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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023067504
(43)【公開日】2023-05-16
(54)【発明の名称】除草剤および除草方法
(51)【国際特許分類】
   A01M 21/04 20060101AFI20230509BHJP
【FI】
A01M21/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021178809
(22)【出願日】2021-11-01
(71)【出願人】
【識別番号】513099603
【氏名又は名称】兵庫県公立大学法人
(71)【出願人】
【識別番号】716001577
【氏名又は名称】オイケム合同会社
(71)【出願人】
【識別番号】000214272
【氏名又は名称】長瀬産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】弁理士法人WisePlus
(72)【発明者】
【氏名】三橋 弘宗
(72)【発明者】
【氏名】山崎 昌男
(72)【発明者】
【氏名】森井 茂樹
【テーマコード(参考)】
2B121
【Fターム(参考)】
2B121AA19
2B121CC40
2B121EA30
2B121FA15
(57)【要約】
【課題】周辺に生息する動物の生体への悪影響がなく、持続性があって、維持管理費を抑制できる除草剤と除草方法を提供する。
【解決手段】シリコーンオリゴマー、架橋性官能基を有するポリアルキレングリコール、および、硬化触媒を含有する除草剤に関する。また、シランカップリング剤、および、多官能イソシアネート化合物を含有する除草剤に関する。さらに、コンクリート、モルタルまたはアスファルトの隙間に茂る雑草を除去する工程、および、前記除草剤を、コンクリート、モルタルまたはアスファルトの隙間に充填する工程を含む雑草の除草方法に関する。
【選択図】 なし

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコーンオリゴマー、架橋性官能基を有するポリアルキレングリコール、および、硬化触媒を含有する除草剤。
【請求項2】
架橋性官能基が、加水分解性シリル基である請求項1に記載の除草剤。
【請求項3】
シランカップリング剤、および、多官能イソシアネート化合物を含有する除草剤。
【請求項4】
コンクリート、モルタルまたはアスファルトの隙間に茂る雑草を除草する工程、および、
請求項1~3のいずれか1項に記載の除草剤を、コンクリート、モルタルまたはアスファルトの隙間に充填する工程を含む雑草の除草方法。
【請求項5】
さらに、雑草を除草する工程の後に、雑草を刈り取った隙間に骨材を散布する工程を含む請求項4に記載の雑草の除草方法。
【請求項6】
さらに、雑草を除草する工程の後に、吸水剤を散布する工程を含む請求項4または5に記載の雑草の除草方法。
【請求項7】
隙間が目地またはクラックである請求項4~6のいずれか1項に記載の雑草の除草方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、除草剤、および、該除草剤を使用した雑草の除草方法に関する。
【背景技術】
【0002】
道路や港湾、建造物のアスファルトやコンクリートに生じる目地、クラック等の隙間には、雑草類の種が飛来し、様々な植生が形成される。発達した植生は、草刈りによって除去することが一般的である。しかしながら、隙間で発達する植生は多年性の草本などで構成される場合が多く、通常の草刈では地下の根茎が残存するために、数ヶ月で植生が回復する。根茎の除去は重労働で困難なため、定期的な除草で対処されるが、維持管理費が大きくなるという問題があった。さらに、地下部からの除草を行わなければ、植生の発達はさらに進行し、道路や構造物の変形や破断を引き起こし、さらに雑草類の繁茂を促すこととなっている。
【0003】
特許文献1には、生理活性物質を含むアクリルコーティングまたはウレタンコーティングからなる除草剤が開示されている。特許文献2には、除草剤、忌避剤等の化学薬品を有する塗料が開示されている。特許文献1に開示の除草剤や特許文献2に開示の塗料では、生理活性物質などの薬剤を含んでおり、人を含む動物の健康への悪影響が懸念され、環境への負荷が大きいという問題があった。
【0004】
