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  • 特開-昇降機の集塵装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023067511
(43)【公開日】2023-05-16
(54)【発明の名称】昇降機の集塵装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 17/12 20060101AFI20230509BHJP
   B65G 69/18 20060101ALI20230509BHJP
   B65G 45/22 20060101ALI20230509BHJP
【FI】
B65G17/12 E
B65G69/18
B65G45/22 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021178833
(22)【出願日】2021-11-01
(71)【出願人】
【識別番号】000001812
【氏名又は名称】株式会社サタケ
(72)【発明者】
【氏名】佐々本 悟
(72)【発明者】
【氏名】笠田 正明
【テーマコード(参考)】
3F034
3F078
【Fターム(参考)】
3F034DA03
3F034DB03
3F034DC07
3F034DE01
3F034DE10
3F078AA08
3F078BB15
3F078BB27
3F078CA04
(57)【要約】
【課題】特別に集塵装置を設けたり、また、そのための配管を要したりする必要のない安価で省スペース型の集塵装置を備えた昇降機の提供。
【解決手段】一対の中間エレベータケース間隙に形成される中間スペースの一部を集塵室となす一方、前記中間スペース内には下端を前記集寝室に臨ませた管路を立設し、前記管路の上端は上部エレベータケース内の山形仕切り板内に臨ませ、前記上部エレベータケース内には案内板と前記上部エレベータケース内壁とによって吸塵室を形成し、前記吸塵室を形成する前記上部エレベータケースの一側面に第1吸込み口を設け、かつ、前記上部エレベータケースの一側面には前記山形仕切り板内に連通する第2吸込み口を設け、これら第1及び第2吸込み口を外部ダクトによって連通連結した
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部エレベータケース内に軸支した上部プーリと下部エレベータケース内に軸支した下部プーリとの間にバケットベルトを掛け渡してなる昇降機であって、前記バケットベルトの上昇側と下降側とを別個に挿通する2つの中間エレベータケースを平行に立設し、これら対向する2つの中間エレベータケースの間に中間スペースが形成される昇降機において、
前記中間スペースの一部を、フィルタ及び排風機を備えた集塵室となす一方、前記中間スペース内には前記集塵室内に下端を臨ませる管路を立設し、前記管路の上端は、前記上部プーリの直下にあって前記上昇側バケットベルトと前記下降側バケットベルトとを仕切る山形仕切り板内に臨ませ、さらに、前記上部エレベータケース内部一側には前記バケットベルトによって投擲される粒状物を衝突させる案内板を設けるとともに該案内板と前記上部エレベータケース内壁とによって吸塵室を形成し、前記吸塵室を形成する前記上部エレベータケースの一側面に第1吸込み口を設け、かつ、前記上部エレベータケースの一側面には前記山形仕切り板内に連通する第2吸込み口を設け、これら第1及び第2吸込み口を外部ダクトによって連通連結したことを特徴とする昇降機の集塵装置。
【請求項2】
前記集塵室は、前記中間スペースをパネルによって略機密状に覆って形成し、前記パネルの一部を扉としてなる請求項1の昇降機の集塵装置。
【請求項3】
前記集塵室の底部には粉塵の回収箱を設けてなる請求項2の昇降機の集塵装置。
【請求項4】
前記集塵室底部から前記下部エレベータケースに向けて下部風路を垂設してなる請求項2の昇降機の集塵装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主としてバケット型の昇降機に係り、特に、昇降機の集塵装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の昇降機は周知であり、上部のエレベータケース及び下部のエレベータケース並びにそれらの間に位置する中間エレベータケースからなり、前記上下のエレベータケース内にそれぞれプーリを軸支し、前記プーリ間に無端状のバケットベルトを懸け渡して構成される。
