユーザの端末であるユーザ端末0111、0112、0121、0131、0141との間で行われるネットワークを介した情報の送受信を通じて実現されうる。
【0014】
なお、本発明で用いられるサーバは、
図1で示されたように1つである必要はなく、複数のサーバにて実現される場合もある。複数のサーバを用いる場合の具体例を上げると、出題問題と解答とを対にして保持するためのサーバ0101のほか、それらの出題問題を回答するユーザを識別するための情報であるユーザ識別情報を保持するためのサーバであるユーザ識別情報保持サーバ、問題に関する理解の定着度の判定結果を当該問題に回答したユーザと紐づけて保持するためのサーバである定着度保持サーバなどを相互にネットワークを介して接続することが考えられる。
【0015】
なお、上記各サーバは一の問題出題を行う事業者にて管理されることが想定されるが、これらの各サーバの機能の一又は複数については、API連携等の形式により他の事業者が管理・提供するサーバが有する機能を適宜活用することが可能である。それらのサーバの協働により、多様なユーザの多様な需要に応えうる負荷耐性を確保することが可能になるのみならず、ユーザ識別情報としての個人情報その他センシティブな情報の管理ないし取扱いにつき、一定水準以上のセキュリティ環境を確保することで、ユーザフレンドリーなサービス提供を可能とする。
【0016】
次に、ユーザの管理する端末であるユーザ端末については、その種別を特に限定することはなく、例えば、パソコン0141やタブレット0131、スマートフォン0121などが考えられ、その他スマートグラスやスマートウォッチ、スマートペンなどが考えられる。
【0017】
なお、ここまでは
図1を用いて、問題保持部を有するサーバ0101が当該問題を出題する事業者の管理する端末である事業者端末0102とは別個に構成され、ネットワークを介しクラウドコンピューティングの形式にて提供されているケースを想定した説明を行ったが、本発明はかかる使用形態に限られるものではない。すなわち、本発明の機能を実行可能なプログラムを事業者端末にインストールすることにより、本発明において提供可能な機能の全部又は一部の処理を事業者端末において実行する、いわゆるオンプレミス型の形態にて提供されてももちろんよい。また、ここで述べたようなプログラムが格納された記録媒体を用いることによっても実現可能である。
【0018】
以下、本発明の各実施形態について図面とともに説明する。まず実施形態と請求項の相互の関係は、以下のとおりである。まず、実施形態1は主に請求項1、3、5、6などに対応する。実施形態2は主に請求項2などに対応する。実施形態3は主に請求項4などに対応する。
【0019】
なお、本発明はこれらの実施形態に何ら限定されるものではなく、技術常識に従って特許請求の範囲の各請求項に記載の技術的思想を有し、その要旨を逸脱しない範囲内において、様々な態様で実施し得る。
【0020】
<<実施形態1>>
<概要>
図2は、本実施形態の情報処理システムの機能ブロックの一例を示す図である。同図において示されているように、本実施形態の「情報処理システム」0200は、「問題保持部」0201と、「問題出力部」0202と、「回答受信部」0203と、「定着度判定部」0204と、「定着度記録部」0205と、「判定結果利用出題部」0206と、を有する。
【0021】
なお、以下で詳しく説明する情報処理システムは、その機能の一又は複数の機能を複数の装置にて実現するようにも構成され得るものであって、その機能ブロックは、いずれもハードウェア又はソフトウェアとして実現され得る。コンピュータを用いるものを例にすれば、CPUやメインメモリ、GPU、TPU、画像メモリ、バス、二次記憶装置(ハードディスクや不揮発性メモリ)、キーボードやマイク、タッチパネル、タッチパネルをタッチするための電子ペンなどの各種入力デバイス、スピーカ、ディスプレイその他各種出力デバイス、その他の外部周辺装置などのハードウェア構成部、またその外部周辺装置用のインタフェース、通信用インタフェース、それらのハードウェアを制御するためのドライバプログラムやその他のアプリケーションプログラムなどが挙げられる。
【0022】
そしてメインメモリ上に展開したプログラムに従った演算処理によって、入力デバイスやその他インタフェースなどから入力されメモリやハードウェア上に保持されているデータなどが加工、蓄積されたり、前記各ハードウェアやソフトウェアを制御するための命令が作成されたりする。ここで、上記プログラムは、モジュール化された複数のプログラムとして実現されてもよいし、2以上のプログラムをクラウドコンピューティングその他の方法により組み合わせて一のプログラムとして実現されても良い。
【0023】
<機能的構成>
「問題保持部」0201は、ユーザに対する出題問題と解答とを対にして保持するように構成される。出題問題と解答とは、それぞれを識別するための問題IDや解答IDと紐付けられ、それらが紐付けられて保持される。
【0024】
なお、本発明において出題される問題は、特に出題ジャンルに限定はなく、例えば、算数(数学)、国語、社会科、歴史(日本史、世界史)、英語、理科、音楽など幅広いジャンルに対応可能である。そのため、上述した問題IDや解答IDとともに、それらの出題ジャンルを識別するためのIDであるジャンルIDを紐付けて保持することも考えられる。
