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特開2023-6737可逆熱変色性マイクロカプセル顔料、ならびにそれを含んでなる組成物、成形体および積層体
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  • 特開-可逆熱変色性マイクロカプセル顔料、ならびにそれを含んでなる組成物、成形体および積層体 図1
  • 特開-可逆熱変色性マイクロカプセル顔料、ならびにそれを含んでなる組成物、成形体および積層体 図2
  • 特開-可逆熱変色性マイクロカプセル顔料、ならびにそれを含んでなる組成物、成形体および積層体 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023006737
(43)【公開日】2023-01-18
(54)【発明の名称】可逆熱変色性マイクロカプセル顔料、ならびにそれを含んでなる組成物、成形体および積層体
(51)【国際特許分類】
   C09D 11/037 20140101AFI20230111BHJP
   C09D 201/00 20060101ALI20230111BHJP
【FI】
C09D11/037
C09D201/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021109487
(22)【出願日】2021-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】303022891
【氏名又は名称】株式会社パイロットコーポレーション
(71)【出願人】
【識別番号】000111890
【氏名又は名称】パイロットインキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100187159
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 英明
(74)【代理人】
【識別番号】100206265
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 逸子
(72)【発明者】
【氏名】三田 真之
【テーマコード(参考)】
4J038
4J039
【Fターム(参考)】
4J038EA011
4J038KA08
4J039BC10
4J039BE01
4J039CA07
4J039EA29
4J039EA42
(57)【要約】
【課題】耐久性が高く、発色濃度が高いマイクロカプセル顔料の提供。
【解決手段】可逆熱変色性組成物を被膜で包接してなるマイクロカプセルを含んでなる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料であって、
前記マイクロカプセルの体積基準平均粒子径(X)が0.1~5.0μmであり、かつ、
前記マイクロカプセル顔料の、下記式:
切断断面膜厚 =(断面外周直径-断面内周直径)/2
(式中、断面外周直径および断面内周直径は、ひとつのマイクロカプセルについて、被膜断面の外周で囲まれた領域の面積、および被膜断面の内周で囲まれた領域の面積の、円換算直径から算出される)
により求められる平均切断断面膜厚(Y)が0.02~1.0μmである、
可逆熱変色性マイクロカプセル顔料。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(イ)電子供与性呈色性有機化合物と、
(ロ)電子受容性化合物と、
(ハ)前記(イ)成分および(ロ)成分による電子授受反応を特定温度域において可逆的に生起させる反応媒体と
を含んでなる可逆熱変色性組成物を被膜で包接してなるマイクロカプセルを含んでなる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料であって、
前記マイクロカプセルの体積基準平均粒子径(X)が0.1~5.0μmであり、かつ、
凍結された前記マイクロカプセル顔料の断面を透過型電子顕微鏡で観察し、観察視野内のすべてのカプセルについて、下記式:
切断断面膜厚 =(断面外周直径-断面内周直径)/2
(式中、断面外周直径および断面内周直径は、ひとつのマイクロカプセルについて、被膜断面の外周で囲まれた領域の面積、および被膜断面の内周で囲まれた領域の面積の、円換算直径から算出される)
により求められる切断断面膜厚を求めて、その平均値を平均切断断面膜厚としたとき、前記マイクロカプセルの平均切断断面膜厚(Y)が0.02~1.0μmである、
可逆熱変色性マイクロカプセル顔料。
【請求項2】
前記平均粒子径(X)と、平均切断断面膜厚(Y)が下記式(1)を満たす、請求項1に記載の可逆熱変色性マイクロカプセル顔料。
Y/X<0.3 (1)
【請求項3】
請求項1または2に記載の可逆熱変色性マイクロカプセル顔料と、ビヒクルとを含んでなる可逆熱変色性液状組成物。
【請求項4】
印刷用インキ、スタンプ用インキ、塗料、紫外線硬化型インキ、絵の具、化粧料、および繊維用着色液からなる群から選ばれる、請求項3に記載の可逆熱変色性液状組成物。
【請求項5】
請求項1または2に記載の可逆熱変色性マイクロカプセル顔料と、賦形剤とを含んでなる可逆熱変色性塗布用固形成形体。
【請求項6】
固形筆記体または固形化粧料である、請求項5に記載の可逆熱変色性塗布用固形成形体。
【請求項7】
請求項1または2に記載の可逆熱変色性マイクロカプセル顔料と、成形用樹脂とを含んでなる可逆熱変色性成形用樹脂組成物。
【請求項8】
請求項7に記載の可逆熱変色性成形用樹脂組成物を成形してなる可逆熱変色性成形体。
【請求項9】
支持体と、請求項1または2に記載の可逆熱変色性マイクロカプセル顔料を含んでなる可逆熱変色層とを具備してなる可逆熱変色性積層体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は可逆熱変色性マイクロカプセル顔料に関する。また、本発明は、その顔料を含んでなる組成物、さらにその組成物を用いて製造される成形体および積層体にも関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子供与性呈色性有機化合物と電子受容性化合物と、電子授受反応を特定温度域において可逆的に生起させる反応媒体の相溶体からなる可逆熱変色性組成物を内包した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料と、それを用いた液状組成物、成形用樹脂組成物に関して幾つかの提案が開示されている(例えば、特許文献1または2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-99628号公報
【特許文献2】特開2020-100710号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、この種の(イ)電子供与性呈色性有機化合物と、(ロ)電子受容性化合物と、(ハ)前記(イ)、(ロ)成分による電子授受反応を特定温度域において可逆的に生起させる反応媒体とからなる可逆熱変色性組成物を内包した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料であって、発色時の色濃度が高く、且つ、被膜(マイクロカプセル壁膜)の耐久性に優れた可逆熱変色性マイクロカプセル顔料を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による可逆熱変色性マイクロカプセル顔料は、
(イ)電子供与性呈色性有機化合物と、
(ロ)電子受容性化合物と、
(ハ)前記(イ)成分および(ロ)成分による電子授受反応を特定温度域において可逆的に生起させる反応媒体と
を含んでなる可逆熱変色性組成物を被膜で包接してなるマイクロカプセルを含んでなる可逆熱変色性マイクロカプセル顔料であって、
前記マイクロカプセルの体積基準平均粒子径(X)が0.1~5.0μmであり、かつ、凍結された前記マイクロカプセル顔料の断面を透過型電子顕微鏡で観察し、観察視野内のすべてのカプセルについて、下記式:
切断断面膜厚=(断面外周直径-断面内周直径)/2
(式中、断面外周直径および断面内周直径は、ひとつのマイクロカプセルについて、被膜断面の外周で囲まれた領域の面積、および被膜断面の内周で囲まれた領域の面積の、円換算直径から算出される)
により求められる切断断面膜厚を求めて、その平均値を平均切断断面膜厚としたとき、前記マイクロカプセルの平均切断断面膜厚(Y)が0.02~1.0μmである、
ことを特徴とするものである。
また、本発明による可逆熱変色性液状組成物は、前記可逆熱変色性マイクロカプセル顔料と、ビヒクルとを含んでなることを特徴とするものである。
また、本発明による可逆熱変色性塗布用固形成形体は、前記可逆熱変色性マイクロカプセル顔料と、賦形剤とを含んでなることを特徴とするものである。
また、可逆熱変色性成形用樹脂組成物は、前記可逆熱変色性マイクロカプセル顔料と、成形用樹脂とを含んでなることを特徴とするものである。
また、本発明による可逆熱変色性積層体は、支持体と、前記可逆熱変色性マイクロカプセル顔料を含んでなる可逆熱変色層とを具備してなることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料に含まれるマイクロカプセルの体積基準平均粒子径と、平均切断断面膜厚とをそれぞれ特定の範囲に調整することにより、耐久性に優れ、かつ発色濃度の高いマイクロカプセル顔料、ならびにそれを用いた可逆熱変色性液状組成物、可逆熱変色性塗布用固形成形体、可逆熱変色性成形用樹脂組成物、および可逆熱変色性積層体の提供を可能とするものである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】加熱消色型の可逆熱変色性組成物の色濃度-温度曲線におけるヒステリシス特性を説明するグラフである。
図2】色彩記憶性を有する加熱消色型の可逆熱変色性組成物の色濃度-温度曲線におけるヒステリシス特性を説明するグラフである。
図3】加熱発色型の可逆熱変色性組成物の色濃度-温度曲線におけるヒステリシス特性を説明するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明によるマイクロカプセル顔料は、マイクロカプセルを含んでなり、典型的にはマイクロカプセルの集合体である。このマイクロカプセルは可逆熱変色性組成物を内包したものである。この可逆熱変色性組成物としては、(イ)電子供与性呈色性有機化合物、(ロ)電子受容性化合物、(ハ)(イ)成分および(ロ)成分の呈色反応の生起温度を決める反応媒体の必須三成分を少なくとも含む加熱消色型(加熱により消色し、冷却により発色する)の可逆熱変色性組成物に用いることができる。
【0009】
本発明によるマイクロカプセル顔料を適用することができる可逆熱変色性組成物の一例としては、特公昭51-44706号公報、特公昭51-44707号公報、特公平1-29398号公報等に記載された、所定の温度(変色点)を境としてその前後で変色し、高温側変色点以上の温度域で消色状態、低温側変色点以下の温度域で発色状態を呈し、両状態のうち常温域では特定の一方の状態しか存在せず、もう一方の状態は、その状態が発現するのに要した熱または冷熱が適用されている間は維持されるが、熱または冷熱の適用がなくなれば常温域で呈する状態に戻る、ヒステリシス幅(ΔH)が比較的小さい特性(ΔH=1~7℃)を有する組成物が挙げられる(図1参照)。
【0010】
また、本発明によるマイクロカプセル顔料を適用することができる可逆熱変色性組成物の他の例としては、特公平4-17154号公報、特開平7-179777号公報、特開平7-33997号公報、特開平8-39936号公報、特開2005-1369号公報等に記載されているヒステリシス幅が大きい特性(ΔH=8~70℃)を示し、温度変化による発色濃度の変化をプロットした曲線の形状が、温度を変色温度域より低温側から上昇させていく場合と逆に変色温度域より高温側から下降させていく場合とで大きく異なる経路を辿って変色し、完全発色温度t以下の温度域での発色状態、または完全消色温度t以上の高温域での消色状態が、特定温度域〔発色開始温度t~消色開始温度tの間の温度域(実質二相保持温度域)〕で色彩記憶性を有する組成物も挙げることができる(図2参照)。
【0011】
[マイクロカプセル顔料]
以下に各(イ)成分、(ロ)成分、(ハ)成分について具体的に説明する。
(イ)成分、即ち電子供与性呈色性有機化合物は色を決める成分であって、顕色剤である(ロ)成分に電子を供与し、発色する化合物である。
【0012】
電子供与性呈色性有機化合物としては、フタリド化合物、フルオラン化合物、スチリノキノリン化合物、ジアザローダミンラクトン化合物、ピリジン化合物、キナゾリン化合物、およびビスキナゾリン化合物等が挙げられ、これらの中でもフタリド化合物およびフルオラン化合物が好ましい。
フタリド化合物としては、例えば、ジフェニルメタンフタリド化合物、フェニルインドリルフタリド化合物、インドリルフタリド化合物、ジフェニルメタンアザフタリド化合物、フェニルインドリルアザフタリド化合物、およびそれらの誘導体等が挙げられ、これらの中でも、フェニルインドリルアザフタリド化合物、およびその誘導体が好ましい。
また、フルオラン化合物としては、例えば、アミノフルオラン化合物、アルコキシフルオラン化合物、およびそれらの誘導体等が挙げられる。
【0013】
以下に(イ)成分に用いることができる化合物を例示する。
3,3-ビス(4-ジメチルアミノフェニル)-6-ジメチルアミノフタリド、
3-(4-ジエチルアミノフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)フタリド、
3,3-ビス(1-n-ブチル-2-メチルインドール-3-イル)フタリド、
3,3-ビス(2-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-4-アザフタリド、
3-(2-エトキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-4-アザフタリド、
3-(2-n-ヘキシルオキシ-4-ジエチルアミノフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-4-アザフタリド、
3-〔2-エトキシ-4-(N-エチルアニリノ)フェニル〕-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-4-アザフタリド、
3-(2-アセトアミド-4-ジエチルアミノフェニル)-3-(1-プロピル-2-メチルインドール-3-イル)-4-アザフタリド、
3,6-ビス(ジフェニルアミノ)フルオラン、
3,6-ビス(N-フェニル-N-p-トリルアミノ)フルオラン、
3,6-ジメトキシフルオラン、
3,6-ジ-n-ブトキシフルオラン、
2-メチル-6-(N-エチル-N-p-トリルアミノ)フルオラン、
3-クロロ-6-シクロヘキシルアミノフルオラン、
2-メチル-6-シクロヘキシルアミノフルオラン、
2-クロロアミノ-6-ジ-n-ブチルアミノフルオラン、
2-(2-クロロアニリノ)-6-ジ-n-ブチルアミノフルオラン、
2-(3-トリフルオロメチルアニリノ)-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-(3-トリフルオロメチルアニリノ)-6-ジ-n-ペンチルアミノフルオラン、
2-ジベンジルアミノ-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-(N-メチルアニリノ)-6-(N-エチル-N-p-トリルアミノ)フルオラン、
1,3-ジメチル-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-クロロ-3-メチル-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-アニリノ-3-メチル-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-アニリノ-3-メトキシ-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-アニリノ-3-メチル-6-ジ-n-ブチルアミノフルオラン、
2-アニリノ-3-メトキシ-6-ジ-n-ブチルアミノフルオラン、
2-キシリジノ-3-メチル-6-ジエチルアミノフルオラン、
2-アニリノ-3-メチル-6-(N-エチル-N-p-トリルアミノ)フルオラン、
6-ジエチルアミノ-1,2-ベンゾフルオラン、
6-(N-エチル-N-イソブチルアミノ)-1,2-ベンゾフルオラン、
6-(N-エチル-N-イソペンチルアミノ)-1,2-ベンゾフルオラン、
2-(3-メトキシ-4-ドデコキシスチリル)キノリン、
2-ジエチルアミノ-8-ジエチルアミノ-4-メチルスピロ[5H-[1]ベンゾピラノ[2,3-d]ピリミジン-5,1′(3′H)-イソベンゾフラン]-3′-オン、
2-ジ-n-ブチルアミノ-8-ジ-n-ブチルアミノ-4-メチルスピロ[5H-[1]ベンゾピラノ[2,3-d]ピリミジン-5,1′(3′H)-イソベンゾフラン]-3′-オン、
2-ジ-n-ブチルアミノ-8-ジエチルアミノ-4-メチルスピロ[5H-[1]ベンゾピラノ[2,3-d]ピリミジン-5,1′(3′H)-イソベンゾフラン]-3′-オン、
2-ジ-n-ブチルアミノ-8-(N-エチル-N-イソアミルアミノ)-4-メチルスピロ[5H-[1]ベンゾピラノ[2,3-d]ピリミジン-5,1′(3′H)-イソベンゾフラン]-3′-オン、
2-ジ-n-ブチルアミノ-8-ジ-n-ペンチルアミノ-4-メチルスピロ[5H-[1]ベンゾピラノ[2,3-d]ピリミジン-5,1′(3′H)-イソベンゾフラン]-3′-オン、
4,5,6,7-テトラクロロ-3-(4-ジメチルアミノ-2-メトキシフェニル)-3-(1-n-ブチル-2-メチルインドール-3-イル)-1(3H)-イソベンゾフラノン、
4,5,6,7-テトラクロロ-3-(4-ジエチルアミノ-2-エトキシフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-1(3H)-イソベンゾフラノン、
4,5,6,7-テトラクロロ-3-(4-ジエチルアミノ-2-エトキシフェニル)-3-(1-n-ペンチル-2-メチルインドール-3-イル)-1(3H)-イソベンゾフラノン、
4,5,6,7-テトラクロロ-3-(4-ジエチルアミノ-2-メチルフェニル)-3-(1-エチル-2-メチルインドール-3-イル)-1(3H)-イソベンゾフラノン、
3′,6′-ビス〔フェニル(2-メチルフェニル)アミノ〕スピロ[イソベンゾフラン-1(3H),9′-[9H]キサンテン]-3-オン、
3′,6′-ビス〔フェニル(3-メチルフェニル)アミノ〕スピロ[イソベンゾフラン-1(3H),9′-[9H]キサンテン]-3-オン、
3′,6′-ビス〔フェニル(3-エチルフェニル)アミノ〕スピロ[イソベンゾフラン-1(3H),9′-[9H]キサンテン]-3-オン、
2,6-ビス(2′-エチルオキシフェニル)-4-(4′-ジメチルアミノフェニル)ピリジン、
2,6-ビス(2′,4′-ジエチルオキシフェニル)-4-(4′-ジメチルアミノフェニル)ピリジン、
2-(4′-ジメチルアミノフェニル)-4-メトキシキナゾリン、
4,4′-エチレンジオキシ-ビス〔2-(4-ジエチルアミノフェニル)キナゾリン〕
【0014】
なお、フルオラン類としては、キサンテン環を形成するフェニル基に置換基を有する化合物のほか、キサンテン環を形成するフェニル基に置換基を有すると共に、ラクトン環を形成するフェニル基にも置換基(例えば、メチル基等のアルキル基、塩素原子等のハロゲン原子)を有する青色または黒色を呈する化合物等であってもよい。
【0015】
(ロ)成分、即ち電子受容性化合物は、(イ)成分から電子を受け取り、(イ)成分の顕色剤として機能する化合物である。
電子受容性化合物としては、活性プロトンを有する化合物群、偽酸性化合物群〔酸ではないが、可逆熱変色性組成物中で酸として作用して(イ)成分を発色させる化合物群〕、および電子空孔を有する化合物群等から選択される化合物が挙げられる。上記の(ロ)成分の中でも、活性プロトンを有する化合物群から選択される化合物が好ましい。
【0016】
活性プロトンを有する化合物群としては、フェノール性水酸基を有する化合物およびその誘導体、カルボン酸およびその誘導体、酸性リン酸エステルおよびその誘導体、アゾ-ル系化合物およびその誘導体、1,2,3-トリアゾールおよびその誘導体、環状カルボスルホイミド類、炭素数2~5のハロヒドリン類、スルホン酸およびその誘導体、ならびに無機酸類等が挙げられる。カルボン酸およびその誘導体としては、芳香族カルボン酸およびその誘導体、または、炭素数2~5の脂肪族カルボン酸およびその誘導体が好ましい。
偽酸性化合物群としては、フェノール性水酸基を有する化合物の金属塩、カルボン酸の金属塩、酸性リン酸エステルの金属塩、スルホン酸の金属塩、芳香族カルボン酸無水物、脂肪族カルボン酸無水物、芳香族カルボン酸とスルホン酸の混合無水物、シクロオレフィンジカルボン酸無水物、尿素およびその誘導体、チオ尿素およびその誘導体、グアニジンおよびその誘導体、ならびにハロゲン化アルコール類等が挙げられる。
電子空孔を有する化合物群としては、硼酸塩類、硼酸エステル類、および無機塩類等が挙げられる。
【0017】
上記の(ロ)成分の中でも、より有効に熱変色特性を発現させることができることから、フェノール性水酸基を有する化合物が好ましい。
フェノール性水酸基を有する化合物には、モノフェノール化合物からポリフェノール化合物まで広く含まれ、さらに、ビスフェノール化合物およびトリスフェノール化合物、フェノール-アルデヒド縮合樹脂等もこれに含まれる。フェノール性水酸基を有する化合物は、少なくともベンゼン環を2以上有することが好ましい。また、フェノール性水酸基を有する化合物は、アルキル基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシ基およびそのエステルまたはアミド基、ハロゲン原子等の置換基を有していてもよい。
【0018】
フェノール性水酸基を有する化合物等の金属塩が含む金属としては、例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム、亜鉛、ジルコニウム、アルミニウム、マグネシウム、ニッケル、コバルト、スズ、銅、鉄、バナジウム、チタン、鉛、およびモリブデン等を例示できる。
【0019】
以下に(ロ)成分の化合物を例示する。
フェノール性水酸基を1つ有する化合物としては、例えば、
フェノール、
o-クレゾール、
m-クレゾール、
p-クレゾール、
4-エチルフェノール、
4-n-プロピルフェノール、
4-n-ブチルフェノール、
2-tert-ブチルフェノール、
3-tert-ブチルフェノール、
4-tert-ブチルフェノール、
4-n-ペンチルフェノール、
4-tert-ペンチルフェノール、
4-n-オクチルフェノール、
4-tert-オクチルフェノール、
4-n-ノニルフェノール、
4-n-ドデシルフェノール、
3-n-ペンタデシルフェノール、
4-n-ステアリルフェノール、
1-(4-ヒドロキシフェニル)デカン-1-オン、
4-クロロフェノール、
4-ブロモフェノール、
4-トリフルオロメチルフェノール、
4-メチルチオフェノール、
4-ニトロフェノール、
2-フェニルフェノール、
4-フェニルフェノール、
2-ベンジルフェノール、
2-ベンジル-4-クロロフェノール、
4-クミルフェノール、
4-ヒドロキシベンゾフェノン、
4-クロロ-4′-ヒドロキシベンゾフェノン、
