(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023067349
(43)【公開日】2023-05-16
(54)【発明の名称】車両用扉
(51)【国際特許分類】
B61D 19/00 20060101AFI20230509BHJP
E05D 15/06 20060101ALI20230509BHJP
【FI】
B61D19/00 A
E05D15/06 116
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021178493
(22)【出願日】2021-11-01
(71)【出願人】
【識別番号】502203015
【氏名又は名称】アルナ輸送機用品株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100154014
【弁理士】
【氏名又は名称】正木 裕士
(74)【代理人】
【識別番号】100154520
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 祐子
(72)【発明者】
【氏名】高野 直樹
【テーマコード(参考)】
2E034
【Fターム(参考)】
2E034AA08
2E034BA13
2E034DA11
(57)【要約】
【課題】摺接部材が脱落する危険性を低減させることができる車両用扉を提供する。
【解決手段】車内側面板及び車外側面板を有する車両用扉本体と、
車両用扉本体の下部に設けられている下部枠と、
下部枠に設けられている嵌合片と、
下部枠に取り付け固定されている板バネと、
下部枠に嵌合される摺接部材24と、を有し、
摺接部材24には、
嵌合片に嵌合可能な嵌合溝24b1が設けられ、
板バネ6が係止可能な左凹溝孔24c5,右凹溝孔24c6が設けられており、
摺接部材24は、嵌合溝24b1に嵌合片が嵌合されると共に、左凹溝孔24c5,右凹溝孔24c6に板バネが係止されることによって、下部枠に移動不能に嵌合されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車内側面板及び車外側面板を有する車両用扉本体と、
前記車両用扉本体の下部に設けられている下部枠と、
前記下部枠に設けられている嵌合片と、
前記下部枠に取り付け固定されている係止部材と、
前記下部枠に嵌合される摺接部材と、を有し、
前記摺接部材には、
前記嵌合片に嵌合可能な嵌合溝が設けられ、
前記係止部材が係止可能な係止溝が設けられており、
前記摺接部材は、前記嵌合溝に前記嵌合片が嵌合されると共に、前記係止溝に前記係止部材が係止されることによって、前記下部枠に移動不能に嵌合されてなる車両用扉。
【請求項2】
前記摺接部材には、突部が設けられており、
前記突部は、前記摺接部材が前記下部枠に移動不能に嵌合された際、該下部枠の内周上面側に当接してなる請求項1に記載の車両用扉。
【請求項3】
前記摺接部材には、内外を貫通する貫通孔が設けられており、
前記係止部材は、板バネにて形成され、
前記嵌合溝に前記嵌合片が嵌合されると共に、前記係止溝に前記板バネの端部が係止されることによって、前記下部枠に前記摺接部材が移動不能に嵌合され、
前記下部枠より前記摺接部材を取り外すにあたって、前記貫通孔に所定部材を挿入し、前記板バネの端部を押圧することで、前記摺接部材の係止溝との係止を開放し、この状態で、前記摺接部材をスライドさせることによって、前記下部枠より前記摺接部材を取り外すようにしてなる請求項1又は2に記載の車両用扉。
【請求項4】
前記摺接部材には、内外を貫通する貫通孔が設けられており、
前記係止部材は、板バネにて形成され、
前記嵌合溝に前記嵌合片が嵌合された際、前記貫通孔に挿入される所定部材によって、前記板バネの端部を押圧し、この状態で、前記摺接部材を所定位置までスライドさせ、前記貫通孔より前記所定部材を抜出させることによって、前記係止溝に前記板バネの端部を係止させ、もって、前記下部枠に前記摺接部材を移動不能に嵌合させてなる請求項1~3の何れか1項に記載の車両用扉。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鉄道車両の乗降口における引戸式扉等の車両側部出入り口に設置される車両用扉に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の車両用扉として、例えば、特許文献1に記載のような車両用扉が知られている。この特許文献1に記載の車両用扉は、車両用扉本体の外周枠の下側横枠に、乗降口の下側レールに跨るように嵌め込まれる摺接部材が嵌合されているというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、車両用扉本体の外周枠の下側横枠に、摺接部材を嵌合するにあたっては、摺接部材を車両用扉本体の外周枠の下側横枠にねじ止めするようになっている。
