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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023006742
(43)【公開日】2023-01-18
(54)【発明の名称】容器配列ピッチ調整装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 47/28 20060101AFI20230111BHJP
【FI】
B65G47/28 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021109492
(22)【出願日】2021-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】390029090
【氏名又は名称】靜甲株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117190
【弁理士】
【氏名又は名称】前野 房枝
(72)【発明者】
【氏名】井原 拓眞
(72)【発明者】
【氏名】安藤 史明
(72)【発明者】
【氏名】村山 浩太郎
【テーマコード(参考)】
3F081
【Fターム(参考)】
3F081AA04
3F081BA01
3F081BD08
3F081CB05
3F081CB10
3F081CC08
3F081DA02
3F081DA10
3F081FA10
(57)【要約】      (修正有)
【課題】高能力での容器のピッチ調整搬送においても、容器が倒れるリスクを小さくすることができ、容器の形状等の変化にも対応可能な容器配列ピッチ調整装置を提供する。
【解決手段】容器がピッチ調整ラインへ至った繰り入れ姿勢時には、各プロペラセットにおいて対の上側プロペラと対の下側プロペラは一定の角度差で位置し、いずれか一方の対のプロペラが容器に当接して進行を抑え、他方の対のプロペラは容器を一方の対のプロペラとの間に挟み込むとともに後続の容器の進行を抑え、繰り出し搬送時には、対の上側プロペラと対の下側プロペラは一定の角度差を保持したまま回転し、繰り出し姿勢時には、他方の対のプロペラは回転してピッチ調整ラインへ至り、一方の対のプロペラは他方の対のプロペラと一定の角度差で容器を挟持可能な位置まで回転することにより容器の進行方向を開放したあと、再び繰り入れ姿勢時の状態に戻る、その一連の動作を繰り返す。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送用コンベアの搬送路上を搬送される容器を所定のピッチ間隔で下流側へ繰り出すピッチ調整装置であって、
同心の回転軸で水平面内で回転する、同型の上側プロペラと下側プロペラを有するプロペラセット2基を前記搬送用コンベアの搬送路を挟んで対向させ、各プロペラセットの上側プロペラを対とするとともに各下側プロペラを対とし、対の上側プロペラ並びに対の下側プロペラのそれぞれが、前記搬送路中央ラインを以て線対称に位置し、前記搬送用コンベアの進行方向に合わせて互いに反対方向へ常に回転するように配設されたプロペラ配設部と、
制御信号により、前記プロペラ配設部の対の上側プロペラを回転させる上側プロペラ駆動部、並びに、前記プロペラ配設部の対の下側プロペラを回転させる下側プロペラ駆動部と、
前記上側プロペラ駆動部、並びに、前記下側プロペラ駆動部へ前記制御信号を送信する制御部と、を備え、
ピッチ調整に供する容器がピッチ調整ラインへ至った繰り入れ姿勢時には、前記各プロペラセットにおいて上側プロペラと下側プロペラは一定の角度差θで位置し、前記ピッチ調整ラインへ回転した前記対の上側プロペラまたは対の下側プロペラのいずれか一方の対のプロペラが該容器に対し搬送方向において当接して進行を抑え、他方の対のプロペラは該容器とその後続の容器との間に位置して該容器を反搬送方向から前記一方の対のプロペラとの間に挟み込むとともに、後続の容器の進行を抑え、
該容器がピッチ調整ライン上を進行する繰り出し搬送時には、前記各プロペラセットにおいて上側プロペラと下側プロペラは一定の角度差θを保持したまま回転し、
