(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023067574
(43)【公開日】2023-05-16
(54)【発明の名称】エア集熱システム
(51)【国際特許分類】
F24F 1/56 20110101AFI20230509BHJP
F24F 1/46 20110101ALI20230509BHJP
【FI】
F24F1/56
F24F1/46
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021178955
(22)【出願日】2021-11-01
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-04-01
(71)【出願人】
【識別番号】511270756
【氏名又は名称】前田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】前田 俊明
【テーマコード(参考)】
3L054
【Fターム(参考)】
3L054BA06
3L054BF09
3L054BG03
(57)【要約】
【課題】エネルギー消費の抑制に適したエア集熱システムの提供にある。
【解決手段】エア集熱システム2は、ヒートポンプの室外機22のエア取込口22Aを覆う取込カバー16Aと、取込カバー16Aに接続される取込ダクト12Gとを備える。好ましくは、室外機22のエア排出口22Bを覆う排出カバー16Bと、排出カバー16Bに接続される排出ダクト12M、12Nとを更に備える。好ましくは、エア集熱システム2は、集熱パネル6Aと、集熱パネル6Aに接続され取込ダクト12Gに接続する戻りダクト12Aと、戻りダクト12Aを開閉する戻り弁14Aと、戻り弁14Aの開閉を制御する制御装置20とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒートポンプが備える室外機のエア取込口を覆う取込カバーと、
前記取込カバーに接続される取込ダクトと、
を備える、エア集熱システム。
【請求項2】
前記室外機のエア排出口を覆う排出カバーと、
前記排出カバーに接続される排出ダクトと
を更に備える、請求項1に記載のエア集熱システム。
【請求項3】
前記取込カバーが前記エア取込口を気密に覆う、請求項1又は2に記載のエア集熱システム。
【請求項4】
太陽光でエアを暖める第1集熱パネルと、
前記第1集熱パネルに接続され前記第1集熱パネルからエアが送られ、前記取込ダクトに接続する第1戻りダクトと、
前記第1戻りダクトを開閉する第1戻り弁と、
前記第1戻り弁の開閉を制御する制御装置と
を備える、請求項1から3のいずれかに記載のエア集熱システム。
【請求項5】
前記第1戻りダクトに接続され建物の室内に開口する空調ダクトと、
前記空調ダクトを開閉する空調弁と
を更に備え、
前記制御装置が前記空調弁の開閉を制御する、請求項4に記載のエア集熱システム。
【請求項6】
前記第1集熱パネルと異なる方向に向けられ太陽光でエアを暖める第2集熱パネルと、 前記第2集熱パネルに接続され前記第2集熱パネルからエアが送られ、前記取込ダクトに接続する第2戻りダクトと、
前記第2戻りダクトを開閉する第2戻り弁と、
を備え、
前記制御装置が前記第2戻り弁の開閉を制御する、請求項4又は5に記載のエア集熱システム。
【請求項7】
前記第2戻りダクトに接続され建物の室内に開口する空調ダクトと、
前記空調ダクトを開閉する空調弁と
を更に備え、
前記制御装置が前記空調弁の開閉を制御する、請求項6に記載のエア集熱システム。
【請求項8】
前記第1集熱パネルが、
並列に並べられた多数の流路を形成し太陽光の熱を吸収するヒートシンクと、
前記ヒートシンクを収容しそれぞれの流路の吸気口及び排気口を有する収容器と、
を含む、請求項4から7のいずれかに記載のエア集熱システム。
【請求項9】
前記第1集熱パネルが、2以上の多数のべースパネルを含み、
それぞれのベースパネルが、
並列に並べられた多数のベース流路を形成し太陽光の熱を吸収するベースヒートシンクと、
