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特開2023-67451ワクチン接種管理システム、ワクチン接種管理方法、および、ワクチン接種管理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023067451
(43)【公開日】2023-05-16
(54)【発明の名称】ワクチン接種管理システム、ワクチン接種管理方法、および、ワクチン接種管理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/06 20230101AFI20230509BHJP
   G16H 10/00 20180101ALI20230509BHJP
【FI】
G06Q10/06
G16H10/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021178698
(22)【出願日】2021-11-01
(71)【出願人】
【識別番号】396026569
【氏名又は名称】勤次郎株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】加村 稔
(72)【発明者】
【氏名】中村 敬
(72)【発明者】
【氏名】石谷 慎悟
【テーマコード(参考)】
5L049
5L099
【Fターム(参考)】
5L049AA06
5L099AA15
(57)【要約】
【課題】企業の従業員のワクチン接種を管理するワクチン接種管理システム、ワクチン接種管理方法、および、ワクチン接種管理プログラムを提供する。
【解決手段】ワクチン接種管理システム10にて、端末11,12は、接種記録情報と企業内情報とをワクチン接種管理装置15に入力する。ワクチン接種管理装置15は、接種判断情報を記憶するワクチン接種管理データ部20と、接種記録情報をワクチン接種管理データ部20に登録する登録処理と端末11,12を通じて接種勧奨を行う勧奨処理とを実行するワクチン接種管理処理部30と、を有する。ワクチン接種管理処理部30は、勧奨処理において、企業内情報、接種記録情報、および、接種判断情報に基づいて、企業内情報に関する従業員のワクチン接種の対象ワクチン種別およびその要否を判断して接種勧奨を行うとともに、当該接種勧奨に関する接種勧奨情報をワクチン接種管理データ部20に登録する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して相互通信可能に構成された端末とワクチン接種管理装置とを備え、企業の従業員についてのワクチン接種を管理するワクチン接種管理システムであって、
前記端末は、
前記従業員のワクチン接種の記録である接種記録情報と前記従業員に関する企業内情報とを前記ワクチン接種管理装置に入力可能に構成されており、
前記ワクチン接種管理装置は、
ワクチン接種の対象ワクチン種別およびその要否判断に用いられる接種判断情報を記憶するワクチン接種管理データ部と、
入力された接種記録情報を前記ワクチン接種管理データ部に登録する登録処理と前記従業員へのワクチン接種を勧奨する通知を前記端末に送信する接種勧奨を行う勧奨処理とを実行する処理回路を有するワクチン接種管理処理部と、を有しており、
前記ワクチン接種管理処理部は、
前記勧奨処理において、前記企業内情報、前記接種記録情報、および、前記接種判断情報に基づいて、前記企業内情報に関する前記従業員のワクチン接種の対象ワクチン種別およびその要否を判断し、当該ワクチン接種が必要であると判断した場合に前記接種勧奨を行うとともに、当該接種勧奨に関する接種勧奨情報を前記ワクチン接種管理データ部に登録する
ワクチン接種管理システム。
【請求項2】
前記企業内情報は、
企業活動に基づく前記従業員の渡航先および渡航日を含む渡航情報であり、
前記接種判断情報は、
渡航前に所定のワクチン接種が必要な対象地域を含んでおり、
前記ワクチン接種管理処理部は、
前記渡航情報が入力されると、前記勧奨処理として、前記従業員の渡航先が前記対象地域であり、かつ、前記接種記録情報に前記所定のワクチン接種について有効な接種記録がない場合に前記接種勧奨を行う渡航時勧奨処理を実行する
請求項1に記載のワクチン接種管理システム。
【請求項3】
前記端末は、
所属部署および職種を前記企業内情報として含む前記従業員の個人情報を前記ワクチン接種管理装置に入力可能に構成されており、
前記ワクチン接種管理データ部は、
前記個人情報を記憶しているとともに、前記接種判断情報として、所定のワクチン接種が必要な感染症対象部署および対象職種を示す感染症対象部署・職種情報を記憶しており、
前記ワクチン接種管理処理部は、
前記勧奨処理として、定期的に、前記個人情報と前記感染症対象部署・職種情報とに基づいて、前記従業員の所属部署および職種が前記感染症対象部署および前記対象職種であり、かつ、前記接種記録情報に所定のワクチン接種について有効な接種記録がない場合に前記接種勧奨を行う定期勧奨処理を実行する
請求項1または2に記載のワクチン接種管理システム。
【請求項4】
前記端末は、
前記従業員の個人情報に関する条件であって、所定のワクチン接種が必要な条件である対象者抽出条件を前記ワクチン接種管理装置に入力可能に構成されており、
前記ワクチン接種管理データ部は、
前記従業員の個人情報を記憶しており、
前記ワクチン接種管理処理部は、
前記勧奨処理として、前記対象者抽出条件を満たす個人情報を含む従業員を対象者として抽出し、前記対象者の前記接種記録情報に所定のワクチン接種について有効な接種記録がない場合に前記接種勧奨を行う手動勧奨処理を実行する
請求項1~3のいずれか一項に記載のワクチン接種管理システム。
【請求項5】
前記ワクチン接種管理処理部は、
前記接種勧奨を行うごとに当該接種勧奨に対する前記従業員の接種状況を勧奨済とする接種状況情報を前記ワクチン接種管理データ部に登録し、
前記接種記録情報が登録されると、当該接種記録情報に接種勧奨を行ったワクチン接種について有効な接種記録が含まれている場合に、前記接種状況情報の接種状況を勧奨済から接種済に変更する接種状況更新処理を実行する
請求項1~4のいずれか一項に記載のワクチン接種管理システム。
【請求項6】
前記接種勧奨情報は、
前記接種勧奨を行ったワクチン接種の目標接種期間を含んでおり、
前記ワクチン接種管理処理部は、
前記接種状況が勧奨済である接種勧奨のなかから前記目標接種期間が既定期間後に終了する接種勧奨を抽出し、前記接種勧奨を再び行う再勧奨処理を実行する
請求項5に記載のワクチン接種管理システム。
【請求項7】
前記端末は、
前記接種勧奨が行われたワクチン接種を接種しない理由を示す接種不可情報を前記ワクチン接種管理装置に入力可能に構成されており、
前記ワクチン接種管理処理部は、
前記接種不可情報が入力されると、前記接種状況を勧奨済から接種不可に変更する接種不可登録処理を実行する
請求項5または6に記載のワクチン接種管理システム。
【請求項8】
前記端末は、
前記接種記録情報、前記接種勧奨情報、および、前記接種状況情報のうちの少なくとも1つを抽出可能な接種状況抽出条件を前記ワクチン接種管理装置に入力可能に構成されており、
前記ワクチン接種管理処理部は、
前記接種状況抽出条件が入力されると、前記接種記録情報、前記接種勧奨情報、および、前記接種状況情報のなかから前記接種状況抽出条件を満たす情報を抽出し、前記端末に出力する接種状況確認処理を実行する
請求項5~7のいずれか一項に記載のワクチン接種管理システム。
【請求項9】
ネットワークを介して相互通信可能に構成された端末とワクチン接種管理装置とを用いて、企業の従業員についてのワクチン接種を管理するワクチン接種管理方法であって、
前記端末は、
前記従業員のワクチン接種の記録である接種記録情報と前記従業員に関する企業内情報とを前記ワクチン接種管理装置に入力可能に構成されており、
前記ワクチン接種管理装置は、
ワクチン接種の対象ワクチン種別およびその要否判断に用いられる接種判断情報を記憶するワクチン接種管理データ部と、
入力された接種記録情報を前記ワクチン接種管理データ部に登録する登録処理と前記従業員へのワクチン接種を勧奨する通知を前記端末に送信する接種勧奨を行う勧奨処理とを実行する処理回路を有するワクチン接種管理処理部と、を有しており、
前記ワクチン接種管理処理部が、
前記勧奨処理において、前記企業内情報、前記接種記録情報、および、前記接種判断情報に基づいて、前記企業内情報に関する前記従業員のワクチン接種の対象ワクチン種別およびその要否を判断し、当該ワクチン接種が必要であると判断した場合に前記接種勧奨を行うとともに、当該接種勧奨に関する接種勧奨情報を前記ワクチン接種管理データ部に登録する
ワクチン接種管理方法。
【請求項10】
ネットワークを介して端末と相互通信可能に構成されたワクチン接種管理装置に、企業の従業員についてのワクチン接種を管理させるワクチン接種管理プログラムであって、