該容器がピッチ調整ラインを越えて繰り出される繰り出し姿勢時には、前記他方の対のプロペラは回転して前記ピッチ調整ラインへ至り、前記一方のプロペラは該他方の対のプロペラと一定の角度差θで容器を挟持可能な位置まで回転することにより該容器の進行方向を開放したあと、再び前記繰り入れ姿勢時の状態に戻る、
その一連の動作を繰り返してピッチ調整を行うことを特徴とする容器配列ピッチ調整装置。
【請求項2】
前記各上側プロペラ並びに各下側プロぺラは長短軸対称の紡錘形に形成されており、長短軸が交差する中央を回転中心として配設されていることを特徴とする請求項1に記載の容器配列ピッチ調整装置。
【請求項3】
前記搬送用コンベアの搬送路の両側方には、容器の繰り出し搬送を案内するガイドレール部が配設されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の容器配列ピッチ調整装置。
【請求項4】
前記制御部は、容器の形状と両プロペラセットの回転軸の間隔とを勘案して定めた、各プロペラセットにおける上側プロペラと下側プロペラの前記一定の角度差θを記憶部に記憶しておき、搬送される容器径に応じて、前記一定の角度差θを勘案してた上側プロペラと下側プロペラの回転駆動を制御するための制御信号を前記上側プロペラ駆動部、並びに、前記下側プロペラ駆動部へ送信することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の容器配列ピッチ調整装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送用コンベアの上流側の容器列を所定ピッチ間隔の下流側容器列として搬送させる容器配列ピッチ調整装置に関する。
【背景技術】
【0002】
搬送用コンベアの上流側の容器列を所定ピッチ間隔として下流側へ搬送させる容器供給装置として、らせん状に溝を掘ったスクリューを容器搬送用コンベア等と並行に設置し、そのスクリューを回転させ、一方上流から移動する容器の列を一個毎にスクリューのらせん状の溝に入るようにして下流側へ搬送させる構成の装置(特許文献1参照)などが利用されている。
【0003】
しかしながら、この装置では、ピッチ調整を行う容器列の容器の種類や配列のピッチに対応した溝のスクリューをその都度製作する必要があり、多品種の容器を扱う場合には、交換部品を多数制作、保管しなければならないという問題があった。また、容器の種類や配列のピッチの変更の度にスクリューの交換や調整の作業が必要となり、さらには、容器はその回転につれてコンベア上を水平移動するので容器表面を摺ることとなり、傷付きが発生するという問題があった。
【0004】
そこで、出願人は、従来のスクリューなどの構成に替えて、搬送用コンベアを挟んで配置された一対のプロペラを用い、その一対のプロペラがそれぞれ独立に駆動する2台の駆動部を制御して回転させ、上流側の容器列を所定のピッチ間隔の容器配列に変えて下流側へ送り出す方式の装置であって、容器の形状の変化にソフトウエアにより対応できる自由度の高いピッチ調整装置を開発している(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005-212949号公報 (第2、3頁、第1図)
【特許文献2】特許第5481674号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前述の特許第5481674号のピッチ調整装置によれば、スクリューなどの部品交換の型替作業が不要であり、かつ、容器の傷付きも最小限に抑えることができる。しかしながら、このピッチ調整装置の一対のプロペラは、搬送方向の停止線位置で停止している一方のプロペラが容器列の搬送を一時的に遮断した後、所定のピッチ間隔となったときに回転して容器を通過させると、反搬送方向にあった他方のプロペラが前記停止線位置まで回転し、後続の先頭の容器を停止線位置に停止させ、前記容器を通過させた一方のプロペラは大きく回転して前記後続の先頭の容器を後方から挟み、それに続く容器を停止させるというように、それぞれが異なるタイミングで回転する間欠動作であったため、プロペラの回転に急加減速が発生した。そのために搬送される容器も脈動し、倒れてしまう不具合が発生することがあった。特に、高能力でピッチ調整をしながら搬送を行う場合に、容器が倒れてしまう確率が高くなる。
【0007】
