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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023067547
(43)【公開日】2023-05-16
(54)【発明の名称】感知器
(51)【国際特許分類】
   G08B 17/06 20060101AFI20230509BHJP
   G08B 17/107 20060101ALI20230509BHJP
【FI】
G08B17/06 J
G08B17/06 F
G08B17/107 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021178910
(22)【出願日】2021-11-01
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】泉谷 圭祐
(72)【発明者】
【氏名】干場 圭太郎
(72)【発明者】
【氏名】森 康洋
(72)【発明者】
【氏名】野添 敏秀
【テーマコード(参考)】
5C085
【Fターム(参考)】
5C085AA01
5C085AA03
5C085AB09
5C085BA12
5C085BA33
5C085FA01
5C085FA09
5C085FA10
5C085FA11
5C085FA20
(57)【要約】
【課題】小型化を図ることが可能な感知器を提供する。
【解決手段】感知器100は、熱検知部3と、煙検知部4と、基板2と、筐体1と、を備える。熱検知部3は、熱を検知する熱検知素子30を有する。煙検知部4は、光を放射する発光素子41と、光を受光する受光素子42と、発光素子41から放射された光が受光素子42に直接入射しないように配置されるラビリンス部43と、を有する。筐体1は、基板2を収容する。筐体1は、構造体X1に取り付けられる。筐体1は、筐体1の厚み方向D1の一方側に、構造体X1と対面する設置面19を有する。熱検知素子30は、筐体1の内部において、厚み方向D1におけるラビリンス部43の中心を通る仮想的な平面PL0と設置面19との間に、配置される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱を検知する熱検知素子を有する熱検知部と、
光を放射する発光素子、光を受光する受光素子、及び前記発光素子から放射された光が前記受光素子に直接入射しないように配置されるラビリンス部を有する煙検知部と、
基板と、
前記基板を収容し、構造体に取り付けられる筐体と、
を備え、
前記筐体は、前記筐体の厚み方向の一方側に、前記構造体と対面する設置面を有し、
前記熱検知素子は、前記筐体の内部において、前記厚み方向における前記ラビリンス部の中心を通る仮想的な平面と前記設置面との間に、配置される、
感知器。
【請求項2】
前記熱検知素子は、前記ラビリンス部における前記設置面側の天面と前記設置面との間に、配置される、
請求項1に記載の感知器。
【請求項3】
前記基板は、前記設置面側の第1面と、前記設置面と反対側の第2面と、を有し、
前記熱検知部及び前記ラビリンス部は、前記基板の前記第1面に配置される、
請求項1又は2に記載の感知器。
【請求項4】
前記筐体は、前記筐体の外部の気体を前記筐体の内部の前記熱検知素子又は前記ラビリンス部に誘導する開口部を有する、
請求項1~3のいずれか1項に記載の感知器。
【請求項5】
前記開口部は、前記筐体の側面に設けられる、
請求項4に記載の感知器。
【請求項6】
前記開口部は、
前記筐体の外部の気体を前記筐体の内部の前記ラビリンス部に誘導するための第1開口部と、
前記第1開口部と分離されており、前記筐体の外部の気体を前記筐体の内部の前記熱検知素子に誘導するための第2開口部と、
を有する、
請求項4又は5に記載の感知器。
【請求項7】
前記筐体の内部の空間を、前記ラビリンス部が配置される第1空間と前記熱検知素子が配置される第2空間とに分離する分離壁を、更に備える、
請求項1~6のいずれか1項に記載の感知器。
【請求項8】
前記分離壁は、前記熱検知素子が通される貫通孔を有する、
請求項7に記載の感知器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、感知器に関し、より詳細には、火災等によって発生する熱及び煙を検知する感知器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、熱感知機能と煙感知機能とを備えた複合型の火災感知器が開示されている。
【0003】
この火災感知器は、回路基板と、光学基台と、防虫カバーと、外殻カバーと、熱感知素子と、ボディと、を備えている。回路基板は、下面に発光ダイオード及びフォトダイオードが実装されている。光学基台は、ラビリンス壁によって周りが囲まれた煙感知室を具備している。光学基台には、発光ダイオード及びフォトダイオードを光学系の部品と対向させた状態で、回路基板が取り付けられる。ボディは、天井面などの造営面に取着される。ボディは、略円板状の主部と、主部の外周縁から上方に突出する側壁とを連続一体に形成して構成される。主部の下面略中央には丸穴が開口し、この丸穴内に、回路基板が固定された光学基台及び防虫カバーを保持した外殻カバーの上端部が挿入され、固定される。外殻カバーは、有底円筒状に形成されており、筒内に防虫カバーと、回路基板が取り付けられた光学基台とを挿入して、防虫カバー及び光学基台を外殻カバーに保持させている。熱感知素子は、防虫カバーの底板に設けた貫通孔から熱感知部を下方に突出させ、防虫カバーの底板と外殻カバーの底部との間に熱感知部を配置させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008-97649号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の火災感知器では、煙感知室及び熱検知素子をボディの下面側に突出させて配置する必要があり、小型化(特に、薄型化)を図ることが難しい。
【0006】
本開示の目的は、小型化を図ることが可能な感知器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様の感知器は、熱検知部と、煙検知部と、基板と、筐体と、を備える。前記熱検知部は、熱を検知する熱検知素子を有する。前記煙検知部は、光を放射する発光素子、光を受光する受光素子、及び前記発光素子から放射された光が前記受光素子に直接入射しないように配置されるラビリンス部を有する。前記筐体は、前記基板を収容する。前記筐体は、構造体に取り付けられる。前記筐体は、前記筐体の厚み方向の一方側に、前記構造体と対面する設置面を有する。前記熱検知素子は、前記筐体の内部において、前記厚み方向における前記ラビリンス部の中心を通る仮想的な平面と前記設置面との間に、配置される。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、小型化を図ることが可能な感知器を提供することができる、という利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態の感知器の断面図である。