前記ベースヒートシンクを収容しそれぞれのベース流路の吸気口及び排気口を有するベース収容器とを含む、請求項8に記載のエア集熱システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、エア集熱システムを開示する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(特開2020-70993公報)には、遮熱兼熱交換装置が開示されている。この遮熱兼熱交換装置では、複数のユニットが並べられて取り付けられる。それぞれのユニットは、熱交換をする流体が流れるユニット本体と、隣合う他のユニットとの間の設置面を覆う庇とを備えている。この遮熱兼熱交換装置は、遮熱すると共に、太陽光の熱を有効活用できる。この遮熱兼熱交換装置は、省エネルギーに貢献しうる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
建物の室内は、空調設備によって、夏に冷房され冬に暖房される。前述の遮熱兼熱交換装置は、空調によるエネルギー消費の抑制に寄与しうる。しかしながら、この遮熱兼熱交換装置でも、更に、省エネルギーの観点から、エネルギー消費の抑制が求められている。
【0005】
本出願人の意図するところは、エネルギー消費の抑制に適したエア集熱システムの提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
好ましいエア集熱システムは、ヒートポンプが備える室外機のエア取込口を覆う取込カバーと、前記取込カバーに接続される取込ダクトと、を備える。
【発明の効果】
【0007】
このエア集熱システムは、室内を暖房する際に、室外機のエア取込口に取込ダクトを通して、エアが送られる。エア集熱システムは、この取込ダクトによって、室外機により適した温度のエアを供給可能にされている。例えば、室外機のエア取込口に、太陽光で暖められた温度の高いエアが送られることで、暖房効率を向上しうる。このエア集熱システムは、エネルギー消費の抑制に適している。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係るエア集熱システムが示された説明図である。
【
図2】
図2は、
図1のエア集熱システムが備える集熱パネルの正面図である。
【
図3】
図3は、
図2の集熱パネルが備える一のベースパネルの外観図である。
【
図5】
図5は、
図2の集熱パネルが備える他のベースパネルの外観図である。
【
図6】
図6は、
図1のエア集熱システムが備える、取込カバー、排出カバー及び遮熱カバーが室外機と共に示された説明図である。
【
図7】
図7は、
図6の、取込カバー、排出カバー、遮熱カバー及び室外機の説明図である。
【
図8】
図8は、
図6の取込カバーが備える差圧ダンパの説明図である。
【
図9】
図9は、他の実施形態に係るエア集熱システムが備える、取込カバー及び排出カが室外機と共に示された説明図である。
【
図10】
図10は、更に他の実施形態に係るエア集熱システムが備える、取込カバー及び排出カが室外機と共に示された説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態が詳細に説明される。
【0010】
図1では、エア集熱システム2が建物4に設置されている。このエア集熱システム2は、建物4の屋根4Aに設置される集熱パネル6Aと、外壁4Bに設置される集熱パネル6Bと、外壁4Cに設置される集熱パネル6Cとを備える。更に、エア集熱システム2は、送風機8、蓄熱器10、ダクト12、多数の弁14、取込カバー16A、排出カバー16B、乾燥装置18及び制御装置20を備える。それぞれの集熱パネル6、送風機8、蓄熱器10、取込カバー16A、排出カバー16B及び乾燥装置18は、ダクト12によって接続されている。それぞれの弁14は、ダクト12の流路を開閉可能である。
【0011】
このエア集熱システム2では、集熱パネル6Aは、建物4の屋根4Aを覆っている。集熱パネル6Bは、外壁4Bを覆っている。集熱パネル6Cは、外壁4Cを覆っている。集熱パネル6Aと集熱パネル6Bと集熱パネル6Cとは、異なる方向に向けられている。なお、このエア集熱システム2は、好ましくは、向けられる方向が異なる2以上の集熱パネル6を備える。例えば、エア集熱システム2は、屋根4Aと向きの異なる4つ外壁を覆う、5つの集熱パネル6を備えてもよい。また、集熱パネル6は、必ずしも、屋根4Aの全面や外壁の全面を覆わなくてもよい。例えば、集熱パネル6は、窓や採光開口などを覆わなくてもよい。
【0012】