【0025】
また、一の問題IDに紐付けられる解答IDないし解答は、必ずしも一である必要はなく、複数の解答IDないし解答、そしてそれらの解答に至るための回答手段が紐付けられる場合があってもよい。具体的には、そもそも一の問題に対し複数の解答があり得る場合もあれば、一の解答に対応した複数の回答手段が紐付けられている場合もありうる。例えば、歴史上のある人物の名前を回答させる問題において、多肢選択にて回答させる場合や自由な文字入力を通じて回答させる場合、そして名前の一部が空欄にされており当該空欄部分に文字入力して回答させる場合などが考えられる。さらには、異なる入力態様に応じた複数の回答手段が紐付けられている場合もありうる。具体的には、キーボードを用いた文字入力のほか、マイクを通じた音声入力、タッチパネルやタッチペンなどのデバイスを用いた手書き入力等の入力態様に対応した複数の回答手段が紐付けられるような場合である。これらのような場合には、それぞれの回答手段ごとに異なる解答IDを紐付け、それらがいずれも同じ問題IDないし問題と紐付けて保持されることとなる。
【0026】
なおここまで述べた複数種類の回答手段においてはいずれも、それ自体の解答IDと関連し、誤答となる回答と当該回答に紐付けられた誤答IDが一又は複数紐付けて保持されうる。各誤答IDには、それら誤答の内容に応じて、正答との乖離度合いを示す誤答レベルが付与されていたりしても良い。ユーザは本システムの利用を通じてこれらの誤答回答を繰り返しうるわけで、当該構成を採用することにより、ユーザの回答における正誤のみならず、誤答の内容やその程度をも把握可能となり、それら誤答の内容等をも踏まえて定着度を判定することが可能となる。
【0027】
その他問題保持部では、問題の回答に必要な、又は有用な情報を適宜紐付ける事が可能である。例えば、問題の難易度を示す情報である難易度情報や、特定の学校の入試等で出題された問題を示す情報である特定問題情報、保持された時期に関する情報である取得情報などが問題や解答と紐付けられうる情報であり、その他保持されうる情報に特に限定はない。当該構成を採用することにより、回答するユーザや、当該ユーザを指導するためのユーザである指導者ユーザにとって、多種多様な問題の出題環境を提供することができ、実効性を持つ学習環境の提供に資することとなる。
【0028】
また、問題保持部においては、出題問題に対する過去の回答状況である過去情報をユーザ単位で紐付けて保持することも考えられる。具体的には、ユーザが当該出題問題を過去に出題されたことの有無、出題された際の回答の正誤、その他回答に関連する情報が当該ユーザIDと紐付けて保持されている。当該構成を採用すれば、ユーザに対して繰り返し同じ問題を出題した場合の回答状況を踏まえて後記定着度の判定に用いることができる。
【0029】
「問題出力部」0202は、ユーザに対し問題を出力するように構成される。具体的には、特定のユーザを識別する情報であるユーザ識別情報のうちユーザIDと紐付けられた送信先であるユーザ端末に対し、所定の問題IDと紐付けられた問題を出力する。このとき、所定のユーザIDと関連付けられて、上述したジャンルIDの選択とともに問題出力のリクエストを受付け、当該リクエストに応じたジャンルIDと紐付けられた問題を出力するような構成も可能であるし、その他の難易度情報や特定問題情報その他特定の問題IDと紐付けられる所定の情報を検索したり、選択したりしたうえでの問題出力のリクエストを受付けることも可能である。
【0030】
また、特定の情報と紐付けられた複数の問題を出題するよう予めリクエストを受付け、当該リクエストに応じた問題出力を行うことも可能である。具体的には、所定時間が経過するまで、問題の出題と回答の受信を繰り返すような出題処理を行ったり、所定数の問題への回答を受信するまで出題を繰り返すような出題処理を行ったりすることが考えられる。これらの構成を採用することで、ユーザの学習意欲に沿った多様な問題出題及び学習機械の提供が可能となる。
【0031】
なおここでは、問題の出力先であるユーザのユーザ識別情報について説明する。上述のとおり、ユーザはユーザIDを含むユーザ識別情報と紐付けられるが、ここで紐付けられる情報は、ユーザIDのほか、氏名や年齢、学年、就学地域などのプロフィール情報や、過去に出題された問題や当該問題への回答といった回答履歴、得意/苦手な科目や単元、日常よく学習する時間帯などの学習環境に関する情報なども考えられる。これらの情報はいずれもサーバで保持され、ユーザ自身によって入力され、編集される場合もあれば、回答実績に応じて記録される場合もある。当該構成を採用することで、個々のユーザの回答実態を把握することを容易にするのみならず、他のユーザの回答実態の把握を通じた傾向分析等の処理をも可能とする。
【0032】
「回答受信部」0203は、前記出力された問題に対する回答を受信するように構成される。具体的には、ユーザ端末から、当該ユーザのユーザIDと、出力した問題IDと紐付けられた回答IDと紐付けられた回答を当該回答の回答手段とともに受信して取得する。つまり、ここでいう回答の受信とは、単に回答データのみを取得することに限定されず、回答データとともに関連する種々のデータがともに取得されてよい。例えば、問題が出題されてから回答するまでの時間である回答時間や、回答する際の入力し直しなどの入力履歴、複数の問題が出題されている場合の回答した順番、回答した日時、天気、気温などの情報も、回答データとともに回答として受信してもよい。当該構成を採用することで、回答内容そのものだけでなく、ユーザによる回答に関連する外部要因が回答行動に及ぼす影響の有無やその程度を検討・分析することが可能となる。
