(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023067323
(43)【公開日】2023-05-16
(54)【発明の名称】路面発光装置
(51)【国際特許分類】
E01F 9/559 20160101AFI20230509BHJP
【FI】
E01F9/559
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021178445
(22)【出願日】2021-11-01
(71)【出願人】
【識別番号】521478049
【氏名又は名称】末岡 伯至
(71)【出願人】
【識別番号】521478050
【氏名又は名称】平舘 忠男
(71)【出願人】
【識別番号】507157931
【氏名又は名称】株式会社ワールド山内
(71)【出願人】
【識別番号】521478061
【氏名又は名称】ミドリ・ヘイガー
(74)【代理人】
【識別番号】100095267
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 高城郎
(74)【代理人】
【識別番号】100124176
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 典子
(72)【発明者】
【氏名】末岡 伯至
【テーマコード(参考)】
2D064
【Fターム(参考)】
2D064AA02
2D064AA22
2D064CA01
2D064CA05
2D064EB05
2D064FA02
2D064GA02
(57)【要約】
【課題】外部からの電源供給が不要でかつ日照条件の影響のない電源を有する路面発光装置を提供する。
【解決手段】道路に埋設されて発光する路面発光装置1であって、上面が開口する直方体の内部空間を有しかつ前記内部空間の長手方向が道路の延在方向に沿うように埋設される筐体部2と、前記内部空間にて長手方向の中点に設置されかつ長手方向に対し垂直に水平に延在する軸支部材3Dを有すると共に、前記軸支部材3Dにより揺動可能に支持されかつ前記内部空間の上面を遮蔽する透光板3Aを有するシーソー体3と、前記内部空間にて前記透光板3Aの長手方向の各端部の下方にそれぞれ設置されかつ前記透光板3Aの揺動を伝達されることにより発電を行う一対の発電装置5と、前記内部空間に設置されかつ前記発電装置5による発電電力を供給されて発光する発光体6と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路に埋設されて発光する路面発光装置(1)であって、
上面が開口する直方体の内部空間を有しかつ前記内部空間の長手方向が道路の延在方向に沿うように埋設される筐体部(2)と、
前記内部空間にて長手方向の中点に設置されかつ長手方向に対し垂直に水平に延在する軸支部材(3D)を有すると共に、前記軸支部材(3D)により揺動可能に支持されかつ前記内部空間の上面を遮蔽する透光板(3A)を有するシーソー体(3)と、
前記内部空間にて前記透光板(3A)の長手方向の各端部の下方にそれぞれ設置されかつ前記透光板(3A)の揺動を伝達されることにより発電を行う一対の発電装置(5)と、
前記内部空間に設置されかつ前記発電装置(5)による発電電力を供給されて発光する発光体(6)と、を備えたことを特徴とする路面発光装置。
【請求項2】
前記発電装置(5)が、
旋回軸(5A3)と共に一体に旋回可能な上部アーム(5A4)と下部アーム(5A5)とを具備しかつ前記上部アーム(5A4)が前記透光板(3A)の揺動により押されて旋回する旋回部(5A)と、
一端が前記下部アーム(5A5)に連結されかつ前記旋回部(5A)の旋回によりチェーン方向に移動可能な伝動ローラチェーン(5B)と、
一端が前記伝動ローラチェーン(5B)の他端に連結されかつ他端が不動に固定されたコイルスプリング(5C)と、
前記伝動ローラチェーン(5B)と係合する第1スプロケット(5D1)と、