そこで、本発明においては、高能力での容器のピッチ調整搬送においても、容器が倒れるリスクを頗る小さくすることができ、容器の形状等の変化にもより簡便に対応可能な容器配列ピッチ調整装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の請求項1に記載の容器配列ピッチ調整装置は、搬送用コンベアの搬送路上を搬送される容器を所定のピッチ間隔で下流側へ繰り出すピッチ調整装置であって、同心の回転軸で水平面内で回転する、同型の上側プロペラと下側プロペラを有するプロペラセット2基を前記搬送用コンベアの搬送路を挟んで対向させ、各プロペラセットの上側プロペラを対とするとともに各下側プロペラを対とし、対の上側プロペラ並びに対の下側プロペラのそれぞれが、前記搬送路の中央ラインを以て線対称に位置し、前記搬送用コンベアの進行方向に合わせて互いに反対方向へ常に回転するように配設されたプロペラ配設部と、制御信号により、前記プロペラ配設部の対の上側プロペラを回転させる上側プロペラ駆動部、並びに、前記プロペラ配設部の対の下側プロペラを回転させる下側プロペラ駆動部と、前記上側プロペラ駆動部、並びに、前記下側プロペラ駆動部へ前記制御信号を送信する制御部と、を備え、ピッチ調整に供する容器が前記搬送路上に設定されたピッチ調整ラインへ至った繰り入れ姿勢時には、前記各プロペラセットにおいて上側プロペラと下側プロペラは一定の角度差θで位置し、前記ピッチ調整ラインへ回転した前記対の上側プロペラまたは対の下側プロペラのいずれか一方の対のプロペラが該容器に対し搬送方向において当接して進行を抑え、他方の対のプロペラは該容器とその後続の容器との間に位置して該容器を反搬送方向から前記一方の対のプロペラとの間に挟み込むとともに、後続の容器の進行を抑え、該容器がピッチ調整ライン上を進行する繰り出し搬送時には、前記各プロペラセットにおいて上側プロペラと下側プロペラは一定の角度差θを保持したまま回転し、該容器がピッチ調整ラインを越えて繰り出される繰り出し姿勢時には、前記他方の対のプロペラは回転して前記ピッチ調整ラインへ至り、前記一方のプロペラは該他方の対のプロペラと一定の角度差θで容器Vを挟持可能な位置まで回転することにより該容器の進行方向を開放したあと、再び前記繰り入れ姿勢時の状態に戻る、その一連の動作を繰り返してピッチ調整を行うことを特徴とする。
【0009】
また、前記各上側プロペラ並びに各下側プロぺラは長短軸対称の紡錘形に形成されており、長短軸が交差する中央を回転中心として配設されていることを特徴とする。
【0010】
さらに、前記搬送用コンベアの搬送路の両側方には、容器の繰り出し搬送を案内するガイドレール部が配設されていることを特徴とする。
【0011】
またさらに、前記制御部は、容器の形状と両プロペラセットの回転軸の間隔とを勘案して定めた、各プロペラセットにおける上側プロペラと下側プロペラの前記一定の角度差θを記憶部に記憶しておき、搬送される容器径に応じて、前記一定の角度差θを勘案して上側プロペラと下側プロペラの回転駆動を制御するための制御信号を前記上側プロペラ駆動部、並びに、前記下側プロペラ駆動部へ送信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の容器配列ピッチ調整装置によれば、搬送路の上流側において容器列の容器間が詰まっている状態であっても、対の上側プロペラと対の下側プロペラが協働し、前記ピッチ調整ラインへ至った容器を1つずつ囲い込んで後続の容器と切り離して誘導搬送し、ピッチ調整ラインを越えたときに開放することで、容易に所定ピッチ間隔で下流側へ送り出すことができる。
【0013】
しかも、対の上側プロペラと対の下側プロペラはいずれも停止することなく連続回転し、前記ピッチ調整ラインへ進行した容器を後続の容器と切り離して1つずつ誘導し、開放するまでの間、容器の搬送方向および反搬送方向においてそれぞれ両側方から略等分に当接するので、開放される容器が脈動するような不具合が生じることを回避できる。
【0014】
そして、ガイドレール部を設けることにより、容器を1つずつ整列させてピッチ調整ラインへ至らせ、脈動もせず、倒れることもない状態で下流側へ搬送することができる。
【0015】