4-フルオロ-4′-ヒドロキシベンゾフェノン、
4-シクロヘキシルフェノール、
2-ヒドロキシベンジルアルコール、
3-ヒドロキシベンジルアルコール、
4-ヒドロキシベンジルアルコール、
4-(2-ヒドロキシエチル)フェノール、
3-メトキシフェノール、
4-エトキシフェノール、
4-n-プロポキシフェノール、
4-n-ブトキシフェノール、
4-n-ヘプチルオキシフェノール、
4-(2-メトキシエチル)フェノール、
α-ナフトール、
β-ナフトール、
2,3-ジメチルフェノール、
2,4-ジメチルフェノール、
2,6-ジメチルフェノール、
2,6-ジ-tert-ブチルフェノール、
2,4-ジクロロフェノール、
2,4-ジフルオロフェノール、
チモール、
3-メチル-4-メチルチオフェノール、
2-tert-ブチル-5-メチルフェノール、
2,6-ビス(ヒドロキシメチル)-4-メチルフェノール、
2,3,5-トリメチルフェノール、
2,6-ビス(ヒドロキシメチル)-4-tert-オクチルフェノール、
6-ヒドロキシ-1,3-ベンゾオキサチオール-2-オン、
2,4-ビス(フェニルスルホニル)フェノール、
2,4-ビス(フェニルスルホニル)-5-メチルフェノール、
2,4-ビス(4-メチルフェニルスルホニル)フェノール、
2-フェニルフェノール、
4-フェニルフェノール、
2,6-ジフェニルフェノール、
3-ベンジルビフェニル-2-オール、
3,5-ジベンジルビフェニル-4-オール、
4-シアノ-4′-ヒドロキシビフェニル、
1-ヒドロキシベンゾトリアゾール、
1-ヒドロキシ-5-メチルベンゾトリアゾール、
1-ヒドロキシ-5-クロロベンゾトリアゾール、
1-ヒドロキシ-5-メトキシベンゾトリアゾール、
1-ヒドロキシ-4-ベンゾイルアミノベンゾトリアゾール、
1-ヒドロキシ-4,5,6,7-テトラクロロベンゾトリアゾール、
1,4-ヒドロキシベンゾトリアゾール、
1-ヒドロキシ-5-ニトロベンゾトリアゾール、
1-ヒドロキシ-5-フェニルベンゾトリアゾール、
1-ヒドロキシ-5-ベンジルベンゾトリアゾール、
1-ヒドロキシ-5-エチルベンゾトリアゾール、
1-ヒドロキシ-5-n-オクチルベンゾトリアゾール、
1-ヒドロキシ-5-n-ブチルベンゾトリアゾール、
4-ヒドロキシ安息香酸n-ブチル、
4-ヒドロキシ安息香酸n-オクチル、
4-ヒドロキシ安息香酸2-ヘプタデカフルオロオクチルエタン、
4-ヒドロキシ安息香酸ベンジル、
4-ヒドロキシ安息香酸ベンジルエステル、
4-ヒドロキシ安息香酸-o-メチルベンジル、
4-ヒドロキシ安息香酸-m-メチルベンジル、
4-ヒドロキシ安息香酸-p-メチルベンジル、
4-ヒドロキシ安息香酸-p-エチルベンジル、
4-ヒドロキシ安息香酸-p-プロピルベンジル、
4-ヒドロキシ安息香酸-p-tert-ブチルベンジル、
4-ヒドロキシ安息香酸フェニルエチル、
4-ヒドロキシ安息香酸-o-メチルフェニルエチル、
4-ヒドロキシ安息香酸-m-メチルフェニルエチル、
4-ヒドロキシ安息香酸-p-メチルフェニルエチル、
4-ヒドロキシ安息香酸-p-エチルフェニルエチル、
4-ヒドロキシ安息香酸-p-プロピルフェニルエチル、
4-ヒドロキシ安息香酸-p-tert-ブチルフェニルエチル
等を例示できる。
【0020】
フェノール性水酸基を2つ有する化合物としては、例えば、
レゾルシン、
2-メチルレゾルシン、
4-n-ヘキシルレゾルシン、
4-n-オクチルレゾルシン、
4-tert-オクチルレゾルシン、
4-ベンゾイルレゾルシン、
4-ニトロレゾルシン、
β-レゾルシン酸メチル、
β-レゾルシン酸ベンジル、
2-クロロ-4-ペンタノイルレゾルシン、
6-クロロ-4-ペンタノイルレゾルシン、
2-クロロ-4-ヘキサノイルレゾルシン、
6-クロロ-4-ヘキサノイルレゾルシン、
2-クロロ-4-プロパノイルレゾルシン、
6-クロロ-4-プロパノイルレゾルシン、
2,6-ジクロロ-4-プロパノイルレゾルシン、
6-フルオロ-4-プロパノイルレゾルシン、
2-クロロ-4-フェニルアセチルレゾルシン、
6-クロロ-4-フェニルアセチルレゾルシン、
2-クロロ-4-β-フェニルプロパノイルレゾルシン、
6-クロロ-4-β-フェニルプロパノイルレゾルシン、
2-クロロ-4-フェノキシアセチルレゾルシン、
6-クロロ-4-フェノキシアセチルレゾルシン、
4-ベンゾイル-2-クロロレゾルシン、
6-クロロ-4-m-メチルベンゾイルレゾルシン、
4-〔1′,3′,4′,9′a-テトラヒドロ-6′-ヒドロキシスピロ(シクロヘキサン-1,9′-[9H]-キサンテン)-4′a-[2H]-イル〕-1,3-ベンゼンジオール、
ヒドロキノン、
メチルヒドロキノン、
トリメチルヒドロキノン、
カテコール、
4-tert-ブチルカテコール、
1,6-ジヒドロキシナフタレン、
2,7-ジヒドロキシナフタレン、
1,5-ジヒドロキシナフタレン、
2,6-ジヒドロキシナフタレン、
2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、
4,4′-ジヒドロキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′-メチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-3′-メチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-メチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-エチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-プロピルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-イソプロピルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-ブチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-イソブチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-tert-ブチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-ペンチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-ヘキシルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-ヘプチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-オクチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-デシルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′,3′-ジメチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′,4′-ジメチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′,5′-ジメチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′,6′-ジメチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-3′,4′-ジメチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-3′,5′-ジメチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′,4′,6′-トリメチルベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′-メトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-3′-メトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-メトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′-エトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-エトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-プロポキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-イソプロポキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-ブトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-イソブトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-ペンチルオキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-ヘキシルオキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-ヘプチルオキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-オクチルオキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-4′-n-ノニルオキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′,3′-ジメトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′,4′-ジメトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′,5′-ジメトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′,6′-ジメトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-3′,4′-ジメトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-3′,5′-ジメトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-3′,4′-ジエトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′,3′,4′-トリメトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-2′,3′,6′-トリメトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-3′,4′,5′-トリメトキシベンゾフェノン、
2,4-ジヒドロキシ-3′,4′,5′-トリエトキシベンゾフェノン
等を例示できる。
【0021】
さらにビスフェノール化合物としては、例えば、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ブタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ペンタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ヘキサン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ヘプタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-オクタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ノナン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-デカン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)デカン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ドデカン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2-メチルプロパン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3-メチルブタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3-メチルペンタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2,3-ジメチルペンタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2-エチルブタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2-エチルヘキサン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,7-ジメチルオクタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチル)シクロヘキサン、
ジフェノール酸、
1-フェニル-1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ブタン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ペンタン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ヘキサン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-へプタン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-オクタン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ノナン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-デカン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)n-ドデカン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-6,10,14-トリメチルペンタデカン、
1-フェニル-1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)メチルプロピオネート、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブチルプロピオネート、
2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)メチルプロピオネート、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エチルプロピオネート、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-4-メチルペンタン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-4-メチルヘキサン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、
2,2-ビス(3,5-ジヒドロキシメチル-4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)ブタン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-イソプロピルフェニル)プロパン、
2,2-ビス(3-sec-ブチルフェニル-4-ヒドロキシ)プロパン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-フェニルフェニル)プロパン、
2,2-ビス(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2-ビス(3-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2-ビス(3,5-ジヒドロキシメチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)フルオレン、
1,3-ビス〔2-(4-ヒドロキシフェニル)-2-プロピル〕ベンゼン、
1,4-ビス〔2-(4-ヒドロキシフェニル)-2-プロピル〕ベンゼン、
3,3-ビス(4-ヒドロキシフェニル)オキシインドール、
3,3-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)オキシインドール、
ビス(2-ヒドロキシフェニル)メタン、
ビス(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)メタン、
ビス(2-ヒドロキシ-3-ヒドロキシメチル-5-メチル)メタン、
4,4′-〔1,4-フェニレンビス(1-メチルエチリデン)〕ビス(2-メチルフェノール)、
1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3-フェニルフェニル)シクロヘキサン、
3,3-エチレンオキシジフェノール、
1,4-ビス(4-ヒドロキシベンゾアート)-3-メチルベンゼン、
4,4″-ジヒドロキシ-3″-メチル-p-ターフェニル、
4,4″-ジヒドロキシ-3″-イソプロピル-p-ターフェニル、
2,2-ジメチル-1,3-ビス(4-ヒドロキシベンゾイルオキシ)プロパン、
2,2′-ビフェノール、
4,4′″-ジヒドロキシ-p-クアテルフェニル、
4,4-ジヒドロキシジフェニルエーテル、
ビス(4-ヒドロキシフェニルチオエチル)エーテル
ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルホン、
4-ベンジルオキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(4-メチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(4-エチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(4-n-プロピルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(4-イソプロピルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(4-n-ブチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(4-イソブチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(4-sec-ブチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(4-tert-ブチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(3-メチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(3-エチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(3-n-プロピルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(3-イソプロピルベンジルオキシ)-4′-ジヒドロキシフェニルスルホン、
4-(3-n-ブチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(3-イソブチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(3-sec-ブチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(3-tert-ブチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(2-メチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(2-エチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(2-n-プロピルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(2-イソプロピルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(2-n-ブチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(2-イソブチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(2-sec-ブチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(2-tert-ブチルベンジルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
2,4′-ジヒドロキシジフェニルスルホン、
3,4′-ジヒドロキシジフェニルスルホン、
4-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-メチル-4′-ヒドロキジシフェニルスルホン、
4-エチル-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-n-プロピル-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-イソプロピル-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-クロロ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-フルオロ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-クロロ-2-メチル-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-メトキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-エトキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-n-プロポキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-イソプロポキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-n-ブトキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-イソブトキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-sec-ブトキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-tert-ブトキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-n-ペンチルオキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-イソペンチルオキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(1-プロペニルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(2-プロペニルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-ベンジルオキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(β-フェノキシエトキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(β-フェノキシプロポキシル)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
