IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ パナソニックIPマネジメント株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-換気装置 図1
  • 特開-換気装置 図2
  • 特開-換気装置 図3
  • 特開-換気装置 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023067332
(43)【公開日】2023-05-16
(54)【発明の名称】換気装置
(51)【国際特許分類】
   F24F 7/013 20060101AFI20230509BHJP
【FI】
F24F7/013 101F
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021178457
(22)【出願日】2021-11-01
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】チャン カンビン
(72)【発明者】
【氏名】安西 輝顕
(72)【発明者】
【氏名】広川 雅之
(72)【発明者】
【氏名】高田 佳臣
(57)【要約】
【課題】従来の窓取付用の換気装置においては、取付孔として本体外部よりも少し大きいサイズが必要であり、気密性の確保に問題があった。また、製品本体を傾けながら挿入する必要があり、施工性にも課題があった。
【解決手段】側壁に設けられた開口に設置され外部空間と内部空間との間で換気を行う換気装置であって、内側に中空空間を備えた筒形状を有し、開口を部分的に貫通する筐体と、中空空間に配置されて外部空間と内部空間との間で送風を行う送風部と、内部空間側に位置して開口よりも外周側に位置する脱落防止部と、外部空間側に位置して開口よりも外周側に位置する外側固定部と、を備え、筐体は、外側固定部を貫通させるための貫通孔を備え、外側固定部は、中空空間の内部に位置する基部と、貫通孔を介して筐体よりも外周側に位置して脱落防止部との間で開口の周縁に位置する側壁を挟持する係止部と、を備えた換気装置を提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
側壁に設けられた開口に設置され外部空間と内部空間との間で換気を行う換気装置であって、
内側に中空空間を備えた筒形状を有し、前記開口を部分的に貫通する筐体と、
前記中空空間に配置されて前記外部空間と前記内部空間との間で送風を行う送風部と、
前記内部空間側に位置して前記開口よりも外周側に位置する脱落防止部と、
前記外部空間側に位置して前記開口よりも外周側に位置する外側固定部と、を備え、
前記筐体は、
前記外側固定部を貫通させるための貫通孔を備え、
前記外側固定部は、
前記中空空間の内部に位置する基部と、
前記貫通孔を介して前記筐体よりも外周側に位置して前記脱落防止部との間で前記開口の周縁に位置する前記側壁を挟持する係止部と、を備えた換気装置。
【請求項2】
前記脱落防止部は、
前記筐体から外周に向かって起立するフランジ部と、
前記フランジ部を貫通し、前記外側固定部との間で前記側壁を挟持する締付部と、を備えた請求項1記載の換気装置。
【請求項3】
前記脱落防止部は、
前記設置状態において少なくとも鉛直上下方向の一方に備えられた請求項1記載の換気装置。
【請求項4】
前記脱落防止部は、
前記設置状態において少なくとも水平方向の一方に備えられた請求項1記載の換気装置。
【請求項5】
前記基部は、
前記送風に含まれる対象物を捕集するフィルタを固定するためのフィルタ固定部を兼ねる請求項1記載の換気装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に居室の窓に取付けられ、室内外の空気を入れ替える換気装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の換気装置は、窓ガラスに設けた丸穴に、パッキンを介して、製品本体を嵌め込み固定するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
以下、その換気装置について図4を参照しながら説明する。
【0004】
図4に示すように、本体107は、窓ガラスなどの板体109に取付けられる。板体109は、本体107を介するための取付孔110と、取付孔110に設ける断面U字形の取付緩衝材111と、を備える。
【0005】
本体107は、前部にオリフィス108と、内部に室内側開口101と、室内側開口101から外方に向け突出するフランジ102と、室外側開口103と、室外側開口103を開閉するシャッター104と、送風機105と、送風機105を本体107に取付けられる取付脚106と、を備え、室内114の空気を室外115へ送風する機能を有する。
【0006】
また、本体107は、取付緩衝材111を介してフランジ102との間に板体109を挟む挟持部112と、フランジ102の面に両面粘着テープからなる取付手段113と、を有する。
【0007】
上記構成において、本体107の板体109への設置方法は下記の通りである。まず板体109に取付孔110を形成し、板体109を挟むように取付孔110に取付緩衝材111を取り付ける。次に、本体107を、シャッター104が室外115側に配設されるように、取付孔110に挿入する。そして、フランジ102と挟持部112で板体109および取付緩衝材111を挟み込むことで本体107を支持し、取付手段113を板体109側に押圧する。最後に両面粘着テープからなる取付手段113を板体109に接着することで本体107を板体109に固定できるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平9―021549号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このような従来の窓取付用の換気装置においては、フランジ102と挟持部112との間に板体109(ガラス)を挟み込む固定構造となっていたため取付孔は本体107の外郭よりも挟持部112の分だけ大きいサイズが必要であり、気密性の確保に課題があった。また、本体を傾けながら挿入する必要があり、施工性に課題があった。