図2図2は、同上の感知器の分解斜視図である。
図3図3は、同上の感知器のベース以外の部分の分解斜視図である。
図4図4は、同上の感知器のベース以外の部分の分解斜視図である。
図5図5は、同上の感知器のベースの斜視図である。
図6図6は、同上の感知器の概略ブロック構成図である。
図7図7は、変形例1の感知器の断面図である。
図8図8は、同上の感知器の分解斜視図である。
図9図9は、同上の感知器のベース以外の部分の分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の実施形態の感知器について、図面を用いて説明する。下記の実施形態において説明する各図は、模式的な図であり、図中の各構成要素の大きさ及び厚さそれぞれの比が必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
【0011】
(1)概要
本実施形態の感知器100は、例えば火災感知器であり、火災が発生したことを検知すると発報を行う防災機器である。感知器100は、火災が発生したことを検知すると、一例として、警報音の出力によって発報を行う。本開示でいう「防災機器」は、例えば、火災等の災害の防止、災害による被害の拡大の防止、又は被災からの復旧等の目的で施設に設置される機器である。
【0012】
本実施形態の感知器100は、火災等によって発生する熱を検知する熱検知部3と、火災等によって発生する煙を検知する煙検知部4と、を備えている。すなわち、感知器100は、熱を検知する機能及び煙を検知する機能を有する、いわゆる熱煙複合式の感知器である。感知器100は、更に、炎、ガス漏れ、又は不完全燃焼によるCO(一酸化炭素)の発生等を検知する検知部を備えてもよい。
【0013】
感知器100は、施設に設置されて使用される。本実施形態では、感知器100が、例えば、ホテル、オフィスビル、学校、福祉施設、商業施設、テーマパーク、病院又は工場等の非住宅の施設に用いられる場合を例示する。もちろん、この例に限らず、感知器100は、集合住宅又は戸建住宅等の施設に用いられてもよい。感知器100は、例えば、施設の居室、廊下又は階段等において、図1に示すように建物の天井又は壁等の造営材である構造体X1(図示例では天井)に取り付けられた状態で設置される。
【0014】
図1に示すように、感知器100は、筐体1と、基板2と、熱検知部3と、煙検知部4と、を備えている。
【0015】
熱検知部3は、熱を検知する熱検知素子30を有する。
【0016】
煙検知部4は、光を放射する発光素子41、光を受光する受光素子42、及び発光素子41から放射された光が受光素子42に直接入射しないように配置されるラビリンス部43を有する(図1図3参照)。本実施形態では、ラビリンス部43は、検知ケース44の内部に設けられている。
【0017】
筐体1は、基板2を収容する。またここでは、筐体1は、熱検知部3及び煙検知部4を収容する。筐体1は、構造体X1(施設の建物の天井等)に取り付けられる。
【0018】
筐体1は、中空の箱状であって、一方向(厚み方向D1)に沿って厚みを有している。つまり、筐体1の厚み方向D1は、筐体1の厚み(厚み軸)に沿った方向である。筐体1は、厚み方向D1の一方側に、構造体X1と対面する設置面19を有している。熱検知素子30は、筐体1の内部において、厚み方向D1におけるラビリンス部43の中心を通る仮想的な平面PL0と設置面19との間に、配置される。
【0019】
本実施形態の感知器100では、筐体1は設置面19を有しており、設置面19が構造体X1と対面するように構造体X1に取り付けられる。そして、熱検知素子30は、筐体1の内部において、設置面19と直交する方向におけるラビリンス部43の中心を通る仮想的な平面PL0と設置面19との間に、配置される。
【0020】
この構成によれば、熱検知素子30が、筐体1の内部において、設置面19と平面PL0との間に配置される。そのため、例えば、特許文献1のような熱感知素子が下方に突出して防虫カバーの底板と外殻カバーの底部との間に熱感知部を配置させている構造に比べて、筐体1の内部空間SP0を有効に利用することが可能となり、感知器100全体としての小型化(特に薄型化)を図ることが可能となる。
【0021】
(2)詳細
(2.1)構成
以下、本実施形態の感知器100について、図面を参照して説明する。上述のように、感知器100は、熱及び煙を検知可能な、熱煙複合式の火災感知器である。
【0022】
本実施形態では、施設の建物の水平な天井面(構造体X1の一面)に筐体1の設置面19が対面した状態で、感知器100が建物の天井に取り付けられていると想定して説明する。そして、感知器100が天井に取り付けられた状態での、水平面に対して垂直な(直交する)方向を「上下方向」、感知器100から天井に向かう向きを「上方」、その逆を「下方」とする。すなわち、筐体1の厚み方向D1が上下方向に沿うように、感知器100が構造体X1に取り付けられているとする。以下では、感知器100の構成要素の相対的な位置関係についても、「上下」の方向を用いて説明する。ただし、感知器100の設置方向はこれに限られない。
【0023】
感知器100は、図1図6に示すように、筐体1、基板2、熱検知部3、及び煙検知部4に加えて、音出力部5と、電池6と、制御部7と、を更に備えている。
【0024】
筐体1は、平面視において円形状となる筒状である。本開示では、平面視とは、上下方向の一方側から(例えば上から)見ることをいう。筐体1は、合成樹脂製の成形品である。筐体1は、上下方向(厚み方向D1)に沿って厚みを有している。
【0025】
図2に示すように、筐体1は、筐体本体10と、ベース14と、を有している。
【0026】
図3に示すように、筐体本体10は、ボディ11と、第1カバー12と、第2カバー13と、を有している。ボディ11に第1カバー12及び第2カバー13を組み合わせることで、筐体本体10が構成される。
【0027】
図3に示すように、ボディ11は、底壁111と、周壁112と、を備えている。
【0028】
底壁111は、平面視において円形状であって、第1貫通孔114と、第2貫通孔115と、第3貫通孔116と、複数(ここでは、3つ)の挿入孔117と、を有している。
【0029】