送風機8は、集熱パネル6A、集熱パネル6B及び集熱パネル6Cから延びるダクト12に接続されている。送風機8に接続されるダクト12は、更に、蓄熱器10、取込カバー16A及び乾燥装置18に接続されている。送風機8は、集熱パネル6A、集熱パネル6B及び集熱パネル6Cからエアを吸引可能であり、蓄熱器10、取込カバー16A及び乾燥装置18にエアを供給可能である。
【0013】
蓄熱器10は、温度の高いエアの熱を吸収し蓄熱し、温度が低いエアに熱を供給する機能を備える。例えば、蓄熱器10は、ダクト12によって供給されるエアの温度が所定の温度以上であれば、エアから熱を吸収する。逆に、エアの温度が所定の温度未満であれば、エアに熱を供給する。
【0014】
ダクト12は、集熱パネル6Aに接続される戻りダクト12Aと、集熱パネル6Bに接続される戻りダクト12Bと、集熱パネル6Cに接続される戻りダクト12Cと、戻りダクト12Aから戻りダクト12Cと接続される集合ダクト12Dと含む。ダクト12は、更に、集合ダクト12Dと送風機8と接続するダクト12Eと、送風機8と蓄熱器10とを接続するダクト12Fと、送風機8と取込カバー16Aとを接続する取込ダクト12Gと、送風機8と乾燥装置18と接続するダクト12Hと、送風機8と建物4の室内とを接続する空調ダクト12Jとを含む。更に、ダクト12は、蓄熱器10と集熱パネル6A、集熱パネル6B及び集熱パネル6Cとを接続するダクト12Kと、排出カバー16Bと集熱パネル6A、集熱パネル6B及び集熱パネル6Cとを接続するダクト12Mとを含む。なお、
図1では、集熱パネル6Bを接続するダクト12K及びダクト12Mが示され、集熱パネル6A及び集熱パネル6Cを接続するダクト12K及びダクト12Mの記載は省略されている。更に、ダクト12は、ダクト12Eとダクト12Kとを接続するダクト12Lと、ダクト12Mから分岐するダクト12Nとを含む。
【0015】
エア集熱システム2は、多数の弁14としての弁14Aから弁14C、弁14Fから弁14H、弁14Jから弁14Nを備える。弁14Aは、戻り弁として戻りダクト12Aの流路を開閉する。弁14Bは、戻り弁として戻りダクト12Bの流路を開閉する。弁14Cは、戻り弁として戻りダクト12Cの流路を開閉する。同様に、弁14Fから弁14H及び弁14Jから弁14Nは、それぞれが対応するダクト12Fからダクト12H及び空調ダクト12Jからダクト12Nの流路を開閉する。
【0016】
取込カバー16Aは、エアーコンディショナの室外機22の、外気取込口であるエア取込口22Aを覆う様に取り付けられる。この取込カバー16Aは、エア取込口22Aに対向している。取込ダクト12Gは取込カバー16Aに接続されている。ここでは、エアーコンディショナの室外機22を例示したが、取込カバー16Aで覆われる対象は、これに限られない。空調設備等のヒートポンプは、エア等の低温の物体から熱を吸収し、高温の物体に熱を与える装置である。この取込カバー16Aによって、この様なヒートポンプが備える蒸発器で蒸発させた熱媒体が熱を吸収する、又は、この様なヒートポンプの凝縮器で凝縮された熱媒体が熱を放出する外気のための、外気取込口が覆われていればよい。
【0017】
排出カバー16Bは、エアーコンディショナが備える室外機22の、外気排出口であるエア排出口22Bを覆う様に取り付けられる。この排出カバー16Bは、エア排出口22Bに対向している。ダクト12Mは排出カバー16Bに接続されている。ここでは、エアーコンディショナの室外機22を例示したが、排出カバー16Bで覆われる対象は、これに限られない。この排出カバー16Bによって、ヒートポンプが備える蒸発器で蒸発させた熱媒体が熱を吸収する、又は、ヒートポンプの凝縮器で凝縮された熱媒体が熱を放出する外気のための、外気排出口が覆われていればよい。
【0018】
乾燥装置18に、ダクト12Hが接続されている。このダクト12Hは、乾燥装置18の乾燥室に開口している。ここでは、乾燥装置18に接続されたが、このダクト12Hが接続される対象は、これに限られない。温風が利用可能な、熱風発生装置、ヒータ等の種々の機器に接続可能である。このエア集熱システム2は、これらの機器に使用されるエアの予熱装置として機能しうる。また、図示されないが、ダクト12Nが、乾燥装置18、熱風発生装置、ヒータ等の種々の機器に接続されてもよい。
【0019】