【0005】
しかしながら、作業者によっては、ねじ止めをしっかり行わない場合もあり、これによって、ねじが緩み、摺接部材が脱落する危険性があるといった問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、上記問題に鑑み、摺接部材が脱落する危険性を低減させることができる車両用扉を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記本発明の目的は、以下の手段によって達成される。なお、括弧内は、後述する実施形態の参照符号を付したものであるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0008】
請求項1の発明によれば、車内側面板(20)及び車外側面板(21)を有する車両用扉本体(2)と、
前記車両用扉本体(2)の下部に設けられている下部枠(下横枠23d)と、
前記下部枠(下横枠23d)に設けられている嵌合片(23d3b)と、
前記下部枠(下横枠23d)に取り付け固定されている係止部材(板バネ6)と、
前記下部枠(下横枠23d)に嵌合される摺接部材(24)と、を有し、
前記摺接部材(24)には、
前記嵌合片(23d3b)に嵌合可能な嵌合溝(24b1)が設けられ、
前記係止部材(板バネ6)が係止可能な係止溝(左凹溝孔24c5,右凹溝孔24c6)が設けられており、
前記摺接部材(24)は、前記嵌合溝(24b1)に前記嵌合片(23d3b)が嵌合されると共に、前記係止溝(左凹溝孔24c5,右凹溝孔24c6)に前記係止部材(板バネ6)が係止されることによって、前記下部枠(下横枠23d)に移動不能に嵌合されてなることを特徴としている。
【0009】
請求項2の発明によれば、上記請求項1に記載の車両用扉(1)において、前記摺接部材(24)には、突部(24c7)が設けられており、
前記突部(24c7)は、前記摺接部材(24)が前記下部枠(下横枠23d)に移動不能に嵌合された際、該下部枠(下横枠23d)の内周上面側に当接してなることを特徴としている。
【0010】
請求項3の発明によれば、上記請求項1又は2に記載の車両用扉(1)において、前記摺接部材(24)には、内外を貫通する貫通孔(左貫通孔24c8,右貫通孔24c9)が設けられており、
前記係止部材は、板バネ(6)にて形成され、
前記嵌合溝(24b1)に前記嵌合片(23d3b)が嵌合されると共に、前記係止溝(左凹溝孔24c5,右凹溝孔24c6)に前記板バネ(6)の端部(左係止片6c,右係止片6e)が係止されることによって、前記下部枠(下横枠23d)に前記摺接部材(24)が移動不能に嵌合され、
前記下部枠(下横枠23d)より前記摺接部材(24)を取り外すにあたって、前記貫通孔(左貫通孔24c8,右貫通孔24c9)に所定部材(ジグZ)を挿入し、前記板バネ(6)の端部(左係止片6c,右係止片6e)を押圧することで、前記摺接部材(24)の係止溝(左凹溝孔24c5,右凹溝孔24c6)との係止を開放し、この状態で、前記摺接部材(24)をスライドさせることによって、前記下部枠(下横枠23d)より前記摺接部材(24)を取り外すようにしてなることを特徴としている。
【0011】
請求項4の発明によれば、上記請求項1~3の何れか1項に記載の車両用扉(1)において、前記摺接部材(24)には、内外を貫通する貫通孔(左貫通孔24c8,右貫通孔24c9)が設けられており、
前記係止部材は、板バネ(6)にて形成され、