ビス(2-アリル-4-ヒドロキシジフェニル)スルホン、
ビス〔4-ヒドロキシ-3-(2-プロペニル)フェニル〕スルホン、
ビス(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)スルホン、
ビス(3,5-ジクロロ-4-ヒドロキシフェニル)スルホン、
ビス(3-フェニル-4-ヒドロキシフェニル)スルホン、
ビス(4-ヒドロキシ-3-n-プロピルフェニル)スルホン、
ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)スルホン、
3,4-ジヒドロキシジフェニルスルホン、
3′,4′-ジヒドロキシ-4-メチルジフェニルスルホン、
3,4,4′-トリヒドロキシジフェニルスルホン、
ビス(3,4-ジヒドロキシフェニル)スルホン、
2,3,4-トリヒドロキシジフェニルスルホン、
4-イソプロポキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-n-プロポキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-アリルオキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-ベンジルオキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-(2-プロペニルオキシ)-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
3-ベンジル-4-ベンジルオキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
3-フェネチル-4-フェネチルオキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
3-メチルベンジル-4-メチルベンジルオキシ-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-ベンジルオキシ-3′-ベンジル-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-フェネチルオキシ-3′-フェネチル-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
4-メチルベンジルオキシ-3′-メチルベンジル-4′-ヒドロキシジフェニルスルホン、
α,α′-ビス{4-(p-ヒドロキシフェニルスルホン)フェノキシ}-p-キシレン、
4,4′-{オキシビス(エチレンオキシド-p-フェニレンスルホニル)}ジフェノール、
ビス(4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)スルフィド、
ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ビス(3-エチル-4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ビス(3,5-ジエチル-4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ビス(4-ヒドロキシ-3-n-プロピルフェニル)スルフィド、
ビス(3,5-ジ-n-プロピル-4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ビス(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ビス(4-ヒドロキシ-3-n-ペンチルフェニル)スルフィド、
ビス(3-n-ヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ビス(3-n-ヘプチル-4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ビス(5-tert-オクチル-2-ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ビス(2-ヒドロキシ-3-tert-オクチルフェニル)スルフィド、
ビス(2-ヒドロキシ-5-n-オクチル-フェニル)スルフィド、
ビス(5-クロロ-2-ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ビス(3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ビス(4-ヒドロキシフェニルチオエトキシ)メタン、
1,5-(4-ヒドロキシフェニルチオ)-3-オキシペンタン、
1,8-ビス(4-ヒドロキシフェニルチオ)-3,6-ジオキサオクタン
等を例示できる。
【0022】
フェノール性水酸基を3つ有する化合物としては、例えば、ピロガロール、フロログルシノール、フロログルシノールカルボン酸、没食脂酸、没食子酸オクチル、没食子酸ドデシル等を例示できる。
【0023】
さらにトリスフェノール化合物としては、例えば、
4,4′,4″-メチリジントリスフェノール、
4,4′,4″-メチリジントリス(2-メチルフェノール)、
4,4′-〔(2-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2,3,5-トリメチルフェノール)、
4,4′-〔(4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-メチルフェノール)、
4,4′-〔(4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2,6-ジメチルフェノール)、
4,4′-〔(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチレン〕ビスフェノール、
4,4′-〔(4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-シクロヘキシル-5-メチルフェノール)、
4,4′,4″-エチリジントリスフェノール、
4,4′,4″-エチリジントリス(2-メチルフェノール)、
4,4′-〔(2-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-シクロヘキシル-5-メチルフェノール)、
2,6-ビス〔(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)メチル〕-4-メチルフェノール、
2,4-ビス〔(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)メチル〕-6-シクロヘキシルフェノール、
4,4′-[1-{4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}メチリデン]ビスフェノール、
4,4′-[1-{4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビスフェノール、
4,4′-[1-{4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}プロピリデン]ビスフェノール、
4,4′-[1-{4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}ブチリデン]ビスフェノール、
4,4′-[1-{4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}ペンチリデン]ビスフェノール、
4,4′-[1-{4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}ヘキシリデン]ビスフェノール、
4,4′-[1-{4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}ヘプチリデン]ビスフェノール、
4,4′-[1-{4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}イソブチリデン]ビスフェノール、
4,4′-[1-{4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}ネオペンチリデン]ビスフェノール、
2,2′-[1-{4-〔1-(2-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビスフェノール、
3,3′-[1-{4-〔1-(3-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビスフェノール、
4,4′-[1-{4-〔1-(3-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス(2-フルオロフェノール)、
4,4′-[1-{4-〔1-(3-クロロ-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス(2-クロロフェノール)、
4,4′-[1-{4-〔1-(3-ブロモ-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス(2-ブロモフェノール)、
4,4′-[1-{4-〔1-(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス(2-メチルフェノール)、
4,4′-[1-{4-〔1-(3-エチル-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス(2-エチルフェノール)、
4,4′-[1-{4-〔1-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス(2-tert-ブチルフェノール)、
4,4′-[1-{4-〔1-(4-ヒドロキシ-3-トリフルオロメチルフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス(2-トリフルオロメチルフェノール)、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-4-(4-ヒドロキシ-α-エチル)ベンジルシクロヘキサン、
4,4′-〔(3-エトキシ-4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビスフェノール、
4,4′-〔(3-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2,6-ジメチルフェノール)、
2,2′-〔(4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5-ジメチルフェノール)、
4,4′-〔(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(2,6-ジメチルフェノール)、
2,2′-〔(2-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5,6-トリメチルフェノール)、
4,4′-〔(3-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2,3,6-トリメチルフェノール)、
4,4′-〔(4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2,3,6-トリメチルフェノール)、
4,4′-〔(3-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-シクロヘキシル-5-メチルフェノール)、
4,4′-〔(4-ヒドロキシフェニル-3-メトキシ)メチレン〕ビス(2-シクロヘキシル-5-メチルフェノール)、
1,1-ビス(4-ヒドロキシルフェニル)-4-ヒドロキシフェニルシクロヘキサン、
4,4′-〔3-(5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)-3-フェニル)プロピリデン〕ビス(2-シクロヘキシル-5-メチルフェノール)、
4,4′-〔(2-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-メチルフェノール)、
2,4′,4″-メチリジントリスフェノール、
4,4′-〔(2-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(3-メチルフェノール)、
4,4′-〔4-(4-ヒドロキシフェニル)-sec-ブチリデン〕ビス(4-ヒドロキシフェノール)、
2,2′-〔(3-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5-ジメチルフェノール)、
4,4′-〔(2-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(2,5-ジメチルフェノール)、
4,4′-〔(2-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(2,6-ジメチルフェノール)、
2,2′-〔(2-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5-ジメチルフェノール)、
2,2′-〔(3-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5-ジメチルフェノール)、
2,2′-〔(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5-ジメチルフェノール)、
4,4′-〔(2-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-イソプロピルフェノール)、
4,4′-〔(3-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-イソプロピルフェノール)、
4,4′-〔(4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-イソプロピルフェノール)、
2,2′-〔(3-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5,6-トリメチルフェノール)、
2,2′-〔(4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5,6-トリメチルフェノール)、
2,2′-〔(3-エトキシ-4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5-ジメチルフェノール)、
1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-4-(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、
4,4′-〔(2-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(2-イソプロピルフェノール)、
4,4′-〔(3-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(2-イソプロピルフェノール)、
4,4′-〔(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(2-イソプロピルフェノール)、
2,2′-〔(2-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5,6-トリメチルフェノール、
2,2′-〔(3-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5,6-トリメチルフェノール)、
2,2′-〔(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5,6-トリメチルフェノール)、
4,4′-〔(3-エトキシ-4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-イソプロピルフェノール)、
2,2′-〔(3-エトキシ-4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5,6-トリメチルフェノール)、
4,4′-〔(3-エトキシ-4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2,3,6-トリメチルフェノール)、
1,1-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)-4-(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、
4,4′-〔(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(2-tert-ブチル-5-メチルフェノール)、
4,4′-〔(2-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-シクロヘキシルフェノール)、
4,4′-〔(3-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-シクロヘキシルフェノール)、
4,4′-〔(3-エトキシ-4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-tert-ブチル-6-メチルフェノール)、
4,4′-〔(3-メトキシ-2-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-シクロヘキシルフェノール)、
4,4′-〔(3-ヒドロキシ-4-メトキシフェニル)メチレン〕ビス(2-シクロヘキシルフェノール)、
4,4′-[1-{4-〔1-(3-フルオロ-4-ヒドロキシロフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス(2-tert-ブチルフェノール)、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス(2,6-ジメチルフェノール)、
4,4′-〔(3-エトキシ-4-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-シクロヘキシル-5-メチルフェノール)、
4,4′-〔(3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)エチリデン〕ビス(2-シクロヘキシルフェノール)、
4,4′-〔(5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシ-2-メトキシフェニル)エチリデン〕ビス(2-シクロヘキシル-5-メチルフェノール)、
4,4′-[1-{4-〔1-(3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス(2-シクロヘキシルフェノール)、
4,4′-[1-{4-〔1-(3-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビスフェノール、
4,4′-[1-{4-〔1-(3-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス(2-メチルフェノール)、
4,4′-[1-{4-〔1-(3-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス(2,6-ジメチルフェノール)、
2,6-ビス〔(5-フルオロ-2-ヒドロキシフェニル)メチル〕-4-メチルフェノール、
2,6-ビス〔(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-4-メチルフェノール、
2,6-ビス〔(4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-4-メチルフェノール、
2,6-ビス〔(4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-4-エチルフェノール、
2,4-ビス〔(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)メチル〕-6-メチルフェノール、
2,6-ビス〔(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)メチル〕-4-メチルフェノール、
2,6-ビス〔(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)メチル〕-4-エチルフェノール、
2,6-ビス〔(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)メチル〕-4-エチルフェノール、
2,6-ビス〔(3,5-ジメチル-2-ヒドロキシフェニル)メチル〕-4-メチルフェノール、
2,6-ビス〔(2,4-ジメチル-6-ヒドロキシフェニル)メチル〕-4-メチルフェノール、
2,4-ビス〔(4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-6-シクロヘキシルフェノール、
2,6-ビス〔(2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-3,4-ジメチルフェノール、
2,6-ビス〔(2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-4-エチルフェノール、
2,6-ビス〔(4-ヒドロキシ-2,3,6-トリメチルフェニル)メチル〕-4-メチルフェノール、
2,4-ビス〔(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)メチル〕-6-シクロヘキシルフェノール、
2,6-ビス〔(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)メチル〕-4-シクロヘキシルフェノール、
2,6-ビス〔(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)メチル〕-4-シクロヘキシルフェノール、
