(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023067503
(43)【公開日】2023-05-16
(54)【発明の名称】草刈り機
(51)【国際特許分類】
A01D 34/535 20060101AFI20230509BHJP
【FI】
A01D34/535
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021178808
(22)【出願日】2021-11-01
(71)【出願人】
【識別番号】390010836
【氏名又は名称】小橋工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】宝蔵 伸行
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 聖太
(72)【発明者】
【氏名】藤原 伸明
【テーマコード(参考)】
2B083
【Fターム(参考)】
2B083AA01
2B083BA11
2B083BA16
2B083CA03
2B083CA17
2B083CA30
2B083CB02
2B083KA07
(57)【要約】
【課題】草刈り機の爪交換に要する時間を短縮すること。
【解決手段】一実施形態の草刈り機は、少なくとも2つの側板と、前記少なくとも2つの側板の間に軸支された爪軸と、前記爪軸に装着された複数の刈刃と、を含み、前記爪軸が、左右逆向きに付け替え可能に構成されている。前記少なくとも2つの側板は、それぞれ支持部を有し、前記爪軸は、左右の端部がフランジを介して各支持部に支持されていてもよいし、クラッチ機構を介して各支持部に支持されていてもよい。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの側板と、
前記少なくとも2つの側板の間に軸支された爪軸と、
前記爪軸に装着された複数の刈刃と、
を含み、
前記爪軸が、左右逆向きに付け替え可能に構成されている、草刈り機。
【請求項2】
前記少なくとも2つの側板には、それぞれ支持部が設けられ、
前記爪軸は、左右の端部がフランジを介して各支持部に支持されている、請求項1に記載の草刈り機。
【請求項3】
前記少なくとも2つの側板は、それぞれ支持部を有し、
前記爪軸は、左右の端部がクラッチ機構を介して各支持部に支持されている、請求項1に記載の草刈り機。
【請求項4】
前記クラッチ機構は、ドグクラッチを含む、請求項3に記載の草刈り機。
【請求項5】
前記クラッチ機構は、摩擦クラッチを含む、請求項3に記載の草刈り機。
【請求項6】
前記各支持部の一方は、駆動側支持部であり、他方は、サポート側支持部であり、
前記サポート側支持部の一部は、前記爪軸の軸方向に移動可能である、請求項2乃至5のいずれか一項に記載の草刈り機。
【請求項7】
前記刈刃は、正面から見た場合において、長手方向に沿う中心線に対して線対称の構造を有する、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の草刈り機。
【請求項8】
前記複数の刈刃を取り付ける各取付け座の位置は、前記爪軸を側面から見たとき、前記爪軸の軸心に対して回転対称性を有し、
前記軸心の延在方向において、前記軸心に沿って並ぶ爪配置線の位置は、前記軸心の中点に対して回転対称性を有する、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の草刈り機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、草刈り機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、農道や荒れ地の雑草を除去するため草刈り作業を行う作業機として草刈り機が知られている。一般的に、草刈り機は、トラクタ等の走行機体の後部に装着され、走行機体と共に移動しながら作業部を動作させることにより草刈り作業を進める。作業部は、走行機体の進行方向と垂直な方向に延在する爪軸を有し、爪軸に取り付けられた複数の刈刃を回転させることにより草刈り作業を行う。草刈り機で使用される複数の刈刃としては、一般的にフレール爪が用いられる。例えば、特許文献1には、爪軸に複数のフレール爪を装着した草刈り機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来の草刈り機は、摩耗によりフレール爪を交換する際、1つ1つ取り外して個々に交換作業を行う必要があった。このとき、爪軸には非常に多くの刈刃が装着されているため、フレール爪の取り付け座からの着脱構造に工夫を凝らしたとしても、個々に交換作業を行う限り、多大な時間と労力を要するという問題があった。
【0005】
本発明の課題の一つは、草刈り機の爪交換に要する時間を短縮することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態における草刈り機は、少なくとも2つの側板と、前記少なくとも2つの側板の間に軸支された爪軸と、前記爪軸に装着された複数の刈刃と、を含み、前記爪軸が、左右逆向きに付け替え可能に構成されている。
【0007】
上記草刈り機において、前記少なくとも2つの側板は、それぞれ支持部を有し、前記爪軸は、左右の端部がフランジを介して各支持部に支持されていてもよい。また。前記爪軸は、左右の端部がクラッチ機構を介して各支持部に支持されていてもよい。この場合は、クラッチ機構は、ドグクラッチを含んでもよく、摩擦クラッチを含んでもよい。
【0008】