前記嵌合溝(24b1)に前記嵌合片(23d3b)が嵌合された際、前記貫通孔(左貫通孔24c8,右貫通孔24c9)に挿入される所定部材(ジグZ)によって、前記板バネ(6)の端部(左係止片6c,右係止片6e)を押圧し、この状態で、前記摺接部材(24)を所定位置までスライドさせ、前記貫通孔(左貫通孔24c8,右貫通孔24c9)より前記所定部材(ジグZ)を抜出させることによって、前記係止溝(左凹溝孔24c5,右凹溝孔24c6)に前記板バネ(6)の端部(左係止片6c,右係止片6e)を係止させ、もって、前記下部枠(下横枠23d)に前記摺接部材(24)を移動不能に嵌合させてなることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
次に、本発明の効果について、図面の参照符号を付して説明する。なお、括弧内は、後述する実施形態の参照符号を付したものであるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0013】
請求項1に係る発明によれば、摺接部材(24)は、嵌合溝(24b1)に嵌合片(23d3b)が嵌合されると共に、係止溝(左凹溝孔24c5,右凹溝孔24c6)に係止部材(板バネ6)が係止されることによって、下部枠(下横枠23d)に移動不能に嵌合されている。これにより、従来のようなねじ止めが不要となるから、摺接部材(24)が脱落する危険性を低減させることができる。
【0014】
請求項2に係る発明によれば、摺接部材(24)が下部枠(下横枠23d)に移動不能に嵌合された際、突部(24c7)が下部枠(下横枠23d)の内周上面側に当接しているから、摺接部材(24)の上下方向の移動を規制することができる。これにより、摺接部材(24)の上下方向のがたつきを軽減することができる。
【0015】
請求項3に係る発明によれば、下部枠(下横枠23d)より摺接部材(24)を取り外すにあたって、貫通孔(左貫通孔24c8,右貫通孔24c9)に所定部材(ジグZ)を挿入し、板バネ(6)の端部(左係止片6c,右係止片6e)を押圧することで、摺接部材(24)の係止溝(左凹溝孔24c5,右凹溝孔24c6)との係止を開放し、この状態で、摺接部材(24)をスライドさせることによって、下部枠(下横枠23d)より摺接部材(24)を取り外すようにしている。これにより、経年劣化等によって、摺接部材(24)を下部枠(下横枠23d)より取り外したい際、簡単容易に取り外すことができる。
【0016】
請求項4に係る発明によれば、嵌合溝(24b1)に嵌合片(23d3b)が嵌合された際、貫通孔(左貫通孔24c8,右貫通孔24c9)に挿入される所定部材(ジグZ)によって、板バネ(6)の端部(左係止片6c,右係止片6e)を押圧し、この状態で、摺接部材(24)を所定位置までスライドさせ、貫通孔(左貫通孔24c8,右貫通孔24c9)より所定部材(ジグZ)を抜出させることによって、係止溝(左凹溝孔24c5,右凹溝孔24c6)に板バネ(6)の端部(左係止片6c,右係止片6e)を係止させ、もって、下部枠(下横枠23d)に摺接部材(24)を移動不能に嵌合させてなることを特徴としている。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施形態に係る車両用扉であって、車両用扉を車内側から見た正面図である。
【
図3】同実施形態に係る摺接部材であって、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図である。
【
図5】(a)は
図4に示すX2-X2線断面図、(b)は同実施形態に係るジグの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る車両用扉の一実施形態を、図面を参照して具体的に説明する。なお、以下の説明において、上下左右の方向を示す場合は、図示正面から見た場合の上下左右をいうものとする。
【0019】
<車両用扉の説明>
図1及び
図2に示すように、車両用扉1は、車両用扉本体2と、窓枠3と、窓ユニット4と、で主に構成されている。以下、構成について詳しく説明することとする。
【0020】
<車両用扉本体の説明>
車両用扉本体2は、
図2に示すように、断面視細長矩形状で車内側に位置する車内側面板20と、断面視細長矩形状で車外側に位置する車外側面板21と、を有しており、この車内側面板20と、車外側面板21とは、それぞれ、例えば、アルミニウムにて形成されている。そして、このような車内側面板20と車外側面板21との間には、