【0033】
「定着度判定部」0204は、前記受信した回答に応じて前記ユーザにおける当該問題に関する理解の定着度を判定するように構成される。理解の定着度の判定方法は様々に考えられるが、例えば、回答データと当該回答の対象となる問題と紐付けられる解答とを比較する場合のほか、回答データとともに受信した回答手段その他回答に関する情報を用いることも考えられる。
【0034】
ここで、定着度判定の一例について具体的に説明する。まず、受信した回答データがが解答と一致していれば、当該回答の対象となった問題については、一定の理解がなされたと判定する。解答と一致していない誤答であっても、予め誤答IDと紐付けられている誤答レベルが所定のしきい値内にとどまっていれば、やはり一定の理解はなされているとして一定の定着度があると判定してもよい。ここでいう一定の理解とは包括的にあるいは問題ごとに個別に任意に設定されてよいが、例えば、当該問題については十分な理解ができており、再度学習する必要はないと判定してもよいし、現時点ではひとまず理解ができているが、所定期間内に再度学習して定着度を改めて確認する必要があると判定してもよい。当該構成を採用することで、瞬間的な理解やあてずっぽうに基づく正解回答をもって、真の意味での理解がなされたと誤って判定してしまう事態を回避する。
【0035】
また、回答データとともに取得した情報に応じて判定を行う場合の一例としては、問題の入力履歴を用いる方法が考えられる。例えば、回答する際に所定回数(例えば3回)以上入力のし直しの履歴が認められる場合には、理解度が乏しいと判定する、といった具合である。なお、問題が出題されてから回答するまでの時間が所定時間(例えば5秒)以内であれば理解度が高いと判定する、といったような方法があってもよい。これらの情報に応じて判定を行うことで、回答したユーザの具体的な回答姿勢に基づいた理解度の判定が可能となり、判定結果に対する信頼性を高めることができる。他にも、回答手段に着目し、例えば、「このユーザは、多肢選択での回答の正答率は高いが、自由入力での回答の正答率は低い。それゆえ、本問題への自由入力の回答についても、定着度はやや低い。」などといった判定を行うことも可能である。
【0036】
さらに、回答したユーザのユーザ識別情報をも用いて定着度を判定する処理を行ってももちろんよい。例えば、過去に同じ問題を出題された際の回答履歴を用いる事が考えられ、この場合には、過去の回答内容や回答態様と今回の回答内容や回答態様とを比較することで、定着度を判定する。その具体的な判定方法の一例としては、前回は誤った回答をしていたいっぽう、今回は正解回答であった場合には一定程度以上の定着度であると判定したり、前回は正解だったが今回は誤答であったり、前回よりも回答するまでの時間がかかっていたりするような場合には、定着度が低いと判定したりすることが考えられる。また、前回の回答日時からの経過時間が所定時間よりも長い場合には、当該所定時間よりも短い場合に比べて定着度が高いと判定したりしてもよい。
【0037】
ここまで述べたほか、ユーザ識別情報は、様々な観点から定着度の判定に用いられうる。例えば、複数の問題の回答順が、以前回答した問題の回答順と同順であった場合には、仮に正解であったとしても当該問題の定着度を向上させないといった処理を行うことも考えられる。ユーザの学習態度として、問題の内容を理解したうえで回答したのか、出題順番を記憶していたがゆえに正解回答ができたのかが判別し難いからである。
【0038】
そのほかにも、ユーザがよく学習する時間帯に正答回答した場合には定着度が向上したと判定したりする方法があってもよく、これらの判定方法は適宜設定又は変更可能であり、苦手/得意であるとされる科目ごとにそれらの判定方法におけるしきい値を変更させたりすることも可能である。
【0039】
さらに言えば、ここまで述べた判定方法に用いられうるような各種のしきい値は、回答したユーザのユーザ識別情報のうち、学年や年齢、地域などのプロフィール情報を用いて、これらの情報を同じくする他のユーザの回答傾向に応じて判断することがあっても良い。当該構成を採用すれば、「同年代の学習者がよく間違える問題への正答傾向が高く、平均以上の定着度が認められる」「●●を得意分野とする学習者群のなかでも、同様の誤答を繰り返す頻度が高く、定着度に課題が認められる」などの相対的な判定も可能となる。
【0040】
ちなみに、ここまで様々な観点から行われうる判定方法について説明してきたが、具体的に回答のどの要素をどの程度判定に用いるかは適宜決められ、それらの要素は一のみならず複数の要素を組み合わせて所定のルールに基づき判定を行うことももちろん可能である。複数の要素をどのように組み合わせるかはもちろん適宜設定可能であり、それらの判定手段は適宜変更されうる。ちなみに、機械学習を行うことによって、それらの要素が実際にどの程度用いられるか否かが判別困難となる場合もあるが、そのような判定処理ももちろん、本発明における定着度判定部の機能に含まれうる。これらの構成を採用することにより、最新の情報に基づいたより実効性のある判定処理を行うことが可能となる。