2,6-ビス〔(4-ヒドロキシ-2,3,5-トリメチルフェニル)メチル〕-4-エチルフェノール、
2,4-ビス〔(2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-6-シクロヘキシルフェノール、
4,4′,4″-メチリジントリス(2,6-ジメチルフェノール)、
α-(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-α,α′-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-エチル-4-イソプロピルベンゼン、
α′-(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-α,α-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-エチル-4-イソプロピルベンゼン、
α,α-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-α′-(4-ヒドロキシフェニル)-1-エチル-4-イソプロピルベンゼン、
α,α′-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-α-(4-ヒドロキシフェニル)-1-エチル-4-イソプロピルベンゼン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルプロピル〕シクロヘキサン、
2,6-ビス〔(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-4-エチルフェノール、
1,1′-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)プロピル〕シクロヘキサン、
1,1′-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)-4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)プロピル〕シクロヘキサン、
1,1′-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)-4-〔1-(4-ヒドロキシフェニル)プロピル〕シクロヘキサン、
1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-〔4,4-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキシル〕-4-イソプロピルシクロヘキサン、
4,4′-〔3-(2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)ブチレン〕ビス(2,5-ジメチルフェノール)、
1,3,5-トリ(4-ヒドロキシ-3-フェニルフェニル)アダマンタン、
1,3,5-トリ(3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)アダマンタン、
2,4-ビス〔(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-6-シクロヘキシルフェノール、
2,6-ビス〔(2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-4-シクロヘキシルフェノール、
2,4-ビス〔(3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-6-メチルフェノール、
2,4-ビス〔(4-ヒドロキシ-2,3,5-トリメチルフェニル)メチル〕-6-シクロヘキシルフェノール、
2,6-ビス〔(5-フルオロ-2-ヒドロキシフェニル)メチル〕-4-フルオロフェノール、
2,6-ビス〔(3-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-4-フルオロフェノール、
2,4-ビス〔(3-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-6-メチルフェノール、
4,4′-〔3-(5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)-3-ビフェニルプロピリデン〕ビス(5-シクロヘキシル-2-メチルフェノール)、
4,4′-〔3-(2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)-3-フェニルプロピリデン〕ビス(2,5-ジメチルフェノール)、
2,4-ビス〔(2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-6-メチルフェノール、
1,1,2-トリス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、
1,1,3-トリス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,1,4-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、
1,2,2-トリス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,2,2-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、
1,2,2-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ペンタン、
1,2,2-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサン、
1,2,2-トリス(4-ヒドロキシフェニル)へプタン、
1,2,2-トリス(4-ヒドロキシフェニル)オクタン、
1,2,2-トリス(4-ヒドロキシフェニル)-3-メチルブタン
1,2,2-トリス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3-ジメチルブタン、
1,2,2-トリス(4-ヒドロキシフェニル)-4,4-ジメチルペンタン、
1,3,3-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、
1,3,3-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ペンタン、
1,3,3-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサン、
1,3,3-トリス(4-ヒドロキシフェニル)へプタン、
1,3,3-トリス(4-ヒドロキシフェニル)オクタン、
1,3,3-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ノナン、
1,4,4-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ペンタン、
1,4,4-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサン、
1,4,4-トリス(4-ヒドロキシフェニル)へプタン、
1,4,4-トリス(4-ヒドロキシフェニル)オクタン、
1,4,4-トリス(4-ヒドロキシフェニル)ノナン、
1,4,4-トリス(4-ヒドロキシフェニル)デカン、
1,2,2-トリス(2-ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,1,2-トリス(3-ヒドロキシフェニル)プロパン、
1-(4-ヒドロキシフェニル)-2,2-ビス(2-ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,2,2-トリス(3-フルオロ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,2,2-トリス(3-クロロ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,2,2-トリス(3-ブロモ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2-ビス(3-エチル-4-ヒドロキシフェニル)-1-(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2-ビス(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-1-(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2-ビス(2-ヒドロキシ-3-ビフェニリル)-1-(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2-ビス(3-トリフルオロメチル-4-ヒドロキシフェニル)-1-(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
2-(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-1,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
1-(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
3-(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-1,3-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、
1-(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-3,3-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、
4-(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-1,4-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ペンタン、
1-(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-4,4-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ペンタン、
1,2-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-2-(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
3,3-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-1-(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、
1,3-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-3-(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、
4,4-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-1-(4-ヒドロキシフェニル)ペンタン、
1,4-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)-4-(4-ヒドロキシフェニル)ペンタン、
1,1,2-トリス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)エタン、
1,2,2-トリス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,1,3-トリス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,3,3-トリス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)ブタン、
1,1,4-トリス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)ブタン、
1,4,4-トリス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)ペンタン、
4,4′-〔4-(4-ヒドロキシフェニル)-sec-ブチリデン〕ビス(2-メチルフェノール)
等を例示できる。
【0024】
フェノール性水酸基を4つ以上有する化合物としては、例えば、
ビス〔2-ヒドロキシ-3-(2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)-5-メチルフェニル〕メタン、
4,6-ビス〔(4-ヒドロキシフェニル)メチル)-1,3-ベンゼンジオール、
4,4′-〔(3,4-ジヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2,6-ジメチルフェノール)、
4,4′-〔(3,4-ジヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-シクロヘキシル-5-メチルフェノール)、
4,4′-〔(3,4-ジヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-メチルフェノール)、
4,4′-〔(3,4-ジヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2,3,6-トリメチルフェノール)、
1,1,2,2-テトラキス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、
4,4′,4″,4′″-(1,1,2,2-エタンテトライル)テトラキス(2-メチルフェノール)、
4,4′,4″,4′″-(1,1,2,2-エタンテトライル)テトラキス(2,6-ジメチルフェノール)、
4,4′,4″,4′″-(1,4-フェニレン)ビス(メチリジン)テトラキス(2,6-ジメチルフェノール)、
2,2-ビス〔4,4-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキシル〕プロパン、
2,2′-〔(3,4-ジヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5-ジメチルフェノール)、
4,6-ビス〔(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メチル〕-1,3-ベンゼンジオール、
2,2′-〔(3,4-ジヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(3,5,6-トリメチルフェノール)、
4,4′-〔(3,4-ジヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-シクロヘキシルフェノール)、
ビス〔4-ヒドロキシ-3-(2-ヒドロキシベンジル)-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔4-ヒドロキシ-3-(3-ヒドロキシベンジル)-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔4-ヒドロキシ-3-(4-ヒドロキシベンジル)-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔2-ヒドロキシ-3-(2-ヒドロキシベンジル)-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔2-ヒドロキシ-3-(3-ヒドロキシベンジル)-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔2-ヒドロキシ-3-(4-ヒドロキシベンジル)-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔2-ヒドロキシ-3-(3-ヒドロキシ-4-メチルベンジル)-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔2-ヒドロキシ-3-(4-ヒドロキシ-3-メチルベンジル)-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔2-ヒドロキシ-3-(3-ヒドロキシ-2-メチルベンジル)-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔2-ヒドロキシ-3-(2-ヒドロキシ-3-メチルベンジル)-5-メチルフェニル〕メタン、
α,α′,α″,α′″-テトラキス(4-ヒドロキシフェニル)-p-キシレン、
ビス〔2-ヒドロキシ-3-(4-ヒドロキシ-2,3,5-トリメチルベンジル)-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔2-ヒドロキシ-3-(2,5-ジメチル-3-ヒドロキシベンジル)-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔2-ヒドロキシ-3-(2,5-ジメチル-4-ヒドロキシベンジル)-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔2-ヒドロキシ-3-(2,5-ジメチル-5-ヒドロキシベンジル)-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔2-ヒドロキシ-3-(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシベンジル)-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔2-ヒドロキシ-3-(2-ヒドロキシ-3,4,6-トリメチルベンジル)-5-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔2-ヒドロキシ-3-(4-ヒドロキシ-2,3,6-トリメチルベンジル)-5-メチルフェニル〕メタン、
4,4,4′,4′-テトラキス(4-ヒドロキシフェニル)ビシクロヘキシル、
ビス〔4-ヒドロキシ-3-(5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシ-2-メチルベンジル)-5-メチルフェニル〕メタン、
4,4,4′,4′-テトラキス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)ビシクロヘキシル、
4,6-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)-1,2-ベンゼンジオール、
4,4,4′,4′-テトラキス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)ビシクロヘキシル、
1,1-ビス〔5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシ-3-(2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)フェニル〕シクロヘキサン、
1,1-ビス〔5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシ-3-(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシベンジル)フェニル〕シクロヘキサン、
1,1-ビス〔5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシ-3-(5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシ-2-メチルベンジル)フェニル〕シクロヘキサン、
4,6-ビス〔1-(4-ヒドロキシフェニル)エチル〕-1,3-ベンゼンジオール、
2,2-ビス〔4-ヒドロキシ-3-(4-ヒドロキシ-3-メチルベンジル)-5-メチルフェニル〕プロパン、
2,6-ビス〔(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)ベンジル〕-4-〔α-メチル-(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)ベンジル〕フェノール、
4,4,4′,4′-テトラキス(3-イソプロピル-4-ヒドロキシフェニル)ビシクロヘキシル、
4,4′-ビス〔(3,4-ジヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(2-イソプロピルフェノール)、
2,2′-ビス〔4,4-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキシル〕プロパン、
2,4,6-トリス(4-ヒドロキシベンジル)-1,3-ベンゼンジオール、
4,6-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシベンジル)-1,2,3-ベンゼントリオール、
3,3′-〔(2-ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス(5-メチル-1,2-ベンゼンジオール)、
2,6-ビス(2,4-ジヒドロキシベンジル)-4-エチルフェノール、
2,4-ビス(2,4-ジヒドロキシベンジル)-6-シクロヘキシルフェノール、
2,6-ビス(5-tert-ブチル-2,3-ジヒドロキシベンジル)-4-メチルフェノール、
2,4,6-トリス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシベンジル)-1,2-ベンゼンジオール、
2,4,6-トリス(3,5-ジメチル-2-ヒドロキシベンジル)-1,2-ベンゼンジオール、
2,6-ビス(2,4-ジヒドロキシベンジル)-3,4-ジメチルフェノール、
2,6-ビス〔3-(2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)-2,5-ジメチル-4-ヒドロキシベンジル〕-3,4-ジメチルフェノール、
4,6-ビス(α-メチル-4-ヒドロキシベンジル)-1,2,3-ベンゼントリオール、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(4-ヒドロキシベンジル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(4-ヒドロキシベンジル)フェノール〕、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルベンジル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルベンジル)フェノール〕、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシベンジル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシベンジル)フェノール〕、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(4-ヒドロキシ-2,3,6-トリメチルベンジル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(4-ヒドロキシ-2,3,6-トリメチルベンジル)フェノール〕、