前記ワクチン接種管理装置を、前記従業員のワクチン接種の記録である接種記録情報と前記従業員に関する企業内情報とを前記端末から入力可能にするとともに、
前記ワクチン接種管理装置に、
ワクチン接種の対象ワクチン種別およびその要否判断に用いられる接種判断情報をワクチン接種管理データ部に記憶させるとともに、入力された接種記録情報を前記ワクチン接種管理データ部に登録する登録処理と前記従業員へのワクチン接種を勧奨する通知を前記端末に送信する接種勧奨を行う勧奨処理とを実行させ、
前記勧奨処理では、前記企業内情報、前記接種記録情報、および、前記接種判断情報に基づいて、前記企業内情報に関する前記従業員のワクチン接種の対象ワクチン種別およびその要否を判断させ、当該ワクチン接種が必要であると判断された場合に前記接種勧奨を行うとともに、当該接種勧奨に関する接種勧奨情報を前記ワクチン接種管理データ部に登録する
ワクチン接種管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、企業の従業員についてのワクチン接種を管理するワクチン接種管理システム、ワクチン接種管理方法、および、ワクチン接種管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ワクチン接種を管理するワクチン接種管理システムとして、特許文献1には、乳幼児を接種対象者とするワクチンの接種を管理するシステムが開示されている。特許文献1のワクチン接種管理システムは、乳幼児の保護者が所持する端末とワクチンの接種についてのスケジュールを作成するスケジュール作成サーバとで構成されている。これら端末とスケジュール作成サーバとは、通信ネットワークを介して相互通信可能に構成されている。
【0003】
特許文献1のワクチン接種管理システムにおいて、保護者は、端末を通じて、接種対象者の生年月日やワクチンの接種履歴などの対象者情報をスケジュール作成サーバに送信する。スケジュール作成サーバは、対象者情報に基づいてワクチン接種のスケジュールを作成するとともに、作成したスケジュールを保護者の端末に送信する。そして、スケジュールに基づく接種予定日が近づくと、そのスケジュール内容を保護者に通知している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-052984号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のワクチン接種管理システムは、乳幼児のワクチン接種、すなわち誕生してからの日数で定められる定期的なワクチン接種を管理対象としている。そのため、例えば企業活動として海外出張や海外赴任などがある従業員のワクチン接種、すなわち企業における従業員の不定期なワクチン接種を管理することは困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するワクチン接種管理システムは、ネットワークを介して相互通信可能に構成された端末とワクチン接種管理装置とを備え、企業の従業員についてのワクチン接種を管理するワクチン接種管理システムであって、前記端末は、前記従業員のワクチン接種の記録である接種記録情報と前記従業員に関する企業内情報とを前記ワクチン接種管理装置に入力可能に構成されており、前記ワクチン接種管理装置は、ワクチン接種の対象ワクチン種別及びその要否の判断に用いられる接種判断情報を記憶するワクチン接種管理データ部と、入力された接種記録情報を前記ワクチン接種管理データ部に登録する登録処理と前記従業員へのワクチン接種を勧奨する通知を前記端末に送信する接種勧奨を行う勧奨処理とを実行する処理回路を有するワクチン接種管理処理部と、を有しており、前記ワクチン接種管理処理部は、前記勧奨処理において、前記企業内情報、前記接種記録情報、および、前記接種判断情報に基づいて、前記企業内情報に関する前記従業員のワクチン接種の対象ワクチン種別およびその要否を判断し、当該ワクチン接種が必要であると判断した場合に前記接種勧奨を行うとともに、当該接種勧奨に関する接種勧奨情報を前記ワクチン接種管理データ部に登録する。
【0007】
上記課題を解決するワクチン接種管理方法は、ネットワークを介して相互通信可能に構成された端末とワクチン接種管理装置とを用いて、企業の従業員についてのワクチン接種を管理するワクチン接種管理方法であって、前記端末は、前記従業員のワクチン接種の記録である接種記録情報と前記従業員に関する企業内情報とを前記ワクチン接種管理装置に入力可能に構成されており、前記ワクチン接種管理装置は、ワクチン接種の対象ワクチン種別およびその要否判断に用いられる接種判断情報を記憶するワクチン接種管理データ部と、入力された接種記録情報を前記ワクチン接種管理データ部に登録する登録処理と前記従業員へのワクチン接種を勧奨する通知を前記端末に送信する接種勧奨を行う勧奨処理とを実行する処理回路を有するワクチン接種管理処理部と、を有しており、前記ワクチン接種管理処理部が、前記勧奨処理において、前記企業内情報、前記接種記録情報、および、前記接種判断情報に基づいて、前記企業内情報に関する前記従業員のワクチン接種の対象ワクチン種別およびその要否を判断し、当該ワクチン接種が必要であると判断した場合に前記接種勧奨を行うとともに、当該接種勧奨に関する接種勧奨情報を前記ワクチン接種管理データ部に登録する。
【0008】
上記課題を解決するワクチン接種管理プログラムは、ネットワークを介して端末と相互通信可能に構成されたワクチン接種管理装置に、企業の従業員についてのワクチン接種を管理させるワクチン接種管理プログラムであって、前記ワクチン接種管理装置を、前記従業員のワクチン接種の記録である接種記録情報と前記従業員に関する企業内情報とを前記端末から入力可能にするとともに、前記ワクチン接種管理装置に、ワクチン接種の対象ワクチン種別およびその要否判断に用いられる接種判断情報をワクチン接種管理データ部に記憶させるとともに、入力された接種記録情報を前記ワクチン接種管理データ部に登録する登録処理と前記従業員へのワクチン接種を勧奨する通知を前記端末に送信する接種勧奨を行う勧奨処理とを実行させ、前記勧奨処理では、前記企業内情報、前記接種記録情報、および、前記接種判断情報に基づいて、前記企業内情報に関する前記従業員のワクチン接種の対象ワクチン種別およびその要否を判断させ、当該ワクチン接種が必要であると判断された場合に前記接種勧奨を行うとともに、当該接種勧奨に関する接種勧奨情報を前記ワクチン接種管理データ部に登録する。
【0009】
上記構成によれば、企業内において、従業員のワクチン接種を次のように管理することができる。
ワクチン接種管理データ部に接種記録情報が登録されることで、従業員のワクチン接種履歴を企業内で把握することができる。
【0010】
また、例えば、ある従業員の海外出張や海外赴任などの渡航予定を示す渡航情報が企業内情報としてワクチン接種管理装置に入力された場合に、該当する従業員の接種記録情報と接種判断情報とに基づいて、企業内情報に起因するワクチン接種の対象ワクチン種別およびその要否が判断される。そして、該ワクチン接種が必要と判断された場合に、該当する従業員に対して接種勧奨が行われる。そのため、企業内情報によって必要と判断されたワクチン接種を従業員に促すことができる。
【0011】
また、ワクチン接種管理データ部に接種勧奨情報が登録されることで従業員に対する過去の接種勧奨を把握することができる。
上記ワクチン接種管理システムにおいて、前記企業内情報は、企業活動に基づく前記従業員の渡航先および渡航日を含む渡航情報であり、前記接種判断情報は、渡航前に所定のワクチン接種が必要な対象地域を含んでおり、前記ワクチン接種管理処理部は、前記渡航情報が入力されると、前記勧奨処理として、前記従業員の渡航先が前記対象地域であり、かつ、前記接種記録情報に前記所定のワクチン接種について有効な接種記録がない場合に前記接種勧奨を行う渡航時勧奨処理を実行することが好ましい。
【0012】
上記構成によれば、渡航予定のある従業員に対して、その渡航先に応じたワクチン接種を促すことができる。これにより、渡航日までに必要なワクチン接種をより確実に従業員に受けさせることができる。
【0013】
上記ワクチン接種管理システムにおいて、前記端末は、所属部署および職種を前記企業内情報として含む前記従業員の個人情報を前記ワクチン接種管理装置に入力可能に構成されており、前記ワクチン接種管理データ部は、前記個人情報を記憶しているとともに、前記接種判断情報として、所定のワクチン接種が必要な感染症対象部署および対象職種を示す感染症対象部署・職種情報を記憶しており、前記ワクチン接種管理処理部は、前記勧奨処理として、定期的に、前記個人情報と前記感染症対象部署・職種情報とに基づいて、前記従業員の所属部署および職種が前記感染症対象部署および前記対象職種であり、かつ、前記接種記録情報に所定のワクチン接種について有効な接種記録がない場合に前記接種勧奨を行う定期勧奨処理を実行することが好ましい。
【0014】