【0003】
ところで、前記昇降機は、穀物等の粒状物を下部エレベータケース内でバケットによってすくい上げ、上部エレベータケース内において前記粒状物を前記バケットによって投擲(てき)し、前記上部エレベータケースの吐出口から排出するのであるが、穀物等の揚上搬送中に、穀物中に混在する塵埃が粉塵となって舞い上がる。特に、前記粒状物の投擲時に大量の粉塵が発生するため、前記上部エレベータケースの壁面に設けた開口に排塵ダクトの一端部を接続するとともに、その他端部を穀物乾燥機の排風室に連通させたもの(特許文献1)や、複数の昇降機の上部エレベータケースを排塵ダクトで直列状に連通し、前記排塵ダクトの終端部に設けた共通の集塵機で集中的に排塵を行うことも周知である。
さらに、荷受けホッパに接続された昇降機において、前記荷受けホッパで生じる粉塵を、上昇側エレベータケースと下降側エレベータケースとの間に形成される対向空間(中間スペース)を排塵ダクトとして利用し、上部エレベータケース近くに設けた排塵パイプにより集塵機に搬送するものが特許文献2に開示されている。
しかしながら、前記各特許文献のものは、いずれも当該昇降機とは別の集塵装置までに至る排塵ダクト等の配管が必要であり、また、前記集中集塵装置は大型で高価であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭54-166681号公報
【特許文献2】特開2006-335491号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで本発明は、前記問題点にかんがみ、特別に集塵装置を設けたり、また、そのための配管を要したりする必要のない安価で省スペース型の集塵装置を備えた昇降機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明は、上部エレベータケース内に軸支した上部プーリと下部エレベータケース内に軸支した下部プーリとの間にバケットベルトを掛け渡してなる昇降機であって、前記バケットベルトの上昇側と下降側とを別個に挿通する2つの中間エレベータケースを平行に立設し、これら対向する2つの中間エレベータケースの間に中間スペースが形成される昇降機において、
前記中間スペースの一部を、フィルタ及び排風機を備えた集塵室となす一方、前記中間スペース内には前記集塵室内に下端を臨ませる管路を立設し、前記管路の上端は、前記上部プーリの直下にあって前記上昇側バケットベルトと前記下降側バケットベルトとを仕切る山形仕切り板内に臨ませ、さらに、前記上部エレベータケース内部一側には前記バケットベルトによって投擲される粒状物を衝突させる案内板を設けるとともに該案内板と前記上部エレベータケース内壁とによって吸塵室を形成し、前記吸塵室を形成する前記上部エレベータケースの一側面に第1吸込み口を設け、かつ、前記上部エレベータケースの一側面には前記山形仕切り板内に連通する第2吸込み口を設け、これら第1及び第2吸込み口を外部ダクトによって連通連結したことを特徴とする。
【0007】
前記集塵室は、前記中間スペースをパネルによって略機密状に覆って形成し、前記パネルの一部を扉とするとよい。
【0008】
前記集塵室の底部には粉塵の回収箱を設けるとよい。
【0009】
前記集塵室底部から前記下部エレベータケースに向けて下部風路を垂設することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、バケットによって投擲された粒状物が案内板に衝突する際に生じる塵埃を吸塵室に導く一方、中間スペースに形成した集塵室に下端を臨ませた管路の上端を山形仕切り板内に位置させ、かつ、前記吸塵室と前記山形仕切り板内とを外部ダクトにより連通連結したので、前記吸塵室内の塵埃は、前記外部ダクトから前記管路を経由して前記集塵室に導入されて集塵が行われるため、大型で高価な集塵装置を設置することなく、当該昇降機内で集塵が可能となる。
【0011】
前記集塵室は、従来から存在する一対の中間エレベータケースが対向する中間スペースの一部をパネルによって略気密状に覆って形成するので当該エレベータの機外に集塵室を形成する必要がなくコンパクトである。
【0012】
また、前記集塵室の底部に回収箱を設けると容易に粉塵の回収を行うことができる。
【0013】