上記草刈り機において、前記各支持部の一方は、駆動側支持部であり、他方は、サポート側支持部であってもよい。このとき、前記サポート側支持部の一部は、前記爪軸の軸方向に移動可能である。
【0009】
上記草刈り機において、前記刈刃は、正面から見た場合において、長手方向に沿う中心線に対して線対称の構造を有していてもよい。
【0010】
上記草刈り機において、前記複数の刈刃を取り付ける各取付け座の位置は、前記爪軸を側面から見たとき、前記爪軸の軸心に対して回転対称性を有していてもよい。また、前記爪軸の軸心に沿って並ぶ爪配置線の位置は、前記軸心の中点に対して回転対称性を有していてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一実施形態によれば、草刈り機の爪交換に要する時間を短縮することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】第1実施形態の草刈り機の構成を示す図であり、(A)は、草刈り機を斜め左上後方から見た斜視図であり、(B)は、草刈り機を後方から見た背面図である。
【
図2】第1実施形態の草刈り機における作業部の構成を示す図である。
【
図3】第1実施形態の草刈り機における爪軸の端部近傍の拡大図であり、(A)は、爪軸における駆動側の端部近傍の拡大図であり、(B)は、爪軸におけるサポート側の端部近傍の拡大図である。
【
図4】第1実施形態の草刈り機における作業ロータの構成を示す図であり、(A)は、作業ロータを駆動側の側方から見た図であり、(B)は、刈刃の正面図であり、(C)は、刈刃の側面図である。
【
図5】第1実施形態の草刈り機における作業ロータの構成を示す模式図であり、(A)は、付け替え前の作業ロータを背面から見た図であり、(B)は、付け替え後の作業ロータを背面から見た図であり、(C)は、(B)に示した作業ロータを90°回転させた状態を背面から見た図である。
【
図6】第1実施形態の変形例における作業部の構成を示す図であり、(A)は、爪軸の固定を解除した状態を示す背面図であり、(B)は、爪軸を固定した状態を示す背面図である。
【
図7】第1実施形態の変形例におけるサポート側支持部の構成を示す拡大図であり、(A)は、サポートシャフトを一方へスライドさせた状態を示す拡大図であり、(B)は、サポートシャフトを他方へスライドさせた状態を示す拡大図である。
【
図8】第1実施形態の変形例におけるサポート側支持部の構成を示す拡大図であり、(A)は、サポートシャフトを一方へスライドさせた状態を示す拡大図であり、(B)は、サポートシャフトを他方へスライドさせた状態を示す拡大図である。
【
図9】第2実施形態の草刈り機における作業部の構成を示す図である。
【
図10】第2実施形態の草刈り機において、摩擦クラッチの接触面に起伏を設けた変形例を示す図であり、(A)は、駆動側支持部における摩擦クラッチの側面図であり、(B)は、駆動側支持部における摩擦クラッチの正面図であり、(C)は、作業ロータにおける摩擦クラッチの側面図である。
【
図11】第3実施形態の草刈り機における作業部の構成を示す図である。
【
図12】第3実施形態の草刈り機におけるサポート側支持部の構成を示す拡大図であり、(A)は、サポートシャフトを一方へスライドさせた状態を示す拡大図であり、(B)は、サポートシャフトを他方へスライドさせた状態を示す拡大図である。
【
図13】第3実施形態の草刈り機におけるドグクラッチを構成する各クラッチの接触面の構成を示す図であり、(A)は、作業ロータにおける雄クラッチの接触面を示し、(B)は、駆動側支持部における雌クラッチの接触面の構成を示している。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態である草刈り機について説明する。但し、本発明の一実施形態の草刈り機は多くの異なる態様で実施することが可能であり、以下に示す例の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、本実施の形態で参照する図面において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0014】
以下の説明において、説明の便宜上、「上」、「下」、「前」、「後」、「右」、「左」といった方向を示す語句を用いるが、草刈り機に対して、重力の働く方向が「下」であり、その逆が「上」である。また、草刈り機の進行する方向が「前」であり、その逆が「後」である。さらに、「前」に向かって、右側が「右」であり、左側が「左」である。また、草刈り機の進行方向に沿う中心線を基準として、中心線から離れる方向を外側、近づく方向を内側とする。
【0015】
〈第1実施形態〉
[草刈り機の構成]
図1は、第1実施形態の草刈り機100の構成を示す図である。具体的には、
図1(A)は、草刈り機100を斜め左上後方から見た斜視図であり、
図1(B)は、草刈り機100を後方から見た背面図である。本実施形態では、草刈り機100の一例として、トラクタ等の走行機体に牽引され、走行機体の後方の草刈り作業を行う草刈り機を例示する。ただし、この例に限られるものではなく、草刈り作業部を横方向にオフセット移動させる機能を有したオフセット型の草刈り機であってもよいし、走行機体を要しない自走式の草刈り機であってもよい。
【0016】
図1に示すように、本実施形態の草刈り機100は、基本的な構成として、装着部110、動力伝達部120、作業部130、及び刈取り高さ調節部140を含む。草刈り機100は、装着部110を介して連結された走行機体(図示せず)に牽引され、走行機体の走行に伴って前方に進行する。草刈り機100が移動する間、作業部130は、走行機体から入力され、動力伝達部120を介して伝達された動力により草刈り作業を行う。