制御装置20は、送風機8と弁14Aから弁14C、弁14Fから弁14H及び弁14Jから弁14Nのそれぞれを制御可能である。この制御装置20の制御によって、ダクト12内のエアの流れが変更可能である。
【0020】
エア集熱システム2は、図示されないが、更に、集熱パネル6A、6B及び6Cのそれぞれの温度を測定する温度センサを備える。これらの温度センサで得られた温度データは、制御装置20に送信される。
【0021】
図2には、集熱パネル6Aの一部が示されている。
図2の上下方向が集熱パネル6Aの前後方向であり、
図2の左右方向が集熱パネル6Aの左右方向である。この集熱パネル6Aは、パネル24とパネル26とを含む。パネル24とパネル26とは、それぞれがベースパネルである。この集熱パネル6Aは、パネル24とパネル26との2種類のベースパネルを備えるが、更に他の種類のベースパネルを備えてもよい。
【0022】
パネル24は、戻りダクト12Aの接続口24Aとエアの吸気口24Bとを有する。パネル26は、パネル24の吸気口24Bに接続される排気口26Aとエアの吸気口26Bとを有する。この集熱パネル6Aでは、パネル24の外面とパネル26の外面とが接合されている。
図2は、1台のパネル24に1台のパネル26が接続されているが、パネル26に更に他のパネル26が接続されてもよい。また、パネル24とパネル26とが接続された状態で、左右方向に多数並べられてもよい。
【0023】
図3に示される様に、パネル24は、収容器28と、ベースヒートシンクとしてのヒートシンク30と、パネルトップ32とを含む。ヒートシンク30は、収容器28に収容されている。ヒートシンク30は、並列に並べられた複数の流路34を形成している。収容器28の開口28Aは、パネルトップ32に覆われている。パネルトップ32は、開口28Aを気密に塞いでいる。
【0024】
図4には、分解されたパネル24が示されている。収容器28は、開口28Aが形成された収容室28Bを有する。この収容室28Bに、ヒートシンク30が収容される。収容室28Bに、排気口としての接続口24Aが開口し、吸気口24Bが開口している。収容器28は、例えば、樹脂からなる。収容器28は、断熱性材料からなることが好ましい。収容器28は、軽量な材料からなることが好ましい。収容器28の材料として、発泡スチロール等の発泡プラスチック、真空断熱材を貼り付けた樹脂板等が例示される。
【0025】
ヒートシンク30は、底板30Aと、底板30Aから並列に並んで突出する多数の隔壁30Bとを含む。底板30Aと多数の隔壁30Bによって、並列に並べられた多数の流路34が形成されている。ヒートシンク30は 太陽光で暖められ、流路34を流れるエアを暖める機能を有する。ヒートシンク30の材質は、例えば、アルミ合金や樹脂が例示される。ヒートシンク30は、軽量であることが好ましく、赤外線を吸収し易く、熱伝導性に優れる材質からなることが好ましい。ヒートシンク30の表面は黒いことが好ましい。
【0026】
パネルトップ32は、収容器28に取り付けられる。パネルトップ32は、好ましくは、赤外線透過性及び断熱性に優れる材質からなる。パネルトップ32は、例えば、透明のガラス、樹脂からなる。パネルトップ32は、例えば、複層ガラスや断熱真空ガラスであってもよい。
【0027】
図5には、パネル26が示されている。パネル26は、収容器36と、ベースヒートシンクとしてのヒートシンク38と、パネルトップ40とを含む。ヒートシンク38は、収容器36に収容されている。ヒートシンク38は、並列に並べられた複数の流路42を形成している。収容器36の開口36Aは、パネルトップ40に覆われている。パネルトップ40は、開口36Aを気密に塞いでいる。
【0028】
収容器36は、開口36Aが形成された収容室36Bを有する。この収容室36Bに、ヒートシンク38が収容される。収容室36Bに、排気口26Aが開口し、吸気口26Bが開口している。収容器36の材質は、収容器28のそれと同様である。ヒートシンク38は、底板38Aと、底板38Aから並列に並んで突出する多数の隔壁38Bとを含む。底板38Aと多数の隔壁38Bによって、並列に並べられた多数の流路42が形成されている。ヒートシンク38の材質は、ヒートシンク30のそれと同様である。パネルトップ32は、収容器36に取り付けられる。パネルトップ40の材質は、パネルトップ32のそれと同様である。
【0029】