【0010】
そこで本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、本体外郭と同等のサイズの取付孔に挿入でき、本体を傾けることなく挿入可能とすることで、施工性及び気密性を改善することができる換気装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
そして、本発明に係る換気装置は、上記の目的を達成するために、側壁に設けられた開口に設置され外部空間と内部空間との間で換気を行う換気装置であって、内側に中空空間を備えた筒形状を有し、前記開口を部分的に貫通する筐体と、前記中空空間に配置されて前記外部空間と前記内部空間との間で送風を行う送風部と、前記内部空間側に位置して前記開口よりも外周側に位置する脱落防止部と、前記外部空間側に位置して前記開口よりも外周側に位置する外側固定部と、を備え、前記筐体は、前記外側固定部を貫通させるための貫通孔を備え、前記外側固定部は、前記中空空間の内部に位置する基部と、前記貫通孔を介して前記筐体よりも外周側に位置して前記脱落防止部との間で前記開口の周縁に位置する前記側壁を挟持する係止部と、を備えた換気装置としたものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、本体外部と同等のサイズの取付孔に挿入でき、本体を傾けることなく挿入可能となるため、施行性及び気密性を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施の形態1に係る換気装置の構成を示す側面断面図。
図2】本発明の実施の形態1に係る換気装置の設置方法に関する構成を詳細に示す拡大側面断面図。
図3】本発明の実施の形態1に係る換気装置のフィルタ固定部の設置方法を示す側面断面図。
図4】従来の換気装置の構成および設置方法を示す側面断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。なお、以下の実施の形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。また、全図面を通して、同一の部位については同一の符号を付して二度目以降の説明を省略または簡略化している。
【0015】
(実施の形態1)
まず、図1を用いて本発明に関する換気装置の概略構成について説明する。
【0016】
図1に示す換気装置1は、内部空間24と外部空間23とを隔てる側壁17に設置される換気装置である。側壁17は、居室を囲んで内部空間24の外郭を形成する壁材やガラス窓である。
【0017】
換気装置1は、筐体2と、送風部3と、フード6と、ルーバ7と、を備える。
【0018】
筐体2は、換気装置1の輪郭を形成し、内側が中空空間である筒形状を有している。
【0019】
送風部3は、ファン4と、モータ5と、を備え、筐体2の内側である中空空間に設置される。送風部3は、モータ5の回転をファン4に伝えることで、内部空間24と外部空間23との間で送風を行う機能を有する。なお、送風方向は外部空間23から内部空間24方向、または内部空間24から外部空間23方向のどちらでもよいが、本実施の形態では、部位名称を含めて送風方向は外部空間23から内部空間24方向として説明している。
【0020】
フード6は、筐体2における外部空間23側の開放空間を密閉する形で配置され、外部空間23に面した表面に吸込口21を備える。
【0021】
吸込口21は貫通口であり、外部空間23と筐体2の中空空間とを接続する。吸込口21は、細いスリット形状とすることで外部からの異物混入の可能性を低減できる。また、吸込口21は、フード6における底面側に設けることが望ましく、これにより風雨による水混入を低減し、空気だけを取り込む効果が増大する。
【0022】
ルーバ7は、筐体2における内部空間24側の開放空間を一部密閉する形で配置され、吐出口22を備えることで、送風部3による送風をガイドする。なお、図1に示すルーバ7は、側壁17に平行な面が密閉された形状としているため、吐出口22は、ルーバ7の外縁に形成される。
【0023】
吐出口22は、内部空間24と筐体2の中空空間とを接続する。
【0024】
換気装置1は、さらに筐体2の内側、つまり中空空間にフィルタ9とフィルタ固定部8と、を備える。
【0025】
フィルタ9は、送風によって内部を通過する空気中に含まれる異物等を取り除く効果を有し、フィルタ固定部8によって中空空間の風路上に固定される。
【0026】
フィルタ固定部8は、筐体2の内部に設置され、フィルタ9を固定することに加え、フィルタ9以外の風路を遮断することで、すべての送風がフィルタ9を通過するように風路を形成する。
【0027】
図1において、フィルタ固定部8およびフィルタ9は、送風部3より内部空間24側に配置しており、これによりフィルタ9を交換する際に室内側から容易に交換作業を実施することができる。
【0028】
なお、フィルタ固定部8およびフィルタ9は、送風部3より外部空間23側に配置しても良い。この場合、フィルタ9によって浄化された空気が送風部3を通過するため、ファン4への埃等の付着や、モータ5への埃等の侵入を防止することができ、送風部3の負荷の低減に効果がある。
【0029】
以上の構成を有した換気装置1による空気の流れ20を説明する。