ビス〔5-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル〕メタン、
ビス〔3-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル〕メタン、
ビス〔3-(2,4-ジヒドロキシ-3-メチルベンジル)-2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル〕メタン、
ビス〔5-(4-ヒドロキシベンジル)-2,3,4-トリヒドロキシフェニル〕メタン、
1,1-ビス〔5-(4-ヒドロキシベンゾイル)-2,3,4-トリヒドロキシフェニル〕エタン、
3,3′,5,5′-テトラキス(4-ヒドロキシベンジル)-4,4′-ジヒドロキシビフェニル、
3,3′,5,5′-テトラキス(4-ヒドロキシ-3-メチルベンジル)-4,4′-ジヒドロキシビフェニル、
3,3′,5,5′-テトラキス(2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)-4,4′-ジヒドロキシビフェニル、
3,3′,5,5′-テトラキス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシベンジル)-4,4′-ジヒドロキシビフェニル、
ビス〔3-(α,α-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)メチル-4-ヒドロキシフェニル〕メタン、
ビス〔3,5-ビス(2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)-4-ヒドロキシフェニル〕メタン、
4,4′,4″-エチリジントリス{〔2-(2-ヒドロキシ-5-メチル)ベンジル〕-6-メチルフェノール}、
2,2-ビス〔3,5-ビス(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニルメチル)フェニル〕プロパン、
ビス〔3-(α,α-ビス(2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メチル-4-ヒドロキシフェニル〕メタン、
ビス〔5-(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシベンジル)-2,3,4-トリヒドロキシフェニル〕メタン、
ビス〔3-(2,3,4-トリヒドロキシベンジル)-2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル〕メタン、
1,1-ビス〔3-(2,3,4-トリヒドロキシベンジル)-5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル〕シクロヘキサン、
1,8,15,22-テトラノニル-3,5,10,12,17,19,24,26-オクタヒドロキシ[1,1,1,1]-メタシクロファン、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(4-ヒドロキシ-2-メチルベンジル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(4-ヒドロキシ-2-メチルベンジル)フェノール〕、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(2-ヒドロキシ-5-メチルベンジル)フェノール〕、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(3-エチル-4-ヒドロキシベンジル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(3-エチル-4-ヒドロキシベンジル)フェノール〕、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(3,5-ジメチル-2-ヒドロキシフェニル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(3,5-ジメチル-2-ヒドロキシフェニル)フェノール〕、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(4-ヒドロキシ-3-イソプロピルフェニル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(4-ヒドロキシ-3-イソプロピルフェニル)フェノール〕、
ビス〔3-(α,α-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)メチル-4-ヒドロキシフェニル〕メタン、
ビス〔3-(α,α-ビス(5-シクロヘキシル-4-ヒドロキシ-2-メチルフェニル)メチル-4-ヒドロキシフェニル〕メタン、
4,4′-〔4-ヒドロキシ-3,5-ビス(2-ヒドロキシベンジル)メチレン〕ビス〔2,6-ビス(2-ヒドロキシベンジル)〕フェノール、
4,4′-〔4-ヒドロキシ-3,5-ビス(4-ヒドロキシベンジル)メチレン〕ビス〔2,6-ビス(4-ヒドロキシベンジル)〕フェノール、
4,4′,4″-エチリジントリス〔2,6-ビス(2-ヒドロキシベンジル)フェノール〕、
4,4′,4″-エチリジントリス〔2,6-ビス(4-ヒドロキシベンジル)フェノール〕、
2,2-ビス〔3,5-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルベンジル)-4-ヒドロキシフェニル〕プロパン、
1,8,15,22-テトラエチル-3,5,10,12,17,19,24,26-オクタヒドロキシ[1,1,1,1]-メタシクロファン、
α,α′,α″,α′″-テトラキス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)-1,4-ジメチルベンゼン、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(2-ヒドロキシ-5-イソプロピルフェニル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(2-ヒドロキシ-5-イソプロピルフェニル)フェノール〕、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(4-ヒドロキシ-2,3,5-トリメチルフェニル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(4-ヒドロキシ-2,3,5-トリメチルフェニル)フェノール〕、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(3-sec-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(3-sec-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)フェノール〕、
4,4′-[1-{4-〔1-(3,5-ビス(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)-4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル〕フェニル}エチリデン]ビス〔2,6-ビス(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)フェノール〕、
2,6-ビス{〔3-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-2,5-ジメチル-4-ヒドロキシ〕ベンジル}-4-メチルフェノール、
1,1-ビス〔5-(2,4-ジヒドロキシベンジル)-3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル〕シクロヘキサン、
1,1-ビス〔5-(2,3,4-トリヒドロキシベンジル)-3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル〕シクロヘキサン、
2,2-ビス〔4,4′,4″,4′″-テトラキス(3,5-ジヒドロキシメチル-4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキシル〕プロパン
等を例示できる。
【0025】
カルボン酸およびその誘導体としては、例えば、
3,5-ジ(α-メチルベンジル)サリチル酸、
4-(2-p-メトキシフェニルオキシエトキシ)サリチル酸、
4-ヒドロキシフェニル安息香酸、
4-クロロ安息香酸、
4-〔2-(p-メトキシフェノキシ)エチルオキシ〕サリチル酸、
4-〔3-(p-トリルスルホニル)プロピルオキシ〕サリチル酸、
5-〔p-(2-p-メトキシフェノキシエトキシ)クミル〕サリチル酸、
4-オクチルオキシカルボニルアミノサリチル酸、
3,5-ジスチレン化サリチル酸、
N-(p-トルエンスルホニル)-グリシン、
N-(p-トルエンスルホニル)-アラニン、
N-(p-トルエンスルホニル)-β-アラニン、
N-フェニルアミノカルボニル-グリシン、
N-フェニルアミノカルボニル-バリン、
N-(m-トリルアミノカルボニル)-フェニルアラニン、
N-(m-トリルアミノカルボニル)-システイン-S-ベンジル、
N-(m-トリルアミノカルボニル)-メチオニン、
N-(m-トリルアミノカルボニル)-チロシン、
N-(p-トリルアミノカルボニル)-フェニルアラニン、
N-(p-トリルアミノカルボニル)-システイン-S-ベンジル、
N-(p-トリルアミノカルボニル)-メチオニン、
N-(フェニルアミノカルボニル)-メチオニン、
N-(p-トリルアミノカルボニル)-チロシン、
2-O-(フェニルアミノカルボニル)-マンデル酸、
2-O-(p-トリルアミノカルボニル)-マンデル酸、
2-O-(m-トリルアミノカルボニル)-マンデル酸、
2-O-(o-トリルアミノカルボニル)-マンデル酸、
2-O-(1-ナフチルアミノカルボニル)-マンデル酸、
2-O-(3-イソプロペニル-α,α-ジメチルベンジルアミノカルボニル)-マンデル酸、
2-O-(ベンジルアミノカルボニル)-マンデル酸、
2-O-(フェネチルアミノカルボニル)-マンデル酸、
2-O-(フェニルアミノカルボニル)-乳酸、
2-O-(p-トリルアミノカルボニル)-乳酸、
2-O-(m-トリルアミノカルボニル)-乳酸、
2-O-(o-トリルアミノカルボニル)-乳酸、
2-O-(1-ナフチルアミノカルボニル)-乳酸、
2-O-(3-イソプロペニル-α,α-ジメチルベンジルアミノカルボニル)-乳酸、
2-O-(ベンジルアミノカルボニル)-乳酸、
2-O-(フェネチルアミノカルボニル)-乳酸
等を例示できる。
【0026】
酸性リン酸エステル化合物としては、例えば、メチルアシッドホスフェート、エチルアシッドホスフェート、ブチルアシッドホスフェート、ブトキシエチルアシッドホスフェート、2-エチルヘキシルアシッドホスフェート、イソデシルアシッドホスフェート、イソトリデシルアシッドホスフェート、オレイルアシッドホスフェート、テトラコシルアシッドホスフェート、モノブチルホスフェート、ジブチルホスフェート、モノイソデシルホスフェート、ビス(2-エチルヘキシル)ホスフェート等を例示できる。
【0027】
(ロ)成分として、より有効に熱変色特性を発現させることができることから、フェノール性水酸基を有する化合物が好ましいが、芳香族カルボン酸、炭素数2~5の脂肪族カルボン酸、カルボン酸金属塩、酸性リン酸エステルおよびその金属塩、ならびに1,2,3-トリアゾールおよびその誘導体から選ばれる化合物等であってもよい。
【0028】
(イ)成分および(ロ)成分による電子授受反応を特定温度域において可逆的に生起させる反応媒体の(ハ)成分について説明する。
(ハ)成分としては、アルコール類、エステル類、ケトン類、エーテル類、酸アミド類が挙げられる。
【0029】
可逆熱変色性組成物をマイクロカプセルに内包して二次加工に応用する場合は、低分子量のものは高熱処理を施すとカプセル外に蒸散するので、安定的にカプセル内に保持させるために炭素数10以上の化合物が好適に用いられる。
【0030】
アルコール類としては、炭素数10以上の脂肪族一価の飽和アルコールが有効であり、例えば、デシルアルコール、ウンデシルアルコール、ドデシルアルコール、トリデシルアルコール、テトラデシルアルコール、ペンタデシルアルコール、ヘキサデシルアルコール、ヘプタデシルアルコール、オクタデシルアルコール、エイコシルアルコール、ドコシルアルコール等を例示できる。
【0031】
エステル類としては、炭素数10以上のエステル類が有効であり、脂肪族および脂環或いは芳香環を有する一価カルボン酸と、脂肪族および脂環或いは芳香環を有する一価アルコールの任意の組み合わせから得られるエステル類、脂肪族および脂環或いは芳香環を有する多価カルボン酸と、脂肪族および脂環或いは芳香環を有する一価アルコールの任意の組み合わせから得られるエステル類、脂肪族および脂環或いは芳香環を有する一価カルボン酸と、脂肪族および脂環或いは芳香環を有する多価アルコールの任意の組み合わせから得られるエステル類が挙げられ、例えば、カプリル酸エチル、カプリル酸オクチル、カプリル酸ステアリル、カプリン酸ミリスチル、カプリン酸ドコシル、ラウリン酸2-エチルヘキシル、ラウリン酸n-デシル、ミリスチン酸3-メチルブチル、ミリスチン酸セチル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸ネオペンチル、パルミチン酸ノニル、パルミチン酸シクロヘキシル、ステアリン酸n-ブチル、ステアリン酸2-メチルブチル、ステアリン酸3,5,5-トリメチルヘキシル、ステアリン酸n-ウンデシル、ステアリン酸ペンタデシル、ステアリン酸ステアリル、ステアリン酸シクロヘキシルメチル、ベヘン酸イソプロピル、ベヘン酸ヘキシル、ベヘン酸ラウリル、ベヘン酸ベヘニル、安息香酸セチル、4-tert-ブチル安息香酸ステアリル、フタル酸ジミリスチル、フタル酸ジステアリル、シュウ酸ジミリスチル、シュウ酸ジセチル、マロン酸ジセチル、コハク酸ジラウリル、グルタル酸ジラウリル、アジピン酸ジウンデシル、アゼライン酸ジラウリル、セバシン酸ジ-(n-ノニル)、1,18-オクタデシルメチレンジカルボン酸ジネオペンチル、エチレングリコールジミリステート、プロピレングリコールジラウレート、プロピレングリコールジステアレート、ヘキシレングリコールジパルミテート、1,5-ペンタンジオールジステアレート、1,2,6-ヘキサントリオールトリミリステート、1,4-シクロヘキサンジオールジデシル、1,4-シクロヘキサンジメタノールジミリステート、キシレングリコールジカプリネート、キシレングリコールジステアレート等を例示できる。
【0032】
また、飽和脂肪酸と分枝脂肪族アルコールとのエステル、不飽和脂肪酸または分枝若しくは置換基を有する飽和脂肪酸と、分岐状であるかまたは炭素数16以上の脂肪族アルコールとのエステル化合物も有効である。
【0033】
エステル化合物としては、例えば、酪酸2-エチルヘキシル、ベヘン酸2-エチルヘキシル、ミリスチン酸2-エチルヘキシル、カプリン酸2-エチルヘキシル、ラウリン酸3,5,5-トリメチルヘキシル、パルミチン酸3,5,5-トリメチルヘキシル、ステアリン酸3,5,5-トリメチルヘキシル、カプロン酸2-メチルブチル、カプリル酸2-メチルブチル、カプリン酸2-メチルブチル、パルミチン酸1-エチルプロピル、ステアリン酸1-エチルプロピル、ベヘン酸1-エチルプロピル、ラウリン酸1-エチルヘキシル、ミリスチン酸1-エチルヘキシル、パルミチン酸1-エチルヘキシル、カプロン酸2-メチルペンチル、カプリル酸2-メチルペンチル、カプリン酸2-メチルペンチル、ラウリン酸2-メチルペンチル、ステアリン酸2-メチルブチル、ステアリン酸2-メチルブチル、ステアリン酸3-メチルブチル、ステアリン酸1-メチルヘプチル、ベヘン酸2-メチルブチル、ベヘン酸3-メチルブチル、ステアリン酸1-メチルヘプチル、ベヘン酸1-メチルヘプチル、カプロン酸1-エチルペンチル、パルミチン酸1-エチルペンチル、ステアリン酸1-メチルプロピル、ステアリン酸1-メチルオクチル、ステアリン酸1-メチルヘキシル、ラウリン酸1,1-ジメチルプロピル、カプリン酸1-メチルペンチル、パルミチン酸2-メチルヘキシル、ステアリン酸2-メチルヘキシル、ベヘン酸2-メチルヘキシル、ラウリン酸3,7-ジメチルオクチル、ミリスチン酸3,7-ジメチルオクチル、パルミチン酸3,7-ジメチルオクチル、ステアリン酸3,7-ジメチルオクチル、ベヘン酸3,7-ジメチルオクチル、オレイン酸ステアリル、オレイン酸ベヘニル、リノール酸ステアリル、リノール酸ベヘニル、エルカ酸3,7-ジメチルオクチル、エルカ酸ステアリル、エルカ酸イソステアリル、イソステアリン酸セチル、イソステアリン酸ステアリル、12-ヒドロキシステアリン酸2-メチルペンチル、18-ブロモステアリン酸2-エチルヘキシル、2-ケトミリスチン酸イソステアリル、2-フルオロミリスチン酸2-エチルヘキシル、酪酸セチル、酪酸ステアリル、酪酸ベヘニル等を例示できる。
【0034】
さらに、色濃度-温度曲線に関して大きなヒステリシス特性を示して変色し、温度変化に依存して色彩記憶性を与えるためには、特公平4-17154号公報に記載された5℃以上50℃未満のΔT値(融点-曇点)を示すカルボン酸エステル化合物、例えば、分子中に置換芳香族環を含むカルボン酸エステル、無置換芳香族環を含むカルボン酸と炭素数10以上の脂肪族アルコールとのエステル、分子中にシクロヘキシル基を含むカルボン酸エステル、炭素数6以上の脂肪酸と無置換芳香族アルコールまたはフェノールとのエステル、炭素数8以上の脂肪酸と分岐脂肪族アルコールとのエステル、ジカルボン酸と芳香族アルコールまたは分岐脂肪族アルコールとのエステル、ケイ皮酸ジベンジル、ステアリン酸ヘプチル、アジピン酸ジデシル、アジピン酸ジラウリル、アジピン酸ジミリスチル、アジピン酸ジセチル、アジピン酸ジステアリル、トリラウリン、トリミリスチン、トリステアリン、ジミリスチン、ジステアリン等を例示できる。
【0035】
また、炭素数9以上の奇数の脂肪族一価アルコールと炭素数が偶数の脂肪族カルボン酸から得られる脂肪酸エステル化合物、n-ペンチルアルコールまたはn-ヘプチルアルコールと、炭素数10~16の偶数の脂肪族カルボン酸より得られる総炭素数17~23の脂肪酸エステル化合物も有効である。
【0036】
脂肪酸エステル化合物としては、例えば、酢酸n-ペンタデシル、酪酸n-トリデシル、酪酸n-ペンタデシル、カプロン酸n-ウンデシル、カプロン酸n-トリデシル、カプロン酸n-ペンタデシル、カプリル酸n-ノニル、カプリル酸n-ウンデシル、カプリル酸n-トリデシル、カプリル酸n-ペンタデシル、カプリン酸n-ヘプチル、カプリン酸n-ノニル、カプリン酸n-ウンデシル、カプリン酸n-トリデシル、カプリン酸n-ペンタデシル、ラウリン酸n-ペンチル、ラウリン酸n-ヘプチル、ラウリン酸n-ノニル、ラウリン酸n-ウンデシル、ラウリン酸n-トリデシル、ラウリン酸n-ペンタデシル、ミリスチン酸n-ペンチル、ミリスチン酸n-ヘプチル、ミリスチン酸n-ノニル、ミリスチン酸n-ウンデシル、ミリスチン酸n-トリデシル、ミリスチン酸n-ペンタデシル、パルミチン酸n-ペンチル、パルミチン酸n-ヘプチル、パルミチン酸n-ノニル、パルミチン酸n-ウンデシル、パルミチン酸n-トリデシル、パルミチン酸n-ペンタデシル、ステアリン酸n-ノニル、ステアリン酸n-ウンデシル、ステアリン酸n-トリデシル、ステアリン酸n-ペンタデシル、エイコサン酸n-ノニル、エイコサン酸n-ウンデルシ、エイコサン酸n-トリデシル、エイコサン酸n-ペンタデシル、ベヘニン酸n-ノニル、ベヘニン酸n-ウンデシル、ベヘニン酸n-トリデシル、ベヘニン酸n-ペンタデシル等を例示できる。
【0037】
ケトン類としては、総炭素数が10以上の脂肪族ケトン類が有効であり、例えば、2-デカノン、3-デカノン、4-デカノン、2-ウンデカノン、3-ウンデカノン、4-ウンデカノン、5-ウンデカノン、2-ドデカノン、3-ドデカノン、4-ドデカノン、5-ドデカノン、2-トリデカノン、3-トリデカノン、2-テトラデカノン、2-ペンタデカノン、8-ペンタデカノン、2-ヘキサデカノン、3-ヘキサデカノン、9-ヘプタデカノン、2-ペンタデカノン、2-オクタデカノン、2-ノナデカノン、10-ノナデカノン、2-エイコサノン、11-エイコサノン、2-ヘンエイコサノン、2-ドコサノン、ラウロン、ステアロン等を例示できる。
【0038】
さらには、総炭素数が12~24のアリールアルキルケトン類、例えば、n-オクタデカノフェノン、n-ヘプタデカノフェノン、n-ヘキサデカノフェノン、n-ペンタデカノフェノン、n-テトラデカノフェノン、4-n-ドデカアセトフェノン、n-トリデカノフェノン、4-n-ウンデカノアセトフェノン、n-ラウロフェノン、4-n-デカノアセトフェノン、n-ウンデカノフェノン、4-n-ノニルアセトフェノン、n-デカノフェノン、4-n-オクチルアセトフェノン、n-ノナノフェノン、4-n-ヘプチルアセトフェノン、n-オクタノフェノン、4-n-ヘキシルアセトフェノン、4-n-シクロヘキシルアセトフェノン、4-tert-ブチルプロピオフェノン、n-ヘプタフェノン、4-n-ペンチルアセトフェノン、シクロヘキシルフェニルケトン、ベンジル-n-ブチルケトン、4-n-ブチルアセトフェノン、n-ヘキサノフェノン、4-イソブチルアセトフェノン、1-アセトナフトン、2-アセトナフトン、シクロペンチルフェニルケトン等を例示できる。
【0039】
エーテル類としては、総炭素数10以上の脂肪族エーテル類が有効であり、例えば、ジペンチルエーテル、ジヘキシルエーテル、ジヘプチルエーテル、ジオクチルエーテル、ジノニルエーテル、ジデシルエーテル、ジウンデシルエーテル、ジドデシルエーテル、ジトリデシルエーテル、ジテトラデシルエーテル、ジペンタデシルエーテル、ジヘキサデシルエーテル、ジオクタデシルエーテル、デカンジオールジメチルエーテル、ウンデカンジオールジメチルエーテル、ドデカンジオールジメチルエーテル、トリデカンジオールジメチルエーテル、デカンジオールジエチルエーテル、ウンデカンジオールジエチルエーテル等を例示できる。
【0040】