前記第1スプロケット(5D1)と一体に回動するマグネットロータ部(5E1)とステータコイル部(5E2)とを具備する発電機(5E)と、を有することを特徴とする請求項1に記載の路面発光装置。
【請求項3】
前記伝動ローラチェーン(5B)が、前記第1スプロケット(5D1)と前記コイルスプリング(5C)との間において、別の水平に延在する軸(5H)上に配置された第2スプロケット(5D2)と係合することを特徴とする請求項2に記載の路面発光装置。
【請求項4】
前記発電装置(5)が、
前記マグネットロータ部(5E1)を軸方向の両側から挟むようにそれぞれ配置された一対の伝動リング体(5F1、5F2)と、
前記一対の伝動リング体(5F1、5F2)を互いに連結し固定する連結ボルト(5F3)と、をさらに有し、
前記第1スプロケット(5D1)の回動が、前記一対の伝動リング体(5F1、5F2)うち一方(5F1)を介して前記マグネットロータ部(5E1)に伝達されることを特徴とする請求項2に記載の路面発光装置。
【請求項5】
前記一対の伝動リング体(5F1、5F2)のうち他方(5F2)と一体に回動する第3スプロケット(5D3)と、
別の水平に延在する軸(5H)上に配置された第4スプロケット(5D4)と、
前記第3スプロケット(5D3)及び前記第4スプロケット(5D4)と係合するように架け渡された無端の補助ローラチェーン(5G)と、をさらに有することを特徴とする請求項4に記載の路面発光装置。
【請求項6】
前記発電装置(5)の出力端子(5E3)と前記発光体(6)との間に接続された蓄電池(7)をさらに有することを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の路面発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路の表面に設ける発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、道路を通行する車両の運転者に対する誘導や注意喚起のために、路面上に発光による標識が設置されている。このような標識には、車両のライトを反射する反射式のものと、電源を保有する自発光式のものとがある。
【0003】
自発光式の先行技術としては、例えば特許文献1~4がある。特許文献1、2には、センサにより接近物の接近を検知して発光する発光ダイオード、ハロゲンランプ等の発光体を有し、電源は、太陽電池と蓄電池等である。特許文献3、4の道路用発光装置、路面表示材の電源は、埋設されたケーブルにより外部から供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004-353440号公報
【特許文献2】特開2009-020902号公報
【特許文献3】特開2008-190151号公報
【特許文献4】特開2021-130961号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
路面上の発光装置の電源が太陽電池の場合、発電量が日照条件によって影響されるので安定した発光が得られないことがある。また、外部から電源供給する場合は、電力コストがかかる。
【0006】
以上の問題点に鑑み本発明の目的は、外部からの電源供給が不要でありかつ日照条件の影響のない電源を有する路面発光装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するべく、本発明は、以下の構成を提供する。なお、括弧内の符号は後述する図面中の符号であり、参考のために付するものである。
- 本発明の態様は、道路に埋設されて発光する路面発光装置(1)であって、
上面が開口する直方体の内部空間を有しかつ前記内部空間の長手方向が道路の延在方向に沿うように埋設される筐体部(2)と、
前記内部空間にて長手方向の中点に設置されかつ長手方向に対し垂直に水平に延在する軸支部材(3D)を有すると共に、前記軸支部材(3D)により揺動可能に支持されかつ前記内部空間の上面を遮蔽する透光板(3A)を有するシーソー体(3)と、