ここでは、集熱パネル6Aを例に説明がされたが、集熱パネル6Bや集熱パネル6Cも集熱パネル6Aと同様に構成されている。
【0030】
図6には、室外機22共に、エア集熱システム2が備える取込カバー16Aと排出カバー16Bとが示されている。このエア集熱システム2は、更に、遮熱カバー44を備える。この室外機22では、背面にエア取込口22Aが開口し、前面にエア排出口22Bが開口している。取込カバー16Aは、室外機22の背面、一対の側面及び上面を覆っている。排出カバー16Bは、取込カバー16Aに当接し、室外機22の前面を覆っている。遮熱カバー44は、取込カバー16A及び排出カバー16Bの上面を覆っている。
【0031】
図7に示される取込カバー16Aは、室外機22に当接する弾性部材を備えてもよい。この弾性部材によって、取込カバー16Aが、室外機22のエア取込口22Aを気密に覆ってもよい。この弾性部材としては、スポンジ、ゴムが例示される。同様に、排出カバー16Bは、室外機22に当接する弾性部材を備えてもよい。この弾性部材によって、排出カバー16Bが、室外機22のエア排出口22Bを気密に覆ってもよい。
【0032】
遮熱カバー44は、取込カバー16A及び排出カバー16Bの上面を覆っている。遮熱カバー44は、その内部を外気が通り抜け可能である。遮熱カバー44は、その内部を外気が通り抜けるための一対の開口46と、それぞれの開口46の大きさを調整するルーバ48とを備える。遮熱カバー44は、ルーバ48によって、開口46を開くことで外気の通り抜けが可能であり、開口46を閉じることで外気の通り抜けが抑制される。
【0033】
一般に、室外機22のエア取込口22Aは、その背面又は側面に設けられる。
図7に示される様に、取込カバー16Aは、室外機22の背面、一対の側面及び上面を覆っている。この取込カバー16Aは、エア取込口22Aが背面又は一対の側面のいずれかに設けられた室外機22に対応しうる。汎用性の観点から、取込カバー16Aは、室外機22の背面と側面との2以上の面を覆うことが好ましい。
【0034】
図8には、取込カバー16Aが備える差圧ダンパ50が示されている。この差圧ダンパ50は、取込カバー16A内の圧力が、取込カバー16A外の圧力より低くなると、差圧で開口する。これにより、取込カバー16Aに接続された取込ダクト12Gからのエアが遮断された場合やエアの供給が不十分な場合には、差圧ダンパ50によって、取込カバー16A内に外気が取り入れ可能にされている。ここでは、取込カバー16が差圧ダンパ50を備えたが、取込ダクト12Gが差圧ダンパ50を備えてもよい。
【0035】
図9には、本発明の他の実施形態に係るエア集熱システム52が備える取込カバー56と排出カバー58とが、室外機54と共に、示されている。この室外機54では、側面にエア取込口が開口し、前面にエア排出口が開口している。取込カバー56は、室外機54の背面と、エア取込口が開口する側面とを覆っている。排出カバー58は、室外機54の前面を覆っている。このエア集熱システム52は、取込カバー56と排出カバー58とが、エア集熱システム2と異なるが、他の構成はエア集熱システム2のそれと同様である。
【0036】
図10には、本発明の更に他の実施形態に係るエア集熱システム62が備える取込カバー66と排出カバー68とが、室外機64と共に、示されている。この室外機64では、背面にエア取込口が開口し、上面にエア排出口が開口している。取込カバー66は、室外機64の背面と、一対の側面とを覆っている。排出カバー68は、室外機64の上面を覆っている。このエア集熱システム62は、取込カバー66と排出カバー68とが、エア集熱システム2と異なるが、他の構成はエア集熱システム2のそれと同様である。
【0037】
図1に示されるエア集熱システム2は、室外機22のエア取込口22Aを覆う取込カバー16Aと、取込カバー16Aに接続される取込ダクト12Gとを備える。この取込ダクト12Gから、工場廃熱や燃焼炉等で暖められたエアを取り込み、室外機22に供給しうる。これにより、このエア集熱システム2は、暖房時のエネルギー消費の抑制に適している。
【0038】