【0017】
装着部110は、走行機体と草刈り機100とを連結するための部位であり、草刈り機100を走行機体の後部に連結する機能を有する。装着部110は、トップリンク結合部111、ロワーリンク結合部112、及び入力軸(図示せず)を含む。
【0018】
トップリンク結合部111は、草刈り機100の前方中央部に設けられ、ロワーリンク結合部112は、草刈り機100の前方左右二箇所に設けられている。草刈り機100は、トップリンク結合部111及びロワーリンク結合部112が、走行機体の後部に設けられた3点リンク機構にそれぞれ連結されることにより、走行機体の後部に昇降可能に連結される。なお、トップリンク結合部111、及びロワーリンク結合部112は、オートヒッチアーム(図示せず)を介して走行機体の3点リンク機構に連結されてもよい。
【0019】
図示は省略するが、入力軸は、走行機体のPTO軸にユニバーサルジョイント等を介して連結され、走行機体から伝達された動力を草刈り機100に入力する。
【0020】
動力伝達部120は、装着部110の入力軸を介して入力された動力を作業部130に伝達する機能を有する。動力伝達部120は、ギヤボックス121、メインフレーム122、及び伝動ケース123を含む。
【0021】
ギヤボックス121は、上述の入力軸と連結しており、入力された動力の変速等を行う。メインフレーム122は、草刈り機100の骨格となるフレームであり、ギヤボックス121の左右両側に向かって、進行方向に対して略直交する方向(左右方向)に延設されている。ギヤボックス121と伝動ケース123との間に配置されたメインフレーム122の内部には、伝動シャフト(図示せず)が内装されている。この伝動シャフトにより、ギヤボックス121から伝動ケース123に対して動力が伝達される。
【0022】
伝動ケース123は、メインフレーム122の内部の伝動シャフトにより伝達された動力を、作業部130の爪軸131aに伝達する。本実施形態の草刈り機100において、伝動ケース123は、ベルト駆動方式の巻き掛け伝動装置を含む。しかし、この例に限られるものではなく。伝動ケース123は、チェーン駆動方式の巻き掛け伝動装置を含んでいてもよい。
【0023】
作業部130は、動力伝達部120を介して伝達された動力により作業ロータを回転させて草刈り作業を行う機能を有する。作業部130は、作業ロータ131、シールドカバー132、及び少なくとも2つの側板133を含む。側板133は、伝動ケース123が設けられた駆動側の側板133aと、作業ロータ131を挟んで反対側に設けられたサポート側の側板133bとを含む。本明細書では、駆動側の側板133aとサポート側の側板133bとを区別する必要がない場合は、単に、側板133と呼ぶ。
【0024】
作業ロータ131は、爪軸131a、及び爪軸131aに複数取り付けられた刈刃131bを含む。本実施形態では、刈刃131bとしてフレール爪を用いるが、この例に限られるものではない。なお、詳細については後述するが、本実施形態の作業ロータ131は、爪軸131aの両端にフランジ21a及び21bをさらに有する。
【0025】
爪軸131aは、進行方向に対して略直交するように左右方向に延在する部材であり、少なくとも2つの側板133の間に軸支される。複数の刈刃131bは、爪軸131aの外周面に所定の間隔を空けて装着されている。作業ロータ131は、爪軸131aの回転に伴い、複数の刈刃131bを回転させることにより草刈り作業を行う。本実施形態において、作業ロータ131は、アッパーカット方向に回転する。すなわち、草刈り機100を左側面から見た場合に、作業ロータ131は、時計回りに回転する。
【0026】
シールドカバー132は、作業ロータ131の上方に配置され、草刈り作業中における草や土の上方への飛散を防止する。側板133は、作業ロータ131の左右側方に配置され、爪軸131aの両端を回転可能に軸支する。本実施形態では、シールドカバー132と側板133とが一体となっているが、別体として設けられていてもよい。また、
図1(A)では、側板133が、上部板と下部板の2枚の板状部材で構成されているが、これに限定されるものではなく、側板133は、1枚の板状部材で構成されていてもよい。
【0027】
刈取り高さ調節部140は、作業ロータ131の後方に配置され、草刈り作業時の刈取り高さを調節する機能を有する。本実施形態において、刈取り高さ調節部140は、ローラ支持部材141、ゲージローラ142、スクレーパ143、及びカバー部材144を含む。ただし、刈取り高さ調節部140の構成は、この例に限られるものではなく、他の要素が追加されていてもよいし、スクレーパ143が省略されていてもよい。
【0028】
ローラ支持部材141は、ゲージローラ142を軸支する板状の部材であり、左右の側板133それぞれの後方下部に、上下方向に回動可能に連結される。つまり、本実施形態では、ローラ支持部材141を上下方向に回動させて所望の位置で固定することにより、ゲージローラ142の高さを調節することができる。図示は省略するが、ローラ支持部材141は、ゲージローラ142を回動可能に支持するための軸受部及びベアリング部を含む。
【0029】
ゲージローラ142は、ローラ支持部材141に両端を軸支された回転体であり、草刈り作業時は、草刈り対象となる作業地(地面)に接した状態となる。そのため、草刈り作業時のゲージローラ142は、草刈り機100の進行に合わせて自転する。また、ゲージローラ142が作業地に接することにより、刈刃131bの回転軌跡の外周と刈取り対象である草との相対的な位置関係が定まる。すなわち、本実施形態では、ゲージローラ142の高さを調節することにより、刈刃131bによる草の刈取り高さが調節される。