また、対の上側プロペラと対の下側プロペラのそれぞれは長短軸対称の紡錘形に形成され、長短軸が交差する中央を回転中心として配設されているので、長軸方向両先端を交互にピッチ調整に寄与させるように回転させることで、回転角度を小さくして制御することができるのでピッチ調整の為の駆動がスムースになる。また、紡錘形の長軸両端の尖った部分を容器に当接させることで、極力圧を掛けずに行うことができ、その回転方向も、容器を搬送するコンベアの進行方向に合わせているので、容器表面に傷をつける恐れもない。
【0016】
さらに、前記制御部は、容器の形状と両プロペラセットの回転軸の間隔とを勘案して定めた前記一定の角度差θを記憶部に記憶しておくことで、例えば径のサイズや楕円など、容器の形状が変わっても、前記容器の形状に基づく前記一定の角度差θと、入力設定された前記搬送コンベアの走行速度やピッチ長を勘案し、上側プロペラと下側プロペラの回転駆動を制御するための制御信号を前記上側プロペラ駆動部、並びに、前記下側プロペラ駆動部へ送信することができる。すなわち、そのデータの設定変更のみでさまざまな容器にソフトウエアにより対応できる。機械的な型替作業は不要となり、稼働率の低下を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】容器配列ピッチ調整装置の要部を示す(A)平面図と(B)側面図
図2】容器配列ピッチ調整装置の駆動部を示す要部説明図
図3】容器配列ピッチ装置においてピッチ調整に寄与する搬送路上の領域の説明図
図4】3種の容器径の容器繰り入れ姿勢時、容器搬送姿勢、容器繰り出し姿勢の各姿勢時における各プロペラセットを構成する上下2枚のプロペラの角度関係と配置位置の説明図
【発明を実施するための形態】
【0018】
本実施形態の容器配列ピッチ調整装置(以下、ピッチ調整装置)は、図1(A)、(B)に示すように、容器Vの搬送路52を形成する搬送コンベア51を回転走行可能とされた公知の構成の搬送用コンベア機構50に設けられており、このピッチ調整装置は、上流側から容器間隔が無い状態で連なって至った容器Vを所定のピッチ間隔で下流側へ搬送するものである。
【0019】
本実施形態のピッチ調整装置は、同心の回転軸4A,5A、4B,5Bで水平面内で回転し、搬送される容器Vの切り離しに直接的に作用する上側プロペラ2と下側プロペラ3を備えたプロペラセット1(各セットを構成する要素にそれぞれA,Bを付す)を2基有している。この2基のプロペラセット1A,1Bは、搬送用コンベア機構50の搬送路52を挟んで対向し、各プロペラセット1A,1Bの上側プロペラ2A、2Bを対とするとともに各下側プロペラ3A,3Bを対とし、対の上側プロペラ2A,2B並びに対の下側プロペラ3A,3Bのそれぞれが搬送路52を以て線対称に位置し、搬送コンベア51の走行方向に合わせて互いに反対方向へ連続回転するように配設されている。
【0020】
本実施形態において各上側プロペラ2A、2B、並びに各下側プロペラ3A,3Bは長短軸対称の紡錘形とされた板部材により形成され、長短軸が交差する中央を回転中心として配設されている。そして、対の上側プロペラ2A,2Bと対の下側プロペラ3A,3Bは、各プロペラセット1A,1Bにおいて同心の回転軸4A,4B,5A,5Bで上下に重なり、搬送路50の上方の搬送する容器Vの胴部分の高さ位置に臨ませて配設されている。また、対の上側プロペラ2A,2B並びに対の下側プロペラ3A,3Bは、その長軸を搬送路50に対して直交させて位置させたときに、それぞれの先尖の両端部が交差すること無く、搬送路50の中央近傍に位置するように配設されている。なお、搬送路50を挟んで対向する対の上側プロペラ2A,2B、並びに、対の下側プロペラ3A,3Bのそれぞれの長軸が一直線状に位置することとなる搬送経路上のラインをピッチ調整ラインLと定義する。
【0021】
また、ピッチ調整装置は、図2に示すように、プロペラセット1A,1Bの対の上側プロペラ2A,2B並びに対の下側プロペラ3A,3Bを回転駆動させるそれぞれのプロペラ駆動部11,12を備えている。本実施形態において、プロペラ駆動部11,12は、制御部21から送信される制御信号により、対の上側プロペラ2A,2Bをそれぞれのシャフト(回転軸)4A、4Bを介して回転駆動させる上側プロペラ駆動部11、並びに、対の下側プロペラ3A,3Bをそれぞれのシャフト(回転軸)5A,5Bを介して回転駆動させる下側プロペラ駆動部12とされている。