このエア集熱システム2では、排出カバー16Bに接続される排出ダクトとしてのダクト12Nに、室外機22からエアを排出する。このエア集熱システム2では、排出されたエアを他の装置に再利用できる。例えば、冷房時に、室外機22から排出されたエアを乾燥装置18等に再利用できる。また、暖房時に、工場廃熱や燃焼炉等で暖められたエアが室外機22に送られ、室外機22から排出されるエアの温度が外気温度より高い場合には、排出されたエアは、排出ダクトとしてのダクト12Mに送れる。このエアは、ダクト12Mから集熱パネル6A、6B及び6Cに送られる。これにより、建物4から放熱を低減しうる。この様に、省エネルギーの観点から、エア集熱システム2は、室外機22のエア排出口22Bを覆う排出カバー16Bと、排出カバー16Bに接続される排出ダクトを備えることが好ましい。
【0039】
このエア集熱システム2では、省エネルギーの観点から、取込カバー16Aがエア取込口22Aを気密に覆うことが好ましい。また、取込カバー16Aがエア取込口22Aを気密に覆う場合には、エア集熱システム2は、差圧ダンパ50を備えることが好ましい。
【0040】
このエア集熱システム2は、集熱パネル6Aと、集熱パネル6Aに接続され集熱パネル6Aからエアが送られ取込ダクト12Gと接続する戻りダクト12Aと、戻りダクト12Aを開閉する戻り弁としての弁14Aと、弁14Aの開閉を制御する制御装置20とを備える。これにより、このエア集熱システム2は、集熱パネル6Aで暖められたエアを、室外機22に供給することができる。このエア集熱システム2は、太陽光を利用して、省エネルギーが図られている。この様に、省エネルギーの観点から、エア集熱システム2は、集熱パネル6A、戻りダクト12A、弁14A及び制御装置20を備えることが好ましい。
【0041】
なお、取込ダクト12Gと戻りダクト12Aとは、集合ダクト12Dやダクト12E等の他のダクトを介して接続されたが、直接に接続されてもよい。このエア集熱システム2では、取込ダクト12Gに戻りダクト12Aが接続されるとは、直接にと他のダクトを介して間接にとに関わらず、接続されていることをいい、他のダクトの接続も同様である。また、ここでは、第1集熱パネルとして、集熱パネル6Aを例に説明がされたが、第1集熱パネルは、集熱パネル6Aに限らず、集熱パネル6B、集熱パネル6Cであってもよい。
【0042】
エア集熱システム2は、戻りダクト12Aに接続され建物4の室内に開口する空調ダクト12Jと、空調ダクト12Jを開閉する空調弁としての弁14Jとを更に備えることが好ましい。制御装置20は、弁14Jの開閉を制御することが好ましい。このエア集熱システム2では、集熱パネル6Aで暖められたエアが直に室内に供給されうる。暖められたエアを、熱交換器などを経ずに、そのまま利用することで、暖められたエアを暖房に有効利用できる。なお、図示されないが、このエアは、フィルタ等を通して、室内に供給されてもよい。また、エア集熱システム2では、戻りダクト12Aと空調ダクト12Jとは、他のダクトを介して接続されているが、直に接続されてもよい。
【0043】
エア集熱システム2は、集熱パネル6Aと異なる方向に向けられ太陽光でエアを暖める集熱パネル6Bと、集熱パネル6Bに接続され集熱パネル6Bからエアが送られ、取込ダクト12Gに接続する戻りダクト12Bと、戻りダクト12Bを開閉する戻り弁としての弁14Bとを備えることが好ましい。制御装置20は、弁14Bの開閉を制御することが好ましい。
【0044】
この構成を備えるエア集熱システム2では、集熱パネル6Aと集熱パネル6Bとのいずれかの集熱が不十分な場合には、十分に集熱がされている方だけを利用して、集熱可能である。このエア集熱システム2は、制御装置20よって、多数の集熱パネル6から、十分に集熱されているものを選択的に使用可能である。これにより、所定の温度以上のエアを選択して利用することが可能である。ここでは、集熱パネル6Aと集熱パネル6Bとの例に説明がされたが、これに限られない。集熱パネル6Bと集熱パネル6Cとは同様に切り替えて使用可能であり、更に他の集熱パネルと切り替えられてもよい。
【0045】
また、この場合には、エア集熱システム2は、戻りダクト12Bに直接に又は接続され建物4の室内に開口する空調ダクト12Jと、空調ダクト12Jを開閉する空調弁としの弁14Jとを更に備えることが好ましい。制御装置20は、弁14Jの開閉を制御することが好ましい。このエア集熱システム2では、集熱パネル6Bで暖められたエアが直に室内に供給されうる。
【0046】
このエア集熱システム2は、エアを流動させる。エアは液体に比べて比重が小さい。このエア集熱システム2は、軽量である。このエア集熱システム2は、建物4の重量負荷が軽減される。このエア集熱システム2は、既存の建物4に設置する場合にも、重量負荷に対する補強工事を抑制できる。