前記内部空間にて前記透光板(3A)の長手方向の各端部の下方にそれぞれ設置されかつ前記透光板(3A)の揺動を伝達されることにより発電を行う一対の発電装置(5)と、
前記内部空間に設置されかつ前記発電装置(5)による発電電力を供給されて発光する発光体(6)と、を備えたことを特徴とする。
- 上記態様において、前記発電装置(5)が、
旋回軸(5A3)と共に一体に旋回可能な上部アーム(5A4)と下部アーム(5A5)とを具備しかつ前記上部アーム(5A4)が前記透光板(3A)の揺動により押し下げられて旋回する旋回部(5A)と、
一端が前記下部アーム(5A5)に連結されかつ前記旋回部(5A)の旋回により移動可能な伝動ローラチェーン(5B)と、
一端が前記伝動ローラチェーン(5B)の他端に連結されかつ他端が不動に固定されたコイルスプリング(5C)と、
前記伝動ローラチェーン(5B)と係合する第1スプロケット(5D1)と、
前記第1スプロケット(5D1)と一体に回動するマグネットロータ部(5E1)を具備すると共に、前記マグネットロータ部(5E1)により囲まれたステータコイル部(5E2)を具備する発電機(5E)と、を有することが、好適である。
- 上記態様において、前記伝動ローラチェーン(5B)が、前記第1スプロケット(5D1)と前記コイルスプリング(5C)との間において、別の水平に延在する軸(5H)上に配置された第2スプロケット(5D2)と係合することが、好適である。
- 上記態様において、 前記発電装置(5)が、
前記マグネットロータ部(5E1)を軸方向の両側から挟むようにそれぞれ配置された一対の伝動リング体(5F1、5F2)と、
前記一対の伝動リング体(5F1、5F2)を互いに連結し固定する連結ボルト(5F3)と、をさらに有し、
前記第1スプロケット(5D1)の回動が、前記一対の伝動リング体(5F1、5F2)うち一方(5F1)を介して前記マグネットロータ部(5E1)に伝達されることが、好適である。
- 上記態様において、前記一対の伝動リング体(5F1、5F2)のうち他方(5F2)と一体に回動する第3スプロケット(5D3)と、
別の水平に延在する軸(5H)上に配置された第4スプロケット(5D4)と、
前記第3スプロケット(5D3)及び前記第4スプロケット(5D4)と係合するように架け渡された無端の補助ローラチェーン(5G)と、をさらに有することが、好適である。
- 上記態様において、前記発電装置(5)の出力端子(5E3)と前記発光体(6)との間に接続された蓄電池(7)をさらに有することが、好適である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、通行する車両の重量によるシーソー体の揺動を利用して発電し、その電力を用いて発光体を発光させるので、外部からの電源供給が不要でありかつ日照条件の影響のない電源を有する路面発光装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1(a)は、本発明による路面発光装置の一実施形態における構成例を概略的に示した平面図であり、(b)は(a)のI-I概略断面図である。
【
図2】
図2(a)(b)は、
図1に示した路面発光装置の動作状況を概略的に示した図である。
【
図3】
図3は、
図1の円囲みII内にある発電装置5を拡大して概略的に示した平面図である。た図である。
【
図4】
図4(a)は、
図3のラインIII-IIIに沿った概略的な断面図であり、(b)は(a)の初期位置から動作位置に変化した状態を概略的に示している。
【
図5】
図5は、
図3のラインIV-IVに沿った概略的な断面図である。
【
図7】
図7は、発電機及びその周囲の概略的な展開図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、例示としての図面を参照しつつ、本発明による路面発光装置の実施形態について説明する。図面は本発明の原理を説明するための参考であり、詳細な構成を正確に示したものではないことを注記する。