上記構成によれば、例えば、企業内情報として従業員の部署異動および配置転換があったとしても、その従業員に対して、異動・転換先の部署や職種に応じたワクチン接種を促すことができる。
【0015】
上記ワクチン接種管理システムにおいて、前記端末は、前記従業員の個人情報に関する条件であって、所定のワクチン接種が必要な条件である対象者抽出条件を前記ワクチン接種管理装置に入力可能に構成されており、前記ワクチン接種管理データ部は、前記従業員の個人情報を記憶しており、前記ワクチン接種管理処理部は、前記勧奨処理として、前記対象者抽出条件を満たす個人情報を含む従業員を対象者として抽出し、前記対象者の前記接種記録情報に所定のワクチン接種について有効な接種記録がない場合に前記接種勧奨を行う手動勧奨処理を実行することが好ましい。
【0016】
上記構成によれば、対象者抽出条件によって抽出された従業員に対してワクチン接種を勧奨することができる。すなわち、所望の条件のもとで従業員に対するワクチン接種の勧奨を行うことができる。
【0017】
上記ワクチン接種管理システムにおいて、前記ワクチン接種管理処理部は、前記接種勧奨を行うごとに当該接種勧奨に対する前記従業員の接種状況を勧奨済とする接種状況情報を前記ワクチン接種管理データ部に登録し、前記接種記録情報が登録されると、当該接種記録情報に接種勧奨を行ったワクチン接種について有効な接種記録が含まれている場合に、前記接種状況情報の接種状況を勧奨済から接種済に変更する接種状況更新処理を実行することが好ましい。
【0018】
上記構成によれば、接種状況が勧奨済から接種済に変更されることで、接種勧奨を行ったワクチン接種を従業員が受けたことを企業側で把握することができる。
上記ワクチン接種管理システムにおいて、前記接種勧奨情報は、前記接種勧奨を行ったワクチン接種の目標接種期間を含んでおり、前記ワクチン接種管理処理部は、前記接種状況が勧奨済である接種勧奨のなかから前記目標接種期間が既定期間後に終了する接種勧奨を抽出し、前記接種勧奨を再び行う再勧奨処理を実行することが好ましい。
【0019】
上記構成によれば、目標接種期間が迫っている従業員に対して再びワクチン接種を勧奨することができる。これにより、接種勧奨に基づくワクチン接種をより確実に従業員に受けさせることができる。
【0020】
上記ワクチン接種管理システムにおいて、前記端末は、前記接種勧奨が行われたワクチン接種を接種しない理由を示す接種不可情報を前記ワクチン接種管理装置に入力可能に構成されており、前記ワクチン接種管理処理部は、前記接種不可情報が入力されると、前記接種状況を勧奨済から接種不可に変更する接種不可登録処理を実行することが好ましい。
【0021】
上記構成によれば、例えば、従業員の体質などによってワクチン接種ができない場合に、接種状況を勧奨済から接種不可へと変更することができる。これにより、企業内において、接種勧奨に基づくワクチン接種を従業員が受けない理由を把握することができる。
【0022】
上記ワクチン接種管理システムにおいて、前記端末は、前記接種記録情報、前記接種勧奨情報、および、前記接種状況情報のうちの少なくとも1つを抽出可能な接種状況抽出条件を前記ワクチン接種管理装置に入力可能に構成されており、前記ワクチン接種管理処理部は、前記接種状況抽出条件が入力されると、前記接種記録情報、前記接種勧奨情報、および、前記接種状況情報のなかから前記接種状況抽出条件を満たす情報を抽出し、前記端末に出力する接種状況確認処理を実行することが好ましい。
【0023】
上記構成によれば、接種状況抽出条件に応じた情報を端末に出力することができる。これにより、接種状況抽出条件に応じた従業員の情報を確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】ワクチン接種管理システムの一実施形態の概略構成を示す図。
図2】ワクチン接種管理データ部の構成の一例を模式的に示す図。
図3】管理者用新規登録画面の表示例を示す図。
図4】接種記録一括登録画面の表示例を示す図。
図5】接種記録確認画面の表示例を示す図。
図6】渡航時勧奨処理の一例を示すフローチャート。
図7】定期勧奨処理の一例を示すフローチャート。
図8】手動勧奨処理の一例を示すフローチャート。
図9】接種状況更新処理の一例を示すフローチャート。
図10】再勧奨処理の一例を示すフローチャート。
図11】接種不可登録処理の一例を示すフローチャート。
図12】接種状況確認処理の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1図12を参照して、ワクチン接種管理システム、ワクチン接種管理方法、および、ワクチン接種管理プログラムの一実施形態について説明する。これらワクチン管理システム、ワクチン接種管理方法、および、ワクチン接種管理プログラムは、企業において、従業員の感染症に対するワクチン接種を管理するものである。対象となる感染症は、例えば、黄熱、A型肝炎、B型肝炎、破傷風、狂犬病、ポリオ、日本脳炎、麻しん風しん、髄膜炎菌などである。対象となる感染症は、例えば新型コロナウィルスやインフルエンザなど、その時々において流行している感染症である。対象となる感染症は、例えば、渡航先において感染しやすい感染症である。
【0026】
図1に示すように、ワクチン接種管理システム10は、従業員用端末11、管理者用端末12、および、ワクチン接種管理装置15を備えている。これら従業員用端末11、管理者用端末12、および、ワクチン接種管理装置15は、ネットワーク13を介して相互通信可能に構成されている。
【0027】
従業員用端末11、管理者用端末12、および、ワクチン接種管理装置15は、情報処理装置を中心に構成されている。情報処理装置は、例えば、当該情報処理装置を通信ネットワークに接続するための通信インターフェース回路を備え、当該通信ネットワークとの間で通信を行う。記憶部は、例えば、磁気ディスク装置、半導体記憶装置、又は光ディスク装置の少なくとも一つを備え、コンピュータプログラム及びデータ等を記憶する。処理部(処理回路)は、例えば、一又は複数個のCPUと、その周辺回路と、メモリ(ROM及びRAM等)と、を有する。
【0028】
情報処理装置には、入力部の操作を通じて各種情報が入力可能に構成されている。入力部は、キーボードやマウス、タッチパネルなどである。従業員用端末11や管理者用端末12を構成する情報処理装置は、各端末の表示部に対して各種情報を表示可能に構成されている。
【0029】
(従業員用端末)
従業員用端末11は、各従業員が所持する端末である。従業員用端末11は、例えば、携帯電話やタブレット、自宅PCである。各従業員は、ワクチン接種管理装置15が提供するサイトから従業員用のワクチン接種管理プログラムをダウンロードして従業員用端末11にインストールする。これにより、従業員用端末11は、ネットワーク13を介してワクチン接種管理装置15へのアクセスが可能となる。あるいは、従業員用端末11は、入力部の操作などに基づいて、ネットワーク13を介してワクチン接種管理装置15に直接アクセスする。各従業員は、従業員用端末11の入力部を操作することにより、その操作に応じた情報をネットワーク13を介してワクチン接種管理装置15に入力する。
【0030】
(管理者用端末)
管理者用端末12は、ワクチン接種管理システム10を管理する管理者が使用する端末である。管理者は、従業員の個人情報を取り扱い可能な人物である。管理者用端末12には、管理者用のワクチン接種管理プログラムがインストールされる。これにより、管理者用端末12は、ネットワーク13を介してワクチン接種管理装置15へのアクセスが可能となる。あるいは、管理者用端末12は、入力部の操作などに基づいて、ネットワーク13を介してワクチン接種管理装置15に直接アクセスする。管理者は、管理者用端末12の入力部を操作することにより、その操作に応じた情報をネットワーク13を介してワクチン接種管理装置15に入力する。
【0031】
(ワクチン接種管理装置)
ワクチン接種管理装置15は、従業員用端末11や管理者用端末12などから入力される情報、予め記憶した情報やワクチン接種管理プログラムなどに基づいて、各従業員のワクチン接種を管理する。また、ワクチン接種管理装置15は、従業員用端末11や管理者用端末12に対し、ネットワーク13を介して、各種情報を入力可能なGUI(Graphical User Interface:グラフィカルユーザインタフェース)として各種の画面を提供する。例えば、ワクチン接種管理装置15は、従業員用端末11や管理者用端末12に対してログイン画面を提供する。各従業員は、ログイン画面において自身の個人IDやパスワードを入力することにより、ワクチン接種管理システム10にログインする。また、管理者は、ログイン画面において自身の管理者IDやパスワードを入力することにより、ワクチン接種管理システム10にログインする。なお、従業員および管理者は、ログイン画面以外の各種画面に対してはログインした状態でアクセスする。
【0032】