【0030】
スクレーパ143は、一定の間隙を有するように、ゲージローラ142に沿って配置された長尺の部材であり、例えば金属で構成される。スクレーパ143は、ゲージローラ142の表面に付着した草や土が所定の厚みを越えて付着した場合、これらに当接してゲージローラ142表面から除去する。
【0031】
カバー部材144は、ローラ支持部材141とゲージローラ142との間隙を覆う部材であり、ローラ支持部材141とゲージローラ142との間隙に刈り取った草や飛散した土が絡んだり堆積したりすることを防止する機能を有する。
【0032】
[作業部の構成]
本実施形態の草刈り機100における作業部130の構成について
図2~
図4を用いて説明する。
図2は、第1実施形態の草刈り機100における作業部130の構成を示す図である。具体的には、
図2は、作業部130を後方から見た背面図に相当する。
図3は、第1実施形態の草刈り機100における爪軸131aの端部近傍の拡大図である。具体的には、
図3(A)は、爪軸131aにおける駆動側の端部近傍の拡大図であり、
図3(B)は、爪軸131aにおけるサポート側の端部近傍の拡大図である。
図4は、第1実施形態の草刈り機100における作業ロータ131の構成を示す図である。具体的には、
図4(A)は、作業ロータ131を駆動側の側方から見た図であり、
図4(B)は、刈刃131bの正面図であり、
図4(C)は、刈刃131bの側面図である。
【0033】
図2及び
図3(A)に示すように、駆動側の側板133aには、駆動側支持部134aが設けられている。駆動側支持部134aは、ボールベアリング10aを含む軸受11a、駆動シャフト12a及びフランジ13aを含む。駆動シャフト12aは、軸受11aによって支持され、伝動ケース123から伝達された回転動力を爪軸131aに伝達する役割を有する。また、
図2及び
図3(B)に示すように、サポート側の側板133bには、サポート側支持部134bが設けられている。サポート側支持部134bは、ボールベアリング10bを含む軸受11b、サポートシャフト12b及びフランジ13bを含む。サポートシャフト12bは、軸受11bによって支持され、爪軸131aの回転に伴って回転する。
【0034】
図2に示すように、駆動側支持部134aとサポート側支持部134bとの間には、爪軸131aが支持される。具体的には、本実施形態の作業ロータ131は、爪軸131aの両端にフランジ21a及び21bを有し、各フランジ21a及び21bを介して、駆動側支持部134a及びサポート側支持部134bに連結される。
【0035】
図3(A)に示す例では、作業ロータ131のフランジ21aは、駆動側支持部134aのフランジ13aに対して固定部材31aにより連結される。固定部材31aは、例えば、ボルト、ナット及びワッシャを含み、ボルトは、フランジ13a及び21aのそれぞれに設けられた貫通孔に挿通される。本実施形態において、貫通孔は、各フランジ13a及び21aの外周に沿って等間隔に4つ設けられているが、この例に限られるものではない。同様に、
図3(B)に示す例では、作業ロータ131のフランジ21bは、サポート側支持部134bのフランジ13bに対して固定部材31bにより連結される。
【0036】
図2において、フランジ13aとフランジ21aとの間、又は、フランジ13bとフランジ21bとの間には、若干の隙間が形成されていることが好ましい。つまり、駆動側支持部134aとサポート側支持部134bとの間には、爪軸131aを脱着する際の容易性(組立性)等を考慮して、若干のマージン(組立代)を設けておくことが好ましい。
【0037】
図2に示すように、爪軸131aには、複数の刈刃131bが装着されている。このとき、複数の刈刃131bは、爪軸131aの軸方向に沿って規則的(均等)に配置される。また、複数の刈刃131bは、
図4(A)に示すように、爪軸131aの外周に沿って放射状に装着されていてもよい。本実施形態では、爪軸131aの外周上の4箇所に対し、等間隔(90°毎)に刈刃131bを装着する例を示したが、刈刃131bを装着する位置と数は、この例に限られるものではない。本実施形態の爪軸131aは、R方向に回転することにより、複数の刈刃131bを草に接触させ、草刈り作業を行う。
【0038】
前述のとおり、本実施形態の各刈刃131bは、フレール爪である。そのため、
図4(B)に示すように、各刈刃131bは、爪本体を正面から見ると左右の両端に刃付け部41a及び41bを有する。具体的には、各刈刃131bは、刈刃を正面から見た場合に、長手方向に沿う中心線Cに対して線対称の構造を有する。また、
図4(C)に示すように、各刈刃131bは、爪本体を側面から見ると屈曲部40を有する。本実施形態では、屈曲部40で折れ曲がった内側の第1面42aを正面とし、外側の第2面42bを背面とする。
図2に示すように、本実施形態の作業ロータ131は、2つの刈刃131bを互いに背面(第2面42b)を向かい合わせて隣接させ、1つの取付け座131cに装着した構造を有する。
【0039】
以上のように、本実施形態の草刈り機100は、爪軸131aの両端がフランジを介して支持されているため、爪軸131aそのものを取り外すことが可能である。また、本実施形態の各フランジ13a、13b、21a及び21bは、いずれも固定部材31a及び31bを取り付ける貫通孔のサイズや位置が共通であるため、爪軸131aを左右逆向きに付け替えることが可能である。すなわち、本実施形態では、爪軸131aを左右逆向きに付け替えるだけで、左右方向に対する刈刃131bの向きを一括して反転させることができる。換言すれば、背面視において、爪軸131aを左右逆向きに付け替えたとき、各刈刃131bの刃付け部41a及び41bの前後方向が反転する。この場合、草刈り作業において、刃付け部41aが使用されるか刃付け部41bが使用されるかが異なるだけであり、刈刃131bの向きを反転させても刈刃としての機能は損なわれない。