第1貫通孔114は、底壁111を厚さ方向(上下方向)に貫通している。第1貫通孔114は、平面視において煙検知部4の検知ケース44の外形と同じ略円形状である。第1貫通孔114には、煙検知部4の検知ケース44が下方から挿入される(図4参照)。ここで、底壁111は、第1貫通孔114の周囲に、下方へ突出する円錐台状の傾斜筒部119を有している。第1貫通孔114は、傾斜筒部119の下面に開口している。
【0030】
第2貫通孔115は、底壁111を厚さ方向(上下方向)に貫通している。第2貫通孔115は、平面視において電池ケース124の外形と同じ矩形状である。第2貫通孔115には、電池ケース124が下方から挿入され。電池ケース124は、電池6を収容する。
【0031】
第3貫通孔116は、底壁111を厚さ方向(上下方向)に貫通している。第3貫通孔116は、平面視において熱検知部3の熱検知素子30よりも一回り大きな円形状である。第3貫通孔116には、熱検知素子30が下方から挿入される(図4参照)。
【0032】
第1貫通孔114、第2貫通孔115、及び第3貫通孔116は、底壁111において互いに異なる位置に形成されている。図4に示すように、平面視において(すなわち、筐体1の厚み方向D1から見て)、熱検知部3の熱検知素子30、煙検知部4の検知ケース44(ラビリンス部43)、及び電池6は、互いに異なる位置にある。
【0033】
各挿入孔117は、底壁111を厚さ方向(上下方向)に貫通しており、平面視において円形状である。各挿入孔117は、ボディ11に第1カバー12及び第2カバー13を組み合わせた状態において、第1カバー12の対応する第1ボス121(後述する)と対向し、第2カバー13の対応する挿入孔131(後述する)と対向する。
【0034】
周壁112は、底壁111の上面の外周部から上方に向かって径を広げるように突出する第1壁1121と、底壁111の下面の外周部から下方に向かって径を広げるように突出する第2壁1122と、を有している。
【0035】
周壁112、より詳細には第1壁1121には、周方向にわたって複数(ここでは、12個)の開口部113が設けられている。すなわち、開口部113は、筐体1の側面に設けられている。各開口部113は、側面視において周壁112の周方向に長い矩形状であって、周壁112の厚さ方向(径方向)に貫通している。各開口部113は、第1壁1121の下端に設けられている。周壁112の周方向で隣り合う2つの開口部113は、桟部1123によって区切られている。
【0036】
図1に示すように、各開口部113は、筐体本体10の内部空間SP1を、筐体本体10の外部とつないでいる。これにより、筐体本体10の内部空間SP1には、各開口部113を通して筐体本体10の外部から気体が流入可能となっている。本実施形態では、筐体本体10の内部空間SP1は、ボディ11の底壁111、周壁112(より詳細には、第1壁1121)、及び第2カバー13で囲まれた空間である。
【0037】
本実施形態では、筐体1の内部空間SP0は、筐体本体10の内部空間SP1を含んでいる。そのため、各開口部113は、筐体1の内部空間SP0を、筐体1の外部とつないでいると言える。筐体1の内部空間SP0には、各開口部113を通して筐体1の外部から気体が流入可能となっている。図1では、筐体1の外部から開口部113を通って筐体1の内部空間SP0に流入する気体の流れ91,92を、点線矢印で模式的に示してある。
【0038】
筐体1の内部空間SP0(筐体本体10の内部空間SP1)には、熱検知部3の熱検知素子30及び煙検知部4のラビリンス部43が配置されている。そのため、筐体1の内部空間SP0に流入した気体は、熱検知素子30及びラビリンス部43に到達可能である。このように、本実施形態では、筐体1は、筐体1の外部の気体を筐体1の内部の熱検知素子30又はラビリンス部43に誘導する開口部113を有している。
【0039】
図3に示すように、第1カバー12は、カバー本体120と、複数(ここでは3つ)の第1ボス121と、1つの第2ボス122と、音響ケース123と、電池ケース124と、を有している。
【0040】
カバー本体120は、平面視において円形状となる円盤状であって、平面視における外周形状がボディ11と同一である。カバー本体120の下面は、下方へ突出するドーム状に形成されている(図1参照)。
【0041】
各第1ボス121は、平面視において円形状となる筒体である。各第1ボス121は、カバー本体120の上面から上方に向かって突出するように、カバー本体120と一体に形成されている。各第1ボス121には、第1ねじS1が締め付けられるねじ穴が形成されている。
【0042】
第2ボス122は、平面視において円形状となる筒体である。第2ボス122は、カバー本体120の上面から上方に向かって突出するように、カバー本体120と一体に形成されている。第2ボス122には、第2ねじS2が締め付けられるねじ穴が形成されている。
【0043】
音響ケース123は、平面視において円形状となる筒体である。音響ケース123は、カバー本体120の上面から上方に向かって突出するように、カバー本体120と一体に形成されている。音響ケース123には、音出力部5が収容される。また、音響ケース123の底面(カバー本体120において、音響ケース123の底面を構成する部分)には、第1カバー12を厚さ方向(上下方向)に貫通する音孔126が形成されている。音孔126は、音響ケース123の底面に形成されている直線状のスリットである。この音孔126を通して、音出力部5から音が出力される。なお、音孔126は、第1カバー12の下面に設けられた化粧プレートにより覆われてもよい。
【0044】
電池ケース124は、平面視において矩形状となる箱体である。電池ケース124は、カバー本体120の上面から上方に向かって突出するように、カバー本体120と一体に形成されている。電池ケース124には、感知器100の動作用の電源として機能する電池6が収容される。電池6は、一次電池であってもよいし、二次電池であってもよい。
【0045】
第2カバー13は、カバー本体130を有している。カバー本体130は、平面視において円形状となる円盤状であって、平面視における外周形状がボディ11と同一である。カバー本体130には、複数(ここでは3つ)の挿入孔131が形成されている。各挿入孔131は、平面視において円形状であって、カバー本体130を厚さ方向(上下方向)に貫通する。各挿入孔131には、第2カバー13の上方から第1ねじS1が挿入される。
【0046】
ボディ11、第1カバー12、及び第2カバー13は、第1ねじS1によって互いに結合される。すなわち、ボディ11の下面の開口を塞ぐように、第1カバー12をボディ11に組み合わせる。また、ボディ11の上面の開口を塞ぐように、第2カバー13をボディ11に組み合わせる。このとき、ボディ11の複数の挿入孔117と、第1カバー12の対応する複数の第1ボス121と、第2カバー13の対応する複数の挿入孔131とを、上下方向に重ね合わせる。そして、この状態で、第2カバー13の上方から複数の第1ねじS1をそれぞれ対応する挿入孔131及び挿入孔117に通して、第1ボス121のねじ穴に締め付ける。これにより、ボディ11、第1カバー12、及び第2カバー13が互いに結合された筐体本体10が構成される。