【0022】
本実施形態のピッチ調整装置において、一方の対のプロペラ(図2においては、下側プロペラ3A,3B)はそれぞれ、搬送用コンベア機構50が配設される基台55に垂設されたベアリングケース13A,13B内に回転自在に配設された中空太径のシャフト(回転軸)5A,5Bの上端に設けられている。各シャフト5A,5Bは連結駆動部材17を介して1台の下側プロペラ駆動部12に接続されている。これにより、下側プロペラ3A,3Bは、共通の下側プロペラ駆動部12の駆動によって連結駆動部材17を介して伝達される回転力により、各シャフト5A,5Bとともに、対となって反対回りに同角度かつ同速で回転するように構成されている。
【0023】
また、他方の対のプロペラ(図2においては、上側プロペラ2A,2B)はそれぞれ、ベアリングケース13A,13Bに配設された下側プロペラ3A,3B用の太径中空のシャフト(回転軸)5A,5B内に回転自在に設けられた棒状のシャフト4A,4Bの上端に設けられている。各シャフト4A,4Bは連結駆動部材16を介して1台の上側プロペラ駆動部11に接続されている。これにより、上側プロペラ2A,2Bは、共通の上側プロペラ駆動部11の駆動によって連結駆動部材16を介して伝達される回転力により、各シャフト4A,4Bとともに、対となって反対回りに同角度かつ同速で回転するように構成されている。
【0024】
なお、本実施形態において、上側プロペラ駆動部11及び下側プロペラ駆動部12としては、位置決め制御に好適なモータ(サーボモータ、ステッピングモータなど)を用い、連結駆動部材16,17は、それぞれのシャフト4A,4B、5A,5Bの外面下端に設けた歯部4Aa,4Ba、5Aa,5Baと前記モータ11,12の回転軸11b,12bに設けた歯部11a、12aとに噛合し、前記モータ11,12の回転力を伝達可能な歯付きベルトを用いる。
【0025】
また、上側プロペラ駆動部11並びに下側プロペラ駆動部12は、基台55に取り付けるに際し、ベアリングケース13とともに、各シャフト4A,4B、5A,5Bの位置を搬送コンベア51の搬送路50に対して直交方向又は平行方向に移動させ、調整可能とされている。
【0026】
上側プロペラ駆動部11並びに下側プロペラ駆動部12に制御部21がデータ送受信可能に接続されている。制御部21はCPU22、記憶部23、データ出力部24、入力表示部25、それらを連結するバス26などから構成されている。
【0027】
記憶部23には、容器Vの形状とプロペラセット1A,1Bの回転軸4A,4B,5A,5Bの中心の間隔とを勘案して定めた、各プロペラセット1A,1Bにおける上側プロペラ2A,2Bと下側プロペラ3A,3Bの長軸の一定の角度差θが記憶されている。そして、CPU22は少なくとも前記一定の角度差θを勘案し、入力表示部25より入力設定された搬送コンベア51の走行速度、設定されたピッチ長、容器Vの形状に基づき、上側プロペラ2A,2Bと下側プロペラ3A,3Bの回転駆動を制御するための制御信号を生成し、データ出力部24はその制御信号を上側プロペラ駆動部11と下側プロペラ駆動部12へ送信する。
【0028】
また、容器Vがコンベア50上の幅中央部を移動するように、その搬送路50の両側方に、容器Vの繰り出し搬送を案内するガイドレール部が配設されている。ガイドレール部60は、搬送路50を挟んで配設された2対の丸棒61、62からなり、一対の丸棒61A,61Bは上側プロペラ2A,2Bの上側に、他の一対の丸棒62A,62Bは下側プロペラ3A,3Bの下側に配設されており、上側プロペラ2A,2Bと下側プロペラ3A,3Bは上下に配設された2対計4本の丸棒61A,61B、62A,62Bの間を水平方向に回転して容器Vの搬送とピッチ調整を行うように構成されている。
【0029】
なお、ガイドレール部60の各対の丸棒61A,61B間は、容器Vが通る間隔幅、つまり、容器Vの外周の大きさ、形状によって定まる搬送路50の幅に合わせて、搬送路50に垂直する方向の位置を調整するガイドレール位置調整手段(不図示)を備えるものとする。なお、ガイドレール部60は上述のような丸棒61A,61B、62A,62Bに限るものではないが、丸棒61A,61B、62A,62Bの場合は、搬送される容器Vとの接触部を小さくして案内することができるという利点がある。