図2に示すように、ペーパーハニカムからなるハニカム芯材22が設けられている。そしてさらに、車内側面板20と車外側面板21との間の外周部には、
図1に示すように、外周枠23が設けられている。この外周枠23は、例えば、アルミニウムにて形成されてなるもので、
図1に示すように、図示右側に位置する戸先側縦枠23aと、図示左側に位置する戸尻側縦枠23bと、図示上側に位置する上横枠23cと、図示下側に位置する下横枠23dと、で構成されている。この戸先側縦枠23aには、
図1に示すように、戸先ゴム23a1が取り付けられてる。また、
図1に示すように、上横枠23cには、戸車5が設けられている。また一方、
図2に示すように、下横枠23dは、矩形状の中空枠部23d1の上下にコ字枠部23d2,23d3が一体形成され、その下向きに開いたコ字枠部23d3に断面下向きコ字形の摺接部材24が嵌合されている。そして、下横枠23dの左側面(車内側)には、細長矩形状の幅木25が立設されており、この幅木25は、
図2に示すネジN1によって、コ字枠部23d3に取り付け固定され、ネジN2によって、車内側面板20及びコ字枠部23d2に取り付け固定される。なお、この摺接部材24は、乗降口の下側レール(図示せず)に跨るようにして嵌め込まれることとなる。
【0021】
一方、
図2に示すように、車内側面板20と車外側面板21との間には、下横枠23dの上部側に、断面視略コ字形のアルミニウム押出型材よりなる補強骨26が設けられている。
【0022】
<摺接部材の説明>
ここで、本実施形態の特徴とするところは、摺接部材24に関するところであるため、この点、以下、詳しく説明することとする。
【0023】
摺接部材24は、
図3(c)に示すように、側面視下向きコ字形のレール用枠部24aと、レール用枠部24aの上部24a1に連結されている連結枠部24bと、連結枠部24bに下面24c4が連結されている側面視横長矩形状の下横枠用枠部24cと、で構成されている。レール用枠部24aは、
図3(c)に示すように、矩形状の溝部24a2が設けられており、この溝部24a2は、
図3(b)に示すように、長手方向に向かって、延びるように設けられている。しかして、この溝部24a2内に、乗降口の下側レール(図示せず)が嵌め込まれることとなる。
【0024】
連結枠部24bは、
図3(c)に示すように、レール用枠部24a及び下横枠用枠部24cが同一横幅で形成されている一方で、レール用枠部24a及び下横枠用枠部24cの横幅よりも幅狭に形成されている。これにより、
図3(c)に示すように、連結枠部24bの左右側面には、それぞれ、コ字状の嵌合溝24b1が形成されることとなる。なお、嵌合溝24b1は、
図3(b)に示すように、長手方向に向かって延びるように設けられている。
【0025】
ところで、
図4に示すように、コ字枠部23d3の中間部よりやや上部23d3a側に位置する箇所に、内方向に向かって、断面視矩形状の一対の嵌合片23d3bが突出して設けられている。なお、この嵌合片23d3bは、
図5(a)に示すように、長手方向に向かって延びるように設けられ、嵌合片23d3bの縦幅は、嵌合溝24b1の縦幅よりもやや幅狭に形成されている。
【0026】
かくして、このような嵌合溝24b1内に嵌合片23d3bが嵌め合わされることによって、
図2及び
図4に示すように、コ字枠部23d3に摺接部材24が嵌合されることとなる。なお、嵌合片23d3bの縦幅は、嵌合溝24b1の縦幅よりもやや幅狭に形成されていることから、嵌合片23d3bに沿って、
図5(a)に示す矢印Y1方向に、摺接部材24は、スライド自在に移動することができる。
【0027】
下横枠用枠部24cは、
図3(b)に示すように、正面視略台形状に形成され、この下横枠用枠部24cの左側面24c1側には、下横枠用枠部24cの上面24c3から下面24c4に向かって、貫通していない左凹溝孔24c5が、
図3(a)に示すように幅方向に向かって形成されている。また、
図3(b)に示すように、下横枠用枠部24cの右側面24c2側には、下横枠用枠部24cの上面24c3から下面24c4に向かって、貫通していない右凹溝孔24c6が、
図3(a)に示すように幅方向に向かって形成されている。
【0028】
かくして、このように形成される左凹溝孔24c5及び右凹溝孔24c6内に、