一方、近年、日本において、目地やクラック等の隙間の植生には、特定外来生物に指定されるヒアリやアルゼンチンアリ、セアカゴケグモ等や衛生害虫、農業害虫が生息することが社会問題となっている。そのため、雑草の除去を通じて、ヒアリなどの特定外来生物や害虫類の繁殖を防止することも求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009-287255号公報
【特許文献2】特開2007-77376号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、周辺に生息する動物の生体への悪影響がなく、持続性があって、維持管理費を抑制できる除草剤と除草方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、様々な材料について種々検討した結果、シリコーンオリゴマー、架橋性官能基を有するポリアルキレングリコール、および、硬化触媒を含む組成物、または、シランカップリング剤、および、多官能イソシアネート化合物を含有する組成物を使用すれば、生理活性物質を含まないにもかかわらず、土壌や植物体への含浸によって除草効果やその効果の持続性が高いことを見出し、本発明を完成した。
【0008】
すなわち、本発明は、シリコーンオリゴマー、架橋性官能基を有するポリアルキレングリコール、および、硬化触媒を含有する除草剤に関する。
【0009】
架橋性官能基が、加水分解性シリル基であることが好ましい。
【0010】
また、本発明は、シランカップリング剤、および、多官能イソシアネート化合物を含有する除草剤に関する。
【0011】
さらに、本発明は、コンクリート、モルタルまたはアスファルトの隙間に茂る雑草を除草する工程、および、
前記除草剤を、コンクリート、モルタルまたはアスファルトの隙間に充填する工程を含む雑草の除草方法に関する。
【0012】
さらに、雑草を除草する工程の後に、雑草を刈り取った隙間に骨材を散布する工程を含むことが好ましい。
【0013】
さらに、雑草を除草する工程の後に、吸水剤を散布する工程を含むことが好ましい。
【0014】
隙間が目地またはクラックであることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、生理活性物質を含まず、含んでいても極めて少量であるため、人やペットなどの動物の生体への悪影響がなく、除草効果の高い除草剤と除草方法を提供することができる。また、本発明の除草剤および除草方法では、ヒアリ等の特定外来生物や各種害虫の繁殖も防止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の第1の除草剤は、シリコーンオリゴマー、架橋性官能基を有するポリオキシアルキレングリコール、および、硬化触媒を含有することを特徴とする。該除草剤は、速乾性や、浸透性に優れており、硬化後にゴム弾性を示す。そのため、シリコーンオリゴマーが、土壌や雑草の種子、除去しきれなかった雑草の根茎部が樹脂含浸されることにより、雑草の生育を阻害する。また、架橋性官能基を有するポリオキシアルキレングリコールは、細かいクラック部に深く浸透し、硬化すると弾性を有するので亀裂が生じ難く、雑草の根系の浸入を防止する。さらに地表面や土壌を固定化することで、太陽光の遮蔽、雑草の出穂や出芽の抑制、水分の遮断により、植物の生育に不適な環境に改変することができる。これらの3つの特徴によって、持続性の高い除草効果を発現する。また、除草剤のような生理活性物質を含まないため、環境への負荷という問題も存在しない。
【0017】
本発明の除草剤は、雑草が植生するコンクリート、モルタルまたはアスファルトなどに生じた隙間に充填して使用する。隙間としては、目地またはクラックなどが挙げられる。
【0018】
雑草としては、エノコログサやスズメノカタビラ、カラスムギ、メヒシバ、オヒシバなどのイネ科の草本、カヤツリグサ、ハルジオン、セイヨウタンポポ、ナガエツルノゲイトウなどの目地に繁茂するもの、スギナ、オオアレチノギク、チカラシバセイタカアワダチソウ、ブタクサ、ヒメムカシヨモギ、ススキなど道路わきに群生するものの他、アカメガシワ、ヌルデ、イタチハギ、ニセアカシアなどの木本類も挙げられる。
【0019】
シリコーンオリゴマーは、アルコキシシランおよび/またはフェニルアルコキシシランの重合物である。アルコキシシランとしては、モノアルコキシトリメチルシラン、ジアルコキシジメチルシラン、トリアルコキシメチルシラン、テトラアルコキシシランなどが挙げられる。フェニルアルコキシシランとしては、モノアルコキシトリフェニルシラン、ジアルコキシジフェニルシラン、トリアルコキシフェニルシランなどが挙げられる。アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基が挙げられる。