【0047】
図2図5に示すように、ベース14は、底壁141と、周壁142と、を備えている。
【0048】
底壁141は、平面視において円形状である。
【0049】
周壁142は、底壁141の下面の外周部から下方に向かって突出する円環状である。ベース14の周壁142の外径は、筐体本体10のボディ11の周壁112の第1壁1121の内径よりも僅かに小さい。ベース14の周壁142は、筐体本体10のボディ11の周壁112の第1壁1121の内側に収まる形状である。
【0050】
ベース14は、構造体X1に固定される。ベース14は、上面(底壁141の上面)が構造体X1の下面(天井面)と対面した状態で、構造体X1に固定される。ベース14は、例えば、底壁141に形成された長孔144を介して、ねじ止めにより構造体X1に固定される。本実施形態では、ベース14の上面が、筐体1の設置面19を構成する。
【0051】
筐体本体10は、ベース14に取り付けられる。構造体X1にベース14が固定された状態で筐体本体10がベース14に取り付けられることで、感知器100が構造体X1に取り付けられる。
【0052】
ベース14は、筐体本体10を保持するための保持構造(第1保持構造)を有している。図5に示すように、保持構造は、周壁142の内周面の下端に形成された複数(ここでは、4つ)の突部143を含む。複数の突部143は、周壁142の周方向において間隔を空けて配置されている。一方、筐体本体10は、ベース14に保持されるための被保持構造(第2保持構造)を有している。図3図4に示すように、被保持構造は、第2カバー13の周面に形成された複数(ここでは、4つ)の、側面視逆L字状の溝132を含む。複数の溝132は、第2カバー13の周方向において間隔を空けて配置されている。
【0053】
筐体本体10の複数の溝132に、ベース14の複数の突部143をそれぞれ上方から差し込み、筐体本体10を周方向に回転させることで、筐体本体10がベース14に取り付けられる。
【0054】
図3に示すように、基板2は、カバー本体120の上面において、複数の第1ボス121に囲まれた領域に配置される。
【0055】
図1に示すように、基板2は、上側に第1面21を有し、下側に第2面22を有している。すなわち、基板2は、設置面19側の第1面21と、設置面19と反対側の第2面22と、を有している。
【0056】
基板2には、平面視において円形状であって、厚さ方向(上下方向)に貫通する貫通孔23が設けられている。貫通孔23には、第1カバー12の第2ボス122の上端が挿入される。
【0057】
第1カバー12の第2ボス122を基板2の貫通孔23に挿入し、更に、第1カバー12の第2ボス122をボディ11の底壁111に形成された孔110に挿入する。この状態で、ボディ11の上方から第2ねじS2を第2ボス122のねじ穴に締付けることにより、基板2が筐体本体10に結合される。
【0058】
基板2には、複数の電子部品が実装されている。また基板2には、複数の電子部品を電気的に接続する導体(パターン導体)が設けられている。
【0059】
基板2に実装される複数の電子部品は、熱検知部3、煙検知部4の発光素子41及び受光素子42を含んでいる。基板2に実装される複数の電子部品は、電線を介して電池6に接続されるコネクタ、電線を介して音出力部5に接続されるコネクタ、スイッチ8(図1参照)等を更に含んでいる。また、基板2に実装される複数の電子部品は、制御部7を構成する回路部品を更に含んでいる。
【0060】
図3に示すように、熱検知部3は、熱を検知する熱検知素子30を有する。熱検知部3は、いわゆるリードタイプのサーミスタであって、熱検知素子30に加えて、リード部31と端子部32とを有している。
【0061】
熱検知素子30は、例えば、負の温度係数を有するNTC(Negative Temperature Coefficient)サーミスタである。熱検知素子30は、例えば、金属酸化物を主原料とするセラミック半導体である。リード部31は、一対の金属線と、一対の金属線を被覆する樹脂製の被覆部と、を含む。端子部32は、熱検知部3のうちで基板2に実装されて基板2の導体に電気的に接続される部分である。
【0062】
上述のように、熱検知部3は、基板2に実装される。熱検知部3は、基板2の第1面21に実装(配置)される。熱検知部3は、基板2の第1面21側においてその端子部32が基板2に固定されて、基板2の導体に電気的に接続される。リード部31及び熱検知素子30は、基板2の第1面21よりも上側に位置する。
【0063】
図1に示すように、熱検知部3は、筐体本体10の内部空間SP1の内部に配置される。熱検知部3は、内部空間SP1の温度を検知する。そのため、熱検知部3は、筐体本体10の外部から開口部113を通って筐体本体10の内部空間SP1に流入し熱検知素子30に到達した気体(矢印92参照)の温度を、検知する。
【0064】
熱検知素子30は、開口部113の下端よりも上側に配置されている。そのため、相対的に上方に移動しやすい熱風の温度を熱検知素子30が検知しやすくなる。
【0065】
図1図3に示すように、煙検知部4は、発光素子41と、受光素子42と、ラビリンス部43と、検知ケース44と、防虫網45と、を有する。
【0066】
発光素子41は、例えば発光ダイオードである。発光素子41は、有機EL(Electro-Luminescence)素子、レーザダイオード(LD:LaserDiode)等であってもよい。発光素子41は、基板2に実装される。発光素子41は、基板2の第1面21に実装される。
【0067】
受光素子42は、例えばフォトダイオードである。受光素子42は、フォトトランジスタ等であってもよい。受光素子42は、基板2に実装される。受光素子42は、基板2の第1面21に実装される。
【0068】
発光素子41と受光素子42とは、光軸の向きが水平面に沿いかつ互いに異なる向きとなるように、基板2に実装されている。
【0069】
検知ケース44は、平面視において略円形状となる円筒状である。検知ケース44は、合成樹脂製の成形品であって、少なくとも遮光性を有している。検知ケース44の周壁441には、正面視において矩形状であって周壁441の厚さ方向(径方向)に貫通する複数の窓孔442が、周壁441の周方向にわたって設けられている。そのため、検知ケース44の外部から複数の窓孔442を通して、検知ケース44の内部空間(以下、「検知空間」ともいう)に気体(煙を含む)が流入可能となっている。
【0070】