【0030】
ここで、本実施形態のピッチ調整装置におけるピッチ調整について説明する。本実施形態のピッチ調整装置は、図3に示すように、容器間隔の無い、いわゆる押せ押せ状態で搬送路50上を搬送される容器Vの下流側に位置する先方がピッチ調整ラインLに至った(この時を繰り入れ姿勢時という)ところから、そのピッチ調整ラインL上を通過し(この時を繰り出し搬送時という)、容器Vの上流側に位置する後方がピッチ調整ラインLを越えた(この時を繰り出し姿勢時という)ところまでの領域でピッチ調整を行う。つまり、換言すれば、搬送路50上におけるピッチ調整ラインLの上下流側にそれぞれ容器V1つ分の領域が、ピッチ調整に寄与するピッチ調整領域Rということになる。
【0031】
このピッチ調整領域Rにおいては、2基のプロペラセット1A,1Bの対の上側プロペラ2A,2Bと対の下側プロペラ3A,3Bは搬送する容器Vの径に応じた前記一定の角度差θを保持しつつ、設定されたピッチ間距離で下流側へ容器Vを送り出すべく、制御部21の制御信号によって回転が制御される。
【0032】
続いて、本実施形態における制御部21の制御信号による対の上側プロペラ2A,2B、並びに、対の下側プロペラ3A,3Bの回転駆動について説明する。
【0033】
図4は、容器Vの径を80mm、60mm、40mmとする3種の容器Vについて、繰り入れ姿勢時、繰り出し搬送時、繰り出し姿勢時における対の上側プロペラ2A,2B、並びに、対の下側プロペラ3A,3Bの回転駆動と姿勢を説明する図面である。本実施形態において、容器Vの径を80mm、60mm、40mmとする3種の容器Vのそれぞれの前記一定の角度差θは予め求められており、それぞれ59.5°、42.7°、27.6°とされている。
【0034】
このように、容器Vの径が異なることにより、ピッチ調整領域Rにおいて各プロペラセット1A,1Bにおける対の上側プロペラ2A,2B、並びに、対の下側プロペラ3A,3Bが保持する一定の角度差θも異なってくるものの、制御部21のCPUは、設定された容器Vの径に適用されるその一定の角度差θを勘案し、コンベア50の走行速度やピッチ長に基づき、対の上側プロペラ2A,2B、並びに、対の下側プロペラ3A,3Bの回転駆動を制御するための制御信号を生成し、データ出力部24はその制御信号を上側プロペラ駆動部11並びに下側プロペラ駆動部12へ送信し、上側プロペラ駆動部11並びに下側プロペラ駆動部12はその制御信号に基づいて対の上側プロペラ2A,2B、並びに、対の下側プロペラ3A,3Bを所定位置に、所定速度で回転させる点においては共通する。
【0035】
なお、本実施形態においては、容器Vを搬送するコンベア50の駆動モータの回転角度を所定時間毎の変換器に入力し、変換出力値を受けて容器Vが移動する距離(ピッチ長)を判定する方法や、ロータリーエンコーダを別設して容器Vが移動する距離(ピッチ長)を判定する方法などを採用し、設定されたピッチ長で容器Vを送り出す制御をおこなう。
【0036】
そして、ピッチ調整に供する容器Vが搬送路50上に設定されたピッチ調整ラインLへ至った繰り入れ姿勢時には、各プロペラセット1A,1Bの対の上側プロペラ2A,2B、並びに、対の下側プロペラ3A,3Bは容器Vの径毎に定められている一定の角度差θで位置させる。
【0037】
具体的には、上側プロペラ駆動部11および下側プロペラ駆動部12として採用されている位置決め制御に好適なモータを用い、繰り入れ姿勢時には、対の上側プロペラ2A,2Bまたは対の下側プロペラ3A,3Bのいずれか一方の対のプロペラ(図4においては、下側プロペラ3A,3B)をピッチ調整ラインLに位置させるとともに、他方の対のプロペラ(図4においては、上側プロペラ2A,2B)を前記ピッチ調整ラインLの上流側において一定の角度差θで位置させる。
【0038】
これにより、ピッチ調整ラインLへ回転した対の上側プロペラ2A,2Bまたは対の下側プロペラ3A,3Bのいずれか一方の対のプロペラ3A,3Bは、ピッチ調整ラインLに至った容器Vに対し搬送方向において当接して進行を抑え、他方の対のプロペラ2A,2Bは、該容器Vとその後続の容器Vとの間となる、ピッチ調整ラインLから容器V1つ分上流側の搬送路50上に位置して、該容器Vを反搬送方向から前記一方の対のプロペラ3A,3Bとの間に挟み込むとともに、後続の容器Vの進行を抑える。