【0040】
さらに、本実施形態の草刈り機100では、爪軸131aに対する各刈刃131bの取り付け位置に対称性があり、爪軸131aを左右逆向きに付け替えた際の回転バランスが維持されるように構成されている。この点について、
図5を用いて説明する。
【0041】
図5は、第1実施形態の草刈り機100における作業ロータ131の構成を示す模式図である。具体的には、
図5(A)は、付け替え前の作業ロータ131を背面から見た図であり、
図5(B)は、付け替え後の作業ロータ131を背面から見た図であり、
図5(C)は、
図5(B)に示した作業ロータ131を90°回転させた作業ロータ131を背面から見た図である。ただし、
図5(A)~
図5(C)では、説明の便宜上、刈刃131bの図示を省略する。
【0042】
図5(A)において、爪軸131aの軸心135と直交すると共に各取付け座131cの中心を通る面で爪軸131aを切断したとき、端面の輪郭線を爪配置線136と呼ぶ。
図5(A)では爪軸131aを背面から見ているため、爪配置線136は、軸心135に直交すると共に爪軸131aを上下方向に横切る線分として現れる。本実施形態の草刈り機100は、軸心135に沿って並ぶ各爪配置線136の位置が、軸心135の中点135aに対して回転対称性を有する。つまり、爪配置線136の位置は、爪軸131aを左右逆向きへの付け替え前後において変化しない。なお、本実施形態において、背面視したときの爪配置線136は、爪軸131aの延在方向に対して等間隔に位置している。
【0043】
また、
図4(A)を用いて前述したとおり、本実施形態では、4つの刈刃131bが、爪軸131aの外周に沿って90°間隔の放射状に装着されている。すなわち、爪軸131aを側面から見たとき、各取付け座131cの位置は、爪軸131aの周方向に等間隔に配置されており、爪軸131aの軸心135に対して回転対称性を有している。ただし、これは一例であり、爪軸131aを側面から見たとき、各取付け座131cが、爪軸131aの軸心135に対して回転対称性を有するように配置されていればよい。
【0044】
以上のように、本実施形態の作業ロータは、複数の刈刃131bを取り付ける各取付け座131cの位置が、爪軸131aを側面から見たとき、爪軸131aの軸心135に対して回転対称を有し、かつ、軸心135の延在方向(例えば、爪軸131aを背面視又は平面視した場合)において、軸心135に沿って並ぶ爪配置線136の位置が、軸心135の中点135aに対して回転対称を有する。その結果、本実施形態の作業ロータ131は、爪軸131aを左右逆向きに付け替えたとしても、回転バランスが維持される。
【0045】
上記内容について
図5(A)~
図5(C)を用いて具体的に説明する。
図5(A)に示す状態は、爪軸131aの向きを反転させる前の状態である。この状態において、軸心135の中点135aを通り、軸心135に直交する回転軸137を中心として回転させると、
図5(B)に示す状態に遷移する。この回転動作は、爪軸131aを左右逆向きに付け替える動作に相当する。つまり、
図5(B)に示す状態は、爪軸131aの向きを反転させた後の状態である。
【0046】
次に、
図5(B)に示す状態において、軸心135を中心として、矢印の方向に爪軸131aを90°回転させる。この回転動作は、各取付け座131cの位相を90°ずらす動作に相当し、例えば、左右逆向きに反転させた爪軸131aをあらためて草刈り機100に取り付ける際、爪軸131aを90°回転させた位置で固定することを意味する。この回転動作により、作業ロータ131は、
図5(C)に示す状態に遷移する。
図5(A)及び
図5(C)に示すとおり、各刈刃131b(又は、各取付け座131c)の位置は、
図5(A)に示す状態と
図5(C)に示す状態とで同じである。すなわち、左右逆向きに付け替えた後においても、作業ロータ131の回転バランスは維持される。
【0047】
以上説明したとおり、本実施形態の草刈り機100は、草刈り作業の継続により刈刃131bの片側の刃付け部が摩耗した場合、爪軸131aを左右逆向きに付け替えるだけで、すべての刈刃131bの向きを一括して反転させることができ、その結果、摩耗していない側の刃付け部を用いて草刈り作業を継続することができる。
【0048】
(変形例1)
上述のように、爪軸を脱着する際の容易性等を考慮してフランジ間にマージンを設けた場合、フランジ13aとフランジ21aとの間、又は、フランジ13bとフランジ21bとの間には、若干の隙間が形成される。これに対し、本変形例の作業部130は、そのような隙間を無くすための手段を有している。
【0049】
図6は、第1実施形態の変形例における作業部130aの構成を示す図である。具体的には、
図6(A)は、爪軸131aの固定を解除した状態を示す背面図であり、
図6(B)は、爪軸131aを固定した状態を示す背面図である。ただし、
図6において、シールドカバー132の図示は省略する。
図6(A)は、サポートシャフト12cを右方向(一方)へスライドさせ、フランジ13aと21a、及び、フランジ13cと21bの固定を解除(爪軸131aの固定を解除)した状態を示している。
図6(B)は、サポートシャフト12cを左方向(他方)へスライドさせ、フランジ13aと21a、及び、フランジ13cと21bをそれぞれ固定部材31a及び31bで連結(爪軸131aを固定)した状態を示している。