【0041】
「定着度記録部」0205は、前記判定の結果をユーザと紐付けて記録するように構成される。具体的には、ユーザIDと紐付けて判定結果を記録することになるが、当該判定結果は、ユーザ識別情報として他の情報とともに紐付けられうる。当該構成を採用することで、当該ユーザの次回以降の学習の際の判定の際に、当該判定の結果を多角的に用いることが可能となる。
【0042】
「判定結果利用出題部」0206は、前記ユーザが学習を行う際に、前記記録された判定の結果を用いて問題と当該問題に対応した複数手段の回答手段の一又は複数を出力させるように構成される。ここではユーザがかつて学習をした際に記録された判定の結果が用いられるが、より具体的に言えば、記録された判定の結果を用いて出題すべき問題と、当該問題に対応した回答手段とが抽出され、出力されることになる。
【0043】
判定結果利用出題部は、ユーザが反復して学習を行う場合の機能的構成である。そのため、一旦学習を終了したユーザが、再度の学習を希望する旨の情報を受信した場合に、当該情報に対応して問題及び回答手段を出力する。再度の学習を希望する旨の情報とともに、判定結果を利用する旨の情報を取得した場合にのみ判定結果利用出題部を機能させるよう制御を行う場合も考えられるが、そのような制御を行わないことで、ユーザにとってより実効性のある学習環境を提供することが可能となる。
【0044】
ここで、記録された判定の結果を用いて出題すべき問題を抽出し出力する一例について説明する。判定の結果が定着度が所定の程度を超えない問題を抽出し出力することがまずは考えられ、ユーザがかかる問題への回答に再度挑戦することで、当該問題への定着度向上を図ることが考えられる。その他にも、所定の程度は超えるものの異なる程度は超えない定着度の問題を抽出し出力することで、ある程度定着していると評価しうる問題への理解度を慎重に推し量ることにより、当該問題への定着度をより確かなものと判断することも考えられる。
【0045】
また、同一の問題に対する判定結果のみを用いるのではなく、例えば、単元を同じくする別の問題の判定結果を用いる方法や、ある単元に含まれる一又は複数の問題に対する定着度が所定のしきい値を超えると判断される場合には、別の単元の問題を抽出する、といった判定結果の用い方もありうる。当該構成を採用することで、一の問題を反復継続する場合に限定されず、幅広い分野における学習の定着度を広範に把握し、当該把握に基づいた学習を可能とすることができる。
【0046】
記録された判定の結果の用い方としては様々な態様が想定され、上述した定着度の高低のほか、当該定着度判定の要因となった各種の情報をも用いることが考えられる。当該構成を採用して出題をすることにより、反復継続した学習の実効性をより高めることができる。
【0047】
次に、記録された判定の結果を用いて問題に対応した複数手段の回答手段の一又は複数を出力する一例について説明する。判定結果利用出題部においては、記録された判定の結果は、問題の出題にとどまらず、回答手段をも出力するために用いられるのが本発明の特徴である。すなわち、一の問題を抽出し出力する場合でも、当該問題に対応して出力される回答手段は、必ずしも一に特定はされず、記録された判定の結果を用いることで変化しうる。
【0048】
ここで、回答手段出力の具体例を説明する。予め一の問題に対し複数の回答手段が紐付けて問題保持部にて保持されていることを前提とし、当該問題につき、多肢選択や自由入力、穴埋めなどの各種の回答手段がそれぞれ解答IDとともに紐付けられている場合、記録された判定の結果に応じてそれらの回答手段のなかから一又は複数を抽出して出力する。
【0049】
例えば、記録された判定の結果が定着度に乏しいとの内容の問題が再度出力される場合には、前回出題時の回答手段よりも回答がしやすい回答手段を抽出し出力する、といった方法が考えられる。前回自由入力により誤答した場合、今回は多肢選択により回答させる、といった具合である。また、前回多肢選択により誤答した場合、今回は、選択肢を少なくする、といった出力態様もありうる。さらには、直接手書き入力(正確にはタッチパネルやタッチペンなどの機器を用いた入力)による漢字の単熟語や英単語の書き取り問題において、前回出題時にはすべての単熟語の書き取りを要する回答手段であったところ、今回は一部の単熟語のみの書き取りを要するようにする、といった出力態様があってもよい。
【0050】
ここで
図3を示す。同図は、本実施形態の情報処理システムを用いた判定結果利用出題部による問題出力の一例を示した表示図である。同図においては、「辞書」を表す英単語を回答させる問題を出力した場合の一例が3パターンにわたり表示されており、左から右にかけて、難易度が高くなっていく3パターンの回答手段が表示されている。すなわち、左側に表示された回答手段においては、薄字で「dictionary」と表示されており、キーボードキーの所定のアルファベット表示部分をタップするなどして文字入力をすることにより、特に記憶力を喚起したりすることなく、正解である「dictionary」を回答することが可能である。