酸アミド類としては、例えば、アセトアミド、プロピオン酸アミド、酪酸アミド、カプロン酸アミド、カプリル酸アミド、カプリン酸アミド、ラウリン酸アミド、ミリスチン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘニン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、ベンズアミド、カプロン酸アニリド、カプリル酸アニリド、カプリン酸アニリド、ラウリン酸アニリド、ミリスチン酸アニリド、パルミチン酸アニリド、ステアリン酸アニリド、ベヘニン酸アニリド、オレイン酸アニリド、エルカ酸アニリド、カプロン酸N-メチルアミド、カプリル酸N-メチルアミド、カプリン酸N-メチルアミド、ラウリン酸N-メチルアミド、ミリスチン酸N-メチルアミド、パルミチン酸N-メチルアミド、ステアリン酸N-メチルアミド、ベヘニン酸N-メチルアミド、オレイン酸N-メチルアミド、エルカ酸N-メチルアミド、ラウリン酸N-エチルアミド、ミリスチン酸N-エチルアミド、パルミチン酸N-エチルアミド、ステアリン酸N-エチルアミド、オレイン酸N-エチルアミド、ラウリン酸N-ブチルアミド、ミリスチン酸N-ブチルアミド、パルミチン酸N-ブチルアミド、ステアリン酸N-ブチルアミド、オレイン酸N-ブチルアミド、ラウリン酸N-オクチルアミド、ミリスチン酸N-オクチルアミド、パルミチン酸N-オクチルアミド、ステアリン酸N-オクチルアミド、オレイン酸N-オクチルアミド、ラウリン酸N-ドデシルアミド、ミリスチン酸N-ドデシルアミド、パルミチン酸N-ドデシルアミド、ステアリン酸N-ドデシルアミド、オレイン酸N-ドデシルアミド、ジラウリン酸アミド、ジミリスチン酸アミド、ジパルミチン酸アミド、ジステアリン酸アミド、ジオレイン酸アミド、トリラウリン酸アミド、トリミリスチン酸アミド、トリパルミチン酸アミド、トリステアリン酸アミド、トリオレイン酸アミド、コハク酸アミド、アジピン酸アミド、グルタル酸アミド、マロン酸アミド、アゼライン酸アミド、マレイン酸アミド、コハク酸N-メチルアミド、アジピン酸N-メチルアミド、グルタル酸N-メチルアミド、マロン酸N-メチルアミド、アゼライン酸N-メチルアミド、コハク酸N-エチルアミド、アジピン酸N-エチルアミド、グルタル酸N-エチルアミド、マロン酸N-エチルアミド、アゼライン酸N-エチルアミド、コハク酸N-ブチルアミド、アジピン酸N-ブチルアミド、グルタル酸N-ブチルアミド、マロン酸N-ブチルアミド、アジピン酸N-オクチルアミド、アジピン酸N-ドデシルアミド等を例示できる。
【0041】
また、(ハ)成分として下記式(1)で示される化合物であってもよい。
【化1】
〔式中、Rは水素原子またはメチル基を示し、mは0~2の整数を示し、XおよびXのいずれか一方は-(CHOCORまたは(CHCOOR、他方は水素原子を示し、nは0~2の整数を示し、Rは炭素数4以上のアルキル基またはアルケニル基を示し、YおよびYはそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、メトキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示し、rおよびpはそれぞれ独立して、1~3の整数を示す。〕
【0042】
式(3)で示される化合物のうち、Rが水素原子の場合、より広いヒステリシス幅を有する可逆熱変色性組成物が得られるため好ましく、さらにRが水素原子であり、且つ、mが0の場合がより好ましい。
【0043】
なお、式(1)で示される化合物のうち、より好ましくは下記式(2)で示される化合物である。
【化2】
(式中、Rは炭素数8以上のアルキル基またはアルケニル基を示し、好ましくは炭素数10~24のアルキル基であり、より好ましくは炭素数12~22のアルキル基である。)
【0044】
式(2)で示される化合物としては、例えば、オクタン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル、ノナン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル、デカン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル、ウンデカン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル、ドデカン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル、トリデカン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル、テトラデカン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル、ペンタデカン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル、ヘキサデカン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル、ヘプタデカン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル、オクタデカン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル等を例示できる。
【0045】
さらに、(ハ)成分として下記式(3)で示される化合物であってもよい。
【化3】
(式中、Rは炭素数8以上のアルキル基またはアルケニル基を示し、mおよびnはそれぞれ独立して、1~3の整数を示し、XおよびYはそれぞれ独立して、水素原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示す。)
【0046】
式(3)で示される化合物としては、例えば、オクタン酸1,1-ジフェニルメチル、ノナン酸1,1-ジフェニルメチル、デカン酸1,1-ジフェニルメチル、ウンデカン酸1,1-ジフェニルメチル、ドデカン酸1,1-ジフェニルメチル、トリデカン酸1,1-ジフェニルメチル、テトラデカン酸1,1-ジフェニルメチル、ペンタデカン酸1,1-ジフェニルメチル、ヘキサデカン酸1,1-ジフェニルメチル、ヘプタデカン酸1,1-ジフェニルメチル、オクタデカン酸1,1-ジフェニルメチル等を例示できる。
【0047】
さらに、(ハ)成分として下記式(4)で示される化合物であってもよい。
【化4】
(式中、Xは水素原子、炭素数1~4のアルキル基、メトキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示し、mは1~3の整数を示し、nは1~20の整数を示す。)
【0048】
式(4)で示される化合物としては、例えば、マロン酸と2-〔4-(4-クロロベンジルオキシ)フェニル〕エタノールとのジエステル、こはく酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、こはく酸と2-〔4-(3-メチルベンジルオキシ)フェニル〕エタノールとのジエステル、グルタル酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、グルタル酸と2-〔4-(4-クロロベンジルオキシ)フェニル〕エタノールとのジエステル、アジピン酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、ピメリン酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、スベリン酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、スベリン酸と2-〔4-(3-メチルベンジルオキシ)フェニル〕エタノールとのジエステル、スベリン酸と2-〔4-(4-クロロベンジルオキシ)フェニル〕エタノールとのジエステル、スベリン酸と2-〔4-(2,4-ジクロロベンジルオキシ)フェニル〕エタノールとのジエステル、アゼライン酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、セバシン酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、1,10-デカンジカルボン酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、1,18-オクタデカンジカルボン酸と2-(4-ベンジルオキシフェニル)エタノールとのジエステル、1,18-オクタデカンジカルボン酸と2-〔4-(2-メチルベンジルオキシ)フェニル〕エタノールとのジエステル等を例示できる。
【0049】
さらに、(ハ)成分として下記式(5)で示される化合物であってもよい。
【化5】
(式中、Rは炭素数1~21のアルキル基またはアルケニル基を示し、nは1~3の整数を示す。)
【0050】
式(5)で示される化合物としては、例えば、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとカプリン酸とのジエステル、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとウンデカン酸とのジエステル、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとラウリン酸とのジエステル、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとミリスチン酸とのジエステル、1,4-ビス(ヒドロキシメトキシ)ベンゼンと酪酸とのジエステル、1,4-ビス(ヒドロキシメトキシ)ベンゼンとイソ吉草酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンと酢酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとプロピオン酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンと吉草酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとカプロン酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとカプリル酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとカプリン酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとラウリン酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとミリスチン酸とのジエステル等を例示できる。
【0051】
さらに、(ハ)成分として下記式(6)で示される化合物であってもよい。
【化6】
(式中、Xは水素原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示し、mは1~3の整数を示し、nは1~20の整数を示す。)
【0052】
式(6)で示される化合物としては、例えば、こはく酸と2-フェノキシエタノールとのジエステル、スベリン酸と2-フェノキシエタノールとのジエステル、セバシン酸と2-フェノキシエタノールとのジエステル、1,10-デカンジカルボン酸と2-フェノキシエタノールとのジエステル、1,18-オクタデカンジカルボン酸と2-フェノキシエタノールとのジエステル等を例示できる。
【0053】
さらに、(ハ)成分として下記式(7)で示される化合物であってもよい。
【化7】
(式中、Rは炭素数4~22のアルキル基、シクロアルキルアルキル基、シクロアルキル基、炭素数4~22のアルケニル基のいずれかを示し、Xは水素原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示し、nは0または1を示す。)
【0054】
式(7)で示される化合物としては、例えば、4-フェニル安息香酸デシル、4-フェニル安息香酸ラウリル、4-フェニル安息香酸ミリスチル、4-フェニル安息香酸シクロヘキシルエチル、4-ビフェニル酢酸オクチル、4-ビフェニル酢酸ノニル、4-ビフェニル酢酸デシル、4-ビフェニル酢酸ラウリル、4-ビフェニル酢酸ミリスチル、4-ビフェニル酢酸トリデシル、4-ビフェニル酢酸ペンタデシル、4-ビフェニル酢酸セチル、4-ビフェニル酢酸シクロペンチル、4-ビフェニル酢酸シクロヘキシルメチル、4-ビフェニル酢酸ヘキシル、4-ビフェニル酢酸シクロヘキシルメチル等を例示できる。
【0055】
さらに、(ハ)成分として下記式(8)で示される化合物であってもよい。
【化8】
(式中、Rは炭素数3~18のアルキル基または炭素数3~18の脂肪族アシル基を示し、Xは水素原子、炭素数1~3のアルキル基、炭素数1または2のアルコキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示し、Yは水素原子またはメチル基を示し、Zは水素原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1または2のアルコキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示す。)
式(8)で示される化合物としては、例えば、4-ブトキシ安息香酸フェノキシエチル、4-ペンチルオキシ安息香酸フェノキシエチル、4-テトラデシルオキシ安息香酸フェノキシエチル、4-ヒドロキシ安息香酸フェノキシエチルとドデカン酸とのエステル、バニリン酸フェノキシエチルのドデシルエーテル等を例示できる。
【0056】
さらに、(ハ)成分として下記式(9)で示される化合物であってもよい。
【化9】
(式中、Rは炭素数4~22のアルキル基、炭素数4~22のアルケニル基、シクロアルキルアルキル基、シクロアルキル基のいずれかを示し、Xは水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示し、Yは水素原子、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示し、nは0または1を示す。)
【0057】
式(9)で示される化合物としては、例えば、4-ヒドロキシ安息香酸オクチルの安息香酸エステル、4-ヒドロキシ安息香酸デシルの安息香酸エステル、4-ヒドロキシ安息香酸ヘプチルの4-メトキシ安息香酸エステル、4-ヒドロキシ安息香酸ドデシルの2-メトキシ安息香酸エステル、4-ヒドロキシ安息香酸シクロヘキシルメチルの安息香酸エステル等を例示できる。
【0058】
さらに、(ハ)成分として下記式(10)で示される化合物であってもよい。
【化10】
(式中、Rは炭素数3~18のアルキル基、炭素数6~11のシクロアルキルアルキル基、炭素数5~7のシクロアルキル基、炭素数3~18のアルケニル基のいずれかを示し、Xは水素原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~3のアルコキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示し、Yは水素原子、炭素数1~4のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示す。)
【0059】
式(10)で示される化合物としては、例えば、4-ヒドロキシ安息香酸ノニルのフェノキシエチルエーテル、4-ヒドロキシ安息香酸デシルのフェノキシエチルエーテル、4-ヒドロキシ安息香酸ウンデシルのフェノキシエチルエーテル、バニリン酸ドデシルのフェノキシエチルエーテル等を例示できる。
【0060】
さらに、(ハ)成分として下記式(11)で示される化合物であってもよい。
【化11】
(式中、Rは炭素数3~8のシクロアルキル基または炭素数4~9のシクロアルキルアルキル基を示し、nは1~3の整数を示す。)
【0061】
式(11)で示される化合物としては、例えば、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとシクロヘキサンカルボン酸とのジエステル、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとシクロヘキサンプロピオン酸とのジエステル、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼンとシクロヘキサンプロピオン酸とのジエステル等を例示できる。
【0062】
さらに、(ハ)成分として下記式(12)で示される化合物であってもよい。
【化12】
(式中、Rは炭素数3~17のアルキル基、炭素数3~8のシクロアルキル基、炭素数5~8のシクロアルキルアルキル基のいずれかを示し、Xは水素原子、炭素数1~5のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、ハロゲン原子のいずれかを示し、nは1~3の整数を示す。)
【0063】
式(12)で示される化合物としては、例えば、4-フェニルフェノールエチレングリコールエーテルとシクロヘキサンカルボン酸とのジエステル、4-フェニルフェノールジエチレングリコールエーテルとラウリン酸とのジエステル、4-フェニルフェノールトリエチレングリコールエーテルとシクロヘキサンカルボン酸とのジエステル、4-フェニルフェノールエチレングリコールエーテルとオクタン酸とのジエステル、4-フェニルフェノールエチレングリコールエーテルとノナン酸とのジエステル、4-フェニルフェノールエチレングリコールエーテルとデカン酸とのジエステル、4-フェニルフェノールエチレングリコールエーテルとミリスチン酸とのジエステル等を例示できる。
【0064】
更に、電子受容性化合物として炭素数3乃至18の直鎖または側鎖アルキル基を有する特定のアルコキシフェノール化合物を用いたり(特開平11-129623号公報、特開平11-5973号公報)、特定のヒドロキシ安息香酸エステルを用いたり(特開2001-105732号公報)、没食子酸エステル等を用いた(特公昭51-44706号公報、特開2003-253149号公報)加熱発色型(加熱により発色し、冷却により消色する)の可逆熱変色性組成物を適用することもできる(図3参照)。
【0065】
上記の可逆熱変色性組成物は、上記の(イ)成分、(ロ)成分、および(ハ)成分を必須成分とする相溶体であり、各成分の割合は、濃度、変色温度、変色形態や各成分の種類に左右されるが、一般的に所望の特性が得られる成分比は、(イ)成分1に対して、(ロ)成分0.1~100、好ましくは0.1~50、より好ましくは0.5~20、(ハ)成分5~200、好ましくは5~100、より好ましくは10~100の範囲である(上記した割合はいずれも質量部である)。
【0066】
さらに、可逆熱変色性組成物には、必要により各種光安定剤を配合しても良い。
光安定剤は、(イ)成分、(ロ)成分、および(ハ)成分からなる可逆熱変色性組成物の光劣化を防止するために含有され、(イ)成分1質量%に対して0.3~24質量%、好ましくは0.3~16質量%の割合で配合される。また、光安定剤のうち、紫外線吸収剤は、太陽光等に含まれる紫外線を効果的にカットして、(イ)成分の光反応による励起状態によって生ずる光劣化を防止する。また、酸化防止剤、一重項酸素消光剤、スーパーオキシドアニオン消光剤、オゾン消光剤等は光による酸化反応を抑制する。
光安定剤は単独で用いてもよいし、二種以上を併用して用いてもよい。
【0067】
本発明においては、マイクロカプセルは特定の構造を有している。その特定の構造は、マイクロカプセル顔料に含まれるマイクロカプセル、またはインキ組成物に含まれるマイクロカプセルの平均粒子径(X)と、平均切断断面膜厚(Y)とによって表現される。
【0068】
本発明において、平均粒子径は体積基準による平均粒子径(メジアン径)を用いる。
平均粒子径の最適な測定方法としては直接的測定法にてキャリブレーションを行ったレーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置、例えばレーザー回折式粒度分布測定装置LA-300(商品名、株式会社堀場製作所製)を用いて測定できる。
【0069】
キャリブレーションに用いる直接的測定法としては、
(i)顕微鏡で撮影した画像から個々の粒子の面積(2次元)を計測して相当径を測定する画像解析法、
(ii)コールターカウンターを用いて検出器の微小な穴(アパチャー)に定電流を流し、その穴を粒子が通過する際に生じるインピーダンスの変化から相当径を測定する、コールター法(電気的検知帯法)などが挙げられ、レーザー測定法のキャリブレーションはこれらによって得られた値を元に行なう。
【0070】
画像解析法による平均粒子径の測定は、例えば、画像解析式粒度分布測定ソフトウェア「マックビュー」(商品名、株式会社マウンテック製)を用いて粒子の領域を判定し、粒子の領域の面積から投影面積円相当径(Heywood径)を算出し、その値による等体積球相当の粒子の平均粒子径として測定することができる。
なお、コールター法による平均粒子径の測定は、全ての粒子、あるいは、大部分の粒子の粒子径が0.2μmを超える場合に適用可能であり、例えば、ベックマン・コールター株式会社製の粒度分布測定装置「Multisizer 4e」を用いて測定することができる。
【0071】
また、本発明によるマイクロカプセル顔料は、マイクロカプセルの平均切断断面膜厚(Y)が特定される。切断断面膜厚は、凍結されたマイクロカプセル顔料の断面画像を画像解析することによって得ることができる。具体的には、
(i)マイクロカプセル顔料の分散体、例えば水分散体を凍結し、
(ii)ミクロトームにより、厚さ50μmの薄片試料を作製し、
(iii)得られた薄片試料を、透過型電子顕微鏡、例えばHT7700(商品名、株式会社日立ハイテク製)により、視野内マイクロカプセル数が100~200程度の視野を観察し、
(iv)視野内のマイクロカプセルのそれぞれについて被膜断面の外周で囲まれた領域の面積、および被膜断面の内周で囲まれた領域の面積を測定し、
(v)求められた二つの面積から、断面外周直径および断面内周直径をそれぞれ算出し、
(vi)視野内のすべてのマイクロカプセルについて、
切断断面膜厚 =(断面外周直径-断面内周直径)/2
に基づいて、切断断面膜厚を算出し、その平均値を平均切断断面膜厚とする。
(iv)および(v)における断面外周直径および断面内周直径の決定は、上記した画像解析ソフトにより行うことができる。
なお、本発明における平均切断断面膜厚の算出は、上記(iv)、(v)によって切断断面膜厚の測定および算出ができたカプセルを対象とする。
【0072】
なお、本発明において切断断面膜厚は、単純にマイクロカプセルの被膜の厚さに対応するものではなく、膜厚とは異なったパラメーターである。マイクロカプセルの被膜の厚さを測定するのは、一般に非常に困難である。なぜならば、被膜の厚さを直接的に観察するには、マイクロカプセルの中心を通る切断面を観察する必要がある。しかし、粒径分布を有するマイクロカプセルのすべてについて、そのような切断面を得ることが困難である。さらに、マイクロカプセルは球形に近い形状を有することが多いが、内包物の膨張や収縮などによって異形化することがあり、マイクロカプセルの中心を定めることが困難な場合もある。これらの理由が複合するので、被膜の厚さを測定することが困難なのである。これに対して、本発明においては、被膜の厚さに代えて、切断断面膜厚に着目している。この切断断面膜厚は膜厚と一致しないものである。なぜなら、薄片試料作製の際に形成される切断面は、多くの場合、切断されるマイクロカプセルの中心を通らないからである。そして、実際のマイクロカプセルは粒径に分布を有するため、さらにマイクロカプセルの粒子径や被膜の厚さの測定は困難となる。
【0073】
一方で、本発明はこのようなパラメーターと、平均粒子径とが一定の条件を満たす場合に、マイクロカプセル顔料が優れた効果を奏することを見だして完成されたものである。
まず、本発明によるマイクロカプセル顔料に含まれるマイクロカプセルは、その体積基準平均粒子径(X)が、0.1~5.0μmであり、好ましくは0.5~5.0μmである。マイクロカプセルの体積基準平均粒子径(X)が過度に小さいと、一般的に発色濃度が低下する傾向にあり、また過度に大きいと、マイクロカプセルの沈降やインキ流路におけるつまりの原因となることがあるので注意が必要である。したがって、体積基準平均粒子径(X)が上記範囲内にあることで、発色濃度とマイクロカプセル顔料を含む組成物等の分散安定性が良好に維持できる。
【0074】
また、本発明によるマイクロカプセル顔料に含まれるマイクロカプセルは、平均切断面膜厚(Y)が0.02~1.0μmであり、0.05~0.8μmであることが好ましい。平均切断面膜厚(Y)が適当な範囲内にあることによって、耐久性と発色濃度のバランスに優れた可逆熱変色性マイクロカプセル顔料を得ることができる。