【0050】
図7は、第1実施形態の変形例におけるサポート側支持部134cの構成を示す拡大図である。具体的には、
図7(A)は、サポートシャフト12cを右方向(一方)へスライドさせた状態を示す拡大図であり、
図7(B)は、サポートシャフト12cを左方向(他方)へスライドさせた状態を示す拡大図である。
【0051】
図6及び
図7に示すように、本変形例のサポート側支持部134cは、ボールベアリング10cを含む軸受11c、サポートシャフト12c及びフランジ13cを含む。サポートシャフト12cは、軸受11cによって軸方向に沿ってスライド可能に支持されるとともに、爪軸131aの回転に伴って回転する。このように、サポート側支持部134cは、サポートシャフト12cを軸方向にスライドさせることにより、フランジ13cの位置を移動させることが可能である。
【0052】
図7(A)に示す状態は、駆動側支持部134aのフランジ13aに対し、作業ロータ131のフランジ21aが固定された状態を示している。この状態において、本変形例では、爪軸131aの取付け作業のマージンを得るため、サポートシャフト12cを右方向へスライドさせることで、作業ロータ131のフランジ21bとサポート側支持部134cのフランジ13cとの間には、幅Xの隙間が空いている。
【0053】
図7(B)に示す状態は、作業ロータ131のフランジ21bに対し、サポート側支持部134cのフランジ13cを密着させた状態を示している。すなわち、
図7(B)に示す状態は、
図7(A)に示す状態から矢印の方向(左方向)にサポートシャフト12c及びフランジ13cをスライド(移動)させた状態を示している。なお、図示は省略するが、サポート側支持部134cのフランジ13cを密着させた後は、フランジ21bとフランジ13cとを固定部材31bで固定すればよい。
【0054】
以上のように、本変形例では、サポート側支持部134cのサポートシャフト12cをスライド可能とすることにより、作業ロータ131のフランジ21bとサポート側支持部134cのフランジ13cとの隙間を形成したり、隙間を無くしたりすることができるので、爪軸131aの脱着がよりスムーズに行える。
【0055】
(変形例2)
図8は、第1実施形態の変形例におけるサポート側支持部134dの構成を示す拡大図である。具体的には、
図8(A)は、サポートシャフト12dを右方向(一方)へスライド(移動)させた状態を示す拡大図であり、
図8(B)は、サポートシャフト12dを左方向(他方)へスライド(移動)させた状態を示す拡大図である。
【0056】
図8に示すように、本変形例のサポート側支持部134dは、ボールベアリング10dを含む軸受11d、サポートシャフト12d、フランジ13d、ハウジング14d、ベアリング部15d、ボルト支持部16d、及びボルト17dを含む。サポートシャフト12dは、軸受11dによって軸方向に沿ってスライド可能に支持される。また、ボルト支持部16dは、ハウジング14dに固定されたベアリング部15dに嵌め込まれ、回転可能に支持される。ボルト17dは、ボルト支持部16dに設けられたネジ穴16daに螺合され、その先端は、サポートシャフト12dに固定される。これにより、ボルト17dの回転量に応じてボルト17dが軸方向に移動し、当該移動に伴ってサポートシャフト12dが軸方向にスライドする。つまり、サポート側支持部134dは、ボルト17dのねじ込み量(回転量)に応じてサポートシャフト12dを軸方向にスライドさせることにより、フランジ13dの位置を移動させることが可能である。
【0057】
図8(A)に示す状態は、駆動側支持部134aのフランジ13aに対し、作業ロータ131のフランジ21aが固定された状態を示している。この状態において、本変形例では、爪軸131aの取付け作業のマージンを得るため、サポートシャフト12dを右方向へスライドさせることで、作業ロータ131のフランジ21bとサポート側支持部134dのフランジ13dとの間には、幅Xの隙間が空いている。
【0058】
図8(B)に示す状態は、作業ロータ131のフランジ21bに対し、サポート側支持部134dのフランジ13dを密着させた状態を示している。すなわち、
図8(B)に示す状態は、
図8(A)に示す状態から矢印の方向にボルト17dをねじ込み、サポートシャフト12d及びフランジ13dをスライド(移動)させた状態を示している。なお、図示は省略するが、サポート側支持部134dのフランジ13dを密着させた後は、フランジ21bとフランジ13dとを固定部材31bで固定すればよい。
【0059】
以上のように、本変形例では、サポート側支持部134dのサポートシャフト12dをボルト17dの回転量に応じてスライド可能とすることにより、作業ロータ131のフランジ21bとサポート側支持部134dのフランジ13dとの隙間を形成したり、隙間を無くしたりすることができるので、爪軸131aの脱着がよりスムーズに行える。また、サポートシャフト12dがハウジング14dの内側に収まり、ボルト17dを回転させない限りスライドしないため、爪軸131aの交換作業中に誤ってサポートシャフト12dスライドさせてしまうおそれがない。
【0060】
〈第2実施形態〉
本実施形態では、爪軸の駆動側支持部及びサポート側支持部への取り付け方法を第1実施形態とは異なる例とした場合について説明する。本実施形態では、第1実施形態との相違に着目して説明を行い、第1実施形態と同じ部分については、図面において同じ符号を用いて示し、重複する説明を省略する。
【0061】
図9は、第2実施形態の草刈り機における作業部230の構成を示す図である。具体的には、