検知ケース44は、基板2の第1面21に載置されて、基板2に固定されている。検知ケース44は、検知空間の内部に発光素子41及び受光素子42が位置するように、基板2に固定される。すなわち、検知ケース44は、発光素子41及び受光素子42を収容している。
【0071】
ラビリンス部43は、検知ケース44の内部に形成されている。そのため、ラビリンス部43は、基板2の第1面21に配置される。ラビリンス部43は、発光素子41から放射された光が受光素子42に直接入射しないように配置される。ラビリンス部43は、検知ケース44の内部において、検知ケース44の周方向にわたって検知空間を囲むように円環状に並ぶ複数の小片の集合体を含む。ラビリンス部43は、検知ケース44の外部から、複数の小片の隙間を通して気体(煙を含む)を検知空間に取り込むことが可能である。
【0072】
煙検知部4は、検知ケース44内の検知空間に存在する煙を検知する。すなわち、煙検知部4は、筐体本体10の内部空間SP1に収容される。そして、筐体本体10の内部空間SP1は、上述したように開口部113を通して筐体本体10の外部とつながっているので、筐体本体10の内部空間SP1には開口部113を通して気体(煙)が流入可能である。煙検知部4は、検知ケース44の外部から複数の窓孔442及びラビリンス部43を通して、筐体本体10の内部空間SP1に流入した気体(図1の矢印91参照)を検知空間へ取り込む。これにより、煙検知部4での煙の検知が可能となる。
【0073】
ここで、図1に示すように、煙検知部4の検知ケース44は、ボディ11の底壁111において下方に突出する傾斜筒部119の、内側に配置されている。そして、煙検知部4は、ラビリンス部43の高さ(検知ケース44の窓孔442の高さ)が、開口部113の高さと同じ又は低い位置となるように、配置されている。特に、煙検知部4は、厚み方向D1におけるラビリンス部43の中心を通る仮想的な平面PL0が、開口部113の下端と同じ又は低い位置となるように、配置されている。筐体本体10の内部空間SP1に流入した煙は、空気中の他の気体よりも重いため、相対的に下方へ移動しやすい。そのため、ラビリンス部43の高さ(検知ケース44の窓孔442の高さ)が、開口部113の高さと同じ又は低い位置にあることで、検知空間内に煙が流入しやすくなる。
【0074】
防虫網45は、検知ケース44の複数の窓孔442を覆うように、周壁441に貼り付けられている。本実施形態では、複数(ここでは、2つ)の防虫網45により、全ての窓孔442が覆われている。防虫網45は、検知空間内への虫の侵入を防止する。
【0075】
音出力部5は、制御部7からの電気信号を受けて音(音波)を出力する。音出力部5は、電気信号を音に変換するスピーカ又はブザー等により実現される。音出力部5は、平面視において円形状となる円盤状である。図1に示すように、音出力部5は、第1カバー12の音響ケース123に収容される。音出力部5は、感知器100の状態に応じて駆動される。
【0076】
ボディ11の底壁111において、音出力部5と対向する領域には、音出力部5を上方から押して音出力部5を位置決めするための円筒状の押さえ部118が形成されている。
【0077】
制御部7は、熱検知部3、煙検知部4、及び音出力部5等の制御を行う回路である。図6に示すように、制御部7は、熱検知部3、煙検知部4(発光素子41及び受光素子42)、音出力部5、及びスイッチ8と接続されている。
【0078】
制御部7は、例えば、CPU(Central Processing Unit)及びメモリを主構成とするマイクロコントローラにて構成されている。言い換えれば、制御部7は、CPU及びメモリを有するコンピュータにて実現されており、CPUがメモリに格納されているプログラムを実行することにより、コンピュータが制御部7として機能する。プログラムは、ここではメモリに予め記録されているが、インターネット等の電気通信回線を通じて、又はメモリカード等の記録媒体に記録されて提供されてもよい。
【0079】
制御部7は、熱検知部3から、熱検知素子30の検知温度を示す電気信号(以下、「第1検知信号」ともいう)を受け取る。第1検知信号は、検知温度に依存して変化する熱検知素子30の抵抗値を示している。制御部7は、熱検知素子30の抵抗値を監視することで、熱検知素子30による検知温度を監視する。制御部7は、熱検知素子30による検知温度を用いて、火災の発生の判定を行う。
【0080】
制御部7は、煙検知部4の受光素子42から、受光素子42で受光された光量に応じた電圧レベルを示す電気信号(以下、「第2検知信号」ともいう)を受け取る。制御部7は、煙検知部4(受光素子42)から受け取った第2検知信号で示される光量を用いて、火災の発生の判定を行う。制御部7は、第2検知信号で示される光量をそのまま、火災の発生の判定に用いてもよいし、第2検知信号で示される光量を検知空間内の煙濃度に換算して、火災の発生の判定に用いてもよい。光量の煙濃度への換算は、煙検知部4が備える回路部品によって行われてもよい。
【0081】
制御部7は、熱検知部3からの第1検知信号及び煙検知部4からの第2検知信号を用いて、火災が発生したか否かを判定する。例えば、制御部7は、第1検知信号に基づいて、熱検知素子30による検知温度が所定の閾値温度を超えた場合に、火災が発生したと判定する。例えば、制御部7は、第2検知信号に基づいて、検知空間内の煙濃度が所定の閾値濃度を超えた場合に、火災が発生したと判定する。制御部7は、第1検知信号を用いた判定結果と第2検知信号を用いた判定結果との、論理和又は論理積に基づいて、火災が発生したか否かを判定してもよい。
【0082】
制御部7は、火災が発生したと判断すると、音出力部5を駆動するための電気信号を音出力部5に出力する。音出力部5は、制御部7からの電気信号を受けて、音(音波)を出力する。音出力部5が発生する音は、人工音声であってもよい。音出力部5が発生する音の態様(音圧、周波数等)は、国毎に法律等で定められている場合があり、音出力部5は定められた態様の音を出力するように構成されていてもよい。
【0083】
図1に示すように、基板2の第2面22(下面)には、スイッチ8が設けられている。また、第1カバー12においてスイッチ8と対向する領域には、操作パネル81が取り付けられている。操作パネル81は、上下に移動可能である。ユーザが、操作パネル81を下側から上向きに押すことで、操作パネル81を介してスイッチ8が押される。制御部7は、スイッチ8が押されたことを検知すると、音出力部5からの音の発生を停止させる。
【0084】
(2.2)利点
