(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023067557
(43)【公開日】2023-05-16
(54)【発明の名称】親綱取付具
(51)【国際特許分類】
E04G 21/32 20060101AFI20230509BHJP
E04G 5/00 20060101ALI20230509BHJP
【FI】
E04G21/32 D
E04G5/00 301B
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021178926
(22)【出願日】2021-11-01
(71)【出願人】
【識別番号】000241474
【氏名又は名称】トヨタT&S建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101535
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 好道
(74)【代理人】
【識別番号】100161104
【弁理士】
【氏名又は名称】杉山 浩康
(72)【発明者】
【氏名】小木曽 章秀
(57)【要約】
【課題】仮設足場を組む必要がなく、勾配屋根上での作業時に、安全帯を取り付けることができる親綱を架設することができる親綱取付具を提供する。
【解決手段】
支持台3を有し、支持台3に固定支柱6を設け、固定支柱6には、親綱を取付ける親綱取付部10を有する親綱支柱2を、支持台3に対して起倒できるように設け、親綱支柱2は、固定支柱6に対して、親綱支柱2の軸芯方向に移動できるようにし、親綱支柱2の起立状態を保持する起立保持部12と、親綱支柱2の倒伏状態を保持する倒伏保持部17を設け、支持台3には、これを、勾配屋根5に取り付ける取付部4を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持台を有し、該支持台に固定支柱を設け、
前記固定支柱には、親綱を取付ける親綱取付部を有する親綱支柱を、支持台に対して起倒できるように設け、
前記親綱支柱は、前記固定支柱に対して、親綱支柱の軸芯方向に移動できるようにし、
親綱支柱の起立状態を保持する起立保持部と、親綱支柱の倒伏状態を保持する倒伏保持部を設け、
前記支持台には、これを、勾配屋根に取り付ける取付部を有することを特徴とする親綱取付具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は親綱取付具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、屋根に取付けた太陽光発電用のソーラーパネルの点検等の作業を行う際に、建物の外側に足場を組み、この足場に対し親綱を取り付けることが行われている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来のように、足場に親綱を取り付けるものにおいては、ソーラーパネルの点検等の作業を行う都度、足場を組む必要があり、足場の設置時間と設置費用が掛かるという問題がある。
【0004】
そこで本発明は、上記従来の問題点を解決した親綱取付具を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記の課題を解決するために、本発明は、支持台を有し、該支持台に固定支柱を設け、
前記固定支柱には、親綱を取付ける親綱取付部を有する親綱支柱を、支持台に対して起倒できるように設け、
前記親綱支柱は、前記固定支柱に対して、親綱支柱の軸芯方向に移動できるようにし、
親綱支柱の起立状態を保持する起立保持部と、親綱支柱の倒伏状態を保持する倒伏保持部を設け、
前記支持台には、これを、勾配屋根に取り付ける取付部を有することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、親綱を取付ける親綱取付部を有する親綱支柱を起倒できるようにするとともに、親綱支柱の起立状態を保持する起立保持部と、親綱支柱の倒伏状態を保持する倒伏保持部を設けたことにより、上記従来のような足場を必要とせず、親綱を張設する都度、足場を組む必要がなくなり、足場の設置時間と設置費用を削減することができ、コストを低減できる。
【0007】
更に、不使用時には、親綱支柱の倒伏状態を保持し、目立たないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施例に係る親綱取付具を示し、親綱支柱を起立させた状態の正面図。
【
図4】
図1の状態から親綱支柱を上方に移動させた状態の正面図。
【
図5】
図4の状態から親綱支柱を倒伏させた状態の正面図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[実施例1]
図1は、本発明の親綱取付具1の親綱支柱2を起立させた状態の正面図を示す。
【0010】
親綱取付具1は、立平葺き屋根、金属板瓦棒葺き屋根、折版屋根等の金属で形成された金属屋根、スレート屋根、瓦屋根等の勾配を有する勾配屋根に複数取り付けて用いるものである。
【0011】
親綱取付具1は、
図1~
図4に示すように、方形で板状の支持台3を有し、支持台3の下面には、支持台3を屋根に取り付けることができる取付部4が、支持台3の4隅に計4個設けられている。取付部4の構造は、親綱取付具1を取り付ける屋根の構造に応じて任意に構成するもので、本実施例では、金属板瓦棒葺き屋根5のハゼ部5aを一対の爪部4a,4aで挟持して、取り外し可能に取り付けるようにしたものである。
【0012】