【0011】
図1(a)は、本発明による路面発光装置の一実施形態における構成例を概略的に示した平面図であり、(b)は(a)のI-I概略断面図である。路面発光装置1は、全体形状が直方体であり、例えば、最も長い辺に沿った長手方向の長さが160cm、長手方向に対し垂直に水平に延びる幅方向の長さが40cmであり、高さは25cmである。寸法は一例であってこれらに限定されない(以下に示す寸法も同様)。路面発光装置1は、道路に形成された同形状の直方体の穴内に埋設されて使用される。その場合、長手方向が道路の延在方向に沿うように埋設される。また、道路の幅方向における埋設位置は、車両のタイヤがその上を通過可能な位置とすることが望ましい。
【0012】
路面発光装置1は、4つ側壁と底壁を具備する筐体部2を有する。筐体部2は、上面が開口する直方体の内部空間を形成する。内部空間は、例えば、長手方向の長さが145cm、長手方向に対し垂直に水平に延びる幅方向の長さが25cmである。図示の例では、筐体部2は、最も外側に位置して4つの側壁と底壁とをもつ鉄製(鋼製を含む。以下同様)の筐体2Aと、その内側に位置して4つの側壁をもつコンクリート枠体2Bと、最も内側に位置して4つの側壁をもつアルミニウム製枠体2Cとから構成され、筐体部2の側壁は3層構造である。筐体部2は、路面発光装置1の強度と防水性を確保する。
【0013】
路面発光装置1はさらに、シーソー体3を有する。シーソー体3は、筐体部2の内部空間の上面を完全に遮蔽する蓋の役割を果たす透光板3Aを具備する。シーソー体3の主要部である透光板3Aは、光が透過可能な透明又は半透明な平板部材であり、好適にはアクリル板である。アクリル板の厚さは例えば4cmであるがこれに限られない。好ましくは、透光板3Aの周縁全体に防水用のシール部材3Bが装着されている。透光板3Aが水平状態のとき、その上面及びシール部材3Bが、筐体部2の上端よりも突出しないように筐体部2の上端には勾配が設けられている。その勾配は、筐体部2が埋設されたときに周囲のアスファルト道路の路面Rから徐々に上昇するように形成されている。それにより、走行する車両のタイヤが、路面Rから円滑に透光板3上に載ることができる。また、透光板3がシーソー動作を行うときにも、透光板3の両端が筐体2の上端から突出しない。
【0014】
透光板3Aの下面には、好ましくは鉄製の板である補強部材3Cが適宜の手段で接合されている。補強部材3Cは、長手方向の長さは透光板3Aとほぼ同じであるが、幅は透光板3Aの幅よりも短く、5分の1程度であり、透光板3Aの幅方向の中央に長手方向に沿って配置されている。鉄製の補強部材3Cは光を透過しないので、できるだけ幅を狭くすることが好ましい。
【0015】
シーソー体3の透光板3Aは、シーソーのように揺動可能に構成されている。そのために、内部空間において長手方向の中点に軸支部材3Dとその支持台3Eが設置されている。支持台3Eは、内部空間の底面に固定され、上面には円筒内面の一部の形状をもつ軸受溝が形成されている。その軸受溝は内部空間の幅方向に水平に延在している。軸受溝内には、好ましくは鉄製である円筒形の軸支部材3Dが嵌合配置されている。軸受溝内において軸支部材3Dは、その円筒軸の周りで回動可能である。鉄製の軸支部材3Dの最上部は、鉄製の補強部材3Cの下面と溶接されてる。これにより、透光板3Aと軸支部材3Dが一体化され、透光板3Aは、軸支部材3Dの最上部を支点としてシーソーのように揺動可能となる。
【0016】
さらに内部空間には、透光板3Aの長手方向の各端部の下方にそれぞれ発電装置5が設置されている。一対の発電装置5は、構成自体は全く同じであるが、内部空間の長手方向において互いに反対向きに配置されている。各発電装置5は、透光板3Aの長手方向の端の方をそれぞれ向いている。
【0017】
発電装置5は、透光板3Aの揺動を伝達され、その運動エネルギーを電気エネルギーに変換することにより発電を行う。発電装置5における最も高い位置にある旋回ヘッド5A1、5A2は、透光板3Aが水平状態のとき、透光板3Aの下面に当接している。5A2旋回ヘッド5A1、5A2は、旋回軸5A3の周りで旋回可能である。発電装置5の詳細な構成及び動作については後述する。