【0047】
このエア集熱システム2は、取込ダクト12Gと、弁14Gと、空調ダクト12Jと、弁14Jとを備えることが好ましい。制御装置20は、弁14Gの開閉と弁14Jの開閉とを制御することが好ましい。これにより、エア集熱システム2は、制御装置20によって、取込ダクト12Gと空調ダクト12Jとを切り替えて使用可能である。例えば、エアの温度が所定の温度以上であれば、エアを建物4の室内の暖房に使用し、所定の温度より低くければ、室外機22にエアを供給しうる。これにより、エア集熱システム2は、エアの温度に適した利用用途にエアを利用できる。
【0048】
ここでは、取込ダクト12Gと空調ダクト12Jとの切り替えを例に説明がされたが、これに限られない。取込ダクト12Gと、空調ダクト12Jと、ダクト12Fと、ダクト12Hとで切り替えられてもよい。更には、エアの用途は、これらに限られない。このエア集熱システム2は、バイナリー発電装置等、他の装置にも利用可能である。
【0049】
なお、このエア集熱システム2では、取込カバー16Aは、エア取込口22Aを、その間に隙間を形成して覆ってもよい。これにより、取込ダクト12Gから供給されるエアを遮断しても、この室外機22は外気を利用可能である。
【0050】
集熱パネル6Aが並列に並べられた複数の流路34及び42で太陽光の熱を吸収するヒートシンク30及びヒートシンク38と、収容器28及び収容器36とを備える。このエア集熱システム2では、並列に並べられた多数の流路34及び42により、エアの熱交換が効率的にできる。
【0051】
集熱パネル6Aは、2以上の多数のべースパネルとしてのパネル24及びパネル26を含む。パネル24は、並列に並べられた多数の流路34を形成し太陽光の熱を吸収するヒートシンク30と、ヒートシンク30を収容しそれぞれの流路34の吸気口24B及び排気口(接続口24A)とを有する収容器28とを含む。パネル26は、並列に並べられた多数の流路42を形成し太陽光の熱を吸収するヒートシンク38と、ヒートシンク38を収容しそれぞれの流路42の吸気口26B及び排気口26Aとを有する収容器36とを含む。この集熱パネル6Aの流路は、流路34と流路42とによって形成されている。この集熱パネル6Aのヒートシンクは、ヒートシンク30とヒートシンク38とによって形成されている。
【0052】
この集熱パネル6Aは、パネル24とパネル26とを組み合わせて形成されている。集熱パネル6Aは、多数のパネル24と多数のパネル26とを組み合わせることで、種々の形状の屋根4Aや外壁4B、4Cに設置可能である。この集熱パネル6Aは、種々の大きさの屋根4Aや外壁4B、4Cに設置可能である。これにより、屋根4A、外壁4B、4Cの一面全体を覆うことが容易にされている。これにより、屋根4Aや外壁4B、4Cは、太陽光や外気から遮熱しうる。
【0053】
また、多数のパネル24と多数のパネル26とを組み合わせることで、パネル24とパネル26とは、小型にできる。これにより、持ち運びや搬送が容易にされている。
【0054】
[開示項目]
以下の項目のそれぞれは、好ましい実施形態の開示である。
【0055】
[項目1]
ヒートポンプが備える室外機のエア取込口を覆う取込カバーと、
前記取込カバーに接続される取込ダクトと、
を備える、エア集熱システム。
【0056】
[項目2]
前記室外機のエア排出口を覆う排出カバーと、
前記排出カバーに接続される排出ダクトと
を更に備える、項目1に記載のエア集熱システム。
【0057】
[項目3]
前記取込カバーが前記エア取込口を気密に覆う、項目1又は2に記載のエア集熱システム。
【0058】
[項目4]
太陽光でエアを暖める第1集熱パネルと、
前記第1集熱パネルに接続され前記第1集熱パネルからエアが送られ、前記取込ダクトに接続する第1戻りダクトと、
前記第1戻りダクトを開閉する第1戻り弁と、
前記第1戻り弁の開閉を制御する制御装置と
を備える、項目1から3のいずれかに記載のエア集熱システム。
【0059】
[項目5]
前記第1戻りダクトに接続され建物の室内に開口する空調ダクトと、
前記空調ダクトを開閉する空調弁と
を更に備え、
前記制御装置が前記空調弁の開閉を制御する、項目4に記載のエア集熱システム。
【0060】