【0051】
次に、真ん中に表示された回答手段においては、「diction」「dictionary」「fictional」「fictionalise」「この中にはない」との5つの選択肢があり、これらの中なら1つの正解を選択させるようになっている。ここでは英単語に対するおおよその記憶力が必要となるほか、『この中にはない』との選択肢を設けるか否かによっても、ユーザの記憶力ないし学習効果の定着度を図ることが可能となる。
【0052】
そして最後に右側に表示された回答手段においては、空欄が設けられているのみで、キーボードキーを用いた自由入力が促されている。このような回答手段においては、英単語に対する正確な記憶が要求され、当該回答手段を通じて正解をすれば、他の2つの回答手段を通じた回答に比べ、高度な学習定着が行われたと判定することが可能である。このように、従前の学習の結果を踏まえて、以上に掲げた複数の学習態様を出力可能とし、当該回答手段を通じた回答を踏まえ、更に判定処理を行い、以後の学習に判定結果を活かすといった、効果的な学習循環を実現することが可能となる。
【0053】
なお、抽出出力される回答手段は、一のみならず複数であってもよい。すなわち、多肢選択、自由入力と、穴埋めのように、複数の回答手段を出力するような構成も考えられる。
図3を用いて説明した例の場合でいえば、多肢選択と自由入力のいずれの回答手段をも出力するような場合である。そしてそれら複数の回答手段が出力された場合、ユーザはかかる複数の回答手段のうち任意の回答手段を通じて回答することができる。このような回答手段提示の形式により、ユーザがどのような回答手段に対する親和性が高いか、すなわち、どのような回答手段を選択することが多いか、回答手段ごとの正答度合いの高低などをより詳細に把握することができる。それだけにとどまらず、それらの把握結果をさらなる定着度判定に活かすことができ、ユーザごとの性格や学習スタイルに応じた問題出題、ひいては学習に資することができるようになる。
【0054】
なお、複数の問題を出題するような場合には、これらの複数手段の回答手段のうち、多肢選択、自由入力、穴埋めのうち少なくとも複数の回答手段を出力ように構成することが望ましい。単一の回答手段のみが連続して出力されるようだと、ユーザは当該回答手段に慣れてしまいかねず、これらの複数の回答手段を非連続的に出力するような構成を通じて問題に回答させることにより、ユーザに対し、問題ごとに考える姿勢を維持したまま学習させることができ、集中力の維持を促すことができる。
【0055】
<具体的な構成>
ここで
図4を示す。同図は本実施形態の情報処理システムの機能的な各構成をまとめて一のハードウェアとして実現した際の構成の一例を示す概略図である。各装置はいずれも、それぞれ各種演算処理を実行するための「CPU」0401と、「記憶装置(記憶媒体)」0402と、「メインメモリ」0403と、「入出力インタフェース(I/F)」0404、「ネットワークインタフェース(I/F)」0407と、を備え、入出力インタフェースを介して、例えば「ディスプレイ」0405、「タッチパネル」0406などの外部周辺装置と情報の送受信を行う。
【0056】
また、本実施形態の情報処理システムは、ネットワークインタフェースを介して複数の「ユーザ端末」0408や上述した各種の機能を備える「外部サーバ」0409などの外部装置と情報の送受信を行いうる。このネットワークインタフェースの具体的な態様は有線、無線を問わず、また通信の方法も、両端末間で直接、間接なされるかを問わない。よって特定の外部装置ないし同装置の利用者と紐づけられた第三者の管理するサーバとの間で情報の送受信を行ういわゆるクラウドコンピューティングの形式を採用することも可能である。
【0057】
記憶装置には以下で説明するような各種プログラムが格納されており、CPUはこれら各種プログラムをメインメモリのワーク領域内に読み出して展開、実行する。なお、これらの構成は、「システムバス」0499などのデータ通信経路によって相互に接続され、情報の送受信や処理を行う(以上の構成の基本的な構成は、以下で説明する他の装置のいずれについても同様である。
【0058】
(問題保持部の具体的な構成)
問題保持部は、コンピュータプログラムとコンピュータハードウェアにより構成され、具体的には、サーバとして構成されるのが通常である。CPUが記憶装置から「問題取得プログラム」0410をメインメモリに読み出して実行すると、任意のタイミングでユーザに対する出題問題と解答とを対にして取得し、それぞれに問題IDや解答IDを生成した上で付与し、メインメモリの所定のアドレスに格納する。
【0059】
なお、問題保持部については、上述した問題ID及び解答IDが保持されるほか、当該問題への回答状況に関する各種ユーザの情報や、それらの情報に関連する種々の情報が保持される場合もあり、それらの情報は、一のサーバで保持される場合もあれば、情報の性質に応じて複数のサーバに分散して保持され、ネットワークを介してオンライン又はオフライン上で適宜送受信が可能なように接続されている場合もある。
【0060】
(問題出力部の具体的な構成)