図5(a)に示すように、板バネ6が係止されることとなる。この点、より詳しく説明すると、板バネ6は、
図5(a)に示すように、断面視細長直線状の板バネ本体6aを有している。この板バネ本体6aは、
図5(a)に示すように、コ字枠部23d3の上部23d3aにリベットRによって取り付け固定されている。また、この板バネ本体6aは、
図5(a)に示すように、左側面6a1に、図示左側に下り傾斜している左連結片6bが一体的に設けられている。そして、この左連結片6bの端部6b1には、断面視短尺直線状の左係止片6cが一体的に設けられている。しかして、この左係止片6cが、
図5(a)に示すように、左凹溝孔24c5内に係止されると、摺接部材24を矢印Y1の右方向に移動させようとしても、左凹溝孔24c5内に係止された左係止片6cに邪魔されて、摺接部材24の矢印Y1の右方向の移動が規制されることとなる。
【0029】
一方、
図5(a)に示すように、板バネ本体6aの右側面6a2には、図示右側に下り傾斜している右連結片6dが一体的に設けられている。そして、この右連結片6dの端部6d1には、断面視短尺直線状の右係止片6eが一体的に設けられている。しかして、この右係止片6eが、
図5(a)に示すように、右凹溝孔24c6内に係止されると、摺接部材24を矢印Y1の左方向に移動させようとしても、右凹溝孔24c6内に係止された右係止片6eに邪魔されて、摺接部材24の矢印Y1方向の左方向の移動が規制されることとなる。
【0030】
かくして、コ字枠部23d3に嵌合された摺接部材24は、板バネ本体6aの左係止片6cが左凹溝孔24c5内に係止され、板バネ本体6aの右係止片6eが右凹溝孔24c6内に係止されることによって、摺接部材24の矢印Y1方向の移動が規制されることとなる。これにより、摺接部材24は、コ字枠部23d3に移動不能に嵌合されることとなる。
【0031】
しかして、このようにすれば、コ字枠部23d3に摺接部材24を嵌合させるにあたって、従来のようなねじ止めが不要となるから、摺接部材が脱落する危険性を低減させることができる。なお、摺接部材24がコ字枠部23d3に移動不能に嵌合された際、
図5(a)に示すように、板バネ6と摺接部材24との間には、僅かな隙間S1が形成されている。
【0032】
一方、下横枠用枠部24cの上面24c3には、
図3に示すように、一対の突部24c7が外方向に向かって突出して設けられている。この一対の突部24c7は、
図3に示すように、矩形状に形成され、
図3(a)に示すように、下横枠用枠部24cの中央位置幅方向に、一定間隔を開けて設けられている。しかして、このような一対の突部24c7は、
図2に示すように、コ字枠部23d3の内周上面に当接されるようになっている。しかるに、上記説明したように、摺接部材24がコ字枠部23d3に移動不能に嵌合された際、
図5(a)に示すように、板バネ6と摺接部材24との間には、僅かな隙間S1が形成されている。それゆえ、摺接部材24の溝部24a2内に、乗降口の下側レール(図示せず)が嵌め込まれた際、隙間S1が存在することによって、摺接部材24が上下方向にがたつく可能性がある。そこで、本実施形態においては、そのがたつきを軽減するため、一対の突部24c7を設け、コ字枠部23d3の内周上面に当接するようにし、もって、摺接部材24の上下方向の移動を規制するようにしている。
【0033】
また一方、
図3(a)に示すように、左凹溝孔24c5の中央部部分には、平面視横長楕円形状の左貫通孔24c8が設けられている。この左貫通孔24c8は、
図3(b)に示すように、左凹溝孔24c5から、摺接部材24の溝部24a2に向かって上下方向に貫通して設けられている。さらに、
図3(a)に示すように、右凹溝孔24c6の中央部部分には、平面視横長楕円形状の右貫通孔24c9が設けられている。この右貫通孔24c9は、
図3(b)に示すように、右凹溝孔24c6から、摺接部材24の溝部24a2に向かって上下方向に貫通して設けられている。
【0034】
かくして、このような左貫通孔24c8及び右貫通孔24c9には、
図5(b)に示すようなジグZが挿入できるようになっている。このジグZは、