【0018】
さらに内部空間には、透光板3Aの長手方向の各端部を下方からそれぞれ支持する弾性支持部4が設けられている。弾性支持部4は、好ましくは鉄製である板バネ4Aと、その支持台4Bとを有する。板バネ4Aは、ここでは上向きの凹形状を有する。板バネ4Aの一方の端部は、補強部材3Cの下面に溶接されている。板バネ4Aの他方の端部は、支持台4Bの上面に適宜の手段で固定されている。板バネ4Aと発電装置5の上部とは、互いに衝突しないように設計配置されている。
【0019】
さらに内部空間には、発電装置5による発電電力を供給されて発光する発光体6が設置されている。図示の例では、8個の発光体6が、その発光面を上向きにして、透光板3Aの下面に接合されている。発光体6の位置及び数は、適宜設計可能である。発光体6は、好ましくは発光ダイオード(LED)である。
【0020】
図2(a)(b)は、
図1に示した路面発光装置1の動作状況を概略的に示した図である。
図2(a)に示すように、白抜き矢印で示す方向に走行する車両のタイヤ10が路面発光装置1の透光板3A上に載ると、透光板3Aは、軸支部材3Dを支点として、重量がかかった側の端部が降下し、反対側の端部が上昇するように揺動する。なお、透光板3Aの上昇した方の端部は、最も上昇した場合にも筐体部2の上端を超えないように、板バネ4Aにより下方に引っ張られている。このように、板バネ4Aは、透光板3Aを初期位置に保持する機能を有し、上昇又は降下した透光板3Aの端部を初期位置に復帰させる役割を担っている。
【0021】
一方、透光板3Aの降下した方の端部は、左側の発電装置5の旋回ヘッド5A1を押し下げる。これにより旋回ヘッド5A1が旋回軸5A3を旋回させる。この運動が、左側の発電装置5に備わる発電機に伝達され、発電機による発電が行われる。発電電力は、適宜のケーブル(図示せず)により発光体6に送られ、発光体6が発光する。一方、右側の発電装置5は停止している。図示の例では、各発電装置5がそれぞれ全ての発光体6と接続されている。
【0022】
図2(b)に示すように、車両のタイヤ10がさらに進行すると、透光板3Aの端部の降下と上昇が逆になる。この場合、透光板3Aは、右側の発電装置5の旋回ヘッド5A2を押し下げる。それによる発電装置5の発電動作及び発光体6の発光は、
図2(a)と同じである。この場合、左側の発電装置5は停止している。
【0023】
図3は、
図1の円囲みII内にある発電装置5を拡大して概略的に示した平面図である。
図4(a)は、
図3のラインIII-IIIに沿った概略的な断面図であり、(b)は(a)の初期位置から動作位置に変化した状態(
図2(a)の状態)を概略的に示している。
図5は、
図3のラインIV-IVに沿った概略的な断面図である。
図6は、
図3の概略的なV矢視図である。
図7は、発電装置5の発電機及びその周囲の概略的な展開図である。これらの図を参照して、発電装置5について説明する。
【0024】
発電装置5は、図示の例では、筐体部の底面に固定されて鉛直方向にそれぞれ起立する一対の鉛直支持壁5J1、5J2により支持されている。一対の鉛直支持壁5J1、5J2は、内部空間の幅方向に所定の間隔を空けて互いに平行に長手方向に沿って配置されている。
【0025】
図3~
図5に示すように、実質的に所定の直径をもつシャフト部材である旋回軸5A3の両端は、鉛直支持壁5J1、5J2において回動可能にそれぞれ軸支されている。旋回軸5A3の中央部から、内部空間の長手方向の一端の方に向かって斜め上方に1本の上部アーム5A4が延びている。上部アーム5A4の上端は水平方向に互いに反対方向に分岐して内部空間の幅方向に延びており、各先端に円盤状の旋回ヘッド5A1と5A2がそれぞれ設けられている。
【0026】
一方、旋回軸5A3において、一方の鉛直支持壁5J1の近傍の位置から、内部空間の長手方向の一端の方に向かって斜め下方に下部アーム5A5が延びている。