【0020】
シリコーンオリゴマーの重量分子量は、200~1000が好ましく、200~500がより好ましい。200未満では、揮発性が高まり、1000を超えると、粘度が高くなり、また、他の樹脂との相溶性が低下する傾向がある。
【0021】
シリコーンオリゴマーの粘度は、25℃において、1~50mm/sが好ましく、1~10mm/sがより好ましい。1mm/s未満では、揮発性が高まり、50mm/sを超えると、粘度が高くなりまた他の樹脂との相溶性が低下する傾向がある。
【0022】
シリコーンオリゴマーのSiO量は、45~70重量%が好ましく、45~65重量%がより好ましい。
【0023】
シリコーンオリゴマーは、反応性官能基を有することが好ましい。反応性官能基としては、アルコキシシリル基、エポキシ基、ビニル基、アルキル基、などが挙げられる。反応性の点で、アルコキシシリル基が好ましい。
【0024】
シリコーンオリゴマーのアルコキシ基の含有量は、30~50重量%が好ましく、40~50重量%がより好ましい。30重量%未満では、反応性が低くなり、50重量%を超えると、硬化膜の弾性が落ちる傾向がある。
【0025】
また、シリコーンオリゴマーの含有量は、シリコーンオリゴマーとポリアルキレングリコールの合計100重量部中に、20~80重量%が好ましく、50~70重量%がより好ましい。20重量%未満では、硬化までに時間がかかり、80重量%を超えると、硬化膜の弾性を保てなくなる傾向がある。
【0026】
架橋性官能基を有するポリアルキレングリコールとしては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコールなどが挙げられる。なかでも、相溶性と耐水性の点で、ポリプロピレングリコールが好ましい。
【0027】
架橋性官能基としては、メトキシシシリル基、エトキシシリル基、プロポキシシリル基などが挙げられる。反応性の点で、メトキシシリル基などの架橋性シリル基が好ましい。
【0028】
ポリアルキレングリコールの重量分子量は、1000~10000が好ましく、5000~10000がより好ましい。1000未満では、弾性に乏しく、10000を超えると、粘度が高くなりすぎる傾向がある。
【0029】
ポリアルキレングリコールの粘度は、0.5~15Pa・sが好ましく、5~15Pa・sがより好ましい。0.5Pa・s未満では、堅もろくなってしまう傾向があり、15Pa・sを超えると、粘度が高くなる傾向がある。
【0030】
硬化触媒としては、チタン系、スズ系の触媒が挙げられる。チタン系の硬化触媒としては、テトラブトキシチタン、テトライソプロポキシチタンなどのアルコキシチタン類、スズ系の触媒としてはジブチルジラウリル酸スズなどのスズ化合物などが挙げられる。なかでも、硬化性と環境への影響の点で、テトラ-n-ブトキシチタンが好ましい。
【0031】
硬化触媒の含有量は、シリコーンオリゴマー、架橋性官能基を有するポリアルキレングリコールの合計100重量部に対して、0.2~2重量部が好ましく、0.5~1.5重量部がより好ましい。0.2重量部未満では、硬化が遅くなりすぎる傾向があり、2重量部を超えると、効果塗膜の耐水性が落ちる傾向がある。
【0032】
また、本発明の第2の除草剤は、シランカップリング剤、および、多官能イソシアネート化合物を含有することを特徴とする。該除草剤は、低粘度で、浸透性が非常に優れており、硬化後にゴム弾性を有する。そのため、シランカップリング剤、および、多官能イソシアネート化合物が、土壌や雑草の種子、除去しきれなかった雑草の根茎部に含浸することにより、雑草の生育を阻害する。この樹脂含浸効果は、第1の除草剤よりも高い。また、シランカップリング剤、および、多官能イソシアネート化合物は細かいクラック部にも深く浸透し、硬化すると弾性を有するので亀裂が生じ難く、根系の浸入を防止する。さらに、地表面や土壌を固定化することで、太陽光の遮蔽、雑草の出穂や出芽の抑制、水分の遮断により、植物の生育に不適な環境に改変することができる。これらの3つの特徴によって、高い除草効果を発現する。また、特許文献1および2に開示の除草剤のような生理活性物質を含まないため、周辺環境へ負荷という問題も存在しない。
【0033】
シランカップリング剤とは、アルコキシシリル基以外に、エポキシ基、アミノ基、ビニル基、アクリロイル基などの他の官能基を有する化合物である。たとえば、エポキシシラン、アミノシラン、ビニルシラン、アクリロイルシランなどが挙げられる。