図5(b)に示すように、作業者が把持可能な縦長矩形状の把持部Zaを有しており、この把持部Zaの基端部Za1には、横長矩形状の支持部Zbが設けられている。そして、この支持部Zbの左端部Zb1側には外方向(把持部Zaと反対方向)に向かって矩形状の左挿入片Zcが一体的に突出して設けられ、支持部Zbの右端部Zb2側には外方向(把持部Zaと反対方向)に向かって矩形状の右挿入片Zdが一体的に突出して設けられている。なお、左挿入片Zcの高さは、左貫通孔24c8の高さよりも高くなるように形成され、右挿入片Zdの高さは、右貫通孔24c9の高さよりも高くなるように形成されている。
【0035】
かくして、このようなジグZの把持部Zaを作業者が把持し、左挿入片Zcを、溝部24a2内を通して左貫通孔24c8内に挿入するようにすれば、
図5(a)に示す、左凹溝孔24c5内に係止された左係止片6cを押圧して、その左係止片6cを板バネ本体6a側に押し上げることができる。これにより、左係止片6cが左凹溝孔24c5内の係止から開放されることとなる。また、右挿入片Zdを、溝部24a2内を通して右貫通孔24c9内に挿入するようにすれば、
図5(a)に示す、右凹溝孔24c6内に係止された右係止片6eを押圧して、その右係止片6eを板バネ本体6a側に押し上げることができる。これにより、右係止片6eが右凹溝孔24c6内の係止から開放されることとなる。
【0036】
かくして、このように、ジグZを用いて、左凹溝孔24c5内の左係止片6cの係止を開放し、右凹溝孔24c6内の右係止片6eの係止を開放するようにすれば、
図5(a)に示す矢印Y1方向に、スライド自在に摺接部材24を移動させることができる。そのため、左挿入片Zcを左貫通孔24c8内に挿入し、且つ、右挿入片Zdを右貫通孔24c9内に挿入した状態のまま、作業者が把持部Zaを把持した状態で、
図5(a)に示す矢印Y1方向の左方向にジグZを移動させるようにすれば、摺接部材24は、嵌合片23d3bに沿って、
図5(a)に示す矢印Y1の左方向にスライド移動することとなる。これにより、
図5(a)に示す二点鎖線で示すように、摺接部材24をコ字枠部23d3より取り外すことができる。
【0037】
しかして、このようにすれば、経年劣化等によって、摺接部材24をコ字枠部23d3より取り外したい際、簡単容易に取り外すことができる。
【0038】
ところで、摺接部材24をコ字枠部23d3に嵌合させたい場合、上記と逆の手順をとるようにすれば良い。すなわち、左挿入片Zcを左貫通孔24c8内に挿入し、且つ、右挿入片Zdを右貫通孔24c9内に挿入した状態のまま、作業者が把持部Zaを把持した状態で、
図5(a)に示す矢印Y1方向の右方向にジグZを移動させるようにする。これにより、摺接部材24は、嵌合片23d3bに沿って、
図5(a)に示す矢印Y1の右方向にスライド移動することとなる。そして、左凹溝孔24c5が左係止片6cに位置した段階で、左挿入片Zcを左貫通孔24c8内から抜出し、右凹溝孔24c6が右係止片6eに位置した段階で、右挿入片Zdを右貫通孔24c9内から抜出するようにする。これにより、左挿入片Zcの押圧から開放されることによって、左係止片6cが左凹溝孔24c5内に係止され、さらに、右挿入片Zdの押圧から開放されることによって、右係止片6eが右凹溝孔24c6内に係止されることとなる。これによって、摺接部材24は、コ字枠部23d3に移動不能に嵌合されることとなる。
【0039】
しかして、このようにすれば、摺接部材24をコ字枠部23d3に簡単容易に嵌合させることができる。
【0040】
<窓枠の説明>
窓枠3は、
図2に示すように、車内側面板20と車外側面板21との間にあって、補強骨26より車両用扉本体2の中心側に溶接等によって取り付け固定される。このように取り付け固定される窓枠3は、
図2に示すように、断面視直線状の周枠部30と、この周枠部30の図示右側に一体的に形成される車外側面板21に沿うように形成される断面視直線状の外フランジ部31と、この周枠部30の図示左側に一体的に形成される車内側面板20に沿うように形成される断面視直線状の内フランジ部32と、この内フランジ部32の中間部より車内方向に向かって一体的に突出して設けられる断面視L字状の支持枠部33と、で構成されている。
【0041】
<窓ユニットの説明>
窓ユニット4は、
図2に示すように、窓ガラスWが予め嵌め込まれているもので、このように窓ガラスWが予め嵌め込まれた窓ユニット4は、上記説明した窓枠3に、ボルトB等を用いて取り外し可能に取り付けできるようになっている。より詳しく説明すると、窓ユニット4は、