ワクチン接種管理装置15は、ワクチン接種管理データ部20とワクチン接種管理処理部30とを有する。
(ワクチン接種管理データ部)
ワクチン接種管理データ部20は、各種の接種判断情報を記憶する記憶部である。接種判断情報は、ワクチン接種の対象となる対象ワクチン種別およびその要否判断に用いられる情報である。ワクチン接種管理データ部20は、記憶部として、ワクチンマスタ21、個人マスタ22、接種勧奨データ部23、接種状況データ部24、および、接種記録データ部25を含んで構成されている。
【0033】
(ワクチンマスタ)
図2に示すように、ワクチンマスタ21は、接種判断情報として、ワクチン情報、感染症-ワクチン関連情報、感染症対象地域情報、感染症対象部署・職種情報を記憶している。
【0034】
ワクチン情報は、ワクチン種別、ワクチン名、メーカ名、規定接種回数、接種間隔、有効免疫期間、予防効果獲得日数を含んだ情報である。
ワクチン種別は、ワクチンの種類である。ワクチン名は、ワクチンの名称である。メーカ名は、ワクチンを製造しているメーカの名称である。規定接種回数は、ワクチンによる免疫が有効となる接種回数である。接種間隔は、ワクチンを複数回接種する際に必要な間隔である。有効免疫期間は、ワクチンによる免疫が有効な期限である。予防効果獲得日数はワクチン接種後、予防効果が得られるまでの日数である。
【0035】
感染症-ワクチン関連情報は、感染症の名称とその感染症の予防に有効なワクチン種別とが関連付けられた情報である。
感染症対象地域情報は、感染症の名称とその感染症についてのワクチン接種が必要となる対象地域とが関連付けられた情報である。
感染症対象部署・職種情報は、感染症の名称とその感染症についてのワクチン接種が必要となる部署名と職種が関連付けられた情報である。
【0036】
(個人マスタ)
個人マスタ22は、各従業員の個人情報を記憶している。個人情報は、個人ID、氏名、性別、生年月日、メールアドレス、デバイス情報、所属部署、職種を含んだ情報である。
【0037】
個人IDは、ワクチン接種管理システム10において各従業員を識別するためのIDである。
氏名、性別、および、生年月日は、上記個人IDの従業員についての情報である。
メールアドレスは、上記個人IDの従業員に対する連絡事項の送信先である。
デバイス情報は、上記個人IDの従業員が所持する従業員用端末11の種別、例えば携帯電話や自宅PCのほか、その機種名などである。デバイス情報は、複数種の端末について登録されてもよい。
所属部署および職種は、同従業員の配属部署と職種である。
【0038】
(接種勧奨データ部)
接種勧奨データ部23は、接種勧奨情報を記憶している。接種勧奨情報は、接種勧奨ID、対象者個人ID、勧奨日、対象感染症、接種期間(開始日~終了日)、接種勧奨理由を含んで構成されている。
接種勧奨IDは、従業員に対して行ったワクチンの接種勧奨を識別するためのIDである。
対象者個人IDは、ワクチンの接種勧奨の対象となった従業員の個人IDである。
勧奨日は、ワクチンの接種勧奨を行った日付である。
対象感染症は、ワクチンの接種勧奨の対象となった感染症の名称である。
接種期間(開始日~終了日)は、上記接種勧奨IDの接種勧奨に基づくワクチン接種の推奨期間である。
接種勧奨理由は、上記接種勧奨IDの接種勧奨を行う理由である。
【0039】
(接種状況データ部)
接種状況データ部24は、接種判断情報として、接種状況情報を記憶している。接種状況情報は、接種勧奨ID、状況、接種記録ID、接種不能判定日、接種不能理由を含んで構成されている。
【0040】
接種勧奨IDは、接種勧奨情報の接種勧奨IDと同じIDである。
状況は、上記接種勧奨IDの接種勧奨についての状況(例えば、勧奨済、接種済、接種不可)を示している。
接種記録IDは、上記状況を「接種済」とする根拠となった接種記録情報を識別するためのIDである。
接種不能判定日は、上記状況を「接種不可」とした日付である。
接種不能理由は、上記状況を「接種不可」とした理由である。
【0041】
(接種記録データ部)
接種記録データ部25は、従業員のワクチン接種記録である接種記録情報を記憶している。接種記録情報は、接種記録ID、個人ID、ワクチン種別、ワクチン名、接種日、接種病院、接種者、ロット番号、接種回、次回接種予定日、有効免疫期間、接種証明書情報を含んだ情報である。
【0042】
接種記録IDは、従業員のワクチン接種記録を1つ1つ識別するためのIDである。接種記録IDは、接種記録データ部25に接種記録情報が登録される際に割り振られるIDである。
個人IDは、ワクチン接種管理システム10において各従業員を識別するためのIDである。
ワクチン種別は、ワクチンの種類である。
ワクチン名は、ワクチンの名称である。
接種日は、従業員がワクチンを接種した日付である。
接種病院は、ワクチン接種のための接種行為を行った病院名である。
接種者は、接種行為を実際に行った医師あるいは看護師の氏名である。
ロット番号は、ワクチン接種において使用したワクチンのロット番号である。
接種回は、上記ワクチン種別に対する何回目のワクチン接種であるかを示している。
次回接種予定日は、上記ワクチン種別に対する次回のワクチン接種予定日である。
有効免疫期間は、ワクチンによる免疫が有効な期間である。
接種証明書情報は、上記ワクチン種別に対するワクチン接種を証明する情報である。接種証明書情報は、例えば、医療機関や公共機関において発行される証明書の撮像画像などである。
【0043】
(ワクチン接種管理処理部)
図1に示すように、ワクチン接種管理処理部30は、ワクチン接種管理データ部20への各種情報の登録に関する各種処理、ワクチン接種の勧奨に関する各種処理などを実行する。ワクチン接種管理処理部30は、プログラムの実行により機能する機能部として、個人情報登録部31、接種記録処理部35、および、接種勧奨処理部70を有している。
【0044】
(個人情報登録部)
個人情報登録部31は、従業員用端末11や管理者用端末12から入力される各種情報に基づいて、従業員の個人情報を個人マスタ22に登録する。
【0045】
個人情報登録部31は、ワクチン接種管理装置15にアクセスした端末11,12において所定の操作が行われることにより、個人情報を入力するための個人情報入力画面を端末11,12に提供する。
【0046】
個人情報の登録に関して、従業員は、従業員用端末11でアクセスした従業員用の個人情報入力画面において、従業員が個人情報を登録するための必要情報を入力する。必要情報が入力されると、個人情報登録部31は、個人マスタ22に同一人物の個人情報が記憶されていないか照合する。個人マスタ22に同一人物の個人情報が記憶されていない場合、個人情報登録部31は、個人IDを関連付けた必要情報を個人情報として個人マスタ22に登録する。従業員が登録する際の必要情報は、氏名、性別、生年月日、メールアドレス、デバイス情報、所属部署などである。一方、個人マスタ22に同一人物の個人情報が記憶されている場合、個人情報登録部31は、既に登録されている個人情報を更新する。
【0047】
個人情報の登録に関して、管理者は、管理者用端末12でアクセスした管理者用の個人情報入力画面において、管理者が個人情報を登録するための必要情報を入力する。管理者用端末12から必要情報が入力されると、個人情報登録部31は、個人マスタ22に同一人物の個人情報が記憶されていないか照合する。個人マスタ22に同一人物の個人情報が記憶されていない場合、個人情報登録部31は、個人IDを関連付けた必要情報を個人情報として個人マスタ22に登録する。管理者が登録する際の必要情報は、氏名、性別、生年月日、メールアドレス、デバイス情報、所属部署などである。
【0048】
(接種記録処理部)
接種記録処理部35は、ワクチン接種管理データ部20への接種記録データ部25の登録に関する各種処理を実行する。接種記録処理部35は、プログラムの実行により機能する機能部として、接種記録登録部36、接種記録一括登録部37、接種記録更新・削除部38、接種記録表示部39を有している。
【0049】
接種記録登録部36は、ワクチン接種記録をワクチン接種管理データ部20に登録する。
接種記録一括登録部37は、複数の接種記録が記載された外部ファイルである接種記録ファイル40に基づいて、その接種記録ファイル40に基づく接種記録を一括してワクチン接種管理データ部20に取り込む。
【0050】
接種記録更新・削除部38は、ワクチン接種管理データ部20に保存されている接種記録情報を更新、削除する。
【0051】
接種記録表示部39は、ワクチン接種管理データ部20に保存されている接種記録情報を取り出して、従業員用端末11や管理者用端末12に表示させる。
【0052】
(接種記録の新規登録)
図3を参照して、接種記録の新規登録の一例について説明する。接種記録の新規登録に関する各種処理は、接種記録登録部36によって実行される。接種記録登録部36は、ワクチン接種管理システム10にログインした従業員や管理者が入力した情報に基づいて各種処理を実行する。
【0053】