図4の側面図に示すように、旋回軸5A3を頂点として上部アーム5A4と下部アーム5A5とのなす角度は例えば約90°である。上部アーム5A4、旋回軸5A3及び下部アーム5A5は、一体に旋回可能である。
【0027】
下部アーム5A5の先端には、伝動ローラチェーン5Bの一端5B1が連結されている。下部アーム5A5が旋回すると、それに伴って伝動ローラチェーン5Bの一端5B1が移動する。伝動ローラ5Bの他端5B2はコイルスプリング5Cの一端に連結されている。伝動ローラチェーン5Bの一端と他端との間には、第1スプロケット5D1と第2スプロケット5D2が配置されており、伝動ローラチェーン5Bはこれらと係合する。
【0028】
第1スプロケット5D1は、発電機5Eのステータコイル部5E2の軸5E21上に回動自在に配置されている。ステータコイル部の軸5E21は、旋回軸5A3よりも下方であって旋回軸5A3と旋回ヘッド5A1との間に位置する。軸5E21の両端は、鉛直支持壁5J1、5J2にそれぞれ固定されている。
【0029】
一方、第2スプロケット5D2は、補助軸5H上に回動自在に配置されている。補助軸5Hは、旋回軸5A3よりも下方であって旋回軸5A3に対しステータコイル部の軸5E21とは反対側に位置する。補助軸5Hの両端は、鉛直支持壁5J1、5J2にそれぞれ固定されている。
【0030】
ここで、発電装置5において旋回ヘッド5A1側を前方とすると、伝動ローラチェーン5Bは、下部アーム5A5の先端から前方に延びて第1スプロケット5D1と係合して折り返して後方に延在し、第2スプロケット5D2と係合して折り返して再び前方に延在してコイルスプリング5Cの一端に至るように緩み無く架け渡されている。コイルスプリング5Cの他端は、鉛直支持壁5J1に対して垂直に突出するコイル端固定板5J3に不動に固定されている。コイルスプリング5Cは初期位置において自然長又はやや引張状態にある。
【0031】
発電機5Eは、自転車のハブに取り付けられるハブダイナモと類似の構成を有する。すなわち、軸5E21とその周りに固定されたコイル及び鉄心とを有するステータコイル部5E2が中心部に位置する。ステータコイル部5E2を取り巻くように例えば32極の磁石とそれらを収容するロータ筐体とを有するマグネットロータ部5E1が外側に位置する。ステータコイル部5E2の軸5E21は、マグネットロータ部5E1のロータ筐体の両側からそれぞれ軸方向に突出し、鉛直支持壁5J1、5J2にそれぞれ固定されている。ステータコイル部5E2のコイルから導線が取り出され、ロータ筐体の外部に設けられた出力端子5E3に接続されている。静止したステータコイル部5E2に対し、マグネットロータ部5E1が回転することによって発電し、出力端子5E3から電力を出力することができる。
【0032】
発電機5Eのマグネットロータ部5E1は、第1スプロケット5D1と一体に回動するように構成されている。このために、マグネットロータ部5E1を軸方向の両側から挟むようにそれぞれ配置された略環状体である一対の伝動リング体5F1、5F2が設けられている(
図7の展開図参照)。好ましくは鋼製である第1伝動リング体5F1と第2伝動リング体5F2とは、複数の連結ボルト5F3により互いに連結固定されている。これにより、一対の伝動リング体5F1、5F2は、ロータ筐体すなわちマグネットロータ部5E1と一体化される。一対の伝動リング体5F1、5F2もまた、ステータコイル部の軸5E21と同軸上に位置することになる。第1スプロケット5D1が回動すると、第1伝動リング体5F1が回動し、それによりマグネットロータ部5E1も回動する。
【0033】