さらに、前記集塵室から下部風路を垂設することにより、下部エレベータケース内で発生する塵埃も同時に集塵することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施態様を示す昇降機の全体斜視図である。
図2図1における上部エレベータケースの拡大図である。
図3図2の断面図である。
図4図1における中間エレベータケースの拡大図である。
図5図1における集塵室の拡大断面図である。
図6図1における集塵室を示す斜視図である。
図7】前記集塵室におけるフィルタを示す斜視図である。
図8】本発明の別の実施形態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面に基づいて本発明の実施態様について説明する。
図1は、本発明の実施態様を示すバケット型の昇降機1の全体斜視図であり、図2は、図1における上部エレベータケースの拡大図、図3図2の断面図、図4は中間エレベータケースの拡大図である。
昇降機1は、上部エレベータケース2、下部エレベータケース3及び中間エレベータケース4からなり、前記上部エレベータケース2内には上部軸5によって軸支された上部プーリ6が、前記下部エレベータケース3内には、下部軸9によって軸支された下部プーリ10(図8参照)が、各々回転自在に設けられる。
【0016】
前記上部エレベータケース2と前記下部エレベータケース3との間に前記中間エレベータケース4が設けられる。前記中間エレベータケース4は、平行に対向する上昇側エレベータケース4aと下降側エレベータケース4bとからなり、前記上部プーリ6と下部プーリとの間に掛け渡す無端状のバケットベルト7が前記上昇側エレベータケース4aと前記下降側エレベータケース4b内に挿通される。前記バケットベルト7には等間隔に複数のバケット8が装着される。前記上部エレベータケース2の外部に設けた安全カバー11内には前記上部軸5に軸着されるスプロケットを駆動させるモータ及びチェーン(いずれも図示せず)等が設けられ、これらにより、前記バケットベルト7が前記上下のプーリ間で回動可能に形成される。
【0017】
前記中間エレベータケース4は、縦方向に平行に対向する上昇側と下降側のケースが対となって上下方向に3分割されている。すなわち、前記中間エレベータケース4の上部は上昇側エレベータケース4a1と下降側エレベータケース4b1からなり、下部は上昇側エレベータケース4a3と下降側エレベータケース4b3からなり、これらの間に上昇側エレベータケース4a2と下降側エレベータケース4b2が設けられる。前記各上昇側エレベータケースと下降側エレベータケースの各上下端部には接合用のフランジ12が設けられ、前記フランジ12を互いに接合することによって前記中間エレベータケース4が形成される。さらに、前記フランジ12によって、前記中間エレベータケース4の上端部と前記上部エレベータケース2の下端部とが、また、前記中間エレベータケース4の下端部と前記下部エレベータケース3の上端部とが、それぞれ接合されて前記昇降機1の全体が一体的に形成される。
【0018】
前記中間エレベータケース4における上昇側エレベータケースと前記各下降側エレベータケースとの間に形成される中間スペース14には補強用のステー13が複数設けられ、前記下部の上昇側エレベータケース4a3と下降側エレベータケース4b3との間の前記中間スペース14には集塵室15が形成される。前記集塵室15について図5及び図6も合わせて参照しながら、以下説明する。
【0019】
前記集塵室15の前面(本実施形態では前記安全カバー11が設けられる側をいう。)には前面パネル16を、背面側には背面パネル17を、上面には上面パネル18を各々設け、さらに、底部には前面側に出し入れ自在な回収箱19を配設し、これにより、前記集塵室15を略機密状に形成する。そして、前記集塵室15内にフィルタ棚20を設け、該フィルタ棚20に設けた孔20aにフィルタ(ろ過機)21を挿通して設置する。前記フィルタ21は、ろ布21aとこれを保持するリテーナ21bとからなり、前記リテーナ21b上端の鍔(つば)部21cを前記フィルタ棚20の孔20aの周縁に載置して脱着自在に設置することができる(図7参照)。また、前記鍔部21cにエアノズル22を設け、その先端を前記リテーナ21b内部に臨ませ、図外のエア源からの高圧エアを断続的に噴射することによって前記ろ布21aに付着した塵埃を前記回収箱19内に落下させることができる。
【0020】