本実施形態の感知器100では、図1に示すように、熱検知部3の熱検知素子30は、筐体本体10の内部空間SP1において、ラビリンス部43の上下方向の中心を通る仮想的な平面PL0と設置面19との間に、配置されている。そのため、本実施形態の感知器100では、筐体本体10の内部空間SP1を有効に利用することが可能となり、感知器100全体としての小型化(特に薄型化)を図ることが可能となる。また、熱検知素子30を平面PL0よりも上側に位置させることが可能となるので、相対的に上方に移動しやすい熱風の温度を熱検知素子30が検知しやすくなる。また、熱検知素子30が筐体1の外部に露出することがないため、感知器100の意匠性も向上する。
【0085】
また、本実施形態の感知器100では、熱検知素子30は、ラビリンス部43における設置面19側の天面431(図1参照)と設置面19との間に、配置されている。これにより、筐体1の内部空間SP1を有効に利用することが可能となり、感知器100全体としての小型化(特に薄型化)を図ることが可能となる。また、筐体1の厚み方向D1において、熱検知素子30とラビリンス部43とが略重ならないように配置されるため、熱検知部3が煙検知部4の検知性能に与え得る影響の低減を図ること、及び煙検知部4が熱検知部3の検知性能に与え得る影響の低減を図ることが、可能となる。
【0086】
また、本実施形態の感知器100では、熱検知素子30は、開口部113の下端よりも上側に配置されている。これにより、相対的に上方に移動しやすい熱風の温度を熱検知素子30が検知しやすくなる。
【0087】
また、熱検知部3がリードサーミスタであるため、熱検知部3がチップサーミスタの場合と比べて、熱検知素子30の高さを平面PL0又は天面431よりも上側に配置する場合の設計の自由度が向上する。
【0088】
また、筐体本体10の内部空間SP1には種々の部品(電池6、検知ケース44等)が配置されているため、種々の方向の開口部113から内部空間SP1に流入する気体は、これらの部品によって遮られる可能性がある。そのため、熱検知部3がチップサーミスタの場合には、1個のチップによって種々の方向の開口部113から内部空間SP1に流入する気体の温度を検知することは、困難である。これに対して、熱検知部3がリードサーミスタであれば、熱検知素子30を適切な高さに配置することで、種々の部品が存在するにも拘わらず1個のチップによって種々の方向の開口部113から流入する気体の温度を検知することが可能となる。
【0089】
(3)変形例
上記の実施形態は、本開示の様々な実施形態の1つに過ぎない。上記の実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。以下、実施形態の変形例を列挙する。以下では、上記実施形態を「基本例」と呼ぶこともある。上記の基本例及び以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
【0090】
本開示における感知器100の制御部7は、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における感知器100の制御部7としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1ないし複数の電子回路で構成される。ここでいうIC又はLSI等の集積回路は、集積の度合いによって呼び方が異なっており、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又はULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれる集積回路を含む。さらに、LSIの製造後にプログラムされる、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はLSI内部の接合関係の再構成若しくはLSI内部の回路区画の再構成が可能な論理デバイスについても、プロセッサとして採用することができる。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。ここでいうコンピュータシステムは、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを含む。したがって、マイクロコントローラについても、半導体集積回路又は大規模集積回路を含む1ないし複数の電子回路で構成される。
【0091】
また、感知器100における複数の機能が、1つの筐体1内に集約されていることは感知器100に必須の構成ではなく、感知器100の構成要素は、複数の筐体に分散して設けられていてもよい。さらに、感知器100の少なくとも一部の機能がクラウド(クラウドコンピューティング)等によって実現されてもよい。反対に、基本例のように、感知器100の複数の機能が1つの筐体内に集約されていてもよい。
【0092】
(3.1)変形例1
本変形例の感知器100Aについて、図7図9を参照して説明する。本変形例の感知器100Aは、主として、感知器100Aの内部空間SP0が、ラビリンス部43が配置される第1空間SP1と熱検知素子30が配置される第2空間SP2とに分離されている点で、基本例の感知器100と相違する。本変形例の感知器100Aにおいて、基本例の感知器100と同様の構成については、同一の符号を付して適宜説明を省略する場合がある。
【0093】
図8に示すように、本変形例の感知器100Aでも、筐体1Aは、筐体本体10Aとベース14Aとを有している。
【0094】
ベース14Aは、基本例の感知器100のベース14と同様に、底壁141、周壁142、及び複数(ここでは、4つ)の突部143(図5参照)を有している。ただし、本変形例のベース14Aは、周壁142において突部143が形成されていない部分の下端に、上方へ凹んだ凹所145が形成されている。
【0095】
筐体本体10Aは、ボディ11Aと、第1カバー12と、第2カバー13Aと、を有している。
【0096】
図9に示すように、ボディ11Aは、底壁111Aと、周壁112Aと、を備えている。
【0097】
底壁111Aは、基本例の感知器100の底壁111と同様である。
【0098】
周壁112Aは、底壁111Aの上面の外周部から上方に向かって径を広げるように突出する第1壁1121Aと、底壁111Aの下面の外周部から下方に向かって径を広げるように突出する第2壁1122Aと、を有している。
【0099】
周壁112A、より詳細には第1壁1121Aには、複数(ここでは、24個)の開口部113が設けられている。各開口部113は、側面視において周壁112Aの周方向に長い矩形状であって、周壁112の厚さ方向(径方向)に貫通している。開口部113は、筐体1の外部の気体を筐体1の内部の熱検知素子30又はラビリンス部43に誘導する。
【0100】
本変形例では、図7図9に示すように、開口部113には、第1開口部1131と第2開口部1132とがある。図7に示すように、第1開口部1131は、筐体1Aの外部の気体を、筐体1Aの内部のラビリンス部43に誘導するための孔である。第2開口部1132は、筐体1Aの外部の気体を、筐体1Aの内部の熱検知素子30に誘導するための孔である。第1開口部1131と第2開口部1132とは、分離されている。