【0034】
多官能イソシアネート化合物としては、たとえば、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどの縮合物などが挙げられる。
【0035】
多官能イソシアネート化合物の含有量は、シランカップリング剤100重量部に対して、50~500重量部が好ましく、70~250重量部がより好ましい。50重量部未満では、硬化不良となり、500重量部を超えると、イソシアネート基が多すぎて、硬化不良となる傾向がある。
【0036】
硬化触媒としては、前述のものが使用できる。硬化触媒の含有量は、シランカップリング剤と多官能イソシアネート化合物の合計100重量部に対して、0.1~2重量部が好ましく、0.2~1重量部がより好ましい。0.1重量部未満では、硬化が遅くなりすぎる傾向があり、2重量部を超えると、効果塗膜の耐水性が落ちる傾向がある。
【0037】
本発明の除草剤には、シリコーンオリゴマー、架橋性官能基を有するポリアルキレングリコール、および、硬化触媒以外に、公知の添加剤を配合することができる。このような添加剤としては、有機溶媒、可塑剤、炭酸カルシウム、タルクなどの充填剤、酸化チタンなどの無機化合物、相溶する低分子樹脂などが挙げられる。
【0038】
本発明の除草剤には、施工効率および耐候性や美観の向上のために、珪砂、火山灰土、炭粉、木粉やウッドチップ、竹チップ、ゴム粉末、生石灰、各種顔料を骨材として配合することができる。木質由来の骨材を利用することで、弾力性が向上するほか、地中への炭素貯留効果やリサイクル効果があるため、環境対策となる。また、生石灰を利用することで、地中で高温発熱できるため、殺虫や除草の効果が期待できる。
【0039】
また、本発明の雑草の除草方法は、コンクリート、モルタルまたはアスファルトの隙間に茂る雑草を除草する工程、および、前記除草剤を、コンクリート、モルタルまたはアスファルトの隙間に充填する工程を含むことを特徴とする。
【0040】
コンクリート、モルタルまたはアスファルトの隙間が存在するところとしては、建造物(屋上を含む)だけでなく、港湾のコンテナヤード、橋梁、舗道、堤防、歩道橋、農業用水路、タンクなどの犬走などが挙げられる。また、隙間としては、目地、クラック、亀裂などが挙げられる。学校、食品工場や医療施設など生理活性物質を含む除草剤や防虫剤の利用が制限される場所での利用が好ましい。
【0041】
コンクリート、モルタルまたはアスファルトの隙間に茂る雑草を除草する工程において、雑草を除去する具体的な方法としては、雑草を引き抜く方法、鎌やグラインダーで刈り取る方法、熱湯を噴霧する方法、バーナー等で焼却する方法などが挙げられる。これらの方法は併用することができ、たとえば熱湯を噴霧する方法や、バーナー等で焼却する方法の後に、雑草を引き抜く方法、鎌やグラインダーで刈り取る方法を行うこともできる。熱湯の噴霧や焼却の後であれば、雑草を容易に除草することができる。雑草を除草する工程は、季節を問わず実施できる。
【0042】
熱湯を噴霧する方法では、地面から数cm以内が好ましくは60℃、より好ましくは、70℃以上となるように噴霧することが好ましい。熱湯であれば、バーナー等での焼却よりも熱が深くに到達し、熱による植物の枯死の効果を高めることができる。
【0043】
さらに、雑草を除草する工程の後に、雑草を刈り取った隙間に骨材を散布する工程を含むことが好ましい。骨材としては、珪砂、火山灰土、炭粉、木粉やウッドチップ、竹チップ、ゴム粉末、生石灰、各種顔料などが挙げられる。
【0044】
さらに、雑草を除草する工程の後に、吸水剤を散布する工程を含むことが好ましい。吸水剤を散布することで、充分に除去できなかった雑草を枯死化することができる。この工程により、植物枯死層が形成される。吸水剤としては、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸塩、カルボキシメチルセルロース塩およびその反応物などの吸水性樹脂などが挙げられる。
【0045】
即効性のために、吸水剤とともに塩または酸を散布した後に、除草剤を注入することが好ましい。塩としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、炭酸水素ナトリウム(重曹)などが挙げられるが、塩分を含む干潟や砂浜の土を使用することもできる。酸としては、クエン酸、酢酸などが挙げられる。なお、コンテナヤード等の湾岸部では、周辺の海水を呼び込むので、塩の散布は、必ずしも必要ではない。塩や酸は、作業性の観点から、固形の状態で散布することが好ましい。固形状態の塩や酸だけでなく、火山灰や田んぼの土に、塩や酸を吸収させて乾燥させたものを使用することができる。