前記前面パネル16の上部には吸引式の排風機23を設け、前記排風機23と前記回収箱19との間の前記前面パネル16を扉16aとなす。これにより、前記扉16aを閉めた際、前記集塵室15内が略機密状に形成される。そして、前記上部エレベータケース2内で発生する粉塵を前記集塵室15に供給するための管路24の下端を前記集塵室15の底部に臨ませる。すなわち、前記管路24は、前記集塵室15の前記フィルタ棚20及び前記上面パネル18を貫通して前記中間スペース14内を上方に延伸し、その上端を前記上部エレベータケース2に臨ませて立設される。
【0021】
前記上部エレベータケース2内にあって、前記上部プーリ6の直下には前記上部軸5の軸方向にその峰方向が向く山形仕切板25を設ける。前記山形仕切板25は、前記中間エレベータケース4の上部側の上昇側エレベータケース4a1と下降側エレベータケース4b1の相対向する内面壁、つまり、前記中間スペース14側の側壁を上方へ延伸した状態で形成され、前記上昇側と下降側のバケットベルト7に挟まれ、かつ、前記上部エレベータケース2の前面壁と背面壁との間に渡って形成されており、前記上部エレベータケース2内の他の空間とは隔絶されて設けられる。
【0022】
前記上部エレベータケース2の吐出部2aの上方には、前記各バケット8から投擲される粒状物を前記吐出部2a側へ誘導する案内板26を設ける。前記案内板26は、その下部が該上部エレベータケース2の機外へ向く方向へ傾斜して設けられ、前記案内板26と前記上部エレベータケース2の内壁とに囲まれて吸塵室27を形成する。また、前記案内板26の下端部付近には前記吸塵室27へ粉塵を導入する吸塵口27aが形成される。さらに、前記吸塵室27を形成する前記上部エレベータケース2の前面壁又は背面壁に第1吸込み口28を設ける一方、前記第1吸込み口28を設けた側の前記上部エレベータケース2の前面壁又は背面壁(前記第1吸込み口28と同じ側)に前記山形仕切板25内に連通する第2吸込み口29を開口し、これら第1吸込み口28と第2吸込み口29とを前記上部エレベータケース2の前面側又は背面側(前記第1吸込み口28と同じ側)に設けた外部ダクト30によって連通連結してある。
【0023】
上記したように、本実施形態によれば、上部エレベータケース2内において、バケット8によって投擲された粒状物が案内板26に衝突する際に発生する粉塵が前記吸塵口27aから集塵室27内に導入され、排風機23の吸引作用によって、第1吸込み口28、外部ダクト30及び第2吸込み口29から山形仕切板25内に至り、次いで、管路24によって集塵室15内に搬送される。そして、前記集塵室15において、フィルタ21によってろ過された後、清浄空気となって機外に排出され、塵埃は前記フィルタ21から落下して集塵箱19によって回収される。
【0024】
図8は別の実施形態を示している。この実施形態では、下部エレベータケース3内において、前記バケット8が粒状物をすくい上げる際に生じる粉塵を除去するため、前記集塵室15の底部から前記下部エレベータケース3内に垂下する下部管路31を設けたものである。この場合、比較的短い前記下部管路31によって下部エレベータケース3内の粉塵を効果的に集塵することができる。また、この実施形態と先の実施形態とを併せて実施することによって昇降機1内で発生する粉塵をより完全に集塵することができる。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明によれば、既存の昇降機の中間スペースを活用して集塵室を設け、上部エレベータケース内で発生する粉塵を効率よく搬送して集塵することができるため、安価で省スペースな集塵装置として利用することができる。
【符号の説明】
【0026】
1 昇降機
2 上部エレベータケース
3 下部エレベータケース
4 中間エレベータケース
5 上部軸
6 上部プーリ
7 バケットベルト
8 バケット
9 下部軸
10 下部プーリ
11 安全カバー
12 フランジ
13 ステー
14 中間スペース
15 集塵室
16 前面パネル
17 背面パネル
18 上面パネル
19 回収箱
20 フィルタ棚
21 フィルタ
22 エアノズル
23 排風機
24 管路
25 山形仕切板
26 案内板
27 吸塵室
28 第1吸込み口
29 第2吸込み口
30 外部ダクト
31 下部管路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8