【0039】
続く、該容器Vがピッチ調整ラインL上を進行する繰り出し搬送時には、各プロペラセット1A,1Bにおいて対の上側プロペラ2A,2Bと対の下側プロペラ3A,3Bはその一定の角度差θを保持したまま、容器Vを搬送方向へ送り出すように回転する。
【0040】
この繰り出し搬送時の対の上側プロペラ2A,2Bと対の下側プロペラ3A,3Bの回転速度は、CPU22にて、コンベア50の走行速度や入力設定されたピッチ間隔等を数値に基づき決定する。勿論、予め、コンベア50の走行速度やピッチ間隔に基づく回転速度を記憶部23に記憶しておいてもよい。
【0041】
そして、該容器Vがピッチ調整ラインLを越えて繰り出される繰り出し姿勢時には、前記他方の対のプロペラ2A,2Bは繰り出し搬送時と同じ回転速度で回転してピッチ調整ラインLへ至り、一方の対のプロペラ3A,3Bは、他方の対のプロペラ2A,2Bがピッチ調整ラインLへ至ったことを契機に、該容器Vの進行方向を開放しつつ、容器Vを挟み込む際の該他方の対のプロペラ2A,2Bとの角度差を再び一定の角度差θとし、容器Vを挟持可能な位置まで回転して、繰り入れ姿勢時の状態に戻る。つまり、このとき、一方の対のプロペラ3A,3Bは長軸の両先端を、容器V毎に交互に用いてピッチ調整に寄与させるように回転する。そして、その一連の動作を繰り返す。
【0042】
このような一連の動作により、搬送路50の上流側から搬送されてピッチ調整ラインLへ至った容器Vは1つずつ、ピッチ調整領域Rにおいて、対の上側プロペラ2A,2Bと対の下側プロペラ3A,3Bとに囲い込まれ、後続の容器Vと切り離された状態で搬送され、ピッチ調整ラインLを越えて所定ピッチ間隔で下流側へ送り出される。
【0043】
その際、対の上側プロペラ2A,2Bと対の下側プロペラ3A,3Bはいずれも停止することなく連続回転し、しかも、ピッチ調整領域Rにおいて容器Vの搬送方向の上流側および下流側においてそれぞれ両側方から容器Vに対し、略等分に当接するので、開放される容器Vが脈動するような不具合が生じることを回避できる。
【0044】
また、対の上側プロペラ2A,2Bと対の下側プロペラのそれぞれは長短軸対称の紡錘形に形成され、長短軸が交差する中央を回転中心として配設されているので、長軸方向両先端を交互にピッチ調整に寄与させるように回転させることで、回転角度を小さくして制御することができ、ピッチ調整の為の回転駆動が短時間でスムースになる。また、紡錘形の長軸両端の尖った部分を容器Vに当接させるので、容器Vに過分な圧を掛けることもなく、その回転方向も容器Vを搬送するコンベア50の進行方向に合わせているので、容器Vの表面に傷がつくこともない。
【0045】
さらに、制御部21は、容器Vの形状と両プロペラセット1A,1Bの回転軸4A,4B,5A,5Bの間隔とを勘案して定めた前記一定の角度差θを記憶部23に記憶しておくことで、コンベア50の走行速度やピッチ長などを勘案した対の上側プロペラ2A,2Bと対の下側プロペラ3A,3Bの回転を制御する制御信号を簡便に生成することが可能となる。すなわち、さまざまな容器Vにソフトウエアにより対応でき、機械的な型替作業は不要となり、稼働率の低下を抑えることができる。
【0046】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形実施できる。
【符号の説明】
【0047】
θ 角度差(停止位置角度)
V 容器
L ピッチ調整ライン
R ピッチ調整領域
1 プロペラセット
(2基のプロペラセットぞれぞれにA,Bを付すとともに、各プロペラセットに配設 される以下の部材のそれぞれにA、Bの符号を付す)
2 上側プロペラ
3 下側プロペラ
4 (上側プロペラの)シャフト(回転軸)
5 (下側プロペラの)シャフト(回転軸)
11 (上側プロペラの)プロペラ駆動部
12 (下側プロペラの)プロペラ駆動部
13 ベアリングケース
16 (上側プロペラの)連結駆動部材
17 (下側プロペラの)連結駆動部材
21 制御部
22 CPU
23 記憶部
24 データ出力部
25 入力表示部
26 BUS
50 搬送用コンベア機構
51 コンベア
52 搬送路
55 基台
60 ガイドレール部
61 (上側の)丸棒
62 (下側の)丸棒
図1
図2
図3
図4