支持台3には、固定支柱6と倒伏保持支柱7が相互に離間して設けられているとともに、夫々の軸芯が略平行となるように固設されている。固定支柱6と倒伏保持支柱7は、支持台3に対して上方に立設するように設けられている。本実施例では、
図3に示すように、固定支柱6と倒伏保持支柱7は、金属板瓦棒葺き屋根5の表面に対して垂直となるように設けたが、固定支柱6と倒伏保持支柱7が、屋根側先端に向かう程、金属板瓦棒葺き屋根5等の屋根から離間するように設けられていれば、屋根の表面に対する固定支柱6と倒伏保持支柱7の軸の角度は、屋根勾配に対して、任意に設定することができる。
【0013】
固定支柱6は、横断面が円形、楕円形、四角形等の多角形の筒状の部材で構成され、本実施例では横断面が四角形の中空状の各筒で構成されている。固定支柱6の支持台3側と反対側の上端部には、一対の第1取付片8,8が相互に離間して対向配置され、第1取付片8,8には、回転軸9が設けられている。
【0014】
親綱支柱2は、断面が円形、楕円形、四角形等の多角形の筒状の部材で構成され、本実施例では断面が四角形の各筒で構成した。
【0015】
親綱支柱2の先端部には、図示しない親綱に備えられた取付具を取り外し可能に取り付けることができる親綱取付部10が設けられている。親綱取付部10は、親綱を取り外し可能に取り付けることができれば任意の構造とすることができ、本実施例では、
図1に示すように、アルミニウム等の金属で形成された半円状の取付金具10aを、親綱支柱2の先端から外側へ突出するように固設して構成し、取付金具10aの中央部には、取付孔10bが貫通形成されている。取付金具10aには、親綱に備えられた取付具を取り外し可能に掛設したり、その取付孔10b内に親綱が挿通することにより、親綱取付部10に親綱を取り外し可能に取り付けることができるようになっている。
【0016】
親綱支柱2の先端とは反対側部には、その軸方向が長手方向となる長孔11が形成されている。
【0017】
固定支柱6の第1取付片8,8間に親綱支柱2が位置するとともに、長孔11内に回転軸9が挿通され、長孔11の長手方向に、回転軸9が移動でき、かつ、親綱支柱2が回転軸9を中心として回動できるようになっている。
【0018】
固定支柱6の中空部内には、親綱支柱2が挿通できるとともに、固定支柱6の軸方向に移動でき、
図1に示す親綱支柱2の起立状態を保持できる起立保持部12が形成されている。
【0019】
また、親綱支柱2は、
図4に示すように、親綱支柱2を支持台3から離間する矢印A方向に移動させた後に、回転軸9を中心として矢印B方向に回動させることにより、起倒できるようになっている。
【0020】
倒伏保持支柱7の先端部には、
図2に示すように、一対の第2取付片13,13が、相互に離間して対向配置するとともに、第1取付片8,8と略平行となるように設けられ、親綱支柱2を倒伏した際に、
図2に示すように、第2取付片13,13間に親綱支柱2が位置するようになっている。
【0021】
第2取付片13,13には挿通孔13aが形成され、挿通孔13aには蝶ボルト14が螺合されている。
【0022】
親綱支柱2には貫通孔16が形成され、
図5に示すように、親綱支柱2を倒伏した状態で、貫通孔16に蝶ボルト14を挿通するとともに、第2取付片13,13に螺合することにより、親綱支柱2の倒伏状態を保持することができるようになっている。第2取付片13,13と蝶ボルト14と貫通孔16で親綱支柱2の倒伏状態を保持する倒伏保持部17を構成する。なお、倒伏保持部は、親綱支柱2の倒伏状態を解除可能に保持することができれば、上記倒伏保持部17以外にも任意の構造等を用いて行うことができる。
【0023】
固定支柱6と倒伏保持支柱7間には補強リブ20が架設されている。
【0024】
親綱取付具1の不使用時には、
図5に示すように、親綱支柱2を倒伏した状態で、貫通孔16に蝶ボルト14を挿通するとともに、第2取付片13,13に螺合することにより、親綱支柱2の倒伏状態が保持される。このように、不使用時には、コンパクトに収めることができ、屋根に取り付けた親綱取付具1を目立たなくし、親綱取付具1を取り付けた建物の外観の美観を損なうことを抑制できる。
【0025】
第2取付片13,13から蝶ボルト14を取り外したのちに、親綱支柱2を、回転軸9を中心として、
図3に示すように、先端が上方に向かうように回動して起立させる。
【0026】
次に、親綱支柱2の長孔11内を、回転軸9が移動するように、親綱支柱2の下端部を、固定支柱6の中空部内に挿通するように下方に移動させ、親綱支柱2の下端を支持台3に当接させて、親綱支柱2の起立状態を保持する。
【0027】
次に、親綱支柱2の親綱取付部10に、親綱に備えられた取付具(図示せず)を取り外し可能に掛設することにより、任意の親綱支柱2、2間に亘って親綱を張設することができる。なお、1本の親綱が張設された間に位置する支柱2の親綱取付部10の取付孔10b内には、親綱が挿通されている。なお、隣接する親綱支柱2、2間毎に亘って親綱を張設するようにしても良い。
【0028】
本発明の親綱取付具1を、屋根に一度設置すれば、足場を組む必要がなくなり、足場の設置時間と設置費用を削減することができ、コストを低減できる。
【0029】
なお、上記実施例においては、親綱支柱2に長孔11を形成したが、固定支柱6と第1取付片8に長孔を形成し、親綱支柱2を、固定支柱6に対して、親綱支柱2の軸方向に移動できるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0030】
1 親綱取付具
2 親綱支柱
3 支持台
4 取付部
6 固定支柱
10 親綱取付部
12 起立保持部
17 倒伏保持部