問題出力部は、コンピュータプログラムとコンピュータハードウェアにより構成され、具体的には、CPUが記憶装置から「問題出力プログラム」0420をメインメモリに読み出して実行し、問題取得プログラムの実行により取得していた問題のうち所定の問題を読み出し、所定のユーザ識別情報にて識別されるユーザ端末に対し、当該問題を出力する。
【0061】
(回答受信部の具体的な構成)
回答受信部は、コンピュータプログラムとコンピュータハードウェアにより構成され、具体的には、CPUが記憶装置から「回答受信プログラム」0430をメインメモリに読み出して実行し、前記問題出力プログラムの実行により出力された問題に対する回答を出力先のユーザ識別情報にて識別されるユーザのユーザ端末から受信し、メインメモリの所定のアドレスに格納する。
【0062】
(定着度判定部の具体的な構成)
定着度判定部は、コンピュータプログラムとコンピュータハードウェアにより構成され、具体的には、CPUが記憶装置から「定着度判定プログラム」0440をメインメモリに読み出して実行し、前記回答受信プログ村の実行により受信した回答に応じて前記ユーザにおける当該問題に関する理解の定着度を判定する。
【0063】
(定着度記録部の具体的な構成)
定着度記録部は、コンピュータプログラムとコンピュータハードウェアにより構成され、具体的には、CPUが記憶装置から「定着時記録プログラム」0450をメインメモリに読み出して実行し、前記定着度判定プログラムの実行結果を前記ユーザと紐付けてメインメモリの所定のアドレスに格納する。
【0064】
(判定結果利用出題部の具体的な構成)
判定結果利用出題部は、コンピュータプログラムとコンピュータハードウェアにより構成され、具体的には、前記ユーザが再び学習を行う旨の情報を受信すると、CPUが記憶装置から「判定結果利用出題プログラム」0460をメインメモリに読み出して実行し、当該ユーザと紐付けて前記定着度記録プログラムの実行を通じて記録された判定の結果を読み出し、当該情報を用いて問題と当該問題に対応した複数手段の回答手段のいち又は複数を、当該ユーザのユーザ識別情報にて識別されるユーザ端末に対し出力する。
【0065】
<処理の流れ>
図5は、本実施形態の情報処理システムにおける処理の流れの一例を示す図である。同図の処理の流れは以下のステップからなる。最初にステップS0501では、ユーザに対し問題を出力し(問題出力ステップ)、ステップS0502で、前記出力された問題に対する回答を受信する(回答受信ステップ)。その後ステップS0503において前記受信した回答に応じて前記ユーザにおける当該問題に関する理解の定着度を判定し(定着度判定ステップ)、ステップS0504で、前記判定の結果をユーザと紐付けて記録する(定着度記録ステップ)。
【0066】
その後ステップS0505として、ユーザによる新たな学習が始まるか否かを判断する。ここでの判断結果が新たな学習の開始を意味する内容である場合には、ステップS0506の処理に移行する。新たな学習を行わない旨の内容である場合には、その後の処理を行わない。
【0067】
そしてステップS0506では、前記記録された判定の結果を用いて問題と当該問題に対応した複数手段の回答手段の一又は複数を選択し(判定結果利用出題ステップ)、当該処理結果を用いてステップS0501以降の処理を行う。
【0068】
<効果>
以上の構成を採用する情報処理システムを利用することにより、従来技術に比べ実効性のある学習環境を提供することが可能となる。
【0069】
<<実施形態2>>
<概要>
本実施形態の情報処理システムは、基本的には実施形態1に記載の情報処理システムの技術的特徴と同様であるが、判定結果等を記録したタイミングを利用して問題と回答手段とを出力させる点において更なる特徴を有している。
【0070】
<機能的構成>
図6は、本実施形態の情報処理システムの機能ブロックの一例を示す図である。同図において示されているように、本実施形態の「情報処理システム」0600は、「問題保持部」0601と、「問題出力部」0602と、「回答受信部」0603と、「定着度判定部」0604と、「定着度記録部」0605と、「判定結果利用出題部」0606と、を有し、判定結果利用出題部は、「計時情報利用手段」0616をさらに有する。基本的な構成は、実施形態1の
図2を用いて説明した情報処理システムと共通するため、以下では相違点である「計時情報利用手段」0616の機能について説明する。
【0071】
「計時情報利用手段」0616は、判定結果利用出題部において、定着度記録部にて情報記録したタイミングを利用して問題と回答手段とを出力させるように構成される。具体的には、情報記録したタイミングを計時情報として取得して判定結果を関連付けて保持しておき、当該計時情報を単独であるいは他の情報と組み合わせて利用し、問題と回答手段を出力するために用いる。
【0072】
計時情報を単独で用いる場合の一例を説明すると、現時点から所定時間を超過した計時情報と関連付けられた判定結果を利用する。ここでいう所定時間とは、1日や1周間など、特定の数値により決められても良いし、予め学習時間帯(例えば毎日午後5時から6時、毎週月・水・金曜日の午後7時から9時、など)が設定されているユーザの場合には、当該学習時間帯単位により設定されても良い。当該構成を採用することで、ユーザの学習サイクルに応じて、前回学習した内容の復習を自然に行うことができ、学習効果の定着をより実効的に実現することができる。