【0075】
さらに、本発明においてマイクロカプセルは、平均粒子径(X)と平均切断断面膜厚(Y)の比Y/Xは下記式(1)を満たすことが好ましく、(1a)を満たすことがより好ましく、(1b)を満たすことが時に好ましい。また、比Y/Xは下記式(2)を満たすことが好ましく、(2a)を満たすことがより好ましく、(2b)を満たすことが時に好ましい。比Y/Xが適当な範囲内にあることによって、耐久性と発色濃度のバランスに優れた可逆熱変色性マイクロカプセル顔料を得ることができる。
Y/X<0.3 (1)
Y/X<0.25 (1a)
Y/X<0.2 (1b)
0.02<Y/X (2)
0.03<Y/X (2a)
0.04<Y/X (2b)
【0076】
[マイクロカプセルの製造方法]
本発明によるマイクロカプセル顔料は、上記の(イ)、(ロ)、および(ハ)成分を含む可逆熱変色性組成物を被膜中に内包させたマイクロカプセルを含んでなる。
【0077】
可逆熱変色性組成物をマイクロカプセルに内包することにより、化学的、物理的に安定な顔料を構成することができ、さらに、種々の使用条件において可逆熱変色性組成物は同一の組成に保たれ、同一の作用効果を奏することができる。
【0078】
なお、マイクロカプセル化は、従来公知のイソシアネート系の界面重合法、メラミン-ホルマリン系等のin Situ重合法、液中硬化被覆法、水溶液からの相分離法、有機溶媒からの相分離法、融解分散冷却法、気中懸濁被覆法、スプレードライング法等の製造方法から、用途に応じて適宜選択される。さらにマイクロカプセルの表面には、目的に応じてさらに二次的な樹脂被膜を設けて耐久性を付与させたり、表面特性を改質させて実用に供することもできる。
【0079】
本発明によるマイクロカプセル顔料は、マイクロカプセル顔料中に含まれるマイクロカプセルの平均粒子径(X)および平均切断断面膜厚(Y)が特定の条件を満たすことが必要である。特定の条件を満たすためには、マイクロカプセルの製造条件を調整することが必要である。
マイクロカプセルの製造方法は、上記したとおり、種々の方法があり、それぞれの方法に応じて適切な条件は変化する。また、用いられる可逆熱変色性組成物を構成する成分や、マイクロカプセル被膜を形成する成分によっても変化する。このため、本発明によるマイクロカプセルを製造するためには、製造条件を変化させた場合の検量線を作成し、その中で最適条件を探索することが一般的である。
【0080】
例えば、マイクロカプセルを界面重合法により製造しようとする場合、マイクロカプセルの平均粒子径(X)や平均切断断面膜厚(Y)は、重合温度、重合時間、可逆熱変色性組成物と被膜材料の配合比、反応液の攪拌速度などによって変化する。これらパラメーターのうちのいずれか一つだけを変化させた場合のマイクロカプセルを数種類製造して、平均粒子径(X)や平均切断断面膜厚(Y)を測定して、検量線を作成する。その検量線だけによって目的のマイクロカプセルの製造条件が決定できないときは、さらに別のパラメーターを変化させて検量線を作成する。このようにして、所望の平均粒子径(X)や平均切断断面膜厚(Y)を有するマイクロカプセルを製造することができる。
【0081】
[可逆熱変色性液状組成物]
本発明による可逆熱変色性マイクロカプセル顔料は、水および/または有機溶剤と必要により各種添加剤を含むビヒクル中に分散させて可逆熱変色性液状組成物、例えばインキ組成物(以下、「インキ」と表すことがある)とすることで、スクリーン印刷、オフセット印刷、プロセス印刷、グラビヤ印刷、コーター、タンポ印刷等に用いられる印刷用インキ/刷毛塗り、スプレー塗装、静電塗装、電着塗装、流し塗り、ローラー塗り、浸漬塗装等に用いられる塗料/紫外線硬化型インキ/塗布具用インキ/スタンプ用インキ/絵の具/マニキュア用化粧料、メイクアップ用化粧料、毛髪用化粧料等の化粧料/繊維用着色液等の可逆熱変色性液状組成物として利用できる。
【0082】
本発明による液状組成物には各種添加剤を配合することができる。
添加剤としては、樹脂、架橋剤、硬化剤、乾燥剤、可塑剤、粘度調整剤、分散剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、光安定剤、沈降防止剤、平滑剤、ゲル化剤、消泡剤、つや消し剤、浸透剤、pH調整剤、発泡剤、カップリング剤、保湿剤、防黴剤、防腐剤、防錆剤等が挙げられる。
【0083】
また、本発明による液状組成物の媒体としては水が用いられるが、必要により水溶性有機溶剤を用いることもできる。
水溶性有機溶剤としては、例えば、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル等のグリコール類およびそれらの低級アルキルエーテル、2-ピロリドン、N-ビニルピロリドン、尿素等を例示できる。
水溶性有機溶剤の中でも、グリセリン、プロピレングリコールが好ましい。
【0084】
水溶性有機溶剤は、液状組成物全量に対して、好ましくは30~60質量%、より好ましくは30~55質量%、さらに好ましくは40~50質量%の範囲で配合される。水溶性有機溶剤の配合割合が適切な範囲内にあることにより、液状組成物が乾燥したり、吸湿したりすることがなく、鮮明な像が得られ易くなる。
【0085】
また、媒体として水溶性有機溶剤の他に、有機溶剤を用いることもできる。
有機溶剤としては、例えば、ヒマシ油脂肪酸アルキルエステル類、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート等のセロソルブ系溶剤、エチレングリコールアセテート、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルキレングリコール系溶剤、エチルホルメート、アミルホルメート、エチルアセテート、エチルアセトアセテート、プロピルアセテート、ブチルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート、アミルアセテート、メチル-3-メトキシプロピオネート、エチル-3-メトキシプロピオネート、エチル-3-エトキシプロピオネート、プロピル-3-メトキシプロピオネート、ブチル-3-メトキシプロピオネート、メチルラクテート、エチルラクテート、エチル-2-ヒドロキシブチレート、ブチルブチレート、ブチルステアレート、エチルカプレート、ジエチルオキサレート、エチルピルベート、エチルベンゾエート等のエステル系溶剤、n-ペンタン、n-ヘキサン、n-オクタン、n-ドデカン、ジイソブチレン、ジペンテン、ヘキセン、メチルシクロヘキセン、ビシクロヘキシル、ミネラルスピリット等の炭化水素系溶剤、アミルクロライド、ブチルクロライド等のハロゲン化炭化水素系溶剤、3-メトキシ-3-メチルブタノール、3-メトキシ-3-メチルペンタノール等のアルコール系溶剤、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、エチルイソブチルエーテル、ジブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジアミルエーテル、ジヘキシルエーテル等のエーテル系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルブチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルイソアミルケトン、エチルアミルケトン、メチルヘキシルケトン、メチルノニルケトン、ジイソプロピルケトン、ジイソブチルケトン、メトキシメチルペンタノン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、3-メトキシプロピオン酸、3-エトキシプロピオン酸等のプロピオン酸系溶剤、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N-メチルピロリドン、ベンゾニトリル等の高極性溶剤、或いはこれらの混合溶剤等を例示できる。
【0086】
さらに、液状組成物には、増粘剤を配合することもできる。
増粘剤としては、例えば、キサンタンガム、ウェランガム、構成単糖がグルコースとガラクトースの有機酸修飾ヘテロ多糖体であるサクシノグリカン(平均分子量約100万~800万)、グアーガム、ローカストビーンガムおよびその誘導体、ヒドロキシエチルセルロース、アルギン酸アルキルエステル類、メタクリル酸のアルキルエステルを主成分とする分子量10万~15万の重合体、グリコマンナン、寒天やカラゲニン等の海藻より抽出されるゲル化能を有する増粘多糖類、ベンジリデンソルビトールおよびベンジリデンキシリトールまたはこれらの誘導体、架橋性アクリル酸重合体、無機質微粒子、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレンラノリン・ラノリンアルコール・ミツロウ誘導体、ポリオキシエチレンアルキルエーテル・ポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、脂肪酸アミド等のHLB値が8~12のノニオン系界面活性剤、ジアルキルまたはジアルケニルスルホコハク酸の塩類等を例示できる。
【0087】
増粘剤の中でも、アルカリ可溶型アクリルエマルジョンが好ましい。
増粘剤としてアルカリ可溶型アクリルエマルジョンを用いる場合、インキのpHは、好ましくは6~11、より好ましくは7~11、さらに好ましくは7~10に調整される。
【0088】
さらに、液状組成物中には、バインダー樹脂を添加することにより像の固着性を高めたり、液状組成物の粘度を調整できる。
バインダー樹脂としては、樹脂エマルジョン、アルカリ可溶性樹脂、水溶性樹脂等が挙げられる。
【0089】
樹脂エマルジョンとしては、例えば、ポリアクリル酸エステル、スチレン-アクリル酸共重合体、ポリ酢酸ビニル、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-塩化ビニル共重合体、メタクリル酸-マレイン酸共重合体、エチレン-メタクリル酸共重合体、α-オレフィン-マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリウレタン等の水分散体等を例示できる。
【0090】
アルカリ可溶性樹脂としては、例えば、スチレン-マレイン酸共重合体、エチレン-マレイン酸共重合体、スチレン-アクリル酸共重合体等を例示できる。
水溶性樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等を例示できる。
樹脂エマルジョンは、単独で用いてもよいし、二種以上を併用して用いてもよい。
【0091】
その他、必要に応じて、pH調整剤、防腐剤或いは防黴剤等の各種添加剤を配合することもできる。
pH調整剤としては、例えば、アンモニア、炭酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、酢酸ソーダ等の無機塩類、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン等の水溶性のアミン化合物等の有機塩基性化合物等を例示できる。
防腐剤或いは防黴剤としては、例えば、石炭酸、1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オンのナトリウム塩、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、パラオキシ安息香酸プロピル、2,3,5,6-テトラクロロ-4-(メチルスルフォニル)ピリジン等を例示できる。
その他の添加剤としては、溶剤の浸透性を向上させるフッ素系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ジメチルポリシロキサン等が挙げられる。
【0092】
また、必要に応じてアクリル樹脂、スチレン-マレイン酸共重合物、セルロース誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、デキストリン等の樹脂を添加して紙面への固着性や粘性を付与することもできる。
【0093】
また、ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、ジシクロヘキシルアンモニウムナイトライト、ジイソプロピルアンモニウムナイトライト、サポニン等の防錆剤、尿素、ノニオン系界面活性剤、還元または非還元デンプン加水分解物およびトレハロース等のオリゴ糖類、ショ糖、サイクロデキストリン、ぶどう糖、デキストリン、ソルビット、マンニット、ピロリン酸ナトリウム等の湿潤剤、消泡剤、分散剤、液状組成物の浸透性を向上させるフッ素系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤等を配合することもできる。
【0094】
本発明による液状組成物中には、液状組成物全量に対して可逆熱変色性マイクロカプセル顔料が、好ましくは10~40質量%、より好ましくは10~35質量%、さらに好ましくは10~30質量%の範囲で配合される。マイクロカプセル顔料の配合割合が40質量%を超えると、インキ中でのマイクロカプセル顔料の分散安定性が低下し易くなる。一方、マイクロカプセル顔料の配合割合が10質量%未満では、発色濃度が低いことがある。
【0095】
本発明による液状組成物を塗布または印刷する場合、支持体の材質は特に限定されるものではなく全て有効であり、例えば、紙、合成紙、繊維、布帛、合成皮革、レザー、プラスチック、ガラス、陶磁材、金属、木材、石材等を例示できる。
支持体の形状は平面状に限らず、凹凸状であってもよい。
支持体上に、本発明による可逆熱変色性マイクロカプセル顔料を含む可逆熱変色層を設けることにより、可逆熱変色性積層体(可逆熱変色性印刷物)を得ることができる。
支持体上に非熱変色性着色層(非熱変色像)が予め形成されているものにあっては、温度変化により着色層または像を、可逆熱変色層によって隠顕させることができ、変化の様相をさらに多様化させることができる。
【0096】
[可逆熱変色性塗布用固形成形体]
本発明による可逆熱変色性マイクロカプセル顔料を、賦形剤に溶融ブレンドして成形することにより可逆熱変色性塗布用固形成形体とし、固形筆記体や固形化粧料として利用することができる。
固形筆記体としては、例えば、クレヨン、鉛筆芯、シャープペンシル芯、固形ゲルマーカー等を例示できる。
固形化粧料としては、例えば、ファンデーション、アイライナー、アイブロウ、アイシャドー、口紅等を例示できる。
【0097】
固形筆記体に用いられる賦形剤としては、ワックス、ゲル化剤、粘土等が挙げられる。
ワックスとしては、従来公知のものであれば特に限定されるものではなく、例えば、カルナバワックス、木ろう、蜜ろう、マイクロクリスタリンワックス、モンタンワックス、キャンデリラワックス、ショ糖脂肪酸エステル、デキストリン脂肪酸エステル、ポリオレフィンワックス、スチレン変性ポリオレフィンワックス、パラフィンワックス等を例示できる。
【0098】
ゲル化剤としては、従来公知のものであれば特に限定されるものではなく、例えば、12ヒドロキシステアリン酸、ジベンジリデンソルビトール類、トリベンジリデンソルビトール類、アミノ酸系油、高級脂肪酸のアルカリ金属塩等を例示できる。
粘土鉱物としては、例えば、カオリン、ベントナイト、モンモリロナイト等を例示できる。
【0099】
賦形材の中でも、筆跡濃度を向上させやすいことから、ポリオレフィンワックス、ショ糖脂肪酸エステル、またはデキストリン脂肪酸エステルの少なくとも一種を含有していることが好ましい。
ポリオレフィンワックスとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、α-オレフィン重合体、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-ブテン共重合体等のワックス等を例示できる。
【0100】
さらに、ポリオレフィンワックスの中でも、筆記し易いことから、軟化点が100~130℃の範囲にあり、且つ、針入度が10以下であるものが好ましい。
針入度が10を越えると、固形筆記体が柔らかすぎて筆記し難くなると共に、筆跡の消去時に筆跡が紙面上で伸びてしまう(ワックスが薄層化される)ことにより被筆記面の空白部分を汚染したり、他の紙への色移りや汚れを生じ易くなる。
なお、ポリオレフィンワックスの軟化点および針入度は、JIS K2207に規定された測定方法に準拠して測定することができ、針入度の値は、0.1mmを針入度1と表す。つまり、固形筆記体は、針入度の値が小さいほど硬く、大きいほど柔らかいことを示す。
【0101】
ポリオレフィンワックスとして具体的には、、ネオワックスシリーズ(商品名、ヤスハラケミカル株式会社製)、サンワックスシリーズ(商品名、三洋化成工業株式会社製)、:ハイワックスシリーズ(商品名、三井化学株式会社製)、A-Cポリエチレン(商品名、日本ハネウェル株式会社製)等を例示できる。
【0102】
ショ糖脂肪酸エステルとしては、炭素数12~22の脂肪酸を構成脂肪酸とするエステルが好ましくパルミチン酸、ステアリン酸がより好ましい。
ショ糖脂肪酸エステルとして具体的には、リョートーシュガーエステルシリーズ(商品名、三菱化学フーズ株式会社製)、シュガーワックスシリーズ(商品名、第一工業製薬株式会社製)等を例示できる。
【0103】
デキストリン脂肪酸エステルとしては、炭素数14~18の脂肪酸を構成脂肪酸とするエステルが好ましくパルミチン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸がより好ましい
デキストリン脂肪酸エステルとして具体的には、レオパールシリーズ(商品名、千葉製粉株式会社製)等を例示できる。
【0104】
また、固形筆記体に用いられる賦形材として、側鎖結晶性ポリオレフィンが好ましい。ここで側鎖結晶性ポリオレフィンとは、直線状の主鎖に対して、比較的長い側鎖が結合した構造を有しているものである。通常の直鎖状ポリオレフィンは、直鎖状である主鎖が折りたたまれて結晶化するため融解が広い温度範囲で起こり易いのに対し、側鎖結晶性ポリオレフィンは、結晶化が主としてポリオレフィン主鎖ではなく側鎖で起こり、その結果、融点(Mp)が低く、また融解が狭い温度範囲で起こるという特徴を有している。
このような側鎖結晶性ポリオレフィンの中でも、特に、側鎖に炭素数12~28の長鎖アルキル基を有しているものが好ましい。また、側鎖の長鎖アルキル基は特に限定されるものではなく、直鎖型であっても分岐型であってよいが、結晶性に優れることから直鎖型の長鎖アルキル基が好ましい。
【0105】
なお、側鎖のアルキル基は置換基を有していてもよいが、置換基によって結晶性が下がり易く、結晶性を調整するために側鎖結晶性ポリオレフィンの側鎖を、例えば、スチレンなどによって変性させることもできる。また、長鎖アルキル基は、水素結合を形成する官能基を有すると、水素結合によって長鎖アルキル基同士が結合して凝集し、結晶性が向上するため好ましい。
【0106】
また、側鎖結晶性ポリオレフィンには、高度な分岐構造を有するポリオレフィン(以下、「高分岐ポリオレフィン」と表す)が包含されるが、これを賦形材として用いることもできる。高分岐ポリオレフィンは、結晶化の際に主鎖が折りたたまれ難いため、融点が低く、また融解が狭い温度範囲で起こるという特徴を有している。
【0107】
なお、固形筆記体の機械的強度や熱変色特性に優れ、さらに製造時に取り扱い易いことから、賦形材は、重量平均分子量(Mw)が2,000~50,000であるものが好ましく、10,000~30,000であるものがより好ましい。また、数平均分子量(Mn)が1,000~10,000であるものが好ましい。
なお、重量平均分子量および数平均分子量は、ポリスチレンを基準としたゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定した値である。
【0108】
側鎖結晶性ポリオレフィンとして具体的には、豊国製油株式会社製、製品名:HSクリスタ4100(Mw:16,000、Mp:44.4℃)、同6100(Mw:28,000、融点:60.6℃)、出光興産株式会社製、製品名:エルクリスタ4100(Mw:16,000)、同6100(Mw:28,000)等を例示できる。
高分岐ポリオレフィンとして具体的には、VYBAR103(Mw:17,348、Mn:4,400、Mp:67.7℃)、VYBAR260(Mw:20,278、Mn:2,600、Mp:54.7℃)、VYBAR343(Mw:10,164、Mp:36.0℃)、VYBAR825(Mn:2,800)等(いずれも商品名、日本ベーカーヒューズ株式会社製を例示できる。
【0109】
賦形材は、固形筆記体全量に対して、好ましくは0.2~70質量%、より好ましくは0.5~40質量%の範囲で配合される。賦形剤の配合割合が適切な範囲内にあることにより、固形筆記体としての形状が得られ易いと共に、固形筆記体の筆跡濃度が高くなり易くなる。
【0110】
賦形剤の配合割合が70質量%を超えると、十分な筆記濃度が得られ難くなる。一方、賦形剤の配合割合が0.2質量%未満では、筆記可能な芯材としての形状が得られ難くなる。
【0111】
また、固形筆記体中には、フィラーを配合することにより固形筆記体の強度の向上や書き味を調整することができる。
【0112】
フィラーとしては、例えば、タルク、クレー、シリカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナ、マイカ、窒化硼素、チタン酸カリウム、ガラスフレーク等を例示できる。
フィラーの中でも、成形性に優れ、マイクロカプセル顔料を用いた場合に熱変色特性を損ない難いことから、タルクまたは炭酸カルシウムが好ましい。
【0113】
フィラーは、固形筆記体全量に対して、好ましくは10~65質量%の範囲で配合される。フィラーの配合割合が65質量%を超えると、発色性や書き味が低下し易くなる。一方、フィラーの配合割合が10質量%未満では、固形筆記体の強度が低下し易くなる。
【0114】
さらに、固形筆記体中には、バインダー樹脂を配合することにより固形筆記体の強度を向上させることができる。
【0115】
バインダー樹脂としては、天然樹脂、合成樹脂等が挙げられ、例えば、オレフィン系樹脂、セルロース系樹脂、ビニルアルコール系樹脂、ピロリドン系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、アミド系樹脂、塩基性基含有樹脂等を例示できる。
【0116】
バインダー樹脂の中でも、エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン-ビニルアルコール共重合樹脂、ポリビニルアルコール樹脂が好ましく、これらの樹脂とポリエステルポリオール樹脂とを併用することによって、成形安定性を向上させることができる。
バインダー樹脂は、固形筆記体全量に対して、好ましくは0.5~5質量%の範囲で配合される。
【0117】
また、固形筆記体中には、ヒンダードアミン化合物を配合することにより、被筆記面の筆跡を消去した箇所の残像を視認され難くすることができる。このため、被筆記面の見栄えを損なうことなく、しかも、再筆記性を満足させることができ、商品性を高めることができる。
【0118】
ヒンダードアミン化合物としては、他の成分との相溶性に富み、ブリードアウトし難く、経時後も明瞭な筆跡を形成できることから、分子量が1000以下であるものが好ましい。
また、融点は120℃以下であることが好ましい。融点が低いことにより、製造時に過度の熱を加えることなく固形筆記体を製造することができ、固形筆記体中に含有される可逆熱変色性組成物、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料または樹脂粒子等の可逆熱変色性着色剤の劣化を防止することができる。