【0101】
第1開口部1131は、第1壁1121Aの周方向にわたって、複数(ここでは、12個)設けられている。第1開口部1131は、第1壁1121Aの下端に設けられている。周壁112Aの周方向で隣り合う2つの第1開口部1131は、桟部1123によって区切られている。
【0102】
第2開口部1132は、第1壁1121Aの周方向にわたって、複数(ここでは、12個)設けられている。第2開口部1132は、第1壁1121Aにおいて、第1開口部1131よりも上側に設けられている。周壁112Aの周方向で隣り合う2つの第2開口部1132は、桟部1124によって区切られている。本変形例では、第2開口部1132の数は、第1開口部1131と同じである。第2開口部1132は、第1壁1121Aにおいて、対応する第1開口部1131の上側に設けられている。
【0103】
本変形例では、第1開口部1131の開口寸法と第2開口部1132の開口寸法とは互いに同じであるが、異なっていてもよい。
【0104】
図9に示すように、第2カバー13Aは、カバー本体130Aを有している。カバー本体130Aは、平面視において円形の板状であって、平面視における外周形状がボディ11Aと同一である。カバー本体130Aには、複数(ここでは3つ)の挿入孔131が形成されている。各挿入孔131には、第2カバー13Aの上方から第1ねじS1が挿入される。
【0105】
第2カバー13Aは、筐体本体10Aをベース14Aに保持させるための被保持構造(第2保持構造)として、複数(ここでは、4つ)の、側面視L字状の溝132を有している。本変形例では、各溝132は、カバー本体130Aの上面から上方に突出する突台133の側面に設けられている。
【0106】
図8図9に示すように、第2カバー13Aは、ボディ11Aの上方からボディ11Aに組み付けられて、第1ねじS1によってボディ11A及び第1カバー12に結合される。第2カバー13Aのカバー本体130Aは、上下方向において、第1開口部1131と第2開口部1132との間に位置する。
【0107】
図7図8に示すように、筐体本体10Aがベース14Aに取り付けられた状態において、第2カバー13Aは、筐体1の内部空間SP0を、第1カバー12と第2カバー13Aとの間に形成される下側の第1空間SP1と、第2カバー13Aとベース14Aとの間に形成される上側の第2空間SP2とに、分離する。
【0108】
第1空間SP1は、第1開口部1131を介して、筐体1Aの外部とつながっている。第1空間SP1には、基板2、及び煙検知部4のラビリンス部43が配置される。
【0109】
第2空間SP2は、第2開口部1132を介して、筐体1Aの外部とつながっている。ここで、第2カバー13Aのカバー本体130Aにおいて、熱検知素子30が配置されている部分には、貫通孔151が形成されている(図8参照)。これにより、熱検知部3の熱検知素子30は、貫通孔151を通って第2空間SP2に位置している(図7参照)。
【0110】
要するに、第2カバー13Aは、筐体1の内部の空間(内部空間SP0)を、ラビリンス部43が配置される第1空間SP1と熱検知素子30が配置される第2空間SP2とに分離する分離壁15として、機能する。分離壁15は、熱検知素子30が通される貫通孔151を有している。
【0111】
分離壁15(第2カバー13A)には、貫通孔151の周りに、保護部152が設けられている。保護部152は、リング状の円環部と、円環部を分離壁15の上方に支持する支持桟部と、を有している。保護部152は、貫通孔151を通って第2空間SP2に露出する熱検知素子30を覆って、熱検知素子30を保護する。
【0112】
ラビリンス部43が配置されている第1空間SP1には、第1開口部1131を通して、筐体1Aの外部から気体が流入可能となっている。そのため、筐体1Aの第1空間SP1に流入した気体は、ラビリンス部43に到達可能である。煙検知部4は、検知ケース44の外部から複数の窓孔442及びラビリンス部43を通して、第1空間SP1に流入した気体(図7の矢印91参照)を検知空間へ取り込む。これにより、煙検知部4での煙の検知が可能となる。
【0113】
熱検知素子30が配置されている第2空間SP2には、第2開口部1132を通して、筐体1Aの外部から気体が流入可能となっている。そのため、筐体1Aの第2空間SP2に流入した気体は、熱検知素子30に到達可能である。熱検知部3は、筐体1Aの外部から第2開口部1132を通って第2空間SP2に流入し熱検知素子30に到達した気体(図7の矢印92参照)の温度を、検知する。なお、保護部152は、気体が通過可能な流通孔を有しており、この流通孔を通して、第2開口部1132を通って第2空間SP2内に流入した気体が熱検知素子30に到達可能となっている。
【0114】
このように、本変形例の感知器100Aでは、感知器100Aの内部空間SP0が、ラビリンス部43が配置される第1空間SP1と熱検知素子30が配置される第2空間SP2とに分離されている。これにより、熱検知部3が煙検知部4の検知性能に与え得る影響の更なる低減を図ることが可能となり、煙検知部4が熱検知部3の検知性能に与え得る影響の更なる低減を図ることが、可能となる。また、例えば、ラビリンス部43が配置される第1空間SP1を相対的に煙が流入しやすい下側、熱検知素子30が配置される第2空間SP2を相対的に煙が流入しにくい上側とするような配置が可能となり、第1空間SP1には相対的に煙が流入しやすくなり第2空間SP2には相対的に熱風が流入しやすくなる。また、例えば、第1開口部1131を天井より下側の部屋内に露出させ、第2開口部1132を天井裏に露出させる、といった配置も可能となる。また、感知器100Aを、熱感知器又は煙感知器という単独の感知器として機能させることも可能となる。
【0115】
(3.2)その他の変形例
一変形例において、感知器100,100Aは、電池6を備えていなくてもよく、例えば商用の交流電源から電力の供給を受けてもよい。
【0116】
一変形例において、感知器100,100Aは、外部の装置と通信する通信機能を有していてもよい。
【0117】
一変形例において、基板2は、熱検知部3が実装される第1基板と、発光素子41、受光素子42、ラビリンス部43が配置される第2基板と、を備えていてもよい。第1基板は、第2基板よりも上側に配置されてもよく、その場合、熱検知素子30を平面PL0よりも上側に配置しやすくなる。第2基板に実装される熱検知部3は、チップサーミスタであってもよい。
【0118】
一変形例において、熱検知素子30は、平面視においてラビリンス部43(検知ケース44)と重なる位置に配置されていてもよい。
【0119】