従業員や管理者は、ワクチン接種管理装置15が提供するメニュー画面において接種記録新規登録ボタンを操作することにより接種記録の新規登録が可能となる。接種記録新規登録ボタンが操作されると、接種記録登録部36は、接種情報の新規登録に関する各種情報を入力可能な接種記録新規登録画面を従業員用端末11や管理者用端末12に提供する。
【0054】
図3は、管理者用新規登録画面の表示例を示している。図3に示すように、管理者用新規登録画面41には、登録対象者の抽出条件を入力可能な対象者抽出ボタン42が設けられている。
【0055】
管理者は、対象者抽出ボタン42を操作して対象者抽出用のダイアログを表示させたのち、個人ID、氏名、所属部署などの登録対象者抽出条件を入力することにより登録対象者を抽出する。抽出された登録対象者は、対象者抽出ボタン42の左側に表示される。複数の登録対象者が抽出された場合、管理者は、切り替えボタン42aを操作することにより、抽出された登録対象者から実際に登録を行う従業員を選択する。
【0056】
管理者用新規登録画面には、ワクチン種別、接種日、接種病院、接種者、ワクチン名として薬剤名、メーカ名、接種回、ロット番号、有効免疫期間、次回接種予定日としての次回接種時期、メモ、接種証明書情報を入力可能な入力欄が設けられている。
【0057】
管理者は、従業員から提供された情報に基づいて各種情報を入力欄に入力する。接種証明書情報以外の情報について、管理者は、各入力欄に直接入力する。接種証明書情報について、管理者は、接種証明書(撮像した証明書の画像や二次元バーコード、公的証明書へのリンクなど)を管理者用端末12に取り込んだのち、その接種証明書を接種証明書情報として入力する。入力された接種証明書情報は、接種証明書表示欄44に表示される。各種情報を入力した管理者は、登録ボタン43を操作する。
【0058】
登録ボタン43が操作されると、接種記録登録部36は、登録に必要な全ての情報が入力されているか否かを判断する。登録に必要な情報が不足している場合、接種記録登録部36は、管理者用端末12に対して、登録に必要な情報が不足していることを示すエラー通知を行う。登録に必要な情報が全て入力されている場合、接種記録登録部36は、入力された各種情報に接種記録IDを新規に割り振った接種記録情報を接種記録データ部25に新規登録する。
【0059】
なお、各種情報は、接種証明書からワクチン種別などの情報が取得できる場合には、その接種証明書に基づいて登録されてもよい。また、従業員用新規登録画面は、管理者用新規登録画面41において対象者抽出ボタン42が表示されない画面構成となっている。従業員は、管理者と同様に、従業員用新規登録画面において各種情報を入力したあとに登録ボタンを操作することにより、接種記録を新規登録する。
【0060】
(接種記録の一括登録)
図4を参照して、接種記録の一括登録について説明する。接種記録の一括登録に関する各種処理は、接種記録一括登録部37によって実行される。
【0061】
接種記録の一括登録は、例えば、部署ごとにワクチンの集団接種を行った場合や複数の従業員の接種記録を登録する場合に利用される。接種記録の一括登録に関する操作は、管理者のみが実行可能である。
【0062】
接種記録の一括登録は、接種記録ファイル40をワクチン接種管理装置15にインポートすることにより実行される。接種記録ファイル40は、CSV、XML、JSONといった所定のフォーマットのファイルである。接種記録ファイル40は、接種記録を一括登録するまえに、一括登録したい接種記録が管理者によって記録されたファイルである。
【0063】
接種記録ファイル40には、各種情報(個人ID、ワクチン種別、接種日、接種病院、接種者、ワクチン名として薬剤名、メーカ名、接種回、ロット番号、有効免疫期間、次回接種予定日としての次回接種時期、メモ、接種証明書情報)のうち、登録に必要な全ての情報が記録されている。接種記録ファイル40がインポートされると、接種記録一括登録部37は、管理者によって選択された個人IDごとに上記各種情報を関連付けた接種記録情報を登録する。
【0064】
管理者は、例えば、ワクチン接種管理装置15が提供するメニュー画面に管理者用端末12でアクセスして、接種記録一括登録ボタンを操作することにより接種記録の一括登録が可能となる。接種記録一括登録ボタンが操作されると、接種記録一括登録部37は、接種記録ファイル40をインポート可能な接種記録一括登録画面45を管理者用端末12に提供する。
【0065】
図4は、接種記録一括登録画面の表示例を示している。図4に示すように、接種記録一括登録画面45には、インポートする接種記録ファイル40を指定する受入ファイル入力部46が設けられている。管理者は、受入ファイル入力部46への直接入力により、受入ファイル入力部46に接種記録ファイル40を入力する。あるいは、管理者は、受入ファイル入力部46の右側に設けられた参照ボタン47を操作したのち、管理者用端末12に保存されているファイルを選択することにより、受入ファイル入力部46に接種記録ファイル40を入力する。
【0066】
管理者は、受入ファイル入力部46および参照ボタン47の下側に設けられたコード入力部48や検索ボタン49、詳細検索ボタン50などを利用して、接種記録ファイル40の中から実際に登録を行う対象者を選択する。
【0067】
コード入力部48には、対象となる従業員の個人IDが入力される。個人IDが入力された従業員は、対象者表示部51に表示される。検索ボタン49や詳細検索ボタン50は、対象となる従業員を検索する際に用いられる。対象となる従業員の検索は、例えば、所属部署や生年月日、性別などを用いた検索が可能に構成されている。その検索結果は、対象者表示部51に表示される。管理者は、対象者表示部51に表示された従業員のなかから一括登録の対象となる従業員を選択する。なお、接種記録一括登録画面45は、全選択ボタン52を操作することにより、対象者表示部51に表示された従業員の全員を選択可能に構成されている。
【0068】
一括登録の対象となる従業員を選択すると、管理者は、実行ボタン53を操作する。実行ボタン53が操作されると、接種記録一括登録部37は、接種記録ファイル40の接種記録ごとに接種記録IDを新規に割り振った接種記録情報を接種記録データ部25に一括登録する。
【0069】
(接種記録の更新・削除)
図5を参照して、接種記録情報の更新・削除について説明する。接種記録情報の更新・削除は、登録済みの接種記録情報について変更があった場合に、その接種記録情報の従業員本人、あるいは、管理者によって行われる。接種記録情報の更新・削除に関する各種処理は、接種記録更新・削除部38および接種記録表示部39によって実行される。
【0070】
従業員は、例えば、ワクチン接種管理装置15が提供するメニュー画面に従業員用端末11でアクセスして接種記録情報確認ボタンを操作することにより、自身の接種記録確認画面を閲覧可能となる。接種記録情報の確認は、対象期間を指定することも可能である。そして、自身の接種記録確認画面に設けられた接種記録更新ボタンを操作することにより、接種記録情報の更新が可能となる。また、自身の接種記録確認画面に設けられた接種記録削除ボタンを操作することにより、接種記録情報の削除が可能となる。
【0071】
管理者は、例えば、ワクチン接種管理装置15が提供するメニュー画面に管理者用端末12でアクセスしたのち、対象となる従業員の個人IDを入力して接種記録情報確認ボタンを操作することにより、その対象者の接種記録確認画面を閲覧可能となる。接種記録情報の確認は、対象期間を指定することも可能である。そして、対象者の接種記録確認画面に設けられた接種記録更新ボタンを操作することにより、対象者の接種記録情報の更新が可能となる。また、対象者の接種記録確認画面に設けられた接種記録削除ボタンを操作することにより、対象者の接種記録情報の削除が可能となる。
【0072】
図5は、接種記録表示部39が従業員用端末11や管理者用端末12に提供する接種記録確認画面の表示例である。図5に示すように、接種記録確認画面55には、対象者の接種記録の一覧表56が表示される。一覧表56に表示される接種記録情報の対象期間は、対象期間入力部57,58に具体的な日付を入力することにより指定することが可能である。また、対象期間を変更する場合には、対象期間入力部57,58に具体的な日付を入力したあとに画面更新ボタン59を操作する。一覧表56には、ワクチン種別、接種日、薬剤名(ワクチン名)、接種回、次回接種時期(次回接種予定日)が表示される。
【0073】
接種記録を更新したい場合、従業員や管理者は、一覧表56にある接種記録の1つを選択した状態で接種記録更新ボタン60を操作する。接種記録更新ボタン60が操作されると、接種記録更新・削除部38は、選択された接種記録の接種記録編集画面を端末11,12に提供する。接種記録編集画面において、従業員や管理者は、接種記録情報の編集を行って更新ボタンを操作する。
【0074】