【0119】
その他、必要に応じて、各種添加剤を配合することもできる。
添加剤としては、例えば、粘度調整剤、防黴剤或いは防腐剤、抗菌剤、紫外線防止剤、酸化防止剤、潤滑剤、香料等を例示できる。
【0120】
固形筆記体は、単独で筆記体として使用してもよいし、内芯として用いてその外周面を被覆する外殻を設けた芯鞘構造(二重芯)としてもよい。
【0121】
外殻は、内部にある固形筆記体(内芯)が物理的接触によって損傷を受けることを防止し、固形筆記体全体の機械的強度の向上に寄与する。外殻には、筆跡形成に寄与する可逆熱変色性組成物、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料または樹脂粒子等の可逆熱変色性着色剤を含んでいてもよいし含んでいなくてもよいが、一般に固形筆記体の先端は錐状に削られることが多いため、外殻は筆跡には影響を与えないことが多い。そのため、外殻には可逆熱変色性着色剤を配合しないのが一般的である。
【0122】
外殻には、必要に応じて、各種添加剤を配合することもできる。
添加剤としては、例えば、非熱変色性着色剤、防黴剤或いは防腐剤、抗菌剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、潤滑剤、香料等を例示できる。
【0123】
固形筆記体は、押出成形や、圧縮成形等の製造方法により製造することができる。
上記した、内芯の外周面を被覆する外殻を設けた芯鞘構造の固形筆記体は、例えば、内芯の塊状物の外周面に外殻を配設し、プレスにて圧縮成形をする等の製造方法により製造することができる。
【0124】
固形筆記体の太さや長さは、目的に応じて任意に選択される。例えば、固形筆記体を鉛筆の芯として利用する場合、一般的な太さは2.0~5.0mm、好ましくは2.5~4.0mmである。また、長さは60~300mm、好ましくは80~200mmである。
【0125】
また、固形筆記体を芯鞘構造とする場合の、内芯の太さおよび外殻の厚さも任意に選択される。外殻の厚さが厚いと耐衝撃性に優れ、一方で外殻の厚さが薄いと内芯の露出量が多くなるため、使い勝手に優れ易くなる。内芯の半径長さに対する外殻の厚さは、好ましくは10~100%、より好ましくは20~50%の範囲である。
【0126】
なお、固形筆記体の太さや長さは、鉛筆以外の用途、例えば、シャープペンシルの芯、クレヨン等の用途に応じて適切に調整される。
【0127】
本発明による固形筆記体は、各種被筆記面に対して筆記することが可能であり、可逆熱変色性マイクロカプセル顔料を用いているため、被筆記面に筆記して得られた筆跡は、指による擦過や、前述の加熱具または冷熱具の適用により変色させることができる。簡便な方法により変色させることができることから、加熱具としては、前述の摩擦部材が好ましい。
【0128】
また、固形筆記体と、固形筆記体とは別体で任意形状の摩擦部材(摩擦体)とを組み合わせて固形筆記体セットを得ることもできるが、摩擦部材を固形筆記体、または、固形筆記体を外装収容物に収容した固形筆記具の外装に設けることにより、携帯性に優れたものとすることができる。具体的には、外装が木や紙などの鉛筆や、クレヨン等の形状に、摩擦部材を設けた形態等が挙げられる。
【0129】
[可逆熱変色性成形用樹脂組成物]
さらに、本発明による可逆熱変色性マイクロカプセル顔料は、成形用樹脂、例えば熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、またはワックス類等に溶融ブレンドして、ペレット、粉末、またはペースト形態とし、可逆熱変色性成形用樹脂組成物として利用できる。
【0130】
本発明による可逆熱変色性成形用樹脂組成物を汎用の射出成形、押出成形、ブロー成形、または注型成形等の手段により、任意形象の立体造形物、フィルム、シート、板、フィラメント、棒状物、パイプ等の形態の成形体が得られる。
また、熱可塑性樹脂に溶融ブレンドすることにより、トナー、粉体塗料を得ることもできる。
【0131】
なお、可逆熱変色性液状組成物、塗布用固形成形体、成形用樹脂組成物中に、一般の染料および顔料等の非熱変色性着色剤を配合することにより、有色(1)から有色(2)への変色挙動を呈するものとすることができる。
【0132】
本発明によるマイクロカプセル顔料を含む成形体または積層体上には、光安定剤および/または透明性金属光沢顔料を含む層を積層させることにより、耐光性を向上させたり、或いは、トップコート層を設けて耐久性を向上させることもできる。
【0133】
光安定剤としては、紫外線吸収剤、酸化防止剤、一重項酸素消光剤、スーパーオキシドアニオン消光剤、オゾン消光剤等が挙げられる。
【0134】
透明性金属光沢顔料としては、芯物質として天然雲母、合成雲母、ガラス片、アルミナ、透明性フィルム片の表面を酸化チタン等の金属酸化物で被覆した顔料等が挙げられる。
【0135】
[マイクロカプセル顔料の適用例]
本発明による可逆熱変色性マイクロカプセル顔料を用いた製品として具体的には、以下のものを例示できる。
(1)玩具類
人形および動物形象玩具、人形および動物形象玩具用毛髪、人形の家および家具、衣類、帽子、鞄、靴等の人形用付属品、アクセサリー玩具、ぬいぐるみ、描画玩具、玩具用絵本、ジグソーパズル等のパズル玩具、積木玩具、ブロック玩具、粘土玩具、流動玩具、こま、凧、楽器玩具、料理玩具、鉄砲玩具、捕獲玩具、背景玩具、乗物、動物、植物、建築物、食品等を模した玩具等、
(2)衣類
Tシャツ、トレーナー、ブラウス、ドレス、水着、レインコート、スキーウェア等の被服、靴および靴紐等の履物、ハンカチ、タオル、風呂敷等の布製身の回り品、手袋、ネクタイ、帽子、スカーフ、マフラー等、
(3)屋内装飾品
絨毯、カーテン、カーテン紐、テーブル掛け、敷物、クッション、カーペット、ラグ、椅子張り地、シート、マット、額縁、造花、写真立て等、
(4)家具
布団、枕、マットレス等の寝具、照明器具、冷暖房器具等、
(5)装飾品
指輪、腕輪、ティアラ、イヤリング、髪止め、付け爪、リボン、スカーフ、時計、眼鏡等、
(6)文房具類
スタンプ具、消しゴム、下敷き、定規、手帳、粘着テープ等、
(7)日用品
口紅、アイシャドー、ファンデーション、アイライナー、アイブロウ、マニキュア、染毛剤、付け爪、付け爪用塗料等の化粧品、歯ブラシ等、
(8)台所用品
コップ、皿、箸、スプーン、フォーク、鍋、フライパン等、
(9)その他
カレンダー、ラベル、カード、記録材、偽造防止用の各種印刷物、絵本等の書籍、鞄、包装用容器、刺繍糸、運動用具、釣り具、コースター、楽器、カイロ、蓄冷剤、財布等の袋物、傘、乗物、建造物、温度検知用インジケーター、教習具等。
【0136】
[実施例]
【0137】
以下に実施例を示す。なお、実施例中の部は質量部を示す。
【0138】
・実施例1
(可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の調製)
(イ)成分として3′,6′-ビス〔フェニル(3-メチルフェニル)アミノ〕-スピロ[イソベンゾフラン-1(3H),9′-[9H]キサンテン]-3-オン2部、(ロ)成分として2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン8部、(ハ)成分としてカプリン酸4-ベンジルオキシフェニルエチル50部を混合して可逆熱変色性組成物を調製した。この組成物を、被膜材料として芳香族イソシアネートプレポリマーを45部、助溶剤を40部からなる混合溶液に投入した。この混合溶液を10%ポリビニルアルコール水溶液中で乳化分散し、加温しながらホモミキサーで10,000rpmの攪拌速度で攪拌を続けた後、水溶性脂肪族変性アミン2.5部を加え、更に攪拌を続けてマイクロカプセル分散液を調製した。上記のマイクロカプセル分散液をフィルタープレス機でろ過することにより可逆熱変色性マイクロカプセル顔料を得た。
【0139】
可逆熱変色性マイクロカプセル顔料に含まれるマイクロカプセルの平均粒子径(X)は、画像解析法によりキャリブレーションを行ったレーザー回折/散乱式粒子径分布測定装置(LA-300(商品名、株式会社堀場製作所製))用いて測定した。得られた体積基準平均粒子径(X)は0.75μmであった。
【0140】
可逆熱変色性マイクロカプセル顔料に含まれるマイクロカプセルの平均切断断面膜厚(Y)は、可逆熱変色性組成物が発色状態の顔料の水分散体を凍結して顔料の異形化の変動を無くしたものをミクロトームにより、厚さ50μmの薄片試料を作製し、透過型電子顕微鏡HT7700(商品名、株式会社日立ハイテク製)により観察画像を解析して測定した。観察画像の視野内のマイクロカプセル数は150個であった。画像解析により、全マイクロカプセルの切断断面膜厚を算出し、その平均値から得られた平均切断断面膜厚(Y)は0.08μmであった。
【0141】
・実施例2~33ならびに比較例1および2
(可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の調製)
実施例1の被膜材料の添加量および攪拌速度を調整して実施例2~33の可逆熱変色性マイクロカプセル顔料を得た。
【0142】
(可逆熱変色性液状組成物、および試料の調製)
実施例2~33、または比較例1もしくは2で得られた各可逆熱変色性マイクロカプセル顔料40部、エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂エマルジョン52部、増粘剤5部、エチレングリコール4部、レベリング剤3部を混合して可逆熱変色性液状組成物(インキ組成物)を調製した。
【0143】
(発色時の色濃度試験)
得られた可逆熱変色性液状組成物を用いて、上質紙にベタ柄をスクリーン印刷し可逆熱変色層を設けて、試料を得た。
【0144】
試料の可逆熱変色層の、発色状態における色濃度を目視により観察した。評価の基準は以下の通り。
A: 非常に濃く、鮮明である。
B: 濃い。
C: 色がわずかに薄い。視認は十分可能である。
D: 色が幾分薄いが、実用上問題ない。
E: 色が薄く視認性が低い、実用上問題がある。
【0145】
(マイクロカプセル被膜の耐久性試験)
各例による可逆熱変色性液状組成物を調製直後に使用して、上質紙にベタ柄をスクリーン印刷し可逆熱変色層を設けて、初期試料を得た。さらに各例による組成物を40℃で30日間放置した後、同様にスクリーン印刷し、経時後試料を得た。
得られた各例の初期試料および経時後試料について、発色状態の色濃度を目視により観察した。評価の基準は以下の通り。
A: 経時後試料の発色濃度は初期試料と比較して全く変化がない。
B: 経時後試料の発色濃度は初期の試験試料と比較して濃さに殆ど変化がない。
C: 経時後試料の発色濃度は初期試料と比較して色がわずかに薄い。視認は十分可能である。
D: 経時後試料の発色濃度は初期試料と比較して色が幾分薄いが、実用上問題ない。
E: 経時後試料の発色濃度は初期試料と比較して色が薄く視認性が低い、実用上問題がある。
【0146】
以下の表1に、実施例1~33ならびに比較例1および2の可逆熱変色性マイクロカプセル顔料に含まれるマイクロカプセルの平均粒子径(X)、平均切断断面膜厚(Y)、Y/X、発色時の色濃度試験結果、マイクロカプセル被膜の耐久性試験結果を示す。
【0147】
【表1】
【0148】
・応用例1 (可逆熱変色性マグカップ)
実施例2で調製した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料(予め-18℃以下に冷却して青色に発色させたもの)30部、硬質液状エポキシ樹脂60部、紫外線吸収剤2部、揺変性付与剤2部、消泡剤0.5部を混合し、更に常温硬化型の脂肪族ポリアミン40部を添加して可逆熱変色性液状組成物(エポキシインキ)を得た。
【0149】
得られたエポキシインキを用いて、陶器製マグカップの側面に曲面印刷機を用いてステンレススクリーン版にて水玉模様の印刷を施し、70℃で1時間加熱硬化させて可逆熱変色層を設け、可逆熱変色性マグカップを得た。
【0150】
そのマグカップに64℃以上の温水を注ぐと白色になり、-18℃~64℃の温度域に保持されている限りその状態が視認される。
また、そのマグカップを-18℃以下に冷却し、可逆熱変色層を完全に発色させると青色の水玉模様を有するマグカップになり、繰り返し何度も使用することができた。
【0151】
・応用例2 (スタンプの作製)
実施例6で調製した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料(予め-18℃以下に冷却して青色に発色させたもの)20部と、グリセリン50部と、アルカリ可溶型アクリルエマルジョン〔ローム・アンド・ハース・ジャパン株式会社製、製品名:プライマルDR73〕1.5部と、トリエタノールアミン0.9部と、ポリビニルピロリドン50%水溶液10部と、シリコン系消泡剤0.2部と、浸透レベリング剤0.5部と、防腐剤0.2部と、水16.7部とを混合して可逆熱変色性液状組成物(スタンプ用インキ組成物)を調製した。
【0152】
得られたスタンプ用インキ組成物を、連続気孔を有する印材に含浸させ、印材の印面が露出するようにスタンプ基材に固着し、キャップを嵌めてスタンプを作製した。
なお、スタンプ基材の後端部には、摩擦部材としてSEBS樹脂を装着してなる。
そのスタンプを用いて被押印面(紙面)に繰り返し押しつけると、印材の印面からインキが円滑に流出して被押印面に移り、印像が滲むことなく、明瞭な印像を連続して形成することができた。
【0153】
印像は、室温(25℃)では青色を呈しており、摩擦部材を用いて擦過すると、該印像は消色して無色となり、この状態は-18℃以下に冷却しない限り維持することができた。
【0154】
なお、紙面を冷凍庫に入れて-18℃以下に冷却すると、再び印像が青色になる変色挙動を示し、この変色挙動は繰り返し再現することができた。
【0155】
・応用例3 (可逆熱変色性表示体)
支持体として白色ポリエステルフィルム(厚み25μm)の表面に、実施例19で調製した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料をバインダー樹脂を含むビヒクル中に分散させた可逆熱変色性液状組成物(印刷インキ組成物)を用いて印刷して可逆変色層を設け、更にその上面に厚み16μmの透明ポリエステルフィルムでラミネート処理して、可逆熱変色性積層体(表示体)を得た。
【0156】
得られた表示体を、一旦、-18℃以下に冷却し、可逆熱変色層を完全に青色に発色させた後、熱転写プリンターを用いて印字して白色の抜き文字を形成した。
その白色の抜き文字は、表示体が-18℃~64℃の温度域に保持されている限り視認される。
【0157】
また、その表示体を再び-18℃以下に冷却し、可逆熱変色層を完全に青色に発色させると白色の抜き文字は視認されなくなり、熱転写プリンターを用いて白色の抜き文字を形成することにより、繰り返し何度も使用することができた。
【0158】
・応用例4 (人形)
実施例20で調製した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料5部と、分散剤1部と、融点180℃のナイロン12(94部)と、ピンク色の一般顔料0.1部とを、エクストルーダ-にて200℃で溶融混合して、芯部用の可逆熱変色性成形用樹脂組成物(ペレット)を調製した。
【0159】
得られたペレットを芯部成形用押出成形機に、ナイロン12ナチュラルペレットを鞘部成形用押出成形機にそれぞれ供給し、複合繊維紡糸装置を用いて芯部:鞘部の体積比が6:4となるように、18孔の吐出孔より200℃で紡出し、外径90μmの単糸18本からなる可逆熱変色性複合繊維を調製した。
【0160】
さらに、可逆熱変色性複合繊維を常法により人形の頭部に植毛し、可逆熱変色性複合繊維を用いた毛髪を備えた人形を作製した。
【0161】
得られた人形の毛髪を、一旦、-18℃以下に冷却し、紫色に変色させた後、64℃以上の温水に浸漬すると紫色からピンク色に変化した。また、温水から取り出して-18℃以下に冷却すると再び紫色に変化した。この変化は繰り返し行うことができた。
【0162】
・応用例5 (電気コード用プラグ)
実施例21で調製した可逆熱変色性色彩記憶性マイクロカプセル顔料2.5部および非熱変色性蛍光ピンク色顔料1.5部を、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂12.5部、キシレン38.3部、酢酸ブチル45部、粘度調整剤0.2部からなる油性インキビヒクルに均一に分散させて可逆熱変色性液状組成物(塗料)を調製した。
【0163】
得られた塗料を-18℃以下の温度に冷却して紫色に変色させた後、家庭用電気コードのプラグ部分(白色)にスプレー塗装して可逆熱変色層を設け、可逆熱変色性色彩記憶性プラグを得た。
【0164】
そのプラグは室温(25℃)で紫色を呈しているが、加温により64℃以上の温度でピンク色となった。この変色状態から冷却すると、-18℃以下の温度で再び紫色となった。
【0165】
そのプラグは、65℃以上の温度でピンク色になると-18℃以下の温度に冷却されない限りピンク色の変色状態を保持することができるため、プラグが異常過熱状態となり、64℃以上の高温域に達した場合の温度履歴を目視により検知できた。
【0166】
・応用例6 (偽造判別マーク)
実施例23で調製した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料20部(予め-18℃以下に冷却して青色に発色させたもの)を、アクリル系樹脂エマルジョン(固形分40%)78.0部、消泡剤2.0部からなる水性インキビヒクルに均一に分散させて可逆熱変色性液状組成物(印刷インキ)を調製した。
【0167】
上質紙上に非熱変色性インキを用いて印刷された商品券に、得られた印刷インキを用いてグラビヤ印刷により偽造判別マークを印刷した。その偽造判別マークは室温(25℃)ではピンク色を呈しており、体温や環境温度では色変化しないが、64℃以上に加熱すると無色となり、-18℃以下に冷却すると再び青色となった。
【0168】
その偽造判別マークは室温温度域では青色を呈して色変化しないため、偽造判別マークであることを識別できないが、64℃以上に加熱すると無色となることから、偽造防止機能を有していた。
【0169】
・応用例7 (可逆熱変色性印刷物)
実施例27で調製した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料(予め-18℃以下に冷却して青色に発色させたもの)30部と、赤色染料5部と、アマニ油系オフセットインキビヒクル65部とを混合して、可逆熱変色性液状組成物(オフセットインキ組成物)を調製した。
【0170】
印刷媒体として上質紙の表裏両面に、得られた組成物を用いてオフセット印刷を施し、乾燥して硬化させて日付が記載された暦(熱変色像)を形成した。
【0171】
次いで、非変色性の黒色オフセットインキを用いてオフセット印刷を施し、乾燥して硬化させて枠線(非変色像)を形成して、可逆熱変色性印刷物を作製した。
【0172】
その可逆熱変色性印刷物は、初期は紫色の日付が記載された手帳形態の印刷物であるが、摩擦部材を用いて表面の任意の箇所の熱変色像を擦過することにより生じた摩擦熱により赤色に変色させることができ、変色した状態は室温(25℃)で維持できるため、休日のスケジュール管理に有用であった。
【0173】
・応用例8 (Tシャツ)
実施例29で調製した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料(予め-18℃以下に冷却して青色に発色させたもの)30部をアクリル系樹脂エマルジョン(固形分45%)60部、粘度調整剤1部、消泡剤0.2部、水8.8部からなる水性インキビヒクルに均一に分散させて可逆熱変色性液状組成物(印刷インキ組成物)を調製した。
【0174】
得られたインキ組成物を用いて白地のTシャツ(綿製)に、100メッシュのスクリーン版で多数の星のパターンをスクリーン印刷して可逆熱変色性Tシャツを得た。
【0175】
そのTシャツは室温(25℃)では多数の青色の星柄が視認され、体温や環境温度では変化しないが、64℃以上に加熱すると星柄部分が無色となり、-18℃以下に冷却すると再び青色の星柄が視認された。
【0176】
そのTシャツの星柄の一部をアイロン等による加温で消色させて、任意の星のみを消色させた白抜きパターンや、星の部分で文字やパターンを形成し、Tシャツの柄を任意に変化させることができた。また、その変色状態を室温温度域で保持させることができ、全体を64℃以上に加温して星柄部分を全面消色させた後、-15℃以下に冷却して星柄全面を発色させ、再び任意の柄を形成することができた。
【0177】
・応用例9 (固形筆記体)
実施例30で調製した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料(予め-18℃以下に冷却して青色に発色させたもの)40部と、タルク(フィラー)35部と、側鎖結晶性ポリオレフィン(賦形剤)〔豊国製油株式会社製、製品名:HSクリスタ4100〕10部と、ポリオレフィンワックス(賦形剤)〔三洋化成工業株式会社製、製品名:サンワックス131-P(軟化点110℃、針入度3.5)〕10部と、スチレン-アクリル酸共重合樹脂2部と、ポリビニルアルコール樹脂2部と、ヒンダードアミン系光安定剤1部とを、ニーダーにて混練し、内芯用混錬物を調製した。
【0178】
次いで、タルク(フィラー)69部と、ショ糖脂肪酸エステル10部と、ポリオレフィンワックス(賦形剤)10部と、エチレン-酢酸ビニル共重合体10部とを、ニーダーにて混練し、外殻用混錬物を調製した。
【0179】
内芯用混練物を内芯とし、その外周面に外殻用混練物を巻き付け、プレスにて圧縮成形を行い、外径φ3mm、長さ60mm(内芯がφ2mmであり、外殻の被覆厚が0.5mm、寸法は設定値)に成形することで、芯鞘構造の可逆熱変色性塗布具用固形成形体(固形筆記体)を作製した。なお、圧縮成形後に-17℃まで冷却し、常温に戻して固形筆記体を製造したものである。
【0180】
得られた固形筆記体を、丸形外軸(木軸)内に収納成形することで鉛筆を得た。さらに、鉛筆の後端に、金属製の連結部材を介してSEBS樹脂からなる円柱状摩擦体を固着して摩擦体付固形筆記具(摩擦体付鉛筆)を作製した。
【0181】
作製された固形筆記具を用いて紙面に筆記して青色の文字(筆跡)を形成したところ、筆跡は、室温(25℃)では青色を呈しており、摩擦部材を用いて文字を擦過すると、該文字は消色して無色となり、この状態は-18℃以下に冷却しない限り維持することができた。
【0182】
なお、紙面を冷凍庫に入れて-18℃以下に冷却すると、再び文字が青色になる変色挙動を示し、この変色挙動は繰り返し再現することができた。
【0183】
・応用例10 (可逆熱変色性ミニチュアカー)
実施例32で調製した可逆熱変色性マイクロカプセル顔料(予め-18℃以下に冷却して青色に発色させたもの)15部、50%アクリル樹脂/キシレン溶液40部、キシレン20部、メチルイソブチルケトン20部、ポリイソシアネート系硬化剤5部からなるビヒクル中に攪拌混合して可逆熱変色性液状組成物(スプレー塗料)を得た。
【0184】
得られたスプレー塗料を、白色のミニチュアカーのボディ全体にスプレー塗装を施して乾燥して可逆熱変色層を設け、可逆熱変色性ミニチュアカー(玩具)を得た。
そのミニチュアカーを64℃以上に加温すると白色になり、-18℃~64℃の温度域に保持されている限りその状態が視認される。
【0185】
また、そのミニチュアカーを-18℃以下に冷却し、可逆熱変色層を完全に発色させると青色のミニチュアカーになり、繰り返し何度も使用することができた。
【符号の説明】
【0186】
完全発色温度
発色開始温度
消色開始温度
完全消色温度
完全消色温度
消色開始温度
発色開始温度
完全発色温度
図1
図2
図3