[項目6]
前記第1集熱パネルと異なる方向に向けられ太陽光でエアを暖める第2集熱パネルと、 前記第2集熱パネルに接続され前記第2集熱パネルからエアが送られ、前記取込ダクトに接続する第2戻りダクトと、
前記第2戻りダクトを開閉する第2戻り弁と、
を備え、
前記制御装置が前記第2戻り弁の開閉を制御する、項目4又は5に記載のエア集熱システム。
【0061】
[項目7]
前記第2戻りダクトに接続され建物の室内に開口する空調ダクトと、
前記送風ダクトを開閉する空調弁と
を更に備え、
前記制御装置が前記空調弁の開閉を制御する、項目6に記載のエア集熱システム。
【0062】
[項目8]
前記第1集熱パネルが、
並列に並べられた多数の流路を形成し太陽光の熱を吸収するヒートシンクと、
前記ヒートシンクを収容しそれぞれの流路の吸気口及び排気口を有する収容器と、
を含む、項目4から7のいずれかに記載のエア集熱システム。
【0063】
[項目9]
前記第1集熱パネルが、2以上の多数のべースパネルを含み、
それぞれのベースパネルが、
並列に並べられた多数のベース流路を形成し太陽光の熱を吸収するベースヒートシンクと、
前記ベースヒートシンクを収容しそれぞれのベース流路の吸気口及び排気口を有するベース収容器とを含む、項目8に記載のエア集熱システム。
【符号の説明】
【0064】
2、52、62・・・エア集熱システム
4・・・建物
6・・・集熱パネル
8・・・送風機
10・・・蓄熱器
12・・・ダクト
12A、12B、12C・・・戻りダクト
12G・・・取込ダクト
12J・・・空調ダクト
14・・・弁
14A、14B、14C・・・弁(戻り弁)
14J・・・弁(空調弁)
16A、56、66・・・取込カバー
16B、58、68・・・排出カバー
20・・・制御装置
22、54、64・・・室外機
24、26・・・パネル
28、36・・・収容器
30、38・・・ベースヒートシンク
32、40・・・パネルトップ
34、42・・・流路
【手続補正書】
【提出日】2022-01-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒートポンプが備える室外機のエア取込口を覆う取込カバーと、
前記取込カバーに接続される取込ダクトと、
太陽光でエアを暖める第1集熱パネルと、
前記第1集熱パネルに接続され前記第1集熱パネルからエアが送られ、前記取込ダクトに接続する第1戻りダクトと、
前記第1戻りダクトを開閉する第1戻り弁と、
前記第1戻り弁の開閉を制御する制御装置と
を備える、エア集熱システム。
【請求項2】
前記室外機のエア排出口を覆う排出カバーと、
前記排出カバーに接続される排出ダクトと
を更に備える、請求項1に記載のエア集熱システム。
【請求項3】
前記取込カバーが前記エア取込口を気密に覆う、請求項1又は2に記載のエア集熱システム。
【請求項4】
前記第1戻りダクトに接続され建物の室内に開口する空調ダクトと、
前記空調ダクトを開閉する空調弁と
を更に備え、
前記制御装置が前記空調弁の開閉を制御する、請求項1から3のいずれかに記載のエア集熱システム。
【請求項5】
前記第1集熱パネルと異なる方向に向けられ太陽光でエアを暖める第2集熱パネルと、 前記第2集熱パネルに接続され前記第2集熱パネルからエアが送られ、前記取込ダクトに接続する第2戻りダクトと、
前記第2戻りダクトを開閉する第2戻り弁と、
を備え、
前記制御装置が前記第2戻り弁の開閉を制御する、請求項1から4のいずれかに記載のエア集熱システム。
【請求項6】
前記第2戻りダクトに接続され建物の室内に開口する空調ダクトと、
前記空調ダクトを開閉する空調弁と
を更に備え、
前記制御装置が前記空調弁の開閉を制御する、請求項5に記載のエア集熱システム。
【請求項7】
前記第1集熱パネルが、
並列に並べられた多数の流路を形成し太陽光の熱を吸収するヒートシンクと、
前記ヒートシンクを収容しそれぞれの流路の吸気口及び排気口を有する収容器と、
を含む、請求項1から6のいずれかに記載のエア集熱システム。
【請求項8】
前記第1集熱パネルが、2以上の多数のべースパネルを含み、
それぞれのベースパネルが、
並列に並べられた多数のベース流路を形成し太陽光の熱を吸収するベースヒートシンクと、
前記ベースヒートシンクを収容しそれぞれのベース流路の吸気口及び排気口を有するベース収容器とを含む、請求項7に記載のエア集熱システム。