更新ボタンが操作されると、接種記録更新・削除部38は、編集後の内容へと接種記録情報を更新する。また、接種記録表示部39は、更新後の接種記録情報を含む一覧表56を表示する接種記録確認画面55を従業員用端末11や管理者用端末12に提供する。
【0075】
接種記録を削除したい場合、従業員や管理者は、一覧表56にある接種記録の少なくとも1つを選択した状態で接種記録削除ボタン61を操作する。
接種記録削除ボタン61が操作されると、接種記録更新・削除部38は、選択されている接種記録情報を削除する。また、接種記録表示部39は、選択されていた接種記録情報を削除した一覧表56を表示する接種記録確認画面55を従業員用端末11や管理者用端末12に提供する。
【0076】
また、接種記録確認画面55には、接種記録を追加する接種記録追加ボタン62が設けられている。こうした構成によれば、過去の接種記録を確認したうえで新たな接種記録を新規登録することができるため、接種記録の重複を回避することができる。
【0077】
(接種勧奨処理部)
接種勧奨処理部70は、従業員に対するワクチン接種の勧奨に関する各種処理を実行する。接種勧奨処理部70は、例えば、企業内情報などに基づいて勧奨に関する処理を実行する。企業内情報は、企業活動に関する従業員の情報である。企業内情報は、例えば、従業員の海外出張や海外赴任、従業員の所属部署や部署異動、配置転換などを示す情報である。接種勧奨処理部70は、プログラムの実行により機能する機能部として、ワクチン接種勧奨部71、ワクチン接種勧奨表示部72、勧奨ワクチン接種不可登録部73、勧奨ワクチン接種状況表示部74、ワクチン接種勧奨取消部75を有している。
【0078】
ワクチン接種勧奨部71は、ワクチンの接種勧奨に関する各通知やワクチン接種管理データ部20への勧奨内容の保存などを行う勧奨処理を実行する。
ワクチン接種勧奨表示部72は、各従業員が自身に接種勧奨されているワクチン接種を確認可能なワクチン接種勧奨確認画面を端末11に提供する。
勧奨ワクチン接種不可登録部73は、接種状況データ部24の接種状況情報における「状況」に“接種不可”を登録する処理を実行する。
勧奨ワクチン接種状況表示部74は、接種勧奨したワクチンの接種状況に関する接種状況画面や抽出結果画面を端末12に提供する。
ワクチン接種勧奨取消部75は、例えば、管理者用端末12における管理者の操作に基づいてワクチン接種の勧奨を取り消す処理を実行する。
【0079】
(渡航時勧奨処理)
図6を参照して、接種勧奨を自動で行う勧奨処理である渡航時勧奨処理の一例について説明する。渡航時勧奨処理は、ワクチン接種勧奨部71によって実行される。
ワクチン接種勧奨部71は、従業員用端末11、あるいは、管理者用端末12を通じて、海外出張や海外赴任などの企業活動に基づく従業員の渡航予定を示す渡航情報が企業内情報としてワクチン接種管理装置15に入力されると、その従業員を対象者として渡航時勧奨処理を実行する。渡航情報は、渡航日および渡航先を含んだ情報である。
【0080】
図6に示すように、渡航情報が入力されると、ワクチン接種勧奨部71は、ワクチンマスタ21の感染症対象地域情報に基づいて、渡航先が感染症対象地域であるか否かを判断する(ステップS101)。
【0081】
渡航先が感染症対象地域でない場合(ステップS101:対象地域でない)、ワクチン接種勧奨部71は、そのまま渡航時勧奨処理を終了する。一方、渡航先が感染症対象地域である場合(ステップS101:対象地域)、ワクチン接種勧奨部71は、感染症対象地域情報、および、感染症-ワクチン関連情報などに基づいて、接種対象のワクチン種別を特定する(ステップS102)。
【0082】
接種対象のワクチン種別が特定されると、ワクチン接種勧奨部71は、対象者の接種記録情報のいずれかに接種対象のワクチン種別が記録されているか否かを判断する(ステップS103)。
【0083】
接種対象のワクチン種別が記録されている場合(ステップS103:ある)、ワクチン接種勧奨部71は、そのワクチン種別の全ての接種記録情報に基づいて、ワクチンの有効免疫期間が渡航日以降であるか否かを判断する(ステップS104)。有効免疫期間が渡航日以降である場合(ステップS104:後)、ワクチン接種勧奨部71は、有効免疫期間が渡航日以降であることを示す情報を管理者用端末12に送信することにより、その旨を管理者に通知して(ステップS105)、一連の処理を終了する。
【0084】
一方、接種対象のワクチン種別が記録されていない場合(ステップS103:ない)、および、有効免疫期間が渡航日以降でない場合(ステップS104:前)、ワクチン接種勧奨部71は、該当する感染症について、接種勧奨データ部23に「接種勧奨情報」を登録するとともに接種状況データ部24に「接種状況情報」を登録する(ステップS106)。「接種勧奨情報」の接種勧奨IDおよび「接種状況情報」の接種勧奨IDは、ステップS106の登録時に割り振られる同じIDである。
【0085】
ステップS106において、ワクチン接種勧奨部71は、割り振られた接種勧奨IDに対して、対象者個人ID、勧奨日、対象感染症、接種期間(開始日~終了日)、および、接種勧奨理由を関連付けた情報を接種勧奨情報として登録する。
【0086】
なお、接種期間には、対象感染症、現在日時、および、渡航日などに基づいてワクチン接種勧奨部71が設定した期間が登録される。例えば、渡航時勧奨処理において、ワクチン接種勧奨部71は、現在日時を開始日、対象感染症に基づく予防効果獲得日数だけ渡航日よりも前の日付を終了日として接種期間を設定する。接種勧奨理由には、例えば、渡航前に対象感染症への対策が必要であることなどが登録される。
【0087】
また、ステップS106において、ワクチン接種勧奨部71は、割り振られた接種勧奨IDに対して、「状況」に“勧奨済”を登録する。また、ワクチン接種勧奨部71は、接種不能判定日、および、接種不能理由をブランクの状態で接種状況情報を登録する。
【0088】
接種勧奨情報および接種状況情報の登録が完了すると、ワクチン接種勧奨部71は、接種勧奨を対象者に通知して(ステップS107)、一連の処理を終了する。
ステップS107において、ワクチン接種勧奨部71は、対象者個人IDに対応する従業員の個人情報に基づいて、その従業員に関連付けられたメールアドレスまたはデバイス情報に対して、接種勧奨内容を通知する。接種勧奨内容は、ワクチン種別、勧奨日、対象感染症、接種期間(開始日~終了日)、および、接種勧奨理由である。また、接種勧奨内容は、例えば、そのワクチン種別のワクチン接種を実施している実施機関をワクチン情報に登録しておくことにより、その実施機関を含んだ内容であってもよい。
【0089】
(定期勧奨処理)
図7を参照して、接種勧奨を自動で行う勧奨処理である定期勧奨処理の一例について説明する。定期勧奨処理は、ワクチン接種勧奨部71によって実行される。ワクチン接種勧奨部71は、例えば毎月一日など、所定期間ごとに定期勧奨処理を実行する。
【0090】
図7に示すように、定期勧奨処理の一例において、ワクチン接種勧奨部71は、ワクチンマスタ21の感染症対象部署・職種情報に基づいて、その感染症対象部署・職種情報に登録されている部署を感染症対象部署、登録されている職種を対象職種として、対象者となる従業員を抽出する(ステップS201)。
【0091】
また、ワクチン接種勧奨部71は、ワクチンマスタ21の感染症-ワクチン関連情報に基づいて、感染症対象部署・職種情報に登録されている感染症を対象感染症としてワクチン種別を確認する(ステップS202)。また、ワクチン接種勧奨部71は、対象者の接種記録情報を抽出する(ステップS203)。
【0092】
次に、ワクチン接種勧奨部71は、ステップS202において確認したワクチン種別とステップS203において抽出した対象者の接種記録情報とに基づいて、対象者について接種勧奨が必要か否かを判断する(ステップS204)。
【0093】
ステップS204において、ワクチン接種勧奨部71は、ステップS202で確認したワクチン種別を含む接種記録情報が登録されていない対象者については接種勧奨が必要と判断する。
【0094】
ステップS204において、ワクチン接種勧奨部71は、ステップS202で確認したワクチン種別を含む接種記録情報が登録されている対象者については、その有効免疫期間に基づいて接種勧奨の要否を判断する。例えば、ワクチン接種勧奨部71は、有効免疫期間が現在日時を基準とした要否判定日前である場合に接種勧奨が必要であると判断する。要否判定日としては、例えば、現在日時から一ヶ月後の日付や次回以降の定期勧奨処理の実行日などが挙げられる。
【0095】
接種勧奨が不要な場合(ステップS204:ない)、すなわち接種勧奨が必要な対象者がいない場合、ワクチン接種勧奨部71は、一連の処理を終了する。一方、接種勧奨が必要な場合(ステップS204:ある)、すなわち接種勧奨が必要な対象者がいる場合、ワクチン接種勧奨部71は、該当する感染症について、「接種勧奨情報」を接種勧奨データ部23に登録するとともに「接種状況情報」を接種状況データ部24に登録する(ステップS205)。