【0073】
また、計時情報を他の情報と関連付けて用いる場合の一例を説明する。この場合は例えば、判定結果に用いられた問題の難易度情報や他のユーザの回答状況、当該ユーザの他の問題の回答状況などを用いて、再度同じ問題を出題すべきタイミングである忘却タイミングを算出して、計時情報と、当該算出された忘却タイミングに応じて問題と回答手段とを出力させるような構成が考えられる。
【0074】
忘却タイミングの算出方法は、上述した各種要素の他、種々の情報を用いることが可能であり、また、算出された情報を忘却タイミングとして用いる以外の他の用途に用いても構わない。例えば、改めて問題を出題するのではなく、過去に出題された問題IDと単元を同じくする他の問題IDによって識別される問題を回答手段とともに出力するように構成してもよい。いずれにしても、当該構成を採用することにより、個々の問題やユーザの性格、その他の状況に応じて学習効果の定着がおぼつかなくなるタイミングを事前に予測し、当該予測に基づいた問題の出題が可能となり、具体的かつ実効性ある学習環境の提供が可能となる。
【0075】
<具体的な構成>
本実施形態の情報処理システムを構成する各装置のハードウェア構成は、基本的には、
図4を用いて説明した実施形態1の情報処理システムにおけるハードウェア構成と同様である。そこで以下については、これまで説明していない「計時情報利用手段」の具体的な処理について説明する。
【0076】
(計時情報利用手段の具体的な構成)
計時情報利用手段は、具体的にはコンピュータプログラムとコンピュータハードウェアにより構成され、判定結果利用出題プログラムの実行に際し、CPUが記憶装置から「計時情報利用サブプログラム」をメインメモリに読み出して実行し、の実行を通じて記録された判定の結果を読み出すとともに、これと定着度記録プログラムの実行により情報を記録したタイミングである計時情報を単独で又は他の情報とともに利用して、問題と当該問題に対応した複数手段の回答手段のいち又は複数を、当該ユーザのユーザ識別情報にて識別されるユーザ端末に対し出力する。
【0077】
<処理の流れ>
図7は、本実施形態の情報処理システムにおける処理の流れの一例を示す図である。同図の処理の流れは以下のステップからなる。最初にステップS0701では、ユーザに対し問題を出力し(問題出力ステップ)、ステップS0702で、前記出力された問題に対する回答を受信する(回答受信ステップ)。その後ステップS0703において前記受信した回答に応じて前記ユーザにおける当該問題に関する理解の定着度を判定し(定着度判定ステップ)、ステップS0704で、前記判定の結果をユーザと紐付けて記録する(定着度記録ステップ)。
【0078】
その後ステップS0705として、ユーザによる新たな学習が始まるか否かを判断する。ここでの判断結果が新たな学習の開始を意味する内容である場合には、ステップS0706の処理に移行する。新たな学習を行わない旨の内容である場合には、その後の処理を行わない。
【0079】
そしてステップS0706では、前記記録された判定の結果と定着度記録ステップにて情報を記録したタイミングを用いて(計時情報利用サブステップ)、問題と当該問題に対応した複数手段の回答手段の一又は複数を選択し(判定結果利用出題ステップ)、当該処理結果を用いてステップS0701以降の処理を行う。
【0080】
<効果>
本実施形態の情報処理システムを用いることにより、実施形態1の情報処理システムを用いる場合に比べ、具体的な回答状況をより詳細に踏まえた学習環境を提供することができる。
【0081】
<<実施形態3>>
<概要>
本実施形態の情報処理システムは、基本的には実施形態1又は2に記載の情報処理システムの技術的特徴と同様であるが、所定のユーザに対し、記録された判定の結果等の情報を出力可能とする点を更なる特徴として備えている。
【0082】
<機能的構成>
図8は、本実施形態の情報処理システムの機能ブロックの一例を示す図である。同図において示されているように、本実施形態の「情報処理システム」0800は、「問題保持部」0801と、「問題出力部」0802と、「回答受信部」0803と、「定着度判定部」0804と、「定着度記録部」0805と、「判定結果利用出題部」0806と、「情報開示部」0807とを有する。基本的な構成は、実施形態1の
図2を用いて説明した情報処理システムと共通するため、以下では相違点である「情報開示部」0807の機能について説明する。
【0083】
「情報開示部」0807は、所定のユーザに対し定着度記録部にて記録された情報を出力可能とするように構成されている。ここでいう所定のユーザは当該情報において問題を回答したとされるユーザとは異なるユーザであることが考えられ、より具体的には、当該ユーザを教育する指導者である指導者ユーザであることが考えられる。すなわち、本実施形態の情報処理システムは、学習をするユーザにとどまらず、当該ユーザの学習を指導する指導者ユーザも利用可能である。
【0084】
定着度記録部においては、実施形態1における説明で述べたように、ユーザIDと紐付けて判定結果を記録し、当該判定結果は、ユーザ識別情報として他の情報とともに紐付けられうるが、ここで指導者ユーザは、自らが指導する一又は複数のユーザの判定結果を自身が管理する端末に対して出力するよう要求することができる。当該判定結果はレポートやグラフその他所定の形式により表示出力されることが考えられ、当該出力された情報を把握した指導者ユーザは、当該判定結果の内容を分析し、個々のユーザの指導に用いることができる。