【0030】
換気装置1は、送風部3を駆動することにより送風を行い、外部空間23から吸込口21を介して筐体2内部、つまり中空空間に空気を取り入れる。中空空間に取り入れられた空気は、フィルタ9を通過して、ルーバ7により風向を変え、吐出口22から内部空間24へ送り込まれる。
【0031】
次に、図2を用いて換気装置1の側壁17への設置方法に関する主な部分の構成について説明する。なお、側壁17には、換気装置1を設置さるための取付孔、すなわち開口18が設けられている。
【0032】
開口18は、筐体2における内部空間24側の外周縁、さらに具体的には、開口18は、筐体2における側壁17と同一面上の外周縁と同等の直径サイズを有する。
【0033】
換気装置1は、側壁17から脱落を防止するために、筐体2に脱落防止部10、及び、外側固定部14を貫通させるための貫通孔13と、フィルタ固定部8に外側固定部14と、を備える。
【0034】
脱落防止部10は、フランジ部11と、締付部12と、を備え、筐体2における内部空間24側、つまり図2の左側であって、開口18よりも外周側、つまり側壁17の縁部19に対応して位置する。
【0035】
フランジ部11は、筐体2の内部空間24側端部における外周面から外周側に起立し、筐体2が側壁17から外部空間23側へ脱落することを防止する。
【0036】
締付部12は、例えばネジ形状を有した部品であり、筐体2の内部空間24側からフランジ部11を貫通し、外側固定部14との間で側壁17の縁部19を挟持する。
【0037】
貫通孔13は、筐体2に形成され、後述の係止部16を筐体2の内側から貫通させるための開口である。
【0038】
外側固定部14は、基部15と、係止部16と、を備え、フィルタ固定部8の設置状態において筐体2における外部空間23側、つまり側壁17よりも外部空間23側かつ開口18よりも外周側に位置する。外側固定部14は、フィルタ固定部8の一部であるため、筐体2から取り外しが可能である。フィルタ固定部8の筐体2への設置状態において、筐体2よりも外周に位置する部分が係止部16、筐体2よりも内周に位置する部分が基部15である。
【0039】
係止部16は、筐体2の貫通孔13を中空空間側から貫通して筐体2の外周側に位置される。この状態で、係止部16は、脱落防止部10におけるフランジ部11との間で側壁17を挟持する。
【0040】
外側固定部14は、フィルタ固定部8と同一部品とすることができ、これにより部品点数の減少が期待できるが、フィルタ固定部8とは別部品として独立に設けられてもよい。
【0041】
次に、図3を用いて換気装置1の側壁17への設置方法について説明する。
【0042】
なお、図3において、図1および図2と同様の構成要素については同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0043】
図3において、まず、筐体2は、フード6が外部空間23側に配置されるように、開口18を内部空間24側から貫通し、脱落防止部10におけるフランジ部11が側壁17における内部空間24側面と接するまで挿入される。この状態で、貫通孔13は、鉛直上方に位置する。
【0044】
次に、外側固定部14は、係止部16が中空空間に少し傾いた状態で、フィルタ固定部8が内部空間24側の開放空間から筐体2の中空空間に水平移動で挿入される。
【0045】
係止部16が貫通孔13付近に位置した状態でフィルタ固定部8を上方に持ち上げることで、係止部16は筐体2における貫通孔13を貫通し、外部空間23側から筐体2よりも外周に位置する。この状態では、フィルタ固定部8は、図1に示すように側壁17と平行となり、係止部16は、側壁17を挟んで脱落防止部10の外部空間側に位置する。
【0046】
なお、図3において、貫通孔13は鉛直上向きに備えられるので、脱落防止部10と係止部16を鉛直上向きに貫通されるが、反対に貫通孔13を鉛直下向きに備え、脱落防止部10と係止部16を鉛直下向きに位置してもよい。また、貫通孔13を水平方向の一方に備えることで、脱落防止部10と係止部16を水平方向の一方に位置することもできる。
【0047】
次に、フランジ部11を貫通させて締付部12をフランジ部11にねじ止めすることで、締付部12が側壁17の縁部19を係止部16に固定する。この状態で、脱落防止部10と係止部16が開口18周縁に位置する側壁17の縁部19を挟持する。
【0048】
なお、フィルタ固定部8が平行状態で固定された後にフィルタ9を取り付けてもよいし、事前にフィルタ9をフィルタ固定部8に取り付けしておいてもよい。
【0049】
最後に、ルーバ7を、筐体2に設置する。
【0050】
上記の構成により、本体外部と同等のサイズの取付孔に筐体を傾けることなく挿入可能となるため、施行性及び気密性を改善することができる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、主に居室の窓に取付けられ、室内外の空気を入り替える窓取付用の換気装置に関するものである。
【符号の説明】
【0052】
1 換気装置
2 筐体
3 送風部
4 ファン
5 モータ
6 フード
7 ルーバ
8 フィルタ固定部
9 フィルタ
10 脱落防止部
11 フランジ部
12 締付部
13 貫通孔
14 外側固定部
15 基部
16 係止部
17 側壁
18 開口
19 縁部
20 空気の流れ
21 吸込口
22 吐出口
23 外部空間
24 内部空間
101 室内側開口
102 フランジ
103 室外側開口
104 シャッター
105 送風機
106 取付脚
107 本体
108 オリフィス
109 板体
110 取付孔
111 取付緩衝材
112 挟持部
113 取付手段
114 室内
115 室外
図1
図2
図3
図4