一変形例において、筐体1Aは、基本例の筐体1と同様の開口部113を備えつつ、内部空間SP0を第1空間SP1と第2空間SP2とに分離する分離壁15を備えていてもよい。
【0120】
一変形例において、筐体1Aは、第1開口部1131及び第2開口部1132を備えつつ、分離壁15を備えていなくてもよい。
【0121】
一変形例において、底壁111は第3貫通孔116を有していなくてもよい。その場合、例えば、煙検知部4の検知ケース44の天面に貫通孔が形成されて、この貫通孔に熱検知素子30が挿入されて内部空間SP0に露出していてもよい。その場合、熱検知素子30は、筐体1の厚み方向D1から見て、ラビリンス部43と重なる位置にあることとなる。
【0122】
(4)態様
以上説明した実施形態及び変形例から明らかなように、本明細書には以下の態様が開示されている。
【0123】
第1の態様の感知器(100,100A)は、熱検知部(3)と、煙検知部(4)と、基板(2)と、筐体(1,1A)と、を備える。熱検知部(3)は、熱を検知する熱検知素子(30)を有する。煙検知部(4)は、光を放射する発光素子(41)と、光を受光する受光素子(42)と、発光素子(41)から放射された光が受光素子(42)に直接入射しないように配置されるラビリンス部(43)と、を有する。筐体(1,1A)は、基板(2)を収容する。筐体(1,1A)は、構造体(X1)に取り付けられる。筐体(1,1A)は、筐体(1,1A)の厚み方向(D1)の一方側に、構造体(X1)と対面する設置面(19)を有する。熱検知素子(30)は、筐体(1,1A)の内部において、厚み方向(D1)におけるラビリンス部(43)の中心を通る仮想的な平面(PL0)と設置面(19)との間に、配置される。
【0124】
この態様によれば、筐体(1,1A)の内部空間(SP0)を有効に利用することが可能となり、感知器(100,100A)全体としての小型化(特に薄型化)を図ることが可能となる。
【0125】
第2の態様の感知器(100,100A)では、第1の態様において、熱検知素子(30)は、ラビリンス部(43)における設置面(19)側の天面(431)と設置面(19)との間に、配置される。
【0126】
この態様によれば、筐体(1,1A)の内部空間(SP0)を有効に利用することが可能となり、感知器(100,100A)全体としての小型化(特に薄型化)を図ることが可能となる。また、筐体(1,1A)の厚み方向(D1)において、熱検知素子(30)とラビリンス部(43)とが略重ならないように配置される。そのため、熱検知部(3)が煙検知部(4)の検知性能に与え得る影響の低減を図ること、及び煙検知部(4)が熱検知部(3)の検知性能に与え得る影響の低減を図ることが、可能となる。
【0127】
第3の態様の感知器(100,100A)では、第1又は第2の態様において、基板(2)は、設置面(19)側の第1面(21)と、設置面(19)と反対側の第2面(22)と、を有する。熱検知部(3)及びラビリンス部(43)は、基板(2)の第1面(21)に配置される。
【0128】
この態様によれば、筐体(1,1A)の内部空間を有効に利用することが可能となり、感知器(100,100A)全体としての小型化(特に薄型化)を図ることが可能となる。
【0129】
第4の態様の感知器(100,100A)では、第1~第3のいずれか1つの態様において、筐体(1,1A)は、筐体(1,1A)の外部の気体を筐体(1,1A)の内部の熱検知素子(30)又はラビリンス部(43)に誘導する開口部(113)を有する。
【0130】
この態様によれば、熱検知又は煙検知の検知感度の向上を図ることが可能となる。
【0131】
第5の態様の感知器(100,100A)では、第4の態様において、開口部(113)は、筐体(1,1A)の側面に設けられる。
【0132】
この態様によれば、例えば開口部が筐体の底面に設けられる場合と比較して、熱検知又は煙検知の検知感度の向上を図ることが可能となる。
【0133】
第6の態様の感知器(100A)では、第4又は第5の態様において、開口部(113)は、筐体(1A)の外部の気体を筐体(1A)の内部のラビリンス部(43)に誘導するための第1開口部(1131)と、第1開口部(1131)と分離されており、筐体(1A)の外部の気体を筐体(1A)の内部の熱検知素子(30)に誘導するための第2開口部(1132)と、を有する。
【0134】
この態様によれば、第1開口部(1131)に流入した気体がラビリンス部(43)に到達しやすくなり、第2開口部(1132)に流入した気体が熱検知素子(30)に到達しやすくなるので、外部の気体をラビリンス部に誘導するための開口部と外部の気体を熱検知素子に誘導するための開口部とが共通する比較例の場合と比べて、熱検知部(3)が煙検知部(4)の検知性能に与え得る影響の更なる低減を図ること、及び煙検知部(4)が熱検知部(3)の検知性能に与え得る影響の更なる低減を図ることが、可能となる。
【0135】
第7の態様の感知器(100A)は、第1~第6のいずれか1つの態様において、分離壁(15)を更に備える。分離壁(15)は、筐体(1A)の内部の空間を、ラビリンス部(43)が配置される第1空間(SP1)と熱検知素子(30)が配置される第2空間(SP2)とに分離する。
【0136】
この態様によれば、ラビリンス部(43)が配置される第1空間(SP1)と熱検知素子(30)が配置される第2空間(SP2)とが、分離されるため、熱検知部(3)が煙検知部(4)の検知性能に与え得る影響の更なる低減を図ること、及び煙検知部(4)が熱検知部(3)の検知性能に与え得る影響の更なる低減を図ることが、可能となる。また、熱検知部(3)と煙検知部(4)とを両方備えた感知器(100A)を、熱感知器又は煙感知器という単独の感知器として機能させることも可能となる。この場合であっても、熱検知部(3)と煙検知部(4)とのうちの一方が他方の検知性能に与え得る影響の低減を図ることが可能となるため、熱検知部のみを備えた熱検知器又は煙検知部のみを備えた煙検知器と近い検知感度を、実現しやすくなる。
【0137】
第8の態様の感知器(100,100A)では、第7の態様において、分離壁(15)は、熱検知素子(30)が通される貫通孔(151)を有する。
【0138】
この態様によれば、熱検知素子(30)を第2空間(SP2)に配置しやすくなる。
【符号の説明】
【0139】
100,100A 感知器
1,1A 筐体
113 開口部
1131 第1開口部
1132 第2開口部
15 分離壁
151 貫通孔
19 設置面
2 基板
21 第1面
22 第2面
3 熱検知部
30 熱検知素子
4 煙検知部
41 発光素子
42 受光素子
43 ラビリンス部
431 天面
D1 厚み方向
PL0 平面
SP1 第1空間
SP2 第2空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9