【0085】
実施形態1及び2の情報処理システムを用いた学習の場合、反復継続して学習を繰り返すことによる学習効果の定着化を図ることは一定程度可能であるが、逆にいえば、反復継続することでしか効果の定着化を図ることができない場合もある。また、定期テストや受験などのように、特定の日時までに一定レベル以上の学習実績を上げていなければならないケースもある。そのような場合においては、学習をするユーザの自主性にのみ依存するのではなく、進捗度合いに応じた第三者による学習効率の調整の必要性も生じうる。そこで、本実施形態の情報処理システムにおいては、情報開示部の処理を通じて出力された情報に基づいて、当該情報と紐付けられているユーザの定着度を修正するための情報である修正指導情報を出力するような構成を採用してもよい。
【0086】
修正指導情報は、前記ユーザの管理する端末に対し出力され、当該ユーザに確認させることができる。具体的には、ユーザを叱咤激励するようなメッセージを内容とするものであったり、具体的な問題回答に対するアドバイスを内容とするものであったりすることなどが考えられる。また、修正指導情報を、当該ユーザの再度の学習の際に、判定結果利用出題部において、定着度の情報とともに、問題と当該問題に対応した複数手段の回答手段を出力する際に用いられることも可能である。この場合は、事実上、定着度の判定結果を修正する効果をもたらす。より学習の実効性を高めることを内容とする修正指導情報を用いる場合、例えば、反復出題する問題の数を通常よりも多くする、とか、回答手段をより思考を要する態様に限定する、とかいった処理を促すように用いることが考えられる。当該構成を採用することにより、指導者ユーザの監督のもと、相対的な学習実効性にとどまらず、特定目的達成という絶対的な学習実効性をも担保することが可能になる。
【0087】
<具体的な構成>
本実施形態の情報処理システムを構成する各装置のハードウェア構成は、基本的には、
図4を用いて説明した実施形態1の情報処理システムにおけるハードウェア構成と同様である。そこで以下については、これまで説明していない「情報開示部」の具体的な処理について説明する。
【0088】
(情報開示部の具体的な構成)
情報開示部は、具体的にはコンピュータプログラムとコンピュータハードウェアにより構成され、指導者ユーザを始めとする所定のユーザからの出力要求に応じ、CPUが記憶装置から「情報開示プログラム」をメインメモリに読み出して実行し、定着度記録プログラムの実行により得られた情報を読み出すとともに、当該情報を前記所定のユーザの管理する端末に出力する。
【0089】
<処理の流れ>
図9は、本実施形態の情報処理システムにおける処理の流れの一例を示す図である。同図の処理の流れは以下のステップからなる。最初にステップS0901では、ユーザに対し問題を出力し(問題出力ステップ)、ステップS0902で、前記出力された問題に対する回答を受信する(回答受信ステップ)。その後ステップS0903において前記受信した回答に応じて前記ユーザにおける当該問題に関する理解の定着度を判定し(定着度判定ステップ)、ステップS0904で、前記判定の結果をユーザと紐付けて記録する(定着度記録ステップ)。
【0090】
その後ステップS0905として、所定のユーザに対し定着度記録ステップにて記録された情報を出力可能とする(情報開示ステップ)。具体的には、当該所定のユーザからの出力要求に応じて前記情報を出力する処理を行う場合のほか、所定のあるいは指定されたタイミングで、所定のあるいは指定されたユーザに対して前記情報を出力する処理を行う場合などが考えられる。
【0091】
なお
図9では、情報開示ステップの処理の順番を定着度記録ステップの直後としたが、定着度記録ステップにて情報が記録された後であれば、どのようなタイミングで処理されるように構成されても、本発明の効果を減ずることはなく、適宜のタイミングで処理されて構わない。
【0092】
その後ステップS0906として、ユーザによる新たな学習が始まるか否かを判断する。ここでの判断結果が新たな学習の開始を意味する内容である場合には、ステップS0907の処理に移行する。新たな学習を行わない旨の内容である場合には、その後の処理を行わない。
【0093】
そしてステップS0907では、前記記録された判定の結果を用いて問題と当該問題に対応した複数手段の回答手段の一又は複数を選択し(判定結果利用出題ステップ)、当該処理結果を用いてステップS0901以降の処理を行う。
【0094】
<効果>
本実施形態の情報処理システムを用いることにより、実施形態1及び2の情報処理システムを用いる場合に比べて、学習者たるユーザのみならず学習の機会を提供する教育者たる指導者ユーザにとっても、学習者に対し効率的に学習環境を提供するための支援を行うことが可能になる。
【符号の説明】
【0095】
0200・・・情報処理システム、0201・・・問題保持部、0202・・・問題出力部、0203・・・回答受信部、0204・・・定着度判定部、0205・・・定着度記録部、0206・・・判定結果利用出題部