図9は、作業部230を後方から見た背面図に相当する。ただし、
図9において、シールドカバー132の図示は省略する。
【0062】
図9に示す例では、第1実施形態のようにフランジを用いて爪軸を固定する構成に代えて、摩擦クラッチを用いて爪軸を固定する。具体的には、本実施形態の駆動側支持部234aは、摩擦クラッチ213aを含み、サポート側支持部234bは、摩擦クラッチ213bを含む。また、作業ロータ231は、爪軸131aの両端に摩擦クラッチ221a及び221bを含む。なお、本実施形態のサポート側支持部234bにおける側板133bの外側の構造は、第1実施形態の変形例2(
図8参照)で説明した構造と同じである。
【0063】
本実施形態では、駆動側支持部234aの摩擦クラッチ213aとサポート側支持部234bの摩擦クラッチ213bとの間に挟み込むことで爪軸131aを回転可能に支持する。具体的には、爪軸131aは、サポート側支持部234bの摩擦クラッチ213bから作業ロータ231の摩擦クラッチ221bに対して軸方向に力を加えることにより支持される。この軸方向に与えられる力は、サポート側支持部234bのボルト17dがねじ込まれることにより発生する。
【0064】
以上のとおり、本実施形態では、サポート側支持部234bの側から軸方向に力を加えて駆動側支持部234aに爪軸131aを押し付けることにより爪軸131aを支持する。駆動側支持部234aは、摩擦クラッチ213a及び221aを介して爪軸131aに対して回転動力を伝達する。本実施形態においても、第1実施形態と同様に、爪軸131aを左右逆向きに付け替えるだけで、すべての刈刃131bの向きを一括して反転させることができ、摩耗していない側の刃付け部を用いて草刈り作業を継続することができる。
【0065】
また、本実施形態の摩擦クラッチ213a、221a、213b及び221bは、作業ロータ231が石などを噛み込んだ場合などの過負荷時に、滑りを生じることにより、駆動側支持部234aやサポート側支持部234bを保護するクラッチとして機能するという効果を有する。
【0066】
(変形例1)
図9に示した摩擦クラッチ213a、221a、213b及び221bにおける接触面(摩擦クラッチが互いに接触する面)は、平面的な形状であってもよいし、起伏を有する形状であってもよい。例えば、摩擦クラッチ213a、221a、213b及び221bは、互いに凹凸が噛み合うような起伏を有する形状の接触面を有していてもよい。
【0067】
図10は、第2実施形態の草刈り機において、摩擦クラッチ213a及び221aの接触面に起伏を設けた変形例を示す図である。具体的には、
図10(A)は、駆動側支持部234aにおける摩擦クラッチ213aの側面図であり、
図10(B)は、駆動側支持部234aにおける摩擦クラッチ213aの正面図であり、
図10(C)は、作業ロータ231における摩擦クラッチ221aの側面図である。なお、本変形例では、駆動側のクラッチ構造について説明するが、サポート側のクラッチ構造についても同様の構造となっている。
【0068】
図10(A)及び
図10(B)に示すように、摩擦クラッチ213aは、起伏を有する接触面51を有する。接触面51は、接触面51の中心から放射状に延在する複数の山部51aと複数の谷部51bとが交互に並ぶことにより起伏を形成している。また、
図10(C)に示すように、摩擦クラッチ221aは、起伏を有する接触面52を有する。接触面52は、
図10(B)と同様に、接触面52の中心から放射状に延在する複数の山部52aと複数の谷部52bとが交互に並ぶことにより起伏を形成している。
【0069】
本変形例の場合、駆動側支持部234aの摩擦クラッチ213aと作業ロータ231の摩擦クラッチ221aとが、互いの起伏が噛み合うように、接触面51と接触面52とを向かい合わせて連結される。本変形例によれば、駆動側支持部234aは、摩擦クラッチ213a及び221aを介して、爪軸131aに対してより確実に回転動力を伝達することができる。
【0070】
〈第3実施形態〉
本実施形態では、爪軸の駆動側支持部及びサポート側支持部への取り付け方法が第1実施形態及び第2実施形態と異なる例について説明する。本実施形態では、第1実施形態との相違に着目して説明を行い、第1実施形態と同じ部分については、図面において同じ符号を用いて示し、重複する説明を省略する。
【0071】
図11は、第3実施形態の草刈り機における作業部330の構成を示す図である。具体的には、
図11は、作業部330を後方から見た背面図に相当する。ただし、
図11において、シールドカバー132の図示は省略する。
【0072】
図12は、第3実施形態の草刈り機におけるサポート側支持部334bの構成を示す拡大図である。具体的には、
図12(A)は、サポートシャフト12dをスライドさせる前の状態を示す拡大図であり、
図12(B)は、サポートシャフト12dをスライドさせた後の状態を示す拡大図である。
【0073】
図13は、第3実施形態の草刈り機におけるドグクラッチを構成する各クラッチの接触面の構成を示す図である。具体的には、
図13(A)は、作業ロータ331における雄クラッチ321aの接触面61を示し、
図13(B)は、駆動側支持部334aにおける雌クラッチ313aの接触面62の構成を示している。なお、
図13では、駆動側のクラッチ構造について説明するが、サポート側のクラッチ構造についても同様の構造となっている。
【0074】