【0096】
ステップS205において、ワクチン接種勧奨部71は、割り振られた接種勧奨IDに対して、対象者個人ID、勧奨日、対象感染症、接種期間(開始日~終了日)、および、接種勧奨理由を関連付けた情報を接種勧奨情報として登録する。
【0097】
なお、接種期間には、対象感染症、現在日時、接種日、および、有効免疫期間などに基づいてワクチン接種勧奨部71が設定した期間が登録される。例えば、定期勧奨処理において、ワクチン接種勧奨部71は、現在日時を開始日、対象感染症に基づく予防効果獲得日数だけ有効免疫期間の最終日よりも前の日付を終了日として接種期間を設定する。接種勧奨理由には、例えば、有効免疫期間が近づいているため、対象感染症への対策が必要であることなどが登録される。
【0098】
また、ステップS205において、ワクチン接種勧奨部71は、割り振られた接種勧奨IDに対して、「状況」に“勧奨済”を登録する。また、ワクチン接種勧奨部71は、接種不能判定日、および、接種不能理由をブランクの状態で接種状況情報を登録する。
【0099】
「接種勧奨情報」および「接種状況情報」の登録が完了すると、ワクチン接種勧奨部71は、ステップS107と同様に、接種勧奨が必要な対象者に対して接種勧奨を通知して(ステップS206)、一連の処理を終了する。
【0100】
(手動勧奨処理)
図8を参照して、勧奨処理を手動で行う手動勧奨処理について説明する。手動勧奨処理は、ワクチン接種管理装置15が提供する手動勧奨画面にアクセスした管理者用端末12に対する管理者の操作に基づいて実行される。具体的には、手動勧奨処理は、手動勧奨画面の条件入力欄に入力された対象者抽出条件に基づいて実行される。対象者抽出条件は、例えば、所属部署、年齢、性別、渡航履歴、ワクチン種別などである。
【0101】
図8に示すように、手動勧奨処理において、ワクチン接種勧奨部71は、手動勧奨画面に入力された対象者抽出条件、個人マスタ22の個人情報、および、接種記録データ部25の接種記録情報に基づいて、従業員のなかから接種勧奨の対象者を抽出する(ステップS301)。なお、対象者は、抽出結果から接種勧奨を行う従業員を管理者が選択可能であってもよい。
【0102】
対象者を抽出したワクチン接種勧奨部71は、その対象者について、「接種勧奨情報」を接種勧奨データ部23に登録するとともに「接種状況情報」を接種状況データ部24に登録する(ステップS302)。
【0103】
ステップS302において、ワクチン接種勧奨部71は、割り振られた接種勧奨IDに対して、対象者個人ID、勧奨日、対象感染症、接種期間(開始日~終了日)、および、接種勧奨理由を関連付けた情報を接種勧奨情報として登録する。
【0104】
なお、接種期間には、対象感染症、現在日時、および、有効免疫期間などに基づいて管理者が設定した期間が登録される。接種勧奨理由には、例えば、年齢や性別、所属部署、渡航履歴などに基づいて、対象感染症への対策が必要であることなどが登録される。
【0105】
また、ステップS302において、ワクチン接種勧奨部71は、割り振られた接種勧奨IDに対して、「状況」に“勧奨済”を登録する。また、ワクチン接種勧奨部71は、接種不能判定日、および、接種不能理由をブランクの状態で接種状況情報を登録する。
【0106】
「接種勧奨情報」および「接種状況情報」の登録が完了すると、ワクチン接種勧奨部71は、ステップS107と同様に、接種勧奨が必要な対象者に対して接種勧奨を通知して(ステップS303)、一連の処理を終了する。
【0107】
(接種状況更新処理)
図9を参照して、接種状況更新処理について説明する。接種状況更新処理は、接種記録データ部25に接種記録情報が登録されると実行される。接種状況更新処理は、接種記録情報の個人IDに対応する従業員を対象者として開始される。
【0108】
図9に示すように、接種状況更新処理において、ワクチン接種勧奨部71は、登録された接種記録情報の個人IDに対応する接種勧奨情報の接種勧奨IDに基づいて、接種状況情報のなかから「状況」が“勧奨済”である接種勧奨IDを抽出する(ステップS401)。
【0109】
次に、ワクチン接種勧奨部71は、登録された接種記録情報のワクチン種別、感染症-ワクチン関連情報の感染症、および、抽出した接種勧奨IDに基づいて、接種記録情報のワクチン種別に対応する感染症に該当する接種勧奨があるか否かを判断する(ステップS402)。
【0110】
該当する接種勧奨がある場合(ステップS402:ある)、ワクチン接種勧奨部71は、登録された接種記録情報の接種日が接種勧奨情報の接種期間に含まれているか否かを判断する(ステップS403)。該当する接種勧奨がない場合(ステップS402:ない)、および、接種日が接種期間に含まれていない場合(ステップS403:含まれない)、ワクチン接種勧奨部71は、ステップS405の処理へと移行する。接種日が接種期間に含まれている場合(ステップS403:含まれる)、ワクチン接種勧奨部71は、ステップS404の処理を実行してからステップS405の処理に移行する。
【0111】
ステップS404において、ワクチン接種勧奨部71は、接種勧奨情報の「状況」を“勧奨済”から“接種済”へと変更するとともに、登録された接種記録情報の接種記録IDを接種勧奨情報の「接種記録ID」に登録する。
【0112】
ステップS405において、ワクチン接種勧奨部71は、登録された接種記録情報のワクチン名および接種回についてワクチン情報を参照することにより、その接種回が規定接種回数以上であるか否かを判断する。
【0113】
接種回が規定接種回数以上である場合(ステップS405:以上)、ワクチン接種勧奨部71は、一連の処理を終了する。一方、接種回が規定接種回数未満である場合(ステップS405:未満)、ワクチン接種勧奨部71は、次のワクチン接種についての「接種勧奨情報」を接種勧奨データ部23に登録するとともに「接種状況情報」を接種状況データ部24に登録する(ステップS406)。
【0114】
ステップS406において、ワクチン接種勧奨部71は、割り振られた接種勧奨IDに対して、対象者個人ID、勧奨日、対象感染症、接種期間(開始日~終了日)、および、接種勧奨理由を関連付けた情報を接種勧奨情報として登録する。
【0115】
対象者個人IDには、登録された接種記録情報の個人IDが登録される。勧奨日には、本日の日付が登録される。対象感染症には、該接種記録情報のワクチン種別に基づく感染症が登録される。接種期間には、該接種記録情報の接種日、該接種記録情報のワクチン名についてのワクチン情報の接種間隔や有効免疫期間などに基づく期間が登録される。接種勧奨理由には、今回接種したワクチンについて、接種回が規定接種回数よりも少ないことなどが登録される。
【0116】
また、ステップS406において、ワクチン接種勧奨部71は、割り振られた接種勧奨IDに対して、「状況」に“勧奨済”を登録する。また、ワクチン接種勧奨部71は、接種不能判定日、および、接種不能理由をブランクの状態で接種状況情報を登録する。
【0117】
「接種勧奨情報」および「接種状況情報」の登録が完了すると、ワクチン接種勧奨部71は、ステップS107と同様に、接種勧奨が必要な対象者に対して接種勧奨を通知して(ステップS407)、一連の処理を終了する。
【0118】
(再勧奨処理)
図10を参照して、再勧奨処理について説明する。再勧奨処理は、ワクチン接種を勧奨した従業員のうちでワクチン未接種の従業員にワクチン接種を再勧奨する処理である。再勧奨処理は、例えば毎日など、定期的に自動開始される。
【0119】
図10に示すように、再勧奨処理において、ワクチン接種勧奨部71は、再勧奨を行う従業員を抽出する(ステップS501)。具体的には、ワクチン接種勧奨部71は、接種状況情報に基づいて、「状況」が“勧奨済”である接種勧奨IDを抽出する。そして、ワクチン接種勧奨部71は、その抽出した接種勧奨IDの接種勧奨情報に基づいて、接種期間が既定期間後に終了する対象者個人IDの従業員を再勧奨の対象として抽出する。既定期間は、例えば、対象感染症に応じて定められる期間である。既定期間は、対象感染症に応じて複数定められてもよい。
【0120】
次に、ワクチン接種勧奨部71は、ステップS107と同様に、ステップS501において抽出された従業員の従業員用端末11にワクチン接種の勧奨を再び通知することにより、対象者へ接種再勧奨を通知する(ステップS502)。対象者へ接種再勧奨に際して、ワクチン接種勧奨部71は、該当する接種勧奨IDについて、再勧奨を行った日付を「勧奨日」に追加、あるいは、再勧奨を行った日付に「勧奨日」を変更することで接種勧奨情報を更新する。
【0121】
(接種不可登録処理)