【0046】
除草剤を、コンクリート、モルタルまたはアスファルトの隙間に充填する工程では、本発明の除草剤を、チューブなどを用いて隙間に流し込む。ポリアルキレングリコールが、湿気硬化性の官能基を有する場合には、空気中の湿気により室温で硬化する。硬化時間は、2~4時間であり、硬化完了するまでに、土壌や雑草の根茎部や種子に対して含浸効果を発揮する。なお、より浸透性を高める場合には、効果時間を遅延させる必要があり、硬化剤や硬化促進剤の添加量を調整することができる。
【実施例0047】
以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されない。
【0048】
実施例および比較例で使用した材料を以下に示す。
【0049】
<<シリコーンオリゴマー、架橋性官能基を有するポリアルキレングリコール、および、硬化触媒を含有する除草剤>>
シリコーンオリゴマー:KC-89S(信越化学工業株式会社製)、有機置換基:メチル基、アルコキシ基:メトキシ基、粘度(25℃):5mm/s、アルコキシ基量:45質量%、SiO分:59質量%
ポリアルキレングリコール:MSポリマーS-303H(株式会社カネカ製)、粘度:8Pa・s
硬化触媒1:テトラ-n-ブトキシチタン(富士フイルム和光純薬株式会社製)
【0050】
<<シランカップリング剤、および、多官能イソシアネート化合物を含有する除草剤>>
シランカップリング剤:3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(KBM-403、信越化学工業株式会社製)
ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体:D-170N(三井化学株式会社製)
硬化触媒2:ジブチルジラウリン酸スズ(富士フイルム和光純薬株式会社製)
【0051】
実施例1~4および比較例1
表1に示す配合量になるように、シリコーンオリゴマー、ポリアルキレングリコール、硬化触媒1をビーカーに入れスターラーで30分間よく攪拌し、除草剤を得た。また、表2に示す配合量になるように、シランカップリング剤、イソシアネート化合物、硬化触媒2をビーカーに入れスターラーで30分間よく攪拌し、除草剤を得た。得られた除草剤を用いて、以下に示す速乾性、浸透性、弾性を評価した。その結果を表1および2に示す。
【0052】
<速乾性>
10cm×10cmのガラス板に上から10g塗料を落とし、放置した。1時間ごとに指で乾燥状態を確認し、手につかなくなる時間を乾燥時間とした。
【0053】
<浸透性>
5cm×5cm×2cmのウレタンスポンジ(ウレタンNo.1 1U61(富士ゴム産業株式会社製))に、上部から10g塗料を落とし、1週間放置した。その後、半分に切り浸透した深さを測定した。
【0054】
<弾性>
荒めの砂20gを入れた100ccビーカーに塗料を20g流し込み、一週間放置し固めた。固化したものを上から手で押し弾力を確かめた。
〇:上から指で押すとゴム状の弾力を認めた
△:上から手で押すと硬くかなり力を加えると少しへこんだ
×:上から手で押しても変形しない
【0055】
【表1】
【0056】
【表2】
【0057】
<除草性1>
雑草の生い茂る道路脇のカードレールにおいて、コンクリートとアスファルトの隙間に生える雑草に熱水を噴霧し、1時間後、雑草を刈り取った。その後、実施例1~4で作製した除草剤を隙間に充填した。1年後であっても、施工部分には雑草が全く生えなかった。よって、本発明の除草剤は、弾性、速乾性、浸透性に優れ、除草効果が高いことがわかった。
【0058】
<除草性2>
雑草の生い茂る道路アスファルト目地の10m区間において、隙間に生える雑草に熱水を噴霧し、1時間後、雑草を刈り取った。雑草を刈り取った隙間に、珪砂5号を敷き詰めた。珪砂5号を敷き詰めたうえに、実施例2で作製した除草剤を10cm間隔で充填し、充填した所としない所を交互に施工した。充填しなかったところがコントロールとなる。また、実施例2で作成した除草剤の代わりに実施例4で作製した除草剤を用い、同様に施工した。
【0059】
100日、200日、500日後に充填箇所を観察し、雑草が生えたブロックの割合を求めた。その結果を表3に示す。
【0060】
【表3】
【0061】
実施例2または4で作製した除草剤を施工した場合には、500日経過後であっても、雑草がほとんど生えなかった。