図11に示すように、本実施形態では、第1実施形態のようにフランジを用いて爪軸を固定する構成に代えて、ドグクラッチを用いて爪軸を固定する。具体的には、本実施形態の駆動側では、駆動側支持部334aの雌クラッチ313aと作業ロータ331の雄クラッチ321aとでドグクラッチを構成することにより、駆動側支持部334aと爪軸131aとが連結される。同様に、サポート側では、サポート側支持部334bの雌クラッチ313bと作業ロータ331の雄クラッチ321bとでドグクラッチを構成することにより、サポート側支持部334bと爪軸131aとが連結される。
【0075】
図13(A)に示すように、雄クラッチ321aは、雌クラッチ313aとの接触面61に、爪部61a及び溝部61bを有する。爪部61a及び溝部61bは、接触面61の外周に沿って交互に並んで配置される。また、
図13(B)に示すように、雌クラッチ313aは、雄クラッチ321aとの接触面62に、爪部62a及び開口部62bを有する。爪部62a及び開口部62bもまた、接触面62の外周に沿って交互に並んで配置される。なお、本実施形態では、駆動側のクラッチ構造について説明するが、サポート側のクラッチ構造についても同様の構造となっている。
【0076】
雄クラッチ321aと雌クラッチ313aとは、接触面61と接触面62とを互いに向かい合わせて連結される。このとき、雄クラッチ321aの爪部61aは、雌クラッチ313aの開口部62bに嵌合し、雌クラッチ313aの爪部62aは、雄クラッチ321aの溝部61bに嵌合する。このような位置関係とすることにより、雄クラッチ321aと雌クラッチ313aとはドグクラッチとして機能する。
【0077】
本実施形態では、駆動側支持部334aの雌クラッチ313aとサポート側支持部334bの雌クラッチ313bとの間に、両端に雄クラッチ321a及び321bを設けた爪軸131aを挟み込むことにより、爪軸131aを回転可能に支持する。爪軸131aは、サポート側支持部334bの雌クラッチ313bから作業ロータ331の雄クラッチ321bに対して軸方向に力を加えることにより支持される。
【0078】
第2実施形態と同様に、サポート側支持部334bの雌クラッチ313bに与えられる軸方向の力は、サポート側支持部334bのボルト17dがねじ込まれることにより発生する。具体的には、駆動側支持部334aの雌クラッチ313aと作業ロータ331の雄クラッチ321aとを嵌合させて
図12(A)の状態とした後、
図12(B)に示すように、ボルト17dを作業ロータ331に向かってねじ込むことにより、サポートシャフト12dがスライド(移動)し、サポート側支持部334bの雌クラッチ313bと作業ロータ331の雄クラッチ321bとを嵌合させることができる。
【0079】
以上のとおり、本実施形態では、サポート側支持部334bにより駆動側支持部334aに対して爪軸131aを押し付けることにより爪軸131aを支持する。このとき、駆動側支持部334aは、雌クラッチ313a及び雄クラッチ321aで構成されるドグクラッチを介して爪軸131aに対して回転動力を伝達する。本実施形態においても、第1実施形態及び第2実施形態と同様に、爪軸131aを左右逆向きに付け替えるだけで、すべての刈刃131bの向きを一括して反転させることができ、摩耗していない側の刃付け部を用いて草刈り作業を継続することができる。
【0080】
以上、本発明について図面を参照しながら説明したが、本発明は前述の各実施形態(変形例も含む)に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、各実施形態を基にして、当業者が適宜構成要素の追加、削除もしくは設計変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。さらに、前述した各実施形態は、相互に矛盾がない限り適宜組み合わせが可能であり、各実施形態に共通する技術事項については、明示の記載がなくても各実施形態に含まれる。
【0081】
前述した各実施形態の態様によりもたらされる作用効果とは異なる他の作用効果であっても、本明細書の記載から明らかなもの、又は、当業者において容易に予測し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0082】
10a~10d…ボールベアリング、11a~11d…軸受、12a…駆動シャフト、12b~12d…サポートシャフト、13a~13d…フランジ、14d…ハウジング、15d…ベアリング部、16d…ボルト支持部、16da…ネジ穴、17d…ボルト、21a、21b…フランジ、31a、31b…固定部材、40…屈曲部、41a、41b…刃付け部、42a…第1面、42b…第2面、51、52…接触面、51a、52a…山部、51b、52b…谷部、61、62…接触面、61a、62a…爪部、61b…溝部、62b…開口部、100…草刈り機、110…装着部、111…トップリンク結合部、112…ロワーリンク結合部、120…動力伝達部、121…ギヤボックス、122…メインフレーム、123…伝動ケース、130、130a…作業部、131…作業ロータ、131a…爪軸、131b…刈刃、131c…取付け座、132…シールドカバー、133、133a、133b…側板、134a…駆動側支持部、134b~134d…サポート側支持部、135…軸心、135a…中点、136…爪配置線、137…回転軸、140…刈取り高さ調節部、141…ローラ支持部材、142…ゲージローラ、143…スクレーパ、144…カバー部材、213a、213b、221a、221b…摩擦クラッチ、230…作業部、231…作業ロータ、234a…駆動側支持部、234b…サポート側支持部、313a、313b…雌クラッチ、321a、321b…雄クラッチ、330…作業部、331…作業ロータ、334a…駆動側支持部、334b…サポート側支持部