図11を参照して、接種不可登録処理について説明する。接種不可登録処理は、接種状況情報の「状況」に“接種不可”が登録される処理である。接種不可登録処理は、勧奨ワクチン接種不可登録部73によって実行される。勧奨ワクチン接種不可登録部73は、ワクチン接種管理装置15が提供する接種不可登録画面に従業員用端末11でアクセスした従業員の操作、あるいは、管理者用端末12でアクセスした管理者の操作に基づいて接種不可登録処理を実行する。従業員は、例えば、メニュー画面から接種不可登録画面にアクセスする。管理者は、例えば、メニュー画面から接種不可登録画面にアクセスする。
【0122】
接種不可登録処理は、接種不可登録画面において、対象感染症やワクチン種別、接種しない理由などの接種不可に関する接種不可情報が選択・入力されたのちに送信ボタンが操作されることにより開始される。接種しない理由は、例えば、従業員の体質に問題があること、その対象感染症について未登録のワクチン接種があること、渡航中止、部署異動などである。
【0123】
図11に示すように、勧奨ワクチン接種不可登録部73は、まず、接種不可登録画面に入力された接種不可に関する各種情報を受信する(ステップS601)。
各種情報を受信すると、勧奨ワクチン接種不可登録部73は、その受信した情報に基づいて、対象となる接種状況情報に各種情報を登録する(ステップS602)。具体的には、勧奨ワクチン接種不可登録部73は、「状況」に“接種不可”を登録する。また、勧奨ワクチン接種不可登録部73は、「接種不能理由」に接種しない理由を、また、「接種不能判定日」に接種不能理由を登録した日付を登録する。これにより、接種状況情報の「状況」が“勧奨済”から“接種不可”となることから、再勧奨処理に基づくワクチンの接種勧奨が行われなくなる。そして、勧奨ワクチン接種不可登録部73は、勧奨接種IDの「状況」が“勧奨済”から“接種不可”に変更されたことを管理者用端末12へのメール送信によって管理者に通知する(ステップS603)。
【0124】
(接種状況確認処理)
図12を参照して、接種状況確認処理について説明する。接種状況確認処理は、管理者が設定した条件に応じて抽出した接種状況情報を管理者用端末12に表示する処理である。接種状況確認処理は、勧奨ワクチン接種状況表示部74によって実行される。接種状況確認処理は、勧奨ワクチン接種状況表示部74が提供する接種状況画面に管理者用端末12でアクセスした管理者の操作に基づいて行われる。接種状況画面において、管理者は、接種状況抽出条件を入力して検索ボタンを操作する。接種状況抽出条件は、例えば、接種記録情報の各種情報、接種勧奨情報の各種情報、接種状況情報の各種情報のうちの少なくとも1つである。
【0125】
図12に示すように、勧奨ワクチン接種状況表示部74は、入力された接種状況抽出条件に基づく情報を抽出する(ステップS701)。抽出される情報は、接種記録情報、接種勧奨情報、および、接種状況情報のうち、接種状況抽出条件を満たす情報である。
【0126】
接種状況抽出条件を満たす情報を抽出すると、勧奨ワクチン接種状況表示部74は、その抽出結果を管理者用端末12に出力することにより(ステップS702)、抽出結果を示す抽出結果画面を管理者用端末12に提供する。抽出結果画面には、抽出結果の一覧のほか、例えば、出力ボタンなどの操作ボタンが表示される。管理者は、抽出結果画面において、抽出された情報を確認したり、出力ボタンを操作したりする。出力ボタンが操作されると、管理者用端末12に接続された出力装置に抽出結果の一覧データが出力される。
【0127】
本実施形態の作用および効果について説明する。
(1)上記構成によれば、企業内において、従業員のワクチン接種を次のように管理することができる。ワクチン接種管理データ部20に接種記録情報が登録されることで、従業員のワクチン接種履歴を企業内で把握することができる。また、従業員の接種記録情報と接種判断情報とに基づいて、企業内情報に起因するワクチン接種の対象ワクチン種別およびその要否が判断される。そして、各ワクチン接種が必要と判断された場合に、該当する従業員に対して接種勧奨が行われる。そのため、企業内情報によって必要と判断されたワクチン接種を従業員に促すことができる。また、ワクチン接種管理データ部20に接種勧奨情報が登録されることで従業員に対する過去の接種勧奨を把握することができる。
【0128】
(2)接種勧奨を受けた従業員は、ワクチン接種勧奨確認画面を閲覧することで自身への接種勧奨内容を確認することができる。これにより、従業員は、接種勧奨内容に基づいて、対象感染症のワクチン接種について対応することができる。
【0129】
(3)渡航時処理によって、渡航予定のある従業員に対して、その渡航先に応じたワクチン接種を促すことができる。これにより、渡航日までに間に必要なワクチン接種をより確実に従業員に受けさせることができる。
【0130】
(4)定期勧奨処理によって、例えば、従業員の部署異動があったとしても、その従業員に対して、異動先の部署に応じたワクチン接種を促すことができる。
(5)手動勧奨処理によって、対象者抽出条件によって抽出された従業員に対してワクチン接種を勧奨することができる。すなわち、所望の条件のもとで従業員に対するワクチン接種の勧奨を行うことができる。
【0131】
(6)再勧奨処理によって、勧奨したワクチン接種の目標接種期間が迫っている従業員に対して再びワクチン接種を勧奨することができる。これにより、接種勧奨に基づくワクチン接種をより確実に従業員に受けさせることができる。また、接種しない理由がある場合には、その理由を登録することを従業員に促すこともできる。
【0132】
(7)接種不可登録処理によって、例えば、従業員の体質などによってワクチン接種ができない場合に、接種状況を勧奨済から接種不可へと変更することができる。これにより、企業内において、接種勧奨に基づくワクチン接種を従業員が受けない理由を把握することができる。また、再勧奨処理による過度な接種勧奨も低減することができる。
【0133】
(8)接種状況確認処理によって、接種状況抽出条件に応じた情報を端末11,12に出力することができる。これにより、接種状況抽出条件に応じた従業員の情報を確認することができる。
【0134】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・定期勧奨処理の他例として、ワクチン接種勧奨部71は、接種記録情報の次回接種予定日に基づいて接種勧奨の要否が判断される次回接種勧奨処理を実行してもよい。この次回接種勧奨処理は、例えば毎日など、定期的に自動開始される。
【0135】
次回接種勧奨処理において、ワクチン接種勧奨部71は、接種記録情報に基づいて、登録されている次回接種予定日が現在日時から既定期間後(例えば一週間後や二週間後)である従業員を対象者として抽出する。
【0136】
対象者を抽出すると、ワクチン接種勧奨部71は、ステップS106と同様に、接種勧奨データ部23に「接種勧奨情報」を登録するとともに接種状況データ部24に「接種状況情報」を登録する。このとき、接種勧奨情報の接種勧奨理由には、接種予定日に基づく勧奨であることが登録される。
【0137】
「接種勧奨情報」および「接種状況情報」の登録が完了すると、ワクチン接種勧奨部71は、ステップS107と同様に、対象者に対して接種勧奨を通知して、一連の処理を終了する。
【0138】
・従業員は、企業に勤めている者であればよく、医療現場に勤めている医療従事者などであってもよい。
・企業内情報は、渡航情報に限らず、例えば従業員の部署異動情報やワクチン接種が必要なイベントや施設への出張情報などであってもよい。こうした構成によれば、従業員の部署異動情報や出張情報に基づく接種勧奨を行うことができる。
【符号の説明】
【0139】
10…ワクチン接種管理システム
11…従業員用端末
12…管理者用端末
13…ネットワーク
15…ワクチン接種管理装置
20…ワクチン接種管理データ部
21…ワクチンマスタ
22…個人マスタ
23…接種勧奨データ部
24…接種状況データ部
25…接種記録データ部
30…ワクチン接種管理処理部
31…個人情報登録部
35…接種記録処理部
36…接種記録登録部
37…接種記録一括登録部
38…接種記録更新・削除部
39…接種記録表示部
40…接種記録ファイル
41…管理者用新規登録画面
42…対象者抽出ボタン
42a…切り替えボタン
43…登録ボタン
44…接種証明書表示欄
45…接種記録一括登録画面
46…受入ファイル入力部
47…参照ボタン
48…コード入力部
49…検索ボタン
50…詳細検索ボタン
51…対象者表示部
52…全選択ボタン
53…実行ボタン
55…接種記録確認画面
56…一覧表
57…対象期間入力部
58…対象期間入力部
59…画面更新ボタン
60…接種記録更新ボタン
61…接種記録削除ボタン
62…接種記録追加ボタン
70…接種勧奨処理部
71…ワクチン接種勧奨部
72…ワクチン接種勧奨表示部
73…勧奨ワクチン接種不可登録部
74…勧奨ワクチン接種状況表示部
75…ワクチン接種勧奨取消部
図1
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図10
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