図4(b)に示すように、動作時において、旋回ヘッド5A1が矢印aのように押し下げられると、旋回軸5A3が矢印bのように旋回し、下部アーム5A5が伝動ローラチェーンを矢印cのように引っ張り、第1スプロケット5D1が矢印dのように回動すると、第1伝動リング体5F1が回動する。この結果、マグネットローラ部5E1が回動することによって、ステータコイル部5E2に電流が流れ、電力が出力される。マグネットローラ部5E1に数十極の磁石が配置されている場合、低い回転数であっても発電することが可能である。図示の構成は、本発明の原理を示すための例であり、旋回ヘッド5A1の僅かな移動を増幅して発電機5Eのマグネットロータ部5E1の大きな回転数に変換する構成は多様に考え得る。
【0034】
動作時には、コイルスプリング5Cは、弾性力に抗して引っ張られ伸長する。旋回ヘッド5A1に対する押し下げ力が無くなると、コイルスプリング5Cの復元力により伝動ローラチェーン5Bが初期位置に引っ張られることにより、旋回ヘッド5A1は初期位置に戻る。第1スプロケット5D1及び第1伝動リング体5F1が初期位置に戻る過程においても、マグネットローラ部5E1が反対向きに回動するので、発電機5Eは発電を行う。
【0035】
図5は、発電装置5における
図4(a)とは反対側の側面の構成を概略的に示している。第2の伝動リング体5F2と同軸上に位置しかつ一体に回動する第3スプロケット5D3が設けられている(
図7の展開図参照)。後方に位置する補助軸5H上には第4スプロケット5D4が回動自在に設けられている。さらに、第3スプロケット5D3と第4スプロケット5D4の両方に係合する無端の補助ローラチェーン5Gが緩み無く架け渡されている。この無端ローラチェーン5Gは、
図4に示した大きな負荷がかかる駆動側との負荷のバランスをとり、発電装置5を全体的に補強する役割を果たす。
【0036】
上部アーム5A4及び下部アーム5A5の長さ、並びに、各スプロケット5D1~5D4の直径は、本発明の原理を実現するために最適となるように設計される。
【0037】
図6のV矢視図は、発電装置5の旋回ヘッド5A1、5A2側を前方とした場合の概略正面図であるが、ローラチェーン5B等の幾つかの構成要素を省いて簡略化している。替わりに、周囲に位置するシーソー体3、発光体6、及び筐体部2の一部を示している。
【0038】
発電機5Eの出力端子5E3には、適宜の配線ケーブル8が接続される。図示の例では、出力端子5E3に接続された配線ケーブル8は、蓄電池8に接続されている。蓄電池8は各発光体6と接続されている。蓄電池8は、例えばリチウムイオン電池や鉛蓄電池等である。蓄電池8を用いることによって、車両が通過した時点にのみ発光するのではなく、通行量が十分であれば常時、発光体6が発光することが可能となる。
【0039】
また、蓄電池8は、制御装置を含んでもよい。制御装置は、必要に応じて、発電機5Eの出力を整流したり、適宜の点滅パターンの信号を発光体6に送ったり、また図示しないセンサと連係して動作したりする回路を含むことができる。
【0040】
以上、本発明の実施形態を、例示としての構成を参照して説明したが、具体的な構成はこれらに限定されるものではない。本発明の原理に従う限り、多様な変形形態も本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0041】
1 路面発光装置
2 筐体部
2A 鉄製筐体
2B コンクリート製枠体
2C アルミニウム製枠体
3 シーソー体
3A 透光板
3B シール部材
3C 補強部材
3D 軸支部材
3E 支持台
4 弾性支持部
4A 板バネ
4B 支持台
5 発電装置
5A 旋回部
5A1、5A2 旋回ヘッド
5A3 旋回軸
5A4 上部アーム
5A5 下部アーム
5B 伝動ローラチェーン
5C コイルスプリング
5D1 第1スプロケット
5D2 第2スプロケット
5D3 第3スプロケット
5D4 第4スプロケット
5D5、5D6 ベアリング
5E 発電機
5E1 マグネットロータ部
5E2 ステータコイル部
5E3 出力端子
5F1 第1伝動リング体
5F2 第2伝動リング体
5F3 連結ボルト
5G 補助ローラチェーン
5H 補助軸
5J1、5J2 鉛直支持壁
5J3 コイル端固定板
5J4 フック掛け
6 発光体
7 蓄電池(又は制御装置)
8 配線ケーブル
10 タイヤ
R 路面