図2に示すように、窓枠3の支持枠部33に載置可能な断面視略コ字状の取付枠40と、窓ガラスWの車外側の周縁を支持する断面視台形状の支持枠41と、取付枠40と支持枠41とを連結する断面視直線状の連結枠42と、で構成されている。この取付枠40は、窓枠3の支持枠部33に載置され、取付枠40内にボルトBが嵌め込み可能となっており、もって、取付枠40内に嵌め込まれたボルトBによって、取付枠40は、窓枠3の内フランジ部32に取り付け固定されることとなる。そして、
図2に示すように、この取付枠40の内周縁部40a側には、窓ガラスWが嵌め込まれている。この際、窓ガラスWの外周面Waと、取付枠40の内周縁部40aとの間には、
図2の下部側に短片状のパッキン43が挿入されて設けられている。なお、ボルトBを取り付けた後、取付枠40の内周縁に亘って、
図2に示すように、化粧ゴムBaを取り付けることができるようになっている。
【0042】
一方、
図2に示すように、取付枠40の内周縁部40a側に嵌め込まれた窓ガラスWの車外面Wb側には、窓ガラスWと支持枠41との間に、連結枠42に接するように短片状のパッキン44が挿入されて設けられ、さらに、パッキン44に接し車両用扉本体2の中心側に位置するように台形状の水密シール材45が挿入されて設けられている。
【0043】
かくして、このように構成される窓ユニット4は、窓ガラスWが予め嵌め込まれた状態で形成されているものである。それゆえ、このような窓ユニット4を、車両用扉本体2に設置するにあたっては、窓枠3の支持枠部33に、取付枠40を載置し、その取付枠40内にボルトBを挿入することによって、取付枠40が、窓枠3の内フランジ部32に取り付け固定されることとなる。これにより、窓ユニット4は、窓枠3に取り付け固定されることとなるから、
図2に示すように、窓ユニット4を、車両用扉本体2に設置することができる。なお、この際、
図2に示すように、車外側面板21の内周面21aと、支持枠41との間には、短片状の水密シール材46が挿入されて設けられることとなる。
【0044】
ところで、車両用扉本体2に設置された窓ユニット4を取り外すにあたっては、化粧ゴムBaを取付枠40内から取り外すと共に、ボルトBを取付枠40内から取り外すようにすれば良い。このようにすれば、取付枠40が、窓枠3の内フランジ部32の取り付けから開放されることとなるから、窓ユニット4は、窓枠3の取り付け固定から開放されることとなる。これにより、車両用扉本体2に設置された窓ユニット4を、車両用扉本体2から取り外すことができる。
【0045】
しかして、以上説明した本実施形態によれば、摺接部材24は、嵌合溝24b1に嵌合片23d3bが嵌合されると共に、板バネ本体6aの左係止片6cが左凹溝孔24c5内に係止され、板バネ本体6aの右係止片6eが右凹溝孔24c6内に係止されることによって、下横枠23dに移動不能に嵌合されることとなる。これにより、従来のようなねじ止めが不要となるから、摺接部材24が脱落する危険性を低減させることができる。
【0046】
なお、本実施形態において示した車両用扉1は、あくまで一例であり、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において種々の変形・変更が可能である。例えば、本実施形態においては、一対の突部24c7を例示したが、1個の突部24c7だけでも良いし、3個以上の突部24c7を設けるようにしても良い。
【0047】
また、本実施形態においては、板バネ6を例示したが、板バネではなくとも、左凹溝孔24c5及び右凹溝孔24c6内に係止できる部材であればどのようなものでも良い。
【0048】
また、本実施形態においては、ジグZを例示したが、この形状はあくまで一例であり、左貫通孔24c8及び右貫通孔24c9内に挿入できるものであればどのような形状でも良い。
【符号の説明】
【0049】
1 車両用扉
2 車両用扉本体
20 車内側面板
21 車外側面板
23d 下横枠(下部枠)
23d3b 嵌合片
24 摺接部材
24b1 嵌合溝
24c5 左凹溝孔(係止溝)
24c6 右凹溝孔(係止溝)
24c7 突部
24c8 左貫通孔(貫通孔)
24c9 右貫通孔(貫通孔)
6 板バネ(係止部材)
6c 左係止片(端部)
6e 右係止片(端部)
Z ジグ